(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/28 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H02J3/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023021997
(22)【出願日】2023-02-15
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】202210139021.6
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523054492
【氏名又は名称】中国長江電力股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】熊 騰清
(72)【発明者】
【氏名】陳 哲之
(72)【発明者】
【氏名】張 益華
(72)【発明者】
【氏名】黄 華
(72)【発明者】
【氏名】楊 賽
(72)【発明者】
【氏名】董 懿
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113809759(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111917142(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00- 5/00
F03B 15/00-15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発
電ユニットが
自動発電制御システム(AGC
)によって振動領域を迅速に横断する方法であって、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニット
の運転区間を区分して単一振動領域
の水力発電ユニットの安定運転領域と振動領域を得るステップ1と、
自動発電制御システム
(AGC
)が振動領域を再区分するステップ2と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
複数の水力発電ユニットの連携振動領域を解くステップ3と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーを設定するステップ4と、
自動発電制御システム
(AGC
)が起動停止判断基準の設定を行うステップ5と、
水力発電ユニットが振動領域を迅速に横断するステップ6とを含む、ことを特徴とする水力発
電ユニットが
自動発電制御システム(AGC
)によって振動領域を迅速に横断する方法。
【請求項2】
ステップ2において、自動発電制御システム
(AGC
)は、
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xと
水力発電ユニット
の振動領域の上縁P
vとの間の負荷区間を
自動発電制御システム(AGC
)の一時的調整可能な区間として設定し、自動発電制御システム
(AGC
)は
、振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下での
水力発電ユニット
の振動領域U′
ziは、
U′
zi=[0,P
x]と表すことができ、
式では、P
xは、該
水力発電ユニット定格出力の一定値である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ5において、自動発電制御システム
(AGC
)は、一定時間おきに現在時点での全
水力発電ユニットの許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって、所内当直者に起動(又は停止)の提示情報を送信し、起動停止判断基準は、以下のとおりであり、
起動条件は、
P
t>Σ
n
i=1P
imax(t)であり、
式では、P
tは、15分のある整数倍での計画出力であり、
P
imax(t)は、現在時点でのi台目の
水力発電ユニットの最大許容出力であり、iの値は、1~n(nは、連系した
水力発電ユニットの数である)であり、
停止条件は、
P
t<Σ
n
i=1P
imin(t)であり、
式では、P
tは、15分のある整数倍での計画出力であり、P
imin(t)は、現在時点でのi台目の
水力発電ユニットの最低許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した
水力発電ユニットの数である)である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ6において、
水力発電ユニットが自動発電制御システム
(AGC
)によって振動領域を上回る時、
自動発電制御システム
(AGC
)が発電計画曲線に基づいて、起動する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、自動発電制御システム
(AGC
)が起動要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システム
(AGC
)が予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システム
(AGC
)に参加した各台の
水力発電ユニットに分配して実行させるステップS1と、
発電所のコンピュータモニタリングシステムが発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、
水力発電ユニットが連系した後に、発電機の有効電力を
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xとして設定し、無効電力を0として設定し、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットが振動領域を上回る
制御を開始し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットを
自動発電制御システム(AGC
)連携制御に加入させ、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システム
(AGC
)が現在の水頭下での
水力発電ユニットの振動領域を自動的に修正し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システム
(AGC
)が全
水力発電ユニットの連携振動領域の上
限及び下限の演算ロジックに基づいて、全
水力発電ユニットの連携振動領域を自動的に計算し、S7に入るステップS6と、
自動発電制御システム
(AGC
)新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入るステップS7と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング設定値が全
水力発電ユニットの連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、自動発電制御システム
(AGC
)が実行を拒否し、全
水力発電ユニットの出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入るステップS8と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、自動発電制御システム
(AGC
)が予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システム
(AGC
)に参加した各台の
水力発電ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS9と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング送信設定値の増分を
水力発電ユニットに送信して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS10と、
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの減少可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システム
(AGC
)が負荷移行ステップサイズに従って、
水力発電ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの出力を自動的に減少させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS12と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの出力が修正前の振動領域の上限よりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入るステップS13と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットが
自動発電制御システム(AGC
)によって振動領域を上回る
制御を停止し、S15に入るステップS14と、
現在の水頭下での
水力発電ユニットの振動領域を回復し、S16に入るステップS15と、
自動発電制御システム
(AGC
)が全
水力発電ユニットの連携振動領域を再計算し、S17に入るステップS16と、
自動発電制御システム
(AGC
)が予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を
自動発電制御システム(AGC
)に参加した各台の
水力発電ユニットに分配して実行させるステップS17とを採用する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ6において、
水力発電ユニットが自動発電制御システム
(AGC
)によって振動領域を下回る時、
自動発電制御システム
(AGC
)が発電計画曲線に基づいて、停止する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、停止要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システム
(AGC
)が予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を
自動発電制御システム(AGC
)に参加した各台の
水力発電ユニットに分配して実行させるステップS1と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング設定値に基づいて、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した
水力発電ユニットの出力を運転可能領域の下縁まで自動的に減少させ、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットが振動領域を下回る
制御を開始し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システム
(AGC
)が現在の水頭下での
水力発電ユニットの振動領域を修正し、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システム
(AGC
)が全
水力発電ユニットの連携振動領域の上
限及び下限の演算ロジックに基づいて、全
水力発電ユニットの連携振動領域を自動的に計算し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入るステップS6と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング設定値が全
水力発電ユニットの連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全
水力発電ユニットの出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入るステップS7と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、
自動発電制御システム(AGC
)が予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を
自動発電制御システム(AGC
)に参加した各台の
水力発電ユニットに分配して実行させるステップS8と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分が
水力発電ユニット定格出力の一定値P
x以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入るステップS9と、
自動発電制御システム
(AGC
)がスケジューリング送信された負荷減分を
水力発電ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS10と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの減少可能出力がスケジューリング送信設定値の減分から
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの出力を
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分から
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xを引いた出力差分を、
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS12と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS13と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの出力から負荷移行ステップサイズを引いたものが
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入るステップS14と、
自動発電制御システム
(AGC
)が負荷移行ステップサイズに従って、
水力発電ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの出力を自動的に増加させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS15と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズから
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS16と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの出力を
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xとして設定し、同時に、
自動発電制御システム(AGC
)が負荷移行ステップサイズと
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xとの出力差を、
水力発電ユニット以外の、
自動発電制御システム(AGC
)に加入した他の
水力発電ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS17と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットの
自動発電制御システム(AGC
)連携制御を終了させ、S19に入るステップS18と、
自動発電制御システム
(AGC
)が
水力発電ユニットが
自動発電制御システム(AGC
)によって振動領域を上回る
制御を停止し、S20に入るステップS19と、
自動発電制御システム
(AGC
)が現在の水頭下での
水力発電ユニットの振動領域を回復し、S21に入るステップS20と、
自動発電制御システム
(AGC
)が全
水力発電ユニットの連携振動領域を再計算し、S22に入るステップS21と、
自動発電制御システム
(AGC
)が発電機の有効電力を
水力発電ユニット定格出力の一定値P
xとして設定し、無効電力を0として設定し、S23に入るステップS22と、
自動発電制御システム
(AGC
)が停止命令を送信するステップS23とを採用する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
自動発電制御システム
(AGC
)は、自動発電制御システム
(AGC
)の調節に参加した
水力発電ユニット
の振動領域の組み合わせ上限に自動発電制御システム
(AGC
)の
水力発電ユニットの有効電力の和を加算して生成した全
水力発電ユニットの組み合わせ振動領域の上限である全
水力発電ユニットの連携振動領域の上限を出力し、自動発電制御システム
(AGC
)の調節に参加した
水力発電ユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
自動発電制御システム
(AGC
)は、自動発電制御システム
(AGC
)の調節に参加した
水力発電ユニット
の振動領域の組み合わせ下限に自動発電制御システム
(AGC
)の
水力発電ユニットの有効電力の和を加算して生成した全
水力発電ユニットの組み合わせ振動領域の下限である全
水力発電ユニットの連携振動領域の下限を出力し、自動発電制御システム
(AGC
)の調節に参加した
水力発電ユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする、ことを特徴とする請求項
4又は
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電制御の技術分野に属し、具体的には、水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所ユニットは、起動停止が迅速で、制御精度が高く、運転が柔軟で、電力システムの負荷変化に対応できるなどの特徴があるため、電力ネットワークで主にピーク調整、周波数調整の任務を担当している。経済の急速な発展に伴い、電力ネットワークの負荷のピーク谷差が大きくなっており、ピーク調整幅も大きくなっている。これにより、より頻繁な起動停止が避けられず、ユニットが振動領域を横断する回数もより密になる。最適化ポリシーを取らなければ、水車関連部品の摩損と疲労を加速させ、水車ユニットを最適な運転状況から逸脱させる可能性が高く、さらに、ユニットの機械部分と工場の建物の摩損をもたらし、水力発電所の安全安定運転に直接影響を与える可能性もある。
【0003】
安全性の面から考慮して、現在、ほとんどの大型水力発電所は、いずれもAGCの自動起動停止機能を投入しておらず、水力発電ユニットが起動停止して振動領域を横断する操作は、所内の操作員が発電計画に基づいて、各ユニットの負荷を事前に計算して手動で調整することで実現される。ある階段発電所を例にして、電力ネットワークのピーク谷差が大きいので、電力ネットワークのピーク谷変化に応答するために、該発電所の12台の水車発電機ユニットの1日の起動停止回数は、30回に達し、ユニットは、頻繁に振動領域を上回ったり下回ったりする。その振動領域を上回る方法は、操作員が発電機計画に基づいて、ユニットが振動領域を上回る期間の各分の負荷変化量を事前に計算し、起動ユニットの負荷を手動で増加させて振動領域を横断した後、ユニットをAGC連携制御に加入させることである。その振動領域を下回る方法は、AGCがすべてのユニットの負荷をユニット振動領域の上縁まで減少させた後、操作員が停止すべきユニットのAGC連携制御を手動で終了させ、事前に計算されたユニットが振動領域を下回る期間の各分の負荷変化量に基づいて、停止ユニットの負荷を2%ほどの定格出力以下に手動で減少させた後に命令を送信して停止させることである。
【0004】
従来技術では、出願番号CN202111075475.3の特許文献には、単一振動領域の水車発電ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法が開示されており、この方法を使用する条件は、以下のとおりである。ユニットは、連続振動領域を1つしか持つことができず、そして、巨大水力発電ユニットの振動領域は、長いとともに、電力ネットワークは、システム周波数の安定性を確保するために、所内ユニットAGCの調節ステップサイズを制限する。上記振動領域を横断する方法に従って、AGCが実際に調節する間に、スケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入る状況が出現し、現在のAGCエラー防止ポリシーに基づいて、スケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入ると、AGCは、実行を拒否して全所の出力を一定に維持し、このように発電計画のずれをもたらすだけでなく、水車発電ユニットの起動停止中にAGCによって振動領域を迅速に横断する目的も実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術で巨大水力発電ユニットの振動領域が長く、AGCの調節ステップサイズが制限されるなどの要素のため、発電計画のずれを引き起こしやすく、振動領域を横断できない技術課題を解決するために、水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法であって、
自動発電制御システムAGCがユニット運転区間を区分して単一振動領域ユニットの安定運転領域と振動領域を得るステップ1と、
自動発電制御システムAGCがユニットAGC振動領域を再区分するステップ2と、
自動発電制御システムAGCが連携振動領域を解くステップ3と、
自動発電制御システムAGCがユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーを設定するステップ4と、
自動発電制御システムAGCが起動停止判断基準の設定を行うステップ5と、
起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するステップ6とを含む。
【0007】
ステップ2において、自動発電制御システムAGCは、ユニット定格出力の一定値Pxとユニット振動領域の上縁Pvとの間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、自動発電制御システムAGCは、ユニットAGC振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域U′ziは、
U′zi=[0,Px]と表すことができ、
式では、Pxは、該ユニット定格出力の一定値である。
【0008】
ステップ4において、起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを投入した後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る又は下回るユニットの出力を引くことであり、起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを終了させた後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力である。
【0009】
ステップ5において、自動発電制御システムAGCは、一定時間おきに現在時点での全所許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって、起動又は停止の提示情報を出力し、起動停止判断基準は、以下のとおりであり、
起動条件は、
Pt>Σn
i=1Pimax(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimax(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最大許容出力であり、iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)であり、
停止条件は、
Pt<Σn
i=1Pimin(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、Pimin(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最低許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0010】
ステップ6において、起動ユニットが自動発電制御システムAGCによって振動領域を上回る時、
自動発電制御システムAGCが発電計画曲線に基づいて、起動する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、自動発電制御システムAGCが起動要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システムAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS1と、
発電所のコンピュータモニタリングシステムが発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、ユニットが連系した後に、発電機の有効電力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、無効電力を0として設定し、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットが振動領域を上回るマークを投入し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットをAGC連携制御に加入させ、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を修正し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を計算し、S7に入るステップS6と、
自動発電制御システムAGCが新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入るステップS7と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、自動発電制御システムAGCが実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入るステップS8と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システムAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS9と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の増分を起動ユニットに送信して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS10と、
起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システムAGCが負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に減少させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS12と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットの出力が修正前の振動領域の上限よりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入るステップS13と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S15に入るステップS14と、
現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S16に入るステップS15と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域を再計算し、S17に入るステップS16と、
自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS17とを採用する。
【0011】
ステップ6において、停止ユニットが自動発電制御システムAGCによって振動領域を下回る時、
自動発電制御システムAGCが発電計画曲線に基づいて、停止する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、停止要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS1と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値に基づいて、AGCに参加したユニットの出力を運転可能領域の下縁まで自動的に減少させ、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットが振動領域を下回るマークを投入し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での停止ユニットの振動領域を修正し、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入るステップS6と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入るステップS7と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、AGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS8と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分がユニット定格出力の一定値Px以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入るステップS9と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信された負荷減分を停止ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS10と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力がスケジューリング送信設定値の減分からユニット定格出力の一定値Pxを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分からユニット定格出力の一定値Pxを引いた出力差分を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS12と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS13と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力から負荷移行ステップサイズを引いたものがユニット定格出力の一定値Pxよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入るステップS14と、
自動発電制御システムAGCが負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に増加させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS15と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズからユニット定格出力の一定値Pxを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS16と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、同時に、AGCが負荷移行ステップサイズとユニット定格出力の一定値Pxとの出力差を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS17と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットのAGC連携制御を終了させ、S19に入るステップS18と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S20に入るステップS19と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S21に入るステップS20と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域を再計算し、S22に入るステップS21と、
自動発電制御システムAGCが発電機の有効電力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、無効電力を0として設定し、S23に入るステップS22と、
自動発電制御システムAGCが停止命令を送信するステップS23とを採用する。
【0012】
自動発電制御システムAGCは、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限に自動発電制御システムAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限である全所連携振動領域の上限を出力し、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
自動発電制御システムAGCは、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限に自動発電制御システムAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限である全所連携振動領域の下限を出力し、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【発明の効果】
【0013】
従来技術と比べて、本発明は、下記技術の効果を有する。
【0014】
1.本発明は、アップロードスケジューリングされたユニットの運転可能領域データが真実で信頼できることを確保する前提で、単一振動領域の水力発電ユニットの定格出力の一定値Pxとユニット振動領域の上縁Pvとの間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、起動停止ユニットがAGCによって振動領域を自動的且つ迅速に横断する機能を実現する。
【0015】
2.本発明は、巨大水力発電ユニットの振動領域、AGCエラー防止ポリシーとユニットの関連制約条件の研究を通じて、水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法を提案し、「単一振動領域の水車発電ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する設計及び方法」(出願番号:CN202111075475.3)で、振動領域が長く、水力発電ユニットが振動領域を横断できないという問題を解決する。
【0016】
3.ユニットの負荷を人為的に調整することによって、振動領域を横断するようにユニットを制御する方法に比べて、AGCが振動領域を自動的に横断する機能の実現は、ユニットの起動停止中に負荷調節精度、調節速度を大幅に高め、応答時間を縮む。
【0017】
4.AGCが振動領域を自動的に横断する機能の実現は、ユニットの振動領域での滞在時間を縮み、振動領域による、水車発電ユニットの機械部分と工場の建物に対する摩損を小さくする。
【0018】
5.AGCが振動領域を自動的に横断する機能を実現した後、所内の操作員がユニットの起動停止に会うと、AGCが毎回分配する負荷と時点を手動で計算し、そして時点に基づいてモニタリングシステムにおいて各ユニットの負荷を手動で調整する必要がない。所内の操作員が値を誤設定するリスクと作動負担を大幅に減少させ、発電所とシステムの運転安定性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、添付図面と実施例を結び付けながら本発明についてさらに説明する。
【0020】
【
図1】本発明で起動ユニットがAGCによって振動領域を上回るフローチャートである。
【
図2】本発明で停止ユニットがAGCによって振動領域を下回るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法であって、ユニットの起動停止及びピーク調整中の負荷調整過程についての分析により、発電所、ユニットの関連する制約条件と振動領域範囲を結び付けながら、単一振動領域の水車発電ユニットの起動停止中にAGCによって振動領域を迅速に横断する方法をさらに提案する。
【0022】
1)ユニット振動区分
ユニットは、低負荷領域での運転を許可しない。また、様々な原因で、ユニットの運転中に振動領域があり、水頭の変化とともに変化し、ユニットがこれらの区間で運転すれば、効率が低いだけでなく、ユニットの安全に危害を及ぼすため、振動領域での運転を効果的に避けなければならない。従って、水力発電所が自動発電制御(Automatic Generation Control、略称AGC)機能を投入する前に、ダムに正常貯水位まで貯水する過程において、所内のすべてのタイプのユニットに対してエネルギー特性試験と安定性試験を行い、ユニットの圧力脈動、振動、振幅、ノイズ及び温度上昇などの現場性能テスト結果に基づいて、後続の電力市場の要求を考慮し、運転領域をユニットの安定運転領域、短時間運転領域と運転禁止領域に区分する必要があり、短時間運転領域と運転禁止領域は、ユニット振動領域と総称される。単一振動領域の水車発電ユニットの場合、ユニット振動領域は、水頭に関連する連続的な区間であり、特定の水頭下でのあるユニット振動領域Uziは、
Uzi=[0,Pzi]と表すことができ、
式では、Pziは、特定の水頭下でのあるユニット振動領域の上縁値である。
【0023】
現在のAGCポリシーに基づいて、ユニットが振動領域で運転する場合、AGC連携制御に加入できず、該ユニットがAGC連携制御に加入しようとすれば、AGC連携制御に加入するにユニットの負荷を振動領域の外に手動で調整しなければならないため、AGCが振動領域を自動的に横断する機能を実現できず、単一振動領域の水車発電ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断することを実現するとともに、発電機の逆電力を防止するために、水車発電機の定格出力の2%とユニット振動領域の上縁Pvとの間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、AGCユニット振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域U′ziは、
U′zi=[0,2%のPn]と表すことができ、
式では、Pnは、該ユニットの定格電力である。
【0024】
2)連携振動領域
水力発電所のコンピュータモニタリングシステムは、ユニットの制御方式と現在の水頭に基づいて、各ユニットAGCの投入/終了組み合わせを結び付けながら、調節可能な区間を総合的に測定し、遠隔測定データとして全所の調節上下限値をリアルタイムに与える。同時に、各ユニットの現在の有効電力の上方と下方での振動領域に基づいて、全所の出力の上方と下方での振動領域を総合的に測定し、遠隔測定データとして全所の出力の上方と下方での振動領域の最大縁値と最小縁値をリアルタイムに与える。連携振動領域を設定する目的は、スケジューリング送信目標値の実行可能性を確保することであり、即ち該有効目標値は、全所の各ユニット間の合理的な分配により、いずれか1台のユニットがいずれも振動領域で運転しないことを確保することができる。設定値が全所連携振動領域内にある(即ちどのように負荷を分配しても、ユニット振動領域を回避できない)場合、発電所は、実行を拒否して出力を一定に維持し、又は目標に最も近い運転領域の縁に近づけさせることができる。従って、合計スケジューリング送信有効目標値の実行可能性の判断基準は、
【数1】
と示すことができ、
式では、P
s(t)は、スケジューリング送信目標値であり、
U
zは、全所連携振動領域であり、
P
smin(t)は、t時間帯の全所の最小の許容調整可能出力であり、
P
smax(t)は、t時間帯の全所の最大の許容調整可能出力である。
【0025】
3)連携振動領域の解き
連携振動領域を計算しようとすれば、まず、連携調整可能範囲を計算する必要があり、連携振動領域を解くことは、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動区間の補集合を取り、単一ユニットの運転可能区間の交差組み合わせの和集合を取り、組み合わせ実行可能領域の補集合を取る演算変換方法で解くことができる。単一ユニットの運転可能領域U
yiは、
【数2】
と表すことができ、
該所にn台のユニットがあるとすると、特定の水頭下で、該所の連携運転可能領域は、
U
y=U
y1∪U
y2∪U
y3…U
yn=∪
n
i=1U
y1と表すことができ、
組み合わせユニットの実行可能領域に対して補集合を取ると、ユニット連携振動領域を得ることができる。
【数3】
【0026】
4)ユニットの調整可能出力のアップロード
水力発電所は、リアルタイムにダム水頭の変化に基づいて、コンピュータによって水力発電ユニットの現在の水頭の最大調整可能出力を更新してメンテナンスし、アップロードされたスケジューリングデータが現在の水頭状況を実際に反映することを確保する。
【0027】
ユニットの調整可能出力は、AGCが現在の水頭に基づいて自動的に計算した後にアップロードしてスケジューリングしたものであるため、ユニットAGC振動領域が再区分された後、アップロードスケジューリングされたユニット振動領域データは、現在の水頭下での実際の振動領域ではないため、スケジューリング側の発電所全所の調整可能出力の計算エラーをもたらし、発電所にスケジューリング送信された設定値がユニット実際の振動領域に入り、さらにユニットの安全安定運転に影響を与える可能性がある。スケジューリング設定値がユニット実際の振動領域内に入らないことを確保するために、起動(又は停止)ユニットがAGCによって振動領域を横断する期間に、全所の調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る(又は下回る)ユニットの出力を引くことである。
【0028】
5)AGCが振動領域を迅速に横断するマーク
起動(又は停止)ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断できることを確保するために、AGCプログラムに、起動と停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを設定し、このマークは、投入と終了の2つの状態があり、マーク投入後、AGCは、該ユニットの特定の水頭下での振動領域Uziを再区分後の特定の水頭下での振動領域U′ziに自動的に調整し、同時に、AGCは、起動(又は停止)ユニットが振動領域を横断する方法に基づいて、起動(又は停止)ユニット、及びAGC連携制御に加入した他のユニットの出力を自動的に調整し、振動領域での起動(又は停止)ユニットの滞在時間を減少させ、それによって、起動(又は停止)ユニットが振動領域を迅速に横断する目的を達成する。
【0029】
6)起動停止判断基準
電力スケジューリング機構は、翌日の発電計画曲線を作成し、各発電所に送信する。連系した発電所(ユニット)の日発電計画曲線は、ユニットの翌日の計画発電出力対時間の関数であり、その横座標が時間で、縦座標がユニット計画発電出力であり、一日の時間(24h)は、96個の時間帯に平均に分けられ、各時間帯は、15分であり、開始点は、「l(対応する時点が00:15)」であり、終止は、「96(対応する時点が24:00)」である。各分の発電計画出力は、発電計画曲線上の隣接2点間の線形補間によって決定され、15分のある整数倍の後のt分目の計画出力は、
Pt=Pm+t*(Pm+1-Pm)/15であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍の後のt分目の計画出力であり、Pmは、96点の計画曲線上の15分のある整数倍での発電出力であり、
Pm+1は、96点の計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの発電出力であり、t値は、0~14である。
【0030】
全所の出力が全所の調整可能容量の上限(又は下限)に近い時、リアルタイムに起動停止しないため、全所の出力が発電計画からずれる状況を回避するために、AGCに起動停止提醒機能を設定する必要がある。AGCは、1分おきに、現在時点での全所許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを自動的に比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって起動(又は停止)の提示情報を送信する。起動停止判断基準は、以下のとおりであり、
起動条件は、
Pt>Σn
i=1Pimax(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimax(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最大許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0031】
停止条件は、
Pt<Σn
i=1Pimin(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimin(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最低許容出力であり、iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0032】
7)起動停止判断基準
起動(停止)ユニットは、AGCが振動領域を上回る(下回る)方法に従って、振動領域を迅速に横断し、
従来技術では、AGC即ちAutomatic Generation Controlとは、自動発電制御システムであり、
起動ユニットがAGCによって振動領域を上回る方法は、以下のステップを含む。
【0033】
S1:発電計画曲線に基づいて、起動する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、起動要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S2:発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、ユニットが連系した後に、発電機の有効電力を2%の定格電力として設定し(P所定=2%のPn)、無効電力を0として設定し(Q所定=0Mar)、S3に入り、
S3:起動ユニットが振動領域を上回るマークを投入し、S4に入り、
S4:起動ユニットをAGC連携制御に加入させ、S5に入り、
S5:AGCは、現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を自動的に修正し、S6に入り、
S6:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S7に入り、
全所連携振動領域の上限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
全所連携振動領域の下限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【0034】
S7:新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入り、
S8:スケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、AGCは、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入り、
S9:スケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、20s遅延し、S13に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信設定値の増分を起動ユニットに送信して実行させ、20s遅延し、S13に入り、
S11:起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:AGCは、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に減少させ、20s遅延し、S13に入り、
S13:起動ユニットの出力が修正前の振動領域の上限よりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入り、
S14:起動ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S15に入り、
S15:現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S16に入り、
S16:全所連携振動領域を再計算し、S17に入り、
S17:AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させる。
【0035】
従来技術では、振動領域を上回ることとは、水車発電ユニットの出力が振動領域の下限値以下から振動領域の上限値以上まで徐々に増加する過程である。ある水車ユニットの振動領域を(A,B)とし、振動領域の上限値をBとし、振動領域の下限値をAとすると、該ユニットの出力が振動領域の下限値A以下から振動領域の上限値B以上まで徐々に増加する過程は、振動領域を上回ることと呼ばれる。
【0036】
ここで、AGCに参加したユニット(略称AGCユニット)とは、水車発電ユニットAGCの連携制御マークを投入した後、AGCプログラムが発電所の水頭、各台のユニットの出力状況などの要素に基づいて、等比率分配原則に従って、電力スケジューリング機構が発電所に送信した発電計画を計算して分配し、最後にAGC連携制御マークを投入した各台の水車発電ユニットに送信して実行させ、AGCプログラムの送信値を実行するユニットは、AGCに参加したユニットと呼ばれる。
【0037】
停止ユニットがAGCによって振動領域を下回る方法は、以下のステップを含む。
【0038】
S1:発電計画曲線に基づいて、停止する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、停止要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S2:AGCは、スケジューリング設定値に基づいて、AGCに参加したユニットの出力を運転可能領域の下縁まで自動的に減少させ、S3に入り、
S3:停止ユニットが振動領域を下回るマークを投入し、S4に入り、
S4:現在の水頭下での停止ユニットの振動領域を修正し、S5に入り、
S5:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S6に入り、
全所連携振動領域の上限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
全所連携振動領域の下限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【0039】
S6:スケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入り、
S7:スケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入り、
S8:スケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S9:停止ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分が2%のPn以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信された負荷減分を停止ユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S6に入り、
S11:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力が、スケジューリング送信設定値の減分から2%のPnを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:停止ユニットの出力を2%のPnとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分から2%のPnを引いた出力差分を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S13:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S14:停止ユニットの出力から負荷移行ステップサイズを引いたものが2%のPnよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入り、
S15:AGCは、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に増加させ、20秒遅延し、S6に入り、
S16:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズから2%のPnを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S17:停止ユニットの出力を2%のPnとして設定し、同時に、AGCは、負荷移行ステップサイズと2%のPnとの出力差を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S18:停止ユニットのAGC連携制御を終了させ、S19に入り、
S19:停止ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S20に入り、
S20:現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S21に入り、
S21:全所連携振動領域を再計算し、S22に入り、
S22:発電機の有効電力を2%の定格電力として設定し(P所定=2%のPn)、無効電力を0として設定し(Q所定=0Mar)、S23に入り、
S23:停止命令を送信する。
【0040】
従来技術では、振動領域を下回ることとは、水車発電ユニットの出力が振動領域の上限値以上から振動領域の下限値以下まで徐々に減少する過程である。ある水車ユニットの振動領域を(A,B)とし、振動領域の上限値をBとし、振動領域の下限値をAとすると、該ユニットの出力が振動領域の上限値B以上から振動領域の下限値A以下まで徐々に減少する過程は、振動領域を下回ることと呼ばれる。
【0041】
従来技術では、全所連携振動領域とは、AGCがグループ方式で運転する運転不可能領域であり、全所のすべての運転可能ユニットを単一のユニットする時の振動領域として理解されてもよい。
【0042】
当業者が本発明をより良く理解するために、以下の実施例を提供する。
【0043】
ステップ1:ユニットの圧力脈動、振動、振幅、ノイズ及び温度上昇などの現場性能テスト結果に基づいて、後続の電力市場の要求を考慮し、単一振動領域ユニットの安定運転領域と振動領域を区分し、
ステップ2:ユニット振動領域を再区分し、ユニット定格出力の2%とユニット振動領域の上縁Pvとの間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、ユニットAGC振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域U′ziは、
U′zi=[0,2%のPn]と表すことができ、
式では、Pnは、該ユニットの定格電力である。
【0044】
ステップ3:連携振動領域を解く。AGCは、ユニット制御方式と水頭に基づいて、連携振動領域を解く方法を用いて、特定の水頭下での全所連携振動領域を自動的に計算する。
【0045】
ステップ4:ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーを設定する。起動(又は停止)ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを投入した後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る(又は下回る)ユニットの出力を引くことである。起動(又は停止)ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを終了させた後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力である。
【0046】
スケジューリングポリシーに関しては、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る又は下回るユニットの出力を引くことであり、起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを終了させた後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力である。
【0047】
ステップ5:起動停止判断基準を設定する。AGCは、1分おきに、現在時点での全所許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを自動的に比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって起動(又は停止)の提示情報を送信する。起動停止判断基準は、以下のとおりであり、
起動条件は、
Pt>Σn
i=1Pimax(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimax(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最大許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0048】
停止条件は、
Pt<Σn
i=1Pimin(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimin(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最低許容出力である、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0049】
ステップ6:起動(停止)ユニットは、AGCが振動領域を上回る(下回る)方法に従って、振動領域を迅速に横断する。
【0050】
図1に示すように、起動ユニットがAGCによって振動領域を上回る詳細な実行ステップは、以下のとおりであり、
S1:発電計画曲線に基づいて、起動する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、起動要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S2:コンピュータは、発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、ユニットが連系した後に、発電機の有効電力を2%の定格電力として設定し(P
所定=2%のP
n)、無効電力を0として設定し(Q
所定=0Mar)、S3に入り、
S3:起動ユニットが振動領域を上回るマークを投入し、S4に入り、
S4:起動ユニットをAGC連携制御に加入させ、S5に入り、
S5:AGCは、現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を自動的に修正し、S6に入り、
S6:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S7に入り、
全所連携振動領域の上限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
全所連携振動領域の下限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【0051】
S7:新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入り、
S8:スケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、AGCは、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入り、
S9:スケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、20s遅延し、S13に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信設定値の増分を起動ユニットに送信して実行させ、20s遅延し、S13に入り、
S11:起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:AGCは、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に減少させ、20s遅延し、S13に入り、
S13:起動ユニットの出力が修正前の振動領域の上限よりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入り、
S14:起動ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S15に入り、
S15:現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S16に入り、
S16:全所連携振動領域を再計算し、S17に入り、
S17:AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させる。
【0052】
図2に示すように、停止ユニットがAGCによって振動領域を下回る詳細な実行ステップは、以下のとおりであり、
S1:発電計画曲線に基づいて、停止する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、停止要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S2:AGCは、スケジューリング設定値に基づいて、AGCに参加したユニットの出力を運転可能領域の下縁まで自動的に減少させ、S3に入り、
S3:停止ユニットが振動領域を下回るマークを投入し、S4に入り、
S4:現在の水頭下での停止ユニットの振動領域を修正し、S5に入り、
S5:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S6に入り、
全所連携振動領域の上限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
全所連携振動領域の下限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【0053】
S6:スケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入り、
S7:スケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入り、
S8:スケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、AGCは、予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S9:停止ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分が2%のPn以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信された負荷減分を停止ユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S6に入り、
S11:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの減少可能出力が、スケジューリング送信設定値の減分から2%のPnを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:停止ユニットの出力を2%のPnとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分から2%のPnを引いた出力差分を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S13:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S14:停止ユニットの出力から負荷移行ステップサイズを引いたものが2%のPnよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入り、
S15:AGCは、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に増加させ、20秒遅延し、S6に入り、
S16:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズから2%のPnを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S17:停止ユニットの出力を2%のPnとして設定し、同時に、AGCは、負荷移行ステップサイズと2%のPnとの出力差を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S18:停止ユニットのAGC連携制御を終了させ、S19に入り、
S19:停止ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S20に入り、
S20:現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S21に入り、
S21:全所連携振動領域を再計算し、S22に入り、
S22:発電機の有効電力を2%の定格電力として設定し(P所定=2%のPn)、無効電力を0として設定し(Q所定=0Mar)、S23に入り、
S23:停止命令を送信する。
【0054】
従来技術では、発電計画曲線は、電力スケジューリング機構が負荷予測、発電所の来水状況と電力システムのバランス需要などの要素に基づいて作成した発電所の翌日の発電計画であり、各発電所に送信して実行させ、連系した発電所の日発電計画曲線は、ユニットの翌日の計画発電出力対時間の関数であり、その横座標が時間で、縦座標がユニット計画発電出力であり、一日の時間(24h)は、96個の時間帯に平均に分けられ、各時間帯は、15分であり、開始点は、「l(対応する時点が00:15)」であり、終止は、「96(対応する時点が24:00)」である。
【0055】
予め設定された分配原則は、等比率分配原則であり、該発電所AGCは、容量と比率して分配する原則、即ち等比率分配原則を採用し、その式は、
Pi=PAGC×Pimax/Σn
I=1Pimax (i=1,2…,n)であり、
nは、AGCに参加したn台のユニットであり、
Pimaxは、AGCに参加したi台目のユニットの、現在の水頭下での最大出力であり、
Σn
I=1Pimaxは、AGCに参加した各台のユニットの、現在の水頭下での最大出力の和であり、
Piは、AGCがAGCに参加したi台目のユニットに分配する有効電力である。
【0056】
振動領域の上下限の演算ロジックに関しては、
(1)全所連携振動領域の上限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
(2)全所連携振動領域の下限は、AGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限にAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限であり、AGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする。
【0057】
AGCに投入した2台のユニットの振動領域をそれぞれ(C,D)と(E,F)とすると、配列と組み合わせにより、2台のユニットの振動領域範囲:2台が低い振動領域範囲:(C+C,D+D)、一方が低いが他方が高い振動領域範囲:(C+E,C+F),(D+E,D+F),(E+C,E+D),(F+C,F+D)、2台が高い振動領域範囲:(E+E,F+F)を得る。以上の6つの調整可能な区間を合併すると、全所連携振動領域を得ることができる。全所連携振動領域の区間の上限値は、全所連携振動領域の上限であり、全所連携振動領域の区間の下限値は、全所連携振動領域の下限である。
【0058】
雲南省内のある水力発電所を例にして、該発電所に合計850メガワットの水車発電ユニットが12台取り付けられており、AGCによって振動領域を迅速に横断する時、具体的には、以下のとおりである。
【0059】
ステップ1:単一振動領域ユニットの安定運転領域と振動領域を区分する
ダムの貯水中に、該発電所ユニットに対してエネルギー特性試験と安定性試験を行う。ユニットの圧力脈動、振動、振幅、ノイズ及び温度上昇などの現場性能テスト結果に基づいて、同時に、後続の電力市場の要求を考慮し、運転領域をユニット安定運転領域、短時間運転領域と運転禁止領域に区分する。運転禁止領域:ユニットがこの領域で運転する時の圧力脈動、振動、振幅などのユニットの運転性能の変化が大きく、ユニットの安定運転指標を超え、ユニットの安全安定運転に対する影響が大きい。運転中に、ユニットがこの領域に入って運転することを厳禁し、起動停止中に、この領域を迅速に通過すべきであり、ユニットのこの領域での滞在時間を減少させる。運転制限領域:この領域では、ユニットの各安定性指標は、ユニットの短時間運転の要求を満たすことができ、電力ネットワークのピーク谷変化などの特殊な需要の状況でユニットがこの領域に入って短時間運転するようにすることができる。安定運転領域:低水頭から高水頭まで、50%~100%の最大出力範囲内でのユニットの安定性能指標は、長期安定運転の要求を満たす。短時間運転領域と運転禁止領域は、ユニット振動領域と総称される。試験の結果に基づいて、ユニット振動領域は、水頭に関連する連続した区間であり、特定の水頭下での該発電所のあるタイプのユニットの安定運転は、表1に示す。
【0060】
表1 あるタイプの水力発電ユニットの運転振動領域の試験データ
【表1】
【0061】
ステップ2:ユニットAGC振動領域を再区分する
現在のAGC制御ポリシーに基づいて、ユニットが振動領域で運転する場合、AGC連携制御に加入できず、ユニットがAGC連携制御に加入しようとすれば、AGC連携制御に加入するにユニットの負荷を振動領域の外に手動で調整しなければならないため、AGCが振動領域を自動的に横断する機能を実現できない。そして、一部の水車ユニットの振動領域が長いとともに、電力ネットワークがシステム周波数の安定性を確保するために、所内ユニットAGCの調節ステップサイズを制限するため、AGCの実際の調節中にスケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入る状況が出現し、現在のAGCエラー防止ポリシーに基づいて、スケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入れば、AGCは、実行を拒否して全所の出力を一定に維持し、このように、発電計画のずれをもたらさないだけではなく、水車発電ユニットの起動停止中にAGCによって振動領域を迅速に横断する目的を実現できず、該発電所を例にして、スケジューリングに許容される該所のAGC設定値の最大変化幅は、200MWであり、表1から分かるように、該所のユニット振動領域の長さは、いずれも450MW以上であるため、現在のAGCポリシーは、振動領域を自動的に横断することが困難である。水車発電ユニットが自動的に振動領域を横断することを実現し、発電機の逆電力を防止するために、水車発電機の定格出力の2%とユニット振動領域の上縁との間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、AGCユニット振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域は、表2に示す。
【0062】
再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域U
ziは、
U′
zi=[0,20]と表すことができる。
表2 再区分されたあるタイプの水力発電ユニットの振動領域
【表2】
【0063】
ステップ2において、自動発電制御システムAGCは、ユニットAGC振動領域を再区分し、一部の水力発電ユニットが起動停止中に振動が長いため、AGCによって振動領域を自動的に横断できないという問題をより良く解決する。そして、電力スケジューリング機構がシステム周波数の安定性を確保するために発電所に送信する設定値の変化幅は、あまり大きくない。該発電所を例にして、スケジューリングに許容される該所のAGC設定値の最大変化幅は、200MWであり、しかしながら、表1における該所のユニット振動領域の長さは、いずれも450MW以上であり、現在のAGCエラー防止ポリシーに基づいて、スケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入れば、AGCは、実行を拒否して全所の出力を一定に維持し、このように、スケジューリング設定値を発電所に送信して実行させることができず、さらに発電計画のずれを引き起こし、電力システムの周波数安定性に影響を与え、ユニットAGC振動領域を再区分した後、AGC連携制御に加入して運転する全所のユニットの運転可能範囲を追加し、起動停止中にスケジューリング設定値がユニット連携振動領域に入れば、発電計画の実行を拒否することにより発電計画のずれを引き起こす状況を回避する。
【0064】
ステップ3:連携振動領域を解く
ある日の該発電所の水頭を126.64メートルとし、運転ユニットを2台とすると、起動と停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークの投入前、表1を問い合わせて分かるように、該タイプのユニットの振動領域の区間は、0-540MWで、安定運転区間は、540-850MWであり、全所連携振動領域を解く過程の方法は、以下のとおりである。
【0065】
単一ユニットの運転可能領域Uyiは、
Uyi=[540,850]と表すことができ、
該所の2台のユニットがAGC連携制御に加入して運転すると、特定の水頭下で、該所の連携運転可能領域は、
Uy=Uy1∪Uy2∪Uy3…Uyn=∪n
i=1Uy1=[540,850]∪[540,850]=[1080,1700]と表すことができ、
組み合わせユニットの実行可能領域に対して補集合を取ると、ユニット連携振動領域を得ることができる。
【0066】
【数4】
起動(又は停止)ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断することを確保するために、AGCプログラムに、起動と停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを設定し、このマークは、投入と終了の2つの状態があり、マーク投入後、AGCは、該ユニットの特定の水頭下での振動領域を再区分後の特定の水頭下での振動領域に自動的に調整し、同時に、AGCは、起動(又は停止)ユニットが振動領域を横断する方法に基づいて、起動(又は停止)ユニット、及びAGC連携制御に加入した他のユニットの出力を自動的に調整し、振動領域での起動(又は停止)ユニットの滞在時間を減少させ、それによって、起動(又は停止)ユニットが振動領域を迅速に横断する目的を実現する。
【0067】
ある起動又は停止ユニットが振動領域を横断するマークを投入した後、表2を問い合わせて分かるように、該ユニットの振動領域の区間は、0-20MWで、一時的に調整可能な領域(MW)は、20-540MWであり、全所連携振動領域の計算方法に基づいて、AGC連携制御に加入して運転する該所の2台のユニットの連携運転可能領域は、560-1700MWで、連携振動領域は、0-560MWである。これから分かるように、ユニットAGC振動領域を再区分した後、全所連携振動領域が縮み、AGC調整可能範囲が大きくなる。
【0068】
振動領域を横断するマークに関しては、起動(又は停止)ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断できることを確保するために、AGCプログラムに、起動と停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを設定し、このマークは、投入と終了の2つの状態があり、マーク投入後、AGCは、該ユニットの特定の水頭下での振動領域を再区分後の特定の水頭下での振動領域に自動的に調整し、同時に、AGCは、起動(又は停止)ユニットが振動領域を横断する方法に基づいて、起動(又は停止)ユニット、及びAGC連携制御に加入した他のユニットの出力を自動的に調整し、振動領域での起動(又は停止)ユニットの滞在時間を減少させ、それによって、起動(又は停止)ユニットが振動領域を迅速に横断する目的を実現する。
【0069】
ステップ4:ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーを設定する
ユニットの調整可能出力は、AGCが現在の水頭に基づいて自動的に計算した後アップロードスケジューリングしたものであるため、ユニットAGC振動領域を再区分した後、アップロードスケジューリングされたユニット振動領域データは、現在の水頭下での実際の振動領域ではなく、スケジューリング側の発電所全所の調整可能出力の計算エラーをもたらし、発電所にスケジューリング送信された設定値がユニットの実際の振動領域に入り、さらにユニットの安全安定運転に影響を与える可能性がある。スケジューリング設定値がユニットの実際の振動領域内に入らないことを確保するために、起動(又は停止)ユニットがAGCによって振動領域を横断する期間に、全所の調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る(又は下回る)ユニットの出力を引くことである。
【0070】
ステップ5:起動停止判断基準の設定を行う
電力スケジューリング機構は、翌日の発電計画曲線を作成し、各発電所に送信し、連系した発電所(ユニット)の日発電計画曲線は、翌日のユニット計画発電出力対時間の関数であり、その横座標が時間で、縦座標がユニット計画発電出力であり、一日の時間(24h)は、96個の時間帯に平均に分けられ、各時間帯は、15分であり、開始点は、「l(対応する時点が00:15)」であり、終止は、「96(対応する時点が24:00)」である。該発電所のある日の負荷曲線値は、表3に示す。各分の発電計画出力は、発電計画曲線上の隣接2点間の線形補間によって決定され、15分のある整数倍の後のt分目の計画出力は、
Pt=Pm+t*(Pm+1-Pm)/15であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍の後のt分目の計画出力であり、Pmは、96点の計画曲線上の15分のある整数倍での発電出力であり、
Pm+1は、96点の計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの発電出力であり、t値は、0~14である。
【0071】
例えば、該発電所のある日の6:35計画発電出力を計算し、表3を問い合わせて、該発電所のある日の6:30計画発電出力は、810MWで、即ちPm=810MWであり、6:45計画発電出力は、1240MWで、即ちPm+1=1240MWである。6:35計画発電出力計算方法は、
Pt=Pm+t*(Pm+1-Pm)/15=810+5×(1240-810)/15=838.67MWである。
【0072】
【0073】
AGCは、1分おきに、現在時点での全所許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを自動的に比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって起動(又は停止)の提示情報を送信する。例えば、表3では、ある日の06:30に発電所の計画発電出力が810MWで、06:45に発電所の計画発電出力が1249MWで、発電所の水頭が122.4メートルで、運転ユニットが1台であり、表1を問い合わせて分かるように、該ユニットの最大許容出力が820MWである。ユニット起動条件
Pt>Σn
i=1Pimax(t)に基づいて、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimax(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最大許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0074】
06:30に発電所AGCが自動的に比較した結果、現在最大許容出力820MWが15分後の計画出力1240MWよりも小さく、コンピュータによって起動提醒を送信する。
【0075】
表3では、ある日の14:00に該発電所の水頭が126.64メートルで、運転ユニットが2台で、発電所出力が1620MWで、14:15の発電所の計画発電出力が620MWである。ユニット停止条件
Pt<Σn
i=1Pimin(t)に基づいて、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimin(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最低許容出力である、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である。
【0076】
14:00に発電所AGCが自動的に比較した結果、現在の所の最低許容出力1080MWが15分後の計画出力620MWよりも大きく、コンピュータによって停止提醒を送信する。
【0077】
ステップ6:起動又は停止ユニットは、AGCが振動領域を上回る又は下回る方法に従って、振動領域を迅速に横断する
ステップ6において、起動ユニットは、AGCによって振動領域を上回る時、以下のステップを採用する。
【0078】
例えば、表3では、ある日の06:30に該発電所の水頭が126.64メートルで、運転ユニットが1台で、発電所出力が810MWで、06:45に発電所の計画発電出力が1249MWである。
【0079】
S1:06:30に発電所AGCが自動的に比較した結果、現在の所の最大許容出力850MWが15分後の計画出力1240MWよりも小さく、コンピュータによって起動提醒を送信し、S2に入り、
S2:発電所のコンピュータモニタリングシステムは、発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、ユニットが連系した後に、発電機の有効電力を20MWとして設定し、無効電力を0として設定し、S3に入り、
S3:自動発電制御システムAGCは、起動ユニットが振動領域を横断するマークを投入し、S4に入り、
S4:自動発電制御システムAGCは、起動ユニットをAGC連携制御に加入させ、S5に入り、
S5:AGCは、起動ユニットの振動領域を0-20MW、一時的に調整可能な領域(MW)を20-540MWに調整し、S6に入り、
S6:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて自動的に計算し、全所の調整可能範囲が560-1700MWで、全所連携振動領域が0-560MWであり、S7に入り、
S7:新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入り、
S8:スケジューリング設定値が全所連携振動領域0-560MWに入るか否かを判断し、そうである場合、AGCは、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入り、
S9:スケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ50MW以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、AGCは、等比率分配原則に従って、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、20秒遅延する時、S13に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信設定値の増分を起動ユニットに送信して実行させ、20秒遅延し、S13に入り、
S11:起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力が負荷移行ステップサイズ50MWよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:AGCは、負荷移行ステップサイズ50MWに従って、起動ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズ50MWに従って、起動ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に減少させ、20秒遅延し、S13に入り、
S13:起動ユニットの出力が540MWよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入り、
S14:起動ユニットがAGCによって振動領域を横断するマークを終了させ、S15に入り、
S15:現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を0-540MWに回復し、S16に入り、
S16:全所連携振動領域を再計算し、全所の調整可能範囲が1080-1700MWで、全所連携振動領域が0-1080MWであり、S17に入り、
S17:AGCは、等比率分配原則に従って、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させる。
【0080】
ステップ6において、停止ユニットは、AGCによって振動領域を下回る時に、以下のステップを採用する。
【0081】
例えば、表3では、ある日の14:00に該発電所の水頭が126.64メートルで、運転ユニットが2台で、発電所出力が1620MWで、14:15に発電所の計画発電出力が620MWである。
【0082】
S1:14:00に発電所AGCが自動的に比較した結果、現在の所の最低許容出力1080MWが15分後の計画出力620MWよりも大きく、コンピュータによって停止提醒を送信し、S2に入り、
S2:AGCは、スケジューリング設定値に基づいて、AGCに加入して運転した所内のすべてのユニットの出力を540MWまで自動的に減少させ、S3に入り、
S3:自動発電制御システムAGCは、停止ユニットが振動領域を横断するマークを投入し、S4に入り、
S4:AGCは、停止ユニットの振動領域を0-20MW、一時的に調整可能な領域(MW)を20-540MWに自動的に調整し、S5に入り、
S5:AGCは、全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて自動的に計算し、全所の調整可能範囲が560-1700MWで、全所連携振動領域が0-560MWであり、S6に入り、
S6:スケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入り、
S7:スケジューリング設定値が全所連携振動領域0-560MWに入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入り、
S8:スケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ50MW以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、AGCは、等比率分配原則に従って、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、
S9:停止ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分が20MW以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入り、
S10:AGCは、スケジューリング送信された負荷減分を停止ユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S6に入り、
S11:停止ユニット以外の、AGC連携制御に加入した他のユニットの減少可能出力がスケジューリング送信設定値の減分から20MWを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S12:停止ユニットの出力を20MWとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分から20MWを引いた出力差分を、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S13:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズ50MWよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S14:停止ユニットの出力から負荷移行ステップサイズ50MWを引いたものが20MWよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入り、
S15:AGCは、負荷移行ステップサイズ50MWに従って、停止ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズ50MWに従って、停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの出力を自動的に増加させ、20秒遅延し、S6に入り、
S16:停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットの増加可能出力が30MWよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待ち、
S17:停止ユニットの出力を20MWとして設定し、同時に、AGCは、30MWを停止ユニット以外の、AGCに参加した他のユニットに分配して実行させ、20秒遅延し、S18に入り、
S18:停止ユニットのAGC連携制御を終了させ、S19に入り、
S19:停止ユニットがAGCによって振動領域を横断するマークを終了させ、S20に入り、
S20:AGCは、全所連携振動領域を再計算し、全所の調整可能範囲が560-870MWで、全所連携振動領域が20-560MWであり、S21に入り、
S21:発電機の有効電力を20MWとして設定し、無効電力を0として設定し、S22に入り、
S22:停止命令を送信する。
【0083】
負荷移行ステップサイズとは、振動領域での起動停止ユニットの滞在時間を減少させ、発電所のコンピュータモニタリングシステム、速度調節システムの調節する調節速度、応答時間、調節精度と電力ネットワークシステムの周波数安定性などの要素を配慮して決定した起動停止ユニットの負荷の増加減少幅の値である。
【0084】
ステップ6において、起動又は停止ユニットは、自動発電制御システムAGCが振動領域を上回る又は下回る方法に従って、振動領域を迅速に横断し、起動停止ユニットが振動領域を横断する期間に、新たなスケジューリング設定値が送信された場合、AGCは、起動停止ユニットの出力を優先的に調整し、スケジューリング設定値が送信されていない場合、AGCは、他のユニットに調整可能容量があると判断した後、起動停止ユニットと他のユニットとの間の出力の相互移行を自動的に実現し、さらに起動停止ユニットが振動領域を迅速に横断し、振動領域でのユニットの滞在を減少させるという目的を実現する。
【0085】
本発明は、水力発電ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する機能を実現し、所内の操作員が起動停止中に負荷を手動で調整する人工操作過程を除去し、負荷調整中の人為的な誤操作を回避し、また、人為的な操作は、AGCが負荷を自動的に調整する精度、応答速度と応答時間とは比較にならないものであり、水力発電ユニットの起動停止中に電力システムの安定性を大幅に高める。
【0086】
(付記)
(付記1)
水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法であって、
自動発電制御システムAGCがユニット運転区間を区分して単一振動領域ユニットの安定運転領域と振動領域を得るステップ1と、
自動発電制御システムAGCがユニットAGC振動領域を再区分するステップ2と、
自動発電制御システムAGCが連携振動領域を解くステップ3と、
自動発電制御システムAGCがユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーを設定するステップ4と、
自動発電制御システムAGCが起動停止判断基準の設定を行うステップ5と、
起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するステップ6とを含む、ことを特徴とする水力発電所起動停止ユニットがAGCによって振動領域を迅速に横断する方法。
【0087】
(付記2)
ステップ2において、自動発電制御システムAGCは、ユニット定格出力の一定値Pxとユニット振動領域の上縁Pvとの間の負荷区間をAGCの一時的調整可能な区間として設定し、自動発電制御システムAGCは、ユニットAGC振動領域を再区分し、再区分後の特定の水頭下でのユニット振動領域U′ziは、
U′zi=[0,Px]と表すことができ、
式では、Pxは、該ユニット定格出力の一定値である、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0088】
(付記3)
ステップ4において、起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを投入した後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力から、振動領域を上回る又は下回るユニットの出力を引くことであり、起動又は停止ユニットが振動領域を迅速に横断するマークを終了させた後、ユニットの調整可能出力のアップロードスケジューリングポリシーは、AGCにより計算された現在の調整可能出力である、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0089】
(付記4)
ステップ5において、自動発電制御システムAGCは、一定時間おきに現在時点での全所許容出力と、計画曲線上の次の1番目の15分ちょうどの計画出力及び次の2番目の15分ちょうどの計画出力とを比較し、起動停止する必要があるか否かを判断し、起動停止判断基準を満たす場合、コンピュータモニタリングシステムによって、所内当直者に起動(又は停止)の提示情報を送信し、起動停止判断基準は、以下のとおりであり、
起動条件は、
Pt>Σn
i=1Pimax(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、
Pimax(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最大許容出力であり、iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)であり、
停止条件は、
Pt<Σn
i=1Pimin(t)であり、
式では、Ptは、15分のある整数倍での計画出力であり、Pimin(t)は、現在時点でのi台目のユニットの最低許容出力であり、
iの値は、1~n(nは、連系した運転ユニットの数である)である、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0090】
(付記5)
ステップ6において、起動ユニットが自動発電制御システムAGCによって振動領域を上回る時、
自動発電制御システムAGCが発電計画曲線に基づいて、起動する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、自動発電制御システムAGCが起動要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システムAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS1と、
発電所のコンピュータモニタリングシステムが発電計画曲線と水力発電ユニットの起動過程に必要な時間に基づいて、事前に起動して連系し、ユニットが連系した後に、発電機の有効電力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、無効電力を0として設定し、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットが振動領域を上回るマークを投入し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットをAGC連携制御に加入させ、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を自動的に修正し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S7に入るステップS6と、
自動発電制御システムAGCが新たなスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S8に入り、そうではない場合、S11に入るステップS7と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、自動発電制御システムAGCが実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S9に入るステップS8と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の増分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値を自動発電制御システムAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS9と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の増分を起動ユニットに送信して実行させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS10と、
起動ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの減少可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システムAGCが負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニットの出力を自動的に増加させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、起動ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの出力を自動的に減少させ、一定時間遅延し、S13に入るステップS12と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットの出力が修正前の振動領域の上限よりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、S7に入るステップS13と、
自動発電制御システムAGCが起動ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S15に入るステップS14と、
現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S16に入るステップS15と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域を再計算し、S17に入るステップS16と、
自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS17とを採用する、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0091】
(付記6)
ステップ6において、停止ユニットが自動発電制御システムAGCによって振動領域を下回る時、
自動発電制御システムAGCが発電計画曲線に基づいて、停止する必要があるか否かを判断し、必要がある場合、停止要求情報を送信し、S2に入り、そうではない場合、自動発電制御システムAGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS1と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値に基づいて、AGCに加入したユニットの出力を運転可能領域の下縁まで自動的に減少させ、S3に入るステップS2と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットが振動領域を下回るマークを投入し、S4に入るステップS3と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での停止ユニットの振動領域を修正し、S5に入るステップS4と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域の上下限の演算ロジックに基づいて、全所連携振動領域を自動的に計算し、S6に入るステップS5と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が送信されたか否かを判断し、そうである場合、S7に入り、そうではない場合、S13に入るステップS6と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング設定値が全所連携振動領域に入るか否かを判断し、そうである場合、実行を拒否し、全所の出力を一定に維持し、そうではない場合、S8に入るステップS7と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信設定値の減分が負荷移行ステップサイズ以下であるか否かを判断し、そうである場合、S9に入り、そうではない場合、AGCが予め設定された分配原則に基づいて、スケジューリング設定値をAGCに参加した各台のユニットに分配して実行させるステップS8と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力からスケジューリング送信設定値を引いた減分がユニット定格出力の一定値Px以上であるか否かを判断し、そうである場合、S10に入り、そうではない場合、S11に入るステップS9と、
自動発電制御システムAGCがスケジューリング送信された負荷減分を停止ユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS10と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの減少可能出力がスケジューリング送信設定値の減分からユニット定格出力の一定値Pxを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S12に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS11と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、同時に、スケジューリング送信設定値の減分からユニット定格出力の一定値Pxを引いた出力差分を、停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS12と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S14に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS13と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力から負荷移行ステップサイズを引いたものがユニット定格出力の一定値Pxよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S15に入り、そうではない場合、S16に入るステップS14と、
自動発電制御システムAGCが負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニットの出力を自動的に減少させ、同時に、負荷移行ステップサイズに従って、停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの出力を自動的に増加させ、一定時間遅延し、S6に入るステップS15と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットの増加可能出力が負荷移行ステップサイズからユニット定格出力の一定値Pxを引いたものよりも大きいか否かを判断し、そうである場合、S17に入り、そうではない場合、新たな設定値のスケジューリング送信を待つステップS16と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットの出力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、同時に、AGCが負荷移行ステップサイズとユニット定格出力の一定値Pxとの出力差を、停止ユニット以外の、AGCに加入した他のユニットに分配して実行させ、一定時間遅延し、S18に入るステップS17と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットのAGC連携制御を終了させ、S19に入るステップS18と、
自動発電制御システムAGCが停止ユニットがAGCによって振動領域を上回るマークを終了させ、S20に入るステップS19と、
自動発電制御システムAGCが現在の水頭下での起動ユニットの振動領域を回復し、S21に入るステップS20と、
自動発電制御システムAGCが全所連携振動領域を再計算し、S22に入るステップS21と、
自動発電制御システムAGCが発電機の有効電力をユニット定格出力の一定値Pxとして設定し、無効電力を0として設定し、S23に入るステップS22と、
自動発電制御システムAGCが停止命令を送信するステップS23とを採用する、ことを特徴とする付記1に記載の方法。
【0092】
(付記7)
自動発電制御システムAGCは、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ上限に自動発電制御システムAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の上限である全所連携振動領域の上限を出力し、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とし、
自動発電制御システムAGCは、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット振動領域の組み合わせ下限に自動発電制御システムAGCの終了ユニットの有効電力の和を加算して生成した全所の組み合わせ振動領域の下限である全所連携振動領域の下限を出力し、自動発電制御システムAGCの調節に参加したユニット組み合わせに振動領域がない場合、ゼロ値とする、ことを特徴とする付記5又は6に記載の方法。