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特許7454653外科的インプラントの配置および固定の方法およびプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】外科的インプラントの配置および固定の方法およびプロセス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/20 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61F2/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022513142
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2020073878
(87)【国際公開番号】W WO2021037927
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】268936
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】517022061
【氏名又は名称】ニクソア エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロン, ウディ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネッロ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ベルトリュス, クロエ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/158305(WO,A1)
【文献】特開平09-238950(JP,A)
【文献】米国特許第06117072(US,A)
【文献】特開平06-054861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0371802(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142120(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0235038(US,A1)
【文献】PMDA,機械器具 50 開創または開孔用器具 管理医療機器 単回使用開創器 13373002 エラスティックステイ,医療機器添付文書,日本,PMDA,2017年11月30日,1/2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/20
A61F 2/00
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって、前記システムは、
インプラントであって、前記インプラントは、
複数の側を有する実質的に平面の中央本体部分であって、前記複数の側は、上側と、下側と、前記上側と前記下側とを接続する少なくとも一対の横方向に対向する側とを含む、中央本体部分と、
調整可能な少なくとも2つの翼部分と、
少なくとも2つの接続部材と
を備え、
前記少なくとも2つの接続部材のそれぞれは、前記中央本体部分の前記一対の横方向に対向する側のそれぞれ1つから延び、前記少なくとも2つの接続部材の前記それぞれは、前記少なくとも2つの翼部分のそれぞれを前記中央本体部分の前記一対の横方向に対向する側のそれぞれ1つにおいて柔軟に接続するように構成されている、インプラントと、
オトガイ舌筋を露出させるための外科的開口部を形成す単極焼灼器と、
前記オトガイ舌筋の少なくとも片側における前記インプラントによる刺激のために舌下神経の枝を露出させエラスティックステイまたは釣り針と、
前記オトガイ舌筋の少なくとも片側において少なくとも1つのポケットを形成す腱切除剪刀および双極焼灼器であって、前記ポケットの寸法は、前記インプラントの前記少なくとも2つの翼部分のうちの少なくとも1つに合うように構成されている、腱切除剪刀および双極焼灼器と
を備え、
前記インプラントは、前記中央本体部分が前記オトガイ舌筋を覆うように延び、かつ、前記少なくとも2つの翼部分のそれぞれが前記少なくとも1つのポケットのそれぞれ1つの中に受け取られるように配置されるように構成されており、
前記インプラントは、前記オトガイ舌筋に固定されるように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(開示される主題の分野)
開示される主題は、睡眠障害、特に、睡眠時無呼吸症候群の治療のための外科的インプラントの設置および固定の方法およびプロセスに関連する。
【背景技術】
【0002】
(開示される主題の背景)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返される部分的または完全な咽頭気道の閉塞を特徴とする一般的かつ不均質な症状である。患者の大多数には、障害に対する解剖学的素因が、存在する。これを悪化させるものは、睡眠中の換気制御の異常(高いループゲインなど)および高い覚醒閾値であり得る。咽頭筋は、気道中の機械受容器からの入力ならびに血中の酸素およびCO2レベルの変化に応答する。オトガイ舌筋は、咽頭気道の主要な拡張筋である。上気道拡張筋が気流制限ならびに/またはCO2およびO2レベルの変化に適切に応答できないことは、閉塞性OSAをもたらし得る。
【0003】
咽頭気道を拡張する手段としての舌下神経刺激は、1993年にSchwartzらによってネコ科動物モデルにおいて最初に記述された。
【0004】
それ以来、OSAを患う患者において舌下神経を片側から刺激するためのいくつかのデバイス(Apnex、Inspire Medical、Imthera)が、開発されてきた。Inspire Medicalのデバイスは、現時点で5年以上使用されており、ヨーロッパおよび北米の両方において使用を承認されている。Inspireの舌下神経刺激装置の枢要な研究の結果が、2014年に公開された。この技術の有効性は証明されているが、MRI適合性の問題と、長いワイヤと、胸部から顎下領域までトンネルに通される必要のあるリードと、鎖骨下皮下組織において皮下に植込まれる埋込み型バッテリーおよびプロセッサとに起因して、潜在的困難が、生じる。
【0005】
(参考文献)
【表1】
【表2】
【0006】
第PCT/EP2018/054913号と、第US9,415,216号、第W02013/046048号、第US8,577,466号を含む出願人の他の多くの出願(参照によって本明細書に援用される)とに開示されたデバイスは、これらの問題のいくつかを避けるように設計されている舌下神経刺激装置および関連付けられたシステムを記述している。舌下神経を両側から同時に刺激することによる気道開放は、片側神経刺激によって達成されるそれより潜在的に有効である。ワイヤをトンネルに通して首から胸部まで下ろす必要もなく、埋め込まれたバッテリーまたはプロセッサも、胸部における切開も、必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2013/046048号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(開示される主題の概要)
一態様では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を治療する方法は、
インプラントを提供することであって、インプラントは、
上側および下側を有する実質的に平面の中央本体部分と、
少なくとも2つの調整可能な翼部分と、
少なくとも2つの接続部材と
を備え、少なくとも2つの接続部材の各々は、中央本体部分の反対側から延び、少なくとも2つの接続部材の各々は、少なくとも2つの翼部分の各々を反対側で中央本体部分に柔軟に接続するように構成されている、ことと、
オトガイ舌筋を露出させるための外科的開口部を形成することと、
オトガイ舌筋の少なくとも片側におけるインプラントによる刺激のために舌下神経の枝を露出させることと、
オトガイ舌筋の少なくとも片側において神経の上方に少なくとも1つのポケットを形成することであって、ポケットの寸法は、デバイスの少なくとも2つの翼部分のうちの少なくとも1つに合うように構成されている、ことと、
外科的開口部を通してインプラントデバイスを挿入することであって、それによって、中央本体は、オトガイ舌筋を覆うように延び、翼部分の各々は、それぞれの少なくとも1つのポケットの中に受け取られる、ことと、
インプラントデバイスを筋に固定することと
を含む。
【0009】
一実施形態では、少なくとも2つの調整可能な翼部分のうちの少なくとも1つは、少なくとも一対の電極を備えている。この例に従うと、電極は、信号を受信するように構成されたアンテナに機械的または電気的に結合され、電極は、アンテナによって受信された信号に応答して電流を受け取るように構成され、それによって、少なくとも対の電極のうちの少なくとも1は、電界を放出するように構成されている。一実施形態では、少なくとも一対の電極は、少なくとも1つのポケットの中に延び、それによって、舌下神経が、電界が放出されると刺激される。
【0010】
方法は、インプラントを筋に固定するための留め要素を使用することを含み得る。そのような留め要素は、縫合糸、接着剤、または機械的、化学的もしくは接着性のものを含む任意の他のタイプの留め要素であり得る。一例では、パラシュート技術が、少なくとも、調整可能な翼部分を固定するために使用される。この実施形態では、縫合糸は、1つ以上の縫合点の位置をマークするために使用され、その後、予めマークされた位置に翼部分を固定するために使用され得る。別の実施形態では、生分解性留め要素が、使用され得る。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群を治療する方法であって、該方法は、
インプラントを提供することであって、該インプラントは、
上側および下側を有する実質的に平面の中央本体部分と、
少なくとも2つの調整可能な翼部分と、
少なくとも2つの接続部材と
を備え、該少なくとも2つの接続部材の各々は、該中央本体部分の反対側から延び、該少なくとも2つの接続部材の該各々は、該少なくとも2つの翼部分の各々を反対側で該中央本体部分に柔軟に接続するように構成されている、ことと、
オトガイ舌筋を露出させるための外科的開口部を形成することと、
該オトガイ舌筋の少なくとも片側における該インプラントによる刺激のために舌下神経の枝を露出させることと、
該オトガイ舌筋の少なくとも片側において少なくとも1つのポケットを形成することであって、該ポケットの寸法は、該デバイスの該少なくとも2つの翼部分のうちの少なくとも1つに合うように構成されている、ことと、
該外科的開口部を通してインプラントデバイスを挿入することであって、それによって、該中央本体は、該オトガイ舌筋を覆うように延び、該翼部分の各々は、該それぞれの少なくとも1つのポケットの中に受け取られる、ことと、
該インプラントデバイスを該筋に固定することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、開示される主題のある実施形態に従った植込み型デバイスの図示である。
【0012】
図2図2は、開示される主題のある例に従った顎先を覆うAC-DPの配置を図示している。
【0013】
図3図3は、開示される主題に従った手術に先立つ患者のセットアップの画像である。
【0014】
図4図4は、手術に先立つ外科的処置のための患者のマーキングおよびセットアップの図示である。
【0015】
図5図5は、GH筋を露出させる外科的ステップの図示である。
【0016】
図6図6は、外科的開口部の図示であり、舌下神経および左GG筋が、露出させられている。
【0017】
図7図7および図8は、露出させられた神経の図示である。
【0018】
図8図7および図8は、露出させられた神経の図示である。
【0019】
図9図9は、開示される主題に従った外部刺激装置(ES)の図示である。
【0020】
図10図10は、術後の切開領域を図示している。
【0021】
図11図11は、開示される主題に従った(例えば、図1の)オトガイ舌筋を覆うように位置付けられた外科的インプラントを図示しており、DPおよびACは、外部に提供されている。
【0022】
図12図12は、PSGの結果のスクリーンショットを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(開示される主題の説明)
(植込み型デバイスおよびシステム)
植込み型刺激装置(IS)の例は、二組の対の刺激電極(デバイスの各側に1ずつ-図1を参照)および中央における受信アンテナからなり、受信アンテナは、アンテナおよび回路を保護するためのシリコン外被に包まれている。二組の電極は、2つの柔軟な脚の上に位置付けられており、オトガイ舌筋および舌骨の動きに適応するだけでなく、変動しやすい神経解剖学も可能にする。開示される主題に従ったインプラントは、
上側および下側を有する実質的に平面の中央本体部分と、
少なくとも2つの調整可能な翼部分と、
少なくとも2つの接続部材であって、少なくとも2つの接続部材の各々は、中央本体部分の反対側から延び、少なくとも2つの接続部材の各々は、中央本体部分に対して反対側にある少なくとも2つの翼部分の各々を柔軟に接続するように構成されている、少なくとも2つの接続部材と
を備えている。
【0024】
IS構造は、両方のオトガイ舌筋を覆うように位置付けることを可能にし、刺激パドル電極は、各筋に対する舌下神経の内側枝に面する。翼部分および接続部材の柔軟性は、筋を覆うインプラントの調整と翼部分の各々のさらなる調整とが筋および神経のそれぞれの解剖学的構造に別個に順応することを可能にする。ISは、滅菌状態で提供される。ISは、(この例に従ってそれがバッテリーを含まない場合)受動デバイスである。
【0025】
使用時および術後処置時、患者は、睡眠前にアクティベーションチップ(AC)を使い捨てパッチ(DP)に接続し(両方ともNyxoah SA、BEによる)、その後、DPおよびACを顎先の下に配置する(図2および図11を参照)。アクティベーションチップおよび使い捨てチップの例は、出願人の他の出願(例えば、第US8,577,468号、第US2014-0052219号およびその他)に開示されており、それらは、参照によって本明細書に援用される。
【0026】
DPは、単回使用の生体適合性接着デバイスであり、ACは、ワイヤレスにエネルギーを移送することによってISのアクティベーションを可能にする。患者は、毎朝、DPからACを取り外し、DPを廃棄する。
【0027】
ACの記憶メモリは、治療を行う医師によってプログラムされたユーザ固有の刺激パラメータを含む。
【0028】
(患者の設定)
経鼻挿管を伴う全身麻酔のもとで、患者は、仰臥位に配置され、首が、肩部ロールによって伸ばされる。舌下神経の内側枝および/またはそれらの終末線維を位置付けるために、そして、妥当な筋収縮を確認するために、術中神経モニタリング(nerve integrity monitoring)システムに接続された4つの電極が、舌の中に挿入される(一組の電極は、各オトガイ舌筋の中に挿入され、もう一組は、各茎突舌筋の中に挿入される(図3を参照))。
【0029】
双極電極は、それらが動くことを防止するために3/0バイクリル(Ethicon Inc、米国)によって舌粘膜に縫合される。電極は、口の一隅に慎重に集められ、接着テープによって口の近くの顔の皮膚に固定される。口を開いたままの状態に保つように、ガーゼロールが、歯の間に側方に挿入され、それによって、舌の動きが、刺激中に観察されることができる。最後に、映像経鼻内視鏡が、挿入され、喉頭蓋および舌根のビューが、達成される。喉頭蓋が見られる深さをマークするために、テープが、鼻孔のレベルでスコープの周りに配置される。その後、スコープは、患者の頭部の隣の手術台の上に置かれ、モニタからプラグを抜かれる。これは、ドレープによって覆われるが、麻酔科医は、依然としてそれにアクセスできる。滅菌ドレープがそれに張り付くことを止めるために、いくらかのガーゼが、鼻の近くのスコープを覆うように置かれる。代替として、任意の時間、経鼻内視鏡の容易な挿入を促進するために、鼻咽頭気道が、挿入され得る。
【0030】
(インプラント技術)
正中線が、オトガイから甲状切痕まで下りるように点線によってマークされる。舌骨は、水平線でマークされる。舌骨とオトガイとの中間点が、マークされる。その後、水平皮膚切開が、長さにおいて4~6cm、舌骨とオトガイとの間の中間点のレベルにおいてマークされる。加えて、参考のために使用される点線が、正中線をマークするために描かれる(図4を参照)。
【0031】
5mlの局所麻酔薬およびアドレナリン(1/100000アドレナリンを伴う1%キシロカイン)が、切開の線に沿って皮膚の中に注射される。皮膚は、胸骨切痕から鼻まで、側方には少なくとも舌骨の大角までベタジンで滅菌される。
【0032】
スプリットシートドレープが、概ね甲状軟骨の下縁から配置され、第二のシートが、口を覆われていない状態に保ちながら鼻孔の真下に配置される。その後、透明な滅菌プラスチックシートが、滅菌された首を露出させられた状態に保ちながら口/鼻/上部ドレープを覆うように配置される。
【0033】
2gの静脈内セファゾリンに続いて、横切開が、なされる。広頚筋を通した切開を深くするために、針またはへら型先端を伴う単極焼灼器が、使用される。広頚筋下皮弁が、オトガイまで上げられ、甲状切痕まで下ろされる。皮弁を牽引するために、4つのLone-Starエラスティックステイ(Cooper Surgical、Trumbull、コネチカット州、米国)または釣り針が、使用される。その後、正中線において脂肪を通って顎舌骨筋まで下りるように垂直に切り開くために、焼灼器が、使用される。正中線の順守は、正中線を示す垂直皮膚マーキングを参照することによって補助される。助手が反対牽引を提供しながら、切開は、顎舌骨筋を通して慎重に続行される。顎舌骨筋の水平線維は、ルーペ拡大によって容易に識別され、分割される。顎舌骨筋が分割されると、オトガイ舌骨筋(GH)の垂直線維が、すぐに露わになる(図5を参照)
【0034】
GH筋は、通常、正中線においてしっかりと並置されており、従って、2つの筋腹の間の正中線を決定することは、ときに困難である。顎舌骨筋をGH筋から少し持ち上げ、その後、下顎の上方からちょうど舌骨の下方まで捜索することは、GH筋の間の平面を識別することをより容易にできる。GH筋は、下顎からちょうど舌骨まで下りて、腱切除剪刀および双極焼灼器(または出血を回避するための単極ジアテルミー)を使用して慎重に分離される。オトガイ舌筋(GG)が識別されるまで、助手は、筋腹を牽引し、それらの緩やかな分離が、正中線において続行する。GG筋の間の脂肪正中線縫線が、直ちに識別される。その時点で、GG筋の間を切り離さず、オトガイ舌骨筋を慎重に切り離してGG筋から外すことが、重要である。外科医が患者の右に立っている場合、必要に応じて腱切除剪刀、Leahyダブおよび双極焼灼器を使用して左/反対のGHをまずGGから外すように切り離すことが、より容易である。助手は、リトラクタを使用して筋を持ち上げる。その後、GGの外側縁が、識別され、その側方の脂肪は、舌下神経を見つけるために慎重に探られる。神経は、上内側を通過し、概ね70度の角度でGGと交差している(図6を参照)。その後、NIMの刺激装置の探針が、神経の位置を補助するために使用され得る。刺激強度は、神経がより正確に位置付けられるまで非常に高く(0.5~1mAmp)設定され得る。
【0035】
ほぼ不変に、静脈(伴行静脈)が、神経の側方に存在し、それは、神経の上面の明瞭なビューを阻害する。これは、神経から外れるように緩やかに切り離され得、双極焼灼器を使用して焼灼され得、その後、分割され得る。神経は、その上面で綺麗に切り離されるべきであり、深いポケットが、神経の上方に作られている。ポケットは、いずれの外力もなくデバイスの脚が合うほど十分に深く、かつ幅広に作られる必要がある。可能な限りGGに近い神経の切離は、任意のリトルーサ(retrusor)枝またはCl枝が刺激される見込みを低減させる(図7を参照)。
【0036】
枝が見られる場合、それらがリトルーサ枝であるかどうかを決定するために、それらは、NIMを使用して刺激されるべきである。このポケットを切り開くとき、舌動脈が、時折見られる。出血は、通常、静脈であり、綿状のものの上の局所アドレナリン、および双極焼灼器によって制御されることができる。
【0037】
神経がその上面で露出させられており、ポケットが作られているとき、NIM刺激装置が、電極の位置を確認するために使用される。刺激強度を0.1mAmpまで低減させることが、重要である。これは、茎突舌筋電極の偽刺激を引き起こし得る舌下神経の逆行性刺激を回避する。依然として茎突舌筋の著しい刺激が0.1mAmpで発生する場合、上方に向かうこの筋(図8を参照)に対する枝を探すために、慎重な切開が、実行される。見つけられた場合、それは、舌下神経の内側継続から離れるように緩やかに切り離されるべきであり、ポケットは、枝の内側に作られている。
【0038】
開示される主題の例に従うと、GGの収縮を誘発するように電極を位置付けたとき、舌の引き込みをもたらし得る神経(すなわち、茎突舌筋または舌骨舌筋などのリトルーサ)の任意の枝を刺激することを回避することが、有利である。一例では、それぞれの枝は、直視下に置かれる。
【0039】
茎突舌筋に対する枝が舌下神経を舌骨舌筋のそれの近位に保っている場合、一例では、NIM電極は、手術中に両方の舌骨舌筋および両方のオトガイ舌筋の中に直接に配置され、NIMモニタに接続される。このステップは、口内でのNIM電極の配置に加えて実施されることができる。そのような組み合わせは、二組の応答を比較することを可能にする。
【0040】
その後、プロセスは、右の神経に関して繰り返され、外科医は、側を切り替え、患者の左側に立つ。
【0041】
あらゆる出血を調べて制御した後、生理食塩水でポケットを洗浄し、あらゆる月餅を洗い流し、活動的または潜在的な出血源がないことを確実にする。その後、インプラントは、所定位置に配置され、1つの電極が、そのポケットの中に挿入される。神経が両方の電極を通過することを確かめることが、重要である。デバイスの脚がポケットの中に楽に収まっていない場合、ポケットは、少し、より大きく作られるべきであり、デバイスの脚が、再び挿入される。位置が満足のいくものである場合、外部刺激装置(ES)(図9を参照)は、ONにされ、デバイスアンテナを覆うように直角に配置され、それによって、インプラントは、アクティベートされ、治療効果が、テストされることができる。刺激装置は、最小量のエネルギーがデバイスに伝送されるように、まずリトラクタを使用してその最大距離で設定されるべきである。
【0042】
その後、距離は、舌の強い収縮があるまで徐々に低減させられるべきである。NIMモニタは、オトガイ舌筋電極における高い電位と、茎突舌筋電極における低い示度とを表示すべきである。茎突舌筋電極がGG電極と同様の示度を示している場合、ISの位置は、動かされ得、これは、しばしば、高いGG示度および低いSG示度をもたらす。それが改善されることができない場合、電極位置は、調整されることを必要とし得、その調整は、可能な場合、神経のさらなる内側切離を伴い、任意のリトルーサ枝またはCl枝が識別されることができる場合、それらの分離を伴う。示度が満足のいくものであり、舌の収縮が強いように見えるとき、電極は、各デバイスの脚の上に位置付けられた専用の縫合穴を通して配置された2×3/0Ethibond縫合糸(Ethivon Inc、ニュージャージー州、米国)を使用して所定位置に固定される。歯のない鉗子のみが、使用されるべきであり、デバイス電極は、決していずれの金属とも接触すべきでない。IS脚は、縫合穴で歯のない鉗子を使用して、または指によってのみ保持されるべきである。縫合糸は、まずデバイスに通され、その後、結び目を結ぶ前に軟組織に通されるべきである。これは、専用の縫合穴以外の位置において誤ってデバイスに穴を開けること(回路に損傷を与え、故障をもたらし得る)を防止するためである。
【0043】
同じプロセスが、もう一方の側に関して繰り返される。その後、ISのアンテナ部分が、オトガイ舌筋に縫合される。ここでも、最初に縫合糸をデバイスにおける専用の縫合穴に通し、その後に軟組織に通すことは、重要である。小型直角クランプ(Mixter)が、その深面の上でデバイスを支持するために使用されることができ、縫合穴を通して縫合針を押し込むことをより容易にする。
【0044】
その後、デバイスは、ACによる刺激のもとでテストされるべきである。これを行うために、皮膚の端が、単一の縫合糸で一時的に閉じられ、透明な滅菌プラスチックの大きなシートが、首および顔を覆うように配置され、滅菌領域を覆う。その後、技術者は、インプラントを覆うようにパッチ(DP)および外部刺激装置(AC)を保持し、NIMモニタ上の応答ならびに舌、喉頭蓋および口蓋の動きが、内視鏡で観察される。閾値または動きに重度の非対称性が存在する場合、電極は、再位置付けされることを必要とし得る。応答が満足のいくものであるとき、プラスチックシートは、滅菌野から取り去られ、一時的な皮膚縫合は、首を再び開くために除去され、傷は、滅菌生理食塩水で洗浄される。インプラント受け取り器具と皮膚との間の深さが、計測されるべきである。それが4cmより大きい場合、いくらかの脂肪が、除去される必要がある。これは、広頚筋に対する表層もしくは深層のいずれか、またはそれらの両方において除去されることができる。オトガイ舌骨筋は、いくつかの途切れた3/0バイクリル縫合糸を使用して一緒に縫合され、その後、顎舌骨筋は、いくつかの3/0バイクリル縫合糸を使用して修復される。広頚筋は、ランニング3/0バイクリルを使用して閉じられ、皮膚は、4/0モノクリル(Ethicon Inc、ニュージャージー州、米国)皮内縫合を使用して閉じられる。著しい脂肪の除去がある場合を除いて、ドレーンは、感染の可能性を防止するために必要とされず、回避されることが最良である。著しい脂肪の除去がある場合、小型吸引ドレーンまたはペンローズドレーンが、使用され得る。防水の手当用品が、施される。インプラントの1つの最終チェックは、AC/DPを保持している技術者によって実施され、気道のビューを取得することを試みるために、内視鏡が、操作される。
【0045】
その後、患者は、抜管され、回復室に移送され、その後、病棟に移送される。
【0046】
(術後管理)
鎮痛要件は、最小であり、痛みスコアは、通常、2/10である。自由な経口摂取が、可能である。患者は翌朝に再びレビューされ、禁忌がなければ自宅に退院させられる。彼らは、5日間、防水の手当用品を保ち、その後、それを取り外すように指示され、手術に続く7日間、レビューが、予定される(図10を参照)。患者は、デバイスをアクティベートするための一ヶ月のアポイントメントを予約される。まず、患者が舌の刺激の間隔に慣れることを手助けするために、低い刺激設定が、プログラムされる。二週間後、刺激が滴定される最初の滴定睡眠研究が、予約される。
【0047】
(実施例)
重度のOSA(AHI73、最下点O2飽和度79%)を患っていたある55歳女性は、経鼻CPAPに対して耐性がなかった。彼女は、毎晩、1~2時間のCPAP使用しか管理できず、その帰結として、過度の日中疲労に苛まれていた。彼女の全般的な健康状態は、他の点では素晴らしかった。
【0048】
検査によって、やや劣勢の上顎および下顎ならびに良好な鼻気道をもつ細やかな婦人が、明らかになった。彼女は、Friedmanグレード2の舌の位置およびグレード2の扁桃腺を有していた。内視鏡検査によって、口蓋後気道および(より低い程度の)舌後気道のAP狭窄が、明らかになった。舌扁桃肥大は、なかった。下顎挙上法は、全てのレベルで気道を改善した。
【0049】
2016年に、彼女は、修正UPPP、越口蓋促進咽頭形成術および高周波舌チャネリングを受けた。
【0050】
彼女は、順調に回復し、彼女の術後三ヶ月のPSGは、27(術前73)のAHIおよび92%の最下点SaO2を示した。しかしながら、彼女の仰臥位AHIは、77.8と変化しなかった。彼女のエプワース眠気尺度は18から4に減少したが、彼女は、依然として主観的に疲労しており、仰向けになることは、頻繁な目覚めを伴う重度の無呼吸症候群をもたらした。
【0051】
ここでも、彼女は、CPAPを再び試すことを拒否し、下顎前方固定スプリントの申し入れを拒否した。彼女は、Nyxoah舌下神経刺激装置のためのスクリーニングを受け、スクリーニングを無事に通過した。
【0052】
彼女のDISEは、AP舌後閉塞を示し、著しい口蓋後閉塞は、なかった。彼女は、手術後の朝に退院し、順調に回復した。
【0053】
彼女のベースラインスクリーニングPSGおよび二ヶ月の滴定PSG数値は、下の通りである。
【表3】
【0054】
三ヶ月の滴定PSGにおいて、デバイスは、02:48にオフに切り替えられ、03:19にオンに戻るように切り替えられ、OSAを制御することにおける有効性を実証した。これは、図12中のPSG上のボックスにおいて強調されている。
【0055】
本明細書に開示される様々な実施形態は人間における使用に関連するが、本発明は全ての哺乳類において、および通気道を有する全ての動物において使用され得ることが、考えられる。
【0056】
本明細書中で使用される見出しは、編成の目的のみのためであり、説明または特許請求の範囲を限定するために使用されることを意図されていない。本出願全体を通して使用されているように、「得る」(“may”)という用語は、強制的な意味(すなわち、必須を意図している)よりむしろ任意的な意味(すなわち、可能性を有することを意図している)において使用される。同様に、「含む」(“include”, “including”, and “includes”)という用語は、含むが限定されないことを意図している。
【0057】
上記は開示される本主題の実施形態および例を対象としているが、開示される主題の他の、およびさらなる実施形態が、それらの基本的な範囲から逸脱することなく考案され得る。
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