(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】腹腔鏡下縫合システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/06 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61B17/06
A61B17/06 510
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180228
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2021043168の分割
【原出願日】2016-09-09
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ゴルスキー スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー スコット ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】マッギンリー キンボール ビー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505524(JP,A)
【文献】国際公開第2013/008817(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0125038(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0150197(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔鏡下縫合器具を備えている腹腔鏡下縫合システムであって、
前記腹腔鏡下縫合器具が、
近位端と遠位端とを有し、前記近位端と遠位端との間に延びる長手方向中央軸線を規定する細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端に連結されたジョー組立体と、を有し、
前記ジョー組立体が、
遠位端と近位端とを有する第1のベースジョーと、前記第1のベースジョーの遠位端に
しまい込み位置と縫合位置との間で回動可能に連結された第1のフリップジョーと、を有している第1のジョーと、
遠位端と近位端とを有する第2のベースジョーと、前記第2のベースジョーの遠位端に
しまい込み位置と縫合位置との間で回動可能に連結された第2のフリップジョーと、を有している第2のジョーと、を備え、
前記第1のベースジョーの近位端が前記第2のベースジョーの近位端及び前記細長いシャフトに回動可能に連結され、
前記第2のベースジョーの近位端が前記細長いシャフトに回動可能に連結され、前記第1のベースジョーおよび第2のベースジョーが開き形態および閉じ形態の間で回動可能であり、
前記ジョー組立体
の前記第1のフリップジョーの遠位端部に縫合針を備え、該縫合針は、全体として湾曲したプロフィールを有し第1の穿通先端部から第2の穿通先端部まで延びる針と該針に連結された縫合糸とを有している、
ことを特徴とする腹腔鏡下縫合システム。
【請求項2】
前記第1のフリップジョーは、
前記しまい込み位置と縫合位置との間で、第1のベースジョーに対して回動可能であり、
前記第2のフリップジョーは、
前記しまい込み位置と縫合位置との間で、第2のベースジョーに対して回動可能である、
前記第1のフリップジョーの縫合位置で前記第1のフリップジョーに受入れられた前記縫合針が前記第1のベースジョーの長手方向軸線に対して横方向に位置決めされる、
請求項1に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項3】
前記ジョー組立体がさらに、
前記第1のフリップジョーを前記縫合位置に付勢する第1のバネと、
前記第2のフリップジョーを前記縫合位置に付勢する第2のバネと、を備えている、
請求項2に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項4】
前記腹腔鏡下縫合システムがさらに、
前記第1のフリップジョーに連結され前記第1のフリップジョーを前記しまい込み位置に保持するように作動可能な第1のケーブルと、
前記第2のフリップジョーに連結され前記第2のフリップジョーを前記しまい込み位置に保持するように作動可能な第2のケーブルと、
請求項3に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項5】
前記第1のケーブルと第2のケーブルとが、前記細長いシャフトを通って近位方向に延び、
前記腹腔鏡下縫合器具が、更に、前記第1のケーブルおよび第2のケーブルに連結されたラッチ機構を備え、該ラッチ機構が、前記第1のケーブルと第2のケーブルに張力を維持し、前記第1のフリップジョーと第2のフリップジョーとを前記しまい込み位置に
保持する、
請求項4に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項6】
前記第1のフリップジョーと第2のフリップジョーを
前記しまい込み位置に保持するラッチ機構を備えている、
請求項2に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項7】
前記細長いシャフトの中を長手方向に延びる近位端と少なくとも部分的に前記第1のジョーの中に延びる遠位端とを有している第1のシムと、
前記細長いシャフトの中を長手方向に延びる近位端と少なくとも部分的に前記第2のジョーの中に延びる遠位端とを有している第2のシムと、を備えている、
請求項1に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項8】
前記第1のシムの遠位端が、前記第1のベースジョーを貫通し前記第1のフリップジョーから引き込まれた第1の位置と、前記第1のベースジョーを貫通し前記第2のフリップジョーを部分的の中に延び前記第1のフリップジョーを前記縫合位置に維持する第2の位置と、前記第1のベースジョーを貫通し前記第1のフリップジョーの中に延び前記第1のフリップジョーを前記縫合位置に維持し前記第1のフリップジョー内で前記針に係合する第3の位置との間で長手方向に摺動可能である、
請求項7に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項9】
前記第2のシムの遠位端が、前記第2のベースジョーを貫通し前記第2のフリップジョーから引き込まれた第1の位置と、第2のベースジョーを貫通し前記第2のフリップジョーの中に部分的に延び前記第2のフリップジョーを前記縫合位置に維持する第2の位置と、前記第
2のベースジョーを貫通し前記第
2のフリップジョーの中に延び前記第2のフリップジョーを前記縫合位置に維持し前記第2のフリップジョー内で前記針に係合する第3の位置との間で長手方向に摺動可能である、
請求項8に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【請求項10】
前記第1のフリップジョーと第2のフリップジョーが相対的に小さな外径のロープロファイルになるように入れ子状になり、前記第1のフリップジョーと第2のフリップジョーがそれぞれ前記しまい込み形態になり前記第1のベースジョーおよび第2のベースジョーが閉じ形態になることが可能である、
請求項2に記載の腹腔鏡下縫合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外科用器械、特に組織を縫合するための腹腔鏡下外科用器具に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年9月11日に出願され、現在係属中の米国特許仮出願第62/217,502号(発明の名称:LAPAROSCOPIC SUTURING SYSTEM)の権益主張出願である。この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
手術部位にポートから接近する外科的処置、例えば低侵襲外科的処置では、比較的小径のポートを通って手術部位まで前進させることができる縫合ツールを用いて組織を縫合することが望ましい場合がある。縫合ツールは、針およびこれに取り付けられた縫合糸を手術部位の組織に通して前進させてオペレータが組織を近づけるランニングステッチを作ることができるようにするよう構成されているのが良い。針の長手方向軸線がトロカールの軸線に垂直になっている状態でトロカールに沿って下降する縫合器具が製作されており、それによりこの器具内で使用できる針の長さがトロカールの内径に制限される。さらに、現行の縫合器具は、典型的には、操作するのが複雑かつやっかいである作動機構体を有し、それにより単一のステッチを完成させるのに多数回の操作ステップが必要である。望ましくは、改良型縫合器具が高い効率、高い簡便性および高い使用のしやすさを提供するのが良い。
【発明の概要】
【0004】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合器具が本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体、細長いシャフト、ジョー組立体、および針を有する。ハンドル組立体は、近位端部および遠位端部を備えている。細長いシャフトは、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びていて長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体は、細長いシャフトから遠位側に延びている。ジョー組立体は、各々が細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを備えた第1のジョーおよび第2のジョーを含む。ジョー組立体および針は、針が第1のジョーおよび第2のジョーのうちの一方内に位置決めされるとともに、第1のジョー、第2のジョー、および針が長手方向中心軸線と全体として整列した格納形態と、第1のジョー、第2のジョー、および針が長手方向中心軸線に対して横断方向に延びる開き位置との間で選択的に位置決め可能である。
【0005】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合器具が本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体、細長いシャフト、ジョー組立体、および針を有する。ハンドル組立体は、近位端部および遠位端部を備えている。ハンドル組立体は、トリガ機構体、クロージャ機構体、およびトグル機構体を含む。細長いシャフトは、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びていて長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体は、細長いシャフトから遠位側に延びている。ジョー組立体は、各々が細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを備えた第1のジョーおよび第2のジョーを含む。トリガ機構体は、トリガ機構体の作動サイクルが順次、クロージャ機構体を作動させてジョー組立体の第1のジョーおよび第2のジョーを閉じ、トグル機構体を作動させて針を第1のジョーおよび第2のジョーのうちの一方から第1のジョーおよび第2のジョーの他方に移送し、クロージャ機構体を作動させて第1のジョーおよび第2のジョーを開くようクロージャ機構体およびトグル機構体に作動可能に結合されている。
【0006】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合システムが本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合システムは、腹腔鏡下縫合器具および縫合針を含む。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体、細長いシャフト、およびジョー組立体を有する。細長いシャフトは、ハンドル組立体に結合された近位端部と、遠位端部とを備えている。細長いシャフトは、近位端部と遠位端部との間に延びる長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体は、細長いシャフトの遠位端部に結合されている。ジョー組立体は、各々細長いシャフトに回動可能に結合された第1のジョーと第2のジョーを含み、第1のジョーおよび第2のジョーは、開き形態と閉じ形態との間で回動可能である。縫合針は、ジョー組立体内に位置決め可能である。縫合針は、針および針に結合された縫合糸を有する。針は、全体として湾曲したプロフィールを有していて第1の穿通先端部から第2の穿通先端部まで延びている。針は、第1の穿通先端部に隣接して位置する第1のシム切欠きと、第2の穿通先端部に隣接して位置する第2のシム切欠きと、第1の穿通先端部に隣接して位置する第1の凹部と、第2の穿通先端部に隣接して位置する第2の凹部とを有する。
【0007】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合器具が本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体と、細長いシャフトと、ジョー組立体とを有する。ハンドル組立体は、近位端部および遠位端部を含む。細長いシャフトは、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びていて長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体は、細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを含む。ジョー組立体は、第1のジョーおよび第2のジョーを含む。第1のジョーは、ジョー組立体の近位端部のところに位置した第1のベースジョーと、ジョー組立体の遠位端部のところに位置した第1のフリップジョーとを含む。第1のフリップジョーは、第1のベースジョーに回動可能に結合されている。第1のフリップジョーは、第1の針チャネルを有する。第1のフリップジョーは、第1のベースジョーに対して全体として長手方向に差し向けられた格納またはしまい込み位置と、第1の針チャネルが第1のベースジョーに対して横断方向に差し向けられた縫合位置との間で回動可能である。第2のジョーは、ジョー組立体の近位端部のところに位置した第2のベースジョーと、ジョー組立体の遠位端部のところに位置した第2のフリップジョーとを含む。第2のベースジョーは、第1のベースジョーおよび細長いシャフトに回動可能に結合されている。第2のフリップジョーは、第2のベースジョーに回動可能に結合されている。第2のフリップジョーは、第2の針チャネルを有する。第2のフリップジョーは、第2のベースジョーに対して全体として長手方向に差し向けられた格納またはしまい込み位置と、第2の針チャネルが第2のベースジョーに対して横断方向に差し向けられた縫合位置との間で回動可能である。
【0008】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合器具が本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体と、細長いシャフトと、ジョー組立体とを有する。ハンドル組立体は、近位端部および遠位端部を含む。ハンドル組立体は、ハンドル本体、トリガ、およびトグル機構体を含む。トリガは、ハンドル本体に回動可能に結合されている。トグル機構体は、ハンドル本体に対するトリガの回動運動によって作動可能である。トグル機構体は、トグル管、第1のシム、および第2のシムを含む。トグル管は、トリガの回動運動に応動してハンドル本体内で回転可能である。トグル管は、シムガイドを有する。第1のシムは、シムガイド内に位置決めされた第1のフォロワを備えた近位端部を有する。第1のシムは、トグル管の回転によって長手方向に動くことができる。第2のシムは、シムガイド内に位置決めされた第2のフォロワを備えた近位端部を有する。第2のシムは、トグル管の回転によって長手方向に動くことができる。細長いシャフトは、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びていて長手方向中心軸線を定める。ジョー組立体は、細長いシャフトから遠位側に延びている。ジョー組立体は、細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを含む。ジョー組立体は、第1のジョーおよび第2のジョーを含む。第1のジョーは、細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部および第1の針保持スロットが設けられた遠位端部を有する。第2のジョーは、細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部および第2の針保持スロットが設けられた遠位端部を有する。第1のシムは、第1のジョー内に位置決めされた遠位端部まで遠位側に延び、第2のシムは、第2のジョー内に位置決めされた遠位端部まで遠位側に延びている。トグル機構体は、交互に第1の針保持スロットに隣接して位置する第1のシムの遠位端部を長手方向に前進させたり、第2の針保持スロットに隣接して位置する第2のシムの遠位端部を長手方向に前進させたりするようトグルサイクルで動作可能である。
【0009】
ある特定の実施形態では、腹腔鏡下縫合器具が本明細書において提供される。腹腔鏡下縫合器具は、ハンドル組立体と、細長いシャフトと、およびジョー組立体とを有する。ハンドル組立体は、近位端部および遠位端部を含む。ハンドル組立体は、ラッチ留め形態と、ラッチ外し形態を有するラッチ機構体を含む。細長いシャフトは、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びて長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体は、細長いシャフトから遠位側に延びている。ジョー組立体は、細長いシャフトに回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを含む。ジョー組立体は、第1のジョーおよび第2のジョーを含む。第1のジョーは、第1のベースジョーおよび第1のフリップジョーを含む。第1のベースジョーは、ジョー組立体の近位端部のところに位置している。第1のフリップジョーは、ジョー組立体の遠位端部のところに位置していて第1のベースジョーに回動可能に結合されている。第1のフリップジョーは、ジョー組立体の小径プロフィールを定める格納位置と縫合位置との間で回動可能である。第2のジョーは、第2のベースジョーおよび第2のフリップジョーを含む。第2のベースジョーは、ジョー組立体の近位端部のところに位置していて第1のベースジョーおよび細長いシャフトに回動可能に結合されている。第2のフリップジョーは、ジョー組立体の遠位端部のところに位置していて第2のベースジョーに回動可能に結合されている。第2のフリップジョーは、ジョー組立体の小径プロフィールを定める格納位置と縫合位置との間で回動可能である。ラッチ機構体は、ラッチ機構体がラッチ留め位置にある状態で第1のフリップジョーおよび第2のフリップジョーが格納位置に保持され、ラッチ機構体がラッチ外し位置にある状態では第1のフリップジョーおよび第2のフリップジョーが縫合位置まで回動可能であるように第1のフリップジョーおよび第2のフリップジョーに作動可能に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】腹腔鏡下縫合器具用のジョー組立体の実施形態を格納またはしまい込み形態で示す等角図である。
【
図4】
図1のジョー組立体の側面図であり、ベースジョーが開き状態にあり、フリップジョーが格納形態にある状態を示す図である。
【
図5】
図1のジョー組立体の側面図であり、ベースジョーが開き状態にあり、フリップジョーが部分的に縫合形態に回転してある状態を示す図である。
【
図6】
図1のジョー組立体の側面図であり、ベースジョーが開き状態にあり、フリップジョーが縫合形態に回転してある状態を示す図である。
【
図7】
図1のジョー組立体の一方のジョーの側面図であり、縫合針がこのジョーの中に配置されている状態を示す図である。
【
図9】
図7のジョーの等角図であり、縫合針がこのジョー内に配置されている状態を示す図である。
【
図10】
図7のジョーのフリップジョーおよび縫合針の断面図である。
【
図11】
図7のジョーのためのフリップジョーの低面図である。
【
図13】
図7のジョーの平面図であり、断面線が施されている状態を示す図である。
【
図14】縫合形態にある
図7のジョーの断面線回りの断面図である。
【
図15】格納形態なで部分的に回転してある
図7のジョーの断面線回りの断面図である。
【
図16】格納形態に部分的に回転してある
図7のジョーの断面線回りの断面図である。
【
図17】格納形態に回転してある
図7のジョーの断面線回りの断面図である。
【
図18】縫合形態にある
図7のジョーの断面線回りの断面図である。
【
図19】縫合形態にある
図7のジョーの断面線回りの断面図であり、シムがフリップジョーをロックするよう部分的に前進してある状態を示す図である。
【
図20】縫合形態にある
図7のジョーの断面線回りの断面図であり、シムがフリップジョーをラッチ留めするとともに縫合針を保持するよう前進してある状態を示す図である。
【
図21】
図7のジョーのフリップジョーおよび針の斜視図であり、断面平面が破線で示されている図である。
【
図22】断面平面回りの
図21のフリップジョーおよび針の断面図である。
【
図24】
図21のフリップジョーおよび針の斜視図であり、作動ケーブルがこれらに取り付けられている状態を示す図である。
【
図25】腹腔鏡下縫合器具用のジョー組立体および作動組立体の実施形態の分解組立て図である。
【
図26】開き形態にある
図25のジョー組立体のベースジョーの斜視図である。
【
図27】閉じ形態にある
図25のジョー組立体のベースジョーの斜視図である。
【
図28】腹腔鏡下縫合器具で用いられる縫合針の実施形態の端面図である。
【
図30】
図7のジョーのベースジョーの等角図である。
【
図32】
図31のクレビスの斜視図であり、断面平面が破線で示されている図である。
【
図34】
図25のジョー組立体および作動組立体の斜視図であり、クレビスが取り外された状態を示す図である。
【
図35】
図34のジョー組立体および作動組立体の断面斜視図である。
【
図36】
図34のジョー組立体および作動組立体の側面断面図である。
【
図37】格納形態にある
図1のジョー組立体の遠位端部の側面断面図である。
【
図38】
図25の作動組立体のスロット付きアクチュエータの実施形態の等角図である。
【
図39】
図38のスロット付きアクチュエータの平面図である。
【
図40】
図38のスロット付きアクチュエータの側面図である。
【
図41】
図1のジョー組立体を有する縫合器具の実施形態の等角図である。
【
図42】
図41の縫合器具のハンドル組立体の実施形態の部分組立て分解図である。
【
図46】開き形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図47】部分閉じ形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図48】閉じ形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図49】閉じ形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図50】部分閉じ形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図51】開き形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が平面断面図で示されている図である。
【
図52】
図41のハンドル組立体のトグル動作およびラッチ機構体の実施形態の等角図である。
【
図53】
図52のトグル動作およびラッチ機構体の側面図である。
【
図54】
図52のトグル動作およびラッチ機構体の平面図である。
【
図55】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクル中、第1の位置にある状態を示す図である。
【
図56】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクル中、第2の位置にある状態を示す図である。
【
図57】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクル中、第3の位置にある状態を示す図である。
【
図58】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクル中、第4の位置にある状態を示す図である。
【
図59】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクル中、第5の位置にある状態を示す図である。
【
図60】
図52のトグル動作機構体の断面図であり、フォロワがトグルサイクルの完了後に第1の位置にある状態を示す図である。
【
図61】開き形態にある
図41の縫合器具の部分断面図であり、ハンドル組立体が断面側面図で示されている図である。
【
図62】
図41の縫合器具の部分断面図であり、フリップジョーがラッチ機構体によって部分格納形態に回転してあり、ハンドル組立体が断面側面図で示されている図である。
【
図63】
図41の縫合器具の部分断面図であり、フリップジョーがラッチ機構体によって格納形態に回転してあり、ハンドル組立体が断面側面図で示されている図である。
【
図64】
図41の縫合器具の細長いシャフトの実施形態の断面図である。
【
図65】とげ付き縫合糸および編組アンカー付きの針を有する縫合器具のジョー組立体の実施形態の側面図である。
【
図66】とげ付き縫合糸、編組リーダー、および編組アンカー付きの針を有する縫合器具のジョー組立体の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
種々の実施形態では、縫合システムが本明細書において開示され、この縫合システムは、例えば腹腔鏡下手術のような低侵襲手術中、縫合糸を患者の体内の組織に付ける際の外科医の効率を向上させることができる。縫合器具は、縫合糸が取り付けられた針を、ジョー組立体のジョー相互間で組織の辺縁を交互に行ったり来たりするように通し、これは、針を組織中に刺入し、そして駆動ジョーが針を把持している間、受け取りジョーを用いて針を把持することによって行われる。
【0012】
臨床的使用中、接近器具、例えばトロカールを最初に体壁に通して体腔内に配置し、トロカールカニューレを体腔内にかつ体壁を横切って配置したままにする。本明細書において説明する縫合器具は、両端に鋭利な箇所を備えた針の中心に取り付けられている縫合糸を利用することができ、したがって、針を組織の辺縁を交互に行ったり来たりするように通すことができる。この器具を比較的小径なトロカール、例えば5mmトロカールに沿って下へ嵌めるため、針をトロカールに通して挿入および取り出し中、格納するのが良く、その目的は、縫合器具の直径プロフィールを低くすることにある。針を格納する際、縫合器具は、非動作または格納状態にあると考えられる。体腔内に位置している場合または体外での針装填中、縫合器具をその動作または縫合状態に展開することができる。縫合器具は、その動作状態にある間、縫合針を組織に刺入して針およびこれに取り付けられた縫合糸を駆動ジョーから受け取りジョーに渡すことができる。
【0013】
有利には、本明細書において説明する縫合器具の格納針形態により、もしそのようにしなければ5mmトロカールに沿って下へ嵌めることができない長さを備えた針を使用することができる。外科医が小径トロカールを用いることができるということは、顕著な利点をもたらし、例えば、患者の術後治癒時間および瘢痕化を軽減することができる。トロカールの大きな通常サイズ、例えば10mm、12mmおよび15mmでは、5mmトロカールよりもかなり大きな切開創が必要である。本明細書において説明する縫合器具の格納形態は、従来型縫合器具の針長さに関する制限をなくす。したがって、本明細書において説明する縫合器具は、5mmトロカールを通り抜けることができる状態で従来型10mmトロカール直径縫合器具よりも長い針を用いて縫い合わせることができる。長い針のこの使用により、有利には、多くの組織または厚い組織を穿通することができ、それにより外科医は、10mmを超える縫合器具が可能である縫合を行うことができる。
【0014】
図1~
図6を参照すると、細長いシャフト50およびジョー組立体100を有する腹腔鏡下縫合器具10の遠位端部の実施形態の種々の観点が示されている。
図1~
図3は、それぞれ、針200および縫合糸220を保持した格納またはしまい込み形態にあるジョー組立体100の等角図、側面図、および平面図である。格納形態では、ジョー組立体100は、腹腔鏡下手術ポート、例えばトロカールかニューレ中に挿入可能な比較的小さな外形を有する。図示のように、ジョー組立体が格納形態にある状態で、針200は、ジョー110,160のうちの一方によって保持され、縫合糸220は、この針から近位側に細長いシャフト50に沿って延びている。
【0015】
ある特定の実施形態では、ジョー組立体100は、多数のサイズのトロカールカニューレのうちの1つ、例えば、5mm器具、10mm器具、12mm器具、または15mm器具を受け入れるトロカールカニューレを通って挿入可能にサイズ設定可能である。有利には、低プロフィール格納ジョー組立体形態を有する本明細書において説明する縫合器具により、比較的小さなトロカール向けにサイズ設定された器具を通って比較的大径の針を配備することができる。
【0016】
図1~
図3を引き続き参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体100は、各々が互いにかつ細長いシャフト50の遠位端部52に回動可能に結合された近位端部を有する体1のジョー110と第2のジョー160を含む。第1のジョー110は、細長いシャフト50に回動可能に結合された近位端部と、遠位端部とを備えた第1のベースジョー120を有するのが良い。第1のジョー110は、第1のベースジョー120の遠位端部に回動可能に結合された第1のフリップジョー140を更に有するのが良い。図示の実施形態では、同様に、第2のジョー160は、細長いシャフト50に回動可能に結合された近位端部および第2のフリップジョー190が回動可能に結合された遠位端部を備えている第2のベースジョー170を有するのが良い。
【0017】
図4~
図6を参照すると、腹腔鏡下縫合器具10のジョー組立体100の実施形態の別の観点が示されている。
図4~
図6では、格納形態から縫合形態へのジョー組立体の操作順序の側面図が示されている。
図4は、ジョー110,160がこれらの遠位端部を互いに離隔させるよう回動した開き位置にあるこれらのベースジョー120,170および格納形態に回動してあるこれらのフリップジョー140,190を有する状態でジョー組立体100を示している。
図61~
図63を参照して本明細書において更に説明するように、ユーザがラッチ機構体を作動させてフリップジョー140,190を格納形態(
図4)から部分回転位置(
図5)を通って縫合形態(
図6)に回動させることができる。
【0018】
図7~
図12を参照すると、ジョー組立体100の実施形態の第1のジョー110および針200の種々の観点が示されている。
図7~
図9は、それぞれ、針200が第1のフリップジョー140内に位置決めされた状態で第1のフリップジョー140が縫合形態にある第1のジョー110の側面図、平面図および等角図である。第1のベースジョー120の近位端部を貫通して、第2のジョー160および細長いシャフト50の遠位端部52とのリベットまたはピン留め連結部を受け入れるピボット124、孔が設けられるのが良い。第1のベースジョー120の近位端部は、作動ポスト126を更に有するのが良く、第1のベースジョー120をジョー作動組立体によるポスト126の作動によってピボット124回りに回動させることができるようになっている。第1のベースジョーは、ピボット124から遠位端部まで遠位側に延びるジョー本体を有する。第1のフリップジョー140は、第1のベースジョー120の遠位端部に回動可能に結合されている。
【0019】
図10を参照すると、第1のジョー110の遠位端部の断面図が示されている。第1のフリップジョー140には針受け入れチャネル142が形成されているのが良い。第1のフリップジョー140を縫合位置に回動させた状態で、針受け入れチャネル142は、針の曲率と整列するよう第1のベースジョー120の長手方向軸線に対して全体として横断方向に位置決めされている。加うるに、
図11を参照すると、針受け入れチャネル142は、針受け入れチャネル142に対する針200の回転の向きを維持するよう長円形または偏心断面プロフィールを有するのが良い。
【0020】
引き続き
図10を参照すると、幾つかの実施形態では、製造性を向上させるため、フリップジョーの針受け入れチャネルは、射出成形中、非回転コアピンの使用を可能にするようまっすぐな穴であるのが良い。このまっすぐな穴は、ベースジョーピボット中心線回りに引かれた円に接するよう角度が付けられるのが良い。コアピンは、針の曲率を考慮に入れるよう角度をなして挿入されるのが良い。コアピン穴は、湾曲した針が穴の中に嵌め込まれた状態で回転する能力を最小限に抑えるよう楕円形または細長い卵形であるのが良い。楕円形断面の長軸は、針の曲率を考慮に入れるよう針の曲がり方向に差し向けられるのが良い。針曲率方向にフリップジョーの針穴を通る断面図では、針は、動作を阻止するために3つの接触箇所を有するのが良い。断面としての楕円の短軸の幅は、針直径に針が穴の中に嵌め込まれた状態でその長手方向軸線回りにねじれるのを阻止するための隙間を加えた寸法である。
【0021】
図12を参照すると、第1のジョー110の実施形態の分解組立て図が示されている。図示の実施形態では、第1のフリップジョー140は、ピン留め連結部によって第1のベースジョー120に回動可能に結合されている。幾つかの実施形態では、第1のフリップジョー140は、フリップジョー140とベースジョー120との間でフリップジョー140の回転軸線回りに位置決めされた付勢部材、例えばねじりばね144によって縫合位置に付勢されているのが良い。第1のケーブル390および第1のシム360が第1のベースジョー120に設けられたスロットを通って第1のフリップジョー140まで延びていて、以下に更に説明するようにラッチ留め機構体およびトグル機構体の作動により作動順序で選択的に作動可能である。
【0022】
図14~
図17を参照すると、
図13に示されている断面線回りの第1のジョー110の実施形態の断面図が示されている。
図14~
図17は、ラッチ留め機構体の作動の際の第1のフリップジョー140の作動順序を示しており、第1のフリップジョーを縫合形態(
図14)から部分格納形態(
図15および
図16)を通って格納形態(
図17)に回動させるようになっている。ラッチ機構体の作動により、第1のベースジョー120内に長手方向に形成されたスロットまたはチャネルを貫通した第1のケーブル390に加わる張力を増大させて第1のフリップジョー140を第1のベースジョーに対して回動させることができる。縫合器具をいったん術野に導入すると、第1のねじりばね144(
図12)を用いて第1のフリップジョー140を縫合形態に付勢することができるが、縫合器具の使用に続き、張力を受けているケーブルは、有利には、もしそのように構成されていなければ体液または組織の堆積がフリップジョーの回転に抵抗しまたはこれを阻止する場合であっても、格納位置へのフリップジョー140の確実かつ強固な回転をもたらすことができる。他の実施形態では、ねじりばね144に代えて追加のケーブルを用いることができ、その結果、ラッチ留め機構体は、第1のケーブルを利用してフリップジョーをラッチ外し操作で縫合形態に回動させるとともに図示のケーブルがフリップジョーをラッチ留め操作で格納形態に回動させるようになっている。
【0023】
図18~
図20は、第1のシム360の遠位端部を第1のフリップジョー140に設けられたスロットまたはシムチャネル141中に遠位側に前進させるようトグル機構体の作動順序にある第1のジョー110の断面図である。第1のフリップジョー140(
図19)を貫通して延びるシムチャネル141中への第1のシム360の遠位側への前進により、第1のフリップジョー140が縫合形態にロックされる。シムチャネル141は、針受け入れチャネルを横切るのが良い。針200が針受け入れチャネル142内に位置決めされた状態で、針のシム切欠き210が第1のフリップジョー140のシムチャネル141と全体として整列する。したがって、第1のシム360のそれ以上の前進により、シムは、遠位側に延びて針200に設けられている干渉特徴部、例えば第1のスロットまたはシム切欠き210(
図28および
図29)に嵌合して針200を第1のフリップジョー(
図20)中にラッチ留めする。第1のフリップジョー140のシムチャネル141は、第1のシムが針受け入れチャネル142の近位側および遠位側で第1のフリップジョー140に係合してこれを組織から引っ込めることができるよう針受け入れチャネル142を越えて遠位側に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、第1のフリップジョー140の遠位表面には、これに設けられているスロットが第1のシム360の追加の遠位側への運動を可能にする突出部が形成されているのが良い。図示の実施形態は、フリップジョーと針の両方をロックする単一のシムを有するが、他の実施形態では、針およびフリップジョーのロックは、2つの別々の機構体を用いて達成できることが想定される。これら実施形態では、シムを用いて針をロックすることができ、フリップジョーは、別の機構体、例えば第2のシム、滑りボルト、またはピンによってロック可能である。
【0024】
図21~
図24を参照すると、第1のフリップジョー140、針200および第1のシム360(
図21および
図22)の種々の図が示されている。
図22は、
図21の破線で指示された断面平面回りの第1のフリップジョーの断面図を示しており、シム360は、第1のフリップジョー140のシムチャネル141中に部分的に前進してある。第1のフリップジョーには、保持特徴部、例えば全体として球形の戻り止め146が設けられるのが良く、この戻り止めは、針200に設けられている対応の合致する凹部214に嵌合する。この戻り止め嵌合により、有利には、第1のフリップジョー140が格納形態にあるとき、そしてトグル機構体が第1のシム360を完全に前進させて針の第1のしむ切欠き210に係合させる前に、針200の位置をフリップジョー内に維持することができる。幾つかの実施形態では、戻り止めは、フリップジョーに巻き付けられていて力をボールに加える板ばねを有するのが良い。ボールは、フリップジョーの針穴と交差する円筒形チャネル内に位置するのが良い。このチャネルは、針穴の近くに細くなって針が存在していない場合にボールが抜け落ちるのを阻止する。針がフリップジョー内にあるとき、ボールを針の対応の凹部中に押し込み、それによりシムが針を定位置にロックしていない間、ボールが保持される。他の実施形態では、図示の実施形態のボールに代えて、フリップジョーの針戻り止めは、エラストマー突出部、異形板ばねタブまたは磁石であっても良い。
【0025】
図23は、第1のフリップジョー140のピボット軸線回りに位置決めされた第1のねじりばね144を示している。第1のフリップジョー140の図示の実施形態は、針保持チャネルを越えて位置する遠位突出部を更に有する。図示のように、第1のフリップジョー140の遠位表面の一部分は、他の全体として平坦なフェースから突き出ていて、この一部分にはシムスロットが貫通して設けられている。第1のフリップジョーの遠位表面の隣接部分は、第1のフリップジョー140をジョー組立体が格納形態にある状態で第2のフリップジョーが比較的小さな外径を有する低プロフィール形態にある状態で嵌め込むことができるよう引っ込められている。
【0026】
図24は、第1のフリップジョーに結合されたラッチ機構体の第1のケーブル390を示している。第1のケーブル390は、ケーブルの張力が第1のフリップジョーを格納形態に向かって回動させる傾向があるようピボット軸線からオフセットした場所で第1のフリップジョーに結合されている。第1のフリップジョー140は、その外面に設けられていて第1のフリップジョー140を縫合形態に回動させたときに第1のケーブル390を受け入れるケーブルスロットを有するのが良い。
【0027】
図25を参照すると、腹腔鏡下縫合器具10の遠位端部の分解組立て図が示されている。図示のように、遠位端部は、ジョー組立体100、ジョー作動機構体150、および細長いシャフト50の遠位端部52を有する。図示の実施形態では、ジョー組立体は、互いに回動可能に結合されるとともに実質的に類似している第1のジョー110と第2のジョー160を含む。本明細書において説明する縫合器具で使用可能なジョー組立体の他の実施形態では、縫合器具が互いに異なる形態を有するジョーを有しても良いことが想定される。例えば、ジョー組立体は、単一の回動可能なジョーおよび単一の静止ジョーもしくは回動可能なフリップジョーを備えた1つだけのジョーを含むことができる。かくして、幾つかの実施形態では、ジョー組立体は、第1のベースジョーおよび第1のベースジョーに回動可能に結合された第1のフリップジョーを有する第1のジョーと、細長いシャフトの遠位端部に回動可能に結合されているが、対応の第2のフリップジョーが設けられていない状態の針凹部を有する第2のジョーとを含むのが良い。他の実施形態では、第2のジョーは、細長いシャフトから長手方向遠位側に延びるのが良く、そして細長いシャフトに対して回動可能に固定されるのが良い。
【0028】
引き続き
図25を参照すると、ジョー作動機構体150は、クレビス152およびアクチュエータ154を含むのが良い。クレビス152は、腰折れを阻止するためにシムおよびケーブルのためのガイドスロットを有するのが良い。アクチュエータ154のスロット付きヘッドがシムおよびケーブルを下側から支持してクレビス内における腰折れを阻止することができる。クレビスは、細長いシャフト50の遠位端部52のところに形成されるのが良くまたはこの遠位端部上に位置決めされるのが良い。第1および第2のジョーは、クレビス152に回動可能に結合されるのが良い。アクチュエータ154のスロット付きヘッドには作動スロット156が形成されるのが良い。図示の実施形態では、駆動ロッド158が細長いシャフト50内で摺動可能であり、この駆動ロッドは、アクチュエータ154を細長いシャフト50に対して近位側に前進させたり遠位側に前進させたりするようアクチュエータ154に結合されている。第1および第2のベースジョー120,170の作動ポスト126は、アクチュエータ154の長手方向並進によりベースジョー120,170が開閉されるよう作動スロット156内に位置決めされるのが良い。
【0029】
図26および
図27は、アクチュエータ154、第1のベースジョー120、および第2のベースジョー170を示している。図示のように、アクチュエータ154を長手方向に並進させてベースジョー120,170を互いに対して回動させることができ、その結果、ベースジョー120,170を選択的に開き形態(
図26)または閉じ形態(
図27)に位置決めすることができるようになっている。
【0030】
図28および
図29を参照すると、縫合針の実施形態が示されている。図示のように、針200は、第1の穿通先端部に隣接して位置する第1のシム切欠き210、第2の穿通先端部に隣接して位置する第2のシム切欠き212、第1の穿通先端部に隣接して位置する第1の凹部214、および第2の穿通先端部に隣接して位置する第2の凹部216を有する。どのシムが針をロックするかを交互に選択することによって、針をこの器具の2つのジョー相互間に通すことができる。有利には、針は、第1および第2の凹部214,216によって提供される戻り止め特徴部を更に有し、かかる戻り止め特徴部により、ジョーは、針を定位置に(すなわち、格納形態に)ロックするシムが存在していない状態で針を把持することができる。針は、縫合糸を挿通状態で受け入れる孔218を更に有するのが良い。想定されるように、幾つかの実施形態では、縫合糸は、孔218のところで針200に結合されたリーダーセグメント、例えば編組金属またはポリマーセグメントと、例えばクリンプ継手のところでこのリーダーに結合された縫合セグメントとを有するのが良い。種々の実施形態では、リーダーセグメントに結び目を作ることができ、リーダーセグメントを接着剤、熱成形によりくっつけることができ、あるいは針の周りに結束することができる。種々の実施形態では、縫合糸とリーダーに結び目を作ることにより、縫合糸およびリーダーを内部で熱成形することによって、または接着剤でくっつけることによってリーダーセグメントおよび縫合セグメントを固定することができる。縫合セグメントは、モノフィラメントポリマー縫合糸であるのが良い。
【0031】
望ましくは、編組リーダーおよびモノフィラメント縫合セグメントを備えたこの縫合糸構造は、弾性であるのが良く、しかも利用性を高めることができる。針を組織中に刺入することにより、針/リーダーインターフェースのところでのリーダーの曲げの繰り返しを生じさせることができる。より可撓性の高い材料をこのインターフェースのところでの材料の曲げの繰り返しに起因して破断する恐れを減少させることができる。この可撓性はまた、針を組織中に刺入する力の大きさを減少させ、と言うのは、この材料は、容易に曲がり、したがってプロフィールを減少させるからである。幾つかの実施形態では、リーダーを針孔中に挿入することができ、次にこの孔内に圧着させることができる。リーダーをステンレス鋼圧着管によって縫合糸に連結するのが良い。縫合糸はまた、可撓性を増大させるよう編組されるのが良い。幾つかの実施形態では、リーダーは、望ましくは強度を高めることができ、しかも針への溶接を可能にする編組ステンレス鋼であるのが良い。
【0032】
幾つかの実施形態では、縫合セグメントは、これが組織を通って引っ込んで創傷の披裂を生じさせないように一方向にとげ付きのモノフィラメントまたは編組縫合糸から成るのが良い。この保持特徴部により、外科医がステッチの実施後のたびに結び目を作る必要性がなくなり、それにより手術の効率および容易さが向上する。針と反対側の縫合糸の端部は、組織中へのそれ以上の移動および創傷の披裂を阻止するためのアンカーを有するのが良い。幾つかの実施形態では、アンカーは、組織を通る最初のパス後に縫合糸を通す固定または可変直径ループを有するのが良く、その結果、結び目なしの固着部が得られる。次に、縫合は、結び目を全く作る必要なく続行される。他の実施形態では、縫合糸のアンカーは、T字形アンカーから成るのが良い。望ましくは、T字形アンカーは、組織を最初のパス後に縫合糸をアンカーループ中に通す必要をなくすことができる。
【0033】
引き続き
図29を参照すると、図示の実施形態では、針は、穿通先端部が互いに反対側の端部に配置された状態の二重ヘッド型形態から成るのが良い。針の中央本体は、全体として湾曲しているのが良い。幾つかの実施形態では、針は、針からベースジョーのピボット中心線までの距離に等しい曲げ半径を有するよう湾曲している。この曲げ半径は、組織を通って針を案内するのを助けることができ、しかも組織の穿通中に針を曲げる場合のあるトルクの大きさを最小限に抑えることができる。他の実施形態では、針は、単一の穿通先端部が一端部に設けられた単一ヘッド型形態から成るのが良い。
【0034】
図30~
図33を参照すると、第1のベースジョー120(
図30)の実施形態およびクレビス152の実施形態が示されている。図示のように、ベースジョー120,170とクレビス152の両方は、シムおよびケーブルの操作を容易にする通路、例えば長手方向スロットまたはチャネルを有するのが良い。
【0035】
図34~
図37を参照すると、ジョー組立体100およびジョー作動機構体150は、ジョー組立体が、針200がジョーのうちの一方の中に位置した状態の格納形態にある状態で示されている。
図37は、リーダー222、圧着部224、および縫合セグメント226を備えた縫合糸220が取り付けられている針200を示している。
【0036】
図38~
図40を参照すると、ジョー作動機構体のためのアクチュエータ154の一実施形態が示されている。図示のように、アクチュエータは、作動スロット156が互いに反対側の表面に設けられたスロット付き作動部材を有している。作動部材のスロット付き部分は、ピボットの近位側で第1のベースジョーと第2のベースジョーとの間に位置決めされるのが良く、その結果、ベースジョーの作動ポストが各々、作動スロット156内に受け入れられるようになっている。
【0037】
図41を参照すると、腹腔鏡下縫合器具10の実施形態が示されている。縫合器具10は、ハンドル組立体300、細長いシャフト50、およびジョー組立体100を有するのが良い。ハンドル組立体は、近位端部から遠位端部まで全体として長手方向に延びるのが良い。ハンドル組立体300は、ハンドル組立体から突き出た回動可能なレバーを含むトリガ機構体310を含むのが良い。他の実施形態では、他のハンドルおよびトリガ形態を本明細書において説明するジョー組立体機構体の種々の観点に使用することができることが想定される。細長いシャフト50は、ハンドル組立体の遠位端部から遠位側に延びるとともに縫合器具10の長手方向中心軸線を定めている。ジョー組立体100は、互いにかつ細長いシャフト50の遠位端部52に回動可能に結合された1対の対向したジョーを含むのが良い。
【0038】
図42および
図43を参照すると、ハンドル組立体の実施形態が部分分解組立て図および完全分解組立て図で示されている。
図42では、ハンドルハウジングは、ハンドルハウジング内に設けられているトリガ機構体310、クロージャ機構体340、トグル機構体350、およびラッチ機構体380を示すために取り外されている。
図43では、トリガ機構体310、クロージャ機構体340、トグル機構体350、およびラッチ機構体380が分解組立て形態で示されている。
【0039】
図44および
図45を参照すると、ハンドル組立体の実施形態の断面図が示されている。
図44は、断面平面図である。
図45は、断面側面図である。
【0040】
図46~
図51を参照すると、ハンドル組立体の部分断面図がジョー組立体100および針200の対応の位置とともに示されている。
図46は、ハンドル組立体を針200が第1のジョー110内に位置決めされた初期位置で示している。
図47および
図48は、トリガ機構体の第1および第2のレバー312,322をハンドル組立体300のハンドル本体に向かって引き絞るときの作動順序を示している。
図49~
図51は、トリガ機構体310の第1および第2のレバー312,322をハンドル組立体300のハンドル本体から解除しているときの作動順序を示している。
【0041】
図46~
図48を参照すると、トリガ機構体は、各々がハンドル本体に対して回動可能な1対の対向したレバー312,322を含むのが良い。図示のように、レバーは、ハンドル組立体の遠位端部に隣接したところでハンドル本体に回動可能に結合されるのが良い。レバー312,322の各々には駆動スロット314,324が形成されるのが良い。図示のように、駆動スロット314,324は、レバーを引き絞っているときにジョーを当初閉じ、次にトグル機構体が作動されている間、レバー312,322のそれ以上の運動時に閉鎖状態を維持するよう構成されたプロフィールを有するのが良い。例えば、駆動スロット314,324は、駆動セグメント316,326および滞留セグメント318,328を有するのが良い。クロージャ機構体340が駆動スロット314,324によって案内されるとともに駆動ロッド342の近位端部に結合されたポストを含むのが良く、これらポストは、細長いシャフト50を貫通してジョー作動組立体150まで遠位側に延びている。したがって、ハンドル本体(
図46および
図47)に向かうレバー312,322の初期運動時、ポスト344は、駆動スロット314,324の駆動セグメント316,326を通って案内されて駆動ロッド342を長手方向に並進させてベースジョー120,170を閉じる(
図47)。
【0042】
図47および
図48を参照すると、ハンドル本体に向かうレバー312,322のそれ以上の圧縮の結果として、クロージャ機構体のポスト344は、駆動スロット314,324の滞留セグメント318,328内で動き、その結果駆動ロッド342のそれ以上の変位が最小限に抑えられる。しかしながら、トリガ機構体のレバー312,322は各々、ハンドル組立体内で全体として近位側に延びる作動リンク320,330の第1の端部に回動可能に結合されている。第1の端部と反対側の作動リンク320,330の第2の端部は、ハンドル本体内で長手方向に並進可能な駆動プッシャ352に結合されている。ハンドル本体内における駆動プッシャ352の長手方向並進により、トグル機構体350を作動させることができ、それにより
図52~
図60を参照して更に説明するようにトグル管354をハンドル本体内で選択的に回転させることができる。
【0043】
図46~
図48を参照すると、トリガ機構体(
図46および
図47)のレバー312,322の初期圧縮により、作動リンク320,330が作動されて駆動プッシャ352をトグル機構体350のトグル管354に沿って近位側に並進させる。トリガ機構体のレバー312,322のそれ以上の圧縮により、作動リンク320,330が作動されて駆動プッシャをトグル管354に沿って近位側に並進させるとともにトグル管をハンドル本体の長手方向軸線回りに回転させる。
図52~
図60を参照して本明細書において更に説明するように、トグル管354の回転により、第1のシム360および第2のシム370のうちの一方が交互に長手方向に送り進められて針200を第1および第2のジョーのうちの一方の中で交互に保持する。かくして、ユーザがトリガ機構体のレバー312,322を引き絞ると、ジョー組立体のジョーが閉じられ、針200が一方のジョーから別のジョーにわたされる。
【0044】
図49~
図51を参照すると、レバー312,322を解除することにより、クロージャ機構体340のポスト344がスロット314,324(
図49および
図50)の滞留セグメント318,328に沿って案内される。この初期開放運動中、トグル管354は、引き続き回転し、シムのうちの一方の前進を完了させる。レバーが引き続き広がっているとき、クロージャ機構体340のポスト344は、スロット314,324(
図50および
図51)の駆動セグメント316,326沿いに動き、その結果、駆動ロッド342を長手方向に並進させてジョー組立体を開き形態に戻す。このそれ以上の運動により、駆動プッシャ352は、トグル機構体350のトグル管354に沿って遠位側に並進する。
【0045】
図52~
図54を参照すると、トグル機構体の種々の観点がそれぞれ等角図、平面図、および側面図で示されている。図示のように、トグル機構体350は、トリガ機構体310の作動によってハンドル本体内で長手方向に摺動可能な駆動プッシャ352を含む。駆動プッシャ352は、駆動プッシャ352の各二股部から突き出たフォロワ353、例えばポストを有する二股状近位端部を有するのが良い。駆動プッシャ352が一体形成コンポーネントとして図示されているが、他の実施形態では、プッシャのフォークアームは、同様な仕方で機能する別々の部品であるのが良い。幾つかの実施形態では、プッシャのフォークアームは、剛性であるのが良く、ピンをトグル管と接触状態に保つ並進ピンおよびばね要素を備えるのが良い。トグル機構体350は、ハンドル本体内で回転可能なトグル管354を更に含むのが良い。図示のように、トグル管354は、カム駆動スロット356およびシムガイド358を有する。駆動プッシャのフォロワ353は、カム駆動スロット356内に位置決めされるのが良い。カム駆動スロット356は、1対の全体として長手方向に延びるリードセグメントおよびこれらリードセグメント相互間でハンドル本体の長手方向軸線に対して横向きの角度をなして延びる回転セグメントを有するのが良い。
【0046】
引き続き
図52~
図54を参照すると、トグル機構体350は、近位端部のところに第1のフォロワ362を備えた第1のシム360および近位端部のところに第2のフォロワ372を備えた第2のシム370を更に含むのが良い。フォロワ362,372は、シム360,370から半径方向内方に延びる突出ポストから成るのが良い。フォロワ362,372の各々は、トグル管354のシムガイド358内に位置決めされるのが良い。他の実施形態では、シムは、フォロワなしでシムを動かすためにシムガイド内に位置決めされた半径方向内方に延びるフランジを有するのが良い。シムガイド358は、シム前進プロフィールを有するのが良く、その結果、ハンドル本体内におけるトグル管354の回転により、シム360,370のフォロワ362,372が交互に長手方向に前進し、または引っ込むようになっている。かくして、トグルサイクルをなすトグル管354の回転により、シム360,370を交互に前進させたり引っ込めたりすることができ、それにより
図18~
図20を参照して説明するように針をフリップジョーのうちの一方または他方の中に交互に保持することができるようになっている。
【0047】
図55~
図60を参照すると、トグル機構体の作動順序が断面図で示されている。
図55では、駆動プッシャ352のフォロワ353をカム駆動スロット356の長手方向リードセグメント内に位置決めし、第1のシム360が遠位側前進位置にあり、第2のシム370が引っ込み位置にある。
図46および
図47を参照して上述したようなジョー組立体の閉じに対応してトリガ機構体の当初の引き絞り操作中、フォロワ353を
図55および
図56に示されているようにカム駆動スロット356のリードセグメントに沿って長手方向近位側に前進させる。トグル管354をこの操作中回転させず、第1および第2のシム350,370は、これらの初期位置に位置したままである。
【0048】
図56~
図58を参照すると、トグル機構体350の作動順序中、いったんジョークロージャを越えてトリガ機構体を引き絞ると(
図47および
図48)、駆動プッシャ352のフォロワ353は、カム駆動スロット356の回転セグメントに達する。回転セグメントは、駆動プッシャ352による作動時、トグル管354を所定の方向に回転させるよう構成されているのが良い。例えば、回転セグメントは、回転セグメントとリードセグメントの交差部のところに可変深さプロフィールを有するのが良く、その結果、フォロワ353を回転セグメント中に前進させると、カムフォロワ353は、回転セグメントの所望のセグメントをたどってトグル管を所定の方向に回転させる傾向がある。回転セグメントは、ハンドル本体の長手方向軸線に対して横断方向のトグル管354に沿って延び、その結果、トグル管に対する駆動プッシャ352およびフォロワ353のそれ以上の近位側への前身により、トグル管354がハンドル本体内で回転するようになる(
図56~
図58)。同様に、トグル管354のこの回転により、シムガイド358が回転し、その結果、第1のシムフォロワ362および第1のシム360が近位側に引っ込められ、第2のシムフォロワ372および第2のシム370は遠位側に送り進められる。かくして、
図47および
図48を参照して上述したようなジョー組立体の閉鎖したトリガ機構体の連続した引き絞り操作中、フォロワ353を
図56~
図58に示されているようにカム駆動スロット356の回転セグメントに沿って前進させる。トグル管354をこの操作中回転させ、第1および第2のシム360,370を長手方向に動かす。
【0049】
図58~
図60を参照すると、トグル機構体350の作動シーケンス中、トリガ機構体をいったん完全引き絞り向きから解除すると(
図49~
図51)、駆動プッシャ352のフォロワ353は、カム駆動スロット356の回転セグメントの最も近位側のピークに達する(
図58)。回転セグメントは、トリガ機構体の解除および駆動プッシャ352の遠位側への運動時、トグル管354を所定の方向に回転させるのを続行するよう構成されているのが良い。例えば、回転セグメントは、回転セグメントの最も近位側のピークのところに可変深さプロフィールを有するのが良く、その結果、フォロワ353を回転セグメントに沿って前進させているとき、フォロワ353は、回転セグメントの所望のセグメントをたどる傾向があり、それによりトグル管を所定の方向に回転させるようになっている。さらに、フォロワ353を駆動プッシャに設けられている可撓性アームの端部のところに配置するのが良く、この可撓性アームは、フォロワ353が深さステップにわたって前進することができるようにする板ばねとして作用する。回転セグメントは、ハンドル本体の長手方向軸線に対して横断方向のトグル管354に沿って延び、その結果、トグル管に対する駆動プッシャ352およびフォロワ353の当初の遠位側への引っ込みにより、トグル管354は、ハンドル本体内で引き続き回転するようになる(
図58および
図59)。有利には、この回転の続行は、トグル管の「二重作用」ストローク(すなわち、トリガ機構体の引き絞りと解除の両方の間の回転)によって形成される。この二重作用ストロークは、望ましくは、もしそのように構成されていなければトグル管を回転させるのに必要なトリガ機構体のストローク長さを半分にし、それによりフォロワ353とカム駆動スロット356から成るシステムの小さな圧力角度の実現を可能にする。同様に、トグル管354のこの回転により、シムガイド358が回転し、その結果、第1のシムフォロワ362および第1のシム360が近位側に引っ込められ、第2のシムフォロワ372および第2のシム370が遠位側に送り進められる。かくして、
図49および
図50を参照して上述したように初期滞留部分に対応したトリガ機構体の当初の解除操作中、フォロワ353を
図58および
図59に示されているようにカム駆動スロット356の回転セグメントに沿って前進させる。トグル管354をこの操作中回転させ、第1および第2のシム360,370は、第2のシム370が遠位前進位置に達するとともに第1のシムが近位側引っ込み位置に達するまで遠位側に動き続ける。
【0050】
図60を参照すると、トグル機構体350の作動シーケンス中トリガ機構体が完全解除位置(
図50および
図51)まで移動し続けているとき、駆動プッシャ352のフォロワ353は、カム駆動スロット356の長手方向リードセグメントに達する(
図60)。回転セグメントは、回転セグメントとリードセグメントの交差部のところに可変深さプロフィールを有するのが良く、その結果、フォロワ353を近位側に引っ込めているとき、フォロワ353は、リードセグメントに入る傾向がある。かくして、長手方向に延びるリードセグメントに沿うトグル管に対する駆動プッシャ352およびフォロワ353の遠位側への引っ込みの続行により、ハンドル本体内のトグル管354の回転向きが維持される(
図60)。かくして、
図50および
図51を参照して上述したようなジョー開き部分に対応したトリガ機構体の完全解除作動中、フォロワ353を
図60に示されているようにカム駆動スロット356のリードセグメントに沿って前進させる。この作動中、第2のシム370は、遠位側前進位置に位置したままであり、第1のシム360は、近位側引っ込み位置に位置したままである。
【0051】
したがって、図示の実施形態では、トリガ機構体の1回の圧縮および解除サイクルにより、トグル機構体350がサイクル動作してトグル管354を180°回転させる。トグル管354のこの180°の回転により、一方のシム360が遠位側前進位置から近位側引っ込み位置に再位置決めされるとともに他方のシム370が近位側引っ込み位置から遠位側前進位置に再位置決めされる。かくして、有利には、図示のトグル機構体により、単一のトリガ機構体がジョーの開き/閉じ/開きサイクルを作動させるとともにシムを交互に前進させて針をジョーのうちの一方の中に保持することができる。他の実施形態では、他のトグル機構体を用いると、トリガ機構体のサイクルに応動してシムを交互に前進させたり引っ込めたりすることができる。
【0052】
上述したように、フリップジョーは、格納形態と縫合形態の間で回転可能にねじりばね・ケーブル機構体を利用する。フリップジョーは、ベースジョーによってフリップジョーのいずれか一方の端部上に保持された合わせピン回りに回転する。幾つかの実施形態では、ケーブルの遠位端部は、対応のフリップジョーの底部に溶接されており、このケーブルの遠位端部は、ハンドル内に設けられたラッチ機構体によって制御される。他の実施形態では、ケーブルは、各ケーブルを対応のフリップジョーに設けられたスロット内に圧着することによりまたは対応のフリップジョーに取り付けられている各ケーブルの端部に取り付け具を設けることによって対応のフリップジョーに取り付けられるのが良い。他の実施形態では、フリップジョーケーブルもまた、はんだまたはろう付けによってフリップジョーに固定されるのが良い。ねじりばねは、フリップジョーとベースジョーとの間でフリップジョーの回転軸線上に位置している。ばねは、フリップジョーを回転させてこれを作動縫合形態にするよう付勢されている。フリップジョーを回転させてこれを作動状態にするため、ケーブルの張力が解除され、それによりねじりばねがジョーをくるっと回すことができる。フリップジョーを回転させてこれを非作動状態にするため、ケーブルに張力を加える。
【0053】
図61~
図63を参照すると、ラッチ機構体380の作動順序が示されている。
図61は、ラッチ機構体をフリップジョーの縫合形態に対応したラッチ外し形態で示している。ラッチ機構体380は、ハンドル組立体の近位端部のところにラッチノブ381を含むのが良い。図示の実施形態では、ラッチノブ381は、第1および第2のガイドスロット384,386が形成されたラッチ管382に結合されている。ラッチ機構体は、
図14~
図17を参照して上述したようにハンドル組立体および細長いシャフトを遠位側に貫通してジョー組立体のフリップジョーに結合された第1および第2のケーブル390,394を更に含む。ケーブル390,394の近位端部は、ラッチ管382のガイドスロット384,386内に位置決めされたポスト392,396に結合されている。ポスト392,396は、トグル機構体のトグル管354に結合されている支承管から突き出た合わせピンであるのが良く、ポスト392,396の近位側への運動によりトグル管およびシム360,370が近位側に引っ込められるようになっている。
【0054】
引き続き
図61~
図63を参照すると、ラッチノブ381の回転時、ラッチ管382はこれに対応して回転する。かくして、ポスト392,396は、ガイド管のガイドスロット384,386との相互作用によって近位側に引っ込められる。ポスト392,396のこの近位側への運動により、張力がケーブル390,394に加えられてフリップジョーを縫合形態(
図61)から格納形態(
図63)に回動させる。また、ポスト392,396のこの近位側への運動により、トグル管354およびシム360,370が近位側に引っ込められる。ラッチ機構体380を部分的に回転させた状態で、シム360,370を両方のジョーから引っ込めるのが良く、その結果、ジョー組立体に所望ならば新たな針を再び装填することができるようになっている。ラッチノブ381のそれ以上の回転により、ポスト392,396は、例えば平坦なセグメントまたは戻り止めにより格納形態にあるフリップジョーを有するラッチ留め形態にラッチ機構体380を維持するよう構成されているのが良い案内スロット384,386の端部のところに位置決めされる。
【0055】
縫合器具をラッチ外ししてフリップジョーを縫合形態に位置決めすることが望まれる場合、
図61~
図63の順序を逆に実施するのが良い。ラッチ外し順序では、ハンドル内のラッチ機構体は、ケーブル張力を解除するとともに針ロックシムを一動作で前方に摺動させる。ケーブル張力を解除するとともにばねが作動状態のフリップジョーの回転をやめた後、シムは、フリップジョー中に前方に摺動してフリップジョーが非作動状態に回転して戻るのを阻止する。一方のシムは、針をそのジョー内にロックするために更に摺動する。幾つかの実施形態では、ラッチ機構体は、縫合器具のラッチ留め形態とラッチ外し形態の両方においてケーブルに働く張力を維持するための引っ張りばねを更に含むのが良い。
【0056】
ラッチ留め機構体のねじりばね付勢ラッチ外しおよびケーブル駆動ラッチ留め操作が図示されているが、他の実施形態では、他のラッチ留め機構体を本明細書において説明したような縫合器具に用いることができる。例えば、幾つかの実施形態では、各ジョーは、フリップジョーを縫合形態に回動させるための第1のケーブルおよびフリップジョーを格納形態に回動させるための第2のケーブルを有するのが良い。他の実施形態では、フリップジョーを押したり引いたりすることができるより剛性の高いケーブルまたはロッドを用いて縫合または格納形態に回転させまたは押すことができ、この場合、ねじりばねまたは2本の相互に反作用するケーブルの必要性がなくなる。さらに別の実施形態では、フリップジョーをウォーム歯車およびセクタ、ニチノールアクチュエータ、または親ねじ・ナット装置によってベースジョーに対して回動させるのが良い。
【0057】
図64を参照すると、遠位端部に隣接した細長いシャフトの断面が示されている。図示の実施形態では、細長いシャフト50は、駆動ロッド、ケーブル、およびシムを挿通させるカバー管およびスペーサ部材56を有するのが良い。幾つかの実施形態では、スペーサ部材は、押し出し成形部材であるのが良い。スペーサ部材は、カバー管内のシム、ケーブル、および駆動ロッドの腰折れを阻止することができる。ユーザがトリガ機構体のレバーを引き絞ると、レバーは、縫合器具のシャフトの長さ沿いに下方へ駆動ロッドに力を伝達する。
【0058】
図65および
図66を参照すると、幾つかの実施形態では、針200および縫合糸420は、編組ポリマー管アンカー430を有するのが良い。編組ポリマー管430は、縫合糸のためのアンカーとして使用できるよう針と反対側の縫合糸の端部のところに配置されるのが良い。編組ポリマー管430のアンカーは、溶接、接着剤、または別の接合方法により縫合糸の端部に取り付けられるのが良い。有利には、編組ポリマー管430は、多数の挿入領域が互いにオーバーラップしたポリマーストランドの隣り合う領域相互間の空所によって提供された状態で、外科医が針を通すための比較的容易な標的を提供することができる。
【0059】
図66を参照すると、ある特定の実施形態では、針200および縫合糸420は、針200と縫合糸420との間に編組ポリマー管を有するリーダーセグメント440を有するのが良い。編組ポリマー管は、針インターフェースのところに縫合糸の高められた可撓性を実現できる。
【0060】
図65および
図66を参照すると、ある特定の実施形態では、針および縫合糸420は、縫合糸による組織の保持を容易にするよう一方向とげ付き(バーブド)縫合糸を含むのが良い。他の実施形態では、滑らかなモノフィラメント縫合糸を編組ポリマー管アンカーおよび/または編組ポリマー管リーダーと併用するのが良い。
【0061】
本明細書において説明する縫合器具は、これらの構成にあたって種々の材料および材料の組み合わせを有することができる。例えば、幾つかの実施形態では、フリップジョー、ベースジョー、クレビス、スロット付きヘッド、駆動ロッド、ケーブル、ねじりばね、シム、合わせピン、針、戻り止めばね、戻り止めボール、カバー管、縫合糸圧着部、トグル管、およびリベットは、金属、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタン、タングステン、黄銅、青銅、またはこれらの合金で作られるのが良い。幾つかの実施形態では、シムおよび/またはケーブルは、高い可撓性および長い疲れ寿命の実現を可能にするためにニッケル‐チタン(ニチノール)で作られるのが良い。幾つかの実施形態では、モノフィラメントまたは編組縫合糸および柔軟性マルチフィラメントリーダーは、非生体吸収性ポリマー、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、もしくは絹で作られても良く、あるいは、生体吸収性ポリマー、例えばポリジオキサノン、ポリ乳酸、ポリグリコリド、乳酸‐グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、またはカットグットで作られても良い。幾つかの実施形態では、トリガレバー、リンケージ、ラッチ、ノブ、シムフォロワ、および駆動ロッドアダプタのうちの幾つかまたは全ては、プラスチック、例えばポリカーボネート、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、PEEK、ポリウレタン、PVC、アクリル樹脂、ナイロン、ポリスチレン、アセタール、炭素繊維、ポリイミド、またはポリエステルで作られるのが良い。
【0062】
縫合器具の図示の実施形態は、比較的小径の手術ポートを通る比較的大径の針の挿入を可能にする格納小径プロフィール形態にジョーを構成するためのラッチ留め機構体を有するが、縫合器具の他の実施形態では、他の形態が挿入を可能にする小径プロフィールを達成することができるということが想定される。例えば、幾つかの実施形態では、縫合器具は、入れ子式に縮むことができる針を有することができる。圧縮要素、例えばばねが針内に収容されるのが良く、かかる圧縮要素により、針の2つの半部が組織穿通よりも大きな力を受けると同心状に縮むことができる。ジョーの閉じは、ジョーからジョーへの針の通過のための1つの設定およびジョーのそれ以上の閉じを可能にするための別の設定によって選択的に制御でき、それにより針を低プロフィール状態に縮めて5mmトロカールを通る引っ込みを可能にする。
【0063】
図示の実施形態では、縫合糸は、ジョー組立体が手術ポートを通って挿入可能な低プロフィール格納形態にある状態で細長いシャフトに沿って位置決めされる。他の実施形態では、縫合器具のプロフィールを挿入可能に更に減少させるということが想定される。例えば、幾つかの実施形態では、細長いシャフトのクレビスおよび外側管には、縫合糸がトロカール中への挿入中に整列する軸方向溝が形成されるのが良く、それにより縫合器具の断面プロフィールを減少させる。他の実施形態では、縫合糸を、トロカール中への挿入中に2つのベースジョー内にコイル状に巻きまたは折り曲げるのが良く、その目的は、縫合器具の断面プロフィールを減少させることにある。ジョー組立体を格納状態にしてベースジョーをコイル状に巻かれたまたは折り曲げられた縫合糸周りに閉じるのが良い。次に、ベースジョーを体腔内に位置している間に開いて縫合糸を放すのが良い。他の実施形態では、縫合器具は、導入管を更に有するのが良く、縫合糸をトロカールに通して挿入できるようこの導入管内でコイル状に巻きまたは折り曲げることができる。この導入管は、望ましくは、トロカールを通る挿入中、縫合器具の断面プロフィールを減少させることができ、しかも大きなプロフィールの縫合糸アンカーの使用を可能にする。導入管は、ベースジョーが格納形態をなして完全に閉じられている間にベースジョーを覆うのが良い。別の器械、例えば外科用把持器が体腔内にいったん挿入されると、導入管をジョーから引き離すことができ、それにより縫合糸を体腔内に放す。次に、導入管を他の器械のトロカールを通って体腔からすぐに抜去するのが良い。
【0064】
本願は、ある特定の好ましい実施形態および実施例を開示しているが、当業者には理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施形態を超えて他の変形実施形態および/または本発明の使用ならびに自明な改造例およびその均等例に及ぶ。さらに、本発明の種々の特徴は、単独でまたは明示的に上述した特徴以外の本発明の他の特徴と組み合わせて使用できる。かくして、本明細書に開示された本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によっては限定されず、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ定められるべきであることが意図されている。