(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】注入システム、注入器具及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
A01G 13/00 20060101AFI20240314BHJP
A01G 7/06 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A01G13/00 Z
A01G7/06 B
(21)【出願番号】P 2021528488
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070119
(87)【国際公開番号】W WO2020021041
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】521032896
【氏名又は名称】インヴァイオ サイエンシズ インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュプバッハ, ルーカス ルドロフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィドマー, ウルス
(72)【発明者】
【氏名】オエル, ミヒャエル クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】チェットゥール, アントニー マタイ
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0360709(US,A1)
【文献】実開昭48-047774(JP,U)
【文献】特開2017-131249(JP,A)
【文献】特開2000-041486(JP,A)
【文献】特開平06-169643(JP,A)
【文献】国際公開第2013/010909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
A01G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入器具であって、
入口ポートを有するベース、
及び
前記ベースから離れた遠位端部と前記ベースに近い近位端部とを有する貫入分配本体
を備え、前記貫入分配本体が、
前記貫入分配本体の
前記遠位端部にある切刃、
前記切刃か
ら前記貫入分配本体の
前記近位
端部へと延在する貫入要素
、
前記ベースから延在し、前記切刃にて合わさる対向面、及び
分配要素
を備え
、
前記切刃と前記貫入要素が、前記注入器具の長手方向軸に沿って延在する楔型の本体プロファイルを形成し、
前記分配要素が、
前記貫入分配本体の中心を通って長手方向に走る主チャンネルと、
分配ポートと、
前記主チャンネルの各側部に1つずつある、2つの分配リザーバであって、前記分配リザーバの各々は、前記貫入分配本体の両方の対向面を通して延在する開口部である、分配リザーバとを含む、
注入器具。
【請求項2】
前記
2つの分配リザーバが、隣接する植物組織に最も近い滞留部に
液状製剤を保持するように構成されている、請求項1に記載の注入器具。
【請求項3】
前記貫入要素の厚さが、前記貫入分配本体の前記遠位
端部から前記貫入分配本体の前記近位
端部及び前記ベースに向かって厚くなる、請求項1
又は2に記載の注入器具。
【請求項4】
前記入口ポートが、リブ付き外側構造を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項5】
前記ベースと前記貫入分配本体の間の移行部が、
前記注入器具の前記長手方
向軸から離れて延びる当接面を形成する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の注入器具。
【請求項6】
植物注入システムであって、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の注入器具、及び
前記注入器具と連通する送達装置
を備え、前記送達装置は液状製剤を保管するように構成されたコンテナーを含む、植物注入システム。
【請求項7】
前記コンテナーと連通する取り付けインターフェースをさらに含み、前記取り付けインターフェースは、前記注入器具の前記入口ポートと結合するように構成されている、請求項
6に記載の植物注入システム。
【請求項8】
前記送達装置が、前記コンテナーと前記取り付けインターフェースとの間に置かれた投薬装置をさらに含み、前記投薬装置は、前記注入器具に規定量の前記液状製剤を送達して、1つ以上の分配ポートから側方に分配するように構成されている、請求項
7に記載の植物注入システム。
【請求項9】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の注入器具、又は請求項
6から
8のいずれか一項に記載の植物注入システムを用いて、植物に液状製剤を分配する方法であって、
前記注入器具によって前記植物に貫入すること、及び
前記注入器具を介して前記植物に前記液状製剤を分配すること
を含む、方法。
【請求項10】
前記植物に貫入することが、
前記切刃で前記植物を突き刺すことを含み、前記貫入要素は前記注入器具の前記長手方
向軸に沿って動かされる、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記植物に前記液状製剤を分配することが、
前記注入器具の前記入口ポートから前記貫入分配本体の前記分配ポートへ前記液状製剤を送ること、及び
前記分配ポートから前記長手方
向軸に対して横断方向に前記
2つの分配リザーバ
の中へと前記液状製剤を送達すること
を含む、請求項
9又は
10に記載の方法。
【請求項12】
前記植物の植物組織に沿って前記液状製剤を保持すること
をさらに含む、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記液状製剤が1時間以上かけて分配される、請求項
9から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記液状製剤が連続的に分配される、請求項
9から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記分配ポートは、貫入運動方向に対して100度から180度の間の角度に向けられる、請求項1に記載の注入器具。
【請求項16】
前記分配ポートは、前記貫入運動方向に対して125度の角度に向けられる、請求項15に記載の注入器具。
【請求項17】
各分配ポートは、前記2つの分配リザーバのうちの1つの壁の中に凹む、請求項1に記載の注入器具。
【請求項18】
前記貫入分配本体は、ランスチップ形状を有する、請求項1に記載の注入器具。
【請求項19】
前記当接面は平らである、請求項5に記載の注入器具。
【請求項20】
前記当接面は、前記注入器具の挿入が意図される植物の一部分に対応する形状を有する、請求項5に記載の注入器具。
【請求項21】
前記分配ポートは、前記主チャンネルから液状製剤を受け入れて、前記液状製剤を、前記長手方向軸に対して横断方向に、前記2つの分配リザーバの中へ方向付けるように構成されている、請求項1に記載の注入器具。
【請求項22】
前記貫入分配本体の幅は、前記切刃から前記貫入分配本体の前記近位端部及び前記ベースに向かって広くなる、請求項1に記載の注入器具。
【請求項23】
前記注入器具は、前記入口ポートから前記分配要素の前記主チャンネルへ、前記主チャンネルを通して前記分配ポートへ、そして前記分配ポートを通して前記2つの分配リザーバの中へ、液状製剤を方向付けるように構成されている、請求項1に記載の注入器具。
【請求項24】
前記注入器具は、前記分配ポートから、前記注入器具の前記長手方向軸に対して横断方向に、前記2つの分配リザーバの中へ、前記液状製剤の少なくとも一部分を送達するように構成されている、請求項23に記載の注入器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
植物の貫入、及び貫入部での植物への製剤の投与。
【背景技術】
【0002】
様々な例では、液状有効成分配合製剤(Liquid active ingredient formulations)、例えば殺虫剤(insecticides)、殺菌・殺カビ剤(fungicides)、栄養素又は成長促進物質が植物に、例えば木の幹の形成層に注入される。液状製剤は、木の健康状態を維持又は改善するために投与される。他の例では、この手法は、ブドウの木などの他の(部分的に木質の(partially ligneous))植物に実施される。
【0003】
文献国際公開第2012/114197A1号パンフレット及び国際公開第2015/110535A1号パンフレットには、例えば、有効成分配合製剤を木に注入するための方法及び対応するシステムが説明されている。これらのシステムでは、木の形成層の範囲まで辺材にドリルで穴が開けられ、及びこの穴の外端がペグで閉鎖される。注射針がペグを通って穴の内側部分まで挿入される。有効成分配合製剤の用量すなわち投薬量が、投薬装置によって注射針を通して投与される。有効成分配合製剤は、徐々に形成層によって吸収される。一形態では、軸方向チャンネル及び側方出口開口部を有するペグが、穴に提供される。有効成分配合製剤は、軸方向チャンネルを通って送達されて、側方出口開口部を通って形成層に入る。別の形態では、統合逆止弁を有するペグと一緒に、無針投薬装置が使用される。形態のそれぞれにおいて、ペグは除去可能であるか、又は例えばさらなる処置のために、木の幹内の適所に留まる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明人らは、解決すべき問題は、対象植物への被害を最小限にするために、注入器具用のシステムプロファイル(サイズ又は形状)を最小限にし、同時に、植物へ貫入し且つ流体製剤(例えば、液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾルなどのうちの1種以上を含む製剤)を投与するための労力を最小限にすることを含むと判断した。以前の例示的なシステムは、処置される植物部位、特に木の幹が、最初にドリルで穴を開けられ、及び開けられた穴にペグが挿入されるという点で、労力がかかる。液状製剤は、例えばシリンダーと、流体を木に入れるプランジャーとを有するシリンジ型の装置によって、ペグを通して送達される。規定量の有効成分配合製剤による穴の正確な充填は困難である。植物組織は、優先的に、ペグ用の穴又はシリンジオリフィスへ、例えば液状製剤の挿入及び送達軸に沿って入り、且つ穴やオリフィスを塞ぐ。いくつかの例では、液状製剤の投与は、成長した植物組織に貫入して植物に入り込むために、被駆動プランジャーによって相当な圧力を必要とする。いくつかの例では、加圧液状製剤は、植物組織を傷つけ、それにより、そうでなければ液状製剤が送達される処置を妨げる。他の例では、植物は、以前の穴をくりぬくか又は新しい穴を形成するために、再びドリルで穴が開けられ、植物に追加的な外傷を生じる。
【0005】
さらに他の例では、ドリルビット、ペグなどを含む以前のシステムは、ロバストすなわち頑丈であるため、ペグの重量を支持し且つドリルでの穴開け及びペグの受け入れに耐える、対応して頑丈な木に使用される。これらのシステムは、限定されるものではないが、若木、より若い木、つる植物などを含むより小さいプロファイルの植物に使用することが困難である。なぜなら、ドリルでの穴開け及びペグの重量の支持は、植物の構造的完全性を低下させ、且つ曲がり、撓みなどを引き起こし得るためである。
【0006】
本発明人らは、少なくともこれらの問題に対処する、注入器具、注入器具を有する注入システム、及び方法を開発した。本明細書で説明する例示的な注入器具は、植物に貫入し、且つ植物組織へ製剤を分配するように液状製剤を投与するように構成され、同時に植物への被害を最小限する貫入分配本体を含む。注入器具は、例えば、貫入分配本体の長手方向体軸に沿って植物に貫入する貫入要素を含む。貫入分配本体は、本体に沿って分配要素、例えば1つ以上の分配ポートを含む。1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体に沿って、一例では、長手方向体軸に対して側方に開口している。植物が、例えば挿入中、長手方向体軸に沿って、本体の近位部分の方へ向かって逆方向に貫入要素の周りで動き回ると、1つ以上の分配ポートは、遠位部分から奥まった所に据えられ、且つ液状製剤の送達のために開口したままになる。さらに、前述の通り、植物組織は、長手方向体軸に沿って設けられたシリンジポート、ペグ穴などに入り得る。1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体の長手方向体軸に対して異なるベクトルに沿って液状製剤を投与するため、ポートは開口したままになって、最小限の圧力(被駆動プランジャー及びシリンダーによって加えられた圧力に対して)によって液状製剤を投与する。例えば、1つ以上の分配ポートは、開口し、側方に延在し、長手方向体軸に対して位置合わせされていない向き(例えば、横断方向、オフセット角度、直角、5度超、10度超又はそれを上回る角度)に沿って液状製剤などを分配し、それにより、植物組織によって塞がれるのを最小限にする。
【0007】
他の例では、1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体の本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられるため、植物組織がないままである。例えば、1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体などの本体プロファイル内の分配リザーバ内にある、アンカー要素のトラフ(例えば、ねじ切り部、縦溝、鋸歯、クリート、扇形の面(scalloped surface)など)に沿って設けられる。1つ以上の分配ポートは、本体プロファイル内にあり、及び植物組織の貫入によって、ポートは、塞ぐのを促すようには植物組織と係合されない。その代わりに、1つ以上の分配ポートは、貫入要素、及び少なくともいくつかの例では、植物組織自体から奥まった所に据えられる。従って、注入器具に送達された液状製剤は、植物に簡単に受け入れられ、且つ最小限の圧力又は努力で送達される。さらに、本明細書で説明するようなリザーバを含む例では、注入器具の近位の壁、面などは、周囲植物組織と組み合わせて、植物内に空洞を提供し、及び液状製剤は、これらの空洞の中に存在して、植物によって徐々に取り込まれる。
【0008】
本明細書で説明する注入器具、注入器具を有する注入システム、及び方法は、限定されるものではないが、どんな種類の幹又は茎のサイズの多年生植物も含む多種多様な植物への、有効成分を含む液状製剤の連続的な適用を容易にする。有害生物及び病気に対する有効成分としての化学薬品の使用は、議論を醸しているトピックである。今日では、農業用殺虫剤すなわち農薬(pesticides)は、葉面散布(噴霧すなわちスプレー)及び/又は繁殖体の処置(例えば、種子のケア)のいずれかによって、適用されることが多い。それにより、用いられる大量の化学物質が、標的植物や有害生物に到達せず、環境へと放出され、そこで、有益な生物(例えば蜂)などに影響を及ぼし得るか、又は環境汚染を引き起こす(例えば地下水)。それゆえ、本開示の1つの問題は、有効成分の非標的放出を最小限にすることである。特に、木及びバナナのような他の栽培樹木(plantation plant)の処置に関して言えば、特に従来の農業用殺虫剤の葉面散布は、相当な環境問題である。いくつかの実施形態では、本開示は、上述の問題の解決法を提供し、望ましくない環境又は毒性効果を低下させるか又は回避するために、有効成分の投薬率(dosage rates)を減少させる一方で、依然として有効な有害生物防除を可能にする、環境的に受容可能な組成物及び方法について説明している。本明細書で説明する注入器具は、プランジャー、ポンプなどからの圧力がなくても、植物の内部に液状製剤を分配し、且つ製剤が植物の中に存在することができるようにするため、製剤は、製剤の漏れのリスクが最小限(例えば、最小限又は無い)で、植物内に留まる。
【0009】
別の問題は、果実及び他の食用植物の有害生物防除は、法的に規制されていることである。従来の化学的な農業用殺虫剤は、果実又は植物生産物での化学残留物の蓄積を回避するために、生育期間の時期の間だけ使用され得る。それゆえ、化学的な農業用殺虫剤を、食用として認可されている生物学的防除剤で置き換えることが望まれる。しかしながら、これらの防除剤は、通常、費用のかかる品物を有し、木及びバナナ、コーヒー、又はカカオのような他の植物の農園において、噴霧塗布による葉での使用を法外に高価なものにする。それゆえ、特に木、低木及び他の栽培樹木の処置において、生物学的有効成分の量を実質的に減少させることが望まれる。
【0010】
それゆえ、本開示によって対処されるさらなる問題は、本開示による植物注入システムを植物又は多数の植物に取り付け、且つ有効成分の液状製剤を投与して植物の表現型を調節する(modulating)ことによって、植物又は多数の植物の表現型を調節するためのプロセスに関する。本開示によって対処されるさらなる問題は、植物の表現型を調節する、例えば処置し、予防し、保護し、且つ免疫を与えるための、つまり、病原体の攻撃及び有害生物の攻撃からの局部及び全体(systemic)抵抗を植物に誘発するための方法に関する。本明細書で説明する注入器具は、噴霧せずに、及び誤って適用された被噴霧製剤の相応の損失なく、植物の内部に直接液状製剤を分配する。本明細書で説明する主題は、植物組織と直接接触させて製剤を配置し、及び製剤は、適切な時点で選択的に投与されて、命じられているように、果実や作物への化学残留物の蓄積を最小限にする(例えば、なくす又は最小限にする)。
【0011】
本開示は、図面に示す説明に役立つ実施形態に基づいて、下記でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】軸方向断面で示され且つ木の幹に挿入されている注入器具の第1の実施形態、並びに送達装置の第1、第2及び第3の実施形態により、注入システムの実施形態の概略図を示す。
【
図2】
図1の注入システムの注入器具の側面図を示す。
【
図3】
図2の線III-IIIに沿って取った、
図1の注入システムの注入器具の軸方向断面を示す。
【
図4】
図1の注入システムの送達装置の第1の実施形態の全体図を示す。
【
図5】
図4の送達装置の概略的な流体圧の図を示す。
【
図6】
図1の注入システムの送達装置の第2の実施形態の側面図を示す。
【
図7】
図6の送達装置の概略的な流体圧の図を示す。
【
図8】
図6によるいくつかの送達装置のアセンブリの概略的な流体圧の図を示す。
【
図9】本開示による注入器具の第2の実施形態の図を示す。
【
図11】本開示による注入器具の第3の実施形態の前面図を示す。
【
図14】本開示による注入器具の第4の実施形態の前面図を示す。
【
図17】本開示による注入器具の第5の実施形態の斜視図を示す。
【
図20】本開示による注入器具の第6の実施形態の斜視図を示す。
【
図23】本開示による注入器具の第7の実施形態の斜視図を示す。
【
図26】本開示による注入器具の第8の実施形態の側面図を示す。
【
図28】本開示による注入器具の第9の実施形態の斜視図を示す。
【
図31】本開示による注入器具の第10の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、便宜上いくつかの用語を使用するが、本開示を限定するものではない。用語「右」、「左」、「上(up)」、「下(down)」、「~の下(under)」及び「上(側)(above)」は、図面における方向を指す。用語法は、はっきりと述べた用語、並びにそれらの派生語及び同様の意味を備える用語を含む。また、空間的な相対用語、例えば「垂直(方向)」、「下(側)(below)」、「下方(lower)」、「上(側)(above)」、「上方(upper)」、「近位」、「遠位」などは、図面において説明するような、1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴との関係を説明するために使用され得る。これらの空間的な相対用語は、図面に示す位置及び向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる位置及び向きを含むものとする。例えば、図面中の装置がひっくり返される場合、他の要素又は特徴の「下側」又は「真下(beneath)」にあると説明される要素は、他方の要素又は特徴の「上側」又は「上(over)」になる。それゆえ、例示的な用語「下側」は、上側及び下側の双方の位置及び向きを含み得る。装置は、他の向きにされてもよく(90度回転されるか又は他の向きにされる)、及びそれに従って、本明細書で使用される空間的な相対記述語は解釈される。同様に、様々な軸に沿った、その周りでの動きの説明は、様々な特別な装置の位置及び向きを含む。
【0014】
様々な態様及び説明に役立つ実施形態の図面及び説明における繰り返しを避けるために、いくつかの特徴は、複数の態様及び実施形態に共通であることが理解されるべきである。説明又は図面からある態様を省略することは、その態様が、その態様を組み込む実施形態からなくなっていることを暗示しない。それどころか、その態様は、明瞭にし且つ冗長な説明を回避するために省略された可能性がある。これに関連して、以下のことが、本説明の残りの部分に当てはまる:図面を明瞭にするために、図面が、説明の直接関連する部分に説明されていない参照符号を含む場合、その参照符号は、以前の又は以下の説明セクションにおいて言及されている。さらに、明快さのために、図面において、部分の全ての特徴に参照符号が付されているわけではない場合、同じ部分を示す他の図面に付されている。2つ以上の図面における同様の符号は、同じ又は同様の要素を示す。
【0015】
本明細書で説明する問題は、本明細書で説明する注入システム、注入器具及び方法によって対処される。さらに、本開示による注入システム、注入器具又は方法の実施形態は、従属請求項の主題である。
【0016】
一態様では、本開示は、有効成分配合製剤(例えば、液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾル、コロイド、微小粒子/ナノ粒子、生物有機体(biological organisms)などの1種以上を含む流体)を植物に導入するように構成された植物注入システム用の注入器具である。注入器具は、植物内に挿入されるように構成されている。注入器具は、植物に穴を生成して、注入器具を植物に挿入するように構成された貫入構造を有する。
【0017】
さらなる態様では、本開示は、本開示による植物注入システムを1つの植物又は多数の植物に取り付け、且つ有効成分の液状製剤を適用して植物の表現型を調節することによって、その植物又は多数の植物の表現型を調節するためのプロセスである。
【0018】
本明細書では、用語「貫入構造」又は「貫入要素」は、穴を生成するのに好適又は適切である一方で、挿入器具を植物内で前進させる、いずれかの配置構成に関する。いくつかの実施形態は、植物に注入器具の挿入用の貫入穴を自動的に形成する、切断要素などの自己貫入(self penetrating)特徴を含む。貫入構造又は貫入要素は、本明細書で説明する例並びにそれらの等価物を含む。
【0019】
これに関連して、用語「穴」は、植物内に設けられた空洞、チャンネル又は同様の構造に関し、これは、挿入器具又は一部分、特にその前方すなわち遠位部分を受け入れるのに好適である。
【0020】
「植物」によって、魅力のある及び魅力のない野生植物、栽培品種及び植物種(植物種又は植物育種家の権利によって保護されているか否かにかかわらず)などの全ての植物及び植物群(plant populations)を意味する。栽培品種及び植物種は、従来の繁殖及び育種方法によって得られる植物とし得、これは、倍加半数体、原形質融合、ランダム及び定方向突然変異誘発、分子若しくは遺伝子マーカの使用による1つ以上のバイオ技術方法によって、又は生体工学方法及び遺伝子工学方法によって、支援又は補完され得る。
【0021】
「植物」は、限定されるものではないが、シュートすなわち苗条(shoot)の栄養器官/構造(例えば葉、茎及び塊茎)、根、花及び花器/構造(例えば包葉、萼片、花弁、雄しべ、心皮、葯及び胚珠)、種子(胚、内胚乳、及び種皮を含む)及び果実(成熟した子房)、植物組織(例えば維管束組織、基本組織など)、並びに細胞(例えば孔辺細胞、卵細胞など)を含む、全植物及びその一部、並びにその子孫を含む。「果実」及び「植物生産」は、収穫後にさらに利用されるいずれかの植物生産物、例えば本来の意味での果実、ナッツ、木材など、すなわち、植物によって生産される、実利的な価値のあるものなら何でもであると理解されたい。
【0022】
本明細書では、「植物病原菌」は、全体又は一部において、植物に感染及び/又は侵入することができ、且つ植物に感染又は病気又はその症状を引き起こす、作用物質を指す。
【0023】
本明細書では、「活性」は、水性溶媒中で抽出され、且つ植物部位及び/又は土壌に適用されると、植物病原菌の増殖を軽減する、改善する、処置する、防止する及び抑制する効果を発揮し得る、発酵物の1つ又は複数の構成成分を意味する。
【0024】
本明細書では、用語「殺菌性」は、細菌の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などを低下させる)ための物質の能力を指す。
【0025】
生物的防除(Biological control):本明細書では、「生物的防除」は、病原菌又は虫又は任意の他の望ましくない有機体すなわち生物(organism)の、第2の有機体を使用することによる、防除と定義される。生物的防除の公知の機構の例は、根の表面上の空間に関して菌・カビ類を打ち負かすことによる、根腐れを制御する腸内細菌の使用である。病原菌を防除するため、細菌毒素、例えば抗生物質が使用されている。毒素は、分離されて、植物に直接適用され得るか、又は原位置で(in situ)毒素を生じるように、複数の細菌種が投与され得る。
【0026】
「殺菌・殺カビ剤」並びに用語「殺菌・殺カビ(fungicidal)」及び「殺菌・殺カビ式に作用する」は、植物病原性菌・カビ類(phytopathogenic fungi)の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などを低下させる)ための物質の能力を指す。本明細書では、用語「植物病原性菌・カビ類」は、植物被害及び/又は植物部位の被害及び/又は収穫した果実や野菜の損失を引き起こし得る卵菌綱(Oomycetes)を含む菌・カビ類界の全ての生物を含む。
【0027】
本明細書では、用語「菌・カビ(fungus)」又は「菌・カビ類(fungi)」は、葉緑素がない広範囲の有核胞子保有生物(nucleated spore bearing organisms)を含む。菌・カビ類の例は、イースト菌、カビ(mold)、(mildews)、サビ菌(rusts)、及びキノコを含む。「菌・カビ病原体」は、以下の門の菌・カビ類を含む:変形菌門(Myxomycota)、ネコブカビ門(Plasmodiophoromycota)、サカゲツボカビ門(Hyphochytriomycota)、ラビリンツラ菌門(Labyrinthulomycota)、卵菌門(Oomycota)、ツボカビ門(Chytridiomycota)、接合菌門(Zygomycota)、子嚢菌門(Ascomycota)及び担子菌門(Basidiomycota)。「菌・カビ抑制」は、対照群と比較した、菌・カビの健康状態の悪化(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)によって測定されるような、殺菌・殺カビ、及び菌・カビ類の静的活性の双方を含む。「感受性菌・カビ」は、本明細書で提供されたシステムの構成要素に対する個別の、又は両構成要素の組み合わせによる、有益な若しくは望ましい応答を示す菌・カビの株である。
【0028】
「殺虫剤」並びに用語「殺虫性の(insecticidal)」は、昆虫の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を指す。本明細書では、用語「虫」は、「昆虫綱(Insecta)」の全ての生物を含む。
【0029】
「殺線虫剤」及び「殺線虫の」は、線虫の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を指す。概して、用語「線虫」は、前記生物の卵、幼生(larvae)、幼体(juvenile)及び成熟の各形態を含む。
【0030】
「殺ダニ剤」及び「殺ダニ性の」は、クモ綱(Arachnida)、ダニ亜綱(Acari)に属する外部寄生生物の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を指す。
【0031】
殺菌性(Microbicidal):本明細書では、「殺菌性」は、微生物の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を指す。
【0032】
用語「植物の健康状態」又は「植物健康状態」は、例えば収穫量、植物成長力、収穫した植物部位の品質、非生物的及び/又は生物的ストレスへの耐性、生存能力、増殖、代謝、寿命など)のいくつかの側面によって、単独で又は互いに組み合わせて決定される、植物及び/又はその生産物の状態であると定義される。
【0033】
この状況では、「感染を防ぐ」は、本開示の方法、器具、及びシステムによって処置されていない植物と比較すると、本明細書で開示するシステムによって処置される植物が、感染(例えば、病原菌感染など)若しくは病気の症状若しくは上述の全てを避けるか、又は感染若しくは病気の症状若しくは上述の全てを減少させるか若しくは最小限にするか若しくはその頻度を低下させるか、又は植物中の刺激に対する防御/免疫応答を引き起こすか若しくは増加させて、感染性の若しくは病気を引き起こす病原菌との植物の相互作用の当然の結果である感染若しくは病気の症状若しくは述の全てを回避するか若しくは減少させるか若しくは最小限にすることを意味する。すなわち、感染性の又は病気を引き起こす病原菌は、病気及び/又は関連の病気の症状を引き起こさないようにするか又はそれを減少させる。感染及び/又は症状は、本明細書で教示されるシステムによってそのように処置されていない植物と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50、60%、70%又は80%以上低下される。
【0034】
農業用殺虫剤の(Pesticidal):本明細書では、用語「農業用殺虫剤の」は、健康状態を悪化させるか(例えば、有害生物(pest)、すなわち、望ましくない生物の増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などを低下させる)又は有害生物の死亡率を増加させる物質の能力を指す。概して、「農業用殺虫剤の」は、植物病原性菌・カビ類の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を意味する。定義はまた、植物病原性菌・カビ類及び/又は植物有害生物の死亡率を増加させるか又は健康状態を悪化させる(例えば、増殖率、生存能力、増殖、代謝、寿命などの低下)物質の能力を含む。本明細書では、用語は、植物病原性菌・カビ類、虫、ダニ(mites)及び/又は線虫に対して活性を示す物質の特性を説明するために使用される。植物は、細菌、ウイルス、菌・カビ類、及び線虫を含む、多くの微生物(microbes)にさらされている。そのような植物病原菌、特に細菌性病原菌に起因する、観賞植物、森林、及び他の植物の病気は、経済的な影響が巨大な世界的な問題である。病気の破壊プロセスの重大さは、植物病原体の攻撃性及びホストの応答に依存する。
【0035】
本開示の器具、システム及び方法は、植物の維管束系に、例えば植物の茎に有効成分を全体的(systemic)又は指向的に適用できるようにする。本開示は、限定されるものではないが下記にリストするものを含む多種多様な植物、並びに農業、特に園芸で出会ういずれかの及び他の全ての病原菌性の病気及び/又は複合体に適用され得る。
【0036】
本開示の根底にある別の問題は、植物、一般に、以下「植物健康状態」と称すプロセスを改善するための組成物への願望である。より健康な植物が望ましい。なぜなら、それら植物は、特に、植物若しくは作物のより良好な収穫量及び/又はより良好な品質、特に収穫した植物部位のより良好な品質を生じるためである。より健康な植物はまた、生物的及び/又は非生物的ストレスに対する抵抗性すなわち耐性もより良好である。さらに、生物的ストレスに対する高い抵抗性は、当業者が適用する農業用殺虫剤の量を減少させ、それゆえ、それぞれの農業用殺虫剤に対する耐性発現を遅れさせることができる。
【0037】
収穫量の増加は、特に、植物の以下の改良された特性によって、特徴づけられ得る:植物重量の増加;及び/又は草高の増加;及び/又はより高い全新鮮重(FW:fresh weight)などのバイオマスの増加;及び/又は植物当たりの花数の増加;及び/又はより高い穀物及び/又は果実収穫量;及び/又はより多い若芽(tillers)又はサイドシュートすなわち副梢(side shoots)(側枝);及び/又はより大きな葉;及び/又は苗条成長の増加;及び/又はタンパク質含有量の増加;及び/又は油分の増加;及び/又はでんぷん含有量の増加;及び/又は色素含有量の増加;及び/又は葉緑素含有量の増加(葉緑素含有量は植物の光合成速度と正相関しているため、葉緑素含有量が高いほど植物の収穫量が高くなる)、植物の品質の向上。本開示によれば、収穫量は少なくとも4%増加される。概して、収穫量の増加は、例えば5~10%、例えば10~20%、又はさらには20~30%とさらに高くなり得る
【0038】
植物の状態の別の指標は、植物成長力である。植物成長力は、全体的な外観などのいくつかの側面において、明らかになる。植物の状態の別の指標は、植物及び/又はその生産物の「品質」及び/又は生物的及び/又は非生物的ストレス要因に対する植物の耐性又は抵抗性である。生物的及び/又は非生物的ストレスは、特に長期間にわたると、植物に対して悪影響を有し得る。
【0039】
一実施形態によれば、本開示の注入器具は、1つ以上の植物に有効成分を中心供給できるようにする注入システムの一部である。そのようなシステムの異なる全ての構成要素は、農家又は適用の専門家に供給されるキットの形態で提供され得る。そのようなキットは、以下の構成要素を含み得る:(1)1つ以上の注入器具、及び/又は(2)注入器具に接続されるように構成され得る1つ以上の送達装置、及び/又は(3)1種以上の有効成分。前記キットは、構成要素(1)及び(2)を含んでも、又は前記キットは構成要素(1)及び(3)を含んでも、又は前記キットは構成要素(2)及び(3)を含んでもよい。
【0040】
貫入構造又は貫入要素を有することによって、注入器具は、植物に、受け入れ用凹部を先に形成することなく、ねじで固定される、打ち込まれる又はたたき込まれるなど、挿入され得る。むしろ、本開示による注入器具は、植物内で前進させられている間に、多かれ少なかれ、必要な穴を自動的に生成する。それゆえ、単一の作業ステップで植物に挿入され得る。それゆえ、注入器具は、関連する作業量を減少させることができ、それにより、全プロセスをかなり効率的にし得る。
【0041】
注入器具は、植物の木質領域、特に木の幹に挿入されるように構成されているか、又は植物の非木質領域、特に偽茎(pseudo-stem)に挿入されるように構成されている。
【0042】
注入器具の実施形態では、貫入構造又は貫入要素は、注入器具を植物に挿入するときに植物に穴を開ける(cut)ように構成された切刃を含む。これに関連して、用語切断(cutting)は、注入器具が挿入される位置で植物を彫る、切断する、又は開ける(opening)のを容易にする任意の構造であると広く理解されるべきである。限定するものではないが、カバーの穿刺、ドリルでの穴開けすなわちドリリング、のこ引き、スライシング、フライス削り、楔の打ち込み又は任意の同様の配置構成を含む。そのような切刃は、注入器具が配置される空洞を生成するために、植物に穴を効率的に生成できるようにする。特に、そのような切刃は、挿入器具が、収容される穴を効率的に自己生成できるようにする。
【0043】
ある実施形態では、貫入構造の切刃は、いくつかの点についてはドリルビットと同様の、注入器具の長手方向軸に沿って曲がりくねった1つ以上の切断要素を含む。そのようなドリルビット部分は、植物に注入器具を効率的に打ち込むことができる。それにより、貫入構造の切刃のドリルビット部分は、切刃に沿って延在し且つそれによって制限される切り屑溝を含む。そのような切り屑溝は、植物に注入器具を打ち込むときに発生する植物組織の切り屑を排除できるようにして、注入器具の適切な前進が達成されるようにする。
【0044】
任意選択的に、貫入構造の切断要素は、注入器具の長手方向軸に沿って曲がりくねったねじ切り部を含む。本明細書で説明するねじ切り部又は他のアンカー要素(集合的にアンカー要素)は、植物内への注入器具の結合及び保持を容易にする。一例では、切断要素と組み合わせて、注入器具は、植物の貫入、注入器具の位置決め、及び植物内での注入器具の保持を強固にする。
【0045】
注入器具は、ベース又はヘッド、及びシャフト(又は一般的に、限定されるものではないが、シャフト本体プロファイル、楔本体プロファイルなどを含む貫入分配本体)を含む。任意選択的に、貫入分配本体の貫入要素は、ドリルビット部分などの切断要素と、スクリュー部分とを含み、及びねじ部分は、ドリルビット部分よりもヘッドに近い。任意選択的に、ねじ切り部又は他のアンカー要素の外径(又はより一般的に、プロファイル)は、切断要素の外径(又はプロファイル)よりも大きい。任意選択的に、シャフトは、切断要素とベースとの間に配置されるビーズ部分(例えば、1つ以上の閉鎖ビーズ)を含み、且つその上に、少なくとも1つの閉鎖ビーズが形成される。周辺ビーズの外部プロファイルは、ねじ切り部、又は貫入分配本体の残りの部分の外径よりも大きい。閉鎖ビーズは、注入器具と植物との間に、植物の内部に対するシールを形成し、及びいくつかの例では、注入器具の貫入の深さの視覚的評価を容易にする。
【0046】
別の実施形態では、貫入要素は、楔本体プロファイル(例えば、近位部分から遠位部分へテーパが付けられている、例えばスパイク、ネイルすなわち釘、楔など)を含む。楔本体プロファイルは、例えばハンマリング又は打ち込み行為によって、植物内で注入器具を効率的に前進させることができる。この例では、注入器具は、テーパ付き形状を有する楔又はシャフトプロファイルの1つ以上を含む貫入分配本体を含む。例えば、貫入分配本体は円錐状であり、且つ外部の長手方向の窪み(furrows)又は縦溝(flutes)を含む(例えば、分配リザーバの例)。注入器具はストライクヘッドを含む(任意選択的にベースの特徴として)。任意選択的に、貫入分配本体の円錐状部分は、ネイルチップ部分(又は切断要素)よりもベースの近くにある。別の例では、貫入分配本体は、円錐状部分と、少なくとも1つの周辺ビーズを有するストライクヘッドとの間に位置する1つ以上の閉鎖ビーズを含む。ある例では、周辺ビーズのプロファイルは貫入分配本体の円錐状部分のプロファイルよりも大きい。
【0047】
さらに別の実施形態では、注入器具は、先頭部(leading end)、又はその前端部若しくは遠位部分に切刃を含む貫入要素を備えるランスチップ形状に楔部分(楔本体プロファイル)を有する。この慣習では、用語「前端部」は、植物の方に向けられ且つ貫入部で植物と係合する貫入分配本体の遠位部分に関連し得る。この例示的な楔本体プロファイルは、植物内で注入器具を効率的に前進させることができる代替的な楔プロファイルである。特に、楔本体プロファイルは、切断した植物組織を広げることによって、植物を開く。いくつかの例では、楔本体プロファイルは、植物内部構造が最小限の損傷で(例えば、ほとんど又は全く被害がない)、植物の内部にアクセスする。例えば、楔本体プロファイルを用いて広げることによって、植物の液体輸送構造、例えば毛細管などの損傷を最小限にする(損傷されないこと、又は最小限の損傷を含む)。
【0048】
一例では、楔本体プロファイルは、2つ以上の側方の翼状部分を有する平らなランスチップ又は先端(leading edge)を含む。任意選択的に、楔本体プロファイルは、処置するための植物に基づいて選択される。例えば、楔本体プロファイルのロバストさは、意図した適用例又は植物に適合される。植物に依存して、切断要素は、ネイルチップタイプの楔(例えば、円形又は円錐状タイプの楔)、又は貫入分配本体の先端から延在する2つ以上の翼を有する楔本体プロファイルによって選択される。
【0049】
任意選択的に、注入器具は、例えばベースの一部としてストライクヘッドを含む。ストライクヘッドは、例えば、ストライクヘッドをハンマリングすることによって、植物内で注入器具を効率的に前進させることができるようにする。
【0050】
任意選択的に、本明細書で説明するプロファイルのうちの1つ以上を含む貫入分配本体は、1つ以上の開口部、例えば分配リザーバを含む。分配リザーバは、注入器具が挿入されると、植物内に、1つ以上の空間、空洞、凹部、ポケットなどを提供する。分配リザーバは、例えばリザーバの空洞に製剤を保持し、同時に製剤を植物組織と係合することによって、液状製剤の分配を容易にする。他の例では、分配リザーバは、チャンネル内での貫入分配本体の本体プロファイルに沿った液状製剤の送達を容易にする分配チャンネルを含む。本明細書で説明する注入器具は、1つ以上の入口通路及び関連の分配ポートを含む。任意選択的に、注入器具は、液状製剤を複数の分配ポートに提供する複数の入口通路を含む。例えば、注入器具は、それぞれ少なくとも1つの分配ポートで終端する、少なくとも1つの入口通路又は複数の通路を含む。任意選択的に、注入器具は、前述の分配リザーバのうちの1つ以上を含み(開口部と呼ばれることもある)、及び分配ポートは分配リザーバに開口している。
【0051】
本明細書で説明する注入器具は、チャンネル(例えば入口通路)、及びチャンネルに接続された少なくとも1つの分配ポートを含む。入口通路(又はチャンネル)は、植物内の1つ以上の箇所で液状有効成分配合製剤を効率的に分配するための注入器具用の出口又は分配ポートの分配ネットワークを提供する。
【0052】
少なくとも1つの分配ポートは主チャンネルから延在する。少なくとも1つの分配ポート(出口チャンネルとも呼ぶ)は、注入器具に関して1箇所以上へ液状有効成分配合製剤を送達するのを容易にする。
【0053】
いくつかの例では、植物に注入器具を挿入するとき、限定されるものではないが、木、繊維などを含む植物組織などの植物の物質は、遠位方向の開口部又はそこに位置するオリフィスへと進む。これらの例では、植物組織は遠位開口部又はオリフィスを詰まらせ、それにより、植物内への有効成分配合製剤の送達を妨げるか又は阻止する。いくつかの例では、相当な圧力が製剤に加えられて(例えば、ピストン、プランジャーなどによって)、遠位開口部又はオリフィスの詰まりを取る。場合によっては、圧力は、植物組織に外傷を引き起こす。
【0054】
本明細書で説明する分配ポート(或いは出口チャンネル)は、注入器具の貫入方向(例えば、器具の長手方向体軸に対応する)に対して横断方向に向けられる。例えば、横断方向の分配ポートは、貫入方向に対して角度をなした向きにされる。一例では、分配ポートは、貫入運動方向に対して90度開くような向きにされる。別の例では、分配ポートは、貫入運動方向(例えば、注入器具の長手方向体軸)に対して約100~180度の角度の向きにされる。
【0055】
分配ポートの向きに関連して、以下の3つの方向、挿入方向、貫入運動方向及び出口(すなわち分配)方向のうちの1つ以上が考えられる。ある例では、挿入方向は、注入器具が挿入される又は植物内で前進させられる(例えば、植物の外部から内部に向かって)、一般的な方向である。挿入方向は、一般的に、注入器具の軸、例えば本明細書で説明する長手方向体軸と一致する。従って、長手方向体軸は、分配ポートの向きを議論するときに、挿入方向に対応する参照箇所として使用される。
【0056】
貫入運動方向は、注入器具が、挿入のために植物に貫入するために動かされる(例えば、回転される)方向である。ドリルビット部分又はねじ切り部のように切断要素を有する注入器具の実施形態では、貫入運動方向は、ドリルビット部分のねじ山又はねじ部分に沿ってある(及びいくつかの例では、紙面に対する貫入運動方向を示すために、図面で円及びドットで示されている)。分配ポートは、例えばねじ山間に設けられ、挿入方向に加えて、貫入運動方向に対して横断方向の向きに延在する。植物に貫入するために叩かれる又は打たれる楔本体プロファイルを有する本明細書の注入器具、例えばネイルチップ部分又は楔部分(例えば、例示的な楔プロファイル)を備える注入器具の実施形態では、貫入運動方向は挿入方向に対応する。本明細書で説明する実施形態のそれぞれでは(例えば、シャフト又は楔プロファイル)、1つ以上の分配ポートは、長手方向体軸及び対応する挿入方向に対して横断方向である(異なる角度の出口又は開口方向を含む)。さらに、例えばねじ切り部又はドリルビットタイプの切断要素を有する、シャフトプロファイルを含む例示的な実施形態では、1つ以上の分配ポート(例えば、ポートの出口方向又は開口方向)は、貫入運動方向に対して横断方向である(異なる角度にある)。従って、挿入方向及び貫入運動方向のそれぞれは、集合的に貫入方向と呼ばれ、並びに注入器具の分配ポートの出口又は開口方向は、実施形態のそれぞれの貫入方向に対して横断方向である。
【0057】
いくつかの例では、1つ以上の分配ポートの開口方向又は出口方向は、本明細書で説明する貫入運動方向を含む貫入方向に対して後ろ向きに延在する。これに関連して、用語「後ろ向きに延在する」などは、貫入運動方向に対して逆すなわち反対の向きにおける少なくとも1つの分配ポートの延在を指す。後ろ向きに延在するは、貫入運動方向とは反対、すなわち狭い意味での後方向の延在に限定されず、むしろ、貫入運動方向に対する、直角とは異なる角度又はそれを上回る角度での延在である。例えば、いくつかの例では、分配ポートは、貫入運動方向に対して105度に向けられる。
【0058】
線形分配ポートを含む実施形態では、分配ポートの開放端部(器具の外面に対面する開口部)は、注入器具(例えば貫入要素)の先頭部に対して、入口通路への分配ポートとの接続部よりも離れている。換言すると、少なくともその開放端部に最も近い分配ポートは、器具の先頭部に対して後ろ向きである。分配ポートを含む他の例では、分配ポートのうちの1つ以上は、後ろ向きの開口部を含んで(例えば、横断方向の向きの別の例)、貫入中の詰まりを防止する(例えば、1つ以上の挿入方向又は貫入運動方向、集合的に貫入方向)。例えば、そのような出口チャンネルは、出口チャンネルの向きをその出口開口部の方へ後ろ向きに変えるカーブを有し得る。
【0059】
別の例では、貫入運動方向に対して90度超に1つ以上の分配ポートを向けることによって、植物組織による分配ポートの塞がりが最小限にされる(例えば、排除される又は最小限にされる)。従って、詰まりが最小限にされて、液状有効成分配合製剤は、1つ以上の分配ポートを通して効果的且つ効率的に提供される。
【0060】
さらに、本明細書で説明する注入器具は、例えば前端部(先頭部)又は貫入要素用のチップを有する遠位部分を含む。1つ以上の分配ポートは、前端部から離間されている。分配ポートは先頭部から離間されているため、液状有効成分配合製剤は、先頭部に対して離れた所に分配され、及びいくつかの例では、分配は、遠位部分、例えばチップへの流体の中心分配をすることなく、注入器具の周辺で行われる。それにより、液状製剤は、分配ポートを塞ぐリスクを最小限にして、植物に最適に分配される。
【0061】
注入器具は、入口通路又は少なくとも1つの分配ポートに接続される入口ポート(例えばソケット開口部など)を有する。入口ポートは、植物注入システムの送達装置への接続用に構成されている。そのようなソケット開口部は、液状有効成分配合製剤源を効率的に接続できるようにする。
【0062】
注入器具のソケット開口部は、注入器具のヘッドに又は注入器具のストライクヘッドに配置されている。これにより、注入器具が挿入されるとそのようなヘッドが一般に植物から突出するため、注入器具を効率的に接続できるようにする。
【0063】
様々な例では、本明細書で説明する注入器具は、金属又は合金で構成されるか又はそれを含む。本明細書で説明する注入器具は、本明細書で説明する製造法のいずれかと一緒に使用され得るポリマー又はポリマーアロイで構成され得るか又はそれを含み得る。生産法では、フライス削り、キャスティングの方法、又は他の同様の方法が使用されてもよい。本明細書で説明する注入器具は、本明細書で説明する製造法のいずれかと一緒に使用され得るポリマー又はポリマーアロイで構成され得るか又はそれを含み得る。生産法では、フライス削り、キャスティングの方法、又は他の同様の方法が使用されてもよい。ある例示的な生産法では、注入器具は、3次元印刷法によって生産される、すなわち3次元印刷される。これにより、一方では十分な安定性を、他方では注入器具のコスト効率の高い生産を可能にする。また、3次元印刷は、比較的小さな寸法で比較的複雑な形状の注入器具の製造を可能にする。例えば、3次元印刷は、比較的小さな寸法で、注入器具内の分配チャンネルシステムの1つ以上の通路、ポート、リザーバなどの構成を容易にする。より具体的には、3次元印刷は、上述のような後ろ向きに延在する出口チャンネルを効率的に生成できる。
【0064】
注入器具は、植物への注入器具の挿入の最後に植物に接触するように構成された当接面を備える。そのような当接面は、例えば注入器具ベースの構成要素として注入器具に設けられた、段、フランジ、ブラケットアーム又は同様の構造によって供され得る。当接面は、平ら又は水平とし得る。挿入器具の挿入が意図される植物の一部分に対応する形状(例えば、弓状、平らなど)も有し得る。例えば、植物の茎に従って曲げられ得る。当接面は、植物内での注入器具の前進を制限する。特に、植物が比較的柔らかい、例えば比較的小さい又は非木本植物の場合、当接面は、貫入を抑制して、植物の反対側を突き抜ける貫入を防ぎながら、特定の植物組織内での分配要素の正確な位置決めを容易にする。さらに、当接面は、注入器具と植物との間の接続を強める。例えば、ベースの当接面と植物との間の面と面との接触は、外部環境から植物の内部をさらに閉ざし、且つ例えば下記で説明するような植物注入システムによって、植物の内側に上昇した圧力を発生させることができ、植物内に液状有効成分配合製剤を提供する。さらに、ベースの当接面は、注入器具によって生成されたスロット又は開口部を通る有効成分配合製剤の逃げを制限する。
【0065】
他の態様では、本開示は、植物に液状有効成分配合製剤を導入するための植物注入システムである。システムは、上述のような注入器具、及び送達装置を含む。送達装置は、注入器具に接続されて、有効成分配合製剤を注入器具へ送達するように構成されている。そのようなシステムは、液状有効成分配合製剤を植物に効率的に提供して、それを処置できるようにする。
【0066】
送達装置は、流体製剤(例えば、液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾルなどの1種以上を含む流体)を投与するように構成された、空気圧又は流体圧で動作される薬注ポンプとして設計される。或いは、送達装置は、1つ以上の圧力をもたらすように構成された空気圧又は流体圧送達ポンプとして設計される。いくつかの例では、もたらされる圧力は、周囲圧力に最も近いがそれを上回り、製剤の漸進的な低圧送達を植物にもたらす。別の例では、送達装置は、受動的に、例えば静水圧又は毛細管作用によって、液状製剤を提供する。
【0067】
一例では、送達装置は2チャンバーアセンブリとして設計され、ここで、2つのチャンバーはコンテナー内に配置され、そのうちの一方のチャンバーは圧媒体を入れ、及び他方のチャンバーは、圧媒体によって2チャンバーアセンブリから弁を通って吐出され得る有効成分配合製剤を入れている。
【0068】
上述の通り、本開示による注入システムは、様々な異なる植物に適用されるのに好適である。それにより、関係する注入器具の形状及び寸法は、好都合なことに、意図した適用例に適合される。より具体的には、注入器具は、比較的大きな植物、具体的には木、低木又は他の木本植物に適用されるように設計され得る。又は、比較的小さな又はより小さい植物に適用されるように設計され得る。例えば、木本植物に好適な注入器具の全長は、50ミリメートル(mm)を上回り得るか、又は60mm~200mmの範囲とし得る。それぞれの貫入分配本体(例えば、シャフト又は楔本体プロファイル)は、35mm以上、及びいくつかの例ではおよそ35mm~160mmの範囲の長さ、及び/又は30mm以上、又はおよそ35mm~150mmの範囲の幅を含む。対照的に、比較的小さな植物を意図した注入器具は、任意選択的に、およそ3mm~20mm、およそ6mm~16mm、又は10mm未満の全長を有する。
【0069】
さらに他の態様では、本開示は、植物又は多数の植物の表現型を調節するプロセスであり、前記プロセスは、(i)本明細書で提供される本開示による植物注入システムを植物又は多数の植物に取り付けるステップ、及び(ii)有効成分の液状製剤を適用して植物の表現型を調節するステップを含む。
【0070】
有効成分は、(i)農業用殺虫剤、(ii)成長調整物質からなる群から選択される。有効成分は、食糧及び飼料用途に認可された生物学的化合物又は組成物である。一例では、プロセスは、a)~e)のうちの1つ以上によって実施される:
a) 有効成分は、生育期間(成長シーズン)にわたって自動制御スキーム/方法で植物に適用される/送られる、
b) 有効成分は、空気圧(Takt-Schub)輸送システムによって保管場所から植物へ移され、これは、システムの流体ライン並びに注入器具の通路及び分配ポート中の有効成分/有効成分配合製剤の量を最小限にする、
c) 多数の植物に中心保管場所から有効成分が供給される一方で、任意選択的に、各植物への送りは個別に制御される、
d) 有効成分は、異なる表現型調節などの異なる効果を達成するために複数の保管場所の群から自動的に選択され得る、
e) 1種以上の有効成分の適用と適用との間に水が提供され得る;
植物は、木、又はバナナ植物などの偽茎のある植物である;木は、例えば、果樹、カカオの木、コーヒーの木、又は観賞樹を含み得る(用語「木、樹(trees)」については下記でさらに説明する);
植物又は多数の植物の表現型の調節は、植物の病気の防除及び/又は予防、有害生物の攻撃の防除及び/又は予防、植物健康状態の改善及び/又は制御、植物の成長及び/又は植物生産物、例えば果実の量及び/又は質の改善及び/又は制御からなる群から選択される。
【0071】
本開示は、さらに、多数の植物、植物農園、又は植物の分野に関し、植物は、一実施形態では、表現型調節を提供するように、本開示による植物注入システムに接続される。
【0072】
受け入れ用凹部は、注入器具を挿入するために、植物の木質領域内に形成される任意の種類の空洞と理解されるべきである。特に、受け入れ用凹部は、ドリル穴を含む。本開示の文脈では、用語「セルフドリリングすなわち自己穴開け」は、注入器具の自己貫入の実施形態と理解され、それにより、植物内への注入器具の挿入に必要な受け入れ用凹部が、挿入手順自体の最中に直接生成され得、挿入前に受け入れ用凹部を作る必要をなくす。
【0073】
図1~3の図面によれば、本開示による注入システムの実施形態は、セルフドリリングであるシャフト本体プロファイルを有する、本開示による注入器具1の第1の実施形態を含む。さらに、注入器具1に取り付け可能である送達装置を含み、この送達装置により、有効成分配合製剤Wが、ある用量で、注入器具1に送達される。そのため、有効成分配合製剤Wは、注入器具1を経由して、処置されるべき植物、例えば木に提供され得る。送達装置は、様々な構成にされ得る。例えば、
図1は、送達装置の3つの実施形態100、200及び300を示す。注入システムが実際に使用中であるとき、これらの変形例のうちの1つのみが、どの時点においても、注入器具1に取り付けられている。送達装置の異なる変形例の設計及び機能を、下記でより詳細に説明する。
【0074】
図2は、注入器具1の側面図を示す。一例では、注入器具1(及び本明細書で説明する他の注入器具)は、例えば成形又は3次元印刷されている、単一の構成要素である。他の例では、本明細書で説明する注入器具は、成形又は3次元印刷されてから組み立てられる、複数の構成要素である。注入器具1は、実質的に、本体プロファイル、この例ではシャフト本体プロファイルを有する貫入分配本体を有する。注入器具は、ヘッド10(例えばベース10)とシャフト20(例えば貫入分配本体20)とを備えるねじとして付形される本体プロファイルの外面を含む。貫入分配本体20は、任意選択的に3つの部分、すなわち遠位ドリルビット部分20a(貫入要素20a)、中間スクリュー部分20b(分配要素20b)及び後方ビーズ部分20c(閉鎖要素20c)に分割される。ベース10から離れるような向きにされた貫入要素20aは、(木材用)ドリルとして設計される。貫入要素20aの構成要素として、曲がりくねった切断要素21及び隣接する切り屑溝を含む。分配要素20b(例えば、この例では中間ねじ部分)は、曲がりくねった切刃としてねじ切り部22、及び注入器具1の貫入構造のアンカー要素を含む。一例では、中央部分20bの外径は、前方部分20aの外径よりも大きい。閉鎖ビーズ23(この例ではそのうちの3つを示す)が、ベース10に直接隣接する閉鎖要素(又は後方部分20c)に形成される。これらの周辺ビーズ23の外部プロファイル(例えば、直径、本体の残りの部分に対する突起など)は、中央部分20bの対応する外部プロファイル(例えば、直径など)よりも大きい。
【0075】
図3に最もよく示すように、外向きに開口したシリンダー状取り付け又はソケット開口部11(ソケット嵌合部)がベース10に設けられ、且つ貫入分配本体20の主チャンネルとして設けられた長手方向チャンネル25(例えば入口通路25)に接続されて、それと連通する。長手方向チャンネル25は、任意選択的に盲穴として構成され、且つシャフト20(貫入分配本体の例)の少なくとも後方部分20c及び中央部分20bを通って延在する。シャフト20の中央部分20b(貫入分配本体の分配要素)の領域では、側方に延在する半径方向すなわちラジアル出口チャンネル27(例えば、1つ以上の分配ポート)が設けられ、これらが、長手方向チャンネル25に接続されてそれと連通する。半径方向出口チャンネル27(分配ポート)は、シャフト20の中央部分20bの領域において、ねじ山の一回り22間に、側方に開口する。ある例では、ねじ山の一回りは、ねじ山の一回り間に1つ以上の分配リザーバを提供し、及び分配ポートは、一回り内にある。従って、分配ポートは、ねじ山の一回りの末梢端を含む本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられる。
【0076】
ヘッド10(ベースの例)は、例えば、六角形の外形を有し、六角形のソケットを備えるスクリュードライバーが差し込まれ得るようにする。一例では、注入器具1は、金属(合金)製とし、且つ3次元印刷によって生産される。
【0077】
使用中、注入器具1は、
図1に示すように、処置されるべき植物の木質領域B、例えば木の幹に挿入される。より具体的には、注入器具1は、木の幹内へ進められる挿入方向30(例えば貫入方向の例)に沿って植物に貫入する。挿入方向30は、挿入器具1の軸、長手方向体軸40に沿って延在する。注入器具1のこの実施形態は、注入器具1の切断要素21によるセルフドリリング設計を含み、及び挿入は、パイロット穴をドリルで開けずに、(例えば電気又は手動スクリュードライバーによって)ねじ込むことによって、単一の作業ステップで行われる。シャフト20のドリル部分20a(貫入要素の例)が、ドリルで穴を開け、シャフトのスクリュー部分20b(この実施形態では分配要素及びアンカー要素)が、注入器具1をさらに前進させて、その保持を固定する。第3の部分20cの周辺ビーズ23(閉鎖要素)は、さらに、注入器具1を外部に嵌め合わせ、且つ植物への貫入部を囲んでいる。さらに、注入器具1の貫入の深さは、周辺ビーズ23によって視覚的に監視される。例えば、周辺ビーズ23のそれぞれは、植物の外面に到達するため、操作者は、貫入要素20a(ドリル部分とも称する)が対応する貫入深さにあることを認識する。
【0078】
スクリュー部分20bによって注入器具1を前進させている間、挿入器具1は、貫入運動方向31(
図2に、ねじ切り部に対して平行な矢印で示す)に、回転され、それにより、ねじ切り部22に沿って動かされる。一例では、ねじ山22のピッチ又は角度は、貫入運動方向31(貫入方向の別の例)を規定する。注入器具1のねじ込み(例えば、器具の回転)及び貫入運動方向31に沿ったねじ切り部22の動きによって、注入器具1を挿入方向30に沿って軸方向に動かす。
【0079】
ここで
図3及び
図2を参照して説明すると、出口チャンネル27(分配ポートの例)は、線形であり、且つ貫入運動方向31に対して横断方向の(相対角度で)出口方向32に延在する。例えば、出口方向32に延在する出口チャンネル27は、貫入運動方向31に対して90度以下の角度である(例えば、出口チャンネルは、貫入運動方向31に直角であるか、又はそれに対して逆方向に開口している)。
図3では、出口方向32は紙面に沿っており、且つ貫入運動方向31、挿入方向30(集合的に貫入方向)、及び少なくとも挿入方向に対応する長手方向体軸40のそれぞれに対して横断方向である。
図2では、出口方向は、円及び点のシンボルで紙面に対して垂直に延びるように示されており、ここでも、貫入運動方向31、挿入方向30及び長手方向体軸40に対して横断方向である。例えば、出口方向32に延在する出口チャンネル27は、挿入方向30に対して90度以下の角度である(例えば、出口チャンネルは、挿入方向30に直角であるか、又はそれに対して逆方向に開口している)。出口チャンネル27が横断方向の向きであることにより、挿入中、出口チャンネル27を植物組織から隔離するため、組織との係合、及び出口チャンネルが塞ぐ可能性を最小限にする。
【0080】
注入器具1が植物に挿入されている状態で(貫入形態の一部として)、送達装置100、200、300のうちの1つ(又は別の形態の送達装置)が、入口ポート、この例では取り付け開口部11において注入器具1に封止式に取り付けられる。有効成分配合製剤W(液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾル、コロイド、微小粒子/ナノ粒子、生物有機体などのうちの1種以上を含む流体)の用量が、予め規定された期間、送達される。有効成分配合製剤Wは取り付け開口部11、長手方向チャンネル25(入口通路の例)及び出口チャンネル27(例示的な分配ポート)を通って、注入器具1を取り囲む植物組織に入る。製剤Wは、徐々に吸収され、且つ植物の栄養経路によって輸送される。ねじ山の一回り22、及び貫入方向に対して横断方向の分配ポート(出口チャンネル27)は、周囲植物組織への有効成分配合製剤の小出しを促す。例えば、分配ポートは、分配リザーバの壁の機能を果たすねじ切り部内、それゆえ貫入分配本体の本体プロファイル(この例では、シャフト20)内の奥まった所に据えられる。さらに、分配ポートは開口しており、それゆえ、貫入方向(挿入方向及び貫入運動方向を含む)に対して横断方向に向けられ、且つ対応して長手方向体軸40に対して横断方向である。分配リザーバと組み合わせて、出口チャンネル27が横断方向の向きであることにより、挿入中、出口チャンネル27を植物組織から隔離する。
【0081】
送達装置と注入器具1の連通を容易にするために、送達装置100、200、300は、注入器具1のヘッド10の取り付け開口部11(ソケット嵌合部)に対応する取り付け部分111、211、311を備える。取り付け部分は、注入器具1との封止連通を可能にする。取り付け部分は、限定するものではないが、チップ111、ホース211、取り付けニップル311などを含み、それらはそれぞれ、出口チャンネル27(例示的な分配ポート)と連通する入口ポート41を有する取り付け開口部11(ソケット嵌合部の例)において注入器具1と封止結合されている。
【0082】
図4に例として す送達装置100の第1の実施形態は、液状有効成分配合製剤Wが保管され続けるコンテナー130と、この例ではピストルプロファイル状である投薬装置110とを含み、この投薬装置を用いて、有効成分配合製剤の用量が、圧力下で、注入器具、例えば本明細書で説明する注入器具のうちの1つ以上に小出しされる。
【0083】
図4に示す例では、キャリアプレート131がコンテナー130に固定され、そのキャリアプレート131に、加圧ガスD、例えばCO
2の入ったカートリッジ132が装着される。調整可能な減圧弁133及びマノメータ134がカートリッジ132に取り付けられる。有効成分配合製剤の入ったコンテナー130、及び減圧弁133は、それぞれ、それぞれのホースライン135、136を経由して投薬装置110に接続される。
【0084】
投薬装置110はハンドル112を含み、このハンドルは、ハンドル112内に含まれるスプリング式3/2弁114をトグル式に切り替えるトリガー113を有する。弁114は、ホースライン136(
図5にも示す)、及びコンテナー130から製剤を吸引するための空気圧ポンプアセンブリ120に取り付けられる。製剤は、圧力下で、取り付けチップ111を通して、
図1~3に示す器具1などの注入器具に小出しされる。
図5は、これらの構成要素を概略的に示す。
【0085】
図5に示すように、空気圧ポンプアセンブリ120は、圧力ピストン122が内部で可動である圧力シリンダー121、及び復元スプリング123を含む。この例では、ポンプアセンブリ120は、さらに、薬注ピストン125が内部で可動である薬注シリンダー124を含む。この例では、送達装置100は、空気圧式薬注ポンプである。薬注ピストン125は、圧力ピストン122に運動学的に結合される。上述の取り付けチップ111は、薬注シリンダー124に装着され、且つ後者と連通するためにそれに接続される。圧力シリンダー121は、ホースライン137を経由して3/2弁114に接続される。逆止弁138(例えば、チェック弁、一方向弁など)が、薬注シリンダー124をコンテナー130に接続する(取り付けチップ111が介在する)ホースライン135にある。取り付けチップ111内には別の逆止弁139がある。
【0086】
図5に示すような構成要素の位置では、圧力シリンダー121には圧力がない;その圧力ピストン122及び薬注ピストン125は、復元スプリング123からの復元力に基づいて、それらの後方限界停止部(図面の右側に)ある。薬注ピストン124の前側にある薬注シリンダーの空間には、有効成分配合製剤が充填されている。トリガー113の作動によって、復元スプリング114aを備える静止位置にある3/2弁114は、ホースライン136と137を接続するように作動される。このようにして、加圧ガスDは、圧力ピストン122に作用し、且つ後者を、薬注ピストン125と一緒に、前方へ(図面の左側へ)押す。薬注シリンダー124内にある有効成分配合製剤Wは、薬注ピストン125の動きによって、取り付けチップ111を通して注入器具へ小出しされる。トリガー113が解放された後、復元スプリング114aは、3/2弁114をその静止位置へリセットし、及びホースライン137は開放される(又は、シリンダー121に対する通気又は非通気形態に依存して、閉鎖される)。圧力シリンダー121は圧力をなくされ、及びその復元スプリング123は、圧力ピストン122を、薬注ピストン125と一緒に、それらの後方限界停止部の所まで動かす。このようにして、有効成分配合製剤Wは、コンテナー130からホースライン135及び逆止弁138を経由して薬注シリンダー124内へと吸引される。
【0087】
送達装置100は、復元スプリング123によってその開始位置へ戻るように動かされる例示的な単動圧力ピストン122を備える。他の例では、送達装置100は、複動圧力ピストン及び対応する制御弁を含む。この例では、圧力ピストンは、空気圧で両方向に動かされるため、それぞれの動きによって製剤Wの用量を提供する。
【0088】
図6~7は、送達装置200の第2の実施形態を示す。送達装置200は、空気圧送ポンプとして構成される。
図7の概略図に示すように、送達装置200は、ポンプピストン221が内部で可動であるポンプシリンダー220を含む。のぞき窓222が、ポンプピストン221の位置を特定するために、任意選択的に含まれる。加圧ガス送達弁223(例えば、自転車のチューブの弁と同様)が、ポンプシリンダー220の下方部分に配置される。下方部分と反対のポンプシリンダー220の蓋には、T字形部品224(T字形接合部など)、逆止弁225(チェック弁、一方向弁など)、及び、T字形部品の反対側には、遮断弁226が配置される。遮断弁にはホースラインが取り付けられる。この例では、ホースラインは、限定されるものではないが、対応するソケット嵌合部、クリート上に保持するように構成された曲げやすいホースなどを含む、注入器具1に接続するための取り付け部分211である。有効成分配合製剤Wと連通するホースライン227が逆止弁225に取り付けられる。
【0089】
ポンプシリンダー220は、
図6に示すフレーム228内に保持される。フレーム228は、任意選択的に、送達装置200を木の幹に結合するのを容易にするための取付板229、マウントなどを含む。
【0090】
ポンプシリンダー220は、ホースライン227及び逆止弁225を通して有効成分配合製剤W(例えば、液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾルなどのうちの1種以上を含む流体製剤)が充填される。ポンプピストン221は、対向端部の方へ(図面において下方へ)押圧される。加圧ガスのクッションが、加圧ガス送達弁223を通してポンプシリンダー220の反対側にもたらされる。遮断弁226が開放されると、加圧ガスが、ポンプピストン221を駆動し(図面において上方へ)、それにより、ポンプシリンダー220内にある有効成分配合製剤Wをポンプシリンダー220から、取り付け部分211を通して、注入器具1内へ押し出す。一例では、送達装置200からの有効成分配合製剤Wの小出しは、急には行われず、その代わりに、徐々に、例えば1時間以上(1時間、2時間など)を含め、継続的に生じる。ポンプシリンダー220への有効成分配合製剤Wの充填が、注入器具1に既に結合された取り付け部分211によって生じる場合、任意選択的に遮断弁226は省略される。別の例では、ポンプピストン221の復元力又は付勢は、限定されるものではないが、アクチュエータモータ、付勢要素、例えばスプリングなどを含む、機械的な機構を備える。
【0091】
別の例では、ポンプシリンダー220に可撓膜が設けられる。膜は、加圧流体(例えば、空気、流体圧流体など)から有効成分配合製剤Wを分離する。別の例では、流体、例えば流体圧流体は、例えばポンプピストン221を駆動するために、製剤送達用のポンプシリンダー220内に含まれる。
【0092】
図8は、木の幹Bに挿入される1つの注入器具1に取り付けられる5個の送達装置200の概略図である(
図6及び
図7に示すタイプ)。ポンプシリンダー220への有効成分配合製剤の充填は、有効成分配合製剤の入ったコンテナーに接続された供給ポンプ241を含む環状ライン240(例えば、ヘッダー又はメインライン)を経由して行われる。ライン240用の遮断弁242及び5個の送達装置200用の逆止弁225が含まれる。空気圧ポンプ243が、マノメータ244及び圧力リザーバ245と組み合わせて、ホースライン246を経由して5個の送達装置200と連通する。ポンプ243は、圧縮空気又は加圧流体(流体圧の場合)を装置200に提供して、それぞれのポンプシリンダーから木の幹Bへの製剤の分配を容易にする。別の例では、ポンプ243は、送達装置200と同様に動作する流体圧ポンプである。
【0093】
図1に、送達装置300の第3の実施形態が示されている。送達装置300は、2チャンバーコンテナー、又は別個のチャンバーを有するカートリッジを含む。チャンバーは、カートリッジのようなコンテナー310に配置される。別個のチャンバーのうちの1つは、加圧された媒体、例えば加圧ガスを含む。他方の別個のチャンバーは、弁312を通して小出しするための有効成分配合製剤を含む。チャンバーは、任意選択的に、製剤をポンプで出すように可動であるピストン又は可撓膜によって分離されている。弁312は、注入器具1の取り付け開口部11(例えば、ソケット嵌合部)と連通するように構成されたアダプター311を備える。アダプター311を取り付け開口部11に結合した状態で、弁312は開放され、及びハウジング310の第1のチャンバー内の加圧された媒体は、膨張して、対向するチャンバー内の有効成分配合製剤を、弁312を通して、2チャンバーパッケージから注入器具1内へ押し出す。別の例では、弁312は、チルト弁(tilt valve)のようなものである。アダプター311と取り付け開口部11の結合後、2チャンバーコンテナー又はカートリッジは、その重量下で下に傾いて、自動的にチルト弁を開放する。
【0094】
注入器具の代替的な実施形態が本明細書に含まれる。
図9及び
図10に示す実施形態では、注入器具2001は、テーパ付きチップを有するネイルと同様の楔本体プロファイルを有する。
図11~13に示す注入器具の実施形態は、楔本体プロファイル(例えば、ランスチップ又は楔)の別の例を含む。注入器具に共通するものは、本体プロファイルの変動に対応する自己貫入能力である。例えば、本明細書で説明する注入器具のそれぞれは、以前設けられたドリル穴又は他の凹部がなくても、植物、例えば木の幹又は茎に貫入されるか又は挿入される(例えばハンマーで打たれる、押圧される又は押し込まれる)。
【0095】
図26及び
図27は、例えばねじ特徴を備えるシャフトタイプの本体プロファイルを有する注入器具8001の別の実施形態を示す。注入器具は、ヘッド8010(ベースの例)と、前方スクリュー/ドリル部分8020a(貫入要素)及び後方ビーズ部分8020bを有するシャフト8020(貫入分配本体の例)とを有する。シャフト8020の前方部分8020aは、器具8001のヘッド8010(ベース)から遠位部分の方へテーパが付けられている貫入要素である。貫入分配本体は、自己切削スクリューの特徴を含む。注入器具8001の貫入要素は、曲がりくねった又はらせん状の切刃8022を備える、鋭いチップ8021及びねじ切り部を含む。周辺ビーズ8023(閉鎖ビーズの例)は、ヘッド8010(ベース)に隣接する後方部分8020b(閉鎖要素の例)に形成される。これらの周辺ビーズ8023の外部プロファイルは、前方部分8020aのねじ切刃8022の外部プロファイルよりも大きく、器具8001と植物との間の封止を強める。
【0096】
図27に示すように、外向きに開口したシリンダー状取り付け又はソケット開口部8011(例えば、開口部又は開口部用のプラグの1つ以上を含むソケット嵌合部の例)は、ヘッド8010にあり、且つ入口ポート8040によって、長手方向主チャンネル8025(入口通路の例)に接続されている。この例では、主チャンネル8025は、チップ8021の方へ延在するテーパ付き穴である。その底端部に向かって、主チャンネル8025は、複数の軸方向及び円周方向に離間した出口チャンネル8027(分配ポートの例)に接続される。出口チャンネルのそれぞれは、らせん状切刃8022の2つの隣接するセクション間に開口する。上述の通り、出口チャンネル8027が、貫入方向、例えば挿入方向に対応する器具8001の長手方向体軸に対して横断方向に開口しており(例えば、延在する、向けられているなど)、且つまた、器具8001が回転されるため、貫入運動方向(貫入方向の別の例)に対して横断方向にある。分配リザーバは、出口チャンネル8027を、
図26、
図27に示すテーパ付きのねじプロファイルに対応する器具8001の本体プロファイルから離間するために、ねじ切り部(reading)8022間に含まれる。分配リザーバと組み合わせた出口チャンネル8027の横断方向の向きは、挿入中、出口チャンネル8027を植物組織から隔離する。
【0097】
ヘッド8010(ベースの例)は、ドライバー器具を受け入れるためのスリット、開口部などを備える。例えば、注入器具8001を回転させて、挿入方向8030に沿って植物に挿入させるために、スクリュードライバーが使用される。挿入方向8030は、注入器具8001の長手方向体軸8041に沿って延在する。注入器具8001は、金属又は合金で作製され、且つ任意選択的に、3次元印刷法によって生産される。ヘッド8010の下方部分は、
図27に示すように、当接面8013を含むフランジ又は段を形成する。一例では、当接面8013は深さ停止部の機能を果たし、且つ植物への注入器具8001の挿入を制限する。さらに、当接面8013は、器具8001が植物に十分に挿入されたら、周辺ビーズ8023(閉鎖ビーズの例)と同様の方法で、植物の貫入部を取り囲む。
【0098】
ドライバー器具によって注入器具8001を前進させる間、挿入器具8001は回転され、且つ貫入運動方向8031の別の例では、そのねじ山又はらせん状切刃8022に沿って動かされる。この例では、ねじ山8022のピッチ又は角度は、貫入運動方向8031を規定する。注入器具8001のねじ込みはまた、挿入方向8030において注入器具8001を軸方向に動かす。
【0099】
出口チャンネル8027は直線であり、且つ
図27に示す出口方向8032に延在する。出口方向8032は、長手方向体軸8041(挿入方向に対応する)並びに貫入運動方向8031に対して横断方向である。例えば、出口チャンネルの出口方向8032は、貫入運動方向8031(及び挿入方向8030)に対して約135度である。貫入方向(例えば、挿入方向又は貫入運動方向)の一方又は双方に対する出口チャンネル8027の横断方向の向きは、出口チャンネルを植物体(plant matter)から隔離し、それゆえ、チャンネルを詰まらせたり又は塞いだりするのを最小限にする。従って、出口チャンネル8027(例示的な分配ポート)は、注入器具が貫入形態(挿入中)から植物の処置のための分配形態へ移行した後、開放したままであり、且つ製剤を分配する準備が整っている。
【0100】
楔タイプの本体プロファイル(例えば、この例ではテーパ付きのネイル)を有する別の注入器具2001が
図9~10に示されている。注入器具2001は、ストライクヘッド2010、例えばベース、及び3つの部分に分割されるシャフト2020又は貫入分配本体を含む。
図9及び
図10に示す例では、貫入分配本体は、前方ネイルチップ部分2020a(例示的な貫入要素)、中央円錐状部分2020b(分配要素の例)、及び後方ビーズ部分2020c(閉鎖要素の例)を含む。
【0101】
前方部分2020aは、ストライクヘッド2010に対して離れた所にあり、それらの間には介在要素がある。貫入分配本体の前方部分2020a、すなわち貫入要素は、ストライクヘッド2010に最も近い近位部分から本体の遠位部分の方へテーパが付けられている。注入器具2001では、前方部分2020a、又は貫入要素は、貫入要素の切断要素としてテーパ付きチップ(ネイルのような)を含む。
【0102】
この例示的な器具では中央部分2020b、又は分配要素は、テーパが付けられており、且つ1つ以上の窪み又は縦溝2022を有する。本明細書で説明するように、分配ポートは、本体プロファイルに対して奥まった所に据えられ(例えば、縦溝の遠位縁部に沿って延在する)、ポートを塞ぐのを最小限にする。
【0103】
周辺ビーズ2023(この例では3個ある)が、後方部分2020c、又は閉鎖要素に形成される。後方部分2020cはストライクヘッド2010に隣接する。一例では、周辺ビーズ2023の周辺プロファイルは、遠位要素、例えば分配要素及び貫入要素(2020b、2020a)の対応するプロファイルよりも大きい。より大きなプロファイルの周辺ビーズ2023は、周辺ビーズと周囲の植物物質との係合によって、植物を通る貫入部を閉鎖する。
【0104】
図9及び
図10のそれぞれに示すように、シャフト2020の後方部分2020c(例えば、例示的な貫入分配本体)とストライクヘッド2010(又はベース)との間の移行部において、ストライクヘッド2010にフランジのような段又は当接面2013が設けられる。当接面2013は、シャフト2020の円周方向に延在する。注入器具2001のシャフトすなわち貫入分配本体が植物に挿入されると、当接面2013は、植物に接触し(シャフトが十分に貫入した状態で)、且つ注入器具2001を植物内でさらに前進させるのを制限する。さらに、当接面2013は、分配要素2020bよりも大きなプロファイル特徴を提供し、且ついくつかの例では、植物と注入器具2001との間の境界面を取り囲み、それにより、汚染物質、有害生物などが入るのを最小限にしながら、製剤の漏れも最小限にする。
【0105】
図10に最もよく示すように、外向きに開口したシリンダー状取り付け部分開口部2011(入口ポートの例)が、ストライクヘッド2010に設けられ、且つシャフト2020の長手方向主チャンネル2025(又は入口通路)と連通している。任意選択的に、ストライクヘッド2010は、リブ付き外側構造2012(例えば、取り付けクリート)、又は取り付け開口部2011(例えば、この例ではソケット嵌合部又はソケット開口部)への対応するソケット嵌合部の挿入の代替例として他の例示的な取り付けクリートを含む。例えば、ホース、チューブなどがストライクヘッド2010に結合され、及び取り付けクリート、例えばリブ付き構造2012が、ホースをしっかりと保持する。
【0106】
一例では、長手方向チャンネル2025は、盲穴として構成され、且つシャフト2020の後方部分2020c及び中央部分2020bを通って延在する。シャフト2020の中央部分2020b(例示的な分配要素)の領域では、半径方向出口チャンネル2027(分配ポートの例)は、長手方向チャンネル2025から延在し、且つシャフト2020の中央部分2020bの領域において、その窪み2022間で側方に開口する。一例では、出口チャンネル2027は、器具2001の楔又はテーパ付き形状などの注入器具2001の本体プロファイル内にある。従って、例えば、出口チャンネル2027、及びチャンネルに最も近い本体プロファイル外面に対応する窪み2022は、外面に対して奥まった所に据えられる。任意選択的に、窪み又は縦溝2022は、分配リザーバ(縦溝間の空間)の周りに延在し、そこに出口チャンネル2027がある。分配リザーバは、例えば貫入中、出口チャンネル2027を植物物質から隔離することによって、周囲植物組織への、出現する有効成分配合製剤の分配を促す。別の例では、分配リザーバは、近位の植物組織と一緒に、製剤を受け入れるため、及び植物組織に最も近い製剤の滞留を強化する(例えば、取り込みの強化)ために、空洞、ポケットなどを形成する。
【0107】
図9~10に示す注入器具2001の動作は、いくつかの点については、注入器具1の動作と同様である。注入器具1(ねじ切り部22に沿って回転される)とは対照的に、注入器具2001は、例えばハンマー、空気ハンマーを用いて、手によってなどで、木の幹など、植物に打ち込まれる。器具2001の挿入方向2030は、長手方向体軸2040に沿って示されている。注入器具2001を植物内で前進させる間又はハンマリングする間、打撃によって、長手方向体軸2040に対応する貫入運動方向2031(貫入方向の例)に沿った動きを引き起こす。この例示的な注入器具2001では、貫入運動方向2031はまた、挿入方向2030に対応する(
図2及び
図3に示す異なる方向を有する器具1とは対照的に)。
【0108】
図10に示すように、出口チャンネル2027(分配ポートの例)は、主チャンネル2025から側方に又は半径方向に延在する。例えば、出口チャンネル2027は、長手方向体軸2040(及び貫入方向又は挿入方向2030)に対して横断方向に延在又は開口する。
図10に示す例では、出口チャンネル2027は、長手方向体軸2040に対しておよそ90度の角度で、横断方向に開口する。従って、
図10に示す例では、出口チャンネル2027は、貫入運動方向2031及び挿入方向2030に対して直角(並びに横断方向)の出口方向2032に延在する。他の例では、出口チャンネル(本明細書で図示及び説明するように)は、1つ以上の貫入方向及び対応する長手方向体軸に対して横断方向であり、例えば長手方向体軸に対してある角度で延在して、出口チャンネルを隔離し、それにより、植物への製剤の分配を強める。
【0109】
図11~13には別の注入器具3001が示されている。注入器具3001は、楔に対応する別の例の本体プロファイルを含む。この例では、楔本体プロファイルは平面を含み、この平面は、貫入分配本体の近位部分3043(ベースに最も近い)から遠位部分3041(貫入要素に最も近い)の方へテーパが付けられている。注入器具3001は、ストライクヘッド3010(ベースの例)と、ランスチップ又はブレードとして構成される楔部分3020(貫入分配本体の別の例)とを含む。楔部分3020は、その前方チップ3021に貫入要素、例えば切断要素貫入構造を含む。切断要素は、貫入分配本体(例えば、楔部分3020)の先頭部に沿って延在する切刃を含む。
図13に示すように、貫入分配本体(楔部分3020)の切断要素は、ストライクヘッド3010の近位部からテーパが付けられるため、分配要素(例えば、出口チャンネル3027及び分配チャンネルに最も近い本体の部分)を有する楔部分、及びプリズムと同様のプロファイルを含む。任意選択的に、貫入分配本体は、挿入後、植物内に本体を保持するように構成された1つ以上のアンカー要素を含む。楔本体プロファイルでは、アンカー要素は、本体の近位テーパ付きの(例えば、ベースの方へ向かってテーパが付けられる)表面(surfaces)、縁部、又は面(faces)を含む。
【0110】
取り付け開口部3011(例えば、入口ポートの例)がストライクヘッド3010に設けられる。取り付け開口部は、楔部分3020に設けられた長手方向主チャンネル3025(入口通路の例)と連通する。ストライクヘッド3010は、任意選択的に、リブ付き外側構造3012(取り付けクリートの例)を含んで、ストライクヘッド3010へのホースの結合を容易にする。
【0111】
再度、注入器具3001の分配特徴を参照すると、この例では、長手方向チャンネル3025は、盲穴であり、且つ楔部分3020(例えば貫入分配本体)のおよそ遠位部分3041まで延在する。出口チャンネル3027(分配ポートの例)が長手方向チャンネル3025と連通している。出口チャンネル3027は、楔部分3020の面取り面3023に開口している。縦溝3022又はチャンネル(例えば、分配リザーバの別の例)の星状配置構成が、楔部分3020の面取り平坦面3023に沿って延在する。
図11に示すように、出口チャンネル3027は、これらの縦溝3022に対して中央の位置に開口し、且つ縦溝は、出口チャンネルから広がっている。縦溝3022は、楔部分3020(例えば貫入分配本体)を横切って様々な方向に延在する。例えば、いくつかの縦溝3022は、ストライクヘッド3010の方に向かって後方に延在する一方、他のものは、周辺に延在し(側面へと)、さらに他のものは、楔部分3020の先頭部の方に向かって前方に延在する。縦溝3022は、出現する有効成分配合製剤の周囲植物組織への分配を促す。例えば、例示的な分配リザーバである縦溝3022は、例えば貫入中、出口チャンネル3027を植物物質から隔離することによって、出現する有効成分配合製剤の周囲植物組織への分配を促す。出口チャンネル3027は、縦溝3022内の奥まった所に据えられ、及び縦溝は、楔本体プロファイル外面の近位にある。別の例では、縦溝3022(例えば分配リザーバ)は、近位の植物組織と一緒に、貫入後、製剤を受け入れるため、及び植物組織に最も近い製剤の滞留を強化するために(例えば、取り込みの強化のため)、空洞、ポケットなどを形成する。
【0112】
図13に示すように、楔部分3020とストライクヘッド3010との間の移行部に、段又はフランジが含まれている。いくつかの例では、段又はフランジは、当接面3013であると説明されている。当接面3013は、楔部分3020に対して側方に延在する。注入器具3001が植物に挿入されると、当接面3013は(楔部分の十分な貫入で)植物に係合し、且つ注入器具3001の植物内でのさらなる前進を阻む。一例では、当接面3013は、植物と係合し、且つ注入器具3001と植物との間に閉接合を確立して、例えば植物への貫入部を取り囲むか又は覆う。
【0113】
第3の注入器具3001は、本明細書で説明する注入器具と同様に機能する。動作中、注入器具3001は、例えばハンマー、空気ハンマーを用いて、手動でなど、植物に打ち込まれる。ストライクヘッド3010(例えばベース)は、一例では、ハンマーによって植物、木の幹に打ちつけられる。
【0114】
注入器具3001は、挿入器具3001の長手方向体軸3040に沿って延在する挿入方向3030(貫入方向の例)に動かされる。注入器具3001を植物内へと前進させる又はハンマリングすることによって、打撃によって注入器具3001を、この例では挿入方向3030と同一の貫入運動方向3031(貫入方向の別の例)に沿って動かす。楔部分3020の楔本体プロファイルは、注入器具の動きと共に、植物組織を広げる。いくつかの例では、植物組織が広がることによって、植物組織への被害(例えば、除去)を最小限にし、その代わりに、植物組織を脇へ付勢するが、他の方法で植物と共に組織を維持する。例えば、植物の毛細管系は、最小限の(例えば、全くない又は最小限の)外傷で維持されて、植物への有効成分配合製剤の取り込み(update)を強化するのを容易にする。
【0115】
再び
図11(及び
図12)を参照して説明すると、出口チャンネル3027、分配ポートは、挿入方向3030(及び貫入運動方向3031)に対応する長手方向体軸3040に対して横断方向にある。出口チャンネル3027の横断方向の向きは、貫入中の、出口チャンネル3027との植物物質の係合を最小限にするため、チャンネルを開放形態に維持する。
図11に示すように、出口チャンネル3027の縦溝3022(例えば、長尺状の分配リザーバ)は線形であり、且つこの例では出口チャンネル3027から周辺に延在する。縦溝3022は、
図11に示すような様々な出口方向3032を提供する。例えば、出口方向3032は、貫入運動方向3031及び挿入方向3030並びに長手方向体軸3040のそれぞれに対して、横断方向に、異なる角度で延在する。角度のうちのいくつかは、90度未満であるか、90度に等しいか、又は90度よりも大きい(例えば100度以上)。さらに、
図11の長手方向体軸3040及び挿入方向3030に対して平行に見える縦溝3022は、楔部分3020がテーパを付けられているために、実際、これらの特徴に対して横断方向の角度にある。
【0116】
図14~16は、別の注入器具4001を示す。注入器具4001は、楔タイプの本体プロファイル、及び長手方向体軸4040に対応する挿入方向4030などの1つ以上の貫入方向に対して横断方向の出口チャンネル(例えば分配ポート)を含む。ストライクヘッド4010(ベースの例)と、例えばレースチップの楔本体プロファイルを有する楔部分4020(貫入分配本体の例)とを有する。楔部分4020は、その前面4021又は先頭部に、貫入構造の切刃として鋭い刃を備えて形成される。楔部分は、貫入分配本体の近位部分4043から遠位部分4041の方へテーパが付けられている(例えば、前面4021の方へ)。楔部分4020(貫入分配本体)の厚さは、ストライクヘッド4010の方へ向かって厚くなる。従って、楔部分4020は、遠位部分4041と近位部分4043との間の楔のテーパ付き部分に対応する貫入要素を有する。
【0117】
図14、
図15に示すように、楔部分4020は、三角形又はテーパ付き形状を有する分配開口部4028(分配リザーバの例)を含む。分配開口部4028は、複数の分配ポート(例えば出口チャンネル)と連通しており、及び分配ポートは、長手方向体軸4040(及び貫入方向の1つ以上)に対して横断方向にある。
図14~16に示す例示的な器具4001では、楔部分4020は、分配開口部4028に最も近い2つの翼状部分又は脚を含み(例えば、近位部分4043と遠位部分4041を接続する)、他の実施形態では、楔部分4020は、開口部4028に最も近い3個、4個以上の翼状部分を含む。
【0118】
取り付け開口部4011(入口ポートの例)がストライクヘッド4010に設けられ、且つ主チャンネル4025(入口通路)と連通している。ストライクヘッド4010は、例えば穴をストライクヘッド4010(例えば、器具4001のベース)と結合するように構成された1つ以上の取り付けクリートを含むリブ付き外側構造4012を有する。
【0119】
ストライクヘッド4010から楔部分4020への移行部で、主チャンネル4025は中間チャンネル4026に分かれる。各中間チャンネル4026は、開口部4028に最も近い翼状部分のうちの1つに沿って、出口チャンネル4027の方へ向かって延在する。
【0120】
図14に、及び
図15の断面図に示すように、出口チャンネル4027は、中間チャンネル4026に沿って設けられ、且つ分配開口部4028に横断方向に(例えば、長手方向体軸4040及び対応する貫入方向に対して横断方向に)開口している。例えば、出口チャンネル4027及び分配開口部4028は、分配要素と呼ばれる楔部分(例えば貫入分配本体)の一部分に設けられる。この例示的な本明細書の器具4001及び他のものでは、分配要素は、貫入要素、例えば楔部分4020の楔本体プロファイルと少なくとも部分的に同一の広がりを持つ。
【0121】
出口チャンネル4027は、器具4001のための分配要素又はセクションであり、且つ開口部4028の方へ向かって延在している。出口チャンネル4027は、横断方向に延在し、及びこの例に示すように、注入器具4001の順方向又は挿入方向4030に対して後ろ向きに延在する。主チャンネル4025、中間チャンネル4026及び出口チャンネル4027は、注入器具4001のチャンネルシステムを形成する。
【0122】
ストライクヘッド4010(例えば、器具4001のベース)と楔部分4020(例えば、器具4001の貫入分配本体)との間の移行部に、当接面4013が含まれる。当接面4013は、楔部分4020に対して延在する。注入器具4001が植物に挿入されると、当接面4013は植物に係合し、且つ植物へのさらなる挿入を阻む。前述の通り、当接面4013は、楔部分4020によって植物に作られた開口部を(少なくとも部分的に)取り囲む。
【0123】
図14~16の注入器具4001の動作は、本明細書で説明する他の注入器具の例と同様である。例えば、注入器具4001は、任意選択的に、木の幹など、植物に打ち込まれる(例えば、植物にハンマーで打たれる、手動で押し込まれるなど)。注入器具は、植物に貫入し、且つ器具4001の長手方向体軸4040に対応する挿入方向4030に沿って入る。例えば打撃により、植物内へ注入器具4001が入ることは、この例では、挿入方向4030に対して平行な貫入運動方向4031に沿った動きを引き起こす。
【0124】
楔部分4020の楔本体プロファイルのために、植物物質は、注入器具4001が植物に挿入すると広がる。植物物質が広がることによって、植物の内部への外傷を最小限にする(例えば、なくす又は最小限にする)。例えば、植物の毛細管系は、植物への有効成分配合製剤の分配及び取り込み(update)を強化するために、保存又は保護される。
【0125】
図15に示すように、出口チャンネル4027(例えば分配ポート)は、中心開口部4028(例えば分配リザーバ)の方に向かって出口方向4032に開口する。出口方向4032は、貫入方向、及び貫入方向の少なくとも挿入方向に対応する長手方向体軸4040に対して横断方向である。例えば、
図15に示すように、出口チャンネル4027は、貫入運動方向4031に対しておよそ135度の角度が付けられる。出口チャンネル4027の向きは、挿入中、(相対的に)近づいてくる植物物質からチャンネルを隔離することによって、植物物質とのチャンネルの係合を最小限にし、それにより、出口チャンネル4027を開放形態に維持する。従って、植物組織又は物質、例えば繊維などは、植物への注入器具4001の挿入中(例えば、貫入形態)、楔部分4020によって出口チャンネル4027からそらされて、分配形態にある間、チャンネル4027を開放形態に維持する。
【0126】
さらに、分配リザーバ(例えば分配開口部4028)は、本体プロファイルを開くことによって、植物物質からの出口チャンネルの隔離を強化して、本体プロファイル外面に対して奥まった所に据えられた箇所への開口部の位置決めを容易にする。さらに、分配リザーバ(例えば分配開口部4028)は、製剤を受け入れるための空洞を提供する。周囲植物組織と組み合わせて、分配リザーバは、リザーバを囲む植物組織のごく近くに又はそれと係合して、製剤を維持する。
【0127】
図17~19は、楔本体プロファイルの別の例を有する注入器具5001を示す。注入器具5001は、ストライクヘッド5010(ベースの例)と、この例ではランスチップとして構成された楔部分5020(貫入分配本体の例)とを有する。
図17に示すように、楔部分5020は、切断要素として鋭い刃を有する貫入要素を含む。切断要素は、前面5021(例えば先端)に沿って設けられ、及び貫入要素は、この例では、遠位部分5041から近位部分5043まで延在する。例えば、
図19に示すように、楔部分の楔本体プロファイルは、ストライクヘッド5010の方へ向かって増大し、厚さが厚くなる。
【0128】
ストライクヘッド5010は、軸方向にリブ付きの外側構造5012を有して、ストライクヘッド5010の把持、及び任意選択的に対応する取付け部品(例えば、ホース、小出し装置など)との結合を容易にする。ストライクヘッド5010(ベース)と楔部分5020(貫入分配本体)との間の移行部には、段又はフランジ、当接面5013が設けられている。当接面5013は、楔部分5020に対して延在し、及び器具の挿入を制限し、及び植物物質と係合して、植物の貫入部を容易に覆うようにする。
【0129】
再び
図19を参照して説明すると、ストライクヘッド5010は、この例では、入口ポート、例えば取り付け開口部5011を含む。この例では、取り付け開口部5011は、ベースの残りの部分(例えば、ストライクヘッド5010)とは別個の構成要素である。例えば、取り付け開口部5011は、ベースのポートとして設けられる。
図19に示すように、取り付け開口部5011は、主チャンネル5025(例えば入口通路)を通して、分配ポート、例えば出口チャンネル5027と連通する。主チャンネル5025は、取り付け開口部5011から斜めに上方向に、楔部分5020に設けられた中間チャンネル5026まで延在する。各中間チャンネル5026は、2つの隣接する分配リザーバ(例えば、開口部5028)間に垂直方向に延在する。左中間チャンネル5026は左側開口部5028間にあり、及び右中間チャンネル5026は右側開口部5028間にある。
【0130】
複数の出口チャンネル5027(この例では2つ)は、中間チャンネル5026をそれぞれ備える。出口チャンネル5027は、例えば長手方向体軸5040に対応する器具5001の挿入方向に対して横断方向に開口している(例えば、延在する、製剤を方向付けるなど)。このように、液状有効成分配合製剤は、開口部5028から植物へ送達される。例えば、開口部5028(分配リザーバの例)は、それぞれの出口チャンネル5027と連通している。出口チャンネル5027から送達される製剤は、開口部5028を満たす。開口部5028は、分配形態において(貫入後)、植物組織によって囲まれているため、開口部5028を含む注入器具5001は、周囲植物組織と係合して製剤を保持して取り込む。それにより、開口部5028及び周囲植物組織を囲む貫入分配本体(楔部分5020)の部分を含む注入器具5001は、製剤をポケット又は空洞に保持して、製剤の取り込み(update)を容易にする。
【0131】
図18にさらに示すように、出口チャンネル5027は、長手方向体軸5040(及び中間チャンネル5026)に対応する注入器具5001の順方向又は挿入方向5030に対して横断方向に延在する。例えば、出口チャンネル5027は、ストライクヘッド5010(器具5001のベースとも呼ばれる)の方に向けられる。主チャンネル5025、中間チャンネル5026(集合的に入口通路)及び出口チャンネル5027(例えば分配ポート)は、注入器具5001のチャンネルシステムを形成する。
【0132】
図17~19に示す注入器具5001の動作は、本明細書で説明する他の注入器具の動作と同様である。貫入形態では、注入器具5001は、ハンマーからの打撃、手動での挿入、器具5001を取り付けるように構成された導入器などによって、植物、例えば木の幹に打ち込まれる。
図19に示すように、別個の接続ノズル(例えば、取り付け開口部5011)が提供された状態で、ストライクヘッド5020は、開口部から隔離され、及び比較的強い打撃を受けるのに、例えば組織化された又は頑丈な物質、組織などを有する植物の貫入に、好適である(例えば、機械的に頑丈である)。
【0133】
図18には、挿入方向5030が示されており、これは貫入方向の例である。挿入方向5030は、挿入器具5001の長手方向体軸5040に沿って延在する(例えば、それに対して平行である、又は数度以内にある)。注入器具5001を植物に打ち込むことによって、注入器具5001を貫入運動方向5031に沿って動かし、及びこの例では、貫入運動方向5031は挿入方向5030に対応する。器具5001が楔本体プロファイルであるために、植物物質は注入器具5001によって広げられる。上述の通り、植物物質を広げることによって、植物の内部構造への外傷が最小限にされる。
【0134】
分配形態では(例えば、器具5001の貫入及び取り付け後)、出口チャンネル5027は、製剤を受け入れ、且つ長手方向体軸5040及び挿入方向(例えば、軸に対応する)に対して横断方向に分配する。
図18に示すように、出口チャンネル5027は開口しているため、製剤を分配開口部5028(例えば分配リザーバ)へ方向付ける。
図18に示すように、出口チャンネル5027は、出口方向5032において開口部5028の方へ延在している。この例示的な注入器具5001では、出口方向5032は、例えば、貫入運動方向5031、挿入方向5030(集合的に貫入方向)及び対応する長手方向体軸5040に対しておよそ125度の角度で、横断方向である。分配開口部5028内でのチャンネルの位置と加えて、出口チャンネル5027の横断方向の形態は、挿入中、チャンネル5027を植物物質との係合部から隔離するので、例えば植物への注入器具5001の挿入中、植物物質、例えば繊維などが出口チャンネル5027に詰まるのを最小限にする。
【0135】
図20~25に示す注入器具6001、7001は、様々な例では、一般に外殻がより柔らかい、あまり頑丈ではない植物(例えば、より柔らかい木、つる植物、茎など)と一緒に使用するように構成される。例えば、前述の注入器具の長さは50mm以上とし得る。一例では、これらの注入器具は、長さ35mm以上及び幅30mm以上の貫入分配本体(例えば、楔又はシャフト本体プロファイル)を含む。対照的に、いくつかの例では、
図20~25に示す例示的な注入器具6001、7001の全長は、約6mm~16mmである。
【0136】
図20~22は、楔タイプの本体プロファイルを有する楔部分6020、例えば貫入分配本体を有する注入器具6001を示す。注入器具6001は、ストライクヘッド6010(ベースの例)及び楔部分6020(貫入分配本体の例)を含む。楔部分6020は切断要素を含む。例えば、楔部分6020は、前面6021に沿って、ストライクヘッド6010から遠位に向けられた切刃を含む。楔部分6020は、少なくとも部分的に同一の広がりを持つ貫入及び分配要素を含む。例えば、貫入要素は、切刃から、前面6021に沿って延在し、且つ楔部分6020の近位部分6043に対して遠位部分6041に最も近い。同様に、分配要素6012(出口チャンネル6027及び分配開口部6028を含む)は、楔部分6020の貫入要素内にある。
図22の側面図に示すように、楔部分6020の貫入要素の厚さは、遠位部分6041から近位部分6043及びストライクヘッド6010の方に向かって厚くなる。
【0137】
任意選択的に、ストライクヘッド6010は、リブ付き外側構造6012、例えば取り付けクリートを含んで、ストライクヘッド6010の把持を容易にし、且つ注入器具6001を送達装置にしっかりと固定する。ストライクヘッド6010と楔部分6020との間の移行部に、段が設けられる。段は、当接面6013を形成する。当接面6013は、楔部分6020に対して(例えば、それから離れるように)、延在する。注入器具6001の挿入中、当接面6013は、植物に接触し、且つ植物内での注入器具6001のさらなる前進を阻む。本明細書で説明する他の注入器具の当接面と比較して、関連の楔部分6020(例えば、それらは同様のサイズを有する)と比べて、当接面6013は比較的大きい。より大きな当接面6013は、比較的柔らかい外殻又は境界部を有するより小さくて頑丈さが劣る植物での使用を容易にする。比較的大きな当接面は、挿入からの力を、対応して大きな面6013に分配し、それにより、植物への外傷を最小限にする。当接面60313は、さらに、植物との頑丈な結合を確立するために、注入器具6001に閉塞面を提供する。
【0138】
図21及び
図22に示すように、ストライクヘッド6010は、取り付け開口部6011(例えば、入口ポートの例)を含む。取り付け開口部6011は、出口チャンネル6027及び分配開口部6028、例えば主チャンネル6025(例えば入口通路)と連通している。
図20及び
図21に示すように、出口チャンネル6027(例えば分配ポート)は、主チャンネル6025と連通し、且つそれぞれの分配開口部6028(例えば分配リザーバ)に、横断方向に開口している。
【0139】
流体有効成分配合製剤は、出口チャンネル6027から、例えば長手方向体軸6040及び対応する挿入方向6030に対して横断方向に、分配開口部6028へと送達される。分配開口部6028は、隣接する植物組織に最も近い滞留部に製剤を保持する。
図21に示す例では、出口チャンネル6027は、ストライクヘッド6010の方へ向かって近位方向に、及び注入器具6001の挿入方向6030に対して横断方向に延在する。主チャンネル6025及び出口チャンネル6027は、注入器具6001のチャンネルシステムを形成する。
【0140】
注入部6001の動作は、少なくともいくつかの点で、本明細書で説明する他の注入器具と同様である。注入器具6001は比較的小さなプロファイルである(又は他の器具の短縮形状である)ため、注入器具6001は、比較的小さな植物、又はより柔らかい植物物質(例えば組織など)を有する頑丈さが劣る植物に、簡単に挿入されて取り付けられる。例えば、注入器具6001は、植物、例えば茎への器具6001の打撃を和らげる又は手動での押圧のために構成されている。
【0141】
図21に示すように、注入器具6001は、挿入器具6001の長手方向体軸6040に対応する挿入方向6030に沿って挿入される。注入器具6001を植物内で前進させている間、器具は、貫入運動方向6031に沿って動き、及び図示の例では、挿入方向6030は、貫入運動方向6031に対応する。楔タイプの本体プロファイルを有し且つ本明細書で説明する他の注入器具と同様に、注入器具6001の楔部分6020は、器具6001が植物に挿入されると、植物物質を脇へ広げる。植物物質広げることによって、植物物質への外傷を最小限にし、且ついくつかの例では、製剤の取り込みの強化を促す。
【0142】
図21にさらに示すように、出口チャンネル6027(例えば分配ポート)は、分配開口部6028(例えば分配リザーバ)の方へ向かって出口方向6032に延在する。出口方向6032は、貫入運動方向6031(及び長手方向体軸6040)に対して横断方向にある。例えば、出口方向6032は、貫入運動方向6031、挿入方向6030(集合的に貫入方向)及び長手方向体軸6040と125度の角度などで位置がずれている。出口チャンネル6027の横断方向の向きによって、出口チャンネル6027を植物物質から隔離し、そうでなければ、植物物質は挿入によって出口チャンネルに導入される。さらに、分配開口部6028(例えば分配リザーバ)は、本体プロファイル内での出口チャンネル6027の位置決めを容易にし、例えばチャンネル6027は本体プロファイル外面から奥まった所に置かれる。
【0143】
図23~25は、楔タイプの本体プロファイルを有する注入器具7001の別の実施形態を示す。本明細書で説明する他の注入器具と同様の方法で、注入器具7001は、ストライクヘッド又は本体7010(例えばベース)と、楔部分7020(例えば貫入分配本体)のあるヘッドとを含む。注入器具7001の本体7010又はベースは、この例では円錐形であり、及び取り付け開口部7011の方へ向かってテーパが付けられている。楔部分7020は、その遠位前面7021又は先頭部に、貫入構造の切断要素として鋭い刃を備えて形成されている。
図25に示すように、楔部分7020の厚さは、本体7010の方へ向かって厚くなる。この例では、楔部分7020の貫入要素は、遠位部分7041と近位部分7043との間に延在し、且つ出口チャンネル7027及び側方凹部7028を含む楔部分の分配要素に対応する。
【0144】
図23及び
図24に示すように、楔部分7020は、ネックセクション7020bを形成する側方凹部7028(分配リザーバの例)を有する分配要素を含む。ネックセクション7020bは、楔部分7020を、上方切断セクション7020a及び下方拡張セクション7020cに分離する。切断セクション7020a(貫入要素の例)は、植物への注入器具7001の挿入によって植物を切断する又は切り開けるように構成された楔本体プロファイルの先端など、1つ以上の切断要素を含む。楔部分7020の拡張セクション7020cは、切断セクション7020aによって開けられた貫入部を広くして、楔部分7020の残りの部分のために、植物内に空洞を生成する。別の例では、拡張セクション7020cは、側方凹部7028と協働して、植物物質を広げ、且つ本明細書の他の注入器具で説明された分配リザーバと同様の方法で植物組織に最も近い側方凹部7028内での流体製剤の滞留を容易にする。
【0145】
図24及び
図25に示すように、本体7010は、中心主チャンネル7025(例えば入口通路)に開口する取り付け開口部7011(入口ポートの例)を含む。主チャンネル7025は、取り付け開口部7011から楔部分7020のネックセクション7020bを通って延在する。出口チャンネル7027は、主チャンネル7025から横断方向に延在する。
図23及び
図24に示すように、出口チャンネル7027は、側方凹部7028に横断方向に開口する。流体有効成分配合製剤は、出口チャンネル7027から側方凹部7028内へと横断方向に送達される。
【0146】
図24に示すように、出口チャンネル7027は、長手方向体軸7040に対応する注入器具7001の挿入方向7030に対して横断方向に延在する。例えば、出口チャンネル7027は、本体7010(例えばベース)の方へ向かって延在する。主チャンネル7025及び出口チャンネル7027は、注入器具7001のチャンネルシステムを形成する。
【0147】
本体7010と楔部分7020aの拡張セクション7020cとの間の移行部に段が形成される。この例では、段は、湾曲した当接面7013である。当接面7013は、注入器具7001を受け入れる植物、例えば丸い茎のプロファイルに対応するように湾曲している。注入器具7001が植物に挿入されると、湾曲した当接面7013が面と面との接触で茎と結合し、且つ植物内での注入器具7001のさらなる前進を阻む。注入器具7001の前進は、当接面7013の湾曲した形態によって比較的穏やかな方法で阻まれて、植物への外傷を最小限にする。さらに、本明細書で説明する他の実施形態のように、当接面7013は、注入器具7001と植物との間に頑丈な結合を確立し、且つ楔部分7020によって形成された貫入部を取り囲む。
【0148】
図23~25に示す注入器具7001の動作は、いくつかの点については、本明細書で説明する他の例示的な注入器具と同様である。例えば、注入器具7001は、植物、例えば茎に挿入される(例えば、打たれる、押し込まれるなど)。注入器具7001は、挿入器具7001の長手方向体軸7040にほぼ対応する挿入方向7030に沿って挿入される。注入器具7001は、貫入運動方向7031に沿って動き、及びこの例では、貫入運動方向7031は挿入方向7030に対応する。
【0149】
楔部分7020による植物への貫入によって、本明細書で説明する他の楔タイプの注入器具と同様の方法で植物物質を広げる。楔部分7020(例えば貫入分配本体)が貫入形態で取り付けられた状態で、注入器具7001は分配形態を取る。
【0150】
分配形態では、流体製剤は、出口チャンネル7027(例えば分配ポート)から開口部又は側方凹部7028(例えば分配リザーバ)へと横断方向に分配される。液状製剤は、側方凹部7028に供給され、且つ隣接する植物物質の近くにあってそれと係合している凹部に滞留する。流体製剤が側方凹部7028内に滞留している状態で、植物は、例えば製剤に加えられる送達圧力がない状態で又は最小限の状態で、製剤を徐々に取り込み(update)得る。
【0151】
図28、
図29及び
図30は、注入器具300の別の例を示す。先の例のように、注入器具300は、ベース302と、ベースから延在する貫入分配本体304とを含む。
図28に示すように、貫入分配本体304は、この例では、楔プロファイルを含む本体プロファイル308を含む。
図28及び
図29の本体プロファイル308は、破線で示され、且つ限定するものではないが、貫入分配本体304の形状、輪郭、サイズ、テクスチャーなどのうちの1つ以上を含む。図示の通り、貫入分配本体304は、さらに、分配要素312を含む。分配要素312は、貫入要素、例えば本体プロファイル308の先端を含む貫入要素310から離間した、1つ以上の分配ポート314を含む。前述の通り、1つ以上の分配ポート314は、植物への注入器具300の挿入方向に対応する長手方向体軸306に対して横断方向に(例えば、異なる方向に)液状製剤を分配する。
【0152】
再び
図28を参照して説明すると、前述のような注入器具300は、本体プロファイル308、例えばこの例では楔プロファイルを含む。図示の通り、楔本体プロファイル308は、貫入分配本体304の近位部分307から分配体304の遠位部分305までテーパが付けられている。楔プロファイル308は、植物の植物組織への注入器具300の貫入及び送達を容易にする。さらに、任意選択的に、貫入分配本体304は、1つ以上のアンカー要素316を含む。この例では、本体プロファイル308は、1つ以上のフランジ、面、角などを含んで、貫入分配本体304を植物の対応する組織に結合し、且つ任意選択的に、例えば、数時間、例えば1時間、2時間以上かけた液状製剤の分配のために、貫入分配本体304を植物内に継続的に保持する。
【0153】
図28及び
図30にさらに示すように、ある例では、分配要素312は、分配ポート314と連通する1つ以上の分配リザーバ322を含む。他の実施形態に関して前述したように、分配リザーバ322は、分配ポート314を通して投与される液状製剤を受け入れるように構成されている。別の例では、分配リザーバ322は、分配リザーバ内での液状製剤の滞留を容易にする一方で、貫入分配本体304が植物内に保持されるようにする。例えば、分配リザーバ322を囲む貫入分配本体304の面並びに隣接する植物組織は、植物及び本体304内に、液状製剤を入れて保持して植物組織に徐々に取り込まれるようにするように構成されたポケット、空洞などを形成する。分配リザーバ322は、貫入分配本体304にわたって分配パターンで設けられ、且つ任意選択的に分配ポート314よりも大きくて、液状製剤と接触する植物組織の量(面積)を増やす。
【0154】
図28に示すように、さらに
図29に示すように、一例では、分配リザーバ322及び分配ポート314は、本体プロファイル308内にあるため、植物への注入器具300の挿入中、植物組織から実質的に隔離されている(例えば、隠されている、遮蔽されている、保護されている(sheltered)、分離されている、覆われているなど)。別の例では、分配リザーバ322、分配ポート314などは、本体プロファイル308の本体プロファイル外面309から奥まった所に据えられる。例えば、植物組織への注入器具300の送達又は貫入中、分配ポート314及び分配リザーバ322を含む分配要素312を本体プロファイル外面309に対して奥まった所に据えることによって、植物組織は、有意義な形で分配リザーバ322又は分配ポート314に係合しない又は入り込まず、そうでなければ、分配ポート314を塞ぐか又は分配リザーバ322を満たして、そこに液状製剤が滞留しないようにする。
【0155】
図29に示すように、分配リザーバ322は、貫入分配本体304の本体プロファイル308内にある。例えば、
図29に示すように、本体プロファイル308の破線は、リザーバ322が内部にある状態で、分配リザーバ322の周りに延在する。従って、分配リザーバ322は、貫入中、植物組織から隔離される。例えば、貫入要素310又は貫入分配本体304の残りの部分の1つ以上は、貫入中、植物組織から分配要素312(例えば、ポート314及びリザーバ322の1つ以上を含む)を隠す又は覆う。一例では、貫入要素312は、貫入要素プロファイル又は貫入プロファイルを提供する。ポート314又はリザーバ322の1つ以上を含む分配要素312は、貫入中、長手方向体軸306に沿った方向において、貫入プロファイル内にある。貫入プロファイル(例えば、形状、寸法、例えば断面積など)は、分配ポート314又は分配リザーバ322の少なくとも1つよりも大きく、且つ軸方向に整列されている。従って、貫入プロファイル内のポート314及びリザーバ322は、貫入中、貫入要素310によって係合されている植物組織から隔離されている。例えば、分配ポート314及び分配リザーバ322の1つ以上を含む分配要素312は、貫入プロファイル(例えば、貫入分配本体304の断面プロファイルに対応する)の後ろ側に隠される。従って、分配ポート314又は分配リザーバ322の1つ以上を含む分配要素312は、例えば、植物への注入器具300の挿入中、植物組織との係合部から隔離される。従って、ポート314及び分配リザーバ322は開いたままであり、塞がれにくく、それにより、例えば、貫入分配本体304が植物内に配置されて保持されている状態で、分配形態にある間、液状製剤の投与を容易にする。
【0156】
再度、
図29の注入器具300の側面図を参照して説明すると、一例では、器具300のベース302は、フランジ、バーブなどを含む1つ以上の取り付けクリート324を含む。取り付けクリート324は、限定されるものではないが、分配装置のホース、取付け部品などを含む、本明細書で説明する分配装置の1つ以上の特徴と結合する。一例では、取り付けクリート324は、継続的に、特徴、例えば取付け部品、ホースなどを保持して、注入器具300を通した液状製剤の継続的な投与を容易にする。
【0157】
図30は、
図29の断面線A-Aに沿って取った注入器具300の断面図である。
図30に示すように、注入器具300は、貫入分配本体304にわたって分配パターンに配置された分配リザーバ322を含む。例えば、図示の例では、複数の分配リザーバ322は、分配ポート314間に点在させられる。各分配ポート314は、それぞれの分配リザーバ322に開口する。一例では、入口通路320が、液状製剤を注入器具300の入口ポート318から分配ポート314まで提供し、分配リザーバ322に分配する。
【0158】
図30にさらに示すように、この例では、分配ポート314は、長手方向体軸306に対して横断方向の向き(例えば、異なる角度向き)を有する。例えば、
図30に示すように、例示的な分配ポート314は、長手方向体軸306に対しておよそ105度の角度で開口している、又は延在している。従って、この例では、分配ポート314は、逆向きに、例えば、注入器具300のベース302の方へ向かって及び貫入分配本体304の貫入要素310から離れるように向きを変えられる又は逆方向に向けられる。他の例では、本明細書で説明及び図示するように、分配ポートは、ポート314が長手方向体軸306に対して異なる横断方向に開口している状態で、様々な形態に配置される。
図30及び本明細書の他の実施形態に示す分配ポートは、流体の分配を容易にするように、長手方向体軸306(例えば、貫入方向に対応する)に対して、長手方向体軸306の向きとは異なる方向に、開口する、延在する又は向けられる。例えば、及び本明細書で既に説明したように、液状製剤は、分配ポート314から、長手方向体軸306に対して5度以上異なる角度に沿って分配される。他の例では、分配ポート314は、長手方向体軸306から離間されている、すなわち奥まった所に据えられる。
図30に示す例では、分配ポート314は、それぞれ、長手方向体軸306から離間されており(及び貫入要素310から離間されている)、及びまた横断方向の向きに向けられる(例えば、軸306に対して異なる角度)。従って、分配形態では、液状製剤は、貫入形態にある貫入要素310及び貫入分配本体304の挿入方向に対して(例えば、全体的に長手方向軸306に沿った)、分配ポート314とは異なる方向に分配される。
【0159】
図31、
図32及び
図33は、注入器具400の別の例を示す。注入器具400は、本明細書で説明する他の注入器具の特徴と同様の1つ以上の特徴を含む。例えば、注入器具400は、ベース402と、ベース402から延在する貫入分配本体404とを含む。
図31に示す例では、貫入分配本体404は、この例では、楔形状又は楔プロファイルを有する本体プロファイル408を含む。この例では、楔本体プロファイル408は、対応する湾曲した(フォーク状又は凹状)貫入要素410を含む、湾曲又は凹状形態を含む。貫入分配本体404は、本体404の近位部分407から遠位部分405までテーパが付けられている。本明細書で説明するように、湾曲した貫入要素410及び対応する湾曲した又は弓状の貫入分配本体404は、分配ポート414又は分配リザーバ322の1つ以上を含む分配要素412の1つ以上を、器具400で貫入した植物の共通の1つの年輪又は植物組織に対して隣接させて位置決めするのを容易にする。従って、一例では、分配ポート414からの流体の分配は、植物の円周方向に延在する、対応する年輪又は植物組織に限局される。
【0160】
図31及び
図32を参照して説明すると、楔本体プロファイル408(破線で示す)は、近位部分407から遠位部分405までテーパが付けられている。
図32では、貫入分配本体404はまた、器具の厚さ部分(
図31及び
図32に示す幅部分とは対照的に)に対してテーパが付けられている。
図31及び
図32に破線として示す本体プロファイル408は、貫入要素410並びに貫入分配本体404の周りに延在する。
図32に示すように、分配ポート414及び分配リザーバ422は、この例では、本体プロファイル408内にある。例えば、分配ポート414は、本体プロファイル408の本体プロファイル外面409から奥まった所に据えられる。同様に、分配リザーバ422は、プロファイル408の本体プロファイル外面409から奥まった所に据えられる。
【0161】
他の実施形態に関して前述したように、本体プロファイル408内での、例えば本体プロファイル外面409内での(例えば、分配ポート414又は分配リザーバ422の1つ以上)を含む分配要素412の位置決めは、植物組織の分配要素412との係合を最小限にし(例えば、なくす又は最小限にする)、それゆえ、詰まりのない開口した状態でのポート414、分配リザーバ422などの保守を容易にし、植物組織への取り込みのために、ポートからの、例えば、分配リザーバ422への液状製剤の分配を促す。
【0162】
図31及び
図32にさらに示すように、別の例では、貫入分配本体404は、1つ以上のアンカー要素416を含む。この例では、アンカー要素416は、貫入分配本体404の近位方向に向けられた面、例えば、貫入分配本体404のフランジ、縁部などに対応する。一例では、アンカー要素416は、例えば、樹皮、植物の外面などにすぐ隣接する植物組織内に全体的に又は部分的に受け入れられ、且つ、一例では、任意選択的に植物組織がからむか又はそれによって覆われて、植物内に貫入分配本体404を保持する。
【0163】
図31及び
図32にさらに示すように、ある例では、ベース402は、注入器具400に結合された、注入装置、分配装置などの1つ以上の取付け部品、ホースなどを把持及び保持するように構成された、例えばリング、フランジ、バーブなどを含む1つ以上の取り付けクリート424を含む。一例では、取り付けクリート424は、限定されるものではないが、本明細書で前述し且つ図示したコンテナー、投薬装置などを含む分配又は注入装置の1つ以上の対応する特徴への注入器具400の結合の保持を容易にする。
【0164】
図33は、
図32の断面線A-Aに沿って取った注入器具400の断面図である。
図33に示すように、注入器具400は、長手方向体軸406とは異なる方向に開口する又は向けられた複数の分配ポート414を含み、例えばポート414は、ほぼ器具400の貫入方向である長手方向体軸406に対して横断方向である。例えば、図示の通り、この例では、分配ポート414は、長手方向体軸406に対して横に向けられているか又は角度が付けられた方向にある。従って、貫入形態に対して分配形態では、分配ポート404は、長手方向体軸406に対して横断方向に若しくは角度付きのベクトルで、又は角度付きのベクトルに沿って、液状製剤を提供するように構成されている。
【0165】
図33に示す例では、分配ポート414は、貫入方向(例えば、全体的に長手方向体軸406と位置合わせされている)に対して逆又は反対方向に向けられる。例えば、分配ポート414は、注入器具400のベース402の方へ向きを変えられ、且つ長手方向体軸406から離れるように反対向きにされる。他の例では、分配ポート414は、
図33に示すものとは異なる角度に配置されるが、同様に長手方向体軸406に対して異なる角度に配置され、それにより、長手方向体軸406から離れるように向きが変えられる。
【0166】
図33にさらに示すように、1つ以上の分配リザーバ422は、分配ポート414と連通している。分配リザーバ422は、入口ポート418と連通する入口通路420を経由してポート414から液状製剤を受け入れる。前述の通り、分配リザーバ422は、注入器具400内及び植物組織内に空洞、ポケットなどを提供し、それゆえ、植物の植物組織にごく接近し且つ隣接して液状製剤を保持する。従って、液状製剤が分配リザーバ422内に保持されている間、植物組織は、液状製剤を簡単に吸収する。吸収又は取り込みは、分配リザーバ422の弓状形態によってさらに強化される。リザーバ422の弓状形態は、最も活性的な植物組織、例えば木の最も若い年輪又は他の多年生植物のプロファイルに対応し、それにより、製剤を吸収及び輸送する準備が最も整っている植物組織に液状製剤をもたらす。
【0167】
限定されるものではないが、注入器具300、400を含む、本明細書で説明する注入器具のそれぞれでは、液状製剤は、植物による取り込みのために、受動圧又は能動圧下で、ポート414を通って送達される。本明細書で前述したように、一例では、液状製剤は、例えば、液状製剤を特定の圧力まで加圧し且つ液状製剤を1つ以上の注入器具、例えばポート414及びリザーバ422を通して分配するための注入器具400へ提供するポンプ、ブラダーなどを経由して「能動」圧によって提供される。別の例では、液状製剤は、例えば静水圧、毛細管作用などを経由して、注入器具400へ「受動」式に送達される。液状製剤は分配リザーバ422(
図33では)に受け入れられ、且つ植物組織は時間をかけて液状製剤を吸収する。植物内に保持される1つ以上の分配ポートを含む設計のそれぞれでは、液状製剤は、一例では、植物組織に受動的に提供される。従って、流体の加圧及び対応する漏れなどは最小限にされる(例えば、なくされる又は最小限にされる)。その代わりに、注入器具は、植物組織と組み合わせて、植物組織内に液状製剤が滞留するための密閉又は閉鎖環境を提供する。例えば受動圧下で送達された液状製剤の滞留は、植物への被害の変化、植物からの漏れなどを増加させ得るように流体を他の方法で能動的に加圧することなく、液状製剤の植物組織への分配及び植物組織による吸収を容易にする。
【0168】
本開示に関連して用いられ得る多数の有効成分が、一般的に、当業者に利用可能である。それらの「一般名」によって本明細書で特定される有効成分は、例えば、The Pesticide Manual(l8th edition,Ed.Dr.J A Turner(2018)、これは、いくつかある作用物質の中で特に、除草剤、殺菌・殺カビ剤、殺虫剤、殺ダニ剤、抗線虫薬、植物成長調整物質、防虫剤、共力剤を含む))において知られており、且つ説明されており、又はインターネットで検索され得る(例えば、alanwood.net/pesticides)。さらに、有効成分は、化合物及び組成物の以下の群から選択され得る:
1.殺菌・殺カビ剤
1.1 呼吸阻害剤
1.1.1 Qo部位の複合体IIIの阻害剤、例えば、アゾキシストロビン、クメトキシストロビン(coumethoxystrobin)、クモキシストロビン(coumoxystrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、フェナミンストロビン(fenaminstrobin)、フェノキシスロビン(fenoxystrobin)/フルフェノキシスロビン(flufenoxystrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシム-メチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン(pyrametostrobin)、ピラオ-キシストロビン(pyrao-xystrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トリクロピリカルブ(triclopyricarb)/クロロジンカルブ(chlorodincarb)、ファモキサドン(famoxadone)、及び/又はフェナミドン(fenamidone);
1.1.2 Qi部位の複合体IIIの阻害剤:シアゾファミド(cyazofamid)及び/又はアミスルブロム;
1.1.3 複合体IIの阻害剤:フルトラニル、ベノダニル(benodanil)、ビキサフェン(bixafen)、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム(fenfuram)、フルオピラム(fluopyram)、フルトラニル、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、フラメトピル(fluopyram)、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、セダキサン(sedaxane)、テクロフタラム(tecloftalam)及び/又はチフルザミド(thifluzamide);
1.1.4 他の呼吸阻害剤(例えば複合体I、脱共役剤):ジフルメトリム;
1.1.5 ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノブトン(dinobuton)、ジノカップ(dinocap)、フルアジナム(fluazinam);フェリムゾン;有機金属化合物:酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ及び/又は水酸化トリフェニルスズ;アメトクトラジン;及び/又はシルチオファム(silthiofam);
1.2 ステロール生合成阻害剤(Sterol biosynthesis inhibitors)(SBI殺菌・殺カビ剤)
1.2.1.C14デメチラーゼ阻害剤(DMI殺菌・殺カビ剤):トリアゾール:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール(flutriafol)、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール(ipconazole)、メトコナゾール、ミクロブタニル(myclobutanil)、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール(paclobutrazole)、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール(prothioconazole)、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(triadimenol)、トリチコナゾール(triticonazole)及び/又はウニコナゾール;
1.2.2 イミダゾール:イマザリル(imazalil)、ペフラゾエート(pefurazoate)、プロクロラズ(prochloraz)、トリフルミゾール(triflumizol);ピリミジン、ピリジン及びピペラジン:フェナリモル、ヌアリモル(nuarimol)、ピリフェノックス(pyrifenox)、トリホリン;デルタ14-レダクターゼ阻害剤:アルジモルフ(aldimorph)、ドデモルフ(dodemorph)、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)、フェンプロピジン(fenpropidin)、ピペラリン、スピロキサミン(spiroxamine);3-ケトレダクターゼの阻害剤:フェンヘキサミド;
1.3 核酸合成阻害剤:
1.3.1 フェニルアミド又はアシルアミノ酸殺菌・殺カビ剤:ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル-M、キララキシル(kiral-axyl)、メタラキシル(metalaxyl)、オフラセ(ofurace)、オキサジキシル(oxadixyl);他:ヒメキサゾール(hymexazole)、オクチリノン(octhilinone)、オキソリン酸、ブピリメート及び/又は5-フルオロシトシン;
1.4 細胞分裂及び細胞骨格の阻害剤
1.4.1 チューブリン阻害剤:ベンズイミダゾール、チオファネート(thiophanates):ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール(fuberidazole)、チアベンダゾール、チオファネート-メチル;トリアゾロピリミジン(triazolopyrimidines):
1.4.2 細胞分裂阻害剤:ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、エタボキサム、ペンシクロン、フルオピコリド(fluopicolide)、ゾキサミド(zoxamide)、メトラフェノン(metrafenone)及び/又はピリオフェノン;
1.5 アミノ酸及びタンパク質合成の阻害剤
1.5.1 メチオニン合成阻害剤(アニリノ-ピリミジン):シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;タンパク質合成阻害剤:ブラストサイジン(blasticidin)-S、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩-水和物、ミルジオマイシン(mildiomycin)、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン(oxytetracyclin)、ポリオキシン(polyoxine)、バリダマイシンA;
1.6.シグナル伝達阻害剤
1.6.1 MAP/ヒスチジンキナーゼ阻害剤:フルオロイミド(fluoroimid)、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フルジオキソニル;Gタンパク質阻害剤:キノキシフェン;
1.7 脂質及び膜合成阻害剤
1.7.1 リン脂質生合成阻害剤:エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)、ピラゾホス、イソプロチオラン(isoprothiolane);脂質過酸化反応:ジクロラン、キントゼン(quintozene)、テクナゼン(tecnazene)、トルクロホス-メチル、ビフェニル、クロロネブ(chloroneb)、エトリジアゾール;リン脂質生合成及び細胞壁沈着:ジメトモルフ、フルモルフ(flumorph)、マンジプロパミド(mandipropamid)、ピリモルフ(pyrimorph)、ベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、バリフェナレート(valifenalate);
1.7.2 細胞膜透過性及び脂肪酸に影響を及ぼす化合物:プロパモカルブ、プロパモカルブ-塩酸塩脂肪酸アミド(propamocarb-hydrochloridfatty acid amide)
1.8 多部位作用による阻害剤
1.8.1 無機活性物質:ボルドー液、酢酸銅、水酸化銅、塩基性塩化銅(copper oxychloride)、塩基性硫酸銅、硫黄;チオ-及びジチオカルバメート:フェルバム(ferbam)、マンコゼブ(mancozeb)、マンネブ(maneb)、メタム(metam)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram);有機塩素化合物(例えばフタルイミド、スルファミド、クロロニトリル):アニラジン、クロロタロニル、カプタホール、カプタン、フォルペット、ジクロフルアニド(dichlofluanid)、ジクロロフェン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール(pentachlorphenole)及びその塩、フタリド、トリルフルアニド、並びに他:グアニジン、ドジン、ドジン遊離塩基(dodine free base)、グアザチン(guazatine)、グアザチン-アセテート、イミノクタジン、イミノクタジン-三酢酸塩(iminoctadine-triacetate)、イミノクタジントリス(アルベシレート)(Iminoctadinetris(albesilate))、ジチアノン(dithianon);
1.9 細胞壁合成阻害剤
1.9.1 グルカン合成の阻害剤:バリダマイシン、ポリオキシンB;メラニン合成阻害剤:ピロキロン、トリシクラゾール(tricyclazole)、カルプロパミド、ジシクロメット(dicyclomet)及び/又はフェノキサニル(fenoxanil);
1.10 植物防御誘導物質
1.10.1 アシベンゾラール-S-メチル、プロベナゾール、イソチアニル、チアジニル(tiadinil)、プロヘキサジオン-カルシウム;ホスホネート:ホセチル(fosetyl)、ホセチル-アルミニウム、亜リン酸及びその塩;
1.11 未知の作用様式
1.11.1 ブロノポール、キノメチオネート(chinomethionat)、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、デバカルブ(debacarb)、ジクロメジン(diclomezine)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、ジフェンゾコート-メチルスルフェート、ジフェニルアミン(diphenylamin)、フェンピラザミン、フルメトベル(flumetover)、フルスルファミド、フルチアニル(flutianil)、メタスルホカルブ(methasulfocarb)、ニトラピリン、ニトロタール-イソプロピル、オキシン-銅、ピカルブトラゾクス、プロキナジド(proquinazid)、テブフロキン、テクロフタラム及び/又はトリアゾキシド(triazoxide);
1.12 抗菌・カビ性生物的防除剤:アンペロミセス・キスカリス(Ampelomyces quisqualis)(例えばIntrachem Bio GmbH & Co.KG、GermanyからのAQ 10(登録商標))、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)(例えばSyngenta、CHからのAFLAGUARD(登録商標))、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)(例えばbio-ferm GmbH、GermanyからのBOTECTOR(登録商標))、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)(例えばAgraQuest Inc.、USAからのSONATA(登録商標)及びBALLAD(登録商標)PlusのNRRL Accession No.B-30087)、枯草菌(Bacillus subtilis)(例えばAgraQuest Inc.、USAからのRHAPSODY(登録商標)、SERENADE(登録商標)MAX及びSERENADE(登録商標)ASOの分離株(isolate)NRRL-Nr.B-21661)、枯草菌変種アミロリケファシエンス(Bacillus subtilis var.amyloliquefaciens)FZB24(例えばNovozyme Biologicals,Inc.、USAからのTAEGRO(登録商標))、カンジダ・オレオフィラ(Candida oleophila)1-82(例えばEcogen Inc.、USAからのASPIRE(登録商標))、カンジダ・サイトアナ(Candida saitoana)(例えばBIOCURE(登録商標)(リゾチームとの混合物中)及びMicro Flo Company、USA(BASF SE)及びArystaからのBIOCOAT(登録商標))、キトサン(例えばBotriZen Ltd.、NZからのARMOUR-ZEN)、クロノスタキス・ロゼアf.カテヌラータ(Clonostachys rosea f.catenulata)、グリオクラジウム・カテヌラタム(Gliocladium catenulatum)とも呼ばれる)(例えば分離株(isolate)J1446:Verdera、FinlandからのPRESTOP(登録商標))、コニオチリウム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)(例えばProphyta、GermanyからのCONTANS(登録商標))、クリフォネクトリア・パラシチカ(Cryphonectria parasitica)(例えばCNICM、FranceからのEndothia parasitica)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)(例えばAnchor Bio-Technologies、South AfricaからのYIELD PLUS(登録商標))、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(例えばS.I.A.P.A.、ItalyからのBIOFOX(登録商標)、Natural Plant Protection、FranceからのFUSACLEAN(登録商標))、メツシュニコウィア・フルクチコラ(Metschnikowia fructicola)(例えばAgrogreen、IsraelからのSHEMER(登録商標))、ミクロドキウム・ジメルム(Microdochium dimerum)(例えばAgrauxine、FranceからのANTIBOT(登録商標))、フレビオプシス・ギガンテア(Phlebiopsis gigantea)(例えばVerdera、FinlandからのROTSOP(登録商標))、シュードザイマ・フロキュローサ(Pseudozyma flocculosa)(例えばPlant Products Co.Ltd.、CanadaからのSPORODEX(登録商標))、ピシウム・オリガンドラム(Pythium oligandrum)DV74(例えばRemeslo SSRO、Biopreparaty、Czech Rep.からのPOLYVERSUM(登録商標))、レイノウトリア・サハリネンシス(Reynoutria sachlinensis)(例えばMarrone Bio-Innovations、USAからのREGALIA(登録商標))、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)V117b(例えばProphyta、GermanyからのPROTUS(登録商標))、トリコデルマ・アスペレラム(Trichoderma asperellum)SKT-1(例えばクミアイ化学工業株式会社、日本からのECO-HOPE(登録商標))、T.アトロビリデ(T.atroviride)LC52(例えばAgrimm Technologies Ltd、NZからのSENTINEL(登録商標))、T.ハルジアナム(T.harzianum)T-22(例えばPLANTSHIELD(登録商標)der Firma BioWorks Inc.、USA)、T.ハルジアナム(T.harzianum)TH35(例えばMycontrol Ltd.、IsraelからのROOT PRO(登録商標))、T.ハルジアナム(T.harzianum)T-39(例えばMycontrol Ltd.、Israel及びMakhteshim Ltd.、IsraelからのTRICHODEX(登録商標)及びTRICHODERMA 2000(登録商標))、T.ハルジアナム(T.harzianum)及びT.ビリデ(T.viride)(例えばAgrimm Technologies Ltd、NZからのTRICHOPEL)、T.ハルジアナム(T.harzianum)ICC012及びT.ビリデ(T.viride)ICC080(例えばIsagro Ricerca、ItalyからのREMEDIER(登録商標)WP)、T.ポリスポラム(T.polysporum)及び/又はT.ハルジアナム(T.harzianum)(例えばBINAB Bio-Innovation AB、SwedenからのBINAB(登録商標))、T.ストロマチカム(T.stromaticum)(例えばC.E.P.L.A.C.、BrazilからのTRICOVAB(登録商標))、T.ビレンス(T.virens)GL-21(例えばCertis LLC、USAからのSOILGARD(登録商標))、T.ビリデ(T.viride)(例えばEcosense Labs.(India)Pvt.Ltd.、IndienからのTRIECO(登録商標)、T.Stanes & Co.Ltd.、IndienからのBIO-CURE(登録商標)F)、T.ビリデ(T.viride)TV1(例えばAgribiotec srl、ItalyからのT.ビリデ(T.viride)TV1)、ウロクラディウム・オウデマンシ(Ulocladium oudemansii)HRU3(例えばBotry-Zen Ltd、NZからのBOTRY-ZEN(登録商標))、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana)PPRI 5339(Becker Underwoodから製品「BroadBand」として市販されている)、メタリジウム・アニソプリエ(Metarhizium anisopliae)FI-1045(Becker Underwoodから製品「BioCane」として市販されている)、メタリジウム・アニソプリエ変種アクリジウム(Metarhizium anisopliae変種acridum)FI-985(Becker Underwoodから製品「GreenGuard」として市販されている)、及び/又はメメタリジウム・アニソプリエvar.アクリジウム(Metarhizium anisopliae var.acridum)IMI 330189(Becker Underwoodから製品「Green Muscle」として市販されている)。
【0169】
有効成分はまた、タンパク質又は二次代謝産物を含み得る。用語「タンパク質又は二次代謝産物」は、農業用殺虫剤活性を有する微生物の発酵のいずれかの化合物、物質又は副産物を指す。定義は、殺菌・殺カビ又は殺虫を含む農業用殺虫(pestocodal)活性を有する微生物の発酵のいずれかの化合物、物質又は副産物を含む。そのようなタンパク質又は二次代謝産物の例は、ハーピン(Harpin)(エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)によって単離される、例えばHarp-N-Tek(商標)、Messenger(登録商標)、Employ(商標)、ProAct(商標)として公知の製品);及び/又はテルペン成分及びテルペン混合物、すなわちa-テルピネン、p-シメン及びリモネン(例えばBayer CropScience LP、USからのRequiem(登録商標)として公知の製品)である。
【0170】
有用なタンパク質はまた、デフェンシン及び/又はプロテイナーゼ阻害剤などの、菌・カビの標的タンパク質、又は抗菌・カビ活性のある他のタンパク質に対する抗体を含み得る。デフェンシンは、例えば、ラディッシュからのNaD1、PhD1A、PhD2、Tomdef2、RsAFP2、RsAFP1、RsAFP3及びRsAFP4、ダリアからのDmAMP1、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocatanum)からのMsDef1、MtDef2、CtAMP1、PsD1、HsAFP1、VaD1、VrD2、ZmESR6、AhAMP1及びAhAMP4、アルファルファからのAfIAFP、エンドウ豆からのNaD2、AX1、AX2、BSD1、EGAD1、HvAMP1、JI-2、PgD1、SD2、SoD2、WT1、pl39及びpl230を含み得る。プロテイナーゼ阻害剤は、以下の種類からのプロテイナーゼ阻害剤を含み得る:セリン-、システイン-、アスパラギン酸-及びメタロプロテイナーゼ阻害剤及びカルボキシペプチダーゼ、例えばStPin1A(米国特許第7,462,695号明細書)又はウシトリプシン阻害剤I-P。
【0171】
2.殺虫性化合物
2.1 カルバメートの種類からのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤:アルジカルブ、アラニカルブ(alanycarb)、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム(butoxycarboxim)、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ(fenobucarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ、メチオカルブ、メソミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロポクスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノックス(thiofanox)、トリメタカルブ(trimethacarb)、XMC、キシリルカルブ(xylylcarb)及び/又はトリアザメート(triazamate);
2.2 有機リン酸系(organophosphates)の種類からのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-エチル、アジンホスメチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、ファムフール(famphur)、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イミシアホス、イソフェンホス、イソプロピルO-(メトキシアミノチオ-ホスホリル(methoxyaminothio-phosphoryl))サリチレート、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス、ナラド(nalad)、オメトエート、オキシデメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン及び/又はバミドチオン;
2.3 GABA-依存性クロライドチャンネルンタゴニスト(GABA-gated chloride channel antagonists)
2.4 シクロジエン有機塩素化合物:エンドスルファン(endosulfan);又はM-2.Bフィプロール(fiproles)(フェニルピラゾール):エチプロール、フィプロニル、フルフィプロール(flufiprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、又はピリプロール;
2.5 ピレスロイドの種類からのナトリウムチャンネルモジュレータ:アクリナトリン、アレスリン、d-シス-トランスアレスリン、d-トランスアレスリン、ビフェントリン、ビオアレスリン(bioallethrin)、ビオアレスリンS-シクロペンテニル(cylclopentenyl)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータシフルトリン、シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、シータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、モンフルオロトリン(momfluorothrin)、エンペントリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、タウ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、メパーフルトリン、メトフルトリン、ペルメトリン、フェノトリン、プラレスリン、プロフルトリン(profluthrin)、ピレトリン(pyrethrin)(除虫菊剤(pyrethrum))、レスメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、テトラメチルフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、DDT及び/又はメトキシクロール;
2.6 ネオニコチノイドの種類からのニコチン性アセチルコリン受容体作用薬:アセタミプリド、クロチアニジン、シクロキサプリド(cycloxaprid)、ジノテフラン、フルピラジフロン、イミダクロプリド、ニテンピラム、スルホキサフロル(sulfoxaflor)、チアクロプリド及び/又はチアメトキサム;
2.7 スピノシン(spinosyns)の種類からのアロステリックニコチン性アセチルコリン受容体アクチベータ:スピノサド(spinosad)、スピネトラム(spinetoram);
2.8 メクチンの種類からのクロライドチャンネルアクチベータ:アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩(emamectin benzoate)、イベルメクチン、レピメクチン及び/又はミルベメクチン(milbemectin);
2.9 幼若ホルモン類似体:ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ及び/又はピリプロキシフェン;
2.10 非特異的多部位阻害剤:臭化メチル及び他のハロゲン化アルキル、クロロピクリン、フッ化スルフリル、ホウ砂及び/又は吐酒石;
2.11 選択的同翅類摂食阻害薬(Selective homopteran feeding blockers):ピメトロジン(pymetrozine)、フロニカミド及び/又はピリフルキナゾン;
2.12 ダニ類成長阻害剤:クロフェンテジン、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ジフロビダジン(diflovidazin)及び/又はエトキサゾール;
2.13 ミトコンドリアATP合成酵素の阻害剤:ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、アゾシクロチン、シヘキサチン、フェンブタチンオキシド(fenbutatin oxide)、プロパルギット及び/又はテトラジホン;
2.14 酸化的リン酸化の脱共役剤:クロルフェナピル、DNOC及び/又はスルフルラミド;M-13ニコチン性アセチルコリン受容体チャンネル遮断薬:ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ塩酸塩(cartap hydrochloride)、チオシクラム(thiocyclam)及び/又はチオスルタップナトリウム(thiosultap sodium);
2.15 キチン生合成タイプ0の阻害剤(ベンゾイル尿素クラス):ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)及び/又はトリフルムロン;
2.16 キチン生合成タイプ1の阻害剤:ブプロフェジン;
2.17 脱皮阻害剤(Moulting disruptors):シロマジン;
2.18 エクジソン(Ecdyson)受容体作用薬:メトキシフェノジド、テブフェノジド、ハロフェノジド(halofenozide)、フフェノジド(fufenozide)及び/又はクロマフェノジド;
2.19 オクトパミン(Octopamin)受容体作用薬:アミトラズ(amitraz);
2.20 ミトコンドリア複合体III電子伝達系阻害剤:ヒドラメチルノン、アセキノシル(acequinocyl)、フロメトキン(flometoquin)、フルアクリピリム及び/又はピリミノストロビン(pyriminostrobin);
2.21 ミトコンドリア複合体I電子伝達系阻害剤:フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン(pyridaben)、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム(flufenerim)及び/又はロテノン;
2.22 電位依存性ナトリウムチャンネル遮断薬:インドキサカルブ及び/又はメタフルミゾン(metaflumizone)
2.23 脂質合成阻害剤、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン(spiromesifen)及び/又はスピロテトラマット;
2.24 ミトコンドリア複合体II電子伝達系阻害剤:シエノピラフェン、シフルメトフェン(cyflumetofen)及び/又はピフルブミド(pyflubumide);
2.25 ジアミドの種類からのリアノジン受容体-モジュレータ:フルベンジアミド、クロラントラニリプロール(chloranthraniliprole)(リナキシピル(rynaxypyr))及び/又はシアントラニリプロール(cyanthraniliprole)(サイアジピル(cyazypyr))、
2.26 他:アフィドピロペン(afidopyropen)、
2.27 殺虫性生物学的防除剤:バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)(例えばバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)CNCM1-1582、例えば国際公開第09126473A1号パンフレット及び国際公開第09124707A2号パンフレット、「Votivo」として市販されている)及び/又はバシラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)からのδ-内毒素(δ-endotoxins)。
【0172】
3.植物成長調整物質:
3.1 抗オーキシン:クロフィブリン酸及び/又は2,3,5-トリ-ヨード安息香酸;
3.2 オーキシン:4-CPA、2,4-D、2,4-DB、2,4-DEP、ジクロルプロップ、フェノプロップ、IAA(インドール-3-酢酸)、IBA、ナフタレンアセトアミド、α-ナフタレン酢酸、1-ナフトール、ナフトキシ酢酸、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸ナトリウム及び/又は2,4,5-T;
3.3 サイトカイニン:2iP、6-ベンジルアミノプリン(6-BA)、2,6-ジメチルピリジン及び/又はキネチン、ゼアチン;
3.4 枯葉剤:カルシウムシアナミド、ジメチピン、エンドタール(endothal)、メルホス(merphos)、メトクスロン(metoxuron)、ペンタクロロフェノール、チジアズロン、トリブホス(tribufos)及び/又はトリブチルホスホロトリチオエート;
3.5 エチレンモジュレータ:アビグリシン(aviglycine)、1-メチルシクロプロペン(1-MCP)、プロヘキサジオン(prohexadione)(プロヘキサジオンカルシウム)及び/又はトリネキサパック(trinexapac)(トリネキサパック-エチル);
3.6 エチレン放出物質:ACC、エタセラシル(etacelasil)、エテホン(ethephon)、グリオキシム;ジベレリン(Gibberellins):ジベレリン(Gibberelline)、ジベレリン酸;
3.7 成長阻害剤:アブシジン酸、アンシミドール(ancymidol)、ブトラリン(butralin)、カルバリル、クロルホニウム(chlorphonium)、クロルプロファム、ジケグラック(dikegulac)、フルメトラリン(flumetralin)、フルオリドアミド(fluoridamid)、ホサミン(fosamine)、グリホシン(glyphosine)、イソピリモル(isopyrimol)、ジャスモン酸、マレイン酸ヒドラジド、メピコート(mepiquat)(メピコートクロリド(mepiquat chloride)、メピコートペンタボレート(mepiquat pentaborate))、ピプロクタニル(piproctanyl)、プロヒドロジャスモン、プロファム(propham)及び/又は2,3,5-トリ-ヨード安息香酸;
3.8 モルファクチン(Morphactins):クロルフルレン(chlorfluren)、クロルフルレノール(chlorflurenol)、ジクロルフルレノール(dichlorflurenol)及び/又はフルレノール(flurenol);
3.9 成長抑制剤:クロルメコート(chlormequat)(クロルメコートクロリド(chlormequat chloride))、ダミノジド、フルルプリミドール(flurprimidol)、メフルイジド(mefluidide)、パクロブトラゾール、テトシクラシス(tetcyclacis)、ウニコナゾール及び/又はメトコナゾール;
3.10 成長促進剤:ブラシノリド、フォルクロルフェヌロン及び/又はヒメキサゾール;
3.11 未分類の植物成長調整物質/分類不明:アミドクロル(amidochlor)、ベンゾフルオル(benzofluor)、ブミナホス(buminafos)、カルボン、塩化コリン、チオブチド(ciobutide)、クロフェンセット(clofencet)、クロキシホナック、シアナミド、シクラニリド(cyclanilide)、シクロヘキシミド、シプロスルファミド(cyprosulfamide)、エポコレオン(epocholeone)、エチクロゼート(ethychlozate)、エチレン、フェンリダゾン(fenridazon)、フルルプリミドール(fluprimidol)、フルチアセット(fluthiacet)、ヘプトパルギル(heptopargil)、ホロスルフ(holosulf)、イナベンフィド(inabenfide)、カレタザン(karetazan)、ヒ酸鉛、メタスルホカルブ、ピダノン(pydanon)、シントフェン(sintofen)及び/又はトリアペンテノール(triapenthenol)。
【0173】
一実施形態では、殺菌・殺カビ化合物は、ジモキシストロビン、ピラクロストロビン、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、シアゾファミド、ボスカリド、フルキサピロキサド(Fluoxapyroxad)、フルオピラム、ビキサフェン、イソピラザム、ベンゾビンジフルピル(Benzovindiflupyr)、ペンチオピラド、アメトクトラジン、ジフェノコナゾール、メトコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール、シプロコナゾール、ペンコナゾール、ミクロブタニル、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、メトラフェノン、ゾキサミド(Zoxamid)、ピリメタニル、シプロジニル、メタラキシル、フルジオキソニル、ジメトモルフ、マンジプロパミド、トリシクラゾール、銅、メチラム、クロロタロニル、ジチアノン、フルアジナム、フォルペット、ホセチル-Al、カプタン、シモキサニル、マンコゼブ、クレソキシム-メチル、オリザストロビン(Oryzastrobin)、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、トリチコナゾール、フェンプロピモルフ及びイプロジオンからなる群から選択される。
【0174】
一実施形態では、植物成長調整物質は、6-ベンジルアミノプリン(=N-6-ベンジルアデニン)、クロルメコート(クロルメコートクロリド)、塩化コリン、シクラニリド、ジケグラック、ジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、ジメチピン、エテホン、フルメトラリン(flumetralin)、フルチアセット、フォルクロルフェヌロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、マレイン酸ヒドラジド、メピコート(メピコートクロリド)、1-メチルシクロプロペン(1-MCP)、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン(プロヘキサジオンカルシウム)、プロヒドロジャスモン、チジアズロン、トリアペンテノール、トリブチルホスホロトリチオエート、トリネキサパック-エチル及びウニコナゾールからなる群から選択される。
【0175】
別の実施形態では、有効成分は、バイオ農薬(bio pesticide)などの生物学的防除剤である。従来の合成化学物質の農業用殺虫剤と比較して、バイオ農薬は、無毒であり、安全に使用でき、且つ高特異性を有し得る。これらは、病気、線虫及び虫及び他の有害生物を管理するための予防(又は治療的な)ツールとして使用され得る。バイオ農薬は、収穫量に影響を及ぼすことなく、伝統的な化学物質ベースの農業用殺虫剤の使用量を減少させることができる。バイオ農薬(biological pesticides)の使用は、食糧及び飼料生産の使用に適合し、及び生物学的作用物質の多くは、消費用に認可されている。これは、有害生物防除が主要で難しい課題となってきている、ワイン、バナナ、カカオ、コーヒー、及び果実の農園などのような食糧生産システムにおいて、一年中、使用できるようにする。一実施形態では、本開示の器具、システム及び方法は、有機農法において用いられる。
【0176】
一実施形態では、有効成分は、浸透性(systemic)作用を提供するものである。
【0177】
有効成分は、一般的に、本開示による方法によって、植物種への注入/送りに好適であるように配合される。典型的な製剤の例は、水溶性液体(SL:water-soluble liquids)、乳剤(EC:emulsifiable concentrates)、水中型エマルジョン(EW:emulsions in water)、濃厚懸濁液(suspension concentrates)(SC、SE、FS、OD)、水分散性顆粒剤(WG:water-dispersible granules)及び流体(これは、液体、気体、ゲル、蒸気、エアロゾルなどのうちの1種以上を含む)を含む。これら及び他の考えられるタイプの製剤は、例えば、Crop Life Internationalによる、Pesticide Specifications、Manual on development and use of FAO and WHO specifications for pesticides、FAO Plant Production and Protection Papers,prepared by the FAO/WHO Joint Meeting on Pesticide Specifications,2004,ISBN:9251048576;「Catalogue of pesticide formulation types and international coding system」,Technical Monograph No.2,6th Ed.May 2008,CropLife Internationalに説明されている。
【0178】
組成物は、Mollet and Grubemann,Formulation technology,Wiley VCH,Weinheim,2001;又はKnowles,New developments in crop protection product formulation,Agrow Reports DS243,T&F Informa,London,2005に説明されているものなど、公知の方法で準備する。製剤は、例えば、有効成分を、例えば好適な増量剤、溶媒、自発性促進剤(spontaneity promoters)、担体、乳化剤、分散剤、防霜剤(frost protectants)、殺生物剤、増粘剤、アジュバントなどの1種以上の好適な添加剤と混合することによって準備される。これに関連して、アジュバントは、成分自体が生物学的効果を有するのではなく、製剤の生物学的効果を高める成分である。アジュバントの例は、標的植物での保持、広がり、又は貫入を促す作用物質である。本開示の一実施形態は、補助剤(auxiliary)が、化学及び/又は物理的安定性を向上させる安定剤、例えば低温安定剤、防腐剤、抗酸化剤、光安定剤又は他の作用物質である状態で、成長シーズンにわたる、植物への有効成分の長期の供給を含む。
【0179】
好適な補助剤の例は、溶媒、液体担体、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤(wetters)、アジュバント、可溶化剤、貫入エンハンサー、保護コロイド、湿潤剤、忌避剤(repellents)、誘引剤、摂食刺激物質、相溶化剤、殺菌剤、凍結防止剤、泡立ち防止剤、着色剤、安定剤又は栄養素、紫外線保護剤、粘着付与剤及び/又は結合剤である。これらの補助剤のそれぞれの具体例は、当業者によく知られており、例えば米国特許出願公開第2015/0296801A1号明細書を参照のこと。
【0180】
組成物は、任意選択的に、0.1~80%の安定剤及び/又は栄養素、及び0.1~10%の紫外線保護剤を含み得る。上記で参照した複数の製剤タイプの好適な比の一般的な例は、Agrow Reports DS243、T&F Informa、London、2005において与えられている。
【0181】
有効成分を適用するとき、その適用は、より長い期間又は間隔にわたって連続的とし得る。適用はまた、病気監視システムと結合され、及び「要求に応じて」トリガーされ得る。
【0182】
本発明のシステムは、任意の数の公知の注入プロトコル、例えば、PCT出願国際公開第2012/114197号パンフレット又は国際公開第2013/149993号パンフレット(これらを参照することにより本書に援用する)に開示されているものなどと一緒に使用され得る。適切なプロトコルは、ノズルチップ、樹種、標的(虫、線虫、病気、非生物的ストレスなど)、注入流体の構成成分及び/又は粘度、必要な用量及び注入圧力を含む、様々な要因に依存する。
【0183】
標的植物への有効成分の取り込み及び分配を促す及び/又は高める浸透剤が使用され得る。この関連では、好適な浸透剤は、一般に植物への活性農業用化合物(active agrochemical compounds)の浸透を高めるために使用される全ての物質を含む。例は、アルコールアルコキシレート、例えばココナッツ脂肪エトキシレート(coconut fatty ethoxylate)、イソトリデシルエトキシレート、脂肪酸エステル、例えば菜種又は大豆油メチルエステル、脂肪族アミンアルコキシレート、例えば獣脂アミンエトキシレート(tallowamine ethoxylate)、又はアンモニウム塩及び/又はホスホニウム塩、例えば硫酸アンモニウム又はリン酸水素二アンモニウム(diammonium hydrogen phosphate)を含む。
【0184】
製剤は、製剤の質量に基づいて、0.5質量%~90質量%の活性化合物を含み得る。
【0185】
ある施用量では、本開示による組成物及び/又は製剤はまた、植物の強化効果を有し得る。「植物-強化」(抵抗性-誘発)物質は、この文脈では、後で有害な微生物が接種されると、処置された植物が、これらの微生物にかなりの程度の抵抗性を示すように、植物の防御系を刺激できる物質又は物質の組み合わせの意味であると理解される。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の注入器具は、植物の茎に挿入される。用語「茎」は、可能な限り最も広い意味で理解され、及び(i)植物に接続された維管束系を含み、且つ(ii)少なくとも1cm、例えば少なくとも2cm又は3cm、又は少なくとも4cm又は5cmの直径を有する植物の全ての部分を含む。用語茎(stem)は、木の幹及び枝、大きな葉柄を含むだけでなく、密集した葉鞘からなるバナナのような植物の「擬似の茎(false stems)」又は偽茎(pseudostems)も含む。茎は、木本とも又は非木本ともし得る。
【0187】
本主題の開示のプロダクト及び方法の適用例から恩恵を受け得る植物は、樹木作物(Tree Crops)(例えば、クルミ、アーモンド、ピーカン、ヘーゼルナッツ、ピスタチオなど)、柑橘類の木(citrus trees)(ミカン属(Citrus spp.)、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、マンダリンなど)、果菜類(Fruit Crops)(例えばナシ状果、核果又は柔らかい果物、例えばリンゴ、ナシ、スモモ、桃、サクランボなど)、つる作物(Vine Crops)(例えば、ブドウ、ブルーベリー、ブラックベリーなど)、コーヒー(コーヒー属(Coffea spp.))、ココナッツ(ココス・ヌキフェラ(Cocos iiucifera))、パイナップル(アナナス・コモスス(Ananas comosus))、カカオ(テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao))、茶(カメリア・シネンシス(Camellia sinensis))、バナナ(バショウ属(Musa spp.))、クスノキ科植物(lauraceous plant)(例えばアボカド(パーシー・アメリカーナ(Persea americana))、シナモン又はショウノウ)、イチジク(フィカス・カリカ(Ficus casica))、グアバ(シジウム・グアジャバ(Psidium guajava))、マンゴー(マンギフェラ・インディカ(Mangifera indica))、オリーブ(オレアユーロパエア(Olea europaea))、パパイア(カリカ・パパイア(Carica papaya))、カシュー(アナカルディウム・オクシデンタール(Anacardium occidentale))、マカダミア(マカダミア・インテグリフォリア(Macadamia integrifolia))、アーモンド(プルヌス・アミュグダルス(Prunus amygdalus))、天然ゴムの木、ナツメヤシ、オイルパームツリー(oil palm tree)、観賞植物、林業(例えば、マツ、トウヒ、ユーカリ、ポプラ、針葉樹など)及び/又はセイヨウツゲ(box trees)から選択される。
【0188】
実施形態の実施に用いられ得る針葉樹は、テーダマツ(loblolly pine)(ピーヌス・テーダ(Pinus taeda))、スラッシュパイン(ピーヌス・エリオッティ(Pinus elliotii))、ポンデローサマツ(ピーヌス・ポンデローサ(Pinus ponderos))、コントルタマツ(ピーヌス・コントルタ(Pinus contorta))、及びラジアータパイン(Monterey pine)(ピーヌス・ラジアータ(Pinus radiata))などのマツ;ダグラスモミ(Douglas-fir)(シュードツガ・メンジエシ(Pseudotsuga menziesii));アメリカツガ(Western hemlock)(ツガ・カナデンシス(Tsuga canadensis));シトカトウヒ(Sitka spruce)(ピセア・グラウカ(Picea glauca));アカスギ(redwood)(セコイア・センペルビレンス(Sequoia sempervirens));ヨーロッパモミ(silver fir)(アビエス・アマビリス(Abies amabilis))及びバルサムモミ(アビエス・バルサミア((Abies balsamea))などの本物のモミ(true firs);及びヒマラヤスギ、例えばウェスタンレッドシーダー(スーヤ・プリカタ(Thuja plicata))及び/又はアラスカイエローシーダー(カマエシパリス・ノートカテンシス(Chamaeeyparis nootkatensis))から選択される。
【0189】
処置され得るヤシの木は、アルコントフェニックス・アレクサンドラエ(Archontophoenix alexandrae)(キング・アレグザンダー・パーム(king Alexander palm))、アレンガ属(Arenga spp.)(クロツグ(Dwarf sugar palm))、ボロサス・フラベリファー(Borassus flabellifer)(オウギヤシ(Lontar palm))、ブラヘア・アルマータ(Brahea armata)(ブルーヘスパーパーム(blue hesper palm))、ブラヘア・エデュリス(Brahea edulis)(グアダルーペヤシ(Guadalupe palm))、ブティア・キャピタタ(Butia capitate)(ブラジルヤシ(pindo palm))、チャメロプス・フミリス(Chamaerops humilis)(チャボトウジュロ(European fan palm))、カーペンタリア属(Carpentaria spp.)(カーペンタリアパーム(Carpenteria palm))、チャメドレア・エレガンス(Chamaedorea elegans)(テーブルヤシ(parlor palm))、C.エルペンス(C.erupens)(バンブーパーム(bamboo palm))、C.サイフリツィー(C.seifrizii)(リードパーム(reed palm))、クリサリドカルパス・ルテセンス(Chrysalidocarpus lutescens)(アレカヤシ(areca palm))、コッコトリナクス・アルゲンタータ(Coccothrinax argentata)(シルバーパーム(silver palm))、C.クリナイト(C.crinite)(オールドマンパーム(old man palm))、ココス・ヌキフェラ(Cocos nucifera)(ココヤシ(coconut palm))、エライス・ギニエンシス(Elaeis guineensis)(アフリカアブラヤシ(African oil palm))、ハウエア・フォステリアナ(Howea forsterana)(ヒロハケンチャヤシ(kentia palm))、リビストナ・ロツンディフォリア(Livistona rotundifolia)(ラウンドリーフファンパーム(round leaf fan palm))、ネオディプシス・デカリー(Neodypsis decaryi)(トライアングルパーム(triangle palm));ノーマンビア・ノーマンビー(Normanbya normanbi)(クィーンズランドブラック(Queensland black));ピナンガ・インサイニス(Pinanga insignis);フェニックス・カナリエンシス(Phoenix canariensis)(カナリーヤシ(Canary Island date));プティコスペルマ・マカルツリ(Ptychosperma macarthuri)(シュロチクヤシ(Macarthur palm));ロパロスティリス属(Rhopalostylis spp.)(ニカウヤシ(shaving brush p.));ロイストネア・エラタ(Roystonea elata)(フロリダロイヤルパーム(Florida royal palm))、R.レジア・キューバ(R.regia Cuban)(ロイヤルパーム(royal palm))、サバル属(Sabal spp.)(キャベツ(Cabbage)/パルメット(palmetto))、シアグルス・ロマンゾフィアナ(Syagrus romanzoffiana)(クイーンパーム(queen palm))、トラキカルプス・フォルツネイ(Trachycarpus fortune)(シュロ(windmill palm))、トリスリナックス・アカントコマ(Trythrinax acanthocoma)(スパイニーファイバーパーム(spiny fiber palm))、ワシントン・フィリフェラ(Washingtonia filifera)(ペティコートパーム(petticoat palm))及び/又はW.ロブスタ(W.robusta)(ワシントン/メキシカンファンパーム(Washington/Mexican fan palm))から選択される。一実施形態は、例えば、フィトフトラ・パルミヴォラ(Phytophthora palmivora)、チエラビオプシス・パラドキサ(Thielaviopsis paradoxa)及び/又は細菌に起因するヤシの木の芽腐病の予防又は治療を含む。新芽が出現する多くの点を有するほとんどの木とは異なり、ヤシは、それらの単一の頂芽(terminal bud)に依存する。頂芽又は樹心(heart)が病気になって死んでしまうと、木は新葉の成長を出すことができず、死んでしまう。それが、健康的なヤシの木を維持するために予防的ケアが必要である理由である。
【0190】
一実施形態は、本開示の器具、システム、作用物質/製剤又は方法を植物に適用することを含む、植物病原性菌・カビ類を防除することによって、そのような植物病原性菌・カビ類に起因する、植物及び/又は植物部位の被害又は収穫した果実又は植物生産物の損失を減少させるための方法を含む。好都合なことに、本開示は:
果実及びベリー類(例えばイチゴ)、セイヨウアブラナ、つる植物、森林植物(forestry plants)でのボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ(teleomorph):ボトリオチニア・フケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色かび病(grey mold));広葉樹及び常緑樹でのセラトシスティス(Ceratocystis)(類義語オフイオストマ(Ophiostoma))属(spp.)(腐食又はしおれ)、例えばニレでのC.ウルミ(C.ulmi)(オランダニレ病);コーヒーでのサーコスポラ属(Cercospora spp.)(サーコスポラ斑点病(Cercospora leaf spots));柔らかい果物でのコレトトリカム(Colletotrichum)(テレオモルフ(teleomorph):グロメレラ(Glomerella)属(spp.)(炭疽病);オリーブの木でのシクロコニウム属(Cycloconium spp.)、例えばC.オレアギヌム(C.oleaginum);果樹、つる植物でのシリンドロカルポン属(Cylindrocarpon spp.)(例えば果樹胴枯病(fruit tree cankers)又は若いつる植物の衰弱(young vine decline)、テレオモルフ(teleomorph):ネクトリア又はネオネクトリア属(Nectria or Neonectria spp.))(例えばC.リリオデンドリ(C.liriodendri)、テレオモルフ(teleomorph):オネクトリア・リリオデンドリ(Neonectria liriodendri):黒足病(Black Foot Disease))及び観賞植物;フォミチポリア(Formitiporia)(類義語フェリヌス(Phellinus))プンクタタ(punctata)、F.メジテラネア(F.mediterranea)、ファエオモニエラ・クラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前はファエオアクレモニウム・クラミドスポルム(Phaeoacremonium chlamydosporum))、ファエオアクレモニウム・アレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及び/又はボトリオスファエリア・オブツサ(Botryosphaeria obtuse)に起因する、つる植物でのエスカ(Esca)(枝枯れ(dieback)、卒中病(apoplexy));ナシ状果の果実(E.ピン(E.pyn))、柔らかい果物(E.ベネタ(E.veneta):炭疽病)及びつる植物(E.アンペリナ(E.ampelina):炭疽病)でのエルシノエ属(Elsinoe spp.);果樹、つる植物及び観賞用木材でのエウチパ・ラタ(Eutypa lata)(エウチパ(Eutypa)胴枯病又は枝枯れ(dieback)、アナモルフ:シトスポリナ・ラタ(Cytosporina lata)、類義語リベルテラ・ブレファリス(Libertella blepharis));様々な植物でのフザリウム(Fusarium)(テレオモルフ(teleomorph):ジベレラ(Gibberella))属(spp.)(しおれ、根腐れ(root rot)又は菌核病(stem rot));つる植物、ナシ状果の果実及び他の植物でのグロメレラ・シングラータ(Glomerella cingulata);つる植物でのグイグナルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwellii)(黒腐病(black rot));バラ科植物及びジュニパーでのギムノスポランギウム属(Gymnosporangium spp.)、例えばナシでのG.サビナエ(G.sabinae)(さび病(rust));ヘミレイア属(Hemileia spp.)、例えばコーヒーでのH.ベスタトリクス(H.vastatrix)(コーヒー葉さび病);イサリオプシス・クラビスポラ(Isariopsis clavispora)(類義語つる植物でのクラドスポリウム・ビチス(Cladosporium vitis));核果及び他のバラ科植物でのモニリニア属(Monilinia spp.)、例えばM.タクサ(M.taxa)、M.フルチコラ(M.fructicola)及びM.フルクチゲナ(M.fructigena)(花・枝枯病(bloom and twig blight)、褐色腐敗病(brown rot));バナナ、柔らかい果物でのミコスフェレラ属(Mycosphaerella spp.)、例えばバナナでのM.フィジエンシス(M.fijiensis)(シガトガ病(black Sigatoka disease))など;例えばつる植物でのフィアロフォラ属(Phialophora spp.)(例えばP.トラケイフィラ(P.tracheiphila)及びP.テトラスポラ(P.tetraspora));つる植物でのホモプシス属(Phomopsis spp.)(例えばP.ビチコラ(P.viticola):茎葉斑点病(can and leaf spot));様々な植物、例えば広葉樹でのファイトフトラ属(Phytophthora spp.)(しおれ、根腐れ、葉腐れ、果実腐敗及び菌核病)(例えばP.ラモラム(P.ramorum):サドンオークデス病菌(sudden oak death));つる植物でのプラスモパラ属(Plasmopara spp.)、例えばP.ビチコラ(P.viticola)(ブドウのべと病(grapevine downy mildew));バラ科植物、ホップ、ナシ状果及び柔らかい果物でのポドスフェラ属(Podosphaera spp.)(うどん粉病菌(powdery mildew))、例えばリンゴでのP.ロイコトリカ(P.leucotricha);つる植物でのシュードペジキュラ・トラケイフィラ(Pseudopezicula tracheiphila)(赤色花火病(red fire disease)又はロットブレンナー(rotbrenner)、アナモルフ:フィアロフォラ(Phialophora));ラムラリア属(Ramularia spp.)、例えば大麦でのR.コロ-シグニ(R.collo-cygni)(ラムラリア斑点病(Ramularia leaf spots)、生理的斑点病(Physiological leaf spots))及びサトウダイコンでのR.ベチコラ(R.beticola);綿、米、ジャガイモ、芝生、トウモロコシ、セイヨウアブラナ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜及び様々な他の植物でのリゾクトニア属(Rhizoctonia spp.)、例えば大豆でのR.ソラニー(R.solani)(根及び菌核病)、米でのR.ソラニー(R.solani)(紋枯病(sheath blight))又は小麦又は大麦でのR.ケレアリス(R.cerealis)(リゾクトニア春枯れ病(Rhizoctonia spring blight));つる植物でのリゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)(黒カビ(black mold)、軟腐病(soft rot));つる植物でのウンチヌラ(Uncinula)(類義語エリシフェ(Erysiphe))ネカトール(necator)(うどん粉病菌、アナモルフ:オイジウム・ツケリ(Oidium tuckeri));タフリナ属(Taphrina spp.)、例えば桃でのT.デホルマンス(T.deformans)(縮葉病(leaf curl disease))及びスモモでのT.プルニ(T.pruni)(スモモ類膨らみ病(plum pocket));ナシ状果の果物でのティエラビオプシス属(Thielaviopsis spp.)(黒根腐病(black root rot));リンゴ(例えばV.イナエクアリス(inaequalis))及び梨でのベンチュリア属(Venturia spp.)(黒星病(scab));及び/又は様々な植物、例えば果実及び観賞植物、つる植物、柔らかい果物でのバーティシリウム属(Verticillium spp.)(しおれ)
からなる群から選択される菌・カビの植物の病気を、防除、予防、又は治療するためのものである。
【0191】
開示した主題は、以下から選択される、植物での病気の防除、予防、又は治療のために用いられる:
・ リンゴの病気:花腐れ(blossom blight)(モニリニア・マリ(Monilinia mali))、うどん粉病菌(ポドスフェラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha))、黒斑病(Alternaria leaf spot)/斑点落葉病(Alternaria blotch)(リンゴ斑点落葉病菌(Alteraaria altemata apple pathotype))、黒星病(ベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis))、炭疽病(bitter rot)(コレトトリカム・アクタタム(Colletotrichum acutatum))、炭疽(anthrax)(コレトトリエイウム・アクタタム(Colletotrieiium acutatum))、腐らん病(decomposed disease)(バルサ・ケラトスペルマ(Valsa ceratosperma))、及び/又は根頭腐敗病(crown rot)(フィトフトラ・カクトラム(Phytophtora cactomm));
・ 梨の病気:黒星病(ベンチュリア・ナシコーラ(Venturia nashicola)、V.ピリナ(V.pirina))、黒斑病(black spot)/黒斑病(purple blotch)(ナシ黒斑病(Alternaria alternate Japanese pear pathotype))。さび病/赤星病(frogeye)(ギムノスポランギウム・ハラエアヌム(Gymnosporangium haraeanum))、及び/又はフィトフトラ果実腐敗(Phytophthora fruit rot)(フィトフトラ・カクトラム(Phytophtora cactomm));
・ 桃の病気:褐色腐敗病(モニリニア・フルクチコーラ(Monilinia fructicola))、黒斑病(black spot disease)/黒星病(クラドスポリウム・カルポフィラム(Cladosporium carpophilum))、及び/又はホモプシス腐敗病(Phomopsis rot)(ホモプシス属(Phomopsis sp.));
・ ブドウの病気:炭疽病(エルシノエ・アンペリナ(Elsinoe ampelina))、うどん粉病菌(ウンシヌラ・ネカトール(Uncinula necator))、晩腐病(ripe rot)(グロメレラ・シングラータ(Glomerella cingulata))、黒腐病(black rot)(グイグナルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwellii))、べと病(downy mildew)(プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola))、さび病(ファコプソラ・アンペロプシディス(Phakopsora ampelopsidis))、及び/又は灰色かび病(gray mold)(ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea));
・ 柿の病気:炭疽病(グロエオスポリウム・カキ(Gloeosporium kaki))及び/又は斑点病(leaf spot)(セルコスポラ・カキ(Cercospora kaki)、ミコスフェレラ・ナワエ(Mycosphaerella nawae));
・ アブラナ科の野菜の病気:黒斑病(Alternaria leaf spot)(アルタナリア・ジャポニカ(Alternaria japonica))、白斑病(white spot)(サーコスポレラ・ブラシカエ(Cercosporella brassicae))、及び/又はべと病(ペロノスポラ・パラシチカ(Peronospora parasitica));菜種の病気:菌核病(sclerotinia rot)(スクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum))及び/又は灰斑病(gray leaf spot)(アルタナリア・ブラッシセア(Alternaria brassicae));
・ バラの病気:黒斑病(black spot)(ディプロカルポン・ローザエ(Diplocarpon rosae))及び/又はうどん粉病菌(スファエロセカ・パンノサ(Sphaerotheca pannosa));
・ バナナの病気:シガトガ病(sigatoka)(ミコスフェレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ミコスフェレラ・ムシコラ(Mycosphaerella musicola)、シュードサーコスポラ・ムサエ(Pseudocercospora musae));及び/又はコレトトリカム・ムサエ(Colletotrichum musae)、ナラタケ(Armillaria mellea)、ナラタケモドキ(Armillaria tabescens)、シュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)、フィラコラ・ムシコラ(Phyllachora musicola)、ミコスフェレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)、ロセリニア・ブノデス(Rosellinia bunodes)、シュードマス属(Pseudomas spp.)、ペスタロティオプシス・レプロゲナ(Pestalotiopsis leprogena)、サーコスポラ・ハイ(Cercospora hayi)、シュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)、セラトシスチス・パラドキサ(Ceratocystis paradoxa)、バーティシリウム・テオブロマエ(Verticillium theobromae)、トラチスファエラ・フルクチゲナ(Trachysphaera fructigena)、クラドスポリウム・ムサエ(Cladosporium musae)、ジュングーニア・ビンクタ(Junghuhnia vincta)、コルダナ・ジョンストニイ(Cordana johnstonii)、コルダナ・ムサエ(Cordana musae)、フザリウム・パリドロセウム(Fusarium pallidoroseum)、コレトトリカム・ムサエ(Colletotrichum musae)、バーティシリウム・テオブロマエ(Verticillium theobromae)、フザリウム属(Fusarium spp.)、アクレモニウム属(Acremonium spp.)、シリンドロクラジウム属(Cylindrocladium spp.)、デイトニエラ・トルロサ(Deightoniella torulosa)、ナットラシア・マンギフェラエ(Nattrassia mangiferae)、ドレクスレラ・ギガンテアン(Dreschslera gigantean)、グイグナルディア・ムサエ(Guignardia musae)、ボトリオスファエリア・リビス(Botryosphaeria ribis)、フザリウム・ソラニー(Fusarium solani)、ネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、リゾクトニア属(Rhizoctonia spp.)、コレトトリカム・ムサエ(Colletotrichum musae)、ウレド・ムサエ(Uredo musae)、ウロミセス・ムサエ(Uromyces musae)、アクロドンチウム・シンプレックス(Acrodontium simplex)、カーブラリア・エラグロスチジス(Curvularia eragrostidis)、ドレシュレラ・ムサエ-サピエンツム(Drechslera musae-sapientum)、レプトスフェリア・ムサラム(Leptosphaeria musarum)、ペスタロティオプシス・ディセミネート(Pestalotiopsis disseminate)、セラトシスチス・パラドキサ(Ceratocystis paradoxa)、ハプロバシディオン・ムサエ(Haplobasidion musae)、マラスミエルス・イノデルマ(Marasmiellus inoderma)、シュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)、ラドホルス・シミリス(Radopholus similis)、ラシオディプロディア・テオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)、フザリウム・パリドロセウム(Fusarium pallidoroseum)、バーティシリウム・テオブロマエ(Verticillium theobromae)、ペスタロティオプシス・パルマルム(Pestalotiopsis palmarum)、ファエオセプトリア・ムサエ(Phaeoseptoria musae)、ピリキュラリア・グリセア(Pyricularia grisea)、フザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・クリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)、シリンドロカルポン・ムサエ(Cylindrocarpon musae)、メロイドギネ・アレナリア(Meloidogyne arenaria)、メロイドギネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)、メロイドギネ・ジャワニカ(Meloidogyne javanica)、プラチレンクス・コフェアエ(Pratylenchus coffeae)、プラチレンクス・ゴオデイイ(Pratylenchus goodeyi)、プラチレンクス・ブラキウルス(Pratylenchus brachyurus)、プラチレンクス・レニフォルミア(Pratylenchus reniformia)、スクレロティニア・スクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、ネクトリア・フォリコラ(Nectria foliicola)、ミコスフェレラ・ムシコラ(Mycosphaerella musicola)、シュードサーコスポラ・ムサエ(Pseudocercosporamusae)、リマシヌラ・テヌイス(Limacinula tenuis)、ミコスフェレラ・ムサエ(Mycosphaerella musae)、ヘリコチュレンクス・ムルティキンクトゥス(Helicotylenchus multicinctus)、ヘリコチュレンクス・ディヒュステラ(Helicotylenchus dihystera)、ニグロスポラ・スファエリカ(Nigrospora sphaerica)、トラチスファエラ・フルティゲナ(Trachysphaera frutigena)、ラミクロリディウム・ムサエ(Ramichloridium musae)、バーティシリウム・テオブロマエ(Verticillium theobromae);
・ 柑橘果実の病気:黒斑病(black spot disease)(ディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri))、黒星病(エルシノエ・フォーセッティ(Elsinoe fawcetti))、及び/又は果実腐敗(ペニシリウム・ディギタータム(Penicillium digitatum)、P.イタリカム(P.italicum));
・ 茶の病気:ネットライス病(net rice disease)(エクソバシジウム・レチクラタム(Exobasidium reticulatum))、ディジーズビクトリー(disease victory)(エルシノエ・リューコスピラ(Elsinoe leucospila))、リングリーフスポット(ring leaf spot)(ペスタロティオプシス属(Pestalotiopsis sp.))、炭疽病(コレトトリカム・ゼアシネンシス(Colletotrichum theaesinensis);
・ ヤシの木の病気:芽腐病、根頭腐敗病、赤輪病(Red Ring)、プドリシオン・デ・コゴーリョ(Pudricion de Cogollo)、黄死病(Lethal Yellowing);
・ セイヨウツゲの病気:ツゲ胴枯れ病菌(boxwood blight fungus)(シリンドロクラジウム・ブキシコラ(Cylindrocladium buxicola)、カロネクトリア・シュードナヴィクラタ(Calonectria pseudonaviculata)とも呼ばれる)、ボルテラ・ブキシ(Volutella buxi)、フザリウム・ブキシコラ(Fusarium buxicola)。
【0192】
本開示の方法は、広範囲の害虫に起因する被害を減少させるために使用され得る。標的虫は、鱗翅目(Lepidoptera)、甲虫目(Coleoptera)、双翅目(Diptera)、総翅目(Thysanoptera)、膜翅目(Hymenoptera)、直翅目(Orthoptera)、ダニ目(Acarina)、ノミ目(Siphonaptera)、シミ目(Thysanura)、唇脚目(Chilopoda)、革翅目(Dermaptera)、シラミ目(Phthiraptera)、半翅目(Hemipteras)、同翅目(Homoptera)、等翅目(Isoptera)及び/又は無翅(Aptero)の目から選択され得る。そのような有害生物の例は、限定されるものではないが、例えば、鱗翅目(Lepidoptera)(例えば、コナガ科(Plutellidae)、ヤガ科(Noctuidae)、メイガ科(Pyralidae)、ハマキガ科(Tortricidae)、ハモグリガ科(Lyonetiidae)、シンクイガ科(Carposinidae)、キバガ科(Gelechiidae)、ツトガ科(Crambidae)、ヒトリガ科(Arctiidae)、及び/又はドクガ科(Lymantriidae))、半翅目(Hemiptera)(例えば、オオヨコバイ科(Cicadellidae)、ウンカ科(Delphacidae)、キジラミ科(Psyllidae)、アブラムシ科(Aphididae)、コナジラミ科(A!eyrodidas)、ハカマカイガラムシ科(Orthezidae)、カスミカメムシ科(Miridae)、グンバイムシ科(Tingidae)、カメムシ科(Pentatomidae)、及び/又はナガカメムシ科(Lygaiedae))、甲虫目(Coleoptera)(例えば、コガネムシ科(Scarabaeidae)、コメツキムシ科(Elateridae)、テントウムシ科(Coccinellidae)、カミキリムシ科(Cerambycidae)、ハムシ科(Chrysomelidae)、及び/又はゾウムシ科(Curculionidae))、双翅目(Diptera)(例えば、イエバエ科(Muscidae)、クロバエ科(Calliphoridae)、ニクバエ科(Sarcophagidae)、ハナバエ科(Anthomyiidae)、ミバエ科(Tephritidae)、ヒメコバエ上科(Opomyzoidea)、及び/又はチスイコバエ上科(Carnoidea))、直翅目(Orthoptera)(例えば、バッタ科(Acrididae)、イナゴ科(Catantopidae)、及びオンブバッタ科(Pyrgomorphidae))、総翅目(Thysanoptera)(例えば、アザミウマ科(Thripidae)、シマアザミウマ科(Aeolothripidae)、及びメロアザミウマ科(Merothripidae))、ハリセンチュウ目(Tylenchida)(例えば、アフェレンコイデス科(Aphelenchoididae)及び/又はネオティレンクス科(Neotylechidae))、トビムシ目(Collembola)(例えば、シロトビムシ科(Onychiurus)及びツチトビムシ科(lsotomidae))、ダニ目(Acarina)(例えば、ハダニ科(Tetranychidae)、ワクモ科(Dermanyssidae)、コナダニ科(Acaridae)、及び/又はヒゼンダニ科(Sarcoptidae))、柄眼目(Stylommatophora)(例えば、ナメクジ科(Philomycidae)及び/又はオナジマイマイ科(Bradybaenidae))、回虫目(Ascaridida)(例えば、回虫科(Ascaridida)及び/又はアニサキス科(Anisakidae))、後睾吸虫目(Opisthorchiida)、ジュウケツキュウチュウ目(Strigeidida)、ゴキブリ目(Blattodea)(例えば、オオゴキブリ科(Blaberidae)、クリプトケルクス科(Cryptocercidae)、及び/又はオオゴキブリ科(Panesthiidae))、シミ目(Thysanura)(例えば、シミ科(Lepismatidae)、ムカシシミ科(Lepidotrichidae)、及び/又はメナシシミ科(Nicoletiidae))及び/又はボックスツリーモス(box tree moth)/ボックスツリーキャタピラー(box tree caterpillar)(ツゲノメイガ(Cydalima perspectalis))を含む節足動物(Arthropods)を含む。
【0193】
本開示はまた、植物の成長及び/又は発育を攻撃する、衰弱させる(全体又は一部において)、又は邪魔をする細菌性病原体に対して有用であり、及び/又はそのような細菌性病原体に起因する、植物及び/又は他の植物への伝達ベクトルの機能を果たす。細菌性病原体は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、エルウィニア(Erwinia)、エルウィニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、キサントモナス(Xanthomonas)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、シュードモナス(Pseudomonas)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、ラルストニア・ソラナケアルム(Ralstonia solanacearum)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ストレプトマイセス・スキャビーズ(Streptomyces scabies)、アクチノバクテリア(Actinobacteria)、マイコプラズマ(Micoplasmas)、スピロプラズマ(Spiroplasmas)及び/又はファイトプラズマ(Fitoplasmas)を含み得る。
【0194】
本開示はまた、植物の成長及び/又は発育を攻撃する、衰弱させる(全体又は一部において)、又は邪魔をするウイルス性病原体を軽減する、防除する及び/又は根絶するのに有用であり、及び/又はそのようなウイルス性病原体に起因する、植物及び/又は他の植物への伝達ベクトルの機能を果たす。そのようなウイルス性病原体は、カーラウイルス科(Carlaviridae)、クロステロウイルス科(Closteroviridae)、柑橘果実を攻撃するウイルス、ククモウイルス科(Cucumoviridae)、イラルウイルス科(Ilarviridae)、プルーンを攻撃する萎縮ウイルス(dwarf virus)、ルテオウイルス科(Luteoviridae)、ネポウイルス科(Nepoviridae)、ポテクスウイルス科(Potexviridae)、ポティウイルス科(Potyviridae)、トバモウイルス科(Tobamoviridae)、カリモウイルス科(Caulimoviridae)、並びに植物及び作物を攻撃する他のウイルスを含み得る。
【0195】
植物の成長調整化合物は、例えば、植物の栄養成長を抑制するために使用され得る。そのような成長の抑制、例えば、道路沿いでの、パイプライン若しくは架空ケーブルの近傍における、又は極めて一般的に力強い植物の成長が望まれていない領域における草本植物及び木本植物の成長の抑制は、経済的関心が高い。植物の栄養成長の抑制はまた、栄養素及び同化産物が、植物の成長部分(vegetative parts)よりも花及び果実の形成に対し利益をもたらすため、収穫量を高め得る。しばしば、成長調整物質は、栄養成長を促すために使用され得る。これは、植物成長部位を収穫するときに、大きな利点がある。しかしながら、栄養成長の促進は、より多くの同化産物が形成されるという生殖成長も促し得、より多くの又はより大きな果実を生じる。
【0196】
成長調整物質の使用は、植物の枝分かれを制御できる。一方では、頂芽優勢を壊すことによって、サイドシュートの発育を促すことが可能であり、これは、特に、観賞植物の栽培では、成長の抑制とも組み合わせて、かなり望ましいとし得る。他方では、しかしながら、サイドシュートの成長を抑制することも可能である。この効果は、例えば、タバコの栽培又はトマトの栽培において特に関心が高い。成長調整物質の影響下では、植物の葉の量は、所望の時点で植物の落葉が達成されるように、制御され得る。そのような落葉は、綿の機械的な収穫において主要な役割を果たすだけでなく、他の作物において、例えばブドウ栽培において、収穫を容易にするために関心が高い。
【0197】
成長調整物質はまた、収穫前又は収穫後の被収穫材料のより迅速な又はより遅い成熟を達成するために使用され得る。これは、市場の要求に最適に調整できるため、特に好都合である。さらに、場合によっては、成長調整物質は果実の色を向上させ得る。さらに、成長調整物質はまた、ある期間内に成熟を集中させるために使用され得る。これは、例えばコーヒーにおいて、単一の動作で機械的な又は手作業での収穫を完了するための必要条件を確立する。
【0198】
成長調整物質を使用することによって、さらに、植物の種子又は蕾の休眠に影響を及ぼすことが可能であり、苗床のパイナップル又は観賞植物を含む植物が、例えば、通常、発芽する、芽を出す又は開花するような傾向がない時期に、発芽する、芽を出す又は開花するようにする。
【0199】
さらに、成長調整物質は、土壌の霜、乾燥又は高塩分に対する植物の抵抗性を誘発し得る。これにより、通常好適ではない領域において、植物の栽培を可能にする。
【0200】
本開示による組成物及び/又は製剤はまた、植物に潜在的な強化効果を示す。従って、それらは、望ましくない微生物による攻撃に対する植物の防御力を動員するために使用され得る。植物-強化(抵抗性を誘発する)物質は、この文脈では、処置された植物が、後で望ましくない微生物が接種されるときに、これらの微生物に対して高度の抵抗性を生じるように植物の防御系を刺激できる物質の意味であると理解される。本開示による活性化合物はまた、作物の収穫量を高めるのに好適である。さらに、それらは、毒性の低下を示し、且つ植物による良好な耐性が示される。
【0201】
さらに、本開示の文脈では、植物生理学の効果は、以下を含む(それら全ては、本明細書で提供される組成物、方法及び装置によって調節され得る):
温度耐性、乾燥耐性及び乾燥ストレス後の回復、水利用効率(水消費量の減少に相関する)、冠水耐性、オゾンストレス及びUV耐性、重金属、塩、農業用殺虫剤(毒性緩和剤(safener))などのような化学物質に対する耐性を含む、非生物的ストレス耐性。
【0202】
菌・カビ性の病気に対する抵抗性の上昇、線虫、ウイルス及び細菌に対する抵抗性の上昇を含む、生物的ストレス耐性。
【0203】
植物健康状態、植物の品質、種子活力、群生失敗(stand failure)の減少、見栄えの改善、回復の向上、緑化効果の向上及び光合成効率の向上を含む、植物成長力の増加。
【0204】
さらに、本発明の処置は、収穫した材料並びにそれから準備された食糧及び飼料中のマイコトキシン含量を減少させ得る。
【0205】
本開示の別の実施形態では、器具、システム、組成物/製剤及び方法は、窒素、亜リン酸及びカリウムのような植物栄養素、並びに限定されるものではないが、ケイ素、カルシウム、マグネシウム及びマンガンを含む無機養素を提供するために用いられ得る。
【実施例】
【0206】
幹注入装置は、異なるタイプの幹での使用、吸収速度、植物内での製薬品(product)の分配、及び幹内での注入装置の継続使用に関して試験された。注入装置は、直径2cm~30cmの幹で試験された。試験は、ツゲ、つる植物、ヘーゼルナッツ、クルミ、カエデ、ビーチ(beach)及びオークで行われた。さらに、ナツメヤシ、柑橘類の木、及びバナナの木などの木も、好適である。
【0207】
吸収速度は、天候、季節、時刻及び注入圧力などの要因の影響を受ける。理想的な条件下で行われた試験では、2.5バールの注入圧力、及び10mlの試験物質、2分を下回る吸収時間が達成された。
【0208】
植物内での分配は、2%のブリリアントブルー(Brilliant Blue)E133(CAS reg.No.3844-45-9)を試験物質として含む溶液を注入して、試験された。その後、木は伐採されて、複数の断片に切断されて、植物内でのある時間にわたる試験物質の分配が分析された。試験物質は、一般に、24時間かけて茎内で5メートルにわたって分配した。
【0209】
さらに、従来の有効成分、例えばセイヨウツゲ用の商品Maag Perfekthion(登録商標)及びMaag Kendo(登録商標)が適用され得る。
【0210】
セイヨウツゲのサイズに依存して、Maag Perfekthion(登録商標)(40%のジメトエート原液)が、0.1%~0.3%の希釈で10ml~100mlの注入で、使用され得る。
【0211】
様々な注記及び態様
態様1は:植物に貫入し且つ植物に液状製剤を分配するように構成された注入器具を含む、植物注入システムであって、注入器具は:入口ポートを有するベース;長手方向体軸に沿って延在し、且つ本体プロファイルを有する貫入分配本体を含み、貫入分配本体は:貫入要素と;本体プロファイル内に少なくとも1つの分配リザーバと;入口ポート及び少なくとも1つの分配リザーバと連通する1つ以上の分配ポートであって、貫入要素から離間されている1つ以上の分配ポートとを含み;注入器具は、貫入形態及び分配形態を含み:貫入形態では、貫入要素は、長手方向体軸に沿って植物に貫入するように構成されており;及び分配形態では、1つ以上の分配ポートは、植物に最も近い少なくとも1つの分配リザーバ内で長手方向体軸に対して横断方向に液状製剤を分配するように構成されている、植物注入システムなどの主題を含み得る。
【0212】
態様2は、態様1の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートが長手方向体軸から側方に離間されていることを含む。
【0213】
態様3は、態様1又は2の一方又はそれらの任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は貫入プロファイルを含み、及び1つ以上の分配ポートは、貫入プロファイル内にあり、且つ貫入プロファイルに対して近位にあることを含む。
【0214】
態様4は、態様1~3のうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、貫入プロファイル内の奥まった所に据えられることを含む。
【0215】
態様5は、態様1~4のうちの1つ又はそれらの任意の組み合わせの主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入形態では、貫入要素が1つ以上の分配ポートの植物との係合を妨害することを含む。
【0216】
態様6は、態様1~5の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0217】
態様7は、態様1~6の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイル外面の方に向かって液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0218】
態様8は、態様1~7の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、貫入要素に対して離れた所に液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0219】
態様9は、態様1~8の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体に沿って貫入要素に対して近位の箇所に液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0220】
態様10は、態様1~9の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、少なくとも1つの分配リザーバを有する貫入分配本体は、植物の植物組織に沿って液状製剤を保持するように構成されていることを含む。
【0221】
態様11は、態様1~10の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体が植物内でアンカー要素によって継続状態で保持されている保持形態を含む。
【0222】
態様12は、態様1~11の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、植物に継続状態で液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0223】
態様13は、態様1~12の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、継続状態は、1時間以上かけた1つ以上の分配ポートからの液状製剤の複数の分配を含むことを含む。
【0224】
態様14は、態様1~13の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、複数の分配は液状製剤の連続的な分配を含むことを含む。
【0225】
態様15は、態様1~14の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は、切断要素、楔プロファイル、又はスパイクプロファイルのうちの1つ以上を含むことを含む。
【0226】
態様16は、態様1~15の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、植物に液状製剤を分配する方法であって:長手方向体軸に沿って延在する貫入分配本体を有する注入器具によって植物に貫入することであって、貫入は:貫入分配本体の貫入要素で植物を突き刺すこと;貫入分配本体によって1つ以上の分配ポートを植物から隔離することを含むことと;貫入された植物に液状製剤を分配することであって、液状製剤の分配は:注入器具の入口ポートから1つ以上の分配ポートへ液状製剤を送ること;1つ以上の分配ポートから、貫入された植物と連通する少なくとも1つの分配リザーバに液状製剤を送達することであって、少なくとも1つの分配リザーバは貫入分配本体の本体プロファイル内にあることを含むこととを含む、方法を含む。
【0227】
態様17は、態様1~16の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、植物からの1つ以上の分配ポートの隔離は、貫入要素の貫入プロファイルによって植物から1つ以上の分配ポートを隔離することを含むことを含む。
【0228】
態様18は、態様1~17の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは貫入分配本体の本体プロファイル内にあること;及び植物からの1つ以上の分配ポートの隔離は、本体プロファイルによって1つ以上の分配ポートを隔離することを含むことを含む。
【0229】
態様19は、態様1~18の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは貫入分配本体の本体プロファイル内にあること;及び注入器具による植物の貫入は、1つ以上の分配ポートの植物との係合を妨害することを含むことを含む。
【0230】
態様20は、態様1~19の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は切断要素を含み;及び貫入要素で植物を突き刺すことは、切断要素で植物を切断することを含むことを含む。
【0231】
態様21は、態様1~20の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は楔プロファイルを含み;及び貫入要素で植物を突き刺すことは、楔プロファイルで植物を切断することを含むことを含む。
【0232】
態様22は、態様1~21の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は本体プロファイルを含み、及び1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルから奥まった所に据えられ;及び1つ以上の分配ポートから液状製剤を送達することは、貫入分配本体の長手方向体軸に対して横断方向に液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0233】
態様23は、態様1~22の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、植物の植物組織に沿って液状製剤を保持することを含む。
【0234】
態様24は、態様1~23の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、貫入要素から離れた所にあり;及び1つ以上の分配ポートから液状製剤を送達することは、貫入要素に対して離れた所に液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0235】
態様25は、態様1~24の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤を離れた所に送達することは、貫入分配本体に沿って貫入要素に対して近位の箇所に液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0236】
態様26は、態様1~25の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、アンカー要素によって植物内に貫入分配本体を保持することを含む。
【0237】
態様27は、態様1~26の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートから液状製剤を送達することは、液状製剤の継続的な送達を含むことを含む。
【0238】
態様28は、態様1~27の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の継続的な送達は、1時間以上かけた液状製剤の継続的な送達を含むことを含む。
【0239】
態様29は、態様1~28の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の継続的な送達は複数の分配を含むことを含む。
【0240】
態様30は、態様1~29の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の送達は、液状製剤の受動的な送達を含むことを含む。
【0241】
態様31は、態様1~30の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の受動的な送達は、液状製剤の静水圧に基づいて液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0242】
態様32は、態様1~31の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に:植物に貫入し且つ植物に液状製剤を分配するように構成された注入器具を含む、植物注入システムであって、注入器具は:入口ポートを有するベース;長手方向体軸に沿って延在する貫入分配本体を含み、貫入分配本体は:貫入要素;及び入口ポートと連通する1つ以上の分配ポートであって、貫入要素から離間している1つ以上の分配ポートを含み;及び注入器具は、貫入形態及び分配形態を含み:貫入形態では、貫入要素は、長手方向体軸に沿って植物に貫入するように構成されており;及び分配形態では、1つ以上の分配ポートは、長手方向体軸に対して横断方向に植物に液状製剤を分配するように構成されている、植物注入システムを含む。
【0243】
態様33は、態様1~32の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートが長手方向体軸から側方に離間されていることを含む。
【0244】
態様34は、態様1~33の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は貫入プロファイルを含み、及び1つ以上の分配ポートは、貫入プロファイル内にあり、且つ貫入プロファイルに対して近位にあることを含む。
【0245】
態様35は、態様1~34の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、貫入プロファイル内の奥まった所に据えられることを含む。
【0246】
態様36は、態様1~35の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入形態では、貫入要素が1つ以上の分配ポートの植物との係合を妨害することを含む。
【0247】
態様37は、態様1~36の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は本体プロファイルを含み、及び1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0248】
態様38は、態様1~37の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイル外面の方に向かって液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0249】
態様39は、態様1~38の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、貫入要素に対して離れた所に液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0250】
態様40は、態様1~39の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体に沿って貫入要素に対して近位の箇所に液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0251】
態様41は、態様1~40の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配部は、本体プロファイルと、本体プロファイル内に少なくとも1つの分配リザーバとを含み;及び分配形態では、1つ以上の分配ポートは、少なくとも1つの分配リザーバに液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0252】
態様42は、態様1~41の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、少なくとも1つの分配リザーバを有する貫入分配本体は、植物の植物組織に沿って液状製剤を保持するように構成されていることを含む。
【0253】
態様43は、態様1~42の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体が植物内でアンカー要素によって継続状態で保持されている保持形態を含む。
【0254】
態様44は、態様1~43の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、分配形態では、1つ以上の分配ポートは、植物に継続状態で液状製剤を分配するように構成されていることを含む。
【0255】
態様45は、態様1~44の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、継続状態は、1時間以上かけた1つ以上の分配ポートからの液状製剤の複数の分配を含むことを含む。
【0256】
態様46は、態様1~45の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、複数の分配は液状製剤の連続的な分配を含むことを含む。
【0257】
態様47は、態様1~46の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は、切断要素、楔プロファイル、又はスパイクプロファイルのうちの1つ以上を含むことを含む。
【0258】
態様48は、態様1~47の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に:植物に貫入し且つ植物に液状製剤を分配するように構成された注入器具を含む、植物注入システムであって、注入器具は:液状製剤を受け入れるように構成された入口ポートを有するベース;長手方向体軸に沿ってベースから延在し、本体プロファイルを有する貫入分配本体を含み、貫入分配本体は:貫入分配本体の遠位部分の近位にある貫入要素;貫入分配本体に沿った分配要素であって、1つ以上の分配ポートを含む分配要素を含み;及び1つ以上の分配ポートは、貫入分配本体に沿って長手方向体軸に対して側方に開口している、植物注入システムを含む。
【0259】
態様49は、態様1~48の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは、貫入要素に沿って1つ以上の切断要素を有するシャフトプロファイルを含むことを含む。
【0260】
態様50は、態様1~49の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは、遠位部分の方に向かってテーパが付けられている楔プロファイルを含むことを含む。
【0261】
態様51は、態様1~50の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は、貫入された植物内に注入器具を保持するように構成されたアンカー要素を含むことを含む。
【0262】
態様52は、態様1~51の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、アンカー要素は、ねじ切り部、縦溝、クリート、又は楔プロファイルのうちの1つ以上を含むことを含む。
【0263】
態様53は、態様1~52の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は、入口ポートから1つ以上の分配ポートまで延在する入口通路を含むことを含む。
【0264】
態様54は、態様1~53の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0265】
態様55は、態様1~54の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは複数の分配ポートを含むことを含む。
【0266】
態様56は、態様1~55の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、長手方向体軸から離れるように延在していることを含む。
【0267】
態様57は、態様1~56の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、ベースの方へ向かって延在し、且つ貫入分配本体の遠位部分から離れるように延在していることを含む。
【0268】
態様58は、態様1~57の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、注入器具は、長手方向体軸に対して横断方向に植物に液状製剤を分配するように構成された1つ以上の分配ポートを有する分配形態を含むことを含む。
【0269】
態様59は、態様1~58の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは少なくとも1つの分配リザーバを含み、及び1つ以上の分配ポートは、少なくとも1つの分配リザーバに開口していることを含む。
【0270】
態様60は、態様1~59の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは貫入要素の先端から離間していることを含む。
【0271】
態様61は、態様1~60の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0272】
態様62は、態様1~61の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、注入器具と連通する送達装置であって、送達装置は:液状製剤を保管するように構成されたコンテナー;及びコンテナーと連通する取り付けインターフェースを含み、取り付けインターフェースは、注入器具の入口ポートと結合するように構成されている、送達装置を含む。
【0273】
態様63は、態様1~62の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、送達装置は、コンテナーと取り付けインターフェースとの間に置かれた投薬装置を含み、投薬装置は、注入器具に規定量の液状製剤を送達して、1つ以上の分配ポートから側方に分配するように構成されていることを含む。
【0274】
態様64は、態様1~63の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に:植物に貫入し且つ植物に液状製剤を分配するように構成された注入器具を含む、植物注入システムであって、注入器具は:液状製剤を受け入れるように構成された入口ポートを有するベース;長手方向体軸に沿ってベースから延在する貫入分配本体であって、本体プロファイルを有する貫入分配本体を含み、貫入分配本体は:貫入分配本体の遠位部分の近位にある貫入要素;貫入分配本体に沿ったアンカー要素であって、貫入された植物内に注入器具を保持するように構成されているアンカー要素;貫入分配本体に沿った分配要素であって、1つ以上の分配ポートを含む分配要素を含み;及び1つ以上の分配ポートは入口ポートと連通しており、且つ1つ以上の分配ポートが長手方向体軸から側方に離間されている、植物注入システムを含む。
【0275】
態様65は、態様1~64の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルはシャフトプロファイルを含み、及び貫入要素は1つ以上の切断要素を含むことを含む。
【0276】
態様66は、態様1~65の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは、遠位部分の方に向かってテーパが付けられている楔プロファイルを含むことを含む。
【0277】
態様67は、態様1~66の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、アンカー要素は、ねじ切り部、縦溝、クリート、又は楔プロファイルのうちの1つ以上を含むことを含む。
【0278】
態様68は、態様1~67の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は、入口ポートから1つ以上の分配ポートまで延在する入口通路を含むことを含む。
【0279】
態様69は、態様1~68の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0280】
態様70は、態様1~69の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、貫入要素に対して離れた所に配置されていることを含む。
【0281】
態様71は、態様1~70の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、長手方向体軸から離れるように延在していることを含む。
【0282】
態様72は、態様1~71の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、ベースの方へ向かって延在し、且つ貫入分配本体の遠位部分から離れるように延在していることを含む。
【0283】
態様73は、態様1~72の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、注入器具は、長手方向体軸に対して横断方向に植物に液状製剤を分配するように構成された1つ以上の分配ポートを有する分配形態を含むことを含む。
【0284】
態様74は、態様1~73の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは少なくとも1つの分配リザーバを含み、及び1つ以上の分配ポートは、少なくとも1つの分配リザーバに開口していることを含む。
【0285】
態様75は、態様1~74の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体が少なくとも1つの分配リザーバを囲むことを含む。
【0286】
態様76は、態様1~75の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は、1つ以上の扇形の面を含み、及び少なくとも1つの分配リザーバは1つ以上の扇形の面に沿って延在することを含む。
【0287】
態様77は、態様1~76の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は1つ以上の空洞を含み、及び少なくとも1つの分配リザーバは、1つ以上の空洞内にあることを含む。
【0288】
態様78は、態様1~77の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは貫入要素の先端から離間していることを含む。
【0289】
態様79は、態様1~78の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0290】
態様80は、態様1~79の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、植物に液状製剤を分配する方法であって:長手方向体軸に沿って延在する貫入分配本体を有する注入器具によって植物に貫入することであって、貫入は:貫入分配本体の貫入要素で植物を突き刺すことを含み、貫入要素は長手方向体軸に沿って動かされることと;貫入された植物に液状製剤を分配することであって、液状製剤の分配は:注入器具の入口ポートから貫入分配本体の1つ以上の分配ポートへ液状製剤を送ること;1つ以上の分配ポートから長手方向体軸に対して横断方向に液状製剤を送達することを含むこととを含む、方法を含む。
【0291】
態様81は、態様1~80の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、注入器具による植物の貫入は、貫入要素の貫入プロファイルによって植物から1つ以上の分配ポートを隔離することを含むことを含む。
【0292】
態様82は、態様1~81の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは貫入分配本体の本体プロファイル内にあり;及び注入器具による植物の貫入は、本体プロファイルによって植物から1つ以上の分配ポートを隔離することを含むことを含む。
【0293】
態様83は、態様1~82の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは貫入分配本体の本体プロファイル内にあり;及び注入器具による植物の貫入は、1つ以上の分配ポートの植物との係合を妨害することを含むことを含む。
【0294】
態様84は、態様1~83の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は切断要素を含み;及び貫入要素で植物を突き刺すことは、切断要素で植物を切断することを含むことを含む。
【0295】
態様85は、態様1~84の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入要素は楔プロファイルを含み;及び貫入要素で植物を突き刺すことは、楔プロファイルで植物を切断することを含むことを含む。
【0296】
態様86は、態様1~85の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は、本体プロファイルと、本体プロファイルから奥まった所に据えられる1つ以上の分配ポートとを含み;及び1つ以上の分配ポートから横断方向に液状製剤を送達することは、本体プロファイルに液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0297】
態様87は、態様1~86の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、貫入分配本体は少なくとも1つの分配リザーバを含み;及び1つ以上の分配ポートから横断方向に液状製剤を送達することは、少なくとも1つの分配リザーバに液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0298】
態様88は、態様1~87の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、植物の植物組織に沿って液状製剤を保持することを含む。
【0299】
態様89は、態様1~88の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、貫入要素から離れた所にあり;及び1つ以上の分配ポートから液状製剤を送達することは、貫入要素に対して離れた所に液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0300】
態様90は、態様1~89の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤を離れた所に送達することは、貫入分配本体に沿って貫入要素に対して近位の箇所に液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0301】
態様91は、態様1~90の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、アンカー要素によって植物内に貫入分配本体を保持することを含む。
【0302】
態様92は、態様1~91の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートから液状製剤を送達することは、液状製剤の継続的な送達を含むことを含む。
【0303】
態様93は、態様1~92の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の継続的な送達は、1時間以上かけた液状製剤の継続的な送達を含むことを含む。
【0304】
態様94は、態様1~93の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の継続的な送達は、複数の分配を含むことを含む。
【0305】
態様95は、態様1~94の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の送達は、液状製剤の受動的な送達を含むことを含む。
【0306】
態様96は、態様1~95の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、液状製剤の受動的な送達は、液状製剤の静水圧に基づいて液状製剤を送達することを含むことを含む。
【0307】
態様97は、態様1~96の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に:植物に貫入し且つ植物に液状製剤を分配するように構成された注入器具であって、注入器具は:入口ポートを有するベース;長手方向体軸に沿ってベースから延在する貫入分配本体であって、貫入分配本体は本体プロファイルを有し、貫入分配本体は:貫入分配本体の遠位部分の近位にある貫入要素;貫入分配本体に沿った分配要素であって、分配要素は、長手方向体軸に対して側方に向けられた1つ以上の分配ポートであって、入口ポートと連通する1つ以上の分配ポートを含む分配要素を含む貫入分配本体を含む、注入器具と;注入器具と連通する送達装置であって:液状製剤を保管するように構成されたコンテナー;及びコンテナーと連通する取り付けインターフェースであって、入口ポートに結合されるように構成されている取り付けインターフェースを含む、送達装置とを含む、植物注入システムを含む。
【0308】
態様98は、態様1~97の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、送達装置は、コンテナーと取り付けインターフェースとの間に置かれた投薬装置を含み、投薬装置は、注入器具に規定量の液状製剤を送達して、1つ以上の分配ポートから側方に分配するように構成されていることを含む。
【0309】
態様99は、態様1~98の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、1つ以上の分配ポートは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0310】
態様100は、態様1~99の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、本体プロファイルは少なくとも1つの分配リザーバを含み、及び1つ以上の分配ポートは、少なくとも1つの分配リザーバに開口していることを含む。
【0311】
態様101は、態様1~100の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは貫入要素の先端から離間していることを含む。
【0312】
態様102は、態様1~101の主題を含み得るか、又は任意選択的にそれと組み合わせられ得、任意選択的に、少なくとも1つの分配リザーバは、本体プロファイルの外面から奥まった所に据えられることを含む。
【0313】
これらの非限定的な態様のそれぞれは、独立し得るか、又は他の態様の1つ以上と様々な置換若しくは組み合わせで組み合わせられ得る。
【0314】
上記の説明は、詳細な説明の一部をなす添付図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示す。これらの実施形態はまた、本明細書では「態様」又は「例」と呼ばれる。そのような態様又は例は、図示又は説明されるものに加えて、複数の要素を含み得る。しかしながら、本発明人らはまた、図示又は説明される要素のみが提供される態様又は例を考慮する。さらに、本発明人らはまた、特定の態様若しくは例(若しくはその1つ以上の特徴)に関して、又は本明細書で図示若しくは説明される他の態様(若しくはその1つ以上の特徴)に関してのいずれかで、図示又は説明される要素(又はそれらの1つ以上の特徴)のいずれかの組み合わせ又は置換を使用する態様又は例を考慮する。
【0315】
本明細書と参照により援用されるいずれかの文書との間に矛盾する使用法がある場合には、本明細書における使用法が支配する。
【0316】
本明細書では、用語「a」又は「an」は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の例又は使用法とは独立して、1つ又は2つ以上を含むように、使用される。本明細書では、用語「又は、若しくは(or)」は、非排他的であることを指すために使用される、すなわち「A又はB」は、別段の指示がない限り、「AはあるがBはない」、「BはあるがAはない」及び「A及びB」を含む。本明細書では、用語「含む(including)」及び「in which」は、それぞれの用語「含む(comprising)」及び「wherein」の分かりやすい英語の等価物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、用語「含む(including)」及び「含む(comprising)」は制約がない、すなわち、特許請求の範囲においてそのような用語の前にリストされるものに加えて、複数の要素を含むシステム、装置、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然として、特許請求の範囲に入るとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、用語「第1」、「第2」及び「第3」などは、単にラベルとして使用され、それらの対象に数字の条件を課すものではない。
【0317】
幾何学的な用語、例えば「平行」、「垂直」、「丸い」、又は「正方形」は、特に文脈で指示がない場合は、絶対的な数学的精度を必要とするものではない。その代わりに、そのような幾何学的な用語は、生産機能又は等価機能に起因して、変形を可能にする。例えば、要素が、「丸い」又は「全体的に丸い」と説明される場合、正確な円ではない構成要素(例えば、わずかに長円形であるか又は多辺の多角形であるもの)が、依然として本説明によって含まれる。
【0318】
上記の説明は、限定ではなく、説明である。例えば、上述の態様又は例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実施形態は、例えば上記の説明を検討して、当業者によって使用され得る。要約は、読者が本技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするために、37C.F.R.§1.72(b)に従うために提供される。特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されるものではないという理解に従う。また、上記の詳細な説明では、様々な特徴は、本開示を簡潔にするために、まとめられ得る。これは、特許請求されていない開示の特徴が、いずれかの特許請求項に対して必須であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示の実施形態の全ての特徴にあるわけではない可能性がある。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、態様、例又は実施形態として詳細な説明に援用され、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体が独立しており、及びそのような実施形態は、様々な組み合わせ又は置換において互いに組み合わせられ得ると考慮される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を有するものの等価物の全範囲と一緒に、参照して決定されるべきである。
【0319】
本開示の態様及び実施形態を説明する本説明及び添付図面は、保護される開示を定義する特許請求の範囲を限定するととられるべきではない。換言すると、本開示は、図面及び以下の説明において、詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は、説明又は例示であり、限定とはみなされない。様々な機械的な、組成の、構造的な、電気的な、及び動作的な変更は、本説明及び特許請求の範囲及び趣旨から逸脱せずに、なされ得る。場合によっては、周知の回路、構造及び技術は、本開示を曖昧にしないために、詳細には示していない。それゆえ、変更及び修正は、当業者によって、以下の特許請求の範囲及び趣旨内で行われ得ることが理解される。特に、本開示は、上記及び下記で説明する異なる実施形態からの特徴のいずれかの組み合わせを備えるさらなる実施形態を網羅する。
【0320】
本開示はまた、図面に個別に示す全てのさらなる特徴を網羅するが、それらは、上記又は下記の記載で説明されていない可能性がある。また、図面及び記載において説明した実施形態の単一の代替例及びその特徴の単一の代替例は、本開示の主題又は開示の主題から権利放棄され得る。本開示は、特許請求の範囲又は例示的な実施形態で定義される特徴からなる主題並びに前記特徴を含む主題を含む。
【0321】
さらに、特許請求の範囲では、語「含む(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、及び不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のユニット又はステップは、特許請求の範囲において列挙するいくつかの特徴の機能を満たし得る。いくつかの対策が、相互に異なる従属請求項で列挙されるという単なる事実は、これらの対策の組み合わせが、利益をもたらすために使用できないことを示すものではない。特に特性又は値に関連する用語「本質的に」、「約」、「およそ」などはまた、正確な特性又は正確な値をそれぞれ定義する。所与の数値又は範囲の文脈における用語「約」は、例えば、所与の値又は範囲の20%内、10%内、5%内、又は2%内の値又は範囲を指す。結合又は接続されたと説明される構成要素は、電気的若しくは機械的に直接結合されても、又は1つ以上の中間構成要素を介して間接的に結合されてもよい。特許請求の範囲におけるいずれかの参照符号は、特許請求の範囲を限定するとみなされるべきではない。