(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】決済装置、決済システム及び決済方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/42 20120101AFI20240314BHJP
G07F 7/02 20060101ALI20240314BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240314BHJP
G07F 9/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G06Q20/42
G07F7/02 Z
G07F9/00 P
G07F9/02 Z
(21)【出願番号】P 2020103475
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】593092482
【氏名又は名称】JR東日本メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】瓜本 忠司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 謙一
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/117021(WO,A1)
【文献】特開昭55-047563(JP,A)
【文献】特開2006-227416(JP,A)
【文献】特開2019-008374(JP,A)
【文献】特開2020-013324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07F 7/02
G07F 9/00
G07F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を送受信する通信部と、決済者の携帯端末を用いて撮像する識別画像を表示する表示部と、を有する決済装置であって、
撮像された前記識別画像に対応する決済情報の送信先である決済センタに対する、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求の送信を、前記通信部に指示する確認ボタンを有する
ことを特徴とする決済装置。
【請求項2】
前記識別画像の表示が開始されてからの経過時間を計測する計測部と、
計測された前記経過時間が所定の値を超えた場合に、前記識別画像の表示を終了する制御部と、
を更に有する請求項1に記載の決済装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記確認ボタンの操作を検出する機能を有し、
前記確認ボタンの操作を検出した場合に、計測された前記経過時間をリセットし、
前記表示部は、
前記経過時間に対応する時間情報を表示する機能を有し、
前記経過時間のリセットに応じて、表示される前記時間情報を更新する
請求項2に記載の決済装置。
【請求項4】
前記表示部は、
前記識別画像が表示される画面に前記確認ボタンを表示する機能と、当該画面に表示された当該確認ボタンに対する操作を検出する機能とを有し、
前記制御部は、
前記操作の検出を通じ、前記画面に表示された前記確認ボタンの操作を検出する
請求項2又は3に記載の決済装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記確認ボタンの操作の有無にかかわらず、所定のタイミングで前記確認要求を送信する
請求項1~4のいずれか1項に記載の決済装置。
【請求項6】
前記決済装置は、自動販売装置に設置される端末であり、
前記表示部は、前記自動販売装置の商品選択ボタンの押下げに応じて、前記識別画像の表示を開始する
請求項1~5のいずれか1項に記載の決済装置。
【請求項7】
決済者の携帯端末から決済情報を受信して決済に関する処理を実行する決済センタと、
情報を送受信する通信部と、前記携帯端末を用いて撮像する識別画像を表示する表示部と、当該識別画像に対応する前記決済情報の送信先である前記決済センタに対する、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求の送信を、当該通信部に指示する確認ボタンと、を有する決済装置と、
を有する決済システム。
【請求項8】
決済者による商品又はサービスの選択を受け付ける決済装置が、
決済者の携帯端末による撮像の対象として、決済者が選択した商品又はサービスに対応する識別画像を表示する工程と、
前記識別画像を撮像した前記携帯端末による決済情報の送信先である決済センタに対し、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求を送信する工程と、
を有する決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済装置、決済システム及び決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業者端末のディスプレイに表示された2次元コードを、ユーザが携帯端末を用いて撮影すると、撮像された2次元コードから読み取られた請求金額や購入者であるユーザを特定するID等が携帯端末から決済サーバに送信され、その後、決済サーバがユーザのクレジット情報を業者端末に送信することで決済が完了するシステム(以下「決済システム」という)がある。この種の決済システムは、MPM(=Merchant Presented Mode)方式と呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、業者端末が決済サーバからの決済の完了の通知を待って決済が完了する決済システムでは、通信不良等により通知の完了が遅れることで商品の提供が遅れ、ユーザの不満になる可能性がある。
【0005】
本発明は、MPM方式の決済システムにおいて、遅滞なく商品の提供を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、情報を送受信する通信部と、決済者の携帯端末を用いて撮像する識別画像を表示する表示部と、を有する決済装置であって、撮像された前記識別画像に対応する決済情報の送信先である決済センタに対する、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求の送信を、前記通信部に指示する確認ボタンを有することを特徴とする決済装置である。
請求項2に記載の発明は、前記識別画像の表示が開始されてからの経過時間を計測する計測部と、計測された前記経過時間が所定の値を超えた場合に、前記識別画像の表示を終了する制御部と、を更に有する請求項1に記載の決済装置である。
請求項3に記載の発明は、前記制御部は、前記確認ボタンの操作を検出する機能を有し、前記確認ボタンの操作を検出した場合に、計測された前記経過時間をリセットし、前記表示部は、前記経過時間に対応する時間情報を表示する機能を有し、前記経過時間のリセットに応じて、表示される前記時間情報を更新する請求項2に記載の決済装置である。
請求項4に記載の発明は、前記表示部は、前記識別画像が表示される画面に前記確認ボタンを表示する機能と、当該画面に表示された当該確認ボタンに対する操作を検出する機能とを有し、前記制御部は、前記操作の検出を通じ、前記画面に表示された前記確認ボタンの操作を検出する請求項2又は3に記載の決済装置である。
請求項5に記載の発明は、前記通信部は、前記確認ボタンの操作の有無にかかわらず、所定のタイミングで前記確認要求を送信する請求項1~4のいずれか1項に記載の決済装置である。
請求項6に記載の発明は、前記決済装置は、自動販売装置に設置される端末であり、前記表示部は、前記自動販売装置の商品選択スイッチの押下げに応じて、前記識別画像の表示を開始する請求項1~5のいずれか1項に記載の決済装置である。
請求項7に記載の発明は、決済者の携帯端末から決済情報を受信して決済に関する処理を実行する決済センタと、情報を送受信する通信部と、前記携帯端末を用いて撮像する識別画像を表示する表示部と、当該識別画像に対応する前記決済情報の送信先である前記決済センタに対する、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求の送信を、当該通信部に指示する確認ボタンと、を有する決済装置と、を有する決済システムである。
請求項8に記載の発明は、決済者による商品又はサービスの選択を受け付ける決済装置が、決済者の携帯端末による撮像の対象として、決済者が選択した商品又はサービスに対応する識別画像を表示する工程と、前記識別画像を撮像した前記携帯端末による決済情報の送信先である決済センタに対し、当該決済情報に関する決済の完了の確認を問い合わせる確認要求を送信する工程と、を有する決済方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、MPM方式の決済システムにおいて、遅滞なく商品の提供を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1で使用する決済システムの構成例を説明する図である。
【
図2】実施の形態1で使用する決済端末の外観構成の一例を説明する図である。
【
図3】決済端末の信号系の構成例を説明する図である。
【
図4】決済者による決定スイッチの操作が無い場合の通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図5】決済者による決定スイッチの操作が無い場合の他の通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図6】決済者による決定スイッチの操作がある場合の通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図7】照会や決済完了が通信エラー等により決済端末で受信されない場合を説明する通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図8】決済端末で実行される処理動作を説明するフローチャートの一例である。
【
図9】実施の形態1で使用する決済方法を選択する画面の一例を示す図である。(A)は決済方法のブランド名の選択画面の一例を示し、(B)はQRコードが表示されるまでの表示の例を示す。
【
図10】QRコードの表示から決定スイッチが操作されるまでの画像の表示例を説明する図である。(A)はQRコードの表示が開始された時点の画像を示し、(B)はQRコードの表示から1秒後の時点の画像を示す。
【
図11】QRコードの表示中に決定スイッチが操作された場合の画像の変化を説明する図である。(A)は決定スイッチが操作される直前の画像を示し、(B)は決定スイッチが操作された直後の画像を示す。
【
図12】QRコード決済の結果を表す画面の例を説明する図である。(A)は決済が成功した場合に表示される画面を示し、(B)は決済が失敗した場合に表示される画面を示す。
【
図13】実施の形態2で使用する決済端末の外観構成の一例を説明する図である。
【
図14】実施の形態2で使用する表示パネルに表示される画像の一例を説明する図である。
【
図15】カウント値のリセットの他の例を説明する図である。
【
図16】カウント値のリセットの他の例を説明する図である。
【
図18】決済端末で実行される他の処理動作を説明するフローチャートの一例である。
【
図19】実施の形態5における通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図20】実施の形態5における他の通信シーケンスの例を説明する図である。
【
図21】実施の形態6における処理動作の原理を説明する図である。
【
図22】決済センタの信号系の構成例を説明する図である。
【
図23】20秒付近と50秒付近に照会を集中的に配置したスケジュールに基づく通信シーケンスの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
<システムの構成>
図1は、実施の形態1で使用する決済システム1の構成例を説明する図である。
図1に示す決済システム1は、商品を販売する自動販売機10と、QRコードを介した決済を実行する決済センタ20とで構成されている。ここでの自動販売機10は、自動販売装置の一例である。
自動販売機10の前面には、開閉可能に取り付けられた扉(以下「前面扉」という)が設けられており、この前面扉には、販売の対象とする商品を選択するためのボタン(以下「商品選択スイッチ」ともいう)が設けられている。
【0010】
図1に示す自動販売機10は、容器に入った飲料水を販売する装置である。
もっとも、販売の対象とする商品は、飲料水に限定されず、例えば食品、タバコ、新聞や雑誌、切手やはがき、カプセルに入った玩具、ガソリンや軽油、衣類、化粧品、医薬品も含まれる。また、販売の対象とする商品にはサービスも含まれる。サービスには、例えば交通機関の利用料、施設の利用料、入場料、保険料、理容店のサービス料も含まれる。
【0011】
図1に示す自動販売機10は、貨幣による決済に加え、電子マネーやQRコード(登録商標)による決済も可能である。
図1に示す自動販売機10には、電子マネーによる決済やQRコードによる決済に使用する端末(以下「決済端末11という)が取り付けられている。決済端末11は、決済装置の一例である。
電子マネーによる決済とは、スマートフォンやカード型の情報端末と決済端末11との間で受け渡しされる金銭に関する情報により決済が実現される方式をいう。なお、金銭に関する情報の受け渡しには、NFC(=Near Field Communication)等の無線通信を使用する。
【0012】
QRコードを使用する決済の方式には、商品を販売する事業者側がQRコードを提示する方式(MPM方式)と、商品を購入するユーザ(以下「決済者」ともいう)がQRコードを提示する方式(CPM方式)とがある。
本実施の形態では、決済端末11にQRコードが表示されるMPM方式を想定する。ここでのQRコードは、決済に使用する識別画像の一例である。
【0013】
MPM方式では、決済端末11に表示されたQRコードの画像を、決済者のスマートフォン等で撮像し、QRコードを発行した決済センタ20との通信により、決済が実現される。なお、QRコードは、手続き回毎に発行されるワンタイムコードである。
このため、QRコードの撮像や撮像されたQRコードから取得される決済情報を決済センタ20に送信するスマートフォン等は、決済者の携帯端末の一例である。
【0014】
図1には、自動販売機10を1台のみ表しているが、現実には複数台の自動販売機10が決済センタ20に接続される。
また、
図1には、決済センタ20を1つのみ表しているが、現実には複数の決済センタ20が存在する。具体的には、自動販売機10が提携している決済サービスを提供する事業者の決済センタ20を想定する。もっとも、決済センタ20には、決済の処理を代行する事業者が運用するサーバや決済の処理を中継する事業者が運用するサーバその他のシステムも含まれる。
【0015】
<決済端末の構成>
図2は、実施の形態1で使用する決済端末11の外観構成の一例を説明する図である。決済端末11は、前面側本体11Aと後面側本体11Bとで構成される。前面側とは決済者が操作可能な面をいい、後面側とは自動販売機10(
図1参照)の前面扉に取り付けられる面をいう。
【0016】
後面側本体11Bは、前面扉を開いた場合にアクセスが可能になる。後面側本体11Bには、自動販売機10の保守や管理を担当するスタッフによる確認用のランプやスイッチが設けられている。従って、後面側本体11Bに設けられている各種のボタン類は、自動販売機10の保守や管理を担当するスタッフのみが操作可能である。
一方の前面側本体11Aは、決済者によるアクセスが可能である。
図2に示す前面側本体11Aには、情報の表示に用いられる表示パネル111と、決定スイッチ112と、選択スイッチ113L、113Rと、電子マネーリーダー114とが設けられている。
【0017】
本実施の形態の場合、表示パネル111には、液晶ディスプレイを使用する。もっとも、表示パネル111として、有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイを用いてもよい。表示パネル111は、表示部の一例である。
本実施の形態の場合、決定スイッチ112、選択スイッチ113L、113Rは、いずれも物理的なボタンとして表示パネル111とは別に用意されている。
【0018】
本実施の形態における決定スイッチ112は、例えば決済に利用する決済サービスのブランド名の選択の決定に使用される他、決済者によるQRコードの読み取りが可能な残り時間の延長や決済センタ20(
図1参照)に対する決済の完了の問い合わせにも使用される。この意味で、決定スイッチ112は、確認ボタンの一例である。ここでの残り時間は、QRコードの表示から経過した時間(以下「経過情報」という)に対応する時間情報の一例である。
【0019】
選択スイッチ113L及び113Rは、表示パネル111に表示される選択状態を示すカーソル等の位置の移動に使用される。選択スイッチ113Lは、選択状態を示すカーソル等の左方向への移動の指示に使用され、選択スイッチ113Rは、選択状態を示すカーソル等の右方向への移動の指示に使用される。
なお、決定スイッチ112と、選択スイッチ113L、113Rには、不図示のLED(=Light Emitting Diode)が埋め込まれている。操作が可能な場合や決済者の操作を誘導する場合、不図示のLEDが点灯する。
【0020】
電子マネーリーダー114は、電子マネーによる決済が決済者により選択された場合に、決済者の情報端末から金銭に関する情報を読み取るための装置である。情報端末がタッチされる部分には、リング型のLEDが埋め込まれている。不図示のLEDは、決済者に対して情報端末のタッチを誘導する目的で点灯される。
【0021】
図3は、決済端末11の信号系の構成例を説明する図である。
決済端末11は、端末全体の動作を制御する制御部110と、表示パネル111と、決定スイッチ112と、選択スイッチ113L、113Rと、電子マネーリーダー114と、記憶部115と、通信インタフェース116とで構成されている。
記憶部115は、例えば半導体メモリであり、ファームウェアやアプリケーションプログラムが記憶されている。
【0022】
通信インタフェース116は、決済センタ20(
図1参照)との通信等に使用される。本実施の形態における通信インタフェース116は、例えばLAN(=Local Area Network)通信、LTE(=Long Term Evolution)通信、第4世代移動通信方式(いわゆる4G)、第5世代移動通信方式(いわゆる5G)による通信に対応している。
本実施の形態の場合、通信インタフェース116は、決済センタ20との通信にHTTP(=Hypertext Transfer Protocol)プロトコルを使用する。通信インタフェース116は、通信部の一例である。
【0023】
制御部110は、CPU(=Central Processing Unit)を有し、記憶部115との連携によりコンピュータとして動作する。
図3では、制御部110がプログラムの実行を通じて実現する機能の一部として、取引受付部110Aと、QRコード提示部110Bと、経過時間計測部110Cと、決済制御部110Dとを表している。
なお、制御部110には、電子マネーによる決済を処理するための機能も備えているが、本実施の形態における説明では省略する。
【0024】
取引受付部110Aは、決済者による商品選択スイッチの操作、決済の方法を選択する操作を受け付ける。本実施の形態の場合、貨幣による決済、電子マネーによる決済(以下「電子マネー決済」ともいう)、QRコードによる決済(以下「QRコード決済」ともいう)の中から決済に用いる方法が選択される。
もっとも、貨幣による決済の選択は、貨幣投入口への硬貨や紙幣の投入により行われる。電子マネー決済とQRコード決済の選択は、表示パネル111に表示されたブランド名の選択により行われる。
【0025】
QRコード提示部110Bは、決済者が選択したブランド名に対応する決済センタ20から取得したQRコードを表示する。
なお、QRコードの取得に際し、QRコード提示部110Bは、セキュリティが確保された通信方式により、決済者が選択した商品の決済金額等を対応する決済センタ20に送信する。ここでの送信には、送信元である決済端末11(
図1参照)を特定する情報や処理を要求する日時の情報も含まれる。
【0026】
また、QRコード提示部110Bは、セキュリティが確保された通信方式により、発行されたQRコードを決済センタ20から取得する。このQRコードは、発行から一定時間が経過すると無効になる。
QRコードには、決済金額の他、商品の名称や商品の種別に関する情報、決済センタ20にアクセスするための情報等が含まれる。もっとも、これらの情報は例示であり、その全てが含まれる必要はなく、また他の情報が含まれることを妨げない。
【0027】
経過時間計測部110Cは、表示パネル111へのQRコードの表示から経過した時間(以下「経過時間」という)を計測する処理部である。本実施の形態の場合、経過時間は、初期値に対するカウントダウンとして計測される。なお、カウントダウンの実行中にリセットのイベントが発生した場合、経過時間計測部110Cは、カウント値を初期値に戻す処理を実行する。経過時間計測部110Cは、計測部の一例である。
【0028】
決済制御部110Dは、QRコードによる決済に関する処理の進捗を管理する処理部である。決済制御部110Dは、例えば経過時間を示すカウント値の表示、決定スイッチ112や選択スイッチ113L、113Rに対応するLEDの点灯状態の制御、決済者による決定スイッチ112の操作の検知、決定スイッチ112の操作に伴うカウント値のリセット、予めスケジュールされたタイミングでの決済センタ20への決済の完了の問い合わせ、決定スイッチ112の操作に伴う決済センタ20への決済の完了の問い合わせを実行する。ここでの決済制御部110Dは制御部の一例である。
【0029】
カウントダウン方式で表示されるカウント値は、決済者による決済が可能な残り時間を表す。本実施の形態の場合、カウント値の初期値を60秒とする。
決定スイッチ112の操作が検知された場合、決済制御部110Dは、カウント値を初期値である60秒にリセットする。このことは、決済者による操作が可能な時間が実質的に延長されることを意味する。
【0030】
ところで、決済者は、QRコード決済に慣れている場合だけでなく、QRコード決済に不慣れな場合もある。
後者の場合、60秒以内に決済が完了しない可能性がある。60秒以内に決済が完了しない場合(換言すると、カウント値が0になると)、決済制御部110Dは、表示パネル111におけるQRコードの表示を終了する。ここでのカウント値の「0」は、所定の値の一例である。また、カウント値が0になることは、経過時間が所定の値を超えることを意味する。
【0031】
QRコードが表示パネル111から消えた場合、決済者は、商品の選択や決済の方法の選択から操作をやり直さなければならず、購入への意欲を無くす可能性がある。換言すると、自動販売機10を設置した事業者は、商品を販売する機会を失う可能性がある。
そこで、本実施の形態では、決定スイッチ112が操作された場合、決済制御部110Dは、経過時間計測部110Cが計測するカウント値を初期値にリセットして、QRコード決済に不慣れな決済者のために作業時間の延長を可能とする。
【0032】
商品の取り出しは、決済制御部110Dが、決済の完了を決済センタ20から受信することで可能になる。
決済の完了を確認する方法には、決済者との間で決済の完了を確認した決済センタ20が決済端末11に通知する方法と、決済端末11が決済センタ20に決済の完了を問い合わせる方法とがある。
本実施の形態では、決済制御部110Dが、決済センタ20に対する決済の完了の問い合わせを制御する。本実施の形態における決済制御部110Dは、予め定めたスケジュールに基づいて自動的に決済の完了の問い合わせを行う。
【0033】
問い合わせに対する応答により、決済の完了が確認されると、決済制御部110Dは、商品の取り出しを許可する。
このため、決済者が決済センタ20との間で決済を完了した時点から、決済制御部110Dが決済の完了を確認するまでの時間が長い場合、商品を取り出せない状態が長くなり、そのことが決済者の不満につながる可能性がある。
この問題を解決する方法の一つは、決済の完了の問い合わせの間隔を短くすることである。換言すると、問い合わせの回数を増やすことである。
ところが、決済が完了していない間は、決済の完了の問い合わせの回数だけが増えることになり、決済センタ20に支払う利用料金が増加する。すなわち、自動販売機10側の運用コストが増加する。
【0034】
そこで、本実施の形態における決済制御部110Dには、決定スイッチ112が操作されると、決済センタ20に対して決済の完了を問い合わせる機能を用意する。
決済の完了の問い合わせを決済者の操作により実行できることで、決済制御部110Dは、予め定められた次回の問い合わせのタイミングを待つことなく、決済の完了を確認することができる。すなわち、決済者は、決済の実行から遅滞なく、商品を取り出すことが可能になる。決済の完了から商品の取り出しまでの待ち時間が短くなることで、決済者の満足度を高めることが可能になる。
【0035】
また、決済者による決済の実行に伴う決済の完了の問い合わせを実行しても、問い合わせ回数の増加は限定される。決済者の操作に基づいて決済の完了の問い合わせが実行されたとしても、予定されていた問い合わせが前倒しで実行されるのと実質的に同じであるためである。
もっとも、本実施の形態の場合、カウント値のリセットのタイミングでも決済の完了の問い合わせが実行されることになるので、その限りで、問い合わせの回数が増加する。
【0036】
以下、
図4~
図7を使用して、決済端末11と決済センタ20との間で実行される通信シーケンスについて説明する。
図4は、決済者による決定スイッチ112の操作が無い場合の通信シーケンスの例を説明する図である。
通信シーケンスは、決済端末11におけるQRコード決済の選択が終わった時点から開始される。まず、決済端末11は、決済センタ20に対してQRコードの取得を要求する。
【0037】
要求を受信した決済センタ20は、QRコードを発行し、決済端末11にQRコードの情報を送信する。
QRコードの情報を受信した決済端末11は、QRコードを表示する。このQRコードの表示から経過時間の計測が開始される。
図4の場合、決済端末11は、初回の問い合わせは計測開始から10秒後であり、以後、5秒毎に決済センタ20に決済の完了の問い合わせが実行される。
図4では、ここでの問い合わせを「照会」と表している。
決済者による決済の操作(以下「決済操作」という)が行われていない場合、決済センタ20は、照会に対して「未決済」を返信する。
一方、決済者による決済の操作(以下「決済操作」という)が行われていた場合、決済センタ20は、照会に対して「決済完了」を返信する。
【0038】
図5は、決済者による決定スイッチ112の操作が無い場合の他の通信シーケンスの例を説明する図である。
図5には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図5に示す例は、決済センタ20から決済端末11に対して未決済の応答があった直後に決済者による決済操作があった場合である。このため、決済端末11が決済の完了を知ることになるのは、次回の問い合わせのタイミングである。このため、スマートフォンでQRコードを撮像した決済者が決済センタ20との間で決済を実行してから商品を取り出すまでの間に概略5秒ほどの待ち時間を要することになる。しかも、待ち時間は更に長い場合も生じ得る。この待ち時間は、決済者が望まない時間であり、不満の原因になりかねない。
【0039】
図6は、決済者による決定スイッチ112(
図2参照)の操作がある場合の通信シーケンスの例を説明する図である。
図6には、
図5との対応部分に対応する符号を付して示している。
図6の場合、決済者は、決済操作の後、遅滞なく決定スイッチ112を操作している。このため、決済端末11は、予め定めたタイミングとは無関係に照会を実行し、決済完了の通知を受信する。このため、決済者は、決済操作から遅滞なく商品を取り出すことができる。
【0040】
ところで、決済操作が終わっているのに商品を取り出せない場合がある。
図7は、照会や決済完了が通信エラー等により決済端末11で受信されない場合を説明する通信シーケンスの例を説明する図である。
図7には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図7の場合、決済端末11から決済センタ20への照会の送信、又は、決済センタ20から決済端末11への決済完了の送信が、通信エラーなどにより不達の場合を表している。いずれの場合も、決済端末11は、決済完了を確認できないので、商品を取り出すことができない。
【0041】
この場合でも、予め定めたスケジュールに基づいて5秒後には、決済端末11が決済センタ20に決済の完了を照会するので、そのタイミングで商品の取り出しが可能になる。ただし、既に5秒ほど待機していた場合には、決済操作から商品の取り出しまでに計10秒ほどの時間が必要になる。勿論、決済の完了を照会する周期が5秒より長い場合には、その待ち時間は更に長くなる。
しかし、本実施の形態の場合には、決定スイッチ112(
図2参照)の操作のタイミングで決済端末11が決済センタ20に決済の完了を照会するので、一時的な通信エラーが解消されていれば、即座に商品の取り出しが可能になる。また、決定スイッチ112の操作によりQRコード決済が可能な時間も延長されるので、時間切れも回避できる。
【0042】
なお、
図7では、決済操作が行われる前に決定スイッチ112が操作された場合の通信についても表している。
この場合、決済は完了していないので、決済センタ20から決済端末11には未決済が送信される。
因みに、決定スイッチ112の操作に伴う照会の実行後も、予め定めたスケジュールに基づく照会が実行される。
【0043】
<決済端末で実行される処理動作>
以下では、
図8~
図12を使用して、決済端末11で実行される処理動作と表示パネル111に表示される画面の例を説明する。
図8は、決済端末11で実行される処理動作を説明するフローチャートの一例である。図中に示す記号のSはステップを意味する。なお、
図8における処理動作は、決済端末11(
図3参照)の制御部110(
図3参照)で実行される。
【0044】
まず、制御部110は、決済センタ20よりQRコードを取得する(ステップ1)。
なお、この処理動作は、決済者によるQRコード決済の選択を通じて実行される。
図9は、実施の形態1で使用する決済方法を選択する画面の一例を示す図である。(A)は決済方法のブランド名の選択画面の一例を示し、(B)はQRコードが表示されるまでの表示の例を示す。
図9に示す表示パネル111には、決済に利用するブランドの選択を促す説明文111Aと、決済端末11で利用が可能な電子マネー決済とQRコード決済のブランド名111Bと、決済金額111Cとが表示されている。
【0045】
図9の場合、電子マネー決済については、「電子マネー決済1」と「電子マネー決済2」の2つのブランドの選択が可能である。
一方、QRコード決済については、「QRコード決済1」、「QRコード決済2」、「QRコード決済3」の3つのブランドの選択が可能である。
図9では、「QRコード決済2」が選択状態である。
図9では選択状態を太枠で示している。なお、選択状態を示す太枠の位置は、選択スイッチ113L又は113Rを操作することで左右に移動する。なお、本実施の形態の場合、「QRコード決済3」が選択状態の場合に選択スイッチ113Rが操作されると、選択状態は、「電子マネー決済1」に移動する。一方、「QRコード決済1」が選択状態の場合に選択スイッチ113Lが操作されると、選択状態は、「電子マネー決済2」に移動する。
【0046】
「QRコード決済2」が選択状態で決定スイッチ112が操作されると、制御部110(
図3参照)は、対応する決済センタ20に対してQRコードの発行を要求する。
決定スイッチ112が押下げられると(又は操作されると)、表示パネル111の表示は、QRコードが取得されるまでの間、処理中を示す画面に切り替わる。
図8の説明に戻る。
QRコードを取得すると、制御部110は、QRコードの表示を開始する(ステップ2)。
【0047】
図10は、QRコードの表示から決定スイッチ112(
図2参照)が操作されるまでの画像の表示例を説明する図である。(A)はQRコードの表示が開始された時点の画像を示し、(B)はQRコードの表示から1秒後の時点の画像を示す。
図10に示すように、表示パネル111の中央には、決済センタ20から取得したQRコード111Fが表示される。
この他、表示パネル111には、決済金額111Cと、QRコードの読み取りを促す説明文111Gと、決済に利用するブランド名の情報111Hと、カウント値111Jとが表示される。
【0048】
本実施の形態の場合、カウント値111Jの初期値は「60」である。このため、1秒後の画面では、カウント値111Jが「59」に更新されている。
なお、本実施の形態の場合、QRコードの表示中は、決定スイッチ112の操作が可能である。このため、決定スイッチ112に対応する不図示のLEDは点灯状態であり、選択スイッチ113L、113Rに対応する不図示のLEDは消灯状態である。
【0049】
図8の説明に戻る。
次に、制御部110は、決定スイッチ112の操作があったか否かを判定する(ステップ3)。
ステップ3で否定結果が得られた場合、制御部110は、予め定めた照会のタイミングか否かを判定する(ステップ4)。本実施の形態の場合、予め定めた照会のタイミングは、QRコードの表示の開始から10秒後を初回とし、以後60秒が経過するまでの間、5秒間隔で与えられる。
【0050】
ステップ4で否定結果が得られた場合、制御部110は、QRコードの表示を終了する時間が経過したか否かを判定する(ステップ5)。本実施の形態の場合、カウント値111J(
図10参照)が「0」か否かが判定される。
ステップ5で否定結果が得られた場合、制御部110は、ステップ3に戻り、前述した判定を繰り返す。
なお、ステップ4で肯定結果が得られた場合、制御部110は、決済センタ20に決済の完了を照会する(ステップ6)。この後、制御部110は、ステップ9の判定に進む。
【0051】
一方、ステップ3で肯定結果が得られた場合、制御部110は、表示中のカウント値111Jをリセットする(ステップ7)と共に、決済センタ20に決済の完了を照会する(ステップ8)。この後、制御部110は、ステップ9の判定に進む。
図11は、QRコードの表示中に決定スイッチ112(
図2参照)が操作された場合の画像の変化を説明する図である。(A)は決定スイッチ112が操作される直前の画像を示し、(B)は決定スイッチ112が操作された直後の画像を示す。
図11には、
図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0052】
図11の場合、決定スイッチ112が操作される直前のカウント値111Jは「30」であるが、決定スイッチ112が操作された結果、カウント値111Jは初期値の「60」に戻っている。これにより、QRコード決済に不慣れな決済者は、時間的にも心理的にも余裕を持つことが可能になる。
【0053】
図8の説明に戻る。
ステップ6又はステップ8が実行されると、制御部110は、決済センタ20から決済完了の通知があったか否かを判定する(ステップ9)。
ステップ9で肯定結果が得られた場合、制御部110は、表示パネル111にQRコード決済の成功を表示する(ステップ10)。
一方、ステップ9で否定結果が得られた場合、制御部110は、決済失敗の通知か否かを判定する(ステップ11)。
【0054】
なお、ステップ9で否定結果が得られる場合には、照会に対する応答が届かない場合、未決済の応答がある場合、決済失敗の通知が届く場合がある。
照会に対する応答が届かない場合には、通信エラーや決済センタ20に障害が発生している場合に起こり得る。また、通信エラーの場合には、決済端末11から決済センタ20に照会自体が届かない場合と、決済センタ20からの応答が決済端末11に届かない場合がある。
決済失敗には、限度額オーバー、QRコードの期限切れ、取引失敗、異常終了等がある。
【0055】
ステップ11で否定結果が得られた場合、すなわち決済失敗の照会に対する応答が届かない場合や未決済の応答がある場合、制御部110は、ステップ11で否定結果を得てステップ5に進む。
前述したように、ステップ5で否定結果が得られている間、制御部110は、ステップ3に戻って処理を継続する。
【0056】
ステップ11で肯定結果が得られた場合、又は、ステップ5で肯定結果が得られた場合、制御部110は、表示パネル111にQRコード決済の失敗を表示する(ステップ12)。
図12は、QRコード決済の結果を表す画面の例を説明する図である。(A)は決済が成功した場合に表示される画面を示し、(B)は決済が失敗した場合に表示される画面を示す。
【0057】
図12(A)の場合、決済が成功したことを表す「ありがとうございました」との文111Kと、決済に利用したブランド名の情報111Hと、決済金額の情報111Lとが表示されている。
一方、
図12(B)の場合、決済が失敗したことを表す「お取り扱いできません」との文111Mと、決済に利用したブランド名の情報111Hと、決済金額の情報111Lとが表示されている。
なお、決定スイッチ112に対応する不図示のLEDも、選択スイッチ113L、113Rに対応する不図示のLEDも消灯状態である。
【0058】
<実施の形態2>
図13は、実施の形態2で使用する決済端末11の外観構成の一例を説明する図である。
図13には、
図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13に示す決済端末11には、決定スイッチ112、選択スイッチ113L、113Rが設けられていない。この点で、
図13に示す決済端末11は、
図2に示す決済端末11と相違する。
【0059】
ただし、決定スイッチ112が設けられていないと、実施の形態1で説明したカウント値のリセットも、決済者が指定する任意のタイミングでの決済の完了の照会も行うことができない。
このため、本実施の形態では、決定スイッチ112、選択スイッチ113L、113Rを、ソフトキーとして表示パネル111に表示する。
【0060】
図14は、実施の形態2で使用する表示パネル111に表示される画像の一例を説明する図である。
図14には、
図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14の場合、表示パネル111の下段に、決定スイッチ111P、選択スイッチ111Q、111Rが表示される点で、
図10に示す画像と相違する。
決定スイッチ111Pは決定スイッチ112(
図10参照)に対応し、選択スイッチ111Qは選択スイッチ113L(
図10参照)に対応し、選択スイッチ111Rは選択スイッチ113R(
図10参照)に対応する。
【0061】
なお、ソフトキーとしての決定スイッチ111P、選択スイッチ111Q、111Rは、
図9に例示したQRコード決済の選択に用いる画面でも表示される。
また、操作が可能である状態の決定スイッチ111P、選択スイッチ111Q、111Rと、操作を行えない状態の決定スイッチ111P、選択スイッチ111Q、111Rでは、異なる表示の形態が用いられる。例えば操作が可能な場合は、高輝度で表示され、操作を行えない場合には、低輝度で表示される。また例えば操作が可能な場合は緑色で表示され、操作を行えない場合は赤色で表示される。
ここでの決定スイッチ111Pは、確認ボタンの一例である。
【0062】
<実施の形態3>
前述の実施の形態1の場合には、決定スイッチ112(
図2参照)が操作された場合、表示パネル111に表示されるカウント値が、リセットにより初期値に戻る場合について説明したが、カウント値のリセットは初期値に戻る場合に限らない。
図15は、カウント値のリセットの他の例を説明する図である。
図15には、
図10及び
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0063】
図15の場合、時点T1がQRコード111Fの表示が開始された時点に対応する。このため、カウント値111Jは「60」である。なお、時点T1から15秒後の時点T2のカウント値111Jは「45」に更新される。
本実施の形態の場合、決定スイッチ112が押下げられると(又は操作されると)、カウント値111Jが直前の初期値又は最大値に対して「30」が加算される。なお、加算する値は一例である。
このため、時点T3におけるカウント値111Jは「90」に変更されている。
図15の場合には、続けて決定スイッチ112が押下げられたので、時点T4のカウント値111Jは「120」に変更されている。
【0064】
なお、決定スイッチ112の操作なく80秒が経過した時点T5のカウント値111Jは「40」である。
もっとも、カウント値111Jのリセットの方法は、これに限らない。
例えば更新後のカウント値111Jに上限を設けても良い。例えば上限を「120」とする場合、決定スイッチ112を何回押下げてもカウント値111Jは「120」を超えることはない。
また、更新後のカウント値111Jは、QRコード111Fが有効な期間を超えないように調整されてもよい。有効な期間を超えてQRコード111Fが表示されても、QRコード決済は失敗するためである。
【0065】
もっとも、カウント値111Jは、QRコード111Fが表示される期間を表しているものの、QRコード決済が可能な期間とは無関係でもよい。例えばQRコードが無効になった後も、QRコード111Fの表示を可能とすることは技術的には可能である。
従って、カウント値111Jは、決定スイッチ112が操作されると、何らの制限なくリセットを繰り返してもよい。
【0066】
<実施の形態4>
前述の実施の形態1の場合には、カウント値が測定された経過の時間に応じてカウントダウンされる場合について説明したが、カウント値がカウントアップされてもよい。
図16は、カウント値のリセットの他の例を説明する図である。
図16には、
図10及び
図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
図16の場合、時点T1がQRコード111Fの表示が開始された時点に対応するが、カウント値は「0」である。このため、時点T1から45秒後の時点T2のカウント値111Jは「45」となる。
【0067】
なお、カウント値が経過の時間に応じてカウントアップされる場合、制御部110は、カウント値が予め定めた所定の値を超えるか否かを監視する。また、カウント値が所定の値を超えた場合、制御部110は、QRコード111Fの表示を終了する。
図16には、この所定の値が表示されていないが、QRコード111Fの表示が終了する値を、カウント値111Jとは別に表示パネル111に表示してもよい。
図16の場合、時点T2において決定スイッチ112が操作されると、カウント値は初期値である「0」に戻る。このため時点T3のカウント値は「0」になっている。
【0068】
ところで、カウント値をリセットするのではなく、カウント値の上限をより大きい値に更新することも可能である。この更新もリセットの一例である。
図17は、リセットの他の例を説明する図である。
図17には、
図16との対応部分に対応する符号を付して示している。
図17における時点T1と時点T2は、
図16と同じである。
図17の場合、時点T2から5秒後の時点T3に決定スイッチ112が操作されている。この場合、カウント値111Jのカウントアップは継続され、「50」となる。ただし、カウント値の上限が「90」に延長される。
【0069】
図17の場合、時点T3の10秒後に決定スイッチ112が操作されている。このため、時点T4におけるカウント値111Jは「60」である。ただし、カウント値の上限は、既に「60」から「90」に変更されているので、カウント値111Jが「60」になっても、QRコード111Fの表示は終了しない。
なお、
図17ではカウント値111Jの上限を「90」のままとしている。前述したように、無制限に延長してもQRコード111Fが有効な期間を超えてしまうためである。もっとも、決定スイッチ112の操作の度に、カウント値111Jの上限を更に延長することも可能である。例えば上限の値を「120」に延長することも可能である。
【0070】
<実施の形態5>
本実施の形態では、前述した実施の形態とは異なり、予め定めたスケジュールに基づいた決済の完了の照会を決済端末11が実行しない場合について説明する。すなわち、本実施の形態における決済端末11は、基本的に、決済センタ20からの決済の結果の通知を待ち受けるものとする。
図18は、決済端末11(
図1参照)で実行される他の処理動作を説明するフローチャートの一例である。
図18には、
図8との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0071】
本実施の形態の場合、ステップ3で否定結果が得られた場合、制御部110(
図3参照)は、ステップ9に移動し、決済完了の通知があったか否かを判定する。
本実施の形態の場合、決済端末11から決済センタ20(
図1参照)に決済の完了を照会するのは、決定スイッチ112(
図2参照)が操作された場合に限られ、それ以外は、決済センタ20からの決済の結果の通知を待ち受けているためである。
このため、ほとんどの場合、制御部110は、ステップ9で否定結果を得、ステップ11に進み、更にステップ11でも否定結果を得てステップ5に進む。また、制御部110は、ステップ5でも否定結果を得てステップ3に戻る。本実施の形態の場合、このルーチンが基本的に繰り返される。
【0072】
なお、ステップ3で肯定結果が得られた場合、制御部110は、ステップ7及び8の実行後にステップ9で決済完了の通知があったか否かを判定する。
ステップ9で肯定結果が得られた場合、制御部110は、ステップ10に進んでQR決済の成功を表示する。一方、ステップ9で否定結果が得られた場合には、ステップ11の判定に進み、決済失敗の通知が届いている場合以外は、ステップ5の判定に進む。
もっとも、決済失敗の通知が届いている場合、制御部110は、ステップ11で肯定結果を得、QR決済の失敗を表示する(ステップ12)。
【0073】
図19は、実施の形態5における通信シーケンスの例を説明する図である。なお、
図19には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図19の場合も、通信シーケンスは、決済端末11におけるQRコード決済の選択が終わった時点から開始される。まず、決済端末11は、決済センタ20に対してQRコードの取得を要求し、決済センタ20から決済端末11にはQRコードの情報が送信される。
その後、決済端末11は、表示パネル111(
図3参照)にQRコードを表示する。
【0074】
本実施の形態の場合、決定スイッチ112の操作があったタイミングでのみ決済端末11から決済センタ20に決済の完了の照会が実行され、その結果が決済センタ20から返送される。
図19の場合には、決済者による決済操作の前に決定スイッチ112(
図2参照)が操作されているので、決済センタ20から決済端末11に「未決済」が通知される。
未決済の通知を受けた場合、制御部110は、ステップ9及びステップ11(
図18参照)で否定結果を得るだけである。ただし、カウント値はリセットされる。
やがて、決済者が決済操作を行うと、決済の結果が決済センタ20から決済端末11に通知される。
図19に示すように、決済の結果は、決済の完了か決済の失敗のいずれかである。
【0075】
本実施の形態の場合でも、決済の結果の通信時に通信エラー等が発生していると、決済の結果が決済端末11に到達しない可能性がある。
仮に決済端末11から決済センタ20に対して決済の完了を照会する機能が存在しないと、決済端末11には、いつまで経っても決済の結果が通知されない。この場合、決済端末11は、時間切れと判定し、決済の失敗を表示パネル111に表示する。
しかし、本実施の形態では、決済者が決定スイッチ112を操作することで、決済端末11から決済センタ20に決済の完了を照会することが可能である。
【0076】
図20は、実施の形態5における他の通信シーケンスの例を説明する図である。なお、
図20には、
図19との対応部分に対応する符号を付して示している。
図20の場合、決済者の決済操作に伴って、決済端末11を宛先とする決済の結果が決済センタ20から送信されているが、通信エラー等により不達となっている。このため、決済端末11は、決済センタ20で決済が実行されたことを知ることができない。
【0077】
ただし、本実施の形態の場合には、決済が完了したことを知る決済者が決定スイッチ112(
図2参照)を操作することで、決済センタ20から決済の結果を受け取ることが可能になる。このため、本実施の形態の決済端末11を操作する決済者は、QRコード決済を最初からやり直すことなく、商品を取り出すことができる。
なお、決定スイッチ112の操作に伴うリセットの処理については、実施の形態2~4との組合わが可能である。
【0078】
<実施の形態6>
実施の形態1~4においては、決済端末11が予め定めたスケジュールに基づいて、決済センタ20に対し、決済の完了の照会を行っている。決済者が決済センタ20と行った決済の結果の取得に要する待ち時間を減らすには照会の回数の増加が効果的であるが、照会の回数の単純な増加は自動販売機10の運用コストの増加を招く。
そこで、本実施の形態では、QRコードの表示から決済の完了が確認されるまでの経過時間を集計し、集計結果を分析することにより、決済が完了する可能性が高い時間に照会の実行を集中させる。換言すると、決済が完了する可能性が高い時間に配置する照会の頻度を高くする。
【0079】
図21は、実施の形態6における処理動作の原理を説明する図である。
図21に示す決済センタ20は、複数台の決済端末11から、QRコードの表示の開始から決済の完了(すなわち成功)を確認するまでに要した時間の情報を、取引毎に収集している。例えば「決済端末1」からは30秒、「決済端末2」からは10秒、「決済端末N」からは50秒との情報が決済センタ20にアップロードされている。なお、このアップロードは、複数回の取引をまとめて実行してもよい。その場合、アップロードのタイミングは、例えば1日に1回でもよいし、複数回でもよい。
【0080】
決済センタ20は、収集された情報に基づいて、管理の対象である複数台の決済端末11において決済が完了する可能性が高い時間や時間帯を特定する。時間や時間帯が特定されると、決済センタ20は、特定された時間や時間帯に照会を密に配置したスケジュールを生成し、管理の対象である複数台の決済端末11に通知する。この通知を受けた決済端末11は、以後、通知されたスケジュールに基づいて決済センタ20への照会を実行する。
【0081】
なお、スケジュールは、管理の対象とする決済端末11の全体ではなく、予め定めた地域に設置されている複数台の決済端末11を単位としてもよいし、1台を単位としてもよい。
また、スケジュールは、全日を通して同じである必要はなく、例えば1日のうちの時間帯別に設定してもよいし、曜日別に設定してもよいし、1週間を単位として設定してもよいし、季節別に設定してもよい。
【0082】
図21には、スケジュールの例を6つ表している。
例1は、QRコードの表示の開始から20秒付近と50秒付近に照会のスケジュールを密に配置する場合である。密に配置するとは、他の時間帯に比して照会の回数が多いこと、換言すると、隣接する2つの照会の間の時間が他の時間帯に比して短いことをいう。本実施の形態の場合、例えば20秒と50秒をそれぞれ中心とする8秒以内に3回の照会を配置する。一方、10秒、30秒、40秒については、それぞれを中心とする8秒以内に1回の照会を配置する。勿論、これは一例である。
【0083】
例2は、地域毎に照会のスケジュールを変更する場合である。例えば人通りが多い地域や人通りが少ない地域では、異なるスケジュールを用意する。例えば繁華街用のスケジュール、ビジネス街用のスケジュール、住宅街用のスケジュールを用意する。
例3は、時間帯に応じて照会のスケジュールを変更する場合である。例えば通勤や通学の時間帯、昼休みの時間帯は、QRコードの表示の開始から10秒~15秒の間に照会を密に配置し、帰宅の時間帯や夜間の時間帯は、QRコードの表示の開始から20秒~30秒の間に照会を密に配置する。
【0084】
例4は、季節に応じて照会のスケジュールを変更する場合である。例えば12月から2月用のスケジュール、3月から5月用のスケジュール、6月から8月用のスケジュール、9月から11月用のスケジュールを個別に用意する。もっとも、各季節を3ヶ月刻みで管理する必要はない。また、月頭から季節を分ける必要もない。
【0085】
例5は、イベントの開催に応じて照会のスケジュールを変更する場合である。イベントには、スポーツ、展示会、講演会、祭り、コンサート等がある。例えばイベントが開催される時間帯の前後で用いるスケジュールと他の時間帯で用いるスケジュールを別に用意する。また例えばイベントの内容に応じてスケジュールを変更してもよい。また例えばイベントについて想定される参加者の男女比や年齢の分布に応じてスケジュールを変更してもよい。
例6は、天気予報や実際の天候や気温に応じて照会のスケジュールを変更する場合である。例えば晴れの場合と雨の場合で異なるスケジュールを用意する。
【0086】
図22は、決済センタ20の信号系の構成例を説明する図である。
決済センタ20は、装置全体の動作を制御する制御部200と、表示パネル201と、操作入力部202と、記憶部203と、通信インタフェース204とで構成されている。本実施の形態における決済センタ20は、クラウド型のサーバである。もっとも、決済センタ20は、サーバとして機能すれば、デスクトップ型のコンピュータやノート型のコンピュータでも構わない。
【0087】
このうち、表示パネル201と操作入力部202は、決済センタ20側の作業者の操作用である。表示パネル201には、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを使用する。
記憶部203は、例えばハードディスク装置や半導体メモリであり、オペレーションシステムやアプリケーションプログラムが記憶されている。スケジュールの配置の設定はアプリケーションプログラムが実行する。
通信インタフェース204は、決済端末11(
図21参照)との通信に用いるプロトコルに準拠している。
【0088】
制御部200は、CPUを有し、記憶部203との連携によりコンピュータとして動作する。
図22では、制御部200がプログラムの実行を通じて実現する機能の一部として、決済時間取得部200Aと、統計処理部200Bと、照会スケジュール設定部200Cとを表している。
このうち、決済時間取得部200Aは、決済端末11が取引毎にQRコードの表示を開始してから決済を完了するまでに要した時間を、決済端末11から取得する処理部である。
【0089】
統計処理部200Bは、決済端末11から取得された時間を集計し、集計の結果を分析する処理部である。本実施の形態における統計処理部200Bは、取得された時間のうち出現の頻度が高い時間又は時間帯を特定する。なお、出現の頻度が高い時間は、予め定めた期間、時間、地域その他の情報で特定される情報の集合を対象として、又は、複数の情報の組み合わせで特定される情報の集合を対象として特定される。
照会スケジュール設定部200Cは、特定された出現の頻度が高い時間の付近に照会を密に配置したスケジュールを設定し、対象とする決済端末11に送信する処理部である。
【0090】
図23は、20秒付近と50秒付近に照会を集中的に配置したスケジュールに基づく通信シーケンスの例を説明する図である。
図23には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図23の場合も、通信シーケンスは、決済端末11におけるQRコード決済の選択が終わった時点から開始される。まず、決済端末11は、決済センタ20に対してQRコードの取得を要求する。
【0091】
要求を受信した決済センタ20は、QRコードを発行し、決済端末11にQRコードの情報を送信する。
QRコードの情報を受信した決済端末11は、QRコードを表示する。このQRコードの表示から経過時間の計測が開始される。
図23の場合、決済端末11は、初回は計測開始から10秒後、17秒後、20秒後、23秒後、30秒後、40秒後、47秒後、50秒後、53秒後、60秒後に、決済センタ20に対する決済の完了を問い合わせる。
図23の場合も、この問い合わせを「照会」と表している。
【0092】
図23の場合、統計的に決済が完了する可能性が高い20秒付近と50秒付近では、20秒と50秒を中心とする8秒の間に3回の照会が配置されている。このため、多くの決済者については、決済センタ20との間で決済が完了すると遅滞なく商品を取り出すことが可能になる。
また、自動販売機10(
図21参照)を運用する事業者においても、決済が完了する可能性が高い時間に照会を集中できるので、運用コストの抑制と顧客満足の向上とを両立できる。
【0093】
なお、本実施の形態では、決済センタ20の制御部200(
図22参照)がアプリケーションプログラムの実行を通じて照会スケジュールを設定しているが、決済センタ20の作業者が照会スケジュールを手作業で設定してもよい。また、制御部200が設定した照会スケジュールを、作業者が個別に調整してもよい。
また、本実施の形態では、決済センタ20から決済端末11に対して、設定された照会スケジュールが送信されているが、照会スケジュールを設定する処理を、決済端末11が個別に実行してもよい。換言すると、決済端末11は、自端末に記憶されている取引の履歴に基づいて、自端末に適用する照会スケジュールを設定してもよい。
【0094】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0095】
(1)例えば前述の実施の形態では、QRコードを決済端末11(
図1参照)に表示する場合について説明したが、QRコードに代えてバーコードを表示してもよい。ここでのバーコードは、決済に使用する識別画像の一例である。
(2)前述の実施の形態においては、決定スイッチ112(
図2参照)の操作の回数に制限を設けていないが、1回の取引において決定スイッチ112の操作が可能な回数に制限を設けてもよい。
【0096】
(3)前述の実施の形態においては、QRコードの表示が開始されてからの経過の時間に応じて表示されるカウント値のリセットと、決済センタ20(
図1参照)への決済の完了の照会とを決定スイッチ112の1回の操作で実現しているが、各処理に対して異なるスイッチの操作を割り当ててもよい。
例えば選択スイッチ113L又は113Rを操作するとカウント値のリセットを実行し、決定スイッチ112を操作すると決済センタ20に決済の完了の照会を実行してもよい。
また、決定スイッチ112を1回クリックした場合にはカウント値をリセットし、2回クリックした場合には決済センタ20に決済の完了の照会を行ってもよい。
【0097】
(4)前述の実施の形態においては、QRコードの表示が開始されてからの経過の時間に応じて表示されるカウント値のリセットと、決済センタ20(
図1参照)への決済の完了の照会との指示に決定スイッチ112だけを割り当てているが、決定スイッチ112、選択スイッチ113L、113Rのいずれを操作しても、各処理が実行されるように定めてもよい。
【0098】
(5)前述の実施の形態においては、決済に利用するブランド名の選択が決定されることで、選択されたブランド名に対応する決済センタ20からQRコードが取得されて表示パネル111に表示される場合について説明したが、決済に利用するブランド名の選択が商品の選択の前に行われても、この場合には、商品選択スイッチの押下げをトリガーとしてQRコードの取得が要求される。
【符号の説明】
【0099】
1…決済システム、10…自動販売機、11…決済端末、20…決済センタ、110、200…制御部、111、201…表示パネル、112…決定スイッチ、113L、113R…選択スイッチ、114…電子マネーリーダー、115、203…記憶部、116、204…通信インタフェース、110A…取引受付部、110B…QRコード提示部、110C…経過時間計測部、110D…決済制御部、200A…決済時間取得部、200B…統計処理部、200C…照会スケジュール設定部、202…操作入力部