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特許7454500建物用の可変冷媒流量システムと同システムを動作させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】建物用の可変冷媒流量システムと同システムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20240314BHJP
   F24F 11/47 20180101ALI20240314BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20240314BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20240314BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240314BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20240314BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20240314BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20240314BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/47
F24F11/89
F24F11/56
F24F11/64
F24F11/70
F24F140:60
F24F140:00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020547334
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019021878
(87)【国際公開番号】W WO2019178117
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】15/920,077
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】インゲール、 アヌパム アジト
(72)【発明者】
【氏名】タレジャ、 アンクル
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリャ、 サブラタ
(72)【発明者】
【氏名】バリ、 ブラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】マジュムダール、 ブラジャ
(72)【発明者】
【氏名】カーン、 トウシフ エイチ.
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-108277(JP,A)
【文献】特開2005-147651(JP,A)
【文献】特開2000-234792(JP,A)
【文献】特開2015-034656(JP,A)
【文献】特開2003-322381(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02479505(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物用の可変冷媒流量システムであって、
起動要求を生成するように構成された前記建物用の複数の室内ユニットと、
前記起動要求を受信し、前記起動要求に応じて、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給し、前記起動要求に基づく起動データを収集するように構成された、第1の室外ユニットと、
室外ユニット電力消費量測定値を提供するように構成された室外メータと、
可変冷媒流量管理システムと
を含み、
前記可変冷媒流量管理システムは、
前記室外ユニット電力消費量測定値、及び前記起動データを受信することと、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することと
を行うように構成され
前記第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、
前記起動データは、前記複数の室内ユニットのそれぞれのコンプレッサ要求周波数を含み、
前記可変冷媒流量管理システムは、
少なくとも前記室内ユニットに対応する前記コンプレッサ要求周波数に基づいて、各室内ユニットの室外消費量係数を計算することと、
各室内ユニットの電力比例指数を、前記各室内ユニットに対応する前記室外消費量係数を前記複数の室内ユニットのそれぞれの前記室外消費量係数の合計で除算することによって計算することと、
前記各室内ユニットの電力比例指数に、前記室外ユニット電力消費量測定値を乗算することと
によって、前記室外ユニット電力消費量測定値の各室外シェアを配分するように構成される、可変冷媒流量システム。
【請求項2】
建物用の可変冷媒流量システムであって、
起動要求を生成するように構成された前記建物用の複数の室内ユニットと、
前記起動要求を受信し、前記起動要求に応じて、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給し、前記起動要求に基づく起動データを収集するように構成された、第1の室外ユニットと、
室外ユニット電力消費量測定値を提供するように構成された室外メータと、
可変冷媒流量管理システムと
を含み、
前記可変冷媒流量管理システムは、
前記室外ユニット電力消費量測定値、及び前記起動データを受信することと、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することと
を行うように構成され、
起動要求を受信するように構成された1つ以上の追加の室外ユニットを更に含み、
前記室外メータは、前記第1の室外ユニット及び前記1つ以上の追加の室外ユニットの電力消費量を測定して、前記室外ユニット電力消費量測定値を生成し、
前記可変冷媒流量管理システムは更に、少なくとも前記起動要求に基づいて、前記室外ユニット電力消費量測定値のシェアを前記第1の室外ユニットに配分するように構成される、可変冷媒流量システム。
【請求項3】
前記第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、
前記起動データはコンプレッサ要求周波数を含み、
前記可変冷媒流量管理システムは更に、
前記第1の室外ユニットのコンプレッサランタイムを決定することと、
少なくとも前記第1の室外ユニットによって受信された前記起動要求の前記コンプレッサ要求周波数に基づいて、コンプレッサ総周波数を決定することと、
少なくとも平均コンプレッサ総周波数及び前記コンプレッサランタイムに基づいて、前記第1の室外ユニットの消費量係数を計算することと、
前記第1の室外ユニットの前記消費量係数を、前記1つ以上の追加の室外ユニットの消費量係数と前記第1の室外ユニットの前記消費量係数との合計で除算することによって、前記第1の室外ユニットの電力比例指数を計算することと、
前記室外ユニット電力消費量測定値に前記電力比例指数を乗算することと
によって、少なくとも前記起動要求に基づいて、前記室外ユニット電力消費量測定値のシェアを前記第1の室外ユニットに配分するように構成される、請求項の可変冷媒流量システム。
【請求項4】
前記複数の室内ユニットの電力消費量を測定して、室内電力消費量測定値を生成するように構成された室内メータを更に備え、
前記可変冷媒流量管理システムは更に、前記複数の室内ユニット間で前記室内電力消費量測定値を配分するように構成される、請求項1の可変冷媒流量システム。
【請求項5】
建物用の可変冷媒流量システムを動作させる方法であって、
前記建物用の複数の室内ユニットによって、起動要求を生成することと、
第1の室外ユニットによって、前記起動要求を受信することと、
前記起動要求に応じて、前記第1の室外ユニットによって、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給することと、
前記第1の室外ユニットによって、前記起動要求に基づく起動データを収集することと、
前記可変冷媒流量システムによって、室外ユニット電力消費量測定値、及び前記起動データを取得することと、
前記可変冷媒流量システムによって、少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することと
を含み、
前記第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、
前記起動データは、前記複数の室内ユニットのそれぞれのコンプレッサ要求周波数を含み、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することは、
少なくとも前記コンプレッサ要求周波数に基づいて、各室内ユニットの室外消費量係数を計算することと、
前記室内ユニットに対応する前記室外消費量係数を、前記複数の室内ユニットのそれぞれの前記室外消費量係数の合計で除算することによって、各室内ユニットの電力比例指数を計算することと、
各室内ユニットの前記電力比例指数に前記室外ユニット電力消費量測定値を乗算することと
を含む、方法。
【請求項6】
建物用の可変冷媒流量システムを動作させる方法であって、
前記建物用の複数の室内ユニットによって、起動要求を生成することと、
第1の室外ユニットによって、前記起動要求を受信することと、
前記起動要求に応じて、前記第1の室外ユニットによって、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給することと、
前記第1の室外ユニットによって、前記起動要求に基づく起動データを収集することと、
前記可変冷媒流量システムによって、室外ユニット電力消費量測定値、及び前記起動データを取得することと、
前記可変冷媒流量システムによって、少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することと
を含み、
前記室外ユニット電力消費量測定値を取得することは、
前記第1の室外ユニット及び1つ以上の追加の室外ユニットの電力消費量を測定して、総室外ユニット消費量測定値を生成することと、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記室外ユニット電力消費量測定値を、前記総室外ユニット消費量測定値の一部として、前記第1の室外ユニットに配分することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、
前記起動データはコンプレッサ要求周波数を含み、
前記室外ユニット電力消費量測定値を前記第1の室外ユニットに配分することは、
前記第1の室外ユニットのコンプレッサランタイムを決定することと、
少なくとも前記第1の室外ユニットによって受信された前記起動要求の前記コンプレッサ要求周波数に基づいて、コンプレッサ総周波数を決定することと、
少なくとも前記コンプレッサ総周波数及び前記コンプレッサランタイムに基づいて、前記第1の室外ユニットの消費量係数を計算することと、
前記第1の室外ユニットの前記消費量係数を、前記1つ以上の追加の室外ユニットの消費量係数と前記第1の室外ユニットの前記消費量係数との合計で除算することにより、前記第1の室外ユニットの電力比例指数を計算することと、
前記総室外ユニット消費量測定値に前記電力比例指数を乗算することと
を含む、請求項の方法。
【請求項8】
建物用の可変冷媒流量システムを動作させる方法であって、
前記建物用の複数の室内ユニットによって、起動要求を生成することと、
第1の室外ユニットによって、前記起動要求を受信することと、
前記起動要求に応じて、前記第1の室外ユニットによって、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給することと、
前記第1の室外ユニットによって、前記起動要求に基づく起動データを収集することと、
前記可変冷媒流量システムによって、室外ユニット電力消費量測定値、及び前記起動データを取得することと、
前記可変冷媒流量システムによって、少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれに、前記室外ユニット電力消費量測定値の室外シェアを配分することと
を含み、
前記複数の室内ユニットの室内電力消費量測定値を取得することと、
前記複数の室内ユニット間で前記室内電力消費量測定値の室内シェアを配分することと
を更に含み、
前記複数の室内ユニット間で前記室内電力消費量測定値の各室内シェアを起因することは、
少なくとも前記室内ユニットに対応するランタイム及び容量に基づいて、各室内ユニットの室内消費量係数を計算することと、
前記室内ユニットに対応する前記室内消費量係数を、前記複数の室内ユニットそれぞれの前記室内消費量係数の合計で除算することにより、各室内ユニットの室内電力比例指数を計算することと、
各室内ユニットの前記室内電力比例指数に前記室内電力消費量測定値を乗算することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記室内ユニットに対応する前記室内シェアを、前記室内ユニットに対応する前記室外シェアに加算することによって、各室内ユニットの室内ユニット総消費量を決定することと、
前記室内ユニットに対応する前記室内ユニット総消費量に、電力料金レートを乗算することによって、各室内ユニットの総室内ユニット請求額を生成することと
を更に含む、請求項の方法。
【請求項10】
各テナントが前記複数の室内ユニットの1つ以上に対応する、複数のテナントのそれぞれに対する電力料金請求書を生成することを更に含む、請求項の方法。
【請求項11】
システムであって、
可変冷媒流量システムの室外ユニットの室外電力消費量測定値を提供するように構成された室外メータと、
メモリ及びプロセッサを有する処理回路を備える管理システムと
を含み、
前記室外ユニットは、複数の室内ユニットからの起動要求に応じて、前記複数の室内ユニットに冷媒を供給し、前記起動要求に基づく起動データを収集するように構成され、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行可能な命令であって、前記処理回路に、
前記室外メータから前記室外電力消費量測定値を受信することと、
前記起動データを受信することと、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニット間で、前記室外電力消費量測定値を配分することと
を行わせる命令を記憶するように構成され
前記処理回路は、
少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれの室外消費量係数を決定することと、
少なくとも前記室外消費量係数に基づいて、前記複数の室内ユニットのそれぞれの電力比例指数を決定することと、
各電力比例指数に前記室外電力消費量測定値を乗算することと
によって、少なくとも前記起動データに基づいて、前記複数の室内ユニット間で、前記室外電力消費量測定値を配分するようにされる、システム。
【請求項12】
前記起動データは、コンプレッサ要求周波数、平均コンプレッサ要求周波数、サーモオン時間、室内ユニットモデル番号、又は室内ユニット容量のうちの少なくとも1つを含む、請求項11のシステム。
【請求項13】
前記複数の室内ユニットの室内電力消費量測定値を提供するように構成された室内メータを更に含み、
前記室内ユニットは更に、ランタイムデータを提供するように構成され、
前記処理回路は更に、
前記室内電力消費量測定値を受信することと、
前記複数の室内ユニットのランタイムに関連するランタイムデータを受信することと、
データベース内の前記複数の室内ユニットのそれぞれの容量を調べることと、
少なくとも前記ランタイムデータ及び前記容量に基づいて、前記複数の室内ユニット間で前記室内電力消費量測定値を配分することと
を行わされる、請求項11のシステム。
【請求項14】
前記複数の室内ユニットは、様々なテナントに対応する様々な建物ゾーンの温度を調節するように動作可能であり、
前記処理回路は更に、少なくとも前記配分された室外電力消費量測定値に基づいて、前記様々なテナントの電力料金請求書を生成するようにされる、請求項11のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月13日出願の米国特許出願第15/920,077号の利益及び優先権を主張し、参照によりその全体の開示を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、可変冷媒流量システムの分野に関し、より具体的には、可変冷媒流量システムによってサービスを提供される施設の複数のテナント間で電力コストを配分するための方法及びシステムに関する。可変冷媒流量システムでは、冷媒は室外凝縮ユニットによって調節され、建物内で複数の室内ユニットに循環され、システムの電力消費量の大部分が室外凝縮ユニットに起因する。
【0003】
可変冷媒流量システムは、アパート建物、オフィス建物、又は複合利用施設などのマルチテナント建物において普及している。多くのマルチテナント建物では、例えば、建物内のテナントのユニットに起因する電力消費量を測定するメータによって決定された、そのテナントの電力消費量に基づいて各テナントに電力事業コストが請求される。しかしながら、可変冷媒流量システムにおける電力消費量は、大部分は複数のテナントにサービスを提供する室外の凝縮ユニットによるものであるため、サービスを提供するテナント間で室外の凝縮ユニットの電力消費量コストを正確に配分するという課題が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つの実装形態は、建物用の可変冷媒流量システムである。可変冷媒流量システムは、複数の室内ユニット、第1の室外ユニット、室外メータ、及び可変冷媒流量管理システムを含む。複数の室内ユニットは、起動要求を生成するように構成されている。第1の室外ユニットは、起動要求を受信し、その起動要求に応じて、複数の室内ユニットに冷媒を供給するように構成されている。室外メータは、室外ユニット電力消費量測定値を提供するように構成されている。可変冷媒流量管理システムは、室外ユニット電力消費量測定値、及び起動要求を示す起動データを受信し、起動データに基づいて、複数の室内ユニットのそれぞれに、室外電力消費量測定値の室外シェアを配分するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、起動データは、複数の室内ユニットのそれぞれに対するコンプレッサ要求周波数を含む。いくつかの実施形態では、可変冷媒管理システムは、室内ユニットに対応するコンプレッサ要求周波数に基づいて、各室内ユニットの室外消費量係数を計算することと、室内ユニットに対応する室外消費量係数を、複数の室内ユニットのそれぞれの室外消費量係数の合計で除算することによって、各室内ユニットの電力比例指数を計算することと、各室内ユニットの電力比例指数に室外電力消費量測定値を乗算することと、によって、室外電力消費量の各室外シェアを配分する。
【0006】
いくつかの実施形態では、可変冷媒流量システムはまた、起動要求を受信するように構成された1つ以上の追加の室外ユニットを含む。室外メータは、第1の室外ユニット及び1つ以上の追加の室外ユニットに対する電力消費量を測定して、室外ユニット消費量測定値を生成する。可変冷媒流量管理システムは、起動要求に基づいて、室外ユニット消費量測定値のシェアを第1の室外ユニットに配分するように更に構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、起動データはコンプレッサ要求周波数を含む。可変冷媒流量管理システムは、第1の室外ユニットのコンプレッサランタイムを決定することと、第1の室外ユニットによって受信された起動要求のコンプレッサ要求周波数に基づいてコンプレッサ総周波数を決定すること、平均コンプレッサ総周波数及びコンプレッサランタイムに基づいて第1の室外ユニットの消費量係数を計算することと、第1の室外ユニットの消費量係数を、1つ以上の追加の室外ユニットの消費量係数と第1の室外ユニットの消費量係数との合計で除算することにより、第1の室外ユニットの電力比例指数を計算することと、室外ユニット消費量測定値に電力比例指数を乗算することと、によって、起動要求に基づいて室外ユニット消費量測定値のシェアを第1の室外ユニットに配分するように更に構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、可変冷媒流量システムはまた、複数の室内ユニットの電力気消費量を測定して室内電力消費量測定値を生成する室内メータを含む。可変冷媒流量管理システムは、複数の室内ユニット間で室内電力消費量測定値を配分するように更に構成されている。
【0009】
本開示の別の実装形態は、建物用の可変冷媒流量システムを動作させるための方法である。方法は、複数の室内ユニットによって起動要求を生成することと、第1の室外ユニットによって起動要求を受信することとを含む。起動要求に応じて、第1の室外ユニットは、複数の室内ユニットに冷媒を供給する。方法はまた、室外ユニット電力消費量測定値、及び起動要求を示す起動データを取得することと、起動データに基づいて複数の室内ユニットのそれぞれに室外電力消費量測定値の室外シェアを配分することとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、起動データは、複数の室内ユニットのそれぞれに対するコンプレッサ要求周波数を含む。いくつかの実施形態では、起動データに基づいて室外電力消費量測定値の室外シェアを複数の室内ユニットのそれぞれに配分することは、コンプレッサ要求周波数に基づいて各室内ユニットの室外消費量係数を計算することと、室内ユニットに対応する室外消費量係数を、複数の室内ユニットのそれぞれの室外消費量係数の合計で除算することによって、各室内ユニットの電力比例指数を計算することと、各室内ユニットの電力比例指数に室外電力消費量測定値を乗算することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、室外電力消費量測定値を取得することは、第1の室外ユニット及び1つ以上の追加の室外ユニットの電力消費量を測定して、総室外ユニット消費量測定値を生成することと、起動データに基づいて、室外ユニット消費量測定値を、総室外ユニット消費量測定値の一部として、第1の室外ユニットに配分することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の室外ユニットはコンプレッサを含み、起動データはコンプレッサ要求周波数を含む。室外ユニット消費量測定値を第1室外ユニットに配分することは、第1の室外ユニットのコンプレッサランタイムを決定することと、第1の室外ユニットによって受信された起動要求のコンプレッサ要求周波数に基づいてコンプレッサ総周波数を決定することと、コンプレッサ総周波数及びコンプレッサランタイムに基づいて第1の室外ユニットの消費量係数を計算することと、第1の室外ユニットの消費量係数を、1つ以上の追加の室外ユニットの消費量係数と第1の室外ユニットの消費量係数との合計で除算することによって、第1の室外ユニットの電力比例指数を計算することと、総室外ユニット消費量測定値に電力比例指数を乗算することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法はまた、複数の室内ユニットの室内電力消費量測定値を取得することと、複数の室内ユニット間で室内電力消費量測定値の室内シェアを配分することとを含む。いくつかの実施形態では、複数の室内ユニット間で室内電力消費量測定値の各室内シェアに起因することは、室内ユニットに対応するランタイム及び容量に基づいて各室内ユニットの室内消費量係数を計算することと、室内ユニットに対応する室内消費量係数を、複数の室内ユニットそれぞれの室内消費量係数の合計で除算することにより、各室内ユニットの室内電力比例指数を計算することと、各室内ユニットの電力比例指数に室内電力消費量測定値を乗算することと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法はまた、室内ユニットに対応する室内シェアを、室内ユニットに対応する室外シェアに加算することによって、室内ユニット総消費量を決定することを含む。方法はまた、室内ユニットに対応する室内ユニット総消費量に、電力料金レートを乗算することによって、各室内ユニットの総室内ユニット料金を生成することを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、複数のテナントのそれぞれに対する電力料金請求書を生成することを含む。各テナントは、複数の室内ユニットの1つ以上に対応する。
【0014】
本開示の別の実装形態はシステムである。システムには、室外メータと管理システムが含まれる。室外メータは、可変冷媒流量システムの室外ユニットの室外電力消費量測定値を提供するように構成されている。室外ユニットは、複数の室内ユニットからの起動要求に応じて、複数の室内ユニットに冷媒を供給するように構成されている。管理システムには、メモリ及びプロセッサを有する処理システムが含まれる。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶するように構成されており、命令は、処理回路に、室外メータから室外電力消費量測定値を受信させ、起動要求に関連する起動データを受信させ、起動データに基づいて複数の室内ユニット間で室外電力消費量測定値を配分させる。
【0015】
いくつかの実施形態では、起動データには、コンプレッサ要求周波数、平均コンプレッサ要求周波数、サーモオン時間、室内ユニットモデル番号、又は室内ユニット容量のうちの少なくとも1つが含まれる。いくつかの実施形態では、処理回路は、起動データに基づいて複数の室内ユニットのそれぞれの室外消費量係数を決定することと、室外消費量係数に基づいて複数の室内ユニットのそれぞれの電力比例指数を決定することと、各電力比例指数に室外電力消費量測定値を乗算することと、によって、起動データに基づいて複数の室内ユニット間で室外電力消費量測定値を配分させる。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムはまた、複数の室内ユニットの室内電力消費量測定値を提供する室内メータを含む。室内ユニットは、ランタイムデータを提供するように構成されている。処理回路は更に、室内電力消費量測定値を受信させ、複数の室内ユニットのランタイムに関連するランタイムデータを受信させ、データベース内の複数の室内ユニットのそれぞれの容量を調べさせ、ランタイムデータ及び容量に基づいて複数の室内ユニット間で室内電力消費量測定値を配分させる。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の室内ユニットは、様々なテナントに対応する様々な建物ゾーン内の温度を調節するように動作可能である。処理回路は更に、配分された室外電力消費量測定値に基づいて、様々なテナント用の電力料金請求書を生成させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】例示的実施形態による、室外VRFユニット及び複数の室内VRFユニットを含む可変冷媒流量(VRF)システムの図である。
図1B】例示的実施形態による、室内VRFユニットのいくつかが冷却モードで動作し、室内VRFユニットの他のものが加熱モードで動作することを示す、図1のVRFシステムの別の図である。
図2】例示的実施形態による、電気メータを備えたVRFシステムのブロック図である。
図3A-3B】図3Aは、例示的実施形態による、第1の室外ユニット測定シナリオのブロック図である。図3Bは、例示的実施形態による、第2の室外ユニット測定シナリオのブロック図である。
図4A-4B】図4Aは、例示的実施形態による、第1の室内ユニット測定シナリオのブロック図である。図4Bは、例示的実施形態による、第2の室内ユニット測定シナリオのブロック図である。
図5】例示的実施形態による、電力コスト配分を伴うVRFシステムのブロック図である。
図6】例示的実施形態による、室内ユニット及び室外ユニットをグループ化するためのプロセスのフローチャートである。
図7A】例示的実施形態による、室外ユニット間でメータを共有する室外ユニットの電力消費量を配分するためのプロセスのフローチャートの第1の部分である。
図7B】例示的実施形態による、室外ユニット間でメータを共有する室外ユニットの電力消費量を配分するための図7Aのプロセスのフローチャートの第2の部分である。
図8】例示的実施形態による、室外ユニットによってサービスを提供される室内ユニット間で室外ユニットの電力消費量を配分するためのプロセスのフローチャートである。
図9】例示的実施形態による、室内ユニット間でメータを共有する室内ユニットの電力消費量を配分するためのプロセスのフローチャートである。
図10】例示的実施形態による、図7図9の配分に基づいてテナント請求額を計算するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
可変冷媒流量システム
ここで図1A図1Bを参照すると、可変冷媒流量(VRF)システム100がいくつかの実施形態に従って示される。VRFシステム100は、1つ以上の室外VRFユニット102と複数の室内VRFユニット104とを含むように示される。室外VRFユニット102は建物外に位置し得、冷媒を加熱又は冷却するように動作し得る。室外VRFユニット102は、液相、気相、及び/又は過熱気相(super-heated gas phase)間で冷媒を変換するために電気を消費し得る。室内VRFユニット104は建物内の様々な建物ゾーン全体にわたって分散され得、加熱又は冷却された冷媒を室外VRFユニット102から受け取り得る。各室内VRFユニット104は、室内VRFユニット104が位置する特定の建物ゾーンに対して温度制御を提供し得る。用語「室内」は、室内VRFユニット104が通常は建物内に位置するということを表すために使用されるが、いくつかのケースでは、1つ以上の室内VRFユニットは、例えばパティオ、入口通路、歩道等を加熱/冷却するために「室外」(すなわち建物外に)位置する。
【0020】
VRFシステム100の1つの利点は、他の室内VRFユニット104が加熱モードで動作する一方で、いくつかの室内VRFユニット104が冷却モードで動作し得るということである。例えば、室外VRFユニット102及び室内VRFユニット104の各々は、加熱モード、冷却モード、又はオフモードで動作することができる。各建物ゾーンは、独立して制御することができ、異なる温度設定値を有することができる。いくつかの実施形態では、各建物は、建物の外側(例えば、屋上)に位置する最大3つの室外VRFユニット102と、建物全体にわたって(例えば、様々な建物ゾーンに)分散される最大128の室内VRFユニット104とを有する。建物ゾーンは、他の可能性もあるが、アパートユニット、オフィス、小売りスペース、及び共用領域を含み得る。いくつかのケースでは、様々な建物ゾーンは、様々なテナントにより所有される、リースされる、又はそうでなければ占有され、全てVRFシステム100によりサービスを提供される。
【0021】
VRFシステム100のために多くの異なる構成が存在する。いくつかの実施形態では、VRFシステム100は、各室外VRFユニット102が単一の冷媒還流管と単一の冷媒出口管とに接続する二重配管システムである。二重配管システムでは、室外VRFユニット102の全ては、加熱された冷媒又は冷却された冷媒のうちの一方だけが単一冷媒出口管を介し供給され得るので、同じモードで動作し得る。他の実施形態では、VRFシステム100は、各室外VRFユニット102が冷媒還流管と高温冷媒出口管と低温冷媒出口管とに接続する三重配管システムである。三重配管システムでは、二重冷媒出口管を介して加熱と冷却の両方を同時に提供することができる。三重配管VRFシステムの例は、図2を参照し詳細に説明される。
【0022】
ここで図2を参照すると、VRFシステム200を示すブロック図が、いくつかの実施形態に従って示される。VRFシステム200は、室外VRFユニット202、いくつかの熱回収ユニット206、及びいくつかの室内VRFユニット204を含むように示される。室外VRFユニット202は、コンプレッサ208、ファン210、又は冷媒を液相、気相、及び/又は過熱気相間で変換するように構成された他の電力消費冷却構成要素を含み得る。室内VRFユニット204は、建物内の様々な建物ゾーン全体にわたって分散され得、加熱又は冷却された冷媒を室外VRFユニット202から受け取り得る。各室内VRFユニット204は、室内VRFユニット204が位置する特定建物ゾーンの温度制御を提供し得る。熱回収ユニット206は、室外VRFユニット202と室内VRFユニット204との間の冷媒の流れを(例えばバルブを開閉することにより)制御し得、室外VRFユニット202により担われる加熱又は冷却負荷を最小化し得る。
【0023】
室外VRFユニット202は、コンプレッサ208及び熱交換器212を含むように示される。コンプレッサ208は、冷媒を熱交換器212と室内VRFユニット204との間で循環する。コンプレッサ208は室外ユニット制御回路214により制御される可変周波数で動作する。高周波では、コンプレッサ208は、より大きな伝熱容量を室内VRFユニット204に与える。コンプレッサ208の消費電力は、コンプレッサ周波数に比例して増加する。
【0024】
熱交換器212は、VRFシステム200が冷却モードで動作する際には凝縮器(冷媒が室外気に排熱することを可能にする)として、又はVRFシステム200が加熱モードで動作する際には蒸発器(冷媒が室外気から吸熱することを可能にする)として機能することができる。ファン210は、熱交換器212を介し気流を供給する。ファン210の速度は熱交換器212内の冷媒への又はそれからの伝熱速度を変調するように調整され得る(例えば室外ユニット制御回路214により)。
【0025】
各室内VRFユニット204は、熱交換器216及び膨張バルブ218を含むように示される。熱交換器216のそれぞれは、室内VRFユニット204が加熱モードで動作するときは凝縮器(冷媒が熱を部屋又はゾーン内の空気に排熱することを可能にする)として、又は室内VRFユニット204が冷却モードで動作するときには蒸発器(冷媒が部屋又はゾーン内の空気から吸熱することを可能にする)として機能し得る。ファン220は、熱交換器216を介し気流を供給する。ファン220の速度は、熱交換器216内の冷媒への又はそれからの伝熱速度を変調するように調整され得る(例えば室内ユニット制御回路222により)。
【0026】
図2では、室内VRFユニット204は冷却モードで動作するように示される。冷却モードでは、冷媒は、冷却ライン224を介し室内VRFユニット204へ供給される。冷媒は、膨張バルブ218によって低温低圧状態に膨張され、建物内の部屋又はゾーンから吸熱するために熱交換器216(蒸発器として機能する)中を流れる。次に、加熱された冷媒は戻りライン226を介し室外VRFユニット202へ逆流し、コンプレッサ208により高温高圧状態に圧縮される。圧縮された冷媒は、熱交換器212(凝縮器として機能する)中を流れ、室外気に排熱する。冷却された冷媒は冷却ライン224を介し室内VRFユニット204へ戻すことができる。冷却モードでは、流量調節バルブ228が閉じられ得、膨張バルブ230は完全に開放され得る。
【0027】
加熱モードでは、冷媒は、加熱ライン232を介し高温状態の室内VRFユニット204へ供給される。高温冷媒は、熱交換器216(凝縮器として機能する)中を流れ、建物の部屋又はゾーン内の空気に排熱する。次に、冷媒は、冷却ライン224を介し室外VRFユニット(図4に示す流れ方向とは反対方向)へ逆流する。冷媒は膨張バルブ230により低温低圧状態へ膨張され得る。膨張された冷媒は熱交換器212(蒸発器として機能する)中を流れ、室外気から吸熱する。加熱された冷媒は、コンプレッサ208により圧縮され、高温圧縮状態の加熱ライン232を介し室内VRFユニット204へ戻すことができる。加熱モードでは、流量調節バルブ228は、コンプレッサ208からの冷媒が加熱ライン232に流入し得るように完全に開放され得る。
【0028】
図2に示すように、各室内VRFユニット204は室内ユニット制御回路222を含む。室内ユニット制御回路222は、建物ゾーン温度設定点に応じて、又は建物ゾーンへ加熱/冷却を提供するようにとの他の要求に応じて、ファン220及び膨張バルブ218を含む、室内VRFユニット204の構成要素の動作を制御する。例えば、室内ユニット制御回路222はファン220をオン/オフする信号を生成し得る。室内ユニット制御回路222はまた、室内VRFユニット204により必要とされる伝熱容量とこの容量に対応するコンプレッサ208の周波数とを判断する。室内VRFユニット204がある容量の加熱又は冷却を提供しなければならないということを室内ユニット制御回路222が判断すると、室内ユニット制御回路222は、必要とされる容量に対応するコンプレッサ周波数を含むコンプレッサ周波数要求を生成し、これを室外ユニット制御回路214へ送信する。
【0029】
室外ユニット制御回路214は、1つ以上の室内ユニット制御回路222からコンプレッサ周波数要求を受信し、次に例えばこれらのコンプレッサ周波数要求を合計することによりコンプレッサ全周波数に集約する。いくつかの実施形態では、コンプレッサ周波数は上限を有し、コンプレッサ全周波数が上限を越えることができないようにする。室外ユニット制御回路214は、例えばコンプレッサのDCインバータコンプレッサモータに与えられる入力周波数としてコンプレッサ全周波数をコンプレッサへ提供する。したがって、室内ユニット制御回路222及び室外ユニット制御回路214は共同して、加熱/冷却要求に整合するようにコンプレッサ周波数を変調する。室外ユニット制御回路214はまた、流量調節バルブ228及び膨張バルブ230のバルブ位置、コンプレッサ電力設定点、冷媒流量設定点、冷媒圧力設定点(例えば圧力センサ236により測定される圧力の差圧設定点)、オン/オフ命令、ステージング命令を制御する信号、又はコンプレッサ208の動作に影響を与える他の信号、並びにファン速度設定点、ファン電力設定点、気流設定点、オン/オフ命令、又はファン210の動作に影響を与える他の信号を含むファン210へ提供される制御信号を生成し得る。
【0030】
室内ユニット制御回路222及び室外ユニット制御回路214は更に、制御回路214、222により生成される又はそれらに提供される1つ以上の制御信号のデータ履歴を記憶及び/又は提供する。例えば、室内ユニット制御回路222は、生成されたコンプレッサ要求周波数、ファンオン/オフ時間、及び室内VRFユニット204オン/オフ時間のログを記憶及び/又は提供し得る。室外ユニット制御回路214は、コンプレッサ要求周波数及び/又はコンプレッサ全周波数及びコンプレッサランタイムのログを記憶及び/又は提供し得る。図5に示されるように、データポイントがVRF管理システム502に提供され、これを参照して詳細に説明する。
【0031】
VRFシステム200は、室外メータ252及び室内のメータ254を介してエネルギーグリッド250により供給される電力で動作するものとして示される。様々な実施形態によると、エネルギーグリッド250は、電力の任意の供給源(例えば公益事業会社により維持され、1つ以上の電力プラントにより電力が供給される電気グリッド)である。室外メータ252は、室外VRFユニット202の時間の経過に伴う消費電力を、例えばキロワット時(kWh)で測定する。室内メータ254は室内VRFユニット204の時間の経過に伴う消費電力を、例えばkWhで測定する。図3A図4Bに示され、以下で詳細に検討するように、VRFシステムに対して様々な測定構成が可能である。室外メータ252及び室内メータ254は、図5に示されるVRF管理システム502と通信可能であって、VRF管理システム502に電力消費量測定値を提供する。
【0032】
VRFシステム用の電力測定構成
ここで図3A図4Bを参照すると、1つ以上の室外VRFユニット(ODU)及び複数の室内VRFユニット(IDU)を備えたVRFシステム(例えば、VRFシステム100、VRFシステム200)用の様々な測定構成が示されている。本明細書に記載されたVRFシステムにおける電力コスト配分のためのシステム及び方法は、図3A図4Bに示される各構成、及び示される4つの構成の任意の組み合わせを企図している。したがって、本明細書に記載されるコスト配分システム及び方法は、既存のメータ及びシステムを再配線したり、又は新しいメータを設置したりする必要なしに、様々な既存の又は将来の測定構成を用いた使用に適している。図3A図3Bは、ODU用の測定構成を示し、図4A図4Bは、IDU用の測定構成を示している。
【0033】
特に図3Aを参照すると、例示的実施形態による、第1の測定構成300が示されている。第1の測定構成300は、室外メータ308を介して提供されるエネルギーグリッド306からの電気によって電力を供給される1つのODU 302を含む。室外メータ308は、例えばkWhの単位で、ODU 302の電力消費量を測定する。ODU 302は、様々な建物ゾーンに配置され、それぞれ複数のテナント310、すなわち、テナント_1~テナント_Nに対応する、複数の室内ユニット304(IDU~IDUとして示される)にサービスを提供する。場合によっては、1つのテナントが、2つ以上のIDU 304に対応し得る。各建物ゾーンは、異なるサイズ、温度設定値、又は断熱材などの他の異なる温度調節機能を有し得るため、ODU 302に課される需要は、複数のIDU 304間で変化する。
【0034】
多くの場合では、各建物ゾーンはリースされているか、又はそうでなければその建物ゾーンの電力事業コストの責任を負う特定のテナント310(例えば、テナント_2)に対応する。第1の測定構成300では、複数のテナント310のそれぞれが、そのテナントのIDU 304に対応する室外メータ308によって測定された、ODU 302の電力消費量の一部に責任を負う。室外メータ308によって測定されたODU 302の電力消費量は全てのIDU 304に提供される冷却/加熱に対応するため、測定された電力消費量を複数のIDU 304間で正確に配分するという課題が存在する。図8は、以下で詳細に説明され、測定された電力消費量を複数のIDU 304間で正確に配分するプロセス800を示している。
【0035】
ここで図3Bを参照すると、例示的実施形態による、第2の測定構成350が示されている。第2の測定構成350は、単一の室外メータ358を介してエネルギーグリッド356から電力を引き出す複数のODU 352(すなわち、ODU~ODUΩ)を含む。単一の室外メータ358は、1回の総kWhの読み取りで、複数のODU 352の電力消費量を測定する。
【0036】
第1の測定構成300と同様に、各ODU 352は、様々なテナント355に対応する様々な建物ゾーンに配置された複数のIDU 354にサービスを提供する。例えば、ODUは、それぞれテナント_A1~テナント_ANに対応する建物ゾーンに配置された、IDUA1~IDUANにサービスを提供する。第2の測定構成350では、建物ゾーン及びテナントもまた、様々なシステムマネージャ360に対応する。様々な実施形態によれば、システムマネージャ360は、家主、建物の所有者、又は財産管理会社である。例えば、混合使用施設では、システムマネージャAは、テナント_A1~テナント_ANによってリースされたアパートを管理するアパート管理会社であり得、システムマネージャBは、マンションの所有者テナント_B1~テナント_BNを管理するマンションアソシエーションであり得、システムマネージャΩは、テナント_Ω1~テナント_ΩNを含む商用テナントを管理する商用リース会社であり得る。
【0037】
各ODU 352は、典型的には、ODU 352がサービスを提供するIDU 354からの各ODU 352に対する需要に基づいて、異なる量の電力を消費する。したがって、システムマネージャ360間で施設の電力事業コストを配分するために、複数のODU 352間で室外メータ358の総電力消費量測定値を正確に配分するという課題が存在する。複数のODU間で電力消費量を配分するためのプロセス700は、図7A図7Bに示されている。いったん各ODU 352(すなわち、ODU~ODUΩ)が、例えばプロセス700を使用して、室外メータ358によって測定された消費量の一部に起因すると、各システムマネージャ560には、例えば図8のプロセス800に従って、図3Aの第1の測定構成300と同様の方法で処理できるセットアップが残される。
【0038】
ここで図4Aを参照すると、例示的実施形態による、第3の測定構成400が示されている。第3の測定構成400は、複数のIDU 402及び複数のテナントメータ404を示している。各IDU 402は、テナント408に対応し、対応するテナントメータ404に接続されている。各IDU 402は、そのIDU 402に対応するテナントメータ404を介して配信されるエネルギーグリッド406からの電力を消費するため、テナントメータ404は、対応するIDU 402の電力消費量を測定し、他のテナントに対応するIDU 402の電力消費量は測定しない。場合によっては、複数のIDU 402が単一のテナント408に対応し、テナントメータ404で一緒に測定され得る。各テナントメータ404はまた、対応するテナント、例えば、テナントが占有する建物ゾーンに配置された照明、電化製品、及び他の電気デバイスの非VRF関連電力消費量を測定することができる。そのような場合、テナントの建物ゾーンにおけるIDU 402の動作に関連付けられた電力消費量(例えば、図2に示される室内VRFユニット204のファン220及び制御回路222を作動させるための電力)は、その建物ゾーンにおける他の電力消費量に含まれる。したがって、VRF固有の考慮事項なしに、この消費に対する事業請求書を生成することができる。
【0039】
ここで図4Bを参照すると、例示的実施形態による、第4の測定構成450が示されている。複数のIDU 452は、単一の共有室内メータ456を介して配信されるエネルギーグリッド454からの電力を消費する。室内メータ456は、1回の総kWhの読み取りで、複数のIDU 354の電力消費量を測定する。図4Bに示されるように、各IDU 452は、異なるテナント458(すなわち、テナント_1~テナント_N)に対応する。各テナントの電力消費量に対する事業請求書を正確に生成するために、室内メータ456によって測定された総消費量を複数のIDU 452間で正確に配分するという課題が存在する。図9は、複数のIDU間で共有された室内メータによって測定された総消費量を正確に配分するプロセス900を示す。
【0040】
様々な実施形態によれば、第3の測定構成400及び/又は第4の測定構成450を、第1の測定構成300及び/又は第2の測定構成350と共に使用して、多種多様に可能な測定構成を生じさせる。例えば、図2に示されるVRFシステム200は、第1の測定構成300(室外VRFユニット202は、室外メータ252によって単独で測定される)、及び第4の測定構成450(図2に示される3つの室内VRFユニット204は、室内メータ254によって一緒に測定される)の両方による測定構成を有する。測定VRFシステムの他の例では、いくつかのIDUは第4の測定構成450のように一緒に測定され、いくつかのIDUは第3の測定構成400のように個別に測定され、一方、いくつかのODUは第2の測定構成350のように一緒に測定され、他のODUは第1の測定構成300のように単独で測定されるため、4つの測定構成300、350、400、450が全て表されている。図5図10に示され、以下で記載されるシステム及び方法は、任意のそのような様々な測定構成に対処する。
【0041】
コスト配分を伴うVRFシステム及び方法
ここで図5を参照すると、例示的実施形態による、可変冷媒流量(VRF)システム500が示されている。一般に、VRFシステム500は、電力を、様々なテナントが占有する建物ゾーンの加熱及び/又は冷却に変換し、テナント間で電力のコストを正確に配分する。VRFシステム500は、VRF管理システム502、室内VRFユニット(IDU)506、室外VRFユニット(ODU)504、室外メータ508、室内メータ510、及びエネルギーグリッド512を含む。
【0042】
エネルギーグリッド512は、VRFシステム500に電力を供給する。エネルギーグリッド512は、例えば、事業会社によって維持され、原子力、水力、地熱、太陽光、風力、化石燃料、又は他のエネルギー源から電力を生成する1つ以上の発電所によって供給される地域の電力グリッドである、電力の任意の供給源である。いくつかの実施形態では、エネルギーグリッド512は、ローカルなエネルギー供給、例えば、ソーラーパネルを構築するシステム又は別のローカル電力システムである。
【0043】
ODU 504は、建物の外側に配置することができ、例えば、電気を消費して冷媒を液相、気相、及び/又は過熱気相間で変換することによって、冷媒を加熱又は冷却するように動作することができる。各ODUは、冷媒をIDU 506に提供することによって、複数のIDU 506にサービスを提供する。各ODU 504は、ODUによってIDUに提供される熱伝達の容量を決定するコンプレッサ周波数で動作する1つ以上のコンプレッサ(例えば、図2に示されるコンプレッサ208)を含む。コンプレッサ周波数は、電力消費量に比例する。コンプレッサ周波数は、IDU 506からODU 504によって受信されたコンプレッサ周波数要求から合計されたコンプレッサ総周波数に基づいており、ODU制御回路(例えば、図2の室外ユニット制御回路214)によって制御され得る。(例えば、ODU制御回路内の)ODU 504はまた、ODU 504の動作に関連するデータを収集し、そのデータを、例えば、コンプレッサランタイム、タイムスタンプ付きの受信されたコンプレッサ周波数要求、経時的なコンプレッサ総周波数、及び計算サイクル時間にわたる平均コンプレッサ総周波数を含む、VRF管理システム502と共有する。いくつかの実施形態では、このデータの一部又は全ては、追加的又は代替的に、ODU 504の外部に位置する建物管理システム又は建物制御サーバによって収集及び記憶される。様々な実施形態によれば、VRFシステム500は、様々なブランド、製造業者、モデルなどの任意の数のODU 504を含む。
【0044】
IDU 506は、建物内の様々な建物ゾーンにわたって分散させることができ、ODU 504から加熱又は冷却された冷媒を受け取ることができる。各IDU 506は、IDU 506が配置される特定の建物ゾーンに対して温度制御を提供することができる。例えば、図2に示されるように、IDU 506は、特定の建物ゾーンを加熱又は冷却するために熱交換器を横切って空気を吹き付ける電動ファンを含み得る。次いで、冷媒は、再冷却/再加熱される対応するODU 504に循環して戻る。
【0045】
例えばIDU制御回路(例えば、室内ユニット制御回路222)を使用する各IDU 506は、IDU 506によって必要とされる熱伝達容量、及びその容量に対応するコンプレッサ208の周波数を決定する。IDU 506によって必要とされる熱伝達容量は、建物ゾーン温度設定点、現在の建物ゾーン温度読み取り値、及び/又は他のいくつかの設定若しくは測定値に基づき得る。IDU 506が特定の容量の加熱又は冷却を提供しなければならないとIDU 506が決定すると、IDU 506は次いで、必要とされる容量に対応するコンプレッサ周波数を含むコンプレッサ周波数要求を生成してODU 504に送信する。いくつかの実施形態では、必要とされる容量の決定及びコンプレッサ周波数要求の生成は、IDU 506の外部の建物管理サーバによって行われる。
【0046】
IDU 506はまた、IDUの動作に関するデータを収集、記憶、及び提供するように構成されている。IDUデータには、例えば、IDUランタイム(例えば、ファンランタイム)、サーモオン時間(すなわち、加熱/冷却された冷媒が要求/受け入れされる時間)、コンプレッサ要求周波数、及び/又は他のデータが含まれる。IDU 506は、このIDUデータをVRF管理システム502に提供する。様々な実施形態によれば、VRFシステム500は、様々なブランド、製造業者、モデルなどの任意の数のIDU 506を含む。
【0047】
室外メータ508は、例えばkWh(キロワット時)の単位で、ODU 504の電力消費量を測定する。様々な実施形態によれば、室外メータ508は、電力消費量を測定するのに適した任意の電力メータの様々なブランド、タイプ、製造業者、モデルのものであり得る。室外メータ508は、図3A図3Bに示されるように、様々な測定構成でODU 504にリンクされてもよく、これを参照して詳細に記載する。室外メータ508は、ODU 504の電力消費量測定値をVRF管理システム502に提供する。消費量測定値は、消費量が測定されるときに継続的に送信されてもよく、又は設定された時間間隔(例えば、1週間、1か月間にわたる総消費量など)で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、消費量測定値は、電力メータを管理するための事業会社のサーバ又はいくつかの他のコンピューティングシステムを介して、室外メータ508からVRF管理システム502に転送される。
【0048】
室内メータ510は、例えばkWhの単位で、IDU 506の電力消費量を測定する。様々な実施形態によれば、室内メータ510は、電力消費量を測定するのに適した任意の電力メータの様々なブランド、タイプ、製造業者、モデルのものであり得る。室内メータ510は、図4A図4Bに示されるように、様々な測定構成でIDU 506にリンクされてもよく、これを参照して詳細に記載する。室内メータ510は、IDU 506の電力消費量測定値をVRF管理システム502に提供する。消費量測定値は、消費量が測定されるときに継続的に送信されてもよく、又は設定された時間間隔(例えば、1週間、1か月間にわたる総消費量など)で提供されてもよい。いくつかの実施形態では、消費量測定値は、電力メータを管理するための事業会社のサーバ又はいくつかの他のコンピューティングシステムを介して、室内メータ510からVRF管理システム502に転送される。
【0049】
VRF管理システム502は、室外メータ508及び室内メータ510からの消費量測定値、ODU 504からのODUデータ、及びIDU 506からのIDUデータを収集し、その情報を記憶されたVRFシステム情報と共に使用して、テナント間で電力コストを配分する。VRF管理システム502には、処理回路520、データ収集回路526、VRFデータベース528、コスト配分回路530、及び入出力回路532が含まれる。
【0050】
処理回路520は、ここで記載されるVRF管理システム502の1つ以上の機能を実行するように構成されている。処理回路520には、メモリ522及びプロセッサ524が含まれる。プロセッサ524は、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、様々な地理的場所にわたって分散され得る、若しくは単一の場所に収容され得る処理構成要素のグループ、又は他の適切な電子処理構成要素として実装することができる。メモリ522(例えば、RAM、NVRAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクストレージなど)を備える1つ以上のメモリデバイスは、本明細書で説明される様々なプロセスを容易にするためのデータ及び/又はコンピュータコードを記憶し得る。更に、メモリ522を備える1つ以上のメモリデバイスは、有形の、非一時的な揮発性メモリ又は不揮発性メモリであり得るか、又はそれらを含み得る。したがって、メモリ522は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、又は本明細書に説明された様々なアクティビティ及び情報構造を支援するための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。
【0051】
データ収集回路526は、ODU 504、IDU 506、室外メータ508、及び室内メータ510からデータを受信し、分類するように構成されている。データ収集回路526によって受信されたデータは、コンプレッサランタイム、コンプレッサ要求周波数、コンプレッサ総周波数(及び/又は一定期間にわたる平均コンプレッサ総周波数)、サーモオン時間、IDUランタイム、室外メータ電力消費量測定値、及び室内メータ電力消費量測定値を含むが、必ずしもこれらに限定されない。データ収集回路526は、受信したデータをソートし、それをVRFデータベース528に記憶する。
【0052】
VRFデータベース528は、データ収集回路526からデータを受信及び記憶し、他のVRF関連情報を記憶する。VRFデータベース528内の他のVRF関連情報には、メータ508~510、IDU 506、並びにメータ508~510、IDU 506、及びODU 504の間の関連付けを定義する(すなわち、どのIDU 506がどのODU 504によってサービスを提供され、メータ508~510のどのメータがどのIDU及びODUの消費量を測定するかを示す)関係情報を含むODU 504のディレクトリ、並びにシステムマネージャと、テナントと、ODU 504及びIDU 506との間の(例えば、特定のテナントとしてリースされている建物ゾーンを加熱/冷却するためにどのIDU 506が動作するかを示す)リンクが含まれる。それによって、VRFデータベース528は、図3A図4Bを参照して説明された様々な可能な構成の中から、VRFシステム500の測定/VRF構成を決定するために必要な情報を記憶する。
【0053】
各ODU 504に対して、VRFデータベース528は、モデル番号、ODU 504に含まれるコンプレッサの数、スタンバイ電力消費量、及びODU容量を含むがこれらに限定されない、ODU特性のセットを(例えば、製造業者によって提供され、製品公報又はマニュアルで提供されたものとして)を記憶する。各IDU 506に対して、VRFデータベース528は、モデル番号及びIDU容量を含むがこれらに限定されない、IDU特性のセットを(例えば、製造業者によって提供され、製品公報又はマニュアルで提供されたものとして)記憶する。VRFデータベース528はまた、電力レート情報、例えば、kWhあたりの設定金額、又は電力レートの何らかの他のスケジュール(例えば、kWh単位が1日の特定の時間に他の時間よりも高くなるような変動電力料金レート)、及びVRFシステム500の電力消費量に対応する電力料金請求書の提供及び/又は支払いを容易にするためのテナントの連絡先情報若しくは支払い情報を記憶し得る。
【0054】
コスト配分回路530は、VRFデータベース528に記憶された情報にアクセスし、その情報を使用して複数のテナント間でVRFシステム500の電力消費量を正確に配分し、消費電力のコストをカバーするために各テナントに請求する金額を決定するように構成されている。したがって、コスト配分回路530は、図6図10に示され、これらを参照して詳細に記載される、電力消費量の正確な配分及び金額の割り当てのための一連のプロセスの1つ以上を実行する。一般に、コスト配分回路530は、以下のアプローチを使用して電力消費量を配分する。
【0055】
コスト配分回路530は、各ODU 504の平均コンプレッサ総周波数、ODUのコンプレッサランタイム、及びVRFデータベース528のODU 504のコンプレッサ数にアクセスすることによって、ODU間で複数のODU 504(すなわち、図3Bの第2の測定構成350の場合)により共有される室外メータ508からの消費量測定値を配分して、各ODU 504のODU消費量係数を生成し、そのメータで測定された全てのODUのODU消費量係数の合計に対して、特定のODUの消費量係数によって定義された比例指標に基づいて、消費量測定値を配分する。場合によっては、ODUスタンバイ消費量又はその他のスタンバイ計算値に基づいて、消費量測定値が配分され得る。
【0056】
コスト配分回路530は、各IDU 506に対して、サーモオン時間、コンプレッサ要求周波数、モデル番号、及びVRFデータベース528のIDU容量にアクセスすることによって、サービスを提供する複数のIDU 506(すなわち、図3Aの第1の測定構成300)間のODU 504に起因する消費量測定値を配分して、各IDU 506のIDU室外消費量係数を生成し、ODU 504がサービスを提供する他のIDU 506の室外消費量係数の合計に対して、特定のIDUの室外消費量係数によって定義された比例指標に基づいて、消費量測定値を配分する。
【0057】
コスト配分回路530は、各IDU 506に対して、VRFデータベース528内のIDU容量及びIDUランタイムにアクセスすることによって、複数のIDU 506(すなわち、図4Bの第4の測定構成450)により共有される室内メータ510の消費測定を配分して、各IDU 506の室内消費量係数を生成し、室内メータ510を共有する他のIDU 506の室内消費量係数の合計に対して、特定のIDUの室内消費量係数によって定義される比例指標に基づいて、複数のIDU 506間で消費量測定値を配分する。
【0058】
コスト配分回路530は、VRFデータベース528に記憶された情報に基づいて、どのIDUがどのテナントに対応するかを決定することによって、テナントに料金請求額を割り当て、VRFデータベース528内の料金レートにアクセスし、料金レートに各テナントに対応するIDUに配分された総電力消費量を乗算することによって請求額を計算する。
【0059】
入出力回路532は、VRFシステム500のユーザへの通知、請求書、ユーザインターフェース、及び/又は他の通信を生成し、セットアップ、設定、オプション、又はユーザがVRF管理システム502に提供することを望む他の情報に関する、VRF管理システム502へのユーザ入力を受信するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、入出力回路532は、VRFシステム500の電力消費量のテナントのシェアをカバーするためにテナントが負う料金請求額の表示を含む電子メールを生成し、テナントの電子メール受信ボックス、モバイルデバイス、又は他の電子デバイスにその電子メールを送信する。いくつかの実施形態では、入出力回路532は、システムマネージャがコンピューティングデバイス(例えば、ラップトップ、タブレット、モバイルデバイス、デスクトップコンピュータ)を使用してアクセスして、VRF電力配分を閲覧し、テナント情報又は他の設定を編集できるユーザインターフェースを生成する。それによって、入出力回路532は、1人以上のユーザへのコスト配分回路530の電力消費量配分の通信を容易にする。
【0060】
ここで図6を参照すると、例示的実施形態による、電力請求額を配分する際に使用する室外ユニット及び室内ユニットをグループ化するためのプロセス600が示されている。プロセス600は、VRFデータベース528と通信するコスト配分回路530によって実行され得る。ステップ602において、コスト配分回路530は、VRFデータベース528内のVRFシステム500の全てのIDU及びODUのリストにアクセスする。ステップ604において、コスト配分回路530は、VRFデータベース528内のODU 504に対応する室外メータ508のリスト及びIDU 506に対応する室内メータ510のリストにアクセスする。様々な実施形態によれば、これらのリストは、VRF管理システム502によって自動的に生成されるか、入出力回路532を介してユーザによって入力されるか、又はその2つのいくつかの組み合わせである。ステップ606において、同じメータに対応するODUは、仮想室外電力グループにグループ化される。仮想室外電力グループの決定は、VRFデータベース528に記憶され得る。ステップ608において、同じメータに対応するIDUは、仮想室内電力グループにグループ化される。仮想室内電力グループの決定は、VRFデータベース528に記憶され得る。仮想室外電力グループ及び仮想室内電力グループは、仮想電力グループ内のODUとIDUとの間の電力コストの配分に役立ち得る。
【0061】
ここで図7A図7Bを参照すると、例示的実施形態による、単一の室外メータ508によって測定された複数のODU 504間の電力消費量測定値を配分するためのプロセス700が示されている。図7Aは、プロセス700の第1の部分を示し、図7Bは、プロセス700の第2の部分を示す。プロセス700は、図5のVRF管理システム502によって、より詳細には、VRFデータベース528と通信するコスト配分回路530によって、実行され得る。プロセス700は、図3Bの第2の測定構成350によって引き起こされる課題、すなわち、複数のODUの電力消費量を共有メータで測定するときに、電力消費量を複数のODU間で正確に分割する必要があることに対処する。
【0062】
ステップ702において、各室外電力グループのテナント数が決定される。図6を参照して記載したように、室外電力グループは、1つの室外メータに接続された全てのODUを含む。ステップ702を実行するために、コスト配分回路530は、VRFデータベース528にアクセスして、テナントとODUとの関係のディレクトリにアクセスし、室外電力グループ内のODUに関連付けられたテナント数をカウントすることができる。
【0063】
ステップ704において、コスト配分回路530は、室外電力グループ内のテナント数が1より大きいかどうかを尋ねる。そうでない場合、プロセス700はステップ706に進み、電力消費量の読み取り値が室外メータから取得され、ラベル「kWh_Outdoor」が割り当てられる。室外電力グループがサービスを提供するテナントは1つだけであるため、総kWh_Outdoorは、電力コスト配分のためにそのテナントに起因することができ、プロセス700はステップ706において終了し得る。
【0064】
室外電力グループがサービスを提供するテナントの数が1より大きい場合、ステップ708において、コスト配分回路530は、室外メータからの電力消費量測定値にアクセスし、それに「kWh_Outdoor_Overall」とラベル付けする。測定値kWh_Outdoor_Overallには、プロセス700の残りのステップに従って複数のODU間で配分できる、複数のテナントに対応する電力消費量が含まれる。
【0065】
ステップ710において、コスト配分回路530は、室外電力グループ内の全てのODUを識別し、その中で、kWh_Outdoor_Overallが配分される。プロセス700は、図7Aのステップ710から図7Bのステップ712まで続く。以下のステップ(すなわち、図7Bに示されるステップ)は、室外電力グループ内の各ODUに対して発生し、室外電力グループの任意の1つのODUは、以下の議論においてODUという表記を使用して言及される。
【0066】
ステップ712において、VRF管理システム502は、ODUによってサービスを提供される全てのIDUがスタンバイであるかどうかを決定する。スタンバイとは、サンプル期間中に、ODUがサービスを提供するどのIDUも対応する建物ゾーンを加熱/冷却するように動作していない状態を指す。ODUがサービスを提供する全てのIDUがスタンバイである場合、ステップ714において、VRF管理システム502は、IDUがスタンバイであるか又は絶対スタンバイであるかを決定する。IDUがスタンバイである場合、ステップ716において、コスト配分回路530は、VRFデータベース528にアクセスして、製品マニュアル又は情報シートに引用されているスタンバイ消費量レートに基づいてVRFデータベース528に記憶され得る、ODU(「Standby_kWhODUn」)に対するスタンバイ消費量を調べる。ステップ718において、コスト配分回路530は、ODUに起因する室外電力消費量(「kWh_outdoorODUn」)を、Standby_kWhODUnに等しくなるように定義する。
【0067】
IDUが絶対スタンバイである場合、ステップ720において、室外メータによって測定された総消費量測定値(「kWh_outdoor_overall」)、及び室外電力グループ内の各ODUのODU容量が、コスト配分回路530によってアクセスされる。ODU容量は、製品マニュアル又は情報シートに見つかる容量情報に基づいて、VRFデータベース528に記憶及びアクセスされ得る。kWh_outdoor_overall測定値は、データ収集回路526によってコスト配分回路に提供され得るか、又はVRFデータベース528に記憶及びアクセスされ得る。
【0068】
ステップ722において、コスト配分回路530は、kWh_outdoor_overallにODUnの容量を乗算し、室外電力グループ内の全てのODUの容量の合計で除算したものに等しいものとして、kWh_outdoorODUnを計算する。すなわち、kWh_outdoorODUn=kWh_outdoor_overall×(ODUの容量)/(Σ ODUk,for all k in power groupの容量)である。換言すれば、kWh_outdoor_overallは、ODUの製造者定義の容量に基づいて、比例配分される。
【0069】
IDUの全てがスタンバイでない場合(すなわち、ODUにサービスを提供する1つ以上のIDUがスタンバイでない場合)、プロセス700は、ステップ712からステップ724に進み、各ODUnに対して、コスト配分回路530は、サンプル期間にわたる平均ODUコンプレッサ総周波数(「AVG_ODU_TOT_FREQ」)、ODUにおける各コンプレッサのコンプレッサランタイム、及びODUにおけるコンプレッサ数を取得する。例えば、コスト配分回路530は、VRFデータベース528内のこのデータにアクセスし得る。いくつかの実施形態では、コスト配分回路530は、サンプル期間の一連のODUコンプレッサ総周波数を取得し、平均化計算を実行してその期間にわたる平均ODUコンプレッサ総周波数を決定することによって、平均ODUコンプレッサ総周波数を取得する。
【0070】
ステップ726において、ODUコンプレッサランタイム係数は、計算サイクル時間及びODU内のコンプレッサ数の積で除算したコンプレッサランタイムの合計として定義される。すなわち、ODUコンプレッサランタイム係数=(コンプレッサランタイムの合計)/(ODU内のコンプレッサ数×計算サイクル時間)である。いくつかの実施形態では、例えば、計算サイクル時間は30分である。ステップ728において、ODU実容量係数は、計算サイクル時間及びODU内のコンプレッサ数の積で除算した平均ODUコンプレッサ総周波数として定義される。すなわち、ODU実容量係数=AVG_ODU_TOT_FREQ/(ODUn内のコンプレッサ数×計算サイクル時間)である。ステップ730において、ODU消費量係数(「OdCFODUn」)は、ODUコンプレッサランタイム係数にODU実容量係数を乗算したものとして定義される。すなわち、OdCFODUn=(ODUコンプレッサランタイム係数)×(ODU実容量係数)である。
【0071】
ステップ732において、室外ODU電力比例指数(「PPIoutdoor_ODUn」)は、ODU消費量係数を室外電力グループ内の全てのODUのODU消費量係数の合計で除算したものとして定義される。すなわち、PPIoutdoor_ODUn=OdCFODUn/ΣOdCFODUk,for all ODUk in the power groupである。
【0072】
ステップ734において、PPIoutdoor_ODUnを使用して、室外電力グループ内のODU間でkWh_outdoor_overallを配分して、各ODUの消費量測定値(「kWh_outdoorODUn」)を取得する。コスト配分回路530は、kWh_outdoorODUn=PPIoutdoor_ODUn×kWh_outdoor_overallを計算する。それによって、プロセス700は、VRFシステム500内の各ODU 504に対して正確に配分された電力消費量をもたらす。
【0073】
ここで図8を参照すると、例示的実施形態による、ODUがサービスを提供するIDU間でODUの電力消費量を配分するためのプロセス800のフローチャートが示されている。プロセス800は、図5のVRF管理システム502のVRFデータベース528と通信するコスト配分回路530によって実行され得る。プロセス800は、図3Aの第1の測定構成300に示されるように、サービスを提供する複数のIDUS間で1つのODUの消費量を配分するという課題に向けられている。
【0074】
ステップ802において、コスト配分回路530は、関心のあるODUの電力消費量を取得することによって、例えば、プロセス700のステップ706からのkWh_Outdoor、又はプロセス700のステップ718、ステップ722、若しくはステップ734からのkWh_Outdoor_ODUを採用することによって、プロセス800を開始する。
【0075】
ステップ804において、コスト配分回路530は、ODUによってサービスを提供される全てのIDUを識別し、全てのIDUがスタンバイにあるかどうかを尋ねる。全てのIDUがスタンバイである場合、ステップ806において、コスト配分回路530は、IDUをカウントして、ODUによってサービスを提供されるIDUの数を決定する。いくつかの実施形態では、コスト配分回路530は、ODUによってサービスを提供されるIDUの数を、VRFデータベース528で調べる。ステップ808において、各IDUに起因するODUの電力消費量(「kWh_outdoor_IDU」)は、kWh_outdoor_ODUをODUによって提供されるIDUの数で除算したものとして計算される。すなわち、kWh_outdoor_IDU=kWh_outdoor_ODU/(IDUの数)である。
【0076】
ステップ804で決定されたように、IDUの全てがスタンバイ中でない場合、プロセス800はステップ810に進む。ステップ810において、ODUによってサービスを提供される各IDUに対して、コスト配分回路530は、サンプル期間のサーモオン時間(「THER_ON_IDU」)、サンプル期間にわたるコンプレッサ要求周波数(「COMP_REQ_FREQ_IDU」)、及びIDUのモデル番号を取得する。例えば、コスト配分回路530は、VRFデータベース528でこのデータを調べ得る。ステップ812において、IDUサーモオン時間係数は、THER_ON_IDUをサンプル期間の持続時間で除算したものに等しいものとして計算される。
【0077】
ステップ814において、コスト配分回路530は、VRFデータベース528内のモデル番号に基づいて、IDU容量(「IDU_cap」)を調べる。IDU_capは、VRFデータベース528に記憶された値であり、IDUの製造業者によってIDUのモデル用の製品情報シートに含まれている。ステップ816において、平均ゾーン負荷(「AVG_ZN_LOAD_IDU」)は、サンプル期間にわたるCOMP_REQ_FREQ_IDUの平均として定義される。ステップ820において、IDU実容量係数は、IDU_capを乗算したAVG_ZN_LOAD_IDUとして定義される。
【0078】
ステップ822において、IDU室外消費量係数(「OCFIDUn」)は、IDUサーモオン時間係数にIDU実容量係数を乗算したものとして定義される。ステップ824において、IDU室外電力比例指数(「PPIoutdoor_IDUn」)は、室内電力グループ内の全てのIDU(すなわち、ODUによってサービスを提供される全てのIDU)の室外消費量係数の合計で除算したOCFIDUnとして定義される。すなわち、PPIoutdoor_IDUn=OCFIDUn/ΣOCFIDUk,k for all IDUs served by one ODUである。
【0079】
ステップ826において、IDUに起因する電力消費量(「kWh_outdoor_IDU」)は、PPIoutdoor_IDUnに、ODUに起因する総電力消費量、すなわち、kWh_outdoor_ODUを乗算したものとして計算される。すなわち、kWH_outdoor_IDU=PPIoutdoor_IDUn×kWh_outdoor_ODUである。それによって、プロセス800は、ODUがサービスするIDUの間で1つのODU(例えば、ODU)の電力消費量を配分する。
【0080】
ここで図9を参照すると、共有された室内メータによって、室内電力消費メータを備えた複数のIDU間で電力消費を配分するためのプロセス900。それによって、プロセス900は、図4Bの第4の測定構成450に対処する。プロセス900は、VRF管理システム502内のVRFデータベース538と通信するコスト配分回路530によって実行され得る。
【0081】
ステップ902において、コスト配分回路530は、複数のIDU 506(例えば、図4Bの室内メータ456)の室内消費量を測定する室内メータ510から電力消費量測定値(「kWh_indoor」)を取得する。図6を参照して記載したように、そのメータに対応する全てのIDUは、室内電力グループにグループ化され得る。様々な実施形態によれば、コスト配分回路530は、VRFデータベース528でkWh_indoorを調べ、及び/又はデータ収集回路526からkWh_indoorを受信する。
【0082】
ステップ904において、室内電力グループ内の各IDU(例えば、IDU)に対して、コスト配分回路530は、VRFデータベース528内のIDUのモデル番号に基づいてIDU容量(「IDU_cap」)を調べ、IDU_ランタイム(「RT_IDU」)を取得する。場合によっては、RT_IDUは、IDUn内のファンの電源がオンになっていて、計算サイクル時間中に回転していた持続時間に対応する。RT_IDUは、データ収集回路526によって収集され、VRFデータベース528に記憶され得る。
【0083】
ステップ906において、IDUランタイム係数は、RT_IDUを計算サイクル時間の持続時間で除算したものとして定義される。すなわち、IDUランタイム係数は、IDUが実行されていた総計算サイクル時間の割合である。ステップ908において、IDU容量係数は、IDU_capに等しいものとして定義される。ステップ910において、IDU室内消費量係数(「ICFIDUn」)は、IDUランタイム係数にIDU容量係数を乗算したものとして定義される。
【0084】
ステップ912において、IDU室内電力比例指数(「PPIindoor_IDUn」)は、ICFIDUnを室内電力グループ内の全てのIDUの室内消費量係数の合計で除算したものに等しいと定義される。すなわち、PPIindoor_IDUn=ICFIDUn/ΣICFIDUk,k for all IDUs measured by the same indoor meterである。
【0085】
ステップ914において、コスト配分回路530は、室内電力比例指数及びkWh_indoorに基づいて、各IDU(「kWh_indoor_IDU)に起因する室内電力消費量を決定する。より詳細には、コスト配分回路530は、kWh_indoor_IDU=PPIindoor_IDUn×kWh_indoorを計算する。それによって、プロセス900は、室内電力グループ内の各IDUに起因する室内電力消費量をもたらす。
【0086】
ここで図10を参照すると、例示的実施形態による、様々なテナントに対する電力請求額を決定するためのプロセス1000が示されている。プロセス1000は、VRF管理システム502によって実行されて、図3A図4Bを参照して記載されたように、測定構成の任意の組み合わせに対処し得る。プロセス1000は、ユーザからの要求に応じて、又はいくつかの他の頻度で、請求サイクルごとに(例えば、毎月)1回実行され得る。
【0087】
ステップ1002において、コスト配分回路530は、プロセス800の終了から(すなわち、ステップ808及び/又はステップ826から)、全てのnに対してkWh_outdoor_IDUを採用する。ステップ1004において、コスト配分回路530は、プロセス900の終了から(すなわち、ステップ914から)、全てのnに対してkWh_indoor_IDUを採用する。
【0088】
ステップ1006において、総IDU電力消費量(「kWh_IDU」)は、kWh_IDU=kWh_outdoor_IDU+kWh_indoor_IDUとして定義される。すなわち、各IDUに起因する室外消費量を、そのIDUに起因する室内消費量と合計して、そのIDUの総電力消費量を取得する。
【0089】
ステップ1008において、コスト配分回路530は、電力の各ユニットに対する料金レート(例えば、kWhあたりのドル)を取得する。料金レートは、電力消費量の単位ごとに見積もられる任意の通貨(例えば、ドル、ユーロ、ルピー)にすることができる。料金レートは、例えば、電力事業会社によって供給されるように、VRFデータベース528に記憶されてもよい。ステップ1010において、サンプル期間に対するIDU当たりの請求額(「Charge_IDU」)は、料金レートにkWh_IDUを乗算したものとして定義される。
【0090】
ステップ1012において、コスト配分回路530は、各テナントに対する請求額を、テナントに割り当てられた全てのIDUに対するCharge_IDUの合計として計算する。コスト配分により、VRFデータベース528内のテナント及びIDUのリストにアクセスして、どのIDUがどのテナントに対応するかを決定してもよい。それによって、プロセス1000は、VRFシステム500の電力消費量に対するテナントの貢献を正確に反映した、テナントに請求し得る通貨額をもたらす。いくつかの実施形態では、入出力回路532は、請求書を生成し、請求書をテナントに送信し、テナントから支払い情報を受信し、そうでなければ、計算された請求額のテナントによる履行を容易にする。
【0091】
例示的実施形態の構成
様々な例示的実施形態に示されたシステム及び方法の構造及び配置は、単に例示的である。この開示ではほんのわずかだけの実施形態を詳細に説明してきたが、多くの変更形態(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取り付け方法、材料の使用、色、配向などの変化)が可能である。例えば、要素の位置を逆にするか又は別の方法で変化させることができ、個別の要素又は位置の性質又は数を変更するか又は変化させることができる。したがって、そのような変更形態は全て、本開示の範囲内に含まれるように意図されている。いかなるプロセス又は方法工程の順序又は並びも代替の実施形態に従って変更され得る又は並べ替えられ得る。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件及び配列における他の置換、変更、変化及び省略がなされ得る。
【0092】
本明細書で使用される用語「回路」は、本明細書で説明された機能を実行するように構造化されたハードウェアを含み得る。いくつかの実施形態では、各「回路」は、本明細書で説明された機能を実行するようにハードウェアを構成するための機械可読媒体を含み得る。回路は、限定しないが処理回路系、ネットワークインターフェース、周辺デバイス、入力デバイス、出力デバイス、センサなどを含む1つ以上の回路系部品として具現化され得る。いくつかの実施形態では、回路は、1つ以上のアナログ回路、電子回路(例えば集積回路(IC)、ディスクリート回路、システムオンチップ(SOC:system on a chip)回路など)、通信回路、ハイブリッド回路、及び任意の他のタイプの「回路」の形式を採用し得る。この点に関し、「回路」は、本明細書で説明された動作を遂行するための又はその実現を容易にするための任意のタイプの部品を含み得る。例えば、本明細書で述べた回路は、1つ以上のトランジスタ、論理ゲート(例えばNAND、AND、NOR、OR、XOR、NOT、XNORなど)、抵抗器、マルチプレクサ、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、ダイオード、配線など)を含み得る。
【0093】
「回路」はまた、1つ以上のメモリ又はメモリデバイスへ通信可能に結合された1つ以上のプロセッサを含み得る。この点に関し、1つ以上のプロセッサは、メモリ内に記憶された命令を実行し得る、又はそうでなければ1つ以上のプロセッサへアクセス可能な命令を実行し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは様々なやり方で具現化され得る。1つ以上のプロセッサは、少なくとも本明細書で説明された動作を実行するのに十分なやり方で構築され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、複数の回路により共有され得る(例えば、回路A及び回路Bが同じプロセッサを含み得る又はそうでなければ共有し得、いくつかの例示的実施形態では、メモリの様々な領域を介して記憶される又はそうでなければアクセスされる命令を実行し得る)。その代りに又は追加的に、1つ以上のプロセッサは、1つ以上のコプロセッサとは独立にいくつかの動作を実行するように構造化され得る。他の例示的実施形態では、2つ以上のプロセッサが、独立した、並列の、パイプライン化された、又はマルチスレッド化された命令実行を可能にするためにバスを介し結合され得る。各プロセッサは、1つ以上の汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又はメモリにより提供される命令を実行するように構造化された他の好適な電子データ処理部品として実装され得る。1つ以上のプロセッサは、シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ(例えばデュアルコアプロセッサ、トリプルコアプロセッサ、クワッドコアプロセッサなど)、マイクロプロセッサなどの形式を採用し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは装置外にあってもよく、例えば1つ以上のプロセッサは遠隔プロセッサ(例えば、クラウドベースプロセッサ)であり得る。その代りに又は追加的に、1つ以上のプロセッサは装置の内部及び/又はローカルに存在し得る。この点に関し、その所与の回路又は部品は、ローカルに(例えばローカルサーバ、ローカルコンピューティングシステムなどの一部として)又は遠隔的に(例えばクラウドベースサーバなどの遠隔サーバの一部として)配置され得る。そのために、本明細書で説明した「回路」は1つ以上の場所全体にわたり分散された部品を含み得る。本開示は、様々な動作を遂行するためのいかなる機械可読媒体における方法、システム及びプログラム製品を企図する。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又は別の目的のために組み込まれた適切なシステム用の専用コンピュータプロセッサによって、或いは、配線接続されたシステムによって実装することができる。本開示の範囲内の実施形態は、記憶された機械実行可能命令又はデータ構造を保持するか又は有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。そのような機械可読媒体は、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な利用可能ないかなる媒体でもあり得る。例示として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、或いは、機械実行可能命令又はデータ構造の形態の所望のプログラムコードを保持又は記憶するために使用することができ、汎用若しくは専用コンピュータ又はプロセッサを伴う他の機械によるアクセスが可能な他の任意の媒体を含み得る。上記の組み合わせもまた、機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能命令は、例えば、ある特定の機能又は機能グループを汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は専用処理機械に実行させる命令及びデータを含む。
【0094】
図は方法ステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、描写される順序とは異なるものでもよい。また、2つ以上のステップを同時に、又は部分的に同時に実行することもできる。そのような変動は、選ばれるソフトウェア及びハードウェアシステム並びに設計者の選択に依存する。そのような変動は全て、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、計算ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを実行するためにルールベース理論及びその他の理論を用いる標準的プログラミング技術で実現し得る。
図1A
図1B
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10