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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】圧縮機及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F04C 23/02 20060101AFI20240314BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240314BHJP
   H02K 7/04 20060101ALI20240314BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F04C23/02 J
F04B39/00 106D
H02K7/04
H02K7/14 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020164414
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2020513662の分割
【原出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021080918
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 隆雅
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】田坂 駿
(72)【発明者】
【氏名】村上 晃啓
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-159706(JP,A)
【文献】特開2009-162167(JP,A)
【文献】特開2012-139045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 23/02
F04B 39/00
H02K 7/04
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子及び回転子を有する電動機と、
前記回転子と一体で回転する駆動軸と、
前記駆動軸の回転に伴って、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
前記回転子に設置される円弧状又は円筒状の磁性体であるバランスウェイトと、
前記電動機、前記駆動軸、前記圧縮機構部、及び前記バランスウェイトを少なくとも収容し、潤滑油が封入されている密閉容器と、を備え、
前記バランスウェイトは
周面から径方向内側に凹んでなる複数の切欠部と、
前記回転子側の端面から前記回転子の軸方向に凹んでなる複数の凹部と、を有し、
複数の前記切欠部は、それぞれ、前記バランスウェイトの周方向に設けられ、前記密閉容器内の空間に開口しており、
前記回転子に埋設されている磁石を前記回転子の軸方向で投影した場合に前記磁石の周方向の両端部が前記切欠部に含まれており、
前記凹部は、前記切欠部の径方向内側に設けられ、
前記凹部と前記切欠部とが径方向で並んでいる、圧縮機。
【請求項2】
前記磁石を前記回転子の軸方向で投影した場合に前記磁石の全部が前記切欠部に含まれていること
を特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記バランスウェイトは、
記凹部に設けられ、前記回転子の軸方向に前記凹部から前記バランスウェイトを貫通している第1孔を有し、
前記第1孔は、前記凹部と前記回転子との間の空間に開口するとともに、前記密閉容器内の空間にも開口していること
を特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧縮機を備えるとともに、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機等に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の振動を抑制するためのバランスウェイトとして、例えば、特許文献1には、複数の薄板が積層されてなる円弧状のバランスウェイトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-116080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、圧縮機には、通常、摺動部の潤滑性や圧縮室のシール性を高めるための潤滑油が封入されている。このような圧縮機において、密閉容器に油溜まりとして貯留されている潤滑油は、クランク軸の給油路を介して上昇し、軸受等の摺動部を潤滑した後、圧縮機構部と密閉容器との間の隙間や、電動機と密閉容器との間の隙間を介して下降し、密閉容器の油溜まりに戻される。
【0005】
しかしながら、例えば、電動機の固定子と回転子との間の隙間を介して、ミスト状の潤滑油が吹き上げられ、さらに吐出パイプを介して、圧縮機から潤滑油が流出することがある。前記した特許文献1において、回転子に設置されるバランスウェイトは、その上面・下面・周面の表面がいずれも滑らかな面一の形状になっている。このような形状のバランスウェイトが用いられると、固定子と回転子との間の隙間を介して吹き上げられる潤滑油の流れがバランスウェイトではほとんど阻害されず、吐出パイプを介して潤滑油が流出しやすくなる。その結果、圧縮機の潤滑不足を招き、また、冷凍サイクルの効率の低下を招く可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、潤滑油の流出を抑制する圧縮機等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明は、固定子及び回転子を有する電動機と、前記回転子と一体で回転する駆動軸と、前記駆動軸の回転に伴って、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記回転子に設置される円弧状又は円筒状の磁性体であるバランスウェイトと、前記電動機、前記駆動軸、前記圧縮機構部、及び前記バランスウェイトを少なくとも収容し、潤滑油が封入されている密閉容器と、を備え、前記バランスウェイトは、外周面から径方向内側に凹んでなる複数の切欠部と、前記回転子側の端面から前記回転子の軸方向に凹んでなる複数の凹部と、を有し、複数の前記切欠部は、それぞれ、前記バランスウェイトの周方向に設けられ、前記密閉容器内の空間に開口しており、前記回転子に埋設されている磁石を前記回転子の軸方向で投影した場合に前記磁石の周方向の両端部が前記切欠部に含まれており、前記凹部は、前記切欠部の径方向内側に設けられ、前記凹部と前記切欠部とが径方向で並んでいることとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、潤滑油の流出を抑制する圧縮機等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機の縦断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る圧縮機が備える電動機の回転子の横断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る圧縮機の電動機やバランスウェイトを含む縦断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの斜視図である。
図5A】本発明の第1実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの凹部、切欠部、油逃がし孔等の配置に関する説明図(平面図)である。
図5B】本発明の第1実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの下面図である。
図6】本発明の第1実施形態に関する第1の変形例に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの説明図(平面図)である。
図7】本発明の第1実施形態に関する第2の変形例に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの分解斜視図である。
図8A】本発明の第2実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの斜視図である。
図8B】本発明の第2実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの裏側の斜視図である。
図9A】本発明の第3実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの斜視図である。
図9B】本発明の第3実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの裏側の斜視図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイトの平面図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る空気調和機の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
<圧縮機の構成>
図1は、第1実施形態に係る圧縮機100の縦断面図である。
図1に示す圧縮機100は、ガス状の冷媒を圧縮する機器である。図1に示すように、圧縮機100は、密閉容器1と、圧縮機構部2と、フレーム3と、クランク軸4(駆動軸)と、主軸受5と、旋回軸受6と、電動機7と、を備えている。また、圧縮機100は、前記した構成の他に、オルダムリング8と、サブフレーム9と、副軸受10と、バランスウェイト11,12と、を備えている。
【0011】
密閉容器1は、電動機7、クランク軸4、圧縮機構部2、バランスウェイト11,12等を収容する殻状の容器であり、略密閉されている。密閉容器1には、圧縮機100の潤滑性を高めるための潤滑油が封入され、密閉容器1の底部に油溜りMとして貯留されている。密閉容器1は、円筒状の筒チャンバ1aと、この筒チャンバ1aの上部に溶接されている蓋チャンバ1bと、筒チャンバ1aの下部に溶接されている底チャンバ1cと、を備えている。
【0012】
図1に示すように、密閉容器1の蓋チャンバ1bには、吸入パイプPaが差し込まれて固定されている。吸入パイプPaは、圧縮機構部2の吸入室Hに冷媒を導く管である。また、密閉容器1の筒チャンバ1aには、吐出パイプPbが差し込まれて固定されている。吐出パイプPbは、圧縮機構部2で圧縮された冷媒を圧縮機100の外部に導く管である。
【0013】
圧縮機構部2は、クランク軸4の回転に伴って、冷媒を圧縮する機構である。圧縮機構部2は、固定スクロール21と、旋回スクロール22と、を備え、密閉容器1内の上部空間に配置されている。
【0014】
固定スクロール21は、密閉容器1内に固定される固定部材である。固定スクロール21は、円板状を呈する肉厚の台板21aと、この台板21aの下側に立設される渦巻状のラップ21bと、を備えている。台板21aの周縁付近には、吸入パイプPaを介して冷媒が導かれる吸入室Hが設けられている。
【0015】
旋回スクロール22は、その旋回によって固定スクロール21との間に圧縮室Cを形成する移動部材である。旋回スクロール22は、円板状の台板22aと、この台板22aに立設される渦巻状のラップ22bと、クランク軸4の上端部に嵌合されるボス部22cと、を備えている。図1に示すように、ラップ22bが台板22aの上側に延びている一方、ボス部22cは台板22aの下側に延びている。
【0016】
そして、固定スクロール21の渦巻状のラップ21bと、旋回スクロール22の渦巻状のラップ22bと、の間に、所定の圧縮室Cが形成される。圧縮室Cは、ガス状の冷媒を圧縮する空間であり、旋回スクロール22のラップ22bの外線側・内線側にそれぞれ形成される。固定スクロール21の台板21aの中心付近には、圧縮室Cで圧縮された冷媒を密閉容器1内の上部空間に導く吐出口Vが設けられている。
【0017】
図1に示すフレーム3は、旋回スクロール22を支持し、また、主軸受5を固定する部材である。このフレーム3は、概ね回転対称な形状を呈し、固定スクロール21の下側に締結されている。フレーム3には、クランク軸4が挿通される孔(図1では符号を図示せず)が設けられている。
クランク軸4は、電動機7の回転子7bと一体で回転する軸であり、上下方向に延びている。図1に示すように、クランク軸4は、主軸4aと、この主軸4aの上側に連なる鍔部4bと、この鍔部4bの上側に連なる偏心部4cと、を備えている。
【0018】
主軸4aは、電動機7の回転子7bに同軸で固定され、この回転子7bと一体で回転する。鍔部4bは、円柱状を呈し、主軸4aと偏心部4cとの間において主軸4aと同軸に設けられている。なお、鍔部4bの径は、主軸4aや偏心部4cの径よりも大きい。
偏心部4cは、主軸4aに対して偏心しながら回転する軸であり、前記したように、旋回スクロール22のボス部22cに嵌合している。そして、偏心部4cが偏心しながら回転することで、旋回スクロール22が旋回するようになっている。
【0019】
主軸受5は、主軸4aの上部を回転自在に軸支するものであり、フレーム3の孔(図1では符号を図示せず)の周壁面に固定されている。
旋回軸受6は、偏心部4cを回転自在に軸支するものであり、ボス部22cの内周壁に固定されている。
【0020】
なお、クランク軸4の内部には、潤滑油が通流する給油路4dが上下方向に設けられている。給油路4dを介して通流する潤滑油は、圧縮機構部2の他、主軸受5や旋回軸受6、副軸受10等に導かれる。
【0021】
電動機7は、クランク軸4を回転させる駆動源であり、フレーム3の下側に配置されている。図1に示すように、電動機7は、固定子7aと、回転子7bと、巻線7cと、を備えている。固定子7aは、電磁鋼板が積層されてなる円筒状の部材であり、筒チャンバ1aの内周壁に固定されている。回転子7bは、電磁鋼板が積層されてなる円筒状の部材であり、固定子7aの径方向内側に配置されている。なお、回転子7bには、クランク軸4が圧入等で固定されている。巻線7cは、電流が流れる配線であり、所定に巻回されて固定子7aに設置されている。
【0022】
オルダムリング8は、偏心部4cの偏心回転を受けて、旋回スクロール22を自転させることなく旋回させる輪状部材である。オルダムリング8は、旋回スクロール22とフレーム3との間に設けられている。
【0023】
バランスウェイト11,12は、圧縮機構部2によって生じる回転のアンバランスを緩和する円弧状の部材である。図1の例では、一方のバランスウェイト11が鍔部4bの外周壁に設置され、他方のバランスウェイト12が電動機7の回転子7bの下側に設置されている。なお、バランスウェイト11,12の相対的な位置関係は、事前の実験やシミュレーションに基づいて適宜に設定される。本実施形態の主な特徴は、回転子7bの下側に設置されているバランスウェイト12の構成にあるが、このバランスウェイト12の詳細については後記する。
【0024】
図1に示すサブフレーム9は、クランク軸4の下部を回転自在に軸支するものであり、密閉容器1の内周壁に固定されている。
副軸受10は、クランク軸4の下部を回転自在に軸支するものであり、サブフレーム9の孔(符号は図示せず)の周壁面に固定されている。
【0025】
また、図1には図示していないが、クランク軸4の給油路4dの上流端(つまり、クランク軸4の下端付近)には、所定に捻じ曲げられた薄板状の金属片(図示せず)が設置されている。そして、前記した金属片がクランク軸4と一体で回転することで、給油路4dを介して、潤滑油が汲み上げられるようになっている。
【0026】
そして、電動機7の駆動によって旋回スクロール22が旋回すると、これに伴って次々に形成される圧縮室Cの容積が縮小し、ガス状の冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、固定スクロール21の吐出口Vを介して、密閉容器1内の上部空間に吐出され、さらに、フレーム3と筒チャンバ1aとの間の隙間を介して、圧縮機構部2の下側に導かれる。したがって、圧縮機構部2の上側・下側の空間では、それぞれ、吐出圧力に略等しいガス状の冷媒が充満している。圧縮機構部2の下側に導かれた冷媒は、吐出パイプPb等を介して凝縮器(図示せず)に導かれ、所定の冷凍サイクルで循環する。
なお、図1に示す圧縮機100の構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0027】
図2は、電動機7の回転子7bの横断面図である。
図2に示す円筒状の回転子7bは、軸方向に積層された複数の電磁鋼板71bと、6つの永久磁石72b(磁石)と、一対の端板72c,72d(図3参照)と、を備えている。複数の電磁鋼板71bの外周縁付近には、薄板矩形状の永久磁石72bが挿入される6つの磁石挿入孔h1が、周方向で略等間隔に設けられている。また、回転子7bには、後記するリベット13を貫通させるためのリベット貫通孔h2が、磁石挿通孔h1よりも径方向内側に複数(図2の例では6つ)設けられている。
【0028】
図3は、電動機7やバランスウェイト12を含む縦断面図である。
図3に示すように、回転子7bの上面(設置位置が最も高い電磁鋼板71bの上面)には、円環状の端板72cが設置されている。一方、回転子7bの下面(設置位置が最も低い電磁鋼板71bの下面)には、円環状の別の端板72dが設置されている。これらの一対の端板72c,72dによって磁石挿入孔h1(図2参照)が塞がれ、回転子7bから永久磁石72bが抜けることを防止するようになっている。
【0029】
バランスウェイト12は、圧縮機構部2によって生じる回転のアンバランスを緩和し、圧縮機100の振動を抑制する部材であり、端板72dの下面に設置されている。本実施形態では、バランスウェイト12の構成材料として、密度が比較的高くて安価な鉄材(磁性体)を用いる場合について説明する。
【0030】
図3に示すリベット13は、端板72c,72dやバランスウェイト12を回転子7bに固定するものである。これらのリベット13は、前記したリベット貫通孔h2等(図2参照)を貫通して、加締め固定されている。次に、図4等を用いて、バランスウェイト12の構成について説明する。
【0031】
図4は、圧縮機が備えるバランスウェイト12の斜視図である。
図4に示すように、バランスウェイト12は、円弧状を呈し、高さ方向に所定の厚みを有している。また、バランスウェイト12は、上面Tから回転子7bの軸方向に凹んでなる3つの凹部12aを備えるとともに、外周面から径方向内側に凹んでなる3つの切欠部12bを備えている。
なお、バランスウェイト12の上面Tとは、回転子7b側(図3参照)の端面であって、その少なくとも一部が端板72d(図3参照)に接触している。一方、バランスウェイト12の下面B(図5B参照)とは、回転子7b(図3参照)とは反対側の端面であって、平面状を呈している。
【0032】
別の観点から説明すると、バランスウェイト12は、概ね次のような構成になっている。すなわち、バランスウェイト12は、所定の厚みを有する仮想的な円筒状の部材(図示せず)を、中心軸線Z(図3参照)に平行な所定の平面(図示せず)で略半分に切断し、さらに、凹部12aや切欠部12bを設けた構成になっている。さらに、バランスウェイト12は、リブ12c(第1リブ)と、油逃がし孔h3(第1孔)と、リベット貫通孔h4と、を備えている。
【0033】
凹部12aは、前記したように、バランスウェイト12の上面Tから軸方向下側に凹んだ部分であり、主に、バランスウェイト12の重量調整に用いられる。例えば、バランスウェイト12の重量を軽くする際には、バランスウェイト12の上面Tを基準として凹部12aの底面が深くなるように、設計段階で適宜に設計される。
【0034】
なお、切欠部12bの深さでもバランスウェイト12の重量の調整は可能であるが、後記するように、切欠部12bは、主として、ミスト状の潤滑油に横方向の力を作用させる機能や、永久磁石72bの磁束の漏れを抑制する機能を担っている。
【0035】
図4に示す例では、凹部12aの内壁面は、一対の周壁面121a,122aと、一対の側面123a,124aと、底面125aと、を含んでいる。前記した一対の周壁面121a,122aは、回転子7b(図3参照)の中心軸線Zを中心として、平面視で円弧状を呈している。なお、一方の周壁面121aよりも他方の周壁面122aの方が、径方向外側に位置している。
【0036】
一対の側面123a,124aは、周壁面121a,122aに連なる平面状の壁面であり、回転子7b(図3参照)の中心軸線Zを基準として平面視で径方向に設けられている。一方、凹部12aの底面125aは、平面状になっている。図4の例では、3つの凹部12aが、それぞれ、同様の形状になっている。
【0037】
図4に示すように、3つの凹部12aは、周方向で略等間隔に設けられ、また、切欠部12b(第1切欠部)の径方向内側に設けられている。また、凹部12aと切欠部12bとが径方向で並んでいる。そして、バランスウェイト12の回転子7b側の端面(つまり、上面T)は、凹部12aの周囲において回転子7bに接触している(図3参照)。
【0038】
それぞれの凹部12aには、所定の径を有する油逃がし孔h3(第1孔)がひとつずつ設けられている。これらの油逃がし孔h3は、凹部12aに溜まった油を逃がすための孔であり、凹部12aから回転子7bの軸方向に貫通している。なお、油逃がし孔h3の径は、後記するリベット貫通孔h4の径よりも小さく、また、リベット13(図3参照)の径(回転子7bを貫通している部分の径)よりも小さい。
油逃がし孔h3は、凹部12aと回転子7bとの間の空間Ga(図3参照)に開口するとともに、密閉容器1内の空間G1(図1参照)にも開口し、または、バランスウェイト12の下面B(回転子7bと接触する面である上面Tとは反対側の面)に開口している。したがって、凹部12aと回転子7bとの間の空間Ga(図3参照)は、油逃がし孔h3を介して、密閉容器1内の空間G1に連通している。
【0039】
このような油逃がし孔h3を設けることで、バランスウェイト12と端板72d(図3参照)との間の微小な隙間を介して、凹部12aに潤滑油が入り込んでも、この潤滑油が油逃がし孔h3を介して、凹部12aからバランスウェイト12の下側に流れ落ちる。したがって、凹部12aに入り込んだ潤滑油の重量によって、バランスウェイト12の機能(回転のアンバランスを緩和)に悪影響が及ぶことを抑制できる。
【0040】
図4に示す3つの切欠部12bは、それぞれ、バランスウェイト12の外周面よりも径方向内側に凹んだ部分であり、バランスウェイト12の回転子7b側(図3参照)の外周縁部に設けられている。すなわち、3つの切欠部12bは、それぞれ、バランスウェイト12の周方向に設けられ、密閉容器1内の空間に開口している。図4の例では、凹部12aの壁面は、周壁面121bと、一対の側面122b,123bと、底面124bと、を含んでいる。
【0041】
まず、周壁面121bは、回転子7b(図3参照)の中心軸線Zを中心として、平面視で円弧状を呈している。一対の側面122b,123bは、前記した周壁面121bに連なっており、また、回転子7b(図3参照)の中心軸線Zを基準として平面視で径方向に設けられている。また、切欠部12bの底面124bは、平面状になっている。図4の例では、3つの切欠部12bが、それぞれ、同様の形状になっている。
【0042】
また、それぞれの切欠部12bにおいて、回転子7b(図3参照)の中心軸線Zに最も近い壁面(つまり、周壁面121b)は、バランスウェイト12の内周面よりも径方向外側に位置している。このような構成によれば、切欠部12bの径方向内側の部分がバランスウェイト12の重量の一部を占めるため、バランスウェイト12の軸方向の長さを比較的短くできる。また、切欠部12bの径方向内側の部分において、バランスウェイト12が安定的に保持される。
【0043】
なお、図4の例では、凹部12aの軸方向の深さと、切欠部12bの軸方向の深さと、が同一になっているが、これらが異なっていてもよい。
図4に示すように、周方向において3つの切欠部12bが、略等間隔で設けられている。また、バランスウェイト12の回転子7b側(図3参照)の外周縁部において、切欠部12bが設けられている箇所と、回転子7bと、の間に所定の空隙Gb(図3参照)が設けられている。
【0044】
詳細については後記するが、回転子7bの永久磁石72bを軸方向で投影した場合の領域R(図5A参照)が、切欠部12bに含まれている。これによって、バランスウェイト12を鉄材等の磁性体で構成した場合でも、回転子7bの永久磁石72bの磁束が、端板72d(図3参照)を介してバランスウェイト12側に洩れることを抑制できる。なぜなら、切欠部12bと端板72d(図3参照)との間は空隙Gb(図3参照)になっており、磁束が通りにくいからである。その結果、電動機7からの磁束の漏れが抑制されるため、電動機7を高効率で駆動させることができる。なお、切欠部12bの軸方向の深さは、電動機7からの磁束の漏れが抑制される程度に設計段階で適宜に調整される。
【0045】
図4に示すように、周方向で隣り合う凹部12aの間、及び、周方向で隣り合う切欠部12bの間には、径方向に延びる2つのリブ12c(第1リブ)が設けられている。これらのリブ12cの径方向外側の壁面は、バランスウェイト12の外周面と面一になっている。また、バランスウェイト12の周方向の両端部にも、それぞれ、リブ12cが設けられている。それぞれのリブ12cの回転子7b側の端面(つまり、上面Tの一部)は、回転子7bに接触している。より詳しく説明すると、それぞれのリブ12cの上面は、回転子7bの端板72d(図3参照)の下面に接触している。また、図4の例では、リベット13(図3参照)を貫通させるためのリベット貫通孔h4が、4つのリブ12cにひとつずつ設けられている。
【0046】
図4の例では、リブ12cの周方向の長さ(周方向の肉厚)が、凹部12aの周方向の長さよりも短く、また、切欠部12bの周方向の長さよりも短くなっている。なお、凹部12aの周方向の長さとは、凹部12aの底面125aの外周側の縁(円弧)の長さである。また、切欠部12bの周方向の長さとは、切欠部12bの底面124bの外周側の縁(円弧)の長さである。
また、図4の例では、リブ12cにおいて、凹部12aと切欠部12bとの間の部分の径方向の長さが、凹部12aの径方向の長さよりも短く、また、切欠部12bの径方向の長さよりも短くなっている。
【0047】
このようなリブ12cを設けることで、バランスウェイト12を安定して保持できる。また、回転子7bとともにバランスウェイト12が回転しているとき、リブ12cによって(言い換えれば、切欠部12bによって)、ミスト状の潤滑油に横方向の力が作用し、潤滑油の速度ベクトルにおける縦方向・横方向の速度成分の比率が変わる。次に、このような潤滑油の流れについて詳細に説明する。
【0048】
回転子7bとともにバランスウェイト12が回転すると、電動機7(図1参照)の下側に存在しているミスト状の潤滑油に、切欠部12bの壁面(特に、回転の向きとは反対側の側面)から横方向の力が作用する。ここで、ミスト状の潤滑油の速度ベクトルに着目すると、縦方向の速度成分に対して、横方向の速度成分が相対的に大きくなる。つまり、ミスト状の潤滑油が、密閉容器1内(図1参照)において所定の大きさの速度ベクトルで移動しているとすると、前記した速度ベクトルの大きさに占める横方向の速度成分が大きくなる一方、縦方向の速度成分が小さくなる。
【0049】
そうすると、固定子7a(図1参照)と回転子7b(同図参照)との間の隙間を介して、ミスト状の潤滑油が上向きに移動する、という流れが生じにくくなる。その結果、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出が抑制されるため、圧縮機構部2の各摺動部が良好に潤滑され、また、圧縮室Cのシール性が確保される。
【0050】
図5Aは、バランスウェイト12の凹部12a、切欠部12b、油逃がし孔h3等の配置に関する説明図(平面図)である。
以下では、径方向における凹部12aの中間位置の点の集まりを含む所定の円弧を中間円弧J(図5Aの二点鎖線)という。図5Aに示す例では、3つの凹部12aは、それぞれの中間円弧Jが略一致するように、周方向に並んで配置されている。また、凹部12aに設けられた油逃がし孔h3は、中間円弧Jよりも径方向外側に配置されている。言い換えると、油逃がし孔h3は、径方向における凹部12aの中間位置よりも径方向外側に設けられている。
【0051】
凹部12aに潤滑油が溜まっている状態で、回転子7bとともにバランスウェイト12が回転すると(図5Aの回転の向きを示す矢印を参照)、それに伴って、潤滑油が遠心力で径方向外向きに移動する。ここで、油逃がし孔h3が凹部12aの中間円弧Jよりも径方向外側に設けられているため、遠心力で径方向外向きに移動した潤滑油が、油逃がし孔h3を介して、バランスウェイト12の下側に逃がされやすくなる。
【0052】
また、前記したように、回転子7bに埋設されている永久磁石72b(磁石)を回転子7bの軸方向に投影した場合の領域Rが、切欠部12b(第1切欠部)に含まれている。したがって、バランスウェイト12を鉄材等の磁性体で構成した場合でも、永久磁石72bの磁束がバランスウェイト12側に洩れることを抑制できる。
なお、永久磁石72bと切欠部12bとの位置関係は、これに限定されるものではない。例えば、永久磁石72bを回転子7bの軸方向に投影した場合の領域Rが、切欠部12bの少なくとも一部に(望ましくは全部に)含まれているようにしてもよい。このように領域Rが切欠部12bの少なくとも一部に含まれる場合において、領域Rの周方向の両端部が切欠部12bに含まれる一方、領域Rの周方向の中央部が切欠部12bに含まれない構成であってもよい。このような構成でも、永久磁石72bの磁束の漏れを抑制できる。
【0053】
なお、永久磁石72bを軸方向で投影した場合の領域Rが、切欠部12b(第1切欠部)の径方向内側の縁に近接していることが好ましい。図5Aの例では、永久磁石72bを軸方向で投影した場合の領域Rが、切欠部12bの縁に接している。より詳しく説明すると、永久磁石72bの中心軸線Z側の側面において、回転子7bの中心軸線Zに最も近い位置Fが、切欠部12bの径方向内側の縁に接している。このような構成も、「永久磁石72bを軸方向で投影した場合の領域Rが、切欠部12bに含まれている」、という事項に含まれる。
【0054】
このように切欠部12bと永久磁石72bとの位置関係を規定することで、永久磁石72bからの磁束の漏れを抑制しつつ、切欠部12bが径方向内側に凹む長さを最小限に抑えることができる。したがって、バランスウェイト12を設計する際、バランスウェイト12の軸方向の長さが短くてすむため、圧縮機100(図1参照)のコンパクト化を図ることができる。
【0055】
なお、バランスウェイト12の軸方向全長に亘って切欠部12bを形成するよりも、図4に示すように、回転子7b側(図3参照)の外周縁部に切欠部12bが形成されているほうが好ましい。バランスウェイト12において径方向外側に位置する領域ほど、回転中の慣性モーメントが大きく、回転バランスを良好に保つというバランスウェイト12の機能に寄与する程度が大きいからである。
【0056】
図5Bは、圧縮機が備えるバランスウェイト12の下面図である。
図5Bに示すように、バランスウェイト12の下面Bは、平面状になっている。また、バランスウェイト12の下面Bには、前記した油逃がし孔h3が開口するとともに、リベット貫通孔h4が開口している。
【0057】
<効果>
第1実施形態によれば、バランスウェイト12(図4参照)の切欠部12bの壁面からミスト状の潤滑油に対して横方向の力が作用するため、潤滑油が縦方向に移動しにくくなる。その結果、潤滑油が縦方向に吹き上げられる流れが抑制されるため、吐出パイプPbを介した潤滑油の流出を抑制できる。
【0058】
また、バランスウェイト12にいおいて切欠部12b(図3参照)が設けられている箇所と回転子7bとの間に所定の空隙Gbが設けられ、さらに、永久磁石72bを軸方向で投影した場合の領域R(図5A参照)が切欠部12bに含まれている。したがって、鉄材等の磁性体のバランスウェイト12を用いた場合でも、磁束の漏れを抑制できる。このように、第1実施形態によれば、電動機7(図1参照)の効率の低下を抑制しつつ、圧縮機100(図1参照)の製造コストを削減できる。さらに、端板72d(図3参照)の肉厚を厚くせずとも、磁束の漏れを抑制できるため、圧縮機100のサイズが大きくなるおそれもほとんどない。
【0059】
また、バランスウェイト12の凹部12a(図4参照)に油逃がし孔h3を設けることで、凹部12aに入り込んだ潤滑油をバランスウェイト12の下側に逃がすことができる。また、油逃がし孔h3が、中間円弧J(図5A参照)よりも径方向外側にを設けられているため、遠心力で径方向外向きに移動した潤滑油が、油逃がし孔h3を介して、凹部12aから逃がされやすくなる。
【0060】
≪第1実施形態に関する第1の変形例≫
図6は、第1の変形例に係る圧縮機が備えるバランスウェイト12Aの説明図(平面図)である。
図6に示すように、バランスウェイト12Aの凹部12aに設けられた油逃がし孔h3(第1孔)が、凹部12a内において、周方向で回転子7bが回転する向きとは反対側に設けられているようにしてもよい。ここで、「反対側」とは、凹部12a内における周方向での中間位置と、凹部12aにおいて回転子7bが回転する向きとは反対側の側面と、の間の領域を意味している。
【0061】
これによって、回転子7b(図3参照)と一体でバランスウェイト12Aが回転しているとき、凹部12aに溜まった潤滑油が、その慣性によって、回転子7bの回転する向きとは反対側に偏って分布する。したがって、凹部12aにおいて、回転子7bが回転する向きとは反対側に油逃がし孔h3を設けることで、この油逃がし孔h3を介して、凹部12aから潤滑油が逃がされやすくなる。
【0062】
なお、第1実施形態の図5Aで説明した油逃がし孔h3の配置と、第1の変形例として図6で説明した油逃がし孔h3の配置と、を組み合わせてもよい。すなわち、凹部12aにおいて、中間円弧J(図5A参照)よりも径方向外側であり、さらに、回転子7bが回転する向きとは反対側に油逃がし孔h3を設けるようにしてもよい。これによって、遠心力で径方向外側に移動し、さらに、慣性によって回転子7bの回転する向きとは反対側に偏って分布する潤滑油が、油逃がし孔h3を介して、凹部12aから逃がされやすくなる。
【0063】
≪第1実施形態に関する第2の変形例≫
図7は、第2の変形例に係る圧縮機が備えるバランスウェイト12Bの分解斜視図である。
図7に示すように、バランスウェイト12Bが、全体として一体成形されるのではなく、回転子7bの軸方向に積層される複数の鋼板として、例えば、3枚の第1鋼板121と、6枚の第2鋼板122と、を有するようにしてもよい。
【0064】
第1鋼板121には、切欠部12bやリベット貫通孔h4が設けられ、さらに、凹部12a(図4参照)を形成するための孔h5や、リブ12c(図4参照)を形成するための突出部121cが設けられている。
なお、突出部121cは、回転子7b(図3参照)との接触面積や強度の確保の他、第1鋼板121や第2鋼板122を積層する際の周方向・径方向の位置決めや、径方向の加圧力を受けるのに用いられる。図7に示すように、3枚の第1鋼板121は、それぞれ、同様の形状になっている。
【0065】
第2鋼板122には、油逃がし孔h3やリベット貫通孔h4が設けられている。第2鋼板122には、第1鋼板121のような切欠部12bが設けられておらず、また、凹部12a(図4参照)を形成するための孔h5も設けられていない。なお、6枚の第2鋼板122は、それぞれ、同様の形状になっている。
【0066】
図7の例では、3枚の第1鋼板121が積層されてなる第1積層体12sの下側に、6枚の第2鋼板122が積層されてなる第2積層体12tが重ね合わされることで、第1実施形態(図4参照)と同様の形状のバランスウェイト12Bが形成される。
【0067】
このように、バランスウェイト12Bが積層鋼板で構成されているため、例えば、第1鋼板121の積層枚数を適宜に変えることで、凹部12a(図4参照)の深さを調整したり、回転子7b(図3参照)と切欠部12bの底面との間の空隙Gbの長さ(図3参照)を調整できる。したがって、圧縮機100(図1参照)の仕様に応じて、バランスウェイト12Bの凹部12a(図1参照)や切欠部12bの深さを変更する際、第1鋼板121や第2鋼板122として共通のものを用いることができるため、バランスウェイト12Bの製造コストを削減できる。
【0068】
なお、図7に示す第1鋼板121とは別種類の第1鋼板(図示せず)として、切欠部12bが設けられているものの、凹部12a(図4参照)に相当する孔h5が設けられていない鋼板を、第1鋼板121と第2鋼板122との間に挿入してもよい。また、図7に示す第2鋼板122とは別種類の第2鋼板(図示せず)として、切欠部12bが設けられていないものの、凹部12a(図4参照)に相当する孔h5が設けられた鋼板を、第1鋼板121と第2鋼板122との間に挿入してもよい。これによって、切欠部12bの深さと、凹部12aの深さと、をそれぞれ独立に調整できる。
【0069】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係るバランスウェイト12C(図8A図8B参照)は、前記した第1鋼板121と第2鋼板122とが軸方向で交互に積層されている点が、第1実施形態の第2の変形例(図7参照)とは異なっている。なお、圧縮機100(図1参照)の全体的な構成の他、第1鋼板121・第2鋼板122のそれぞれの構成については、第1実施形態の第2の変形例(図7参照)と同様である。したがって、第1実施形態の第2の変形例とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0070】
図8Aは、第2実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイト12Cの斜視図である。
図8Aに示すように、バランスウェイト12Cは、第1鋼板121と、第2鋼板122と、が回転子7bの軸方向で交互に積層された構成になっている。図8Aの例では、バランスウェイト12Cを構成する各鋼板として、8枚の第1鋼板121、及び、8枚の第2鋼板122が用いられているが、各鋼板の枚数はこれに限定されるものではない。
【0071】
前記したように、第1鋼板121には、切欠部12bやリベット貫通孔h4、突出部121c(第1リブ)が設けられるとともに、凹部12a(図4参照)を形成するための孔h5が設けられている。一方、第2鋼板122には、油逃がし孔h3やリベット貫通孔h4が設けられているが、切欠部12bや孔h5は設けられていない。
【0072】
このような構成のバランスウェイト12Cが回転子7b(図1参照)とともに回転すると、それぞれの第1鋼板121の切欠部12bの壁面(回転の向きとは逆側の側面)がミスト状の潤滑油に衝突し、バランスウェイト12Cから潤滑油に横方向の力が作用する。その結果、潤滑油の縦方向の流れが抑制され、ひいては、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出が抑制される。
【0073】
さらに、図8Aに示すバランスウェイト12Cは、第1鋼板121と第2鋼板122とが軸方向で交互に積層されているため、第1実施形態(図4参照)よりもバランスウェイト12Cの表面積が大きくなっている。したがって、電動機7(図1参照)の駆動中、その表面張力でバランスウェイト12Cに付着する潤滑油の量が、第1実施形態よりも多くなる。その結果、バランスウェイト12Cの下側に浮遊するミスト状の潤滑油の量が少なくなり、固定子7a(図1参照)と回転子7b(図1参照)との間の隙間を介した潤滑油の吹き上げが生じにくくなる。したがって、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出が抑制される。
【0074】
また、図8Aに示すように、バランスウェイ12Cにおいて、回転子7b(図1参照)の軸方向で回転子7bに最も近い位置(つまり、上端部)には、第1鋼板121が設けられている。このような構成において、軸方向で回転子7b(図1参照)に最も近い位置の第1鋼板121の切欠部12bには、回転子7bに埋設されている永久磁石72b(磁石)を軸方向で投影した場合の領域R(図5A参照)が含まれていることが好ましい。これによって、バランスウェイト12Cを鉄材等の磁性体で構成した場合でも、回転子7bの永久磁石72bの磁束が、端板72d(図3参照)を介してバランスウェイト12C側に洩れることを抑制できる。
【0075】
図8Bは、圧縮機が備えるバランスウェイト12Cの裏側の斜視図である。
すなわち、図8Bは、図8Aのバランスウェイト12Cを下側から斜め方向に見上げた斜視図である。図8の例では、バランスウェイト12Cにおいて、軸方向で回転子7bから最も遠い位置(つまり、下端部)には第2鋼板122が設置され、バランスウェイト12Cの下面が平面状になっている。
【0076】
<効果>
第2実施形態によれば、第1鋼板121と第2鋼板122とが軸方向で交互に積層された構成であるため、バランスウェイト12Cの表面積を大きくすることができる。したがって、電動機7(図1参照)の駆動中、バランスウェイト12Cに多くの潤滑油が付着し、バランスウェイト12Cの下側に浮遊するミスト状の潤滑油の量が少なくなる。これによって、固定子7a(図1参照)と回転子7b(図1参照)との間の隙間を介した潤滑油の吹き上げが生じにくくなり、ひいては、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出が抑制される。
【0077】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、バランスウェイト12D(図9A図9B参照)の下部にも切欠部12d(第2切欠部)及びリブ12e(第2リブ)が設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。なお、バランスウェイト12Dの上部・中間部の構成は、第1実施形態(図4参照)と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0078】
図9Aは、第3実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイト12Dの斜視図である。
図9Aに示すように、バランスウェイト12Dは、軸方向の下部に切欠部12d及びリブ12eを備えている。すなわち、バランスウェイト12Dは、バランスウェイト12Dの回転子7bとは反対側(つまり、下側)の外周縁部に設けられる3つの切欠部12d(第2切欠部)を備えている。複数の切欠部12dは、それぞれ、バランスウェイト12Dの周方向に設けられ、密閉容器1内の空間G1(図1参照)に開口している。また、周方向で隣り合う切欠部12dの間には、径方向に延びるリブ12e(第2リブ)が設けられている。
【0079】
また、図9Aの例では、回転子7b(図1参照)の軸方向に投影した場合の切欠部12dの位置は、この切欠部12dの上側の別の切欠部12bの位置に略一致している。これによって、例えば、バランスウェイト12Dを積層鋼板で構成する場合、鋼板の種類が少なくてすむため、バランスウェイト12Dの製造コストを削減できる。具体的には、第1実施形態の第2の変形例(図7参照)で説明した第1鋼板121及び第2鋼板122を用いて、第1鋼板121、第2鋼板122、及び第1鋼板121を、この順で所定枚数ずつ軸方向で積層することで、図9Aに示すバランスウェイト12Dを製造できる。
【0080】
図9Bは、圧縮機が備えるバランスウェイト12Dの裏側の斜視図である。
すなわち、図9Bは、バランスウェイト12Dを下側から斜め方向に見上げた斜視図である。図9Bの例では、バランスウェイト12Dの下面が平面状になっており、油逃がし孔h3及びリベット貫通孔h4が開口している。
【0081】
<効果>
第3実施形態によれば、バランスウェイト12Dの下部に切欠部12d及びリブ12eが設けられているため、回転子7b(図1参照)とともにバランスウェイト12Dが回転しているとき、上側の切欠部12b(図9A参照)の壁面の他、下側の切欠部12d(図9A参照)の壁面もミスト状の潤滑油に衝突する。その結果、バランスウェイト12Dから潤滑油に横方向の力が作用しやすくなり、潤滑油が縦方向に移動しにくくなる。したがって、潤滑油が縦方向に吹き上げられる流れが抑制されるため、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出を抑制できる。
【0082】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、バランスウェイト12E(図10参照)が円筒状である点が、第1実施形態(図4参照)等とは異なっている。なお、回転子7bの中心軸線Zと平行な所定の平面K(図10参照)で円筒状のバランスウェイト12E(図10参照)を切断した場合の一方の部分は、第1実施形態(図4参照)と同様の構成になっている。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0083】
図10は、第4実施形態に係る圧縮機が備えるバランスウェイト12Eの平面図である。つまり、図10は、回転子7b側(図1参照)からバランスウェイト12Eを見下ろした場合の平面図である。また、図10では、回転子7bの永久磁石72b(図1参照)を軸方向に投影した場合の領域Rを破線で示している。
【0084】
図10に示すように、バランスウェイト12Eは、円筒状を呈している。バランスウェイト12Eは、凹部12aと、切欠部12b,12fと、リブ12c,12gと、油逃がし孔h3と、リベット貫通孔h4と、肉抜き孔h6と、を備えている。
前記したように、回転子7bの中心軸線Zに平行な所定の平面Kで円筒状のバランスウェイト12Eを切断した場合の一方の円弧状の部分S1は、第1実施形態(図4参照)と同様の構成である。したがって、以下では、主に、他方の円弧状の部分S2について説明するが、一方の部分S1についても言及することがある。
【0085】
図10に示す例では、バランスウェイト12Eの外周面から径方向内側に凹んでなる3つの切欠部12b、及び、3つの切欠部12fが、周方向で略等間隔に設けられている。3つの切欠部12bは円弧状の部分S1に含まれている一方、残りの3つの切欠部12fは、円弧状の部分S2に含まれている。これらの切欠部12b,12fは、永久磁石72bを軸方向に投影した場合の領域Rを含むように配置されている。これによって、バランスウェイト12Eを鉄材等の磁性体で構成した場合でも、回転子7b(図3参照)の永久磁石72bの磁束が、端板72d(図3参照)を介してバランスウェイト12E側に洩れることを抑制できる。
【0086】
また、周方向で隣り合う切欠部12fの間には、径方向に延びるリブ12gが設けられている。このようにリブ12gを設けることで、潤滑油に横方向の力が作用しやすくなり、潤滑油の速度ベクトルの大きさに占める横方向の速度成分の比率が大きくなる。また、表面積が比較的大きいバランスウェイト12Eにミスト状の潤滑油が付着するため、電動機7(図1参照)の下側に浮遊するミスト状の潤滑油の量が少なくなる。したがって、固定子7a(図1参照)と回転子7b(図1参照)との間の隙間を介して上昇する潤滑油の量を少なくすることができる。
【0087】
それぞれのリブ12gの所定位置には、リベット貫通孔h4が設けられている。また、バランスウェイト12Eに含まれる円弧状の部分S1には3つの凹部12aが設けられている一方、他方の円弧状の部分S2には肉抜き孔h6が設けられている。図10の例では、肉抜き孔h6の縁の形状が、凹部12aの縁の形状と同様になっているが、両者が異なっていてもよい。
【0088】
これら3つの肉抜き孔h6は、一方の半円弧状の部分S1よりも他方の部分S2の重量を小さくする(つまり、部分S1,S2の慣性モーメントが異なるようにする)ために設けられている。それぞれの肉抜き孔h6は軸方向に貫通し、バランスウェイト12Eの回転子7b側(図1参照)で開口するとともに、回転子7bとは反対側でも開口している。また、他方の部分S2の軽量化を図るために、周方向で隣り合うリブ12gの間の切欠部12fは、バランスウェイト12Eにおける軸方向の全長に亘って設けられている。
なお、バランスウェイト12Eにおいて、回転子7b(図1参照)とは反対側の面は、平面状であってもよいし、所定の凹凸形状が設けられていてもよい。
【0089】
<効果>
電動機7(図1参照)の駆動中、表面積が比較的大きいバランスウェイト12Eにミスト状の潤滑油が付着し、また、切欠部12b,12fの壁面からミスト状の潤滑油に横方向の力が作用する。これによって、固定子7a(図1参照)と回転子7b(図1参照)との間の隙間を介して移動する潤滑油の量が少なくなるため、吐出パイプPb(図1参照)を介した潤滑油の流出を抑制できる。
【0090】
また、永久磁石72bを軸方向に投影した場合の領域Rを含むように切欠部12b,12fが配置されている。したがって、バランスウェイト12Eを鉄材等の磁性体で構成した場合でも、回転子7b(図3参照)に埋設されている永久磁石72bの磁束が、端板72d(図3参照)を介して洩れることを抑制できる。
【0091】
≪第5実施形態≫
第5実施形態では、圧縮機100(図11参照)を備える空気調和機W(図11参照)の構成について説明する。なお、圧縮機100の構成については、第1実施形態(図1参照)で説明したものと同様であるから説明を省略する。
【0092】
図11は、第5実施形態に係る空気調和機Wの構成図である。
なお、図11の実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。
また、図11の破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
空気調和機Wは、冷房や暖房等の空調を行う機器である。図11に示すように、空気調和機Wは、圧縮機100と、室外熱交換器Eoと、室外ファンFoと、膨張弁Veと、四方弁Vfと、室内熱交換器Eiと、室内ファンFiと、を備えている。
【0093】
図11に示す例では、圧縮機100、室外熱交換器Eo、室外ファンFo、膨張弁Ve、及び四方弁Vfが、室外機Woに設けられている。一方、室内熱交換器Ei及び室内ファンFiは、室内機Wiに設けられている。
【0094】
圧縮機100は、ガス状の冷媒を圧縮する機器であり、第1実施形態(図1参照)と同様の構成を備えている。
室外熱交換器Eoは、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファンFoから送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
【0095】
室外ファンFoは、室外ファンモータMoの駆動によって、室外熱交換器Eoに外気を送り込むファンであり、室外熱交換器Eoの付近に設置されている。
【0096】
室内熱交換器Eiは、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室内ファンFiから送り込まれる室内空気(空調対象空間の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室内ファンFiは、室内ファンモータMiの駆動によって、室内熱交換器Eiに室内空気を送り込むファンであり、室内熱交換器Eiの付近に設置されている。
【0097】
膨張弁Veは、「凝縮器」(室外熱交換器Eo及び室内熱交換器Eiの一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、膨張弁Veによって減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器Eo及び室内熱交換器Eiの他方)に導かれる。
【0098】
四方弁Vfは、空気調和機Wの運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。なお、圧縮機100、室外ファンFo、膨張弁Ve、室内ファンFi等の機器は、制御装置(図示せず)からの指令に基づいて駆動する。
【0099】
例えば、冷房運転時(図11の破線矢印を参照)には、圧縮機100、室外熱交換器Eo(凝縮器)、膨張弁Ve、及び室内熱交換器Ei(蒸発器)を順次に介して循環する。
一方、暖房運転時(図11の実線矢印を参照)には、圧縮機100、室内熱交換器Ei(凝縮器)、膨張弁Ve、及び室外熱交換器Eo(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。このように、圧縮機100、「凝縮器」、膨張弁Ve、及び「蒸発器」を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、「凝縮器」及び「蒸発器」の一方は室外熱交換器Eoであり、他方は室内熱交換器Eiである。
【0100】
<効果>
第5実施形態によれば、圧縮機100からの潤滑油の流出を抑制することで、信頼性が高く、また、運転効率の高い空気調和機Wを提供できる。
【0101】
≪変形例≫
以上、本発明に係る圧縮機100等について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、回転子7b(図1参照)の下側にバランスウェイト12が設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、回転子7bの上側にバランスウェイト(図示せず)を設けてもよいし、また、軸方向において回転子7bの両側にバランスウェイトを設けてもよい。また、回転子7bの軸方向において、吐出パイプPb(図1参照)とは反対側にバランスウェイト12を設け、吐出パイプPb側にはバランスウェイト(図示せず)を設けない構成であってもよい。
【0102】
また、各実施形態では、凹部12a(図4参照)に設けられる油逃がし孔h3が軸方向にバランスウェイト12を貫通する構成について説明したが、これに限らない。すなわち、凹部12aの周壁面122a(図4参照)から径方向に設けられた油逃がし孔(図示せず)を介して、凹部12aに溜まった油を遠心力でバランスウェイト12の外側に逃がす構成であってもよい。つまり、バランスウェイト12が、凹部12aから回転子7bを貫通している油逃がし孔(第1孔)を有する構成であってもよい。このような構成において、凹部12aと切欠部12bを径方向で連通させるように、油逃がし孔(又は、径方向のスリット)が設けられていてもよい。
【0103】
また、各実施形態では、バランスウェイト12が鉄材で構成される例について説明したが、これに限らない。例えば、鉄合金や酸化鉄の他、フェライト、オキサイドといった磁性体でバランスウェイト12が構成されていてもよい。また、真鍮(黄銅)やステンレスといった非磁性体でバランスウェイト12が構成されていてもよい。このような場合でも、各実施形態の構成によって、圧縮機100から潤滑油が流出することを抑制できる。
【0104】
また、バランスウェイト12の凹部12aや切欠部12bの形状や個数は、各実施形態で説明されたものに限定されず、適宜に変更可能である。また、バランスウェイト12から凹部12aを省略し、バランスウェイト12に複数の切欠部12bが設けられた構成であってもよい。このような構成でも、圧縮機100からの潤滑油の流出を抑制できる。
【0105】
また、各実施形態では、回転子7b(図3参照)の永久磁石72bを軸方向に投影した領域R(図5A参照)が切欠部12bに含まれる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、永久磁石72bの位置とは無関係に切欠部12bが配置されていてもよい。
【0106】
また、第2実施形態(図8A参照)では、積層鋼板を含むバランスウェイト12Cにおいて、回転子7b(図1参照)に最も近い上端に第1鋼板121が配置される一方、回転子7bから最も遠い下端に第2鋼板122が配置される構成について説明したが、これに限らない。例えば、回転子7bに最も近い上端に第2鋼板122が配置されてもよいし、また、回転子7bから最も遠い下端に第1鋼板121が配置されてもよい。
【0107】
また、第2実施形態(図8A参照)では、第1鋼板121及び第2鋼板122が一枚ずつ積層されたバランスウェイト12Cについて説明したが、複数枚ずつの積層であってもよい。すなわち、バランスウェイト12Cは、少なくとも一枚の第1鋼板121と、少なくとも一枚の第2鋼板122と、が回転子7b(図1参照)の軸方向に交互に積層されてなる構成であってもよい。
【0108】
また、第3実施形態(図9A参照)では、バランスウェイト12Dが切欠部12b(第1切欠部)及び切欠部12d(第2切欠部)を備える構成について説明したが、一方の切欠部12bを省略してもよい。
【0109】
また、各実施形態は、適宜に組み合わせることができる。例えば、第1実施形態の第2の変形例(図7参照)と第3実施形態(図9A参照)とを組み合わせ、バランスウェイト12Dを積層鋼板で構成するようにしてもよい。
また、例えば、第1実施形態の第1の変形例(図6参照)と第2実施形態(図8A図8B参照)とを組み合わせ、バランスウェイト12Cの油逃がし孔h3が、回転子7bの回転する向きとは反対側に設けられるようにしてもよい。
また、例えば、第2実施形態(図8A参照)と第5実施形態(図11参照)とを組み合わせ、空気調和機Wが、バランスウェイト12Cを有する圧縮機100を備えるようにしてもよい。
【0110】
また、各実施形態では、スクロール式の圧縮機100(図1参照)について説明したが、これに限らない。すなわち、各実施形態の構成は、ロータリ式等のさまざまな種類の圧縮機にも適用できる。
また、各実施形態では、圧縮機100が縦置きである場合について説明したが、これに限らない。すなわち、圧縮機100が横置きや斜め置きで配置される場合にも、各実施形態を適用できる。
また、各実施形態では、バランスウェイト12(図4参照)の凹部12aに油逃がし孔h3が設けられる構成について説明したが、油逃がし孔h3を省略してもよい。また、隣り合う凹部12a,12aを周方向で連通させてもよい。また、隣り合う切欠部12b,12bを周方向で連通させてもよい。
【0111】
また、第5実施形態で説明した空気調和機W(図11参照)は、ルームエアコンやパッケージエアコンの他、ビル用マルチエアコンといったさまざまな種類の空気調和機に適用できる。また、冷凍機や給湯機、給湯空調システム、冷蔵庫といった冷凍サイクル装置にも各実施形態を適用可能である。
【0112】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0113】
1 密閉容器
2 圧縮機構部
4 クランク軸(駆動軸)
7 電動機
7a 固定子
7b 回転子
72b 永久磁石(磁石)
12,12A,12B,12C,12D,12E バランスウェイト
12a 凹部
12b 切欠部(第1切欠部)
12c リブ(第1リブ)
12d 切欠部(第2切欠部)
12e リブ(第2リブ)
121 第1鋼板(鋼板)
122 第2鋼板(鋼板)
100 圧縮機
Eo 室外熱交換器(凝縮器/蒸発器)
Ei 室内熱交換器(蒸発器/凝縮器)
G1 空間(密閉容器内の空間)
Ga 空間(凹部と回転子との間の空間)
Gb 空隙
h3 油逃がし孔(第1孔)
J 中間円弧(凹部の中間位置の点の集合)
R 領域(磁石を回転子の軸方向に投影した場合の領域)
Q 冷媒回路
Ve 膨張弁
W 空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11