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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240314BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20240314BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D29/00 Z
F25D23/02 306L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020120418
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017713
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 萌
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-127615(JP,A)
【文献】特開2014-006032(JP,A)
【文献】特開2016-080332(JP,A)
【文献】特開2019-074216(JP,A)
【文献】特開2019-132579(JP,A)
【文献】特開2020-067189(JP,A)
【文献】特開2021-196077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 29/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、
前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、
前記扉に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、
前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、
前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサと、
前記冷却装置、前記庫内ファン、及び前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、
前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、
前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が所定の閾値以上に開かれていると判別した場合には、前記庫内ファンを停止すると共に、前記当接部材の移動を停止するように前記当接部材駆動部を制御する冷却庫。
【請求項2】
前記制御部は、前記当接部材の前記第1位置から前記第2位置への移動を停止した後に、
前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が前記閾値未満に閉じられたと判別した場合には、前記庫内ファンを再び作動すると共に、前記当接部材の移動を再開するように、前記当接部材駆動部を制御する請求項1に記載の冷却庫。
【請求項3】
前記扉は、自閉機能を有し、
前記制御部は、前記乾燥運転の開始から所定の第1設定時間の経過後に、
前記庫内ファンを停止すると共に、
前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、
前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が所定の閾値以上に開いていると判別した場合には、前記当接部材の前記第2位置から前記第1位置への移動を停止するように、前記当接部材駆動部を制御する請求項1または請求項2に記載の冷却庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記当接部材の前記第2位置から前記第1位置への移動を停止した後に、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が前記閾値未満に閉じられたと判別した場合には、前記当接部材の移動を再開するように前記当接部材駆動部を制御する請求項3に記載の冷却庫。
【請求項5】
前記乾燥運転の運転モードを手動乾燥運転に変更可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記手動乾燥運転が選択された場合には、前記扉開閉センサの検出結果に関わらず前記庫内ファンの運転を制御する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項6】
前記冷却庫本体内を加熱可能な庫内ヒーターを備え、
前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、前記庫内ヒーターを前記庫内ファンと連動して作動するように制御する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項7】
前記扉開閉センサは、前記扉に配されるマグネット部と、前記冷却庫本体に配され前記マグネット部の近接を検知可能なセンサ本体部と、を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項8】
前記冷却庫本体内の温度を検出するための庫内温度センサと、
前記冷却庫本体内に収容される被冷却物の温度を検出するための芯温センサと、
前記冷却装置を構成する凝縮器の目詰まり具合を検出するための目詰まり温度センサと、
前記庫内温度センサ、前記芯温センサ、及び前記目詰まり温度センサの検出結果を表示可能な表示部と、を備え、
前記表示部は、前記各センサの検出結果をセンサ毎に切り替えて表示可能な主表示部と、
前記主表示部に表示中の前記検出結果が、前記各温度センサのいずれの検出結果であるかを表示するための副表示部と、を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫の一つとして、高温の食品を短時間で急速に冷却する急速冷却庫(いわゆるブラストチラー)が知られている。急速冷却庫では、食品を急速に冷却するために庫内ファンが高速で回転されるため、庫内ファンの風圧によって食品中の水分や油分等が庫内に飛び散ることがある。このため、急速冷却庫では使用者が手作業、または自動洗浄機能によって庫内を定期的に水で洗浄するという運用が行われている。そして、洗浄後は、水分を放置すると庫内にカビや雑菌が繁殖し易くなるため、庫内を乾燥させることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、急速冷却庫の乾燥運転の一例が開示されている。特許文献1に記載の急速冷却庫は、庫内ヒーターに通電して庫内温度を上昇させつつ、庫内ファンを回転させて庫内を乾燥する。また、当該急速冷凍庫は、庫内で発生した水蒸気を排気するための排気パイプと、排気パイプを開閉する電磁弁(電気的駆動弁の一例)と、を備え、扉を閉めたまま乾燥運転を自動的に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-49397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のように排気パイプ及び電気的駆動弁を設けると、その設置スペースを確保するために急速冷却庫の外形寸法が大きくなってしまう。そこで、乾燥運転時に、扉を自動的に開けて、扉と冷却庫本体との間に所定の隙間を発生するようにすれば、外形寸法の増大を抑制しつつ、当該隙間を通じて冷却庫本体内を自動的に乾燥できるようになる。具体的には、扉に対して冷却庫本体側から当接部材を押し当て、当接部材の移動によって扉を押し出して(わずかに開いて)、扉と冷却庫本体との隙間を形成する方法が考えられる。しかしながら、このように当該隙間を形成する際、使用者が何らかの理由で移動中の当接部材に触れてしまうと、当接部材の動作に不具合が生じ、故障等が生じる恐れがある。
【0006】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、乾燥運転を円滑に自動的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に記載の技術に関わる冷却庫は、開口を有する箱状の冷却庫本体と、前記冷却庫本体内を冷却するための冷却装置と、前記冷却装置によって生じた冷気を前記冷却庫本体内に循環供給するための庫内ファンと、前記開口を覆うように設けられ開閉可能な扉と、前記扉に当接して、前記冷却庫本体と前記扉との間に所定の隙間を発生するための当接部材と、前記当接部材と接続され、前記当接部材を移動させるための当接部材駆動部と、前記扉の開閉を検知するための扉開閉センサと、前記冷却装置、前記庫内ファン、及び前記当接部材駆動部の運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、前記冷却装置を停止して、前記庫内ファンを作動すると共に、前記当接部材を前記隙間が発生しない第1位置から前記隙間が発生する第2位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が所定の閾値以上に開かれていると判別した場合には、前記庫内ファンを停止すると共に、前記当接部材の移動を停止するように前記当接部材駆動部を制御する。
【0008】
上記構成の冷却庫によれば、乾燥運転時に、当接部材が第1位置から第2位置に移動することで、扉と冷却庫本体との間に隙間を発生し、冷却庫本体内を自動的に乾燥できるようになるが、このように自動乾燥を行う場合、使用者が移動中の当接部材に触れてしまうと、当接部材に不具合が生じる恐れがある。使用者が手等を当接部材に接触する可能性は、扉が閾値以上に開かれた場合に大きくなる。そこで、制御部は、扉開閉センサの検出結果に基づき、扉が所定の閾値以上に開いていると判別した場合には、当接部材の移動を停止すると共に、庫内ファンを停止する。これにより使用者が動作中の当接部材、及び庫内ファンに手等を接触させてしまう事態を抑制し、自動乾燥運転を円滑に実行できるようになる。
【0009】
また、前記制御部は、前記当接部材の前記第1位置から前記第2位置への移動を停止した後に、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が前記閾値未満に閉じられたと判別した場合には、前記庫内ファンを再び作動すると共に、前記当接部材の移動を再開するように、前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、扉30が閾値G2未満に閉じられた場合には、回転体72の移動を再開して、隙間G1を形成することで、自動乾燥運転を円滑に継続できるようになる。
【0010】
また、前記扉は、自閉機能を有し、前記制御部は、前記乾燥運転の開始から所定の第1設定時間の経過後に、前記庫内ファンを停止すると共に、前記当接部材を前記第2位置から前記第1位置に移動させるように、前記当接部材駆動部を制御し、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が所定の閾値以上に開いていると判別した場合には、前記当接部材の前記第2位置から前記第1位置への移動を停止するように、前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、第1設定時間の経過後には、庫内ファンが停止され、当接部材が移動するため、扉の自閉機能によって扉と冷却庫本体との隙間が閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現できるようになる。一方で、このように隙間を閉じる場合にも当接部材は移動するため、使用者が移動中の当接部材に触れてしまう恐れがある。そこで、制御部は、扉開閉センサの検出結果に基づき、扉が閾値以上に開いていると判別した場合には、当接部材の移動を停止する。これにより使用者が動作中の当接部材に手等を接触させてしまう事態を抑制し、完全な自動乾燥運転を円滑に実行できるようになる。
【0011】
また、前記制御部は、前記当接部材の前記第2位置から前記第1位置への移動を停止した後に、前記扉開閉センサの検出結果に基づき、前記扉が前記閾値未満に閉じられたと判別した場合には、前記当接部材の移動を再開するように前記当接部材駆動部を制御する。このようにすれば、扉が閾値未満に再び閉じられた場合には、使用者が当接部材に接触する可能性がなくなるため、当接部材の移動を再開して、扉と冷却庫本体との隙間を閉じることで、自動乾燥運転を最後まで遂行できるようになる。
【0012】
また、前記冷却庫は、前記乾燥運転の運転モードを手動乾燥運転に変更可能な操作部を備え、前記制御部は、前記手動乾燥運転が選択された場合には、前記扉開閉センサの検出結果に関わらず前記庫内ファンの運転を制御する。このようにすれば、手動乾燥運転が選択された場合には、制御部は、扉開閉センサの検出結果に関わらず、庫内ファンの運転を制御可能となるため、使用者が手動により扉を開いた状態(扉が閾値以上に開いた場合)であっても、庫内ファンが作動されるようになる。その結果、手動乾燥運転を選択的に実行可能となる。
【0013】
また、前記冷却庫は、前記冷却庫本体内を加熱可能な庫内ヒーターを備え、前記制御部は、前記冷却庫本体内を乾燥する乾燥運転時に、前記庫内ヒーターを前記庫内ファンと連動して作動するように制御する。このようにすれば、乾燥運転時に、庫内ヒーターによって庫内温度を上昇させ、庫内ファンによって温風が循環供給されるようになり、乾燥時間を短縮化できるようになる。
【0014】
また、前記扉開閉センサは、前記扉に配されるマグネット部と、前記冷却庫本体に配され前記マグネット部の近接を検知可能なセンサ本体部と、を有する。扉開閉センサをリードスイッチとすることで、扉の開閉を容易に検出できるようになる。
【0015】
また、前記冷却庫は、前記冷却庫本体内の温度を検出するための庫内温度センサと、前記冷却庫本体内に収容される被冷却物の温度を検出するための芯温センサと、前記冷却装置を構成する凝縮器の目詰まり具合を検出するための目詰まり温度センサと、前記庫内温度センサ、前記芯温センサ、及び前記目詰まり温度センサの検出結果を表示可能な表示部と、を備え、前記表示部は、前記各センサの検出結果をセンサ毎に切り替えて表示可能な主表示部と、前記主表示部に表示中の前記検出結果が、前記各温度センサのいずれの検出結果であるかを表示するための補助表示部と、を有する。このようにすれば、副表示部によって温度センサの種別が一目で把握可能となる。その結果、冷却庫の異常発生等の原因究明を行う際、各温度センサの検出結果を混乱せずに迅速に把握できるようになり、早期に情報収集可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本願明細書に記載の技術によれば、乾燥運転を円滑に自動的に行うことを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る冷却庫の正面図
図2】冷却庫の側面図
図3図2のIII-III線断面図
図4図1のIV-IV線断面図
図5】扉を後方から視た斜視図
図6図1のV-V線で切断した斜視図
図7】トップパネルを外した状態において、アクチュエーター機構周辺(図2の囲み線VII周辺)を拡大した側面図
図8】アクチュエーター機構の斜視図
図9】回転体が第1位置にある状態を模式的に示す上面図
図10】回転体が第2位置にある状態を模式的に示す上面図
図11】位置検知板、及びマイクロスイッチの非導通状態を示す断面図
図12】位置検知板、及びマイクロスイッチの導通状態を示す断面図(図6のXII-XII線切断図)
図13】表示パネルの部分拡大図
図14】制御系統を示すブロック図
図15】自動乾燥運転の動作を示すタイミングチャート
図16】回転体が第1位置から第2位置へ移動する期間を拡大した図15の拡大図
図17】扉と本体との距離がG0及びG3の状態を模式的に示す上面図
図18】回転体が第2位置から第1位置へ移動する期間を拡大した図15の拡大図
図19】手動乾燥運転の動作を示すタイミングチャート
【0018】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る冷却庫10について、図1から図19を参照して説明する。図1から図12図17の各図面の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向とする。
【0019】
冷却庫10は、図1及び図2に示すように、全体として直方体状をなしており、高温の食品を低温(例えば+3℃程度)に短時間で冷却する急速冷却庫(いわゆるブラストチラー(ラピッドチラーを含む))である。冷却庫10は、本体11(冷却庫本体の一例)と、機械室13と、断熱性の扉30と、脚部14と、を備える。また冷却庫10は、洗浄水により洗浄した本体11内(庫内)を自動的に乾燥する自動乾燥機能を有しており、これを実現するためにアクチュエーター機構70を備えている。
【0020】
本体11は、前面が開口された箱状をなし、図3及び図4に示すように、発泡ウレタン等の断熱材を充填した壁によって構成されている。本体11の天井壁は、図1及び図2に示すように、上方からトップパネル12で覆われている。トップパネル12は、開口縁部の上部11Aを上方、及び操作パネル53を除く前方から覆っている。機械室13は、図3に示すように、本体11の下方に配されており、その内部には機械類が収容されている。扉30は、図1及び図2に示すように、本体11の前面開口を覆うように設けられており、正面から見て右側には取っ手31が設けられている。脚部14は、機械室13の下面に設けられ、冷却庫10を下側から支持している。
【0021】
本体11内には、図3に示すように、多段のトレイ受け27と、蒸発器ケース21と、ファンケース22と、が収容されている。トレイ受け27には、食品(被冷却物)を載置するためのトレイが前方から出し入れされる。トレイ内の食品には、芯温センサ40(図4、具体的には芯温サーミスタ)が差し込まれて、食品の温度が検知される。芯温センサ40は、図4に示すように、本体11内に格納されるようになっており、使用者によって食品に差し込まれる。蒸発器ケース21及びファンケース22は、庫内においてトレイ受け27の正面視左側に配されており、蒸発器ケース21は本体11の左側の壁、後側の壁、及び扉30との間に所定の間隔を空けて配されている。蒸発器ケース21は、左右両側が開放されており、その内側には蒸発器(冷却器)23が収容されている。蒸発器23は、並行する複数のフィンと、それらを貫通するように多重に折り返される冷媒管と、を有している。
【0022】
また、蒸発器23には、図3に示すように、庫内ヒーター24が取り付けられている。庫内ヒーター24は、棒状の電熱線を多重に折り返すことによって形成されている。庫内ヒーター24は、蒸発器23に付着した霜を加熱して溶かしたり、庫内が洗浄された場合に庫内を乾燥させたりするために用いられる。庫内温度センサ25(具体的には庫内サーミスタ)は、庫内の温度を検知するためのものであり、図4に示すように、蒸発器ケース21の外側(庫内後側)に配されている。
【0023】
ファンケース22は、図3に示すように、蒸発器ケース21の右側に連結されている。ファンケース22は、左右両側が開放されており、その内部には、蒸発器23によって冷却された空気を庫内に循環させるための庫内ファン28が配されている。庫内ファン28は、庫内を冷却する時(冷却運転時)、庫内を乾燥させる時(乾燥運転時)、及び除霜運転時に蒸発器23に向かって風を送り出す方向に回転する。
【0024】
機械室13は、図1から図4に示すように、上方が本体11の底壁によって覆われ、前方がフロントパネル13Aによって覆われている。機械室13には、図3に示すように、庫内を冷却するための冷却装置(冷凍装置)60の一部、冷却庫10の各部に電力を供給する電源等が収容されている。冷却装置60は主に、圧縮機66、凝縮器64、凝縮器ファン67、減圧器(例えば膨張弁)、蒸発器23で構成されている。圧縮機66、凝縮器64、凝縮器ファン67及び減圧器は機械室13に収容されており、蒸発器23は既述したように蒸発器ケース21に収容されている。圧縮機66、凝縮器64、蒸発器23は、冷媒が循環するように冷媒管65によって連結され、既知の冷凍サイクルを形成している。蒸発器23内の冷媒と庫内の空気との間で熱交換が行われることによって庫内が冷却される。
【0025】
ところで、凝縮器64に汚れが付着して目詰まりすると、凝縮器64が排熱しにくくなり、その温度が上昇することが知られている。凝縮器64の温度が上昇すると、凝縮性能が低下し、ひいては冷却装置60の冷却性能が低下してしまう。そこで、凝縮器64の目詰まり具合を検出するために、凝縮器64の温度を検出する目詰まり温度センサ68(図14、具体的には目詰まりサーミスタ)が凝縮器64を構成する冷媒管に取り付けられている。
【0026】
本体11の底壁の概ね中央には、図3及び図4に示すように、庫内を洗浄した洗浄水を排水するための排水口17が設けられている。底壁の上面は、排水口17に向かって傾斜するテーパ面となっている。排水口17には、排水口キャップが庫内側から着脱可能に取り付けられている。排水口17の下方には、樹脂パイプを介して、排水を外部に排水するためのドレンホース15が接続されている。
【0027】
次に、扉30について詳しく説明する。扉30は、図1に示すように、その左側縁部30Bを中心(揺動軸)として揺動開閉するように、本体11の開口縁部の左部11Bに取り付けられている。扉30は、ヒンジ部材18によって、本体11の開口縁部の左部11Bの上端部及び下端部に揺動可能に取り付けられている。ヒンジ部材18は、既知の軸ずれヒンジであって、これにより扉30は開いた状態から自閉する(自閉機能を有する)ようになっている。ヒンジ部材18は、リフトヒンジ等、扉30を自閉可能に取付けられる他の種類のヒンジであっても構わない。
【0028】
扉30は、図5に示すように、矩形の板状をなしており、その上面には、断面L字状の受け部(ストッパー)36が設けられている。受け部36は、扉30の上面のうち、揺動軸となる左側縁部30Bと反対に位置する右側縁部30D側に配されている。受け部36は、当接部材(具体的には後述する回転体72)を扉30に対して当接させるための被当接部材である。回転体72が受け部36に当接することで、扉30が前方に押されて閉じた状態からわずかに開き、扉30と本体11との間に所定の隙間G1が生じるように構成されている(図10)。
【0029】
また扉30は、図5に示すように、背面30S(本体11側の面)の外縁部に沿って枠状の磁気パッキン33を有する。磁気パッキン33は、本体11の開口縁部に埋設された磁気部材に吸着されるようになっている。これにより、扉30が本体11の開口縁部に密着して、本体11の開口が密閉される。磁気パッキン33は、枠状を構成する4つの辺部、すなわち上辺部33A、左側辺部33B、下辺部33C、右側辺部33Dからなる。磁気パッキン33のうち右側辺部33Dの磁力は、他の部分(上辺部33A、左側辺部33B、及び下辺部33C)の磁力より小さく調整されている。このようにすれば、磁気パッキン33の右側辺部33Dは、本体11の開口縁部との密着が解除されやすくなる。その結果、回転体72が受け部36に当接して、扉30を前方に押し出すために必要な力を減少でき、隙間G1を発生しやすくなる。受け部36は、図6及び図7に示すように、扉30の上面にネジ止め固定される固定部36Aと、固定部36Aから垂直に立ち上がり、回転体72が当接される被当接部36Bと、を有する。
【0030】
続いて、アクチュエーター機構70について説明する。アクチュエーター機構70は、図1及び図6に示すように、トップパネル12内に配されており、本体11の開口縁部の上部11Aにおいて正面視右側に取り付けられている。アクチュエーター機構70は、図5から図7に示すように、モーター71(当接部材駆動部の一例)と、回転体72(当接部材の一例)と、マイクロスイッチ75と、位置検知板76と、ブラケット78(取付部材の一例)と、を備える。モーター71は、電力の供給を受けて回転駆動する。回転体72は、モーター71の駆動によって回転し、その先端72B1が扉30の受け部36に当接可能となっている。なお、図6から図8において、回転体72は、網掛して明示化されている。また、図1図2、及び図6から図8では、扉30は、わずかに開き、本体11との間にわずかな隙間G1を生じている状態(回転体72が第2位置にある状態)が図示されている。マイクロスイッチ75は、回転体72の回転位置を検知するために設けられている。位置検知板76は、回転体72と共に回転し、マイクロスイッチ75の導通状態を切り替えするために設けられている。ブラケット78は、アクチュエーター機構70を本体11の開口縁部に取り付けるための取付部材である。ブラケット78は、モーター71が載置されるモーター載置板73と接続され、モーター71を支持している。
【0031】
回転体72は、図6及び図7に示すように、クランク形状をなす板状部材であって、回転軸部72Aと、当接部72Bと、延出部72Cと、を有する。回転軸部72Aは、上下方向に延在してモーター71の出力軸71Aと連結されている。回転軸部72Aは、アクチュエーター機構70を下方から覆うカバー部材19の挿入孔19Aを通って上下方向に延在している。当接部72Bは、回転軸部72Aの下端部から回転軸部72Aの延在方向と交わるように延出しており、その先端72B1が、回転によって扉30の受け部36(より詳しくは被当接部36B)に当接可能な延出長を有している。当接部72Bは、図9及び図10に模式的に示すように、モーター71の回転駆動によって出力軸71Aを中心として回転し、受け部36に当接する。これにより、扉30が前方に押し出されて、わずかに開き、扉30と本体11との間に隙間G1が生じる。延出部72Cは、回転軸部72Aの上端部から回転軸部72Aの延在方向と交わるように延出している。延出部72Cの延出方向は、当接部72Bの延出方向と逆方向であって、回転体72が第2位置にある状態において後方に向かうように形成されている。
【0032】
回転体72及び受け部36は、金属製であって、少なくとも互いに当接して接触する部分は研磨加工されているものとされる。または、回転体72及び受け部36は、少なくとも互いに当接して接触する部分が樹脂製であっても構わない。これにより、使用によって接触部分に摩耗粉やバリが発生する事態を抑制しやすくなる。
【0033】
ここで、回転体72の回転位置について、第1位置及び第2位置を次のように定義する。第1位置は、図9に示すように、当接部72Bの延出方向が左右方向(X軸方向)に沿っており、当接部72Bが受け部36に当接せず、隙間G1が形成されていない位置(通常位置)とする。第2位置は、図9に示すように、当接部72Bの延出方向が前後方向(Y軸方向)に沿っており、当接部72Bが受け部に当接して、隙間G1が形成されている位置(隙間形成位置)とする。なお、図9及び図10においては、当接部72Bと受け部36との位置関係を明示するため、回転体72のうち当接部72B以外の部分は省略されている。隙間G1の大きさ(扉30の磁気パッキン33から、本体11の開口縁部に設けられた磁気パッキン33と密着する板金面までの前後方向(Y軸方向)の距離、図7参照)は、例えば7mm程度と小さく、最大でも、扉30の前面30Fがトップパネル12の前面12Fより後方に位置するものとされる(図2)。これにより、隙間G1が発生している際に、扉30が冷却庫10の前方に飛び出し、使用者の邪魔になってしまう事態を回避できる。
【0034】
マイクロスイッチ75は、図8に示すように、モーター載置板73の下面に取り付けられている。マイクロスイッチ75は、図11及び図12に示すように、ヒンジレバー75Aと、押しボタン75Bと、端子部75Cと、を有する。ヒンジレバー75Aが位置検知板76の湾曲凸部76Aによって押されると、ヒンジレバー75Aの根元側に配された押しボタン75Bが押し込まれる(図12)。これにより、端子部75C間が導通するようになっている。
【0035】
位置検知板76は、図6から図8に示すように、モーター載置板73と回転体72との間に配されている。位置検知板76は、モーター71の出力軸71Aに連結されており、出力軸71Aを中心として回転する。位置検知板76は、図11及び図12に示すように、全体として円形をなしており、円形の一部(湾曲凸部76A)の半径が他の部分に比して大きくなるように形成されている。上記したように、湾曲凸部76Aが、マイクロスイッチ75のヒンジレバー75Aを押すと、マイクロスイッチ75が非導通状態から導通状態に切り替わる。モーター71が駆動回転すると、位置検知板76が回転体72と共に回転し、マイクロスイッチ75の導通状態が切り替わるため、回転体72が第1位置にあるか、第2位置にあるかを検知可能となる。本実施形態では、回転体72が第1位置にある場合には、マイクロスイッチ75が非導通となり、回転体72が第2位置にある場合には、マイクロスイッチ75が導通となるように設計されている。回転体72が第1位置にある場合に、マイクロスイッチ75が導通となり、回転体72が第2位置にある場合に、マイクロスイッチ75が非導通となるように設計されていても構わない。
【0036】
また、冷却庫10は、図1及び図7に示すように、扉30の開閉を検知する扉開閉センサ16を備える。扉開閉センサ16は、近接センサ(具体的にはリードスイッチ)であって、被検知部であるマグネット部16Aと、センサ本体部16Bと、を有する。マグネット部16Aは、扉30の上部の内部に配されている。センサ本体部16Bは、トップパネル12内に配されている。センサ本体部16Bは、マグネット部16Aが所定の距離(閾値)G2以上に近接すると、マグネット部16Aの磁気を検知する。これにより扉開閉センサ16はON(状態)となる。扉開閉センサ16がOFFからONとなる閾値G2(扉30の磁気パッキン33から、本体11の開口縁部に設けられた磁気パッキン33と密着する板金面までの前後方向(Y軸方向)の距離)は、上記した隙間G1に比して大きいものとされる。例えば、隙間G1が7mm程度の場合、閾値G2は25mmから45mm程度の範囲が好ましく、本実施形態では25mmに設定されている。
【0037】
本体11の正面における上部(開口縁部の上部11A)の中央には、図1に示すように、操作パネル53が設けられている。操作パネル53には、各種の操作ボタンを有する操作部51と、情報を表示する表示部52と、が設けられている。操作パネル53は、例えばタッチパネル機能(入力位置検出機能)を備えており、表示部52と操作部51とが一体的に設けられていても構わない。使用者は、操作部51を操作することによって冷却庫10の運転モード(冷却運転、乾燥運転等)の選択、運転開始の指示等を行うことができる。表示部52には現在の運転モードや各種のメッセージなどが表示される。
【0038】
また、使用者は、操作部51を操作することによって、冷却庫10の運転状態、及び設定値を表示するメンテナンスモードに切り替えることができる。メンテナンスモードが選択されると、表示部52には、図13に示すような情報が表示される。表示部52は、図13に示すように、主表示部52Aと、副表示部52Bと、を含んでいる。使用者が操作部51の表示切替ボタン51Aを押し、例えば、項目番号F4,F5,F6,F7と切り替えていくと、主表示部52Aには各項目番号に応じて、運転状態、庫内温度センサ25、芯温センサ40、及び目詰まり温度センサ68の各検出結果(温度)が切り替え表示される。この時、副表示部52Bには、主表示部52Aに表示中の温度が、庫内温度センサ25、芯温センサ40、及び目詰まり温度センサ68のうち、どのセンサの検出結果であるかを示す「庫内」、「芯温」、「目詰」が切り替え表示される。副表示部52Bを設けることで、温度センサの種別が一目で把握可能となり、冷却庫10の異常発生等の原因究明を行う際に、使用者や保守管理者が各温度センサの検出結果を混乱せずに迅速に把握できるようになる。その結果、異常発生時等に冷却庫10の情報を早期に収集可能となる。
【0039】
次に、冷却庫10の電気的構成について説明する。冷却庫10は、CPUを主体に構成される制御部50を備えている。制御部50には、図14に示すように、表示部52、操作部51、記憶部55、計時部54、報知ブザー57、圧縮機66、凝縮器ファン67、庫内ファン28、庫内ヒーター24、庫内温度センサ25、芯温センサ40、目詰まり温度センサ68、扉開閉センサ16、モーター71、マイクロスイッチ75がそれぞれ電気的に接続されている。計時部54は、時間をタイマーカウントする。記憶部55は、ROMやRAM等からなり、制御部50と一体的に設けられていても構わない。報知ブザー57は、アラート音を発報する。制御部50は、記憶部55に記録された制御プログラムを実行することで、使用者による操作、及び各センサの検出結果に基づいて、冷却庫10の各部を制御する。
【0040】
続いて、冷却庫10の運転モードについて説明する。冷却庫10の運転モードには大きく冷却運転(急速冷却運転)、除霜運転、及び乾燥運転がある。以下、各運転モードについて説明する。
【0041】
冷却運転は、調理された高温の食品を急速に冷却する運転モードである。冷却運転は、使用者が食品を収容したトレイをトレイ受け27に保持させた後に、操作部51を操作して冷却運転の開始を指示すると開始される。冷却運転では、制御部50は、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)、及び庫内ファン28を作動する一方、庫内ヒーター24は通電しない。冷却運転では、庫内ファン28が回転することによって庫内の空気が蒸発器23に吸引されて冷却され、冷却された空気が蒸発器ケース21の正面視左側から庫内に吹き出される。吹き出された空気は本体11の左側の壁に当たって前側と後側とに分かれて右側に回り込んだ後、トレイの間などを通ってファンケース22に吸引される。これにより庫内を冷気が循環し、食品が急速に冷却される。なお、庫内ファン28のみを回転させて送風運転を行うことも可能である。
【0042】
制御部50は、冷却運転を開始すると芯温センサ40によって食品の温度を監視し、食品が所定温度(例えば+3℃程度)まで冷却されると冷却運転を終了する。なお、冷却運転を終了する条件はこれに限られるものではない。例えば計時部54によって冷却運転を開始してから一定時間が経過したことを検出すると、冷却運転を終了してもよい。また、冷却運転を終了した後に保冷運転に移行してもよい。
【0043】
除霜運転は、蒸発器23を除霜する運転モードである。除霜運転は、冷却庫10の運転停止中(言い換えると待機中)に、使用者が操作部51を操作して除霜運転の開始を指示すると開始される。除霜運転では、制御部50は、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)を停止させ、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電する。除霜運転では、冷却装置60を停止させて庫内ヒーター24に通電するので庫内温度が上昇する。制御部50は、除霜運転を開始すると庫内温度センサ25によって庫内温度を監視し、庫内温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜運転を終了する。なお、除霜運転を終了する条件はこれに限られるものではなく、適宜に決定できる。
【0044】
乾燥運転は、庫内が洗浄された後に庫内を乾燥させる運転モードである。本実施形態においては、使用者が操作部51を操作することによって、乾燥運転として2つの運転モード(自動乾燥運転、手動乾燥運転)を選択的に実行可能となっている。自動乾燥運転の実施例を図15図16、及び図18のタイミングチャートに、手動乾燥運転の実施例を図19のタイミングチャートに示す。各タイミングチャートにおいて、扉30の状態を示す縦軸は、扉30と本体11との距離(扉30の磁気パッキン33から、本体11の開口縁部に設けられた磁気パッキン33と密着する板金面までの前後方向(Y軸方向)の距離)を示している。
【0045】
自動乾燥運転について図15から図18を参照して説明する。自動乾燥運転は、使用者が庫内を洗浄した後に、使用者が操作部51に含まれる自動乾燥ボタンを押してON(状態)にすると開始される。制御部50は、自動乾燥ボタンがONとなったにもかかわらず、扉開閉センサ16がONである(扉30が閾値G2以上に開いている)場合には、表示部52にエラーメッセージ等を表示しても構わない。
【0046】
制御部50は、自動乾燥ボタンがONになり、扉開閉センサ16がOFFである場合に、自動乾燥運転を開始する。具体的には、制御部50は、図15及び図16に示すように、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電させる。乾燥運転(自動乾燥運転、手動乾燥運転)においては、洗浄時と同様に、冷却装置60(圧縮機66、凝縮器ファン67)は駆動されない。これにより、庫内に温風が送り出されて庫内温度が上昇し、洗浄によって庫内に残った水分が徐々に水蒸気に変化するようになる。また、制御部50は、自動乾燥運転が開始すると、モーター71に通電して駆動させる。これにより、回転体72は第1位置(通常位置)から第2位置(隙間発生位置)に向かって回転移動し、扉30と本体11との距離がG0に達する。なお、本実施形態において、回転体72は、出力軸71Aを中心に、上面視(図9及び図10)で時計回りに回転するが、反時計回りであっても構わない。
【0047】
扉30と本体11との距離がG0に達した時、使用者が誤って、図17に示すように、扉30を距離G3まで開放してしまった場合を想定する。距離G3は、既述した扉開放センサ16の閾値G2より大きいものとされる。図15及び図16に示すように、扉30が距離G0から距離G3まで大きくなる過程で閾値G2に達すると、扉開閉センサ16がONになる。制御部50は、扉開閉センサ16がONになると、庫内ファン28及び庫内ヒーター24の通電を停止すると共に、モーター71を停止して、回転体72の移動を停止する。また、制御部50は、報知ブザー57を発報して扉30が開放されている(閾値G2以上である)ことを通知するアラート音を鳴らす。
【0048】
その後、使用者は、報知ブザー57のアラート音に気付いて、図15及び図16に示すように、扉30を所定時間T2だけ距離G3に保持した後に、再び距離G0まで閉じるものとする。扉30が距離G3から距離G0まで閉じられる際に、閾値G2未満になると、扉開閉センサ16がOFFになる。制御部50は、所定時間T3の間(具体的には5秒間)、扉開閉センサ16がOFFになったことを判別すると、庫内ファン28及び庫内ヒーター24を再び作動すると共に、回転体72の移動を再開するようにモーター71を駆動させる。これにより、回転体72は再び第2位置に向かって回転移動する(期間T4)。
【0049】
回転体72が第2位置に到達すると、マイクロスイッチ75が非導通状態から導通状態に切り替わるため、制御部50は、マイクロスイッチ75の出力に基づき、回転体72が第2位置に到達したと判別し、図15及び図16に示すように、モーター71の通電を停止する。これにより、回転体72は第2位置に留まり、本体11と扉との間に隙間G1が発生した状態となる(期間T5)。隙間G1を通じて庫内の水蒸気が外部に排気され、また乾いた外気を庫内に取り込めるようになるため、庫内が乾燥される。
【0050】
このように扉30と本体11との隙間G1を発生して自動乾燥運転を行う場合、回転体72の第1位置から第2位置への回転移動が行われるため、使用者が移動中の回転体72に触れてしまうと、回転体72に不具合が生じたり、回転体72と本体11との間に手が挟まれてしまう恐れがある。使用者が手等を回転体72に接触させる可能性は、扉30が閾値G2以上に開かれた場合に大きくなる。そこで、本実施形態では、上記したように制御部50が、扉開閉センサ16の検出結果に基づき、扉30が閾値G2以上に開いている(扉開閉センサ16がON)と判別した場合に、回転体72の移動を停止すると共に、庫内ファン28及び庫内ヒーター24を停止する。これにより、使用者が移動中の回転体72や庫内ファン28に接触したり、庫内ファン28から吹き出される熱風に手をかざしてしまう事態を抑制できる。そして、扉30が所定の閾値G2未満に閉じられた場合には、回転体72の移動を再開して、隙間G1を形成することで、自動乾燥運転を継続できるようになる。その結果、自動乾燥運転を円滑に実行できると共に、安全性を高めることができる。
【0051】
また、制御部50は、乾燥ボタンがONになると、計時部54によって予め設定された所定の時間(第1設定時間、例えば2時間程度)をタイマーカウントする。制御部50は、第1設定時間が終了(経過)すると、図15及び図18に示すように、庫内ファン28を停止し、庫内ヒーター24の通電を停止すると共に、モーター71に通電して駆動させる。これにより、回転体72は第2位置から第1位置に向かって回転移動する。
【0052】
回転体72が回転移動して、扉30と本体11との距離がG1からG5に小さくなった時、図19に示すように、使用者が誤って扉30を距離G6まで開放してしまった場合を想定する。扉30が距離G5から距離G6まで大きくなる過程で閾値G2に達すると、扉開閉センサ16がONになる。制御部50は、扉開閉センサ16がONになると、モーター71を停止して、回転体72の移動を停止する。また、制御部50は、報知ブザー57を発報して扉30が開放されている(閾値G2以上である)ことを通知する。
【0053】
その後、使用者は、報知ブザー57のアラート音に気付いて、図15及び図18に示すように、扉30を所定時間T7だけ距離G6に保持した後、再び距離G5まで閉じるものとする。扉30が距離G6から距離G5まで閉じられる際に、閾値G2未満になると、扉開閉センサ16がOFFになる。制御部50は、所定時間T8の間(具体的には5秒間)、扉開閉センサ16がOFFになったことを判別すると、庫内ファン28及び庫内ヒーター24を再び作動すると共に、回転体72の移動を再開するようにモーター71に通電して駆動させる。これにより、回転体72は再び第1位置に向かって回転移動する(期間T9)。
【0054】
回転体72が第1位置に到達すると、マイクロスイッチ75が導通状態から非導通状態に切り替わるため、制御部50は、マイクロスイッチ75の出力に基づき、回転体72が第1位置に到達したと判別し、モーター71の通電を停止する。これにより、回転体72は第1位置に戻り、扉30はヒンジ部材18によって自閉する。
【0055】
このようにすれば、第1設定時間の経過後には、庫内ヒーター24及び庫内ファン28が停止されて温風の循環供給が停止されると共に、隙間G1が閉じられるようになる。その結果、完全な自動乾燥運転が実現可能となる。一方で、このように隙間G1を閉じる場合にも回転体72は移動するため、使用者が移動中の回転体72に触れてしまう恐れがある。制御部50は、扉開閉センサ16の検出結果に基づき、扉が閾値G2以上に開いている(扉開閉センサ16がON)と判別した場合には、回転体72の移動を停止する。これにより使用者が移動中の回転体72に手等を接触させてしまう事態を抑制し、完全な自動乾燥運転を円滑に実行できるようになる。
【0056】
続いて、手動乾燥運転について図19を参照して説明する。手動乾燥運転は、使用者が庫内を洗浄した後に扉30を開き、操作部51に含まれる手動乾燥ボタンを押してONにすると開始される。ここで扉30は、本体11との距離が閾値G2より大きいG7まで使用者によって開かれているものとされる。扉30が閾値G2以上に開かれることで、扉開閉センサ16はONとなる。制御部50は、手動乾燥ボタンがONにもかかわらず、扉開閉センサ16がOFFである(扉30が閾値G2未満に閉じられている)場合には、表示部52にその旨を通知するエラーメッセージ等を表示しても構わない。制御部50は、図19に示すように、扉開閉センサ16がONとなっていることから、モーター71の制御を停止するため、回転体72は第1位置に留まったままとなる。また、制御部50は、扉開閉センサ16の検出結果に関わらず、庫内ファン28及び庫内ヒーター24の運転を制御する。
【0057】
具体的には、制御部50は、図19に示すように、手動乾燥運転が開始されると、庫内ファン28を作動し、庫内ヒーター24を通電させる。また、制御部50は、計時部54によって予め設定された所定の時間(第2設定時間、例えば2時間程度)をタイマーカウントする。制御部50は、第2設定時間が終了(経過)すると、図19に示すように、庫内ファン28及び庫内ヒーター24を停止する。使用者は、庫内ファン28及び庫内ヒーター24が停止された後、手動で扉30を閉じるものとする。このようにすれば、自動乾燥運転だけでなく、使用者の選択によっては手動乾燥運転を実行可能となる。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)乾燥運転において、庫内ヒーター24を通電せず、庫内ファン28のみを回転させて送風乾燥を行っても構わない。本実施形態のように乾燥運転時に庫内ヒーター24を通電して庫内温度を上昇させると、乾燥時間を短縮できるようになる。
【0060】
(2)制御部50は、乾燥運転において、庫内ファン28を、ON,OFFを繰り返すように間欠的に作動させてもよい。また、制御部50は、乾燥運転において、庫内温度の急激な上昇を抑えるように庫内ヒーター24の作動率を調整してもよい。このようにすれば、単位時間当たりの水蒸気排出量、ひいては結露の発生を抑制できるようになるため、水蒸気が本体11の開口縁部で結露してしまう事態を抑制できるようになる。
【0061】
(3)自動乾燥運転と手動乾燥運転は、異なる乾燥ボタンを押すことで選択的に実行開始される例を示したが、自動乾燥運転または手動乾燥運転はあらかじめモード選択されて、共通の乾燥ボタンを押すことで各運転が実行開始されるようにしても構わない。
【0062】
(4)報知ブザー57の代わりに、または併用する形で、報知ランプを点滅させたり、表示部52にアラートメッセージ等を表示するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0063】
10:冷却庫、11:本体(冷却庫本体)、16:扉開閉センサ、16A:マグネット部、16B:センサ本体部、24:庫内ヒーター、25:庫内温度センサ、28:庫内ファン、30:扉、40:芯温センサ、50:制御部、51:操作部、52:表示部、52A:主表示部、52B:副表示部、60:冷却装置、64:凝縮器、68:目詰まり温度センサ、71:モーター(当接部材駆動部)、72:回転体(当接部材)、G1:隙間、G2:閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19