(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】改良されたドージングシステムを備えたコーヒー粉砕機及びそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
A47J 42/18 20060101AFI20240314BHJP
A23F 5/08 20060101ALI20240314BHJP
A47J 42/08 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A47J42/18
A23F5/08
A47J42/08
(21)【出願番号】P 2021544883
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 IB2020050905
(87)【国際公開番号】W WO2020161628
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】102019000001623
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512102391
【氏名又は名称】ラ マルゾッコ エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】LA MARZOCCO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ディオニシオ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108348(JP,A)
【文献】特表2010-519009(JP,A)
【文献】特表2018-511365(JP,A)
【文献】国際公開第2012/138327(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374513(US,A1)
【文献】特表2013-519487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00-42/56
31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー粉砕機(10)であって、第1グラインダ(14A)及び第2グラインダ(14B)を備え、
前記第1及び第2のグラインダ(14A、14B)のうち少なくとも一方(14B)が可動であり、
前記グラインダ(14A、14B)は、コーヒー豆を粉砕して、これにより第1粉砕サイクル中に粉砕されたコーヒーの第1ドーズを得るよう第1粉砕パラメータに基づいて相互に協働し、
前記コーヒー粉砕機(10)は、前記第1グラインダ(14A)に対して前記第2グラインダ(14B)を回転させるよう構成されたモータ(30)を備え、
前記コーヒー粉砕機
(10)は、さらに、前記第1粉砕サイクルの終了時に
ポルタフィルタ(20)内に配置されたフィルタ(21)内に含まれる前記第1ドーズのコーヒーの重量を測定するよう構成された計量デバイス(60)を備え、
前記第1粉砕サイクルの終了時に測定された前記第1ドーズの
コーヒーの重量
の前記測定
の測定値は、前記第1ドーズの後に第2粉砕サイクル中に粉砕される第2ドーズの第2粉砕パラメータを設定するために用いられ、また
前記コーヒー粉砕機(10)は、前記第2粉砕サイクル中に、前記第2ドーズの実際の重量測定値に依存しないように、前記第2ドーズの粉砕を中断するように構成される、コーヒー粉砕機。
【請求項2】
請求項1に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、前記モータ(30)は、前記第2グラインダ(14B)を一定の速度で回転させるよう構成されている、コーヒー粉砕機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、前記第2粉砕パラメータは、前記第2ドーズの粉砕を行うモータ(30)の回転数である、コーヒー粉砕機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、前記第2粉砕パラメータは、前記第2ドーズの粉砕を行うための粉砕時間である、コーヒー粉砕機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、さらに、前記モータ(30)の回転速度を制御するための周波数可変デバイス(40)を備えている、コーヒー粉砕機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、さらに、電気モータ(30)の回転速度を測定するために、前記電気モータ(30)に関連付けられた角度位置変換器(50)も備えている、コーヒー粉砕機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のコーヒー粉砕機(10)であって、前記計量デバイス(60)は、前記コーヒー粉砕機(10)のマシン本体とは別個である、コーヒー粉砕機。
【請求項8】
少なくとも第1グラインダ(14A)と第2グラインダ(14B)との間でコーヒー豆を粉砕する方法であり、第1及び第2のグラインダ(14A,14B)のうちの少なくとも一方(14B)が可動であり、前記グラインダ(14A,14B)が相互に協働してコーヒー豆を粉砕し、これにより第1粉砕サイクル中に粉砕されたコーヒーの第1ドーズを得る方法であって、当該方法は、
前記第2グラインダ(14B)を前記第1グラインダ(14A)に対して、第1粉砕パラメータで回転させるステップと、
前記第1粉砕サイクルの終了時に、
ポルタフィルタ(20)内に配置されたフィルタ(21)内に含まれる前記第1ドーズの
コーヒーの重量を測定するステップと、
前記第1粉砕サイクルの終了時に測定された前記第1ドーズの
コーヒーの重量
の前記測定
の測定値に基づいて、第2粉砕サイクル中、前記第1ドーズの後に粉砕される第2ドーズの第2粉砕パラメータを設定するステップと、及び
前記第2粉砕サイクル中に、前記第2ドーズの実際の重量測定値に依存しないように、前記第2ドーズの粉砕を中断するステップと、
を備える、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記第2粉砕サイクルの終了時に、前記フィルター(21)の内部に収容された前記第2ドーズのコーヒーの重量を測定するステップと、前記第2粉砕サイクルの終了時に測定された前記第2ドーズのコーヒー重量の測定値に基づいて、第3粉砕サイクルの間に前記第2ドーズの後に粉砕される第3ドーズの第3粉砕パラメータを設定するステップと、前記第3ドーズの実際の重量の測定値に依存しない方法で、前記第3粉砕サイクルの間に前記第3ドーズの粉砕を中断するステップと、をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、少なくとも一方のグラインダ(14B)を他方のグラインダ(14A)に対して移動させる前記ステップは、前記第2グラインダ(14B)を一定の速度で回転させるステップを含む、方法。
【請求項11】
請求項8
~10のいずれかに記載の方法であって、前記第2粉砕パラメータは、所定粉砕回転数であり、前記第2グラインダ(14B)を、コーヒーの前記第1ドーズの重量に関連する前記回転数にわたり回転させる方法。
【請求項12】
請求項8
~10のいずれかに記載の方法であって、前記第2粉砕パラメータは、時間であり、前記第2グラインダ(14B)を、コーヒーの前記第1ドーズの重量に関連する前記時間にわたり回転させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆を粉砕するための装置(マシン)に関する。コーヒー豆を粉砕するための装置は、別個の装置であってもよく、コーヒーをベースとする飲料を作成するための装置に組み込まれていてもよい。このようなコーヒー豆を粉砕する/挽く装置は、単に「コーヒー粉砕機/挽き機(coffee grinding machine)」、「コーヒーグラインダ(coffee grinder)」又は「ミル(mill)」としても知られている。
【背景技術】
【0002】
既知のように、エスプレッソコーヒーの調製には、通常「ドーズ/用量(dose)」と呼ばれる一定量の粉砕コーヒーを使用する。粉砕コーヒーのドーズは、通常、上部が開放されていて、微細孔の有孔底部を有するカップ状のフィルタに投入される。通常、コーヒーのドーズはフィルタの内側に押し込まれ、コーヒー粉のパックが形成される。このフィルタは、エスプレッソコーヒーマシンの分注(ディスペンシング)ユニットの内部に着脱可能に係合するように構成されたポルタフィルタによって支持される。エスプレッソコーヒーは、圧力下で熱湯をコーヒー粉のパックに通過させることによって得られる。
【0003】
コーヒーのドーズは、通常、重量(通常はグラム単位)で規定される。バーの実際の運営において、バリスタは通常、可能であれば常に同じ量(重量)のコーヒー(例えば14g)をポルタフィルタに充填しようとする。
【0004】
コーヒー粉は、コーヒー粉砕機で得られる。既知のコーヒー粉砕機では、コーヒー豆を粉砕部材に通して粉砕する。粉砕部材としては、平板状、円錐状、円筒状のタイプが知られている。典型的には、コーヒー粉砕機の粉砕部材は、固定部材と、固定部材に対して回転する部材とからなる。例えば、円錐形のグラインダを備えたコーヒー粉砕機では、一方のグラインダは不動で静止しており、他方のグラインダはモータによって回転する。幾つかのコーヒーグラインダは、コーヒー粉の粒度を変えるために、グラインダ間の距離を変更することができる。
【0005】
様々なドージング/ドーズ決めデバイス(dosing device)が知られているが、これらは基本的に、(挽く前の)コーヒー豆のドーズを規定するドージングデバイスと、コーヒー粉のドーズを規定するデバイスに分類することができる。特に、後者タイプのデバイスは、時間ベースのドージング(ドーズ決め)、回転数ベースのドージング、体積ベースのドージング/及びコーヒー粉の重量/質量ベースのドージングを行うことができる。
【0006】
特許文献1(国際公開第2012/138327号)には、コーヒー豆を粉砕してドージングするプロセス及び装置が記載されており、ドーズを自動的かつ連続的に校正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2012/138327号パンフレット
【0008】
時間ベースのドージングデバイスは、コーヒー粉砕機が粉砕されたコーヒー粉のドーズを制御するのではなく、粉砕時間のみを制御するため、不正確であると考えられる。時間ベースの測定デバイスは、せいぜい、ほぼ一定の(反復可能な)ドーズを生成できるだけと考えられる。再現性の高いドーズを提供できるコーヒー粉砕機の場合、各粉砕時間に対して、システムの外部の秤を用いて決定された対応するドーズを関連付けることが可能である。例えば、コーヒー粉砕機は5秒間に14gのコーヒー粉を供給すると断定することができる。
【0009】
そのため、粉砕コーヒーのドーズに関する見積もりは間接的である。実際には、コーヒー粉砕機は時間を制御しており、一定のドーズは一定の時間(及び固定された設定)に対応すると想定している。言うまでもなく、コーヒーのタイプ、粒度、環境条件が変われば、時間とドーズとの関係は変わる。
【0010】
回転数に基づくドージングもドーズの間接的な推定をなす。基本的に、粉砕部材は設定された時間にわたり回転するのではなく、設定可能な回転数で実施する。コーヒー粉砕機は回転数を制御し、また一定のドーズは一定の回転数(及び固定された設定)に対応すると想定している。言うまでもなく、コーヒーのタイプ、粒度、環境条件が変われば、回転数とドーズとの関係は変化する。
【発明の概要】
【0011】
体積ベースのドージングシステムでは、コーヒー粉砕機は粉砕されたコーヒーの体積を測定することができる。この場合も、やはりバリスタは粉砕コーヒーの重量と体積との間における関係を試行錯誤によって決定することが要求される。
【0012】
重量ベースのドージングシステムは、直接的なシステムである。基本的に、コーヒー粉砕機に連結された一組の秤は、粉砕コーヒーが供給される間に粉砕コーヒーをリアルタイムで重量測定し、また所望の重量に達するとドージングを中断する。いくつかのマシンでは、粉砕コーヒーが所望の重量に近づくと、可能な限り最も正確な方法でドーズに到達するようコーヒー粉砕機が速度を落とす。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本出願人は、従来既知の重量ベースのドージングシステムを改良することを目的として定めた。
【0014】
特に、本出願人は、上述した従来既知の重量ベースのドージングシステムは、コーヒー粉砕機のモータが粉砕の間中ずっと一定の速度で回転することができず、可能な限り最も正確な方法でドーズの重量を達成するために、粉砕プロセスの最後の部分で減速するため、緩慢であることに着目した。
【0015】
さらに、従来既知の重量ベースのドージングシステムは、粉砕工程の間中ずっと、極めて鋭敏である。コーヒーを挽いている最中に、バリスタが不慮に秤を打撃してしまうことがよくある。この不慮の打撃は不正確な重量信号を生成し、所望の重量に到達する前に粉砕が中断されたり、又は設定された時間を超えて粉砕が延長されたりする。第1の場合ではドーズの体積が少なくなり、第2の場合ではドーズが多くなる。もしバリスタがドーズの重量が不慮に変更されたことに気づかないと、間違ったドーズ(粉砕コーヒーの量が少ない、又は粉砕コーヒーの量が多い)のエスプレッソコーヒーが調製され、結果として正しいドーズにより得られるはずの飲み物とは異なるものになる。仮にバリスタがエラーに気づいた場合は、手動でドーズを調整しなければならないか、又は不正確なドーズを捨てて挽き直す必要がある。
【0016】
さらに、上述した秤が鋭敏であるために、バリスタはコーヒーを挽いている間ポルタフィルタを動かすことができない。多くのバリスタは、逆に、粉砕コーヒーを「混合する」ために、挽いている間にポルタフィルタを動かしてしまいがちである。
【0017】
本出願人は、従来既知のシステムと比較して、効率的で、高速かつ安定した方法でコーヒー粉のドーズを提供するように構成されたコーヒー粉砕機を得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、粉砕サイクルの終了時に、粉砕されたコーヒーのドーズのみを計量する計量デバイスが提供される。測定された重量値は、次のドーズをプログラムするために使用される。
【0019】
好ましくは、粉砕は粉砕部材の回転速度を一定にして行う。
【0020】
粉砕は、回転数、あるいは粉砕時間を一定にして行う。
【0021】
第1の態様によれば、第1グラインダと第2グラインダを備えたコーヒー粉砕機が提供され、
第1及び第2のグラインダの少なくとも一方が可動であり、
前記グラインダは、コーヒー豆を粉砕して、これにより第1粉砕サイクル中に粉砕されたコーヒーの第1ドーズを得るよう第1粉砕パラメータ(例えば、所定回転数又は所定粉砕時間)に基づいて相互に協働し、
前記コーヒー粉砕機は、前記第1グラインダに対して前記第2グラインダを回転させるよう構成されたモータを備え、
前記コーヒー粉砕機は、さらに、ほぼ前記第1粉砕サイクルの終了時に、前記第1ドーズのコーヒーの重量を測定するように構成された計量デバイスを備え、
前記第1粉砕サイクルの終了時に測定された前記第1ドーズの前記重量測定値は、前記第1ドーズの後に第2粉砕サイクル中に粉砕される第2ドーズの第2パラメータを設定するために用いられ、また
前記コーヒー粉砕機は、前記第2粉砕サイクル中に、前記第2ドーズの実際の重量測定値に依存しないように、前記第2ドーズの粉砕を中断するように構成される。
【0022】
第1粉砕パラメータは、モータの所定回転数及び/又は所定粉砕時間であってもよい。有利には、コーヒー粉砕機は、第2ドーズが所定(設定された)重量に達するとき第2ドーズの粉砕を中断せず、しかし、設定された第2粉砕パラメータのみに基づいて中断する。第2ドーズの重量は、ほぼ第2粉砕サイクルの終了時に測定され、第3粉砕サイクル中に、第2ドーズの粉砕の後に粉砕される第3ドーズを粉砕するための第3パラメータが設定される。
【0023】
とりわけ一つの利点は、ドーズの重量を連続的に測定したり、所望重量と連続的に比較したりするのではなく、ドーズ粉砕が完了し、かつグラインダが停止しているときにのみ比較が行われるため、必要とされるプロセス(工程)は従来既知のマシンよりも少ない。また、他の既知のマシンでは、どんな場合でもモータを停止する直前に幾分かの粉砕された粉末が依然として落下することを考慮せず、到達した重量が設定された重量と同じになったときに粉砕を中断するのが一般的であるため、その点においても精度が向上する。
【0024】
好ましくは、モータは、第2グラインダをほぼ一定の速度で回転させるように構成される。
【0025】
実施形態によれば、第2粉砕パラメータは、第2ドーズの粉砕を行うために必要なモータの回転数である。したがって、第2ドーズの粉砕は設定した回転数に達した後に中断され、この設定した回転数は、第1粉砕プロセスの終了時における第1ドーズの測定した重量に依存する。
【0026】
実施形態によれば、第2粉砕パラメータは、第2ドーズの粉砕を行うために必要な粉砕時間である。したがって、第2ドーズの粉砕は設定時間に達した後に中断され、この設定時間は、第1粉砕プロセスの終了時における第1ドーズの測定した重量に依存する。
【0027】
本マシンは、モータの回転速度を制御するための周波数可変装置を備えることができる。
【0028】
また、このマシンは、さらに、電気モータの回転速度を測定するために、電気モータに付随する角度位置変換器を備えることができる。
【0029】
実施形態によれば、計量デバイスは、コーヒー粉砕機のマシン本体とは別個とする。
【0030】
実施形態によれば、少なくとも第1グラインダと第2グラインダとの間でコーヒー豆を粉砕する方法であって、第1及び第2のグラインダの少なくとも一方が可動であり、前記グラインダが相互に協働してコーヒー豆を粉砕し、これにより、第1粉砕サイクル中に粉砕されたコーヒーの第1ドーズを得る方法を提供し、この方法は、
前記第1グラインダに対して前記第2グラインダを第1粉砕パラメータで回転させるステップと
ほぼ前記第1粉砕サイクルの終了時に、コーヒーの前記第1ドーズの重量を測定するステップと、
前記第1粉砕サイクルの終了時に測定された前記第1ドーズの前記重量測定値に基づいて、第2粉砕サイクル中、前記第1ドーズの後に粉砕される第2ドーズの第2粉砕パラメータを設定するステップと、及び
前記第2粉砕サイクル中に、前記第2ドーズの実際の重量測定値に依存しないように、前記第2ドーズの粉砕を中断するステップと、を備える。
【0031】
実施形態によれば、少なくとも一方のグラインダを他方のグラインダに対して移動させるステップは、第2グラインダをほぼ一定の速度で回転させるステップを含む。
【0032】
前記第2粉砕パラメータは、所定粉砕回転数であってもよい。この場合、第2グラインダを、コーヒーの前記第1ドーズの重量に関連する前記回転数にわたり回転させる。
前記第2パラメータは、時間であってもよい。この場合、第2グラインダは、前記第1ドーズのコーヒーの重量に関連する前記時間にわたり回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
次に、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として提示される本発明の詳細な説明を以下に示す。
【
図1】本発明の一実施形態によるコーヒー粉砕機の若干の構成要素を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による方法の主要ステップをまとめたフロー図である。
【
図3】
図2に示したものに対する代替例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、単に例示として、本発明の一実施形態に係るコーヒー粉砕機(マシン)を示す。簡単のため、本発明の目的に関連する装置の構成要素のみ説明する。関連性のない他の構成要素は、詳細に説明しない。説明したマシンは平面グラインダを含むが、本発明は、円錐又は円筒グラインダなどの他のタイプのグラインダを有する装置にも適用可能である。
【0035】
装置10は、粉砕すべき(挽くべき)コーヒーを投入するための上部入口INを有する粉砕チャンバ12と、第1グラインダ14A及びこの第1グラインダ14Aと協働する第2グラインダ14Bと、並びにグラインダ14A及び14Bから粉砕されたコーヒーを受け取り、またそれを回収して使用するために搬送する出口コンベア16とを備える。例えば、
図1に示すように、粉砕コーヒーは、任意な従来既知のタイプのポルタフィルタ20に支持されたフィルタ91に向かって搬送されてもよい。
【0036】
図1の実施形態によれば、第1グラインダ14Aは静止したグラインダであり、一方、第2グラインダ14Bは可動であり、例えば回転可能である。
【0037】
コーヒー粉砕機は、第2グラインダ14Bを回転させるための電気モータ30を備えている。実施形態では、このモータは、ユニバーサル、DC、AC、単相、三相、ブラシレス、BLDC、ステッパー又は同様のモータであってもよい。
【0038】
好ましくは、コーヒー粉砕機はまた、回転速度を制御するための周波数可変装置40を備える。例えば、この周波数可変装置は、インバータで構成される。この周波数可変装置40は、第1速度又は第2速度での均一な粉砕を可能にするように、粉砕速度を変化させることができる。
【0039】
実施形態によれば、コーヒー粉砕機は、モータ30の回転速度を正確に測定するために、電気モータに関連付けられた角度位置変換器、例えば、エンコーダ50、も備えている。
【0040】
本発明によれば、コーヒー粉砕機10は、コーヒー粉のドーズの重量(又は質量)を測定するための計量デバイス60をさらに備える。実施形態によれば、この計量デバイスは、フィルタ21の内部のコーヒー粉のドーズを計量するように構成されている。好ましくは、計量デバイス60は、ポルタフィルタ20に配置されたフィルタ21の内部におけるコーヒー粉のドーズを計量するように構成されている。
【0041】
本発明によれば、コーヒー粉砕機10は、さらに、好ましくは電子基板72などにおけるプロセッサ70及びメモリ71を含む。
【0042】
本発明によれば、コーヒー粉砕機10は、ユーザーインターフェース80をさらに備えており、このユーザーインターフェース80は、好ましくは、ディスプレイ、及び例えば1つ以上のボタンなどの選択手段を備えている。好ましくは、ユーザーインターフェース80は、プロセッサ70に(直接又は間接的に)接続されている。
【0043】
次に、
図2を参照して、コーヒーのドーズを得るための改良された方法について説明する。
【0044】
第1ステップ(101)として、コーヒーの所望ドーズ(用量)が設定される。一般的に、この所望ドーズは、例えばグラムなどの重量単位で表される。所望ドーズの設定は、バリスタが所望ドーズに対応するボタンを押すことによって実施する、又はバリスタが所望ドーズに対応する数字をキー入力することによって実施する、又は所望ドーズの重量値が達成されるまで、設定を増加又は減少させるように特別なボタンを押すことによって達成することができる。設定操作は、音声コマンドやその他の方法で行うこともできる。実施形態では、所望ドーズの設定は、コーヒー粉砕機に接続された別個の装置によって実施することができる。例えば、バリスタ又はバリスタがエスプレッソコーヒーを調製しなければならない人が所有するタブレット又はスマートフォンを用いて行うことができる。
【0045】
単なる例として、また本明細書の文脈を提示する目的としてのみ例示すると、設定ドーズは14gとすることができる。
【0046】
ドーズの設定後、コーヒー粉砕機10を起動する。
【0047】
当然のことながら、コーヒー粉砕機を起動する前に、粉砕して得られたコーヒー粉が集積されるフィルタ21は、粉砕されたコーヒー用の排出口下方に位置決めされる。好ましくは、フィルタ21は、ポルタフィルタ20の内部に配置される。好ましくは、ポルタフィルタ及びフィルタは、計量デバイス60によって適切に支持される。好ましくは、計量デバイス60は、ポルタフィルタ20及び空フィルタの重量(風袋重量)を計算することができ、計量デバイス60が粉砕コーヒーのドーズの重量をより容易に測定できるように、測定値をゼロ値化することが考えられる。
【0048】
第1実施形態によれば、装置10は、所定回転数で粉砕する(挽く)ようにプログラムされる(ステップ102)。すなわち、グラインダは常に同じ量だけ回転する。これは、前述した速度センサ50により可能となる。
【0049】
ドーズの設定した重量に対応する所定回転数が終了すると、モータ30が停止し、粉砕が停止する。
【0050】
粉砕が終了すると、計量デバイス60は、粉砕されたコーヒーのドーズを計量する(ステップ103)。粉砕コーヒーの計量は、粉砕の終了時にのみ行われる。いずれにしても、本発明によれば、計量デバイスが粉砕中に連続的又は不連続的に粉砕コーヒーを計量したとしても、粉砕の終了前の粉砕コーヒーの重量値は考慮されない。
【0051】
本発明によれば、コーヒー粉砕機は、得られたドーズの重量を設定ドーズの重量と比較する(ステップ104)ように構成されている。
【0052】
粉砕コーヒーのドーズが設定した重量に等しい重量であれば(容認可能と見なせる+又は-の誤差マージン内)、回転数を維持することによって次のドーズが得る(ステップ110)。つまり、バリスタが、直近で粉砕したのと同じ量の次ドーズを得たい場合は、回転数を変えずに維持する。バリスタがより多く又は少ないドーズを得たい場合には、直近で得られたドーズに対応する回転数に合わせて回転数を調整する。当然のことながら、各粉砕作業の終了時には、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ103)、また所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(104)。
【0053】
得られた粉砕コーヒーのドーズが、設定された粉砕コーヒーのドーズよりも大きい重量を有する場合(120)、回転数を適切に減少させることによって次のドーズが得られる(ステップ121)。好ましくは、各粉砕操作の終了時に、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ103)、また所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(104)。
【0054】
得られた粉砕コーヒーのドーズが、設定されたドーズの粉砕コーヒーのドーズ重量よりも小さい重量を有する場合(130)、回転数を適切に増加させることにより、次のドーズが得られる(ステップ131)。好ましくは、各粉砕ステップの終了時に、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ103)、また所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(104)。
【0055】
いずれにしても、粉砕終了時の1回分のドーズの重量を用いて、次のドーズを得るために回転数を設定する。本装置は、各粉砕作業後に継続的に重量をチェックし、また回転数を補正する。
【0056】
従来のコーヒー粉砕機とは異なり、1回分のドーズの重量は、粉砕プロセスを停止するためではなく、設定ドーズに対応する重量を有する次のドーズを得るために使用される。
【0057】
好ましくは、コーヒー粉砕機は、ドーズの重量と回転数との関係を記憶したメモリを備える。一例として、メモリは以下の表1に示すような情報を含むことができる。
【0058】
【0059】
コーヒー粉砕機の電源が切れた場合、次の起動時には最後に使用した値からスタートする(例えば、14gのドーズを設定していた場合、7.00回転)。
【0060】
図3は、
図2に示した方法の代替方法を示すフロー図である。
図2に示した方法(ドーズの重量と回転数との関係に基づく)とは異なり、
図3による方法はドーズの重量と粉砕時間の関係に基づいている。
【0061】
ドーズの設定は、
図2につき詳細に説明したように行うことができる。
【0062】
ステップ202で示したように、第2の実施形態によれば、装置は一定の時間にわたり粉砕するようにプログラムされる。すなわち、グラインダは、ドーズのデフォルト(既定の)重量に対応する所定時間にわたり回転する。好ましくは、ボード70に関連したタイマーが設けられる。
【0063】
設定されたドーズの重量に対応する所定時間の終了時、モータ30が停止し、また粉砕が停止する。
【0064】
粉砕が終了すると、計量デバイス60は、粉砕されたコーヒーのドーズを計量する(ステップ203)。粉砕コーヒーの計量は、粉砕の終了時にのみ行われる。いずれにしても、計量デバイスが粉砕中に連続的又は不連続的に粉砕コーヒーを計量したとしても、本発明によれば、粉砕の終了前の粉砕コーヒーの重量値は考慮されない。
【0065】
本発明によれば、コーヒー粉砕機は、得られたドーズの重量を設定されたドーズの重量と比較する(ステップ204)ように構成されている。
【0066】
粉砕コーヒーのドーズが設定した重量に等しい重量であれば(容認可能と見なせる+又は-の誤差マージン内)、粉砕時間を変えずに次のドーズを得る(ステップ210)。つまり、バリスタが、直近で粉砕したのと同じ量の次のドーズ(容認可能と見なせる+又は-の誤差マージン内)を得たい場合は、粉砕時間を変えずに維持する。バリスタがより多く又は少ないドーズを得たい場合には、直近で得られたドーズに対応する粉砕時間に合わせて粉砕時間を変更する。当然のことながら、各粉砕作業の終了時には、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ203)、所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(204)。
【0067】
得られた粉砕コーヒーのドーズが、設定された粉砕コーヒーのドーズよりも大きい重量を有する場合(220)、粉砕時間を適切に減少させることによって次のドーズが得られる(ステップ221)。好ましくは、各粉砕ステップの終了時に、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ103)、所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(104)。
【0068】
得られた粉砕コーヒーのドーズが、設定されたドーズの粉砕コーヒーのドーズ重量よりも小さい重量を有する場合(230)、粉砕時間を適切に増加させることにより、次のドーズが得られる(ステップ231)。好ましくは、各粉砕ステップの終了時に、得られたドーズの重量を再度測定し(ステップ203)、また所望ドーズの重量と再度比較しなければならない(204)。
【0069】
いずれにしても、粉砕終了時の1回分のドーズの重量を用いて、次のドーズを得るための粉砕時間を設定する。本装置は、各粉砕作業後に継続的に重量をチェックし、また粉砕時間を補正する。
【0070】
従来のコーヒー粉砕機とは異なり、1回分のドーズの重量は、粉砕プロセスを停止するためではなく、引き続く次のドーズが設定ドーズに一致するように使用される。
【0071】
好ましくは、コーヒー粉砕機は、ドーズの重量と粉砕時間との関係を記憶したメモリを備える。一例として、メモリは以下の表2に示すような情報を含むことができる。
【0072】
【0073】
重量ベースでドージングを行うコーヒー粉砕機(正確なドーズを得るために減速する)と比較して、本発明に係る装置は減速する必要がないため、より迅速である。
【0074】
さらに、本発明に係るコーヒー粉砕機は、外乱に対してより感度が低い。例えば、14gの挽いた部分は、約5秒を必要とする。この時間の期間中、カウンター、コーヒー粉砕機、又はポルタフィルタは、一般に打撃若しくは衝撃を受けたり、又は振動を受けたりしてはならない。本発明によれば、計量時間は、2つの時点、すなわち、風袋重量を得るための初期時点及び最終時点だけに短縮される。そのため、システムが外部ストレスにさらされる時間がより短くなる。
【0075】
本発明による装置に高い信頼性を与えるさらなる要素は、各単一の粉砕ステップが重量ではなく回転数(又は、適切である場合には時間)によって決定されるという事実にある。したがって、その短い重量測定の瞬間に外乱が生じても、ドーズには影響しない。
【0076】
また、外乱に対する低下した感度は、結果として、現行用法を維持しつつ、より実用的な操作が得られる。実際、バリスタはコーヒーを挽く間に、粉を均一にするためにポルタフィルタを動かすことはよくある操作である。従来のシステムでは、重量が変わってしまうため、このような動作はできなかった。その代わり、提案したシステムでは、バリスタは粉砕の開始と終了の瞬間を除いて、好きなようにポルタフィルタを動かすことができる。
【0077】
以上の説明から、本発明はコーヒーグラインダのドーズの再現性を高めるものではないことが明らかに浮かび上がる。実際には、粒度、コーヒー豆の挙動を変化させる環境条件、装置の使用頻度、コーヒーのタイプ、グラインダの回転速度などが変化するときでも、コーヒー粉砕機が「一定の」ドーズ(重量による)を維持できるようにする解決策である。
【0078】
バリスタは、コーヒー粉砕機の設定作業をより簡単に行うことができる。バリスタは、粉砕コーヒーの量ではなく、粒度を調整することに取り組むだけでよい。