(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240314BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240314BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L29/78 301H
H01L29/78 301B
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2022540545
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2021120235
(87)【国際公開番号】W WO2022252445
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】202110610067.7
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】リー ツン-ハン
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-123898(JP,A)
【文献】特開2010-219440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0048856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
半導体基板中に位置する活性領域であって、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む、活性領域と、
埋め込みの方式で前記外囲領域内に形成される第1歪み層であって、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる、第1歪み層と、
前記活性領域に位置するゲートであって、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う、ゲートと、を含
み、
前記半導体デバイスは、第1ソース/ドレイン領域と、第2ソース/ドレイン領域と、を更に含み、前記第1ソース/ドレイン領域と前記第4サブ部は、少なくとも部分的に重なり合い、前記第2ソース/ドレイン領域と前記第2サブ部は、少なくとも部分的に重なり合い、
前記半導体デバイスは、ドーピング深さが前記第1ソース/ドレイン領域よりも小さい第1ソース/ドレインエクステンション領域を更に含み、前記第1ソース/ドレインエクステンション領域は、前記ゲートの下方のチャネルと前記第1ソース/ドレイン領域との間に位置し、且つ前記第1ソース/ドレインエクステンション領域と前記第4サブ部は、少なくとも部分的に重なり合う、半導体デバイス。
【請求項2】
前記中心領域は、矩形であり、前記中心領域は、第1組の平行側辺と第2組の平行側辺とを含み、前記第1組の平行側辺は、前記第1方向に平行であり、前記第2組の平行側辺は、前記第2方向に平行であり、
前記第1サブ部と前記第3サブ部は、前記第1組の平行側辺の中心線に沿って対称になり、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、前記第2組の平行側辺の中心線に沿って対称になることを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1歪み層の前記第1サブ部、前記第2サブ部、前記第3サブ部及び前記第4サブ部は、順次に接続され、前記中心領域を取り囲む環状構造を構成し、
前記第1サブ部の両端はそれぞれ前記第2サブ部の一端と前記第4サブ部の一端に接触して接続され、前記第3サブ部の両端はそれぞれ前記第2サブ部の他端と前記第4サブ部の他端に接触して接続されることを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第2サブ部と前記第4サブ部は、前記ゲートの両側に対称に分布することを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1歪み層は、シリコンゲルマニウム層を含み、
エピタキシャル成長プロセスを用いて前記第1歪み層を形成することを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記半導体デバイスは、第2歪み層を更に含み、前記第2歪み層は、前記中心領域内に位置し、
前記第1歪み層の厚さは、前記第2歪み層の厚さよりも大きく、
前記第1歪み層の厚さは、前記第2歪み層の厚さの5-10倍であることを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記半導体デバイスは、ドーピング深さが前記第2ソース/ドレイン領域よりも小さい第2ソース/ドレインエクステンション領域を更に含み、前記第2ソース/ドレインエクステンション領域は、前記ゲー
トの下方のチャネルと前記第2ソース/ドレイン領域との間に位置し、且つ前記第2ソース/ドレインエクステンション領域と前記第2サブ部は、少なくとも部分的に重なり合うことを特徴とする
請求項
1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記半導体デバイスは、シャロートレンチアイソレーション構造を含み、前記シャロートレンチアイソレーション構造は、前記半導体基板中に位置し、前記活性領域を定義することを特徴とする
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
半導体デバイスの製造方法であって、
半導体基板を提供し、前記半導体基板において、活性領域を定義することであって、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む、ことと、
前記外囲領域内に、埋め込みの方式で第1歪み層を形成することであって、ここで、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる、ことと、
前記活性領域にゲートを形成することであって、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う、ことと、を含
み、
前記半導体デバイスの製造方法は、前記ゲートの両側の活性領域に対してドーピングを行い、第1ソース/ドレイン領域、第1ソース/ドレインエクステンション領域、第2ソース/ドレイン領域及び第2ソース/ドレインエクステンション領域を形成することを更に含み、前記第1ソース/ドレイン領域と前記第1ソース/ドレインエクステンション領域は、前記第4サブ部と少なくとも部分的に重なり合い、前記第2ソース/ドレイン領域と前記第2ソース/ドレインエクステンション領域は、前記第2サブ部と少なくとも部分的に重なり合う、半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記外囲領域内に、埋め込みの方式で第1歪み層を形成することは、
前記外囲領域内に、第1溝を形成し、前記第1溝内に、エピタキシャル成長プロセスで前記第1歪み層を形成することを含むことを特徴とする
請求項
9に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記半導体デバイスの製造方法は、前記中心領域内に第2歪み層を形成することを更に含み、前記第2歪み層を形成することは、
前記中心領域に第2溝を形成し、前記第2溝内にエピタキシャル成長プロセスで前記第2歪み層を形成することを含むことを特徴とする
請求項
9に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板において、活性領域を定義することは、
前記半導体基板において、シャロートレンチアイソレーション構造を形成することで、前記活性領域を定義することを含むことを特徴とする
請求項
11に記載の半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年06月01日に提出された、出願番号が202110610067.7である中国特許出願に基づく優先権を主張し、該中国特許出願の全内容が参照として本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、半導体デバイス及びその製造方法に関するが、それらに限らない。
【背景技術】
【0003】
マイクロ電子デバイスのサイズが絶え間なく小さくなることに伴い、ケイ素材料の低い移転率は、既に、デバイス性能を制約する主な要因となっている。
【0004】
検討によれば、半導体基板において歪み層を設けることによって、キャリアの移転率を向上させることができることが発見された。しかしながら、歪みの設置位置が異なると、キャリアの移転率も異なる。より高いキャリア移転率を得るために、前記歪み層を如何に設けるかは、各半導体メーカーによる検討におけるホット(重要)な課題となる。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、半導体デバイスを提供する。前記半導体デバイスは、半導体基板中に位置する活性領域であって、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む、活性領域と、
埋め込みの方式で前記外囲領域内に形成される第1歪み層であって、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる、第1歪み層と、
前記活性領域に位置するゲートであって、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う、ゲートと、を含む。
【0006】
本願の実施例は、半導体デバイスの製造方法を更に提供する。前記方法は、半導体基板を提供し、前記半導体基板において、活性領域を定義することであって、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む、ことと、
前記外囲領域内に、埋め込みの方式で第1歪み層を形成することであって、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる、ことと、
前記活性領域にゲートを形成することであって、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う、ことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】関連技術による半導体デバイスの概略図である。
【
図1b】関連技術による半導体デバイスの概略図である。
【
図2a】本願の実施例による半導体デバイスの概略図である。
【
図2b】本願の実施例による半導体デバイスの概略図である。
【
図2c】本願の実施例による半導体デバイスの概略図である。
【
図3】本願の実施例による中心領域と外囲領域の概略図である。
【
図4】本願の実施例による環状第1歪み層を有する半導体デバイスの概略図である。
【
図5a】本願の実施例による第2歪み層を有する半導体デバイスの概略図である。
【
図5b】本願の実施例による第2歪み層を有する半導体デバイスの概略図である。
【
図6】本願の実施例による第1ソース/ドレインエクステンション領域、第2ソース/ドレインエクステンション領域を有する半導体デバイスの概略図である。
【
図7】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のフローブロック図である。
【
図8a】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のプロセスのフローチャートである。
【
図8b】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のプロセスのフローチャートである。
【
図8c】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のプロセスのフローチャートである。
【
図8d】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のプロセスのフローチャートである。
【
図8e】本願の実施例による半導体デバイスの製造方法のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、図面を参照しながら、本願の例示的な実施形態をより詳細に記述する。図面には本願の例示的な実施形態を示しているが、理解すべきことは、本願は、様々な形式で実現でき、本明細書に記述された具体的な実施形態により限定されるべきではない。逆に、これらの実施例は、本願のより完全な理解を可能にし、本願の範囲を当業者に完全に伝えることを可能にするために提供される。
【0009】
本出願のより徹底的な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が示されている。しかしながら、当業者にとって明らかなことは、本願は、1つまたは複数のこれらの詳細を必要とせずに実施することができることである。他の例では、本願との混同を避けるために、当業者に公知の技術的特徴のいくつかについては説明しない。即ち、ここで、実際の実施例の全ての特徴については説明せず、公知の機能および構成については詳細には説明しない。
【0010】
図面において、層、領域、素子(要素)の寸法、及びその相対的な寸法は、明確にするために誇張されることがある。同一の符号は始終同一の素子を表す。
【0011】
素子又は層が「……上に」、「……に隣接する」、「他の素子又は層に接続」又は「他の素子又は層に結合」と呼ばれる場合、それは直接的に他の素子層上に位置し、それに隣接し、他の素子又は層に接続又は結合することができ、あるいは、中央(間)に存在する素子又は層が存在してもよいことを理解されたい。逆に、素子が「直接的に……上に」、「……に直接的に隣接する」、「他の素子又は層に直接的に接続」又は「他の素子又は層に直接的に結合」と呼ばれる場合、中間(間)の素子又は層は存在しない。第1、第2、第2などの用語を使用して、様々な素子、部材、領域、層及び/又は部分を記述することができるが、これらの素子、部材、領域、層及び/又は部分は、これらの用語に制限されるべきではないことが明らかである。これらの用語は、1つの素子、部材、領域、層又は部分と別の1つの素子、部材、領域、層又は部分を区別するためのものだけである。従って、本願の教示から逸脱することなく、以下で説明する第1素子、部材、領域、層又は部分は、第2素子、部材、領域、層又は部分として表すことができる。第2素子、部材、領域、層又は部分が議論されている場合、本願には、第1素子、部材、領域、層又は部分が必然的に存在することを示さない。
【0012】
空間関係用語、例えば、「……下にある」、「……下にある」、「下にある」、「……下にある」、「……上にある」、「上にある」などは、ここで、図面に示す1つの素子又は特徴と他の素子又は特徴との関係を説明するためのものとして、説明を容易にするために使用することができる。図面に示す配向(方向)に加えて、空間関係用語は、使用及び動作中のデバイスの異なる配向を含むことを意図していることが理解されるべきである。例えば、図面におけるデバイスが反転した後、「他の素子の下にある」又は「その下にある」又は「その下にある」と記述された素子又は特徴は、他の素子又は特徴「上にある」に配向する。従って、例示的な用語「……下にある」及び「……下にある」は、上と下の2つの配向を含んでもよい。デバイスは、別に(90度回転又は他の配向)配向することができ、ここで使用される空間記述用語は、それに応じて解釈される。
【0013】
ここで使用される用語の目的は、具体的な実施例を説明することのみであり、本願を限定するものではないことである。ここで使用する場合、単数形の「一」、「1つ」及び「前記/該」は、また、文脈が他の方式(意味)を明確に示さない限り、複数形を含むことを意図する。「構成」及び/又は「含む」という用語が、該明細書で使用される場合、前記特徴、整数、ステップ、動作、素子及び/又は部材の存在を決定するが、1つ又はより多くの他の特徴、整数、ステップ、動作、素子、部材及び/又はグループの存在または追加は除外されないことも理解されるべきである。ここで使用する場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の任意及びすべての組合せを含む。
【0014】
N型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(NMOSFET)のチャネルに引張応力を導入することで、エレクトロンの、チャネルにおける移転率を向上させることができ、P型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(PMOSFET)のチャネルに引張応力を導入することで、ポジティブホールの、チャネルにおける移転率を向上させることが知られている。
【0015】
図1a及び
図1bは、関連技術による半導体デバイスの概略図である。
図1bは、破線A-A’に沿った
図1aの断面図である。
図1a-1bに示すように、前記半導体デバイスは、半導体基板1を含み、前記半導体基板1内に、活性領域11が含まれ、前記活性領域11の上方にゲート誘電層16、ゲート12及び側壁17が形成され、前記活性領域11内に、ソース/ドレイン領域131、132が含まれる。前記ゲート12、ゲート誘電層16、側壁17、及びソース/ドレイン領域131、132は、MOSトランジスタを構成する。
【0016】
前記活性領域11内に歪み部141、142が更に形成され、前記歪み部141、142は、前記ゲート12の両側に位置し、前記ゲート12の下方のチャネルに応力を印加し、チャネルキャリアの移転率を向上させる。
【0017】
しかしながら、上記関連技術による半導体デバイスのチャネルキャリアの移転率は、現在の集積回路技術の発展の需要を満たすことができない。
【0018】
これによれば、本願の実施例の以下の技術案を提供する。
【0019】
本願の実施例は、半導体デバイスを提供する。前記半導体デバイスは、半導体基板中に位置する活性領域であって、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む、活性領域と、埋め込みの方式で前記外囲領域内に形成される第1歪み層であって、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる、第1歪み層と、前記活性領域に位置するゲートであって、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う、ゲートと、を含む。
【0020】
本願の実施例による第1歪み層は、それぞれ、第1方向と第2方向に、前記ゲートの下方のチャネルに対して2つの方向の応力を発生する。前記関連技術において、1つのみの方向に応力を発生するという構造に比べて、本願の実施例の第1歪み層は、チャネルキャリアの移転率を更に向上させることができる。
【0021】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解しやすくするために、以下、図面を参照しながら、本願の具体的な実施形態について詳細に説明する。本願の実施例を詳述する場合、説明を容易にするために、概略図は一般的な割合で局所的に拡大されず、かつ、前記概略図は例示にすぎず、ここでは本願の保護範囲を制限すべきではない。
【0022】
図2a-2cは、本願の実施例による半導体デバイスの概略図である。ここで、
図2aは、半導体デバイスの平面図であり、
図2bは、破線A-A’に沿った
図2aの断面図であり、
図2cは、破線B-B’に沿った
図2aの断面図である。
図2a-2cに示すように、前記半導体デバイスは、半導体基板中に位置する活性領域21を含み、前記活性領域21は、中心領域211と、前記中心領域211を取り囲む外囲領域212と、を含む。前記外囲領域212内に、埋め込み方式で第1歪み層24が形成され、ここで、前記第1歪み層24は少なくとも、第1サブ部241と、第2サブ部242と、第3サブ部243と、第4サブ部244と、を含み、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243分は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域211の両側に分布し、前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域211の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる。
【0023】
前記半導体デバイスは、ゲート22を更に含み、前記ゲート22は、前記活性領域21に位置し、前記ゲート22は、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域211の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部241の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部243の少なくとも一部の領域を覆う。
【0024】
理解できるように、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243の、前記ゲート22により覆われる部分は、チャネルの一部を構成する。それと同時に、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243は、第1方向にチャネル領域に対して応力を印加する。一実施例において、前記第1方向は、チャネル幅方向(B-B’方向)に平行である。
【0025】
前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、第2方向にチャネル領域に対して応力を印加する。一実施例において、前記第2方向は、チャネル長さ方向(A-A’方向)に平行である。
【0026】
いくつかの実施例において、前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、前記ゲート22の両側に対称に分布する。
【0027】
前記半導体基板の材料は、単結晶シリコン(Si)、絶縁体上シリコン(SOI)であってもよく、又は、他の材料、例えば、ヒ素化ガリウムなどのIII-V族化合物であってもよい。
【0028】
前記半導体基板中に、シャロートレンチアイソレーション構造(図示されず)が更に含まれ、前記シャロートレンチアイソレーション構造は、複数であってもよく、前記複数のシャロートレンチアイソレーション構造は、前記半導体基板において、前記活性領域21を定義する。
【0029】
前記ゲート22と前記半導体基板との間に、ゲート誘電層26が含まれ、前記ゲート誘電層26の材料は、例えば、シリコン酸化物であってもよいが、これに限定されず、ゲート誘電層として使用可能な如何なる材料はいずれも本願の実施例に用いられてもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、前記ゲート22の両側に側壁27が含まれ、前記側壁27の材料は、シリコン酸化物、窒化ケイ素などであってもよいが、これらに限定されず、ゲート誘電層として使用可能な如何なる材料はいずれも本願の実施例に用いられてもよい。
【0031】
いくつかの実施例において、前記中心領域211は、矩形である。
図3は、本願の実施例による中心領域と外囲領域の概略図である。図面に示すように、前記中心領域211は、第1組の平行側辺211_1と第2組の平行側辺211_2とを含み、前記第1組の平行側辺211_1は、前記第1方向に平行であり、前記第2組の平行側辺211_2は、前記第2方向に平行である。説明すべきことは、他のいくつかの実施例において、前記中心領域211は、他の形状、例えば、円形、楕円形、又は矩形以外の他の多辺形であってもよい。
【0032】
いくつかの具体的な実施例において、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243は、前記第1組の平行側辺211_1の中心線に沿って対称になり、前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、前記第2組の平行側辺211_2の中心線に沿って対称になる。
【0033】
いくつかの実施例において、前記第1サブ部241、前記第2サブ部242、前記第3サブ部243及び前記第4サブ部244は、
図4に示すように、順次に接続され、前記中心領域211を取り囲む環状構造を構成する。
【0034】
具体的には、前記第1サブ部241の両端はそれぞれ前記第2サブ部242の一端に接触して接続され、前記第3サブ部243の両端はそれぞれ前記第2サブ部242の他端と前記第4サブ部244の他端に接触して接続される。環状構造となる第1歪み層24は、チャネル領域全体に対して2つの方向の応力を印加することができ、非環状構造の第1歪み層に比べて、半導体デバイスの性能を更に最適化することができる。
【0035】
一実施例において、前記第1歪み層24は、シリコンゲルマニウム層を含む。この場合、前記第1歪み層24がチャネルに対して発生した応力は、圧縮応力であり、前記半導体基板は、n型基板であり、前記半導体デバイスは、PMOSトランジスタである。理解できるように、前記第1歪み層24は、他の歪み材料、例えば、炭化ケイ素などであってもよい。
【0036】
一実施例において、エピタキシャル成長プロセスを用いて前記第1歪み層24を形成するが、これに限定されず、他のプロセス、例えば、前記半導体基板をドーピングすることを用いて、前記第1歪み層24を形成してもよい。
【0037】
いくつかの実施例において、前記半導体デバイスは、第2歪み層29を更に含み、前記第2歪み層29は、前記中心領域211内に位置する。
図5a-5bは、本願の実施例による第2歪み層を有する半導体デバイスの概略図である。ここで、
図5bは、破線A-A’に沿った
図5aの断面図である。
図5a-5bに示すように、中心領域211内に第2歪み層29が形成される。前記第2歪み層29は、チャネルキャリアの移転率を更に向上させ、半導体デバイスの性能を向上させることができる。
【0038】
1つの具体的な実施例において、前記第1歪み層24の厚さは、前記第2歪み層29の厚さよりも大きい。より具体的な実施例において、前記第1歪み層24の厚さは、前記第2歪み層29の厚さの5-10倍、例えば8倍である。
【0039】
一実施例において、前記第2歪み層29と前記第1歪み層24は、同一のプロセスステップにおいて形成される。
【0040】
いくつかの実施例において、前記第2歪み層29の少なくとも一部の境界は、前記第1歪み層24の境界に接続される。より具体的な実施例において、前記第2歪み層29の全ての境界はいずれも前記第1歪み層24に接続される。
【0041】
一実施例において、前記第2歪み層29の材料は、前記第1歪み層24の材料と同じであるが、これに限定されず、前記第2歪み層29の材料は、前記第1歪み層24と異なってもよい。
【0042】
一実施例において、前記第2歪み層29は、シリコンゲルマニウム層を含む。この場合、前記第2歪み層29がチャネルに対して発生した応力は、圧縮応力であり、前記半導体基板は、n型基板であり、前記半導体デバイスは、PMOSトランジスタである。
【0043】
一実施例において、エピタキシャル成長プロセスを用いて前記第2歪み層29を形成するが、これに限定されず、他のプロセス、例えば、前記半導体基板をドーピングすることを用いて、前記第2歪み層29を形成してもよい。
【0044】
引き続き
図2bを参照すると、前記半導体デバイスは、第1ソース/ドレイン領域231と、第2ソース/ドレイン領域232と、を更に含み、前記第1ソース/ドレイン領域231と前記第2ソース/ドレイン領域232は、ドーピング方式で前記活性領域21内に形成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、前記第1ソース/ドレイン領域231と前記第4サブ部244は、少なくとも部分的に重なり合い、前記第2ソース/ドレイン領域232と前記第2サブ部242は、少なくとも部分的に重なり合う。1つの具体的な実施例において、前記第1ソース/ドレイン領域231と前記第4サブ部244は、完全に重なり合い、前記第2ソース/ドレイン領域232と前記第2サブ部242は、完全に重なり合う。
【0046】
いくつかの実施例において、前記半導体デバイスは、
図6に示すように、ドーピング深さが前記第1ソース/ドレイン領域231よりも小さい第1ソース/ドレインエクステンション領域281を更に含む。前記第1ソース/ドレインエクステンション領域281は、前記ゲート22の下方のチャネルと前記第1ソース/ドレイン領域231との間に位置し、且つ前記第1ソース/ドレインエクステンション領域281と前記第4サブ部244は、少なくとも部分的に重なり合う。前記第1ソース/ドレインエクステンション領域281は、第1ソース/ドレイン領域231と前記チャネルとの接触面積を減少させ、チャネルリーク電流を減少させることができる。
【0047】
いくつかの実施例において、前記半導体デバイスは、
図6に示すように、ドーピング深さが前記第2ソース/ドレイン領域232よりも小さい第2ソース/ドレインエクステンション領域282を更に含む。前記第2ソース/ドレインエクステンション領域282は、前記ゲート22の下方のチャネルと前記第2ソース/ドレイン領域232との間に位置し、且つ前記第2ソース/ドレインエクステンション領域282と前記第2サブ部242は、少なくとも部分的に重なり合う。前記第2ソース/ドレインエクステンション領域282は、第2ソース/ドレイン領域232と前記チャネルとの接触面積を減少させ、チャネルリーク電流を減少させることができる。
【0048】
本願の実施例は、半導体デバイスの製造方法を更に提供する。
図7に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0049】
ステップ701において、半導体基板を提供し、前記半導体基板において、活性領域を定義し、前記活性領域は、中心領域と、前記中心領域を取り囲む外囲領域と、を含む。
【0050】
ステップ702において、前記外囲領域内に、埋め込みの方式で第1歪み層を形成し、前記第1歪み層は、少なくとも第1サブ部と、第2サブ部と、第3サブ部と、第4サブ部と、を含み、前記第1サブ部と前記第3サブ部は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の両側に分布し、前記第2サブ部と前記第4サブ部は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる。
【0051】
ステップ703において、前記活性領域にゲートを形成し、前記ゲートは、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部の少なくとも一部の領域を覆う。
【0052】
以下、
図8a-8eを参照しながら、本願の実施例の半導体デバイスの製造方法を更に詳しく説明する。
【0053】
まず、
図8aに示すように、ステップ701を実行し、半導体基板を提供し、前記半導体基板において、活性領域21を定義し、前記活性領域21は、中心領域211と、前記中心領域211を取り囲む外囲領域212と、を含む。
【0054】
一実施例において、前記半導体基板において、活性領域21を定義することは、
前記半導体基板において、シャロートレンチアイソレーション構造(図示されず)を形成することで、前記活性領域21を定義することを含む。
【0055】
前記半導体基板の材料は、単結晶シリコン(Si)、絶縁体上シリコン(SOI)であってもよく、又は、他の材料、例えば、ヒ素化ガリウムなどのIII-V族化合物であってもよい。
【0056】
いくつかの実施例において、前記中心領域211は、矩形である。
図8aに示すように、前記中心領域211は、第1組の平行側辺211_1と第2組の平行側辺211_2とを含み、前記第1組の平行側辺211_1は、前記第1方向に平行であり、前記第2組の平行側辺211_2は、前記第2方向に平行である。説明すべきことは、他のいくつかの実施例において、前記中心領域211は、他の形状、例えば、円形、楕円形、又は矩形以外の他の多辺形であってもよい。
【0057】
続いて、
図8bに示すように、ステップ702を実行し、前記外囲領域212内に、埋め込みの方式で第1歪み層24を形成する。
【0058】
一実施例において、前記第1歪み層24を形成することは、前記外囲領域212内に、第1溝を形成し、前記第1溝内に、エピタキシャル成長プロセスで前記第1歪み層を形成することを含む。
【0059】
理解できるように、他の方式で前記第1歪み層24を形成してもよく、例えば、前記半導体基板をドーピングするという方式で、前記第1歪み層24を形成してもよい。
【0060】
一実施例において、前記第1歪み層24は少なくとも、第1サブ部241と、第2サブ部242と、第3サブ部243と、第4サブ部244と、を含み、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243分は、第1方向に沿って間隔を取るように前記中心領域211の両側に分布し、前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、第2方向に沿って間隔を取るように前記中心領域211の別の両側に分布し、前記第1方向は、前記第2方向と異なる。
【0061】
一実施例において、前記第1サブ部241と前記第3サブ部243は、前記第1組の平行側辺211_1の中心線に沿って対称になり、前記第2サブ部242と前記第4サブ部244は、前記第2組の平行側辺211_2の中心線に沿って対称になる。
【0062】
いくつかの実施例において、前記第1サブ部241、前記第2サブ部242、前記第3サブ部243及び前記第4サブ部244は、順次に接続され、前記中心領域211を取り囲む環状構造を構成する。具体的には、前記第1サブ部241の両端はそれぞれ前記第2サブ部242の一端に接触して接続され、前記第3サブ部243の両端はそれぞれ前記第2サブ部242の他端と前記第4サブ部244の他端に接触して接続される。環状構造となる第1歪み層24は、チャネル領域全体に対して2つの方向の応力を印加することができ、非環状構造の第1歪み層に比べて、半導体デバイスの性能を更に最適化することができる。
【0063】
一実施例において、前記半導体デバイスの製造方法は、
図8cに示すように、前記中心領域211内に第2歪み層29を形成することを更に含む。
【0064】
一実施例において、前記第2歪み層29を形成することは、前記中心領域に第2溝を形成し、前記第2溝内にエピタキシャル成長プロセスで前記第2歪み層を形成することを含む。
【0065】
理解できるように、他の方式で前記第2歪み層29を形成してもよく、例えば、前記半導体基板をドーピングするという方式で、前記第2歪み層29を形成してもよい。
【0066】
続いて、
図8dに示すように、ステップ703を実行し、前記活性領域21にゲート22を形成し、前記ゲート22は、第1方向に沿って伸び、且つ前記中心領域211の少なくとも一部の領域、前記第1サブ部241の少なくとも一部の領域及び前記第3サブ部243の少なくとも一部の領域を覆う。
【0067】
一実施例において、前記ゲート22は更に、前記第2歪み層29の少なくとも一部の領域を覆う。
【0068】
前記ゲート22を形成し後、前記半導体デバイスの製造方法は、前記ゲート22の両側の活性領域21に対してドーピングを行い、第1ソース/ドレイン領域231、第1ソース/ドレインエクステンション領域281、第2ソース/ドレイン領域232及び第2ソース/ドレインエクステンション領域282を形成することを更に含む。
【0069】
一実施例において、前記第1ソース/ドレイン領域231と前記第1ソース/ドレインエクステンション領域281は、前記第4サブ部244と少なくとも部分的に重なり合い、前記第2ソース/ドレイン領域232と前記第2ソース/ドレインエクステンション領域282は、前記第2サブ部242と少なくとも部分的に重なり合う。
【0070】
一実施例において、
図8eに示すように、前記半導体デバイスの製造方法は、前記ゲート22の両側に側壁27を形成するステップを更に含む。
【0071】
以上の記載は、本願の好適な実施例にすぎず、本願の保護範囲を限定するものではなく、本願の精神及び原則の範囲内において行われたいかなる修正、均等置換及び改良などは、いずれも、本願の保護範囲内に含まれるものとする。