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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】プログラム及び工作機械システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20240314BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G05B19/18 Y
B23Q11/00 K
B23Q11/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023149894
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2023-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303058867
【氏名又は名称】ユアサネオテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】石田 正樹
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/259671(WO,A1)
【文献】特許第7148764(JP,B1)
【文献】特開2017-091242(JP,A)
【文献】特許第7148763(JP,B1)
【文献】特許第7303958(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 - 19/46
B23Q 11/00 - 11/10
B24B 55/00 - 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、
前記工作機械には、クーラントを供給するクーラント装置が接続されているとともに、ミストコレクタが取り付けられており、
前記工作機械は、予め設定された加工プログラムにしたがい対応する工具を選択し、主軸に該選択した工具を装着してワークを加工するようになっており、且つ前記工具やワークに前記クーラント装置から供給される前記クーラントを噴射するように構成されており、
前記ミストコレクタは、自身の運転スイッチがON状態になるとON動作して、前記工作機械の内部から、前記クーラントにより発生するミストを回収するようになっており、且つ該運転スイッチがON状態において前記制御基板から送信される制御信号を受信すると、該制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっており、
前記工作機械は、操作部を有し、
前記制御基板のメモリには前記プログラムが記憶されており、
前記プログラムは、前記制御基板に、
前記ミストコレクタの動作制御の設定として、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に、前記発生するミスト量の選択を受け付ける第1処理と、
記ミスト量を受け付けた場合、該受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御する前記制御信号を生成する第2処理と、
前記ミストコレクタに前記制御信号を送信する第3処理とを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記第1処理では、前記発生するミスト量について、多い、中位及び少ないのうちのいずれかのミスト量の選択を受け付けるようになっており、
前記第2処理では、
前記ミスト量が少ないの設定を受け付けたときには、前記工具を使用している最中にミストコレクタをOFF動作にして停止させる前記制御信号を生成し、
前記ミスト量が中位の設定を受け付けたときには、前記工具が装着された前記主軸が回転動作している最中と前記主軸の回転が停止してから所定時間の間に前記ミストコレクタをON動作をさせる前記制御信号であって且つ該所定時間経過後に前記ミストコレクタOFF動作にして停止させる前記制御信号を生成し、
前記ミスト量が多いの設定を受け付けたときには、前記ミストコレクタのON動作を指示する前記制御信号を生成するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記工作機械が行う加工プログラムでは、該加工プログラムで用いられる工具を特定するツール番号が定められており、
前記第1処理では、前記ミスト量の選択を受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを示す設定優先情報を受け付けることができるようになっており、
前記ミスト量の選択に加えて、前記設定優先情報を受け付ている場合、前記第2処理では、
前記受け付けた設定優先情報を用いて、前記工作機械の対応する加工プログラムに定められているツール番号の工具毎に、それぞれ、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを判定し、
前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御すると判定した前記ツール番号の工具により前記ワークを加工する際には、前記ミスト量に応じた前記制御信号を生成し、
前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御しないと判定した前記ツール番号の工具により前記ワークを加工する際には、前記ミストコレクタのON動作を指示する前記制御信号を生成することを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1処理では、前記ミスト量の選択を受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、そのツール番号の工具による加工動作が終了してから前記ミストコレクタをON動作をさせ続ける前記所定時間の設定を受け付けることができるようになっていることを特徴とする請求項2又は3に記載のプログラム。
【請求項5】
クーラント装置からクーラントが供給される工作機械と、該工作機械に取り付けられたミストコレクタとを備えた工作機械システムであって、
前記工作機械は、予め設定された加工プログラムにしたがい対応する工具を選択し、主軸に該選択した工具を装着してワークを加工するようになっており、且つ前記工具やワークに前記クーラント装置から供給される前記クーラントを噴射するように構成されており、
前記ミストコレクタは、自身の運転スイッチがON状態になるとON動作して、前記工作機械の内部から、前記クーラントにより発生するミストを回収するようになっており、且つ該運転スイッチがON状態において前記工作機械から送信される制御信号を受信すると、該制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっており、
前記工作機械は、
操作部と、
前記ミストコレクタの動作制御の設定として、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に、前記発生するミスト量の選択を受け付け可能に構成され、前記ミスト量の選択を受け付けた場合、該受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御する前記制御信号を生成するミストコレクタ電力抑制部と、
前記ミストコレクタに前記制御信号を送信する通信処理部とを有していることを特徴とする工作機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び工作機械システムであって、例えば、工作機械に設置されたミストコレクタの動作を制御してミストコレクタの消費電力を削減させるためのプログラム、及び工作機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、クーラント装置から供給されるクーラント液(クーラント)を用いてワークの加工を行う工作機械には、ワークを加工する際に用いられるクーラントにより発生するミスト(オイルミスト)を回収して工作機械から除去するミストコレクタが設置されている。このミストコレクタの構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のミストコレクタは、ファンと、ファンを駆動させるためのモータと、ミストを捕集するためのフィルタとを備えており、ダクトを介して、工作機械のカバー体(本体部)に接続されている。ミストコレクタは、ファンを駆動させることにより、工作機械の加工エリアから、クーラントがミスト状となって形成されたミスト(オイルミスト)が含まれる空気を吸引するようになっている。そして、ミストコレクタは、吸引して導かれた空気中に含まれるミストをフィルタにより回収し、ミストが除去された清浄な空気を排出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7295342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明者が、工作機械(母機)と、工作機械にクーラントを供給するクーラント装置と、ミストコレクタとを備えた工作機械システムにおける二酸化炭素(CО)の削減の研究を進めているなかで、工作機械システムの1サイクル運転時の消費電力量の調査を行った。その結果、工作機械システム全体の消費電力量に対して、クーラント装置の消費電力量の割合が約65.4%であり、ミストコレクタの消費電力量の割合が17.5%であり、工作機械の消費電力量の割合が17.1%であった。
すなわち、工作機械システム全体の消費電力量は、クーラント装置の消費電力量が大きな割合を占めているが、ミストコレクタの消費電力量についても、工作機械と略同様の割合を占めていることが判った。
【0006】
そこで、本願発明者は、工作機械システムにおける二酸化炭素(CО)の削減の研究するなかで、ミストコレクタの消費電力量に着目して、ミストコレクタの消費電力量を削減する方法について検討することにした。
そして、本願発明者は、工作機械(母機)の加工プログラムにより定められた工具(刃物)や、ワークによっては、クーラントが噴射されても、ミストの発生量が少ないものや、ミストが発生しないものがあることに気付いた。例えば、遅い回転でワークを加工する工具(例えば、タップ等)では、クーラントが噴射されていてもミストが発生しない。また、工作機械が行う加工内容によっては、ミストが多く発生するものや、ミストがあまり発生しないものがある。
ところが、現状の工作機械システムでは、ミストコレクタは、工作機械(母機)がワークを加工していないときにも連続運転させる方法が採用されており、当然、ミストが発生しない工具でワークを加工している場合や、ミストがあまり発生しない加工内容のときにもにも稼働している。
そこで、本願発明者は、工作機械システムにおいて、工作機械(母機)で発生するミスト量の状況に対応させて、ミストコレクタの動作(運転)を制御すれば、ミストコレクタの消費電力を削減できることを着想した。例えば、工作機械の内部で発生するミストの量が少ないときには、ミストコレクタの運転を停止させるように制御すれば、ミストコレクタの消費電力を削減できる。
【0007】
しかし、現状の工作機械システムにおいて、ミストコレクタの消費電力量を削減させることに着目して、工作機械(母機)のミスト量の状態に応じて、ミストコレクタの動作(運転)を制御するミストコレクタの制御方法やシステムは知られていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、ミストコレクタの動作を制御してミストコレクタの消費電力を削減させるためのプログラム、及び、工作機械と、該工作機械に設けれらたミストコレクタとを備えた工作機械システムであって、ミストコレクタの消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明は、CPU及びメモリを備えた制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、前記工作機械には、クーラントを供給するクーラント装置が接続されているとともに、ミストコレクタが取り付けられており、前記工作機械は、予め設定された加工プログラムにしたがい対応する工具を選択し、主軸に該選択した工具を装着してワークを加工するようになっており、且つ前記工具やワークに前記クーラント装置から供給される前記クーラントを噴射するように構成されており、前記ミストコレクタは、自身の運転スイッチがON状態になるとON動作して、前記工作機械の内部から、前記クーラントにより発生するミストを回収するようになっており、且つ該運転スイッチがON状態において前記制御基板から送信される制御信号を受信すると、該制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっており、前記工作機械は、操作部を有し、前記制御基板のメモリには前記プログラムが記憶されており、
前記プログラムは、前記制御基板に、前記ミストコレクタの動作制御の設定として、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に、前記発生するミスト量の選択を受け付ける第1処理と、記ミスト量を受け付けた場合、該受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御する前記制御信号を生成する第2処理と、
前記ミストコレクタに前記制御信号を送信する第3処理とを実行させることを特徴とする。
【0010】
このように本発明のプログラムは、CPU及びメモリを備えた制御基板に、ミストコレクタの動作制御のカスタマイズ設定として、工作機械で発生するミスト量の選択を受け付ける第1処理と、カスタマイズ設定でミスト量を受け付けた場合、その受け付けたミスト量に応じてミストコレクタのON/OFF動作を制御する前記制御信号を生成する第2処理と、ミストコレクタに前記制御信号を送信する第3処理とを実行させている。
すなわち、本発明のプログラムによれば、ユーザから受け付けたミスト量に応じて、ミストコレクタのON/OFF動作が制御されるため、従来技術のように、工作機械で発生するミスト量に関係なくミストコレクタを連続運転させる制御と比べて、消費電力を削減させ、二酸化炭素(CО)の削減に貢献できる。
【0011】
また、前記第1処理では、前記発生するミスト量について、多い、中位及び少ないのうちのいずれかのミスト量の選択を受け付けるようになっており、前記第2処理では、前記ミスト量が少ないの設定を受け付けたときには、前記工具を使用している最中にミストコレクタをOFF動作にして停止させる前記制御信号を生成し、前記ミスト量が中位の設定を受け付けたときには、前記工具が装着された前記主軸が回転動作している最中と前記主軸の回転が停止してから所定時間の間に前記ミストコレクタをON動作をさせる前記制御信号であって且つ該所定時間経過後に前記ミストコレクタOFF動作にして停止させる前記制御信号を生成し、前記ミスト量が多いの設定を受け付けたときには、前記ミストコレクタのON動作を指示する前記制御信号を生成するようになっていることが望ましい。
【0012】
上記の構成によれば、制御基板が「ミスト量が少ない」の設定を受け付けたときには、ミストコレクタは、制御基板からの制御信号に応じて、工作機械が工具を使用している最中にミストコレクタの動作が停止するように制御される。
また、工作機械の制御基板が「ミスト量が中位」の設定を受け付けたときには、ミストコレクタは、制御基板からの制御信号に応じて、工作機械の主軸が回転動作している最中と主軸の回転が停止してから所定時間の間にON動作してミストを回収し、所定時間経過後に動作を停止するように制御される。
また、工作機械の制御基板が「ミスト量が多い」の設定を受け付けたときには、ミストコレクタは、制御基板からの制御信号に応じて、ON動作で運転した状態になる。
すなわち、本発明によれば、従来技術のようにミストコレクタを連続運転させるのでははなく、工作機械で発生するミスト量に対応して、必要に応じてミストコレクタをON/OFF動作をさせることができるので、消費電力を抑えて効率的にミストの除去を行うことができる。
【0013】
また、前記工作機械が行う加工プログラムでは、該加工プログラムで用いられる工具を特定するツール番号が定められており、前記第1処理では、前記ミスト量の選択を受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを示す設定優先情報を受け付けることができるようになっており、前記ミスト量の選択に加えて、前記設定優先情報を受け付ている場合、前記第2処理では、前記受け付けた設定優先情報を用いて、前記工作機械の対応する加工プログラムに定められているツール番号の工具毎に、それぞれ、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを判定し、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御すると判定した前記ツール番号の工具により前記ワークを加工する際には、前記ミスト量に応じた前記制御信号を生成し、前記受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御しないと判定した前記ツール番号の工具により前記ワークを加工する際には、前記ミストコレクタのON動作を指示する前記制御信号を生成することが望ましい。

【0014】
上記の構成によれば、ミスト量の多さに応じてミストコレクタを制御するカスタマイズ設定にした場合であっても、ツール番号(工具)毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを設定できるようになっている。
そのため、本発明によれば、ワークを加工する工具に応じて、ミスト量の多さに応じたミストコレクタのON/OFF動作を制御するのか、或いは、従来技術と同様のミストコレクタを連続動作させるのかを設定することができる。
【0015】
また、前記第1処理では、前記ミスト量の選択を受け付けた場合に、さらに、前記工作機械に搭載されている工具を特定するツール番号毎に、そのツール番号の工具による加工動作が終了してから前記ミストコレクタをON動作をさせ続ける前記所定時間の設定を受け付けることができるようになっていることが望ましい。
【0017】
また、クーラント装置からクーラントが供給される工作機械と、該工作機械に取り付けられたミストコレクタとを備えた工作機械システムであって、前記工作機械は、予め設定された加工プログラムにしたがい対応する工具を選択し、主軸に該選択した工具を装着してワークを加工するようになっており、且つ前記工具やワークに前記クーラント装置から供給される前記クーラントを噴射するように構成されており、前記ミストコレクタは、自身の運転スイッチがON状態になるとON動作して、前記工作機械の内部から、前記クーラントにより発生するミストを回収するようになっており、且つ該運転スイッチがON状態において前記工作機械から送信される制御信号を受信すると、該制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっており、前記工作機械は、操作部と、前記ミストコレクタの動作制御の設定として、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に、前記ミストコレクタの動作制御の設定として、ユーザから前記操作部を介して、前記加工プログラム毎に、前記発生するミスト量の選択を受け付け可能に構成され、前記ミスト量の選択を受け付けた場合、該受け付けたミスト量に応じて前記ミストコレクタのON/OFF動作を制御する前記制御信号を生成するミストコレクタ電力抑制部と、前記ミストコレクタに前記制御信号を送信する通信処理部とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、ミストコレクタの動作を制御してミストコレクタの消費電力を削減させるためのプログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、工作機械と、工作機械に設けれらたミストコレクタとを備えた工作機械システムであって、ミストコレクタの消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態のマシニングセンタ及びミストコレクタを備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。
図2】本発明の実施形態の工作機械システムのマシニングセンタの主軸に装着された工具と、加工対象のワークと、クーラント装置から供給されるクーラントの関係を説明するための模式図である。
図3】本発明の実施形態の工作機械システムに設けられたミストコレクタの構成を示した模式図である。
図4】本発明の実施形態の工作機械システムのマシニングセンタが提供するミストコレクタのON/OFF動作のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。
図5】本発明の実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたカスタマイズ設定優先情報データベースのデータ構成を示した模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態のマシニングセンタ及びミストコレクタを備えた工作機械システム及び、CPU及びメモリを備えた制御基板を有するマシニングセンタで実行されるプログラムであって、マシニングセンタに設けられたミストコレクタのON/OFF動作を制御して工作機械システムの消費電力を削減させるためのプログラムについて図面に基づいて説明する。
【0021】
《工作機械システムの概略構成》
先ず、本実施形態の工作機械システムの概略構成について図1~3を用いて説明する。
ここで、図1は、本実施形態のマシニングセンタ及びミストコレクタを備えた工作機械システムの構成を示した模式図である。図2は、本実施形態の工作機械システムのマシニングセンタの主軸に装着された工具と、加工対象のワークと、クーラント装置から供給されるクーラントの関係を説明するための模式図である。図3は、本実施形態の工作機械システムに設けられたミストコレクタの構成を示した模式図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ(工作機械)100と、マシニングセンタ100に接続され、且つマシニングセンタ100から送られてくるクーラント・制御信号に応じて動作してマシニングセンタ100にクーラント(クーラント液)を供給するクーラント装置200と、マシニングセンタ100からクーラントにより発生するミストを回収するミストコレクタ300とを備えている。
【0023】
また、マシニングセンタ100は、CPU及びメモリを備えた制御基板や制御装置により構成された制御部101と、液晶ディスプレイ等により構成される表示部102と、操作ボタン等で構成される操作部103と、自動工具交換機能を備えた工作機械部104とを有している。
【0024】
なお、マシニングセンタ100の工作機械部104は、図2に示すように、工具2が装着される主軸1を備えている。また、工作機械部104は、主軸1と工具2の貫通穴を通して工具2の刃先にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのセンタースルークーラント用ノズル(図示せず)と、加工しているワークWにカッチングクーラント(CUTC)を噴射するためのカッチング用ノズル3と、使用済みのクーラントを貯留するベッドBを洗浄するベッド洗浄クーラント(BEDC)を噴射するためのベッド洗浄用ノズル4とを備えている。
また、工作機械部104は、自動工具交換機能により、加工プログラムに応じて、主軸1に装着する工具2を自動交換できるようになっている。
【0025】
上記の制御部101が工作機械部104の動作を制御して、加工プログラムで定められている工具2でワークWを加工する。
具体的には、制御部101は、予め設定された加工プログラムにしたがい、工作機械部104に対応する工具2を選択させ、主軸1に選択した工具2を装着させてワークWを加工するようになっている。また、制御部101は、工作機械部104にワークWを加工させる際に、クーラント装置200にクーラント・制御信号を送信し、クーラント装置200の動作を制御し、その加工の際に必要なクーラントの供給を受けるようになっている。
そして、ワークWを加工している際には、センタースルークーラント用ノズルやカッチング用ノズル3からクーラントを噴射され、工具2やワークWにクーラントがかけられる。このときに、マシニングセンタ100の内部では、工具2やワークWに噴射されるクーラントによりミスト(オイルミスト)が発生する。
【0026】
また、制御部101は、ユーザから、ミストコレクタ300の動作制御のカスタマイズ設定として、加工プログラム毎に発生するミスト量について、「多い」、「中位」及び「少ない」のうちのいずれかの選択を受け付けることができるようになっている。
また、制御部101は、カスタマイズ設定でミスト量を受け付けた場合、受け付けたミスト量に応じてミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するミストコレクタ・制御信号(制御信号)を生成し、ミストコレクタ300に生成したミストコレクタ・制御信号を送信する。
そして、ミストコレクタ300は、制御部101から送られてくるミストコレクタ・制御信号を受信し、その受信したミストコレクタ・制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっている。
【0027】
また、本実施形態のマシニングセンタ100の制御部101は、工作機械部104の動作を制御する機械制御部110と、クーラント装置200の動作を制御するクーラント・制御信号を生成するクーラント制御部111と、ユーザからの各種設定を受け付けるための設定処理部112と、外部の装置(クーラント装置200、ミストコレクタ300)と各種情報の授受を行う通信処理部113と、ミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するミストコレクタ・制御信号を生成するミストコレクタ電力抑制部115と、記憶部120とを有している。また、記憶部120には、ミスト量設定データベース121、カスタマイズ設定優先情報データベース122が記憶されている。
【0028】
なお、制御部110は、例えば、CPU、メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)により構成されている。
【0029】
また、上記の制御部101の構成のうち、「機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113」は、既存のマシニングセンタ100に標準仕様で搭載されているものである。
そして、本実施形態では、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部の構成(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、後付けて、ミストコレクタ300の消費電力を抑制するミストコレクタ電力抑制部115を追加するとともに、ユーザから受け付けたミストコレクタ300を制御するための制御情報(ミスト量設定データベース121、カスタマイズ設定優先情報データベース122)を追加している。図1の破線部分(符号Aで示す部分)が、標準仕様のマシニングセンタ100に追加された構成になっている。
【0030】
すなわち、本実施形態の工作機械システムは、マシニングセンタ100に標準仕様で搭載されている制御部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)に、ミストコレクタ300の消費電力を抑制するためのミストコレクタ電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(消費電力抑制プログラム)をインストールすることにより実現される。
このように、本実施形態では、既設の工作機械の制御部(制御基板や制御装置)101に、後付けで、ミストコレクタ電力抑制部115の機能を実現するためのプログラム(消費電力抑制プログラム)をインストールできるので、既設の工作機械システムの消費電力の削減にも貢献することができる。
【0031】
《ミストコレクタ300の構成》
次に、本実施形態の工作機械システムを構成するミストコレクタ300の構成について、図3を参照しながら説明する。
ここで、図3は、本実施形態の工作機械システムに設けられたミストコレクタの構成を示した模式図である。
なお、本実施形態のミストコレクタ300は、既存技術のものが用いられているため、本発明の特徴に関係のある部分だけを説明する。
【0032】
図3に示すように、ミストコレクタ300は、ON/OFF動作を受け付ける運転スイッチ(図示せず)と、装置(ミストコレクタ300)全体の動作を制御する制御基板310と、ファン320と、ファン320を駆動させるためのモータ330と、ミストを捕集するためのフィルター340とを備えている。また、ミストコレクタ300は、図示しないダクトを介して、マシニングセンタのカバー体(本体部)に接続されている。
ミストコレクタ300は、ON動作状態にすると、モータ330によりファンが動作して、工作機械の加工エリアから、クーラントがミスト状となって形成されたミスト(オイルミスト)が含まれる空気を吸引するようになっている。そして、ミストコレクタ300は、吸引して導かれた空気中に含まれるミストをフィルタにより捕集し、ミストが除去された清浄な空気を排出するようになっている。
【0033】
また、ミストコレクタ300は、自身の運転スイッチがON状態になるとON動作して、マシニングセンタ100の内部(加工エリア)から、クーラントにより発生するミストが含まれる空気を回収するようになっている。また、ミストコレクタ300は、運転スイッチがON状態において、マシニングセンタ100から送信されるミストコレクタ・制御信号を受信すると、受信したミストコレクタ・制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっている。
【0034】
具体的には、ミストコレクタ300の制御基板310は、ミストコレクタ300の運転スイッチがON状態になるとモータ330を駆動させてファン320を回転させる制御部311と、マシニングセンタ100から送信されるミストコレクタ・制御信号を受信する通信処理部312とを有している。
また、制御部311は、、運転スイッチがON状態において、通信処理部312を介してミストコレクタ・制御信号を受信すると、受信したミストコレクタ・制御信号に応じて、ミストコレクタ300のON/OFFの動作を制御するようになっている。
【0035】
《クーラント装置200の構成》
次に、本実施形態の工作機械システムを構成するクーラント装置200の構成について、上述した図1を参照しながら説明する。
なお、本実施形態のクーラント装置200は、既存技術のものが用いられているため、本発明の特徴に関係のある部分だけを説明する。
【0036】
クーラント装置200は、マシニングセンタ100から送られてくるクーラント・制御信号を受信して装置全体の動作を制御する制御基板201と、クーラント液を貯留するクーラントタンク205と、マシニングセンタ100にセンタースルークーラント(SPC)を供給するためのSPC用ポンプ202と、マシニングセンタ100にカッチングクーラント(CUTC)を供給するためのCUTC用ポンプ203と、マシニングセンタ100にベッド洗浄クーラント(BEDC)を供給するためのBEDC用ポンプ204と、SPC用ポンプ203を制御するためのインバータ制御基板220とを有している。
【0037】
上記のSPC用ポンプ202は、配管230によりマシニングセンタ100のセンタースルークーラント用ノズルに接続されている。そして、SPC用ポンプ202は、制御基板201からの命令信号を受けたインバータ制御基板220に制御されて動作して、クーラントタンク205に貯留されているクーラントを汲み上げ、配管230を介して、マシニングセンタ100にSPCを供給する。
【0038】
なお、本実施形態のクーラント装置200では、SPC用ポンプ202がОN/ОFF動作を頻繁に行うと故障する虞があるため、インバータ制御基板220を設け、ОN/ОFF制御ではなく、SPC用ポンプ202をインバータ制御で動作させている。具体的には、SPC用ポンプ202が接続されている配管(クーラント装置200内の配管)には、開閉バルブが設けられている。
SPC用ポンプ202からマシニングセンタ100にSPCを供給するときだけ、開閉バルブを開いて、インバータ制御基板220がSPC用ポンプ202に回転数を上げた動作をさせる。
一方、SPC用ポンプ202からマシニングセンタ100にSPCを供給しないときには、開閉バルブを閉じて、インバータ制御基板220がSPC用ポンプ202に回転数を遅くした動作をさせる。このとき、SPC用ポンプ202から汲み上げられたクーラントは、開閉バルブの先に流出できずに、クーラントタンク205に戻される。
【0039】
また、上記のCUTC用ポンプ203は、配管231によりマシニングセンタ100のカッチング用ノズル3に接続されている。
そして、CUTC用ポンプ203は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作をして、クーラントタンク205に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管231を介して、マシニングセンタ100にCUTCを供給する。
また、動作中のCUTC用ポンプ203は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのCUTCの供給を停止する。
【0040】
また、上記のBEDC用ポンプ204は、配管232によりマシニングセンタ100のベッド洗浄用ノズル4に接続されている。
そして、BEDC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(動作命令)に応じて動作して、クーラントタンク205に貯留されているクーラントを汲み上げて、配管233を介して、マシニングセンタ100にBEDCを供給する。
また、動作中のBEDC用ポンプ204は、制御基板201からの命令信号(停止命令)を受けると、動作を停止して、マシニングセンタ100へのBEDCの供給を停止する。
【0041】
また、クーラントタンク205は、マシニングセンタ100の工作機械部104に設けられた「使用済みのクーラントが貯留されるベッドB」に戻り配管235を介して接続されており、戻り配管235を介してベットBに貯留されている使用済みクーラントが流入するようになっている。
なお、図中では、省略しているが、クーラント装置200には、マシニングセンタ100から流入している「使用済みクーラント」を浄化する浄化装置(例えば、浄化用ろ過装置)が設けられている。そして、ベットBから流入してくる使用済みクーラントは、浄化装置により切屑や切粉等の不純物が除去された上で、クーラントタンク205に戻されるようになっている。
【0042】
また、制御基板201は、有線或いは無線によりマシニングセンタ100の制御部101に接続されており、マシニングセンタ100との間で各種情報の授受を行うようになっている。
そして、制御基板201は、マシニングセンタ100から送信されるクーラント装置・制御信号を受信し、受信したクーラント装置・制御信号に応じて、ポンプ(SPC用ポンプ202、CUTC用ポンプ203、BEDC用ポンプ204)及びインバータ制御基板220を制御する。
【0043】
《マシニングセンタ100の特徴的な構成の説明》
次に、マシニングセンタ100の特徴的な構成について、上述した図1と、図4、5を参照しながら説明する。
ここで、図4は、本実施形態の工作機械システムのマシニングセンタが提供するミストコレクタのON/OFF動作のカスタマイズ設定を受け付けるための画面を示した模式図である。図5は、本実施形態のマシニングセンタの制御部に設けられたカスタマイズ設定優先情報データベースのデータ構成を示した模式図である。
【0044】
なお、本実施形態のマシニングセンタ100は、制御部101の構成のうちミストコレクタ300のON/OFF動作を制御する構成(ミストコレクタ電力抑制部115、ユーザから受け付けた制御情報(ミスト量設定データベース121、カスタマイズ設定優先情報データベース122))に特徴があり、それ以外の構成(制御部111のなかの機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)は、既存の技術のものと同じである。
そのため、本実施形態の説明では、制御部101の構成のなかのミストコレクタ300の動作を制御する構成について詳細に説明し、それ以外の構成については簡略化して説明(或いは説明を省略)する。
【0045】
なお、制御部101は、上述したように、例えば、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、I/Оインターフェース、通信インターフェースを備えた制御基板(コンピュータの機能を備えた制御基板)や制御装置(コンピュータ)により構成されている。
また、上記の補助記憶装置には、各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能を実現するための標準仕様プログラムと、ミストコレクタ電力抑制部115の機能を実現するための消費電力抑制プログラムとが記憶されている。また、補助記憶装置の所定領域には、記憶部120が形成されている。
【0046】
そして、制御部101の各部(機械制御部110、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113)の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された標準仕様プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。また、ミストコレクタ電力抑制部115の機能は、CPUが補助記憶装置に記憶された消費電力抑制プログラムを主記憶装置にロードして実行させることにより実現される。
すなわち、上記の各プログラムは、制御部(制御基板、あるいは制御装置)101に、各部(機械制御部11-、クーラント制御部111、設定処理部112、通信処理部113、及びミストコレクタ電力抑制部115)の機能を実現させるための処理を実行させるようになっている。
【0047】
具体的には、機械制御部110は、設定された加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御して、工作機械部104にワークWを加工させる。また、機械制御部110は、クーラント制御部111及びミストコレクタ電力抑制部115に、ユーザから設定された加工プログラムを通知する。
なお、加工プログラムでは、その加工プログラムで用いられている工具2を特定するツール番号が定められている。機械制御部110は、工作機械部104に対応する工具2を主軸1に装着させて、加工プログラムに応じて、工作機械部104の動作を制御する。
【0048】
クーラント制御部111は、工作機械部104が行う加工プログラムに対応させて、予め定められている「クーラント装置200のデフォルトの制御設定(デフォルト・制御設定)」に応じてクーラント装置200の各ポンプ(SPC用ポンプ203、CUTC用ポンプ204、BEDC用ポンプ205)の動作を制御するためのクーラント・制御信号を生成する。また、クーラント制御部111は、通信処理部113を介して、クーラント装置200に、クーラント・制御信号を送信する。
【0049】
設定処理部112は、表示部102に対して、工作機械部104の設定(搭載する工具2を特定するツール番号の設定や加工プログラムの設定)等の各種設定を受け付けるための画面を表示して、操作部103を介して、ユーザから各種設定を受け付ける。また、設定処理部112は、受け付けた各種の設定は、メモリ(補助記憶装置、主記憶装置)に記憶される。
【0050】
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、ミストコレクタ300のON/OFFの動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能を有している。
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、上記の受け付けたカスタマイズ設定に応じてミストコレクタ300の動作を制御する機能を有している。
【0051】
《カスタマイズ設定を受け付ける機能》
次に、ミストコレクタ電力抑制部115の機能のうち、ミストコレクタ300のON/OFF動作のカスタマイズ設定を受け付ける機能について説明する。
具体的には、ミストコレクタ電力抑制部115は、液晶ディスプレイ等で構成される表示部102に、図4に示すミストコレクタ300のカスタマイズ設定画面400を表示し、操作ボタン、キーボード等で構成される操作部103を介して、ミストコレクタ300のON/OFF動作のカスタマイズ設定を受け付ける。
【0052】
図示するカスタマイズ設定画面400は、加工プログラムの設定を受け付ける領域401と、マシニングセンタ100が行う加工により発生するミスト量の多さを受け付ける領域402と、工具2を識別するツール番号毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタ300の動作を制御するか否かを示すカスタマイズ設定優先情報を受け付ける領域403とが設けられている。
【0053】
カスタマイズ設定画面400の領域401は、加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号等の情報)の入力を受け付けるために設けられており、加工プログラム毎に、ミストコレクタ300のカスタマイズ設定を受け付けることができるようになっている。
加工プログラムは、例えば、「T01の工具でのA加工処理→T02の工具でのB加工処理→T03の工具でのC加工処理→・・・・・→T010の工具でのN加工処理」のように定められている。マシニングセンタ100は、加工プログラムにしたがい、ツール番号の工具2を選択し、主軸1に選択した工具2を装着し、主軸1を駆動させてワークWを加工する。
【0054】
カスタマイズ設定画面400の領域402は、マシニングセンタ100で発生するミスト量の多さを受け付けるために設けられている。
具体的には、領域402では、領域401で受け付けた加工プログラムにおけるミスト量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」の3種類の量のうちのいずれかの設定を選択的に受け付けることができるようになっている。
そして、領域402でミスト量について、「多(多い)」、「中(中位)」及び「少(少ない)」のうちのいずれかの設定を受け付けたときには、受け付けたミスト量の多さ毎に定められたミストコレクタのON/OFF動作の制御が行われる。
【0055】
そして、ミストコレクタ電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域401、402において、加工プログラム毎に、ミスト量(「多」、「中」、「少」のいずれかのミスト量)を受け付けたときには、受け付けた加工プログラム番号に、受け付けたミスト量の多さ(「多」、「中」、「少」のいずれか)を対応付けたミスト量設定データベース121を生成し、記憶部120に記憶させる。
【0056】
ミストコレクタ電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域401、402で、ある加工プログラムについてミスト量が「多(多い)」の設定を受け付けた場合、その加工プログラムでワークWを加工する際、ミストコレタ200を通常動作(機械設定優先の動作)させる制御を行う。
なお、本実施形態では、ミストコレクタ300の通常動作(機械設定優先の動作)の制御とは、ミストコレクタ300を連続して「ON動作」させる制御のことをいう。
【0057】
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域401、402で、ある加工プログラムについてミスト量が「中(中位)」の設定を受け付けた場合には、その加工プログラムでワークWを加工する際、加工プログラムで指定された工具2が装着された主軸1が回転動作している最中と、当該工具2が装着された主軸1の回転が停止してから所定時間(工具2毎に設定した時間)の間にミストコレクタ300をON動作をさせ、その後(所定時間経過後)、ミストコレクタ300をOFF動作にして停止させる制御を行う。
【0058】
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域401、402で、ある加工プログラムについてミスト量が「少(少ない)」の設定を受け付けた場合には、その加工プログラムでワークWを加工する際、加工プログラムで指定された工具2を使用している最中にミストコレクタをOFF動作にして停止させる制御を行う。
【0059】
また、カスタマイズ設定画面400の領域403は、上記の領域401、402で、加工プログラム毎にミスト量に応じたミストコレクタ300のON/OFF動作の制御を行うカスタマイズ設定を受け付けた場合において、さらに、工具2を特定するツール番号毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタ300の動作を制御するか否かを示す情報を受け付けることができるようにしたものである。
【0060】
図示する例では、カスタマイズ設定画面400の領域403には、工具2を特定するツール番号毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタ300の動作を制御するか否かを示す情報(「ОN」及び「ОFF」のいずれか)を受け付けるための領域403aと、工具2が装着された主軸1の回転が停止してからミストコレクタ300をON動作させ続ける所定時間を受け付ける領域403bとが設けられている。
また、カスタマイズ設定画面400の領域403の下端側に領域403cが設けられている。この領域403cでは、加工プログラム運転終了前にミストコレクタ300を動作させる時間である加工プログラム運転終了前・時間の設定と、加工プログラム運転終了後にミストコレクタ300を動作させる時間である加工プログラム運転終了後・時間の設定とを受け付けることがきるようになっている。
【0061】
なお、領域403cにおいて、加工プログラム運転終了前・時間を設定しないときには、領域403cの対応部分に「0秒」を入力する。また、領域403cにおいて加工プログラム運転終了後・時間を設定しないときには、領域403cのた対応する部分に「0秒」を入力する。
【0062】
そして、領域403aにおいて、あるツール番号について「ОN」が設定されたとすると、領域401で受け付けた加工プログラム番号の加工プログラムにおいて、そのツール番号の工具2でワークWに加工が行われている最中には、カスタマイズ設定(設定されたミスト量に応じたON/OFF動作の制御設定)でミストコレクタ300のON/OFF動作の制御が行われる。
また、あるツール番号について「OFF」が設定されたとすると、領域401で受け付けた加工プログラム番号の加工プログラムにおいて、そのツール番号の工具2で加工が行われている最中には、設定されたミスト量に応じたON/OFF動作の制御設定ではなく、ミストコレタ200の通常動作(機械設定優先の動作)の制御が行われる。すなわち、ミストコレクタ300を連続して「ON動作」させる制御が行われる。
【0063】
なお、カスタマイズ設定画面400の領域403bでは、領域402においてミスト量が「中(中位)」が設定され且つ領域403aにおいて「ON」が設定された場合にだけ、工具2が装着された主軸1の回転が停止してからミストコレクタ300をON動作させ続ける所定時間を設定できるようになっている。それ以外の場合は、ミストコレクタ300が連続運転の制御或いは工具2の使用時に停止する制御のため、自動的に「0秒」が入力される。
【0064】
また、カスタマイズ設定画面400の領域403cにおいて、加工プログラム運転終了前・時間の設定がされた場合には、ミストコレクタ電力抑制部115は、対応する加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその前に、受け付けた加工プログラム運転終了前・時間の間、ミストコレクタ300をON動作させる制御を行う。
また、カスタマイズ設定画面400の領域403cにおいて、加工プログラム運転終了後・時間の設定がされた場合には、ミストコレクタ電力抑制部115は、対応する加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその後に、受け付けた加工プログラム運転終了後・時間の間、ミストコレクタ300をON動作させる制御を行う。
【0065】
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、カスタマイズ設定画面400の領域403で、「ツール番号毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタ300の動作を制御するか否かを示す情報と、主軸1の回転が停止してからミストコレクタ300をON動作させ続ける所定時間」と、「加工プログラム運転終了前・時間」及び「加工プログラム運転終了後・時間」の設定を受け付けると、その受け付けた情報が登録されたカスタマイズ設定優先情報データベース122を生成して、記憶部120に記憶させる。
【0066】
具体的には、カスタマイズ設定優先情報データベース122は、図5に示すように、受け付けた加工プログラム番号毎にテーブル形式のデータベースが設けられている。
また、カスタマイズ設定優先情報データベース122は、ツール番号(工具2)毎に、カスタマイズ設定(受け付けたミスト量に応じたミストコレクタ300の制御)を優先するか否かを示す情報(「ОN」及び「ОFF」のいずれか)が対応付られているとともに、工具2毎に主軸1の回転が停止してからミストコレクタ300をON動作させ続ける所定時間」が対応付けられて登録されている。
また、図示するカスタマイズ設定優先情報データベース122は、その下端側に、「加工プログラム運転終了前・時間」及び「加工プログラム運転終了後・時間」が登録されている。
【0067】
《ミストコレクタ300の動作を制御する機能》
次に、ミストコレクタ300の動作を制御する機能について説明する。
【0068】
ミストコレクタ電力抑制部115は、機械制御部110が加工プログラムにしたがい工作機械部104を動作させる際、機械制御部109から対応する加工プログラムを特定する情報(加工プログラム番号)を取得する。
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、記憶部120が記憶しているミスト量設定データベース121にアクセスし、取得した加工プログラム番号に対応付けられているミスト量を読み出す。
また、ミストコレクタ電力抑制部115は、記憶部120が記憶しているカスタマイズ設定優先情報データベース122のなかから、取得した加工プログラム番号が登録されているカスタマイズ設定優先情報(テーブル形式のデータベース)を読み出す。
なお、説明を簡略化するために、ここでは、読み出したカスタマイズ設定優先情報には、「加工プログラム運転終了前・時間」及び「加工プログラム運転終了後・時間」に「0秒」が登録されているものとする。
【0069】
ミストコレクタ電力抑制部115は、機械制御部110が工作機械部104を制御して、加工プログラムにしたがい工具2を選択させワークWを加工させる際に、機械制御部110から、対応する加工プログラムにしたがい選択させる工具2のツール番号を取得する。
ミストコレクタ電力抑制部115は、上記の読み出した「加工プログラム番号に対応するカスタマイズ設定優先情報」及び取得したツール番号を参照し、対応するツール番号の工具2で加工する際にミストコレクタ300のカスタマイズ設定(受け付けたミスト量に応じたミストコレクタの制御)を優先するか否かを判定する。
例えば、図5に示す例では、「ツール番号:T01」に「ON」が対応付けられているので、ツール番号が「T01」の工具2で加工する際にはカスタマイズ設定を優先すると判定される。また、図5に示す例では、「ツール番号:T07」に「OFF」が対応付けられているので、ツール番号が「T07」の工具2で加工する際にはカスタマイズ設定を優先しないと判定される。
【0070】
以下、対応するツール番号の工具2で加工する際にカスタマイズ設定を優先し、カスタマイズ設定でミストコレクタ300の動作を制御する場合と、カスタマイズ設定を優先せずに、ミストコレクタ300の機械設定(デフォルト動作設定)の内容でミストコレクタ300の動作を制御する場合とに分けて説明する。
【0071】
《カスタマイズ設定を優先すると判定した場合》
ミストコレクタ電力抑制部115は、対応する工具2についてカスタマイズ設定を優先すると判定した場合、その工具2でワークWを加工する際に、受け付けたミスト量に応じたミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するミストコレクタ・制御信号を生成し、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300にストコレクタ・制御信号を送信する。
以下、カスタマイズ設定を優先する場合について、受け付けたミスト量毎に、それぞれ、説明する。
【0072】
《受け付けたミスト量が多(多い)場合》
ミストコレクタ電力抑制部115は、ミスト量設定データベース121から読み出した「加工プログラム番号に対応付けられているミスト量」が「多(多い)」の場合、ミストコレクタ200を連続して「ON動作」させる命令のミストコレクタ・制御信号を生成し、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300の制御基板310に、ミストコレクタ・制御信号を送信する。
なお、ミストコレクタ300がON動作している状態において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、ミストコレクタ300は、そのまま、連続してON動作を続ける。
また、ミストコレクタ300が、例えば、この加工プログラムの前に行われた加工工程の関係で動作を停止している状態において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、ミストコレクタは、連続動作を開始する。
【0073】
《受け付けたミスト量が中(中位)の場合》
ミストコレクタ電力抑制部115は、ミスト量設定データベース121から読み出した「加工プログラム番号に対応付けられているミスト量」が「中(中位)」の場合、工作機械部104において、対応する工具2が装着された主軸1が回転動作している最中と、対応する工具2が装着された主軸1の回転が停止してから所定時間(対応する工具2に設定された時間)の間にミストコレクタ300をON動作をさせ、その後(所定時間経過後)、ミストコレクタ300をOFF動作にして停止させる命令のミストコレクタ・制御信号を生成し、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300の制御基板310に、ミストコレクタ・制御信号を送信する。
なお、ミストコレクタ300は、ON動作している状態において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、一端、動作を停止した後、このミストコレクタ・制御信号の命令内容に応じて動作をする。
【0074】
《受け付けたミスト量が少(少ない)の場合》
ミストコレクタ電力抑制部115は、ミスト量設定データベース121から読み出した「加工プログラム番号に対応付けられているミスト量」が「少(少ない)」の場合、対応する工具を使用している最中にミストコレクタをOFF動作にして停止させる命令のミストコレクタ・制御信号を生成し、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300の制御基板310に、ミストコレクタ・制御信号を送信する。
なお、ミストコレクタ300は、OFF動作している状態(停止している状態)において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、そのまま、停止したままの状態を続ける。
【0075】
《カスタマイズ設定を優先しないと判定した場合》
ミストコレクタ電力抑制部115は、対応するツール番号の工具2についてカスタマイズ設定を優しないと判定した場合、対応するツール番号の工具2によりワークWを加工する際には、ミストコレクタ300を連続してON動作させるミストコレクタ・制御信号を生成し、ミストコレクタ300の制御基板310に、ミストコレクタ・制御信号を送信する。そして、ミストコレクタ電力抑制部115は、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300に対して、生成したミストコレクタ・制御信号を送信する。
なお、ミストコレクタ300がON動作している状態において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、そのまま、連続動作を続ける。
また、ミストコレクタ300は、OFF動作している状態(停止している状態)において、このミストコレクタ・制御信号を受信した場合には、連続動作を開始する。。
【0076】
《加工プログラム運転終了前・時間が設定されている場合》
次に、カスタマイズ設定優先情報データベース122に、「加工プログラム運転終了前・時間」が登録されている場合における、ミストコレクタ電力抑制部115が行う処理について説明する。
この場合、ミストコレクタ電力抑制部115は、対応する加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその前に、受け付けた加工プログラム運転終了前・時間の間、ミストコレクタ300をON動作させる指令が含まれるミストコレクタ・制御信号を生成する。そして、ミストコレクタ電力抑制部115は、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300に対して、生成したミストコレクタ・制御信号を送信する。
【0077】
この構成により、ミストコレクタ300は、上記のミストコレクタ・制御信号を受信すると、工作機械100の加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその前に、受け付けた加工プログラム運転終了前・時間の間、ON動作を続けて、その後、動作を停止する。
【0078】
《加工プログラム運転終了後・時間が設定されている場合》
次に、カスタマイズ設定優先情報データベース122に、「加工プログラム運転終了後・時間」が登録されている場合における、ミストコレクタ電力抑制部115が行う処理について説明する。
この場合、ミストコレクタ電力抑制部115は、加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその前に、受け付け加工プログラム運転終了後・時間の間、ミストコレクタ300をON動作させる指令が含まれるミストコレクタ・制御信号を生成する。また、ミストコレクタ電力抑制部115は、通信処理部113を介して、ミストコレクタ300に対して、生成したミストコレクタ・制御信号を送信する。
【0079】
この構成により、ミストコレクタ300は、上記のミストコレクタ・制御信号を受信すると、工作機械100の加工プログラムの終了予定時間の時点を基準にしてその後に、受け付けた加工プログラム運転終了後・時間の間、ON動作を続けて、その後、動作を停止する。
【0080】
このように、本実施形態のミストコレクタ電力抑制部115の機能を実現するための「消費電力抑制プログラム」は、マシニングセンタ100の制御部(制御基板)101に、ミストコレクタ300の動作制御のカスタマイズ設定として、マシニングセンタ100で発生するミスト量の選択を受け付ける処理と、カスタマイズ設定でミスト量を受け付けた場合、その受け付けたミスト量に応じてミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するミストコレクタ・制御信号を生成する処理と、ミストコレクタ300にミストコレクタ・制御信号を送信する処理とを実行させている。
その結果、本実施形態の消費電力抑制プログラムによれば、ユーザから受け付けたミスト量に応じて、ミストコレクタ300のON/OFF動作が制御されるため、従来技術のように、マシニングセンタ100で発生するミスト量に関係なく連続運転させる制御と比べて、消費電力を削減させ、二酸化炭素(CО)の削減に貢献できる。すなわち、本実施形態によれば、マシニングセンタ100で発生するミスト量に対応して、必要に応じてミストコレクタ300をON/OFF動作をさせることができるので、消費電力を抑えて効率的にマシニングセンタ100で発生するミストの除去を行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、ミスト量の多さに応じてミストコレクタ300を制御するカスタマイズ設定にした場合であっても、マシニングセンタ100に搭載された工具2を特定するツール番号毎に、カスタマイズ設定でミストコレクタのON/OFF動作を制御するか否かを設定できるようになっている。
そのため、本実施形態によれば、ワークWを加工する工具2に応じて、ミスト量の多さに応じたミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するのか、或いは、従来技術と同様のミストコレクタを連続動作させるのかを設定することができる。例えば、加工プログラムの全体の工程では、ほとんどミストが発生しないが、その加工プログラムの中のある工具2による工程だけ、ミスト量が多く発生するようなケースに有用である。この場合、加工プログラム毎に設定するミスト量を「少(或いは中位)」にして、ミスト量が多く発生する工程の工具2については「カスタマイズ設定でミストコレクタのON/OFF動作を制御しない」設定にしておけば良い。
【0082】
また、本実施形態では、カスタマイズ設定においてミスト量の選択を受け付けた場合に、さらに、マシニングセンタ100に搭載されている工具2を特定するツール番号毎に、そのツール番号の工具2による加工動作が終了してからミストコレクタ300をON動作をさせ続ける所定秒の時間の設定を受け付けることができるようになっている。
この構成によれば、カスタマイズ設定において、「ミスト量が中位」の設定を受け付けた場合に、主軸1の回転が停止してからもミストコレクタをON動作させる時間を、工具2毎に設定することができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御基板101を有するマシニングセンタ(工作機械)100で実行されるプログラム(消費電力抑制プログラム)であって、ミストコレクタ300の動作を制御してミストコレクタ300の消費電力を削減させるためのプログラムを提供することができる。
また、本実施形態によれば、マシニングセンタ(工作機械)100と、マシニングセンタ100に設けれらたミストコレクタ300とを備えた工作機械システムであって、ミストコレクタ300の消費電力を削減させる機能を備えた工作機械システムを提供することができる。
【0084】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、上述した実施形態では、ミストコレクタ電力抑制部115が、加工プログラム毎に、ミスト量を受け付けるように構成されているが、特にこれに限定されるものではない。ミストコレクタ電力抑制部115が、加工プログラムに関係なく、ミスト量の設定を受け付けるように構成されていても良い。
【0086】
また、上述した実施形態では、ミストコレクタ電力抑制部115が、カスタマイズ設定として、加工プログラム毎に、ミスト量を受け付けるとともに、さらに、工具毎に、受け付けたカスタマイズ設定による制御を行うか否かを受け付けるようになっているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、ミストコレクタ電力抑制部115が、工具毎にミスト量を受け付けて、工具毎に、受け付けたミスト量に応じたミストコレクタ300のON/OFF動作を制御するようになっていても良い。
【符号の説明】
【0087】
1…主軸
2…工具
3…カッチング用ノズル
4…ベッド洗浄用ノズル
B…ベッド
W…ワーク

100…マシニングセンタ(工作機械)

101…制御部
102…表示部
103…操作部
104…工作機械部
110…機械制御部
111…クーラント制御部
112…設定処理部
113…通信処理部
115…ミストコレクタ電力抑制部
120…記憶部
121…ミスト量設定データベース
122…カスタマイズ設定優先情報データベース


200…クーラント装置

201…制御基板
202…SPC用ポンプ
203…CUTC用ポンプ
204…BEDC用ポンプ
205…クーラントタンク
220…インバータ制御基板
230、231、232…配管
235…戻り配管

300…ミストコレクタ
310…制御基板
311…制御部
312…通信処理部
320…ファン
330…モータ
340…フィルター
【要約】
【課題】制御基板を有する工作機械で実行されるプログラムであって、ミストコレクタの動作を制御してミストコレクタの消費電力を削減させるためのプログラムを提供する。
【解決手段】制御基板101を有する工作機械100で実行されるプログラムであって、工作機械100にはミストコレクタ300が取り付けられ、ミストコレクタ300は、工作機械100の内部から、クーラントにより発生するミストを回収するようになっているとともに制御基板101からの制御信号に応じてON/OFFの動作が制御されるようになっており、プログラムは、制御基板101に、ミストコレクタ300の動作制御のカスタマイズ設定として、発生するミスト量の選択を受け付け、受け付けたミスト量に応じてミストコレクタ300のON/OFF動作を制御する制御信号を生成し、ミストコレクタ300に制御信号を送信する処理を実行させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5