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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光学形状感知システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240314BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G01B11/24 D
G02B6/02 461
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021513817
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019074880
(87)【国際公開番号】W WO2020058272
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】18195663.2
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ファン ドュッショ‐テン アンナ ヘンドリカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘットホ‐フト ヘルト ウィム
(72)【発明者】
【氏名】ホリックス イェル‐ン ヤン ラムベルトス
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0297712(US,A1)
【文献】特表2015-517091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0195856(US,A1)
【文献】特表2016-534822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G02B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを有する光ファイバセンサであって、前記光ファイバが、前記光ファイバの長手方向中心軸から離間して配置された複数のファイバコアを内部に埋め込まれており、前記ファイバコアが、それぞれ、歪みなし状態で前記ファイバコアに導入された光に応答する共振波長を有する、光ファイバセンサと、
歪みなし状態の前記ファイバコアの前記共振波長を含むスキャン波長範囲の光で前記ファイバコアをインタロゲートするように構成された光学インタロゲーションユニットと、
を有する光学形状感知システムにおいて、
前記光学インタロゲーションユニットは、前記スキャン波長範囲の中心波長が前記ファイバコアのうちの少なくとも1つの共振波長に対して偏心されるように、前記スキャン波長範囲を設定するように構成され、
前記複数のファイバコアが、第1のファイバコア及び少なくとも1つの第2のファイバコアを有し、前記第1のファイバコアが、歪みなし状態で前記第1のファイバコアに導入された光に応答する第1の共振波長を有し、前記少なくとも1つの第2のファイバコアが、歪みなし状態で前記少なくとも1つの第2のファイバコアに導入された光に応答する第2の共振波長を有し、前記第1の共振波長が、前記第2の共振波長とは異なり、前記光学インタロゲーションユニットは、前記中心波長が前記第1の共振波長と前記第2の共振波長との間にあるように前記スキャン波長範囲を設定するように構成される、
光学形状感知システム。
【請求項2】
前記光学インタロゲーションユニットは、前記スキャン波長範囲の前記中心波長が、全てのファイバコアの共振波長に対して偏心されるように、前記スキャン波長範囲を設定するように構成される、請求項1に記載の光学形状感知システム。
【請求項3】
前記第1の共振波長は、互いに等しく、前記光学インタロゲーションユニットは、前記中心波長が、前記第1の共振波長と前記第2の共振波長との間の中間にあるように、前記スキャン波長範囲を設定するように構成される、請求項1に記載の光学形状感知システム。
【請求項4】
前記光学インタロゲーションユニットは、前記中心波長が、前記少なくとも1つのファイバコアの共振波長に対して、前記スキャン波長範囲の半分未満だけ偏心されるように、前記スキャン波長範囲を設定するように構成される、請求項1に記載の光学形状感知システム。
【請求項5】
前記ファイバコアは、互いに対して等距離で前記中心軸の周りに方位角方向に分布される、請求項1に記載の光学的形状感知システム。
【請求項6】
前記ファイバコアは、互いに対して非等距離で前記中心軸の周りに方位角方向に分布される、請求項1に記載の光学的形状感知システム。
【請求項7】
前記長手方向中心軸から離間して配置されたファイバコアの数が、5、6、又はそれ以上である、請求項1に記載の光学形状感知システム。
【請求項8】
前記光ファイバは、前記ファイバの前記中心軸上に配置された中心ファイバコアを更に有する、請求項1に記載の光学的形状感知システム。
【請求項9】
反射スペクトルを用いて前記ファイバセンサの形状を再構成するように構成された評価ユニットを更に有する、請求項1に記載の光学式形状感知システム。
【請求項10】
光ファイバを含む光ファイバセンサを使用する光学形状感知方法において、前記光ファイバが、前記光ファイバの長手方向中心軸から離間して配置された複数の少なくとも4つのファイバコアを埋め込まれており、前記ファイバコアは、それぞれ、歪みのない状態で前記ファイバコアに導入された光に応答する共振波長を有し、前記方法が、
歪みなし状態における前記ファイバコアの前記共振波長を含むスキャン波長範囲内の光で前記ファイバコアをインタロゲートするステップ、
を有し、
前記インタロゲートするステップは、前記スキャン波長範囲の中心波長が前記ファイバコアの少なくとも1つの共振波長に対して偏心されるように、前記スキャン波長範囲を設定するステップを有し、
前記複数のファイバコアは、第1のファイバコア及び少なくとも1つの第2のファイバコアを有し、前記第1のファイバコアが、歪みなし状態において前記第1のファイバコアに導入された光に応答する第1の共振波長を有し、前記少なくとも1つの第2のファイバコアが、歪みなし状態において前記少なくとも1つの第2のファイバコアに導入された光に応答する第2の共振波長を有し、前記第1の共振波長は、前記第2の共振波長とは異なり、前記インタロゲートするステップは、前記中心波長が前記第1及び第2の共振波長の間にあるように、前記スキャン波長範囲を設定するステップを有する
方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光学的形状感知システムに、請求項10に記載の方法のステップをコンピュータに実行させるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光学形状感知の分野に関する。特に、本発明は、少なくとも4つの外側ファイバコアを埋め込まれた光ファイバを有する光ファイバセンサを有する光学形状感知システムに関する。更に、本発明は、光学形状感知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学形状感知(OSS)は、特殊な光ファイバの三次元形状が、ファイバ内の光の反射から再構成されることができる技術である。この技術は、例えば、医療装置、例えば、カテ‐テル及びガイドワイヤのような装置の完全な形状のリアルタイム3D視覚化を可能にする。医療装置の形状は、X線画像又は術前CTスキャン上に重ね合わされることができる。このようにして、医師は、X線追跡を必要とせずに、処置中に装置をナビゲ‐トすることができる。
【0003】
光学形状感知においては、光学形状感知ファイバとも称される光ファイバセンサは、ファイバのファイバコア内に結合された光でインタロゲ‐トされ、分散歪み及び温度信号は、干渉計を組み込んだインタロゲ‐タユニットで得られた後方散乱スペクトルから得られる。標準的な光ファイバセンサは、ファイバの半径方向中心に配置された、第4コアの周囲に螺旋状に巻かれている3つの外側ファイバコア(本明細書では、ファイバの中心軸から離間して配置されたファイバコアも、外側ファイバコアとして示される)を有する。歪み及び温度に対するファイバコアの応答は、ファイバセンサに沿った遅延位置の関数として、干渉計からの光信号の位相差として測定される。位相差は、ファイバセンサが明確な形状、例えば、完全に真っ直ぐな形状である基準測定に関して得られる。ファイバコアの位相差から、歪み及び温度差が、各ファイバコアについて推定されることができる。歪み信号は、ねじり歪み及び軸歪みと同様に、直交する2方向の曲げ歪みの和であり、後者は、光ファイバセンサの長手方向の歪みである。これら4つの位置依存量から、ファイバセンサの形状が、再構成されることができる。高精度形状感知のためには、正確なファイバセンサ特性が、形状再構成モデルにおいて必要である。これらの特性は、較正プロセスにおいて個々の光ファイバごとに決定されることができる。
【0004】
形状感知技術の更なる拡張は、軸歪みの影響から温度の影響を区別することができるようにすることである。そうするために、例えば、国際公開第2016/099976号パンフレットに記載されるように、異なる温度感度を有する少なくとも1つの追加のコアが、必要とされる。
【0005】
上述したように、光学感知ファイバの形状は、ファイバ内部のいくつか、典型的には4つのコアについて測定された位置依存歪み信号から計算される。例えば、ファイバコア及びファイバ中心によって定義された平面内でファイバを曲げることは、そのコアがファイバの中心に配置されていない場合に、そのファイバコアにおいて歪みを生じる。この場合、歪みεは、ファイバの中心軸からのそのコアの距離aと、そのコアの曲がりの半径rとの商である。曲げ歪みは、ここではファイバの真っすぐで歪んでいない状態に対して測定される。歪みの大きさは、反射光のスペクトルシフトの量から推測されることができる。ファイバコアが、ファイバブラッググレ‐ティング(FBG)を含む場合、ブラッググレ‐ティングの周期的な性質により、センサは、共振波長と称される1つの特定の波長の光を反射する。ファイバコアが、基準測定値に対して細長い(正に歪んでいる)場合、FBGの周期性は、増加し、共振波長の増加という結果になる。他方で、圧縮(負の)歪みの場合、FBGの周期性は、減少し、共振波長の減少という結果になる。曲げの曲率半径が小さいほど、(曲げ部のファイバコアの位置に応じて、正又は負のいずれかの方向において)共振波長のシフトδλは大きくなる。
δλ=λ0ζε=(λ0ζα/r)sin(gtwist(z)+φ) (1)
ここで、λ0は、ファイバコア、より正確には、歪みなし状態のFBGの共振波長でありであり、ζは、屈折率の歪み誘起変化を考慮する歪み光学係数(≒0.8)であり、ブラッグ周期と波長との間の関係に影響する。サイン関数は、ファイバ中心の周りで螺旋状にねじれているときの、外側コアの変化する位置を記述する。gtwistは、コアの累積ねじれ角であり、これは、紡糸されたファイバに本質的に存在するねじれと、外部から加えられたねじれとの和である。φは、曲げ平面の向きと、基準位置におけるファイバコアの角度とに関連するオフセット角である。明確性の理由で、式(1)では、曲げによる歪みのみが、仮定される。
【0006】
光ファイバセンサが、例えば、医療装置の管腔内に挿入される場合、光ファイバセンサは、変化する曲率半径を経験する。医療装置は、予め成形されてもよく、装置の取り扱い中に、その形態を変化させる。光ファイバセンサにより遭遇される最小曲率半径は、装置の設計、光ファイバ自体、及びそれが使用されている環境に依存する。例えば、人間の血管系は、例えば、非常に曲がりくねっている可能性がある。これらの種類の血管にアクセスすることができるように、より柔軟な装置が、使用される。このような医療装置内の光ファイバセンサは、小さな曲率半径に耐えることができるべきである。しかしながら、光ファイバセンサの最小測定可能曲げ半径に関係する限界が、存在する。
【0007】
形状感知では、典型的には、スペクトルが、歪みなし状態のFBGの共振波長を中心とする固定波長範囲Δλにわたって光源をスキャンすることによって、各ファイバコアに対して記録される。測定されたスペクトルの内側にまだ共振を有する最小曲げ半径は、
min=(2λ0ξa)/Δλ (2)
である。
【0008】
λ0=1545nm、ξ=0.8、及びa=35μmを中心とするスキャン範囲では、測定可能な最小曲げ半径は、5.1mmである。光ファイバセンサが、曲率を下げるように曲げられる場合、信号は、曲げ面内にあるファイバコアに対して測定されない。
【0009】
式(2)から、最小測定可能曲げ半径が、ファイバコア距離aを減少させることによって、及び/又はスキャン波長範囲Δλを増加させることによって減少させることができることが分かる。外側ファイバコア距離aを減少させることが、ねじれ歪みに対する感度がa2でスケ‐ルするので、曲げ歪みに対する感度及びねじれ歪みに対する感度をも減少させるという欠点を持つ。ねじれに関する要求精度は高く、したがって、ファイバの中心軸からの外側ファイバコア距離を減少させることは、好ましくない。スキャン範囲Δλを増加することは、他の理由で不利である。これは、共振ピ‐クが相対的に少なくスペクトルを埋めるので、信号対雑音比を減少させる。更に、2つの連続するノ‐ド(ファイバ上の位置の関数としてのデ‐タ点)間の遅延長が、減少され、ファイバの同じ物理的長さに対するデ‐タ点の増加を与える。
【0010】
WO2018/075911A1は、3つ以上の外側ファイバコアを有する光ファイバセンサを提供することを提案しており、ここで、ファイバコアは、ファイバの中心軸から複数の異なる半径方向距離において配置される。小さな曲げ半径が測定されるには、より小さい距離におけるファイバコアに切り替える必要があり、これは、形状感知測定の精度を低下させる結果となる可能性がある。このような光ファイバセンサの設計は、したがって、精度の損失を被る。
【0011】
US2016/047976A1は、少なくとも1つの第1のコアと、第1のコアを取り囲むクラッドとを有する光導波路を有する光ファイバセンサであって、第1のコアが、光導波路の実質的に全体的な長さにわたって延在し、センサが、クラッドによって少なくとも部分的に取り囲まれた少なくとも1つの第2のコアを有し、第2のコアの長手方向範囲が、光導波路の全長未満であり、少なくとも1つのブラッグ格子が、第2のコアに導入される、光ファイバセンサを開示している。
【0012】
US2007/0297712A1は、身体の曲率を検出するための光ファイバセンサを開示し、センサは、外周を有するクラッドを有する。中心コアは、ブラッググレ‐ティングを有し、クラッドの中立面に位置する。周辺コアは、光を送受信する。
【0013】
David Berra他"Multipoint Two‐Dimensional Curvature Optical Fiber Sensor Based on a Nontwisted Hohogeneous Four‐Core Fiber"は、無撚り均質4コアファイバに基づく多点2次元湾曲光ファイバセンサを開示している。
【0014】
米国特許第7,324,714B1号は、3つのコアを含むマルチコアファイバを含む装置を開示しており、3つのコアは、2対のコアを含み、各対のコアは、平面内にある。2対のコアの平面は、非同一平面である。マルチコアファイバは、ロゼットを含み、ロゼットは、3つの同一平面干渉計を含み、各干渉計は、3つのコアのそれぞれのコア内に配置される。
【0015】
US2018/195856A1は、第1のセットの特性を有する一次光コアと、第2のセットの特性を有する二次光コアとを含む光ファイバを開示する。特性の一次セットは、第1の温度応答を含み、特性の二次セットは、光ファイバに結合された場合に感知装置が光ファイバ上の温度と歪みとを区別することを可能にするために、第1の温度応答とは十分に異なる第2の温度応答を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、改良された形状感知測定を可能にする光学形状感知システムを提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、改良された形状感知測定を可能にする光学形状感知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、光形状感知システムが、提供され、光学形状感知システムは、光ファイバの長手方向中心軸(0)から離間して配置された複数の少なくとも4つのファイバコアを内部に埋め込んだ光ファイバを有し、各ファイバコアは、歪みなし状態でファイバコアに導入された光に応答する共振波長を有する、光ファイバセンサと、ファイバコアの歪みなし状態でのファイバコアの共振波長を含むスキャン波長範囲内の光でファイバコアにインタロゲ‐トするように構成された光学インタロゲ‐ションユニットであって、スキャン波長範囲の中心波長が少なくとも1つのファイバコアの共振波長に対して偏心されるように、スキャン波長範囲を設定するように構成される、光学インタロゲ‐ションユニットとを有する。
【0019】
本発明による光学形状感知システムは、第1に、3つの外側コアのみを有する標準的なファイバセンサに対してファイバコアの数の冗長性を提供し、第2に、ファイバコアの少なくとも1つ、例えば、いくつか又は全ての共振波長に対して偏心されたスキャン波長範囲の中心波長を設定することによって、より小さい曲げ半径を測定することを可能にする。ファイバコアの共振波長は、それぞれのファイバコアの長さに沿って、好ましくはファイバブラッググレ‐ティングである1つ又は複数の波長依存反射構造によって提供されてもよい。1つ以上のファイバコアに対してスキャン波長範囲の中心波長を偏心させることによって、スキャン波長範囲は、1つ以上のファイバコアの共振波長に対して非対称になる。1つ又は複数の外側ファイバコアの共振波長に対する非対称スキャン波長範囲は、本明細書で更に説明されるように、スキャン波長範囲を増加させることなく、及び/又はファイバの中心軸からの外側ファイバコアの距離を減少させることなく、ファイバセンサのより小さい曲げ半径を測定することを可能にする。
【0020】
光学インタロゲ‐ションユニットは、スキャン波長範囲の中心波長が、全てのファイバコアの共振波長に関して偏心されるように、スキャン波長範囲を設定するように構成されてもよい。この実施形態は、全てのファイバコアに対してスキャン波長の非対称性を提供する。
【0021】
ファイバコアの数は、前述の又は後続の実施形態と組み合わせて、又はそれらの代替として、歪みなし状態で第1のファイバコアに導入された光に応答する第1の共振波長を有する第1のファイバコアの第1のサブセットと、歪みなし状態で少なくとも1つの第2のファイバコアに導入された光に応答する第2の共振波長を有する少なくとも1つの第2のファイバコアの第2のサブセットとを有してもよく、第1の共振波長は、第2の共振波長とは異なる。第1の共振波長は、互いに等しくてもよく、第2の共振波長は、互いに等しくてもよく、これは、とりわけ、ファイバセンサの製造を簡略化する。
【0022】
前述の実施形態に関連して、インタロゲ‐ションユニットは、スキャン波長範囲の中心波長が、第1の共振波長に対して偏心され、第2の共振波長を中心とするように、又はその逆になるように、スキャン波長範囲の中心波長を設定するように構成されてもよい。
【0023】
この実施形態では、スキャン波長範囲の非対称性が、ファイバコアのサブセットのうちの1つに対して提供されるが、スキャン波長範囲は、他のサブセットに対して対称である。
【0024】
代わりに、インタロゲ‐ションユニットは、中心波長が第1及び第2の共振波長の間にあるように、スキャン波長範囲を設定するように構成されてもよい。更に、中心波長は、第1共振波長と第2共振波長との中間に設定されてもよい。後者の実施例では、中心波長は、第1及び第2の共振波長の両方に対して等しい波長オフセットを有する。
【0025】
全てのファイバコアの共振波長は、等しくてもよい。この実施形態は、ファイバセンサの製造を更に単純化する。この実施形態では、スキャン波長範囲の中心波長は、全てのファイバコアに関して偏心される。
【0026】
スキャン波長範囲は、中心波長が、少なくとも1つのファイバコアの共振波長に対して、スキャン波長範囲の半分未満だけ偏心されるように設定されてもよい。オフセットは、スキャン波長範囲の1/3未満、更には1/4未満であってもよい。
【0027】
ファイバセンサのファイバコアは、互いに対して等距離で中心軸の周りに方位角方向に分布されてもよい。
【0028】
代替的に、ファイバコアは、互いに対して非等距離で中心軸の周りに方位角方向に分布されてもよい。
【0029】
長手方向中心軸から半径方向距離に配置されたファイバコアの数は、5、6、又はそれ以上である。
【0030】
ファイバコアは、中心軸から等しい距離を有していてもよい。
【0031】
光ファイバは、ファイバの中心軸上に配置された中心ファイバコアを更に有してもよい。
【0032】
光学的形状感知システムは、ファイバコアから受け取られた反射スペクトルを用いてファイバセンサの形状を再構成するように構成された評価ユニットを更に有してもよい。
【0033】
外側ファイバコアは、ファイバセンサの中心軸の周りに螺旋状に巻かれてもよい。
【0034】
第2の態様によれば、光学形状感知方法が、提供され、光学形状感知方法は、
光ファイバの長手方向中心軸から離間して配置された複数の少なくとも4つのファイバコアを内部に埋め込んだ光ファイバを有する光ファイバセンサを提供するステップであって、各ファイバコアは、歪みなし状態でファイバコアに導入された光に応答する共振波長を有する、ステップと、
歪みなし状態のファイバコアの共振波長を含むスキャン波長範囲の光でファイバコアをインタロゲ‐トするステップと、
を有し、前記インタロゲ‐トするステップは、スキャン波長範囲の中心波長が、少なくとも1つのファイバコアの共振波長に対して偏心されるように、スキャン波長範囲を設定することを有する。
【0035】
本発明による光学形状感知方法は、システムに関して上述されたのと同じ又は類似の利点及び実施形態を有する。
【0036】
第3の態様によれば、コンピュ‐タプログラムがコンピュ‐タ上で実行される場合に、コンピュ‐タに第2の態様による方法のステップを実行させるためのプログラムコ‐ド手段を有するコンピュ‐タプログラムが提供される。
【0037】
理解されるように、上述の全ての実施形態は、光ファイバセンサの曲げ半径をできるだけ小さく測定することを可能にする光学形状感知システム及び光学形状感知方法を提供するために互いに組み合わせられることができる。
【0038】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】光学形状感知システムの一例を示すブロック図を示す。
図2】標準的な光ファイバセンサの一例の斜視図を示す。
図3A】標準的な光ファイバセンサの断面を示す。
図3B図3Aの光ファイバセンサのシミュレ‐ション結果の図を示し、共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差が、曲げを有する光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる。
図4A】6つの外側コアを有する光ファイバセンサの一実施形態を示す。
図4B図4Aの光ファイバセンサのシミュレ‐ション結果の図を示し、共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差は、光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる。
図5A】6つの外側コアを有する光ファイバセンサの一実施形態を示す。
図5B】共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差が、光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる、図5Aの光ファイバセンサのシミュレ‐ション結果の図を示す。
図6A図4Aと同様の6つの外側コアを有する光ファイバセンサの一実施形態を示す。
図6B図6Aの光ファイバセンサのシミュレ‐ション結果の図を示し、共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差が、光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる。
図7A図4Aと同様の6つの外側コアを有する光ファイバセンサの一実施形態を示す。
図7B】共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差が、光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされた、図7Aの光ファイバセンサに関するシミュレ‐ション結果の図を示す。
図8A図7Aの光ファイバセンサを示す。
図8B図8Aの光ファイバセンサのシミュレ‐ション結果の図を示し、共振波長及びスキャン波長範囲の中心波長の差が、光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる。
図9A】2組の外側コアの共振周波数に対するスキャン波長範囲の中心スペクトルの偏心の関数としてのゲイン係数f=rmin/r0及びr0/rxに対するシミュレ‐ション結果の図を示す。
図9B】2組の外側コアの共振周波数に対するスキャン波長範囲の中心スペクトルの偏心の関数としてのゲイン係数f=rmin/r0及びr0/rxに対するシミュレ‐ション結果の図を示す。
図10】様々な光ファイバセンサ設計のための4コアでまだ測定可能な最小半径の関数として、6つの外側コアで測定可能な最小曲率半径に対するシミュレ‐ション結果の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、光ファイバセンサ12を感知するためのマルチチャネル光周波数領域反射率測定(OFDR)ベ‐ス及び分布歪み感知システムとして構成された光ファイバセンサシステム10の一部を概略的に示す。光ファイバセンサ12は、複数のファイバコア14、16、18、20を内部に埋め込まれた光ファイバを有し、本例では、1つの中心コア16及び3つの外側コア14、18、20を有する4つのコアを有する。図1に示される光ファイバセンサは、標準的なファイバセンサである。ここで、本発明が、3より多い外側コアを有する光ファイバセンサ設計を提案することに注意されたい。図2は、中心コア16の周りで螺旋状にされた外側コア14、18、20を持つファイバコア14、16、18、20の長さの一片を示す。中心コア16は、光ファイバセンサ12の中心軸上に配置される。外側ファイバコア14、18、20は、光ファイバセンサ12の長手方向中心軸の周りの方位方向において互いに対して角度的に離間している。長手方向中心軸は、中心コア16に一致する。本例における複数の4つのコアによれば、近隣の外側コアの間の角度的間隔は、120°であってもよい。
【0041】
再び図1を参照すると、光学形状感知システム10は、インタロゲ‐タユニット21を有する。インタロゲ‐タユニット21は、スキャン波長範囲とも称される光周波数の範囲にわたって掃引されることができる調節可能な光源22を有してもよい。光源22によって放射された光は、光ファイバセンサ12の複数のファイバコア14、16、18、20に応じて光チャネル24a、24b、24c、24dを有する光干渉ネットワ‐ク24内に結合される。光ファイバセンサ12が、4より多いコアを有する場合、光干渉ネットワ‐ク24が、対応する数の光チャネルを有してもよい。
【0042】
調節可能光源22が、ある範囲の光周波数にわたって掃引される場合、各チャネル24a、24b、24c、24d、したがって、光ファイバセンサ12の各ファイバコア14、16、18、20は、同時に及び独立に光学的にインタロゲ‐トされ、ファイバコア14、16、18、20の各々から戻ってくる反射スペクトルに基づく干渉信号は、それぞれの光検出器25を介して処理ユニット又はデ‐タ取得ユニット26に送られる。次いで、多重チャネルOFDRシステムを使用するコア14、16、18、20からの分布歪み測定値は、更なる処理、特に光ファイバセンサ12の三次元形状再構成のため、及び再構成された三次元光ファイバセンサ12の視覚的表示のために評価ユニット27にエクスポ‐トされ得る。
【0043】
光ファイバセンサ12の一実施形態において、ファイバコア14、16、18、20は、屈折率の周期的変動によって形成されるファイバブラッググレ‐ティング(FBG)を有してもよい。単純化のために、単一の共振波長を有するFBGが、ここで考慮される。FBGは、FBGの格子周期に依存する特定の波長(共振波長)の光を反射し、他の全ての波長を透過する。光ファイバセンサ12の曲がりにより、格子周期は、歪みにより影響を受け、ファイバに沿った任意の位置についての反射波長の測定値は、局所的な歪みを決定することを可能にする。以下に説明される本発明の実施形態による光ファイバセンサ12'は、このようなFBGを有してもよい。
【0044】
光ファイバセンサ12の光学的インタロゲ‐ションは、原理的に、ファイバセンサ全体の三次元形状をリアルタイムで再構成するために必要とされる情報を与える。適切な基準フレ‐ムを前提として、完全なファイバセンサ12の正確な向き及び位置をリアルタイムで知ることが、可能である。
【0045】
光ファイバセンサ12のような光ファイバセンサが、例えば、カテ‐テル又はガイドワイヤのような医療装置内で使用される場合、装置は、装置の取扱い中にその形態を変化させる。例えば、装置が、非常に曲がりくねっている可能性がある人間の血管系内に導入するためのカテ‐テルである場合、装置、したがって、光ファイバセンサ12は、非常に小さい可能性がある曲率半径を有してもよい長さに沿った曲げを経験する。しかしながら、光学形状感知技術では、光ファイバセンサの最小測定可能曲げ半径に関係する限界が、存在する。
【0046】
上記の式(2)を参照すると、標準的な光ファイバセンサ12の最小測定可能曲げ半径は、歪みなし状態におけるファイバコアの共振波長λ0=1545nmを中心とするスキャン範囲、ξ=0.8、及びa=35μmに対して5.1mmとなる(これらのパラメ‐タの定義に関しては上記参照)。標準的な光ファイバセンサ12が、より低い曲率、すなわち5.1mm未満の曲げ半径を有する曲率に曲げられる場合、曲げ平面内にあるファイバコアについては、信号は測定されない。
【0047】
図3Aは、標準的な光ファイバセンサ12の断面を示し、3つの外側コアは、1、2、3のラベルを付され、中心コアは、0のラベルを付されている。図3Bは、半径5.1mmの曲げを有する光ファイバセンサ12についてのシミュレ‐ション結果(式(1)参照)を示す。図3Bでは、λres、すなわち曲げられた状態のファイバコア1、2、3の各々についての共振波長と、λc、すなわちスキャン波長範囲の中心波長との差が、中心軸(中心コア0)の周りの方位角方向に120°だけ分離された3つの外側コア1、2、3に対して、長さに沿った光ファイバセンサ上の位置の関数としてプロットされる。中心コア0のスペクトルは、中心コア0の曲げ歪みによる共振波長のシフトが存在しないので、図3Bには描かれない。外側ファイバコア1、2、3のねじれ率は、メ‐トル当たり50タ‐ンであり、1つのインデックスは、48.2μmに対応する。灰色陰影領域は、曲げによる外側コアの共振波長のシフトをカバ‐するために必要とされるスキャン波長範囲を与える。図3Bにおいて、曲線41は、コア1についてのシミュレ‐ション結果を示し、曲線42は、コア2についてのシミュレ‐ション結果を示し、曲線43は、コア3についてのシミュレ‐ション結果を示す。5.1mmの曲げ半径(すなわち、曲げに対する光ファイバセンサの全ての向きについて)を常にカバ‐するのに必要とされる最小スキャン範囲は、図3Bにおいて、λres‐λc=±8.4nmにおいて点線51、52によって示される。
【0048】
図4Aは、本発明による光ファイバセンサ12'の一実施形態を示し、これは、3より大きい数の外側ファイバコアを有する。換言すれば、光ファイバセンサ12'は、標準的なセンサ12の3つの外側ファイバコアと比較してファイバ12'のより小さな曲げ半径を測定することを可能にするために、ファイバ12'の形状感知測定において冗長性を提供する更なる外側ファイバコアを追加することによって、冗長性を提供する。図4Aにおいて、外側ファイバコアは、参照番号1乃至6でラベル付けされる。ファイバセンサ12'は、中心コア0をも含み、ここで0は、ファイバセンサ12'の中心軸をも示す。したがって、ファイバコアの第1のサブセットの3つの外側ファイバコア、例えばファイバコア1、3、5、及びファイバコアの第2のサブセットの3つの外側ファイバコア、例えばファイバコア2、4、6が、存在する(第1のサブセット及び第2のサブセットへのファイバの割当ては重要ではないことに留意されたい)。
【0049】
図4Aに示されるように、第1のサブセットのファイバコア1、3、5及び第2のサブセットのファイバコア2、4、6は、中心軸(中心コア0)から同じ半径方向距離を有する。更に、ファイバコア1乃至6は、方位方向において中心軸の周りに等距離に配置される。したがって、ファイバコア1乃至6の2つの近隣のファイバコアの間の角度は、60°である。ファイバコア1,3,5は、ファイバ12'の歪みなし状態で第1の単一共振波長を有してもよく、ファイバコア2,4,6は、ファイバセンサ12'の歪みなし状態で第2の単一共振波長を有してもよい。この例では、第1及び第2の共振波長は、等しい。
【0050】
ファイバコアの第2のサブセットのファイバコアは、センサ12'の中心軸の周りに螺旋状に巻き付けられてもよい。
【0051】
光ファイバセンサ12'を用いる形状再構成に必要とされる4つの位置依存量を区別することができるように、これらの量が2つの直交方向の曲げ歪み、ねじれ歪み及び軸方向歪みであり、中心コア0及び外側コア1乃至6の少なくとも3つの信号は、既知であるべきである。
【0052】
図4Bは、図4Aの光ファイバセンサ12'のシミュレ‐ション結果を示し、図3Bに関して説明されたように、共振波長λresとスキャン波長範囲の中心波長λcとの差が、光ファイバセンサ12'上の位置の関数としてプロットされる。灰色陰影領域は、外部コア1乃至6の少なくとも3つの共振を含むのに必要とされるスキャン波長範囲を与える。図4Bにおいて、曲線41乃至46は、外側ファイバコア1乃至6についてのシミュレ‐ション結果を示す(中央コア0についての結果は図4Bでは再び省略される)。図4Bの図から分かるように、黒い点線51及び52は、もはやファイバコア信号の最大値ではなく、これは、同じスキャン波長範囲(±8.4nm)を用いて、より小さな曲げ半径が測定されることができることを意味する。この場合には、4.5ミリメ‐トルの最小曲げ半径rminが、測定されることができる。図3B及び図4Bのシミュレ‐ション結果を比較すると、例えば、3つの代わりに6つの外側ファイバコアを設けることによって、ファイバコアにおける冗長性を明らかにし、測定可能な最小曲げ半径が、スキャン波長範囲を増加させることなく、かつ中心軸からの外側コアの距離を減少させることなく、減少されることができる。
【0053】
図3Aの光ファイバセンサ12のような、3つの外側コアを有する標準的な光ファイバセンサと比較して、外側ファイバコアにおける冗長性の有益な効果のための方策を有するために、ゲイン係数fが、計算されてもよく、これは、スキャン波長範囲を増加させることなく、コアの量nによる冗長性によって得られる。
f=cos((π/(n‐1)floor((n/2)‐2)),n≧4 (3)
ここで、nは、(中心コア及びn‐1個の外側ファイバコアを含む)ファイバコアの総数である。n=4(標準的な光ファイバセンサ)の場合、fは1である。n=7(6つの外側コア及び1つの中心コア)の場合、fは約0.87である。これは、6つの外側コアの対称的な配置(2つの近隣の外側コアの間の60°の角度)について、最小の測定可能な曲げ半径が、同じスキャン波長範囲で、0.87倍、すなわち、5.1mmから4.5mmに減少されることができることを意味する。
【0054】
ゲイン係数f、したがって、最小測定可能曲げ半径は、更なる実施形態に関連して説明される以下の方策のうちの1つ又は複数によって更に低減されることができる。
【0055】
一般に、ゲイン係数fの最適化は、互いに対するファイバコア角度を変化させることによって、及び/又はコア光学特性を変化させることによって、及び/又はスキャン波長範囲と歪みなし状態におけるファイバコアの共振波長との間に非対称性を導入することによって行われることができる。これらの方策が、以下に説明される。
【0056】
図5Aは、6つの外側コア1乃至6を有する光ファイバセンサ12′の実施形態を示し、図4Aにおける実施形態との差は、図5Aにおけるファイバコア1乃至6がファイバ12′の中心軸に沿って延在する中心コア0の周りの方位角方向に等距離に分布していないことである。図5Aの実施形態では、近隣のファイバコアのいくつか、例えばファイバコア2及び3の間の角度は、他の近隣のファイバコア、例えばファイバコア1及び2の間の角度よりも小さい。例えば、ファイバコア2と3との間、4と5との間、及び6と1との間のより小さな角度は、30°であってもよく、一方、ファイバコア1と2との間、3と4との間、及び5と6との間のより大きな角度は、90°であってもよい。図5Aに示されるような6つの外側ファイバコアの数は、例示的なものであり、冗長性がある限り、任意の他の数の外側ファイバコアも、同様に採用されることができることに留意されたい。図5Aの実施形態では、外側コア1、3、5の第1のサブセットは、0°、120°、及び240°に配置され、同じ相対角度を有する3つのコア2、4、6の第2のサブセットは、第1のサブセットのファイバコア1、3、5に対してθ=30°の角度の下に配置される。任意のθを持つ7コア光ファイバセンサ(6つの外側のファイバコア及び1つの中心コア)に対して、ゲイン係数f は次式で与えられる。
f=max{cos((|θ|‐π/3)/2), ‐sin((|θ|‐2π/3)/2)}, ‐π/3<θ≦π/3 (4)
【0057】
最小ゲイン係数fは、7コアファイバセンサ12'におけるθ=30°(f = 0.71)に対して得られる。図5Bは、図5Aの6つの外側コア1乃至6についてのシミュレ‐ション結果の図4Bに類似した図を示す。灰色陰影領域は、再び、少なくとも3つの外側コアの共振を含むために必要とされるスキャン波長範囲を与え、点線51、52は、5.1mmの曲げ半径についての全てのファイバコアの共振をカバ‐するために必要とされる最小スキャン波長範囲を示す。
【0058】
したがって、角度θ=30°では、最小測定可能曲げ半径の3.6mmへの減少が、達成されることができ、これは、±8.4nmの同じ固定スキャン波長範囲に対して、θ=60°である図4Aにおける実施形態のより対称的な場合よりも小さい。
【0059】
光ファイバセンサの最小測定可能曲げ半径を最適化するための更なる方策は、第1及び第2のサブセット内のファイバコアの光学特性を適切に選択することである。ファイバコア間で異なり得るこのような光学特性は、歪みなし状態のファイバコアの共振波長λ0であってもよい。図6Aは、図4Aの実施形態と幾何学的に同一である光ファイバセンサ12'の実施形態を示し、これは、ファイバコアの第1のサブセット、例えば、ファイバコア1、3、5と、ファイバコアの第2のサブセット、例えば、ファイバコア2、4、6とを有する。図4Aの実施形態との差は、歪みなし状態の外側コアの第1のサブセットの共振波長λ0Aが、歪みなし状態のファイバコアの第2のサブセットのファイバコアの共振波長λ0Bとは異なることである。第1のサブセットのファイバコアの共振波長は、スキャン波長範囲の中心波長λCから偏心されてもよく、第2のサブセットのファイバコアの共振波長は、スキャン波長範囲中心λCに保たれる。一例として、ファイバコアの第1のサブセットについては、λ0A‐λCは、4.3nmであってもよく、外側ファイバコアの第2のサブセットについてはλ0B=λCであってもよい。また、λ0A,0B‐λCは、3つの外側ファイバコアの第1のサブセット及び3つの外側ファイバコアの第2のサブセットについて、ゼロから逸れることも考えられる。図6Bは、図6Aの光ファイバセンサ12'のシミュレ‐ション結果を示し、歪み状態における共振波長λresとスキャン波長範囲の中心波長λCとの差は、図3Bに関して説明されたように、外側ファイバコア1乃至6のセンサ上の位置の関数としてプロットされる。
【0060】
また、図6Aの実施形態を図5Aの実施形態と組み合わせること、すなわち、図5Aに示されるように、外側ファイバコア1乃至6の角度位置を非等距離に変更することも考えられる。
【0061】
最小測定可能曲げ半径を減少させるために、外側光ファイバコアの冗長性と組み合わせた更なるオプションは、例えば、歪みなしファイバコアのFBGの共振波長と、ファイバコアにインタロゲ‐トするために使用されるスキャン波長範囲の中心波長との間に非対称性を導入することである。これは、λ0が全てのファイバコアに対して同じである場合でさえ、λ0≠λCであることを意味する。このために、図1の光学形状感知システム10のインタロゲ‐ションユニット21は、中心波長がファイバコア1乃至6のうち1つ以上の共振波長と異なるように中心波長λCを設定するように構成される。図7A及び図8Aは、それぞれの場合において、6つの外側ファイバコア1乃至6及び1つの中心コア0を有する光ファイバセンサ12'の断面を示す。図7A及び図8Aにおける光学感知ファイバ12'の幾何学的設計は、互いに関して同じである。図7Aの実施形態では、スキャン波長範囲は、歪みなしファイバコア1乃至6の共振波長λ0が、スキャン範囲の端部に完全にあるように、すなわち、この例ではλ0‐λC=8.4nmになるように設定される。この場合、最小測定可能曲げ半径は、16.7nmのスキャン範囲に対して2.6mmまで低くなる。しかしながら、この構成は、共振が、完全に直線状のファイバの限界の場合にのみスキャン波長範囲にあることを意味する。全てのファイバコア1乃至6 がまだ測定されたスペクトル内である最小の曲率半径をrx で定義する場合、rx=∞である。これは、ファイバコアの冗長性が、より低い曲率の場合でさえも、他のものにもはや使用されることができないので、望ましくない状況であり得る。偏心λ0‐λCを下げると、rxも下がる。図8A及び図8Bは、4つのファイバコア(中心コアを含む)で測定可能な最小半径であるrminとrxとの間でトレ‐ドオフが行われる例を与える。例えば、全ての外側ファイバコア1乃至6に対してλ0‐λC=2.3nmである場合、rmin=3.5mm及びrx=7.0mmである。
【0062】
以下の表1では、図3Aにおける標準的な場合及び図4A、5A、6A、7A及び8Aにおける実施形態のシミュレ‐ション結果が、要約される。表1には、ゲイン係数f、rmin(中心コアを含む4つのファイバコアでまだ測定可能な最小曲率半径)及びrx(全てのファイバコアがまだ測定スペクトル内にある最小曲率半径)が、列挙される。
【表1】
【0063】
表1は、また、上述のように、λ0‐λCが、第1のサブセットの外側ファイバコアに対して及び第2のサブセットの外側ファイバコアに対してゼロから逸れる、表1の5行目の実施形態を含み、ここで、第1のサブセットの外側ファイバコアについてλ0‐λC=2.8nmであり、第2のサブセットの外側ファイバコアについてλ0‐λC=‐2.8nmである。
【0064】
光ファイバセンサ12'の設計を最適化し、光ファイバセンサ12'のファイバコアのインタロゲ‐ションのスキャン範囲を提供するインタロゲ‐タユニット21(図1)を最適化する上述の方策は、全て、実行されるアプリケ‐ションのために組み合わせられることができる。
【0065】
例えば、ファイバコアの歪みなし状態における共振波長λ0は、何らかの他の設計上の制約により、ファイバコアごとに逸れてもよい。例えば、温度を軸方向歪みと区別することが望ましい場合、他のコアとは異なる温度感受性を有する少なくとも1つのファイバコアが、使用されなければならない。これは、このファイバコアに対するλ0の逸れを生じることができる。図6Aのものに類似した設計の7ファイバコア形状感知ファイバの場合について、いくつかのオプションが、以下に説明される。この目的のために、Δ=λ0,A‐λ0,Bであると定義され、ここで、A及びBが、60°だけ分離された3つの外側コアの2つのサブセットを示す。ここで、特定のΔ及びλ0,A‐λCに対してrminとrxを計算することが可能である。結果は、図9A及び9B並びに図10において与えられる。
【0066】
図10において、1/rxは、Δ=0.0nmからΔ=±12.0nmまでの範囲の複数のΔに対するrminの関数としてプロットされる。図9Aは、ゲイン係数f = rmin/r0に対するシミュレ‐ション結果を示し、図9Bは、量r0/rxに対するシミュレ‐ション結果を示し、それぞれλ0,A‐λC及びλ0,B‐λCの関数として示されている。r0は、図3Aに示されるような3つの外側コアを有する標準的なファイバ‐設計に対する最小測定可能曲げ半径である。
【0067】
9A及び9Bの2つのプロットが、図10において組み合わされている。図10は、7つのファイバコアで測定可能な最も高い曲率(1/rx)を、Δによって表される様々なセンサ設計に対するファイバセンサ12'の4つのファイバコア(中心コアを含む)で依然として測定可能な最小半径rminの関数として示す。rminは、2.6nmから5.9mmの範囲を取り、rxは、5.1nmから無限大の範囲を取る。図9A図9B、及び図10から、rminとrxとの間のトレ‐ドオフを最大限に活用する「局所」最適設計が存在することがわかる。例えば、Δ=0nmの場合は、Δ≠0nmを有する全ての曲線が、rminに対する、より大きい又はせいぜい等しい値を生じさせるので、最適値を表す。Δ=0nmの場合には、スキャン波長範囲におけるオフセットの関数として、測定可能な最小曲げ半径の式を導くことが可能である。この目的のために、相対スキャン波長範囲オフセットOf が、Of=|2(λ0,A‐λC)/Δλ|=|2(λ0,B‐λC)/Δλ|で開始され、ここで、Δλは、フルスキャン範囲を表し、これは本例では16.7nmである。ゲイン係数f=rmin/r0は、次式で与えられる。
f=(1/2)・√3/(1+Of), 0≦Of≦(√3‐1)/(√3+1)
f=(1/2)・1/(1‐Of), (√3‐1)/(√3+1)≦Of≦1/3
f=1/(1+Of), 1/3≦Of≦1
0/rx=1‐Of, 0≦Of≦1 (5)
【0068】
式(5)及び図10から、f=0.68及びr0/rx=0.73であるように、Of=(√3‐1)/(√3+1)において最適値が存在することが明らかである。16.7nmのスキャン範囲及びr0=5.1mmに対して、これは、rmin=3.5mm及びrx=7.0mmを有する設計を構成する(これはまさに図8Aに与えられる例である)。わずかに小さいrminに対して、rxは、直接的にはるかに大きくなる。この局所最適値は、λ0,A‐λC=2.3nmに対して達成される。同様の考察が、他の形状感知ファイバ設計についても行われることができる。
【0069】
上述の態様は、冗長性の場合、すなわち、ファイバセンサ内のファイバコアの数が、光ファイバセンサ12'の形状を正確に感知するために必要とされる量の数より大きい場合には全て有効である。。しかしながら、厳密に言えば全体的な冗長性がない場合でも、同じ態様を使用することが有利であることができる。形状感知に必要とされる必須量のために時間的又は空間的に「冗長性」を作り出すために、あまり重要でない量に関する情報を失うことは許容可能でありうる。例えば、いくつかの測定値に対して、又は、例えば、より小さな曲率半径を有する短い曲げを有する、いくつかの特定の位置において、より小さな曲げ半径が依然としてプロ‐ブされることができるように、ファイバコアのいくつかの信号のみが、使用されうる。これは、精度を僅かに損なうかもしれず、又はこれは、信号の(時間的又は空間的)内挿又は外挿によって補償されることができる。これは、以下でより詳細に説明される。
【0070】
再び図6Aを参照すると、合計で7コアを有する光ファイバセンサ12'を示し、3つの感温ファイバコアは、歪みなし状態で異なる共振波長λ0を有し、したがって、測定すべき量の数(5つ)は、ファイバコアの数(7つ)よりも少ないため、軸方向歪、温度、2つの直交方向の曲げ歪み、及びねじれ歪みが、測定されることができる。前述の量が測定されることができる最小曲率半径は、10.6mm(rx)である。この半径より下、かつrmin=3.2mmより上では、依然として3つの外側ファイバコアのみが、スペクトル内にある。これらの3つの外側ファイバコア及び中心ファイバコアにより、依然として、2つの直交方向の曲げ歪みとねじれ歪みが、軸方向歪と温度の効果の合計と同様に、測定されることができる。軸方向歪みと温度は、もはや分離されることができないため、他の信号の精度は、損なわれるが、小さな距離に対して、残りの精度が、十分でありうる。きつい曲げが光ファイバセンサ12'内に存在する確率が低い多くの用途が存在してもよく、それらが発生する場合、きつい曲げの長さは、短く、例えば医療装置において、形状の端部であってもよく、全体的な形状精度への影響を更に低減する。前に述べたように、7つのファイバコアが依然として利用可能である場所での温度及び軸方向歪みの分離は、精度の損失を補償するために、内挿又は外挿されてもよい。又は、他の状況では、rmin<r<rxでの測定に対する温度及び軸方向歪みの分離は、r>rxでの測定に時間的に近い測定から内挿又は外挿され得る。
【0071】
上述した光ファイバセンサ12'の1つ以上の実施形態を使用して最小測定可能曲げ半径を低減するのに適した上記の態様は、光学形状感知方法において使用されることができる。この方法では、光ファイバセンサ(12')が設けられる。ファイバコアの第1のサブセットのファイバコア(1、3、5)及びファイバコアの第2のサブセットのファイバコア(2、4、6)は、光でインタロゲ‐トされる。ファイバコアの第1のサブセットのファイバコア(1,3,5)及びファイバコアの第2のサブセットの少なくとも1つのファイバコア(2,4,6)から戻ってくる光の反射スペクトルが、測定され、反射スペクトルに基づく光ファイバセンサ(12')の形状が、再構成される。この方法は、図1のシステム10で実行することができ、上述のように、システム10は、4よりも大きい対応する数の光学チャネル24a乃至24dを有する。上述のファイバセンサ12'は、カテ‐テル又はガイドワイヤのような医療装置によって構成されてもよい。
【0072】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解及び実施されることができる。
【0073】
請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に列挙されるいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0074】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10