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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】デバイスおよび光スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/313 20060101AFI20240314BHJP
   G02F 1/035 20060101ALI20240314BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G02F1/313
G02F1/035
G02B6/12 371
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2022546664
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021015294
(87)【国際公開番号】W WO2021154856
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】62/967,166
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522304110
【氏名又は名称】サイカンタム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ニキル
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-164604(JP,A)
【文献】特開2009-080378(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108617(WO,A1)
【文献】米国特許第10451951(US,B1)
【文献】特開2014-081406(JP,A)
【文献】特開2019-215488(JP,A)
【文献】特開2006-039569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/12 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、前記デバイスは、
第1のクラッディング層と、
第1の導線及び第1の誘電体部分を備える第1の電気接点であって、前記第1の導線は、前記第1の誘電体部分に結合される、第1の電気接点と、
第2の導線及び第2の誘電体部分を備える第2の電気接点であって、前記第2の導線は、前記第2の誘電体部分に結合され、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、間隙領域によって隔てられる、第2の電気接点と、
チタン酸バリウムから構成されるスラブ層を備える導波路構造体であって、前記スラブ層は、前記第1の電気接点の前記第1の誘電体部分及び前記第2の電気接点の前記第2の誘電体部分に結合される、導波路構造体と、
前記スラブ層に結合される隆起部分であって、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点との間に配設される隆起部分と、
第2のクラッディング層と
を備え、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記導波路構造体内で電界をエネルギー効率良く制御できるように、第1の方向において、チタン酸バリウムの前記第1の方向における比誘電率よりも大きい比誘電率を有し、前記第1の方向は、前記第1の誘電体部分を前記第2の誘電体部分から隔てる方向を含み、前記第1の方向は、前記スラブ層に平行である、デバイス。
【請求項2】
前記隆起部分は、前記スラブ層の第1の側に配設し、前記第1のクラッディング層内に延在し、
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記第1の側とは反対の前記スラブ層の第2の側で前記スラブ層に結合する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記スラブ層は、前記隆起部分とは異なる材料から構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
デバイスであって、前記デバイスは、
第1のクラッディング層と、
第1の導線及び第1の誘電体部分を備える第1の電気接点であって、前記第1の導線は、前記第1の誘電体部分に結合される、第1の電気接点と、
第2の導線及び第2の誘電体部分を備える第2の電気接点であって、前記第2の導線は、前記第2の誘電体部分に結合される、第2の電気接点と、
第1の材料から構成されるスラブ層を備える導波路構造体であって、前記スラブ層は、前記第1の電気接点の前記第1の誘電体部分及び前記第2の電気接点の前記第2の誘電体部分に結合される、導波路構造体と、
第2のクラッディング層と
を備え、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記導波路構造体内で電界をエネルギー効率良く制御できるように、前記第1の材料の第1の方向における比誘電率よりも大きい、前記第1の方向における比誘電率を有する、デバイス。
【請求項5】
前記導波路構造体は、前記スラブ層に結合される第1の隆起部分を更に備え、前記第1の隆起部分は、前記第1の電気接点と前記第2の電気接点との間に配設する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記スラブ層は、チタン酸バリウムから構成し、
前記第1の隆起部分は、窒化ケイ素から構成する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の隆起部分は、前記第1の材料から構成する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の隆起部分は、前記スラブ層の第1の側に配設し、前記第1のクラッディング層内に延在し、
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記スラブ層の前記第1の側で前記スラブ層に結合する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の隆起部分は、前記スラブ層の第1の側に配設し、前記第1のクラッディング層内に延在し、
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記第1の側とは反対の前記スラブ層の第2の側で前記スラブ層に結合する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の電気接点及び前記第2の電気接点は、前記スラブ層の前記第2の側に配設する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の電気接点は、前記スラブ層の前記第2の側から前記スラブ層の前記第1の側まで前記スラブ層を貫通することによって、前記第1の誘電体部分に結合し、
前記第2の電気接点は、前記スラブ層の前記第2の側から前記スラブ層の前記第1の側まで前記スラブ層を貫通することによって、前記第2の誘電体部分に結合する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、チタン酸ストロンチウムから構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項13】
前記導波路構造体は、第1の条片導波路部分と第2の条片導波路部分とを更に備え、
前記第1の条片導波路部分及び前記第2の条片導波路部分は、第2の材料及び第3の材料からそれぞれ構成し、
前記スラブ層は、前記第1の条片導波路部分と前記第2の条片導波路部分との間に配設する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2の材料及び前記第3の材料は、窒化ケイ素である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記スラブ層と同一平面である第2の層内に含まれ、前記スラブ層の第1の側に隣接して配設する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、間隙領域によって隔てられる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の材料は、前記第1のクラッディング層及び前記第2のクラッディング層の屈折率よりも大きい屈折率を有する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1の方向において、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分の比誘電率と、前記第1の材料の比誘電率との比率は、2以上である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の方向は、前記スラブ層に平行な方向を含み、前記第1の誘電体部分を前記第2の誘電体部分から隔てる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の誘電体部分は、前記スラブ層の第1の側で前記スラブ層に結合し、
前記第2の誘電体部分は、前記第1の側とは反対の前記スラブ層の第2の側で前記スラブ層に結合する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、
チタン酸バリウムストロンチウム、
酸化ハフニウム、
酸化ジルコニウム、
酸化チタン、
酸化グラフェン、
酸化タンタル、
チタン酸鉛ジルコニウム、
チタン酸鉛ランタンジルコニウム、又は
ニオブ酸ストロンチウムバリウム
の1つから構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項22】
前記スラブ層は、チタン酸バリウムから構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項23】
前記スラブ層は、
チタン酸バリウムストロンチウム、
ニオブ酸リチウム、
チタン酸鉛ジルコニウム、
チタン酸鉛ランタンジルコニウム、
酸化アルミニウム、
窒化アルミニウム、又は
ニオブ酸ストロンチウムバリウム
の1つから構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記導波路構造体において前記第1の方向に沿って電界を生成するように構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項25】
前記導波路構造体は、電気光学係数が前記第1の方向に沿って整合される非ゼロ値を有する
ことを特徴とする、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第1の電気接点、前記第2の電気接点及び前記導波路構造体を77ケルビン以下で維持するように構成される極低温デバイス
を更に備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第1の方向において、1mKを超える第1の温度では、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分の比誘電率は、前記第1の材料の比誘電率よりも大きい、請求項4に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1の方向において、1mKを超え、77K未満である第1の温度では、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分の比誘電率は、前記第1の材料の比誘電率よりも大きい、請求項4に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第1の導線及び前記第2の導線は、金属から構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1の導線及び前記第2の導線は、半導体材料から構成する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項31】
前記第1の誘電体部分、前記第2の誘電体部分、及び前記導波路構造体は、第1の厚さを有する単一層内に配設し、
前記導波路構造体は、前記第1の誘電体部分と前記第2の誘電体部分との間に配設する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項32】
前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分はそれぞれ、第1の厚さを有するそれぞれの隆起構造体を含み、前記第1の厚さは、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分のスラブ構造体の第2の厚さよりも大きく、
前記導波路構造体は、前記第1の誘電体部分と前記第2の誘電体部分との間に配設し、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分の隆起構造体に結合し、
前記導波路構造体は、前記第1の厚さを有する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項33】
光スイッチであって、前記光スイッチは、
少なくとも1つの入力ポートと、
少なくとも1つの出力ポートと、
ビーム・スプリッタに結合されるマッハ-ツェンダー干渉計であって、第1のアーム及び第2のアームを備えるマッハ-ツェンダー干渉計と、
前記マッハ-ツェンダー干渉計の前記第1のアーム内に含まれるフォトニック移相器と
を備え、前記フォトニック移相器は、
第1のクラッディング層と、
第1の誘電体部分に結合される第1の導線を備える第1の電気接点と、
第2の誘電体部分に結合される第2の導線を備える第2の電気接点と、
第1の材料から構成されるスラブ層を備える導波路構造体であって、前記スラブ層は、前記第1の電気接点の前記第1の誘電体部分及び前記第2の電気接点の前記第2の誘電体部分に結合される、導波路構造体と、
第2のクラッディング層と
を備え、前記第1の誘電体部分及び前記第2の誘電体部分は、前記導波路構造体内で電界をエネルギー効率良く制御できるように、第1の方向において、前記第1の材料の前記第1の方向における比誘電率よりも大きい比誘電率を有する、光スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、米国仮特許出願第62/967,166号、名称「Low Loss High Efficiency Photonic Phase Shifter」、2020年1月29日出願に対する優先権を主張するものであり、当該出願全体が、十分に、完全に本明細書に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の実施形態は、一般に、移相器及びスイッチ等の電気光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電気光学(EO)変調器及びスイッチは、光学分野において使用されている。一部のEO変調器は、自由キャリア電気屈折、自由キャリア電気吸収、又はDCカー効果を利用して動作中の光学特性を修正する、例えば、EO変調器又はスイッチを通って伝搬する光の位相を変更する。一例として、光位相変調器は、一体型光学システム、導波路構造体、及び一体型オプトエレクトロニクス内で使用し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EO変調器及びスイッチの分野における進歩にもかかわらず、当技術分野には、EO変調器及びスイッチに関する方法及びシステムに対する改善が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、電気光スイッチ及び移相器等のフォトニック・デバイスに関する。フォトニック・デバイスは、第1のクラッディング層と、第1の誘電体部分に結合される第1の導線を備える第1の電気接点と、第2の誘電体部分に結合される第2の導線を備える第2の電気接点と、第1の材料を含むスラブ層を備える導波路構造体と、第2のクラッディング層とを含み得る。スラブ層は、第1の電気接点の第1の誘電体部分、及び第2の電気接点の第2の誘電体部分に結合し得る。
【0006】
第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分を隔てる方向で、第1の材料の比誘電率よりも大きい比誘電率を有し得る。第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の比誘電率は、第1の温度で、第1の材料の比誘電率よりも大きくてよく、第1の温度は、1mK超、77K未満、150K未満、及び/又は別の温度範囲内である。いくつかの実施形態では、第1の材料は、第1のクラッディング層及び第2のクラッディング層の屈折率よりも大きい屈折率を有する透過性材料である。いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の比誘電率と、第1の材料の比誘電率との間の比率は、2以上である。
【0007】
導波路構造体は、第1の隆起部分を含むことができ、第1の隆起部分は、第1の材料を含み、スラブ層に結合され、第1の電気接点と第2の電気接点との間に配設される。隆起部分は、スラブ層の第1の側に配設し、第1のクラッディング層内に延在し得、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、導波路構造体の隆起部分に当接するスラブ層の第1の側でスラブ層に結合し得る。
【0008】
他の実施形態では、隆起部分は、スラブ層の第1の側に配設され、第1のクラッディング層内に延在し、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、第1の側とは反対のスラブ層の第2の側でスラブ層に結合される。いくつかの実施形態では、第1の電気接点及び第2の電気接点は、スラブ層の第2の側に配設される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の電気接点は、スラブ層の第2の側からスラブ層の第1の側までスラブ層を貫通することによって、第1の誘電体部分に結合され、第2の電気接点は、スラブ層の第2の側からスラブ層の第1の側までスラブ層を貫通することによって、第2の誘電体部分に結合される。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸鉛ジルコニウム(PZT)、チタン酸鉛ランタンジルコニウム(PLZT)、又はニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)の1つから構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、ニオブ酸リチウム、チタン酸鉛ジルコニウム(PZT)、チタン酸鉛ランタンジルコニウム(PLZT)、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又はニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)の1つである。
【0012】
本概要は、本明細書で説明する主題の一部に対する簡潔な概要を提供することを意図する。したがって、上記の特徴は例にすぎず、決して、本明細書に記載の主題の範囲又は趣旨を狭めるように解釈すべきではないことを了解されたい。本明細書に記載の主題の他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0013】
説明する様々な実施形態をより良好に理解するため、以下の図面と共に、以下の詳細な説明を参照されたい。図面において、同様の参照番号は、図面全体を通じて対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態による光スイッチを示す簡略図である。
図2】いくつかの実施形態による、高κ電極を組み込む導波路構造体の断面を示す簡略図であり、高κ電極は、導波路隆起部の反対に置かれる。
図3】いくつかの実施形態による、高κ電極を組み込む導波路構造体の断面を示す簡略図であり、高κ電極は、導波路隆起部の反対に置かれ、導線が貫通する。
図4】いくつかの実施形態による、高κ電極を組み込む導波路構造体の断面を示す簡略図であり、高κ電極は、導波路隆起部と同じ側に置かれる。
図5】いくつかの実施形態による、導波路構造体の断面を示す簡略図であり、導波路構造体は、高κ電極を組み込み、サンドイッチ構造を呈する。
図6】いくつかの実施形態による、垂直導波路構造体の断面を示す簡略図であり、導波路構造体は、高κ材料を組み込む。
図7】いくつかの実施形態による、導波路構造体の断面を示す簡略図であり、誘電体部分は、導波路構造体と直列である。
図8】いくつかの実施形態による、導波路構造体の断面を示す簡略図であり、誘電体部分は、隆起状外形部を呈する。
図9】いくつかの実施形態による、導波路構造体の上面図を示す簡略図である。
図10】いくつかの実施形態による、ユーザがハイブリッド量子コンピューティング・デバイスとインターフェースする図である。
図11】いくつかの実施形態による、誘起される電界の方向を示す、導波路構造体の断面を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の特徴は、様々な修正形態及び代替形態が可能であり得るが、特定の実施形態を例として図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、図面及び図面に対する詳細な説明は、開示する特定の形態を限定する意図ではなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の趣旨及び範囲内にある全ての修正形態、同等物及び代替形態を含む意図であることを理解されたい。
【0016】
次に、実施形態を詳細に参照されたい。実施形態の例は、添付の図面に示す。以下の詳細な説明では、多数の具体的な詳細は、説明する様々な実施形態に対する完全な理解を提供するように示される。しかし、説明する様々な実施形態は、これらの特定の具体的な詳細を伴わずに実行し得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、回路及びネットワークは、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細に説明していない。
【0017】
上記の説明は、説明のために、特定の実施形態を参照して説明してある。しかし、上記の例示的な説明は、網羅的であること、又は開示するそのものの形態に特許請求の範囲を限定することを意図しない。多数の修正形態及び変形形態が上記教示に鑑みて可能である。実施形態は、特許請求の範囲の基礎をなす原理及びそれらの実用的な適用例を最良に説明するように選択した。これにより、当業者が、企図される特定の使用に適するような様々な修正形態を伴う実施形態を最良に使用することを可能にする。
【0018】
本発明の実施形態は、光学システムに関する。より詳細には、本発明の実施形態は、動作中の電力消費を低減するため、光変調器及びスイッチにおいて高比誘電率材料(即ち、高κ材料)を利用する。本明細書で使用する「高比誘電率材料」は、光変調器又はスイッチの動作可能構成要素内の他の材料と比較して、特に、導波路を構成するために使用される材料と比較して、高い比誘電率を有する材料を指すことを意図することに留意されたい。単なる例として、本発明の実施形態は、能動光学デバイスを含む一体型光学システムの状況で提供されるが、本発明は、この例に限定されず、様々な光学システム及びオプトエレクトロニクス・システムに対して広範な適用範囲を有する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の能動フォトニック・デバイスは、光信号の変調及び/又は切替えを実施するため、半導体内で自由キャリアに誘起される屈折率の変動、ポッケルス効果及び/又はDCカー効果等の電気光学効果を利用する。したがって、本発明の実施形態は、透過光がオン若しくはオフで変調される変調器、又は光が透過率の部分的な変化により変調される変調器の両方、及び透過光が第1の出力(例えば、導波路)若しくは第2の出力(例えば、導波路)上で出力される光スイッチ、又は3つ以上の出力及び2つ以上の入力を有する光スイッチに適用可能である。したがって、本発明の実施形態は、本明細書で説明する方法、デバイス及び技法を利用するM(入力)×N(出力)システムを含む様々な設計に適用可能である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による光スイッチを示す簡略図である。図1を参照すると、スイッチ100は2つの入力、即ち入力1及び入力2と、2つの出力、即ち出力1及び出力2とを含む。一例として、スイッチ100の入力及び出力は、単一モード又は多モードの光ビームを支持するように動作可能な光導波路として実装し得る。一例として、スイッチ100は、50/50ビーム・スプリッタ105及び107のセットとそれぞれ一体化されるマッハ-ツェンダー干渉計として実装し得る。図1に示すように、入力1及び入力2は、方向性結合器とも呼ばれる、入力1又は入力2からの光を受け取る第1の50/50ビーム・スプリッタ105に光学的に結合され、50/50ビーム・スプリッタ内のエバネッセント結合を通じて、入力1からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力1からの入力光の50%を導波路112に誘導する。同時に、第1の50/50ビーム・スプリッタ105は、入力2からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力2からの入力光の50%を導波路112に誘導する。入力1からの入力光のみを考慮すると、入力光は、導波路110と112との間で均等に分割される。
【0021】
マッハ-ツェンダー干渉計120は、位相調整部122を含む。電圧Vは、位相調整部122において制御可能に変更される屈折率を有し得るように、位相調整部122内の導波路にわたり印加し得る。導波路110及び112内の光は、第1の50/50ビーム・スプリッタ105を伝搬した後、依然として十分に規定された位相関係を有する(例えば、光が同相である、180°位相がずれている等)ので、位相調整部112における位相調整は、導波路130及び132内に伝搬する光の間に所定の位相差を導入し得る。当業者には明白であるように、導波路130及び132内に伝搬する光の間の位相関係は、出力1に存在する出力光(例えば、光ビームは同相である)又は出力2に存在する光(例えば、光ビームは、位相がずれている)をもたらすことができ、これにより、位相調整部122で印加される電圧Vを関数として、光が出力1又は出力2に誘導された際のスイッチ機能をもたらす。単一の能動アームが図1で示されるが、マッハ-ツェンダー干渉計の両アームが位相調整部を含み得ることは了解されよう。
【0022】
図1に示すように、電気光スイッチ技術は、全ての光スイッチ技術と比較して、光学的な変動をもたらすように、スイッチの能動領域にわたるスイッチの電気バイアス(例えば、図1のV)の印加を利用する。この電圧バイアスの印加からもたらされる電界及び/又は電流により、屈折率又は吸光度等、能動領域の1つ又は複数の光学特性に変化をもたらす。
【0023】
マッハ-ツェンダー干渉計の実装形態を図1で示すが、本発明の実施形態は、この特定のスイッチ構成に限定されず、リング共振器設計、マッハ-ツェンダー変調器、汎用マッハ-ツェンダー変調器等を含め、他の位相調整デバイスが本発明の範囲内に含められる。当業者は、多くの変形形態、修正形態及び改変形態を了承するであろう。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の光移相器デバイスは、図10に示すハイブリッド量子コンピューティング・システム等の量子コンピューティング・システム内で利用し得る。代替的に、これらの光移相器デバイスは、他の種類の光学システム内で使用し得る。例えば、他の計算、通信及び/又は技術システムは、システム又はネットワーク内に光信号(例えば、単一光子又は連続波(CW)光信号)を誘導するフォトニック移相器を利用でき、本明細書に記載の移相器構成は、様々な実施形態で、これらのシステム内で使用し得る。
【0025】
図2図8-フォトニック移相器の断面
図2図8は、様々な実施形態によるフォトニック移相器の様々な構成を示す簡略化した断面図である。図2図8に示す構成は、概略的な図であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。図2図8に示す構成は、いくつかの重要な設計特徴が異なるが、これらは、いくつかの特徴も共通して有する。例えば、以下でより詳細に説明するように、図2図8のそれぞれは、2つの電気接点を呈し、各電気接点は、誘電体電極(240、340、440、540、640、740、及び840、並びに242、342、442、542、642、742、及び842)に接続される導線(230、330、430、530、630、730、及び830、並びに232、332、432、532、632、732、及び832)を含む。いくつかの実施形態では、導線は、金属、又は代替的に半導体材料から構成し得る。
【0026】
誘電体電極は、導波路の光モードの位置に極めて近接して延在するように構成され、フォトニック移相器は、導波路を通って進むフォトニック・モードの蓄積された位相を変更するため、制御可能な電圧差を2つの誘電体電極にわたり導入し得るように構成される。例えば、誘電体電極は、導線を介して、制御可能な電圧差をかける電圧源に結合し得る。
【0027】
重要なことには、誘電体電極は、誘電体電極が導波路及び/又はスラブ層の材料よりも大きな比誘電率を有するように、大きな比誘電率を有する高κ材料から構成し得る。本明細書で使用するκは、比誘電率の実成分を指す比誘電率、κ=Re(ε)=Re(ε/ε)を表すために使用され、εは、複素数値の比誘電率であり、εは、材料の絶対誘電率であり、εは、誘電率の自由空間である。明快にするため、虚成分εは、材料の導電率に関連する一方で、実成分κは、材料の誘電体の偏光性に関連することを留意されたい。
【0028】
材料の比誘電率は、(AC)電圧と比較して、直流電流(DC)電圧の存在下、異なる値を有することができ、AC電圧における材料の比誘電率は、周波数の関数、κ(ω)とし得る。したがって、いくつかの実施形態では、誘電体電極、スラブ層及び/又は隆起導波路のための材料を選択する際、材料の比誘電率は、フォトニック移相器の動作周波数で考慮し得る。
【0029】
誘電体電極は、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分を隔てる方向(例えば、図2図5及び図7図8のx方向、又は図6のy方向)に沿って、スラブ層の第1の材料よりも高い比誘電率を有する材料から構成し得る。例えば、異方性媒質において、誘電率テンソルεは、電界Eを電気変位Dに関連付ける以下の行列によって表し得る。
【0030】
【数1】
【0031】
式中、成分εxx、εxy等は、誘電率テンソルの個々の成分を示す。いくつかの実施形態では、第1の誘電体電極及び第2の誘電体電極の材料は、誘電体電極を隔てる方向に沿った誘電率テンソルの対角成分が、スラブ層及び/又は導波路構造体の材料の誘電率テンソルの対応する対角成分よりも大きいように選択し得る。
【0032】
【表1】
【0033】
表1は、様々な材料に対するχ(3)、屈折率、及び比誘電率の値を示す。表1に示すように、いくつかの実施形態では、STOは、10K未満の温度で非常に高い比誘電率を有し、このため、STOは、誘電体電極での使用に望ましい材料であり得る一方で、BTOは、スラブ層及び/又は導波路の隆起部分で使用し得る。
【0034】
図示のように、図2図8のそれぞれに示される構成は、第1のクラッディング層と第2のクラッディング層とを備えるフォトニック・デバイスを呈する。例えば、210、310、410、510、610、710及び810でマークされる領域は、導波路の一方の側における第1のクラッディング層を表す一方で、212、312、412、512、612、712及び812でマークされる領域は、導波路のもう一方の側における第2のクラッディング層を表す。用語「第1」及び「第2」は、単に、2つのクラッディング層の間を区別することを意味し、例えば、用語「第1のクラッディング層」は、導波路のいずれの側のクラッディング層も指し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、第1のクラッディング層及び第2のクラッディング層の屈折率は、導波路構造体の屈折率より低くてよい。
【0035】
図2図8は、第1の誘電体部分(240、340、440、540、640、740及び840)に結合される第1の導線(230、330、430、530、630、730及び830)を含む第1の電気接点、及び第2の誘電体部分(242、342、442、542、642、742及び842)に結合される第2の導線(232、332、432、532、632、732及び832)を含む第2の電気接点を呈する。第1の導線及び第2の導線は、金属等の導電性材料から構成し得るか、又は代替的に半導体材料から構成し得る。様々な実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸鉛ジルコニウム(PZT)、チタン酸鉛ランタンジルコニウム(PLZT)、ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)、酸化アルミニウム、又はそれらのドープされた変形体若しくは固溶体の1つ又は複数から構成される。
【0036】
図2図8は、第1の材料を含むスラブ層(220、320、420及び520、651、754及び851)を含む導波路構造体を示し、スラブ層は、第1の電気接点の第1の誘電体部分及び第2の電気接点の第2の誘電体部分に結合される。いくつかの実施形態では、導波路構造体は、隆起部分(251、351、451及び551)を更に含み、隆起部分(251、351、451及び551)は、第1の材料(又は異なる材料、例えば、窒化ケイ素若しくはあらゆる他の材料)から構成され、スラブ層に結合され、隆起部分は、第1の電気接点と第2の電気接点との間に配設される。様々な実施形態では、第1の材料は、チタン酸ストロンチウム(STO)、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸鉛ジルコニウム(PZT)、チタン酸鉛ランタンジルコニウム(PLZT)、ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)、酸化アルミニウム、又はそれらのドープされた変形体若しくは固溶体の1つである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分を構成する第2の材料は、スラブ層及び/又は導波路構造体を構成する第1の材料に基づき選択し得る。例えば、第2の材料は、第2の材料が、第1の材料の比誘電率よりも大きい比誘電率を有するように選択し得る。一例として、第1の材料がBTOである場合、第2の材料は、STOであるように選択でき、STOは、フォトニック・デバイスが動作することを意図する極低温(例えば、4K)において、BTOよりも大きい比誘電率を有する。有利には、誘電体電極の大きな比誘電率により、金属電極と比較して、導波路から電極への所与の許容可能なレベルの損失と引き換えに、導波路のより近傍に誘電体電極を置くことが可能になる。例えば、高い導電率の金属電極は、導波路からの同じ距離において、誘電体電極の吸収と比較して、導波路からより大きな光子吸収度(即ち、損失)をもたらす。したがって、誘電体電極は、所与の損失裕度と引き換えに、金属電極よりも導波路のより近傍に置くことができる。誘電体電極の高い比誘電率は、誘電材料の高い偏光性に対応し、この高い偏光性により、導波路構造体内で電界を調整するのにエネルギー効率の良い制御機構がもたらされる。
【0038】
いくつかの実施形態では、誘電体電極のために使用される材料、及び導波路構造体は、これらの実効比誘電率に基づき選択し得る。例えば、材料の比誘電率(又は異方性材料の誘電率テンソル)は、固有の材料特性である一方で、構造体の実効比誘電率は、構造体の比誘電率に比例するが、構造体の形状及び寸法にも依存する。これらの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分のために使用される材料は、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の実効比誘電率が、導波路構造体の実効比誘電率より大きいように選択し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、図10に示すクライオスタット1113等の極低温デバイスは、第1の電気接点、第2の電気接点、及び導波路構造体を極低温、例えば77ケルビン以下で維持するように構成し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の電気接点及び第2の電気接点は、導波路構造体内の1つ又は複数の方向に沿って、例えば、x方向に沿って電界を生成するように構成され、導波路構造体は、電気光学係数(例えば、χ(2)、ポッケルス係数、又はχ(3)、カー係数)が、電界方向に沿って整合される非ゼロ値を有することを特徴とし得る。例えば、導線は、図10に示すように、制御可能(例えば、プログラム可能)な電圧差をかける電圧源に結合され、これにより、導波路構造体内に電界を生成し得る。追加又は代替として、導波路構造体によって支持される案内モードは、x方向で整合される偏光方向を有し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、スラブ層と同一平面である第2の層として構成され、スラブ層の第1の側に隣接して配設される。例えば、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、(例えば、エピタキシ、又は有機金属気相成長、分子線エピタキシ、物理蒸着、ゾル-ゲル等の別の方法を使用して)スラブ層の第1の側の上に成長させ、第1の誘電体層及び第2の誘電体層をスラブ層に直接結合することができる。代替的に、いくつかの実施形態では、介在層をスラブ層と第1の誘電体層及び第2の誘電体層との間に配設し、スラブ層並びに第1の誘電体層及び第2の誘電体層を間接的に結合し得る。いくつかの実施形態では、介在層は、酸化物材料から構成し得る。
【0042】
第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、間隙領域、例えば、間隙領域243又は343によって隔てることができる。いくつかの実施形態では、間隙領域をエッチングし、クラッディング材料で充填し得る。いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の両方をスラブ層上に単一の第2の層として成長させ、次に、一領域をエッチングし、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分を隔てることができる。次に、このエッチングした領域をクラッディング材料で充填し得る。代替的に、エッチングした領域は、空のままにし得る(即ち、空気又は真空を充填し得る)。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分を隔てる方向において、第1の材料の比誘電率よりも大きい比誘電率を有する。第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の比誘電率は、第1の温度で、導波路構造体の比誘電率よりも大きくてよく、第1の温度は、1mK超、77K未満、150K未満、及び/又は別の温度範囲内である。いくつかの実施形態では、第1の材料は、第1のクラッディング層及び第2のクラッディング層の屈折率よりも大きい屈折率を有する透過性材料である。いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の比誘電率と、第1の材料の比誘電率との間の比率は、2以上である。
【0044】
以下の段落は、図2図8に示す構成の間で異なる様々な設計特徴を記載する。
【0045】
図2は、導波路構造体(251)の隆起部分が、スラブ層の底部に配設され、第1のクラッディング層(210)内に延在する構成を示す。図2に示すように、隆起部分とスラブ層との組合せは、スラブ層(220)単体の第2の厚さ(260)よりも大きい第1の厚さ(262)を有し、第2の厚さに対する第1の厚さの余剰部は、スラブ層の底側上でクラッディング層(210)内に延在する。図2に示すように、第1の誘電体部分(240)及び第2の誘電体部分(242)は、底側とは反対のスラブ層の上側でスラブ層(220)に結合される。更に、第1の電気接点(230)及び第2の電気接点(232)は、スラブ層(220)の上側に配設される。用語「上」及び「底」は、明快にするために、図示の斜視図を参照して使用され、必ずしも、デバイス全体に対するあらゆる特定の向きを指すものではないことに留意されたい。
【0046】
図3は、導波路構造体(351)の隆起部分が、スラブ層の上側に配設され、第1のクラッディング層(312)内に延在し、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分が、上側とは反対のスラブ層の底側でスラブ層に結合される構成を示す。図示のように、隆起部分とスラブ層との組合せは、スラブ層(320)単体の第2の厚さ(360)よりも大きい第1の厚さ(362)を有し、第2の厚さに対する第1の厚さの余剰部は、スラブ層(320)の上側上で第1のクラッディング層(312)内に延在する。図3に示すように、第1の誘電体部分(340)及び第2の誘電体部分(342)は、上側とは反対のスラブ層の底側でスラブ層(320)に結合される。更に、第1の電気接点(330)は、スラブ層の上側からスラブ層の底側までスラブ層(320)を貫通することによって、第1の誘電体部分(340)に結合され、第2の電気接点(332)は、スラブ層の上側からスラブ層の底側までスラブ層(320)を貫通することによって、第2の誘電体部分(342)に結合される。
【0047】
図4は、スラブ層と導波路構造体(451)の隆起部分との組合せが、スラブ層(420)の第2の厚さ(460)よりも大きい第1の厚さ(462)を有し、第2の厚さに対する第1の厚さの余剰部が、スラブ層の上側上で第1のクラッディング層(412)内に延在する構成を示す。図4に示すように、第1の誘電体部分(440)及び第2の誘電体部分(442)は、スラブ層の上側で第1の材料(420)に結合される。更に、第1の誘電体部分(440)及び第2の誘電体部分(442)は、導波路構造体(451)の隆起部分に当接する。
【0048】
図5は、導波路構造体が、第1の条片導波路部分(554)と第2の条片導波路部分(556)とを含み、第1の条片導波路部分及び第2の条片導波路部分が、第2の材料及び第3の材料からそれぞれ構成され、スラブ層(520)が、第1の条片導波路部分(554)と第2の条片導波路部分(556)との間に配設される構成を示す。第1の条片導波路部分及び第2の条片導波路部分は、同じ又は異なる材料から構成し得る。例えば、第1の条片導波路部分及び第2の条片導波路部分はそれぞれ、個別に、窒化ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、又は別の同様の材料から構成し得る。
【0049】
図6は、垂直導波路構成を示し、第1の誘電体部分(642)は、スラブ層の上側でスラブ層(651)に結合され、第2の誘電体部分(640)は、上側とは反対のスラブ層の底側でスラブ層(651)に結合される。言い換えれば、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分は、導波路構造体内で誘起される電界がy方向に沿って向けられるように、導波路構造体の上側及び底側に結合される。
【0050】
図7は、導波路構成を示し、第1の誘電体部分(740)及び第2の誘電体部分(742)のそれぞれは、導波路構造体(754)と直列に配設される。言い換えれば、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分並びに導波路構造体のそれぞれは、単一の幅を有する単一層内に配設される。
【0051】
図8は、導波路構成を示し、第1の誘電体部分(840)及び第2の誘電体部分(842)は、導波路構造体(851)と隆起状外形部を共有し、隆起状外形部は、第1のクラッディング層(812)内に延在する。例えば、第1の誘電体部分(840)は、第1の誘電体部分の残部の厚さ(860)よりも大きい厚さ(862)を有する隆起部分(844)を含むことができ、第2の誘電体部分(842)は、第2の誘電体部分の残部の厚さ(860)よりも大きい厚さ(862)を有する隆起部分(846)を含むことができる。更に、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の隆起部分は、導波路構造体(851)と同じ厚さを呈し得る。
【0052】
図9-フォトニック移相器の上から下への図
図9は、いくつかの実施形態によるフォトニック移相器構成の上から下への図である。図示のように、移相器は、第1の導線(930)と、第2の導線(932)と、第1の誘電体部分(940)と、第2の誘電体部分(942)と、スラブ層(920)と、導波路構造体(951)の隆起部分とを含み得る。
【0053】
図10-ハイブリッド量子コンピューティング・システム
図10は、いくつかの実施形態による、簡略化したシステムの図であり、クライオスタットと共に、電気光スイッチをハイブリッド量子コンピューティング・システムに組み込むことを示す。低温、例えば、液体ヘリウム温度で動作させるため、本発明の実施形態は、本明細書で説明する電気光スイッチを、冷却システムを含むシステムに統合する。したがって、本発明の実施形態は、例えば、図8に示すハイブリッド・コンピューティング・システム内で使用し得る光移相器を提供する。ハイブリッド・コンピューティング・システム1101は、ハイブリッド量子コンピューティング(QC)サブシステム1105に通信可能に結合されるユーザ・インターフェース・デバイス1103を含む。ユーザ・インターフェース・デバイス1103は、あらゆる種類のユーザ・インターフェース・デバイス、例えば、表示器、キーボード、マウス、タッチスクリーン等を含む端末とし得る。更に、ユーザ・インターフェース・デバイス自体は、パーソナル・コンピュータ(PC)、ラップトップ、タブレット・コンピュータ等のコンピュータとし得る。いくつかの実施形態では、ユーザ・インターフェース・デバイス1103は、ユーザがハイブリッドQCサブシステム1105と対話し得るインターフェースを提供する。例えば、ユーザ・インターフェース・デバイス1103は、テキスト・エディタ、対話型開発環境(IDE)、コマンド・プロンプト、グラフィカル・ユーザ・インターフェース等のソフトウェアを稼働させることができ、ユーザが、1つ又は複数の量子アルゴリズムを稼働させるようにQCサブシステムをプログラムするか又はQCサブシステムと対話できるようにする。他の実施形態では、QCサブシステム1105は、事前にプログラムでき、ユーザ・インターフェース・デバイス1103は、単に、ユーザが量子計算を開始し、進行を監視し、ハイブリッドQCサブシステム1105から結果を受信し得るインターフェースとし得る。ハイブリッドQCサブシステム1105は、1つ又は複数の量子コンピューティング・チップ1109に結合される従来のコンピューティング・システム1107を更に含む。いくつかの例では、従来のコンピューティング・システム1107及び量子コンピューティング・チップ1109は、他の電子構成要素1111、例えば、パルス・ポンプ・レーザー、マイクロ波発振器、電源、ネットワーキング・ハードウェア等に結合し得る。
【0054】
極低温動作を利用するいくつかの実施形態では、量子コンピューティング・システム1109は、クライオスタット、例えば、クライオスタット1113内に収容し得る。いくつかの実施形態では、量子コンピューティング・チップ1109は、1つ又は複数の構成チップ、例えば、ハイブリッド電子チップ1115及び一体型フォトニクス・チップ1117を含む。信号は、オンチップ及びオフチップで、あらゆる様式で、例えば、光相互接続器1119、及び他の電子相互接続器1121を介して伝送し得る。
【0055】
図11-フォトニック移相器内で誘起される電界
図11は、いくつかの実施形態による、図2に示す導波路構造体の断面を示す簡略図であり、誘起される電界の方向は、矢印で示される。図示のように、小矢印は、誘起される電界の方向を示し、電界の方向は、全体的に、デバイスの誘電体部分を通る明確なx方向に沿って向けられる。電界は、図示のように、誘電体部分の上下の両方で凸状に湾曲する。更に、明確なx方向で向けられる大矢印(1150)は、スラブ層及び導波路を通じて進行し得る光モードの偏光方向を示す。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分、第2の誘電体部分及び導波路構造体は、第1の厚さを有する単一層内に配設され、導波路構造体は、第1の誘電体部分と第2の誘電体部分との間に配設される。例えば、図7を参照。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分はそれぞれ、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分のスラブ構造体の第2の厚さよりも大きい第1の厚さを有するそれぞれの隆起構造体を含む。第1の厚さは、導波路構造体の厚さと同じである。これらの実施形態では、導波路構造体は、第1の誘電体部分と第2の誘電体部分との間に配設され、第1の誘電体部分及び第2の誘電体部分の隆起構造体に結合される。例えば、図8を参照。
【0058】
また、本明細書に記載する例及び実施形態は、説明の目的にすぎず、説明の目的の観点から、様々な修正及び変更が当業者に示唆され、本願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11