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  • 特許-サリチルアミド酢酸塩の製造方法 図1
  • 特許-サリチルアミド酢酸塩の製造方法 図2
  • 特許-サリチルアミド酢酸塩の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】サリチルアミド酢酸塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/08 20060101AFI20240314BHJP
   C07C 215/50 20060101ALI20240314BHJP
   C07C 53/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C07C213/08
C07C215/50
C07C53/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020545847
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2018117458
(87)【国際公開番号】W WO2019105324
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】201711221319.7
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522086825
【氏名又は名称】ティーエスアイ グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ロン,リン
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524918(JP,A)
【文献】特開昭55-162747(JP,A)
【文献】米国特許第06117880(US,A)
【文献】国際公開第2012/104305(WO,A1)
【文献】Organic Letters,2013年,15(21),P.5448-5451,Supporting Information P.6-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 213/
C07C 215/
C07C 53/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)式1:
【化1】
で表される構造を有するサリチルアルデヒドとカルバミン酸tert-ブチルを反応させて式2で表される構造を有する化合物を得る工程と、
(2)式2で表される構造を有する化合物を酸加水分解した後、酢酸と反応させ、サリチルアミン酢酸塩を得る工程と、
を含み、
前記カルバミン酸tert-ブチルとサリチルアルデヒドの当量比が1.0乃至3.0:1である、
サリチルアミン酢酸塩の製造方法。
【請求項2】
工程(1)の反応温度は0乃至50℃であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
工程(1)の反応時間は3乃至18時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
工程(1)の反応溶媒はテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは1,4-ジオキサンからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(2)における加水分解に用いられる酸は塩酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸及び硫酸からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(2)における酸加水分解はアルコール系有機溶媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アルコール系有機溶媒はC1-4脂肪族アルコールである、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
工程(2)における酢酸との反応温度は、室温から酢酸溶液の還流温度までであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
工程(2)における酢酸との反応時間は10乃至24時間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記アルコール系有機溶媒は、メタノール、エタノール、及びn-ブタノールから選択される、請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
工程(1)の反応にさらにトリエチルシランが使用される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学合成分野に属しより具体的には、サリチルアミド酢酸塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サリチルアミド酢酸塩の構造式は
【0003】
【化1】
【0004】
であり、サリチルアルデヒドオキシムを出発物質として還元する場合、水素による還元、亜鉛粉末による還元、またはパラジウムカーボンによる還元を含む。しかしながら、ラネーニッケル触媒を使用し、アンモニア水の存在下で水素による還元をすると、得られる生成物は主に、式4で表される化合物である;同様に、ラネーニッケル触媒を使用し、BocOの存在下で水素による還元をすると、何の生成物も得られず、出発物質のサリチルアルデヒドオキシムのみが残る。亜鉛粉末による還元を採用する場合、メタノール中でギ酸アンモニウムと反応させて得られる生成物は主に、式4で表される化合物である;亜鉛粉末による還元の場合、15℃でも、40℃若しくは80℃でも、氷酢酸との反応では、何の生成物も得られず、出発物質のサリチルアルデヒドオキシムのみが残る。パラジウムカーボンによる還元の場合、水素下で塩酸溶液との反応では、少量の目的生成物しか得られず、出発物質のサリチルアルデヒドオキシムが大量に残る。サリチロニトリルを出発物質とすると、テトラヒドロフラン中で水素化アルミニウムリチウムにより還元させて、エタノール中で氷酢酸と反応させることで、目的生成物が得られるが、水素化アルミニウムリチウムの取り扱いが危険であり、且つ水素化アルミニウムリチウムをクエンチする時に固形廃棄物と水素が大量に生成され、安全と環境保全の点でプレッシャーがかかり、しかもコストも高いゆえ、産業化が困難になる。
【発明の概要】
【0005】
従って、本分野において、効果的で、安価で、環境に優しく、産業化生産に適したサリチルアミド酢酸塩の製造方法は切望されている。
本発明は、新規なサリチルアミド酢酸塩の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明によれば、
(1)式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドをアミノ基によって保護し、式2で表される構造を有する化合物を得る工程と;
(2)式2で表される構造を有する化合物を酸加水分解した後、酢酸と反応させ、サリチルアミド酢酸塩を得る工程と;
を含むサリチルアミド酢酸塩の製造方法を提供する。
【0007】
【化2】
【0008】
もう一つの好ましい例において、工程(1)におけるアミノ基による保護の反応温度は0~50℃である。
もう一つの好ましい例において、工程(1)におけるアミノ基による保護の反応時間は3~18時間である。
【0009】
もう一つの好ましい例において、工程(1)におけるカルバミン酸tert-ブチルとサリチルアルデヒドの当量比は1.0~3.0:1である。
もう一つの好ましい例において、工程(1)の反応溶媒はテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは1,4-ジオキサンからなる群から選ばれる。
【0010】
もう一つの好ましい例において、工程(2)における加水分解に用いられる酸は塩酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸または硫酸からなる群から選ばれる。
もう一つの好ましい例において、工程(2)における酸加水分解はアルコール系有機溶媒の存在下で行われる;前記アルコール系有機溶媒はC1-4脂肪族アルコールであり、より好ましくは、メタノール、エタノールまたはn-ブタノールからなる群から選ばれる。
【0011】
もう一つの好ましい例において、工程(2)における酢酸との反応温度は、室温から酢酸溶液の還流温度までである。
もう一つの好ましい例において、工程(2)における酢酸との反応時間は10~24時間である。
【0012】
これにより、本発明において、効果的で、安価で、環境に優しく、産業化生産に適したサリチルアミド酢酸塩の製造方法は提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明で提供される方法において得られるサリチルアミドの核磁気共鳴スペクトルを示す。
図2図2は、本発明で得られるサリチルアミド酢酸塩の核磁気共鳴スペクトルを示す。
図3図3は、本発明で得られるサリチルアミド酢酸塩のLC-MSスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明者らは幅広くて深く研究したところ、サリチルアルデヒドを出発物質とし、アミノ基保護試薬と酸加水分解を利用することにより、便利でかつ効率的にサリチルアミド酢酸塩を得ることができ、且つ産業化生産が可能であることを見出した。それらに基づき、本発明を完成した。
【0015】
本文に関わる化合物のリストは以下の通りである:
【0016】
【化3】
【0017】
具体的には、本発明で提供される式3で表される構造を有するサリチルアミド酢酸塩の製造方法は、下記の工程を含む:
第1工程は、式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドをアミノ基保護試薬と混合し、式2で表される構造を有する化合物を得る;
第2工程は、式2で表される構造を有する化合物を酸または酸溶液と混合して得られる生成物を酢酸と接触させ、式3で表される構造を有するサリチルアミド酢酸塩を得る。
【0018】
本発明の一つの実施形態において、上記第1工程における式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドとアミノ基保護試薬との混合系に含まれる溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは1,4-ジオキサンからなる群から選ばれる。
【0019】
本発明の一つの実施形態において、上記第1工程における式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドとアミノ基保護試薬との混合系には、トリエチルシランがさらに含まれる。
【0020】
本発明の一つの実施形態において、上記第1工程における式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドとアミノ基保護試薬との混合系には、トリフルオロ酢酸がさらに含まれる。
【0021】
本発明の一つの実施形態において、上記第1工程における混合温度は0~50℃であり、好ましくは10~50℃である。
本発明の一つの実施形態において、上記第1工程における混合時間は3~18時間であり、好ましくは8~18時間である。
【0022】
本発明の一つの実施例において、上記第1工程は、式1で表される構造を有するサリチルアルデヒドと、アミノ基保護試薬と、トリエチルシランと、およびトリフルオロ酢酸とを混合した後、0~50℃(好ましくは10~50℃)で体系を3~18時間(好ましくは8~18時間)保温し、式2で表される構造を有する化合物を得る;ただし、前記アミノ基保護試薬は、カルバミン酸ベンジルまたはカルバミン酸tert-ブチルから選ばれる;前記アミノ基保護試薬とサリチルアルデヒドの使用量比は1.0~3.0当量:1である;前記トリエチルシランとサリチルアルデヒドの使用量比は1.0~3.0当量:1である。
【0023】
本発明の一つの好ましい実施例において、体系を保温しながら攪拌する。
上記第1工程にカルバミン酸tert-ブチルが用いられる場合、混合は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたは1,4-ジオキサンからなる群から選ばれる有機溶媒中で行われる。
【0024】
本発明の一つの好ましい実施例において、上記第1工程において、飽和無機塩基溶液によって式2の化合物を得るための反応をクエンチし、前記無機塩基は炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む;無機塩基溶液の使用量は、反応をクエンチできるものであればよく、体系を弱塩基性にするもの、例えばpHを7~9、7~8.5、7~8、7.5~8.5、7.5~9などにするものが好ましい。
【0025】
本発明の一つの実施形態において、上記第2工程における前記酸溶液は酸の水溶液である;前記酸は塩酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸または硫酸からなる群から選ばれる。
本発明の一つの実施形態において、式2で表される構造を有する化合物を酸または酸溶液とC1-4脂肪族アルコール中で混合し、混合温度を5~40℃(好ましくは10-35℃)にする。
【0026】
本発明の一つの実施例において、上記第2工程において、式2で表される構造を有する化合物を酸または酸溶液とC1-4脂肪族アルコール(好ましくはメタノール、エタノールまたはn-ブタノール)中で混合した後、無機塩基によって反応をクエンチ、有機溶媒で抽出された有機相を酢酸と混合し、室温~還流温度で10~16時間反応させ、式3で表される構造を有するサリチルアミド酢酸塩を得る。前記無機塩基は炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどを含む;無機塩基の使用量は、反応をクエンチできるものであればよく、体系を弱塩基性にするもの、例えばpHを7~9、7~8.5、7~8、7.5~8.5、7.5~9などにするものが好ましい。前記抽出に用いられる有機溶媒は2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチルおよびジクロロメタンなどを含む。
【0027】
本発明の一つの好ましい実施例において、酢酸との混合系内にメチルtert-ブチルエーテルを加えることで晶析させ、ろ過した後、純度の高いサリチルアミド酢酸塩を得る。
【0028】
本発明で述べられた上述の特徴、或は実施例で述べられる特徴は、任意に組み合わせてもよい。本明細書で開示された全ての特徴は任意の組成物の様態と併用してもよく、明細書で開示された各特徴はいずれも、同様、同等或いは類似の目的を果たす代わりの特徴により置換されてもよい。したがって、特に説明しない限り、開示された特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
【0029】
本発明の主な利点は、以下の通りである。
1、本発明で提供されるサリチルアミド酢酸塩の製造方法は、産業化が可能である。
2、本発明にかかる方法で得られるサリチルアミド酢酸塩は、外観が良好である。
【0030】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いるもので、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われた。別の説明がない限り、すべての百分率、比率、比例或いは部は、重量で計算される。本発明における重量体積百分率の単位は当業者にとって熟知で、例えば100mLの溶液における溶質の重量を指す。別途に定義しない限り、文中に使用されるすべての専門・科学用語は、本分野の熟練者によく知られる意味と同じである。また、記載される内容に類似或は同等の方法及び材料はいずれも本発明に使用することができる。文中に記載の好ましい実施形態及び材料は例示だけのためである。
【0031】
実施例1
【0032】
【化4】
【0033】
アセトニトリル(168.0g)と主要原料のサリチルアルデヒド(70.4g、1.00eq)を1Lの反応フラスコに入れた;カルバミン酸tert-ブチル(74.0g、1.10eq)とトリエチルシラン(79.0g、1.20eq)を1Lの反応フラスコに入れ、温度を15℃~40℃に制御しながら、トリフルオロ酢酸(65.4g、1.00eq)を反応系に滴下した;滴下終了後、体系を15~40℃で保温しながら12~16時間攪拌した後、サンプリングを開始し、2~4時間ごとにサンプルを採取し、出発物質含有量が<5%になるまたは連続の2つのサンプルの変化が<1%になるまでHPLCによってトレースし、温度を15~30℃に制御しながら、体系に525gの飽和炭酸水素ナトリウム溶液(490gの水+35gの炭酸水素ナトリウム)を加えて反応をクエンチし(具体的な添加量はpHに応じた、pH=7~8)、その後、毎回252gの酢酸エチルで2回抽出し、有機相を合わせて、それぞれ280gの水と336gの飽和食塩水(252gの水+84gの塩化ナトリウム)で洗浄し、塩洗浄後の有機相に100gの無水硫酸ナトリウムを加え、2~4時間攪拌して乾燥させ、遠心または吸引ろ過し、ケーキを63gの酢酸エチルですすぎ、ケーキを一時的に保管し、ろ液を合わせて(実施例2における)次のステップに備えた。
【0034】
実施例2
【0035】
【化5】
【0036】
15~30℃でメタノール(350ml)と実施例1で得られた粗産物(1.00eq)を1Lの反応フラスコに入れ、水(50mlL)と濃塩酸(100ml、2.00eq)を1Lの反応フラスコに加え、15~30℃で16時間攪拌した後、サンプルを採取し、原料が<0.5%になるまでHPLCで検出し、反応終了後、体系を濃縮することでメタノールを取り除き、濃縮された体系に水を500ml加えて均一な相にしてから、酢酸エチル(350ml*2)で抽出し、抽出された水相を塩基性に調節するように、炭酸水素ナトリウム85gでpHを7~8に調節し、毎回700mlの2-メチルテトラヒドロフランで4回抽出した;有機相を濃縮乾燥し、黄色固体を得た;350mlの酢酸に溶解させ、15~30℃で16時間攪拌し、体系にメチルtert-ブチルエーテルを1000ml加え、固体を析出させ、15~30℃で1~2時間攪拌した;吸引ろ過し、ケーキをメチルtert-ブチルエーテルですすいだ;乾燥して産物を42g得た。
1H NMR:DPC0126-31-P1A 400 MHz DMSO-d6
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.14 - 7.04 (m, 2H), 6.78 - 6.68 (m, 2H), 3.85 (s, 2H), 1.82 (s, 3H)。
【0037】
実施例3
1.アセトニトリル(168.0g)と主要原料のサリチルアルデヒド(70.4g)を1500mlのフラスコに入れた。
【0038】
2.カルバミン酸tert-ブチル(74.0g)とトリエチルシラン(79.0g)を1500mlのフラスコに入れた。
3.温度を10℃~40℃に制御しながら、トリフルオロ酢酸(65.4g)を反応系に滴下した。
【0039】
4.滴下終了後、体系を10~40℃で保温しながら10~20時間攪拌した後、サンプリングを開始し、2~4時間ごとにサンプルを採取し、出発物質含有量が<5%になるまでHPLCによってトレースした。
【0040】
5.温度を10~40℃に制御しながら、体系に525gの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて反応をクエンチし、その後、毎回252gの酢酸エチルで2回抽出し、有機相を合わせて、それぞれ280gの水と336gの飽和食塩水で洗浄し、塩洗浄後の有機相に100gの無水硫酸ナトリウムを加え、2~4時間攪拌して乾燥させ、遠心または吸引ろ過し、ケーキを65gの酢酸エチルですすいだ。
【0041】
実施例4
1.温度を5~25℃に制御しながら、実施例3で乾燥された酢酸エチルのろ液に濃硫酸(84.4g)を滴下した。
【0042】
2.滴下終了後、体系を5~25℃で保温しながら10~20時間攪拌した後、サンプリングを開始し、2~4時間ごとにサンプルを採取し、出発物質含有量が<2%になるまでHPLCによってトレースした。
【0043】
3.反応終了後、体系を遠心し、遠心された固体をエナメル製ケトルに入れ、252gの酢酸エチルで攪拌して洗浄し、再度遠心し、遠心された固体を乾燥させて硫酸塩を98g得た。
【0044】
4.乾燥された硫酸塩を1155gの無水メタノールで攪拌してきれいに溶解させ、さらに112gの固形炭酸水素ナトリウムを加えた。
5.体系を10~30℃で16~24時間攪拌し、サンプルを採取して核磁気共鳴で検出したところ、完全に遊離していることが示され、サリチルアミドが得られた。図1を参照する。
【0045】
6.遊離している体系に20gのセライトを加え、温度を-5~5℃に下げた後、3~5時間攪拌してそのまま遠心し、遠心された固体を78gのメタノールですすいだ。
7.遠心された母液を画分がなくなるまで真空濃縮し、150gのメチルtert-ブチルエーテルを加えた。
【0046】
8.体系を5~15℃で2~4時間攪拌してから遠心し、遠心された固体を75gのメチルtert-ブチルエーテルですすぎ、遠心された固体を40~50℃で乾燥し、遊離態の産物を42g得た。
【0047】
9.乾燥した固体を420gの氷酢酸で溶解させ、16~24時間攪拌した。
10.反応系にメチルtert-ブチルエーテルを932g加え、0~10℃で攪拌して4~6時間晶析させた。
【0048】
11.体系を遠心し、遠心された固体を250mlの85%エタノールで洗浄してから、再度遠心した。
12.遠心された固体を40~50℃で乾燥し、白色の最終産物を35.4g得た。
【0049】
【化6】
【0050】
1H NMR:DPC0126-31-P1A 400 MHz DMSO-d6
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.14 - 7.04 (m, 2H), 6.78 - 6.68 (m, 2H), 3.85 (s, 2H), 1.82 (s, 3H)。
【0051】
図2と3を参照して、本発明によれば、サリチルアミド酢酸塩が得られ、その構造が正確で、且つその純度が高かった。
以上の説明は本発明の好ましい実施例だけで、本発明の実質の技術内容の範囲を限定するものではなく、本発明の実質の技術内容は広義的に出願の請求の範囲に定義され、他の人が完成した技術実体或いは方法は、出願の請求の範囲に定義されたものとまったく同じものであれば、或いは効果が同等の変更であれば、いずれもその請求の範囲に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3