(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】唾液採取用装置を用いた哺乳動物の体調判定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20240314BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240314BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240314BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A01K29/00 D
G01N27/416 386Z
G01N33/50 G
G01N33/483 F
(21)【出願番号】P 2023156613
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500428818
【氏名又は名称】大友 慶孝
(72)【発明者】
【氏名】大友 慶孝
(72)【発明者】
【氏名】江村 慎吾
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特許第4154884(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
G01N 27/416
G01N 27/28
G01N 33/483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属容器を使用した唾液採取装置により、哺乳動物の唾液を採取し、
前記唾液採取装置は金属容器の二段構造をなし、その二段構造の下部は、哺乳動物の食料格納部であり、
上部は、前記哺乳動物が前記食料格納部に格納された食料からの臭いに嗅覚が刺激されることにより、前記哺乳動物が垂らすよだれを回収する部分であることを利用して得られた、
前記哺乳動物の唾液から、唾液ORP酸化還元電位測定装置を使用して、
前記哺乳動物の唾液ORP値を測定し、
前記哺乳動物の体調良好時の唾液ORP値と、前記哺乳動物の体調不良時の唾液ORP値とから、前記哺乳動物の体調が良好か又は不良かを分ける酸化還元
電位境界範囲値を求めておき、
判定対象の哺乳動物の唾液ORP値を測定して、前記酸化還元
電位境界範囲値との対比で、前記判定対象の哺乳動物の体調を判定することを特徴とする哺乳動物の体調判定方法。
【請求項2】
前記哺乳動物の唾液ORP値の測定値が、前記酸化還元電位境界範囲値よりも低い場合に体調良好、高い場合に体調不良と判定することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の体調判定方法。
【請求項3】
前記哺乳動物の唾液ORP値の測定値が、前記酸化還元
電位境界範囲値内の数値を示した場合は、経過観察として、最初に測定して得られた判定対象の哺乳動物の唾液ORP測定値と、所定時間経過後の前記判定対象の哺乳動物の唾液ORP測定値とを対比して、所定時間経過後の唾液ORP値が下降している場合に体調良好、上昇している場合に体調不良と判定することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の体調判定方法。
【請求項4】
前記酸化還元電位境界範囲値が、判定対象の哺乳動物が犬の場合に、その測定された唾液ORP値が、マイナス4mV以下の場合に、前記哺乳動物である犬の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定し、
プラス24mV以上の場合に、前記哺乳動物である犬の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の体調判定方法。
【請求項5】
前記酸化還元電位境界範囲値が、判定対象の哺乳動物が猫の場合に、その測定された唾液ORP値が、プラス10mV以下の場合に、前記哺乳動物である猫の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定し、
プラス35mV以上の場合に、前記哺乳動物である猫の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の体調判定方法。
【請求項6】
哺乳動物の唾液を採取し、
この唾液から、唾液ORP酸化還元電位測定装置を使用して、前記哺乳動物の体調を判定する装置において、
前記哺乳動物の酸化還元電位境界範囲値を前記測定対象の哺乳動物毎に設定する設定部と、
判定対象の哺乳動物の唾液ORP値から、前記酸化還元電位境界範囲値との対比で、前記判定対象の哺乳動物の体調が良好状態にあるのか、又は体調が不良状態にあるのかを前記判定対象の哺乳動物毎に判定する判定部とを有することを特徴とする哺乳動物の体調判定装置。
【請求項7】
前記測定対象の哺乳動物の唾液ORP値が、前記酸化還元電位境界範囲値内の数値を示した場合は、前記判定部は、経過観察として、最初に測定して得られた判定対象の哺乳動物の唾液ORP測定値と、所定時間経過後の前記判定対象の哺乳動物の唾液ORP測定値との対比で、前記所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP測定値が下がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定し、前記所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP測定値が上がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定することを特徴とする請求項6に記載の哺乳動物の体調判定装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記判定対象の哺乳動物が犬の場合に、前記酸化還元電位境界範囲値を、マイナス4mV~プラス24mVと設定し、
前記判定部は、前記唾液ORP値が、マイナス4mV以下の場合に、前記哺乳動物である犬の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定し、
プラス24mV以上の場合に、前記哺乳動物である犬の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定することを特徴とする請求項6に記載の哺乳動物の体調判定装置。
【請求項9】
前記設定部は、前記判定対象の哺乳動物が猫の場合に、前記酸化還元電位境界範囲値を、プラス10mV~プラス35mVと設定し、
前記判定部は、前記唾液ORP値が、プラス10mV以下の場合に、前記哺乳動物である猫の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定し、
プラス35mV以上の場合に、前記哺乳動物である猫の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定することを特徴とする請求項6に記載の哺乳動物の体調判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液採取用装置を用いた哺乳動物の体調判定方法及び装置に関するものである。
【0002】
人間の健康面への影響は、ヒト唾液ORP指標で体調良好と体調不良の境界数値が、医学書院の臨床検査で総論の唾液のORP数値を限定して体調度を確認として発表されている。本願出願人は、唾液ORP数値を哺乳動物の体調判定方法に応用したのである。
【背景技術】
【0003】
従来は、飼育する動物に与えるストレスを低減するとともに、飼育する動物が感染症にかかった場合に他の動物に病原体の伝染を抑止することを目的とし、動物の日常生活における体調状態を動物の食欲、行動や肛門からの体温測定機器、動物用検温装置、排尿量等々による測定など専門的な知識にゆだねられ、動物において飼い主が、科学的、客観的な健康面の有意性をリアルタイムに可視化ができないのが実状である。
【0004】
特許文献1において、飼育する動物に与えるストレスを低減すると共に、飼育する動物が感染症にかかった場合に他の動物への病原体の伝染を抑止することが開示されている。
【0005】
特許文献2において、動物の深部温度を検出することができる動物用検温装置およびこれを用いた体調管理システムを提供することを目的とすることが開示されている。
【0006】
特許文献3において、猫の体調管理を行うシステムであって、猫の尿を受ける受け部を備えた容器を支持する床プレートと、表示部を備えた端末を備え、尿の量の変化履歴を表示部に表示することを目的とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-226086号
【文献】特開2022-133826号
【文献】特開2021-184768号
【文献】特許第6454836号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において、飼育する動物に与えるストレスを低減すると共に、飼育する動物が感染症にかかった場合に他の動物への病原体の伝染を抑止するものである。哺乳動物の体調判定方法について明記されてなく本発明とは技術的意図を異にする。従来においては、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。よって、動物の体調管理をすることができない。
【0009】
特許文献2において、動物の深部温度を検出することができる動物用検温装置およびこれを用いた体調管理システムを提供することを目的とするものである。哺乳動物の体調判定方法について明記されてなく本発明とは技術的意図を異にする。従来においては、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。よって、動物の体調管理をすることができない。
【0010】
特許文献3において、猫の体調管理を行うシステムであって、猫の尿を受ける受け部を備えた容器を支持する床プレートと、表示部を備えた端末を備え、尿の量の変化履歴を表示部に表示することを目的とするものである。哺乳動物の体調判定方法について明記されてなく本発明とは技術的意図を異にする。従来においては、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。よって、動物の体調管理をすることができない。
【0011】
特許文献4において、ヒト唾液の酸化還元電位値(mV)の測定結果における衣食住の影響による酸化還元反応としての体調度、人間関係及び環境変化の影響による酸化還元反応としてのストレス度、薬物摂取による酸化還元反応としての前記薬物のスクリーニング度がどの位置にあるか、自己判断できるようにしたヒト唾液ORP測定装置を目的とするものである。哺乳動物の体調判定方法について明記されてなく本発明とは技術的意図を異にする。従来においては、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。よって、動物の体調管理をすることができない。
【0012】
哺乳動物との言葉による体調不良を確認したり、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。顔色で動物の体調不良を見極めるのは専門従事者でなければ困難である。さらに、哺乳動物の唾液を採取しようとして口腔内に唾液採取のための綿棒をくわえさせることは、とても難しく、ペットなどのように飼い主との関係が良好であっても、口腔内に綿棒を咥えさせようと綿棒を近づけようものなら牙をむきだして猛烈に反発するのである。哺乳動物の唾液ORPで体調良好と体調不良の酸化還元境界範囲値は、これまで実証されていない。そこで、哺乳動物の唾液ORP数値を測定して、前記哺乳動物の体調良好と体調不良の酸化還元境界範囲値を確認できるようにすることで哺乳動物の体調管理をできるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意思伝達不可能の動物であっても、唾液ORPによって健康状態を推察できる。哺乳動物唾液採取用の装置である容器により唾液採取を容易にしたのである。唾液採取容器の金属加工は、一例としてチタン金属である。チタン金属は、軽くて、強度があり、錆びにくい材料の一つである。なお、動物のよだれ(唾液)について述べる。医学書には、よだれとは、無意識に口の外に流れ出る唾液であることが公開されている。哺乳動物の唾液採取用の装置の容器については、後述の
図2~12において説明している。唾液採取の容器蓋は傾斜させ、すり鉢状にして中心の半円くぼみを設け、動物のよだれ(唾液)が少量であっても中心の半円くぼみに集結するように、すり鉢状に傾斜をもたせている。さらに、容器蓋の傾斜面には溝を設け、溝の底は半円形状を設けている。蓋の360度にわたり一定の間隔で設け、唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する食料格納部との二段構造の境界部を備え、前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事が傾斜してもこぼれないように容器蓋をロックするようにしている。よって被検体の哺乳動物のよだれを、そくさせるために、容器の前記二段構造の下層部に食事が格納されるようにしたことで、嗅覚に鋭い動物は食欲がそくされ、よだれを垂らすメカニズムを利用して唾液を回収(採取)できるようにしたのである。よって動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。といった課題を解決することにより哺乳動物の体調判定が実現したのである。
【0014】
本発明の哺乳動物の体調判定方法は、哺乳動物唾液採取用の装置の容器を用いることで、哺乳動物の唾液採取を容易にしたことにより、厚生省認可の人間の唾液ORP測定装置を組み合わせることによって、前記哺乳動物においても唾液ORP測定で、前記哺乳動物の健康状態を判定できることに着眼したのである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の哺乳動物唾液ORPによる哺乳動物の体調判定に用いた、動物唾液採取用の装置の容器を使って、唾液採取する場合には、少なくとも測定対象となる動物が、飲食前に唾液採取することが重要である。なぜなら、唾液は循環液であるため、飲食後30分経過後に飲食したものによる体内への影響として、酸化還元(唾液ORP)反応が再び口腔内に産生されることは周知されているからであり、飲食直後、そして前記飲食30分経過後での唾液は、人間の唾液ORP測定において、飲食した成分の影響を前記人間の唾液ORP値は強く反映されることから、哺乳動物においても同様に体内への影響が考察できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】測定部が3個の場合の唾液ORP測定装置を示す外観斜視図。
【
図2】哺乳動物の唾液ORP指標による体調確認方法フローチャート。
【
図3】医学書院に論文発表されたヒト唾液ORP指標による体調度図表。
【
図4】犬と猫の発熱時と回復時の唾液ORP値による酸化還元境界範囲値を示す図。
【
図5】哺乳動物唾液採取の容器から綿棒に含浸させる一例図。
【
図6】小型哺乳動物の唾液採取容器の上蓋の開閉ロック式一例図。
【
図7】大型哺乳動物の唾液採取容器の上蓋の開閉ロック式一例図。
【
図9】容器蓋の傾斜面に360度にわたり溝を設ける一例図。
【
図10】唾液含浸の綿棒を唾液採取集結部に差し込んだ断面一例図。
【
図11】容器蓋の傾斜面に溝を設けた平面図の一例図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の哺乳動物の体調判定方法及び判定装置は、従来において、動物は言葉をしゃべることができない。意思を伝達することができない。ORPのデータを採取できない。よって、動物の体調管理をすることができないとされてきた課題を解決するために実施したのである。
【0018】
図1について説明する。
図1は測定部23が3個の場合の唾液ORP測定装置42を示す外観斜視図である。各測定部23には開閉扉46が設けられている。
図1の下図は、この筐体背面を左斜め上から見た外観斜視図を示す。唾液ORP測定のための唾液含浸された綿棒を差し込む試料槽部には穴43が設けられており、穴43の下方には作用電極の白金電極が装填されている。この白金電極に哺乳動物の唾液含浸綿棒45が触れることにより、対極するもう一方の参照電極であるKCl溶液に浸されている塩化銀電極が、このKCl溶液を介在して検体液の哺乳動物の唾液ORPのプラスマイナスの電子授受交換現象により、プラスマイナスいずれかの電位差が測定され、各制御及び唾液ORP測定結果が液晶画面39に表示される。唾液ORP測定装置の動作の開始及び終了を兼ねたスイッチボタン44により測定動作される。西暦、又は時刻表示の切り替え確認ができる液晶部35を備え、測定結果は印刷スタートボタン26を押すことで、測定結果のプリント排出部40により結果をペーパーで得られる。被検体動物唾液の酸化還元電位差を演算検出する演算部25は前記試料槽部に穴が設けられた下に具備されている。測定BOXを格納する格納箱の引き出しつまみは47であり、外部からの空気の流れ若しくは電磁波影響を防ぐための開閉蓋46を備え、ヒト唾液ORP酸化還元電位測定装置を用いて哺乳動物唾液ORP測定のための100V仕様の電源元にAC/DCアダプター49をつないで、測定装置本体の電源ON、OFF機能48を備えている。筐体正面の右下の部分には、外部へのアプリケーションに転送機能有するUSBコネクターを接続できるポート41を備えている。
【0019】
図2について説明する。
図2は哺乳動物の唾液ORP指標による前記哺乳動物の体調確認方法フローチャートであり、測定部23は、3個設けられており、3個の唾液測定が可能である。測定部23は、それぞれ、測定するための唾液測定の試料槽洗浄部43を備え、被検体動物唾液の酸化還元電位を検出する検出部25を備えている。印刷スタートボタン26により、結果を印刷する。それぞれを動作するためのスイッチ、測定スタートボタン44である。被検対象の動物の唾液ORP値から、哺乳動物の酸化還元境界範囲値を設定する設定部27を備え、哺乳動物の酸化還元境界範囲値より、哺乳動物の体調良好、又は体調不良を判定する判定部28を備えている。制御部29は外部とのアプリケーションと動物唾液測定結果をつなげる制御を行い、演算制御部30は測定BOX毎の校正標準溶液のORP測定の演算制御を行い、制御部31は測定BOX毎の電源ON、OFFの制御を行い、制御部32は測定中の測定進行動作の制御を行い、制御部33は指示電極と参照電極との導通電子制御を行い、制御部34は液晶表示の制御を行い、制御部35は西暦及び時刻表示の制御を行い、制御部36は洗浄チェック後の演算制御を行い、制御部37は洗浄チェックの演算制御を行い、制御部38は測定結果の印刷制御を行い、液晶表示部は39は測定結果を表示し、測定結果はプリント排出機能40によりプリントされ、外部アプリケーションへの転送機能を行い、41により、データが外部に転送される。
【0020】
図3について説明する。
図3は医学書院に論文発表されている人間の唾液ORP指標による体調度を数値化図表であり、人間の唾液の酸化還元境界範囲値は40~50mVが示されている。このように、本発明においても、哺乳動物の唾液採取を容易にしたことで、哺乳動物の唾液ORP指標による前記哺乳動物の酸化還元境界範囲値が示せるのではないかと着眼し、前記哺乳動物である犬と猫の唾液ORP値により、後述の表1及び表2、そして
図4で示された哺乳動物の臨床データによって前記哺乳動物の犬及び猫の唾液の酸化還元境界範囲値を求めた。また、犬及び猫に限らず、他の哺乳動物においても、前記哺乳動物の唾液ORPを測定すれば、その哺乳動物の発熱時の最小のORP値と回復時の最大のORP値から求める酸化還元電位境界範囲値をあらかじめ求めておくことにより、判定対象の哺乳動物の体調良好状態、若しくは体調不良状態を判定できることに着眼した。さらに、判定対象の哺乳動物が酸化還元境界範囲値内の数値を示した場合においても、前記判定対象の哺乳動物が体調良好状態にあるのか、又は体調不良状態にあるのかを、前記判定対象の哺乳動物ORPの経過観察の測定追跡により、所定時間経過後に、唾液ORP値が下がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が還元されていて体調良好状態にあり、上がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定できる。
【0021】
図4について説明する。
図4は判定対象の哺乳動物である犬と猫について、後述する表1及び表2に示す実測値により求めた酸化還元電位境界範囲値から体調度を判定する方法を示す図である。表1は犬45匹について、各個体の発熱時(体調不良時)の体温及び唾液ORP値と、回復時(体調良好時)の体温及び唾液ORP値の実証データを示す。
図4及び表1下図に示すように、発熱時(体調不良時)の犬の唾液ORP値は全てプラス24mV以上であり、回復時(体調良好時)の犬の唾液ORP値は全てマイナス4mV以下である。よって、判定対象の哺乳動物が犬の場合は、発熱時の最小唾液ORP値(プラス24mV)と回復時の最大唾液ORP値(マイナス4mV)の間に酸化還元電位の境界範囲値を設定できる。つまり、前記判定対象の哺乳動物の犬の検体例の場合において、発熱時の唾液ORP値は犬の検体例45匹全てにおいて体調が不良状態を示したORP値折れ線50により示され、回復時の唾液ORP値は、犬の検体例45匹全てにおいてORP値折れ線51により示される。折れ線50は、プラス24mVにおけるORP境界値52より高く、折れ線51は、マイナス4mV以下におけるORP境界値54より小さい。これにより、前記判定対象の哺乳動物が犬の場合の酸化還元電位境界範囲値をマイナス4mV~プラス24mVと設定することができる。そして、53より高い場合は、体内が酸化されていて体調不良。53より低い場合は体内が還元されていて体調良好と判断できる。そして、表2は猫40匹について、各個体の発熱時(体調不良時)の体温及び唾液ORP値の実証データを示す。
図4及び表2下図に示すように、発熱時(体調不良時)の猫の唾液ORP値は全て35mV以上であり、回復時(体調良好時)の猫の唾液ORP値は全てプラス10mV以下である。よって、判定対象の哺乳動物が猫の場合は、発熱時の最小唾液ORP値(プラス35mV)と回復時の最大唾液ORP値(プラス10mV)の間に酸化還元電位の境界範囲値を設定できる。つまり、前記判定対象の哺乳動物の猫の検体例の場合において、発熱時の唾液ORP値は猫の検体例40匹全てにおいて体調が不良状態を示したORP値折れ線55により示され、回復時の唾液ORP値は、猫の検体例40匹全てにおいてORP値折れ線56により示される。折れ線55は、プラス35mVにおけるORP境界値57より高く、折れ線56は、プラス10mV以下におけるORP境界値59より小さい。これにより、前記判定対象の哺乳動物が猫の場合の酸化還元電位境界範囲値をプラス10mV~プラス35mVと設定することができる。そして、58より高い場合は、体内が酸化されていて体調不良。58より低い場合は体内が還元されていて体調良好と判断できる。
【0022】
図5について説明する。本発明の哺乳動物の体調判定方法は、厚生省認可の人間の唾液ORP測定装置を組み合わせることによって可能にした。
図5は哺乳動物唾液採取用の装置の容器の金属加工素板はチタンを用いた一例である。哺乳動物の大小により容器の強度を考慮し、前記容器の金属加工の金属素板の種類は限定しない。前記哺乳動物唾液採取用の装置の容器から綿棒に含浸させる一例図であり、唾液採取綿棒の1であり、唾液含浸させる綿棒の綿部分2であり、半円くぼみに動物のよだれ唾液が集結して回収できるようにしている3であり、唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4にこの採取された哺乳動物の唾液を唾液含浸させる綿棒1の綿部分2にしっかり含浸させる。前記動物のよだれ(唾液)の3が集結するようにすり鉢状に傾斜をもたせている唾液採取蓋5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。蓋の360度にわたり一定の間隔で設け、二段構造の唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する食料格納部との境界部7である。前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事が傾斜してもこぼれないように容器蓋をロックする8が設けてある。被検体の動物のよだれを、そくさせるために、容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が格納されようにし、唾液採取の容器を床に固定するための複数個所にロック10を設けている。ちなみに、人の場合は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の順番に感覚が優れており、約8割を視覚が占めるといわれている。つまり、人はほとんどを視覚に頼って生活している。動物の場合は、一般的には嗅覚、聴覚、視覚、味覚、触覚の順番に優れているとされ、嗅覚4割、聴覚3割、視覚3割といった具合に嗅覚、聴覚、視覚の3つを用いて情報を認識していることが獣医専門書で公開されている。本発明は、動物の優れた嗅覚を刺激することを注視し、哺乳動物の唾液採取方法に着目したのである。
【0023】
図6について説明する。
図6は小型哺乳動物の唾液採取容器の上蓋の開閉ロック式一例図であり、唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に、動物よだれが集結するようにすり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する部分と二段構造の境界部7であり、前記容器の上部の蓋をロックする8が設けてある。容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0024】
図7について説明する。
図7は大型哺乳動物の唾液採取容器の上蓋の開閉ロック式一例図であり、小型動物と同じように唾液採取の容器の構成は同じで、唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に、動物よだれが集結するようにすり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。容器の形状、サイズは、動物の大きさに対応できるようにした一例としての12で、大型動物の唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する食料格納部と二段構造の境界部13であり、前記容器の上部の蓋をロックする8が設けてある。容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0025】
図8について説明する。
図8は動物よだれが集結するようにすり鉢状に中央に凹むように傾斜をもたせている。唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より集結しやすいようにするために、容器蓋の傾斜面には溝線6を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。これは、浴槽などの天井部に蒸発した水滴、又は床面の四隅に設けられている溝を少量でもスムーズに流れ通る現象に注視し、少量であっても動物唾液が、傾斜面に設けられた溝線の底は半円形状であり、この溝線6を流れ伝わって、唾液採取蓋の中心の半円くぼみ4に集結するようにしている。
【0026】
図9について説明する。
図9に示す唾液採取蓋5は、動物よだれが集結するようにすり鉢状に中央が凹むように傾斜をもたせている。唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より集結しやすいようにするために、容器蓋の傾斜面には溝線6を設け、溝線6の底は半円形状をなしている。傾斜面への前記溝線6は360度にわたり一定の間隔で設けるようにしている。
【0027】
図10について説明する。
図10は断面図であり、動物よだれが集結するようにした唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より集結しやすいようにするために、容器蓋の傾斜面には溝線6を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。唾液回収された3により、綿棒の綿部分2に唾液が含浸される。動物傾斜面への溝線6は360度にわたり一定の間隔で設けるようにしている。
【0028】
図11について説明する。
図11は容器蓋を真上から見た場合の平面図であり、動物よだれが集結するようにした唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より回収(集結)しやすいようにするために、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。傾斜面への前記溝線は、360度にわたり一定の間隔で設けるようにしている。溝線の深さと幅は限定せず、被検体哺乳動物の体の大小により対応する。
【0029】
図12について説明する。
図12は犬14が食事欲しさによだれを垂らしている一例図であり、犬のよだれ15であり、前記唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より回収(集結)しやすいようにするために、すり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する部分と二段構造の境界部7であり、前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事9が傾斜してもこぼれないようにロックする8が設けてある。被検体の動物のよだれを促進させるように、容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、犬が容器を食事欲しさに動かせないように唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0030】
図13について説明する。
図13は猫16が食事欲しさによだれを垂らしている一例図であり、被検体動物の猫がよだれを垂らしている吹き出し拡大図である。猫のよだれ17であり、前記唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より回収(集結)しやすいようにするために、すり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する部分と二段構造の境界部7であり、前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事が傾斜してもこぼれないようにロックする8が設けてある。被検体の動物のよだれを促進させるように、容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、猫が容器を食事欲しさに動かせないようにしている。唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0031】
図14について説明する。
図14は牛18が食事欲しさによだれを垂らしている一例図であり、牛のよだれ19であり、前記唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より回収(集結)しやすいようにするために、すり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。前記唾液採取の金属加工容器の形状は、複数の哺乳動物の唾液採取の場合においても金属加工容器を設置する状況等々を考慮して、様々な形状を持たせるようにしている。例えば、平板形状の二段重ね構造、箱型形状の二段重ね構造、長方形状の二段重ね構造、正方形状の二段重ね構造、丸板形状の二段重ね構造、六角形状の二段重ね構造、又は円筒形状の二段重ね構造であり、前記唾液採取の金属加工容器のサイズ及び重量は、哺乳動物の種類と前記哺乳動物の体の大きさに対応できるようにしている12で、大型動物の唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する部分と二段構造の境界部13であり、前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事が傾斜してもこぼれないようにロックする8が設けてある。被検体の動物のよだれを促進させるように、容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、牛が容器を食事欲しさに動かせないように、唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0032】
図15について説明する。
図15は豚20が食事欲しさによだれを垂らしている一例図であり、豚のよだれ21であり、前記唾液採取蓋は中心の半円くぼみ4に唾液が、より回収(集結)しやすいようにするために、すり鉢状に傾斜をもたせている5であり、容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状の溝線6を設けている。唾液採取の容器の上部の蓋と食事するものを格納する部分と二段構造の境界部7であり、前記容器の上部の蓋と下層部に格納された食事が傾斜してもこぼれないようにロックする8が設けてある。被検体の動物のよだれを促進させるように、容器の二段構造の内の下層部に食事するものを格納する食料格納部9が設けられ、豚が容器を食事欲しさに動かせないように、唾液採取の容器を床に固定するために複数個所に床とロック10を設け、前記唾液採取容器を安定しておけるようにした受け皿部分11を周囲に持たせている。
【0033】
なお、本発明の哺乳動物の唾液ORP指標による健康効果の確認方法に用いた測定装置は、測定部が3個の開閉扉が設けられた筐体である、ヒト唾液ORP酸化還元電位測定装置を使用し、哺乳動物の唾液から酸化還元電位測定に活用した。
【実施例】
【0034】
本発明の哺乳動物の体調判定方法及び判定装置においては、動物唾液採取用の容器で動物唾液採取を容易にすることで、哺乳動物の唾液ORP体調判定方法を可能とする。
【0035】
表1は、犬の唾液ORP臨床をした結果である。45匹の発熱時の体温と発熱時の唾液ORP値の各合計数値の平均値を求めると、体温は40.4℃で、ORP値は53.9mVとなった。そして、回復時の体温と回復時の唾液ORP値の各合計数値の平均値を求めると、体温は38.6℃で、ORP値は-19.2mVとなった。この平均値では、唾液ORP値が-19.2~53.9mVと、その差が73.1mVと大きな値となり、体調良好と体調不良を示す境界範囲値の振れ幅が大きくなり、その相関関係を特定の範囲に絞り込めない。後述の表1で示された犬の唾液ORP臨床から、発熱時のORP値と回復時のORP値の一例を抜粋してみると、発熱時の体温が39℃台で比較すると、発熱時の検体番号16の犬種がシベリアンハスキーの場合、発熱時の体温が39.3℃であってもORP値が24mVであり、一方、検体番号2の犬種がシー・ズーの場合、発熱時の体温が39・2℃であってもORP値が60mVであり、検体番号9の犬種がトイプードルの場合、発熱時の体温が39.1℃であってもORP値が75mVである。発熱時の体温が40℃台で比較すると、検体番号44の犬種が柴犬の場合、発熱時の体温が40.4℃であってもORP値が29mVであり、一方、検体番号8の犬種がポメラニアンの場合、発熱時の体温が40.7℃であってもORP値が83mVであり、検体番号24の犬種が柴犬の場合、発熱時の体温が40.3℃であってもORP値が34mVであり、一方、検体番号29の犬種がコーギーの場合、発熱時の体温が40.2℃であってもORP値が52mVを示すことから、前記45匹の犬の唾液臨床のORP値の平均値では、哺乳動物の犬種の違いによる個々の犬の個体差になのか、犬種が同じであっても個々の犬の個体差によるものなのか特定できず、発熱時の体温とORP平均値においては、その相関関係を特定の範囲に絞り込めない。
【0036】
獣医専門書では哺乳動物である犬の平熱体温は38.5℃として公開されており、後述の表1の回復時の犬の平均体温は38.6℃であり、前記犬の平熱体温は38.5℃と両者はほぼ一致している。従って、後述の表1と
図4に示す判定対象の哺乳動物の犬の場合の回復時の状態は、体調良好である。
【0037】
表1で示された判定対象の哺乳動物である犬の場合の酸化還元電位境界範囲値がマイナス4mV~プラス24mVの設定から、前記犬の唾液ORP酸化還元電位値が、マイナス4mV以下の場合に、前記判定対象の哺乳動物である犬の体内が還元されている体調良好状態にあると判定し、プラス24mV以上の場合に、前記判定対象の哺乳動物である犬の体内が酸化されている体調不良状態にあると判定する。もし、前記判定対象の哺乳動物である犬の唾液ORPが酸化還元境界範囲値内の数値を示した場合においても、前記判定対象の哺乳動物である犬が体調良好状態にあるのか、又は体調不良状態にあるのかを判定する手段として、前記判定対象の哺乳動物の犬のORP値の経過観察の測定追跡により、最初に測定して得られた前記判定対象の哺乳動物の犬の唾液ORP測定値と、所定時間経過後に測定して得られた前記判定対象の哺乳動物の犬の唾液ORP測定値との対比で、最初に測定して得られた唾液ORP値より、前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値が下がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の犬の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定する。一方、最初に測定して得られた唾液ORP値より、前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値が上がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の犬の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定する。このように前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値の下降、又は上昇に着眼して、体調を判定できる。
【0038】
【0039】
表2は、猫の唾液ORP臨床をした結果である。40匹の発熱時の体温と発熱時の唾液ORP値の各合計数値を40匹で割り平均値を求めると、体温は40.8℃で、ORP値は62.3mVとなった。そして、回復時の体温と回復時の唾液ORP値の各合計数値を40匹で割り平均値を求めると、体温は38.4℃で、ORP値は-3.5mVとなった。この平均値では、酸化還元境界範囲値が-3.5~62.3mVと、65.8mVもの大きな酸化還元境界範囲値となり、体調良好と体調不良の酸化還元境界範囲値の振れ幅が大きくなり、数値限定が明確でない。そこで、表2で示された猫の個体差による発熱時のORP値と回復時のORP値の一例を抜粋してみると、発熱時の体温が39℃台で比較すると、発熱時の検体番号5の猫種が白猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が39.1℃であってもORP値が40mVであり、一方、検体番号13の猫種がトラ猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が39・9℃でORP値が71mVであり、検体番号13の猫種がトラ猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が39.9℃でORP値が71mVである。一方、検体番号15の猫種がサビ猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が39.3℃であってもORP値が37mVである。発熱時の体温が40℃台で比較すると、検体番号14の猫種がブチ猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が40.4℃でORP値が63mVであり、一方、検体番号23の猫種が白猫(日本猫)の場合、発熱時の体温が40.3℃であってもORP値が39mVであり、検体番号38の猫種がシャムの場合、発熱時の体温が40.9℃であってもORP値が37mVであり、一方、検体番号40の猫種がシャムの場合、発熱時の体温が40.8℃でORP値が67mVを示すことから、前記40匹の猫の唾液臨床のORP値平均値では、哺乳動物の猫種の違いによる個々の猫の個体差なのか、猫種が同じであっても個々の猫の個体差によるものなのか特定できず、発熱時の体温とORP平均値においては、その相関関係を特定の範囲に絞り込めない。
【0040】
前記獣医専門書では哺乳動物である猫の平熱体温は38.1℃として公開されており、後述の表2の回復時の猫の平均体温は38.4℃であり、前記猫の平熱体温は38.1℃と両者はほぼ一致している。従って、後述の表2と
図4に示す判定対象の哺乳動物の猫の場合の回復時の状態は、体調良好である。
【0041】
表2で示された判定対象の哺乳動物である猫の場合の酸化還元電位境界範囲値がプラス10mV~プラス35mVの設定から、前記猫の唾液ORP酸化還元電位値が、プラス10mV以下の場合に、前記判定対象の哺乳動物である猫の体内が還元されている体調良好状態にあると判定し、プラス35mV以上の場合に、前記判定対象の哺乳動物である猫の体内が酸化されている体調不良状態にあると判定する。もし、前記判定対象の哺乳動物である猫の唾液ORPが酸化還元境界範囲値内の数値を示した場合においても、前記判定対象の哺乳動物である猫が体調良好状態にあるのか、又は体調不良状態にあるのかを判定する手段として、前記判定対象の哺乳動物の猫のORP値の経過観察の測定追跡により、最初に測定して得られた前記判定対象の哺乳動物の猫の唾液ORP測定値と、所定時間経過後に測定して得られた前記判定対象の哺乳動物の猫の唾液ORP測定値との対比で、最初に測定して得られた唾液ORP値より、前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値が下がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の猫の体内が還元されていて体調良好状態にあると判定する。一方、最初に測定して得られた唾液ORP値より、前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値が上がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の猫の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定する。このように前記経過観察の所定時間経過後に測定して得られた唾液ORP値の下降、又は上昇に着眼して、体調を判定できる。
【0042】
【0043】
(1)本発明の哺乳動物の唾液ORP測定方法においては、哺乳動物は言葉で体調良好状態若しくは体調不良状態を判定することはできない。また、唾液採取は、人間の唾液採取のように簡単にできないのである。例えば、ペットなどのように飼い主との関係が良好であっても、口腔内に綿棒を咥えさせようと綿棒を近づけようものなら牙をむきだして猛烈に反発することは前述したとおりである。そこで、哺乳動物が食する際に使用する容器の上蓋に半円のくぼみを複数設け、前記複数設けた各くぼみに、よだれ液が中心部の凹部の半円くぼみ溝に、測定対象とする哺乳動物のよだれ唾液が集まるようにして唾液含浸用の綿棒で、哺乳動物唾液を採取できるのである。このように簡易に哺乳動物唾液を採取できるようにしたことで、厚生労働省が認証している人間の医療機器であるヒト唾液ORP測定装置「ORPreaderオルプリーダー」を用いて測定を実施した。
【0044】
(2)従来の哺乳動物の酸化(体調不良)状態を確認するには、飼育する哺乳動物が感染症にかかった場合に他の哺乳動物に病原体の伝染を抑止することを目的とし、哺乳動物の日常生活における体調状態を哺乳動物の食欲、行動や肛門からの体温測定機器、哺乳動物用検温装置、排尿量等々による測定など専門的な知識にゆだねられ、哺乳動物において飼い主が、科学的、客観的な健康面の有意性をリアルタイムに可視化ができないのが実状である。
【0045】
医学書において、人間の唾液と哺乳動物の唾液成分の大きな違いは、人間の唾液にはデンプンを分解する酵素(アミラーゼ)が含まれるが、犬や猫の唾液成分には酵素が含まれないとされている違いがあるものの、本発明において注視したのは、人間も哺乳動物の唾液も、体内を循環して、再び口腔内に産生される循環液である。よって、飲食したり、体感した後の体内の酸化還元作用による健康面への影響を唾液ORPで数値を限定することによって、ヒト唾唾液ORP測定と同じように、哺乳動物の唾液ORP測定による体調判定ができると考察したのである。
【0046】
ここで、本発明の効果の検証に用いた、唾液ORPの測定装置の原理と効果について述べる。酸化還元電位の原理とは、ORP(Oxidation Reduction Potential)の酸化させる力と還元させる力の差を電位差で表した数値のことである。酸化とは電子を失う化学反応のことで、具体的には物質に酸素が化合する反応、あるいは物質が水素を奪われる反応である。還元とは電子を受け取る化学反応のことで、具体的には物質から酸素が奪われる反応、あるいは物質が水素と化合する反応である。人間の生体内物質である唾液の酸化体と還元体との活量比率を測定し、少なくとも参照電極と作用電極を設け、作用電極に当接する試料溶液である唾液により、酸化還元反応を測定することで酸化する力が強いのか、あるいは還元する力が強いのかという酸化力と還元力のレベルの電位差を表すのである。この原理をヒト唾液ORP測定だけでなく、言葉のコミュニケーションがとれない哺乳動物において唾液ORP測定に活用することに着眼した。
【0047】
本発明出願人は既に人間の健康面への影響を確認する次の特許(例えば、特許第6142122号、特許第6251878号、特許第6253171号、特許第6454836号、特許第7168816)を得ている。
【0048】
表1及び表2は、それぞれ哺乳動物が犬及び猫の場合に、唾液ORP値の測定により、その体調良好、又は体調不良の判定ができることを示している。他の哺乳動物においても、前記哺乳動物の唾液ORPを測定すれば、その哺乳動物の発熱時の最小のORP値と回復時の最大のORP値から求める酸化還元電位境界範囲値をあらかじめ求めておくことにより、判定対象の哺乳動物の体調良好状態、若しくは体調不良状態を判定できる。さらに、判定対象の哺乳動物が酸化還元境界範囲値内の数値を示した場合においても、前記判定対象の哺乳動物が体調良好状態にあるのか、又は体調不良状態にあるのかを、前記判定対象の哺乳動物ORPの経過観察の測定追跡により、所定時間経過後に、唾液ORP値が下がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が還元されていて体調良好状態にあり、上がっていれば、前記判定対象の哺乳動物の体内が酸化されていて体調不良状態にあると判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
哺乳動物の体調確認は、哺乳動物の肛門部に体温計を挿入して体温を測り、体調判定を行っている。本発明は判定対象の哺乳動物の唾液採取装置を用いた唾液ORP測定によって哺乳動物の体調度を判定できるようにした。哺乳動物にとっては、現状の体温測定は酷であり、本発明の唾液ORP測定は楽である。哺乳動物の健康に意識をおいた人間と動物の共存共栄の行動が、食生活改善、生活環境の改善につながり、人間及び哺乳動物の健康寿命に大いに資するものである。
【符号の説明】
【0050】
1 唾液採取綿棒
2 綿棒の綿部分
3 半円くぼみに動物のよだれ唾液を回収(集結)
4 唾液採取蓋は中心の半円くぼみ
5 動物のよだれ(唾液)が集結するようにすり鉢状に傾斜
6 容器蓋の傾斜面には溝線を設け、前記溝線の底は半円形状
7 唾液採取の容器の上部の蓋と食事を格納する食料格納部と二段構造の
境界部
8 容器蓋ロック
9 容器の二段構造の内の下層部に食料格納部
10 固定するための複数個所にロック
11 床とロックするための容器受け皿部分
12 動物唾液採取容器は動物の大きさに対応できるようにする
13 大型容器の二段構造の境界部
14 犬
15 犬のよだれ(唾液)
16 猫
17 猫のよだれ(唾液
18 牛
19 牛のよだれ(唾液)
20 豚
21 豚のよだれ(唾液)
23 測定部
25 被検体動物唾液の酸化還元電位を演算検出部
26 印刷スタートボタン
27 設定部
28 判定部
29 外部とのアプリケーションと動物唾液測定結果をつなぐ制御
30 測定BOX毎の校正標準溶液のORP測定の演算制御
31 3個の測定BOX毎の電源ON、OFFの制御
32 測定中の測定進行動作の制御
33 指示電極と参照電極との導通電子制御
34 液晶表示の制御
35 測定結果の西暦及び時刻表示制御
36 洗浄チェック後の演算制御
37 洗浄チェックの演算制御
38 測定結果の印刷制御
39 各制御及び測定結果を液晶表示
40 測定結果をプリント排出機能
41 USBコネクターを接続できるポート
42 筐体背面を左斜め上から見た外観斜視図
43 綿棒を差し込む試料槽部には穴が設けられる
44 動作の開始及び終了を兼ねたスイッチボタン
45 哺乳動物の唾液含浸綿棒
46 電磁波影響を防ぐための開閉蓋
47 測定BOXを格納する格納箱の引き出しつまみ
48 電源ON、OFF
49 AC/DCアダプター
50 犬の体調が不良状態を示したORP値折れ線
51 犬の体調が良好状態を示したORP値折れ線
52 犬の体調が不良状態にあると判定できるORP境界値
53 犬の酸化還元電位境界範囲値
54 犬の体調が良好状態にあると判定できる境界ORP値
55 猫の体調が不良状態を示したORP値折れ線
56 猫の体調が良好状態を示したORP値折れ線
57 猫の体調が不良状態にあると判定できる境界ORP値
58 猫の酸化還元電位境界範囲値
59 猫の体調が良好状態にあると判定できる境界ORP値
【要約】
【課題】動物は言葉をしゃべることができないため、その意思を人間に伝達することができない。このため、飼い主は動物の体調を知ることができず、動物の体調管理をすることができない。
【解決手段】動物の体調を、その唾液を採取して唾液ORP値を測定することにより判定する。しかし、動物は口腔内に唾液採取のための綿棒をくわえさせることは、とても難しくペットなどのように飼い主との関係が良好であっても、唾液採取の綿棒をくわえさせようとするなら牙をむきだして猛烈に反発する。そこで、唾液採取装置により動物の唾液を採取し、唾液ORP値により動物の体調を容易に判定できるようにした。
【選択図】
図4