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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】光ダクト装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20240314BHJP
   E04H 1/04 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F21S11/00 200
E04H1/04 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022132675
(22)【出願日】2022-08-23
(65)【公開番号】P2024030105
(43)【公開日】2024-03-07
【審査請求日】2023-07-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 泰
(72)【発明者】
【氏名】矢ヶ崎 啓介
(72)【発明者】
【氏名】市川 友己
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-322958(JP,A)
【文献】米国特許第06341041(US,B1)
【文献】実開昭62-121705(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/04
F21S 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ダクト装置であって、
建物の室内に設けられ、自然光を採光するための採光部と、
前記採光部からの光を所定の位置へ導光するための導光部と、
前記導光部からの光を前記室内に放光するための放光部とを有し、
前記採光部と前記導光部と前記放光部とは、同じフロアに設けられ、
前記導光部の少なくとも一部は床下に配置され、
前記採光部は、前記建物の床に設けられる、光ダクト装置。
【請求項2】
前記採光部は、前記建物の床に設けられ、
前記導光部はダクトからなり、前記ダクトは、前記採光部から延び、前記床下に配置される水平ダクト部と、前記建物の壁の内部に配置され前記水平ダクト部から鉛直方向に延びる鉛直ダクト部とを有し、
前記放光部は、前記鉛直ダクト部の端部に設けられ、前記壁に配置される、請求項に記載の光ダクト装置。
【請求項3】
前記採光部は、前記建物の床に設けられ、
前記導光部はダクトからなり、前記ダクトは、前記採光部から延び、前記床下に配置される水平ダクト部と、前記建物の壁の内部を通過し前記水平ダクト部から前記建物の天井裏まで鉛直方向に延びる鉛直ダクト部と、前記建物の前記天井裏に配置され前記鉛直ダクト部から水平方向に延びる上部水平ダクト部とを有し、
前記放光部は、前記上部水平ダクト部の端部に設けられ、前記建物の天井に配置される、請求項に記載の光ダクト装置。
【請求項4】
前記採光部は、前記建物の床に配置され且つ前記自然光を前記床下に通過させるための板状の透光部と、前記透光部の下方に配置され且つ前記透光部を通過した前記自然光を集光する箱状の集光部とを有する、請求項に記載の光ダクト装置。
【請求項5】
前記透光部の幅及び前記集光部の幅は、前記導光部の幅よりも広い、請求項に記載の光ダクト装置。
【請求項6】
前記集光部は、前記建物の外壁に設けられた窓の近傍に設けられ、前記外壁の側の第1側壁と前記第1側壁に対向して配置された第2側壁とを有し、前記第1側壁及び前記第2側壁の少なくとも一方が平面視で湾曲している、請求項に記載の光ダクト装置。
【請求項7】
前記集光部は底壁を更に有し、前記第1側壁、前記第2側壁及び前記底壁の少なくとも1つは断面視で湾曲しており、前記透光部がマジックミラーからなる、請求項に記載の光ダクト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住戸単位にて設置可能な光ダクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の窓から離れた自然光が届かないエリアに自然光を送ることを目的とした技術として、光ダクト装置が周知である。特許文献1には、複数階を有する建物において、各フロアに自然光を送る光ダクト装置が開示されている。光ダクト装置は、建物内に設けられ鉛直方向に延びる縦型光ダクトユニットと、縦型光ダクトユニットの側面から分岐して、水平方向に延びる複数の水平光ダクトとを有する。縦型光ダクトユニットは、各屋根裏から最下階の天井裏まで各フロアを貫通して設けられる。各水平光ダクトは対応するフロアの天井裏に配置され、各水平光ダクトの端部に放光ユニットが設けられる。放光ユニットの放光口は天井に開口として設けられる。建物の屋根には、自然光を建物内に取り入れるためのトップライトが設けられ、縦型光ダクトユニットの上端部はトップライトの近傍に配置される。トップライトを通過して縦型光ダクトユニットに導入された光は、縦型光ダクトユニット内を下方に導光され、その一部は水平光ダクトにて分岐して水平光ダクト内を放光ユニットまで導光される。放光ユニットに導光された自然光は、天井に設けられた放光口から室内に放光される。
【0003】
特許文献2では、鉛直方向に延びる縦型の光ダクトを用いない水平型光ダクトの例が開示されている。水平型光ダクトは、太陽光(自然光)を採光する採光部と、採光した太陽光を導光する導光部と、導光部により導光された太陽光を室内空間の照明光として放光する放光部とを備える。水平型光ダクトは、天井裏に水平に配置される。採光部は、建物の外壁と建物の内壁とを貫通して設けられる。採光部から採光された自然光は、導光部を通過し、天井に設けられた放光部から室内に放光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-287920号公報
【文献】特開2015-069777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の縦型光ダクトユニットは、最上階の屋根から最下階の天井裏まで各階の床を貫通して設けられる。また、特許文献2に記載の水平型光ダクトは、採光部を建物壁面に配置するために建物の外壁を貫通して設けられる。そのため、床や外壁が躯体をなす建物に光ダクト装置を設置する場合は、建物構造の設計初期段階に光ダクト装置の設計を組み込む必要がある。したがって、建物の建設中又は建設後において光ダクト装置を設置することは困難である。特に、建物が集合住宅の場合には、他の住戸に影響を与えずに光ダクト装置を設置することは困難である。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、建物建設中又は建設後においても住戸単位にて設置可能な光ダクト装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、光ダクト装置(20)であって、建物(1)の室内に設けられ、自然光(6)を採光するための採光部(21)と、前記採光部からの光を所定の位置へ導光するための導光部(22)と、前記導光部からの光を前記室内に放光するための放光部(23)とを有し、前記採光部と前記放光部とは、同じフロアに設けられる。
【0008】
この態様によれば、採光部と放光部とが同じフロアに設けられるため、住戸単位にて光ダクト装置を設置することができる。また、建物室内に採光部を設けるため、建物の外壁を貫通することなく光ダクト装置を設置することができる。したがって建物建設中又は建設後においても光ダクト装置の設置が可能となる。
【0009】
上記の態様において、前記採光部は、前記建物の床(2)に設けられ、前記導光部はダクトからなり、前記ダクトは、前記採光部から延び、床下に配置される水平ダクト部(33)と、前記建物の壁(13)の内部に配置され前記水平ダクト部から鉛直方向に延びる鉛直ダクト部(34)とを有し、前記放光部は、前記鉛直ダクト部の上端部(39)に設けられ、前記壁に配置されるとよい。
【0010】
この態様によれば、居住空間を狭めることなく光ダクト装置を設置することができる。放光部は、ブラケットライトの代用として使用できる。
【0011】
上記の態様において、前記採光部は、前記建物の床(2)に設けられ、前記導光部はダクトからなり、前記ダクトは、前記採光部から延び、床下に配置される水平ダクト部(33)と、前記建物の壁(13)の内部を通過し前記水平ダクト部から前記建物の天井裏(42)まで鉛直方向に延びる鉛直ダクト部(34)と、前記建物の前記天井裏に配置され前記鉛直ダクト部から水平方向に延びる上部水平ダクト部(35)とを有し、前記放光部は、前記上部水平ダクト部の端部(40)に設けられ、前記建物の天井(17)に配置されるとよい。
【0012】
この態様によれば、居住空間を狭めることなく光ダクト装置を設置することができる。放光部は、シーリングライトの代用として使用できる。
【0013】
上記の態様において、前記採光部は、前記建物の床に配置され且つ前記自然光を床下に通過させるための板状の透光部(24)と、前記透光部の下方に配置され且つ前記透光部を通過した前記自然光を集光する箱状の集光部(25)とを有するとよい。
【0014】
この態様によれば、集光部から床下内への光漏れが抑制される。
【0015】
上記の態様において、前記透光部の幅及び前記集光部の幅は、前記導光部の幅よりも広いとよい。
【0016】
この態様によれば、より多くの自然光を取り入れることができる。
【0017】
上記の態様において、前記集光部は、前記建物の外壁(3)に設けられた窓(12)の近傍に設けられ、前記外壁の側の第1側壁(27)と前記第1側壁に対向して配置された第2側壁(28)とを有し、前記第1側壁及び前記第2側壁の少なくとも一方が平面視で湾曲しているとよい。
【0018】
この態様によれば、第1側壁及び第2側壁にて反射する自然光は、導光部に向けて集光される。
【0019】
上記の態様において、前記集光部は底壁(31)を更に有し、前記第1側壁、前記第2側壁及び前記底壁の少なくとも1つは断面視で湾曲しており、前記透光部がマジックミラーからなるとよい。
【0020】
この態様によれば、第1側壁、第2側壁及び、底壁にて反射する自然光は導光部に向けて集光される。マジックミラーによって集光部から室内への光漏れが抑制される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、建物建設中又は建設後においても住戸単位にて設置可能な光ダクト装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る建物の断面図
図2】採光部周辺の建物屋内の斜視図
図3】採光部の平面図
図4】採光部の断面図
図5】第2実施形態に係る建物の断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、集合住宅として用いられるコンクリート造の建物1に光ダクト装置20が設けられた例について説明する。ここで、コンクリート造とは、建物1がコンクリートを含む構造の床2及び外壁3を含むことを意味する。コンクリートを含む構造は、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、繊維強化コンクリート造などであってよい。
【0024】
≪第1実施形態≫
図1に示すように、建物1はコンクリートスラブ4によって画定される複数の階層(フロア)を有する多層建物であり、コンクリートスラブ4の上側のフロアと下側のフロアとにはそれぞれ別々の住戸5が設けられる。コンクリートスラブ4の下方には、間隔を空けて天井パネル41が設けられており、これにより、天井パネル41とコンクリートスラブ4との間に天井裏42が画定される。同じフロアには複数の住戸5が設けられており、互いに隣接する住戸5は、コンクリート造の戸境壁8によって互いに区画されている。
【0025】
本実施形態における住戸5の床2は、二重床構造を有している。二重床構造の床2は、コンクリートスラブ4と、複数の支持脚(図示せず)によってコンクリートスラブ4の上方に配置された床パネル9とを有する。複数の支持脚はコンクリートスラブ4の上面に鉛直に配置され、それらの上に床パネル9が敷設される。これにより、床パネル9とコンクリートスラブ4との間に床下空間10が画定される。床パネル9は例えばフローリングであってよい。床パネル9は、支持脚の上に直接敷設されてもよく、支持脚の上に敷設された遮音マットなどの下地パネルの上に敷設されてもよい。
【0026】
建物1は、床パネル9によって外壁3の内側に屋内空間を形成すると共に、外壁3から外側に張り出す張出床からなるベランダ11によって外壁3の外側に屋外空間を形成している。外壁3には開口が形成され、開口を塞ぐように窓12が設けられている。本実施形態の窓12は、開閉可能な複数の窓パネルによって掃き出し窓として構成されている。窓12は、ベランダ11と建物1の室内との通路をなす。窓12は、全ての窓パネルが開閉し得るように構成されていてもよく、一部の窓パネルが固定窓をなすように構成されていてもよい。ベランダ11及び窓12は、直射日光が当たる建物1の南側に設けられている。他の実施形態では、ベランダ11及び窓12が建物1の南以外の方角に設けられてもよい。
【0027】
建物1には、住戸5の居住空間を仕切るための間仕切り壁13が設けられている。住戸5の居住空間は、ドアを有する間仕切り壁13によって、窓12が設けられた部屋14と、洗面台15が設けられた洗面室16とに区画されている。洗面室16に窓12は設けられていない。したがって、洗面室16の入り口ドアを閉じると自然光6が洗面室16に届かなくなる。間仕切り壁13は、例えば天井17から床2に鉛直方向に延びる複数のスタッドと、スタッドの両面に取り付けられた板材18とによって形成されている。これにより、間仕切り壁13の内部には空間19が形成される。
【0028】
住戸5には、光ダクト装置20が設けられている。光ダクト装置20は、自然光6を採光するための採光部21と、採光部21により採光された光を所定の位置へ導光する導光部22と、導光部22によって導光された光を室内に放光するための放光部23とを有する。光ダクト装置20は全体が建物1の屋内に位置するように設けられている。また、光ダクト装置20は1つの住戸5に設けられている。具体的には、採光部21と導光部22と放光部23とは、同じ住戸5に設けられている。
【0029】
採光部21は、床面に設けられ、自然光6を通過させるための板状の透光部24と、透光部24の下方に配置され且つ透光部24を通過した自然光6を集光するための箱状の集光部25とを有する。透光部24は、マジックミラーであって、床パネル9に形成された床開口部26を塞ぐように配置されている。床開口部26は、窓12の近傍且つ直射日光が当たるエリアに配置されている。床開口部26は、窓12に接するように配置されてもよい。すなわち、床開口部26は、床パネル9の切欠きによって床パネル9と窓12又は外壁3との間に隙間として形成されてもよい。床開口部26の幅は、図2に示すように、窓12の幅と略同等に形成されている。したがって、透光部24の幅及び集光部25の幅も窓12の幅と略同等に形成されている。透光部24は、床パネル9との段差をなくすように配置されるとよい。これによって、透光部24は床2の一部をなす。
【0030】
集光部25は、透光部24の下方、すなわち床下空間10に配置されている。集光部25の上部は開口しており、集光部25の開口を塞ぐように透光部24が集光部25に取り付けられている。集光部25の内面には反射面が設けられている。反射面は、鏡面仕上げされた又は仕上げ処理されていない集光部25の内面によって形成されていてもよく、アルミ製又はステンレス板等の反射材を取り付けて形成されてもよい。
【0031】
集光部25は、窓12に沿って配置された第1側壁27と、第1側壁27の窓12と相反する側に第1側壁27に対向して配置される第2側壁28と、第1側壁27及び第2側壁28の端部同士を連結する第3側壁29及び第4側壁30と、底壁31とを有する。第1側壁27は窓12又は外壁3(図1)に接するように配置されてもよく、窓12又は外壁3(図1)から離間するように配置されてもよい。第3側壁29及び第4側壁30の幅は第1側壁27及び第2側壁28の幅よりも短い。図3に併せて示すように、第2側壁28には、導光部22と連結するための連結口32が設けられている。本実施形態では、連結口32は第2側壁28の幅方向の中央に設けられている。他の実施形態では、連結口32が第2側壁28の幅方向の一方に偏倚した位置に設けられてもよい。
【0032】
第1側壁27は直線状をしており窓12に平行に配置されている。第2側壁28は平面視で第1側壁27の反対側に膨出するように湾曲している。他の実施形態では、第1側壁27が第2側壁28の反対側に膨出するように湾曲していてもよい。図4に示すように、第1側壁27の高さは第2側壁28の高さよりも低く、第1側壁27の下端は第2側壁28の下端よりも上方に位置している。底壁31は、断面視で下方に膨出するように湾曲している。
【0033】
図1に示すように、導光部22はダクトからなり、水平ダクト部33と鉛直ダクト部34と上部水平ダクト部35とを有し、断面矩形状に形成されている。水平ダクト部33の内面、鉛直ダクト部34の内面及び上部水平ダクト部35の内面には反射面が設けられている。反射面は、鏡面仕上げされた又は仕上げ処理されていないダクトの内面によって形成されていてもよく、アルミ製又はステンレス板等の反射材をダクトの内面に取り付けて形成されてもよい。図2に示すように、水平ダクト部33の一端部37は、先端に向かうにつれて断面開口の幅を広くした逆テーパ状に形成され、集光部25の第2側壁28の連結口32に連結している。図1に戻り、水平ダクト部33は、水平方向に延びるように床下空間10に配置されている。鉛直ダクト部34は水平ダクト部33の他端部38の上部から鉛直に上方へ延びるように間仕切り壁13内の空間19に配置されている。上部水平ダクト部35は、鉛直ダクト部34の上端部39の側部から水平に洗面室16側に延びるように間仕切り壁13内の空間19に配置されている。水平ダクト部33の他端部38の内部には、洗面室16側に上方に傾斜した反射部46が設けられるとよい。また、鉛直ダクト部34の上端部39の内部にも反射部46が設けられるとよく、この反射部46は部屋14側に下方に傾斜して配置されるとよい。導光部22は、円筒状に形成されてあってもよい。
【0034】
上部水平ダクト部35の端部40には放光部23が設けられる。放光部23は透明又は半透明の樹脂材料又はガラス材料などによって板状に形成されるとよい。放光部23は間仕切り壁13の洗面室側の板材18に設けられた壁開口部36に配置されている。放光部23は、間仕切り壁13との段差をなくすように配置されるとよい。放光部23の室内側にはシャッターやブラインド等、放光量を調節できる機能部品が設けられてもよい。
【0035】
なお、他の実施形態では、間仕切り壁13には複数の壁開口部36が設けられてもよい。複数の壁開口部36は、互いに異なる高さに配置されるとよい。複数の壁開口部36のうち、一部が部屋14側の間仕切り壁13に設けられてもよい。この場合、鉛直ダクト部34には水平に洗面室16側に延びる複数の上部水平ダクト部35が設けられるとよい。各上部水平ダクト部35の端部40には放光部23が設けられ、対応する壁開口部36に配置される。
【0036】
以上のように構成された光ダクト装置20において、まず自然光6は、窓12を通過して室内に入射する。室内に入射した自然光6は、透光部24を通過して集光部25に入射する。集光部25に入射した自然光6は、図3及び図4に示すように、集光部25の内面に設けられた反射面によって反射を繰り返し、連結口32に集光される。図1に戻り、連結口32を通過した自然光6は、水平ダクト部33の一端部37を通過し、水平ダクト部33内面に設けられた反射面によって反射を繰り返し、水平ダクト部33の他端部38に導光される。水平ダクト部33の他端部38まで導光された自然光6は、鉛直ダクト部34の内面に設けられた反射面によって反射を繰り返し、鉛直ダクト部34の上端部39へ導光される。鉛直ダクト部34の上端部39まで導光された自然光6は、上部水平ダクト部35の内面に設けられた反射面によって反射を繰り返し、上部水平ダクト部35の端部40に導光される。上部水平ダクト部35の端部40まで導光された自然光6は、放光部23を通過して室内に放光される。
【0037】
なお、他の実施形態では、導光部22は光ファイバーを束ねて構成されてもよい。導光部22の一端面を連結口32に向けることによって、自然光6は光ファイバーの内部に入射する。光ファイバーの内部に入射した自然光6は、全反射を繰り返し、住戸5の洗面室16側に導光される。導光部22の他端面を放光部23に向けることによって、導光された自然光6は放光部23を通過して洗面室16内に放光される。
【0038】
図1に示すように、採光部21と導光部22と放光部23とは、同じ住戸5に設けられている。これによって、自然光6は住戸5の床下から上方へ導光される。したがって光ダクト装置20は、他の住戸5に影響を与えずに住戸単位にて設置される。
【0039】
採光部21の設置は、床パネル9に床開口部26を設けることによって可能になる。床パネル9への採光部21の設置は、外壁3を貫通するように設ける場合に比べて容易に行える。よって、建物1の建設中だけでなく、建設後においても、光ダクト装置20の設置が容易である。また、導光部22は、予め設けられている床下空間10及び間仕切り壁13内の空間19に配置されるため、居住空間を狭めることなく、光ダクト装置20を設置することができる。
【0040】
放光部23は、間仕切り壁13に設けられた壁開口部36に配置される。よって、壁開口部36の位置に応じて、放光部23の目的に自由度が増す。例えば、間仕切り壁13の上部に設けた壁開口部36に放光部23を配置することによって、放光部23はブラケット照明の代用として使用できる。一方、間仕切り壁13の下部に設けた壁開口部36に放光部23を配置することによって、放光部23は足元灯として使用される。
【0041】
図2に示すように、集光部25は、上部に開口を有する箱状に形成されている。また集光部25の開口を塞ぐように透光部24が集光部25に取り付けられている。これらによって、集光部25から床下空間10への光漏れが抑制される。
【0042】
透光部24の幅及び集光部25の幅は、窓12の幅と略同等に形成されている。これによって採光部21は、より多くの自然光6を取り入れることができる。
【0043】
図3に示すように、第2側壁28は平面視で第1側壁27の反対側に膨出するように湾曲している。これによって、第2側壁28に入射した自然光6は平面視において、第1側壁27の幅方向の中央側に傾斜して反射される。自然光6は第1側壁27と第2側壁28との入射及び反射を繰り返すことによって、連結口32に集光される。図4に示すように、底壁31は断面視で下方に膨出するように湾曲している。これによって、底壁31に入射した自然光6は連結口32、第2側壁28又は透光部24に向けて反射される。底壁31に入射した自然光6の内、第2側壁28に向かって反射する自然光6は、先述と同様に、平面視において、第1側壁27の幅方向の中央側に傾斜して反射され、連結口32に導光される。透光部24はマジックミラーであるため、屋外から採光した自然光6は、透光部24を通過して集光部25に入射する一方、集光部25内の自然光6は透光部24の通過を抑制され、再び集光部25に反射される。
【0044】
≪第2実施形態≫
次に、図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一又は同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図5に示すように、第2実施形態では、光ダクト装置20の放光部23は天井パネル41に形成された天井開口部43に配置されている。導光部22はダクトからなり、水平ダクト部33と鉛直ダクト部34と上部水平ダクト部35と上部鉛直ダクト部44とを有する。採光部21及び水平ダクト部33は、第1実施形態と同様の位置に配置されている。鉛直ダクト部34は水平ダクト部33の他端部38の上部から天井裏42まで間仕切り壁13内の空間19を通過して、鉛直方向に延びるように配置されている。上部水平ダクト部35は、鉛直ダクト部34の上端部39の側部から水平に洗面室16側に延びるように天井裏42に配置されている。上部鉛直ダクト部44は、上部水平ダクト部35の端部40の下部から鉛直に下方に延びるように天井裏42に配置されている。上部鉛直ダクト部44の下端部45には放光部23が設けられる。上部水平ダクト部35の端部40の内部には、洗面室16側に下方に傾斜した反射部46が設けられるとよい。
【0046】
なお、他の実施形態では天井パネル41には、複数の天井開口部43が設けられてもよい。複数の天井開口部43のうち、一部が部屋14側の天井パネル41に設けられてもよい。この場合、上部水平ダクト部35には鉛直に下方に延びる複数の上部鉛直ダクト部44が設けられるとよい。各上部鉛直ダクト部44の下端部45には放光部23が設けられ、対応する壁開口部36に配置される。
【0047】
このように放光部23を天井17に設けた光ダクト装置20を設置する場合には、導光部22は予め設けられた天井裏42に上部水平ダクト部35及び上部鉛直ダクト部44を配置される。したがって居住空間を狭めることなく、光ダクト装置20を設置することができる。
【0048】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、本発明に係る光ダクト装置20は集合住宅用の建物1の住戸5に適用されているが、建物1はオフィスビルであってもよい。第1実施形態及び第2実施形態は互いに組み合わされてもよい。すなわち、壁開口部36と天井開口部43とを有する建物1に光ダクト装置20が設置され、間仕切り壁13及び天井17の両方に放光部23が配置されてもよい。また、床開口部26の幅及び採光部21の幅は、ダクトからなる導光部22の開口端の幅と略同等でもよい。この場合、採光部21は水平ダクト部33の一端部37に取り付けられてもよく、水平ダクト部33の一端部37の開口によって採光部21が構成されてもよい。採光部21が水平ダクト部33の開口によって構成される場合、採光部21は水平ダクト部33の一端部37を塞ぐために板状の透光部24を含むとよい。更に、間仕切り壁13又は戸境壁8から洗面室16側又は部屋14側に張り出したふかし壁が設けられ、ふかし壁の内部に鉛直ダクト部34が配置されてもよい。この他、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更することができる。また、上記実施形態に示した各構成要素は全てが必須ではなく、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 :建物
2 :床
3 :外壁
6 :自然光
12 :窓
13 :間仕切り壁
17 :天井
20 :光ダクト装置
21 :採光部
22 :導光部
23 :放光部
24 :透光部
25 :集光部
27 :第1側壁
28 :第2側壁
31 :底壁
33 :水平ダクト部
34 :鉛直ダクト部
35 :上部水平ダクト部
39 :鉛直ダクト部の上端部
40 :上部水平ダクト部の端部
42 :天井裏
図1
図2
図3
図4
図5