(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】粉末組成物、薬剤の苦味マスキング用組合せ食品、及び薬剤の苦味マスキング方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240314BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240314BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240314BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240314BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240314BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240314BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240314BHJP
A61K 31/167 20060101ALN20240314BHJP
A61K 31/4164 20060101ALN20240314BHJP
A61K 31/573 20060101ALN20240314BHJP
A61K 31/635 20060101ALN20240314BHJP
A61P 7/10 20060101ALN20240314BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20240314BHJP
A61P 31/04 20060101ALN20240314BHJP
【FI】
A23L5/00 D
A23L5/00 G
A23L5/00 H
A23L27/00 Z
A61K9/12
A61K9/14
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/26
A61K31/167
A61K31/4164
A61K31/573
A61K31/635
A61P7/10
A61P29/00
A61P31/04
(21)【出願番号】P 2022148830
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2023-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510136312
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立成育医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍矢
(72)【発明者】
【氏名】深谷 京子
(72)【発明者】
【氏名】小林 正志
(72)【発明者】
【氏名】山谷 明正
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 順平
(72)【発明者】
【氏名】笠原 沙耶香
(72)【発明者】
【氏名】小村 誠
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-104912(JP,A)
【文献】特開2000-325028(JP,A)
【文献】特開昭63-169950(JP,A)
【文献】服薬拒否小児のコンプライアンス向上のための市販菓子用即時型ゲル基剤の臨床応用,病院薬学,1998年,Vol.24, No.5,p.479-483
【文献】ねるねるねるねソーダ味 10個入 BOX(食玩・知育),Amazon[online],2010年,[令和5年8月8日検索],インターネット<URL:https://amzn.asia/d/h9jy08b>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水混合して泡沫状食品にするための粉末組成物であって、
前記泡沫状食品が、薬剤を包み込み服用するためのものであり、
前記粉末組成物は、下記(A)~(D)の成分を含有
し、
(A)糖質
(B)酸成分
(C)炭酸成分
(D)泡沫安定化剤
前記(D)泡沫安定化剤として、卵白、大豆タンパク質、キラヤサポニン、およびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの少なくとも何れかを含有する
ことを特徴とする粉末組成物。
【請求項2】
さらに、下記(E)の成分を含有する請求項1に記載の粉末組成物。
(E)マスキング成分
【請求項3】
前記泡沫状食品の比重が0.83g/cc以下である請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項4】
前記(A)糖質は、粉末状の甘味料であり、
前記(A)糖質は、前記粉末組成物の全体重量中85.0重量%以上の割合で含まれている、
請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の粉末組成物と、
(X)逆さ鏡餅形状の2段凹部を有する容器と
を備える薬剤の苦味マスキング用組合せ食品。
【請求項6】
糖質、酸成分、炭酸成分、及び泡沫安定化剤を含有する粉末組成物に加水混合して泡沫状食品を調製し、得られた前記泡沫状食品に薬剤を混合することを特徴とする薬剤の苦味マスキング方法であって、
前記泡沫安定化剤として、卵白、大豆タンパク質、キラヤサポニン、およびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの少なくとも何れかを含有する
薬剤の苦味マスキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキング効果を発揮し、水系溶媒への分散性に優れた泡沫状食品とすることのできる粉末組成物に関する。更に詳しくは、本発明の粉末組成物に係る泡沫状食品によって薬剤等を包含して服用すると、薬剤等の苦味をマスキングでき、且つ薬剤の溶出性を保証できる粉末組成物、薬剤の苦味マスキング用組合せ食品、及び薬剤の苦味マスキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、加水混合して発泡、膨張する食品を調製する粉末組成物として、組合せ菓子(例えば、特許文献1参照)や粉末組成物(例えば、特許文献2参照)を提案している。該組合せ菓子は、ペースト用粉末組成物を水と接触させて練れば練るほど発泡してペースト状物が膨張して白濁するという物性と外観の変化を楽しむことができる。また該粉末組成物は、液体成分を添加したときに瞬時に均一に発泡膨張する視覚的変化を楽しむことができる。すなわち、いずれも粉末組成物が発泡、膨張するという加水混合の過程を楽しみながら泡沫状食品を調製し、該泡沫状食品をそのまま喫食するものである。しかしながら、該泡沫状食品に薬剤を包含して服用する、或いはその薬剤の苦味をマスキングすることを開示するものではない。
【0003】
一方、医薬的な活性剤または栄養補助食品の苦い、または不快な味をマスキングするためのポリマー性の泡沫安定化剤、非セルロース性多糖、医薬品有効成分を含む泡沫状組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。該泡沫状組成物は、ミキサーやフォーマーなどの泡沫生成装置を用いて激しく撹拌して泡沫を作成した後乾燥させて調製する。また、泡沫や泡沫状組成物の調製時の医薬品有効成分保護のためコートした医薬品が用いられる。さらに、先に泡沫状組成物を調製した後医薬品有効成分を適用する場合は、例えば、乾燥後の泡沫状組成物にアセトンなどの溶媒を用いてニコチンを泡沫状組成物の表面に適用させている。したがって、いずれの方法であっても、喫食者が苦味のある医薬品等のマスキングのために用いるには、簡便性の点で問題があった。
【0004】
また、苦みを有する薬剤等を服用する際、苦味のマスキングに利用される服薬補助食品には、苦みマスキング粒状ゼリー飲料(例えば、特許文献4参照)、加水してゲル状食品とする粉末組成物(例えば、特許文献5参照)、10~40℃温度範囲において粘度が50~500ポイズの範囲に納まるチョコレートによる服薬補助剤(例えば、特許文献6参照)等の食品が知られている。
【0005】
しかしながら、前記粒状ゼリー飲料や前記粉末組成物を用いて薬剤を服用すると、苦みを呈する場合があり、安定したマスキング効果を得られないことがあった。また、前記チョコレートによる服薬補助剤は水系溶媒への分散性不良のため、日本薬局方に則した溶出試験による薬剤の溶出性の測定が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平03-33274号公報
【文献】特開平06-237696号公報
【文献】特開2000-325028号公報
【文献】国際公開第2005/025622号公報
【文献】特開2012-105574号公報
【文献】特開2017-48169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、マスキング効果を発揮し、水系溶媒への分散性に優れた泡沫状食品とすることのできる粉末組成物に関する。
【0008】
更に詳しくは、本発明の粉末組成物に係る泡沫状食品によって薬剤を包含して服用すると、薬剤の苦味をマスキングでき、且つ薬剤の溶出性を保証できる粉末組成物、薬剤の苦味マスキング用組合せ食品、及び薬剤の苦味マスキング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、マスキング効果を発揮し、水系溶媒への分散性に優れた服薬補助食品の候補として泡沫状食品に注目し鋭意検討を行った。その結果、糖質、酸成分、炭酸成分、及び泡沫安定化剤を含有する粉末組成物を加水混合して泡沫状食品とすると、薬剤を包み込み服用すること、薬剤の苦味に対するマスキング、水系溶媒への良好な分散性を可能とし、薬剤の苦味のマスキング、特に服用直後の苦味を強力にマスキングでき、加えて薬剤の溶出性をも保証できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本願第一の発明は、加水混合して泡沫状食品にするための粉末組成物であって、下記(A)~(D)の成分を含有することを特徴とする粉末組成物である。
(A)糖質
(B)酸成分
(C)炭酸成分
(D)泡沫安定化剤
【0011】
本願第一の発明にかかる粉末組成物は、好ましくは、さらに、下記(E)の成分を含有する。
(E)マスキング成分
本願第一の発明にかかる粉末組成物は、より好ましくは、前記泡沫状食品の比重が0.83g/cc以下である。
本願第一の発明にかかる粉末組成物は、さらに好ましくは、前記泡沫状食品が、薬剤を包み込み服用するためのものである。
【0012】
本願第二の発明は、前記粉末組成物と、(X)逆さ鏡餅形状の2段凹部を有する容器とを備える薬剤の苦味マスキング用組合せ食品である。
【0013】
本願第三の発明は、糖質、酸成分、炭酸成分、及び泡沫安定化剤を含有する粉末組成物に加水混合して泡沫状食品を調製し、得られた前記泡沫状食品に薬剤を混合することを特徴とする薬剤の苦味マスキング方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粉末組成物を加水混合して得られる泡沫状食品は、安定したマスキング効果を有する。さらに、本発明の粉末組成物を加水混合して泡沫状食品を調製すれば、従来の服薬補助食品を上回るマスキング効果を奏する泡沫状食品を得ることができる。
【0015】
本発明の粉末組成物を用いて調製された泡沫状食品は、水系溶媒への分散性に優れるため、該泡沫状食品に薬剤を包含した状態であっても、日本薬局方に則した方法で溶出試験を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】薬剤の苦味がマスキングされる様子を示す模式図である。
【
図2】(a)および(b)は、本実施形態にかかる組合せ食品に備える容器の一例を示す図である。
【
図3】実施例の溶出試験によるアセトアミノフェンの溶出試験結果を示す図である。
【
図4】実施例の溶出試験によるプレドニゾロンの溶出試験結果を示す図である。
【
図5】実施例の溶出試験によるフロセミドの溶出試験結果を示す図である。
【
図6】実施例の溶出試験によるメトロニダゾールの溶出試験結果を示す図である。
【
図7】本発明の組合せ食品に対する事前の購買意向を問うアンケート結果である。
【
図8】(a)は、本発明の組合せ食品の喫食者のマスキング効果を示すアンケート結果である。(b)は、参考例の喫食者のマスキング効果を示すアンケート結果である。
【
図9】(a)は、本発明の組合せ食品に包含した苦味剤の喫食者の食べやすさを示すアンケート結果である。(b)は、参考例に包含した苦味剤の喫食者の食べやすさを示すアンケート結果である。
【
図10】(a)は、本発明の組合せ食品の保護者が感じたマスキング効果を示すアンケート結果である。(b)は、参考例の保護者が感じたマスキング効果を示すアンケート結果である。
【
図11】(a)は、本発明の組合せ食品に包含した苦味剤の保護者が感じた食べやすさを示すアンケート結果である。(b)は、参考例に包含した苦味剤の保護者が感じた食べやすさを示すアンケート結果である。
【
図12】本発明の組合せ食品に対する使用後の購買意向を問うアンケート結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0018】
(粉末組成物について)
本発明の粉末組成物は、(A)糖質、(B)酸成分、(C)炭酸成分、及び(D)泡沫安定化剤を含有することが、安定したマスキング効果を発揮する泡沫状食品を調製する点で重要である。
【0019】
本明細書において、「マスキング効果」とは、苦味物質が舌の苦味受容体に結合することで生じる苦味の軽減効果を意味し、「安定したマスキング効果」とは、複数人が複数回服用した際に、苦味の軽減度合いに再現性があることを意味する。
【0020】
本明細書において、「薬剤を包含」とは、泡沫状食品の中に薬剤を含んでいる状態を意味し、薬剤を泡沫状食品に混合、または包み込むことで、薬剤の表面露出を減らすことを目的としている。
【0021】
本明細書において、「薬剤の溶出性」とは、薬剤中の有効成分が溶出試験における試験液中に溶け出す速度を意味する。本実施例では、泡沫状食品に混合、または包み込んだ薬剤中の有効成分が試験液へ溶け出す速度を意味する。
【0022】
<(A)糖質>
本発明に用いる(A)成分は糖質である。本発明において、糖質は泡沫状食品の基材となる成分として用いられる。糖質は、粉末状の甘味料であれば特に限定されるものではない。糖質として具体的には、例えば、ブドウ糖、果糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖、デキストリン、粉末水飴、糖アルコール等を挙げることができる。これらの中から適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。この中でも、砂糖は、優れたマスキング効果を発揮できるという点と、泡沫状食品を良好な風味にすることができるという点で好適に用いられる。
【0023】
糖質含有量は、粉末組成物全体重量中85.0重量%以上が好ましい。糖質含有量が85.0重量%以上であれば、服用直後から嚥下までの間、安定して高いマスキング効果が得られる。
【0024】
<(B)酸成分>
本発明に用いる(B)成分は酸成分である。本発明において、酸成分は炭酸イオンへのプロトン供与体として働き、二酸化炭素を産生する目的で用いられる。酸成分としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられ、適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。これらの中でも、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸は、マスキング効果を向上させることができるという点で好適に用いられる。
【0025】
酸成分含有量は、粉末組成物全体重量中0.4重量%以上が好ましい。酸成分含有量が0.4重量%以上であればマスキングに必要な気泡(二酸化炭素)を十分に得られ、さらに、泡沫状食品の風味を良好なものにすることができる。
【0026】
<(C)炭酸成分>
本発明に用いる(C)成分は炭酸成分である。炭酸成分とは、水に溶解して炭酸イオンを放出する炭酸塩である。本発明において、炭酸成分は二酸化炭素前駆体である炭酸イオンの産生目的で用いられる。炭酸成分としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。これらの中でも、炭酸水素ナトリウムは、マスキング効果を向上させることができるという点、さらには泡沫状食品の風味を良好にすることができるという点で好適に用いられる。
【0027】
炭酸成分含有量は、粉末組成物全体重量中0.4重量%以上が好ましく、0.4重量%以上であればマスキングに必要な気泡(二酸化炭素)を十分に得られる。
【0028】
なお、(B)酸成分と(C)炭酸成分の重量比は、1:0.25~4であることが好ましい(例えば、実施例20-23参照)。これにより、効率よく気泡(二酸化炭素)を安定発生させることができ、高いマスキング効果が得られる泡沫状食品を調製することができる。また、(B)酸成分と(C)炭酸成分の重量比は、1:1であることがより好ましい。これにより、比重の小さい泡沫状食品を調製することができる。
【0029】
<(D)泡沫安定化剤>
本発明に用いる(D)成分は泡沫安定化剤である。本発明において、泡沫安定化剤は泡沫状食品の安定化、すなわち薬剤を包含した泡沫状食品の構造を安定的に維持する目的で用いられる。泡沫安定化剤としては、例えば、卵白、大豆タンパク質、キラヤサポニン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等が挙げられ、適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。これらの中でも、キラヤサポニンとオクテニルコハク酸デンプンナトリウムの併用は、服用直後から嚥下までの間、泡沫状食品の構造を維持しつつ、十分なマスキング効果が得られることに加え、泡沫状食品の風味を良好なものにすることができるという点で好適に用いられる。
【0030】
泡沫安定化剤含有量は、粉末組成物全体重量中1.3重量%以上とすると好ましく、1.3重量%以上であれば、服用直後から嚥下までの間、十分なマスキング効果が得られる。
【0031】
また、本発明の(A)~(D)の成分を含有する粉末組成物は、加水混合して泡沫状食品とすることが、安定したマスキング効果を付与する点で重要である。ここで「加水混合」とは、粉末組成物に常温(10~30℃)の水を加え撹拌、混合することである。さらに、「泡沫状食品」とは、気泡が集合した非乾燥の食品を意味する。泡沫状食品は、薬剤等を服用する際に用時調製されることが好ましい。
【0032】
本発明にかかる(A)~(D)の成分を含有する粉末組成物を用いて調製した泡沫状食品は、薬剤と混合された時に、薬剤中の有効成分(苦味成分)が直接舌に触れる機会を低減させることができると考えられる。これを、
図1を用いて説明する。
【0033】
図1は薬剤の苦味がマスキングされる様子を示す模式図であり、10は薬剤包含泡沫状食品、11は泡沫状食品、12は気泡、13は薬剤である。Tは人の舌を、
図1は人の口内を示している。
図1では、泡沫状食品11は複数の気泡12が集合した泡沫(foam)構造をとっている。
図1に示すように、薬剤包含泡沫状食品10において、苦味成分を含む薬剤13は、本発明にかかる粉末組成物を用いて調製した泡沫状食品11の泡沫構造で包まれたような状態となっている。これにより、経口的に服用した際に、本発明にかかる泡沫状食品11は、以下の(1)から(3)の作用を呈し、薬剤13中の有効成分(苦味成分)が直接舌に触れる機会を低減させることができ、良好なマスキング効果が得られると推察している。
(1)泡沫状食品11の泡沫構造に包まれることによる薬剤13の表面露出の抑制
(2)泡沫状食品11の高い保形性による薬剤13の口内での拡散抑制
(3)泡沫状食品11の低い水分含量による薬剤13の水への溶解抑制
【0034】
<(E)マスキング成分>
本発明に用いる(E)成分はマスキング成分である。本発明において、マスキング成分は、服用直後だけでなく、咀嚼中、嚥下後にかけて、より高いマスキング効果を示す点で好適である。マスキング成分としては、例えば、さとうきび抽出物、スクラロース、ソーマチン、エリスリトール等が挙げられ、適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。これら中でも、さとうきび抽出物は、より優れたマスキング効果を発揮することができるという点、および泡沫状食品の風味をより良好にすることができるという点で好適に用いられる。
【0035】
マスキング成分含有量は、粉末組成物全体重量中0.7重量%以上が好ましく、0.7重量%以上であれば、(A)成分の基材に(E)成分が加わり、服用直後だけでなく、咀嚼中、嚥下後にかけて、より高いマスキング効果を得ることができる。
【0036】
また、上記成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲であれば、副原料を加えてもよい。副原料としては、例えば、でん粉、増粘多糖類、乳化剤、香料、着色料等が挙げられる。これらを適宜選択して単独もしくは2種以上を併用すればよい。
【0037】
本発明の粉末組成物は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、まず、(A)糖質、(B)酸成分、(C)炭酸成分、(D)泡沫安定化剤、及び必要に応じて、(E)マスキング成分や副原料等を準備し、これらを粉体混合することによって本発明の粉末組成物が得られる。
【0038】
(泡沫状食品について)
本発明の粉末組成物は、薬剤を経口で服用する際に該薬剤を包み込むための泡沫状食品として好適に利用される。以下では、本発明の粉末組成物を用いて得られる泡沫状食品について説明する。例えば、以下のようにして、粉末組成物から泡沫状食品を調製する。
【0039】
まず、粉末組成物1重量部に対し、常温の水0.28~0.36重量部を加え、スプーン等の撹拌可能な器具で毎秒2周ほどの速さで30周程度攪拌、混合をして泡沫状食品を得る。この時の泡沫状食品の比重は、0.83g/cc以下であることが好ましい。これにより、より高いマスキング効果を発揮する泡沫状食品を得ることができる。また、より好ましくは、この時の泡沫状食品のpHを5.0~7.0となるよう設計すると酸性条件下で溶解する薬剤(抗生物質など)の溶解防止の点で好適である。
【0040】
そして、5.6~6.9gの該泡沫状食品に、最小投与量の薬剤等を、該泡沫状食品の気泡をできるだけ壊さないように、例えば、ティースプーンなどの小さなスプーンを使用して、同心円状に毎秒2周ほどの速さで10周程度混合して包み込む。このようにして調製された薬剤包含泡沫状食品は、薬剤の摂取対象者にそのまま経口的に服用される。なお、薬剤包含泡沫状食品の「包含」とは、泡沫状食品の中に薬剤を含んでいる状態を意味する。薬剤を泡沫状食品に混合、または包み込むことで、薬剤の表面露出を減らすことを目的としている。
【0041】
前記薬剤としては、経口摂取により服用する薬剤が挙げられる。薬剤の形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤、経口フィルム剤、口腔用錠剤などが挙げられる。例示すると、錠剤としては、プレドニゾロン錠(例えば、「プレドニン(登録商標)錠5mg」など)やメトロニダゾール錠(例えば、「フラジール(登録商標)内服錠250mg」など)等が、顆粒剤としては、アセトアミノフェン細粒(例えば、「カロナール(登録商標)細粒20%」、「カロナール(登録商標)細粒50%」など)、フロセミド細粒(例えば、「フロセミド細粒4%「EMEC」」など)等が挙げられる。
【0042】
また、泡沫状食品を調製する際、加水混合に使用する容器は、例えば、皿や茶碗等の適当な食器を利用すればよい。また、(X)逆さ鏡餅形状の2段凹部を有する容器を予め用意し、粉末組成物と一緒に備える組合せ食品としてもよい。この組合せ食品は、本発明の薬剤の苦味マスキング用組合せ食品の一例である。
【0043】
すなわち、本実施形態にかかる組合せ食品は、上述した本発明の一実施形態にかかる粉末組成物と、逆さ鏡餅形状の2段凹部を有する容器(X)とを備える。
図2には、容器(X)の一例(容器100)の外観を示す。
【0044】
図2(a)は、容器100の斜視図である。
図2(b)は、容器100の平面図である。容器100は、例えば、比較的軽量のプラスチックで形成されている。容器100は、本体部110と、スプーン部120とで構成されている。本体部110とスプーン部120との間には、ミシン目130が設けられている。容器100の使用時に、スプーン部120は本体部110から切り離される。
【0045】
本体部110は、略角錐台形状に盛り上がった隆起部111を有している。この隆起部111の頂面111aに、逆さ鏡餅形状の2段凹部112が設けられている。本実施形態の組合せ食品を用いて泡沫状食品を調製する際には、この2段凹部112内に、泡沫状食品の材料となる粉末組成物および水、さらには、薬剤が投入される。2段凹部112の容量は、組合せ食品に含まれる粉末組成物の量、添加される水の量、および形成される泡沫状食品の容量などを考慮して適宜決めることができる。
【0046】
2段凹部112は、第1凹部113と第2凹部114とを有している(
図2(b)参照)。第2凹部114は、第1凹部113の底面部をさらに抉るようにして形成されている。第2凹部114の第1凹部113の底面部からの深さは、例えば、1mm以上5mm以下とすることができる。また、第2凹部114の深さは、泡沫状食品を調製する際に投入される水の容量を考慮して決められていると、後述する計量スプーンなしでも泡沫状食品を調製できる点で好ましい。さらに、隆起部111の側面は、
図2に示すように、溝115を複数個形成すると、本体部110の強度を保持できる点で好ましい。
【0047】
スプーン部120は、泡沫状食品を調製する際に2段凹部112内に投入された各材料を撹拌するためなどに用いられる。スプーン部120には、第3凹部121が形成されている。この第3凹部121の容量は、泡沫状食品を調製する際に投入される水の量を考慮して決められていることが好ましい。これにより、スプーン部120を計量スプーンとして利用することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態にかかる組合せ食品は、粉末組成物と、逆さ鏡餅形状の2段凹部112を有する容器100とを備えている。これにより、容器などを別途用意することなく、組合せ食品に含まれる容器100を用いて、泡沫状食品および薬剤包含泡沫状食品を簡単に調製することができる。
【0049】
なお、別の実施形態では、容器(X)は、本体部110のみで形成されていてもよい。この場合には、本体部110とは別体の付属品として、組合せ食品に撹拌用のスプーンなどが含まれていることが好ましい。
【0050】
(薬剤の苦味マスキング方法について)
本発明には、糖質、酸成分、炭酸成分、及び泡沫安定化剤を含有する粉末組成物に加水混合して泡沫状食品を調製し、得られた前記泡沫状食品に薬剤を混合することによる、薬剤の苦味のマスキング方法が含まれる。
【0051】
この方法に用いられる粉末組成物としては、上述した粉末組成物が挙げられる。また、粉末組成物に加水混合して得られる泡沫状食品としては、上述した泡沫状食品が挙げられる。泡沫状食品に混合される薬剤としては、上述した薬剤が挙げられる。この方法によれば、有効成分(すなわち、苦味成分)を含む薬剤を経口摂取する際に、苦味成分が直接舌に触れる機会を低減させることができるため、摂取者が感じる苦味を低減させ、服用時の不快感を低減させることができる。
【0052】
〔実施例〕
以下、本発明の実施例等を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0053】
〔マスキング効果の確認試験〕
本発明の一実施例にかかる粉末組成物から泡沫状食品を調製し、苦味のマスキング効果を確認した。
【0054】
<粉末組成物の調製>
先ず、各実施例および各比較例において、表1から表3に示す組成の粉末組成物となるように、表記載の原料を粉体混合して調製した。
【0055】
<泡沫状食品の調製>
その後、以下の手順で泡沫状食品を調製した。
1 泡沫状食品の調製方法(各表の※1)
(1)表記載の重量比となるように、粉末組成物に水(15℃)を加えた。
(2)プラスチックスプーンを用いて2周/秒の速さで30周攪拌した。
【0056】
<泡沫状食品の比重の測定>
得られた泡沫状食品の比重を、以下の方法で算出した。
2 比重算出方法(各表の※2)
30ccの容器に泡沫状食品をすり切りまで入れ重量測定し算出した。
【0057】
<マスキング評価>
得られた泡沫状食品に苦味剤を混合して苦味剤包含泡沫状食品を調製した後、服用し評価した(各表の※3)。なお、評価は、6名の専門パネラーが行った。具体的な方法は以下の通りである。
【0058】
3 マスキング評価方法
3-1 マスキング対象
マスキング対象としては、苦味成分のクワッシャ抽出物(「DCビター♯20023」高田香料株式会社製)を以下のように調製した苦味剤を使用した。
10%DCビター♯20023、45%コーンスターチ、及び45%乳糖を混合し、押出造粒し、顆粒状の苦味剤を調製した。
【0059】
3-2 評価方法
(1)予め調製した泡沫状食品6.8gに苦味剤0.5gを添加した。
(2)プラスチックスプーンを用いて2周/秒の速さで10周攪拌し、苦味剤包含泡沫状食品を調製した。
(3)ティースプーン1杯量の苦味剤包含泡沫状食品を服用した。
(4)A:服用直後(口に含んで最初に感じた味)、B:咀嚼中(A~Cの間の味)、C:嚥下後(嚥下した後の残った味)の3時点を評価した。
【0060】
3-3 評価基準等
・苦味剤0.5gを通常の粉薬の要領で口に含み、水で流し込んだ時の最大の苦味を上限(5点)、苦みを全く感じないことを下限(0点)とした。
・5点(苦味最大)~0点(苦味を全く感じない)間の6段階で相対評価した。
・A~Cの評価は専門パネラー6名の平均値である。
・最終評価は、A~Cの平均値より、次のように決定した。
◎:0点以上、1.5点以下
○:1.5点より大、2点以下
×:2点より大、5点以下
【0061】
<実施例1~4、比較例1~4>
以下の表1には、実施例1から4、および比較例1から4の粉末組成物の組成、泡沫状食品の比重、およびマスキング評価結果などを示す。
【0062】
【0063】
評価の結果、各実施例は優れたマスキング効果を示した。中でも実施例1、2の粉末組成物は、強固な泡沫状食品を調製することができた。また、実施例2は、服用直後とともに、咀嚼中、嚥下後にかけて大変良好なマスキング効果を示した。また、実施例2、3、4の結果から、泡沫状食品の比重が小さくなるにつれて、マスキング効果が高くなる傾向が確認された。一方、比較例1~4では、泡沫状食品を調製することができず、充分なマスキング効果が得られなかった。
【0064】
以上の結果から、糖質、酸成分、炭酸成分、及び泡沫安定化剤を含有する粉末組成物により泡沫状食品を調製でき、苦みをマスキングできることが確認できた。加えて、マスキング成分を併用すると、服用直後から嚥下後にかけて継続して効果的に苦味をマスキングできることが確認できた。
【0065】
<実施例5~24>
以下の表2および表3には、実施例5から24の粉末組成物の組成、泡沫状食品の比重、およびマスキング評価結果などを示す。
【0066】
【0067】
【0068】
表2および表3に示すように、すべての実施例において優れたマスキング効果が示された。
【0069】
〔形態違いによるマスキング効果の確認試験〕
食品の形態の違いによる苦味のマスキング効果を評価した。具体的には、上記の実施例1及び実施例2の粉末組成物から調製した泡沫状食品と、公知の服薬補助食品との間でマスキング効果を比較した。
【0070】
具体的な方法は、以下の通りである。なお、苦味剤は、上記の実施例1で用いたものを使用した。
【0071】
<泡沫状食品及び苦味剤包含泡沫状食品の調製>
実施例1、2について、表1の実施例1、2と同様に泡沫状食品及び苦味剤包含泡沫状食品を調製した(表4の※1)。
【0072】
<服薬補助食品及び苦味剤包含服薬補助食品の調製>(表4の※2)
参考例1について、水1.5ccに苦味剤0.5gを撹拌混合し溶解して液体状の苦味剤包含服薬補助食品を調製した。
参考例2について、「おくすり飲めたね(登録商標)いちご味(商品名)」(株式会社龍角散製)25gに苦味剤0.5gを包み込み、ゼリー状の苦味剤包含服薬補助食品を調製した。
参考例3について、「おくすり飲めたね(登録商標)チョコ風味(商品名)」(株式会社龍角散製)18gに苦味剤0.5gを包み込み、ゼリー状の苦味剤包含服薬補助食品を調製した。
【0073】
<マスキング評価>
得られた泡沫状食品または服薬補助食品に苦味剤を混合して苦味剤包含食品を調製した後、服用し評価した(表4の※3)。なお、評価は、6名の専門パネラーが行った。具体的な方法は以下の通りである。
【0074】
・苦味剤0.5gを通常の粉薬の要領で口に含み、水で流し込んだ時の最大の苦味を上限(5点)、苦みを全く感じないことを下限(0点)とした。
・5点(苦味最大)~0点(苦味を全く感じない)間の6段階で相対評価した。
・A:服用直後(口に含んで最初に感じた味)、B:咀嚼中(A~Cの間の味)、C:嚥下後(嚥下した後の残った味)の3時点を評価した。
・A~Cの評価は専門パネラー6名の平均値である。
・最終評価は、A~Cの平均値より、次のように決定した。
◎:0点以上、1.5点以下
○:1.5点より大、2点以下
×:2点より大、5点以下
その結果を表4に示す。
【0075】
【0076】
評価の結果、参考例2、3は、参考例1に比べると若干マスキングされているが、苦味を感じるため殆ど苦味を抑制できなかった。一方、実施例1、2は、参考例2、3を大きく上回るマスキング効果が得られることが確認できた。特に、服用直後は圧倒的な差があり、実施例1、2は苦味を殆ど感じなかった。
【0077】
〔溶出試験〕
本発明にかかる一例の泡沫状食品に薬剤を混合し、薬剤の溶出性の確認を行った。具体的には、上記のマスキング効果の確認試験における実施例2の粉末組成物から調製した泡沫状食品に、下記の表5に記載の4種の薬剤をそれぞれ包含し、日本薬局方に則した方法で溶出試験を行った。この溶出試験は、経口製剤について溶出試験規格に適合しているかどうかを判定するために行うものである。
【0078】
表5に示す4種の薬剤の形態は、以下の通りである。
アセトアミノフェン:細粒剤
プレドニゾロン:錠剤
フロセミド:細粒剤
メトロニダゾール:錠剤
【0079】
なお、対照は泡沫状食品で包含せずに、薬剤単独で溶出試験を実施した。また、各薬剤の溶出規格を表5に併せて示す。溶出試験の結果を
図3~
図6に示す。
【0080】
【0081】
図3~
図6に示すように、薬剤を包含した実施例2の泡沫状食品は、試験に供した4種の薬剤すべてにおいて溶出規格を満たした。すなわち、本発明の粉末組成物に係る泡沫状食品は、薬剤の溶出性に影響しないことが示された。
【0082】
〔喫食後のアンケート調査〕
<実施例25>
実施例2の粉末組成物を調製後、アルミ製の袋に充填後密封した。さらに、
図2の容器100、及び樹脂製のスプーンを準備し、これらを一つの包装体に一緒に密封し、薬剤の苦味マスキング用組合せ食品(実施例25)を調製した。
【0083】
実施例25と下記苦味剤とを1~9歳の男女30名に提供し、表1の実施例2と同様に、泡沫状食品及び苦味剤包含泡沫状食品を調製、喫食させて、アンケート調査を実施した。なお、1~9歳の男女30名は、各自保護者1名と一緒に調製させ、1~9歳の男女30名が喫食した。次に、「おくすり飲めたね(登録商標)チョコ風味(商品名)」(株式会社龍角散製)と下記苦味剤とを提供し、表4の参考例3と同様に、ゼリー状の苦味剤包含服薬補助食品を調製、喫食させ、同様にアンケート調査を実施した。
苦味剤:4%DCビター♯20023、及び96%コーンスターチを混合し、押出造粒し、顆粒状の苦味剤を調製した。
【0084】
実施例25について、以下のような仕様説明後に、保護者を対象にアンケート1を実施した。
・粉末組成物、容器、スプーンが入っています。
・自宅で水だけ準備が必要です。
・全6回分入りです。
・トレー、スプーンは洗って再利用可能です。
・6回全て小分けになっており、最大24ケ月間保存可能です。
・お薬の効果は損ないません。
・計量スプーンがなくてもトレーのくぼみの線でも水の計量が可能です。
【0085】
<アンケート1>
「実施例25のような服薬補助食品があると、どの程度買いたいと思いますか?」
・とても買いたい
・少し買いたい
・どちらでもない(わからない)
・あまり買いたくない
・買いたくない
【0086】
実施例25について泡沫状食品及び苦味剤包含泡沫状食品を調製、喫食させたのち、1~9歳の男女を対象にアンケート2と3を、保護者を対象にアンケート4と5を実施した。参考例3についてゼリー状の苦味剤包含服薬補助食品を調製、喫食させ、同様のアンケートを実施した。
<アンケート2>
「おくすり(苦味剤)の苦味や嫌な味はしましたか?」
・おくすりの味は全くしなかった
・おくすりの味はあまりしなかった
・どちらでもない
・おくすりの味が少しした
・おくすりの味がたくさんした
【0087】
<アンケート3>
「おくすり(苦味剤)の食べやすさはどうでしたか?」
・食べやすかった
・ちょっと食べやすかった
・ちょっと食べにくかった
・食べにくかった
【0088】
<アンケート4>
「お子さまの様子はいかがでしたか?」
・全く嫌がらずに食べてくれた
・少し嫌がったが食べてくれた
・どちらでもない
・嫌がってあまり食べてくれなかった
・嫌がってほとんど食べなかった
【0089】
<アンケート5>
「おくすり(苦味剤)の食べさせやすさはどうでしたか?」
・食べさせやすかった
・ちょっと食べさせやすかった
・ちょっと食べさせにくかった
・食べさせにくかった
【0090】
最後に、保護者を対象にアンケート6について実施した。
<アンケート6>
「実施例25と参考例3について、どちらを買いたいですか?」
・実施例25
・ちょっと実施例25
・ちょっと参考例3
・参考例3
【0091】
アンケート調査の結果を表6に記載の通り、
図7~
図12に示す。
【0092】
【0093】
アンケート2~5の結果より、実施例25は苦味剤に対するマスキング効果を有し、マスキング効果が発揮されるため苦味剤の摂取も容易に行われることが示された。
【0094】
また、アンケート調査の結果、消費者は、従来からあるゼリー状の服薬補助食品以外にもマスキング効果のある服薬補助食品を望んでおり、本発明品は従来の服薬補助食品を上回るマスキング効果を奏することが示された。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
10 薬剤包含泡沫状食品
11 泡沫状食品
12 気泡
13 薬剤
100 容器
110 本体部
111 隆起部
111a 頂面
112 2段凹部
113 第1凹部
114 第2凹部
115 溝
120 スプーン部
121 第3凹部
130 ミシン目
【要約】
【課題】マスキング効果を発揮し、水系溶媒への分散性に優れた泡沫状食品とすることのできる粉末組成物を提供する。
【解決手段】加水混合して泡沫状食品にするための粉末組成物である。この粉末組成物は、下記(A)~(D)の成分を含有する。
(A)糖質
(B)酸成分
(C)炭酸成分
(D)泡沫安定化剤
【選択図】なし