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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ローラー研削機
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/36 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B24B3/36 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022554778
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021055861
(87)【国際公開番号】W WO2021180687
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102020203144.4
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522359121
【氏名又は名称】ホール 1993 ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ホール ティモ
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03278928(EP,A2)
【文献】実開昭48-081490(JP,U)
【文献】実公昭39-018689(JP,Y1)
【文献】実開昭50-014688(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第04443625(DE,A1)
【文献】米国特許第02477075(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/36-3/54
B24D15/06-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用ナイフを含む切削ツールの刃先を研削及び/又は研磨する装置(1)であって、
ハンドル(2)と、
前記ハンドル(2)に対して回転可能な少なくとも1つのローラー(3)と、
前記切削ツールの前記刃先を研削及び/又は研磨するための、前記ハンドル(2)に対して回転可能な少なくとも1つのディスク(4)と、を備え、
前記装置(1)は、前記ハンドル(2)に力を加えることによってベース(U)上を移動可能であり、これにより、前記ハンドル(2)に対して回転する前記ローラー(3)が前記ベース(U)上を転がり、前記ディスク(4)を回転させることができ、
前記ディスク(4)は、前記ローラー(3)とは異なる回転速度または角速度で回転可能である、装置(1)。
【請求項2】
前記ディスク(4)は、前記ローラー(3)が前記ハンドル(2)に対して回転すると、前記ローラー(3)より高い回転速度または角速度で回転する、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ディスク(4)は、前記ローラー(3)が前記ハンドル(2)に対して回転すると、前記ローラー(3)の回転方向と同じ方向又は反対の方向に回転する、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ディスク(4)は、前記ローラー(3)が前記ハンドル(2)に対して回転すると、前記ローラー(3)に対して一定の又は調整可能な速度伝達比で回転する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記ローラー(3)の回転運動と前記ディスク(4)の回転運動とが、トランスミッション(5)を介して連結される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記トランスミッション(5)が、2つの同軸中央ギア(5a,5b)と、前記中央ギア(5a,5b)に運動連結された少なくとも1つのトランスミッションギア(5c)とを有し
記ローラー(3)及び前記ディスク(4)が、前記中央ギア(5a,5b)の1つにそれぞれ回転しないよう接続又は連結され
記少なくとも1つのトランスミッションギア(5c)の回転軸(5d)が、前記ハンドル(2)に対して前記中央ギア(5a,5b)の回転軸(A)からオフセットされている、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ローラー(3)が内歯を有し、前記ローラー(3)がリングギアとして形成されている、請求項5又は6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置(1)が、前記ハンドル(2)の上又は中に回転可能に取り付けられた心棒(6)を有し、
前記心棒(6)が、前記ローラー(3)が前記ハンドル(2)に対して回転されると回転するように構成され、
前記ディスク(4)が、前記心棒(6)に回転しないよう及び/又は取り外し可能に接続され、
前記ローラー(3)は、前記心棒(6)に回転可能に取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記ハンドル(2)、前記ローラー(3)、及び/又は前記ディスク(4)、及び前記心棒(6)が、互いに同軸に配置されている、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ローラー(3)および前記ディスク(4)の回転軸(A)と、請求項8に記載の前記心棒(6)とが、前記ハンドル(2)の中心軸(A)と一致する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記装置(1)の2つの端面のそれぞれに前記ディスク(4)が配置され
前記ローラー(3)が各前記ディスク(4)と前記ハンドル(2)との間に配置され、
2つの前記ディスク(4)のそれぞれが、それ自体のドライブを有し、それ自体のトランスミッション(5)を介して、前記ディスク(4)と前記ハンドル(2)との間に配置された前記ローラー(3)に連結される、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記ハンドル(2)、前記ローラー(3)及び前記ディスク(4)が、正確に又は実質的に同一の外径を有し
記ハンドル(2)、前記ローラー(3)及び前記ディスク(4)のシェル表面が互いに同一平面上に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記ローラー(3)が、前記ローラー(3)の外周上の少なくとも1つの溝内に配置される周方向ラバーリング(7)を有し
記ラバーリング(7)は前記装置(1)の軸(A)に対して最大の直径を有し、これにより、前記装置(1)が前記ベース(U)上を移動するときに前記ラバーリング(7)が前記ベース(U)上を転がるように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置(1)と
記切削ツールの前記刃先(9)の側面及び/又は延長面が前記ディスク(4)に対して、5°~30°の範囲の角度(α)で向けられるように、研削及び/又は研磨中に前記切削ツールの前記刃先(9)を前記ディスク(4)に対して固定するための装置(8)と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルと、切削ツールの刃先を研削及び/又は研磨するための少なくとも1つのディスクとを備える、切削ツール、好ましくは家庭用ナイフの刃先を研削及び/又は研磨するための装置に関する。装置をハンドルで操作してテーブル表面のような表面に沿って引くと、ディスクはハンドルに対して回転する。これにより、切削ツールの刃先がディスクに当てられると、ディスクはその回転によって当てられた刃先を研削する。
【背景技術】
【0002】
「ローラー研削機」としても知られている対応する装置は、特許文献DE29703326U1及びEP3278928A2から知られている。このような装置により、切削ツールの刃先を特に一様に研削することができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、対応する装置の研削及び/又は研磨の効果をさらに改善するという目的に基づいている。
【0004】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載の装置を開示する。本発明による装置は、切削ツール、好ましくは家庭用ナイフの刃先を研削及び/又は研磨する機能を果たし、ハンドルと、ハンドルに対して回転可能な少なくとも1つのローラーと、切削ツールの刃先を研削及び/又は研磨するための、ハンドルに対して回転可能な少なくとも1つのディスクとを備え、装置は、ハンドルに力を加えることによってベース上を移動可能であり、これにより、ハンドルに対して回転するローラーがベース上を転がり、ディスクを回転させることができ、ディスクは、ローラーとは異なる回転速度/角速度で回転可能である。ローラーに対するディスクの回転速度が異なるため、研削効果を個々の要件に特異的に適応させることができる。例えば、ローラーの回転速度に対しディスクの回転速度を増加させることによって、ローラーがベース上を転がるよりも速く回転するディスクによって、研削及び/又は研磨の効果を高めることができる。ローラーの回転速度に対しディスクの回転速度を減少させることによって、特に正確な研削及び/又は研磨作業が可能になる。好ましくは、ディスクとローラーの回転方向の比、及び/又は回転速度/角速度の比を、例えば、ギアシフトに相当する調整可能なギア比又はギア減速によって、調整することができる。ディスクの回転は、ローラーの回転に一時的及び/又は機械的に連結することができ、これは例えばローラーに連結されたトランスミッションによってディスクが駆動される場合などであり、あるいは、ローラーの回転から切り離すことができ、これは例えばディスクが電気モータ又はばね巻き取りモータによって駆動される場合などである。好ましくは、ディスクの回転はローラーの回転に因果的に関連付けられ、これは例えば、ディスクがローラーに連結されたトランスミッションによって駆動される場合又はディスクがばね巻き取りモータによって駆動される場合などである。ばね巻き取りモータは、例えば、ハンドル及び/又はディスクに対するローラーの回転によって巻かれてもよく、したがって、ばね巻き取りモータに蓄積されたエネルギーは、ローラーの回転とは無関係にディスクの回転によって解放できる。この点で、ばね巻き取りモータはディスクの回転を駆動するためのエネルギーを他の方法で提供することができないため、ディスクの回転は、ローラーの回転に対して時間的にシフトされるかもしれないが、ローラーの回転によって引き起こされる。しかしながら、ローラーとディスクとがハンドルに対して互いに完全に独立して回転することも可能であり、これは例えば、ローラーが静止している間にディスクが電気モータによって駆動される場合などである。
【0005】
本発明の有利なさらなる実施形態は、従属請求項に記載の事項である。
【0006】
ディスクは、ハンドルに対してローラーが回転すると、ローラーとは異なる、好ましくはより高い回転速度/角速度で回転することが有利な場合があり、これにより、ディスクの回転速度/角速度は、ローラーの回転速度/角速度よりも、少なくとも50%高いことが好ましく、少なくとも100%高いことが特に好ましい。この実施形態では、ローラーの比較的短い転がり移動でも、ディスクがローラーに対してより速く回転するので、従来のローラー研削機よりも大幅に改善された研削又は研磨の効果が得られる。
【0007】
但し、ディスクは、ローラーがハンドルに対して回転すると、ローラーの回転方向と同じ方向又は反対の方向に回転することが有用であることが分かる。特に、ローラーの回転方向にかかわらず、ローラーが回転するときにディスクが常に同じ方向に回転することが有利な場合がある。これは、例えば一方向クラッチによって達成することができる。このようにして、特に一様な研削又は研磨の効果を得ることができる。
【0008】
ディスクは、ローラーがハンドルに対して回転すると、ローラーに対して一定の又は調整可能な速度伝達比で回転することが有利な場合がある。これにより、特に一様な研削又は研磨の効果を得ることがさらに容易となる。
【0009】
ローラーの回転運動とディスクの回転運動とが、好ましくはギアドライブを介して、好ましくはプラネタリーギアを介して、トランスミッションを介して連結されていることが有用な場合がある。このようにして、ディスクの回転運動はローラーの回転運動に特に確実にかつ比例して連結することができる。
【0010】
トランスミッションが、2つの同軸中央ギアと、中央ギアに運動連結された少なくとも1つのトランスミッションギアとを有し、好ましくは、ローラー及びディスクが、中央ギアの1つにそれぞれ回転しないよう接続又は連結され、好ましくは、少なくとも1つのトランスミッションギアの回転軸が、ハンドルに対して中央ギアの回転軸からオフセットされていることが有用な場合がある。好ましくは、中央ギアはトランスミッションギアを介して噛み合っており、これにより、ローラーの回転がトランスミッションギアの回転に変換され、トランスミッションギアの回転がディスクの回転に変換される。
【0011】
ローラーが内歯を有し、ローラーが好ましくはリングギアとして構成されていることが有用な場合がある。この構成により、トランスミッションをローラー内に特にコンパクトに収容することができる。
【0012】
但し、装置が、ハンドルの上又は中に回転可能に取り付けられた心棒を有し、心棒が、好ましくは、ローラーがハンドルに対して回転されると回転するように構成され、好ましくは、ディスクが心棒に回転しないよう及び/又は取り外し可能に接続され、特に好ましくは、ローラーが心棒に回転可能に取り付けられていることが実用的な場合がある。この構成により、ローラーとディスクとの間の高い速度伝達比を特にシンプルかつコンパクトに達成することができる。
【0013】
ハンドル、ローラー、及び/又はディスク、及びオプションで心棒が、互いに同軸に配置されていることが有用な場合がある。この配置は、特にコンパクトで安定していることが分かる。
【0014】
ローラーとディスクの回転軸と、該当する場合には請求項8に記載の心棒とが、好ましくはハンドルの中心軸と一致することが好都合であることが分かるであろう。この構成はまた、特にコンパクトで安定していることが分かる。この実施形態では、研削ディスクは装置の端面全体を占めることができる。
【0015】
装置の2つの端面のそれぞれに1つのディスクが配置され、好ましくは、1つのローラーが各ディスクとハンドルとの間に配置され、2つのディスクのそれぞれが、好ましくはそれ自体のドライブを有し、特に好ましくはそれ自体のトランスミッションを介して、ディスクとハンドルとの間に配置されたローラーに連結されることが有用な場合がある。この実施形態では、例えば、切削ツールを研削及び研磨するために異なるコーティングを有するディスクを使用することができる。好ましくは、端面は、装置の軸方向端面を形成し、その中心軸に垂直な平面内に延在する。
【0016】
ハンドル、ローラー及びディスクが、正確に又は実質的に同一の外径を有し、好ましくは、ハンドル、ローラー及びディスクのシェル表面が互いに同一平面上に配置されていることが有用な場合がある。この実施形態は、見た目の良い美的外観を有し、回転部分間には小さなギャップしかなく、回転部分が突出していないので、ユーザが負傷する危険性を低減する。理想的には、ハンドル、ローラー及びディスクのシェル表面は、正確に又は実質的に円筒形である。
【0017】
ローラーが、好ましくはローラーの外周上の少なくとも1つの溝内に配置される周方向リング(好ましくはラバーリング又はシリコーンリング)を有し、好ましくは、(装置の全構成要素のうち)リングが装置の軸に対して最大の直径を有し、これにより、装置がベース上を移動するときにリングがベース上を転がるように構成されていることが有利な場合がある。リング、特に本実施形態のラバーリングは、その弾性特性により、ローラーがベース上でスリップせずに転がるのを可能にする。オプションで、リングは、ローラーの外周上の溝からローラーの外周上の溝に可逆的に移動させることができ、それにより、ハンドルに力を加えることによって装置がベース上を移動すると、(ハンドルに対して回転する)ディスクがベース上を転がってこれにより回転させられる。この場合、装置は、ローラー上ではなく、ディスク上を転がる。好ましくは、リングは、オプションで、ローラーの外周上に設けられた異なる直径を有する複数の溝の1つに配置され、(装置の全構成要素のうち)リングは、装置の軸に対してこれらの溝の各々において最大の直径を有し、これにより、装置がベース上を移動するとリングがベース上を転がるように構成される。直径が異なるため、ローラーの転がり範囲(ひいてはローラーとディスクとの間の速度伝達比)は、特にシンプルな方法で変更することができる。ローラーの外周上の異なる溝内に配置できるようにするためには、例えばゴム製などの、特に弾性のあるリングを使用することが望ましく、このリングは、適切に伸ばすことができ、対応する溝の外径に適応することができる。
【0018】
ローラーが、ハンドルの上又は中に取り付けられた心棒に回転可能に取り付けられていることが実用的な場合がある。この構成は特にコンパクトであることが分かる。
【0019】
本発明の別の態様は、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置と、研削及び/又は研磨中に切削ツールの刃先をディスクに対して固定するための装置とを備え、好ましくは、切削ツールの刃先の側面及び/又は延長面が、5°~30°の範囲の、好ましくは10°~20°の範囲の、好ましくは15°の角度で、ディスク(の表面)に対して向けられているシステムに関する。これにより、特に一様な研削及び/又は研磨を達成することができる。
【0020】
他の有利なさらなる実施形態については、以下に記載する。
【0021】
好ましくは、装置は、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0022】
装置はローラー研削機として形成される。
【0023】
装置は、略円筒形の輪郭を有する。
【0024】
装置は、2つの平坦で、好ましくは平行な端面を有する。
【0025】
装置は、5cm~15cmの範囲、好ましくは3cm~12cmの範囲の長さを有する。
【0026】
装置は、2cm~15cmの範囲、好ましくは3cm~12cmの範囲、より好ましくは4cm~8cmの範囲の直径を有する。
【0027】
ハンドルは、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0028】
ハンドルは中空の円筒形である。
【0029】
ハンドルは、3cm~10cmの範囲、好ましくは5cm~8cmの範囲の長さを有する。
【0030】
ハンドルは、2cm~15cmの範囲、好ましくは3cm~10cmの範囲、より好ましくは4cm~8cmの範囲の直径を有する。
【0031】
ハンドルの外径は、ローラー及び/又はディスクの外径に対応する。
【0032】
ハンドルのシェル表面とローラーのシェル表面とは同一平面上に配置されている。
【0033】
ハンドルは、ローラーの回転軸及び/又はディスクの回転軸でもある軸に沿って延在する。
【0034】
ハンドルは、木材、又は金属、又は木材と金属の組み合わせから作られる。
【0035】
ハンドルは、正確に又は実質的に円筒形のシェル表面を有する。
【0036】
ハンドルは、正確に又は実質的に円筒形の孔を有する。
【0037】
ローラーは、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0038】
ローラーは、ソケット又はスリーブの形状に形成されている。
【0039】
ローラーは、0.5cm~5cmの範囲、好ましくは1cm~3cmの範囲の長さを有する。
【0040】
ローラーは、2cm~15cmの範囲、好ましくは3cm~10cmの範囲、より好ましくは4cm~8cmの範囲の直径を有する。
【0041】
ローラーのシェル表面とディスクのシェル表面とが同一平面上に配置されている。
【0042】
ローラーは、木材、又は金属、又は木材と金属の組み合わせから作られている。
【0043】
ローラーは、周面上に、好ましくはラバーリングのようなリングを受け入れるための少なくとも1つの周溝を有し、好ましくは直径の異なる複数の周溝を有する。
【0044】
ローラーの内径は、一方の側において他方の側よりも小さく、好ましくは、ハンドルに対向する側よりもディスクに対向する側の方が小さい。
【0045】
ローラーは、好ましくは、より大きな内径を有する側に、内歯を有する。
【0046】
ディスクは、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0047】
ディスクは、端面とは反対を向いている側において、一体形成された、及び/又は一体的に、好ましくはモノリシックに形成されたねじ付きピンを有し、このねじ付きピンにより、ディスクは、好ましくは、ハンドルの上又は中に回転可能に取り付けられた心棒にねじ留めされる。
【0048】
ディスク(ねじ付きピンを除く)は、0.2cm~2cmの範囲、好ましくは0.5cm~1cmの範囲の長さを有する。
【0049】
ディスクは、2cm~15cmの範囲、好ましくは3cm~10cmの範囲、より好ましくは4cm~8cmの範囲の直径を有する。
【0050】
ディスクのシェル表面とローラーのシェル表面が同一平面上に配置されている。
【0051】
ディスクは金属製である。
【0052】
ディスクは、端面に研削及び/又は研磨面を有する。
【0053】
ディスクは、好ましくはダイヤモンドからなる研削及び/又は研磨コーティングを端面上に有する。
【0054】
ディスクは、シェル表面と研削及び/又は研磨面との間の遷移部において、面取り部又は丸みを有する。
【0055】
ディスクの端面は、正確に又は実質的に平面内に延在する。
【0056】
ディスクは、装置の一方の端面に配置される。
【0057】
装置の2つの端部のそれぞれに1つのディスクが配置される。
【0058】
トランスミッションは、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0059】
トランスミッションは、ギアドライブとして形成される。
【0060】
トランスミッションはプラネタリーギアとして形成される。
【0061】
トランスミッションは、2つの同軸又は同心の中央ギアと、中央ギアに連結された少なくとも1つのトランスミッションギアとを有する。
【0062】
トランスミッションは、ローラーとハンドルとの間に正確に又は実質的に配置され、好ましくは、ローラー内に形成され、ハンドルによって閉じられる環状空間内に配置される。
【0063】
さらなる有利な実施形態は、明細書、図面及び特許請求の範囲に開示された特徴の組み合わせから提供される。
【0064】
<用語及び定義>
ハンドルは、本発明による装置又はローラー研削機を操作するために使用される。したがって、ハンドルは、ローラー研削機がベース上を移動する間、すなわち押されたり引かれたりする間、ユーザの手で保持されるのに適している。
【0065】
ローラー研削機は、ディスクに当接して保持された切削ツールの刃先を研削するために研削及び/又は研磨ディスクが回転するよう、ベース上を転がして移動させることができる研削装置である。ローラー研削機のカテゴリーは、とりわけ、DE29703326U1によって確立され、さらにEP3278928A2によって発展された。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】好ましい実施形態による本発明による装置の概略部分断面図を示し、画像の左半分は装置の中心軸に沿った断面で示され、画像の右半分は装置の外観図として示されている。
図2図1に示される本発明による装置の線II-IIに沿った概略断面図であり、装置の構成要素は簡略化された形態で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0068】
本実施形態は、家庭用ナイフなどの切削ツールを研削及び/又は研磨するためのローラー研削機とも呼ばれる装置1に関する。この装置1は、ベースU上を転がって移動するように構成され、その際、端面に配置された研削及び/又は研磨ディスク4を回転させて、ディスク4に当てられた切削ツールの刃先9が研削又は研磨されるように構成される。このようなローラー研削機の原理は、基本的に、EP3278928A2及びDE29703326U1から知られている。本発明の説明は、基本的に、知られているローラー研削機との相違について説明する。
【0069】
図1及び図2に示される本発明によるローラー研削機1は、木製の中空円筒形ハンドル2と、ハンドル2の端面上に配置され、ハンドル2に対して回転可能な金属製の2つの環状ローラー3と、金属製の2つの円形ディスク4とを備え、各円形ディスク4は、ローラー研削機1の端面上に配置され、切削ツールを研削又は研磨するためにハンドル2に対して回転可能である。力は、通常、ユーザの手によって、例えばけん引力又は圧力によってハンドル2に加えられ、その結果、ローラー研削機1はベースU上を移動し、ローラー3はベースU上を転がる際にハンドル2に対して回転する。各ディスク4は、一体に形成されたねじ付きピンを介してハンドル2内に回転可能に取り付けられた心棒6にねじ留めされ、この心棒6に回転しないよう接続される。
【0070】
ハンドル2、ローラー3、ディスク4及び心棒6は、互いに同軸に配置され、ローラー3、ディスク4及び心棒6の回転軸Aが装置1又はハンドル2の中心軸Aと一致するように構成されている。
【0071】
装置1の端面に配置された2つのディスク4の各々は、それ自身のトランスミッション5を介して、ディスク4とハンドル2との間に配置されたローラー3に連結される。ハンドル2、ローラー3及びディスク4は、同一の外径を有しており、これにより、ハンドル2、ローラー3及びディスク4の円筒形シェル表面が互いに同一平面上に配置されている。各ローラー3は、ローラー3の外周上の溝内に配置された周方向のラバーリング7を備えている。装置1の全ての構成要素のうち、ラバーリング7は、装置1の中心軸Aに対して最大の直径を有し、装置1がベースU上を移動すると、このベースU上をラバーリング7が転がるようになっている。
【0072】
図1において、本発明に係るローラー研削機1は、装置1の中心軸Aに沿った部分断面で示されている。先に説明したように、図1において右側の端面上に配置されたディスク4も、(隠された、好ましくは同一の)トランスミッション5を介して関連するローラー3に連結されている。但し、代替的に、特許文献EP3278928A2から知られているように、右側の端面上のローラー3とディスク4を、回転しないような態様で互いに連結させる、すなわち、トランスミッションを介在させることなく互いに連結させることも可能である。また、左右のディスク4は、異なるトランスミッション又は異なるギア比を介してそれぞれのローラー3に連結させることもできる。
【0073】
トランスミッション5により、ディスク4は、関連するローラー3のハンドル2に対する回転によって回転するように構成されているので、ローラー3が回転すると、ディスク4はローラー3とは異なる回転速度/角速度で回転する。ギア比に応じて、ディスク4の回転速度/角速度は、好ましくは、ローラー3の回転速度/角速度よりも少なくとも50%高い。
【0074】
本実施形態では、トランスミッション5がプラネタリーギアとして構成されている。このプラネタリーギアは、2つの同軸中央ギア5a,5bと、中央ギア5a,5bに運動連結された少なくとも1つのトランスミッションギア5cと、を備えている。中央ギア5a,5b間の動力伝達を最適化し、これをローラー3の周の周りに均等に分配するために、複数のプラネタリーギア5cを、ローラー3の回転軸Aの周りに、好ましくは一定の角度間隔で配置することができる。ローラー3はリングギアとして形成され、ハンドル2に対向する側の内周に内歯を備えている。この内歯はトランスミッションギア5cの外歯と噛み合っており、その軸5dはハンドル2に対して固定され、ハンドル2の中心軸Aに対して平行にオフセットされている。心棒6は外歯を有し、また、トランスミッションギア5cと噛み合っている。
【0075】
図2に示すように、ローラー研削機1が方向R1に転がると、ローラー3はベースU上を方向R2に転がって回転する。ハンドル2がユーザの手(図示せず)で保持されると、ローラー3がベースU上を転がっているときにハンドル2はベースUに対して回転しない。したがって、ハンドル2に対して固定されているトランスミッションギア5cの軸5dは、ベースUとローラー3の回転軸Aに対して静止したままとなる。
【0076】
ローラー3の内歯とトランスミッションギア5cの外歯との噛み合いにより、ローラー3の方向R2への回転運動は、トランスミッションギア5cの方向R3への回転運動に変換される。ピッチ円のエリア内の噛み合ったギアの転がり速度又は周速は同一である。しかしながら、トランスミッションギア5cはローラー3よりもかなり小さいギア又はピッチ直径を有するので、トランスミッションギア5cは、ローラー3がその軸Aを中心に回転するよりも高い回転速度/角速度で、その軸5dを中心に回転する。
【0077】
さらなる歯による係合を介して、トランスミッションギア5cの回転運動は、ハンドル2内に回転可能に取り付けられそしてディスク4に回転不可能に接続される心棒6に伝達される。トランスミッションギア5cと心棒6のギア又はピッチ直径はほぼ等しいので、心棒6の回転速度/角速度はトランスミッションギア5cの回転速度/角速度にほぼ等しい。本実施形態では、ローラー3と各隣接ディスク4の回転運動は、ローラー3がハンドル2に対して回転するとディスク4がローラー3の回転方向とは反対の方向に回転するように連結されている。
【0078】
ローラー3、トランスミッションギア5c及び心棒6のギア又はピッチ直径を選択することによって、ローラー3に対するディスク4の回転速度/角速度の比に影響をもたらすことができる。
【0079】
本実施形態では、ローラー3とディスク4とがトランスミッション5を介して連結されているため、ローラー3がディスク4の機械的駆動を行う。
【0080】
装置1がハンドル2で保持され、テーブル表面のようなベースU上を方向R1に動かされると、直線運動がベースU上を転がるローラー3を介して回転運動に変換される。そして、直線運動がディスク4に伝達される。ローラー3との摩擦又はギア接触によりトランスミッションギア5cが駆動され、これにより、トランスミッションギア5cの回転運動が心棒6及びこれに連結されたディスク4に伝達される。
【0081】
しかしながら、ローラー3とディスク4とを機械的に切り離すことも可能であり、これにより、例えば、センサがローラー3の回転運動を検知して制御ユニットに信号を出力し、制御ユニットがこのセンサが出力した信号に基づいてモータを制御して、ディスク4の回転運動を発生させて、ローラー3とディスク4とが互いに異なる回転速度で回転するようにすることも可能である。したがって、トランスミッション5は装置1の必須の特徴ではない。
【0082】
以下の実施形態は、基本的に図1及び図2に示す第1の実施形態に基づくものであり、以下に述べる相違点を除き同じ特徴を有する。
【0083】
第2の実施形態では、研削ディスクは、第1の実施形態に比べて厚く、外周にラバーリング用の周溝を有する。図1に示すローラー3の外周上の溝から研削ディスク4の外周上の溝にラバーリングを移動させると、ローラー研削機1の転がり速度が変化する。
【0084】
第3の実施形態では、ローラー研削機1は少なくとも一端にモータ駆動による研削又は研磨ディスク4を有しており、このディスクは、例えば電気駆動によって駆動され、バッテリ又はアキュムレータからエネルギーが供給される。
【0085】
第4の実施形態では、ローラー研削機1は少なくとも一端にトランスミッション4用のドライブとしてのばね巻き取りモータを有している。これにより、ナイフの側面を研磨するためのより高い回転速度が可能になる。
【符号の説明】
【0086】
1 装置又はローラー研削機
2 ハンドル
3 ローラー
4 研削及び/又は研磨用ディスク
5 トランスミッション
5a 中央ギア
5b リングギア
5c トランスミッションギア
5d トランスミッションギア軸
6 心棒
7 ラバーリング
8 器具(ナイフゲージ(messerlehre))
9 切削ツールの刃先
A 装置の軸(又はハンドルの軸、ローラー及びディスクの回転軸)
R1 装置の移動方向
R2 リングギアの回転方向
R3 トランスミッションギアの回転方向
R4 心棒又は中央ギアの回転方向
U ベース
図1
図2