(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240314BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20240314BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240314BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240314BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/44
A24F40/40
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2023001599
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2020515922の分割
【原出願日】2018-08-08
【審査請求日】2023-02-09
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ブリフカニ ノーリ モヤド
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ギヨーム
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/156413(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0327327(US,A1)
【文献】特表2017-519492(JP,A)
【文献】特表2017-522872(JP,A)
【文献】特表2017-522021(JP,A)
【文献】中国実用新案第203969207(CN,U)
【文献】中国実用新案第206197017(CN,U)
【文献】特表2018-504132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0319407(US,A1)
【文献】特表2017-506076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/44
A24F 40/40
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、
口側端の開口部および空気吸込み口を有するハウジングと、
前記ハウジング内にあり、かつ液体エアロゾル形成基体を収容するように構成された貯蔵区画であって、前記貯蔵区画がコネクターによって相互に接続された第一の区画および第二の区画を有し、これにより、前記第一の区画内の液体が前記コネクター内の液体通路を通して前記第二の区画へと通ることができる、貯蔵区画と、
前記空気吸込み口から前記口側端の開口部へと延びる、気流通路であって、前記第一の区画と前記第二の区画との間を通る気流通路と、
第一の表面および前記第一の表面の反対側の第二の表面を有する流体透過性エアロゾル発生要素であって、前記流体透過性エアロゾル発生要素の前記第一の表面が前記第一の区画に面し、かつ前記第二の表面が前記第二の区画に面し、前記第二の表面は前記第二の区画と流体連通しており、これにより前記第一の区画内の液体エアロゾル形成基体は前記流体透過性エアロゾル発生要素に前記第二の区画を通してのみ到達することができ、前記第一の表面および前記コネクターが前記気流通路の一部を形成する、流体透過性エアロゾル発生要素と、を備え、
前記第一の区画内の前記液体エアロゾル形成基体が、前記コネクターおよび前記第二の区画を通してのみ前記流体透過性エアロゾル発生要素に到達することができる、カートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジが、シール部分と前記シール部分と接続しているタブ部分とを有する取り外し可能なシールであって、前記シール部分が前記エアロゾル発生要素の前記第一の表面の外側の気流通路内に位置付けられ、かつ前記タブ部分が前記ハウジングから前記空気吸込み口を通して外向きに延びる、取り外し可能なシールを備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記タブ部分に引っ張り力を加えることによる、前記第一の表面の外側からの前記シール部分の除去により、前記気流通路と前記第一の表面が流体連通することになる、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記取り外し可能なシールが、前記引っ張り力が前記タブ部分に加えられるまで、前記取り外し可能なシールを前記気流通路の外側に保持するための保持手段を備える、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記取り外し可能なシールが前記気流通路から前記空気吸込み口を通して取り外し可能であり、
および/または前記タブ部分が可撓性であり、かつ前記空気吸込み口において曲がるように構成され、そのため前記ハウジングの外部プロファイルと適合し、
および/または前記シール部分が、前記流体透過性エアロゾル発生要素と前記気流通路との間に気密シールを提供するように配設され、
および/または前記気流通路内に位置付けられる時、前記シール部分が前記気流通路内に気密シールを形成し、
および/または前記カートリッジが、前記シール部分が前記気流通路から取り外される前に前記エアロゾル発生要素が動作するのを防止するように構成された安全機構を備える、請求項2~4のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記第一の区画が、前記流体透過性エアロゾル発生要素と前記口側端の開口部との間に位置付けられる、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記コネクターが、締まり嵌めによって前記第一の区画および前記第二の区画の一方または両方に接続される、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記流体透過性エアロゾル発生要素がヒーター要素である、請求項1~7のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジが、ヒーター組立品を備え、前記ヒーター組立品が前記ヒーター要素および電気接点部分を備え、前記ヒーター要素に電気的に接続され、前記接点部分が前記カートリッジの接続端を通して曝露される、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記貯蔵区画がヒーターマウントを備え、前記ヒーターマウントが前記ヒーター組立品の外側に成形される、請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記気流通路が前記第一の区画を通って延びる、請求項1~10のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記気流通路が、前記エアロゾル発生要素から前記第一の区画に隣接する前記口側端の開口部へと延びる、請求項1~10のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記第一の区画が、前記第二の区画よりも大きな液体貯蔵容量を有する、請求項1~12のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記第二の区画が、前記エアロゾル発生要素の前記第二の表面と接触する毛細管材料を収容する、請求項1~13のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のカートリッジと、前記カートリッジに接続された制御本体と、を備え、前記制御本体が、前記流体透過性エアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成される、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生システム用のカートリッジに関する。特に本発明は、電子的に動作する喫煙システムなどの、手持ち式エアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの手持ち式エアロゾル発生システムでは、電気ヒーターは、液体エアロゾル形成基体を気化してエアロゾルを発生させるために使用される。液体基体は通常、ユーザーがこれを通して発生したエアロゾルを吸い込む口側端と、口側端の反対側の接続端とを有する交換可能なカートリッジ内に含有される。一実施例では、電気ヒーターは、制御回路および電源を収容する制御ユニットへと接続するための接続端に提供される流体透過性メッシュである。液体は、ヒーター要素とカートリッジの口側端との間の貯蔵区画内に保持される。こうした交換可能なカートリッジは、電源などのシステムの他の部品を破棄することなく、ユーザーが消費された液体基体を交換することを可能にし、またヒーターの電源への単純な接続を可能にする。しかしながら、使用時に、ヒーターおよび貯蔵区画の向きのせいで、液体基体は重力の影響下でヒーター要素を通して漏れる場合がある。
【0003】
漏れを減少させるために、液体バルクを貯蔵するための上方部分、および毛細管材料を収容するより小さい下方部分へと分割された貯蔵区画を備えるカートリッジが開発されてきた。上方部分および下方部分は、液体が上方部分から下方部分へと通り、ヒーター要素が二つの部分の間に位置し、かつ毛細管材料と接触することを可能にするように接続される。これは、上向きの毛細管運動によってヒーター要素へと引き出される前に、重力の補助を用いて、上方部分から毛細管材料へと液体基体を下向きに送達することを可能にする。このカートリッジ設計は、毛細管材料が液体基体で飽和されることを確実にし、それでもなお使用中の漏れの問題を軽減する。
【0004】
しかしながら、その複雑な設計に起因して、このような先行技術のカートリッジは、射出成形などの従来の技法による経済的な大量生産が困難である。加えて、搬送中および貯蔵中にカートリッジからの液体の漏れをさらに防止することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様では、エアロゾル発生システム用のカートリッジが提供され、このカートリッジは、口側端の開口部および空気吸込み口を有するハウジングと、ハウジング内にあり、かつ液体エアロゾル形成基体を収容するように構成される貯蔵区画と、空気吸込み口から口側端の開口部へと延びる気流通路と、ハウジング内にあり、かつ第一の表面と第一の表面の反対側の第二の表面とを有し、第二の表面が貯蔵区画と流体連通している流体透過性エアロゾル発生要素と、シール部分およびシール部分と接続しているタブ部分を有し、シール部分がエアロゾル発生要素の第一の表面の外側の気流通路内に位置付けられ、かつタブ部分がハウジングから空気吸込み口を通して外向きに延びる取り外し可能なシールと、を備える。
【0006】
エアロゾル発生要素はヒーター要素であってもよい。エアロゾル発生要素はメッシュヒーターであってもよい。メッシュヒーターは、貯蔵区画内に貯蔵された液体エアロゾル形成基体をその第二の表面からその第一の表面へとメッシュヒーター内の隙間を通過させることを可能にしうる。別の方法として、エアロゾル発生要素は振動要素であってもよい。
【0007】
取り外し可能なシールは、カートリッジの搬送中および貯蔵中に、気流通路内でエアロゾル発生要素の第一の表面の外側に位置付けられる。本明細書では、貯蔵は、長期貯蔵(例えば、倉庫および販売場所での貯蔵)、および最初の使用前の貯蔵を指す可能性がある。シール部分は、エアロゾル発生要素と気流通路との間の流体連通を遮断するように機能する。これは、第一の表面を直接密封すること、または前記第一の表面(例えば、ハウジングの内壁など)に隣接したハウジングのセクションを封鎖することによって達成されうる。第一の表面と気流通路との間の流体連通を封鎖することにより、搬送中および貯蔵中、液体エアロゾル形成基体の漏れおよび蒸発を除去、または少なくとも低減することができる。
【0008】
タブ部分は、ユーザーによってアクセス可能な取り外し可能なシールの一部を形成する。すなわち、取り外し可能なシールのシール部分が気流通路内の第一の表面の外側に位置付けられる時、タブ部分はハウジングの外部表面を越えて延びる。
【0009】
空気吸込み口を通してシール部分を引き抜くことで、より短い取り外し可能なシールを使用することが可能になる。
【0010】
随意に、気流通路内に位置付けられる時、シール部分は気流通路内に気密シールを形成する。例えば、シール部分は、気流通路の気流を防止するために、気流通路を横切って延びて気密閉鎖を形成してもよい。これは、気流通路内にダストおよび汚れがたまるのを防止する。随意に、シール部分は口側端の開口部から空気吸込み口へと延びる。随意に、シール部分は、気流通路の寸法と一致するように構成され、そのため気流通路を完全に閉鎖する。
【0011】
随意に、タブ部分に引っ張り力を加えることによって第一の表面の外側からシール部分を取り外すことで、気流通路と流体連通するように第一の表面を定置する。最初の使用の前に、ユーザーは、取り外し可能なシールのタブ部分をカートリッジから引っ張り、そのため気流通路から取り外し可能なシールを引き抜く。取り外し可能なシールの取り外しは、エアロゾル発生要素と気流通路との間の流体連通を確立する。これは、発生したエアロゾルがユーザーによって口側端の開口部を通して吸入されることを可能にする。タブ部分の表面は、ユーザーがタブ部分上を把持するのを改善するためのへこみおよび/または突出部を有してもよい。有利なことに、タブ部分の表面積は、ユーザーの指によって簡単に把持するためには十分に大きい。
【0012】
随意に、取り外し可能なシールは再使用可能である。取り外されたシール部分は、エアロゾル発生要素の第一の表面の外側の気流通路内に位置付けられるように、気流通路の中へと再挿入されてもよい。これは、第一の使用に続くさらなる貯蔵および搬送のために、カートリッジを再密封することを許容する。
【0013】
随意に、取り外し可能なシールは、前記引っ張り力がタブ部分上に加えられるまで、取り外し可能なシールをエアロゾル発生要素の第一の表面の外側に保持するための保持手段を備える。保持手段は、当業者に周知の任意の保持手段であってもよく、例えば、保持手段は、ばねクリップもしくは第一の表面および/またはハウジングと係合するラッチなどの機械的保持手段であってもよく、または保持手段は、接着シール、ヒートシールまたは誘導加熱シールなどの結合技法によって達成することができる。
【0014】
随意に、タブ部分は、ハウジングから口側端の開口部を通して外向きに延びる。これは、口側端の開口部がタブ部分によって閉鎖されることを可能にし、かつ動作前に取り外し可能なシールを取り外すことのユーザーに対するリマインダーとしての目的を果たしうる。
【0015】
随意に、シール部分が気流通路から取り外される前に、エアロゾル発生要素が動作するのを防止するために安全機構が提供される。こうした安全機構は、当業者に周知の任意の機構であってもよく、例えば、取り外し可能なコネクターシールおよびシール部分と一体的に形成される相互係止などの安全機構であってもよく、または安全機構は、気流通路と連通する気流センサーもしくは圧力起動式スイッチなどのより複雑な電子センサーとすることができる。安全機構は、意図しないヒーター動作を防止する目的を果たす一方、シール部分はヒーター要素の外側に位置付けられる。
【0016】
随意に、取り外し可能なシールは、熱可塑性エラストマー(TPE)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ゴム、シリコーン、または当業者に周知の任意の適切な材料から製造されてもよい。タブ部分およびシール部分は、単一片の材料から成形または押出成形されてもよく、または異なる目的で異なる材料から製造されてもよい。例えば、シール部分は、より良好な密封を達成するように、タブ部分より伸縮性の高い材料で作製されてもよく、一方で取り外し可能なシールの取り外し中にユーザーによって加えられる引っ張り力に耐えるように、タブ部分は伸縮性材料より復元性の高い材料で製造されてもよい。
【0017】
随意に、タブ部分は可撓性であり、かつ空気吸込み口で曲がるように構成され、そのためハウジングの外部プロファイルと適合する。別の方法として、タブ部分は、タブ部分がハウジングの外部プロファイルと適合するように、空気吸込み口でシール部分とヒンジで接続されてもよい。より具体的には、タブ部分は、ハウジングの長軸方向軸に沿って延びるように、貯蔵中および搬送中に空気吸込み口において折り畳まれるように配設されてもよい。言い換えれば、使用前にはタブ部分をしまっておくことができる。このように、タブ部分は最小限の突出部を生じさせ、そしてカートリッジをよりコンパクトな包装の中に詰め込むことができる。取り外し可能なシールを取り外すために、ユーザーは、ハウジングから取り外し可能なシールを取り外すために横方向に引っ張り力を加える前に、ハウジングと平行でなくなるようにタブ部分を真っすぐに伸ばしてもよい。
【0018】
随意に、エアロゾル発生要素と気流通路との間に気密シールを提供するためにシール部分が配設される。気密シールの提供は、液体基体の品質および安定性に影響を与える可能性のある貯蔵区画の中への水分の侵入を阻害するだけでなく、貯蔵区画から大気中への気流通路を通した液体基体の蒸発および/または損失を防止する。
【0019】
随意に、貯蔵区画は、コネクターによって相互に接続された第一の区画および第二の区画を備え、これにより第一の区画内の液体は前記コネクターの液体通路を通して第二の区画へと通ることができ、かつ流体透過性エアロゾル発生要素の第一の表面は第一の区画に面し、また第二の表面は第二の区画に面し、第二の表面は第二の区画と流体連通し、これにより第一の区画内の液体エアロゾル形成基体は、第二の区画を通してのみ流体透過性エアロゾル発生要素に到達することができる。
【0020】
コネクターは二つの個別の区画を密封的に接続し、かつそれらの間に一つ以上の液体通路を提供する。より具体的には、コネクターは第一の区画および第二の区画の両方を分離する。コネクターは、締まり嵌めによって第一の区画および/または第二の区画に接続されてもよく、これは復元的に変形して接続においてシールを提供する。これは、より複雑なカートリッジ設計を形成するよう組み立てられる前に、個別の部品を押出成形または成形加工によって安価に大量生産することを可能にする。例えば、これは、エアロゾル発生要素を、先述のコネクターを介して第一の区画の上へと組み立てる前に、第二の区画とともに成形することを可能にする。締まり嵌めは、当業者に周知の任意の適切な締まり嵌めとすることができ、例えば、締まり嵌めは相互係止であってもよく、またはスナップ嵌めであってもよい。
【0021】
随意に、流体透過性エアロゾル発生要素のコネクターおよび第一の表面は、気流通路の少なくとも一部を画定する。コネクターは、流体透過性エアロゾル発生要素に面する気流通路の壁を画定しうる。より具体的には、コネクターは、カートリッジの組み立ての前に、取り外し可能なシールのシール部分が気流通路内でエアロゾル発生要素の第一の表面の外側に位置付けられることを可能にする。これは、シール部分が適所に置かれた時、第一の表面が完全に露出されるため、第一の表面へのアクセスを改善する。
【0022】
随意に、気流通路は、空気吸込み口から口側端の開口部へ、および第一の区画と第二の区画との間に延びる。すなわち、コネクターは、エアロゾル発生基体のための液体通路を提供するだけでなく、気流通路の一部も画定し、そのためヒーター要素の外側に気流を案内し、また口側端の開口部に向かって案内する。
【0023】
随意に、気流通路は第一の区画を通って延びてもよい。例えば、第一の区画は環状の断面を有してもよく、エアロゾル発生要素から口側端の開口部へと、第一の区画を通って延びる気流通路を有する。随意に、気流通路は、エアロゾル発生要素から第一の区画に隣接する口側端の開口部へと延びてもよい。
【0024】
随意に、コネクターは、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、共ポリエステル、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスルホン(PSU)スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ゴム、シリコーン、または当業者に周知の任意の適切な材料から製造されてもよい。随意に、コネクターは、最高90℃の温度で機械的完全性を維持できる材料から作製されてもよい。随意に、コネクターは、最高120℃の温度で機械的完全性を維持できる材料から作製されてもよい。
【0025】
随意に、第一の区画は、第二の区画よりも大きな液体貯蔵容量を有する。随意に、第一の区画は第二の区画より大きい。使用時に、第一の区画は典型的に、エアロゾル発生要素の上方に位置付けられる。随意に、第一の区画は、流体透過性エアロゾル発生要素と口側端の開口部との間に位置付けられる。
【0026】
随意に、第二の区画は、エアロゾル発生要素の第二の表面と接触する毛細管材料を収容する。毛細管材料は、重力に逆らって液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生要素に送達する。エアロゾル発生要素に到達するために重力に逆らって液体エアロゾル形成基体を動かすことを必要とすることによって、液体基体の漏れが低減される。
【0027】
毛細管材料は、エアロゾル発生要素の第二の表面の少なくとも一部分と接触している液体エアロゾル形成基体があることを保証する能力を有する材料で作製されてもよい。毛細管材料はエアロゾル発生要素内の隙間または開口の中へと延びてもよい。エアロゾル発生要素は、毛細管作用によって液体エアロゾル形成基体を隙間または開口の中へと引き出してもよい。
【0028】
毛細管材料は、液体を材料の一方の端から別の端に能動的に運ぶ材料である。毛細管材料は繊維状または海綿体状の構造を有してもよい。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は、液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生要素に向かって運ぶために概して整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さい穴または管を形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料(例えば、紡糸繊維または押出成形繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン)、ポリエチレン、エチレン、もしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなどで作製された)である。毛細管材料は、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよく、これにより異なる液体物理特性を有して使用される。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用によって毛細管媒体を通して液体エアロゾル形成基体を搬送することを可能にする、粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧を含むが、これらに限定されない、物理特性を有する。
【0029】
別の方法として、または加えて、貯蔵区画は液体エアロゾル形成基体を保持するための担体材料を収容してもよい。担体材料は、第一の区画、第二の区画、または第一の区画および第二の区画の両方の中にあってもよい。担体材料は、発泡体および繊維の収集物の海綿体状物であってもよい。担体材料はポリマーまたはコポリマーで形成されてもよい。一実施形態では、担体材料は紡糸ポリマーである。エアロゾル形成基体は、使用中に担体材料の中へと放出されてもよい。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。
【0030】
随意に、カートリッジは、ヒーター組立品を備え、ヒーター組立品は、ヒーター要素に電気的に接続されたヒーター要素および電気接点部分を備え、接点部分はカートリッジの接続端を通して露出され、そのためエアロゾル発生システムの制御本体内の電気接点ピンとの接触を可能にする。接続端は、口側端の開口部を特徴とする口側端に対して遠隔である。接続端は、エアロゾル発生システムの制御本体に接続するように構成される。エアロゾル発生要素の第二の側面は接続端に面してもよく、またエアロゾル発生要素の第一の側面は口側端に面してもよい。電力は、ハウジングの接続端を通して接続された制御本体からエアロゾル発生要素に送達されてもよい。
【0031】
随意に、電気接点部分は、二つの導電性接点パッドである。導電性接点パッドは、ヒーター要素の縁の区域に位置付けられてもよい。随意に、少なくとも二つの導電性接点パッドは、ヒーター要素の先端上に位置付けられてもよい。導電性接点パッドは、ヒーター要素の導電性フィラメントに直接的に固定されてもよい。導電性接点パッドは、スズのパッチを備えてもよい。別の方法として、導電性接点パッドはヒーター要素と一体型であってもよい。
【0032】
随意に、エアロゾル発生要素は、口側端の開口部より接続端に近い。これは、制御本体内の電源とエアロゾル発生要素との間の単純かつ短い電気的接続経路を可能にする。
【0033】
随意に、貯蔵区画はヒーターマウントを備えてもよく、ヒーターマウントはヒーター組立品の外側に成形される。
【0034】
随意に、エアロゾル発生要素の第一の表面および第二の表面は、実質的に平面状であってもよい。エアロゾル発生要素はヒーター要素であってもよい。ヒーター要素は、単純な製造を可能にするために実質的に平坦なヒーター要素を備えてもよい。幾何学的に、「実質的に平坦な」ヒーター要素という用語は、実質的に二次元平面の形態にあるヒーター要素を指すために使用される。それ故に、実質的に平坦なヒーター要素は、実質的に三次元というよりも表面に沿って二次元で延びる。特に、その表面内での二次元の実質的に平坦なヒーター要素の寸法は、表面に垂直な三次元の寸法より少なくとも五倍より大きい。実質的に平坦なヒーター要素の例は、二つの実質的に平行な仮想表面間の構造であって、これらの二つの仮想表面間の距離はその表面内の延長よりも実質的に小さい。一部の実施形態では、実質的に平坦なヒーター要素は平面状である。他の実施形態では、実質的に平坦なヒーター要素は一つ以上の寸法に沿って湾曲しており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0035】
ヒーター要素は、第二の表面から第一の表面へと延びる複数の隙間または開口を備えてもよく、またそれを通して流体が通ってもよい。
【0036】
ヒーター要素は複数の導電性フィラメントを備えてもよい。「フィラメント」という用語は本明細書全体を通して、二つの電気接点間に配設された電気的な経路を指すために使用される。フィラメントは恣意的に、いくつかの経路またはフィラメントへとそれぞれ枝分かれおよび分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から一つの経路へと合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形型、平坦型、または任意の他の形態の断面を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式で配列されてもよく、または湾曲した様式で配置されてもよい。
【0037】
ヒーター要素は、例えば相互に平行に配列されたフィラメントのアレイであってもよい。好ましくは、フィラメントはメッシュを形成してもよい。メッシュは織られていてもよく、または不織であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性ヒーター要素は、フィラメントのアレイまたはフィラメントの織物から成る。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物はまた、液体を保持するその能力によっても特徴付けられる場合がある。
【0038】
好ましい実施形態では、実質的に平坦なヒーター要素は、ワイヤーメッシュへと形成されたワイヤーで構築されてもよい。メッシュは平織の設計を有することが好ましい。随意に、ヒーター要素は、メッシュ細片から作製されたワイヤーグリルである。
【0039】
導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定する場合があり、また隙間は10マイクロメートル~100マイクロメートルの幅を有してもよい。使用時に気化されることになる液体が隙間の中へと引き出されるように、フィラメントは隙間内で毛細管作用を生じさせることが好ましく、ヒーター要素と液体エアロゾル形成基体との間の接触面積を増大する。
【0040】
導電性フィラメントは、1センチメートル当たりのフィラメント数が60~240個(±10パーセント)のサイズのメッシュを形成してもよい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数が100~140個(±10パーセント)であることが好ましい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数がおよそ115個であることがより好ましい。隙間の幅は100マイクロメートル~25マイクロメートルであってもよく、80マイクロメートル~70マイクロメートルであることが好ましく、およそ74マイクロメートルであることがより好ましい。メッシュの総面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開口面積の割合は、40パーセント~90パーセントであってもよく、85パーセント~80パーセントであることが好ましく、およそ82パーセントであることがより好ましい。
【0041】
導電性フィラメントは8マイクロメートル~100マイクロメートルの直径を有してもよく、10マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、12マイクロメートル~25マイクロメートルであることがより好ましく、およそ16マイクロメートルであることが最も好ましい。フィラメントは丸い断面を有してもよく、または扁平な断面を有してもよい。
【0042】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の面積は小さくてもよく、例えば50平方ミリメートル以下であってもよく、25平方ミリメートル以下であることが好ましく、およそ15平方ミリメートルであることがより好ましい。サイズは、ヒーター要素を手持ち式システムの中へと組み込むように選ばれる。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物のサイズ設定を50平方ミリメートル以下にすることは、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物を加熱するのに必要な総電力量を低減する一方で、導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の液体エアロゾル形成基体への十分な接触を依然として確保する。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物は、例えば長方形であってもよく、また2ミリメートル~10ミリメートルの長さ、および2ミリメートル~10ミリメートルの幅を有してもよい。メッシュは、およそ5ミリメートル×3ミリメートルの寸法を有することが好ましい。
【0043】
ヒーター要素のフィラメントは、適切な電気特性を有する任意の材料で形成されてもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。
【0044】
適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは一つ以上の絶縁体で被覆されてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料はステンレス鋼および黒鉛であり、AISI 304、316、304L、316Lなどの300シリーズのステンレス鋼であることがより好ましい。追加的に、導電性ヒーター要素は上記の材料の組み合わせを含んでもよい。実質的に平坦なヒーター要素の抵抗の制御を改善するために、材料の組み合わせが使用されてもよい。例えば、固有抵抗が高い材料を、固有抵抗が低い材料と組み合わせてもよい。これは、材料のうちの一つが他の観点、例えば価格、機械加工性、またはその他の物理的および化学的パラメータの観点から、より有益である場合に、有利である場合がある。有利なことに、抵抗を増大させた実質的に平坦なフィラメント配列は、寄生損失を低減する。有利なことに、抵抗が高いヒーターは、電池エネルギーのより効率的な使用を可能にする。
【0045】
随意に、フィラメントはワイヤーで作製される。随意に、ワイヤーは金属で作製され、ステンレス鋼で作製されることが最も好ましい。
【0046】
ヒーター要素の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.3オーム~4オームでありうる。随意に、電気抵抗は0.5オーム以上である。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.6オーム~0.8オームであることがより好ましく、約0.68オームであることが最も好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、導電性接点区域の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これは、ヒーター要素を電流が通過させることによって発生した熱が、導電性フィラメントのメッシュまたはアレイに局所化されることを確実にする。システムが電池によって電力供給される場合、ヒーター要素に対する全体抵抗が低いことは有利である。低抵抗で大電流のシステムは、ヒーター要素への高電力の送達を可能にする。これは、ヒーター要素が導電性フィラメントを素早く望ましい温度に加熱することを可能にする。
【0047】
別の方法として、ヒーター要素は、開口のアレイが中に形成された加熱プレートを備えてもよい。開口は、例えばエッチングまたは機械加工によって形成されてもよい。プレートは、ヒーター要素のフィラメントに関して上述した材料などの、適切な電気特性を有する任意の材料から形成されてもよい。
【0048】
エアロゾル発生要素の第一の表面は、口側端の開口部に直接面してもよい。平面状のエアロゾル発生要素のこの配向は、製造中のカートリッジの単純な組み立てを可能にする。
【0049】
貯蔵区画は貯蔵区画ハウジングを備えてもよい。貯蔵区画ハウジングは、ヒーターマウントを備えてもよく、ヒーターマウントはヒーター組立品に外側に成形される。ヒーターマウントは、電気接点部分を気流通路から分離するために、ヒーター組立品の第一の表面の一部分を覆ってもよく、また電気接点部分を液体エアロゾル形成基体から分離するために、ヒーター組立品の第二の表面の少なくとも一部分を覆ってもよい。
【0050】
ヒーターマウントは、ヒーター組立品の第二の表面から延びる少なくとも一つの壁を備えてもよく、少なくとも一つの壁は第二の区画の一部を形成する。ヒーターマウントは、ヒーター組立品の第一の表面からヒーター組立品の第二の表面への液体流路を画定してもよい。
【0051】
液体貯蔵区画は液体エアロゾル形成基体を保持してもよい。本発明に関して本明細書で使用される場合、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を振動可能な要素の通路を通して動かすことによって放出されてもよい。
【0052】
エアロゾル形成基体は室温では液体であってもよい。エアロゾル形成基体は、液体構成成分および固体構成成分の両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0053】
液体エアロゾル形成基体は、一つ以上のエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度でかつ安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体の例としては、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられる。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然風味または人工風味を含んでもよい。
【0054】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンまたはプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%(例えば、約2%)のニコチン濃度を有してもよい。
【0055】
ハウジングは、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタラート(PET)などの成形可能プラスチック材料から形成されてもよい。ハウジングは、貯蔵区画の壁の一部またはすべてを形成してもよい。ハウジングおよび貯蔵区画は一体的に形成されてもよい。別の方法として、貯蔵区画はハウジングとは別個に形成され、そしてハウジングに組み立てられてもよい。
【0056】
カートリッジは、ユーザーによって引き出されうるエアロゾルが通る取り外し可能なマウスピースを備えてもよい。取り外し可能なマウスピースは、口側端の開口部を覆う場合がある。別の方法として、カートリッジは、ユーザーが口側端の開口部を直接吸うことを可能にするように構成されてもよい。
【0057】
カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。別の方法として、カートリッジは、貯蔵区画の液体エアロゾル形成基体が空になった時に廃棄されるように設計されてもよい。
【0058】
本発明の第二の態様では、エアロゾル発生システム用のカートリッジが提供され、このカートリッジは、
【0059】
口側端の開口部および空気吸込み口を有するハウジングと、
ハウジング内の貯蔵区画であって、液体エアロゾル形成基体を収容するように構成され、コネクターによって互いに接続された第一の区画および第二の区画を有し、これにより第一の区画内の液体が先述のコネクター内の液体通路を通して第二の区画へと通過することができる、貯蔵区画と、
空気吸込み口から口側端の開口部へと延びる気流通路であって、貯蔵区画の第一の区画と第二の区画との間を通る気流通路と、
第一の表面および第一の表面の反対側の第二の表面を有する流体透過性エアロゾル発生要素であって、流体透過性エアロゾル発生要素の第一の表面が第一の区画に面し、かつ第二の表面が第二の区画に面し、第二の表面が第二の区画と流体連通し、これにより第一の区画内の液体エアロゾル形成基体は第二の区画を通してのみ流体透過性エアロゾル発生要素に到達することができ、第一の表面およびコネクターが気流通路の一部を形成する、流体透過性エアロゾル発生要素と、を備え、
第一の区画内の液体エアロゾル形成基体は、コネクターおよび第二の区画を通してのみ流体透過性エアロゾル発生要素に達することができる。
【0060】
本発明の第一の態様のカートリッジの特徴は、本発明の第二の態様に適用されてもよい。
【0061】
本発明の第三の態様では、第一の態様または第二の態様のうちのいずれか一つによるカートリッジと、カートリッジに接続された制御本体とを備えるエアロゾル発生システムが提供され、制御本体はエアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成される。
【0062】
制御本体は、制御本体がカートリッジに接続された時にエアロゾル発生要素への電気的接続を提供するように構成された少なくとも一つの電気接点要素を備えてもよい。電気接点要素は細長くてもよい。電気接点要素は、ばね式であってもよい。電気接点要素はカートリッジ内の電気接点パッドに接触してもよい。
【0063】
制御本体はカートリッジの接続端と係合するための接続部分を備えてもよい。
【0064】
制御本体は電源を備えてもよい。
【0065】
制御本体は、電源からエアロゾル発生要素への電力供給を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。
【0066】
制御回路はマイクロコントローラーを備えてもよい。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路はエアロゾル発生要素への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、エアロゾル発生要素に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でエアロゾル発生要素に供給されてもよい。
【0067】
制御本体は、制御システムおよびエアロゾル発生要素のうちの少なくとも一つに電力を供給するように配設された電源を備えてもよい。エアロゾル発生要素は独立した電源を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、電力を制御回路に供給するように配設された第一の電源、および電力をエアロゾル発生要素に供給するように構成された第二の電源を備えてもよい。
【0068】
電源はDC電源であってもよい。電源は電池であってもよい。電池は、リチウム系の電池、例えばリチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であってもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、一回以上のユーザー体験のための十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば電源は従来の紙巻たばこ一本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約六分間、または六分間の倍数の期間の間、エアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電源は所定の吸煙回数、または霧化組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0069】
エアロゾル発生システムは、ユーザーがマウスピースを吸って口側端の開口部を通してエアロゾルを引き出すことを可能にするように構成された手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生システムは約30mm~約150mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生システムは約5mm~約30mmの外径を有してもよい。
【0070】
本発明の態様のうちのいずれかにおけるカートリッジまたはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する吸煙検出器を備えてもよい。吸煙検出器は、ユーザーが気流通路を通して吸い込む時にそれを検出するように構成されてもよい。
【0071】
本発明の態様のうちのいずれかにおけるカートリッジまたはエアロゾル発生システムは、制御回路と通信する温度センサーを備えてもよい。カートリッジまたはエアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を備えてもよい。ユーザー入力は、ユーザーがシステムをオンおよびオフにすることを可能にしてもよい。
【0072】
カートリッジまたはエアロゾル発生システムはまた、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の判定された量をユーザーに示すための表示手段も備えてもよい。制御回路は、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の量の判定がなされた後、表示手段を起動するように構成されてもよい。
【0073】
表示手段は、発光ダイオード(LED)などの光、LCDディスプレイなどのディスプレイ、ラウドスピーカーまたはブザーなどの可聴式表示手段、および振動手段のうちの一つ以上を備えてもよい。制御回路は、一つ以上の光を点灯させ、ディスプレイ上にある量を表示し、ラウドスピーカーまたはブザーを介して音を発し、また振動手段を振動させるように構成されてもよい。
【0074】
本発明の第四の態様では、口側端の開口部および空気吸込み口を有するハウジングと、
ハウジング内にあり、かつ液体エアロゾル形成基体を収容するように構成された貯蔵区画と、
空気吸込み口から口側端の開口部へと延びる気流通路と、
ハウジング内にあり、かつ第一の表面と第一の表面の反対側の第二の表面とを有し、第二の表面が貯蔵区画と流体連通している、流体透過性エアロゾル発生要素と、
シール部分およびシール部分と接続しているタブ部分を有する取り外し可能なシールであって、シール部分がエアロゾル発生要素の第一の表面の外側に気流通路内に位置付けられ、かつタブ部分がハウジングから空気吸込み口を通して外向きに延びる、取り外し可能なシールと
エアロゾル発生要素への電力の供給を制御するように構成された制御本体と、を備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0075】
本発明の一態様の特徴は、本発明のその他の態様にも適用されてもよい。
【0076】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1a】
図1aは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図である。
【
図1b】
図1bは、
図1aに示すカートリッジの第一の断面の概略図である。
【
図1c】
図1cは、
図1aに示すカートリッジの第二の断面の概略図である。
【
図2】
図2aおよび
図2bは、
図1a~
図1cのカートリッジへの取り外し可能なシールの適合を図示する。
図2cは、
図2aおよび
図2bに図示した取り外し可能なシールの取り外しを図示する。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態によるカートリッジの断面図を示す。
【
図4a】
図4aは、
図3に図示したカートリッジ用のヒーター組立品の斜視図である。
【
図4b】
図4bは、
図3に図示したカートリッジ用のヒーター組立品の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明のまた別の実施形態によるカートリッジの分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1はエアロゾル発生システムの概略図である。エアロゾル発生システムは、二つの主構成要素、すなわちカートリッジ100および制御本体200を備える。カートリッジ100の接続端115は、制御本体200の対応する接続端205に取り外し可能に接続される。制御本体200は、電池210(この例では再充電可能リチウムイオン電池である)と、制御回路220とを収容する。エアロゾル発生装置は携帯型であり、また従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。
【0079】
カートリッジ100は、霧化組立品120と、第一の部分/区画130および第二の部分/区画135を有する液体貯蔵区画とを収容するハウジング105を備える。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵区画内に保持される。
図1bで見られるように、液体貯蔵区画の第一の部分130は液体貯蔵区画の第二の部分135に接続され、これにより第一の部分130内の液体は第二の部分135へと通ることができる。霧化組立品120は、液体貯蔵区画の第二の部分135から液体を受容する。この実施形態では、霧化組立品120は概して平面状の、流体透過性ヒーター組立品である。
【0080】
気流通路140、145は、空気吸込み口150から霧化組立品120を通り過ぎ、かつ霧化組立品120からカートリッジハウジング105内の口側端の開口部110へとカートリッジ100を通って延びる。
【0081】
カートリッジ100の構成要素は、液体貯蔵区画の第一の部分130が霧化組立品120と口側端の開口部110との間にあるように配設され、また液体貯蔵区画の第二の部分135は、霧化組立品120の口側端の開口部110とは反対側に位置付けられる。言い換えれば、霧化組立品120は、液体貯蔵区画の二つの部分130、135の間にあり、かつ第二の部分135から液体を受容し、また液体貯蔵区画の第一の部分130は、液体貯蔵区画の第二の部分135よりも口側端の開口部110に近い。気流通路は霧化組立品120を通り過ぎ、また液体貯蔵区画の第一の部分130と第二の部分135との間に延びる。
【0082】
システムは、これによりエアロゾルを自分の口の中へと引き出すために、ユーザーがカートリッジ100の口側端の開口部110で吸煙する、または口側端の開口部110を吸うことができるように構成される。動作時、ユーザーが口側端の開口部110で吸煙する時、空気は空気吸込み口150から気流通路を通して、霧化組立品120を通り過ぎて、口側端の開口部110へと引き出される。制御回路220は、システムが起動された時に、電池210からカートリッジ100への電力供給を制御する。その結果として、霧化組立品120によって生成されるベイパーの量および特性が制御される。制御回路220は気流センサーを含んでもよく、また制御回路220は、ユーザーによるカートリッジ100の吸煙が気流センサーによって検出された時に、霧化組立品120に電力を供給してもよい。このタイプの制御配設は、吸入器およびeシガレットなどのエアロゾル発生システムで良好に確立される。そのため、ユーザーがカートリッジ100の口側端の開口部110を吸う時、霧化組立品120が起動され、霧化組立品120は気流通路140を通過する気流中に同伴されるベイパーを生成する。ベイパーは通路145内の気流の中で冷却されてエアロゾルを形成し、次いでこれが口側端の開口部110を通してユーザーの口の中へと引き出される。
【0083】
動作時、口側端の開口部110は典型的に、装置の最高点である。カートリッジ100の構築、および特に液体貯蔵区画の第一の部分130と第二の部分135との間の霧化組立品120の配設は、液体貯蔵区画が空になり始めてさえも重力を活用して液体基体が霧化組立品120に送達されることを確実にし、それでも気流通路140の中への液体の漏れにつながる場合がある霧化組立品120への液体の過剰供給を防止するので、有利である。
【0084】
図1bは、
図1aのシステムで使用するためのカートリッジ100の第一の断面である。
図1cは、
図1bの断面に対して直角な第二の断面である。
【0085】
図1bおよび
図1cのカートリッジ100は、口側端の開口部110を有する口側端を有する外部ハウジング105と、口側端と反対側の接続端とを備える。ハウジング105内には液体エアロゾル形成基体131を保持する液体貯蔵区画がある。液体は、上部貯蔵区画ハウジング137、ヒーターマウント134、および端部キャップ138の三つの構成要素によって、液体貯蔵区画内に収容される。ヒーター組立品120はヒーターマウント134内に保持される。毛細管材料136は、液体貯蔵区画の第二の部分135内に提供され、かつヒーター組立品120の中央領域内のヒーター要素に当接する。毛細管材料は、液体をヒーター要素に搬送するような向きにされる。ヒーター要素121は、複数のフィラメントで形成されたメッシュヒーター要素を備える。このタイプのヒーター要素構造の詳細は、例えば、国際特許公開公報第2015/117702号の中に見いだすことができる。気流通路140は、液体貯蔵区画の第一の部分130と第二の部分135との間に延びる。気流通路140の底部壁はヒーター要素121およびヒーターマウント134を備え、気流通路140の側壁はヒーターマウント134の部分を備え、そして気流通路140の上部壁は上方貯蔵区画ハウジング137の一部分を備える。気流通路130は、
図1bに示す通り、液体貯蔵区画の第一の部分130を通して、口側端の開口部110に向かって延びる垂直部分145を有する。
【0086】
ヒーター組立品120は概して平面状であり、かつ二つの面を有する。ヒーター組立品120の第一の面は、液体貯蔵区画の第一の部分130および口側端の開口部110に面する。ヒーター組立品120の第二の面は、液体貯蔵区画内で毛細管材料136および液体131と接触し、かつカートリッジ100の接続端115に面する。ヒーター組立品120は、説明するように、ヒーター組立品120の電源への電気的接続を簡単にかつ頑丈に達成することができるように、接続端により近い。液体貯蔵区画の第一の部分130は、液体貯蔵区画の第二の部分135より大きく、かつヒーター組立品120とカートリッジ100の口側端の開口部110との間の空間を占める。液体貯蔵区画の第一の部分130内の液体は、ヒーター組立品120の両側の液体チャネル133を通して液体貯蔵区画の第二の部分135に移動することができる。この実施例では二つのチャネルが提供されて対称的な構造を提供するが、一つのチャネルのみが必要である。チャネルは、上方貯蔵区画ハウジング137とヒーターマウント134との間に画定された囲まれた液体流路である。
【0087】
図2a、
図2b、および
図2cは、
図1a~
図1cに示すカートリッジに関連して本発明の実施形態を図示する。
図2aでは、ヒーター組立品120は、貯蔵区画の第一の部分130の上へと組み立てられて示され、取り外し可能なシール310のシール部分320がヒーター要素121の外側に位置付けられ、そのため気流通路140に露出されるヒーター要素121の第一の側面を封鎖する。
図2bおよび2cは、貯蔵区画の第一の部分130および完成したカートリッジそれぞれを有する組み立てられたヒーター組立品120を示す。取り外し可能なシール310のタブ部分330は、気流通路から外向きに延び、かつハウジング105の外部表面から突出して示される。タブ部分330は、タブ部分330を引っ張ることによってユーザーが気流通路140から取り外し可能なシール310のシール部分320を取り外すことを可能にし、これによってヒーター要素と気流通路140との間の流体連通を確立する。
【0088】
図3は、本発明の別の実施形態の断面である。この実施形態では、シール接合部410は、貯蔵区画の第一の部分130と、貯蔵区画の第二の部分135とともに成形されたヒーター組立品120との間に提供される。前記シール接合部410は、液体チャネル133を確立するように貯蔵区画の第二の部分135および第一の部分130が相互に密封的に取り付けられる前に別個に製造することができるために製造プロセスを単純化するだけでなく、こうしたシール接合部410は気流通路140の一部を画定し、これにより取り外し可能なシール310のシール部分320を気流通路140の一部をヒーター要素121により簡単に取り付けることができるようにする。シール接合部410はまた、ヒーター要素121の外側に気流を方向付けるために形作ることもでき、例えば、気化を改善するためにヒーター要素121の表面の外側に乱流を作り出すように形作ることができる。
【0089】
図4aおよび
図4bは、シール接合部410に接続されたヒーター組立品120の外部および断面の斜視図である。前記シール接合部410は、空気吸込み口端440からカートリッジ端420に向かって延びる気流通路140の一部を形成する。カートリッジ端420は、ハウジング105において対応する接続と密封的に協働するように構成され、そのため気流通路140を完了させる。
図4aおよび
図4bに示すように、前記シール接合部140とハウジング105との間の接続だけでなく、シール接合部410とヒーター組立品120との間の接続も、両方とも密封接続を提供するために締まり嵌めによって達成される。シール接合部410の外部表面の周囲から突出し、かつ周囲に沿って突出する一対のリブとして
図4bに示される締まり嵌めは、接続において密封を提供するためにシール接合部がハウジング105と嵌合される際に圧縮される。類似のリブ(図示せず)は、シール接合部410の内側表面の周囲から、および周囲に沿って突出して、かつヒーター組立品120との接続における密封を形成するように配設される。図示される実施形態におけるリブ450は、シール接合部410と一体的に形成され、リブとシール接合部410は両方とも同一の材料から作製される。しかしながら、リブ450は、エラストマーOリング、またはシール接合部410のものとは異なる任意の他の材料によって置き換えることができる。
【0090】
図4bに示す特定の実施形態では、取り外し可能なシール310のシール部分320は、機械的シール340によってヒーター組立品120と係合する。すなわち、機械的シール340上の突出部のリングは、ヒーター組立品120上の対応する溝付きリングと係合し、それ故にシール部分320を適所に係止する。機械的シール340は復元性のある材料から作製され、そしてその溝付きリングへの取り付けはヒーター要素121と気流通路140との間に気密シールを作り出す。こうした機械的シール340の使用は、搬送中および貯蔵中の液体基体の漏れを防止するだけでなく、貯蔵区画の第二の部分135からの液体基体の蒸発も防止する。機械的シール340は、タブ部分330に引っ張り力を加えると、ヒーター組立品から係脱するように構成される。
【0091】
シール部分320は、気流通路140内に位置付けられた時、気流通路からヒーター要素121の第一の側面を覆い、かつ密封するだけでなく、気流通路140も遮断し、そのためその中にダストおよび汚れがたまるのを防止する。
【0092】
シール接合部410はまた、締まりシールによって貯蔵区画の第一の部分130における対応するコネクターに密封的に接続するための流体通路接続430も備え、そのため貯蔵区画の第一の部分130と第二の部分135との間に密封された液体通路を提供する。
【0093】
図5aは、
図3に示す組み立てられたカートリッジの斜視図であり、一方でその分解組立図も
図5bに提供される。
図5aでは、取り外し可能なシール310は、ヒーター要素121の外側に位置付けられたそのシール部分320を有する空気通路140内に定置され、タブ部分330はカートリッジハウジングを越えて延びる。
図5bに示すように、取り外し可能なシール310は、「L」字型のプロファイルを有するように示される。すなわち、取り外し可能なシール310は、タブ部分330がシール部分320に対して垂直に配設され、そのためカートリッジハウジング105の外部輪郭に適合するように曲げられる。これにより、よりコンパクトなカートリッジを確実に製造することができる。
【0094】
その最初の使用の前に、ユーザーは、空気通路から取り外し可能なシール310を取り外すために、タブ部分330の上を把持し、そしてこれをハウジング105から離れるように外向きに引きうる。これにより、シール部分320とヒーター要素121との間の気密シールの破断が生じ、そして貯蔵区画の第二の部分135からの液体基体の大気への暴露が可能になる。取り外し可能なシールが取り外されると、ユーザーはカートリッジ100の接続端115を、制御本体200の対応する接続端205へと接続しうる。
【0095】
取り外し可能なシールはまた、汚れおよびダストが気流通路140およびヒーター要素の中にたまるのも防止する。加えて、タブ部分330は取り外されない限り接続の妨げになるため、タブ部分330は、タブ部分の取り外し前にカートリッジが制御本体200の上へと偶発的に接続されることも防止する。より具体的には、タブ部分330は、取り外し可能なシールが取り外される前にヒーター要素が活性化されるのを防止する。
【0096】
図5bは、
図3の例示的なカートリッジの分解組立図を図示する。貯蔵区画の第一の部分は、射出成形プロセスによってカートリッジハウジング105と一体的に製造される。ヒーター組立品120は、最初にヒーター組立品120とともにヒーター要素を成形することによって製造され、これは貯蔵区画135の第二の部分と一体型に形成される。ヒーター組立品120は、制御回路220への電気的接続を提供するための電気接点パッドを備える。
【0097】
次に、保持材料139および毛細管材料136は、第二の部分135が端部キャップ138によって閉鎖される前に、貯蔵区画の第二の部分135の中へと挿入される。保持材料139は、毛細管材料に向かって引き出され、かつヒーター要素において消費される前の、第一の部分130から入ってくる任意の液体基体を収容するために提供される繊維質材料である。端部キャップ138は、貯蔵区画の第二の部分135からの液体基体の漏れおよび蒸発を防止するだけでなく、第二の部分内に収容される毛細管材料を保持するためにも、締まり嵌めによって第二の部分135の上へと密封的に取り付けられる。
【0098】
その後、取り外し可能なシールがヒーター要素の外側に位置付けられて、ヒーター要素を適所に密封する。この例示的な実施形態では機械的密封手段340が使用されるが、取り外し可能なシール310のシール部分320は、誘導密封または接着密封などのその他のキャップ密封機構によってヒーター要素の上へと固定されてもよい。次いで、シール接合部410は、
図4aおよび
図4bに示すような例を形成するために、締まり嵌めによってヒーター組立品120の上へと設置されてもよい。シール接合部410の使用は、キャップシールの適用中にヒーター要素が完全に露出され、それ故にキャップシール上で動作する誘導シーラーまたはヒートシーラーのために十分な自由空間を提供するため、特に有益である。
【0099】
シール接合部410が取り付けられた、完成したヒーター組立品120は、
図3および
図5aに示すように、カートリッジを形成するために締まり嵌めを介してカートリッジハウジング105の上へと取り付けられる。
【0100】
図6は、本発明による別の実施形態を示すが、取り外し可能なシール310有さない。
図6に示すように、カートリッジ100は、
図3~
図5に示す例と類似した構造であり、そのように取り外し可能なシール310を類似した様式で適用することができる。より具体的には、
図6に示す実施形態は、ハウジング105と一体型で形成される貯蔵区画の第一の部分130と、貯蔵区画の第二の部分135と一体的に形成されたヒーター組立品と、締まり嵌めを介してハウジング105と直接協働するように設計された端部キャップ138とを含む。すなわち、
図6の端部キャップ138は、
図3および
図5に示すようなヒーター組立品の代わりに、ハウジング105の上へと係止されるように設計される。これは製造プロセスをさらに簡略化する。
【0101】
代替的な幾何学的形状が本発明の範囲内で可能であることも明白である。カートリッジおよび液体貯蔵区画は異なる断面形状を有してもよく、ヒーター組立品は異なる形状および構成を有してもよい。