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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】折装置,印刷機及び折装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20240314BHJP
   B41F 13/58 20060101ALI20240314BHJP
   B41F 13/60 20060101ALI20240314BHJP
   B41F 13/62 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B65H45/18
B41F13/58 456
B41F13/60 468
B41F13/62
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020174962
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022066055
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】道法 崇光
(72)【発明者】
【氏名】西山 浩司
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-120968(JP,A)
【文献】特開平10-123886(JP,A)
【文献】特開2004-239976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/18
B41F 13/58
B41F 13/60
B41F 13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される折胴に取り付けられ、前記折胴の周面に保持されて横裁断されるウェブを前記周面から引き剥がし下流に送り込む折ブレードと、
前記折ブレードにより送り込まれたウェブを折り込んで折り丁を形成する一対の折込ローラと、
折目位置調整機構と、前記折目位置調整機構を制御する制御装置とを有し、前記折り丁の折目位置を自動調整可能な折目位置調整装置と、を備え、
前記折目位置調整装置は、
前記折目位置を調整するための前記折目位置調整機構の調整値が前記折目位置調整機構の機械的な調整限界に接近した調整限界領域内まで増大しているか否かの限界領域判定を行う判定装置と、
前記判定装置が、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していると判定したら、前記調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置から出力させる管理情報制御装置と、を備えている
ことを特徴とする、折装置。
【請求項2】
前記折目位置調整装置は、前記折目位置のズレが許容範囲内ではない場合に、前記制御装置に前記折目位置のマニュアル補正量に応じた信号を送信して前記ズレを補正するマニュアル補正装置を備えている
ことを特徴とする、請求項1に記載の折装置。
【請求項3】
前記折目位置調整装置は、
前記折り丁を形成するときの機械運転速度が入力される入力装置と、
前記機械運転速度を含む運転条件と前記調整値との対応関係を記憶した記憶装置と、
前記対応関係を用いて、前記運転条件から前記調整値を演算する演算装置と、
前記演算装置で演算された前記調整値を出力する出力装置と、を備え、
前記制御装置は、前記出力装置から出力された前記調整値に対応する信号を出力して前記折目位置調整機構を制御する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の折装置。
【請求項4】
前記運転条件には、さらに紙質,頁数,紙通しルートの運転条件のうち少なくとも1つが含まれている
ことを特徴とする、請求項3に記載の折装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記マニュアル補正を含む補正情報が記憶され、前記対応関係は、前記補正情報で補正される
ことを特徴とする、請求項2を引用する請求項3又は請求項4に記載の折装置。
【請求項6】
前記判定装置は、前記マニュアル補正が送信されると、前記マニュアル補正量で補正された前記調整値に対して前記限界領域判定を行う
ことを特徴とする請求項2を引用する請求項3~5の何れか1項に記載の折装置。
【請求項7】
前記マニュアル補正量で補正された前記調整値で運転したときに前記折目位置が適正である場合に、前記補正された前記調整値であるマニュアル補正調整値とこのときの前記機械運転速度であるマニュアル補正時機械運転速度とを取り込み、前記記憶装置に記憶されている前記対応関係のうち前記マニュアル補正時機械運転速度を含む前記運転条件と同一の運転条件の前記調整値のデータ前記マニュアル補正調整値で置き換えて更新する学習制御を行う学習手段を備えている
ことを特徴とする、請求項2を引用する請求項3、及び、請求項2を引用する請求項3を引用する請求項4~6の何れか1項に記載の折装置。
【請求項8】
前記判定装置は、前記学習制御が実施されると、前記更新された前記対応関係から導出される前記調整値に対して前記限界領域判定を行う
ことを特徴とする、請求項7に記載の折装置。
【請求項9】
前記記憶装置は、折装置の初期運転時において設定された前記対応関係を、初期状態として記憶しており、
前記制御装置は、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、前記記憶装置に記憶された前記対応関係を、前記初期状態にリセットする
ことを特徴とする、請求項3又は請求項3を引用する請求項4~8の何れか1項に記載の折装置。
【請求項10】
前記判定装置は、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大した回数をカウントし、このカウント値が所定数に達しか否かを判定し、
前記管理情報制御装置は、前記判定装置で前記カウント値が前記所定数に達したと判定されると、より緊急性の強い前記管理情報を前記案内装置から出力させる
ことを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載の折装置。
【請求項11】
前記調整限界領域は、前記調整限界から離れた区分領域から前記調整限界に近い区分領域まで複数の領域に区分され、
前記判定装置は、前記調整値が前記調整限界領域内にある場合に、何れの区分領域にあるかを判定し、
前記管理情報制御装置は、前記判定装置で判定された区分領域が、前記調整限界から離れた区分領域から前記調整限界に近い区分領域になるほど、緊急性の強い前記管理情報を前記案内装置から出力させる
ことを特徴とする、請求項1~10の何れか1項に記載の折装置。
【請求項12】
前記管理情報制御装置は、前記判定装置により前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、前記折装置の運転速度の低下を案内する管理情報を出力させる
ことを特徴とする、請求項1~11の何れか1項に記載の折装置。
【請求項13】
前記管理情報制御装置は、前記判定装置により前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、前記折装置の運転速度を制限する指令を出力する
ことを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の折装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の折装置を備えた
ことを特徴とする印刷機。
【請求項15】
回転駆動される折胴に取り付けられ、前記折胴の周面に保持されて横裁断されるウェブを前記周面から引き剥がし下流に送り込む折ブレードと、
前記折ブレードにより送り込まれたウェブを折り込んで折り丁を形成する一対の折込ローラと、
前記折り丁の折目位置を自動調整可能な折目位置調整装置と、を備えた折装置の管理方法であって、
前記折目位置を調整するための前記折目位置調整装置の調整値が前記折目位置調整装置の機械的な調整限界に接近した調整限界領域内まで増大しているか否かの限界領域判定を行う判定ステップと、
前記判定ステップで、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していると判定したら、前記調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置から出力させる管理情報出力ステップと、を備えている
ことを特徴とする折装置の管理方法。
【請求項16】
前記折装置は、
械運転速度を含む運転条件と前記調整値との対応関係を記憶した記憶装置と、
前記折目位置調整装置を制御する制御装置と、
前記折目位置の自動調整後に前記折目位置のズレが許容範囲内ではない場合に、前記制御装置にマニュアル補正に応じた信号を送信して前記ズレを補正するマニュアル補正装置と、
前記マニュアル補正量で補正された前記調整値で運転したときに前記折目位置が適正である場合に、前記補正された前記調整値であるマニュアル補正調整値とこのときの前記機械運転速度であるマニュアル補正時機械運転速度とを取り込み、前記記憶装置に記憶されている前記対応関係のうち前記マニュアル補正時機械運転速度を含む前記運転条件と同一の運転条件の前記調整値のデータ前記マニュアル補正調整値で置き換えて更新する学習制御を行う学習手段と、を備え、
前記記憶装置は、折装置の初期運転時において設定された前記対応関係を、初期状態として記憶しており、
前記調整値が前記調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、前記記憶装置に記憶された前記対応関係を、前記初期状態にリセットする対応関係変更ステップを備えている
ことを特徴とする請求項15に記載の折装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞用オフセット輪転機等において裁断されて複数重ねられたウェブを折胴から突出する折ブレードにより折り畳んで折り丁を形成する折装置及び折装置を備えた印刷機、並びに折装置の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般的な新聞用オフセット輪転機は、主な構成要素として、複数の給紙ユニットを有する給紙装置と、複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、ウェブパス装置と、複数の折ユニットを有する折機と、排紙装置とを備えて構成されている。したがって、各給紙装置から各印刷ユニットにウェブが給紙されると、各ウェブは、各印刷ユニットにより印刷が施され、その後、ウェブパス装置を通過して所定の順番に重ね合わされて折機に送られる。重ね合わされたウェブは、折機において縦折りされてから所定の長さで横裁断され、横折りされることで折り丁が形成され、印刷物(新聞)として排紙される。
【0003】
上記の折機は、縦折りを行う三角板の下方に対向して配設された鋸胴及び折胴と、折胴の下方に対向して配設された一対の折込ローラとを備えて構成されている。鋸胴は、外周部に鋸刃が設けられる一方、折胴は、外周部に折ブレードが設けられている。したがって、重ね合わせられた複数のウェブは、三角板により縦折りされた後、複数のローラにより鋸胴と折胴の間に送られ、まず、鋸刃により所定の位置(長さ)で横裁断され、次に、回動しながら先端が折胴の周面から突出する折ブレードにより送り方向の中間位置で折胴の周面から引き剥がされ、一対の折込ローラ間に送り込まれ、一対の折込ローラにより挟持されることで折り丁となる。
【0004】
このような新聞用オフセット輪転印刷機の折機においては、折ブレードの先端が、重ねられた複数のウェブを一対の折込ローラ間に送り込むタイミング、即ち、折ブレードの先端を折胴の表面から突出させウェブと接触させるタイミングが、折り目部の位置に影響を与える。通常は機械増速度,減速度,頁数,紙質及び多色印刷を施す頁位置等に起因して、折ブレードの先端とウェブとの接触(滑り接触)する状態が変わるため、折り目部の位置がウェブ走行方向において変動する。このため、折り畳んだ折り丁のシート端部がずれ、規定値外製品が出て損紙となることがある。
【0005】
このような課題を解決する技術として、特許文献1には、折帳(折り丁)の折目位置を自動調整可能な折目位置調整装置と、該折目位置調整装置に対する出力信号を設定して該折目位置調整装置を制御する制御装置と、該折目位置調整装置による該折目位置の自動調整後に、該折目位置のズレが許容範囲内ではない場合に、該制御装置に信号を送信して該ズレを補正するマニュアル補正装置とを備えた折装置が開示されている(請求項1)。
【0006】
上記のマニュアル補正装置による補正では、折目位置がウェブの進行方向前方側にズレた場合は、折ブレードの先端の突出タイミングが進行するウェブに対して早いからであり、折ブレード軸の回転位相を折胴の回転位相に対して遅らせる補正をすればよい。逆に、折目位置がウェブの進行方向後方側にズレた場合は、折ブレードの先端の突出が進行するウェブに対して遅いからであり、折ブレード軸の回転位相を折胴の回転位相に対して進ませる補正をすればよい。
【0007】
また、特許文献1の折装置には、折り丁形成時の条件、つまり、輪転機の上昇時速度,下降時速度,紙質,頁数,紙通しルート等の折機の運転条件と、これに対応する折目位置補正値(マニュアル補正装置による補正値)をテーブル化して予め入力し記憶させておき、次回の運転時には、記憶された運転条件に応じた折目位置補正値の情報を用いて、マニュアル補正することなく折目位置のズレが修正され、オペレータの負担を軽減できる構成も備えられている。なお、折目位置補正値の情報を入力する作業は、印刷機械の運転時毎に行なうのではなく、装置の最初の運転時やメンテナンス後の再始動時に行なうものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3593022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1の折装置によれば、マニュアル補正装置により折目位置のズレを容易に修正することができる。また、折り丁形成時の運転条件に対応する折目位置の補正を反映させた調整値(折目位置調整値)を、例えば、折機の運転条件を変数とする関数として予め記憶装置に入力し記憶させておくことで、次回の運転時には、マニュアル補正を実施することなく折目位置のズレを修正することできる。
【0010】
ところが、本願発明者らが特許文献1の折装置を長期にわたって使用していくと、折ブレード軸の回転位相を折胴の回転位相に対して進ませる側へ調整する折目位置の調整値が、折目位置調整装置の機械的限界に達してしまい、運転中にもかかわらず折目位置のズレをそれ以上抑制することができなくなる状況が発生した。この原因の一つとして、折ブレードの先端の摩耗の進行が原因であることが考えられる。
【0011】
本発明は、このような課題に着目して創案されたもので、折目位置の調整値が折目位置調整機構の機械的限界に近づいた段階、即ち、折目位置の調整値が機械的限界に達する前に、折装置に必要なメンテナンスの実施を促進することができるようにした、折装置,印刷機及び折装置の管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本件の折装置は、回転駆動される折胴に取り付けられ、前記折胴の周面に保持されて横裁断されるウェブを前記周面から引き剥がし下流に送り込む折ブレードと、前記折ブレードにより送り込まれたウェブを折り込んで折り丁を形成する一対の折込ローラと、折目位置調整機構と、前記折目位置調整機構を制御する制御装置とを有し、前記折り丁の折目位置を自動調整可能な折目位置調整装置と、を備え、前記折目位置調整装置は、前記折目位置を調整するための前記折目位置調整機構の調整値が前記折目位置調整機構の機械的な調整限界に接近した調整限界領域内まで増大しているか否かの限界領域判定を行う判定装置と、前記判定装置が、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していると判定したら、前記調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置から出力させる管理情報制御装置と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
(2)前記折目位置調整装置は、前記折目位置のズレが許容範囲内ではない場合に、前記制御装置に前記折目位置のマニュアル補正量に応じた信号を送信して前記ズレを補正するマニュアル補正装置を備えていることが好ましい。
(3)前記折目位置調整装置は、前記折り丁を形成するときの機械運転速度が入力される入力装置と、前記機械運転速度を含む運転条件と前記調整値との対応関係を記憶した記憶装置と、前記対応関係を用いて、前記運転条件から前記調整値を演算する演算装置と、前記演算装置で演算された前記調整値を出力する出力装置と、を備え、前記制御装置は、前記出力装置から出力された前記調整値に対応する信号を出力して前記折目位置調整機構を制御することが好ましい。
(4)前記運転条件には、さらに紙質,頁数,紙通しルートの運転条件のうち少なくとも1つが含まれていることが好ましい。
【0014】
(5)前記記憶装置は、前記マニュアル補正を含む補正情報が記憶され、前記対応関係は、前記補正情報で補正されることが好ましい。
(6)前記判定装置は、前記マニュアル補正が送信されると、前記マニュアル補正量で補正された前記調整値に対して前記限界領域判定を行うことが好ましい。
(7)前記マニュアル補正量で補正された前記調整値で運転したときに前記折目位置が適正である場合に、前記補正された前記調整値であるマニュアル補正調整値とこのときの前記機械運転速度であるマニュアル補正時機械運転速度とを取り込み、前記記憶装置に記憶されている前記対応関係のうち前記マニュアル補正時機械運転速度を含む前記運転条件と同一の運転条件の前記調整値のデータ前記マニュアル補正調整値で置き換えて更新する学習制御を行う学習手段を備えていることが好ましい。
【0015】
(8)前記判定装置は、前記学習制御が実施されると、前記更新された前記対応関係から導出される前記調整値に対して前記限界領域判定を行うことが好ましい。
(9)前記記憶装置は、折装置の初期運転時において設定された前記対応関係を、初期状態として記憶しており、前記制御装置は、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、前記記憶装置に記憶された前記対応関係を、前記初期状態にリセットすることが好ましい。
【0016】
(10)前記判定装置は、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大した回数をカウントし、このカウント値が所定数に達しか否かを判定し、前記管理情報制御装置は、前記判定装置で前記カウント値が前記所定数に達したと判定されると、より緊急性の強い前記管理情報を前記案内装置から出力させることが好ましい。
(11)前記調整限界領域は、前記調整限界から離れた区分領域から前記調整限界に近い区分領域まで複数の領域に区分され、前記判定装置は、前記調整値が前記調整限界領域内にある場合に、何れの区分領域にあるかを判定し、前記管理情報制御装置は、前記判定装置で判定された区分領域が、前記調整限界から離れた区分領域から前記調整限界に近い区分領域になるほど、緊急性の強い前記管理情報を前記案内装置から出力させることが好ましい。
(12)前記管理情報制御装置は、前記判定装置により前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、前記折装置の運転速度の低下を案内する管理情報を出力させることが好ましい。
(13)前記管理情報制御装置は、前記判定装置により前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、前記折装置の運転速度を制限する指令を出力することが好ましい。
【0017】
(14)本件の印刷機は、上記の(1)~(13)の何れかに記載の折装置を備えたことを特徴としている。
【0018】
(15)本件の折装置の管理方法は、回転駆動される折胴に取り付けられ、前記折胴の周面に保持されて横裁断されるウェブを前記周面から引き剥がし下流に送り込む折ブレードと、前記折ブレードにより送り込まれたウェブを折り込んで折り丁を形成する一対の折込ローラと、前記折り丁の折目位置を自動調整可能な折目位置調整装置と、を備えた折装置の管理方法であって、前記折目位置を調整するための前記折目位置調整装置の調整値が前記折目位置調整装置の機械的な調整限界に接近した調整限界領域内まで増大しているか否かの限界領域判定を行う判定ステップと、前記判定ステップで、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大していると判定したら、前記調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置から出力させる管理情報出力ステップと、を備えていることを特徴としている。
(16)上記方法において、前記折装置は、機械運転速度を含む運転条件と前記調整値との対応関係を記憶した記憶装置と、前記折目位置調整装置を制御する制御装置と、前記折目位置の自動調整後に前記折目位置のズレが許容範囲内ではない場合に、前記制御装置にマニュアル補正に応じた信号を送信して前記ズレを補正するマニュアル補正装置と、前記マニュアル補正量で補正された前記調整値で運転したときに前記折目位置が適正である場合に、前記補正された前記調整値であるマニュアル補正調整値とこのときの前記機械運転速度であるマニュアル補正時機械運転速度とを取り込み、前記記憶装置に記憶されている前記対応関係のうち前記マニュアル補正時機械運転速度を含む前記運転条件と同一の運転条件の前記調整値のデータ前記マニュアル補正調整値で置き換えて更新する学習制御を行う学習手段と、を備え、前記記憶装置は、折装置の初期運転時において設定された前記対応関係を、初期状態として記憶しており、前記調整値が前記調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、前記記憶装置に記憶された前記対応関係を、前記初期状態にリセットする対応関係変更ステップを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本件の折装置によれば、折目位置の調整値が折目位置調整機構の機械的限界に接近すると、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報が出力されるので、折目位置の調整値が機械的限界にする前に、オペレータが折装置に必要なメンテナンスを実施するようになる。例えば、折ブレードの先端の摩耗に起因して折目位置の調整値が折目位置調整機構の機械的限界に接近した場合には、調整値の増大を抑制するメンテナンスとして、折ブレードのリセット(交換又は調整)を案内する管理情報が出力されることで、オペレータが折ブレードのリセットを実施するようになる。したがって、運転中に、折目位置の調整値が機械的限界に達することを未然に防止することができ、折目位置の調整を支障なく行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置の要部構成を示す模式図である。
図2】第1,2実施形態にかかる折装置が適用される新聞用オフセット輪転機等に設備される折機の構造を説明するための図であり、(a)は折機の全体構成図、(b)は折装置機械部分の概略構成図である。
図3】新聞用オフセット輪転機等に設備される折機にそなえられた折胴部の構成及び課題について説明するための図である。
図4】本発明の第1,2実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置の動作を説明するための図である。
図5】本発明の第1,2実施形態にかかる折装置に装備された折ブレードを示す図である。
図6】本発明の第1,2実施形態にかかる折装置に装備された折ブレードの動作を説明すると共に折ブレードの先端の摩耗の影響を説明する図であって、(a)は折ブレードの先端がウェブへの接触を開始した状態を示し、(b)は折ブレードの先端がウェブを折込ローラに押し込んでいく状態を示している。
図7】本発明の第1,2実施形態にかかる折目位置のズレ及びその修正を説明するための新聞の折り丁を示す図であり、(a1),(a2),(c1),(c2)は折目位置が許容範囲内にある状態を示し、(b1),(b2),(d1),(d2)は折目位置のズレが許容範囲を超えた状態を示す。また、(a1),(b1),(c1),(d1)は折り丁の正面斜視図、(a2),(b2),(c2),(d2)は折り丁の端面図である。
図8】本発明の第1実施形態にかかる折装置における機械運転速度に対して折目位置の調整値を規定する関数を示す図であり、(a)は補正結果を反映させた補正関数を説明する図であり、(b)はその補正関数が調整限界域に達している状態を説明する図である。
図9】本発明の第1実施形態にかかる折装置において折目位置のズレの修正が調整限界に接近している場合の制御を説明するフローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置の要部構成を示す模式図である。
図11】本発明の第2実施形態にかかる折装置における機械運転速度に対して折目位置の調整値を規定する関数を示す図であり、(a)は学習により得られる学習関数を説明する図であり、(b)は学習関数が調整限界領域に達している状態を説明する図である。
図12】本発明の第2実施形態にかかる折装置において折ブレードがリセットされた場合の課題を説明する図であり、(a1),(a2)は折ブレードがリセットされた直後の折目位置が許容範囲を超えた状態を示し、(b1),(b2)は折目位置のズレを修正した状態を示す。また、(a1),(b1)は折り丁の正面斜視図、(a2),(b2)は折り丁の端面図である。
図13】本発明の第2実施形態にかかる折装置において折ブレードがリセットされた場合の学習関数の変更を説明する図である。
図14】本発明の第2実施形態にかかる折装置において折目位置のズレの修正が調整限界に接近している場合の制御を説明するフローチャートである。
図15】本発明の第2実施形態にかかる折装置において折ブレードがリセットされた場合の学習関数の変更を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。ここでは、第1及び第2実施形態の2つの実施形態を説明する。
まず、図2図3を参照して、各実施形態に係る折装置(折機)が適用される新聞用オフセット輪転機等に設備される折機の例を説明する。
【0022】
(折機の概略構造)
図2(a),(b)はいずれも新聞用オフセット輪転機等に設備されるもので本発明の各実施形態の折機の基礎となる折機の概略構造を説明するための図、図3図2の折機に設備され折り丁を形成する折胴部の概略構成,機能について説明するための図である。
新聞用オフセット輪転機(単に、「輪転機」又は「印刷機」ともいう)は、主な構成要素として、複数の給紙ユニットを有する給紙装置と、複数の印刷ユニットを有する印刷装置と、ウェブパス装置と、複数の折ユニットを有する折機と、排紙装置とを備えて構成されている。
【0023】
ここで、折り丁1を形成する折機7及び排紙コンベア6は、例えば図2(a),(b)に示す如く構成されている。図2(a)に示すように、印刷を終えたウェブ38は、前工程の印刷装置部より連続的に搬送され、ウェブパス部において幅方向中央で断裁され、ウェブ38の重ね等を行なった後折機7に導入され、折機7の入口部に設けられた三角板4を介して縦方向に沿って二つ折りされる。
【0024】
続いて、三角板4の下方に配設されたリードインローラ43及びニッピングローラ44等に順次狭持され、回転移送された後、さらに鋸胴2と折胴3との中間に送り込まれる。
図2(b)に示すように、鋸胴2には、外周面へ軸方向に沿って鋸台45が設けられ、この鋸台45には鋸刃46が組み込まれている。
【0025】
一方、折胴3には、上記鋸刃46に対応する位置に鋸刃46の受け部材として鋸刃受47が設けられている。この鋸刃受47は、折胴3の外周面部の軸方向に沿ってゴム等の弾性体で形成されている。また、折胴3には、アーム(針アーム)49aの先端に針48を備えた針装置49及び折ブレード軸15に固設された折ブレード36が設備されている。
【0026】
上記鋸胴2と折胴3とは同じ直径に形成され、鋸刃46と鋸刃受47とが対応するように位相が設定された状態で同期して対向回転するように構成されている。また、折ブレード軸15は、自転しながら折胴3の中心軸回りを公転するように構成されており、これにより、折りブレード36の先端の移動軌跡は、図3に2点鎖線で示すようになる。
【0027】
前記した針装置49の針48は、針軸49bに組み付けられた針アーム49aの先端に取り付けられており、折胴3の回転と連動して回転の途中、所定の位相位置において折胴3の外周面から出入りするようになっている。つまり、ウェブ38が鋸胴2の鋸刃46と折胴3の鋸刃受47とにより切断されると同時に、折胴3表面から針48が突き出て後続するウェブ38の先端を突き刺し、上記切断後の後続するウェブ38を回転移送するとともに、ウェブ38を折胴3の外周面へ巻き付けるべく機能する。
【0028】
前記ウェブ38の回転移送により、折胴3の外周面に巻き付いたウェブ38の切断長の中央部が折込ローラ39の直上位置に近づくと、折胴3の表面から突き出た針48は次第に後退してウェブ38から抜け、また、これとほぼ同時にウェブ38の後端は鋸刃46と鋸刃受47とにより切断される。
続いて、上記ウェブ38の切断とともに、回転方向下流の次の針48が、後続する下流側ウェブ38の先端を引っ掛けるように突き出るようになっている。また、切断されたウェブ38は、折ブレード36の作用によって折込ローラ39の中間部へ押し込まれ折り丁1が作成される。
【0029】
つまり、上記折ブレード36は、折胴3に組み込まれた折ブレード軸15に固設されており、図中折ブレード36の先端の軌跡を2点鎖線で示したように、折胴3の回転と連動して回転中に所定の位相位置(折込ローラの中間位置)において折胴3から出入りして、折胴3の直下位置で折胴3に巻きつけられたウェブ38を断裁長の中央で折込ローラ39に押し込み、中央で二つ折りにすべく機能する。
【0030】
また、折込ローラ39は、2組のローラ39a,39bにより構成され、折胴3の折ブレード36により押し込まれた断裁紙を咥えこんで横折し、横折に形成した折り丁1を図2(a)に示す下流羽根車5に移送するものである。なお、図2(b)の符号50は、上記横折された折り丁1を羽根車5に案内するガイドである。
【0031】
羽根車5は、折込ローラ39を介して送り出された折り丁1を受け取り、所望ピッチで排紙コンベア6上へ並べる装置であり、複数枚のブレード(羽根)をそなえて構成され、複数列組み合わせて使用されるようになっている。
また、羽根車5の回転数は折り丁1の投入速度に対応して設定され、折機7の速度と排紙コンベア6の走行速度とにより、排紙コンベア6上に並べる折り丁1の積重ピッチが決定される。
上記の構成及び機能により、羽根車5から排紙コンベア6上に移載された折り丁1は、屋根瓦状に重ねられた状態で外部へ搬出される。
【0032】
まず、本発明の各実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置についてその構造及び該折胴の制御機能(作用、効果)を説明する。図1はその要部構成を示す模式図であり、図4はその作用を説明するための図である。
【0033】
本発明の折機(折装置)7の基本的な構成は、上記の概略構成を説明した折機と同様である。したがって、上記のものと共通する部品及び部位については図2図3で用いた符号をそのまま引用し詳細な説明を省略する。また、上記のものと異なる部品及び部位については異なる符号を付して説明する。
【0034】
各実施形態における折機7は、折り丁1を形成すべく三角板4,鋸胴2,羽根車5及び排紙コンベア6等をそなえて構成された従来の折機に加えて、折胴3′に、折機7の運転条件に応じて折目位置が自動調整可能な折目位置調整装置8を備えて構成されたものである。
上記折目位置調整装置8は、図1に示すように、折り丁形成時の機械(輪転機)の運転時に運転速度を取り込む入力装置9、運転上昇時速度,下降時速度,紙質,頁数及び紙通しルート等の運転条件(パラメータ)のうち、少なくとも運転速度に関する折目位置の補正値テーブルや演算式が記憶された記憶装置10、記憶装置10に記憶された情報や演算式に基づき位相調整用駆動力源としてのモータ29の駆動量を演算する演算装置11、必要なタイミングで必要な出力を指令制御する制御装置12、制御装置12からの指令信号に基づき所望の信号を出力する出力装置13、出力装置13から出力された信号に基づいてモータ(位相調整用駆動力源)29の作動を制御する駆動制御装置57、折ブレード36の位相を調整するべく折ブレード36を駆動する駆動装置14等から構成されている。
【0035】
ここで、折胴3′と該折胴3′に組み込まれた折ブレード軸15との相対的な位相角度を変更調整する駆動装置14の構造としては種々形式のものが適用できる。
一例として図1に示す駆動装置14は、主な機械要素として折胴3′の軸17に固設された駆動歯車18、折ブレード軸15を回転すべく連結した歯車機構(歯車32,33,35)、折胴軸17と折ブレード軸15との相対的位相を変更して折目位置を調整する位相調整機構(折目位置調整機構)19及び位相調整機構19による位相変換量を検出するポテンショメータ16等をそなえて構成されている。なお、ポテンショメータ16は、折ブレード軸15の位相変更(回転)角度(量)を検出するものである。
【0036】
以下、上記位相調整機構19に関し詳細に説明する。位相調整機構19は、歯車21,22,軸23,ハスバ歯車24,移動歯車25,円板27,送りネジ28,モータ29及びベベルギア30等から構成されている。
図1に示すように、折胴軸17の外周側であって折胴軸17と同軸上には、折胴軸17と相対的に回動自在な外筒20が設けられており、この外筒20の一端に一体形成されたフランジ(偏心部材)37には折ブレード軸15がベアリング31を介して回動自在に支持されている。なお、この折ブレード軸15は、図示するように、フランジ37の回転中心(即ち、折胴軸17の回転中心)に対して偏心した位置に設けられている。
【0037】
また、外筒20の他端の外径側にはキー20aを介して歯車21が固設されており、この歯車21は歯車22と歯合している。
歯車22は、駆動歯車18の一部に軸支された軸23の一端端に固設されたもので、上記軸23の軸方向他端にはハスバ歯車24が固設されている。ハスバ歯車24は同じくハスバが形成された移動歯車(ハスバ歯車)25と歯合している。
【0038】
移動歯車25は、図1に示すように、折胴軸17に固設された歯車18の同軸上に滑りキー56を介して連結され、折胴軸17の軸方向への移動は許容され且つ回転方向への動きは規制されるよう構成されている。また、移動歯車25には、中心にメネジが形成された円板27が取り付けられている。
円板27のメネジには送りネジ28が螺合されており、送りネジ28にはベベルギア30を介してモータ29が接続されている。そして、モータ29を正逆回転させることによりベベルギア30を介して任意の方向に送りネジ28を回転させることができるようになっている。
【0039】
なお、ポテンショメータ16は送りネジの回転角度を読み取ることによって、前記折胴軸17と折ブレード軸15との相対的位相の変位量を計測(検出)するようになっている。
また、上記のように、折ブレード軸15はベアリング31を介して上記外筒20と一体のフランジ37部に軸支されており、折ブレード軸15の軸端には歯車32が固設されている。
【0040】
歯車32は中間歯車33を介して装置フレーム34に固定された歯車35に歯合している。
したがって、上記構成のもと、折胴軸17が回転して折胴3′が回転すると、折ブレード軸15は折胴3′の回転にともなって、固定歯車35の外周を公転するとともに所定の回転速度比で自転することになる。上記の回転速度比は歯車32,33,35の歯数により決定され、ここでは、折胴3′が1回転する間に折ブレード軸15が3回転する(つまり、折ブレード軸15の公転1回に対して自転3回)ように設定されている。これにより、折ブレード36の先端軌跡は、図4に実線で示すようになる。
【0041】
なお、本実施形態では、折胴3′が1回転する間に折ブレード軸15が3回転するように設定されているが、これに限るものではなく、少なくとも折胴3′が回転して折ブレード軸15が折込ローラ39近傍に位置したときに、折ブレード36の先端が2つのローラ39a,39bの間に位置するように設定すればよい。
折胴3′に組み込まれた折ブレード軸15の相対的な位相角度を変更調整する位相調整機構19は上記のごとく構成されており、モータ29を作動させることで折ブレード36の折同軸17に対する相対的な押し出し位相(即ち、折胴3′に対する相対的な押し出し位相)を適宜変更することができるようになっている。
【0042】
また、図4に示すように、折胴軸17には、上記説明したものと同様に鋸刃受47や針装置49が付設されており、折胴軸17が所定の回転速度で回転することにより、鋸胴2と折胴3′とが同期して回転して鋸胴2の鋸刃46と鋸刃受47とでウェブ38が切断されるようになっている。
本実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置は、上記のように構成されており、以下の、その動作について説明する。
【0043】
折機7の基本的な動作は、上記で説明したものと同様であり、折り丁1を形成するにあたっては、まず、重なって送りこまれたウェブ38を三角板4部において縦折し、鋸胴2と折胴3′の中間へ挿入する。これによって、ウェブ38は鋸胴2と折胴3′との間にて切断されるとともに、切断長の中央で二つに折られて折り丁1が形成される。
【0044】
その後、折り丁1は折込ローラ39a、39bに受け渡され、狭持されながら回転移送された後、羽根車5のブレードとブレードとの中間に落下投入される。そして、羽根車5が所定の角度回転した後、目的とするピッチで排紙コンベア6上へ移載され、該排紙コンベア6を介して順次外部へ送り出される。
【0045】
ここで、折目位置を固定した場合の折目位置調整装置8の動作について説明する。この場合は、図示しない駆動力源から駆動歯車18に駆動力が伝達されると、駆動歯車18は折胴軸17に固設されているので、駆動歯車18が回転することで折胴軸17が回転し折胴3′が全体的に回転する。
【0046】
また、駆動歯車18と移動歯車25とは相対回転が規制されているので、駆動歯車18及び移動歯車25は一体となって回転する。このため、歯車24は自転することがなく、したがって、軸23及び歯車22の自転も規制される。また、歯車22と歯合する歯車21は、キー20aにより外筒20に対して相対回転が規制されているので、結果的に、駆動歯車18が回転すると、駆動歯車18,折胴軸17,移動歯車25,歯車24,軸23,歯車22,歯車21,外筒20及びフランジ37の間にいずれも相対回転がなく、これらの部材が一体となって回転することになる。
【0047】
これにより、フランジ37に支持された軸15は折胴軸17の中心軸回りを公転しながら、自転することになる。なお、このときの自転の回転速度はフレーム34に固定された歯車35,中間歯車33及び歯車32の歯数により決定されるギア比に応じたものとなる。
次に、折り丁1の折目位置を調整する場合について説明すると、この場合は次のように操作を行なう。
【0048】
まず、折り丁形成時の条件、つまり、輪転機の上昇時速度,下降時速度,紙質,頁数,紙通しルート(多色頁の位置や経路長さによる影響要因)等の運転条件のうち少なくとも速度に対応する折目位置補正値をテーブル化して予め入力装置9に入力し、記憶装置10に記憶させる。なお、この作業は、本装置の最初の運転時やメンテナンス後の再始動時に行なうものであって、印刷機械の運転時毎に行なうものではない。
【0049】
運転が始まると機械運転速度が上記入力装置9に取り込まれ、演算装置11において、機械運転速度に見合った折目補正値が記憶装置10の情報に基づいて設定されるとともに、この補正値に対応するモータ29の回転角度が演算装置11で演算され、演算値が出力装置13に伝達される。そして、演算値が出力装置13から駆動制御装置57へ伝達される。
【0050】
また、駆動制御装置57では、ポテンショメータ16から検出される検出情報に基づいてモータ29の現在の位相値が認知され、この位相値から出力装置13に送られた折目位置補正値に相当する量だけモータ29が駆動される。
位相調整機構19の詳しい作動については後述するが、モータ29が駆動されることにより上記位相調整機構19が作動して、折胴3′の回転位置に対する折ブレード軸15の位相、即ち、折ブレード36の突き出しタイミングをシート進行方向の前後に変更することができる。
【0051】
つまり、折胴軸17と同軸上に回動可能に設けられたフランジ37に支持された折ブレード軸15を折胴軸17に対して回転方向に位相をずらすことにより、折胴軸17に設備された鋸刃受47や針装置49に対する折ブレード軸15の回転方向位置(位相)が変わり、折目位置を変更することができるのである。
逆の見方で説明すると、相対的には折ブレード軸15を所定の位相位置に維持した状態のまま折胴軸17を回転させたのと同じことであり、折ブレード36がウェブ38を折込ローラ39に押し込む位置(図4に示す軌跡のA点)にある時、折胴軸17の鋸刃受47の位置(即ち断裁する位置)を回転方向に調整できるのである。
【0052】
ここで、位相調整機構19の作動を詳しく説明すると、モータ29を駆動するとベベルギア30により送りネジ28が回転し、円板27が折胴軸17の軸方向に移動する。円板27と移動歯車25とは軸方向の相対移動が規制されているため、移動歯車25は折胴軸17に対して位相変化することなく軸方向に移動する。
【0053】
また、上記のように、移動歯車25及び移動歯車25に噛合する歯車24はいずれもハスバ歯車であるので、歯車25が回転することなく軸方向へ移動することにより、歯車24はハスバのネジれ角に応じて回転方向に回動する。
【0054】
そして、この回動により歯車24と一体の軸23及び歯車22が回動し、歯車23に噛合する歯車21が回動するのである。また、歯車21と外筒20とフランジ37とはいずれも相対回転が規制されているので、これらが一体となって回転する。なお、このときには、歯車21,外筒20及びフランジ37は、折胴軸17に対しては相対的に回転する。つまり、モータ29を回転駆動させることにより、フランジ37を折動軸17に対して相対回転させることができるのである。
【0055】
これにより、フランジ37に支持された折ブレード軸15が折胴軸17の中心軸回りに公転するとともに、フレーム34に固定された歯車35等からなる歯車機構により折ブレード軸15が自転する。これにより、折ブレード軸15及びこの折ブレード軸15に取り付けられた折ブレード36の折胴軸17に対する回転方向の位相が変化するのである。
【0056】
例えば、図5は折ブレード36及び折ブレード軸15を軸方向から見た図であり、折ブレード36は折ブレード軸15にボルト36aを折ブレード36の挿入孔36bに挿入し螺合締結させることで取り付けられている。ボルト36aを着脱することで折ブレード36を交換することができる。また、挿入孔36bは折ブレード36の出代を調整するための長孔となっており、折ブレード36の出代調整等の調整を行うことができる。折ブレード軸15は、折胴軸17の周りを矢印A1で示す方向に公転しつつ、矢印A2で示すように自転する。折ブレード軸15の回転位相は、折胴軸17の回転位相に対して、実線で示す位相から例えば二点鎖線で示す矢印A3方向の位相へと変更することができる。
【0057】
なお、折ブレード軸15に固設された歯車32は、装置フレーム34に固設された固定歯車35と噛合する中間歯車33と噛合して回転しているので、位相調整機構19を作動させても折ブレード軸15に固設された折ブレード36の先端軌跡は固定側から見ると同じであり、図4に示す軌跡(実線)の状態は変化しない。この場合、上記の軌跡上における折ブレード36の先端位置が変わることになる。
【0058】
例えば図4に示すように、鋸胴2の鋸刃46と折胴3′の鋸刃受47とが向き合ったとき、折ブレード36の先端位置を軌跡上のA点から、B点やC点にずらすことにより折目の位置がずれて折目位置の調整が行なわれるのである。
そして、ポテンションメータ16によりモータ29の回転量(即ち、フランジ37の回転量)が検出され、このポテンションメータ16からの検出情報が駆動制御装置57にフィードバックされてモータ29の作動が制御される。
【0059】
なお、本装置は折目位置自動調整の後において、折目位置のズレの大きさが意図した状態(ズレの許容範囲)まで修正されていない(ズレが残っている)とオペレータが判断した場合には、オペレータがマニュアル補正装置40を操作してズレ状態を追加修正することもできるようになっている。
【0060】
ここで、折ブレード36の動作について、図6を参照して説明する。
上記のように、折ブレード36は、折胴軸17の回転に伴って折胴軸17の周りを公転しつつ折ブレード軸15の回転によって自転するので、折込ローラ39a,39bに近づいたところで、図6(a)に示すように、折ブレード36の先端が折胴3´の表面から突出し、折胴3´の表面のウェブ38の内側面に接触する。その後、折胴の回転が進むにつれて折ブレード36は、折胴3´の表面からさらに突出し、図6(b)に示すように、ウェブ38を折込ローラ39a,39b間に押し込む(送り込む)。
【0061】
この間、折ブレード36の先端は、ウェブ38の内側面に対して滑りながら接触する。つまり、折ブレード軸15の先端がウェブ38を折込ローラ39a,39b間に押し込む際に、先端部(回転方向下流側端部)が針48から外れたウェブ38は、折胴3′の回転方向への慣性力により、折胴3′の表面に対して(折ブレード36に対しても)下流側〔図6(a)における右側の回転する方向〕に滑りを発生する。したがって、図6(a)に示す段階で、折ブレード36の先端P1が接触するウェブ38の接触箇所X1は、図6(b)に示すように、折目が決まる際には、折ブレード36の先端P1よりも下流側に相対変位する。
【0062】
このウェブ38の滑りは、ウェブ38に加わる回転慣性に起因するので、ウェブ38の滑り量は、折胴3´の回転速度、すなわち、折機7を含む輪転機の運転速度が高くなるほど大きくなる。したがって、運転速度が高くなるほど、折胴軸17に対する折ブレード軸15の相対的位相を進ませる方向(以下、進角側ともいう)へ調整することが必要になる。
【0063】
図8(a)は、折機7(輪転機)の運転条件パラメータ(運転上昇時速度,下降時速度,紙質,頁数及び紙通しルート等の条件)のうち、代表的なパラメータである運転速度に対して折目位置調整のための調整値を対応させた対応関係としての関数(折目位置調整関数)を示すグラフである。図8(a)では、横軸が運転速度であり、縦軸が、折胴軸17に対する折ブレード軸15の相対的位相を進ませる方向(以下、進角側ともいう)への調整値である。また、図8(a)には、実線で示すデフォルト関数と一点鎖線で示す補正関数とを記載している。黒丸はデフォルト関数における運転速度V~Vに応じた調整値L~Lを示し、白丸は補正関数における運転速度V~Vに応じた調整値L′~L′を示している。
【0064】
デフォルト関数は予め用意された関数であるが、このデフォルト関数は折機7の標準的なもので、機械の個々の特性や使用環境等によって、デフォルト関数を用いて作動させても折目位置のズレが許容範囲内に収まらない場合がある。
そこで、マニュアル補正装置40を操作してズレ状態を追加修正すると、この補正の結果、デフォルト関数は補正関数に修正される。補正関数は、マニュアル補正装置40を操作してズレ状態を追加修正する毎に更新され、折機7を運転する際には、最新の補正関数が用いられる。したがって、最新の補正関数から算出される調整値は、デフォルト関数から算出される調整値(デフォルト調整値)に対して、追加修正した補正量を累積して加算した値に相当する。
【0065】
このような折目位置調整装置8では、位相調整機構19は折胴軸17と折ブレード軸15との相対的位相を機械的に変更して折目位置を調整するので、機械的な調整限界がある。例えば、マニュアル補正装置40を操作してズレ状態を修正しようとした場合に、修正指示を行っても、折目位置のズレを修正することができず、折目位置のズレが許容範囲を超えたものとなって、製品(ここでは、新聞)が不良品となってしまう。
【0066】
図8(b)は、折胴軸17に対する折ブレード軸15の相対的位相を進角させる調整値が機械的な調整限界(限界値)に接近する状況を示している。上記のように、運転速度が高くなるほど、折胴軸17に対する折ブレード軸15の相対的位相を進ませる方向(以下、進角側ともいう)へ調整することが必要になるため、折ブレード軸15の相対的位相を進角側へ調整する調整値は、運転速度が高くなるほど大きくなる。これは、デフォルト関数でも補正関数でも同様である。
【0067】
補正関数による調整値は、運転速度の全域において、デフォルト関数による調整値よりも進角側へ大きな値となる。そして、マニュアル補正装置40による補正が累積され補正関数が更新されるにしたがって、補正関数は、図8(b)のグラフに示すように、図8(a)のグラフよりも一層進角側へ移動する。このような状況になる原因を考察したところ、その原因の1つが、折ブレード36の先端の摩耗によって、折ブレード36の先端位置が経時的に変化するためであることが判明した。
【0068】
ところで、折ブレード36の先端が摩耗した場合には、図6(a),(b)に示すように、折ブレード36の先端位置は、点P1から点P2へと後退する。折ブレード36の先端が摩耗するのに応じて、折ブレード36の先端位置の軌跡は、実線で示すものから二点鎖線で示すように変化する。このため、折ブレード36の先端が摩耗するのにしたがって、折ブレード36の先端がウェブ38に接触するタイミングは遅れることになり、摩耗が進んだ折ブレード36の先端がウェブ38に接触を開始する位置X2は、摩耗が少ない折ブレード36の先端がウェブ38に接触を開始する位置X1よりも上流側(後端側)となる。これを修正するには、折胴軸17の回転位相に対して折ブレード軸15の回転位相を矢印A3(図5参照)で示すように進角させることが必要になる。もちろん、前記のウェブ38の滑りに起因するズレを抑制するための進角も必要である。折ブレード36の先端の摩耗が進行すると、折目位置の調整値(折目位置調整値)は、進角側に次第に増大して、やがて位相調整機構19の機械的な調整限界に達することになる。
【0069】
図7は、折ブレード36の先端の摩耗による新聞の折り丁1の折目位置のズレ(と、位相調整機構19を用いた折目位置のズレの修正について説明する図である。折ブレード36の先端が初期位置(摩耗していない位置)にあると、図7(a1),(a2)に示すようになる。折ブレード36の先端が摩耗していくと、図7(b1),(b2)に示すように折目位置のズレが許容範囲を超える。そこで、位相調整機構19を用いて折目位置のズレの修正を行うと、図7(c1),(c2)に示すように、折目位置のズレは縮小され許容範囲内に収まる。しかし、再び折ブレード36の先端の摩耗が進行していくと、図7(d1),(d2)に示すように前回同様に折目位置のズレが生じ、再び許容範囲を超えて、相調整機構19を用いて折目位置のズレの修正を行うことになる。
【0070】
このように、折ブレード36の先端の摩耗が進行していくにしたがって、折目位置のズレの修正が累積的に増大することになり、調整値がこの調整限界に達するのである。調整限界に達してしまうと、運転中に折目位置のズレを修正することができず、製品が不良品となってしまう。
【0071】
そこで、折目位置調整値が調整限界に達してしまう前にこれに対処できるように、本折装置7の折目位置調整装置8には、図1に示すように、位相調整機構19による折胴軸17に対する折ブレード軸15の位相を調整する折目位置調整値が位相調整機構19の機械的な調整限界に接近した領域(調整限界領域)内まで増大しているか否かの判定(限界領域判定)を行う判定装置61が備えられ、さらに、判定装置61により折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置63から出力させる管理情報制御装置62が備えられている。ここでは、判定装置61及び管理情報制御装置62は、演算装置60内の機能要素として装備されるが、これらはそれぞれ別体に装備してもよい。
【0072】
なお、調整限界領域は、調整限界に対してマージンαだけ余裕を持った値(閾値)Lsで規定され、図8(a),(b)に斜線を付して示す領域である。マージンαは、調整値が調整限界に到達するまでに一定の時間的な余裕を有するように設けており、適宜設定しうるものである。
判定装置61による折目位置調整値が調整限界領域内まで増大しているか否かを判定については、そのときの補正関数と、折機7(輪転機)の運転速度とに基づいて行うようにしている。つまり、そのときの補正関数から折機7の運転速度に応じた折目位置調整値を求めることができ、求めた折目位置調整値を閾値Lsと比較することにより判定することができる。
【0073】
本実施形態では、マニュアル補正装置40によりマニュアル補正操作が行われると、マニュアル補正操作(例えば、マニュアル補正量)とこのマニュアル補正操作に応じて更新される補正関数とを記録するマニュアル補正操作記憶装置64が装備されている。判定装置61では、マニュアル補正操作記憶装置64に記憶された補正関数を用いて判定を行う
【0074】
ここでは、判定装置61は、マニュアル補正操作記憶装置64の記録が更新されると、その都度、所定の判定タイミングで、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大しているか否かの限界領域判定を行う。
輪転機は、運転開始時に、オーダーに応じた運転速度が設定されて運転される。また、運転開始時には、所定の運転速度まで段階的に徐々に加速し、その後、所定の運転速度で所定時間(所定印刷部数)だけ運転して、その後、減速して印刷を終了する。
【0075】
こうした運転速度については、運転開始前に予めスケジュールが設定されるので、この設定時に得られる予定運転速度から補正関数を用いて折目位置調整値を演算することができ、限界領域判定を行うことができる。このような判定は、輪転機の運転を開始する前の段階で判定を行うので、予測判定ということもできる。
【0076】
また、上記の運転開始直後の運転速度の加速段階で、比較的低速度の一定速度で印刷しながら調整する場合があり、この時点で、折目位置の調整が入った場合にも、リアルタイムで判定を行うことができる。この場合、折目位置の調整分だけ補正関数を調整方向にシフトさせて、シフトさせた補正関数を用いて所定の運転速度に対応する折目位置調整値を演算し、演算した折目位置調整値について限界領域判定を行うことができる。このような判定も、機械の運転中ではあるが、実際に運転速度まで到達する前に判定を行うので予測判定といえる。
【0077】
なお、マニュアル補正操作記憶装置64には、デフォルト関数と、その後、逐次更新された補正関数のそれぞれが登録されているものとする。また、折装置の要部(ここでは、折ブレード36)を新品に交換するか、新品と同等の状態に調整することを部品のリセットと呼ぶことにする。
【0078】
管理情報制御装置62は、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報として、ここでは、折ブレードのリセット(交換又は調整)を案内する情報を案内装置63から出力させる。
判定装置61は、マニュアル補正装置40によりマニュアル補正量が入力される都度、上記のように、所定のタイミングで判定を行うが、本実施形態では、判定装置61が、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数をカウントし、この回数が予め設定された所定回数に達したら、喚起レベルの強い、即ち、管理対応を要求する(ここでは、折ブレードの速やかなリセット(交換又は調整)を要求する)管理情報を出力する。
【0079】
図9は判定装置61及び管理情報制御装置62の処理を示すフローチャートである。図9に示すように、所定の周期で、マニュアル補正操作を実施したか否かを判定する(ステップA10)。マニュアル補正操作を実施したと判定したら、調整値を限界値(調整限界)に対してマージンαをとった閾値Ls(=限界値-α)と比較して、調整値が閾値Ls以上であるかを判定する(ステップA20,判定ステップ)。調整値が閾値Ls以上であったら、折ブレードのリセット(交換又は調整)をアラーム表示する(ステップA30,管理情報出力ステップ)。更に、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数をカウントし、このカウントした回数が予め設定された所定回数に達したか否かを判定する(ステップA40)。この回数が予め設定された所定回数に達したら、折ブレードの交換を案内し(ステップA50,管理情報出力ステップ)、より緊急性の強い管理情報を出力する。
【0080】
なお、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数に応じた制御に替えて或いは加えて、調整限界領域を、調整限界から離れた区分領域から調整限界に近い区分領域まで複数の領域に区分し、判定装置は、調整値が調整限界領域内にある場合に、何れの区分領域にあるかを判定し、判定装置で判定された区分領域が、調整限界から離れた区分領域から調整限界に近い区分領域になるほど、緊急性の強い前記管理情報を出力させる(アラームを段階的に強める)ようにしてもよい。
【0081】
本発明の第1実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置は、上記のように構成されているので、以下の(A)~(D)のような利点ないし効果に加えて、以下の(E)~(G)のような点ないし効果が得られる
(A)各種条件による折目位置の補正値を予め入力・記憶させておき、運転速度に見合った折目位置調整値を演算して折目位置を制御するため、基本的にはオペレータの操作が不要になり、このためオペレータのノンスキル化が図れる。また、通常の折目位置に対して進行方向の前後両方向とも折目位置を簡単に変更できる。
(B)運転速度上昇時と下降時とで速度に対する折目のずれ方が異なる場合にも折目位置の自動調整を追従させることができる。
(C)折目位置のズレにともなう損紙の大幅な減少が可能となる。
(D)折り丁1の形状が規定値外になるようなことが減少し製品品質の向上が図れる等種々の効果を得ることができる。
【0082】
(E)位相調整機構19により折胴軸17に対する折ブレード軸15の位相を調整する調整値(折目位置調整値)が調整限界領域内まで増大している場合には、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報が出力されるので、位相調整機構19の機械的な調整限界に達する前に、必要なメンテナンスを促進することができる。
メンテナンスとしては、例えば折ブレードの交換や出代調整によって、折目位置調整機構を機械的な調整限界内で作動させるように対処することができ、事後でなく折目位置調整が限界に達する前の予防保全を実現できる。これにより、運転中に所望の折目が得られなくなり速度を下げる等の事態に陥ることを、回避することができる。
(F)判定装置61は、マニュアル補正装置40によりマニュアル補正量が入力される度に判定を行うので、適切なタイミングで判定を実施することができ、折目位置調整機構を機械的な調整限界内で作動させるように未然に対処することができる。
(G)判定装置61が、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数をカウントし、この回数が予め設定された所定回数に達したら喚起レベルを強めるので、必要な管理対応〔ここでは、折ブレード36の速やかなリセット(交換又は調整)〕を徹底することができる。
【0083】
なお、図1に二点鎖線で示すように、運転履歴データ記憶装置65に記録された折ブレード情報、即ち、折ブレードの交換日、折機7(輪転機)の運転時間、折機7(輪転機)の運転速度、折機7(輪転機)の運転時における建頁や印刷部数等の何れかを用いて、折ブレードの摩耗が進行している状況であるか否かを検証し、折ブレードの摩耗が進行している状況であると推定できれば、折ブレード36のリセット(交換又は調整)〕を案内し、そうでなければ、その他の点検事項を案内するようにしてもよい。例えば、折ブレードの交換日からあまり時間か経過していないのに、折不良が発生した場合、折ブレードの摩耗とは別の要因が考えられるので、その他の点検事項を案内する。
【0084】
また、予め第1閾値と第1閾値よりも大きい第2閾値とを設定し、折目位置調整値が第1閾値に到達したら、折ブレードのリセット時期が近付いている旨を案内する管理情報を出し、その後、折目位置調整値が増大して第2閾値に到達したら、折ブレードをリセットする時期である旨を案内する管理情報を出すようにしてもよい。第1閾値及び第2閾値は、折目位置調整値が調整限界に達するような折ブレードの摩耗量よりも小さな値とし、折目位置調整値が調整限界に達する前に、折ブレードをリセットできるようにする。
【0085】
また、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大している場合に出力する管理情報として、装置の運転速度を所定速度以下に抑える旨の情報を出力してもよい。
図8(a),(b)に示すように、運転速度が高くなるほど、折目位置調整値を大きくとる傾向があり、運転速度を抑えることで、折目位置のズレを許容範囲に抑制することができ、運転中に、折目位置調整に支障をきたす事態を回避することができる。そこで、その時点の折目位置調整値に応じて、折目位置調整値を調整限界領域未満に抑えることのできる運転速度を案内すれば、装置の運転速度を制限することで、折目位置のズレを許容範囲に抑制することができる。
さらに、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大している場合に出力する管理情報として、装置の運転速度を所定速度以下に自動的に制限するように、折機7(輪転機)の運転速度を制御するようにしてもよい。
【0086】
次に、本発明の第2実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置について説明すると、図10はその要部構成を示す摸式図である。
本第2実施形態における折機7は、前記第1実施形態のものに、構成を追加したもので、図中第1実施形態と共通する部品、部位については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0087】
第2実施形態では、第1実施形態で説明した折目位置調整装置8に対して、さらに品質判定装置41及び判定状態記憶装置42からなる学習手段を設けている。
すなわち、この第2実施形態の折目位置調整装置8では、折り丁1の形成時の条件〔輪転機の上昇速度,下降速度,頁数,紙通しルート(多色頁の位置)及び紙質等〕の変動に対して、マニュアル補正装置40でさらなる補正(修正)が行なわれると、判定状態記憶装置42でこのマニュアル補正のデータが記憶されるようになっている。
【0088】
また、このときの補正結果が良好であると判定された場合には、品質判定装置41により信号(良好信号)が出力されるようになっている。ここで、品質判定装置41は、単に人(オペレータ)が品質を判断した結果、良好である場合にオペレータの操作により信号を出力するようにしたものでよい。
そして、品質判定装置41から判定状態記憶装置42に良好信号が出力されると、適宜制御装置12からの指令により記憶装置10に記憶されている補正データが判定状態記憶装置42で記憶されたデータ(学習データ)に置き換えられて、これにより学習が行われるようになっているのである。
【0089】
なお、図10では、判定状態記憶装置42を独立して設けた場合を示しているが、この判定状態記憶装置42と同等の機能を記憶装置10内に設けて構成してもよい。
上記構成により、本実施形態にかかる折目位置調整装置を有する折装置は、上記のように構成されているので、以下のように機能する。
【0090】
本第2実施形態では、第1実施形態と同様に、折目位置のズレの補正値をテーブル化して予め記憶装置10に記憶させておき、そのデータに基づき折目位置を補正する。
ここで、折目位置補正が不十分であるために、マニュアル補正装置40によりさらに補正(修正)を加えて折り位置を変更した場合、マニュアルで補正した結果が良好であれば品質判定装置41により良好信号が出力され、判定状態記憶装置42により、そのときの運転条件と折ブレード36の位相とが記憶装置10に記憶される。
【0091】
判定状態記憶装置42では、マニュアル補正データ(マニュアル補正量のデータ)の内、同一条件のデータを一式又は複数データを平均化して、記憶装置10に記憶されている補正データと置換する。
つまり、制御にあたって学習機能を持たせたものである。
【0092】
なお、判定状態記憶装置42では、学習データを、例えば運転状態パラメータ(運転上昇時速度,下降時速度,紙質,頁数及び紙通しルート等の条件)に折目位置調整値を対応させた学習関数として記憶する。
【0093】
更に、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、折目位置変更量が調整限界に達してしまう前にこれに対処できるように、本折装置7の折目位置調整装置8にも、図10に示すように、折目位置調整値が位相調整機構19の機械的な調整限界に接近した領域(調整限界領域内)まで増大しているか否かの判定(限界領域判定)を行う判定装置61と、案内装置63と、判定装置61により折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定されたら、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を案内装置63から出力させる管理情報制御装置62が備えられている。
【0094】
また、本実施形態では、折目位置調整装置8に、第1実施形態のマニュアル補正操作記憶装置64が組み込まれた学習データ記憶装置66が装備されている。学習データ記憶装置65は、判定状態記憶装置42に記憶される学習データが入力され記憶される。
【0095】
図11(a)は、図8(a)に対応するもので、実線はデフォルト関数を示している。また、黒丸はデフォルト関数における運転速度V~Vに応じた調整値L~Lを示し、白丸は学習関数における運転速度V~Vに応じた調整値L′~L′を示している。
図11(b)は、学習関数において、折胴軸17に対する折ブレード軸15の相対的位相を進角させる調整値が機械的な調整限界(限界値)に接近する状況を示している。
【0096】
第1実施形態と同様に、折ブレード36の先端の摩耗が進行していくにしたがって、補正関数はデフォルト関数よりも折ブレード軸15の相対的位相を進ませる方向(進角側)へシフトしていき、図11(a)に示す状態から図11(b)に示す状態へと変化する。図11(b)に示す状態では、折目位置調整値が調整限界領域に到達することになり、判定装置61は、学習データの折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定する。
【0097】
また、折ブレードをリセットした後には、折ブレードのリセット前の学習関数を使用して、折目位置を制御すると、図12(a1),(a2)に示すように、折ブレードの摩耗によって生じる折目位置のズレとは逆方向に大きなズレが生じることになる。
【0098】
つまり、折ブレードの摩耗は折ブレードの先端を徐々に後退させるが、折ブレードのリセットは折ブレードの先端を一気に元の位置に復帰させることになるので、折ブレードのリセット前の学習関数を使用して折目位置を制御すると、逆方向に大きな折目位置のズレが生じることになる。
このため、オペレータは折目位置の大幅な修正(マニュアル補正)を行わなければ折目位置のズレを、図12(b1),(b2)に示すような許容範囲内に収めることができず、大きな負担となる。
【0099】
そこで、折ブレードのリセットが実施されたら、その旨の信号が自動又は手動で判定状態記憶装置42に出力され、判定状態記憶装置42では、この信号を受けると、記憶される学習関数を、折装置の初期運転時(折装置の新品時、及び、部品交換等により新品と同等の状態となった時の運転時)において登録された初期状態(デフォルト関数)にリセットするようになっている。なお、図13は、学習関数がデフォルト関数に自動でリセットされた状態を示している。
【0100】
図14は本実施形態の判定装置61及び管理情報制御装置62の処理を示すフローチャートである。図14に示すように、所定の周期で、補正値学習を実施したか否かを判定する(ステップB10)。補正値学習を実施したと判定したら、調整値を限界値(調整限界)に対してマージンαをとった閾値Ls(=限界値-α)と比較して、調整値が閾値Ls以上であるかを判定する(ステップB20,判定ステップ)。調整値が閾値Ls以上であったら、折ブレードのリセット(交換又は調整)をアラーム表示する(ステップB30,管理情報出力ステップ)。更に、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数をカウントし、このカウントした回数が予め設定された所定回数に達したか否かを判定する(ステップB40)。この回数が予め設定された所定回数に達したら、折ブレードの交換を案内し(ステップB50,管理情報出力ステップ)、喚起レベルを強める。
【0101】
図15は折ブレードのリセットに対応して学習関数の初期状態へのリセットの処理を示すフローチャートである。図15に示すように、所定の周期で、ブレード交換の実施が行われたか否かを入力信号の有無から判定する(ステップC10)。ブレード交換が実施されたか補正と判定したら、学習関数を初期状態(デフォルト関数)へ変更する(ステップC20,対応関係変更ステップ)。
【0102】
第2実施形態に係る折装置7は上記の構成により、第1実施形態の(A)~(D)と同様の利点ないし効果に加え、さらに以下の(H)~(J)の利点ないし効果を得ることができる。
(H)学習機能を持たせたことにより、状態変動に追随した補正ができ、更に正確で安定した折目位置の調整が可能となる。
(I)損紙を更に減少させ、平均的商品価値(見栄え)をさらに高めることができる。
(J)手動による微調整が不要となり、さらなる省力化が図れる。
【0103】
さらに本折装置では、学習制御を実施しているときに、第1実施形態の(E)~(G)と同様の利点ないし効果に加え、さらに以下のさらに以下の(K)~(N)の利点ないし効果を得ることができる。
(K)学習制御を実施しているときに、位相調整機構19の機械的な調整限界に達する前に、機械的な調整限界に接近していることを認識することができる。したがって、例えば折ブレードの交換や出代調整によって、折目位置調整機構を機械的な調整限界内で作動させるように対処することができ、事後でなく折目位置調整が限界に達する前の予防保全を実現できる。これにより、運転中に所望の折目が得られなくなり、速度を下げる等の事態に陥らないようにすることができる。
(L)学習制御を実施しているときに、判定装置61は、マニュアル補正装置40によりマニュアル補正量が入力される度に判定を行うので、無駄な判定の実施を抑えながら折目位置調整が限界に達する前に確実に判定することができ、折目位置調整機構を機械的な調整限界内で作動させるように未然に対処することができる。
(M)学習制御を実施しているときに、判定装置61が、折目位置調整値が調整限界領域内まで増大していると判定した回数をカウントし、この回数が予め設定された所定回数に達したら喚起レベルを強めるので、必要な管理対応〔ここでは、折ブレード36の速やかなリセット(交換又は調整)〕を徹底することができる。
(N)さらに、折ブレード36のリセットに対応して学習関数を初期状態(デフォルト関数)へリセットすることで、折ブレード36のリセットに対応して必要となる、煩わしいマニュアル補正操作が不要になる。
【0104】
なお、折ブレード36のリセットに対応した関数の初期状態(デフォルト関数)へのリセットは、学習関数の場合だけでなく、第1実施形態の補正関数の場合にも適用できる。
つまり、折ブレード36がリセットされたら、補正関数も初期状態(デフォルト関数)へリセットする。これにより、折ブレード36のリセットに対応して必要になる煩わしいマニュアル補正操作が不要になる。
【0105】
また、関数の初期状態とは、デフォルト関数に限らない。例えば、マニュアル補正操作記憶装置64や運転履歴データ記憶装置65には、補正関数や学習関数が更新当初のものから記憶されているので、デフォルト関数に対して初めて修正された1回目の補正関数や学習関数を初期状態に定義してもよい。これにより、初期状態はその機械固有の特性が反映されたものになり、リセット直後の折目位置の調整精度を高めることができる。
また、関数の初期状態へのリセットは、自動に限らず、案内装置から手動リセット操作を案内して、手動で行うようにしてもよい。
【0106】
上記の両実施形態に記載のように、本折装置及びこれを用いた印刷機並びに折装置の管理方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)調整値が調整限界領域内まで増大していると判定したら、例えば折ブレードのリセット(交換又は調整)を案内するなど、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報から出力するので、位相調整機構19の機械的な調整限界に達する前に、必要なメンテナンスを促進することができる。
(2)マニュアル補正装置40を備えることにより、オペレータが折目位置を確認しながら適正な位置に調整することができる。
(3)入力装置9、記憶装置10、演算装置11、出力装置13を備え、制御装置12が調整値に対応する信号を出力して折目位置調整機構19を制御することで、適切に自動調整を行うことができる。
(4)運転条件に、機械運転速度の他に、さらに紙質,頁数,紙通しルート等の運転条件を加えて、調整値の演算を行うことで、より適切に自動調整を行うことができる。
(5)運転条件と前記調整値との対応関係(補正関数,学習関数)が、記憶装置10に記憶されたマニュアル補正値を含む補正情報で補正されることで、常に対応関係を用いて調整値を適切に設定することができる。
(6)判定装置61はマニュアル補正値が送信されると、マニュアル補正量で補正された調整値に対して限界領域判定を行うので、迅速に適切なタイミングで判定の実施することができる。
(7)補正された調整値で運転したときに折目位置が適正である場合に、補正された調整値とこのときの機械運転速度とを取り込み、記憶装置に記憶されている対応関係を更新することにより、状態変動に追随した補正が自動ででき、オペレータの負担を軽減させながら正確で安定した折目位置の調整が可能となる。
(8)判定装置61は、学習制御(学習関数の更新)が実施されると、更新された対応関係(学習関数)から導出される調整値に対して限界領域判定を行うので、迅速に適切なタイミングで判定の実施することができる。
(9)折ブレード36の交換など、調整値が調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、記憶装置に記憶された対応関係(補正関数,学習関数)を、初期状態(例えば、デフォルト関数)にリセットすることで、折ブレードのリセットに対応して必要となる、煩わしいマニュアル補正操作が不要になる。
(10)調整値が調整限界領域内まで増大した回数をカウントし、このカウント値が所定数に達したと判定されると、例えば折ブレードの速やかなリセット(交換又は調整)を案内する情報など、より緊急性の強い管理情報出力することで、例えば折ブレードの速やかなリセット(交換又は調整)を促進するなど、速やかな対応を促すことができる。
(11)調整限界領域を、調整限界から離れた区分領域から調整限界に近い区分領域まで複数の領域に区分し、判定装置61は、調整値が調整限界領域内にある場合に、何れの区分領域にあるかを判定し、管理情報制御装置62は、判定装置61で判定された区分領域が、調整限界から離れた区分領域から前記調整限界に近い区分領域になるほど、緊急性の
強い前記管理情報を出力させるようにしても、例えば折ブレードの速やかなリセット(交換又は調整)を促進するなど、速やかな対応を促すことができる。
(12)調整値が調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、折装置7の運転速度の低下を案内する管理情報を出力すると、例えば運転中に、運転を停止することなく、一時的に運転速度を抑えて調整値が過剰にならないようにし、折目位置を適正化することができる。
(13)調整値が調整限界領域内まで増大していることが判定されたら、折装置7の運転速度を制限することでも、運転中に、運転を停止することなく、一時的に運転速度を抑えて調整値が過剰にならないようにし、折目位置を適正化することができる。
(14)本折装置7を、新聞用オフセット輪転機等印刷機に適用することで、新聞等の折目のある印刷物の品質を向上させることができる。
(15)限界領域判定を行う判定ステップと、調整値が前記調整限界領域内まで増大していると判定したら、例えば折ブレード36のリセット(交換又は調整)を案内するなど、調整値の増大を抑制するメンテナンスを促す管理情報を出力させる管理情報出力ステップと、を備えた折装置の管理方法によれば、位相調整機構19の機械的な調整限界に達する前に、必要なメンテナンスを促進することができる。
(16)折ブレード36の交換など、調整値が調整限界領域内まで増大している原因が排除されたら、記憶装置に記憶された対応関係(補正関数,学習関数)を、初期状態(例えば、デフォルト関数)にリセットする対応関係変更ステップを備えることで、折ブレードのリセットに対応して必要となる、煩わしいマニュアル補正操作が不要になる。
【0107】
なお、本発明の折目位置調整装置を有する折装置は、上記のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。例えば、記憶装置10に輪転機の上昇速度,下降速度,頁数,紙通しルート(多色頁の位置)及び紙質等の各パラメータに対する補正値テーブルの代わりに補正値を算出するための演算式のみを記憶させ、演算装置11で補正値を算出するようにしてもよい。
【0108】
また、本発明の折目位置調整装置を有する折装置は、記憶装置10、演算装置11,60、制御装置12、出力装置13、駆動装置14、マニュアル補正装置40、品質判定装置41、判定状態記憶装置42、駆動制御装置57、判定装置61、管理情報制御装置62、案内装置63、マニュアル補正操作記憶装置64などの各装置を個別に備えたものとしているが、本発明は、これらの各装置に相当する機能を備えていればよく、1つの装置の中に複数の機能(装置)を組みこませた構成にしてもよい。
この場合、記憶装置10、演算装置11,60、制御装置12、出力装置13、駆動装置14、マニュアル補正装置40、品質判定装置41、判定状態記憶装置42、駆動制御装置57、判定装置61、管理情報制御装置62、案内装置63、マニュアル補正操作記憶装置64を、それぞれ適宜、記憶部10、演算部11,60、制御部12、出力部13、駆動部14、マニュアル補正部40、品質判定部41、判定状態記憶部42、駆動制御装置57、判定部61、管理情報制御部62、案内部63、マニュアル補正操作記憶部64、と呼ぶことができる。
【0109】
また、折目位置調整機構は、折胴軸17と折ブレード軸15との相対的位相を変更して折目位置を調整することができるものであればよく、上記実施形態の位相調整機構(折目位置調整機構)19に限定されるものではない。
さらに、位相調整機構19の位相の調整値を検出するセンサ等が装備されていれば、位相調整機構19の位相の調整値が直接把握でき、判定装置61による限界領域判定に利用すればよい。
また、上記センサ等が装備されていない場合、上記実施形態のように、調整値と対応するパラメータを調整値に替えて用いて限界領域判定を行うことになるが、かかるパラメータは実施形態に記載のものに限定されない。
【符号の説明】
【0110】
1 折り丁
2 鋸胴
3,3′ 折胴
4 三角板
5 羽根車
6 排紙コンベア
7 折機
8 折目位置調整装置
9 入力装置
10 記憶装置
11 演算装置
12 制御装置
13 出力装置
14 駆動装置
15 折ブレード軸
16 ポテンショメータ(回転位相検出手段)
17 折胴軸
18 駆動歯車
19 位相調整機構(折目位置調整機構)
20 外筒
21 歯車
22 歯車
23 軸
24 ハスバ歯車
25 移動歯車
26 ベアリング
27 円板
28 送りネジ
29 モータ(位置調整用駆動力源)
30 ベベルギア
31 ベアリング
32 歯車機構を構成する歯車
33 歯車機構を構成する中間歯車
34 装置フレーム
35 歯車機構を構成する固定歯車
36 折ブレード
37 フランジ(偏心部材)
38 ウェブ
39 折込ローラ
40 マニュアル補正装置
41 品質判定装置
42 判定状態記憶装置
43 リードインローラ
44 ニッピングローラ
45 鋸台
46 鋸刃
47 鋸刃受
48 針
49 針装置
50 ガイド
51 ウエイト
52 軸
53 レバー
54 バネ
55 ガイド
56 すべりキー
57 駆動制御装置
60 演算装置
61 判定装置
62 管理情報制御装置
63 案内装置
64 マニュアル補正操作記憶装置
65 運転履歴データ記憶装置
66 学習データ記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15