IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特許7454470業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法
<>
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図1
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図2
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図3
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図4
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図5
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図6
  • 特許-業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240314BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALN20240314BHJP
【FI】
G06Q40/12
G06Q50/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020144773
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039638
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 征士
(72)【発明者】
【氏名】三島 遼
(72)【発明者】
【氏名】三浦 龍慈
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046168(JP,A)
【文献】特開2020-087031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える業務支援装置であって、
前記制御部は、
収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更手段と、
前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成手段と、
を備え、
前記仕訳作成手段は、
原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、
進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、
原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成すること、
を特徴とする業務支援装置。
【請求項2】
制御部を備える業務支援装置の前記制御部に実行させるための、
収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更ステップと、
前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成ステップと、を含み、
前記仕訳作成ステップは、
原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、
進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、
原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する、業務支援プログラム。
【請求項3】
制御部を備える業務支援装置の前記制御部が実行する、
収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更ステップと、
前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成ステップと、を含み、
前記仕訳作成ステップは、
原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、
進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、
原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する、業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原価回収基準で進捗売上を計上しようとした場合、通常であれば、期末に、従来は発生しなかった以下の手順が追加で発生する。(1)原価回収基準で売上計上する案件を、数ある案件の中から選別する手順。(2)案件毎の原価発生金額を集計する等して進捗売上の計上額を算出しその額を仕訳計上する手順。(3)資産科目(未成工事支出金等)で計上していた原価を費用科目(完成工事原価等)に振り替える仕訳を計上する手順。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-046168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原価回収基準で進捗売上を計上しようとする場合、従来の手順では、上記の3つの手順が追加で発生するため、その手順が煩雑となり、計算間違いが発生する可能性が高くなったり、情報収集・計算・仕訳計上といったオペレータ作業の負担が増えたり、決算処理に時間がかかるといった課題が発生する。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、その手順が煩雑となり、計算間違いが発生する可能性を低減し、情報収集・計算・仕訳計上といったオペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短くすることを可能とする、業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援装置は、制御部を備える業務支援装置であって、前記制御部は、収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更手段と、前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成手段と、を備える。前記仕訳作成手段は、原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成すること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る業務支援プログラムは、制御部を備える業務支援装置の前記制御部に実行させるための、収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更ステップと、前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成ステップと、を含み、前記仕訳作成ステップは、原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する。
【0008】
また、本発明に係る業務支援方法は、制御部を備える業務支援装置の前記制御部が実行する、収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている契約情報に設定されている前記収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更ステップと、前記契約情報、原価金額を契約毎に含む原価情報、および売上金額を契約毎に含む売上情報を基に、前記収益認識基準の設定に従って、仕訳情報を作成する仕訳作成ステップと、を含み、前記仕訳作成ステップは、原価回収基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を作成し、進行基準が設定されている契約に対し、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成し、原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全売上仕訳情報の各前記契約単位の金額合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ユーザが各案件に対して原価回収基準であることを示すフラグを付加しておくだけで、決算時に必要となる処理を自動で実施可能となるので、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、その手順が煩雑となり、計算間違いが発生する可能性を低減し、情報収集・計算・仕訳計上といったオペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短くすることを可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態にかかる業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態にかかる業務支援装置における原価回収基準での仕訳情報の作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3図3は、本実施形態にかかる業務支援装置における進行基準での仕訳情報の作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る業務支援装置、業務支援プログラム、および業務支援方法の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
本実施形態に係る業務支援装置100の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
業務支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、業務支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0014】
業務支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。業務支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0015】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、業務支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、業務支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0016】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0017】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0018】
記憶部106には、契約情報106a、原価情報106c、売上情報106b、仕訳情報106d等の各種情報が格納される。ここで、契約情報106aは、契約毎の収益認識基準(例えば、原価回収基準、進行基準、完成基準)が設定される契約情報の一例である。また、契約情報106aには、収益認識基準の初期値として原価回収基準が契約毎に設定されている。原価情報106cは、契約毎の原価金額を含む原価情報の一例である。売上情報106bは、契約毎の売上金額を含む売上情報の一例である。
【0019】
仕訳情報106dは、売上仕訳情報(当月の原価ベースの売上仕訳情報であり、例えば、完成工事未収入金や完成工事高)、振替仕訳情報(当月の原価ベースの振替仕訳情報であり、例えば、完成工事原価や未完成工事支出金)、振戻仕訳情報(仕訳計上された完成工事未収入金ベースの情報であり、例えば、完成工事未収入金や完成工事高)を含む仕訳情報の一例である。
【0020】
図1に戻り、制御部102は、業務支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0021】
制御部102は、機能概念的に、登録部102a、基準変更部102b、算出部102c、仕訳作成部102d、月次締処理部102e等を備える。
【0022】
登録部102aは、プロジェクトや、契約情報106a、原価情報106c、予算金額等の各種情報の登録処理を実行する。
【0023】
基準変更部102bは、記憶部106に記憶される契約情報106aの契約毎の収益認識基準の初期値として原価回収基準を設定する。また、基準変更部102bは、記憶部106に記憶される契約情報106aに初期値として原価回収基準が設定されている収益認識基準を、進行基準または完成基準に変更する基準変更手段の一例である。
【0024】
算出部102cは、契約毎の当月の売上情報106bの算出処理を実行する。
【0025】
仕訳作成部102dは、記憶部106に記憶される契約情報106a、原価情報106c、および売上情報106bに基づいて、契約情報106aに対する収益認識基準の設定に従って、仕訳情報106dを作成する仕訳作成手段の一例である。
【0026】
具体的には、仕訳作成部102dは、契約情報106aに原価回収基準が設定されている契約に対して、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の売上仕訳情報および振替仕訳情報を作成する。また、仕訳作成部102dは、契約情報106aに進行基準が設定されている契約に対して、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐づく当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報を作成する。さらに、仕訳作成部102dは、契約情報106aに原価回収基準または進行基準が設定されているプロジェクトの完成時に、当該契約と紐付く当月の原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上金額と同額の当月の売上仕訳情報と、当月の前月までに計上した全ての売上仕訳情報(全売上仕訳情報の一例)の金額の合計と同額の当月の振戻仕訳情報と、を作成する。
【0027】
これにより、ユーザが各案件に対して原価回収基準であることを示すフラグを付加しておくだけで、決算時に必要となる処理を自動で実施可能となる。その結果、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、その手順が煩雑となり、計算間違いが発生する可能性を低減し、情報収集・計算・仕訳計上といったオペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短くすることを可能となる。
【0028】
月次締処理部102eは、仕訳作成部102dにより作成される仕訳情報106dに従って、月次締処理を実行する。
【0029】
次に、図2を用いて、本実施形態にかかる業務支援装置100における原価回収基準での仕訳情報106d(例えば、プロジェクトが登録されてから1月目および2月目の仕訳情報106d)の作成処理の流れの一例について説明する。図2は、本実施形態にかかる業務支援装置における原価回収基準での仕訳情報の作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0030】
まず、登録部102aは、入力装置112から入力される情報に従って、プロジェクトの登録処理を実行する(ステップS201)。次いで、登録部102aは、登録したプロジェクトの契約毎の契約情報106aを作成して記憶部106に格納することにより、当該契約情報106aの登録処理を実行する(ステップS202)。その際、基準変更部102bは、登録したプロジェクトの各契約の契約情報106aの収益認識基準の初期値として原価回収基準を設定する。
【0031】
次に、登録部102aは、契約毎の当月の原価金額を含む原価情報106cを作成して記憶部106に格納することにより、当該原価情報106cの登録処理を実行する(ステップS203)。さらに、算出部102cは、契約毎の当月の売上金額を含む売上情報106bの算出処理を実行し(ステップS204)、当該算出した売上情報106bを記憶部106に格納する。
【0032】
次いで、仕訳作成部102dは、記憶部106に記憶される契約情報106a、原価情報106c、および売上情報106bに基づいて、契約毎の仕訳情報106dを作成する(ステップS205)。その際、仕訳情報106dを作成する契約の契約情報106aが含む収益認識基準に原価回収基準が設定されている場合、仕訳作成部102dは、当該契約と紐付く当月の原価情報106cが含む原価金額と同額の当月の売上仕訳情報と振替仕訳情報を、仕訳情報106dとして作成する。その後、月次締処理部102eは、仕訳作成部102dにより作成される仕訳情報106dに従って、月次締処理を実行する(ステップS206)。
【0033】
次に、図3を用いて、本実施形態にかかる業務支援装置100における進行基準での仕訳情報106d(例えば、プロジェクトが登録されてから3月目の仕訳情報106d)の作成処理の流れの一例について説明する。図3は、本実施形態にかかる業務支援装置における進行基準での仕訳情報の作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0034】
基準変更部102bは、記憶部106に記憶される契約情報106aが含む契約毎の収益認識基準を、原価回収基準から進行基準へと変更して、変更後の収益認識基準を含む契約情報106aを記憶部106に格納することによって、収益認識基準の登録処理を実行する(ステップS301)。契約情報106aが含む収益認識基準が進行基準へと変更されると、登録部102aは、入力装置112から入力される情報に従って、契約毎の予算金額の登録処理を実行する(ステップS302)。
【0035】
次に、登録部102aは、契約毎の当月の原価金額を含む原価情報106cを作成して記憶部106に格納することにより、当該原価情報106cの登録処理を実行する(ステップS303)。また、算出部102cは、プロジェクトの契約毎の原価情報106cに基づいて、当該契約毎の進捗率を算出するプロジェクト進捗率計算処理を実行する(ステップS304)。
【0036】
そして、算出部102cは、プロジェクトの契約毎の進捗率から算出される売上金額と、前月以前の売上金額と、に基づいて、当該契約毎の当月の売上金額を含む売上情報106bの算出処理を実行し(ステップS305)、当該算出した売上情報106bを記憶部106に格納する。ここで、仕訳情報106dを作成する契約の契約情報106aが含む収益認識基準に進行基準が設定されている場合、仕訳作成部102dは、当該契約と紐付く当月の原価情報106cが含む原価金額と同額の当月の振替仕訳情報と、当該契約と紐付く当月の売上情報106bが含む売上金額と同額の売上仕訳情報を、仕訳情報106dとして作成する(ステップS306)。その後、月次締処理部102eは、仕訳作成部102dにより作成される仕訳情報106dに従って、月次締処理を実行する(ステップS307)。
【0037】
次に、図4および図5を用いて、本実施形態にかかる業務支援装置100における1月目および2月目の仕訳情報106dの作成処理の一例について説明する。図4および図5は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。図4および図5において、網掛けが付されている箇所は表示項目であり、網掛けが付されていない箇所は入力項目である。
【0038】
まず、図4を用いて、プロジェクトの契約から1月目の仕訳情報106dの作成処理の一例について説明する。
【0039】
登録部102aは、プロジェクトのプロジェクト番号を示すプロジェクト情報の登録処理を実行する。次に、登録部102aは、プロジェクト番号、プロジェクトの各契約の契約番号、各契約の契約金額、および収益認識基準(売上基準)を含む契約情報106aを作成する。その際、基準変更部102bは、作成する契約情報106aに含まれる収益認識基準の初期値として原価回収基準を設定する。
【0040】
次いで、登録部102aは、プロジェクトの各契約の原価科目毎に1月目の原価情報106cを作成する。ここで、原価情報106cは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、原価科目、1月目の原価金額、および累計原価金額を含む。累計原価金額は、1月目の原価金額である。
【0041】
さらに、算出部102cは、プロジェクトの契約毎に1月目の売上情報106bを算出する。ここで、売上情報106bは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、1月目の売上金額、累計売上金額、および前月以前売上金額を含む。累計売上金額は、1月目の売上金額である。前月以前売上金額は、0円である。
【0042】
その後、仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K001の契約に対して、当該契約と紐付く1月目の原価金額(¥200,000)と同額の1月目の完成工事未収入金および完成工事高を含む売上仕訳情報、および当該契約と紐付く1月目の原価金額(¥200,000)と同額の1月目の完成工事原価および未成工事支出金を含む振替仕訳情報を作成する。仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K002の契約についても同様にして、売上仕訳情報および振替仕訳情報を作成する。
【0043】
次に、図5を用いてプロジェクトの契約から2月目の仕訳情報106dの作成処理の一例について説明する。
【0044】
まず、登録部102aは、1月目と同様に、プロジェクトの各契約の原価科目毎に2月目の原価情報106cを作成する。ここで、原価情報106cは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、原価科目、2月目の原価金額、および累計原価金額を含む。累計原価金額は、2月目の原価金額と、前月以前に発生した原価金額(すなわち、1月目の原価金額)との累計の原価金額である。
【0045】
さらに、算出部102cは、プロジェクトの契約毎に2月目の売上情報106bを算出する。ここで、売上情報106bは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、2月目の売上金額、累計売上金額、および前月以前売上金額を含む。累計売上金額は、2月目の売上金額と、前月以前に発生した売上金額(1月目の売上金額)との累計の売上金額である。前月以前売上金額は、累計売上金額から2月目の売上金額を差し引いた金額である。
【0046】
その後、仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K001の契約に対して、当該契約と紐付く2月目の原価金額(¥250,000)と同額の2月目の完成工事未収入金および完成工事高を含む売上仕訳情報、および当該契約と紐付く2月目の原価金額(¥250,000)と同額の2月目の完成工事原価および未成工事支出金を含む振替仕訳情報を作成する。仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K002の契約についても同様にして、売上仕訳情報および振替仕訳情報を作成する。
【0047】
次に、図6を用いて、本実施形態にかかる業務支援装置100における3月目の仕訳情報106dの作成処理の一例について説明する。図6は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。図6において、網掛けが付されている箇所は表示項目であり、網掛けが付されていない箇所は入力項目である。
【0048】
まず、基準変更部102bは、契約情報106aが含む収益認識基準(売上基準)を、原価回収基準から進行基準に変更する。次いで、登録部102aは、プロジェクトの各契約の原価科目毎の予算金額の登録処理を実行する。
【0049】
次に、登録部102aは、プロジェクトの各契約の原価科目毎に3月目の原価情報106cを作成する。ここで、原価情報106cは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、原価科目、3月目の原価金額、および累計原価金額を含む。累計原価金額は、3月目の原価金額と、前月以前に発生した原価金額(すなわち、1月目および2月目の原価金額)との累計の原価金額である。
【0050】
次いで、算出部102cは、プロジェクトの契約毎の累計原価金額を、予算金額で除算した値を、契約毎の進捗率として算出する。そして、算出部102cは、プロジェクトの契約毎に3月目の売上情報106bを算出する。ここで、売上情報106bは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、3月目の売上金額、進捗率から算出した売上金額、および前月以前売上金額を含む。ここで、進捗率から算出した売上金額は、契約毎の契約金額に対して進捗率を乗算して得られる金額である。また、3月目の売上金額は、進捗率から算出した売上金額から、前月以前売上金額を減算した金額である。
【0051】
その後、仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K001の契約に対して、当該契約と紐付く3月目の原価金額(¥190,000)と同額の3月目の完成工事原価および未成工事支出金を含む振替仕訳情報と、当該契約と紐付く3月目の売上金額(¥350,000)と同額の3月目の完成工事未収入金および完成工事高を含む売上仕訳情報を作成する。仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K002の契約についても同様にして、売上仕訳情報および振替仕訳情報を作成する。
【0052】
次に、図7を用いて、本実施形態にかかる業務支援装置100における4月目の仕訳情報106dの作成処理の一例について説明する。図7は、本実施形態にかかる業務支援装置における仕訳情報の作成処理の一例を説明するための図である。図7において、網掛けが付されている箇所は表示項目であり、網掛けが付されていない箇所は入力項目である。
【0053】
図示していないが、プロジェクト完成時に売上登録を行う。
【0054】
次に、登録部102aは、プロジェクトの各契約の原価科目毎に4月目の原価情報106cを作成する。ここで、原価情報106cは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、原価科目、4月目の原価金額、および累計原価金額を含む。累計原価金額は、4月目の原価金額と、前月以前に発生した原価金額(すなわち、1~3月目の原価金額)との累計の原価金額である。
【0055】
次に、算出部102cは、プロジェクトの契約毎に4月目の売上情報106bを算出する。ここで、売上情報106bは、プロジェクト番号、契約番号、会計年月、および4月目の売上金額を含む。ここで、4月目の売上金額は、売上先と合意した売上金額であり、例えば、契約金額である。
【0056】
そして、仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K001の契約に対して、当該契約と紐付く4月目の原価金額(¥160,000)と同額の4月目の完成工事原価および未成工事支出金を含む振替仕訳情報と、当該契約と紐付く4月目の売上金額(¥1000,000)と同額の4月目の完成工事未収入金および完成工事高を含む売上仕訳情報を作成する。さらに、仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K001の契約に対して、4月目までに計上した全売上仕訳情報の合計金額(¥800,000)と同額の4月目の完成工事高および完成工事未収入金を含む振戻仕訳情報を作成する。仕訳作成部102dは、プロジェクト番号:PJ001の契約番号:K002の契約についても同様にして、売上仕訳情報、振替仕訳情報、および振戻仕訳情報を作成する。
【0057】
このように、本実施形態にかかる業務支援装置100によれば、ユーザが各案件に対して原価回収基準であることを示すフラグを付加しておくだけで、決算時に必要となる処理を自動で実施可能となる。その結果、原価回収基準で進捗売上を計上する場合に、その手順が煩雑となり、計算間違いが発生する可能性を低減し、情報収集・計算・仕訳計上といったオペレータ作業の負担を減らし、かつ決算処理にかかる時間を短くすることを可能となる。
【0058】
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0059】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0060】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0061】
また、業務支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0062】
例えば、業務支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0063】
また、このコンピュータプログラムは、業務支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0064】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0065】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0066】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0067】
また、業務支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、業務支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0068】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、IT・メディア・建設業界などにおいて有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 業務支援装置
102 制御部
102a 登録部
102b 基準変更部
102c 算出部
102d 仕訳作成部
102e 月次締処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 契約情報
106b 売上情報
106c 原価情報
106d 仕訳情報
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7