(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】フォトレジスト下層組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022145484
(22)【出願日】2022-09-13
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イウシェン、コー
(72)【発明者】
【氏名】アントン、チャベス
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-053401(JP,A)
【文献】特開2013-041156(JP,A)
【文献】国際公開第2018/052130(WO,A1)
【文献】特開2018-173521(JP,A)
【文献】特開2017-187764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;
2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;
式(5)の化合物、式(6)の化合物、又はこれらの組み合わせを含む添加剤と;
溶剤と;
を含有するフォトレジスト下層組成物:
【化1】
(式(5)及び(6)において、
AAは単結合又は二重結合を表し;
Xは、単結合、-C(O)-、無置換C
1アルキレン、又はヒドロキシ置換C
1アルキレンであり;
Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して、C
6~60アリール又はC
1~60ヘテロアリールであり;
Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して、式-OR
2の少なくとも2つの基で置換されており;
任意選択的に、Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して更に置換されており;
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、-C(O)OR
5a、又はグリシジルであり;
各R
Aは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;
各R
5aは、独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
R
3は、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR
5bであり;
R
5bは、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
aは2~4の整数であり;
mは1~6の整数であり;
nは0又は1であり;
pは0~2の整数であり;
Y
2は水素、置換若しくは無置換C
6~60アリール、又は置換若しくは無置換C
1~60ヘテロアリールである)。
【請求項2】
前記添加剤が式(5a)で表される化合物を含む、請求項1に記載のフォトレジスト下層組成物:
【化2】
(式(5a)において、
AAは単結合又は二重結合を表し;
Xは、単結合、-C(O)-、無置換C
1アルキレン、又はヒドロキシ置換C
1アルキレンであり;
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、-C(O)OR
5a、又はグリシジルであり;
各R
Aは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;
各R
Bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;
各R
5aは、独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
aは2~4の整数であり;
bは2~5の整数であり;
nは0又は1であり;
pは0~2の整数であり;
qは0~3の整数であり;
Y
2は、水素、置換若しくは無置換C
6~60アリール、又は置換若しくは無置換C
1~60ヘテロアリールである)。
【請求項3】
前記添加剤が式(6a)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載のフォトレジスト下層組成物:
【化3】
(式(6a)において、
各R
2は、独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、-C(O)R
5a、又はグリシジルであり;
各R
Aは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;
各R
Bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;
各R
5aは、独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
R
3は、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR
5bであり;
R
5bは、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
cは2~5の整数であり;
dは2~5の整数であり;
pは0~2の整数であり;
qは0~3の整数である)。
【請求項4】
式(7)、(8)、又はこれらの組み合わせのモノマー由来の繰り返し単位を含む第3のポリマーを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物:
【化4】
(式(7)及び(8)において、
各R
aは、独立して、水素、フッ素、置換若しくは無置換C
1~5アルキル、又は置換若しくは無置換C
1~5フルオロアルキルであり;
Aは、単結合であるか、置換若しくは無置換C
1~2アルキレンであり;
各R
kは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、チオール、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり、R
kは、-O-、-C(O)-、-NR
7a-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)
2-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、R
7aは、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
5~30アルキルヘテロアリールであり;
nは0~3の整数であり;
L
2は二価の連結基であり;
R
10~R
15は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~20アルケニル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
4~20ヘテロアリールであり;
任意選択的に、R
10~R
12のうちの任意の2つ以上が一緒に環を形成しており;
任意選択的に、R
13~R
15のうちの任意の2つ以上が一緒に環を形成している)。
【請求項5】
式(9)、式(10)、又はこれらの組み合わせの化合物を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物:
【化5】
(式(9)及び(10)において、
R
16~R
18、及びR
21~R
23は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C
1~20アルキル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~20アルケニル、置換若しくは無置換C
3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C
3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C
6~20アリール、又は置換若しくは無置換C
4~20ヘテロアリールであり;
R
16~R
18のうちの任意の2つ以上が任意選択的に一緒に環を形成していてもよく、R
21~R
23のうちの任意の2つ以上が任意選択的に一緒に環を形成していてもよく;
R
19及びR
20は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
A
2は、単結合又は置換若しくは無置換C
1~2アルキレンであり;
各R
1は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;
R
lは、-O-、-C(O)-、-NR
10a-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)
2-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、R
10aは、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
5~30アルキルヘテロアリールであり;
pは、0~11の整数である)。
【請求項6】
前記添加剤が以下の化合物のうちの1つ以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物:
【化6】
【請求項7】
前記第1の材料が第1のポリマーを含み、前記第1のポリマーが2つ以上のヒドロキシ基を含み;
前記第2の材料が第2のポリマーであり、前記第2のポリマーが2つ以上のグリシジル基を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物。
【請求項8】
基板上に配置された請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物の層と;
前記フォトレジスト下層組成物の前記層の上に配置されたフォトレジスト層と;
を含むコーティングされた基板。
【請求項9】
パターン形成方法であって、
請求項1~7のいずれか一項に記載のフォトレジスト下層組成物の層を基板上に塗布して、コーティングされた下層を形成すること;
前記コーティングされた下層上にフォトレジスト層を形成すること;
前記フォトレジスト層をパターニングすること;並びに
前記パターニングされたフォトレジスト層から、前記コーティングされた下層及び前記コーティングされた下層の下の層にパターンを転写すること;
を含む方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層を形成する前に、前記コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成すること;及び
露光されたフォトレジスト層を現像した後、且つ前記コーティングされた下層にパターンを転写する工程の前に、前記ケイ素含有層、前記有機反射防止コーティング層、又は前記これらの組み合わせに前記パターンを転写すること;
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイスを製造する分野に関し、より具体的には、半導体製造において使用するための材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト下層組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとして半導体産業で使用されている。これらの組成物は、有機物又はケイ素を含む反射防止コーティングとパターン化可能なフォトレジスト膜の層とが高炭素含有率の最下層の上に配置される、3層及び4層フォトレジストの集積化スキームでよく使用されている。
【0003】
スピンオンカーボン(SOC)組成物は、集積回路製造用の最新のテクノロジーノードにおけるリソグラフィー用のエッチングマスクとしての、半導体産業におけるレジスト下層膜として使用されている。これらの組成物は、有機物又はケイ素を含む反射防止膜とパターン形成可能なフォトレジスト膜の層とが高炭素含有率SOC材料を有する最下層の上に配置される3層及び4層フォトレジストの集積化スキームでよく使用されている。
【0004】
理想的なSOC材料は、特定の具体的な特徴を有する必要がある:スピンコーティングプロセスによって基板上にキャストできる必要があり、低いガス放出及び昇華で加熱すると熱硬化する必要があり、良好なスピンボウルの適合性のために一般的な溶剤に溶解する必要があり、フォトレジスト画像化に必要な低い反射率を付与するための反射防止コーティング層と組み合わせて機能する適切なn/kを有する必要があり、また後の処理工程中に損傷を回避するように高い熱安定性を有する必要がある。加えて、例えば、過酸化水素/水酸化アンモニウム浴を使用するSC-1として知られる標準的な洗浄プロセス中に、浸漬した際の層間剥離を回避するために、下層膜が基板に十分に接着されることが望ましい。
【0005】
したがって、下にある基板への接着を改善することができ、良好な耐剥離性及びSC-1洗浄条件に対する耐性を有する新規なフォトレジスト下層材料が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第3,474,054号明細書
【文献】米国特許第4,200,729号明細書
【文献】米国特許第4.251,665号明細書
【文献】米国特許第5,187,019号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】T.W.Green et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley-Interscience,New York,1999
【文献】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【0008】
2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;式(5)の化合物、式(6)の化合物、又はこれらの組み合わせを含む添加剤と;溶剤と;を含有するフォトレジスト下層組成物が提供される
【化1】
(式(5)及び式(6)において、AAは単結合又は二重結合を表し;Xは、単結合、-C(O)-、無置換C
1アルキレン、又はヒドロキシ置換C
1アルキレンであり;Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して、C
6~60アリール又はC
1~60ヘテロアリールであり;Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して式-OR
2の少なくとも2つの基で置換されており;任意選択的には、Ar
5、Ar
6、及びAr
7は、それぞれ独立して更に置換されており;R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、-C(O)OR
5a、又はグリシジルであり;各R
Aは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;各R
5aは、独立して、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;R
3は、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR
5bであり;R
5bは、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;aは2~4の整数であり;mは1~6の整数であり;nは0又は1であり;pは0~2の整数であり;Y
2は水素、置換若しくは無置換C
6~60アリール、又は置換若しくは無置換C
1~60ヘテロアリールである)。
【0009】
また、基板上に配置された上記フォトレジスト下層組成物の層と、フォトレジスト下層組成物の層の上に配置されたフォトレジスト層と、を含むコーティングされた基板も提供される。
【0010】
別の態様は、基板上に上記フォトレジスト下層組成物の層を塗布してコーティングされた下層を形成すること;コーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成すること;フォトレジスト層をパターニングすること;並びにパターニングされたフォトレジスト層からコーティングされた下層及びコーティングされた下層の下の層にパターンを転写すること;を含むパターンを形成する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態がこれから詳細に言及され、それらの例が本記載で例示される。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって、以下に記載されるにすぎない。本明細書で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の全ての組み合わせを包含する。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行する場合、要素の全リストを修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択的に」は、その後に記載される事象又は状況が起こり得るか又は起こり得ないこと、及びその記載は、事象が起こる場合及び事象が起こらない場合を含むことを意味する。用語「第1」、「第2」等は、本明細書では、順番、量、又は重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別の要素から区別するために用いられる。要素が別の要素「上」にあると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がそれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限、及び/又は特徴は、様々な態様では任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0013】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるものなどの、用語は、関連技術分野及び本開示との関連でそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0014】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」は、示される場合に1つ又はそれ以上の置換基で任意選択的に置換された、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つの水素原子とを有する有機化合物を意味し;「アルキル基」は、明記された数の炭素原子を有し、且つ1の価数を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を意味し;「アルキレン基」は、2の価数を有するアルキル基を意味し;「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を意味し;「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を意味し;「カルボン酸基」は、式「-C(O)-OH」を有する基を意味し;「シクロアルキル基」は、全ての環構成原子が炭素である1つ又はそれ以上の飽和環を有する一価基を意味し;「シクロアルキレン基」は、2の価数を有するシクロアルキル基を意味し;「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を意味し;「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を意味し;「アルケニレン基」は、少なくとも2の価数を有するアルケニル基を意味し;「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を意味し;「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価炭化水素基を意味し;「芳香族基」という用語は、文献で、特にIUPAC19で定義される芳香族性の従来の概念を意味し、環に炭素原子を含み、環の炭素原子の代わりにN、O、及びSから独立して選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み得る単環式又は多環式芳香環系を意味し;「アリール基」は、芳香環の中に炭素原子のみが含まれる一価の芳香族単環式又は多環式基を意味し、これは少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含んでいてよく;「アリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するアリール基を意味し;「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味し;「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されているアルキル基を意味し;「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を意味し;「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を意味する。
【0015】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つの環構成原子(例えば、1、2、3、又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、この場合、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si、又はPから選択され、「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し、「ヘテロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1~4のヘテロ原子を有するアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1つ以上のN、O、又はS原子を有するシクロアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し、「ヘテロアリール基」は、炭素原子の代わりに、環構成原子として1つ以上のN、O、又はS原子を有する1~3の別個の又は縮合した環を有するアリール基を指し、「ヘテロアリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0016】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基の1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)、又はフルオロ基のみが存在していてもよい。
【0017】
記号「*」は、繰り返し単位の結合部位(すなわち、連結点)を表す。
【0018】
「置換された」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(すなわちO)である場合、炭素原子上の2個の水素が置き換えられている。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基としては、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(O)、アミノ(-NH2)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属塩若しくはアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(O)O-アルキル又は-OC(O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(O)O-アリール又は-OC(O)-アリール)、アミド-(C(O)NR2(式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、カルボキサミド(-CH2C(O)NR2(式中、Rは水素又はC1~6アルキルである)、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、それぞれの環は、置換又は無置換芳香族)を有するC6~12アリール、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するC7~19アリールアルキル、1~3個の分離した環又は縮合環と6~18個の環炭素原子とを有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(O)2-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(O)2-アリール)、又はトシル(CH3C6H4SO2-)が挙げられるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CH2CH2CNは、シアノ基で置換されたC2アルキル基である。
【0019】
本明細書において使用される「ポリマー」及び「ポリマー状の」という用語は、1種以上の繰り返し単位を含むポリマー系材料を指し、繰り返し単位は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。したがって、本発明の開示されるポリマー及びポリマー系材料は、本明細書では「ポリマー」又は「コポリマー」と言うことができる。「ポリマー」及び「ポリマー状」という用語は、オリゴマーを更に含むことが更に理解されるべきである。本明細書において、それぞれの1種以上の異なる繰り返し単位は、ポリマー系材料中に少なくとも2回存在する。言い換えると、1種の繰り返し単位を含むポリマー系材料は、2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位を含み、例えば、2種の繰り返し単位を含むポリマー系材料は、2つ以上の量で存在する第1の繰り返し単位と、2つ以上の量で存在する第2の繰り返し単位とを含む。
【0020】
本明細書において、別途定義されない限り「二価連結基」は、-O-、-S-、-Te-、-Se-、-C(O)-、-N(Ra)-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(S)-、-C(Te)-、-C(Se)-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む二価の基を指し、Raは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。より典型的には、二価の連結基は、-O-、-S-、-C(O)-、-N(R’)-、-S(O)-、-S(O)2-、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキレン、又はこれらの組み合わせを含み、R’は、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールである。
【0021】
様々なパターン転写及びエッチングプロセスの間に下にある基板を保護するために、有機下層膜を使用することができる。多くの場合、これらの膜は、無機基板(すなわちTiN)上に直接キャストされ硬化される。これらの場合、下層膜は、膜がない場合に損傷を与える条件から基板を保護するために、後続の全ての処理工程中に基板に十分に接着することが望ましい。1つの一般的に使用される処理工程は、SC-1として知られるウェットエッチングプロセスであり、これは基板を過酸化水素/水酸化アンモニウム浴の中に浸漬することを含む。基板に十分に接着されていない下層膜は、それらが浸漬されている間に層間剥離し、下にある無機基板を露出させて損傷を生じさせる可能性がある。
【0022】
本発明は、基板上にコーティング層を形成するために適用され得るフォトレジスト下層配合物のための添加剤を提供する。本発明者らは、離れた芳香族基上に分布する複数のフェノール性ヒドロキシ基を有する添加剤を含むEUV下層及び/又はBARC配合物を、フェノール密度を高めるために使用できることを見出した。本発明の添加剤は、基板への改善された接着性を得るために、及び得られる膜の機械的特性を向上させるために、フォトレジスト下層組成物において使用することができる。本発明の添加剤の複数のフェノール性ヒドロキシ基は、特に膜と基板を過酸化水素/水酸化アンモニウム(SC-1)浴に沈めたときに、下層膜の基板への接着性を高める。
【0023】
本発明の一態様によれば、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料と;2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料と;後述の式(5)の化合物、後述の式(6)の化合物、又はそれらの組み合わせを含む添加剤と;溶剤とを含むフォトレジスト下層組成物が提供される。
【0024】
第1の材料は2つ以上のヒドロキシ基を含み、これはポリマーであっても、又はポリマーでなくてもよい。いくつかの態様では、第1の材料は、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマー、例えば1つ以上のヒドロキシ基を含む繰り返し単位、又は1~4個のヒドロキシを含む繰り返し単位、好ましくは1~3個のヒドロキシ基を含む繰り返し単位、より典型的には1個又は2個のヒドロキシ基を含む繰り返し単位を有するポリマーであってよい。いくつかの態様では、ポリマーは、1つ以上のヒドロキシ基を含む第1の繰り返し単位と、1つ以上のヒドロキシ基を含む第2の繰り返し単位とを有していてもよく、ここでの第1の繰り返し単位と第2の繰り返し単位は異なる。
【0025】
例えば、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーである第1の材料は、重合性基と1つ以上のヒドロキシ基とを含むモノマーから誘導され得る。一実施形態では、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーは、式(1)のモノマーに由来する繰り返し単位を含み得る:
【化2】
(式中、R
aは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、又は置換若しくは無置換C
1~10フルオロアルキルであってよい)。好ましくは、R
aは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C
1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0026】
Q1は二価の連結基であり、典型的には、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の二価C3~30ヘテロアリールアルキル、-C(O)-O-、-又は-C(O)-NR1aのうちの1つ以上から選択され、R1aは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである。
【0027】
Aは、1つ以上のヒドロキシ基で置換されたC6~30アリール基又は1つ以上のヒドロキシ基で置換されたC4~60ヘテロアリール基である。任意選択的には、ヒドロキシ置換C6~30アリール基及びヒドロキシ置換C4~60ヘテロアリール基のそれぞれは、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリールアルキル、C3~30アルキルヘテロアリール、-OR1a
、又は-NR1bR1cのうちの1つ以上で更に置換されていてもよく、R1a~R1cは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。
【0028】
式(1)のモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化3】
【0029】
2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーの繰り返し単位を形成するための別の例示的なモノマーとしては、式(2)のN-ヒドロキシアリールマレイミドモノマーが挙げられる:
【化4】
(式中、Ar
1は、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
2~30アルキニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
3~30ヘテロアリールアルキル、C
3~30アルキルヘテロアリール、-OR
2a、又は-NR
2bR
2cのうちの1つ以上で任意選択的に更に置換されていてもよいヒドロキシ置換C
6~60アリール基、ヒドロキシ置換C
4~60ヘテロアリール基、又はその組み合わせであり、ここで、R
2a~R
2cは、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
5~30アルキルヘテロアリールである)。Ar
1が単一のヒドロキシル基を含むか、又は複数のヒドロキシル基を含むことが望ましい場合がある。
【0030】
式(2)のN-ヒドロキシアリールマレイミドモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:
【化5】
【0031】
いくつかの態様では、ポリマーは、ポリマー骨格に組み込まれる芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む繰り返し単位を含み得る。例えば、ポリマーは、式(3a)、(3b)、又はそれらの組み合わせの繰り返し単位を含み得る。
【化6】
【0032】
式(3a)及び(3b)において、Ar2及びAr3は、それぞれ独立して、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された置換若しくは無置換C5~60芳香族基又は少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された置換若しくは無置換C1~60ヘテロ芳香族基である。例えば、芳香族基又はヘテロ芳香族基は、典型的には、1~3個のヒドロキシ基又は1個若しくは2個のヒドロキシ基を含む。無置換C5~60芳香族基及び無置換 C1~60ヘテロ芳香族基との関係における「少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された」という用語は、対応する芳香族基又はヘテロ芳香族基が少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されており、ヒドロキシではない追加の基又は置換基で更に置換されていないことを意味する。
【0033】
C5~60芳香族基及びC1~60ヘテロ芳香族基は、任意選択的には、N、O、又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を更に含み得る。C5~60芳香族基及びC1~60ヘテロ芳香族基の任意選択的な1つ以上のヘテロ原子は、ヘテロ原子含有置換基の1つ以上のヘテロ原子として存在することが理解されるべきである。式(3a)及び(3b)中のC1~60ヘテロ芳香族基のヘテロ原子は、炭素原子の代わりに芳香族環の構成原子として存在することが理解されるべきである(例えば、Ar2及び/又はAr3は、ヘテロアリーレン基であってよい)。
【0034】
C5~60芳香族基及びC1~60ヘテロ芳香族基は、単環式であっても、又は多環式であってもよい。基が多環式である場合、環又は環基は縮合(ナフチルなど)、直接結合(ビアリール、ビフェニルなど)、ヘテロ原子によって架橋(トリフェニルアミノ又はジフェニレンエーテルなど)されていてもよく、或いはこれらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、多環式芳香族基は、縮合環と直接結合している環(ビナフチルなど)との組み合わせを含み得る。
【0035】
少なくとも1つのヒドロキシ基に加えて、及び本明細書で上述したように、式(3a)及び(3b)の置換C5~60芳香族基及び置換C1~60ヘテロ芳香族基は更に置換されている。例示的な置換基としては、限定するものではないが、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ハロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキル、ハロゲン、-OR31、-SR32、又は-NR33R34が挙げられ、これらの中のR31は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり;R32~R34は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30へテロアリールアルキルである。
【0036】
式(3b)において、Ar4は、置換若しくは無置換C5~60芳香族基又は置換若しくは無置換C1~60ヘテロ芳香族基である。C5~60芳香族基及びC1~60ヘテロ芳香族基は、N、O、又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に更に含んでいてもよい。C5~60芳香族基及びC1~60ヘテロ芳香族基の1つ以上の任意選択的なヘテロ原子はヘテロ原子含有置換基の1つ以上のヘテロ原子として存在することが理解されるべきである。式(3b)中のC1~60ヘテロ芳香族基のヘテロ原子は、炭素原子の代わりに芳香族環構成原子として存在することが理解されるべきである(例えばAr4はヘテロアリーレン基であってよい)。
【0037】
式(3a)及び(3b)において、Rb、Rc、Rd、及びReは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C2~30アルキニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C3~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリールアルキルである。好ましくは、Rb、Rc、Rd、及びReは、それぞれ独立して水素であるか、又は置換若しくは無置換C1~10アルキルであり、典型的には水素である。
【0038】
式(3a)の例示的な繰り返し単位は、以下のうちの1つ以上を含み得る:
【化7】
【0039】
式(3b)の例示的な繰り返し単位は、以下のうちの1つ以上を含み得る:
【化8】
【0040】
2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマーは、ポリマー中の総繰り返し単位を基準として2~100モル%、典型的には10~100モル%、より典型的には50~100モル%の量の、1つ以上のヒドロキシ基を含む繰り返し単位を含み得る。
【0041】
別の態様では、2つ以上のヒドロキシ基を含む第1の材料は、ポリマーでなくてよい。2つ以上のヒドロキシ基を含む例示的な非ポリマー系材料としては、限定するものではないが、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、2,2-ビス[4,4-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-シクロヘキシル]プロパン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
コーティング組成物の第1の材料は、通常、コーティング組成物の総固形分の5~95重量パーセント(重量%)の量で、より典型的にはコーティング組成物の総固形分の25~75重量%の量で存在し得る。本明細書で用いる場合、コーティング組成物の「総固形分」は、溶剤担体を除いたコーティング組成物の全材料及び成分を意味する。
【0043】
コーティング組成物は、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料を更に含む。第2の材料は、非ポリマー系材料であっても、又はポリマー系材料であってもよい。一実施形態では、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料は、2つ以上のグリシジル基を含む非ポリマー系化合物であっても、又は2つ以上のグリシジル基を含むポリマーであってもよい。
【0044】
特に適切な第2の材料は、式(4)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマーであってよい:
【化9】
(式中、R
aは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、又は置換若しくは無置換C
1~10フルオロアルキルである)。好ましくは、R
aは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C
1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0045】
式(4)において、L1は二価の連結基であり、典型的には、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-N(R4a)-、-S-、又は-S(O)2-から選択することができる。R4aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルであってよい。Y1は、置換若しくは無置換C1~30アルキル、又は置換若しくは無置換C6~30アリールから選択することができ、Y1は、少なくとも1つのエポキシ基を含む。いくつかの実施形態では、L1及びY1は、任意選択的には、一緒になってペンダント又は縮合エポキシ基を含む炭素脂環式環を形成することができる。
【0046】
式(4)の例示的なモノマーとしては以下のものが挙げられる:
【化10】
(式中、R
aは、式(4)で定義したものと同じである)。
【0047】
ポリマーである例示的な第2の材料は、以下の式から選択される1つ以上の繰り返し単位を有し得る:
【化11】
【化12】
(式中、各nは、独立して、1~6の整数である)。
【0048】
いくつかの態様では、2つ以上のグリシジル基を含む第2の材料は、非ポリマー系材料又は化合物であってもよい。例示的な第2の非ポリマー系材料としてはグリシジル含有化合物が挙げられ、これは、1,1,2,2-テトラ(p-ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルト-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン)、又はこれらの組み合わせから選択することができる。
【0049】
フォトレジスト下層組成物の第2の材料は、通常、フォトレジスト下層組成物の総固形分の5~99重量%の量で、より典型的にはフォトレジスト下層組成物の総固形分の25~75重量%の量で存在し得る。
【0050】
好ましくは、第1の材料及び/又は第2の材料がポリマーである場合、それぞれのポリマーは、1モルあたり1,000~10,000,000グラム(g/モル)、より典型的には2,000~10,000g/モルの重量平均分子量(Mw)、及び500~1,000,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有し得る。分子量(Mw又はMn)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって適切に決定される。
【0051】
フォトレジスト下層組成物は、式(5)の化合物、式(6)の化合物、又はこれらの組み合わせを含む添加剤を含む:
【化13】
(式中、AAは単結合又は二重結合である)。
【0052】
式(5)において、Xは、単結合、-C(O)-、無置換C1アルキレン、又はヒドロキシ置換C1アルキレンである。「ヒドロキシ置換C1アルキレン」は、ヒドロキシ以外の基で更に置換されていないことが理解されるべきである。例えば、Xは、-C(O)-又は無置換C1アルキレンであってよい。
【0053】
式(5)及び(6)において、Ar5、Ar6、及びAr7 は、それぞれ独立して、C6~60アリール又はC1~60ヘテロアリールであり、Ar5、Ar6、及びAr7のそれぞれは、式-OR2の少なくとも2つの基で独立して置換されている。いくつかの態様では、Ar5、Ar6、及びAr7
のそれぞれは、独立して、式-OR2とは異なる基で更に置換されていてもよい。
【0054】
式(5)及び(6)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、-C(O)OR5a、又はグリシジルであり、R5aは、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである。典型的には、R1及びR2は水素であってよい。aは2~4、典型的には2又は3の整数である。mは1~6、典型的には1~3の整数である。nは0又は1である。
【0055】
式(5)において、各RAは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールである。典型的には、各RAは、無置換C1~6アルキルである。pは0~2、典型的には0又は1の整数である。
【0056】
式(6)において、R3は、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロシクロアルキル、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR5bであり、R5bは、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである。典型的には、R3は、水素、カルボン酸基若しくはその誘導体、又は-C(O)OR5bであってよく、好ましくはカルボン酸基又はその誘導体であってよい。本明細書において、「カルボン酸又はその誘導体」は、カルボン酸(-COOH)又は式-COO-M+のカルボン酸誘導体を指し、M+はカチオン性の有機又は無機の基、例えばアルキルアンモニウムカチオンである。
【0057】
式(5)において、Y2は、水素、置換若しくは無置換C6~60アリール、又は置換若しくは無置換C1~60ヘテロアリールである。nが0である場合、酸素原子は、基Y2に直接結合して-O-Y2で表される部分構造を形成することが理解されるべきである。いくつかの態様では、nは0であり、Y2は水素である。別の態様では、nは1であり、Y2は、置換若しくは無置換C6~60アリール、好ましくは2つ以上のヒドロキシ基、例えば2、3、又は4個のヒドロキシ基、典型的には2~3個のヒドロキシ基で置換されたC6~60アリールであり、C6~60アリール基は、任意選択的には、ヒドロキシではない1つ以上の置換基で更に置換されていてもよい。
【0058】
いくつかの態様では、式(5)の添加剤は、式(5a)で表される化合物であってよい:
【化14】
【0059】
式(5a)において、AA、X、R1、R2、Y2、a、及びnは式(5)について定義したものと同じであり;各RAは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;各RBは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;bは2~5、好ましくは2~4の整数であり;pは0~2、典型的には0又は1の整数であり;qは0~3、典型的には0又は1の整数である。
【0060】
例えば、化合物は式(5b)で表される:
【化15】
(式中、AA、X、R
A、R
B、R
1、R
2、Y
2、a、b、及びnは式(5a)について定義したものと同じである)。
【0061】
いくつかの態様では、式(5)、(5a)、及び/又は(5b)の添加剤は、式(5c)、式(5d)、又はこれらの組み合わせから選択される化合物によって表すことができる:
【化16】
(式中、R
6は、水素、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;各R
bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリール、又は式-OR
1の基であり;R
7は、水素、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;各R
bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリール、又は式-OR
2の基であり;R
1及びR
2は式(5a)について定義したものと同じである)。
【0062】
いくつかの態様では、式(5)の添加剤は、式(5e)で表される化合物によって表すことができる:
【化17】
(式中、a及びbは、それぞれ独立して、2~4、典型的には2又は3の整数である)。
【0063】
いくつかの態様では、式(5)の添加剤は、式(5e)、式(5f)、又はこれらの組み合わせの化合物によって表すことができる:
【化18】
(式中、R
6は水素又は式-OR
1の基であり;R
7は水素又は式-OR
2の基であり;R
8は、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、-C(O)OR
5d、又はグリシジルであり、R
5dは、水素、置換若しくは無置換C
1~30アルキル、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~30アルケニル、置換若しくは無置換C
6~30アリール、置換若しくは無置換C
7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C
7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C
1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C
2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C
2~30アルキルヘテロアリールであり;R
1及びR
2は式(5)について定義したものと同じである)。
【0064】
好ましくは、式(5)の添加剤は式(5g)の化合物によって表すことができる:
【化19】
(式中、a、b、及びcは、それぞれ独立して、2~4、典型的には2又は3の整数である)。
【0065】
式(5)の例示的な添加剤は、以下から選択される1種以上の化合物を含み得る:
【化20】
【0066】
いくつかの態様では、式(6)の添加剤は式(6a)で表される化合物であってよい。
【化21】
【0067】
式(6a)において、R2及びR3は、式(6)について定義した通りであり;各R2は、独立して、R2基と互いに同じであるか、又は異なり;各RAは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;各RBは、独立して、置換若しくは無置換C1~10アルキル、置換若しくは無置換C1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~12アリール、又は置換若しくは無置換C1~10ヘテロアリールであり;c及びdは、それぞれ独立して、2~5の整数、典型的には2~4の整数であり;pは0~2、典型的には0又は1の整数であり;qは0~3、典型的には0又は1の整数である。
【0068】
例えば、式(6)の添加剤は、式(6b)で表される化合物であってよい:
【化22】
(式中、R
2、R
3、c、及びdは、式(6a)で定義した通りである)。
【0069】
いくつかの態様では、式(6)、(6a)、及び/又は(6b)の添加剤は、式(6c)、式(6d)、又はこれらの組み合わせから選択される化合物で表すことができる:
【化23】
(式中、R
8は、水素、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;各R
bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリール、又は式-OR
2の基であり;R
9は、水素、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、又は置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリールであり;各R
bは、独立して、置換若しくは無置換C
1~10アルキル、置換若しくは無置換C
1~10 ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C
3~10シクロアルキル、置換若しくは無置換C
2~10ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C
6~12アリール、置換若しくは無置換C
1~10ヘテロアリール、又は式-OR
2の基であり;各R
2は、独立して、式(6)について定義したものと同じである)。
【0070】
いくつかの態様では、式(6)の添加剤は、式(6e)の化合物によって表すことができる:
【化24】
(式中、R
3は、式(6)及び(6b)で定義したものと同じであり、c及びdは、それぞれ独立して、2~5、典型的には2~4の整数である)。
【0071】
式(6)の例示的な添加剤は、以下から選択される1つ以上の化合物を含み得る:
【化25】
【0072】
添加剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として、0.1~20重量%、典型的には1~20重量%又は5~20重量%の量でフォトレジスト下層組成物に含まれ得る。
【0073】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は、その構造の一部として保護されたアミノ基を含むポリマー系又は非ポリマー系の材料を更に含み得る。保護されたアミノ基は、一級又は二級アミノ部位に由来することができる。熱、酸、又はそれらの組み合わせによって除去可能(切断可能)であることを条件として、様々なアミン保護基が本発明での使用に適している。好ましくは、アミン保護基は、75~350℃、より好ましくは100~300℃、更に好ましくは100~250℃の温度などで熱的に開裂可能である。
【0074】
適切なアミン保護基としては、9-フルオレニルメチルカルバメート、t-ブチルカルバメート、及びベンジルカルバメートなどのカルバメート;アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、及びp-トルエンスルホンアミドなどのアミド;ベンジルアミン;トリフェニルメチルアミン(トリチルアミン);及びベンジリデンアミンを挙げることができる。そのようなアミン保護基、それらの形成、及びそれらの除去は、当該技術分野で周知である。例えば、(非特許文献1)を参照のこと。
【0075】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は、その構造の一部として保護されたアミノ基を含むポリマーを含み得る。例えば、材料は、式(7)のモノマー由来の繰り返し単位、式(8)のモノマー由来の繰り返し単位、又はこれらの組み合わせを含むポリマーであってよい。
【化26】
【0076】
式(7)及び(8)において、Raは、水素、フッ素、シアノ、置換若しくは無置換C1~10アルキル、又は置換若しくは無置換C1~10フルオロアルキルであってよい。好ましくは、Raは、水素、フッ素、又は置換若しくは無置換C1~5アルキルであり、典型的にはメチルである。
【0077】
式(7)において、A1は、単結合であるか、又は置換若しくは無置換C1~2アルキレン、典型的にはメチレンである。
【0078】
式(7)において、R10~R12は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールである)。任意選択的には、R10~R12のいずれか2つが一緒に環を形成していてもよい。
【0079】
式(7)において、各Rkは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであってよく、Rkは、-O-、-C(O)-、-NR7a-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)2-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、R7aは、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールであり、nは0~3、典型的には0、1、又は2の整数である。
【0080】
式(8)において、L2は二価の連結基であり、例えば、置換若しくは無置換C1~30アルキレン、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキレン、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキレン、置換若しくは無置換C6~30アリーレン、置換若しくは無置換の二価C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリーレン、又は置換若しくは無置換の二価C2~30ヘテロアリールアルキル、-O-、-C(O)-、-NR8a-、-S-、又は-S(O)2-のうちの1つ以上から選択することができ、R8aは、水素、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、又は置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキルである。
【0081】
式(8)において、R13~R15は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールである。任意選択的には、R13~R15のうちのいずれか2つ以上は一緒に環を形成していてもよい。
【0082】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は、保護されたアミノ基を含む非ポリマー系材料を含み得る。例えば、非ポリマー系材料は、式(9)の化合物、式(10)の化合物、又はこれらの組み合わせである:
【化27】
【0083】
式(9)及び(10)において、R16~R18、及びR21~R23は、それぞれ独立して、置換若しくは無置換C1~20アルキル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルキル、置換若しくは無置換C3~0ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~20アルケニル、置換若しくは無置換C3~20シクロアルケニル、置換若しくは無置換C3~20ヘテロシクロアルケニル、置換若しくは無置換C6~20アリール、又は置換若しくは無置換C4~20ヘテロアリールであってよい。任意選択的に、R16~R18のうちの任意の2つ以上は、一緒に環を形成し得る。任意選択的に、R21~R23のうちの任意の2つ以上は、一緒に環を形成し得る。
【0084】
式(9)において、R19及びR20は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールである)。
【0085】
式(10)において、A2は、単結合であるか、置換若しくは無置換C1~2アルキレン、典型的にはメチレンである。各R1は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボン酸、チオール、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C2~30アルケニル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C1~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C2~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C2~30アルキルヘテロアリールであり、R1は、-O-、-C(O)-、-NR10a-、-S-、-S(O)-、又は-S(O)2-のうちの1つ以上を任意選択的に更に含み、R10aは、置換若しくは無置換C1~30アルキル、置換若しくは無置換C3~30シクロアルキル、置換若しくは無置換C1~20ヘテロシクロアルキル、置換若しくは無置換C6~30アリール、置換若しくは無置換C7~30アリールアルキル、置換若しくは無置換C7~30アルキルアリール、置換若しくは無置換C4~30ヘテロアリール、置換若しくは無置換C5~30ヘテロアリールアルキル、又は置換若しくは無置換C5~30アルキルヘテロアリールである。pは0~11の整数であってよい。典型的には、pは0、1、2、又は3であってよい。
【0086】
式(7)における-C(R
10)(R
11)(R
12)で表される構造、式(8)の-C(R
13)(R
14)(R
15)で表される構造、式(9)の-C(R
16)(R
17)(R
18)で表される構造、及び式(10)の-C(R
21)(R
22)(R
23)で表される構造の例示的な基は、以下のものを含み得る:
【化28】
(式中、Phはフェニルである)。
【0087】
本明細書に記載のポリマーには、2つ以上のヒドロキシ基を含むポリマー(例えば第1のポリマー)、2つ以上のグリシジル基を含むポリマー(例えば第2のポリマー)、及び式(7)のモノマーから誘導される繰り返し単位及び/又は式(8)のモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマー(例えば第3及び/又は第4のポリマー)が含まれ、それぞれ独立して、上述した繰り返し単位とは異なる1種以上の追加の繰り返し単位を任意選択的に含んでいてもよいことが理解されるべきである。追加の繰り返し構造単位には、例えば、エッチ速度及び溶解性などの、フォトレジスト下層組成物の特性を調整する目的のための1つ以上の追加の単位が含まれ得る。例示的な更なる単位は、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルケトン及びビニルエステルの1つ以上を含み得る。ポリマー中に存在する場合、1種以上の追加の繰り返し単位は、典型的には、それぞれのポリマーの繰り返し単位の合計を基準として、最大99モル%、典型的には3~80モル%の量で使用される。
【0088】
本発明の好適なポリマーは、当業者によって容易に理解される、本出願の実施例に記載される手順に基づいて及び手順から類推して容易に調製することができる。例えば、本明細書で記載される繰り返し単位に対応する1種以上のモノマーが、適切な溶剤及び開始剤を使用して、組み合わせられるか又は別々に供給され、反応器中で重合させられ得る。モノマー組成物は、溶剤、重合開始剤、硬化触媒(すなわち、酸触媒)等などの、添加剤を更に含み得る。例えば、ポリマーは、有効な温度での加熱、有効な波長での活性化放射線での照射、又はそれらの組み合わせなどの、任意の好適な条件下でのそれぞれのモノマーの重合によって得られ得る。
【0089】
フォトレジスト下層組成物は、上で記載されたポリマーに加えて1種以上のポリマー(「追加のポリマー」)を更に含み得る。例えば、フォトレジスト下層組成物は、上で記載されたような、しかし組成が異なる追加のポリマーを更に含んでいてもよい。追加的に、或いは代わりに、1種以上の追加のポリマーは、当該技術分野で周知のもの、例えば、ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリノルボルネン、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリフェノール、ノボラック、スチレンポリマー、ポリビニルアルコール、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0090】
本発明のポリマーは、1モル当たり1,000~10,000,000グラム(g/モル)、より典型的には2,000~10,000g/モルの重量平均分子量(Mw)、及び500~1,000,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有することができる。分子量(Mw又はMn)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって適切に決定される。
【0091】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は、例えばフォトレジスト下層組成物が表面に塗布された後に、フォトレジスト下層組成物の硬化を助けるために、1種以上の硬化剤を更に含み得る。硬化剤は、基板の表面のフォトレジスト下層組成物の硬化を引き起こす任意の成分である。
【0092】
光酸発生剤(PAG)化合物及び/又は熱酸発生剤(TAG)化合物などの酸発生剤化合物をフォトレジスト下層組成物中に含めることが有益である場合がある。好ましい硬化剤は、熱酸発生剤(TAG)である。
【0093】
適切なPAGは、化学的に増幅されたフォトレジストの分野で知られており、例えば、以下を含む:オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン。そのようなPAGの1つ以上を使用することができる。
【0094】
TAG化合物は、熱にさらされると酸を放出する任意の化合物である。例示的な熱酸発生剤には、アミンブロック化強酸、例えば、アミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることもまた当業者によって十分理解されるであろう。
【0095】
適切なTAG化合物には、例えば、2-ニトロベンジルトシレート、2,4-ジニトロベンジルトシレート、2,6-ジニトロベンジルトシレート、4-ニトロベンジルトシレートなどのニトロベンジルトシレート;2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-クロロベンゼンスルホネート、2-トリフルオロメチル-6-ニトロベンジル4-ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート;フェニル,4-メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノールスルホネートエステル;10-カンファースルホン酸、トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの、有機酸のアルキルアンモニウム塩;及び特定のオニウム塩が含まれ得る。(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)及び(特許文献4)に開示されているものなどの、様々な芳香族(アントラセン、ナフタレン、又はベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして用いることができる。TAGの例としては、NACURE、CDX、及びK-PUREの名称で、例えば、NACURE 5225、CDX-2168E、K-PURE2678及びKPURE2700としてKing Industries,Norwalk,Conn.USAによって販売されているものが挙げられる。そのようなTAGの1つ以上を使用することができる。
【0096】
本組成物において有用なそのような硬化剤の量は、例えば、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0~10重量%超、典型的には0~3重量%超であってよい。
【0097】
いくつかの態様では、フォトレジスト下層組成物は光酸発生剤を含まない。したがって、これらの実施形態では、フォトレジスト下層組成物は、PAG化合物及び/又はポリマーPAGを実質的に含まなくてもよく、例えば、PAG化合物又はポリマーPAGを含まなくてもよい。
【0098】
フォトレジスト下層組成物は、1種以上の架橋剤、例えば非エポキシ架橋剤を含む架橋剤を更に含み得る。そのような架橋剤が、フォトレジスト下層組成物中の官能基と反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部位を有することを条件として、任意の適切な架橋剤を本コーティング組成物で更に使用することができる。例示的な架橋剤としては、ノボラック樹脂、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテン、ベンゾオキサジン等を挙げることができ、典型的には、メチロール、C
1~
10アルコキシメチル、及びC
2~
10アシルオキシメチルから選択される2個以上、より典型的には3個以上の置換基を有する前述したもののいずれかを挙げることができる。適切な架橋剤の例としては以下に示すものが挙げられる:
【化29】
【0099】
追加的な架橋剤は当該技術分野において周知であり、様々な供給元から市販されている。本コーティング組成物において有用なそのような追加的な架橋剤の量は、例えば、コーティング組成物の総固形分を基準として0重量%より多く30重量%まで、好ましくは0重量%より多く10重量%までの範囲であってよい。
【0100】
フォトレジスト下層組成物は、例えば、界面活性剤、酸化防止剤など、又はそれらの組み合わせを含む1種以上の任意選択的な添加剤を含み得る。存在する場合、各任意選択的な添加剤は、フォトレジスト下層組成物の総固形分を基準として0.01~10重量%などの少量で、フォトレジスト下層組成物で使用され得る。
【0101】
典型的な界面活性剤としては、両親媒性性質を示すものが挙げられる。これは、それらが同時に親水性及び疎水性の両方であってもよいことを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に対して強い親和性を有する、親水性の頭部基と、親有機性で水をはじく、長い疎水性の尾部とを有する。好適な界面活性剤は、イオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)又は非イオン性であってもよい。界面活性剤のさらなる例としては、シリコン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、及びフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン界面活性剤としては、TRITON X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート並びにTERGITOL TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Mich.USA)などの分岐状第二級アルコールエトキシレートが挙げられるが、それらに限定されない。なおも更なる例示的な界面活性剤としては、アルコール(第一級及び第二級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-co-プロピレングリコール)、又はGlen Rock,N.J.のManufacturers Confectioners Publishing Co.によって出版された(非特許文献2)に開示されている他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤もまた好適であり得る。そのような界面活性剤は、Allentown,Pa.のAir Products and Chemicals,Inc.から商業的に入手可能であり、SURFYNOL及びDYNOLの商品名で販売されている。追加の好適な界面活性剤としては、トリブロックEO-PO-EOコポリマーPLURONIC 25R2、L121、L123、L31、L81、L101、及びP123(BASF,Inc.)などの他の高分子化合物が挙げられる。
【0102】
酸化防止剤は、フォトレジスト下層組成物中の有機材料の酸化を防ぐか又は最小限にするために添加することができる。好適な酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機酸誘導体からなる酸化防止剤、硫黄含有酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、アミン-アルデヒド縮合物からなる酸化防止剤及びアミン-ケトン縮合物からなる酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤の例としては、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ブチル.ヒドロキシアニソール、2-(1-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4,6-ジノニルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル.アニリノ)2,4-ビス.オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル.フェニル)プロピオネート、オクチル化フェノール、アラルキル置換フェノール、アルキル化p-クレゾール及びヒンダードフェノールなどの置換フェノール;4,4’-ビスフェノール、4,4’-メチレン-ビス(ジメチル-4,6-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、メチレン架橋多価アルキルフェノール、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル.ジフェニルメタン、アルキル化ビスフェノール、ヒンダードビスフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、及びテトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのビス-、トリス-及びポリ-フェノールが挙げられる。好適な酸化防止剤は、商業的に入手可能であり、例えば、IrganoxTM酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。
【0103】
フォトレジスト下層組成物は溶剤を含む。溶剤成分は、単一溶剤であってもよく、或いは2種以上の別個の溶剤の混合物を含んでいてもよい。好適には、複数の溶剤のそれぞれは、互いに混和性であり得る。適切な溶剤としては、例えば、1種以上のオキシイソ酪酸エステル、特にメチル-2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、及び乳酸エチル;1種以上のグリコールエーテル、特に2-メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテル部位とヒドロキシ部位の両方を有する1種以上の溶剤、特にメトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノール;1種以上のアルキルエステル、特にメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、並びに1種以上の二塩基性エステルなどの他の溶剤;並びに/又は1種以上のプロピレンカーボネート及びガンマブチロラクトンなどの他の溶剤が挙げられる。
【0104】
フォトレジスト下層組成物の望まれる総固形分は、所望の最終層厚さなどの因子に依存するであろう。典型的には、フォトレジスト下層組成物の総固形分は、コーティング組成物の総重量を基準として、0.1~20重量%、例えば0.1~10重量%、より典型的には、0.11~5重量%であってよい。
【0105】
フォトレジスト下層組成物は、公知の手順に従って作製することができる。例えば、フォトレジスト下層組成物は、第1の材料と、第2の材料と、添加剤と、溶剤と、任意の任意選択的な成分とを任意の順序で混ぜ合わせることによって調製することができる。フォトレジスト下層組成物は、そのままで使用することができ、或いは基板上にコートする前に精製又は希釈を行うこともできる。精製は、例えば、遠心分離、濾過、蒸留、デカンテーション、蒸発、イオン交換ビーズでの処理等の1つ以上を含み得る。
【0106】
本発明のパターン形成方法は、基板上にフォトレジスト下層組成物の層を塗布すること;塗布されたフォトレジスト下層組成物を硬化させて、コーティングされた下層を形成すること;及びコーティングされた下層の上にフォトレジスト層を形成すること;を含む。この方法は、フォトレジスト層を活性化放射にパターン状に露光する工程;及び露光されたフォトレジスト層を現像してレジストレリーフ像を得る工程;を更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することを更に含み得る。いくつかの態様では、方法は、露光されたフォトレジスト層を現像した後、且つコーティングされた下層にパターンを転写する工程の前に、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はこれらの組み合わせにパターンを転写する工程を更に含み得る。
【0107】
多種多様の基板がパターン形成方法において使用され得、電子デバイス基板が典型的である。適切な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板、フラットパネルディスプレー基板、集積回路基板、有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板、半導体ウェハー、多結晶シリコン基板等が挙げられる。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。そのような基板は、任意の好適なサイズであってもよい。典型的なウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を任意選択で含み得る1つ以上の半導体層又は構造物を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上にバッチ製造されたか又は製造されつつある半導体基板を意味する。
【0108】
基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅、及び金の1つ又はそれ以上から構成される。基板は、1つ又はそれ以上の層及びパターン化形体を含み得る。層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの態様では、基板は窒化チタンを含む。層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)又はエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング又は蒸発などの物理蒸着(PVD)、或いは電気めっきなどによって形成することができる。
【0109】
本発明のある種のパターン形成方法においては、ハードマスク層、例えば、スピン-オン-カーボン(SOC)、無定形炭素、若しくは金属ハードマスク層、窒化ケイ素(SiN)層、酸化ケイ素(SiO)層、若しくはオキシ窒化ケイ素(SiON)層などのCVD層、有機若しくは無機BARC層、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のリソグラフィー層を、本発明のフォトレジスト下層を形成する前に基板の上層上に提供することが望ましくあり得る。そのような層は、本発明のフォトレジスト下層組成物の層及びフォトレジスト層と一緒に、リソグラフィー材料スタックを形成する。本発明のパターン形成方法において使用され得る典型的なリソグラフィースタックとしては、例えば、下記:SOC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiON層/下層/フォトレジスト層;SOC層/SiARC層/下層/フォトレジスト層;SOC層/金属ハードマスク層/下層/フォトレジスト層;無定形炭素層/下層/フォトレジスト層;及び無定形炭素層/SiON層/下層/フォトレジスト層が挙げられる。
【0110】
本明細書で使用される「フォトレジスト下層」は、基板とフォトレジスト層との間に(すなわち「基板の上に」)配置される1つ以上の層を指すことが理解される。したがって、本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、フォトレジスト下層として単独で使用することができ、或いは本発明のコーティングされた下層(すなわちフォトレジスト下層組成物の層)は、本明細書に記載のものなどの他の下層と組み合わせて使用することができる。
【0111】
フォトレジスト下層組成物は、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレーディング、カーテンコーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング等などの、任意の好適な手段によって基板上にコートされ得る。半導体ウェハーの場合には、スピンコーティングが好ましい。典型的なスピンコーティング方法において、本組成物は、基板上に縮合ポリマーの所望の層を得るために15~90秒の期間500~4000回転毎分(rpm)の速度で回転している基板に塗布される。コートされる層の厚さが、スピン速度、並びに組成物の固形分を変えることによって調整され得ることは、当業者によって十分理解するであろう。フォトレジスト下層組成物から形成される下層は、典型的には、1~50ナノメートル(nm)、より典型的には1~10nmの乾燥層厚さを有する。
【0112】
コーティングされたフォトレジスト下層組成物は、あらゆる溶剤及び他の比較的揮発性の成分を除去するために、比較的低い温度で任意選択的にソフトベークされる。典型的には、基板は、150℃以下、好ましくは60~125℃、より好ましくは90~115℃の温度でベークされる。ベーキング時間は、典型的には、10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは6~90秒である。基板がウェハーである場合、そのようなベーキング工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。そのようなソフトベーキング工程は、コーティング層の硬化の一環として行われ得るか、又は全く省略され得る。
【0113】
フォトレジスト下層組成物は、次いで、コーティングされた下層を形成するために硬化させられる。コーティング組成物は、コーティングされた下層膜が、下層上に形成される別の下層構成要素又はフォトレジスト層と混ざらないように、或いは最小限しか混ざらないように十分に硬化させる必要がある。コーティング組成物は、空気などの酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの不活性雰囲気中で、且つ硬化したコーティング層を得るのに十分な、加熱などの条件下で硬化することができる。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化が、同等の結果を得るために用いられ得る。典型的には、硬化は、150℃以上、好ましくは150~450℃の温度で行われ得る。硬化温度は180℃以上、更により好ましくは200℃以上、更に一層好ましくは200~400℃であることがより好ましい。硬化時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~2分、更により好ましくは45~90秒である。任意選択で、傾斜又は多段階硬化プロセスが用いられ得る。傾斜ベークは、典型的には、比較的低い(例えば、周囲)温度で始まり、温度は、より高い標的温度まで一定の又は変動する傾斜速度で上げられる。多段階硬化プロセスは、2つ以上の温度平坦域、典型的には、より低いベーク温度での第1段階及びより高い温度での1つ以上の追加の段階での硬化を含む。このような傾斜又は多段階硬化プロセスのための条件は、当業者に公知であり、先行のソフトベークプロセスの省略を可能にし得る。
【0114】
塗布されたフォトレジスト下層組成物の硬化後に、フォトレジスト層がコーティングされた下層上に形成される。上述したように、他の介在する層は、コーティングされた下層とオーバーコートされたフォトレジスト層との間に設けられ得る。いくつかの態様では、方法は、フォトレジスト層を形成する前に、コーティングされた下層の上にケイ素含有層、有機反射防止コーティング層、又はそれらの組み合わせを形成することを更に含み得る。
【0115】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジティブトーン材料である。使用される具体的なフォトレジストは、使用される露光波長に依存し、通常、酸感受性マトリックスポリマーと、光酸発生剤などの光活性成分と、溶剤と、任意選択の追加の成分とを含む。好適なフォトレジストは、当業者に公知であり、市販の、例えば、DuPont Electronics & Imaging製のUVTM及びEPICTM製品系統の様々なフォトレジスト材料である。フォトレジストは、下層組成物に関連して上に記載されたような公知のコーティング技術によって基板に塗布することができ、スピンコーティングが典型的である。フォトレジスト層についての典型的な厚さは、10~300nmである。フォトレジスト層は、典型的には次に、層中の溶剤含有量を最小限にするためにソフトベークされ、それによって不粘着性コーティングを形成し、基板への層の接着性を改善する。ソフトベークは、ホットプレート上で又はオーブン中で行うことができ、ホットプレートが典型的である。典型的なソフトベークは、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。
【0116】
フォトレジスト層は、次に、露光領域と非露光領域との間で溶解性の差を生じさせるためにフォトマスクを通して活性化放射線に露光される。組成物のために活性化する放射線にフォトレジスト組成物を露光することへの本明細書での言及は、放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成できることを示す。フォトマスクは、活性化放射線によって、それぞれ、露光される及び露光されないレジスト層の領域に対応する光学的に透過性領域及び光学的に不透過性領域を有する。露光波長は、典型的には、400nm未満、より典型的には、248nm(KrF)、193nm(ArF)、又はEUV波長(例えば13.5nm)などの、300nm未満である。好ましい態様において、露光波長は193nm又はEUV波長である。露光エネルギーは、例えば露光ツール及び感光性組成物の成分に応じて、典型的には、1平方センチメートル当たり10~100ミリジュール(mJ/cm2)である。
【0117】
フォトレジスト層の露光後に、後露光ベーク(PEB)が典型的には行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上又はオーブン中で行うことができる。PEBは、典型的には、70~150℃の温度、及び30~90秒の時間で行われる。それにより、極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域及び非露光領域に対応する)との間の境界によって規定される潜像が形成される。フォトレジスト層は、次に、層の露光領域を除去するために現像され、パターン形成されたフォトレジスト層を形成する非露光領域を残す。現像液は、典型的には、水性のアルカリ性現像液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液、典型的には0.26規定(N)(2.38重量%)のTMAH溶液などの水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液である。現像液は、公知の技術、例えば、スピンコーティング又はパドルコーティングによって塗布され得る。
【0118】
フォトレジスト層のパターンは、エッチングされる各層にとって適切なガス種を使用するプラズマエッチングによるなどの適切なエッチング技術によって、コーティングされた下層を含む1つ以上の下層に、及び基板に転写することができる。層の数及び関係している材料に応じて、パターン転写は、異なるエッチングガスを使用する複数のエッチング工程を含み得る。リソグラフィースタック中のパターン形成されたフォトレジスト層、コーティングされた下層、及び他の任意選択の層は、従来技術を用いて基板へのパターン転写後に除去され得る。任意選択的に、スタックの層の1つ以上は、下層へのパターン転写後に及び基板へのパターン転写前に除去され得るか、又はパターン転写中に及び基板へのパターン転写前に消費され得る。例えば、ケイ素含有層、有機反射防止コーティング層などのうちの1つ以上へのパターン転写は、露光されたフォトレジスト層が現像された後、且つコーティングされた下層へのパターン転写の前に行われ得る。基板は、次いで、電子デバイスを形成するために公知の方法に従って更に処理される。
【0119】
基板上の本発明のフォトレジスト下層組成物の層と、フォトレジスト下層組成物の層上に配置されたフォトレジスト層とを含むコーティングされた基板も提供される。本明細書で用いる場合、用語「硬化した層」は、組成物が基板上に配置され、その後コーティング層又は膜を形成するために硬化させられた後のフォトレジスト下層組成物から誘導された層を言う。言い換えれば、フォトレジスト下層組成物の硬化は、フォトレジスト下層組成物から誘導された硬化した層を形成する。
【0120】
更に別の態様は、本発明のフォトレジスト下層組成物から得られるコーティングされた下層を含む層状物品を提供する。一実施形態では、層状物品は、基板と、基板上に配置されたコーティングされた下層と、コーティングされた下層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み得る。
【0121】
本発明のフォトレジスト下層組成物から作製されたコーティングされた下層を含むフォトレジスト下層は、優れたフォトスピード及び改善されたパターン崩壊を示す。本発明の好ましいフォトレジスト下層組成物は、結果として、様々な半導体製造プロセスにおいて有用な場合がある。
【0122】
本発明のコンセプトは、非限定的であることを意図する、以下の実施例によって更に例示される。本明細書で使用される化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて、市販されている。
【実施例】
【0123】
実施例で使用した化合物及びポリマーの構造を以下に示す:
【化30】
【0124】
下層組成物
表1は、示されている量の成分を混合することによって調製した実施例1~17及び比較例1~3のコーティング組成物を示す。括弧内の量は、材料1と、材料2と、添加剤化合物と、熱塩基発生剤(TBG)化合物と、溶剤とを含むコーティング組成物の総重量を基準とした重量パーセントである。
【0125】
【0126】
表1では以下の略語を使用した:PHS=ポリ(ヒドロキシスチレン)(Mw(GPC)=4,299g/mol、Waco chemical);CN=カテコールノボラック(Mw(GPC)=2,290g/mol);GMA=ポリ(グリシジルメタクリレート)(Mw(GPC)=3,922g/mol);DGA=4,4’-メチレンビス(N,N-ジグリシジルアニリン);PGMEA=プロピレングリコールメチルエーテルアセテート;PGME=プロピレングリコールメチルエーテル。
【0127】
耐溶剤剥離性の評価
表1のそれぞれの組成物を0.2μmのポリテトラフルオロエチレンシリンジフィルターを通して濾過し、ACT-8 Clean Track(Tokyo Electron Co.)でそれぞれ200mmのベアシリコンウェハー上に1500rpmでスピンコートし、次いで215℃で60秒間硬化して、硬化したコーティング層を膜として形成した。初期の膜厚は、Therma-Wave OptiProbeTM計測ツールを使用して測定した。耐溶剤剥離性は、PGMEAリムーバーをそれぞれの膜に90秒間塗布した後、105℃で60秒間剥離後ベークすることによって決定した。それぞれの膜の厚さを再度測定し、PGMEAリムーバーの塗布によって失われた膜厚の量を決定した。表2は、PGMEAリムーバーとの接触前後の膜厚測定の結果を示しており、結果は、PGMEAリムーバーと接触した後にウェハー上に残っている膜厚のパーセント割合(%膜残存)として表されている。PGMEAリムーバーで処理した後に残っている膜の量は、硬化したコーティング層の架橋の程度の指標であった。
【0128】
【0129】
ウェット剥離評価
表1のそれぞれの組成物を0.2μmのポリテトラフルオロエチレンシリンジフィルターを通して濾過し、ACT-8 Clean Track(Tokyo Electron Co.)を使用してそれぞれのウェハー(原子層堆積法を使用して製造した厚さ9nmのTiN膜でコーティングされたシリコンウェハー)上に1500rpmでスピンコートし、215℃で60秒間ベークした。Therma-wave Co.のOptiProbeTM装置を使用して、各コーティングされた膜のベーク後の膜厚(約900Å)を測定した。次いで、コーティングしたサンプルを、1:1:5のw/w/w比の30%のNH4OH/30%のH2O2/水の混合物を使用して、SC-1ウェット剥離性について評価した。その後、SC-1混合物を50℃まで加熱した。コーティングされた各ウェハーのクーポンを剥離溶液に2、5、及び8分間浸漬した。指定の時間後にクーポンをSC-1混合物から取り出し、脱イオン水ですすぎ洗いした。サンプルの膜品質は、表3の浸漬時間(2、5、及び8分)に基づいて示され、視覚検査を使用して以下で説明する通りにサンプルを評価した。
【0130】
【0131】
表3での評価のために、以下の略語を使用した:A:初期状態の膜、B:部分的な膜の劣化、C:完全に層間剥離した膜。各サンプルは、肉眼による目視検査を使用して評価した。
【0132】
表3から分かるように、それぞれの添加剤化合物を含む実施例1~17のサンプルは、添加剤なしで比較例から作製されたサンプルと比較して、SC-1浴中で遅い時間に剥離し始めた。実施例1、3、4、8~11、13、16、及び17のサンプルは、SC-1浴中で2、5、及び8分後に初期状態であった。実施例5及び6のサンプルは、SC-1浴中で5分後に部分的な膜剥離のみを示すが、比較例1のサンプルは、SC-1浴中で5分後に完全に剥離した。更に、実施例12、14、及び15は、SC-1浴中で2分後に初期状態であるが、比較例3は、SC-1浴中で2分後に部分的に剥離している。
【0133】
ポストSC-1下層パターンプロファイル評価
実施例1及び比較例1のサンプルをそれぞれのウェハー(原子層堆積法を用いて製造した厚さ9nmのTiN膜でコーティングしたシリコンウェハー)上に1500rpmでスピンコーティングし、次いで215℃で60秒間硬化し、900Åの厚さの膜を形成した。コーティングされた各ウェハーのクーポンを、O2で25秒間エッチングした。エッチバックプロセスの後、クーポンを1:1:5のw/w/w比の30%のNH4OH/30%のH2O2/水の混合物に浸漬した。次いでSC-1混合物を50℃に5分間加熱した。O2エッチング後とSC-1処理後の両方で、各サンプルのXSEM画像を得た。結果を表4に示す。この中で、膜形状は、自立又は崩壊として記載されている。
【0134】
【0135】
表4の結果に示されているように、実施例1のサンプルは、O2エッチング後及びSC-1処理後に膜形状を維持した。対照的に、比較例1のサンプルは、O2エッチング後に膜形状を維持しただけであったが、SC-1処理後に膜形状が崩壊した。結果は、本発明のフォトレジスト下層組成物が、SC-1処理の損傷効果に対して改善された回復力を提供できることを示している。
【0136】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等な取り決めを包含することを意図することが理解されるべきである。