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特許7454516ロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
F01D25/00 X
F01D25/00 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021013963
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2021124117
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】16/781,308
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310010564
【氏名又は名称】三菱重工コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 好邦
(72)【発明者】
【氏名】田崎 彰範
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-21524(JP,Y1)
【文献】特開2002-364309(JP,A)
【文献】特開昭60-93199(JP,A)
【文献】特開2009-91988(JP,A)
【文献】特開2018-66285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0319665(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102014207461(DE,A1)
【文献】特開平6-312893(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096670(WO,A1)
【文献】特開2013-72356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/00
F01D 25/28
F02C 7/00
F02C 7/28
F04D 29/12
F04D 29/60-29/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるロータ本体、前記軸方向に間隔をあけて前記ロータ本体の第一端及び第二端にそれぞれ配置され、前記ロータ本体の径方向の外側に設けられた円環状の一対の支持リング、及び前記ロータ本体の外周面との間にクリアランスを開けた状態で前記支持リングの内周面に配置された一対のシール部材を備えるロータを吊ることが可能なロータ吊り具であって、
前記ロータ本体に対して上方で前記軸方向と平行に延びるビームと、
前記軸方向に間隔をあけて一対が配置され、前記ビームに接続され、前記支持リングに対して着脱可能とされたリング支持部と、
前記軸方向に間隔をあけて一対が配置され、前記ビームに接続され、前記リング支持部とは前記軸方向で異なる位置で前記ロータ本体に対して着脱可能とされ、前記ロータ本体を下方からそれぞれ支持するロータ支持部と、
前記ビームに対する前記ロータ支持部の上下方向における位置を調整可能とされている上下位置調整部と、を備えるロータ吊り具。
【請求項2】
前記軸方向に間隔をあけた複数個所に配置され、前記ビームから前記軸方向に直交する幅方向の両側に延びるアーム、をさらに備える請求項1に記載のロータ吊り具。
【請求項3】
一対の前記リング支持部は、一対の前記ロータ支持部に対し、前記軸方向における前記ロータ本体の中央部にそれぞれ近い位置に配置されている請求項1又は2に記載のロータ吊り具。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のロータ吊り具と、
前記ロータ吊り具に吊られた前記ロータを前記ロータの下方から支持するロータ支持台と、を備え、
前記ロータ支持台は、
前記ロータ本体を下方から支持する一対の第一支持部と、
前記支持リングを下方から支持する一対の第二支持部と、を備え、
前記第一支持部及び前記第二支持部の少なくとも一方は、前記上下方向の高さ調整が可能とされているロータ支持治具。
【請求項5】
前記ロータ支持台は、
前記軸方向に直交する幅方向において、前記ロータから外れた位置に配置され、前記ロータ吊り具を下方から支持する第三支持部、をさらに備える請求項4に記載のロータ支持治具。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項に記載のロータ吊り具を用いたロータの吊り上げ方法であって、
前記ロータ吊り具を前記ロータの上方に配置し、
前記ロータの上方に前記ロータ吊り具を配置後に、一対の前記リング支持部を、一対の前記支持リングにそれぞれ固定し、
前記リング支持部と前記支持リングとを固定後に、一対の前記ロータ支持部で、前記ロータ本体を下方から支持し、
前記ロータ支持部で支持された前記ロータ本体の中心線の上下方向の位置を、前記シール部材の中心線の上下方向の位置に合わせるように、前記上下位置調整部によって前記ロータ支持部の上下方向における位置を調整し、
前記ロータ支持部の上下方向における位置が調整された前記ロータ吊り具を上方に吊り上げるロータの吊り上げ方法。
【請求項7】
下半車室と前記下半車室の上方に設けられた上半車室とを備える車室、及び前記車室内に軸線周りに回転可能に設けられたロータを備える回転機械を請求項1から3の何れか一項に記載のロータ吊り具を用いて分解する回転機械の分解方法であって、
前記上半車室を取り外し、前記下半車室上の前記ロータの上半を露出させ、
前記ロータ吊り具を上半が露出した前記ロータの上方に配置し、
前記ロータの上方に前記ロータ吊り具を配置後に、一対の前記リング支持部を、一対の前記支持リングにそれぞれ固定し、
前記リング支持部と前記支持リングとを固定後に、一対の前記ロータ支持部で、前記ロータ本体を下方から支持し、
前記ロータ支持部で支持された前記ロータ本体の中心線の上下方向の位置を、前記シール部材の中心線の上下方向の位置に合わせるように、前記上下位置調整部によって前記ロータ支持部の上下方向における位置を調整し、
前記ロータ支持部の上下方向における位置が調整された前記ロータ吊り具を上方に吊り上げ、前記ロータを前記下半車室から取り外す回転機械の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機や蒸気タービン等の回転機械は、軸線を中心として回転するロータと、このロータを覆う車室とを備えている。ロータは、軸線を中心とする軸方向に延びるロータ本体と、ロータ軸に複数配置されたインペラとを有する。このような回転機械では、特許文献1に示すように、車室が、上半部と下半部とに上下二分割可能とされた構造を有するものがある。ロータのメンテナンスや交換を行うときには、車室の上半部を下半部から取り外し、車室内のロータの上半を露出させる。その後、ロータを吊り上げて下半部から取り出し、ロータのメンテナンスや交換を行う。
【0003】
ロータを吊り上げて車室の下半部から取り出す場合、軸方向に間隔をあけた複数個所でロータを支持する治具を用いる。治具でロータを支持した状態で、治具を吊り上げることで、車室の下半部からロータを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-44721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロータには、車室とロータとの隙間におけるシール性を確保するための環状のシール部材、シール部材をケーシングに固定する支持リング(シールハウジングホルダー)等の部材が設けられている。シール部材及び支持リングは、ロータ本体に対して径方向の外側に突出するように配置されている。このシール部材がラビリンスシールの場合、シール性を確保するために、径方向におけるロータ本体の外周面とシール部材との間の距離が非常に狭くなっている。そのため、ロータを吊り上げるに際しては、シール部材が吊り上げ作業時にロータ本体と接触して損傷してしまうことを抑える必要がある。
【0006】
また、このシール部材がドライガスシールの場合、シール部材は、精密部品であり外力が加わると損傷してしまう。そこで、ロータを吊り上げるに際しては、シール部材が吊り上げ作業時に支持リングの自重がかかったり、ロータとの芯ずれにより損傷してしまうことを抑える必要がある。したがって、シール部材の損傷を抑えるために、シール部材を事前に取り外す必要がある。
【0007】
しかしながら、ロータ本体の端部には、モータや被駆動機等の他の回転機械とロータ本体とを繋ぐカップリングが設けられている。さらに、シール部材とロータ本体の端部との間には、スラスト力をスラスト軸受に支持させるためのスラストディスクが配置されている場合もある。このカップリングやスラストディスクは、ロータ本体に対して径方向の外側に突出するように形成されている。そのため、シール部材をロータ本体から取り外すには、先にカップリングやスラストディスクをロータ本体から取り外す必要がある。
【0008】
その結果、ロータの取り外しや交換等の作業に手間が掛かり、メンテナンス作業の効率低下に繋がっていた。また、メンテナンス作業を行う間、回転機械の稼働を停止しなければならず、回転機械の稼働率の低下にも繋がっていた。
【0009】
本開示は、ロータの取り外しの効率化を図ることが可能なロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係るロータ吊り具は、軸方向に延びるロータ本体、前記軸方向に間隔をあけて前記ロータ本体の第一端及び第二端にそれぞれ配置され、前記ロータ本体の径方向の外側に設けられた円環状の一対の支持リング、及び前記ロータ本体の外周面との間にクリアランスを開けた状態で前記支持リングの内周面に配置された一対のシール部材を備えるロータを吊ることが可能なロータ吊り具であって、前記ロータ本体に対して上方で前記軸方向と平行に延びるビームと、前記軸方向に間隔をあけて一対が配置され、前記ビームに接続され、前記支持リングに対して着脱可能とされたリング支持部と、前記軸方向に間隔をあけて一対が配置され、前記ビームに接続され、前記リング支持部とは前記軸方向で異なる位置で前記ロータ本体に対して着脱可能とされ、前記ロータ本体を下方からそれぞれ支持するロータ支持部と、前記ビームに対する前記ロータ支持部の上下方向における位置を調整可能とされている上下位置調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示のロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法によれば、ロータの取り外しの効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る回転機械の概略構成を示す断面図である。
図2】本開示の実施形態に係るロータ支持治具を示す斜視図である。
図3】上記ロータ支持治具の構成を示す断面図である。
図4】本開示の実施形態に係るロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法の手順を示す第一のフローチャートである。
図5】下半車室からロータを上方に向けて露出させる工程、ロータ吊り具をロータの上方に配置する工程を示す図である。
図6】リング支持部を支持リングに固定する工程、ロータ支持部でロータ本体を支持する工程を示す図である。
図7】ロータを下半車室から取り外す工程を示す図である。
図8】ロータをロータ支持台の上方に移動させる工程を示す図である。
図9】ロータをロータ支持台に支持させる工程を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係るロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法の手順を示す第二のフローチャートである。
図11】ロータ本体を第一支持部で下方から支持する工程を示す図である。
図12】ロータ支持部、及び上下位置調整部を取り外す工程を示す図である。
図13】スラストディスク及びカップリング部材をロータ本体から取り外す工程を示す図である。
図14】シール部材を取り外す工程を示す図である。
図15】ダミーシールを取り付ける工程を示す図である。
図16】支持リングを第二支持部で下方から支持する工程を示す図である。
図17】リング支持部を支持リングから取り外す工程を示す図である。
図18】支持リングをロータ本体から取り外す工程を示す図である。
図19】ロータ吊り具を撤去する工程を示す図である。
図20】本開示の実施形態に係る回転機械へのロータの取り付け方法の手順を示すフローチャートである。
図21】ロータ吊り具をロータの上方に配置する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示によるロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータ支持台、ロータの吊り上げ方法、回転機械からのロータの取り外し方法(回転機械の分解方法)、回転機械へのロータの取り付け方法を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0014】
以下、本開示の実施形態に係るロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法について、図1図21を参照して説明する。
【0015】
(回転機械の構成)
まず、本開示の実施形態に係るロータ吊り具、ロータ支持治具、ロータの吊り上げ方法、及び回転機械の分解方法を行う回転機械について説明する。回転機械1は、図1に示すように、ロータ2と、車室4と、軸受部5と、シール部7と、を主に備えている。本開示の実施形態において、回転機械1は、例えば、多段式の遠心圧縮機である。
【0016】
(ロータの構成)
ロータ2は、車室4内で、軸線Arを中心として回転可能とされている。ロータ2は、ロータ本体21と、インペラ22と、を備えている。ロータ本体21は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びている。ロータ本体21は、軸受部5により、軸線Ar回りに回転自在に支持されている。
【0017】
なお、以下では、軸線Arが延びている方向が軸方向Daとされる。軸方向Daに直交する鉛直方向が、上下方向Dvとされる。つまり、上下方向Dvに直交する面が、水平面である。上記ロータ本体21の軸方向Daは、水平面に沿っている。軸線Arを基準にした径方向が単に径方向Drとされる。径方向Drのうち、上下方向Dvに直交する方向が幅方向Dwとされる。また、軸線Arを中心とするロータ2周りの方向が周方向Dcとされる。
【0018】
インペラ22は、軸方向Daに間隔を空けて複数配置されている。各インペラ22は、ロータ本体21に固定されている。各インペラ22は、ロータ本体21と一体に軸線Ar回りに回転可能とされている。本開示の実施形態において、インペラ22は、例えば計六個が設けられている。これらのインペラ22は、ロータ本体21の軸方向Daの中央部21cに対し、ロータ本体21の第一端21aに近い側(第一端21a側)とロータ本体21の第二端21bに近い側(第二端21b側)とで対称に設けられている。インペラ22は、ロータ本体21の中央部21cに対して、第一端21a側と第二端21b側とに、それぞれ三個ずつが背合わせに配置されている。
【0019】
本開示の実施形態において、ロータ本体21の第一端21aにはカップリング部材81が装着されている。カップリング部材81は、車室4の外部に設けられた、他の回転機械(図示無し)によって軸線Ar回りに回転駆動される外部シャフト200が着脱可能に接続されている。
【0020】
なお、ロータ本体21に設けられるインペラ22の数、インペラ22の向きは、上記に例示したものに限られず、適宜変更可能である。
【0021】
(車室の構成)
車室4は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びる筒状をなしている。車室4には、車室4内に作動流体を導く吸込口47と、車室4内から作動流体を外部に排出する排出口48とが形成されている。車室4は、ダイヤフラム6ともに、ロータ2を内部に収容している。車室4は、ロータ2の軸線Arを基準に上方の上半車室41と、下方の下半車室42とを有している。
【0022】
上半車室41は、周方向Dcに延びている。上半車室41は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。上半車室41は、ロータ2及び上半ダイヤフラム61が収容可能なように、上下方向Dvの下方を向いて開口している。上半車室41は、周方向Dcの両端に分割面(上半車室分割面)を有する。上半車室41の分割面は、上下方向Dvの下方を向く水平面である。
【0023】
下半車室42は、周方向Dcに延びている。下半車室42は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。下半車室42の内径は、上半車室41の内径と同じ大きさで形成されている。下半車室42は、ロータ2及び下半ダイヤフラム62が収容可能なように、上下方向Dvの上方を向いて開口している。下半車室42は、周方向Dcの両端に分割面(下半車室分割面)を有する。下半車室42の分割面は、上下方向Dvの上方を向く水平面である。上半車室41は、下半車室42に対して上下方向Dvの上方に載置される。上半車室41と下半車室42とは、分割面が互いに接触した状態で不図示のボルト等の締結部材で固定される。これにより、車室4が形成されている。
【0024】
(ダイヤフラムの構成)
ダイヤフラム6は、ロータ本体21の径方向Drの外側に設けられている。ダイヤフラム6は、各インペラ22に対応するように軸方向Daに複数並んで配置されている。ダイヤフラム6は、軸線Arを中心として環状をなしている。環状のダイヤフラム6は、ロータ2の軸線Arを基準に上下方向Dvの上方の上半ダイヤフラム61と、下方の下半ダイヤフラム62とを有している。上半ダイヤフラム61は、上半車室41の内側に収容された状態で、上半車室41に固定されている。下半ダイヤフラム62は、下半車室42の内側に収容された状態で、下半車室42に固定されている。
【0025】
(軸受部の構成)
軸受部5は、軸線Arを中心としてロータ本体21を回転可能に支持している。軸受部5は、車室4の内部に配置されている。軸受部5は、第一軸受部51と、第二軸受部52とを有している。
【0026】
第一軸受部51は、複数のインペラ22に対して、軸方向Daの第一端21a側でロータ本体21を支持している。第一軸受部51は、上下方向Dvに分割可能な構造とされている。第一軸受部51は、ジャーナル軸受53Aを有している。ジャーナル軸受53Aは、ロータ本体21に作用する径方向Drへの荷重を受けている。
【0027】
第二軸受部52は、複数のインペラ22に対して、軸方向Daの第二端21b側でロータ本体21を支持している。第二軸受部52は、上下方向Dvに分割可能な構造とされている。第二軸受部52は、ジャーナル軸受53B、及びスラスト軸受54を有している。ジャーナル軸受53Bは、ロータ本体21に作用する径方向Drへの荷重を受けている。
【0028】
スラスト軸受54は、後述するスラストディスク54bを介して、ロータ本体21に作用する軸方向Daへの荷重を受けている。スラスト軸受54は、ジャーナル軸受53Bに対して軸方向Daの第二端21b側(ロータ本体21の中央部21cから離れた側)に配置されている。
【0029】
ロータ本体21には、軸方向Daにおけるスラスト軸受54の位置に対応する位置に、スラストディスク54bが配置されている。スラストディスク54bは、ロータ本体21から径方向Drの外側に突出している。具体的には、スラストディスク54bは、円環状をなしている。スラストディスク54bは、ロータ本体21の外周面21fに対し、着脱可能に設けられている。
【0030】
スラスト軸受54は、スラストディスク54bに対して軸方向Daの両側に配置された軸受パッド54aを備えている。スラスト軸受54は、軸受パッド54aにより、スラストディスク54bの軸方向Daへの移動を拘束している。
【0031】
(シール部の構成)
シール部7は、ロータ2と車室4との隙間をシールする。シール部7は、ロータ2と車室4との隙間から車室4の外部への作動流体の流出、及び外部から車室4内への異物等の侵入を抑える。シール部7は、複数のインペラ22を挟むように、軸方向Daに間隔をあけて配置されている。シール部7は、第一端21a側の第一シール部7Aと、第二端21b側の第二シール部7Bと、を備えている。第一シール部7Aは、第一軸受部51に対し、ロータ本体21の軸方向Daの中央部21cに近い位置に配置されている。第二シール部7Bは、第一軸受部51に対し、ロータ本体21の軸方向Daの中央部21cに近い位置に配置されている。
【0032】
第一シール部7A及び第二シール部7Bは、支持リング71と、シール部材72と、それぞれを備えている。つまり、回転機械1は、一対の支持リング71と、一対のシール部材72とを備えている。
【0033】
支持リング71は、周方向Dcに延びている。支持リング71は、中央部に、軸方向Daから見て円形の貫通孔が形成されている。つまり、支持リング71は、円環状をなしている。支持リング71の外周面は、上半車室41の内周面と下半車室42の内周面とに接している。
【0034】
シール部材72は、支持リング71の径方向Drの内側に配置されている。シール部材72は、支持リング71の貫通孔の内周面に着脱可能に固定されている。シール部材72は、支持リング71の内周面と、ロータ本体21の外周面との間に設けられている。シール部材72は、ロータ本体21の外周面との間にクリアランスを開けた状態で支持リング71に固定されている。
【0035】
シール部材72は、本開示の実施形態において、例えば、ドライガスシールである。ドライガスシールは、回転環(図示無し)と静止環(図示無し)とを備えている。回転環は、ロータ本体21の外周部分にロータ本体21と一体に設けられている。静止環は、支持リング71の内周面に固定されている。静止環は、回転環に対してロータ本体21の軸方向Daにおいて対向するよう設けられている。静止環は、コイルバネ等によって、回転環に向けて押圧されている。これにより、回転機械が停止している状態では、静止環と回転環とが互いに突き当たる。回転機械1が作動し、ロータ本体21が回転すると、回転環と静止環との間にシールガスが導入される。このシールガスの圧力により、静止環が、コイルバネの付勢力に抗して軸方向Daに沿って押圧される。これにより、回転環と静止環との間に微小な隙間が形成されることで、車室4内の作動流体が車室4外に漏れることを抑える。
【0036】
なお、シール部材72には、さらに、ラビリンスシールを備えるようにしてもよい。
【0037】
(ロータ支持治具の構成)
上記したような回転機械1からのロータ2の取り外し、及び回転機械1へのロータ2の取り付けには、以下に示すロータ支持治具100を用いる。図2図3に示すように、ロータ支持治具100は、ロータ吊り具110と、ロータ支持台120と、を備えている。
【0038】
(ロータ吊り具の構成)
ロータ吊り具110は、ロータ2を吊った状態で保持可能とされている。ロータ吊り具110は、ビーム111と、アーム112と、リング支持部113と、ロータ支持部115と、上下位置調整部117と、を備えている。
【0039】
ビーム111は、水平方向Dhに沿って直線状に延びている。ビーム111は、ロータ吊り具110の使用時、ロータ本体21に対して上下方向Dvの上方でロータ本体21と平行となるように、軸方向Daに延びるように配置される。ビーム111の軸方向Daの両端部には、それぞれ取付孔111hが形成されている。各取付孔111hには、クレーン等の揚重機械のワイヤーやフックが取り付け可能とされている。ビーム111は、各取付孔111hにワイヤーやフックを取り付けた揚重機械により、上下方向Dvに移動可能とされている。
【0040】
アーム112は、ビーム111において軸方向Daに間隔をあけた複数個所に配置されている。本開示の実施形態では、一対のアーム112が、ビーム111の軸方向Daの両端部に接続されている。アーム112は、ビーム111から軸方向Daに直交する幅方向Dwの両側に延びている。アーム112は、ビーム111と一体に設けられている。
【0041】
リング支持部113は、支持リング71を支持可能とされている。リング支持部113は、ビーム111において、軸方向Daに間隔を空けて一対が配置されている。各リング支持部113は、ビーム111から上下方向Dvの下方に向かって延びている。リング支持部113は、軸方向Daにおいて、アーム112よりもビーム111の端部に近い位置でビーム111に接続されている。リング支持部113の軸方向Daの位置は、支持リング71に側面に面する位置とされている。具体的には、リング支持部113は、支持リング71における軸方向Daの外側(ロータ本体21の端部)を向くリング表面71fに沿う位置に配置されている。リング支持部113は、支持リング71のリング表面71fに対し、ボルト等の固定部材(図示無し)により着脱自在に固定可能とされている。つまり、リング支持部113は、リング表面71fに着脱可能とされている。
【0042】
ロータ支持部115は、ロータ本体21を支持可能とされている。ロータ支持部115は、ビーム111において、軸方向Daに間隔をあけて一対が配置されている。各ロータ支持部115は、上下位置調整部117を介して、ビーム111に接続されている。各ロータ支持部115は、軸方向Daにおいて、リング支持部113とは異なる位置に配置されている。本開示の実施形態において、ロータ支持部115は、ロータ吊り具110がロータ2を吊った状態で、軸方向Daにおいて、スラストディスク54bとシール部7との間に配置されている。ロータ支持部115は、ロータ支持部115に対してビーム111の端部に近い位置に配置されている。ロータ支持部115は、ロータ本体21を上下方向Dvの下方から支持可能とされている。ロータ支持部115は、周方向Dcに延びる支持部本体116を備えている。支持部本体116は、軸方向Daから見て環状で、上下に二分割可能とされている。支持部本体116は、ロータ本体21を内部に挿通させた状態で、ロータ本体21に対して着脱可能とされている。
【0043】
上下位置調整部117は、ビーム111に対するロータ支持部115の上下方向Dvにおける位置を調整可能とされている。上下位置調整部117は、ビーム111から上下方向Dvの下方に向かって延びている。上下位置調整部117は、ビーム111とロータ支持部115とを接続している。上下位置調整部117は、本開示の実施形態において、例えばターンバックルである。
【0044】
(ロータ支持台の構成)
ロータ支持台120は、ロータ2、及びロータ2を支持したロータ吊り具110を支持可能とされている。ロータ支持台120は、基台121と、第一支持部122と、第二支持部124と、第三支持部126と、を備えている。
【0045】
基台121は、上下方向Dvから見た際に、長方形状をなしている。基台121は、設置面F上に載置される。基台121は、その長手方向Dpを、ロータ2の軸方向Daに沿わせた状態で配置される。基台121は、トラックやトレーラー等の運搬車両に搭載できる大きさとするのが好ましい。
【0046】
第一支持部122は、ロータ本体21を下方から支持する。第一支持部122は、基台121上に一対配置されている。一対の第一支持部122は、基台121の長手方向Dp(軸方向Da)に間隔を空けて配置されている。各第一支持部122は、基台121の短手方向Dq(幅方向Dw)の中央部に配置されている。各第一支持部122は、基台121の上面から上下方向Dvの上方に延びている。各第一支持部122の上面には、ロータ本体21を載置可能なロータ支持面が形成されている。ロータ支持面は、ロータ本体21の外周面21fに沿うように、下方に向かって窪んだ円弧状に形成されている。各第一支持部122の高さは、上下方向Dvで調整可能とされている。
【0047】
第二支持部124は、支持リング71を下方から支持する。第二支持部124は、基台121上に一対配置されている。一対の第二支持部124は、基台121の長手方向Dp(軸方向Da)に間隔を空けて配置されている。各第二支持部124は、基台121の短手方向Dq(幅方向Dw)の中央部に配置されている。各第二支持部124は、基台121の上面から上下方向Dvの上方に延びている。各第二支持部124の上面には、支持リング71が載置可能なリング支持面が形成されている。リング支持面は、支持リング71の外周面に沿うように、下方に向かって窪んだ円弧状に形成されている。各第二支持部124の高さは、上下方向Dvで調整可能とされている。
【0048】
第一支持部122及び第二支持部124により、ロータ2が下方から支持される。具体的には、軸方向Daに離れた二か所でロータ本体21が一対の第一支持部122より支持される。さらに、一対の支持リング71が、一対の第二支持部124により支持される。このようにして、ロータ2は、第一支持部122及び第二支持部124により、ロータ本体21と支持リング71との径方向Drにおける相対位置が固定された状態で保持される。
【0049】
第二支持部124は、基台121の長手方向Dp(軸方向Da)において、第一支持部122よりも基台121の外周縁に近い位置に配置されている。換言すると、第一支持部122は、第二支持部124に対し、軸方向Daにおけるロータ本体21の中央部21cに寄った位置に配置されている。つまり、第一支持部122は、支持リング71よりもロータ本体21の中央部21cに寄った位置で、ロータ本体21を支持する。
【0050】
第三支持部126は、アーム112を下方から支持する。第三支持部126は、基台121上に二組配置されている。二組の第三支持部126は、基台121の長手方向Dp(軸方向Da)に間隔を空けて配置されている。各組の第三支持部126は、基台121の短手方向Dq(幅方向Dw)において、ロータ2を収容可能な間隔を空けて配置されている。つまり、第三支持部126は、上下方向Dvから見た際に、幅方向Dwにおいて、ロータ2から外れた位置に配置されている。各第三支持部126は、基台121の上面から上下方向Dvの上方に延びている。各第三支持部126上には、アーム112の先端部が載置可能とされている。アーム112の先端部と、第三支持部126の上端とは、ボルト等の固定部材(図示無し)によって着脱可能に連結される。これらの第三支持部126により、ロータ2を吊った状態のロータ吊り具110が下方から支持される。
【0051】
(ロータの吊り上げ方法、回転機械の分解方法の手順)
次に、回転機械1からのロータ2の吊り上げ方法について説明する。なお、ロータ2の吊り上げ方法は、回転機械の分解方法の一部であって回転機械1からのロータ2の取り外し方法の一部に含まれる。
【0052】
図4に示すように、回転機械の分解方法は、下半車室42からロータ2を上方に向けて露出させる工程S11と、ロータ吊り具110をロータ2の上方に配置する工程S12と、リング支持部113を支持リング71に固定する工程S13と、ロータ支持部115をロータ本体21に取り付ける工程S14と、ロータ支持部115の上下方向Dvの位置をロータ本体21に合わせて調整する工程S15と、ロータ2を下半車室42から取り外す工程S16と、ロータ2をロータ支持台120の上方に移動させる工程S17と、ロータ2をロータ支持台120に支持させる工程S18と、を含む。
【0053】
なお、ロータ吊り具110をロータ2の上方に配置する工程S12と、リング支持部113を支持リング71に固定する工程S13と、ロータ支持部115でロータ本体21を支持する工程S14と、ロータ支持部115の上下方向Dvの位置をロータ本体21に合わせて調整する工程S15とが、本開示の実施形態におけるロータの吊り上げ方法である。
【0054】
下半車室42からロータ2を上方に向けて露出させる工程S11では、図5に示すように、ロータ吊り具110を準備した後に、回転機械1の車室4の上半車室41を、下半車室42から取り外す。上半ダイヤフラム61は、上半車室41とともに、取り外される。これにより、ロータ2が、下半車室42から上方に向けて露出される。また、下半車室42からロータ2を上方に向けて露出させる工程S11では、第一軸受部51と第二軸受部52とを、上下方向Dvに分割してロータ本体21から取り外す。第二軸受部52において、スラスト軸受54を取り外すと、ロータ本体21には、スラストディスク54bが残る。
【0055】
ロータ吊り具110をロータ2の上方に配置する工程S12では、まず、クレーン等の揚重機械のワイヤーやフックを、ビーム111の取付孔111hに取り付ける。次いで、揚重機械により、ビーム111を吊り上げ、ロータ吊り具110をロータ2に対して上方に配置する。ロータ吊り具110は、ロータ2の上方において、ビーム111の伸びる方向が、ロータ2の軸方向Daと平行となるように配置される。
【0056】
リング支持部113を支持リング71に固定する工程S13では、まず、図6に示すように、揚重機械により、吊り上げたビーム111を下降させる。これにより、ロータ吊り具110は、一対のリング支持部113が、支持リング71に対してリング表面71fに沿うように配置される。次いで、各リング支持部113が、リング表面71fに、ボルト(図示無し)により固定される。
【0057】
ロータ支持部115をロータ本体21に取り付ける工程S14では、支持部本体116でロータ本体21が囲むように挟み込まれる。これにより、一対のロータ支持部115が、ロータ本体21に取り付けられる。
【0058】
ロータ支持部115の上下方向Dvの位置をロータ本体21に合わせて調整する工程S15では、上下位置調整部117によって、一対の支持部本体116の上下方向Dvの位置が、ロータ本体21に合わせて調整される。これには、上下位置調整部117であるターンバックルで、支持部本体116が上下方向Dvに移動される。これにより、ロータ支持部115で支持されたロータ本体21の中心線(軸線)の上下方向Dvの位置を、シール部材72の中心線の上下方向Dvの位置に合わせるように、支持部本体116の上下方向における位置が調整される。その結果、ロータ本体21の中心線とシール部材72の中心線との位置が一致した状態で、ロータ2が、ロータ吊り具110に対して相対移動不能な状態で支持される。これにより、芯合わせされた状態で、一対のロータ支持部115で、ロータ本体21が下方から支持される。
【0059】
ロータ2を下半車室42から取り外す工程S16では、揚重機械により、図7に示すように、ビーム111が吊り上げられて上昇させられる。これにより、ロータ吊り具110に吊られたロータ2が、下半車室42から取り外される。
【0060】
ロータ2をロータ支持台120の上方に移動させる工程S17では、揚重機械により、図8に示すように、ロータ吊り具110に吊られたロータ2を、回転機械1の外部に予め配置したロータ支持台120の上方に移動させる。
【0061】
ロータ2をロータ支持台120に支持させる工程S18では、揚重機械により、図9に示すように、ビーム111を下降させる。そして、各アーム112の先端部を、ロータ支持台120の第三支持部126上に載せるようにロータ吊り具110は下降される。次いで、各アーム112の先端部と第三支持部126の上端とを、ボルト(図示無し)により連結する。これにより、ロータ2を吊った状態のロータ吊り具110が、ロータ支持台120に固定される。つまり、ロータ吊り具110に吊られたロータ2が、ロータ支持台120に対して相対移動不能な状態で支持される。
【0062】
この状態で、ロータ支持台120とともに、ロータ2及びロータ吊り具110を、運搬車両に載せ、回転機械1が設置された場所とは異なる工場などに運搬することもできる。
【0063】
図10に示すように、回転機械の分解方法は、ロータ2をロータ支持台120に支持させる工程S18に続いて、ロータ本体21を第一支持部122で下方から支持する工程S21と、ロータ支持部115及び上下位置調整部117を取り外す工程S22と、スラストディスク54bをロータ本体21から取り外す工程S23と、カップリング部材81をロータ本体21から取り外す工程S24と、シール部材72を取り外す工程S25と、ダミーシール90を取り付ける工程S26と、支持リング71を第二支持部124で下方から支持する工程S27と、リング支持部113を支持リング71から取り外す工程S28と、支持リング71をロータ本体21から取り外す工程S29と、をさらに含む。
【0064】
ロータ本体21を第一支持部122で下方から支持する工程S21では、図11に示すように、ロータ支持台120に固定されたロータ吊り具110から吊られたロータ本体21に合わせて、第一支持部122の高さが調整される。第一支持部122のロータ支持面を、ロータ本体21の外周面21fの下側に密着させることで、ロータ本体21が、第一支持部122により下方から支持される。つまり、ロータ本体21が、ロータ支持台120に支持された状態となる。
【0065】
ロータ支持部115及び上下位置調整部117を取り外す工程S22では、一対のロータ支持部115のそれぞれにおいて、支持部本体116が上下に二分割され、ロータ本体21から取り外される。さらに、上下位置調整部117が、ビーム111から取り外される。これにより、図12に示すように、一対のロータ支持部115及び上下位置調整部117は、ロータ本体21及びロータ吊り具110から取り外される。
【0066】
スラストディスク54bをロータ本体21から取り外す工程S23では、図13に示すように、スラストディスク54bが軸方向Daに移動され、ロータ本体21の第二端21bから取り外される。
【0067】
カップリング部材81をロータ本体21から取り外す工程S24では、ロータ本体21の第一端21aに設けられたカップリング部材81が、ロータ本体21から取り外される。
【0068】
シール部材72を取り外す工程S25では、図14に示すように、支持リング71の内周面からシール部材72が取り外される。シール部材72は、軸方向Daに移動されてロータ本体21から引き抜かれる。
【0069】
ダミーシール90を取り付ける工程S27では、図15に示すように、支持リング71の内側から取り外したシール部材72に代えて、支持リング71の内側にダミーシール90が取り付けられる。ダミーシール90は、シール部材72と同様のサイズ、形状を有している。ダミーシール90は、ロータ本体21に沿って軸方向Daに押し込まれる。これにより、ダミーシール90が、支持リング71の径方向Drの内側に挿入される。
【0070】
支持リング71を第二支持部124で下方から支持する工程S27では、図16に示すように、第二支持部124の高さが、支持リング71に合わせて調整される。第二支持部124のリング支持面を支持リング71の下側に密着させることで、支持リング71が、第二支持部124により下方から支持される。
【0071】
リング支持部113を支持リング71から取り外す工程S28では、リング支持部113と支持リング71とを接続するボルト(図示無し)が取り外される。その後、リング支持部113が、ロータ吊り具110のビーム111から取り外される。これにより、図17に示すように、リング支持部113が、支持リング71から取り外される。この状態で、支持リング71は、ロータ支持台120の第二支持部124により支持されている。
【0072】
支持リング71をロータ本体21から取り外す工程S29では、図18に示すように、支持リング71がダミーシール90とともに、軸方向Daに沿って移動され、ロータ本体21から取り外される。このとき、支持リング71の径方向Drの内側にはダミーシール90が配置されている。そのため、支持リング71がロータ本体21に直接干渉することが抑えられる。
【0073】
ロータ吊り具110を撤去する工程S30では、各アーム112の先端と第三支持部126の上端との連結が、ボルト(図示無し)が取り外されることで解除される。その後、揚重機械でビーム111が吊り上げられ、ロータ支持台120から取り外される。これにより、図19に示すように、ロータ2は、ロータ支持台120のみによって支持された状態となる。この後は、ロータ支持台120上で、ロータ2の各部に対し、所要のメンテナンス作業等が実施される。
【0074】
(回転機械へのロータの取り付け方法の手順)
次に、回転機械1を組み立てる際の回転機械1へのロータ2の取り付け方法について説明する。
図20に示すように、回転機械1へのロータ2の取り付け方法は、ロータ吊り具110をロータ2の上方に配置する工程S31と、リング支持部113を支持リング71に固定する工程S32と、ロータ支持部115の上下方向Dvの位置を調整する工程S33と、ロータ支持部115でロータ本体21を支持する工程S34と、ロータ吊り具110を下半車室42の上方に配置する工程S35と、ロータ2を下半車室42内に収容する工程S36と、ロータ吊り具110をロータ2から取り外す工程S37と、上半車室41を取り付ける工程S38と、を備えている。
【0075】
ロータ吊り具110をロータ2の上方に配置する工程S31では、図21に示すように、回転機械1に取り付けるロータ2の上方に、ロータ吊り具110が配置される。ここで、ロータ2が、上記ロータ支持台120上に載置されている場合、ロータ吊り具110は、ビーム111が揚重設備で吊り上げられることで、ロータ支持台120上のロータ2の上方に配置される。なお、ロータ2には、スラストディスク54b、支持リング71、及びシール部材72が予め組み付けられている。
【0076】
リング支持部113を支持リング71に固定する工程S32では、まず、図3に示したように、揚重機械により、吊り上げたビーム111を下降させる。これにより、ロータ吊り具110は、一対のリング支持部113が、支持リング71に対してリング表面71fに沿うように配置される。次いで、各リング支持部113が、支持リング71のリング表面71fに、ボルト(図示無し)により固定される。
【0077】
ロータ支持部115をロータ本体21に取り付ける工程S33では、支持部本体116でロータ本体21が挟み込まれる。が囲むように挟み込まれる。これにより、一対のロータ支持部115が、ロータ本体21に取り付けられる。
【0078】
ロータ支持部115の上下方向Dvの位置を調整する工程S34では、上下位置調整部117によって、一対の支持部本体116の上下方向Dvの位置が、ロータ本体21に合わせて調整される。これにより、ロータ支持部115で支持されたロータ本体21の中心線(軸線)の上下方向Dvの位置を、シール部材72の中心線の上下方向Dvの位置に合わせるように、支持部本体116の上下方向における位置が調整される。その結果、ロータ本体21の中心線とシール部材72の中心線との位置が一致した状態で、ロータ2が、ロータ吊り具110に対して相対移動不能な状態で支持される。これにより、芯合わせされた状態で、一対のロータ支持部115で、ロータ本体21が下方から支持される。
【0079】
ロータ吊り具110を下半車室42の上方に配置する工程S35では、揚重機械により、図8に示したように、ビーム111が吊り上げられて、ロータ2がロータ支持台120から上昇される。これにより、ロータ吊り具110に吊られたロータ2が、ロータ支持台120から取り外される。さらに、揚重機械により、吊り上げたビーム111の位置が移動される。これにより、図7に示すように、ロータ吊り具110に吊り下げられたロータ2が、下半車室42の上方に移動される。
【0080】
ロータ2を下半車室42内に収容する工程S36では、揚重機械により、図6に示すように、ロータ2を吊り下げているロータ吊り具110が下降される。これにより、ロータ吊り具110で吊り下げたロータ2が、下半車室42内に収容される。
【0081】
ロータ吊り具110をロータ2から取り外す工程S37では、図5に示すように、ボルト(図示無し)が取り外される。その後、各リング支持部113が、支持リング71のリング表面71fから切り離される。さらに、支持部本体116がロータ本体21から取り外されて、ロータ支持部115がロータ本体21から切り離される。これにより、ロータ吊り具110が、ロータ2から切り離される。その後、ロータ吊り具110は、揚重機械で吊り上げ、ロータ2の上方から移動される。
【0082】
上半車室41を取り付ける工程S38では、下半車室42内に収められたロータ2に対し、図1に示すように、第一軸受部51と第二軸受部52とを組み付ける。その後、上半ダイヤフラム61を、下半ダイヤフラム62上に載せてダイヤフラム6を組み立てる。さらに、上半車室41を、下半車室42上に載せ、車室4を組み立てる。これにより、ロータ2が組み込まれた回転機械1が組み立てられる。
【0083】
(作用効果)
上記構成のロータ吊り具110では、ビーム111から下方に延びる一対のリング支持部113が支持リング71を支持している。また、ビーム111から下方に延びる一対のロータ支持部115が、ロータ本体21を支持している。ロータ支持部115は、上下位置調整部117によってビーム111に対する上下方向Dvの位置が調整可能とされている。このため、リング支持部113で支持リング71を支持した状態で、ロータ支持部115の上下方向Dvの位置をロータ本体21に合わせて調整することができる。これにより、ロータ吊り具110は、リング支持部113とロータ支持部115とを、支持リング71とロータ本体21とに芯合わせした状態で、ロータ2を支持することができる。このようなロータ吊り具110を用いることで、ロータ本体21だけでなく、支持リング71及びシール部材72をロータ本体21に装着したまま、ロータ2を吊り上げることができる。したがって、ロータ2の取り外し、交換等の作業に要する手間を抑え、メンテナンス作業の効率化、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0084】
また、支持リング71がロータ吊り具110のリング支持部113で支持され続けることで、ロータ本体21に対する支持リング71の位置ずれを抑えることができる。
【0085】
また、支持リング71を支持するリング支持部113が、ロータ本体21を支持するロータ支持部115に対し、軸方向Daにおけるロータ本体21の中央部21cに近い位置に配置されている。これにより、軸方向Daにおいて、ロータ本体21を支持リング71の外側で支持することができる。下半車室42及び下半ダイヤフラム62に載った状態のロータ本体21には、支持リング71に対して軸方向Daの内側には、ロータ本体21を支持するようなスペースを確保することが難しい。ところが、ロータ本体21を支持リング71の外側で支持することで、下半車室42及び下半ダイヤフラム62に載った状態のロータ本体21を容易にロータ吊り具110に取り付けることができる。
【0086】
また、ロータ本体21を支持する第一支持部122が、支持リング71を支持する第二支持部124に対し、軸方向Daにおけるロータ本体21の中央部21cに近い位置に配置されている。これにより、第二支持部124で支持された支持リング71を、軸方向Daに沿って移動させてロータ本体21から引き抜く場合に、支持リング71が、ロータ本体21を支持する第一支持部122に干渉することが避けられる。したがって、支持リング71を容易にロータ本体21から取り外すことができる。
【0087】
また、ロータ吊り具110は、ビーム111から幅方向Dwの両側に延びるアーム112によって、第三支持部126に支持される。これにより、ロータ2を支持したロータ吊り具110をロータ2に影響を与えることなくロータ支持台120で支持することができる。
【0088】
また、ロータ支持台120は、ロータ吊り具110に吊られたロータ2を支持する。ロータ本体21は、第一支持部122によって下方から支持される。支持リング71は、第二支持部124によって下方から支持される。ロータ吊り具110は、第三支持部126によって下方から支持される。このようにして、ロータ支持台120は、ロータ2と、ロータ吊り具110とを一体的に支持することができる。
【0089】
ロータ吊り具110及びロータ支持台120を有するロータ支持治具100を用いたロータ2の吊り上げ方法では、ロータ吊り具110によって、支持リング71とロータ本体21との中心軸の位置が合わされた状態で、回転機械1から離れた場所にロータ2を移動することができる。したがって、支持リング71及びシール部材72をロータ本体21に装着したまま、ロータ2を吊り上げることができる。すなわち、ロータ2を吊り上げる前に、ロータ本体21からシール部材72を取り外す必要が無いため、スラストディスク54b及びカップリング部材81を取り外す必要が無い。その結果、ロータ2の吊り上げ作業に要する手間を抑え、メンテナンス作業の効率化、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0090】
また、このようなロータ2の吊り上げ方法を利用した回転機械1の分解方法により、回転機械1の下半車室42から取り外したロータ本体21を、ロータ吊り具110で吊られた状態としたり、ロータ支持台120で支持させた状態とすることができる。そのため、ロータ本体21からの部品の取り外し、ロータ2に対するメンテナンス作業等を容易かつ効率良く行うことができる。さらに、取り外したロータ2の代わりに、他のロータ2を回転機械1に組み込めば、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0091】
また、回転機械1から取り外されてロータ支持台120に支持されたロータ本体21から、スラストディスク54bが取り外されている。ロータ吊り具110のロータ支持部115及び上下位置調整部117を、ロータ本体21から取り外すことで、スラストディスク54bを取り外す際に、ロータ支持部115及び上下位置調整部117との干渉を避けることができる。
【0092】
さらに、ロータ支持台120に支持されたロータ本体21から、カップリング部材81も取り外されている。スラストディスク54bやカップリング部材81の取り外し作業は、車室4外で行われることになる。このため、作業を行いやすく、作業効率を高めることができる。
【0093】
また、ロータ支持台120に支持されたロータ本体21から、シール部材72及び支持リング71を取り外すことができる。シール部材72の取り外しの際には、支持リング71が第二支持部124で支持されている。このため、支持リング71がロータ本体21に対して変位することが抑えられる。また、シール部材72及び支持リング71の取り外し作業は、車室4外で行われることになる。このため、作業を行いやすく、作業効率を高めることができる。さらに、取り外したロータ2の代わりに、他のロータ2を回転機械1に組み込めば、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0094】
また、支持リング71をロータ本体21から取り外す前に、シール部材72に代えてダミーシール90を取り付けておくことで、支持リング71をロータ本体21から取り外す場合に、支持リング71の内周面71aがロータ本体21の外周面21fに干渉することが抑えられる。したがって、支持リング71やロータ本体21が損傷することが抑えられる。
【0095】
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態において、回転機械1の例として、例えば遠心圧縮機を示したが、これに限らない。回転機械1は、ロータ本体21、支持リング71、及びシール部材72を備えたものであれば、どのような機械であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態において、ロータ2の吊り上げ方法、回転機械1からのロータ2の取り外し方法、回転機械1へのロータ2の取り付け方法の手順については、順番を適宜入れ替えることが可能である。具体的には、例えば、ロータ本体21から、スラストディスク54b、支持リング71、シール部材72、ロータ吊り具110の各部を取り外す手順、ロータ本体21及び支持リング71をロータ支持台120で支持するための手順については、順番を適宜入れ替えることが可能である。
【0097】
なお、上記で示したロータ吊り具110を用いて回転機械1からのロータ2の取り外した場合、ロータ2を回転機械1から取り外すとともに、取り外したロータ2とは別に用意したロータ2を、ロータ吊り具110を用いて回転機械1に取り付けることもできる。これにより、ロータ2の交換を容易に行うことができる。
【0098】
この場合、ロータ2を下半車室42から取り外す工程S16で、ロータ吊り具110に吊り下げたロータ2を下半車室42から取り外した後であれば、別に用意したロータ2が回転機械1へ取り付け可能となる。また、ロータ2を下半車室42から取り外す工程S16を終えた後、取り外したロータ2を、仮設のロータ置き台(図示無し)上に仮置きしてもよい。その後、上記で示した回転機械の分解方法におけるロータ吊り具110を下半車室42の上方に配置する工程S35を実施すれば、ロータ2の交換作業を速やかに行うことができる。
【0099】
<付記>
実施形態に記載のロータ吊り具110、ロータ支持治具100、ロータ支持台120、ロータ2の吊り上げ方法、及び、回転機械1の分解方法は、例えば以下のように把握される。
【0100】
(1)第1の態様に係るロータ吊り具110は、軸方向Daに延びるロータ本体21、前記軸方向Daに間隔をあけて前記ロータ本体21の第一端21a及び第二端21bにそれぞれ配置され、前記ロータ本体21の径方向Drの外側に設けられた円環状の一対の支持リング71、及び前記ロータ本体21の外周面21fとの間にクリアランスを開けた状態で前記支持リング71の内周面71aに配置された一対のシール部材72を備えるロータ2を吊ることが可能なロータ吊り具110であって、前記ロータ本体21に対して上方で前記軸方向Daと平行に延びるビーム111と、前記軸方向Daに間隔をあけて一対が配置され、前記ビーム111に接続され、前記支持リング71に対して着脱可能とされたリング支持部113と、前記軸方向Daに間隔をあけて一対が配置され、前記ビーム111に接続され、前記リング支持部113とは前記軸方向Daで異なる位置で前記ロータ本体21に対して着脱可能とされ、前記ロータ本体21を下方からそれぞれ支持するロータ支持部115と、前記ビーム111に対する前記ロータ支持部115の上下方向における位置を調整可能とされている上下位置調整部117と、を備える。
【0101】
また、シール部材72としては、ドライガスシール、ラビリンスシールが挙げられる。上下位置調整部117としては、ターンバックルが挙げられる。
【0102】
このロータ吊り具110では、リング支持部113で支持リング71を支持した状態で、ロータ支持部115の上下方向Dvの位置をロータ本体21に合わせて調整することができる。これにより、ロータ吊り具110は、リング支持部113とロータ支持部115とを、支持リング71とロータ本体21とに芯合わせした状態で、ロータ2を支持することができる。このようなロータ吊り具110を用いることで、ロータ本体21だけでなく、支持リング71及びシール部材72をロータ本体21に装着したまま、ロータ2を吊り上げることができる。したがって、ロータ2の取り外し、交換等の作業に要する手間を抑え、メンテナンス作業の効率化、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0103】
(2)第2の態様に係るロータ吊り具110は、(1)のロータ吊り具110であって、前記軸方向Daに間隔をあけた複数個所に配置され、前記ビーム111から前記軸方向Daに直交する幅方向Dwの両側に延びるアーム112、をさらに備えていてもよい。
【0104】
これにより、ロータ2を支持したロータ吊り具110をロータ2に影響を与えることなくロータ支持台120で支持することができる。
【0105】
(3)第3の態様に係るロータ吊り具110は、(1)又は(2)のロータ吊り具110であって、一対の前記リング支持部113は、一対の前記ロータ支持部115に対し、前記軸方向Daにおける前記ロータ本体21の中央部にそれぞれ近い位置に配置されていてもよい。
【0106】
これにより、軸方向Daにおいて、ロータ本体21を支持リング71の外側で支持することができる。下半車室42及び下半ダイヤフラム62に載った状態のロータ本体21には、支持リング71に対して軸方向Daの内側には、ロータ本体21を支持するようなスペースを確保することが難しい。ところが、ロータ本体21を支持リング71の外側で支持することで、下半車室42及び下半ダイヤフラム62に載った状態のロータ本体21を容易にロータ吊り具110に取り付けることができる。
【0107】
(4)第4の態様に係るロータ支持治具100は、(1)から(3)のいずれ一つのロータ吊り具110と、前記ロータ吊り具110に吊られた前記ロータ2を前記ロータ2の下方から支持するロータ支持台120と、を備え、前記ロータ支持台120は、前記ロータ本体21を下方から支持す一対の第一支持部122と、前記支持リング71を下方から支持する一対の第二支持部124と、を備え、前記第一支持部122及び前記第二支持部124の少なくとも一方は、前記上下方向Dvの高さ調整が可能とされている。
【0108】
これにより、ロータ支持台120は、ロータ吊り具110で吊り下げたロータ2を支持する。ロータ本体21は、第一支持部122によって下方から支持される。支持リング71は、第二支持部124によって下方から支持される。このようにして、ロータ支持台120は、ロータ2を、ロータ本体21と支持リング71とで支持する。ロータ支持台120は、第一支持部122、及び第二支持部124の上下方向Dvの高さを調整することで、ロータ本体21と支持リング71とを芯合わせした状態で、ロータ2を支持することができる。
【0109】
(5)第5の態様に係るロータ支持治具100は、(4)のロータ支持治具100であって、前記ロータ支持台120は、前記軸方向Daに直交する幅方向Dwにおいて、前記ロータ2から外れた位置に配置され、前記ロータ吊り具110を下方から支持する第三支持部126、をさらに備えてもよい。
【0110】
これにより、第三支持部126でロータ吊り具110を下方から支持した状態で、ロータ吊り具110に吊り下げられたロータ2をロータ支持台120で支持することができる。このようにして、ロータ支持台120は、ロータ2と、ロータ吊り具110とを一体的に支持することができる。
【0111】
(6)第6の態様に係るロータ2の吊り上げ方法は、(1)から(3)のいずれか一つのロータ吊り具110を用いたロータ2の吊り上げ方法であって、前記ロータ吊り具110を前記ロータ2の上方に配置し、前記ロータ2の上方に前記ロータ吊り具110を配置後に、一対の前記リング支持部113を、一対の前記支持リング71にそれぞれ固定し、前記リング支持部113と前記支持リング71とを固定後に、一対の前記ロータ支持部115で、前記ロータ本体21を下方から支持し、前記ロータ支持部115で支持された前記ロータ本体21の中心線の上下方向の位置を、前記シール部材72の中心線の上下方向の位置に合わせるように、前記上下位置調整部117によって前記ロータ支持部115の上下方向Dvにおける位置を調整し、前記ロータ支持部115の上下方向Dvにおける位置が調整された前記ロータ吊り具110を上方に吊り上げる。
【0112】
これにより、ロータ吊り具110によって、リング支持部113とロータ支持部115とを、ロータ2の支持リング71とロータ本体21との中心軸の位置が合わされた状態で、回転機械1から離れた場所にロータ2を移動することができる。したがって、支持リング71及びシール部材72をロータ本体21に装着したまま、ロータ吊り具110によって、ロータ2を吊り上げることができる。すなわち、ロータ2を吊り上げる前に、ロータ本体21からシール部材72を取り外す必要が無い。その結果、ロータ2の取り外し、交換等の作業に要する手間を抑え、メンテナンス作業の効率化、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0113】
(7)第7の態様に係る回転機械1の分解方法は、下半車室42と前記下半車室42の上方に設けられた上半車室41とを備える車室4、及び前記車室4内に軸線Ar周りに回転可能に設けられたロータ2を備える回転機械1を(1)から(3)の何れか一つのロータ吊り具を用いて分解する回転機械の分解方法であって、前記上半車室41を取り外し、前記下半車室42上の前記ロータ2の上半を露出させ、前記ロータ吊り具110を上半が露出した前記ロータ2の上方に配置し、前記ロータ2の上方に前記ロータ吊り具110を配置後に、一対の前記リング支持部113を、一対の前記支持リング71にそれぞれ固定し、前記リング支持部113と前記支持リング71とを固定後に、一対の前記ロータ支持部115で、前記ロータ本体21を下方から支持し、前記ロータ支持部115で支持された前記ロータ本体21の中心線の上下方向の位置を、前記シール部材72の中心線の上下方向の位置に合わせるように、前記上下位置調整部117によって前記ロータ支持部115の上下方向Dvにおける位置を調整し、前記ロータ支持部115の上下方向Dvにおける位置が調整された前記ロータ吊り具110を上方に吊り上げ、前記ロータ2を前記下半車室42から取り外す。
【0114】
これにより、ロータ2を吊り上げる前に、ロータ本体21からシール部材72を取り外す必要が無い。その結果、ロータ2の取り外し、交換等の作業に要する手間を抑え、メンテナンス作業の効率化、回転機械1の稼働率の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0115】
1…回転機械
2…ロータ
4…車室
5…軸受部
7…シール部
7A…第一シール部
7B…第二シール部
21…ロータ本体
21a…第一端
21b…第二端
21c…中央部
21f…外周面
22…インペラ
41…上半車室
42…下半車室
47…吸込口
48…排出口
51…第一軸受部
52…第二軸受部
53A、53B…ジャーナル軸受
54…スラスト軸受
54a…軸受パッド
54b…スラストディスク
71…支持リング
71a…内周面
71f…リング表面
72…シール部材
81…カップリング部材
90…ダミーシール
100…ロータ支持治具
110…ロータ吊り具
111…ビーム
111h…取付孔
112…アーム
113…リング支持部
115…ロータ支持部
116…支持部本体
117…上下位置調整部
120…ロータ支持台
121…基台
122…第一支持部
124…第二支持部
126…第三支持部
200…外部シャフト
Ar…軸線
Da…軸方向
Dc…周方向
Dh…水平方向
Dp…長手方向
Dq…短手方向
Dr…径方向
Dv…上下方向
Dw…幅方向
F…設置面
図1
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