(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】流体管理システムのための適応圧力制御フィルタ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/015 20060101AFI20240314BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A61B1/015 514
A61B1/00 550
(21)【出願番号】P 2022551388
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 US2021019949
(87)【国際公開番号】W WO2021174027
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バラン プラサナ
(72)【発明者】
【氏名】グデカー ヨゲシュ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236513(WO,A1)
【文献】欧州特許第02405954(EP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0200612(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0316948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理及び医療デバイスシステ
ムであって、
流体管理システムと医療デバイスを備え、
前記流体管理システムは、
流体を流体供給源から前記流体管理システムを通してある流体流量でポンピングするように構成されたポンプと、
ユーザインタフェースを含む処理デバイスと、を含み、
前記医療デバイスは、前記流体管理システムの前記ポンプと流体連通している細長シャフトを含み、
前記流体管理システムの前記処理デバイスは、
流体管理システム又は医療デバイスのセンサから予め決められた時間間隔で複数のデータ信号を取得
し、
予め決められた最小数のデータ信号が取得されるまで前記データ信号をバッファに格納
し、
前記流体管理システムのサブシステムから受信される1又は2以上の設定値に基づく生データプロファイルを前記複数のデータ信号を用いて生成
し、
前記生データプロファイルを適応データフィルタを用いてフィルタリングする
ように構成されており、前記適応データフィルタは、該生データプロファイルに対して1又は2以上の通過を実行して濾過済みプロファイルを生成するように構成され
ており、
前記流体管理システムの前記処理デバイスは、さらに、
前記濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて前記流体管理システムの変数を制御する
ように構成されており、
前記適応データフィルタの前記1又は2以上の通過のうちの各通過が、前記データ信号の異なる特徴をモニタする及び/又は分析し、該1又は2以上の通過は、前記流体管理システムの前記サブシステムから受信される前記1又は2以上の設定値に依存して変化する、ことを特徴とする
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項2】
前記
処理デバイスは、前記適応データフィルタの前記1又は2以上の通過のうちのいずれかを省略する又は修正するように構成される、請求項1に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項3】
前記適応データフィルタの少なくとも1つの通過が、前記生データプロファイル内のノイズを低減する又は排除するように構成される、請求項1又は2に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項4】
前記適応データフィルタの少なくとも1つの通過が、前記生データプロファイル内の脈動をモニタする及び/又は除去するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項5】
前記適応データフィルタの少なくとも1つの通過が、前記生データプロファイル内の各振動を平均化するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項6】
前記適応データフィルタの少なくとも1つの通過が、前記生データプロファイルにスパイクが存在するかを決定するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項7】
前記適応データフィルタは、前記サブシステムからノイズ許容度入力を受信するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項8】
前記
処理デバイスは、前記ノイズ許容度入力に基づいて前記適応データフィルタを自動的に修正するように構成される、請求項7に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項9】
前記サブシステムによって提供される前記1又は2以上の設定値は、前記生データプロファイルの最大値、該生データプロファイルの最小値、該生データプロファイルの平均値、及び/又は該生データプロファイルの信号対ノイズ比を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項10】
前記濾過済みプロファイルの前記パラメータに基づいて前記流体管理システムの前記変数を制御する段階は、該濾過済みプロファイルの最大値、該濾過済みプロファイルの最小値、該濾過済みプロファイルの平均値、該濾過済みプロファイルの周波数、該濾過済みプロファイルのスパイク検出、及び/又は該濾過済みプロファイルのピーク間脈動に基づいて該変数を制御する段階を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項11】
前記濾過済みプロファイルの前記パラメータに基づいて前記流体管理システムの前記変数を制御する段階は、該濾過済みプロファイルが予め決められた範囲に収まらない場合に該流体管理システムのユーザインタフェースに警告を提供する段階を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項12】
前記濾過済みプロファイルの前記パラメータに基づいて前記流体管理システムの前記変数を制御する
ことは、該濾過済みプロファイルの変化率が予め決められた範囲に収まらない場合に該流体管理システムの
前記ユーザインタフェースに警告を提供する
ことを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項13】
前記複数のデータ信号は、複数の圧力信号を備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項14】
前記複数のデータ信号は、流体の量を表す複数の重量信号を備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【請求項15】
前記複数のデータ信号は、複数の温度信号を備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の
流体管理及び医療デバイスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、本明細書に引用によってその開示が組み込まれている2020年2月27日出願の米国仮特許出願第62/982,384号の利益及びそれに対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、流体管理システムに関する。より具体的には、本発明の開示は、流体管理システムと共に使用するための構成可能データフィルタを提供するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軟性尿管鏡検査(fURS)、婦人科、及び他の内視鏡手順は、いくつかの理由で流体の循環を必要とする。今日の外科医は、例えば、流体バッグを吊り下げて重力を用いて流体を送出すること、シリンジに流体を充填して手動で注入すること、又は蠕動ポンプを用いてリザーバから流体管理システムを通じて固定圧力又は流量で流体を送出することによるような様々な方法で流体を送出する。流体管理システムは、限定ではないが内視鏡のような処置デバイスから収集したデータに基づいて、流体がリザーバから送出される流量及び/又は圧力を調節することができる。公知の医療デバイス、システム、及び方法に関して、各々は、ある一定の利点及び欠点を有する。代替医療デバイス及び流体送出システムを提供する継続的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0361055号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示は、流体管理システムと共に使用するための構成可能データフィルタを提供するためのシステム及び方法に関する。
【0006】
第1の例示的実施例では、流体管理及び医療デバイスシステムのパラメータを制御する方法は、流体管理システム又は医療デバイスのセンサから予め決められた時間間隔で複数のデータ信号を取得する指令を流体管理システムのコントローラで開始する段階と、予め決められた最小数のデータ信号が取得されるまでデータ信号をバッファに格納する段階と、流体管理システムのサブシステムから受信された1又は2以上の設定値に基づく生データプロファイルを複数のデータ信号を用いて発生させる段階と、プロファイルに対して1又は2以上の通過を実行して濾過済みプロファイルを生成するように構成された適応データフィルタを用いて生データプロファイルをフィルタリングする段階と、濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて流体管理システムの変数を制御する段階とを備えることができる。適応データフィルタの1又は2以上の通過の各通過は、データ信号の異なる特徴をモニタかつ分析することができ、1又は2以上の通過は、流体管理システムのサブシステムから受信された1又は2以上の設定値に依存して変化する。
【0007】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、コントローラは、適応データフィルタの1又は2以上の通過のうちのいずれかを省略又は修正するように構成することができる。
【0008】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタの少なくとも1つの通過は、生データプロファイル内のノイズを低減又は排除するように構成することができる。
【0009】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタの少なくとも1つの通過は、生データプロファイル内の脈動をモニタ及び/又は除去するように構成することができる。
【0010】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタの少なくとも1つの通過は、生データプロファイル内の各振動を平均化するように構成することができる。
【0011】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタの少なくとも1つの通過は、生データプロファイルにスパイクが存在するかを決定するように構成することができる。
【0012】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタは、サブシステムからノイズ許容度入力を受信するように構成することができる。
【0013】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、コントローラは、ノイズ許容度入力に基づいて適応データフィルタを自動的に修正するように構成することができる。
【0014】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、サブシステムによって提供される1又は2以上の設定値は、生データプロファイルの最大値、生データプロファイルの最小値、生データプロファイルの平均値、及び/又は生データプロファイルの信号対ノイズ比を含むことができる。
【0015】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて流体管理システムの変数を制御する段階は、濾過済みプロファイルの最大値、濾過済みデータプロファイルの最小値、濾過済みプロファイルの平均値、濾過済みプロファイルの周波数、濾過済みプロファイルのスパイク検出、及び/又は濾過済みプロファイルのピーク間脈動に基づいて変数を制御する段階を備えることができる。
【0016】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて流体管理システムの変数を制御する段階は、濾過済みプロファイルが予め決められた範囲に収まらない場合に流体管理システムのユーザインタフェースに警告を提供する段階を備えることができる。
【0017】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて流体管理システムの変数を制御する段階は、濾過済みプロファイルの変化率が予め決められた範囲に収まらない場合に流体管理システムのユーザインタフェースに警告を提供する段階を備えることができる。
【0018】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、複数のデータ信号は、複数の圧力信号を備えることができる。
【0019】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、複数のデータ信号は、流体の量を表す複数の重量信号を備えることができる。
【0020】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、複数のデータ信号は、複数の温度信号を備えることができる。
【0021】
別の実施例では、流体管理及び医療デバイスシステムのパラメータを制御する方法は、流体管理システム又は医療デバイスのセンサから予め決められた時間間隔で複数のデータ信号を取得する指令を流体管理システムのコントローラで開始する段階と、予め決められた最小数のデータ信号が取得されるまでデータ信号をバッファに格納する段階と、流体管理システムのサブシステムから受信された1又は2以上の設定値に基づく生データプロファイルを複数のデータ信号を用いて発生させる段階と、生データプロファイル内のノイズを低減又は排除するように、生データプロファイル内の脈動をモニタ及び/又は除去するように、生データプロファイル内の各振動を平均化するように、及び/又は生データプロファイルにスパイクが存在するかを決定するように構成された複数の通過をプロファイルに対して実行して濾過済みプロファイルを発生させるように構成された適応データを用いて生データプロファイルをフィルタリングする段階と、濾過済みプロファイルのパラメータに基づいて流体管理システムの変数を制御する段階とを備えることができる。複数の通過は、流体管理システムのサブシステムから受信された1又は2以上の設定値に基づいて変更される場合がある及び/又は省略される。
【0022】
別の実施例では、流体管理及び医療デバイスシステムは、流体管理システム及び医療デバイスを備えることができる。流体管理システムは、流体を流体供給源から流体管理システムを通してある流体流量でポンピングするように構成されたポンプと、ユーザインタフェースを含む処理デバイスとを備えることができ、処理デバイスは、1組のシステム作動パラメータに基づいてポンプを制御してターゲット流体流量を維持するように構成される。医療デバイスは、流体管理システムのポンプと流体連通している細長シャフトと、細長シャフトの遠位端に配置された圧力センサとを備えることができる。流体管理システムの処理デバイスは、医療デバイスの圧力センサから受信したデータに基づいて流体流量を調節するように構成することができる。処理デバイスは、データの上で複数の通過を実行して濾過済みプロファイルを発生させるように構成された適応データフィルタを用いて医療デバイスの圧力センサから受信したデータをフィルタリングするように構成することができ、複数の通過は、データ内のノイズを低減又は排除するように、データ内の脈動をモニタ及び/又は除去するように、データ内の各振動を平均化するように、及び/又はデータ内にスパイクが存在するかを決定するように構成される。
【0023】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、適応データフィルタは、流体管理システムのサブシステムから濾過データに対する要求を受信するように構成することができる。
【0024】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、要求は、データのプロファイルを発生させるための1又は2以上の設定値を含むことができる。
【0025】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、要求は、あるタイプの濾過データに対する1又は2以上の設定値を含むことができる。
【0026】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、処理デバイスは、ノイズ許容度入力に基づいて適応データフィルタを自動的に修正するように構成することができる。
【0027】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、処理デバイスは、濾過済みプロファイルが予め決められた範囲に収まらない場合に流体管理システムのユーザインタフェースに警告を提供するように構成することができる。
【0028】
上記実施例のうちのいずれかに対する代わりとして又はそれに加えて、別の実施例では、処理デバイスは、濾過済みプロファイルの変化率が予め決められた範囲に収まらない場合に流体管理システムのユーザインタフェースに警告を提供するように構成することができる。
【0029】
一部の例示的実施形態の上記要約は、本発明の各開示する実施形態又は全ての実施を説明するように意図していない。
【0030】
本発明は、添付図面と共に様々な実施形態の以下の詳細説明を考察するとより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】流体管理システムの選択された態様の概略図である。
【
図2】
図1のシステムの医療デバイス及びワークステーションの選択された態様を示す図である。
【
図3】
図2の医療デバイスの選択された態様を示す図である。
【
図4】本来の位置での
図2の医療デバイスの概略図である。
【
図5】
図1のシステムの加熱器アセンブリ及びカセットの選択された態様を示す部分斜視図である。
【
図10】データ信号の適応フィルタリングを使用かつ実行する方法の流れ図である。
【
図11】データ信号の適応フィルタリングを実行する方法の流れ図である。
【
図12】濾過済みデータプロファイルを示す図である。
【
図13】濾過済みデータプロファイルを示す図である。
【0032】
本発明は、様々な修正及び代替形態を受け入れるが、その詳細は、図面に例示的に示しており、かつ以下で詳細に説明する。しかし、本発明の意図は、説明する特定の実施形態に対して本発明の態様を限定しないことであることを理解しなければならない。逆に、本発明の意図は、本発明の精神及び範囲に収まる全ての修正物、均等物、及び代替物を網羅することである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下で定める用語に関して、特許請求の範囲求又は本明細書の他の箇所で異なる定義を提示しない限り、これらの定義を適用することとする。
【0034】
本明細書では、指定するか否かに関わらず、全ての数値は、用語「約」によって修飾されると仮定する。用語「約」は、当業者が列挙する値と同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と見なすと考えられる数字範囲を一般的に意味する。多くの事例では、用語「約」は、最近有効数字に丸められた数字を含むものとして示すことができる。
【0035】
端点による数字範囲の列挙は、当該範囲にある全ての数字を含む(例えば、1から5までは、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0036】
様々な構成要素、特徴、及び/又は仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値を開示するが、本発明の開示によって喚起される当業者は、望ましい寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示するものから外れる可能性があることは理解されるであろう。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲に使用する場合に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、状況が他に明確に定めない限り複数の指示物を含む。本明細書及び特許請求の範囲に使用する場合に、用語「又は」は、状況が他に明確に定めない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味に使用する。
【0038】
以下の詳細説明は、異なる図面内の類似の要素に同じ番号を振った図面を参照して読まれるべきである。これらの詳細説明及び必ずしも正確な縮尺とは限らない図面は、例示的実施形態を示し、本発明の範囲を限定するように意図したものではない。描く例示的実施形態は、単に例示的であるように意図している。反意を明示しない限り、あらゆる例示的実施形態の選択的特徴は、追加の実施形態の中に組み込むことができる。
【0039】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、及びこれらの変形などのような相対用語は、一般的に、デバイスのユーザ/オペレータ/操作者に対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は作動に関して決定することができ、「近位」及び「後退」は、ユーザに近い方又は向うことを示し又は意味し、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠い方又は離れることを示す又は意味する。一部の事例では、本発明の開示の理解を容易にする試みにおいて、「近位」及び「遠位」という用語を任意に割り当てる場合があるが、そのような事例は、当業者には直ちに明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」のような他の相対用語は、体管腔、血管のような管腔内、又はデバイス内の流体流れの方向を意味する。
【0040】
軟性尿管鏡検査(fURS)手順(例えば、尿管鏡検査、経皮的腎切石術(PCNL)、良性前立腺肥大症(BPH)、経尿道的前立腺切除術(TURP)など)、婦人科内視鏡手順、及び他の内視鏡手順で使用するための一部の流体管理システムは、LithoVue(登録商標)スコープデバイスのような内視鏡デバイス等であるがこれに限定されない内視鏡デバイスと併用される時にこのような内視鏡又は他の内視鏡デバイスからの圧力データ及び/又は温度データを用いて体腔圧を調節することができる。医療手順中の腔内圧力の直接調整は、ツールが内視鏡デバイスの作業チャネルの中に挿入される時に手順中の流量損失がないことを保証するために流体管理システムが600mmHgまでのシステム圧力を安全に駆動することを可能にすることができる。一部の手順では、内視鏡デバイスを通じた画像品質に悪影響を及ぼす場合がある血液及び/又はデブリが体腔に存在する場合がある。画像品質を改善するために、内視鏡デバイスを通る流体流れ(例えば、洗浄)を用いて体腔を洗い流すことができる。一部の手順では、体腔が比較的小さい場合があり、更に洗浄流体が絶え間なく流れる場合があり、それによって腔内流体圧力及び/又はシステム圧力(例えば、流体管理システム自体内の流体圧力)が増大する可能性がある。
【0041】
一部の腔の容積は非常に小さく、洗浄流体は腔の中に絶え間なく流れ込むので、流体流れが腔内に高圧を引き起こす可能性がある。高い腔内流体圧力及び/又はシステム圧力は、一部の状況下で患者に対してリスクを課す場合がある。一部の手順では、腔からの流出を発生させて圧力を低減するためにアクセスシースが使用されるが、多くの場合にアクセスシースは使用されず、それによって腔内に非常に高い圧力が引き起こされる場合がある。一部の場合に、医師は、腔内の圧力がどの程度であるかを知る方法を持たない場合があり、従って、腔内の高圧を防ぐために洗浄流量を低く保ちがちであり、画像品質及び可視化を損ねる場合がある。一例示的実施例では、腎臓が長期間にわたって高圧に耐えるか又は短い瞬時の高圧バーストに耐える場合に、腎盂静脈逆流のような問題及び敗血症のような手順後合併症を引き起こす可能性があると考えられる。
【0042】
圧力の変化を前提とする圧力の測定及びモニタは、データ及びシステムに対するその影響の確実な解釈に関する問題を生じる。例えば、圧力プロファイルは振動し、流体管理システムからの一貫性のない読取値を引き起こす場合がある。流体管理システムからの圧力読取値は、脈動信号又はノイズを有する信号を与える可能性があると更に考えられている。より高いシステム信頼性を与えることになる圧力データのプロファイル解釈を発生させることが望ましいとすることができる。システムに対する過度の脈動は、システムの実行性能及び医師による有用性を低減することになるので、一部の場合に、更に流体管理システムがシステムの圧力出力をシステムの脈動から保護することが望ましいとすることができる。流体管理システムと共に使用するための構成可能データフィルタを提供するためのシステム及び方法が望ましい。
【0043】
図1は、fURS手順のような内視鏡手順で使用することができる流体管理システム10の概略図である。流体管理システム10は、流体流れが中を貫流することを可能にする医療デバイス20に結合することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10及び/又は医療デバイス20は、圧力センサを含むことができる。一部の実施形態では、医療デバイス20は、LithoVue(登録商標)スコープデバイス又は他の内視鏡とすることができる。例示的実施形態では、医療デバイス20は、流体管理システム10に腔内温度フィードバックを供給する温度センサ、流体管理システム10に腔内圧力フィードバックを供給する圧力センサ、及び/又は流体管理システム10に視覚フィードバックを供給するカメラを含むことができる。
図1に示す流体管理システム10及び/又は医療デバイス20の一部の特定の及び/又は追加の特徴は、
図1に関しては具体的に言及しない場合があるが、下記で及び/又は他の図に関して議論している。
図1にはそのような特徴を状況説明目的に示している。
【0044】
簡潔に説明すると、流体管理システム10は、流体を流体供給源34(例えば、流体バッグなど)からある流体流量で医療デバイス20及び/又は患者の体内の治療部位にポンピング及び/又は搬送するように構成された流入ポンプ50を含むことができる。一部の場合に、流体は、医療デバイス20に流入する前に流体加温システム60を通過することができる。流体流量、流体圧力、流体温度、及び/又は他の作動パラメータは、コントローラ48によって制御するか又は少なくとも部分的に制御することができる。コントローラ48は、医療デバイス20、流入ポンプ50、及び/又は流体加温システム60との電子通信(例えば、有線又は無線)状態にして制御指令を供給すること、及び/又はコントローラ48とこれらの間でデータを伝達又は受信することができる。例えば、コントローラ48は、圧力データ及び温度データ等であるがこれらに限定されないデータを医療デバイス20から受信することができる。次に、コントローラ48は、医療デバイス20から受信したデータを用いて流入ポンプ50及び/又は流体加温システム60の作動パラメータを制御することができる。
【0045】
一部の実施形態では、コントローラ48は、流量制御モードにおいてターゲット流体流量で作動するように構成することができる。一部の実施形態では、流量制御モードでは、コントローラ48は、圧力センサからコントローラ48に通信される測定圧力をモニタしながら1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプ50を制御してターゲット流体流量を維持するように構成することができる。一部の実施形態では、測定圧力が事前設定圧力閾値に達した時に、コントローラ48は、流量制御モードから、コントローラ48が流体流量をターゲット流体流量よりも小さく自動的に低減して測定圧力を事前設定圧力閾値に又はそれよりも小さくなるまで戻す圧力優先モードに自動的に切り換わるように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、1組のシステム作動パラメータに基づいて流入ポンプ50を制御して治療部位で望ましい腔内流体圧力及び/又はターゲット流量を維持するように構成することができる。
【0046】
流体管理システム10は、流体管理ユニットを更に含む。例示的流体管理ユニットは、1又は2以上の流体供給源34(例えば、1又は2以上の流体バッグ)を各々が支持する1又は2以上の流体容器支持体、例えば、流体供給源ハンガー32を含むことができる。一部の実施形態では、各流体供給源ハンガー32及び/又は流体容器支持体に接続及び/又は作動的に結合されたリモートセンサ及び/又は供給ロードセル94を用いて流体供給源34(例えば、流体バッグ)の配置及び/又は重量を検出することができる。コントローラ48は、供給ロードセル94と電子通信することができる。流体供給源ハンガー32は、例えば、1リットル(L)から5Lまでの流体供給源(例えば、流体バッグ)のような様々なサイズの流体供給源34を受け入れることができる。あらゆる数の流体供給源34を使用することができることは理解されるであろう。更に、手順に依存してあらゆるサイズの流体供給源34を使用することができる。一部の実施形態では、流体管理ユニットは、支柱36及び/又は台座38を含むことができる転動スタンドに装着することができる。台座38は、使用時に流体管理ユニットの簡易移動を容易にする複数の車輪を含むことができる。しかし、診療プリファレンスに依存して流体供給源34を天井又は他の場所から吊り下げることができることは理解されるであろう。流体供給源ハンガー32は、支柱36及び/又はコントローラ48から延びることができ、1又は2以上の流体供給源34を懸架することができる1又は2以上のフックを含むことができる。一部の実施形態では、流体管理ユニットに使用される流体は、0.9%生理食塩水とすることができる。しかし、手順に依存して様々な粘性の様々な他の流体を使用することができることは理解されるであろう。
【0047】
一部の実施形態では、流体管理ユニットは、回収ドレープ28と流体連通している真空ポンプ24及び回収容器26を含むことができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、複数の真空ポンプを含むことができる。一部の実施形態では、回収容器26は、互いに及び/又は真空ポンプ24に流体接続することができる複数の容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルを含むことができる。一部の実施形態では、回収ドレープ28は、複数の回収ドレープを含むことができる。真空ポンプ24は、コントローラ48と作動的に及び/又は電子的に接続することができる。一部の実施形態では、
図1に示すように、真空ポンプ24は、回収容器26に隣接するように及び/又はその近くに配置することができる。一部の実施形態では、真空ポンプ24は、流体管理システム10の中に配置することができる。他の構成も考えられる。一部の実施形態では、回収容器26の配置及び/又は重量を検出するために、回収容器26を回収ロードセル25と作動的に結合することができる。複数の容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルを有する実施形態では、各容器、キャニスタ、及び/又は他のレセプタクルは、対応する回収ロードセル25と作動的に結合することができる。コントローラ48は、回収ロードセル25と電子通信することができる。
【0048】
流体管理システム10は、タッチ画面インタフェース42のような1又は2以上のユーザインタフェース構成要素を更に含むことができる。タッチ画面インタフェース42はディスプレイ44を含み、タッチ機能に加えてスイッチ又はノブを含むことができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、タッチ画面インタフェース42及び/又はディスプレイ44を含むことができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが、例えば、流量、圧力、及び/又は温度のような流体管理システム10の様々な関数を入力/調節することを可能にする。ユーザはまた、パラメータ及び警報(腔内圧力限界値、システム圧力限界値等であるがこれらに限定されない)、表示される情報、及び手順モードを構成することができる。タッチ画面インタフェース42は、ユーザが、流体管理システム10内で様々なモジュール式システムの使用を追加すること、切り換えること、及び/又は中断することを可能にする。タッチ画面インタフェース42は、様々な手順に対して流体管理システム10を自動モードと手動モードの間で切り換えるのに使用することができる。タッチ画面インタフェース42の代わりとして又はこれに加えて、ユーザ入力を受信するように構成された他のシステムを使用することができるように考えられている。
【0049】
当業者は理解されるように、タッチ画面インタフェース42は、ボタンのような選択可能区域を含むように構成することができ、及び/又は物理的ボタンと類似の機能を提供することができる。ディスプレイ44は、流体管理システム10内に含まれるモジュール式のシステム及びデバイスに関するアイコンを示すように構成することができる。更に、ディスプレイ44は流量表示を含むことができる。流量表示は、手順の前にユーザによって設定された流量に対する望ましい閾値、又は公知の一般的な値等に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、作動パラメータは、タッチ画面インタフェース42の対応する部分をタッチすることによって調節することができる。タッチ画面インタフェース42は、パラメータ(例えば、流量、圧力、温度など)が予め決められた閾値及び/又は範囲を上回った又は下回った場合に、視覚警告及び/又は聴覚警報を表示することができる。タッチ画面インタフェース42は、流体供給源34内に残っている流体の量、及び/又は手順中にユーザが有用であると見出す可能性があるあらゆる他の情報を表示するように構成することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10はまた、任意的な足踏みペダル46、加熱器ユーザインタフェース、流体制御インタフェース、又は様々なモジュール式システムを手動で制御するための他のデバイスのような更に別のユーザインタフェース構成要素を含むことができる。例えば、任意的足踏みペダル46を用いて流量を手動で制御することができる。一部の例示的ディスプレイ及び他のユーザインタフェース構成要素は、本発明の出願人に譲渡された「AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM(自動流体管理システム)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の全開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0050】
タッチ画面インタフェース42は、コントローラ48と作動的に接続することができ、又はその一部とすることができる。コントローラ48は、コンピュータ、タブレットコンピュータ、又は他の処理デバイスとすることができる。コントローラ48は、例えば、流入ポンプ50、流体加温システム60、流体損失管理システムのような1又は2以上のシステム構成要素と作動的に接続することができる。一部の実施形態では、これらの特徴は、単一ユニットの中に統合することができる。コントローラ48は、計算、制御、コンピュータ、表示のような様々な機能を実施する機能を有し、かつこれらの機能を実施するように構成される。コントローラ48は、流体管理システム10及びその各構成要素の作動に関するデータを追跡及び格納する機能も有する。例示的実施形態では、コントローラ48は、それ自体を例えばローカルエリアネットワークに接続することを可能にするイーサネット又はWi-Fiのような有線及び/又は無線ネットワーク通信機能を含む。コントローラ48は、流体管理システム10の複数のセンサのうちの1又は2以上から信号を受信することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、最良の診療提案及び患者記録の維持の目的でデータベースと通信することができ、これらは、ディスプレイ44上でユーザに対して表示することができる。
【0051】
流体管理システム10は、手順、患者特性等に基づいて異なるモード間でユーザ選択可能とすることができる。例えば、異なるモードは、制限モード、通知モードなどを含むことができるがこれらに限定されない。ユーザによってモードが選択されると、ターゲット流体流量、腔内流体圧力限界値、システム流体圧力限界値、流体損失、及び/又は温度のような選択システムパラメータは、タッチ画面インタフェース42及び/又はディスプレイ44を通してユーザに対して提供される及び/又はユーザによって入力することができる。特定のモードの例示的パラメータを予め決定し、例えば、ソフトウエアを用いてコントローラ48上にロードすることができる。従って、ユーザがタッチ画面インタフェース42のディスプレイ44上の初期表示から手順を選択した時に、これらの既知のパラメータは、コントローラ48から、例えば、流入ポンプ50、流体加温システム60、流体損失管理システム等であるがこれらに限定されない流体管理システム10の様々な構成要素にロードすることができる。流体管理システム10は、自動制御と手動制御の間でユーザ選択可能とすることができる。例えば、ある一定の手順では、ユーザは、流体流量、流体圧力、及び/又は他のパラメータを手動で調節しようと望む場合がある。ユーザが、例えば、タッチ画面インタフェース42上で手動制御を選択すると、ユーザは、例えば、任意的足踏みペダル46のような他の手動インタフェースを通して流体流量又は流体圧力を調節することができる。ユーザが自動制御を選択した場合に、流体管理システム10の制御を容易にするためにどのデータ及び/又はパラメータを使用すべきかをコントローラ48が決定することができるように、ユーザに対してタッチ画面インタフェース42を通してどの医療デバイス20を用いているかを選択又は入力するように促すことができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、選択された医療デバイス20が実際に使用されることを検証するように構成することができる。
【0052】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、視覚ソフトウエア又は画像認識及び解析ソフトウエアを含むことができる。例えば、医療デバイス20は、カメラ70(例えば、
図2及び
図4)を含むことができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、輝度(例えば、光モニタ)、コントラスト、又はカラーピクシレーションの変化に基づいて視覚ノイズを検出することができる視覚ソフトウエア/画像認識ソフトウエアを含むように構成することができる。コントローラ48に供給される画像が十分に明瞭又は鮮明ではないと決定された場合に、流体管理システム10は、治療部位からデブリを洗い流して画像を鮮明化/明瞭化するために流体流量又は流体圧力を一時的に増大することができる。流体流量又は流体圧力は、一時的な時間(例えば、予め決められた時間間隔)にわたって又は視野が十分に明瞭であると見なされるまで手動又は自動で増大することができる。この一時的な増加は、腔内圧力が安全限界値を超えないことを保証するために流体流量又は流体圧力を増大する時間が制限されることを保証する。
【0053】
例えば、流体管理システム10は、洗浄液中の赤色相(血液の兆候)を認識し、血液が視野から取り除かれるまでターゲット流体流量を上回って流体流量を増大するように流入ポンプ50に信号伝達することができる。これに代えて、コントローラ48は、医師又は看護師に対して曇った視界が検出されたという視覚警告をディスプレイ44上に提供すること、又は可聴警告を提供することができ、次に、ユーザは、流体流量を手動で調節することができる。別の実施例でかなりの量のデブリが存在する事例では、デブリから反射された光が画像の輝度を実質的に高める場合がある。この関連では、コントローラ48は、この過度の輝度を検出してデブリを洗い流すために及び/又は除去するために流体流量を増大するように流入ポンプ50に信号伝達する。デブリが映像システムの視野から洗い流されて取り除かれた時に反射光が低減すると、流体流量を低減するように流入ポンプ50がコントローラ48によって制御される。一部の場合に、医師は、視野を明瞭化する流体流れを起こした方が良いと思うベースライン可視性レベルを生成し、手順の前にこれらのパラメータを流体管理システム10の中にタッチ画面インタフェース42を通して入力することができる。ベースラインが生成されると、流体管理システム10は、映像の変化に関して視覚フィードをモニタして流体流量を必要に応じて自動的に調節することができる。
【0054】
流体管理システム10によって流体流量又は流体圧力を調節するために、流体管理ユニットは、流入ポンプ50のような1又は2以上の加圧デバイス又は流れ発生デバイスを含むことができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、蠕動ポンプとすることができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、複数のポンプ又は1よりも多いポンプを含むことができる。流入ポンプ50は、電気的に駆動することができ、壁コンセントのような電力線電源、使い捨て可能バッテリ又は再充電可能バッテリのような外部又は内部の蓄電デバイス、及び/又は内部電源から受電することができる。流入ポンプ50は、流体を例えば5mmHgから50mmHgまでのようなターゲット圧力及び/又はターゲット流体流量で送出するほど十分なあらゆる望ましい速度で作動させることができる。本明細書で特筆するように、流入ポンプ50は、例えば、治療部位内の腔内圧力及び/又は温度読取値及び/又は医療デバイス20からの視覚フィードバックに基づいて自動的に調節することができる。流入ポンプ50は、例えば、任意的足踏みペダル46、タッチ画面インタフェース42、又は別個の流体コントローラを通して手動で調節することができる。明示的に示していないが、流体コントローラは、ユーザが流入ポンプ50の速度及び/又は出力を増大又は低減することを可能にするボタンを含む別個のユーザインタフェースとすることができる。これに代えて、流体コントローラは、主処理デバイスの中に組み込むことができ、タッチ画面インタフェース42を通して入力を受信することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、異なる流れ機能を有する複数のポンプを含むことができる。一部の実施形態では、実際の流体流量を測定するために、流入ポンプ50の前及び/又は後に流量センサ77(例えば、
図5)を位置付けることができる。流量センサ77は、コントローラ48と作動的に接続することができ、流量センサ77からのデータは、コントローラ48によって用いて選択システムパラメータを変更することができる。
【0055】
任意の変化に対する手術室(OR)視界を与えるために、任意の所与の時間での流体の流体流量及び/又は流体圧力をディスプレイ44上に表示することができる。OR職員が過度に高いか又は過度に低いかのいずれかの流体流量又は流体圧力の変化に気付いた場合に、ユーザは、好ましいレベルに戻るように流体流量又は流体圧力を手動で調節することができる。これは、例えば、医師がツールを医療デバイス20の作業チャネルの中に挿入する時又はそこから取り出す時に起こる場合がある。流体管理システム10は、本明細書で議論するように、流体流量又は流体圧力をモニタして予め設定されたパラメータに基づいてこれらを自動的に調節することができる。この特徴は、流体流れが手動で供給される時に、例えば、助手がシリンジによって洗浄液を注入する時に有利とすることができる。
【0056】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、測定腔内温度及び/又は測定圧力に基づいて、例えば、測定圧力が事前設定圧力閾値に到達した時に流体流量又は流体圧力を自動的に調節することができる。一部の実施形態では、測定圧力は、治療部位内で測定される腔内圧力とすることができ、事前設定圧力閾値は、腔内圧力限界値とすることができる。腔内温度及び/又は腔内圧力は、流体管理システム10と併用される医療デバイス20上に装着された温度センサ72及び/又は圧力センサ74(例えば、
図2)を用いて生体内原位置で測定することができる。一部の実施形態では、測定圧力は、流体管理システム10内で測定されるシステム圧力とすることができ、事前設定圧力閾値は、システム圧力限界値とすることができる。システム圧力は、流体管理システム10の中に配置された圧力センサ67(例えば、
図5)を用いて流体管理システム10内で測定することができる。一部の実施形態では、流体管理システム10は、治療部位に送出される流体の圧力をターゲット圧力及び/又は予め決められた圧力範囲に維持するために流体管理システム10によって流入ポンプ50を自動的に始動、停止、及び/又は速度調節するようにユーザによって構成することができるような圧力モニタソフトウエアを含むことができる。例えば、圧力センサ74は、治療部位(例えば、腎臓又は子宮)内の腔内圧力を検出して測定腔内(例えば、腎内又は子宮内)圧力に基づいて流体管理システム10内の流体流量又は流体圧力を自動的に変更することができる。腔内圧力が過度に高い場合に、流体管理システム10は、流体流量又は流体圧力を低減することができ、腔内圧力が過度に低い場合に、流体流量又は流体圧力を増大することができる。
【0057】
図2~
図4は、流体管理システム10と併用することができる医療デバイス20の態様を示している。図示の実施形態では、医療デバイス20は、LithoVue(登録商標)スコープのような尿管鏡とすることができる。しかし、尿管鏡に加えて又はその代わりに、別の内視鏡のような他の医療デバイスを使用することができる。医療デバイス20は、患者の体内の治療部位にアクセスするように構成された細長シャフト76によって流体を流体管理システム10から治療部位に送出するように構成することができる。一部の実施形態では、流入ポンプ50は、細長シャフト76と流体連通することができる。細長シャフト76は、流体流れを受け入れるための1又は2以上の作業管腔又はそれを通る他の医療デバイスを含むことができる。医療デバイス20は、例えば、
図1及び
図4に示すように1又は2以上の供給ライン78(例えば、チューブ)を通して流体管理システム10に接続される。
【0058】
一部の実施形態では、医療デバイス20は、有線接続部79を通してワークステーション81と電子通信することができる。ワークステーション81は、特徴のうちでも取りわけ、タッチパネルコンピュータ83と、有線接続部79を受け入れるためのインタフェースボックス85と、カート87と、電源89とを含むことができる。一部の実施形態では、インタフェースボックス85は、流体管理システム10のコントローラ48との有線又は無線の通信接続部91を有するように構成することができる。タッチパネルコンピュータ83は、少なくとも表示画面と画像処理プロセッサとを含むことができる。一部の実施形態では、ワークステーション81は、複数使用構成要素(例えば、1よりも多い手順に使用される)とすることができ、それに対して医療デバイス20は単回使用デバイスとすることができるが、これは必須ではない。一部の実施形態では、ワークステーション81は除外することができ、医療デバイス20は、流体管理システム10のコントローラ48と電子的に直接に結合することができる。
【0059】
一部の実施形態では、流体管理システム10から医療デバイス20への1又は2以上の供給ライン78は、流入ポンプ50によって達成される蠕動運動を減衰させることを助ける材料で形成することができる。一部の実施形態では、供給ライン78は、直径が1/16インチ(1.5875ミリメートル)よりも小さいか又はそれに等しい小径配管から形成することができる。しかし、配管サイズは、用途に基づいて異なる場合があることは理解されるであろう。供給ライン78及び/又は配管は、使い捨て可能とし、無菌かつ直ぐに使用可能な状態で与えることができる。流体管理システム10内の様々な機能に対して異なるタイプの配管を使用することができる。例えば、1つのタイプの配管を医療デバイス20への流体の加熱及び流体流れの制御に使用することができ、それに対して別のタイプの配管を身体内及び/又は治療部位内の洗浄に使用することができる。
【0060】
図2に示すように、医療デバイス20は、細長シャフト76の遠位端80に近い1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、医療デバイス20は、治療部位内の腔内圧力を測定するための圧力センサ74を細長シャフト76の遠位先端に含むことができる。医療デバイス20は、例えば、温度センサ72、応力を検出するためのファイバブラッグ回折格子光ファイバ75、及び/又はアンテナ又は電磁センサ93(例えば、位置センサ)のような他のセンサを更に含むことができる。例示的実施形態では、医療デバイス20の遠位端80は、タッチパネルコンピュータ83の表示画面上でユーザに対して視覚フィードを提供するための少なくとも1つのカメラ70を更に含むことができる。別の実施形態では、医療デバイス20は、各々によって異なる情報をユーザに伝えることができるように異なる通信要件又は通信プロトコルを有する2つのカメラ70を含むことができる。そのように設けられた時に、ユーザは、タッチ画面インタフェース42及び/又はタッチパネルコンピュータ83を通してこれらのカメラ70の間で任意に切り換えを行うことができる。明示的に示していないが、細長シャフト76は、流体及び/又は他の医療デバイスを受け入れるための1又は2以上の作業管腔を含むことができる。
【0061】
一部の実施形態では、使用中に細長シャフト76の遠位端80の場所を追跡することができる。例えば、マッピング及びナビゲーションシステムは、既知の幾何学形状の磁場を発生させるための電磁発生器として役割又は作用をするように構成された手術台(又は他の手順又は検査の台又は椅子など)を含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、手術台とは別個の電磁発生器を設けることができる。手術台及び/又は電磁発生器は、特徴のうちでも取りわけ、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、及び入力手段を含むことができる制御ユニットに結合することができる。位置センサ(例えば、電磁センサ93など)又は他のアンテナを医療デバイス20の細長シャフト76の遠位端80の中に組み込むことができる。位置センサは、マッピング及びナビゲーションシステムの磁場内の位置センサの場所を感知する使用に対して構成することができる。一部の実施形態では、位置センサは、ワークステーション81に電子的に結合することができる。位置センサが磁場内である時に、電磁場発生源(例えば、手術台及び/又は電磁発生器)に対する位置センサの場所を数学的に決定することができる。ワークステーション81と制御ユニットは、患者に対する位置センサの位置を決定するために通信することができる。
【0062】
医療デバイス20は、細長シャフト76の近位端に結合されたハンドル82を含む。ハンドル82は、流体がいつ医療デバイス20を通って治療部位の中に流れ込むかをユーザが制御することを可能にする流体流れオン/オフスイッチ84を有することができる。ハンドル82は、他の様々な機能を実施する他のボタン86を更に含むことができる。例えば、一部の実施形態では、ハンドル82は、流体の温度を制御するためのボタンを含むことができる。この例示的実施形態は、尿管鏡を説明しているが、上記で詳述した特徴は、膀胱鏡、内視鏡、子宮鏡、又は撮像機能を有する事実上あらゆるデバイスの中に直接統合することができることは理解されるであろう。一部の実施形態では、医療デバイス20は、排液システムに接続することができる排液ポート88を更に含むことができる。一部の例示的排液システムは、本発明の出願人に譲渡された「AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM(自動流体管理システム)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0063】
一部の実施形態では、コントローラ48は、細長シャフト76の遠位端80が患者の体に配置されている時に手順中に失われた流体を表す流体損失、患者によって吸収された流体損失、及び/又は他に不明な流体損失を計算するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、全流体損失が事前設定流体損失限界値に達する時をユーザに通知するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、全流体損失が事前設定流体損失限界値に達した時に流入ポンプ50及び/又は真空ポンプ24を停止するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、全注入流体量が事前設定流体注入限界値に達する時をユーザに通知するように構成することができる。一部の実施形態では、コントローラ48は、全注入流体量が事前設定流体注入限界値に達した時に流入ポンプ50及び/又は真空ポンプ24を停止するように構成することができる。
【0064】
一部の実施形態では、コントローラ48は、例えば、供給ロードセル94、スケール、又は他の適切な手段を用いて流体供給源34内の流体の量を重量によりモニタするように構成することができる。供給ロードセル94は、流体供給源ハンガー32に取り付けられた流体供給源34の重量を決定して流体供給源34内の初期流体量を流体供給源34内に残っている現在流体量と比較するためにコントローラ48を使用することができる。供給ロードセル94の読取値は、ディスプレイ44上でユーザに対して示すことができる。手順が進行する時に、供給ロードセル94の読取値を実時間で更新し、流体供給源34内にどれほどの量の流体が残されているかを医師に警告することができ、次に、この量を用いてどれほどの量の流体が患者の中に注入されたかを決定することができる。一部の実施形態では、流体供給源34内に残っている流体量を示すことができる。例えば、流体供給源34内に10%の流体しか残っていない時に、警告をディスプレイ44上に可聴信号と共に示すことができる。一部の実施形態では、供給ロードセル94は、無線(例えば、Wi-Fi)信号を通してディスプレイ44に接続することができる。一部の実施形態では、供給ロードセル94は、結線接続部を通してディスプレイ44に接続することができる。手順中に流体供給源34が空になった場合に、それを満杯又は未使用流体供給源34と交換することができる。
【0065】
同様に、コントローラ48は、例えば、回収ロードセル25、スケール、又は他の適切な手段を用いて回収容器26内の流体の量を重量でモニタするように構成することができる。回収ロードセル25は、回収容器26の重量を決定して回収容器26内の初期流体量を回収容器26内の現在流体量と比較するためにコントローラ48を使用することができる。回収ロードセル25の読取値は、ディスプレイ44上でユーザに対して示すことができる。手順が進行する時に、回収ロードセル25の読取値を実時間で更新し、回収容器26内にどれほどの量の流体が存在するかを医師に警告することができ、次に、この量を用いてどれほどの量の流体が患者及び/又は回収ドレープ28から回収されたかを決定することができる。一部の実施形態では、回収容器26内の流体量を示すことができる。例えば、回収容器26内に初期空容積の10%しか残っていない時に、警告をディスプレイ44上に可聴信号と共に示すことができる。一部の実施形態では、回収ロードセル25は、無線(例えば、Wi-Fi)信号を通してディスプレイ44に接続することができる。一部の実施形態では、回収ロードセル25は、結線接続部を通してディスプレイ44に接続することができる。手順中に回収容器26が満杯になった場合に、それを空にして使用状態に戻すことができ、又は空の回収容器と交換することができる。
【0066】
一部の実施形態では、流体管理システム10は、
図5に示すような患者に送出されることになる流体を加熱するための流体加温システム60を含むことができる。流体加温システム60は、加熱器62と加熱器カセット64を含むことができる。加熱器カセット64は、単回使用加熱器カセット64であるように構成することができ、それに対して加熱器62は、複数の手順に向けて再使用することができる。例えば、加熱器カセット64は、加熱器62を最小限の保守しか伴わずに再使用することができるように流体流れを隔離することができる。加熱器カセット64は、例えば、ポリカーボネート又はあらゆる高熱定格生体適合プラスチックで形成することができ、単一単体部品、及び/又はモノリシック部品又は互いに恒久接合された複数の部品として形成される。一部の実施形態では、加熱器カセット64は、その側面に位置付けられた流体入口ポート61と流体出口ポート63を含むことができる。流体入口ポート61及び流体出口ポート63は、各々が流体管理システム10の供給ライン78に結合するように構成することができる。例えば、流体入口ポート61は、流体供給源34と流体加温システム60とを結合することができ(流入ポンプ50を通して)、それに対して流体出口ポート63は、流体加温システム60を医療デバイス20と結合することができ、各結合は、供給ライン78を通じたものである。
【0067】
一部の実施形態では、加熱器カセット64は、流体が流体入口ポート61から流体出口ポート63に貫流することを可能にするチャネルに沿って内部流路を含むことができる。加熱器カセット64は、1つの流路又は複数の流路を含むことができる。一部の実施形態では、チャネルは、誘導加熱によって流体を加熱することを可能にすることができるサセプタ66を通過することができる。加熱器カセット64が加熱器62と結合される時に、サセプタ66は、誘導コイル68の中に配置されるように構成することができる。必要に応じて、他の流体加温システム構成及び方法を使用することができる。例えば、加熱器62は、例えば、電気エネルギを使用するプラテンシステム又は直列コイルのような1又は2以上の熱源を供給ライン78内に含むことができる。加熱は、流体管理システム10の特定の用途で必要とされる流量に合わせて特別に設計し、かつ適応させることができる。一部の例示的流体加温システムは、本発明の出願人に譲渡された「AUTOMATED FLUID MANAGEMENT SYSTEM(自動流体管理システム)」という名称の米国特許出願公開第2018/0361055号明細書に説明されており、この文献の全開示内容は、引用によって本明細書に組み込まれている。
【0068】
明示的に示していないが、流体加温システム60は、タッチ画面インタフェース42とは別個の加熱器ユーザインタフェースを含むことができる。加熱器ユーザインタフェースは、単純に、加熱器62の内部温度のデジタル表示を提供する表示画面とすることができる。別の実施形態では、このユーザインタフェースは、加熱器62の温度を上げる又は下げるための温度調節ボタンを更に含むことができる。この実施形態では、加熱器ユーザインタフェース及び/又は表示画面は、加熱器62の現在温度、並びに到達されるターゲット温度を示すことができる。加熱器ユーザインタフェースが必要ではないように、流体加温システム60から出力される全ての情報は、ディスプレイ44に直接伝達することができることに注意されたい。
【0069】
流体加温システム60は、その中を貫流する流体をモニタするように構成された1又は2以上のセンサを含むことができる。例えば、加熱器カセット64の中を貫流する流体の温度を検出するような温度センサ65を流体加温システム60内に装着することができる。温度センサ65は、流体入口ポート61及び/又は流体出口ポート63に又はその近くに位置付けることができる。一部の実施形態では、温度センサ65は、流体がサセプタ66に流入する前及び流体がサセプタ66を流出した後に加熱器カセット64を貫流する流体の温度を検出するように装着することができる。一部の実施形態では、加熱器カセット64内の流体の温度上昇の推移を検出するような追加のセンサをサセプタ66の中間部分に位置付けることができる。温度センサ65は、あらゆる情報をディスプレイ44に遠隔送信することができ、又は加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面がそのように設けられる場合にこれらに情報を送信することができる。別の実施形態では、温度センサ65は、加熱器ユーザインタフェースと結線することができ(設けられる場合に)、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報をディスプレイ44に遠隔伝達することができる。これに代えて又はこれに加えて、温度センサ65は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0070】
加熱器62は、システム圧力をモニタするように構成された圧力センサ67、及び/又はシステムを貫流する流体を気泡に関してモニタするように構成された気泡センサ69を更に含むことができる。加熱器カセット64は、それが流体加温システム60と結合されている時に圧力センサ67及び気泡センサ69それぞれが加熱器カセット64を貫流する流体をモニタすることを可能にする対応する圧力センサインタフェース71及び気泡センサインタフェース73を含むことができる。圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、あらゆる情報をコントローラ48、ディスプレイ44に遠隔送信することができ、及び/又は加熱器ユーザインタフェース及び/又はその表示画面がそのように設けられる場合にこれらに情報を送信することができる。別の実施形態では、圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、加熱器ユーザインタフェースと結線することができ(設けられる場合に)、この場合に、加熱器ユーザインタフェースは、望ましい情報をディスプレイ44に遠隔伝達することができる。これに代えて又はこれに加えて、圧力センサ67及び/又は気泡センサ69は、コントローラ48に及び/又はそれと結線することができる。
【0071】
医療デバイス20の圧力センサ74及び/又は流体管理システム10内の圧力センサ67から受信される圧力信号は、かなり変動する場合がある。一部の場合に、変動は、流入ポンプ50での脈動に起因する流体のパルスに起因する場合がある。これらのパルスは、流体の流量に依存して変化する場合がある。
図6~
図9は、流体管理システム内で発生する可能性がある一部の例示的圧力信号プロファイルを例示している。しかし、これらのプロファイルは、起こり得る全ての圧力信号プロファイルを表すように意図したものではない。異なる圧力信号プロファイルの各々は、医療デバイス20の使用中に腔内圧力及び/又は送出圧力を制御するのに独特の障害を含む場合がある。
【0072】
図6は、緩慢な又は遅い脈動の例示的圧力プロファイル100を示している。この事例では、圧力信号の通常の平均を使用する時にデータのセクション又は部分しか取り込むことができない。その結果、実際の平均値よりも高いか又は低い平均値が、第2の分析データに依存する圧力信号として使用される場合がある。
図7は、急速な又は速い脈動の例示的圧力プロファイル110を例示している。流体管理システム10が急速な脈動圧力信号を用いて流体流れを制御しようと試みる場合、コントローラ48は、圧力信号のこの振動を追跡し、不安定な設定値を追跡する時にシステム10の中に更に別の振動を引き起こす場合がある。
図8は、長いスパイク又は圧力増大を有する急速な又は速い脈動の例示的圧力プロファイル120を例示している。この例では、プロファイル120は、コントローラ48が識別及び認識する必要がある圧力信号の明瞭な持続的増大122を例示している。圧力増大及びスパイク122の持続時間は、システム10の制御に関して重要であり、ノイズとして取り扱ってはならない。
図9は、脈動を含まないが、圧力信号の明瞭な持続的増大132を含む例示的圧力プロファイル130を例示している。圧力プロファイル130は、脈動がない高ノイズ信号(例えば、流体の脈動に起因しない圧力信号の多くのスパイク及びドロップ)を例示している。このノイズは、信号ノイズによって引き起こされる場合がある。図示の圧力プロファイル130では、圧力信号は、0.47という信号対ノイズ比(SNR)を有する。このタイプの圧力プロファイルは、圧力信号の品質が許容不能レベルにあることを示すことができる。
【0073】
圧力信号データの変化性を補償するために、圧力信号データに対してデジタル信号処理(DSP)を実行してFMS10のサブシステムにプロファイル済みデータを供給する構成可能又は適応データフィルタを使用することができる。適応データフィルタを用いて、圧力信号データは、FMS10の他のプログラム又はサブシステムとは独立に分析することができる。従って、同じ圧力データセットは、様々な形態で分析してFMS10の特定のサブシステム又は使用用途に対して非常に正確なデータを与えることができる。更に、類似の適応フィルタを用いて他のデータ信号を分析することができる。例えば、流体供給源34の重量は、測定されて流入ポンプ50又は他のサブシステムの制御論理の必要性を満足する出力を与えるためにFMS10によって使用することができる。
【0074】
図10は、圧力信号の適応フィルタリングを使用かつ実行する方法200の流れ図を示している。方法200を圧力信号に関して説明するが、本方法は、FMS10の様々な構成要素の制御論理に入力を与えるのに使用される他のデータ信号に適用することができることを理解しなければならない。例えば、流体供給源34の重量、流体の流量、流体の温度等は、本明細書に説明する適応フィルタリング技術を用いてフィルタリング又は濾過することができる単に一部の追加データ信号である。
【0075】
例示的方法200は、コントローラ48及び/又はワークステーション81のメモリに格納された制御論理によって実施することができる。
図10に示す例示的方法200は、中央で合流する2つの開始点を有する。第1の開始点では、ブロック202に示すように、予め決められた時間間隔で取得又は収集されるデータ信号を要求する作業が開始される(例えば、制御指令が出される)。例えば、1ミリ秒毎に圧力データ信号を要求するか又は取り込むことができる。これは単なる例である。データ収集の他の頻度又は間隔を要望又は必要に応じて使用することができる。圧力データ信号は、例えば、医療デバイス20上に装着された圧力センサ74で収集するか又は必要に応じて他の圧力センサで収集することができる。一部の場合に、コントローラ48及び/又はワークステーション81は、ユーザインタフェース42、83を通して医師から要求を受信した時にデータを収集することができる。他の実施形態では、コントローラ48及び/又はワークステーション81は、予め決められた時間で又はFMS10又はそのサブシステムが起動された時にデータ信号の収集を自動的に開始するようにプログラムすることができる。データ収集作業が開始された後に、ブロック204に示すように、圧力データ信号等であるがこれに限定されない生データ信号が取得される。生データ信号は、ブロック206に示すようにバッファに格納される。生データ信号は、予め決められた最小数のサンプルが取得され終わるまでバッファに格納される。従って、コントローラ48及び/又はワークステーション81は、ブロック208に示すようにフィルタバッファが完了する(例えば、最小数のデータサンプルを有する)まで予め決められた時間間隔でデータ信号を取得し続ける。フィルタバッファの完了時に、コントローラ48及び/又はワークステーション81は、FMS10の1又は2以上のサブシステムからの生データ信号及び設定を用いて、ブロック210に示すようにプロファイル済みデータを発生させるように構成することができる。プロファイル済みデータは、本明細書でより詳細に説明するように、このデータを使用することになるサブシステムから受信される構成情報に基づくことができる。
図6~
図9に一部の例示的プロファイル済みデータを例示している。このプロファイル済みデータは、本明細書でより詳細に説明するように適応データフィルタを用いて濾過又はフィルタリングすることができる。同じデータセットを特定のサブシステムに対して最も正確なデータを与えるように分析(又はプロファイル化)することができるように考えられている。例えば、1よりも多いサブシステムが、圧力データ信号を利用することができる。その一方で各サブシステムは、データ信号の異なる態様に重点を置いて最適に機能することができる。
【0076】
第2の開始点では、ブロック212に示すように、生データ信号及び/又は濾過済みデータ信号を使用することになるサブシステムは、データがどのようにプロファイル化されるかに関する構成を決定するためのユーザ入力を受信するようにプログラムする段階を含む又は受信するように構成される。サブシステムは、様々な方法で分析又はプロファイル化されることになるデータ信号を要求することができる。これらの要求は、生データの最大値、生データの最小値、生データの平均値、生データのSNR、濾過データの最大値、濾過データの最小値、濾過データの平均値、周波数、スパイク検出、ピーク間脈動又は最大脈動などを含むことができるがこれらに限定されない。サブシステムは、ブロック214に示すように、構成又は設定値をプロファイルデータエンジンに渡す。これらの設定値は、プロファイルデータエンジンに格納され、プロファイル済みデータを発生させるのに使用される。プロファイル済みデータは、生データ信号として使用するか、又はブロック216に示すように適応データフィルタを用いて処理することができる。
【0077】
図11は、適応データフィルタを用いてデータ信号を処理する方法216の流れ図を示している。本方法は、ブロック218に示すように、プロファイル化及びフィルタリング(濾過)されることになるデータをサブシステムが要求する段階で始まる。この要求の一部として、サブシステムは、データ分析に組み込まれることになるいくつかの設定値を与えることができる。例示的方法216は、コントローラ48及び/又はワークステーション81のメモリに格納された制御論理によって実施することができる。一般的に、制御論理は、データ信号プロファイルのデジタル信号処理のためのアルゴリズム又はフィルタである。フィルタは、サブシステムから受信した入力に従って及び/又は生データ自体に基づいて異なる信号を処理する時に適応させる又は変えることができる。フィルタは、プロファイル済みデータに対して複数の通過を実行することができる。各通過は、信号の異なる特徴に関して信号をモニタかつ分析することができる。一部の場合に、制御論理が不要であると決定した場合に、特定の通過を省略することができる。従って、フィルタは、分析されている信号に基づいて及び/又はデータ信号を利用することになるサブシステムに基づいて適応させる又は変えることができる。
【0078】
最初に、ブロック220に示すように、制御論理は、データ信号プロファイルからのノイズ除去を必要とするかを決定することができる。ノイズ除去を必要とする場合に、フィルタは、所与の分析に許容されるノイズ耐性又はノイズ許容度に基づいて調節される(例えば、制御論理は、フィルタの設定値を変化させる)。ノイズ耐性は、データを要求するサブシステムによって提供されるように考えられている。次に、ブロック222に示すように、フィルタは、プロファイル済み生データからあらゆる高周波数スパイク(例えば、振動)を除去して滑らかな信号を与える。この除去は、生データからノイズに起因するあらゆる軽微な変化を除去することができる。次に、ブロック224に示すように、フィルタは、平滑化された信号内でノイズカウントを決定することができる。次に、ブロック226に示すように、ノイズカウントを用いて信号対ノイズ比(SNR)を決定することができる。SNRが決定された状態で又はノイズ除去が必要とされないと制御論理が決定した場合に、ブロック228に示すように、制御論理は、脈動モニタを必要とするかを決定することができる。
【0079】
脈動モニタを必要とする場合に、ブロック230に示すように、制御論理は、最初に信号の周波数を決定することになる。例えば、フィルタは、データセット内で変曲点を決定し、それをフィルタリングに対するベースとして使用することができる。次に、ブロック232に示すように、制御論理は、ピーク間脈動又は最大脈動を決定することができる。この段階中に、各変曲点にわたって又は当該変曲点で直前の変曲点とその後の変曲点の間の時間幅がモニタされ、データセット内の信号脈動の周波数が決定されることになる。フィルタは、各変曲点の範囲の脈動に関してデータセットをモニタし、最大、最小、及び平均のピーク間偏位に関してモニタすることができる。最大のピーク間偏位を用いてシステムの脈動が決定されることになる。一部の場合に、ピーク間偏位が予め決められた閾値を超えた場合に、警告を発生させることができる。
【0080】
制御論理は、次に、ブロック234に示すように、各振動を順番に(例えば、連続して)平均化することができる。これは、サブシステムが使用するための滑らかな値を与えることができる。次に、ブロック236に示すように、制御論理は、濾過済みプロファイルの最大値、最小値、及び/又は平均値を決定する。次に、これらの値は、FMS10の実際の圧力値を決定するためにサブシステムの制御システムによって使用することができる。脈動モニタが必要とされない場合であっても、他の通過が不要であると見なされた場合に、制御論理は、生信号又は濾過済み信号(あらゆるフィルタ通過後の)の最大値、最小値、及び/又は平均値を使用することができるように考えられている。
【0081】
最大値、最小値、及び/又は平均値が決定されるか、又は脈動モニタが必要とされないと制御論理が決定した状態で、制御論理は、次に、ブロック238に示すようにスパイクモニタを必要とするかを決定することができる。スパイクモニタを必要とする場合に、ブロック240に示すように、制御論理は、プロファイル済みデータを分析してデータセットの中にスパイクが存在するかを決定することになる。一部の場合に、スパイクに関するモニタは、データセットの部分集合に対して実施することができ、このモニタを用いて圧力(又は他の変数)の突然の増大又は低下が発生したか否かを決定することができる。スパイクが発生したか否かを制御論理が決定した後に又はスパイクモニタが必要ではない場合に、ブロック242に示すように、フィルタリング処理を終了することができる。次に、濾過済みデータプロファイルを最初にデータを要求したサブシステムが用いてFMS10の異なる態様を制御することができる。例えば、持続した圧力増大に応答して、FMS10は、流体流量を低減することができる。これは、一例に過ぎない。
【0082】
図11に関して説明した適応又は可変濾過方法は、受信した信号の性質を決定して迅速で信頼性の高い結果を提供するためにあらゆるサブシステムによって使用することができる。これは、FMS10がシステム内の変化に迅速に安全に反応することを可能にすることができる。一部の場合に、SNRは、システム障害を検出して、圧力読取値(又は他の変数)が正確でない場合があってこの問題に対処すべきであることをシステム及び/又はオペレータに警告するための手段をFMS10に与えることができる。一例では、適応フィルタ216を用いて、手順を開始する前のSNRを決定することができる。この決定は、センサが適正に機能していない場合にFMS10及び/又は患者を潜在的な危害から保護することを助けることができる。SNRは、配線及び遮蔽が正しいことを保証するためのベースライン検査として製造において使用することができる。
【0083】
適応フィルタ216は、ポンプ作動をモニタするための手段を与えることができ、信号の周波数を用いてポンプの回転速度を決定するのに使用することができる。この決定により、システムが手順中のポンプの実行性能の変化に関してモニタすることを可能にすることができる。スパイク検出により、発生する可能性がある過圧状態からシステムを保護するために制御システムが迅速なアクションを取ることを可能にすることができるように更に考えられている。
【0084】
一部の場合に、適応フィルタ216は、コントローラ48及び/又はワークステーション81が入力信号を境界外条件に関してモニタすることを可能にすることができる。例えば、生データプロファイル及び/又は濾過済みプロファイルは、予め決められた最大閾値よりも大きいか又は予め決められた最小閾値よりも小さい信号に関してモニタすることができる。予め決められた範囲外にある生データプロファイル及び/又は濾過済みプロファイルは、センサの故障又は機能不良を示す場合があり、警告をFMS10のユーザインタフェース又はディスプレイ44に送ること及び/又は他にFMS10のオペレータに提供することができる。
【0085】
適応フィルタ216は、コントローラ48及び/又はワークステーション81が入力信号の変化率を分析することを可能にすることができるように更に考えられている。例えば、生データプロファイル及び/又は濾過済みプロファイルは、予め決められた最大閾値よりも大きいか又は予め決められた最小閾値よりも小さい変化率に関してモニタすることができる。予め決められた範囲外にある変化率は、不安定な信号を示す場合があり、警告をFMS10のユーザインタフェース又はディスプレイ44に送ること及び/又は他にFMS10のオペレータに提供することができる。
【0086】
図12は、生データ信号302とその対応する濾過済みデータ信号304とを含むグラフ300を示している。図示の実施形態では、生データ信号302は、サブシステムからの要求として平均最大値を用いて分析したものである。濾過済みデータ信号304の滑らかな線に見ることができるように、濾過済みデータ信号304は、生データ信号302と比較してノイズが低減されている。更に、データ内のスパイク306は、FMS10及び/又はサブシステムに対して可視である(例えば、データフィルタによって除去されていない)。
図13は、濾過済みデータ信号352を含む別のグラフ350を示している。図示の実施形態では、適応フィルタ216は、信号から全てのノイズを除去しており、それに対してスパイクデータは、FMS10及び/又はサブシステムに対して可視のままに留まっている。
【0087】
当業者は、本発明を本明細書に説明し、かつ考えられている特定の実施形態以外の様々な形態で出現させることができることを認識するであろう。従って、形態及び詳細の逸脱は、添付の特許請求の範囲に説明するような本発明の範囲及び精神から逸脱することなく行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
10 流体管理システム
20 医療デバイス
32 流体供給源ハンガー
34 流体供給源
50 流入ポンプ