IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アフラック生命保険株式会社の特許一覧 ▶ ゼネラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図1
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図2
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図3
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図4
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図5
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図6
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図7
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図8
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図9
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図10
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図11
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図12
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図13
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図14
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図15
  • 特許-ミラー型表示装置及び情報提供システム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ミラー型表示装置及び情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240314BHJP
   A47G 1/00 20060101ALI20240314BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240314BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240314BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20240314BHJP
【FI】
G06Q30/0251
A47G1/00 J
G06F3/01 510
G06F3/0481
G06Q40/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021069783
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164348
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2021-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】518112996
【氏名又は名称】アフラック生命保険株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521165747
【氏名又は名称】ゼネラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】二見 通
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正則
(72)【発明者】
【氏名】金井 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】相馬 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】橋口 健一
(72)【発明者】
【氏名】永山 美紀
(72)【発明者】
【氏名】高垣 遼資
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】松田 直也
【審判官】古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0253840(US,A1)
【文献】特開2019-40466(JP,A)
【文献】特開2019-124987(JP,A)
【文献】特開2007-26147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と、通信ネットワークを介して前記サーバ装置と相互通信可能なミラー型表示装置とを備えた情報提供システムであって、
前記ミラー型表示装置は、
当該ミラー型表示装置の背面側から正面側へ表示画像の光を出力する画像出力部と、前記画像出力部から出力された光を透過させて前記表示画像を表示すると同時に、外部空間内の前記正面側に位置するユーザから入射した光を反射させて当該ユーザの鏡像を映し出すミラー部とを有するミラー型ディスプレイと、
前記ユーザの画像情報を含むセンサ情報を検出する少なくとも1つのセンサと、
前記サーバ装置とデータの送受信を行う通信インタフェースと、
前記通信インタフェースを介して前記センサ情報と前記ユーザにより選択された保険プランとを前記サーバ装置に送信するように構成されたプロセッサと
を備え、
前記サーバ装置は、
当該送信されたセンサ情報に含まれる当該画像情報に基づいて、人の画像情報と人の属性との間の関係を規定する学習済みモデルを用いて前記ユーザの属性を推定し、
多種多様な保険プランに関連する情報が格納されたデータベースを参照して、当該ユーザにより選択された保険プラン及び当該推定された属性を示すユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報を生成し、
前記ユーザ属性情報及び前記保険シミュレーション情報を前記通信インタフェースに送信する
ように構成されており、
前記プロセッサは、前記通信インタフェースで受信された当該ユーザ属性情報及び当該保険シミュレーション情報のうち少なくとも前記保険シミュレーション情報を前記表示画像として前記ミラー型ディスプレイに表示させるように構成されている、
ことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供システムであって、前記ユーザ属性情報は、少なくとも、前記ユーザの推定された年齢及び性別を含むことを特徴とする情報提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報提供システムであって、前記画像情報は、前記少なくとも1つのセンサで検出された2次元画像及び深度画像のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の情報提供システムであって、
前記プロセッサは、
前記保険シミュレーション情報を表示するための保険シミュレーションと、保険に直接関連しない画像コンテンツを表示するための非保険コンテンツ処理とのいずれかを選択する入力を前記ユーザに促すメニュー画像を前記ミラー型ディスプレイに表示させ、
前記保険シミュレーションを選択する入力があったときは、前記センサ情報を前記サーバ装置に送信するとともに前記保険シミュレーション情報を前記ミラー型ディスプレイに表示させ、
前記非保険コンテンツ処理を選択する入力があったときは、非保険コンテンツを前記ミラー型ディスプレイに表示させる
ように構成されていることを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提供システムであって、
前記ユーザによる入力を受け付けるユーザインタフェースをさらに備え、
前記ミラー型ディスプレイは、前記ミラー部の表面におけるユーザによるタッチ位置を感知するタッチパネル機能をさらに有し、
前記ユーザインタフェースは、当該感知されたタッチ位置を当該入力として受け付けるタッチ操作検出部を含むことを特徴とする情報提供システム。
【請求項6】
請求項4に記載の情報提供システムであって、
前記ユーザによる入力を受け付けるユーザインタフェースをさらに備え、
前記ユーザインタフェースは、前記少なくとも1つのセンサで検出された深度画像に基づいて前記ユーザの特定部位のジェスチャを検出するジェスチャ検出部を含むことを特徴とする情報提供システム。
【請求項7】
請求項4に記載の情報提供システムであって、
前記ユーザによる入力を受け付けるユーザインタフェースと、
前記外部空間から到来した音響信号を検出して電気信号を出力するマイクロフォンと
をさらに備え、
前記ユーザインタフェースは、前記電気信号に音声認識処理を施して音声入力情報を生成する音声認識部を含むことを特徴とする情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鏡の機能とディスプレイ機能とを併せもつミラー型表示装置及びこれを用いた情報提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの容姿などの物体の光学像を映し出すミラー(鏡)の機能と、天気予報情報や報道情報などの電子情報の映像を表示するディスプレイ機能とを併せもつスマートミラーと呼ばれるミラー型表示装置が普及している。通常、スマートミラーは、ディスプレイ機能が動作しないとき(映像非表示時)はミラーとしてのみ機能し、ディスプレイ機能が動作するとき(映像表示時)は、ミラーとして機能すると同時にディスプレイとしても機能し得る。このようなスマートミラーは、たとえば、特許文献1(国際公開第2018/004615号公報)に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているスマートミラーは、ディスプレイと、当該ディスプレイに映像を表示させるコントローラと、当該ディスプレイの前面に配置されたハーフミラーと、当該スマートミラーを使用するユーザの生体情報を検知し得る複数のセンサと、ユーザインタフェース(UI)部とを備えている。このスマートミラーでは、ハーフミラーは、前方の物体から入射した光の一部を反射させてその物体の像を映し出し、後方のディスプレイから入射した映像の光を透過させるように機能する。またコントローラは、センサで検知された生体情報からユーザの焦点距離を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/004615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したようなミラー型表示装置は、理美容分野などの様々な分野において使用されているが、保険商品に関する画像コンテンツを提示するミラー型表示装置は提供されていなかった。保険会社は、多種多様な保険商品を提供しているところ、一般的な顧客がそのような多種多様な保険商品の中から自らに適した保険商品を選択することは必ずしも容易なことではない。
【0006】
上記に鑑みて本開示の目的は、個々のユーザに適した保険商品に関する情報を提示することを可能とするミラー型表示装置及びこれを用いた情報提供システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様によるミラー型表示装置は、表示画像の光を出力する画像出力部と、前記画像出力部から出力された光を透過させ、外部空間内の物体から入射した光を反射させて当該物体の鏡像を形成するミラー部とを有するミラー型ディスプレイと、前記外部空間における前記ミラー部と対向する位置に存在するユーザの画像情報を含むセンサ情報を検出する少なくとも1つのセンサと、外部のサーバ装置とデータの送受信を行う通信インタフェースと、前記通信インタフェースを介して前記センサ情報を前記サーバ装置に送信するように構成されたプロセッサとを備え、前記サーバ装置は、当該送信されたセンサ情報に基づいて前記ユーザの属性を推定し、当該推定された属性を示すユーザ属性情報を前記通信インタフェースに送信し、前記プロセッサは、前記通信インタフェースで受信された当該ユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報を前記ミラー型ディスプレイに表示させるように構成されている。
【0008】
本開示の第2の態様による情報提供システムは、第1の態様によるミラー型表示装置と、サーバ装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示の第1及び第2の態様によれば、ミラー型表示装置のユーザは、ミラー型ディスプレイに映し出された自らの容姿や顔を視つつ、当該ユーザの属性(たとえば年齢や性別)に適合する保険シミュレーション情報を極めて簡便に短時間で得ることができる。このようなミラー型表示装置を利用することにより、ユーザは、多種多様な保険商品の中から、自らの属性に適した保険商品を探し出す労力を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】ミラー型表示装置の構成例を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】ミラー型ディスプレイの概略断面図である。
図4】ミラー型ディスプレイを有するミラー型表示装置の構成例を示す外観図である。
図5】ミラー型表示装置と連携して動作するサーバ装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図6】ミラー型表示装置のプロセッサによる処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
図7】ミラー型表示装置のプロセッサによる処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
図8】メニュー画像を例示する図である。
図9】メッセージ画像を例示する図である。
図10】確認・変更用画像を例示する図である。
図11】保険プラン選択用画像を例示する図である。
図12】保険シミュレーション情報を表示する画像を例示する図である。
図13】変更用画像を例示する図である。
図14】変更用画像を例示する図である。
図15】変更用画像を例示する図である。
図16】プロセッサ及びユーザインタフェースの機能を実現するハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照しつつ、本開示に係る種々の実施形態及びその変形例について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号が付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る情報提供システム1の概略構成を示すブロック図である。この情報提供システム1は、サーバ装置10と、このサーバ装置10と通信ネットワーク2を介して相互接続可能なミラー型表示装置20,20,…,20とを備えて構成されている。ここで、Nは、ミラー型表示装置20~20の台数を示す3以上の整数である。
【0013】
通信ネットワーク2としては、たとえば、インターネットなどの広域ネットワーク、またはローカルエリアネットワーク(LAN)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また図1の例では、ミラー型表示装置20~20の台数は3以上であるが、これに限定されるものではない。1台または2台のミラー型表示装置とサーバ装置10とで構成された情報提供システムの形態もあり得る。
【0014】
図2は、ミラー型表示装置20の構成例を概略的に示す機能ブロック図である(nは1~Nの範囲内の整数)。図2に示されるミラー型表示装置20は、ミラー型ディスプレイ30、プロセッサ40、ユーザインタフェース(UI)44、入出力インタフェース(入出力I/F)42、通信インタフェース(通信I/F)43、及び、光学センサ51,画像センサ52及び赤外線センサ53からなるセンサ群を備えて構成されている。ユーザインタフェース44は、ジェスチャ検出部44A,タッチ操作検出部44B及び音声認識部44Cを有する。
【0015】
入出力インタフェース42は、スピーカ55,マイクロフォン56及びセンサ群とユーザインタフェース44との間、及び、スピーカ55,マイクロフォン56及びセンサ群とユーザインタフェース44との間に配置されている。入出力インタフェース42は、マイクロフォン56,光学センサ51,画像センサ52及び赤外線センサ53のそれぞれの出力をプロセッサ40及びユーザインタフェース44に転送する機能を有し、プロセッサ40及びユーザインタフェース44から出力された電気信号をスピーカ55に転送する機能を有している。
【0016】
光学センサ51は、対象物との距離すなわち深度(Depth)に関する深度画像を生成してその深度画像情報DDを出力する深度センサ51Aと、対象物のRGB画像などの2次元画像を生成してその画像情報IDaを出力する画像センサ51Bとを有する。たとえば、深度センサ51Aは、公知のステレオカメラまたはToF(Time-of-Flight)センサにより実現可能である。深度画像情報DD及び画像情報IDaは、対象物のスケルトン(人物の姿勢や骨格)の動き推定(スケルトントラッキング)を行うために使用可能である。ジェスチャ検出部44Aは、深度画像情報DD及び画像情報IDaを用いて、対象となる人物の特定部位(たとえば、頭部、手、瞼または視線)のジェスチャを検出することができる。またプロセッサ40は、深度画像情報DD及び画像情報IDaを用いて、対象となる人物の姿勢をリアルタイムに推定することができる。
【0017】
画像センサ52は、対象物の2次元画像を生成してその画像情報IDbを出力する光学センサである。後述するようにプロセッサ40は、ミラー型表示装置20のユーザの属性(たとえば、人物の年齢や性別)を推定するために画像情報IDbを利用することができる。またプロセッサ40は、対象となる人物の血圧、呼吸数及び心拍数を検出するために画像情報IDbを利用することもできる。
【0018】
赤外線センサ53は、対象物から放射された赤外線波長領域の光を検出してその赤外線検出情報TDを出力する光学センサである。プロセッサ40は、赤外線検出情報TDを用いて、対象物の温度分布を推定することができる。
【0019】
マイクロフォン56は、音源から到来した音響信号を検出して電気信号DSを生成する。音声認識部44Cは、電気信号DSに音声認識処理を施してテキスト情報などの音声入力情報を生成することができる。スピーカ55は、プロセッサ40から供給された電気信号を音響信号に変換して当該音響信号を外部空間に放射する。
【0020】
次に、ミラー型ディスプレイ30は、プロセッサ40で生成されたデジタル表示画像ISを表す光を出力する画像出力部と、この画像出力部の前面(光出射面)に配置されたミラー部とで構成されている。画像出力部は、たとえば、液晶表示パネル(LCDパネル)または有機ELパネルにより実現可能であり、ミラー部は、たとえばハーフミラーにより実現可能である。図3は、ミラー型ディスプレイ30の概略断面図である。図3に示されるように、ミラー型ディスプレイ30は、デジタル表示画像ISを表す光DLを出力する画像出力部30Dと、背面から入射した光DLを透過させる一方で、外部空間内の物体から入射した光ILを反射させて当該物体の鏡像を形成するミラー部30Mとで構成されている。
【0021】
またミラー型ディスプレイ30は、ミラー部30Mの表面におけるユーザによるタッチ位置を感知するタッチパネル機能を有している。ユーザがミラー部30Mの表面をタッチすると、図2のタッチ操作検出部44Bは、そのタッチ位置をユーザによる操作入力として検出することができる。
【0022】
図4は、ミラー型ディスプレイ30を有するミラー型表示装置20の構成例を示す外観図である。図4は、ミラー型表示装置20を正面から視たときの図である。図4に示されるミラー型表示装置20は、当該ミラー型表示装置20の正面を向くように配置されたミラー部30Mと、ミラー型表示装置20の筐体30Cの上部ベゼルに取り付けられた画像センサ52と、筐体30Cの上端に取り付けられたセンサモジュール50とを備えている。センサモジュール50内には、画像センサ52以外のセンサ群を配置することができる。図4の例では、ミラー部30Mは、当該ミラー部30Mと対向する位置に存在するユーザの鏡像70Iを映し出すと同時に、デジタル表示画像ISを表す画像コンテンツ70Da,70Dbをユーザに向けて表示している。したがって、ユーザは、自らの容姿の状態を視認できると同時に、画像コンテンツ70Da,70Dbを視認できる。
【0023】
次に、図2に示されるプロセッサ40の構成について詳細に説明する。
【0024】
プロセッサ40は、センサ群で取得されたセンサ情報を用いて、ミラー型表示装置20のユーザの属性に適合する保険シミュレーション情報を取得してミラー型ディスプレイ30に表示するための保険シミュレーション処理を実行する機能と、センサ情報を用いて、保険とは直接関連しない画像コンテンツ(たとえば、広告画像、あるいはゲームもしくは占いに使用される画像)をミラー型ディスプレイ30に表示するための非保険コンテンツ処理を実行する機能とを有している。
【0025】
プロセッサ40は、サーバ装置10と連携して保険シミュレーション処理を実行する。具体的には、プロセッサ40は、ミラー型ディスプレイ30と対向する位置に存在するユーザの生体的特徴を表す画像情報を含むセンサ情報を取得し、そのセンサ情報を通信インタフェース43を介してサーバ装置10に送信する。ここで、センサ情報としては、たとえば、画像センサ52で取得された画像情報IDb(特に、顔画像情報)が利用できるが、これに限定されるものではない。深度画像情報DD及び画像情報IDaを利用することもできる。サーバ装置10は、ミラー型表示装置20から送信されたセンサ情報に基づいて当該ユーザの属性(たとえば、年齢や性別)を推定し、当該推定された属性を示すユーザ属性情報をミラー型表示装置20に送信することができる。また、サーバ装置10は、そのユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報をミラー型表示装置20に送信することもできる。ミラー型表示装置20は、通信インタフェース43で受信されたユーザ属性情報及び保険シミュレーション情報をミラー型ディスプレイ30に表示させる。これにより、ユーザは、自らの属性に適合する保険商品に関連する情報を極めて簡便に短時間で知ることができる。
【0026】
図5は、ミラー型表示装置20と連携して動作するサーバ装置10の構成例を概略的に示すブロック図である。図5に示されるようにサーバ装置10は、属性推定部12及び保険シミュレーション部13を含むプロセッサ11と、保険シミュレーションに使用されるデータベース14と、ミラー型表示装置20とデータの送受信を行う通信インタフェース(通信I/F)15とを備えている。
【0027】
属性推定部12は、ミラー型表示装置20から送信されたセンサ情報に基づいて、学習済みモデル12Mを用いてユーザの属性(たとえば年齢及び性別)を推定する。学習済みモデル12Mは、多種多様な人の画像情報と人の属性との間の関係を規定する数理モデルである。学習済みモデル12Mとしては、機械学習により生成されたニューラルネットワークモデルまたは統計的なモデルが使用されればよい。属性推定部12は、当該推定された属性を示すユーザ属性情報を通信インタフェース15を介してミラー型表示装置20に送信する。
【0028】
一方、保険シミュレーション部13は、多種多様な保険プランに関連する情報が格納されたデータベース14を参照して、属性推定部12で生成されたユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報を生成することができる。また、保険シミュレーション部13は、ミラー型表示装置20から送信され通信インタフェース15で受信されたユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報をデータベース14を参照して生成することもできる。保険シミュレーション部13は、そのような保険シミュレーション情報を通信インタフェース15を介してミラー型表示装置20に送信する。
【0029】
次に、図6及び図7を参照しつつ、ミラー型表示装置20の動作例について以下に説明する。図6及び図7は、ミラー型表示装置20のプロセッサ40による処理手順の例を概略的に示すフローチャートである。
【0030】
ユーザがミラー型ディスプレイ30と対向する近接領域に位置すると、プロセッサ40は、センサ情報に基づいて当該ユーザの存在を感知して図6の処理を開始することができる。ユーザの存在を感知すると、プロセッサ40は、保険シミュレーションと非保険コンテンツ処理とのいずれかを選択する入力をユーザに促すメニュー画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS11)。プロセッサ40は、ユーザによる入力があるまで待機する(ステップS12のNO)。ユーザは、自らの身体部位のジェスチャ、ミラー型ディスプレイ30へのタッチ、及び音声入力のうちのいずれかを行うことにより、保険シミュレーションと非保険コンテンツ処理とのいずれかを選択することができる。
【0031】
ユーザによる入力があったとき(ステップS12のYES)、保険シミュレーションが選択された場合には(ステップS13のYES)、プロセッサ40は保険シミュレーション処理を実行する(ステップS14)。一方、保険シミュレーションが選択されず(ステップS13のNO)、非保険コンテンツ処理が選択された場合には(ステップS15のYES)、プロセッサ40は非保険コンテンツ処理を実行する(ステップS16)。保険シミュレーションと非保険コンテンツ処理との双方が選択されない場合には(ステップS15のNO)、処理は終了し、保険シミュレーション処理(ステップS14)または非保険コンテンツ処理(ステップS16)の実行後、処理は終了する。
【0032】
図8は、メニュー画像D1を例示する図である。このメニュー画像D1は、「保険シミュレーション」を選択するための項目B11と、クイズや占いなどの「エンターテインメント」を選択するための項目B12と、「検温」を選択するための項目B13と、「体操チャレンジ」を選択するための項目B14とを含む。項目B99は、ミラー型表示装置20が設置されている店舗に店員がいる場合に、その店員を呼び出すための項目である。図8の例での非保険コンテンツ処理は、「エンターテインメント」、「検温」及び「体操チャレンジ」であるが、これらに限定されるものではない。プロセッサ40は、ジェスチャ検出部44Aで検出された特定のジェスチャ(たとえば、手のジェスチャ)、もしくはタッチ操作検出部44Bで検出されたタッチ位置を操作入力として検知し、この操作入力に応じて所望の項目を選択することができる。あるいは、プロセッサ40は、音声認識部44Cで認識された特定の発話パターンの音声入力に応じて所望の項目を選択してもよい。「検温」が選択された場合は、プロセッサ40は、赤外線検出情報TDを用いてユーザの体温を測定し、体温の測定値を示す画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる。「体操チャレンジ」が選択された場合は、スケルトントラッキングのアルゴリズムを使用してユーザの身体を動かせるゲーム画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる。
【0033】
図7は、保険シミュレーション処理(ステップS14)の例を概略的に示すフローチャートである。図7を参照すると、プロセッサ40は、ユーザによる保険シミュレーションの選択に応じて、ユーザの属性を推定中であることを示すメッセージ画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS21)。図9は、そのようなメッセージ画像D2を例示する図である。
【0034】
次いで、プロセッサ40は、ユーザの生体的特徴を表す画像情報を含むセンサ情報を取得し(ステップS22)、当該センサ情報を通信インタフェース43を介してサーバ装置10に送信する(ステップS23)。その後、プロセッサ40は、サーバ装置10からユーザ属性情報を受信すなわち取得するまで待機している(ステップS24のNO)。
【0035】
サーバ装置10からユーザ属性情報を取得すると(ステップS24のYES)、プロセッサ40は、取得されたユーザ属性情報をユーザを確認または変更するための確認・変更用画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS25)。図10は、確認・変更用画像D3を例示する図である。確認・変更用画像D3は、推定されたユーザ属性情報が「30歳」かつ「男性」であることを表示している。また確認・変更用画像D3は、ユーザ属性情報を変更せずに確定するための「確認」の項目B33と、ユーザ属性情報を変更するための「年齢変更」の項目B31及び「性別変更」の項目B32とを含む。ユーザは、ユーザ属性情報の変更を希望しない場合には、項目B33を選択し、ユーザ属性情報の変更を希望する場合には、項目B31,B32を選択することができる。
【0036】
プロセッサ40は、ユーザによるユーザ属性情報の確認または変更指示が生ずるまで待機している(ステップS26のNO及びステップS31のNO)。ユーザによる確認が得られた場合は(ステップS26のYES)、プロセッサ40は、保険プラン選択用画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS27)。その後、プロセッサ40は、ユーザが保険プランを選択するまで待機する(ステップS28のNO)。図11は、保険プラン選択用画像D4を例示する図である。この画像D4は、「保険プランX」を選択するための項目B41と、「保険プランY」を選択するための項目B42と、「保険プランZ」を選択するための項目B43と、「保険プランH」を選択するための項目B44とを含む。
【0037】
その後、ユーザが保険プランを選択したとき(ステップS28のYES)、プロセッサ40は、当該保険プラン及びユーザ属性情報に適合する保険シミュレーション情報をサーバ装置10に要求して当該保険シミュレーション情報を取得する(ステップS29)。そして、プロセッサ40は、当該保険シミュレーション情報をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS30)。図12は、保険シミュレーション情報を表示する画像D5を例示する図である。この画像D5は、保険プランの内容を表示する領域B50と、保険プランを選び直すために直前の画像D4に戻るための項目B51と、店員を呼び出すための項目B52と、保険プランの表示内容を下方へスクロールさせるための項目B53と、保険プランの表示内容を上方へスクロールさせるための項目B54とを含む。
【0038】
一方、ユーザによるユーザ属性情報の変更指示があったときは(ステップS31のYES)、プロセッサ40は、ユーザ属性情報を変更するための画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる(ステップS32)。図13図15は、そのような変更用画像D6,D7,D8を例示する図である。図13に示される年代変更用の画像D6は、0~20歳までの年代を選択するための項目B61と、21~40歳までの年代を選択するための項目B62と、41~60歳までの年代を選択するための項目B63と、61~85歳までの年代を選択するための項目B64とを含む。ユーザが図13のいずれかの年代の項目を選択すると、図14に示される年齢変更用の画像D7がミラー型ディスプレイ30に表示され得る。変更用画像D7は、ユーザによる選択を受けて年齢を段階的に下げるための項目B71と、ユーザによる選択を受けて年齢を段階的に上げるための項目B72と、年代を選び直すために直前の画像D6に戻るための項目B73と、年齢を確定するための確認用の項目B74とを含む。一方、図15に示される性別変更用の画像D8は、「男性」を選択するための項目B81と、「女性」を選択するための項目B82とを含む。
【0039】
プロセッサ40は、ユーザが変更用画像の表示に応じてユーザ属性情報を入力するまで待機している(ステップS33のNO)。ユーザがユーザ属性情報を入力すると(ステップS33のYES)、処理手順はステップS25に移行する。ステップS25では、プロセッサ40は、変更後のユーザ属性情報を確認または変更するための確認・変更用画像をミラー型ディスプレイ30に表示させる。その後、ステップS26が再度実行される。
【0040】
以上に説明したようにミラー型表示装置20のユーザは、ミラー型ディスプレイ30に映し出された自らの容姿や顔を視つつ、ユーザの属性(たとえば年齢や性別)に適合する保険シミュレーション情報を極めて簡便に短時間で得ることができる。よって、ミラー型表示装置20を利用することにより、ユーザは、多種多様な保険商品の中から、自らの属性に適した保険商品を探し出す労力を大幅に削減することができる。
【0041】
上記したミラー型表示装置20におけるプロセッサ40及びユーザインタフェース44の機能の全部または一部は、不揮発性メモリから読み出されたソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを実行する、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含む単数または複数のプロセッサで実現されてもよい。あるいは、プロセッサ40及びユーザインタフェース44の機能の全部または一部は、DSP(Digital Signal Processor),ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの半導体集積回路を有する単数または複数のプロセッサにより実現可能である。あるいは、DSP,ASICまたはFPGAなどの半導体集積回路と、CPUまたはGPUなどの演算装置との組み合わせを含む単数または複数のプロセッサによってプロセッサ40及びユーザインタフェース44の機能の全部または一部を実現することも可能である。
【0042】
図16は、プロセッサ40及びユーザインタフェース44の機能を実現するハードウェア構成例である信号処理装置90の構成を概略的に示すブロック図である。信号処理装置90は、デジタル信号処理を実行するプロセッサ91,ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)92,不揮発性メモリ93,大容量メモリ94,入出力インタフェース回路95,通信インタフェース回路96及び信号路97を含んで構成されている。信号路97は、プロセッサ91,RAM92,不揮発性メモリ93,大容量メモリ94,入出力インタフェース回路95及び通信インタフェース回路96を相互に接続するためのバスである。RAM92は、プロセッサ91がディジタル信号処理を実行する際に使用されるデータ記憶領域である。プロセッサ91がCPUなどの演算装置を内蔵する場合には、不揮発性メモリ93は、プロセッサ91により実行されるソフトウェアまたはファームウェアのプログラムコードを記憶するデータ記憶領域を有する。図16の入出力インタフェース回路95は図2の入出力インタフェース42に相当し、図16の通信インタフェース回路96は、図2の通信インタフェース43に相当する。
【0043】
以上、本開示に係る種々の実施形態及びその変形例について説明したが、上記の実施形態及びその変形例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。たとえば、ミラー型表示装置20は、店舗に設置したり壁面に取り付けられたりする大型の表示機器として構成されてもよいし、あるいは、タブレット端末などの可搬型の表示機器として構成されてもよい。
【0044】
また、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記実施形態の変更、追加及び改良を適宜行うことができることが理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて解釈されるべきであり、さらにその均等物を含むものと理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示に係るミラー型表示装置及び情報提供システムは、個々のユーザの属性に適した保険シミュレーション情報を提供することができるので、保険関連業務で利用することに適している。
【符号の説明】
【0046】
1:情報提供システム、2:通信ネットワーク、10:サーバ装置、11:プロセッサ、12:属性推定部、12M:学習済みモデル、13:保険シミュレーション部、14:データベース、15:通信インタフェース(通信I/F)、20,20,…,20:ミラー型表示装置、30:ミラー型ディスプレイ、30D:画像出力部、30M:ミラー部、30C:筐体、40:プロセッサ、42:入出力インタフェース(入出力I/F)、43:通信インタフェース(通信I/F)、44:ユーザインタフェース(UI)、44A:ジェスチャ検出部、44b:タッチ操作検出部、44c:音声認識部、50:センサモジュール、51:光学センサ、51A:深度センサ(デプスセンサ)、51B:画像センサ、52:画像センサ、53:赤外線センサ、55:スピーカ、56:マイクロフォン、90:信号処理装置、91:プロセッサ、92:RAM、93:不揮発性メモリ、94:大容量記録媒体(大容量メモリ)、95:入出力インタフェース回路、96:通信インタフェース回路、97:信号路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16