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▶ ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】骨切削用の案内装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/15 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61B17/15
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021044495
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2021146219
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/991,879
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517070626
【氏名又は名称】ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Nextremity Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ デナム
(72)【発明者】
【氏名】ライアン スクロッターバック
(72)【発明者】
【氏名】デアレン グランガー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0606900(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0199076(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079669(US,A1)
【文献】米国特許第05601565(US,A)
【文献】米国特許第05843085(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0060690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステム長手方向軸を有するステムと、
前記ステムより近位側にあり、かつ切削本体によって前記ステムに接続された固定用部分であって、骨に前記固定用部分を接続するためにワイヤを中に通して受承するように構成された固定用開口部を具備している、固定用部分と、
骨を切削するための鋸を受承するように構成された切削スロットを具備している前記切削本体と
を具備している足の骨の骨切削ガイドであって、
前記ステムは、前記ステムを第2の骨に接続するためのステムワイヤを中に通して受承するように構成されたステム固定用開口部を具備しており、
前記ステム固定用開口部は、前記ステムの前記長手方向軸に対して垂直ではない角度に位置合わせされたステム固定用開口部軸を有し、そして、
前記ステムは、細長い部分と、前記細長い部分の遠位側に位置する遠位側部分とを備え、前記遠位側部分が、前記ステム固定用開口部を具備する、前記骨切削ガイド
【請求項2】
前記スロットは前記ステム長手方向軸に対しておおよそ垂直に位置合わせされたスロット長手方向軸を有する、請求項1に記載の骨切削ガイド。
【請求項3】
前記スロットにおおよそ平行に位置合わせされかつ前記スロットより遠位側に位置している第2のスロット長手方向軸を有する第2のスロットをさらに具備している、請求項2に記載の骨切削ガイド。
【請求項4】
前記ステム固定用開口部及び前記固定用開口部は、前記ステム長手方向軸の近辺に位置合わせされている、請求項に記載の骨切削ガイド。
【請求項5】
前記固定用部分は、前記固定用部分が前記ワイヤの周りで回動するのを抑制するために、前記固定用部分を前記骨に接続するための第2の固定ワイヤを中に通して受承するように構成された第2の固定用開口部を具備している、請求項1に記載の骨切削ガイド。
【請求項6】
前記ステム長手方向軸は、前記切削本体の本体長手方向寸法に垂直であって前記本体長手方向寸法の中心に位置する中心軸と一直線上に並んでいる、請求項1に記載の骨切削ガイド。
【請求項7】
前記固定用開口部は、前記固定用部分を前記骨に接続するためのワイヤを受承するように構成された複数の調整開口部のうち第1の開口部を備え、前記複数の調整開口部は前記ステム長手方向軸と一直線上に並んだ調整軸に沿って互いに長手方向に間隔を置いて配置されていて、前記固定用部分が、ワイヤから外れることが可能でありかつ複数の開口部のうち第2の開口部にワイヤを受承することにより骨に接続可能であるようになっている、請求項1に記載の骨切削ガイド。
【請求項8】
前記複数の調整開口部の各開口部は、前記調整軸に沿って前記複数の調整開口部の他の開口部から互いに長手方向に間隔を置いて互いに等距離に配置されている、請求項に記載の骨切削ガイド。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/991,879号の優先権を主張し、この仮出願は参照により全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年9月16日に出願された米国仮特許出願第62/900,920号に基づく利益を主張する2020年9月16日に出願された米国特許出願第17/022,761号の関連出願であり、これらの仮出願及び特許出願はそれぞれ参照により全体が本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本出願は、骨を調整及び接合するための装置、デバイス、及び方法に関する。
[関連技術の説明]
【0004】
骨片の切削、修正及び移動を必要とする様々な手技が存在する。よって、2つの骨片を接合するための新たな案、例えば2つの骨片の間の屈曲角度の調整を可能にするシステム及び方法が、必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、第1の態様において、ステム長手方向軸を有するステムと、該ステムより近位側にあって切削本体によりステムに接続された固定用部分とを備えた、骨切削ガイドを提供する。固定用部分は、該固定用部分を骨に接続するためにワイヤを中に通して受承するように構成された、固定用開口部を備えている。切削本体は、骨を切削するための鋸を受承するように構成された切削スロットを備えている。
【0006】
本発明は、第2の態様において、骨の配列調整に使用するための方法であって、骨切削ガイドの第1の部分の第1の開口部の中に第1のワイヤを受承することにより、骨切削ガイドの第1の部分を第1の骨に取り付けるステップを含む方法を提供する。骨切削ガイドは第1の骨及び第2の骨に対して第1の配置状態に位置付けられ、第1の切削が骨切削ガイドのスロットを通して第1の骨について行われる。骨切削ガイドは第1の骨及び第2の骨に対して第2の配置状態に位置付けられ、第2の切削が第1の骨又は第2の骨について行われる。第1の骨が第2の骨に合わせて所望の最終的な配置状態に配列調整される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、本明細書中以下に記載の詳細な説明から、及び添付された本発明の好ましい実施形態の図面から、より十分に理解されるであろうが、詳細な説明及び図面は本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、単に説明及び理解のためのものである。
図1】本発明の態様による、足に係合されたポストドリルガイドを示す正面斜視図。
図2図1のポストドリルガイドの側面斜視図。
図3図1のポストドリルガイド及び足を示す平面図。
図4図1のポストドリルガイド及び足を、該ポストドリルガイドを通して足の中までKワイヤが受承された状態で示す斜視図。
図5】ポストドリルガイドが取り除かれた状態の、図4の足及びKワイヤを示す正面斜視図。
図6】Kワイヤ上に切削ガイドが受承された状態の、図5の足及びKワイヤを示す正面斜視図。
図7図6の切削ガイド及び足の一部分を示す平面図。
図8】第2のKワイヤが切削ガイドの遠位側の穴を通して受承された状態の、図7の足及び切削ガイドを示す正面斜視図。
図9】鋸刃が切削ガイドのスロット内に受承された状態の、図8の足に取り付けられた切削ガイドを示す正面斜視図。
図10図6の切削ガイドを示す上面斜視図。
図11図6の切削ガイドを示す平面図。
図12】切削ガイドが足の中足骨の望ましい配置状態に向かって回転された状態の、図6のKワイヤ上に受承された切削ガイドを示す正面斜視図。
図13図12の切削ガイド及び足を示す平面図。
図14】Kワイヤが切削ガイドの近位側の穴に受承され、かつ鋸刃が鋸ガイドの近位側のスロットに受承された状態の、図12の切削ガイド及び足を示す斜視図。
図15】鋸刃が取り除かれた状態の図14の切削ガイド及び足を示す上面斜視図。
図16】Kワイヤが近位側の穴から取り除かれた状態の、図15の切削ガイド及び足を示す斜視図。
図17】切削ガイドが取り除かれた状態の、図16の足を示す側面斜視図。
図18】切削ガイド及び鋸によって作出された隙間を示す、図17の足の平面図。
図19図18の一部分を示す拡大平面図。
図20】足の中足骨及び趾骨が望ましい配置状態へと動かされた状態の、図18の足を示す上面斜視図。
図21図20の足の側面図。
図22図1の足の平面図。
図23図22の足の側面図。
図24】足の中足骨及び趾骨の望ましい再配列調整の後の、図22の足を示す上面斜視図。
図25図24の足の側面図。
図26】本発明の態様による切削ガイドの例を示す斜視図。
図27】本発明の態様による切削ガイドの別の例を示す斜視図。
図28】本発明の態様によるさらに別の切削ガイドを示す斜視図。
図29】本発明の態様による図28の切削ガイドを示す斜視図。
図30図27の切削ガイドの平面図。
図31】第3のKワイヤが切削ガイドの中央の穴を通して受承された状態の、図8の切削ガイドの正面斜視図 図8の足及び切削ガイドの斜視図。
図32】上下が裏返された状態の図10の切削ガイドを示す平面図。
図33図32の切削ガイドの斜視図。
図34図1のポストドリルガイドの側面図。
図35図1のポストドリルガイドの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について、添付図面を参照しながら本発明の様々な例示の実施形態に関して以下に詳細に議論する。以降の詳細な説明において、数多くの具体的詳細が本発明の完全な理解のために示される。しかしながら、本発明がそれらの具体的詳細を伴わずに実行されうることは当業者には明白であろう。他の例では、周知の構造は本発明を不必要に不明瞭とするのを回避するため詳細には示されない。
【0009】
したがって、以下に記載される実装は全て、当業者が本開示の実施形態を作製又は使用することを可能にするように提供される例示の実装であり、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲を限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、「例示の」又は「例証の」という語は、「例、実例、又は例証としての役割を果たしている」ことを意味する。「例示の」又は「例証の」として本明細書中に記載されたいかなる実装も、必ずしも他の実装より好適又は有利であると解釈すべきではない。さらに、本項の説明において、用語「上方」、「下方」、「左」、「後」、「右」、「前」、「垂直」、「水平」、及びこれらの派生語は、図1の方向に置かれた本発明に関するものとする。
【0010】
以下の説明は、足又は下肢に関する整形外科手術用の切削工具のためのシステム、方法及び装置について言及する。しかしながら、当業者は、筋骨格系の他の体肢、関節、及び部分も前述のシステム、方法及び装置と共に使用するのに適していることを認識するであろう。同様に、様々な図面、ステップ、手順、及び作業の流れは単に例として示されており、記載されたシステム、方法又は装置が異なる時間枠又は順序でそれぞれの役割を果たすか又は結果を出すことを全く制限するものではない。本発明の教示は、手及びその他の上下肢に対するものなど任意の整形外科手術に適用可能であり、かつ同様の解剖学的な考慮事項を有する他の治療部位においても実践可能である。
【0011】
更に、先述の技術分野、背景、概要、又は以降の詳細な説明において示されるどのような明示又は黙示の理論によっても拘束される意図はない。さらに、添付図面において例証され、かつ以降の明細書中に記載される具体的なデバイス及び方法は、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の概念の例示の実施形態にすぎないということが理解されるべきである。従って、本明細書中に開示された実施形態に関する具体的な寸法及びその他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に別段の定めがないかぎり、限定と見なされるべきではない。
【0012】
下記に記載されるように、本発明は、ヒトの足の変形を矯正するためのシステム及び方法を含んでいる。
【0013】
図1~4及び34~35に示されるように、ポストドリルガイド2000は、該ガイドのヘラ状部2100が足10の内側楔状骨20と第1中足骨30との間の関節窩に位置付けられるように、足10に(すなわち適切な外科的な準備の後に)係合させることができる。ガイド2000はさらに、該ガイドの上側から足10に隣接した底側に向かってKワイヤ2400(例えば2mmのKワイヤ)を中に通して受承するための穴部2300も備えている。ドリルガイド2000は握り部分2010を備えてもよく、かつヘラ状部2100は、ドリルガイド2000の底側2035の長手方向寸法に関して、ガイド2000の長手方向中心2015から長手方向にずれた位置にあってよい。空洞2020は、握り部分2010の内表面によって囲まれていてよい。
【0014】
図3に示されるように、ドリルガイド2000の底側2035の長手方向寸法は、第1中足骨30の長手方向軸32と一直線上にあってもよいし、又はほぼ平行であってもよい。例えば、Kワイヤ2400は、Kワイヤが足根中足(TMT)関節33に平行でありかつ内側楔状骨20の長軸の中央にあるかどうかを判断するためKワイヤの角度を観察することが可能となるように、ポストドリルガイド2000の穴部2300に緩く入れることができる。例えば、Kワイヤは一般に、足背外側から足底内側へと設けられてよい。Kワイヤはそのような位置合わせが可能となるように調整可能であり、その結果Kワイヤは、図4に示されるようにポストドリルガイド2000の穴部2300を通って足10の中へと挿入されることが可能である。Kワイヤを設けることにより、記載のように、足10の変形を矯正する手技のための基準点が確立され、かつ2つの骨の間の初期平面が確立される。
【0015】
図5に示されるように、外科医はポストドリルガイド2000を取り除いてKワイヤ2400を骨(すなわち足10)に残すことができる。切削ガイド600を、Kワイヤ2400の上から、該Kワイヤを受承して切削ガイド600を垂直に通って伸びる固定用穴610(図10)を介して、設けることができる。図6~7に示されるように、切削ガイド600のステム630は、切削ガイドの切削本体640に接続され、かつ第1中足骨の30の軸32と一直線上にあるか又は軸32と平行に伸びる長手方向の寸法又は軸632を有する。
【0016】
切削ガイド600は、切削ガイド600に取り付けられた骨(例えば楔状骨20)又はそのような切削ガイドに連結された骨(例えば第1中足骨30)の切削を可能にするように、鋸刃(例えば鋸170)を受承するための複数のスロット650(例えば4つ)を備えることができる。スロット650は、切削ガイド600のステム630の長手方向寸法に対しておおよそ又は少なくとも近似的に垂直な、長手方向寸法を有することができる。
【0017】
近位側固定用部分602はステム630から離れるように近位側へ延在してもよく、かつステム630の長手方向軸632と一直線上にある長手方向軸601を有することができる。例えば、固定用部分602は、図7~8に示されるように該固定用部分の上側から足10に向かって該固定用部分を垂直に通り抜けて伸びる固定用穴610を囲んでいる内部表面を備えかつ有することができる。
【0018】
図7~10に示されるように、Kワイヤ2400に類似したKワイヤ2405(例えば2mmのKワイヤ)がステム630の遠位側係止穴660を通して骨(すなわち足10)の中へと挿入されて切削ガイドを適所に留め、中足骨の近位側端部31が楔状骨20に対して動かなくなるようになっていてもよい。遠位側係止穴660は、図9~10に示されるようにステム630の長手方向寸法に対して垂直ではない角度に位置合わせ可能である。例えば、係止穴660に受承されたKワイヤの上端部は同ワイヤの下端部よりもさらに遠位側に位置付けられて、該上部がKワイヤ2400及び/又は固定用部分602から離れるように角度をなして切削ガイド600を第1中足骨30に対して確実に締結するようになっていてもよい。遠位側係止穴660のそのような位置合わせ、及びその穴を通してKワイヤ2405を垂直より大きいか又は小さい角度で骨の中に(例えば第1中足骨30の中に)挿入することにより、Kワイヤ2405に対して軸632に関する長手方向に摩擦力をかけて、垂直又は近似的に垂直な係止穴に比べて移動をさらに抑制してKワイヤ2405及びステム630を骨に固定することが可能となる。別の例では、そのような垂直又は近似的に垂直な係止穴が遠位側係止穴660の代わりに利用されてもよい。
【0019】
上述のように、係止穴660の軸は、ステム630の長手方向寸法に対して垂直より大きいか又は小さい角度をなして位置合わせされるとよい。さらに、追加の係止穴670が切削ガイド600の近位側端部665又はステム630の遠位側端部675に位置付けられて、係止穴660に関して上述したようにして切削ガイド600を特定の配置状態に固定することもできる。そのような追加の係止穴はステム630の軸に対して様々な角度に方向を合わせることができる。例えば、Kワイヤの上端部が、同ワイヤの下部から離れるように角度をなして係止穴670のうち遠位側係止穴674に受承されて、上端部が下部よりも近位側に(すなわち、係止穴660に関して説明された位置合わせとは反対に)あるようになされてもよく、これにより図10に示されるようにKワイヤに取り付けられた骨(すなわち足10)に対する切削ガイド600の移動を抑制することができる。さらに、図10に示されるように、ステム630は、切削ガイド600と骨部分(すなわち楔状骨20及び第1中足骨30)との間の動きをさらに抑制するために、Kワイヤ2403を中に通して受承するように構成された(例えば、形状及び寸法が定められた)ステム係止穴615を備えていてもよい。
【0020】
例えば図10に示されるように、ステム630と固定用部分602との間の切削本体640にスロット650が形成されてもよい。スロット650には、例えば、内側楔状骨20及び/又は第1中足骨30の一部分の切削及び除去を可能にするため鋸を受承するように構成された(例えば、形状及び寸法が定められた)、第1の近位側スロット652、第2の近位側スロット654、第1の遠位側スロット656及び第2の遠位側スロット658が含まれうる。
【0021】
切削ガイド600は、穴610に受承されていて穴610を通って伸びかつ骨の中に挿入されることが可能となっているKワイヤ(例えばKワイヤ2400)によって、骨(例えば楔状骨20)に取り付け可能である。切削ガイド600は、スロット650を介した鋸(例えば鋸170)を用いる複数回の切削の間、骨(例えば楔状骨20)に取り付けられた状態を維持することができる。図9に示されるように、例えば、Kワイヤ(例えばKワイヤ2400)が開口部又は固定用穴610に受承されている間に、切削を骨(例えば第1中足骨の30)について、その骨から一部分(例えば、軸32に関して平行な方向に1.5mm)を取り除くためにスロット650のうち第1の遠位側スロット656を通して、又はその骨からより大きな一部分(例えば3.0mm)を取り除くためにスロット650のうち第2の遠位側スロット658を通して、行うことができる。さらなる例では、Kワイヤ(例えばKワイヤ2400)が開口部又は穴610に受承されている間に、切削を骨(例えば楔状骨20)について、その骨から一部分(例えば、軸32に関して平行な方向に1.5mm)を取り除くためにスロット650のうち第1の近位側スロット652を通して、又はその骨からより大きな一部分(例えば3.0mm)を取り除くためにスロット650のうち第2の近位側スロット654を通して、行うことができる。
【0022】
さらに、一例において、切削ガイド600は、穴610に受承されたKワイヤ2400によって切削ガイドの近位側端部(すなわち端部665)においてピン留めのように固定可能であり、かつKワイヤ2400の周りで回動可能であって、切削ガイド600を様々な向きに位置付けて様々な形状を有する骨部分を提供し、その骨部分が中足骨(例えば第1中足骨30)と楔状骨(例えば楔状骨20)との間の場所から取り除かれて所望の隙間又は空隙を提供し、骨(例えば楔状骨20及び第1中足骨30)の所望の再配列調整を容易にすることが可能であってもよい。切削ガイド600は、足の他の部分又は身体の他の部分についても同様の方式で使用可能である。例えば、スロット650のうち1又は複数を、骨部分(例えば楔状骨20及び第1中足骨30)を最も良好に配列調整するのに望ましいように骨(例えば足10の骨)の一部を除去するために、様々な角度で様々な切削を行うため上記のように利用することができる。
【0023】
図10~11は、本体640及び/又はスロット650の長手方向寸法におおよそ又は近似的に垂直に位置合わせされた内側‐外側方向の中心軸に対して、横方向又は内側‐外側方向に(すなわち図11では下から上に)位置がずれているステム(例えばステム630)及び固定用部分(例えば固定用部分602)を有する、切削ガイド600を示す。
【0024】
図12に示されるように、Kワイヤ2405が足10及び切削ガイド600から取り除かれて、切削ガイド600がKワイヤ2400によってのみ足10に接続されるようになされてもよい。切削ガイド600は、ステム630の長手方向軸632が第1基節骨35に対する第1中足骨30の所望の軸と一直線上になるように、Kワイヤ2400の周りで回動可能である。図13に示されるように、ステム630の長手方向軸632は、長手方向軸632が第2中足骨36の長手方向軸34に対して所望の配置状態(例えば、平行、特定の程度に傾斜、又はその他)となるように位置合わせすることも可能である。例えば、長手方向軸632は、切削が第1中足骨30の所望の軸に対して垂直に(例えば、鋸170及びスロット650のうちの1つを使用して)行われることが可能なように、第2中足骨36の長手方向軸34と平行に位置合わせされてもよい。スロット650のうちの別のスロットは、(例えば、内側楔状骨20の遠位側部分21から(図12~15))切除される骨の量を変更する(例えば増加又は減少させる)ために利用可能である。例えば、鋸(例えば鋸170)は、楔状骨(例えば内側楔状骨20)からそのような遠位側部分を切削するために利用されてもよい。
【0025】
第2中足骨36の軸34に対するステム630(例えば該ステムの軸632)の所望の角度が(例えばそのような角度について検討している外科医により)決定され、かつ取り除かれる楔状骨(例えば内側楔状骨20)の量が決定され、かつ軸632が所望の通りに軸34に対して位置合わせされた後に、Kワイヤ2410がガイド600を所望の配置状態に固定するために近位側係止穴625を通して挿入されるとよい。係止穴625は、図10及び14に示されるようにステム630の長手方向寸法に対して垂直ではない角度に位置合わせされた軸を有することができる。例えば、係止穴625に受承されたKワイヤ2410の上端部は、同ワイヤの下端部よりも切削ガイド600の対向端部の遠位側係止穴660からより遠くに位置付けられて、該上部が近位側に傾斜して切削ガイド600を第1中足骨30に対して確実に締結するようになっていてもよい。切削ガイド600が足10に取り付けられた後、鋸(例えば鋸170)が図14に示されるように切削ガイド600の第2の近位側スロット654を介して楔状骨(例えば内側楔状骨20)を切削するために利用されてもよい。
【0026】
鋸刃170は図15に示されるように切削ガイド600から取り除くことが可能であり、かつKワイヤ(例えばKワイヤ2410)は、図16に示されるように切削ガイドから(例えば近位側係止穴125から)取り除くことが可能である。切削ガイド600は、図17に示されるようにKワイヤ(例えばKワイヤ2400)を残して取り除くことが可能である。
【0027】
上述のようにして第1中足骨(すなわち第1中足骨30)を整え、すなわち第1中足骨の一部を切除し、かつ上述のようにして楔状骨(すなわち楔状骨20)を所望の角度で切削した後、この切削によって作り出された骨(例えば足10の骨部分)の間の空間又は隙間40(図18及び19)により、2つの切断面(すなわち楔状骨の遠位側表面及び中足骨の近位側表面)が図20~21のように整列するように中足骨を適所(すなわち隙間40が存在するために生じた場所)へと動かすことが可能となる。図18の一部分の拡大である図19は、動かされる前の、隙間40を含めた足10の配置構成を示す。さらに、図22~23は上述の矯正の前の足10を示し、図24及び25はそのような矯正の後の足10を示す。
【0028】
図32~33は、上側と底側を逆にした切削ガイド600の裏面を示し、該切削ガイドは、ステム630及びステム延長部分612によって囲まれた穴610が、ステム630の軸に対して切削ガイド600の横方向寸法の中央から左側に位置がずれているのではなく右側に位置がずれている以外は、切削ガイド600と同一に見えるようになっている。さらに、ここで穴670のうち第2の遠位側係止穴674は傾斜した軸を有して、その上端部がその下端部よりもステム延長部分612からより遠くにあるようになっていてもよい。第2の穴611が、切削ガイド600を骨(例えば足10)に取り付けるためKワイヤを受承するように、穴610の代わりに、又は穴610に加えて、利用されることも可能である。例えば、穴610及び第2の穴611が互いに反対の近位側及び遠位側に向いた軸を有して、その穴に受承されたKワイヤが、固定用部分602及び/又は第2の遠位側係止穴674に対して互いに反対の遠位側及び近位側に位置した上端部及び下端部を備えるようになっていてもよい。
【0029】
一例では、切削ガイド300が図26に示されている。切削ガイド600とは異なり、切削ガイド300は、切削ガイド300の固定用部分335を通って垂直に伸び、かつKワイヤ(例えばKワイヤ2400)を受承するように構成された、複数の調整穴320を備えることができる。切削ガイド300は、調整穴320のうち中央の開口部又は穴310を介してKワイヤ2400の上から設置可能である。切削ガイド300のステム330は、ステム330の長手方向寸法におおよそ又は近似的に垂直に伸びる長手方向寸法を有する第1の近位側切削スロット345及び第2の遠位側切削スロット350を有する切削本体340に、接続されている。
【0030】
切削ガイド300は、切削ガイド600と同様に骨(例えば足10)に対して、切削ガイドの長手方向寸法又は軸が第1中足骨30の軸32と一直線上に並ぶか又は平行に伸びるように位置付けられることが可能である。
【0031】
ステム330及び固定用部分335は、本体340の内側‐外側方向に真中の部分から伸びて、該切削ガイドがステム330に関して軸方向に対称になっており、かつ左右どちらでも使える設計として利用可能であるようになっていてもよい。より具体的には、ステム330及び固定用部分335の対称な特質により、切削ガイド300が裏返されてもステム330の長手方向軸は変わらず中央に位置し、切削ガイド300の中心軸に対して、かつ切削ガイド300のスロット(スロット345及びスロット350)の長手方向寸法におおよそ垂直に、位置合わせされることが可能となる。
【0032】
図27に示されるように、切削ガイド100はステム130及び固定用部分200を備え、該ステム130及び固定用部分200はステム330及び固定用部分335と同様に互いに一直線上に並んでおり、かつ切削ガイドの中心軸からは位置がずれていて、相異なる右型及び左型の切削ガイドが利用可能であるようになっている。例えば、ステム130及び固定用部分200は切削ガイド100の長手方向軸の左に位置がずれており、相補型の切削ガイド(図示せず)は前記の長手方向軸の右に位置がずれることになろう。図28~29に示された別の例において、切削ガイド500は、左型の切削ガイドが上側にあり右型の切削ガイドが下側にあって所望の切削に応じて切削ガイドを一方の側から他方の側へと裏返すことが可能となっている、対称な左右どちらでも使える設計を備えている。さらに、切削ガイド500は単一のスロット540を備えていてもよく、かつ切削ガイドは、長手方向の様々な位置で切削を行うことが可能であるように切削ガイド500及びスロット540を長手方向に位置付けるため、Kワイヤ2400が様々な調整穴520の中に入るように動かすことが可能である。
【0033】
上述のように、切削ガイド(例えば切削ガイド100、切削ガイド300及び切削ガイド500)は、中足骨、趾骨、楔状骨又は足の他の部分の切削、印付け及び配列調整が可能となるように、切削ガイドを所望の位置(例えば、中足骨の軸又は再配列された中足骨の所望の軸に沿った長手方向の位置)に一時的に位置付けるか又は固定することを可能にするKワイヤ(又はそ他の取り付け部材)を受承するための、いくつかの調整穴(例えば穴320)を備えることができる。例えば、上述のドリル穿孔ガイド(例えばガイド2000)及び切削ガイド(例えば切削ガイド100、切削ガイド300、切削ガイド500及び切削ガイド600)は、ラピダス法を実施するために利用可能である。切削ガイドの他の例(例えば切削ガイド600)では、単一の固定用穴(例えば固定用穴610)を利用して骨(例えば足10)に対して切削ガイドを保持することが可能であり、かつ複数のスロット(例えばスロット650)を利用して、骨部分(例えば楔状骨20及び第1中足骨30)の整復を可能にする空隙又は隙間(例えば隙間40)を提供するために様々な切削量かつ様々な角度で骨の一部を切削して骨の一部を取り除くことが可能である。
【0034】
上述のように、切削ガイド(例えば切削ガイド100、切削ガイド300、切削ガイド500、切削ガイド600)は、骨(例えば中足骨)及び/又は隣接する骨が切削された後で最終的な配置状態(例えば楔状骨、趾骨及び/又は足の残りの部分に対する配置状態)へと動かされる予定の骨の所望の最終的な配列状態に位置を合わせることが可能な、ステム部分(例えばステム130、ステム330、ステム530、ステム630)を備えることができる。切削ガイドは、そのような所望の最終的な配列状態に位置合わせされてKワイヤにより足に固定され、該切削ガイドのスロットを利用してそのような所望の最終的な配列状態の達成を可能にする骨の切削を(例えば所望の最終的な配列状態に対して垂直に)行うことが可能となっていてもよい。スロット(例えば切削ガイド100のスロット145、スロット150、切削ガイド600のスロット650)は、切削ガイドの軸(例えば軸132)にほぼ垂直な長手方向寸法を備えて整列していてもよいし、又はそのようなスロットは、特定の矯正法(例えばラピダス法)のために実施される予定の切削に関して望ましいように、軸に対して及び/又は互いに対して他の所望の角度で整列していてもよい。
【0035】
本発明について少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、本発明は、本開示の思想及び範囲の範囲内でさらに改変されることが可能である。したがって本願は、本発明の一般的原則を使用する本発明のあらゆる変形物、使用法、又は適応物を対象とするように意図されている。さらに本願は、本発明が属する分野における既知又は通常の実務に入るような、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内にあるような、本開示からの発展物を対象とするように意図されている。
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