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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20240314BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240314BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240314BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G08C19/00 G
G08C17/00 Z
H04B1/04 Z
H04Q9/00 311J
【請求項の数】 53
(21)【出願番号】P 2021518781
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 AU2019051078
(87)【国際公開番号】W WO2020069579
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】2018903750
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】515267471
【氏名又は名称】ウッドサイド エナジー テクノロジーズ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン・ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】チェイニー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トリポディ・ライアン
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117089(JP,A)
【文献】特開2009-171497(JP,A)
【文献】特許第6328733(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
H04B 1/04
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置であって、
センサに隣接する感知された時間依存特性を表す時間領域データを生成するように制御されたセンサと、
信号処理コンポーネントであって、前記信号処理コンポーネントが、前記時間領域データを使用して、前記時間領域データ内に存在する周波数成分を示す周波数領域データを生成するように構成された、信号処理コンポーネントと、
LPWANプロトコルを使用して前記周波数領域データの一部を送信するように構成されたデータ送信コンポーネントと、
電力管理基準に従って前記センサ装置の少なくとも1つの構成要素への電力供給を制御するように構成された電力マネージャであって、前記電力管理基準がウェイク時間およびスリープ時間を定義することにより、前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力は前記ウェイク時間中に接続され、前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力は前記スリープ時間中に切断される、電力マネージャと
を含み、
前記ウェイク時間中に、前記センサ装置は、
単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って前記周波数領域データから周波数領域データのサブセットを選択し、
前記周波数領域データの選択されたサブセットを前記単一のデータパケットで送信し、
前記ウェイク時間中にただ1つのデータパケットが送信される、
ように構成される、センサ装置。
【請求項2】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の定義された数の周波数ピークに対応する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の定義された数の最も高い周波数ピークに対応する、請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の最も高い33個の周波数ピークに対応する、請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記センサ装置はまた、前記周波数領域データの選択されたサブセットに加えて他のデータを送信するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記他のデータの量は、単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って決定される、請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記他のデータは、
最大ピーク加速度振幅、
最小ピーク加速度振幅、
平均加速度振幅、
時間領域加速クレストファクタ、
周波数領域rms値、
周波数領域正ピーク平均値、
周波数領域負ピーク平均値、
加速度周波数領域データを積分することによって導出されるピーク速度データ値であって、例えば、各速度値は、ビンのセットのうちの1つのビンにおける最大値もしくはいくつかの最大値のうちの1つである、ピーク速度データ値、および/または
前記センサが取り付けられている構成要素の回転可能な部分の回転速度
のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項5または請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサは、振動センサに隣接する振動を表す時間領域振動データを生成するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記センサは、時間領域加速度データ、時間領域速度データ、および/または時間領域変位データを生成するように構成される、請求項8に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記データ送信コンポーネントは、LPWANプロトコルを使用するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記センサ装置は、前記信号処理コンポーネントおよび前記データ送信コンポーネントとは別個の外部メモリを含み、前記センサ装置は、前記外部メモリに前記時間領域データを保存し、処理のために前記時間領域データを前記信号処理コンポーネントにロードするように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記センサ装置は、前記時間領域データをいくつかのバッチで処理することができるように、前記時間領域データの連続する部分を前記信号処理コンポーネントにロードするように構成される、請求項11に記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、定義された周波数帯域から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素は、前記センサ、少なくとも1つのセンサポート、前記信号処理コンポーネントおよび前記データ送信コンポーネントとは別個の外部メモリ、ならびに/またはリプログラミングポートを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項15】
前記センサ装置は、前記電力マネージャからの起動信号に応答する少なくとも1つの電力スイッチを含み、前記電力スイッチは、前記起動信号に応答して前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素に電力を供給させ、前記起動信号がない場合は前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素に電力を供給させないように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電力スイッチは、MOSFETである少なくとも1つのFETを備える、請求項15に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記電力マネージャは、前記データ送信コンポーネントの使用を制御するように、定義された基準に従って前記データ送信コンポーネントによる周波数領域データの送信を制御するように構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項18】
前記電力マネージャは、バッファ内のデータの量が前記データ送信コンポーネントによって使用されるデータパケットのペイロードを満たすのに十分になるまで前記バッファをデータで徐々に満たし、十分なデータが前記バッファ内に存在するときに前記バッファ内の前記データを前記データ送信コンポーネントによって送信させるように構成される、請求項17に記載のセンサ装置。
【請求項19】
前記電力マネージャは、少なくとも1つの定義された基準が満たされる場合、データパケットを満たすのに十分なデータがあるかどうかに関係なく前記データを送信するように構成される、請求項18に記載のセンサ装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大および/または最小許容値を含み、前記電力マネージャは、前記センサに関連付けられた電流値が前記最大値または最小値を超える場合に前記電流値が送信されるように構成される、請求項19に記載のセンサ装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大許容差分値を含み、前記許容差分値は、現在値と対応する以前の値との間の差分量を表し、前記電力マネージャは、現在の差分値が前記最大差分値を超える場合に前記現在値が送信されるように構成される、請求項19または請求項20に記載のセンサ装置。
【請求項22】
前記センサ装置は、ハートビート通信を送信して、受信したセンサ値に基づいて監視対象の構成要素が予想どおりに動作していることを示し、前記少なくとも1つの定義された基準が満たされた場合に周波数領域データを送信するように構成される、請求項19から21のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項23】
前記信号処理コンポーネントは、前記時間領域データを使用して高速フーリエ変換(FFT)データを生成するためにFFTプロセスを実行するように構成される、請求項から22のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項24】
時間領域データサンプルを生成するように構成されたサンプラを備え、前記信号処理コンポーネントは、前記時間領域データサンプルを使用して、前記時間領域サンプル内に存在する周波数成分を示す周波数領域データを生成するように構成される、請求項1から23のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項25】
少なくとも1つのさらなるセンサを備え、前記データ送信コンポーネントは、前記少なくとも1つのさらなるセンサから導出されたセンサデータの少なくとも一部を送信するように構成される、請求項1から24のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つのさらなるセンサは温度センサを含む、請求項25に記載のセンサ装置。
【請求項27】
前記センサは、3つの互いに直交する軸の振動を感知するように構成された加速度計を備える、請求項1から26のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項28】
前記加速度計は、加速度、速度、または変位を示す時間領域データを生成するように構成される、請求項27に記載のセンサ装置。
【請求項29】
システムオンチップ(SoC)装置の一部を形成するプロセッサを備え、前記SoC装置が前記データ送信コンポーネントを含む、請求項1から28のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項30】
前記SoC装置のデータ入力と前記センサ装置の構成要素との間で多重化するためのデコーダを備える、請求項29に記載のセンサ装置。
【請求項31】
前記センサ装置に関連付けられた固有の識別子を示す機械可読コードを備える、請求項1から30のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項32】
前記機械可読コードはQRコード(登録商標)を含む、請求項31に記載のセンサ装置。
【請求項33】
前記センサ装置は、前記センサ装置の構成要素が周囲条件から隔離されるように封入されたハウジングを含む、請求項1から32のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項34】
バッテリから前記センサ装置のすべての電気コンポーネントへの電力供給を制御するように構成された本質的に安全なスイッチを備える、請求項1から33のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項35】
前記本質的に安全なスイッチは、リードスイッチと、前記リードスイッチに隣接して配置された凹部に受け入れ可能な磁石と、を含み、前記磁石が前記凹部に受け入れられない場合、前記リードスイッチは閉じられ、前記磁石が前記凹部に受け入れられる場合、前記磁石によって生じる磁力が前記リードスイッチを開く、請求項34に記載のセンサ装置。
【請求項36】
前記センサ装置を産業設備構成要素に取り付けるための少なくとも1つの磁気部分を備える、請求項1から35のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項37】
請求項1から36のいずれか一項に記載の複数のセンサ装置と、
前記センサ装置の前記データ送信コンポーネントからのデータ送信を容易にすることができる通信ネットワークと、
前記データ送信コンポーネントからの前記データ送信が遠隔設備で受信可能であるように、前記通信ネットワークを介して前記複数のセンサ装置とネットワーク通信する遠隔設備と
を含む、センサネットワーク
【請求項38】
センサ装置を使用して構成要素の動作特性を感知する方法であって、前記方法は、
前記センサ装置を前記構成要素上に配置するステップと、
前記センサ装置にセンサを設けるステップと、
前記センサに隣接する感知された時間依存特性を表す時間領域データを生成するように前記センサ装置を制御するステップと、
前記時間領域データを使用して周波数領域データを生成するために前記センサ装置の信号処理コンポーネントを使用するステップであって、前記周波数領域データは、前記時間領域データ内に存在する周波数成分を示す、ステップと、
電力管理基準に従って前記センサ装置の少なくとも1つの構成要素への電力供給を制御するステップであって、前記電力管理基準がウェイク時間およびスリープ時間を定義することにより、前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力は前記ウェイク時間中に接続され、前記少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力は前記スリープ時間中に切断される、ステップと
を含み、
前記ウェイク時間中に、前記方法は、
単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って前記周波数領域データから周波数領域データのサブセットを選択するステップと、
LPWANプロトコルを使用して、前記周波数領域データの選択されたサブセットを前記単一のデータパケットで前記センサ装置のデータ送信コンポーネントを使用して送信するステップと
を含み、
前記ウェイク時間中にただ1つのデータパケットが送信される、
方法。
【請求項39】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の定義された数の周波数ピークに対応する、請求項38に記載の方法
【請求項40】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の定義された数の最も高い周波数ピークに対応する、請求項39に記載の方法
【請求項41】
前記周波数領域データの選択されたサブセットは、前記周波数領域データ内の最も高い33個の周波数ピークに対応する、請求項40に記載の方法
【請求項42】
前記センサ装置はまた、前記周波数領域データの選択されたサブセットに加えて他のデータを送信するように構成される、請求項38から41のいずれか一項に記載の方法
【請求項43】
前記他のデータの量は、単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って決定される、請求項42に記載の方法
【請求項44】
前記他のデータは、
最大ピーク加速度振幅、
最小ピーク加速度振幅、
平均加速度振幅、
時間領域加速クレストファクタ、
周波数領域rms値、
周波数領域正ピーク平均値、
周波数領域負ピーク平均値、
加速度周波数領域データを積分することによって導出されるピーク速度データ値であって、例えば、各速度値は、ビンのセットのうちの1つのビンにおける最大値もしくはいくつかの最大値のうちの1つである、ピーク速度データ値、および/または
前記センサが取り付けられている構成要素の回転可能な部分の回転速度
のうちのいずれか1つまたは複数を含む、請求項42または請求項43に記載の方法。
【請求項45】
振動センサに隣接する振動を表す時間領域振動データを生成するステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
LoRaWAN(登録商標)プロトコルを使用して前記周波数領域データの前記サブセットを送信するステップを含む、請求項38から請求項45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
外部メモリに前記時間領域データを保存するステップと、処理のために前記時間領域データを前記信号処理コンポーネントにロードするステップと、を含む、請求項43から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記時間領域データをいくつかのバッチで処理することができるように、前記時間領域データの連続する部分を前記信号処理コンポーネントにロードするステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
定義された周波数帯域から前記周波数領域データの前記サブセットを選択するステップを含む、請求項43から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
バッファ内の前記データの量が前記データ送信コンポーネントによって使用されるデータパケットのペイロードを満たすのに十分になるまで前記バッファをデータで徐々に満たすステップと、十分なデータが前記バッファ内に存在するときに前記バッファ内の前記データを前記データ送信コンポーネントによって送信させるステップと、を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの定義された基準が満たされる場合、データパケットを満たすのに十分なデータがあるかどうかに関係なく前記データを送信するステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大および/または最小許容値を含み、前記センサに関連付けられた電流値が前記最大値または最小値を超える場合に前記電流値が送信される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大許容差分値を含み、前記許容差分値は、現在値と対応する以前の値との間の差分量を表し、現在の差分値が前記最大差分値を超える場合に前記現在値が送信される、請求項51または請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNGプラント内の構成要素の振動および温度特性など、産業設備内の構成要素の動作特性を感知するためのセンサ装置、複数のそのようなセンサ装置を含むセンサネットワーク、ならびに産業設備内の構成要素の動作特性を感知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業設備内の構成要素の振動および温度などの動作特性を感知するためのセンサ装置を設けることが知られており、典型的には、そのようなセンサ装置は、取り込まれた温度および振動信号を分析のために遠隔設備に通信するように構成される。典型的には、そのような装置は、従来のケーブル配線、または例えば802.11x、LTEもしくは802.15.4プロトコルに基づく無線通信構成を使用して、少なくとも産業設備の近くで信号を通信する。
【0003】
動作特性を感知するための既存のセンサ装置は、通常、通信する必要がある取り込まれたデータの量が多いため、比較的高度である必要がある。既存のセンサ装置はまた、高価である傾向があり、装置が2年程度、場合によっては数ヶ月の寿命を有する程度まで比較的大量の電力を消費する傾向があり、これは、一般的に多数のセンサ装置が使用されるため、産業設備における大きな負担である。
【0004】
加えて、802.11x、LTE、または802.15.4プロトコルに基づく従来の通信ケーブル配線および通信装置は高価であり、多数の装置をサポートするのに必要なインフラストラクチャのために、産業設備におけるセンサ装置の提供が法外なコストになる。
【0005】
さらに、802.11xなどのプロトコルに基づく無線通信構成は、比較的高いキャリア周波数(典型的には2.4GHz)、関連する限られた範囲(典型的には100m未満)、および障害物、特に金属製の障害物を通る低い浸透特性を有する。これは、多くの金属障害物を含む典型的な産業設備では非常に望ましくない。
【0006】
したがって、産業設備内の構成要素の動作特性を感知するための既存のセンサ装置は、実装するのに費用がかかり、非効率的であり、問題がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、センサ装置であって、
センサに隣接する感知された時間依存特性を表す時間領域データを生成するように制御されたセンサと、
信号処理コンポーネントであって、信号処理コンポーネントが、時間領域データを使用して、時間領域データ内に存在する周波数成分を示す周波数領域データを生成するように構成された、信号処理コンポーネントと、
LPWANプロトコルを使用して周波数領域データの一部を送信するように構成されたデータ送信コンポーネントと
電力管理基準に従ってセンサ装置の少なくとも1つの構成要素への電力供給を制御するように構成された電力マネージャであって、電力管理基準がウェイクアップ時間およびスリープ時間を定義することにより、少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力はウェイク時間中に接続され、少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力はスリープ時間中に切断される、電力マネージャと
を含み、
各ウェイク時間中に、センサ装置は、
単一のデータパケットに含めることできるデータの量に従って、周波数領域データから周波数領域データのサブセットを選択し、
周波数領域データの選択されたサブセットを単一のデータパケットで送信し、
各ウェイク時間中にただ1つのデータパケットが送信される、
ように構成される、センサ装置が提供される。
【0008】
一実施形態では、周波数領域データの選択されたサブセットは、周波数領域データ内の定義された数の周波数ピークに対応する。
【0009】
一実施形態では、周波数領域データの選択されたサブセットは、周波数領域データ内の定義された数の最も高い周波数ピークに対応する。
【0010】
一実施形態では、周波数領域データの選択されたサブセットは、周波数領域データ内の最も高い33個の周波数ピークに対応する。
【0011】
一実施形態では、センサ装置はまた、周波数領域データの選択されたサブセットに加えて他のデータを送信するように構成される。
【0012】
一実施形態では、他のデータの量は、単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って決定される。
【0013】
一実施形態では、他のデータは、以下のうちのいずれか1つまたは複数を含む。
【0014】
最大ピーク加速度振幅、
最小ピーク加速度振幅、
平均加速度振幅、
時間領域加速クレストファクタ、
周波数領域rms値、
周波数領域正ピーク平均値、
周波数領域負ピーク平均値、
加速度周波数領域データを積分することによって導出されるピーク速度データ値であって、例えば、各速度値は、ビンのセットのうちの1つのビンにおける最大値もしくはいくつかの最大値のうちの1つである、ピーク速度データ値、および/または
センサが取り付けられている構成要素の回転可能な部分の回転速度。
【0015】
一実施形態では、センサは、振動センサに隣接する振動を表す時間領域振動データを生成するように構成される。
【0016】
一実施形態では、センサは、時間領域加速度データ、時間領域速度データ、および/または時間領域変位データを生成するように構成される。
【0017】
一実施形態では、LPWANプロトコルはLoRaWAN(登録商標)プロトコルであ
【0018】
一実施形態では、センサ装置は、信号処理コンポーネントおよびデータ送信コンポーネントとは別個の外部メモリを含み、センサ装置は、外部メモリに時間領域データを保存し、処理のために時間領域データを信号処理コンポーネントにロードするように構成される。センサ装置は、時間領域データをいくつかのバッチで処理することができるように、時間領域データの連続する部分を信号処理コンポーネントにロードするように構成され得る。
【0019】
一実施形態では、周波数領域データの選択されたサブセットは、定義された周波数帯域から選択される。
【0020】
なくとも1つのセンサ装置構成要素は、センサ、少なくとも1つのセンサポート、信号処理コンポーネントおよびデータ送信コンポーネントとは別個の外部メモリ、ならびに/またはリプログラミングポートを含み得る。
【0021】
一実施形態では、センサ装置は、電力マネージャからの起動信号に応答する少なくとも1つの電力スイッチを含み、電力スイッチは、起動信号に応答して少なくとも1つのセンサ装置構成要素に電力を供給させ、起動信号がない場合は少なくとも1つのセンサ装置構成要素に電力を供給させないように構成される。少なくとも1つの電力スイッチは、MOSFETであってもよい少なくとも1つのFETを備えてもよい。
【0022】
一実施形態では、電力マネージャは、データ送信コンポーネントの使用を制御するように、定義された基準に従ってデータ送信コンポーネントによる周波数領域データの送信を制御するように構成される。
【0023】
一実施形態では、電力マネージャは、バッファ内のデータの量がデータ送信コンポーネントによって使用されるデータパケットのペイロードを満たすのに十分になるまでバッファをデータで徐々に満たし、十分なデータがバッファ内に存在するときにバッファ内のデータをデータ送信コンポーネントによって送信させるように構成される。
【0024】
一実施形態では、電力マネージャは、少なくとも1つの定義された基準が満たされる場合、データパケットを満たすのに十分なデータがあるかどうかに関係なくデータを送信するように構成される。
【0025】
少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大および/または最小許容値を含んでもよく、電力マネージャは、センサに関連付けられた電流値が最大値または最小値を超える場合に電流値が送信されるように構成され得る。
【0026】
少なくとも1つの定義された基準は、センサに関連付けられた最大許容差分値を含んでもよく、許容差分値は、現在値と対応する以前の値との間の差分量を表し、電力マネージャは、現在の差分値が最大差分値を超える場合に現在値が送信されるように構成され得る。
【0027】
一実施形態では、センサ装置は、ハートビート通信を送信して、受信したセンサ値に基づいて監視対象の構成要素が予想どおりに動作していることを示し、少なくとも1つの定義された基準が満たされた場合に周波数領域データを送信するように構成される。
【0028】
一実施形態では、信号処理コンポーネントは、時間領域データを使用して高速フーリエ変換(FFT)データを生成するためにFFTプロセスを実行するように構成される。
【0029】
センサ装置は、時間領域データサンプルを生成するように構成されたサンプラを備えてもよく、信号処理コンポーネントは、時間領域データサンプルを使用して、時間領域サンプル内に存在する周波数成分を示す周波数領域データを生成するように構成される。
【0030】
一実施形態では、センサ装置は、少なくとも1つのさらなるセンサを備え、データ送信コンポーネントは、少なくとも1つのさらなるセンサから導出されたセンサデータの少なくとも一部を送信するように構成される。少なくとも1つのさらなるセンサは、温度センサを含み得る。
【0031】
一実施形態では、センサは、3つの互いに直交する軸の振動を感知するように構成され得る加速度計を備える。
【0032】
一実施形態では、加速度計は、加速度、速度、または変位を示す時間領域データを生成するように構成される。
【0033】
一実施形態では、センサ装置は、システムオンチップ(SoC)装置の一部を形成し得るプロセッサを含み、SoC装置はデータ送信コンポーネントを含む。
【0034】
一実施形態では、センサ装置は、SoC装置のデータ入力とセンサ装置の構成要素との間で多重化するためのデコーダを備える。
【0035】
一実施形態では、センサ装置は、センサ装置に関連付けられた固有の識別子を示す機械可読コードを含む。機械可読コードはQRコード(登録商標)を含み得る。
【0036】
一実施形態では、センサ装置の構成要素は、構成要素が周囲条件から隔離されるようにカプセル化される。
【0037】
一実施形態では、センサ装置は、バッテリからセンサ装置のすべての電気コンポーネントへの電力供給を制御するように構成された本質的に安全なスイッチを含む。本質的に安全なスイッチは、リードスイッチと、リードスイッチに隣接して配置された凹部に受け入れ可能な磁石とを含み得、磁石が凹部に受け入れられない場合、リードスイッチは閉じられ、磁石が凹部に受け入れられる場合、磁石によって生じる磁力がリードスイッチを開く。
【0038】
一実施形態では、センサ装置は、センサ装置を産業設備構成要素に取り付けるための磁気足部など、少なくとも1つの磁気部分を備える。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、センサネットワークであって、
本発明の第1の態様に係る複数のセンサ装置と、
センサ装置のデータ送信コンポーネントからのデータ送信を容易にすることができる通信ネットワークと、
データ送信コンポーネントからのデータ送信が遠隔設備で受信可能であるように、通信ネットワークを介して複数のセンサ装置とネットワーク通信する遠隔設備と
を含む、センサネットワークが提供される。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、センサ装置を使用して構成要素の動作特性を感知する方
法であって、本方法は、
センサ装置を構成要素上に配置するステップと、
センサ装置にセンサを設けるステップと、
センサに隣接する感知された時間依存特性を表す時間領域データを生成するようにセンサ装置制御するステップと、
時間領域データを使用して周波数領域データを生成するためにセンサ装置の信号処理コンポーネントを使用するステップであって、周波数領域データ、時間領域データ内に存在する周波数成分を示す、ステップと、
電力管理基準に従ってセンサ装置の少なくとも1つの構成要素への電力供給を制御するステップであって、電力管理基準がウェイクアップ時間およびスリープ時間を定義することにより、少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力はウェイク時間中に接続され、少なくとも1つのセンサ装置構成要素への電力はスリープ時間中に切断される、ステップと
を含み、
各ウェイク時間中に、本方法は、
単一のデータパケットに含めることができるデータの量に従って周波数領域データから周波数領域データのサブセットを選択するステップと、
LPWANプロトコルを使用して、センサ装置のデータ送信コンポーネントを使用して単一のデータパケット内の周波数領域データの選択されたサブセットを送信するステップと
を含み、
各ウェイク時間中ただ1つのデータパケットが送信される、
方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
ここで、添付の図面を参照して、本発明を単なる例として説明する。
図1】本発明の一実施形態によるセンサ装置の概略図である。
図2】本質的に安全なスイッチを示す、図1のセンサ装置の概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるセンサネットワークの概略図であり、センサネットワークは、図1および図2に示す複数のセンサ装置を含む。
図4図1および図2に示すセンサ装置の構成要素を示すブロック図である。
図5図1および図2に示すセンサ装置の機能コンポーネント、ならびに図1および図2に示すセンサ装置のプロセッサによって実装される機能コンポーネントの概略図である。
図6a】3軸加速度計から取り込まれた生のサンプル振動データを示す図である。
図6b】3軸加速度計から取り込まれた生のサンプル振動データを示す図である。
図6c】3軸加速度計から取り込まれた生のサンプル振動データを示す図である。
図7】a)は、図6aに示す生のサンプル振動データから得られたFFTデータを示す図であり、b)は、図6bに示す生のサンプル振動データから得られたFFTデータを示す図であり、c)は、図6cに示す生のサンプル振動データから得られたFFTデータを示す図である。
図8図1図5に示すセンサ装置の動作プロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図面を参照すると、図1には、産業設備内の構成要素の動作特性、この例ではLNGプラント内の構成要素の振動および温度特性を得るために、産業設備での使用に適したセンサ装置10が示されている。そのような構成要素は、例えば、圧縮機、ポンプ、モータ、およびファンを含む少なくとも1つの可動部品と、熱交換器と、スイッチギヤと、構造監視装置と、を組み込んだ構成要素を含み得る。追加的または代替的に、構成要素の速度および/または変位を含む他の動作特性が得られ得る。
【0043】
センサ装置10は、センサ装置の構成要素が周囲条件から隔離されるように構成要素を封入するハウジング12と、監視されることが望ましい特性を有する産業設備内の構成要素へのセンサ装置10の磁気的取り付けを容易にするために、この例では磁性である、この例では4つの、複数の脚部14と、を含む。磁気的取り付けの代替として、センサ装置10は、他の方法で、例えばケーブルタイを使用して、産業設備構成要素に取り付けられてもよいことが理解されよう。
【0044】
この例では、例えばコミッショニングプロセスの一部として、センサ装置を一意に識別するために識別表示がハウジング12に配置され、センサ装置10を、センサ装置が監視する特定の産業設備構成要素に関連付けることが望ましい。この例では、識別表示は、Q
Rコード(登録商標)16などの機械可読コードを含む。
【0045】
センサ装置10はまた、センサ装置10の構成要素に電力を接続するか、または構成要素から電力を切断することによってセンサ装置を作動または停止させるように機能する本質的に安全なスイッチ17を含む。この例では、本質的に安全なスイッチ17は、リードスイッチ18と、リードスイッチ18に隣接して配置された細長い凹部22に受け入れ可能な細長い磁石20と、を含む。磁石20が凹部22に受け入れられない場合、リードスイッチ18は閉じられ、磁石20が凹部22に受け入れられる場合、磁石によって生じる磁力がリードスイッチ18を開くように構成される。
【0046】
本質的に安全なスイッチ17は、センサ装置構成要素が、ユーザがセンサ装置を作動および停止させるための効果的な構成を提供しつつ、封入および周囲から隔離されたままであることを有効にすることが理解されよう。
【0047】
別の構成では、センサ装置の起動および停止を容易にするためにリードスイッチ18および磁石20を使用する代わりに、センサ装置は、機械的スイッチおよびMOSFETを含んでもよく、例えば、スイッチ電流は分圧器の抵抗器を使用して制限される。
【0048】
図3には、複数の産業設備、この例では2つの産業設備32a、32bに配置された複数のセンサ装置10a、10bを示すセンサネットワーク30が、示されている。
【0049】
各産業設備32a、32bは、複数の産業設備構成要素34a、34bを含み、その各々は、この例では磁気脚部14を使用して、産業設備構成要素に取り付けられた関連するセンサ装置10a、10bを有する。
【0050】
各センサ装置10a、10bは、複数のセンサ装置10a、10bから無線通信を受信し、かつこの例ではファイアウォール38a、38bを介してローカルサーバ40a、40bと無線通信するように構成されたゲートウェイ36a、36bと通信する。次いで、各ローカルサーバ40a、40bは、例えば従来の方法で、インターネット42などの広域ネットワークを介して共通の遠隔分析設備44と通信し、共通の遠隔分析設備は、例えば、センサ装置10a、10bから受信したデータを分析するために使用され得る。
【0051】
この例では、分析設備44は、ローカル端末50によって直接、またはリモート端末52によって例えばインターネット42を介して遠隔にアクセス可能なファイアウォール46およびリモートサーバ48を含む。
【0052】
各産業設備32a、32bにおける通信ネットワークは、低電力(しかし、低ビットレート)での長距離通信を容易にするように構成された低電力広域ネットワーク(LPWAN)に従って構成される。LPWANは、典型的には、最大10kmの範囲を有し、チャネル当たり約0.3kbit/s~50kbit/sのビットレートを有し、LPWANベースの装置は、典型的には、バッテリ交換が必要となるまで10年以上動作することができる。本例では、低電力、長距離、容易にスケーラブルなLoRaWAN(登録商標)無線通信ネットワークプロトコルが使用されるが、他のLPWANプロトコルが使用されてもよいことが理解されよう。
【0053】
オーストラリアのLoRaWAN(登録商標)は、915~930MHzの搬送波周波数を使用して動作する。LoRaWAN(登録商標)プロトコルを使用する通信ネットワークは、16km程度の距離にわたって通信することができ、LoRaWAN(登録商標)信号は、例えば802.11xプロトコル信号よりも高密度の金属環境を容易に通過する。さらに、LoRaWAN(登録商標)プロトコルは、数千のノードを各ゲートウェイ
に接続することを可能にする拡散信号チャープ技術を使用し、これは、例えば802.11x、LTEおよび802.15.4プロトコルと比較して非常にスケーラブルなネットワークを提供する。
【0054】
加えて、LPWANプロトコルを使用する装置は、例えば802.11x、LTE、または802.15.4プロトコルを使用する装置よりも著しく少ない電力を使用するため、本センサ装置10a、10bの電力消費は、これまで知られている関連するセンサ装置よりも著しく少ない。
【0055】
さらに、LPWANプロトコルを使用する通信ネットワークの構成要素は、802.11x、LTE、または802.15.4ネットワークに必要な構成要素よりも著しく安価であるため、本センサ装置10a、10bは、これまで知られている関連するセンサ装置よりも著しく安価である。
【0056】
しかしながら、LPWANは、例えば802.11xよりも著しく低い周波数を使用するため、データを送信するためにセンサ装置10に利用可能な帯域幅は、802.11xに比べて著しく低減される。
【0057】
図4を参照すると、センサ装置10の構成要素60が示されている。構成要素60間の相互接続は、データ接続70および電力接続72を含む。
【0058】
構成要素60は、プロセッサ64および関連する内部メモリ66を有する通信システムオンチップ(SoC)装置62と、ゲートウェイ36にRF信号を無線で送信し、そこからRF信号を無線で受信するように構成された無線周波数モデム68と、を含む。この例では、SoC装置62は、Arm Cortex3マイクロコントローラを含むMultitech xDot装置であるが、任意の適切なSoC装置が想定されることが理解されよう。
【0059】
非常に低い電力使用特性を有するSoCが選択されたが、この結果、内部メモリ66の量が小さすぎて所望の数の振動データサンプルを処理することができない。このため、外部メモリ90も含まれる。
【0060】
構成要素60は、この例では3.7Vバッテリであるバッテリ74と、バッテリ電圧を監視し、例えば定期的に、バッテリ電圧を示す通信を分析設備44に送信するように構成されたバッテリ監視装置76と、を含む。
【0061】
構成要素60はまた、起動信号の受信に応答してバッテリ74からプロセッサ64、RFモデム68、およびデコーダ82に電力を供給する第一電力スイッチ80への起動信号の通信を制御するように構成された本質的に安全なスイッチ17を含む。
【0062】
この例では、第一電力スイッチ80は、MOSFETなどのFET装置を備える。
【0063】
同様に、第二電力スイッチ84はプロセッサ64からの起動信号に応答し、起動信号の受信に応答して、第二電力スイッチ84はバッテリ74から加速度計86、温度センサ88、外部メモリ90、リプログラミングポート92、第一センサポート94および第二センサポート96に電力を供給する。
【0064】
この例では、第二電力スイッチ84は、MOSFETなどのFET装置を備える。
【0065】
SoC装置62は非常に低い固有の電力使用特性を有するが、センサ装置10の電力使
用プロファイルは、構成要素が使用されていないときに第二電力スイッチ84を使用してセンサ装置10の構成要素から電力を能動的に除去することによって低レベルに維持されることが理解されよう。
【0066】
選択されたSoC装置62の種類およびセンサ装置10の電力管理構成に基づいて、本センサ装置10は約10年の生産寿命を有することが想定される。
【0067】
デコーダ82は、SoC装置62に接続されるポートの有効数を増やすことができるように含まれ、デコーダ82は、SoC装置62および加速度計86/外部メモリ90/第一センサポート94/および第二センサポート96のデータ入力間のマルチプレクサとして機能する。デコーダ82は、デコーダ82の多重化機能を制御するために、プロセッサ64のチップセレクト制御線を使用し得る。
【0068】
加速度計86は、振動を感知し、振動を示す信号を生成するように構成される。この例では、加速度計86は、互いに直交する3つの軸の振動を感知し、x、y、およびzの直交振動を示す3つの信号を生成する。振動を示す信号は、この例では3つの相互に直交する方向の加速度、速度、および/または変位を示す信号であってもよい。
【0069】
この例では、加速度計86はADXL345 MEMSベースの加速度計であるが、任意の適切な加速度計が想定されることが理解されよう。
【0070】
加速度計86から受信した生の振動信号を示すデータは、プロセッサ64の制御下で、外部メモリ90に一時的に保存され、振動データは、続いてプロセッサ内部メモリ66にロードされ、その結果、プロセッサ64によって振動データに対して高速フーリエ変換(FFT)プロセスを実行することができる。この例では、実行されるFFTプロセスは、加速度計86によって生成された生の振動信号をサンプリングすることによって得られた約65,536個の振動データ点に基づく。
【0071】
LPWAN、この例ではLoRaWAN(登録商標)プロトコルに関連する帯域幅は大量のサンプリングされた振動データを送信することが不可能である程度に低いが、帯域幅はFFT分析の結果を示すデータを送信するのに十分であるため、センサ装置10によるオンボードFFT分析が必要であることが理解されよう。したがって、センサ装置10でFFT分析を実施することにより、情報量の多い比較的小さなデータセットを送信することを有効にする。この例では、送信されたデータセットは、LoRaWAN(登録商標)パケットペイロードのサイズであるため、200バイト程度である。
【0072】
この例では、温度センサ88はDS18B20温度センサであるが、任意の適切な温度センサが想定されることが理解されよう。
【0073】
この例では、外部メモリ90は4MbのSRAMであり、SRAMは揮発性であり、フラッシュメモリとは異なり、多数の書き込みに耐えることができるために使用されるが、任意の適切な外部メモリが想定されることが理解されよう。
【0074】
リプログラミングポート94は、例えばSoC装置62を再プログラムするために、センサ装置10と直接通信するために使用される。
【0075】
第一および第二センサポート94、96は、他のセンサ、例えば音声センサへの接続用である。
【0076】
図5を参照すると、プロセッサ64の、またはプロセッサ64によって実装される機能
コンポーネント100が示されている。プロセッサ64は、プロセスを実施し、かつデータを一時的に保存するために使用される、関連する一時メモリ66を含む。プロセッサ64はまた、例えば不揮発性メモリ(図示せず)に保存されたプログラムを使用してプロセスを実施する。
【0077】
プロセッサ64によって実装される機能コンポーネント100は、
温度センサ88からの温度を示すデータの取り込みを制御および調整し、取り込んだ温度データを外部メモリ90に保存するように構成されたデータ取り込み部102と、
加速度計86からの振動データのサンプルの取り込みを制御および調整し、サンプルを外部メモリ90に保存するように構成されたサンプラ104と、
サンプリングされた振動データに対して高速フーリエ変換を実施してFFT振動データを生成し、FFT振動データを外部メモリ90に保存するように構成された高速フーリエ変換(FFT)実行部106と、
特に、第二電力スイッチ84を使用してセンサ装置10の構成要素60のいくつかへの電力供給を管理することによって、センサ装置による電力使用を管理するように構成された電力マネージャ108と、
プロセッサ64と外部メモリ90との間のデータの転送を管理するように構成されたデータハンドラ110と、
RFモデム68を制御し、RFモデムによるデータの送受信を調整するように構成された送信機コントローラ112と
を含む。
【0078】
機能コンポーネント100はまた、例えば、
温度センサ88からの温度を示すデータの取り込みタイミングと、
加速度計86からの振動データのサンプルの取り込みタイミング、およびサンプリングレートを含むサンプリング特性と、
FFT特性と、
送信用にRFモデム68に提供されるべきFFT振動データから導出されるデータのセットを定義する特性を含む送信データ特性と、
スリープ時間およびウェイク時間を含む電力管理特性、ならびにRFモデム68によって実行される送信数を最小化するための構成と
に関連する構成設定114を含む。
【0079】
この例では、設定は、温度を示すデータが15分ごとなど周期的に取り込まれることを定義するが、任意の適切なデータ取り込みタイミング方式が想定されることが理解されよう。
【0080】
この例では、設定は、振動データのサンプルが15分ごとなど周期的に取り込まれることを定義するが、任意の適切なデータ取り込みタイミング方式が想定されることが理解されよう。この例では、サンプリングレートは約3.2kHzであるが、任意の適切なサンプリングレートが想定されることが理解されよう。
【0081】
この例では、FFT実行部106は、Cooley-Tukeyアルゴリズムを使用するが、任意の適切なFFTアルゴリズムが想定されることが理解されよう。
【0082】
この例では、RFモデム68による送信用にFFT振動データから導出されるデータのセットは、定義された数の周波数ピーク、例えばFFT振動データ内の33個の最も高い周波数ピークに基づいて選択されるが、送信用のFFT振動データからのデータのセットを選択するために任意の適切な基準を使用してもよいことが理解されよう。例えば、データのセットは、定義された周波数帯域内の定義された数の周波数ピークに基づいて選択さ
れてもよい。あるいは、送信用のデータのセットは、ピークの最大数までの規定値を超えるすべてのピークなど、定義された基準に基づいてもよい。
【0083】
この例では、磁石20を凹部22から取り外すことによってセンサ装置10を起動した後、センサ装置10の電力管理は、プロセッサ64によって管理される電力管理特性に基づいて第二電力スイッチ84によって制御される。電力管理特性は、加速度計86、温度センサ88、外部メモリ90、リプログラミングポート92、第一センサポート94および第二センサポート96に、これらの構成要素のいずれかによって動作が実行される必要がある場合にのみ電力が供給されることを定義してもよい。例えば、電力管理特性は、構成設定が温度および振動データを取り込む必要があることを示している場合に構成要素に電力が供給され、温度データおよびFFT振動データがRFモデム68によって送信された後に構成要素から電力が除去されることを定義してもよい。
【0084】
生の振動データおよびFFT振動データの例を図6および図7に示す。
【0085】
図6a~図6cは、加速度計86から取り込まれた生のサンプル振動データを示す。図6aはx軸の生のサンプル振動データを示し、図6bはy軸の生のサンプル振動データを示し、図6cはz軸の生のサンプル振動データを示す。
【0086】
図7a~図7cは、図6a~図6cに示す生のサンプル振動データから得られたFFTデータを示す。図7aはx軸のFFTデータを示し、図7bはy軸のFFTデータを示し、図7cはz軸のFFTデータを示す。
【0087】
この例では、FFTのx、yおよびz軸データの各々について、33個の最も高いピークに対応するデータが選択され、RFモデム68を使用して遠隔分析設備44に送信される。
【0088】
遠隔分析設備44では、受信した選択されたFFTデータおよび受信した温度データを使用して、例えば構成要素34に関連して問題が存在するかどうかを判定するために、監視対象の構成要素34の振動および温度特性を分析することができる。
【0089】
使用されるセンサの種類に応じて、またはセンサに使用される構成に応じて、受信されたFFTデータは、加速度、速度、または変位を示し得る。
【0090】
この例の遠隔分析設備44は、複数の産業設備32に関連付けられた構成要素34の動作特性を監視するように構成され、このようにして、遠隔分析設備44で適切なソフトウェアを使用することによって、オペレータが産業設備の態様を改善することを有効にし得る動作傾向を示す有用なデータを開発することが可能であることが理解されよう。
【0091】
センサ装置10は、以下の特徴を含むことにより、IECEx認証要件に準拠するように構成される。
【0092】
センサ装置構成要素を、内部放熱および安全率によって生成される温度に耐えることができる材料内に封入する。
【0093】
40オーム抵抗を使用してすべての外部電子素子を電流制限する。
【0094】
装置に電力を供給するのに十分な3.7Vバッテリを封入材料に含める。
【0095】
封入材にアンテナを含む。
【0096】
すべての保護されていない内部回路トレースが少なくとも0.5mmの間隔を有することを保証する。
【0097】
本実施形態では、電力使用をさらに最小限に抑えるために、センサ装置10は、比較的電力消費が高いRFモデム68の使用が最小限に抑えられるように、定義された基準に基づいてデータを送信するように構成されてもよい。例えば、データが収集された直後にデータを送信するのではなく、電力マネージャ108は、例えばCPU64に実装されたデータのバッファを維持し、バッファ内のデータの量がLoRaWAN(登録商標)パケットのペイロードを満たすのに十分になるまでバッファを徐々に満たすように構成され得る。必要なパケット長が達成された後、電力マネージャ108はデータを送信させる。
【0098】
本実施形態では、FFT振動データは取得された直後に送信され、温度データはバッファを満たすために使用され、バッファが一杯になったときにのみ送信される。
【0099】
しかしながら、この構成の変形例では、電力マネージャ108は、LoRaWAN(登録商標)パケットを満たすのに十分なデータがあるかどうかにかかわらず、少なくとも1つの定義された基準が満たされた場合に、作成されたデータを送信するように構成されてもよい。
【0100】
例えば、最大許容温度値および最小許容温度値の記録が保存されてもよく、電力マネージャ108は、検出された温度データ値が最大値または最小値を超える場合に、現在の温度データが送信されるように構成される。
【0101】
同様に、最大許容FFT振動値または温度差分値の記録が保存されてもよく、許容差分値は、現在値と対応する以前の値との間の差分量を表す。この例では、電力マネージャ108は、差分値が最大差分値を超える場合に、現在のデータが送信されるように構成され得る。さらに、この構成では、センサ装置10は、差分の閾値を超えていない場合にハートビート通信を送信して、監視対象の構成要素が予想どおりに動作していることを分析設備44に示し、閾値を超えている場合にのみデータを送信して、構成要素の特性が著しく変化したことを示すように構成されてもよい。
【0102】
図8を参照すると、センサ装置10の動作の例示的なプロセスを示すフロー図130が示されている。
【0103】
ウェイクアップ時間を定義するデータ取り込みおよび電力管理構成設定114に基づいて、プロセッサ64は、加速度計86、温度センサ88、外部メモリ90、リプログラミングポート92、第一センサポート94および第二センサポート96に電力を供給させることによって、第二電力スイッチ84に起動信号を送信して、センサ装置10をウェイクアップさせる(132)。ウェイクアップ後、プロセッサ64は、保存された構成設定114を読み出して(134)、温度センサ88および加速度計86からの温度および振動データの取り込みに使用する設定を決定し、その設定を使用して、温度データおよび生の3軸振動データのサンプルが取得され(136、138、140)、外部メモリ90に保存される(142)。
【0104】
加速度計86を含むセンサ装置10の構成要素の少なくともいくつかは、スリープ信号に応答する入力を含んでもよく、それにより、電力は依然として構成要素に供給されるが、スリープ信号の受信に応答して、構成要素がより少ない電力を使用するように構成要素はスリープ状態に置かれる。
【0105】
本例では、加速度計86は、加速度計信号が取り込まれた後にスリープ状態に置かれる(144)。
【0106】
プロセッサ64は、データハンドラ110を使用して、生の振動データの連続する部分を外部メモリ90から内部メモリ66にロードし(146)、FFT実行部106を使用して、生の振動データに対してFFT処理を実行し(148)、FFT振動データを生成する。FFT振動データは、外部メモリに保存される(150)。
【0107】
保存されたFFT振動データを使用して、構成設定114において定義されたFFT特性に基づいて保存されたFFTデータからデータが選択され(152)、選択されたFFTデータは、RFモデム68によってLoRaWAN(登録商標)プロトコルを使用して遠隔分析設備44に送信される。
【0108】
遠隔分析設備44がセンサ装置10から選択されたFFTデータを受信した後、遠隔分析設備44は、センサ装置10が起動している間にセンサ装置10に命令を送信する機会を得てもよい。例えば、命令は、サンプル時間、ウェイク/スリープ時間、サンプルレートなどを変更するための新しい構成データを含んでもよく、または命令は、センサ装置10を再起動するための命令を含んでもよい。受信された新しい構成データが保存され(160)、スリープ時間を定義する電力管理構成設定114に基づいて、プロセッサ64は、第二電力スイッチ84に非アクティブ化信号を送信して、センサ装置10を次のスケジュールされたウェイク時間までスリープさせる(164)。
【0109】
上記の実施形態は、FFT周波数領域データが時間領域振動データから取得され、周波数領域データ内の最も高いピークの定義された数(例えば33)など、FFTデータのサブセットがRFモデム68による送信用に選択される構成に関連して説明されている。そのようなデータは、各LPWANパケットで送信され得る。例えば、LPWANパケットは、以下の表に示すデータを含む約200バイトを含み得る。
【0110】
【表1】
【0111】
この構成では、センサ10からデータを取り込んだ後、データは通常、単一のLPWANパケットで送信され得、その結果、センサ10による電力消費は低いことが理解されよう。しかしながら、各データ取り込みインスタンスに関連付けられたデータは通常、単一のLPWANパケットを使用して送信されるが、状況によっては、送信する必要があるデータに応じて、2つ以上のパケットが送信される場合がある。
【0112】
代替の実施形態では、FFTデータの選択されたサブセットは、異なる数の最も高いピーク、および/またはピークデータを通信するために使用される異なる数のバイトを含み得る。例えば、本発明者らは、165m/s2が周波数領域データにおける加速度振幅の十分に高い最大値であり、その結果、より少ないバイト数を使用してLPWANパケット
内の振幅データを表すことが可能であることを認識した。この例では、ピーク振幅データに4ではなく3バイトが使用されることから、データの周波数ピークごとにLPWANパケットで1ビットが利用可能であるため、取り込まれた時間領域振動データから導出可能な追加のデータを各LPWANパケットに含めることが可能である。
【0113】
例えば、LPWANパケットは、以下のうちの任意の1つまたは複数を示すデータを含み得る。
【0114】
最大ピーク加速度振幅、
最小ピーク加速度振幅、
平均加速度振幅、
時間領域加速クレストファクタ、
周波数領域rms値、
周波数領域正ピーク平均値、
周波数領域負ピーク平均値、
加速度周波数領域データを積分することによって導出されるピーク速度データ値であって、例えば、各速度値は、ビンのセットのうちの1つのビンにおける最大値もしくはいくつかの最大値のうちの1つである、ピーク速度データ値、および/または
センサが取り付けられている構成要素の回転可能な部分の回転速度。
【0115】
上記のデータを送信する実施形態は、以下の表に示すデータを含むLPWANパケットを含み得る。
【0116】
【表2】
【0117】
したがって、単一のLPWANパケットのみが依然として一般的に各データ取り込みインスタンスで送信される場合でも、追加の情報がこの構成で送信されることが理解されよう。
【0118】
しかしながら、時間領域および/または周波数領域データからセンサにおいて導出可能な任意の適切なデータがLPWANパケットに含まれてもよいことが理解されよう。
【0119】
本明細書で先行技術の刊行物が言及される場合、そのような言及は、その刊行物がオーストラリアまたは他の国における当技術分野の共通の一般知識の一部を形成することの承認となるものではないことを理解されたい。
【0120】
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の説明では、文脈上、明示的な言語または必要な含意により他の意味に解釈すべき場合を除いて、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は包括的な意味で使用され、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0121】
当業者に明らかであるような修正および変形は、本発明の範囲内にあると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8