(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】スキャナー、スキャナーの制御方法、プログラム、および、スキャンシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2020078972
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-11-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398056827
【氏名又は名称】株式会社ファーストリテイリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】平田 淳
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-113893(JP,A)
【文献】特開2012-043026(JP,A)
【文献】特開2016-066290(JP,A)
【文献】特開2004-030407(JP,A)
【文献】特開2010-142572(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が配置されている複数の什器をスキャンするためのスキャナーであって、
前記商品に付されたタグから情報を読取るための読取手段と、
前記読取手段によって読み取ったタグがいずれの什器に属するかを推定するための推定処理を実施する推定手段と、
前記複数の什器のそれぞれの位置を示すフロアマップ上において、前記推定処理が完了済の什器と、未完了の什器とを、区別して表示させる表示制御手段と、
前記読取手段により読み取った前記情報をサーバへ送信する送信手段と、を有し、
前記表示制御手段は、読み取った前記情報の送信結果を表示
させる際に、送信した前記情報に含まれる前記完了済の什器の数を表示させることを特徴とするスキャナー。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記情報の読み取りと前記推定処理が実行中の什器を、前記完了済の什器および前記未完了の什器と、区別して表示させることを特徴とする請求項1に記載のスキャナー。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記未完了の什器の数を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載のスキャナー。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記完了済の什器の数が閾値を超えたときに、前記未完了の什器の数の表示を変化させることを特徴とする請求項3に記載のスキャナー。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記送信結果を表示する際に、当該送信結果が全量スキャンに関するものであるか部分スキャンに関するものであるかを示すことを特徴とする請求項1に記載のスキャナー。
【請求項6】
前記フロアマップを取得する取得手段を有し、
前記取得手段は、前回取得した前記フロアマップと、最新の前記フロアマップと、を比較し、差異がある場合に前記最新のフロアマップを取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスキャナー。
【請求項7】
ユーザが携帯してスキャン可能な携帯型であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスキャナー。
【請求項8】
前記複数の什器はそれぞれ固有の情報を有する什器タグを備え、前記読取手段は前記什器タグからも情報を読み取り、前記推定手段は商品に付されたタグから読み取った情報と前記什器タグから読み取った情報を比較して、前記商品に付されたタグがどの什器に属するかを推定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスキャナー。
【請求項9】
商品が配置されている複数の什器をスキャンするためのスキャナーの制御方法であって、
前記商品に付されたタグから情報を読取るための読取工程と、
前記読取工程において読み取ったタグがいずれの什器に属するかを推定するための推定処理を実施する推定工程と、
前記複数の什器のそれぞれの位置を示すフロアマップ上において、前記推定処理が完了済の什器と、未完了の什器と、を区別して表示させる表示工程と、
前記読取工程において読み取った前記情報をサーバへ送信する送信工程と、を有し、
前記表示工程において、読み取った前記情報の送信結果を表示させる際に、送信された前記情報に含まれる前記完了済の什器の数を表示させることを特徴とするスキャナーの制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスキャナーと、前記スキャナーと通信可能に接続されたサーバとを含むタグのスキャンシステムであって、
前記サーバは、前記スキャナーによって読み取られた前記タ
グに前記商品が店舗に配置されていることを
示す情報を書き込む書込手段を有することを特徴とするスキャンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザに商品の位置を案内するガイド技術に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品店や日用品店においては、様々な商品が店舗内に陳列されている。衣料品店等では、店舗内における商品のレイアウトを把握するために商品をスキャンし、商品の位置を表示させる技術が知られている。このような店、特に衣料品店では、他の分野の商品と比較してサイクルが短く、さらに、天候によっても需要のある商品が異なるため、頻繁に店舗内におけるレイアウトを変更する必要がある。このため、レイアウトを変更する毎に商品のスキャンを行う必要があり、効率的にスキャンを行うことが求められる。
【0003】
特許文献1には、RFIDスキャンによって事前に商品毎の位置情報を取得しておき、更にスマホを操作するユーザの位置情報を取得することで、ユーザを特定の商品位置まで案内する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術では、複数のスキャナーを用いて複数人で分担して店舗内の商品のスキャン作業を進める際に、店舗内のどの部分の商品のスキャンが完了しているのかが分かり難いのでスキャン作業の効率が良くない。
【0006】
本発明は、店舗に陳列された商品のタグをスキャンする際の効率を向上させる点で有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、商品が配置されている複数の什器をスキャンするためのスキャナーであって、前記商品に付されたタグから情報を読取るための読取手段と、前記読取手段によって読み取ったタグがいずれの什器に属するかを推定するための推定処理を実施する推定手段と、前記推定処理が完了済の什器と、未完了の什器と、を区別して表示させる表示制御手段と、前記読取手段により読み取った前記情報をサーバへ送信する送信手段と、を有し、前記表示制御手段は、読み取った前記情報の送信結果を表示させる際に、送信した前記情報に含まれる前記完了済の什器の数を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、店舗に陳列された商品のタグをスキャンする際の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】スキャナーを含むスキャンシステムの構成を示す構成図である。
【
図2】スキャナーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】什器に什器用RFIDタグを複数貼付している様子を示す模式図である。
【
図4】スキャナーにおける識別情報の出力処理を説明するフロー図である。
【
図5】(A)読取の進捗を示す画面の一例を示す模式図である。(B)什器マップ画面の一例を示す模式図である。
【
図6】(A)全量スキャン時の送信結果画面の一例を示す模式図である。(B)部分スキャン時の送信結果画面の一例を示す模式図である。
【
図7】サーバにおける処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、スキャナー100を含むスキャンシステム1000の構成を示す構成図である。スキャンシステム1000は、スキャナー100と、サーバ200と、を含む。これらはネットワーク400によって通信可能に接続されている。ネットワーク400は、例えば、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、WiFiなどの無線基地局、プロバイダ装置、専用回線などを含む。スキャンシステム1000は、スキャナー100によって、店舗内の各商品に付されたタグをスキャンすることで商品位置を取得する。取得された商品位置情報は、表示装置300に表示するために用いられる。
【0012】
ここでは、一例としてスキャナー100が携帯型の読取端末である場合について説明する。スキャナー100は、読書部101と、推定部102と、記憶部103と、タイマ104と、通信部105と、表示部106と、入力部107と、制御部108と、を含む。
【0013】
読書部101は、複数のアンテナを備え商品のタグから該商品の識別情報を読み取るとともに、複数のアンテナによって当該タグがスキャナー100から相対的にどの位置にあるかを示す相対位置情報を取得する。読取分解能や精度が落ちるが、読書部101はアンテナを1つだけ備える構成にしてもよい。また、読書部101は商品のタグを読む際に、店舗内に設置されている各什器に配置されているタグから什器の識別情報と相対位置情報についても読み取る。各什器に配置されているタグの識別情報は什器の位置情報(店舗内・フロアマップ上の絶対位置)と関連づけられている。さらに、読書部101は、タグがリードライト型等、情報の書き込みが可能である場合には、店舗に配置されていることを示す情報等、サーバ200から受信した情報をタグに書き込む。
【0014】
なお、ここで、タグは、例えばRFIDタグ等、商品の識別情報を記録可能なタグである。例えば、タグがRFIDに対応する場合、アンテナと識別情報を記憶するチップを内部に備えパッケージに貼付されたり、ロックスと呼ばれる部材で商品の一部に固定されたりしている。そして、外部からUHF帯のリーダーライターの電波をタグ内のアンテナで受信すると、起電し、IC内に保持している情報を同様のUHF帯の電波で外部に出力する。
【0015】
推定部102は、読み取った各商品のタグの相対位置情報と什器のタグ(什器タグ)の相対位置情報を比較し、各商品がいずれの什器に属するかを推定する。例えば、什器について水平断面の中央位置に什器タグを配置した場合には、各商品が一番近い什器タグに対応する什器を各商品が属する什器として判定するようにしてもよい。また什器の両端もしくは四隅に什器タグを配置した場合には、什器タグに略挟まれる位置のタグや什器タグを四隅とする領域に位置するタグを、その什器タグに対応する什器に属するタグとして判定するようにしてもよい。また、推定部102は什器のタグに設定されている絶対位置と什器のタグの相対位置と各商品の相対位置から各商品の絶対位置を推定するようにしてもよい。
【0016】
記憶部103は、店舗内における什器の絶対位置を示すフロアマップ(什器マップ)を記憶する。また、記憶部103は、読み取った商品の識別情報と、各商品が属する(陳列されている)什器の識別情報を対応付けて記憶する。なお、この時、記憶部103は各商品の識別情報を読み取った時間(スキャン時間)をタイマ104から取得して各商品の識別情報の付加方法(メタデータ)として記憶しておく。タイマ104は内部のカウンタで計時し、日付や時刻を保持している。
【0017】
通信部105は、記憶部103に記憶された商品の識別情報と、少なくとも1つ以上の什器の識別情報を対応付けてサーバ200に出力する。ここで、推定部102によって商品から読み取ったタグの絶対位置を推定している場合は、通信部105によって各商品絶対位置もサーバ200に出力してもよいし、絶対位置を推定していない場合は各商品の相対位置を出力してもよい。また、記憶部103に商品の識別情報を読み取った時間が記憶されている場合は、これについても合わせて出力することが好ましい。
【0018】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等であり、制御部108によって制御される。表示部106は、制御部108の制御に基づいて、什器マップを表示する。
【0019】
入力部107は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウスなどであって、タッチパネルやキーによってユーザからの指示や入力を受け付ける。入力部107は表示部106としても機能し、表示部106と入力部107は一体となった構造であっても良い。
【0020】
制御部108は、例えばCPUやメモリなどを含み、スキャナー100の各部を制御する。
【0021】
サーバ200は、通信部201と、変換部202と、商品情報記憶部203と、出力部204と、書込部205と、マップ記憶部206と、を含む。
【0022】
通信部201は、スキャナー100によって、各商品に付されているタグから読み取った商品毎の識別情報とタグの位置情報を取得する。なお、ここで、商品の識別情報は、少なくとも商品の色情報およびサイズ情報を含む。もちろん、サイズも色も夫々対応する情報(数値など数字)で置き換えられていてもよい。例えば、「S,M,L」を「1,2,3」と置き換えたり、色について「白、黒、黄」を「00、09、45」の様に置き換えたりしてもよい。
【0023】
変換部202は、通信部201で取得した識別情報と、タグの位置情報を店舗のフロアマップ上に反映するための位置情報(表示用位置情報)に変換する。
【0024】
商品情報記憶部203は、変換部202で変換された表示用位置情報を識別情報と関連付けて記憶する。ここで、商品情報記憶部203は、表示用位置情報を更にどの店舗のどのフロアであるかを識別するためのフロア識別情報と関連づけて記憶するようにしてもよい。
【0025】
出力部204は、表示装置300において、ユーザによって指定された商品の識別情報に対応する位置情報を、表示装置300に出力する。
【0026】
書込部205は、商品情報記憶部203に記憶された商品の識別情報に、例えば、商品が店舗に配置されていることを示す情報等を書き込む。各商品の識別情報に書き込まれた情報は、通信部201を介してスキャナー100へ出力され、次回のスキャン時にタグに書き込まれる。タグに書き込まれる情報は、例えば、配置されている店舗の情報等を含んでいても良い。なお、タグがリードオンリー型等、書き込みが不可能な場合には、商品情報記憶部203において、情報が書き込まれた状態で商品の識別情報を記憶する。
【0027】
マップ記憶部206は各店舗の店内のレイアウトの概略を示すレイアウト情報を保持している。レイアウト情報は、店舗の所在地(国名、店舗名を含む)、店舗番号、店舗種別、店舗内の壁や什器(エレクター)の配置や柱の位置などの概略が判るマップとしての画像データ(pdf形式やjpeg形式)、および、店舗内の表示装置の位置情報と向き、を含んでいる。即ち、レイアウト情報には、什器の店舗内における絶対位置を示すフロアマップ(什器マップ)が含まれ、マップ記憶部206は、これを記憶する。マップ記憶部206は、通信部201を介して、什器マップを出力する。
【0028】
表示装置300は、スキャナー100によって取得された店舗内の各商品の位置情報に基づいて、ユーザの指定する商品の位置情報を表示画面に表示する。これにより、ユーザに商品位置をガイドする。表示装置300は、例えば、衣料品販売店の店舗内又は店舗外に設置されるサイネージ装置、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップPC、もしくは、携帯電話機等、または、顧客が所持する携帯端末である。なお、本明細書において、携帯端末という場合、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC、携帯電話機、などのユーザが携帯できる情報処理装置を示すものとする。
【0029】
図2は、スキャナー100のハードウェア構成を示すブロック図である。スキャナー100は、記憶部103と、CPU21と、RAM22、ROM23と、通信部105と、表示部106と、入力部107と、を備える。
【0030】
記憶部103は、CPU21によって実行されることで後述のフローを実現するプログラムと、このプログラムによって使用されるデータ等を格納する。
【0031】
CPU21は、ROM23又は記憶部20に格納されたプログラムに基づいて動作し、スキャナー100の各部の制御を行う。ROM23は、スキャナー100の起動時にCPU21によって実行されるブートプログラムや、スキャナー100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。CPU21は、ROM23のプログラムをRAM22上に展開し、展開されたプログラムをCPU21が実行することにより、後述するフローを実現する。なお、CPU21は、これらのプログラムを他の装置からネットワーク400を介して取得して、実行してもよいし、ROM23に格納しているプログラムを直接実行してもよい。
【0032】
通信部105は、ネットワーク400を介して他の機器からデータを受信してCPU21へ送り、CPU21が生成したデータや指示を、ネットワーク400を介して他の機器へ送信する。なお、サーバ200および表示装置300の夫々も
図2と同様の構成を備えているが詳細な説明は省略する。
【0033】
図3は、什器30に什器用RFIDタグ31を複数貼付している様子を示す模式図である。什器30が金属板材で密封している様な棚でなければ、RFIDタグは外から目につきにくい箇所に配置することが好ましい。RFIDタグ31について、商品の表示位置の精度が低くてもよいのであれば1つの什器30あたりのタグは少なくしてもよい。逆に商品の表示位置の精度を高めたいのであれば、1つの什器30あたりのタグを増やし(1タグあたりのカバレッジを少なくし)、各タグに異なる識別情報を埋め込むことで、読み取ったRFIDタグ31が什器30のどの位置に配置されているかを区別できるようにしてもよい。
【0034】
図4は、スキャナー100における識別情報の出力処理を説明するフロー図である。このフロー図で示す各動作(ステップ)は、制御部108の各部の制御よって実行されうる。まず、ユーザがスキャナー100を起動する(S401)。制御部108は、通信部105を介して、サーバ200に記憶された什器マップが更新されているか否かを確認する(S402)。制御部108は、例えば、記憶部103に記憶されている什器マップと、サーバ200に記憶されている什器マップとを比較し、差異がある場合に什器マップが更新されていると判断する。S402において什器マップが更新されている場合(Yes)、制御部108は、サーバ200から最新の什器マップを取得し、記憶部103に記憶する(S403。一方、S402において什器マップが更新されていない場合(No)、処理をS404へ進める。什器マップが更新されていない場合には、什器マップの取得を省略することで、スキャン作業の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0035】
次に、ユーザがスキャナー100を携帯し、店舗内を移動する。これにより、読書部101は、店舗内に陳列された商品のタグから識別情報を取得し、同時に商品が陳列されている什器の識別情報を取得する(S404)。そして、読み取った商品の識別情報と、什器の識別情報とを関連付けて記憶部103に記憶する。次に、制御部108は、現在、タグ情報の読み取りが実行中の商品が配置されている什器(読取対象の什器)の色を、什器マップ上において他の什器と異ならせる。換言すると、制御部108は、什器マップ上において、読取対象の什器の表示色を、タグの読み取りが未完了の什器(読取未完了什器)の色(第1の色)と異なる色(第2の色)に変化させる(S405)。そして、制御部108は、読取対象の什器に配置された90%以上の商品、好ましくは全ての商品のタグからの識別情報の取得が完了したか否かを判断する(S406)。S406において、読取対象の什器に配置された商品のタグからの識別情報の取得が完了していない場合(No)には、S406を繰り返す。一方、S406において、読取対象の什器に配置された商品のタグからの識別情報の取得が完了している場合(Yes)には、制御部108は、配置された全ての商品のタグ情報の読み取りが完了した什器(読取完了什器)の什器マップ上における色を、さらに変化させる。即ち、制御部108は、什器マップ上において、読取完了什器の表示色を、読取未完了什器および読取対象の什器と異なる色(第3の色)に変化させる(S407)。なお、ここで、読取完了什器とは、該什器に属すると推定された商品の90%以上、好ましくは全てのタグ情報の読み取りが完了済である什器である。
【0036】
その後、制御部108は、読取完了什器の数が閾値以上であるか否かを判断する(S408)。ここで、閾値はユーザによって設定可能であって良いが、店舗内に配置された什器の総数の90%以上であることが好ましい。S408において、読取完了什器の数が閾値以上である場合(Yes)、制御部108は、店舗に配置された什器の総数に対する読取の進捗を示す画面(進捗画面)において、読取の進捗を示す数値を青色で表示させる(S409)。一方、S408において、読取完了什器の数が閾値以上でない場合(No)、制御部108は、進捗画面において、読取の進捗を示す数値を黄色で表示させる(S410)。
【0037】
その後、制御部108は、読み取った情報をサーバ200へ送信する指示がユーザによって入力されたか否かを判断する(S411)。S411において、送信指示が入力されていない場合(No)、制御部108は、送信指示が入力されるまでS404~S410を繰り返す。一方、S411において、送信指示が入力された場合(Yes)、制御部108は、通信部105を介して、商品の識別情報と、什器の識別情報を関連付けてサーバ200に出力(送信)する(S412)。
【0038】
そして、制御部108は、送信結果画面を表示部106に表示させる(S413)。送信結果画面には、送信された情報に含まれる読取完了什器の数が含まれる。制御部108は、送信された情報に含まれる読取完了什器の数が、S408の閾値以上である場合、今回のスキャンは全量スキャンであると判断し、フロアマップにおける全情報を更新する指示を合わせてサーバ200に送信する。一方、送信された情報に含まれる読取完了什器の数が、S408の閾値未満である場合、今回のスキャンは部分スキャンであると判断し、フロアマップにおいて、一部の情報のみを更新する指示を合わせてサーバ200に送信する。
【0039】
なお、スキャンシステム1000において、スキャナー100を用いた
図4のフローに従ったスキャンは定期的に行われてもよいし、不定期におこなわれてもよい。ただし、店舗のフロアの大部分をスキャンする全量スキャンを定期的に第1の頻度(例えば、オープン前に1日1回)で実施する場合、全量スキャンよりも狭い領域(店舗のフロアの一部)をスキャンする部分スキャンは全量スキャンよりも頻度が高い第2の頻度(例えば、正午近辺で1回、夕方に1回)で実施することが好ましい。なお、スキャンは複数の携帯型のスキャナー100で実施されてもよい。なお、同じタグを読み取った場合、スキャナー100やサーバ200は最近読み取った位置情報で古い位置情報を上書きするように更新するように制御される。
【0040】
図5は、スキャナー100画面表示の一例を示す模式図である。本図は、スキャナー100により、店舗内に配置された商品および什器から識別情報を取得している際にスキャナー100の表示部106に表示される画面である。
図5(A)は、読取の進捗を示す画面(進捗画面510)の一例を示す模式図である。進捗画面510には、店舗内に設置された什器の総数511と、表示時点における読取完了什器の数512が含まれ、合わせて進捗率513も表示される。さらに、進捗画面510には、表示時点における、読取が未完了の什器(読取未完了什器)の数514も含まれる。これらの数値は、読取完了什器の数が閾値以上である場合においては、例えば、青色で、読取完了什器の数が閾値未満である場合には、例えば、黄色で表示される。読取完了什器の数が閾値以上であるか否かで、表示の色を異ならせることにより、全スキャンが完了したか否かをユーザが容易に把握することが可能となる。なお、ここで示した特定の色については、一例であり、これに限られるものではない。また、読取完了什器の数が閾値以上であるか否かを容易に把握できれば良く、例えば、読取完了什器の数が閾値以上であるか否かによって、異なるアイコンを表示させても良いし、画面全体の色を異ならせても良い。
【0041】
図5(B)は、什器マップ画面520の一例を示す模式図である。什器マップ画面520は、進捗画面510に示される、什器マップを表示させるためのアイコン515をユーザが、タップ等により選択することで表示される。什器マップ画面520は、店舗のフロアマップ上に示された複数の什器を示すアイコン521a~521lを含み、アイコン521a~521lが示される位置は、店舗内における什器のそれぞれの設置位置と対応している。本図では、一例としてアイコン521aに対応する什器に配置された商品に対してタグの読取処理が実行中である画面を示している。ここでは、アイコン521d~521gおよびアイコン521jは読取完了什器を示し、アイコン521b~521c、アイコン521h~521i、およびアイコン521k~521lは読取未完了什器を示している。制御部108は、読取処理が実行中である什器に対応するアイコン521aを、例えば、黄色で表示させ、読取処理が実行中である什器の識別情報522も表示させる。また、制御部108は、読取完了什器に対応するアイコン521d~521gおよびアイコン521jを、読取処理が実行中の什器とは異なる色、例えば、灰色で表示させる。さらに、制御部108は、読取未完了什器に対応するアイコン521b~521c、アイコン521h~521i、およびアイコン521k~521lを、読取処理が実行中である什器および読取完了什器とは異なる色、例えば、緑色で表示させる。このように表示させることで、ユーザが直感的に読取完了什器と、読取未完了什器とを把握することが可能となり、読取処理の効率を向上させることが可能となる。
【0042】
なお、読取処理が実行中である什器と、読取完了什器と、読取未完了什器とを、ユーザが区別して把握することが可能であればよく、例えば、異なるアイコンや記号を重畳させたり、什器を示すアイコンを異なる色の枠で囲んだりすることで、表示を異ならせ区別させても良い。また、これらを組み合わせても良い。
【0043】
図6は、送信結果画面の一例を示す模式図である。送信結果画面は、
図4のフローのS413で表示される画面である。
図6(A)は、全量スキャン時の送信結果画面の一例を示す模式図である。
図6(B)は、部分スキャン時の送信結果画面の一例を示す模式図である。送信結果画面には、送信結果531、送信された情報に含まれる読取完了什器の数、即ち、総スキャン什器数532、および、全更新または部分更新を示す情報533が含まれる。全更新または部分更新を示す情報533は、総スキャン什器数532が閾値以上である場合は全更新、総スキャン什器数532が閾値未満である場合は部分更新となる。
【0044】
次に、サーバ200における処理を説明するフロー図について説明する。
図7は、サーバ200における処理の一例を示すフロー図である。まず、S601において、通信部201は、商品の識別情報と、商品の識別情報に関連付けられた什器の識別情報をスキャナー100から取得する。この時、商品の識別情報が読み取られた時間を示すスキャン情報も合わせて取得することが望ましい。次に、S602において、変換部202は、通信部201で取得した商品の識別情報と、商品の識別情報に関連付けられた什器の識別情報に基づいて、商品の店舗内における位置を推定する。そして、この位置情報を店舗のフロアマップ上に反映可能な情報(表示用位置情報)に変換し、商品情報記憶部203で記憶する。その後、S603において、出力部204は、表示装置300における指定に応じて、商品の識別情報に、該商品の位置情報を関連付けて、表示装置300に出力する。
【0045】
以上、本実施形態によれば、衣料品店などの店舗において、店舗に陳列された商品のタグをスキャンする際の効率を向上させることができる。
<その他の実施形態>
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。スキャナー100およびサーバ200における処理をコンピュータによって実現する場合、これらの装置の各部が有すべき機能の処理内容はプログラムに基づいて実行される。上述の処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。また、各部の処理は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよい。