(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】転圧機械
(51)【国際特許分類】
E01C 19/28 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
E01C19/28
(21)【出願番号】P 2020098636
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐斗
(72)【発明者】
【氏名】田中 正道
(72)【発明者】
【氏名】切田 勝之
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3086360(JP,U)
【文献】特開2004-244950(JP,A)
【文献】特開2002-266311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前側に設けられ、地面を締め固める転圧ローラと、
前記転圧ローラを支持する前フレームと、
前記機体の後側に設けられ、前記機体を駆動する駆動輪と、
前記駆動輪を支持する後フレームと、を備える転圧機械において、
前記機体の後方に位置する被牽引体を牽引する牽引部材を有し、
前記後フレームは、該後フレームの後側下部に形成され、機体前後方向後方に向かうにつれて上方に向かって傾斜する傾斜部を含み、
前記牽引部材は、前記後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て前記傾斜部より上側の所定の位置に設けられることを特徴とする転圧機械。
【請求項2】
前記後フレームに配設される駆動装置の上方を覆い、該後フレームより機体左右方向外側に延びてなるカバーを備え、
前記所定の位置は、前記カバーの機体左右方向外端より内側であって、機体左右方向から視て前記カバーの下端より下側の位置である、ことを特徴とする請求項1に記載の転圧機械。
【請求項3】
前記牽引部材は、機体左右方向に開口する牽引開口部が形成された平板部材であり、前記後フレームとの間に機体左右方向に所定距離を持って設けられることを特徴とする請求項1に記載の転圧機械。
【請求項4】
前記牽引部材の下端部には、前記牽引開口部より機体前後方向後方側に切り欠き部を設ける、ことを特徴とする請求項3に記載の転圧機械。
【請求項5】
前記後フレームには、機体前後方向後方に向かうにつれて下方に延びてなる被引張部材を有し、
前記被引張部材は、前記後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て前記傾斜部より上側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の転圧機械。
【請求項6】
前記後フレームは、機体前後方向に延びてなる骨格部材と、前記骨格部材の上端から機体左右方向外方に延びて形成される上端板部材と、を有し、
前記被引張部材は、前記牽引部材の前側に位置し、機体左右方向内側の端部が前記骨格部材に固定され、機体上下方向上側の端部が前記上端板部材に固定され、
前記牽引部材は、機体前後方向に延びてなる平板部材であり、上端が前記上端板部材に固定され、前端が前記被引張部材に固定される、ことを特徴とする請求項5に記載の転圧機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転圧機械に係り、特に牽引部材の配設位置の最適化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、道路舗装工事においては、アスファルトを施工する前に地面の平面度を均等にするために、前輪に鉄輪ローラを配設し、後輪に駆動用の車輪を配設した、所謂土工用振動ローラが用いられる。この土工用振動ローラ等の自走する作業機械には、後端に他機等を牽引するための牽引ピンが設けられているものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、土工用振動ローラのような転圧機械は、作業のため急勾配(例えば30°勾配)の坂道を走行する場合があることから機体後部下側に傾斜形状の傾斜部(例えば水平に対し30°傾斜する部分)を形成し、機体が当該坂道を走行する際に機体後部下側が地面と接触することを抑制するようにしている。機体後部下側に形成した傾斜部より突出するものは地面と接触する虞があるため、当該傾斜部より機体内側に形成する必要がある。
【0005】
ここで、上記特許文献1に開示される技術のような牽引ピンを設ける構造を土工用振動ローラに採用することについて検討すると、牽引ピンの周囲には牽引用のワイヤやフック等を取り付けるための空間(繋着空間)が必要になる。この空間を考慮して牽引ピンを設ける場合には、機体の前後長を延ばすこととなるため、好ましいことではない。また、機体の前後長を延ばさないよう、傾斜部に牽引ピンを設ける構造を採用すると、当該構造が傾斜部より突出し、当該坂道を走行する際に地面と接触する虞がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機体後部下側の傾斜部から突出せずに他機等を牽引するための牽引構造(牽引部材)を配設することができる転圧機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の転圧機械は、機体の前側に設けられ、地面を締め固める転圧ローラと、前記転圧ローラを支持する前フレームと、前記機体の後側に設けられ、前記機体を駆動する駆動輪と、前記駆動輪を支持する後フレームと、を備える転圧機械において、前記機体の後方に位置する被牽引体を牽引する牽引部材を有し、前記後フレームは、該後フレームの後側下部に形成され、機体前後方向後方に向かうにつれて上方に向かって傾斜する傾斜部を含み、前記牽引部材は、前記後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て前記傾斜部より上側の所定の位置に設けられることを特徴とする。
【0008】
これにより、後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て傾斜部より上側の所定の位置に、機体の後方に位置する被牽引体を牽引する牽引部材を設けることで、後フレームの傾斜部より機体上側に牽引部材を位置させることができ、機体の傾斜可能な角度を保つことが可能とされる。
【0009】
その他の態様として、前記後フレームに配設される駆動装置の上方を覆い、該後フレームより機体左右方向外側に延びてなるカバーを備え、前記所定の位置は、前記カバーの機体左右方向外端より内側であって、機体左右方向から視て前記カバーの下端より下側の位置であるのが好ましい。
【0010】
これにより、カバーの機体左右方向外端より内側であって、機体左右方向から視てカバーの下端より下側の所定の位置に牽引部材を設けることで、機体を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際の視認性を低下させることなく、カバーより下方を有効に活用することが可能とされる。
【0011】
その他の態様として、前記牽引部材は、機体左右方向に開口する牽引開口部が形成された平板部材であり、前記後フレームとの間に機体左右方向に所定距離を持って設けられるのが好ましい。
【0012】
これにより、牽引部材は、機体左右方向に開口する牽引開口部が形成され、後フレームとの間に機体左右方向に所定距離を持って設けられた平板部材とすることで、簡単な構成にしつつ被牽引体を牽引する際に必要な機体前後方向の剛性を高めることが可能とされる。
【0013】
その他の態様として、前記牽引部材の下端部には、前記牽引開口部より機体前後方向後方側に切り欠き部を設けるのが好ましい。
これにより、牽引部材の下端部の牽引開口部より機体前後方向後方側に切り欠き部を設けることで、牽引部材の牽引開口部に取り付けた牽引フック等が被牽引体を牽引する際に牽引部材の下端と接触することを抑制することが可能とされる。
【0014】
その他の態様として、前記後フレームには、機体前後方向後方に向かうにつれて下方に延びてなる被引張部材を有し、前記被引張部材は、前記後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て前記傾斜部より上側に位置するのが好ましい。
【0015】
これにより、機体前後方向後方に向かうにつれて下方、すなわち、機体を操作するオペレータが機体後方下側を視認する方向に延びてなる被引張部材を、後フレームの機体左右方向外側であって機体左右方向から視て傾斜部より上側に位置させることで、機体を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際の視認性を低下させることなく機体を固縛するためや吊り上げるための被引張部材を設けることが可能とされる。
【0016】
その他の態様として、前記後フレームは、機体前後方向に延びてなる骨格部材と、前記骨格部材の上端から機体左右方向外方に延びて形成される上端板部材と、を有し、前記被引張部材は、前記牽引部材の前側に位置し、機体左右方向内側の端部が前記骨格部材に固定され、機体上下方向上側の端部が前記上端板部材に固定され、前記牽引部材は、機体前後方向に延びてなる平板部材であり、上端が前記上端板部材に固定され、前端が前記被引張部材に固定されるのが好ましい。
【0017】
これにより、機体前後方向に延びてなる骨格部材の上端から機体左右方向外方に延びて形成される上端板部材に被引張部材及び牽引部材の上端を固定し、骨格部材に被引張部材の機体左右方向内側の端部を固定し、被引張部材に牽引部材の前端を固定することで、骨格部材、上端板部材、被引張部材及び牽引部材によっていわゆるボックス構造をなして多方向における剛性を高めることが可能とされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の転圧機械によれば、後フレームの機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て傾斜部より上側の所定の位置に、機体の後方に位置する被牽引体を牽引する牽引部材を設けたので、後フレームの傾斜部より機体上側に牽引部材を位置させることができ、機体の傾斜可能な角度を保つことができる。
【0019】
これにより、機体後部下側の傾斜形状から突出せずに他機等を牽引するための牽引構造を配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】機体の後端が下方に位置するように傾斜した際の機体の後部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、転圧機械の機体1の概略構成図が示されている。機体1は、例えば前輪(転圧ローラ)3が鉄輪であり、ゴム製の後輪(駆動輪)5を駆動して機体1を前後進しつつ、前輪3に設けられた図示しない偏心ウエイトによって前輪3を振動させて、アスファルトを施工する前の地面を締固めることが可能な所謂土工用振動ローラである。この機体1には、駆動装置10、燃料タンクユニット16及び運転室18が搭載されている。
【0022】
駆動装置10は、エンジン12及び冷却装置14を備えて構成される。エンジン12は、燃料タンクユニット16から供給される燃料9を燃焼して駆動力を発生させる内燃機関であり、後述する後フレーム23の機体前後方向後部に設けられるエンジンルーム7の中央より前側に搭載される。即ち、駆動装置10は、エンジン12を稼動させることで発生する駆動力を利用して後輪5を駆動し、機体1を前後進させることが可能である。
【0023】
冷却装置14は、エンジン12より機体1の前後方向後方に設けられた所謂熱交換器である。詳しくは、エンジン12が稼動することで発生する熱により、エンジン12内に設けられる図示しないウォータージャケットを流通する冷却水が温められ、冷却装置14に高温な冷却水が流通する。この高温な冷却水は、冷却装置14によって冷却され、エンジン12に流通する。これにより、エンジン12は、内部の温度が過剰に上昇することを抑制されている。運転室18は、機体1を操縦するオペレータが搭乗する建屋である。この運転室18は、後述する後フレーム23におけるエンジンルーム7の機体前後方向前方に配設されている。
【0024】
これら機器を搭載するべく、機体1は、前フレーム21及び後フレーム23を備えている。前フレーム21は、機体前後方向前方に延びる、左右一対のフレーム部材である。この前フレーム21は、前輪3の左右外側に配設され、前輪3を回動可能に支持している。後フレーム23は、前端に前フレーム21が回動装置25を介して取り付けられるフレーム部材である。これにより、回動装置25を稼働させることで、前フレーム21と後フレーム23との機体上下方向から視た相対角度を調整し、機体1の進行方向を調整することができる。
【0025】
図2を参照すると、後フレーム23の後方斜視図が示されている。後フレーム23は、機体前後方向に延びる骨格部材27が左右一対に形成されている。この骨格部材27には、車輪支持部31、傾斜部33、傾斜平板部材34、グリル部材35及び上端板部材37が設けられている。また、後フレーム23の上側には、エンジンカバー(カバー)39が配設されている(
図1参照)。
図1に戻り、車輪支持部31は、燃料タンクユニット16の機体前後方向前方であってエンジン12の下方に形成されている。この車輪支持部31は、後輪5の駆動軸5aを回動可能に支持することが可能である。
【0026】
図3を参照すると、機体1の後端が下方に位置するように傾斜した際の機体1の後部の側面図が示されている。傾斜部33は、機体1の後端が下方に位置するように第1角度θ1(例えば30°)傾斜した際、地面に対して水平となるよう骨格部材27の後部に形成されている。
【0027】
図2に戻り、傾斜平板部材34は、傾斜部33から車両左右方向内側に向かって延びる平板部材である。すなわち、傾斜平板部材34は、左右一対に形成される骨格部材27の傾斜部33に亘って延びて形成されている。グリル部材35は、骨格部材27の後端に例えば溶接された平板部材であり、機体上下方向及び左右方向に延びて形成されている。上端板部材37は、骨格部材27の上端に設けられ車両左右方向外側に延びて形成される平板部材である。
【0028】
このように後フレーム23を形成することで、後フレーム23の内部には、エンジンルーム7が形成されている。また、上端板部材37が形成されることで、上端板部材37より上側については、骨格部材27より車両左右方向外側であって上端板部材37の外側端部より内側にまでエンジンルーム7を拡張するように形成することができる。
【0029】
エンジンカバー39は、上端が機体前後方向中央から後方に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されたカバーであり(
図1参照)、下端が上端板部材37の外側端部に沿うように形成されている。このエンジンカバー39は、前端が運転室18の後方に配設される支持部39aの上端に回動可能に取り付けられている。したがって、エンジンルーム7は、エンジンカバー39を閉止することで上方及び側方をエンジンカバー39により覆うことができ、エンジンカバー39を開放することで上端板部材37より上側を開放することができる。
【0030】
図4を参照すると、
図2中の範囲Sの拡大図が示されている。骨格部材27の後端の車両左右方向外側には、牽引部材41及び被引張部材43が設けられている。牽引部材41は、機体1の後方に位置する他機等(被牽引体)を牽引するために用いられる部材である。この牽引部材41は、骨格部材27からエンジンカバー39の下端より左右方向内側である第1距離(所定距離)L1離間した位置に配設され、骨格部材27と平行して延びる平板部材である。
【0031】
したがって、牽引部材41は、エンジンカバー39の下端より内側(後述する
図6参照)に位置するので、運転室18に搭乗して機体1を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際における視認範囲(視認性)を妨げることなく形成することができる。なお、エンジンカバー39の内側に位置する、とは、エンジンカバー39の左右方向外端より外側に突出しないことを意味し、外端と同じ面上に位置することを含むものである。
【0032】
牽引部材41は、上端が上端板部材37に、後端がグリル部材35にそれぞれ溶接されている。また、被引張部材43は、上端が上端板部材37に、左端が骨格部材27にそれぞれ溶接されている。そして、牽引部材41は、前端が被引張部材43の後面に溶接されている。したがって、牽引部材41及び被引張部材43は、骨格部材27および上端板部材37とともにいわゆるボックス構造をなすため、多方向に対する剛性を向上させることができる。ここで、牽引部材41には、牽引傾斜部51、牽引開口部53及び牽引凹部(切り欠き部)55が形成されている。
【0033】
図5を参照すると、牽引部材41及び被引張部材43の側面図が示されている。牽引傾斜部51は、機体左右方向から視て、骨格部材27の傾斜部33に沿うように形成されている。換言すると、牽引傾斜部51は、機体左右方向から視てエンジンカバー39の下端より下側であって傾斜部33より上側の位置である所定の位置Aに配設されている。これにより、機体1は、後端が下方に位置するように第1角度θ1傾斜した場合であっても、牽引部材41が地面に接触することを防止することができる。
【0034】
牽引開口部53は、牽引傾斜部51から第2距離L2離間した位置に形成された、機体左右方向から視て丸形の穴である。これにより、牽引開口部53に図示しない牽引フックを係止させて機体1の後方に位置する他機等を牽引することができる。
【0035】
牽引凹部55は、牽引部材41の牽引開口部53から機体前後方向後側に第2距離L2離間した位置を切り欠くようにして形成した凹部である。ここで、牽引部材41の牽引凹部55における下端55aは、牽引開口部53よりも上方に位置するよう形成されている。これにより、牽引開口部53に牽引フックを係止させて他機等を牽引することで牽引フックが機体前後方向後方に延びる際に、牽引フックやロープ等の牽引具が動いた場合であっても牽引部材41と牽引フックとが接触することを抑制することができる。
【0036】
図6を参照すると、牽引部材41及び被引張部材43の後面図が示されている。被引張部材43は、機体1の吊り上げや運搬車両への固定のために用いられるものであり、骨格部材27から機体左右方向外側に向かって延びる平板部材であり、中央に被引張開口57が形成されている。この被引張部材43は、後端が下方に位置するように第2角度θ2(例えば60°)傾斜している(
図5参照)。
【0037】
したがって、運転室18に搭乗して機体1を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際、被引張部材43がオペレータの視線と平行するよう、機体前後方向後方に向かうにつれて下方に延びてなるため、機体後方下側の視認性が低下することを抑制することができる。また、被引張開口57に図示しない固縛用のフックをかけ、機体1の後方斜め下方向に引張するようにして機体1を固縛することや、図示しない吊り上げ用のフックをかけ、機体1を吊り上げることで、被引張部材43が延びる方向に引張して被引張部材43が歪むことを抑制することができる。換言すると、被引張部材43は、後端が下方に位置するように傾斜して形成されたことで、機体1の固縛時や吊り上げ時等に必要な剛性を保つことができる。
【0038】
以上説明したように、本発明に係る転圧機械では、機体1の前側に設けられ、地面を締め固める前輪3と、前輪3を支持する前フレーム21と、機体1の後側に設けられ、機体1を駆動する後輪5と、後輪5を支持する後フレーム23と、を備える転圧機械において、機体1の後方に位置する他機を牽引する牽引部材41を有し、後フレーム23は、後フレーム23の後側下部に形成され、機体前後方向後方に向かうにつれて上方に向かって傾斜する傾斜部33を含み、牽引部材41は、後フレーム23の機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て傾斜部33より上側の所定の位置Aに設けられる。
【0039】
従って、後フレーム23の機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て傾斜部33より上側の位置に、機体1の後方に位置する他機を牽引する牽引部材41を設けたので、後フレーム23の傾斜部33より機体上側に牽引部材41を位置させることができ、機体1の傾斜可能な角度である第1角度θ1を保つことができる。
【0040】
そして、後フレーム23に配設される駆動装置10の上方における、後フレーム23の骨格部材27より機体左右方向外側を覆うエンジンカバー39を備え、牽引部材41は、エンジンカバー39の機体左右方向外端より内側であって、機体左右方向から視てエンジンカバー39の下端より下側の所定の位置Aに位置してなるので、機体1を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際の視認性を低下させることなく、エンジンカバー39より下方を有効に活用することができる。
【0041】
そして、牽引部材41は、機体左右方向に開口する牽引開口部53が形成された平板部材であり、後フレーム23の骨格部材27との間に機体左右方向に第1距離L1を持って設けられたので、簡単な構成にしつつ他機を牽引する際に必要な機体前後方向の剛性を高めることができる。
【0042】
そして、牽引部材41の下端部には、牽引開口部53より機体前後方向後方側に牽引凹部55を設けたので、牽引部材41の牽引開口部53に取り付けた牽引フック等が他機等を牽引する際に牽引部材41の下端と接触することを抑制することができる。
【0043】
そして、後フレーム23には、機体前後方向後方に向かうにつれて下方に延びてなる被引張部材43を有し、被引張部材43は、後フレーム23の骨格部材27の機体左右方向外側であって、機体左右方向から視て傾斜部33より上側に位置する。
【0044】
従って、機体前後方向後方に向かうにつれて下方、すなわち、機体1を操作するオペレータが機体後方下側を視認する方向に延びてなる被引張部材43を、骨格部材27の機体左右方向外側であって機体左右方向から視て傾斜部33より上側に位置させたので、機体1を操作するオペレータが機体後方下側を視認する際の視認性を低下させることなく機体1を固縛するためや吊り上げるための被引張部材43を設けることができる。
【0045】
特に、後フレーム23は、機体前後方向に延びてなる骨格部材27と、骨格部材27の上端から機体左右方向外方に延びて形成される上端板部材37と、を有し、被引張部材43は、牽引部材41の前側に位置し、機体左右方向内側の端部が骨格部材27に固定され、機体上下方向上側の端部が上端板部材37に固定され、牽引部材41は、機体前後方向に延びてなる平板部材であり、上端が上端板部材37に固定され、前端が被引張部材43に固定されたので、骨格部材27、上端板部材37、被引張部材43及び牽引部材41によっていわゆるボックス構造をなして多方向における剛性を高めることができる。
【0046】
以上で本発明に係る転圧機械の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、牽引部材41として平板部材を用いたが、円柱状の部材でもよい。また、本実施形態では、骨格部材27、グリル部材35、上端板部材37、牽引部材41及び被引張部材43をそれぞれ溶接して固定するようにしたが、ボルトを螺合することで固定するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、牽引部材41は骨格部材27と平行して延びている、換言すると、機体上下方向に延びているとしたが、牽引部材41については、機体左右方向に延びるようにしてもよく、機体左右方向から視てエンジンカバー39の下端より下側であって傾斜部33より上側に収まるように位置すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 機体
3 前輪(転圧ローラ)
5 後輪(駆動輪)
10 駆動装置
21 前フレーム
23 後フレーム
27 骨格部材
33 傾斜部
37 上端板部材
39 エンジンカバー(カバー)
41 牽引部材
43 被引張部材
53 牽引開口部
55 牽引凹部(切り欠き部)
55a 下端
A 所定の位置