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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019142361
(22)【出願日】2019-08-01
(65)【公開番号】P2020043332
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018167085
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 順司
(72)【発明者】
【氏名】高見 義則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168823(JP,A)
【文献】特開2011-238658(JP,A)
【文献】特開2015-220258(JP,A)
【文献】特開2017-157864(JP,A)
【文献】特開2016-063216(JP,A)
【文献】特開2017-152669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型の第1領域を含む半導体層と、
前記第1領域に電気的に接続され、入射光を正孔に変換する光電変換部と、
第1ソース、第1ドレイン、p型の第1チャンネル領域および前記第1チャンネル領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、
第2ソース、第2ドレイン、p型の第2チャンネル領域および前記第2チャンネル領域の上方に位置するp型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
を備え、
前記第2チャンネル領域において前記第1領域から所定距離離れた位置であって、かつ前記第2ゲートの下方の領域におけるp型不純物の濃度は、前記第1チャンネル領域において前記第1領域から前記所定距離離れた位置であって、かつ前記第1ゲートの下方の領域におけるp型不純物の濃度よりも高い、
撮像装置。
【請求項2】
n型の第1領域を含む半導体層と、
前記第1領域に電気的に接続され、入射光を正孔に変換する光電変換部と、
第1ソース、第1ドレイン、p型の第1チャンネル領域および前記第1チャンネル領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、
第2ソース、第2ドレイン、p型の第2チャンネル領域および前記第2チャンネル領域の上方に位置するp型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
を備え、
前記第2チャンネル領域におけるp型不純物の濃度の平均値は、前記第1チャンネル領域におけるp型不純物の濃度の平均値よりも高い、
撮像装置。
【請求項3】
前記第2チャンネル領域に含まれる前記p型不純物は、前記第1チャンネル領域に含まれる前記p型不純物と同種の元素である、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2チャンネル領域において前記第1領域から所定距離離れた位置での前記p型不純物の濃度は、前記第1チャンネル領域において前記第1領域から前記所定距離離れた位置での前記p型不純物の濃度よりも高い、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
p型の第1領域を含む半導体層と、
前記第1領域に電気的に接続され、入射光を電子に変換する光電変換部と、
第1ソース、第1ドレイン、n型の第1チャンネル領域および前記第1チャンネル領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、
第2ソース、第2ドレイン、n型の第2チャンネル領域および前記第2チャンネル領域の上方に位置するn型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
を備え、
前記第2チャンネル領域において前記第1領域から所定距離離れた位置であって、かつ前記第2ゲートの下方の領域におけるn型不純物の濃度は、前記第1チャンネル領域において前記第1領域から前記所定距離離れた位置であって、かつ前記第1ゲートの下方の領域におけるn型不純物の濃度よりも高い、
撮像装置。
【請求項6】
p型の第1領域を含む半導体層と、
前記第1領域に電気的に接続され、入射光を電子に変換する光電変換部と、
第1ソース、第1ドレイン、n型の第1チャンネル領域および前記第1チャンネル領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、
第2ソース、第2ドレイン、n型の第2チャンネル領域および前記第2チャンネル領域の上方に位置するn型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
を備え、
前記第2チャンネル領域におけるn型不純物の濃度の平均値は、前記第1チャンネル領域におけるn型不純物の濃度の平均値よりも高い、
撮像装置。
【請求項7】
前記第2チャンネル領域に含まれる前記n型不純物は、前記第1チャンネル領域に含まれる前記n型不純物と同種の元素である、
請求項5または6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2チャンネル領域において前記第1領域から所定距離離れた位置での前記n型不純物の濃度は、前記第1チャンネル領域において前記第1領域から前記所定距離離れた位置での前記n型不純物の濃度よりも高い、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
平面視において、前記第2チャンネル領域は、前記第2ゲートの外側に広がっている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが広く用いられている。よく知られているように、これらのイメージセンサは、半導体基板に形成されたフォトダイオードを有する。
【0003】
他方、光電変換層を有する光電変換部を半導体基板の上方に配置した構造が提案されている(例えば特許文献1)。このような構造を有する撮像装置は、積層型の撮像装置と呼ばれることがある。積層型の撮像装置では、光電変換によって発生した電荷が、電荷蓄積領域(「フローティングディフュージョン」と呼ばれる)に蓄積される。電荷蓄積領域に蓄積された電荷量に応じた信号が、半導体基板に形成されたCCD回路またはCMOS回路を介して読み出される。
【0004】
積層型の撮像装置では、極端に高い照度で光電変換層に光が照射されると、電荷蓄積領域の電位が過度に上昇し、信号検出のための回路中のトランジスタなどが損傷するおそれがある。特許文献1は、出力トランジスタのゲート電極の電位が所定値以上になることを防止する保護トランジスタを画素内に設けた回路を開示している。特許文献1の図1の回路では、高い照度の光が光電変換部に照射されると、ダイオード接続された保護トランジスタがオンとなる。保護トランジスタがオンとなることにより、出力トランジスタに電源電圧VDDを供給する電源に、過剰な電荷が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-209342号公報
【文献】国際公開第2012/147302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イメージセンサの分野においては、ノイズ低減の要求がある。例えば積層型の撮像装置の場合、電荷蓄積領域からのリーク電流、または、電荷蓄積領域へのリーク電流(以下、「暗電流」と呼ぶことがある)により、得られる画像に劣化が生じることがある。このようなリーク電流を低減できると有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、第1導電型の第1領域、前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2領域および前記第2導電型の第3領域を含む半導体層と、前記第1領域に電気的に接続され、入射光を電荷に変換する光電変換部と、第1ソース、第1ドレインおよび前記第2領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、第2ソース、第2ドレインおよび前記第3領域の上方に位置する前記第2導電型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、を備える。前記第3領域における前記第2導電型の不純物の濃度は、前記第2領域における前記第2導電型の不純物の濃度よりも高い。
【0008】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュールまたはシステムで実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュールおよびシステムの任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、リーク電流が低減された撮像装置を提供することができる。
【0010】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態による撮像装置の例示的な回路構成を示す図である。
図2図2は、単位画素のデバイス構造の典型例を示す模式的な断面図である。
図3図3は、単位画素の構造の一部を詳細に示す模式的な断面図である。
図4A図4Aは、シミュレーションで用いたモデルであって、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域、保護トランジスタのゲート電極および第3領域の位置関係を示す平面図である。
図4B図4Bは、シミュレーションで用いたモデルであって、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域、保護トランジスタのゲート電極および第3領域の他の位置関係を示す平面図である。
図5A図5Aは、図4Aのモデルにおけるアクセプタの濃度分布を示すコンター図である。
図5B図5Bは、図4Bのモデルにおけるアクセプタの濃度分布を示すコンター図である。
図6図6は、図4Aのモデルでの半導体基板の表面近傍におけるホウ素の濃度プロファイルを示すグラフである。
図7A図7Aは、本開示の構成での空乏層の分布を調べるためのシミュレーションの結果を示すコンター図である。
図7B図7Bは、第3領域のホウ素の濃度が十分に低い構成での空乏層の分布を調べるためのシミュレーションの結果を示すコンター図である。
図8図8は、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域および保護トランジスタのゲート電極の別のレイアウトを示す平面図である。
図9図9は、図8のモデルでの半導体基板の表面近傍におけるホウ素の濃度プロファイルを示すグラフである。
図10図10は、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域および保護トランジスタのゲート電極のさらに別のレイアウトを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の基礎となった知見)
積層型の撮像装置は、一般に、光電変換部と半導体基板に形成された読み出し回路とを電気的に接続する接続部を有する。半導体基板と接続部との接点周辺には、種々のpn接合が形成される。半導体基板および光電変換部を電気的に接続する接続部と、接点の近傍における半導体基板中の不純物領域とは、光電変換部によって生成された信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域として機能する。
【0013】
pn接合の近傍には、空乏層が形成される。pn接合の近傍の空乏層における電荷の再結合は、リーク電流の発生の原因となり得る。本発明者らは、オフ状態にあるトランジスタのゲート電極下にもこのような空乏層が形成され得ることに着目した。信号電荷が蓄積される、半導体基板中の不純物領域には、例えば、電荷蓄積領域の電位をリセットするリセットトランジスタのドレイン(またはソース)が接続される。また、特許文献1の図1からもわかるように、保護トランジスタのドレイン(またはソース)も、信号電荷が蓄積される不純物領域に接続され得る。したがって、これらのトランジスタのゲート電極下に形成された空乏層に起因する暗電流により、撮像装置の性能が劣化する可能性がある。
【0014】
リセットトランジスタのゲート電極に所定の電圧を印加してリセットトランジスタを蓄積モードで動作させると、リセットトランジスタのオフ時の暗電流が低減される。また、保護トランジスタのゲート電極の導電型がソースまたはドレインの導電型と異なっている場合、ゲート電極の外部からゲート電極に電圧を印加しなかったとしても、p型半導体とn型半導体との仕事関数の差に基づき、蓄積モードと同様の状態を実現し得る。しかしながら、保護トランジスタのオフ時の暗電流は依然として大きい。特に、電荷蓄積領域の電圧の上昇に伴って、保護トランジスタのゲート電極下に空乏層が広がり、暗電流が増大する。そのため、保護トランジスタのオフ時の暗電流を低減するための更なる改善が必要である。
【0015】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る撮像装置は、
第1導電型の第1領域、前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2領域および前記第2導電型の第3領域を含む半導体層と、
前記第1領域に電気的に接続され、入射光を電荷に変換する光電変換部と、第1ソース、第1ドレインおよび前記第2領域の上方に位置する第1ゲートを含み、前記第1領域が前記第1ソースまたは前記第1ドレインに相当する第1トランジスタと、第2ソース、第2ドレインおよび前記第3領域の上方に位置する前記第2導電型の第2ゲートを含み、前記第1領域が前記第2ソースまたは前記第2ドレインに相当し、前記第2ゲートが前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
を備える。
前記第3領域における前記第2導電型の不純物の濃度は、前記第2領域における前記第2導電型の不純物の濃度よりも高い。
【0016】
第1態様によれば、ゲート下への空乏層の広がりを抑制してリーク電流を低減できる。その結果、より高品質の画像を生成しうる撮像装置を提供できる。
【0017】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る撮像装置では、前記第3領域に含まれた前記第2導電型の前記不純物は、前記第2領域に含まれた前記第2導電型の前記不純物と同種の元素であってもよい。
【0018】
このような構成によれば、撮像装置の製造が容易であるとともに、不純物の濃度も制御しやすい。
【0019】
本開示の第3態様において、例えば、第1または第2態様に係る撮像装置では、前記第3領域の第1所定位置における前記不純物の濃度が前記第2領域の第2所定位置における前記不純物の濃度よりも高くてもよく、
前記第2領域の前記第2所定位置は、前記撮像装置を平面視したときの前記第1ゲートの重心を通る前記第1ゲートの法線と前記第2領域の表面との交点を含む位置であり、
前記第1ゲートのゲート長方向における前記第1ゲートの中心線と、前記第1ゲートのゲート幅方向と平行な方向における前記第2ゲートの中心線との交点を特定交点と定義したとき、前記第3領域の前記第1所定位置は、前記特定交点を通る前記第2ゲートの法線と前記第3領域の表面との交点を含む位置である。
【0020】
このような構成によれば、n型不純物領域の形状によらず、第2ゲートの下方への空乏層の広がりが抑制されうる。
【0021】
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る撮像装置では、前記撮像装置を平面視したとき、前記第3領域は、前記第2ゲートの外側に広がっていてもよい。
【0022】
このような構成によれば、第2ゲート電極の下方への空乏層の広がりを十分に抑制できる。
【0023】
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る撮像装置では、前記第3領域において前記第1領域から所定距離離れた位置での前記第2導電型の前記不純物の濃度は、前記第2領域において前記第1領域から前記所定距離離れた位置での前記第2導電型の前記不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0024】
また、本開示の第6態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る撮像装置では、前記第3領域において前記第1領域に隣接し、かつ前記第2ゲートの下方である位置での前記第2導電型の前記不純物の濃度は、前記第2領域において前記第1領域に隣接し、かつ前記第1ゲートの下方である位置での前記第2導電型の前記不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0025】
また、本開示の第7態様に係る撮像装置は、
入射光を電荷に変換する光電変換部と、
前記光電変換部に電気的に接続された第1導電型の第1領域と、
第1ソース、第1ドレインおよび第1ゲート電極を有し、前記第1領域を前記第1ソースまたは前記第1ドレインとして含む第1トランジスタと、
前記第1ゲート電極の下方に位置し、前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の第2領域と、
第2ソース、第2ドレインおよび前記第2導電型の第2ゲート電極を有し、前記第1領域を前記第2ソースまたは前記第2ドレインとして含み、前記第2ゲート電極が前記第1領域に電気的に接続されている第2トランジスタと、
前記第2ゲート電極の下方に位置する前記第2導電型の第3領域と、
を備え、
前記第3領域における前記第2導電型の不純物の濃度は、前記第2領域における前記第2導電型の不純物の濃度よりも高い。
【0026】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
【0027】
(撮像装置の実施形態)
図1は、本開示の実施形態による撮像装置の例示的な回路構成を示す。図1に示す撮像装置100は、複数の単位画素10を含む画素アレイPAと、負荷回路42、カラム信号処理回路44、垂直走査回路46および水平信号読み出し回路48などを含む周辺回路とを有する。図1に例示する構成において、画素アレイPAは、マトリクス状に配置された複数の単位画素10を含む。複数の単位画素10は、1次元または2次元に配列されることにより、撮像領域である感光領域を形成する。図1では、図面が複雑となることを避けるために、マトリクス状に配置された複数の単位画素10のうち、2行2列に配列された4つの単位画素10が示されている。言うまでもないが、画素アレイPAにおける単位画素10の数および配置は、この例に限定されない。例えば単位画素10は、1次元に配列され得る。この場合、撮像装置100をラインセンサとして利用することができる。
【0028】
後に詳しく説明するように、各単位画素10は、概略的には、光電変換部12と、光電変換部12によって生成された信号を検出する信号検出回路14とを有する。信号検出回路14は、半導体基板に形成され、光電変換部12は、半導体基板の上方に配置される。すなわち、ここでは、撮像装置100として、積層型の撮像装置を例示する。なお、本明細書における「上方」および「下方」の用語は、部材間の相対的な配置を表し、使用時における撮像装置100の姿勢を限定する意図で用いられているわけではない。半導体基板は、その全体が半導体層である基板に限定されず、撮像領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁基板などであってもよい。
【0029】
単位画素10の光電変換部12は、光の入射を受けて正および負の電荷(典型的には正孔-電子対)を発生させる。図示するように、各単位画素10の光電変換部12は、蓄積制御線39との接続を有する。この蓄積制御線39には、撮像装置100の動作時に所定の電圧が印加される。例えば、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合であれば、撮像装置100の動作時、例えば10V程度の正電圧が蓄積制御線39に印加される。所定の正電圧を蓄積制御線39に印加することにより、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷(例えば正孔)を選択的に電荷蓄積領域に蓄積することができる。以下では、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合を例示する。
【0030】
図1に例示する構成において、各単位画素10の信号検出回路14は、増幅トランジスタ(読み出しトランジスタとも呼ばれる)22およびアドレストランジスタ(行選択トランジスタとも呼ばれる)24を含む。この例では、信号検出回路14は、さらに、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28を含む。増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28は、典型的には、半導体基板に形成された電界効果トランジスタ(FET)である。以下では、特に断りの無い限り、トランジスタとしてNチャンネルMOSFETを用いる例を説明する。
【0031】
増幅トランジスタ22のゲートは、光電変換部12に電気的に接続されている。後述するように、光電変換部12によって生成された電荷は、光電変換部12と増幅トランジスタ22との間の電荷蓄積ノード(「フローティングディフュージョンノード」とも呼ばれる)FDをその一部に含む電荷蓄積領域に蓄積される。増幅トランジスタ22のドレインは、撮像装置100の動作時に各単位画素10に所定の(例えば3.3V程度の)電源電圧VDDを供給するソースフォロア電源である電源配線32に接続される。増幅トランジスタ22のソースは、アドレストランジスタ24のドレインに接続される。増幅トランジスタ22は、光電変換部12によって生成された信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する。
【0032】
この例では、電荷蓄積ノードFDに保護トランジスタ28が接続されている。保護トランジスタ28のドレイン(またはソース)は、電荷蓄積ノードFDに接続されている。保護トランジスタ28のソース(またはドレイン)は、電荷回収線38に接続されている。図1に示すように、保護トランジスタ28のゲートおよびドレイン(またはソース)は、互いに電気的に接続されている。すなわち、これらは同電位である。高い照度で光電変換部12に光が照射されることにより、電荷蓄積ノードFDに蓄積された電荷量が所定の大きさを超える、すなわち、電荷蓄積ノードFDの電位が所定の電位を超えると、保護トランジスタ28がオンとなり、過剰な電荷が電荷蓄積ノードFDから電荷回収線38に排出される。
【0033】
図1に例示する構成では、電荷回収線38は、電圧供給回路45に接続されている。電圧供給回路45は、撮像装置100の動作時、電荷回収線38を介して、保護トランジスタ28のソース(またはドレイン)に所定の電圧を印加する。典型的には、電荷回収線38に印加される電圧は、電源配線32に印加される電圧(ここでは電源電圧VDD)よりも低い。後に詳しく説明するように、電源配線32に印加される電圧よりも低い電圧を電荷回収線38に供給することにより、保護トランジスタ28をより安定に動作させ得る。
【0034】
電圧供給回路45は、特定の電源回路に限定されず、所定の電圧を生成する回路であってもよいし、他の電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよい。電圧供給回路45と、電源配線32に所定の電圧を供給する回路とは、異なっていてもよいし、これらの回路が、1つの電圧供給回路の一部分であってもよい。電圧供給回路45、および、電源配線32に所定の電圧を供給する回路の少なくとも一方が、後述する垂直走査回路46の一部であってもよい。撮像装置100は、電圧供給回路45、電源配線32に所定の電圧を供給する回路等を制御する制御回路を含んでいてもよい。
【0035】
アドレストランジスタ24のソースは、垂直信号線35に接続される。図示するように、垂直信号線35は、複数の単位画素10の列ごとに設けられており、垂直信号線35の各々には、負荷回路42およびカラム信号処理回路(「行信号蓄積回路」とも呼ばれる)44が接続されている。負荷回路42は、増幅トランジスタ22とともにソースフォロア回路を形成する。増幅トランジスタ22は、ドレインに電源電圧VDDの供給を受けることにより、ゲートに印加された電圧を増幅する。換言すれば、増幅トランジスタ22は、光電変換部12によって生成された信号を増幅する。
【0036】
アドレストランジスタ24のゲートには、アドレス信号線34が接続されている。アドレス信号線34は、複数の単位画素10の行ごとに設けられる。アドレス信号線34は、垂直走査回路(「行走査回路」とも呼ばれる)46に接続されており、垂直走査回路46は、アドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレス信号線34に印加する。これにより、読み出し対象の行が垂直方向(列方向)に走査され、読み出し対象の行が選択される。垂直走査回路46は、アドレス信号線34を介してアドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御することにより、選択した単位画素10の増幅トランジスタ22の出力を、対応する垂直信号線35に読み出すことができる。アドレストランジスタ24の配置は、図1に示す例に限定されず、増幅トランジスタ22のドレインと電源配線32との間であってもよい。
【0037】
アドレストランジスタ24を介して垂直信号線35に出力された、単位画素10からの信号電圧は、垂直信号線35に対応して複数の単位画素10の列ごとに設けられた複数のカラム信号処理回路44のうち、対応するカラム信号処理回路44に入力される。カラム信号処理回路44は、相関2重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。カラム信号処理回路44は、水平信号読み出し回路(「列走査回路」とも呼ばれる)48に接続されており、水平信号読み出し回路48は、複数のカラム信号処理回路44から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。
【0038】
図1に例示する構成において、信号検出回路14は、ドレインが電荷蓄積ノードFDに接続されたリセットトランジスタ26を含む。リセットトランジスタ26のゲートには、垂直走査回路46との接続を有するリセット信号線36が接続される。リセット信号線36は、アドレス信号線34と同様に複数の単位画素10の行ごとに設けられる。垂直走査回路46は、アドレス信号線34に行選択信号を印加することにより、リセットの対象となる単位画素10を行単位で選択することができる。さらに、垂直走査回路46は、リセットトランジスタ26のオンおよびオフを制御するリセット信号を、リセット信号線36を介してリセットトランジスタ26のゲートに印加する。これにより、選択された行のリセットトランジスタ26はオンとされる。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積ノードFDの電位がリセットされる。
【0039】
この例では、リセットトランジスタ26のソースが、複数の単位画素10の列ごとに設けられたフィードバック線53のうちの1つに接続されている。すなわち、この例では、光電変換部12の電荷を初期化するリセット電圧として、フィードバック線53の電圧が電荷蓄積ノードFDに供給される。ここでは、上述のフィードバック線53は、複数の単位画素10の列ごとに設けられた反転増幅器50のうちの対応する1つにおける出力端子に接続されている。このように、図1に例示する撮像装置100の周辺回路は、複数の反転増幅器50を含む。
【0040】
複数の単位画素10の列のうちの1つに注目する。図示するように、反転増幅器50の反転入力端子は、その列の垂直信号線35に接続されている。また、反転増幅器50の出力端子と、その列に属する1以上の単位画素10のリセットトランジスタ26とが、フィードバック線53を介して接続されている。したがって、ある単位画素10におけるアドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26のオン時、反転増幅器50の反転入力端子は、その単位画素10のアドレストランジスタ24の出力を受ける。
【0041】
撮像装置100の動作時、反転増幅器50の非反転入力端子には、所定の電圧(例えば1Vまたは1V近傍の正電圧)Vrefが供給される。その列に属する1以上の単位画素10のうちの1つを選択し、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26をオンとすることにより、その単位画素10の出力を負帰還させる帰還経路を形成することができる。帰還経路の形成により、垂直信号線35の電圧が、反転増幅器50の非反転入力端子への入力電圧Vrefに収束する。換言すれば、帰還経路の形成により、電荷蓄積ノードFDの電圧が、垂直信号線35の電圧がVrefとなるような電圧にリセットされる。電圧Vrefとしては、電源電圧(例えば3.3V)および接地(0V)の範囲内の任意の大きさの電圧を用い得る。反転増幅器50をフィードバックアンプと呼んでもよい。このように、図1に例示する撮像装置100は、反転増幅器50を帰還経路の一部に含むフィードバック回路16を有する。
【0042】
よく知られているように、トランジスタのオンまたはオフに伴い、kTCノイズと呼ばれる熱ノイズが発生する。リセットトランジスタのオンまたはオフに伴って発生するノイズは、リセットノイズと呼ばれる。電荷蓄積領域の電位のリセット後、リセットトランジスタをオフとすることによって発生したリセットノイズは、信号電荷の蓄積前の電荷蓄積領域に残留してしまう。しかしながら、リセットトランジスタのオフに伴って発生するリセットノイズは、フィードバックを利用することによって低減することが可能である。帰還経路の形成により、熱ノイズの交流成分は、リセットトランジスタ26のソースにフィードバックされる。フィードバックを利用したリセットノイズの抑制の詳細は、国際公開第2012/147302号において説明されている。参考のために、国際公開第2012/147302号の開示内容の全てを本明細書に援用する。図1に例示する構成では、リセットトランジスタ26のオフの直前まで帰還経路が形成されるので、リセットトランジスタ26のオフに伴って発生するリセットノイズを低減することが可能である。
【0043】
(単位画素10のデバイス構造)
図2は、単位画素10のデバイス構造の典型例を示す。図2に模式的に示すように、単位画素10は、概略的には、半導体基板60と、半導体基板60の上方に配置された光電変換部12と、光電変換部12および半導体基板60の間に配置された配線構造80とを含む。
【0044】
半導体基板60には、上述の信号検出回路14における増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28が形成される。なお、図2では、説明の便宜のために、増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28が1つの断面図に示されている。後述するように、半導体基板60は、電荷蓄積領域の一部として機能するn型不純物領域67nを含む。
【0045】
本実施形態において、n型不純物領域67nは、第1領域の例である。n型の導電型は、第1導電型の例である。p型の導電型は、第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の例である。言い換えれば、第2導電型は、第1導電型の極性とは異なる極性を持つ導電型である。n型とp型とは相互に入れ替わってもよい。
【0046】
半導体基板60がシリコン基板である場合、p型の導電型の不純物としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などが挙げられる。典型的には、ホウ素がp型の導電型の不純物として使用される。n型の導電型の不純物としては、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などが挙げられる。典型的には、リンまたはヒ素がn型の導電型の不純物として使用される。単位画素10において、複数の部分が互いに同一の導電型を有していたとしても、それらの部分に同一の不純物元素が含まれているとは限らない。導電型が同一であることは、使用された不純物元素が同一であることと必ずしも一致しない。局所的な不純物領域を形成する方法は、熱拡散法であってもよく、イオン注入法であってもよい。基板および層の導電型は、結晶成長時にドープされる不純物によって制御されうる。
【0047】
半導体基板60上には、これらのトランジスタを覆う層間絶縁層90が配置される。上述の配線構造80は、層間絶縁層90中に配置される。この例では、層間絶縁層90は、絶縁層90a、90bおよび90cの3層の絶縁層を含む積層構造を有し、層間絶縁層90中の配線構造80は、配線層80a、80bおよび80p、プラグ82a、82bおよび82c、ならびに、コンタクトプラグ84、86および88を含む。層間絶縁層90中の絶縁層の数および配線構造80中の配線層の数は、この例に限定されず、任意に設定可能である。
【0048】
配線構造80は、光電変換部12と半導体基板60のn型不純物領域67nとを電気的に接続する。配線構造80中の配線層80aおよび80b、プラグ82a、82b、82c、ならびに、コンタクトプラグ88は、典型的には、銅またはタングステンなどの金属または金属窒化物、金属酸化物などの金属化合物から形成される。一方、ここでは、配線層80pならびにコンタクトプラグ84および86は、それぞれ、n型の導電型を有するポリシリコン層およびポリシリコンプラグである。
【0049】
半導体基板60は、支持基板61と、支持基板61上に形成された1以上の半導体層とを含む。ここでは、支持基板61として、p型シリコン(Si)基板を例示する。図2に例示する構成において、半導体基板60は、支持基板61上のp型半導体層61p、p型半導体層61p上のn型半導体層62n、n型半導体層62n上のp型半導体層63pおよびp型半導体層63p上のp型半導体層65pを有する。p型半導体層63pは、支持基板61の全面にわたって形成される。p型半導体層65pは、不純物の濃度がより低いp型不純物領域66pと、n型不純物領域68an、68bn、68cn、68dnおよび68enと、素子分離領域69とを有する。
【0050】
p型半導体層61p、n型半導体層62n、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pの各々は、典型的には、エピタキシャル成長によって形成される。p型半導体層63pおよびp型半導体層65pにおける不純物濃度は、互いに同程度であり、かつ、p型半導体層61pの不純物濃度よりも高い。p型半導体層61pおよびp型半導体層63pの間に配置されたn型半導体層62nは、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域への支持基板61(p型半導体層61pといってもよい)または周辺回路からの少数キャリアの流入を抑制する。撮像装置100の動作時、n型半導体層62nの電位は、画素アレイPAの外側に設けられるウェルコンタクト(不図示)を介して制御される。また、この例では、半導体基板60は、p型半導体層61pおよびn型半導体層62nを貫通するようにしてp型半導体層63pおよび支持基板61の間に設けられたp型領域64を有する。p型領域64は、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pと比較して高い不純物濃度を有し、p型半導体層63pと支持基板61とを電気的に接続する。撮像装置100の動作時、p型半導体層63pおよび支持基板61の電位は、画素アレイPAの外側に設けられる基板コンタクト(不図示)を介して制御される。
【0051】
上述のn型不純物領域67nは、pウェルとしてのp型半導体層65p内に形成されたp型不純物領域66p内に配置される。図2において模式的に示すように、n型不純物領域67nは、半導体基板60の表面の近傍に形成されており、その少なくとも一部は、半導体基板60の表面に位置している。図2に例示する構成において、n型不純物領域67nは、第1不純物領域67aおよび第2不純物領域67bを含む。第2不純物領域67bの一部は、p型半導体層65pの表面に位置している。第1不純物領域67aは、第2不純物領域67bの下部を覆っている。n型不純物領域67n中の第2不純物領域67bは、第1不純物領域67a内に形成されており、第1不純物領域67aよりも高い不純物濃度を有する。
【0052】
図2に例示する構成において、半導体基板60に形成された第2不純物領域67bには、コンタクトプラグ86が接続されている。n型不純物領域67nにおける第2不純物領域67bの形成は必須ではないが、コンタクトプラグ86と半導体基板60との接続部分である第2不純物領域67bの不純物濃度を比較的高くすることにより、コンタクトプラグ86と半導体基板60とが接触する部分の周囲の空乏層の広がり(空乏化)を抑制する効果が得られる。コンタクトプラグ86と半導体基板60とが接触する部分の周囲の空乏層の広がりを抑制することにより、コンタクトプラグ86と半導体基板60との界面における半導体基板60の結晶欠陥(界面準位といってもよい)に起因するリーク電流を抑制し得る。また、比較的高い不純物濃度を有する第2不純物領域67bにコンタクトプラグ86を接続することにより、コンタクト抵抗を低減する効果が得られる。
【0053】
p型不純物領域66pおよびn型不純物領域67nの間のpn接合によって形成される接合容量は、信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能する。この容量は、電荷蓄積領域の一部を構成する。図2に例示する構成では、n型不純物領域67nの第2不純物領域67bとp型不純物領域66pとの間に、第2不純物領域67bよりも不純物濃度の低い第1不純物領域67aが配置されている。また、n型不純物領域67nの第2不純物領域67bとp型半導体層65pとの間にも第1不純物領域67aが位置している。第2不純物領域67bの周囲に相対的に不純物濃度の低い第1不純物領域67aを配置することにより、n型不純物領域67nとp型半導体層65p(またはp型不純物領域66p)との間のpn接合によって形成される電界強度を緩和し得る。pn接合によって形成される電界強度が緩和されることにより、pn接合によって形成される電界に起因するリーク電流が抑制される。
【0054】
p型半導体層63pに接するようにp型半導体層65pを配置することにより、撮像装置100の動作時にp型半導体層65pの電位をp型半導体層63pを介して制御することが可能である。このような構造の採用により、コンタクトプラグ86と半導体基板60とが接触する部分(ここではn型不純物領域67nの第2不純物領域67b)の周囲に、相対的に不純物濃度の低い領域(ここではp型不純物領域66pおよびn型不純物領域67nの第1不純物領域67a)を配置することが可能である。
【0055】
p型不純物領域66p内に形成されたn型不純物領域67nは、リセットトランジスタ26のドレインとして機能する。この例では、リセットトランジスタ26は、n型不純物領域67nの少なくとも一部をドレインとして含み、さらに、半導体基板60上のゲート絶縁層26gと、ゲート絶縁層26g上のゲート電極26eと、n型不純物領域68anとを含む。図2において模式的に示すように、半導体基板60の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層26gおよびゲート電極26eの積層構造は、n型不純物領域67nの少なくとも一部に重なっている。リセットトランジスタ26のゲート電極26eは、典型的には、n型の導電型を有するポリシリコン電極である。
【0056】
リセットトランジスタ26は、n型不純物領域68anを第1ソースとして含み、n型不純物領域67nを第1ドレインとして含む第1トランジスタの例である。リセットトランジスタ26のゲート電極26eは、第1ゲートの例である。
【0057】
図2に例示する構成において、ドレインとしてのn型不純物領域67nは、コンタクトプラグ86、配線層80p、プラグ82a、配線層80a、プラグ82b、配線層80bおよびプラグ82cを介して、光電変換部12に電気的に接続されている。他方、n型不純物領域68anは、不図示のコンタクトプラグを介して上述のフィードバック線53に接続され、リセットトランジスタ26のソースとして機能する。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、n型不純物領域68anを介して、光電変換部12を初期化するためのリセット電圧(ここではフィードバック線53の電圧)が光電変換部12に供給される。ここでは、コンタクトプラグ86、配線層80pおよびコンタクトプラグ84を介して、n型不純物領域67nに増幅トランジスタ22のゲート電極22eが接続されている。そのため、リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積領域に蓄積された電荷がリセットされるとともに、増幅トランジスタ22のゲート電極22eの電位もリセット電圧にリセットされる。
【0058】
この例では、n型不純物領域67nは、保護トランジスタ28にも共有されており、保護トランジスタ28のドレイン(またはソース)としての機能も有する。保護トランジスタ28は、n型不純物領域67nの少なくとも一部と、半導体基板60上のゲート絶縁層28gと、ゲート絶縁層28g上のゲート電極28eと、n型不純物領域68enとを含む。半導体基板60の法線方向から見たとき、ゲート絶縁層28gおよびゲート電極28eの積層構造は、n型不純物領域67nの少なくとも一部に重なっている。n型不純物領域68enは、不図示のコンタクトプラグを介して上述の電荷回収線38に接続されている。n型不純物領域68enは、保護トランジスタ28のソース(またはドレイン)として機能する。撮像装置100の動作時、n型不純物領域68enには、電荷回収線38を介して所定の電圧(典型的には電源電圧VDDよりも低い電圧)が印加される。
【0059】
保護トランジスタ28のゲート電極28eと、保護トランジスタ28のドレイン(またはソース)としてのn型不純物領域67nとは、接続部89を介して電気的に接続されている。ここでは、接続部89は、一端が保護トランジスタ28のゲート電極28eに接続されたコンタクトプラグ88、配線層80a、プラグ82a、配線層80p、および、コンタクトプラグ86を含む。すなわち、ここでは、接続部89は、配線構造80の一部を含んでおり、したがって、保護トランジスタ28のゲート電極28eは、光電変換部12との間の電気的な接続を有している。光電変換部12に高照度で光が照射され、電荷蓄積領域の電圧が保護トランジスタ28の閾値電圧を超えて上昇すると、保護トランジスタ28がオンとなる。保護トランジスタ28がオンとなることにより、過剰な電荷がn型不純物領域67nからn型不純物領域68enに排出される。
【0060】
保護トランジスタ28は、n型不純物領域67nを第2ドレインとして含み、n型不純物領域68enを第2ソースとして含む第2トランジスタの例である。保護トランジスタ28のゲート電極28eは、n型不純物領域67nに電気的に接続された第2ゲートの例である。
【0061】
本開示の実施形態において、保護トランジスタ28のゲート電極28eは、n型不純物領域67nとは異なる導電型を有するポリシリコン電極として形成される。すなわち、ここでは、ゲート電極28eは、p型の導電型を有するポリシリコン電極であり、保護トランジスタ28のゲート電極28eの導電型は、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの導電型と異なっている。後に詳しく説明するように、ドレイン(またはソース)の導電型とは異なる導電型を有する電極を保護トランジスタ28のゲート電極28eとして用いることにより、オフ時の保護トランジスタ28を蓄積モードとし得る。換言すれば、保護トランジスタ28のゲート電極28eに負電圧を印加したときと実質的に同様の状態を実現し得る。後述するように、保護トランジスタ28を蓄積モードとすることにより、保護トランジスタ28のオフ時の暗電流を低減し得る。
【0062】
一般的な撮像装置において、画素内のトランジスタのソース/ドレインの導電型、および、それらトランジスタのゲート電極としてのポリシリコン電極の導電型は、通常、同じである。また、ゲート電極の導電型は、製造工程の複雑化を避けるために、画素内の複数のトランジスタの間で共通であることが一般的である。本開示の実施形態では、画素内の一部のトランジスタ(ここでは保護トランジスタ28)におけるゲート電極の導電型を、あえて他のトランジスタにおけるゲート電極の導電型と異ならせることにより、暗電流低減の効果を得ている。
【0063】
なお、この例では、n型不純物領域67nに接続されたコンタクトプラグ86と、保護トランジスタ28のゲート電極28eに接続されたコンタクトプラグ88とが、金属配線層として形成された配線層80aを介して電気的に接続されている。また、この例では、コンタクトプラグ88は金属で形成されている。このように金属または金属化合物を介した接続により、互いに導電型の異なる2つの部材の直接の接触を回避しながら、これらを電気的に接合することができる。例えば、コンタクトプラグ88がn型の導電型を有するポリシリコンプラグであると、コンタクトプラグ88とゲート電極28eとの間の接合が、非オーミックとなってしまう。ここで例示する構成のように、金属または金属化合物を介した接続により、コンタクトプラグ88とゲート電極28eとの間におけるオーミック接続が可能である。あるいは、ゲート電極28eと同じ導電型(ここではp型)を有するポリシリコンでコンタクトプラグ88を形成してもよい。この場合、コンタクトプラグ88と配線層80aとの間における接合をオーミックとできる。
【0064】
図2に例示する構成において、増幅トランジスタ22は、半導体基板60上のゲート絶縁層22g、ゲート絶縁層22g上のゲート電極22e、ならびに、半導体基板60に形成されたn型不純物領域68bnおよび68cnを含む。ここでは、ゲート電極22eは、リセットトランジスタ26のゲート電極26eと同様に、n型の導電型を有するポリシリコン電極である。図2に例示する構成において、ゲート電極22eは、コンタクトプラグ84、配線層80p、プラグ82a、配線層80a、プラグ82b、配線層80bおよびプラグ82cを介して、光電変換部12に電気的に接続されている。n型不純物領域68bnは、電源配線32(図2において不図示)との接続を有し、増幅トランジスタ22のドレインとして機能する。他方、n型不純物領域68cnは、増幅トランジスタ22のソースとして機能する。
【0065】
増幅トランジスタ22のドレインとしてのn型不純物領域68bnと、リセットトランジスタ26のソースとしてのn型不純物領域68anとの間には、素子分離領域69が設けられている。素子分離領域69は、増幅トランジスタ22およびアドレストランジスタ24の組の周囲と、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28の組の周囲とに設けられる。素子分離領域69は、ある単位画素10の信号検出回路14と、他の単位画素10の信号検出回路14とを電気的に分離する。素子分離領域69は、例えばp型の不純物拡散領域である。
【0066】
図2では図示が省略されているが、典型的には、n型不純物領域68bnおよび電源配線32の間に、これらを電気的に接続するコンタクトプラグが配置される。電源配線32は、典型的には、列方向に延びている。列方向に沿って延びるように電源配線32を形成することにより、行方向に沿って延びるように電源配線32を形成した場合と比較して、電源配線32における電圧降下を低減できる。これは、信号の読み出し時における単位画素10の選択が行単位であるために、行方向に沿って延びるように電源配線32を形成すると、1行分の単位画素10全ての駆動に必要な大きさの電流を1つの電源配線32に流さなければならないからである。列方向に沿って延びるように電源配線32を形成すれば、ある電源配線32に流れる電流の大きさは、複数の行から選択されたある行の1つの単位画素10の駆動に必要な大きさで済む。なお、本明細書において、行方向は、行が延びる方向を意味し、列方向は、列が延びる方向を意味する。例えば図1において、紙面における上下方向が列方向であり、紙面における左右方向が行方向である。
【0067】
アドレストランジスタ24は、半導体基板60上のゲート絶縁層24g、ゲート絶縁層24g上のゲート電極24e、ならびに、半導体基板60に形成されたn型不純物領域68cnおよび68dnを含む。この例では、アドレストランジスタ24は、n型不純物領域68cnを増幅トランジスタ22と共有することにより、増幅トランジスタ22と電気的に接続されている。なお、増幅トランジスタ22のゲート絶縁層22g、アドレストランジスタ24のゲート絶縁層24g、リセットトランジスタ26のゲート絶縁層26gおよび保護トランジスタ28のゲート絶縁層28gは、典型的には、同層のシリコンの熱酸化膜(二酸化シリコン膜)である。
【0068】
n型不純物領域68cnは、アドレストランジスタ24のドレインとして機能する。他方、n型不純物領域68dnは、アドレストランジスタ24のソースとして機能する。n型不純物領域68dnは、垂直信号線35(図2において不図示)との接続を有する。図2では図示が省略されているが、典型的には、n型不純物領域68dnおよび垂直信号線35の間に、これらを電気的に接続するコンタクトプラグが配置される。
【0069】
増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28を覆う層間絶縁層90上に、光電変換部12が配置される。光電変換部12は、層間絶縁層90上に形成された画素電極12a、画素電極12aに対向する透明電極12c、および、これらの間に配置された光電変換層12bを含む。光電変換部12の光電変換層12bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成され、透明電極12cを介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。光電変換層12bは、典型的には、複数の単位画素10にわたって形成される。光電変換層12bは、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
【0070】
透明電極12cは、ITOなどの透明な導電性材料から形成され、光電変換層12bの受光面側に配置される。透明電極12cは、典型的には、光電変換層12bと同様に、複数の単位画素10にわたって形成される。図2において図示が省略されているが、透明電極12cは、上述の蓄積制御線39との接続を有し、撮像装置100の動作時、例えば10V程度のバイアス電圧が蓄積制御線39を介して透明電極12cに印加される。バイアス電圧によって透明電極12cの電位を画素電極12aの電位よりも高くすることにより、光電変換によって生成された、信号電荷としての正の電荷(例えば正孔)を画素電極12aによって収集することができる。
【0071】
画素電極12aは、アルミニウム、銅、チタンなどの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される電極である。画素電極12aは、隣接する他の単位画素10の画素電極12aから空間的に分離されることにより、他の単位画素10の画素電極12aから電気的に分離されている。
【0072】
上述の配線構造80の少なくとも一部は、画素電極12aと、半導体基板60に形成された信号検出回路14とを電気的に接続する。この例では、プラグ82c、配線層80b、プラグ82b、配線層80a、プラグ82a、配線層80pおよびコンタクトプラグ84を介して、画素電極12aと、増幅トランジスタ22のゲート電極22eとが互いに電気的に接続されている。したがって、撮像装置100の動作時、増幅トランジスタ22からは、画素電極12aの電位に応じた信号電圧が出力される。また、この例では、プラグ82c、配線層80b、プラグ82b、配線層80a、プラグ82a、配線層80pおよびコンタクトプラグ86を介して、画素電極12aと、n型不純物領域67nとが互いに電気的に接続されている。配線層80a、80bおよび80p、プラグ82a、82bおよび82c、コンタクトプラグ84、86および88、増幅トランジスタ22のゲート電極22eおよび保護トランジスタ28のゲート電極28e、ならびに、n型不純物領域67nは、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域の少なくとも一部を構成する。
【0073】
上述したように、図2に示す例では、保護トランジスタ28およびリセットトランジスタ26は、n型不純物領域67nを共有している。保護トランジスタ28およびリセットトランジスタ26がn型不純物領域67nを共有することは必須ではない。例えば、n型不純物領域67nに電気的に接続された他のn型不純物領域を半導体基板60の他の箇所に形成し、そのn型不純物領域を保護トランジスタ28またはリセットトランジスタ26のドレイン(またはソース)として利用してもよい。ただし、単位画素10の微細化、暗電流抑制の観点からは、n型不純物領域67nを共有化する方が有利である。
【0074】
(保護トランジスタの機能および構成の典型例)
光電変換部12に極端に高い照度の光が照射されると、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nの電位が、透明電極12cに印加される電圧(例えば10V程度)まで上昇することがある。このような過大な電圧がn型不純物領域67nに印加されると、n型不純物領域67nの機能が損なわれたり、増幅トランジスタ22のゲート絶縁層22gにおいて絶縁破壊が生じたりするおそれがある。このような損傷が発生すると、画素の機能が損なわれ、撮像装置が故障してしまう。
【0075】
図1および図2に示すように、n型不純物領域67nをドレイン(またはソース)として含む保護トランジスタ28を単位画素10内に設けることにより、n型不純物領域67nへの過大な電圧の印加に起因する単位画素10の損傷を抑制し得る。例えば高照度での光電変換部12への照射によってn型不純物領域67nの電位が保護トランジスタ28の閾値電圧を超えて上昇したと仮定する。図2からわかるように、保護トランジスタ28のゲート電極28eは、接続部89によってn型不純物領域67nに電気的に接続されている。そのため、n型不純物領域67nの電位の上昇により、保護トランジスタ28がオンとなる。保護トランジスタ28がオンとなることにより、過剰な電荷がn型不純物領域67nからn型不純物領域68enに排出されるので、単位画素10の損傷が防止される。保護トランジスタ28における閾値電圧は、n型不純物領域67nにおける機能の喪失、増幅トランジスタ22のゲート絶縁層22gの絶縁破壊などが生じる電圧よりも低い電圧として適切に設定されればよい。
【0076】
このように、保護トランジスタ28を単位画素10内に設けることにより、単位画素10の損傷を防止することが可能である。
【0077】
上述したように、本開示の実施形態では、保護トランジスタ28のゲート電極28eは、保護トランジスタ28のドレイン(またはソース)の導電型とは異なる導電型を有する。これに対し、一般的なトランジスタにおいては、ゲート電極としてのポリシリコン電極の導電型と、ソース/ドレインの導電型は、同じである。このようなトランジスタをオフとするためには、そのトランジスタを蓄積モードとするか、あるいは、トランジスタのゲート電極下の部分を空乏化させる。例えば、NチャンネルMOSFETにおいて、ゲート電極に印加する電圧をそのトランジスタの閾値電圧よりも低くすれば、そのゲート電極の下方の領域を蓄積モードとすることができる。しかしながら、ドレインがゲートに接続された形で用いられる保護トランジスタでは、外部から所望の電圧をゲート電極に印加することができない。すなわち、ゲート電極に所望の電圧を印加することによって蓄積モードとすることができない。一方、ゲート電極下に空乏層を形成すると、ゲート電極下の空乏層が暗電流発生の原因となってしまう。したがって、暗電流抑制の観点から、外部からの電圧印加を必要とすることなく、保護トランジスタを蓄積モードとできると有益である。なお、図2に例示する構成では、リセットトランジスタ26も、n型不純物領域67nをドレイン(またはソース)として含んでいる。したがって、リセットトランジスタ26についても、リセットトランジスタ26のオフ時における、ゲート電極26e下の空乏層の形成を抑制できると有益である。
【0078】
例えば、n型の導電型を有するポリシリコン電極をゲート電極として用いる場合、ゲート電圧を-0.5V程度まで低下させると、ゲート電極下の空乏層がほぼ消失する。本開示の実施形態では、撮像装置100の動作時、垂直走査回路46(図1参照)は、リセットトランジスタ26をオフするための電圧として例えば-1V程度の負電圧をリセット信号線36に供給する。リセットトランジスタ26のオフ時のゲート電圧として負電圧を用いることにより、ゲート電極26e下の空乏層の形成を抑制して、ゲート電極26e下の空乏層に起因する暗電流を低減することが可能である。
【0079】
同様にして、保護トランジスタ28のオフ時のゲート電圧として負電圧を用いれば、保護トランジスタ28のゲート電極28e下の空乏層の形成を抑制することができると考えられる。しかしながら、既に説明したように、保護トランジスタ28のゲート電極28eは、接続部89を介して、ドレイン(またはソース)としてのn型不純物領域67nに電気的に接続されている(図2参照)。そのため、ゲート電極28eは、n型不純物領域67nと同電位であり、単純に負電圧を保護トランジスタ28のオフ時のゲート電圧として用いることはできない。
【0080】
図2を参照して説明したように、本開示の実施形態では、保護トランジスタ28のゲート電極28eに、n型不純物領域67nの導電型とは異なる導電型のポリシリコン電極を用いる。これにより、n型の導電型のポリシリコン電極を用いる場合と比較して、ゲート電極28eの仕事関数を大きくすることができる。さらに、ポリシリコン電極における仕事関数は、不純物のドーピング量によって調整可能であり、ポリシリコン電極における仕事関数として、半導体基板60のゲート電極28e下の領域における仕事関数よりも大きな値を得ることが可能である。半導体基板60(ここではp型不純物領域66pおよびp型半導体層65p)における仕事関数よりもポリシリコン電極における仕事関数を大きく設定することにより、保護トランジスタ28のゲート電極28e近傍におけるエネルギーバンド図として、蓄積モードと同様のエネルギーバンド図が得られる。すなわち、ゲート電極28eの外部からゲート電極28eに特定の電圧を印加することなく、蓄積モードと同様の状態を実現し得る。したがって、ゲート電極28e下に正孔を誘引してゲート電極下の空乏層の幅をほぼ0とし得る。あるいは、ポリシリコン電極における仕事関数を大きくすることにより、保護トランジスタ28における閾値電圧が上昇し、蓄積モードと同様の状態が実現されるといってもよい。
【0081】
なお、保護トランジスタ28のゲート電極28eとして、p型の導電型を有するポリシリコンと同程度の仕事関数を有する材料を用いてもよい。ここで、P+ポリシリコンの仕事関数は5.17eVである。したがって、ゲート電極28eとして、例えば、RuO2(4.9eV)、WN(5.0eV)、Ir(5.35eV)、Mo2N(5.33eV)、TaN(5.43eV)、Pt(5.65eV)を用いてもよい。また、N+ポリシリコン(4.05eV)より大きい仕事関数を有する材料であれば一定の効果を得ることができる。すなわち、いわゆるMid Gap Metalと呼ばれる、例えば、Co(4.45eV)、Cr(4.5eV)、W(4.52eV)、Ru(4.68eV)、TiN(4.7eV)、Pd(4.9eV)を用いてもよい。ゲート電極28eの材料の仕事関数は、4.05eVよりも大きくてもよく、4.9eV以上6eV以下であってもよい。このような材料を用いることにより、リーク電流を低減する効果を得ることができる。
【0082】
また、ゲート酸化膜は、例えば、HfO2などの高誘電率(High-k)材料を用いることができる。
【0083】
さらに、図1および図2を参照して説明した例では、撮像装置100が、保護トランジスタ28のソース(またはドレイン)としてのn型不純物領域68enに電源電圧VDDとは異なる電圧を印加可能に構成されている。以下に説明するように、撮像装置100の動作時に、例えば電源電圧VDDよりも低い電圧をn型不純物領域68enに供給することにより、保護トランジスタ28においてより安定した動作を実現し得る。
【0084】
本実施形態では、保護トランジスタ28のオフ時の暗電流を低減するために、保護トランジスタ28のゲート電極28eがp型の導電型の材料で構成されている。このことに加え、本実施形態の撮像装置100には、以下の構成が採用されている。
【0085】
図3は、単位画素10の構造の一部を詳細に示している。単位画素10は、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方に位置する第2領域70pを有する。第2領域70pは、リセットトランジスタ26のチャンネル領域であって、p型の導電型を有する領域である。単位画素10は、さらに、保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方に位置する第3領域72pを有する。第3領域72pは、保護トランジスタ28のチャンネル領域であって、p型の導電型を有する領域である。第3領域72pにおけるp型の不純物の濃度は、第2領域70pにおけるp型の不純物の濃度よりも高い。半導体基板60がシリコン基板である場合、p型の不純物は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群より選ばれる少なくとも1つである。p型の不純物は、典型的には、ホウ素である。なお、図3は、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の領域および保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方の領域に不純物の注入が行われていることを正確に表した図である。
【0086】
n型不純物領域67nを含む電荷蓄積領域の電圧の上昇に伴う空乏層の広がりを抑制できれば、表面リーク電流を低減でき、電荷蓄積領域に電荷が蓄積されたときの暗電流を低減できる。保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方の領域における不純物濃度を高めることによって、空乏層の広がりを抑制することができる。
【0087】
一般に、FETのチャンネル領域の不純物濃度を高めすぎると、ゲートとソースとの間のpn接合、および、ゲートとドレインとの間のpn接合における電界が強まり、少数キャリアによる拡散電流の増大を招く。
【0088】
本実施形態に注目すると、リセットトランジスタ26のゲート電極26eに所定の電圧を印加することによって、リセットトランジスタ26を蓄積モードで動作させることができる。そのため、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pにおける不純物濃度を高める必要は無い。これに対し、保護トランジスタ28は、電荷蓄積領域に電気的に接続されているので、保護トランジスタ28のゲート電極28eに所定の電圧を印加することによって、保護トランジスタ28を蓄積モードで動作させることはできない。他方、ゲート電極28eの下方の第3領域72pの不純物濃度を高めると、拡散電流が増加するおそれもある。しかし、暗電流の主な原因は、空乏層の広がりによる表面リーク電流であるから、表面リーク電流を低減できれば、拡散電流が多少増加したとしてもトータルの暗電流を低減することができる。このような理由により、本実施形態では、保護トランジスタ28のチャンネル領域に不純物が高濃度でドープされている。
【0089】
第2領域70pにおける不純物の濃度および第3領域72pにおける不純物の濃度は、例えば、各領域を形成するときの不純物の注入ドーズ量によって制御されうる。
【0090】
本実施形態において、第3領域72pに含まれたp型の不純物は、第2領域70pにおけるp型の不純物と同種の元素である。典型的には、p型の不純物はホウ素である。第2領域70pおよび第3領域72pは、p型の不純物として、実質的にホウ素のみを含んでいてもよい。このような構成によれば、撮像装置100の製造が容易であるとともに、不純物の濃度も制御しやすい。「実質的にホウ素のみを含む」の表現は、意図的にドープされた不純物がホウ素のみであることを意味し、各領域に不可避不純物が含まれていることを排除しない。
【0091】
なお、第3領域72pに含まれたp型の不純物の元素または元素群は、第2領域70pにおけるp型の不純物の元素または元素群と異なっていてもよい。
【0092】
第2領域70pは、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の領域である。第2領域70pは、周囲の領域よりも高いp型の不純物の濃度を有していてもよいし、周囲の領域と同じp型の不純物の濃度を有していてもよい。つまり、リセットトランジスタ26のチャンネル領域への追加の不純物ドープは、行われていてもよく、行われていなくてもよい。
【0093】
図3において、第3領域72pは、n型不純物領域67nから離れている。しかし、第3領域72pとn型不純物領域67nとの距離は短いので、第3領域72pを形成するためにp型半導体層65pに注入された不純物は、n型不純物領域67nまで拡散しうる。つまり、第3領域72pは、n型不純物領域67nに接していてもよい。
【0094】
保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方の領域である第3領域72pへの不純物のドーピングによって得られる効果をコンピュータシミュレーションによって確かめた。具体的には、所定の設計条件で単位画素10を作製したときの第2領域70pおよび第3領域72pのホウ素の濃度プロファイルをコンピュータシミュレーションによって調べた。その後、当該単位画素10について、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nの近傍における空乏層の分布をコンピュータシミュレーションによって調べた。コンピュータシミュレーションには、市販のシミュレータを使用した。
【0095】
図4Aは、シミュレーションで用いたモデルであって、リセットトランジスタ26のゲート電極26e、n型不純物領域67n、保護トランジスタ28のゲート電極28eおよび第3領域72pの平面視での位置関係を示している。図4Aのモデルにおいて、コンタクトプラグ86とゲート電極28eとの距離D1は、90nmである。n型不純物領域67nと第3領域72pとの距離D2は、60nmである。ゲート電極28eの平面視形状は、一辺の長さD3が440nmの正方形である。ゲート電極28eの一辺がn型不純物領域67nの端部に位置している。第3領域72pは、ゲート電極28eの外側に広がっている。第3領域72pの一部はn型不純物領域68enに重なっている。このような構成によれば、ゲート電極28eの下方への空乏層の広がりを十分に抑制できる。
【0096】
図4Aにおいて、第3領域72pは、矩形の領域で表されている。この矩形の領域は、不純物を注入する際に用いられるマスクの設計上の位置を表している。第3領域72pは、所定濃度以上のp型の不純物濃度を有する領域である。距離D2は、例えば、0nm以上150nm以下の範囲にあり、20nm以上120nm以下の範囲にあってもよい。距離D2は、n型不純物領域67nと第3領域72pとの最短距離である。
【0097】
図5Aは、図4Aのモデルにおける不純物の濃度分布を示している。不純物は、詳細には、ホウ素である。第3領域72pへの不純物の注入ドーズ量は、4×1012atoms/cm2であった。図5Aにおいて、横軸は、半導体基板60の表面に沿った方向の距離を表している。縦軸は、半導体基板60の厚さ方向の距離を表している。図5Aに示すように、ゲート電極28eの下方には、1.5×1017atoms/cm3以上の濃度でホウ素を含む領域が存在していた。
【0098】
図6は、図4Aのモデルでの半導体基板60の表面近傍におけるホウ素の濃度プロファイルを示している。図6の横軸は、保護トランジスタ28のゲート電極28eの中心からの距離を表している。縦軸は、ホウ素の濃度を表している。図6に示すように、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pにおけるホウ素の濃度は、n型不純物領域67nにおけるホウ素の濃度よりも高かった。保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方の第3領域72pにおけるホウ素の濃度は、全体的に、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pにおけるホウ素の濃度よりも高かった。詳細には、第3領域72pにおけるホウ素の濃度の最大値COFは、第2領域70pにおけるホウ素の濃度の最大値CRSよりも大きかった。第2領域70pにおけるホウ素の濃度の最大値CRSは、約1×1017atoms/cm3であった。この例では、n型不純物領域67nにおけるホウ素の濃度を上回るように、第2領域70pにもホウ素が注入されている。
【0099】
第2領域70pにおけるp型の不純物の濃度と第3領域72pにおけるp型の不純物の濃度との大小関係は、各領域における濃度の最大値で判断してもよく、任意の複数の測定点で得られた濃度の平均値で判断してもよい。例えば、第3領域72pにおいてn型不純物領域67nから所定距離離れた位置での第2導電型の不純物の濃度は、第2領域70pにおいてn型不純物領域67nから同じ所定距離離れた位置での第2導電型の不純物の濃度よりも高くてもよい。また、第3領域72pにおいてn型不純物領域67nに隣接し、かつゲート電極28eの下方である位置での第2導電型の不純物の濃度は、第2領域70pにおいてn型不純物領域67nに隣接し、かつゲート電極26eの下方である位置での第2導電型の不純物の濃度よりも高くてもよい。
【0100】
図7Aは、本開示の構成での空乏層の分布を調べるためのシミュレーションの結果を示している。図7Aは、図4A図5Aおよび図6に対応している。図7Aの中心の濃い円形部分がキャリア濃度の低い空乏層を表している。シミュレーションにおいて、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの電圧は-1Vであった。n型不純物領域67nの電圧、つまり、保護トランジスタ28のゲート電極28eの電圧は+0.5Vであった。図7Aに示すように、本開示の構成によれば、保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方への空乏層の広がりが抑えられた。
【0101】
リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pのホウ素の濃度は低く抑えられていたものの、ゲート電極26eの下方への空乏層の広がりは見られなかった。
【0102】
図7Bは、第3領域72pのホウ素の濃度が十分に低い構成での空乏層の分布を調べるためのシミュレーションの結果を示している。図7Bに示すように、空乏層は、保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方に大きく広がった。
【0103】
図7A図7Bとの比較から理解できるように、保護トランジスタ28のゲート電極28eの下方の第3領域72pに十分な量のホウ素を注入することによって、ゲート電極28eの下方への空乏層の広がりを抑制できる。空乏層の広がりを抑制できれば、リーク電流も低減されうる。その結果、より高品質の画像を生成しうる撮像装置100を提供できる。
【0104】
図5A図5Bおよび図6によれば、第2領域70pにおけるp型の不純物の濃度に対する第3領域72pにおけるp型の不純物の濃度の比率は、例えば、1.5以上である。比率の上限は特に限定されず、例えば、100である。第2領域70pおよび第3領域72pの各領域の不純物の濃度を適切に調整することによって、リーク電流を十分に低減できる。
【0105】
図4Aと同様、図4Bは、シミュレーションで用いたモデルであって、リセットトランジスタ26のゲート電極26e、n型不純物領域67n、保護トランジスタ28のゲート電極28eおよび第3領域72pの平面視での他の位置関係を示している。図4Bのモデルにおいて、第3領域72pはn型不純物領域67nに接している。つまり、n型不純物領域67nと第3領域72pとの距離D2がゼロである。
【0106】
図5Bは、図4Bのモデルにおける不純物の濃度分布を示している。第3領域72pへの不純物の注入ドーズ量は、4×1012atoms/cm2であった。図4Bに示すモデルによれば、ホウ素が高濃度で含まれた第3領域72pがn型不純物領域67nに隣接するほど広がっている。
【0107】
図4Bおよび図5Bに示すモデルを用いた場合においても、空乏層の広がりが抑制され、図7Aと同様の結果が得られた。
【0108】
図5A図5Bおよび図6に示す濃度分布は、元素の拡散の影響などを考慮して算出されており、実際の単位画素10における分布と良く一致する。
【0109】
なお、実際の単位画素10において、各領域の不純物の濃度は、例えば、走査型静電容量顕微鏡法(SCM)によって測定することができる。
【0110】
(変形例1)
図8は、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域および保護トランジスタのゲート電極の別のレイアウトを示す平面図である。本変形例において、保護トランジスタ28のゲート電極128eは、平面視で、矩形の形状を有する。他方、ゲート電極128eの下方の第3領域172pは、平面視で、全体として、矩形以外の形状を有する。ゲート電極128eの1つの長辺がn型不純物領域67nを横切っている。ゲート電極128eとn型不純物領域67nとの重複領域を避けるように第3領域172pの平面視形状が定められている。
【0111】
本変形例において、例えば、第3領域172pの所定位置S3におけるp型の不純物の濃度および第2領域70pの所定位置S2におけるp型の不純物の濃度を測定したとき、前者の値は、後者の値よりも高い。第2領域70pの所定位置S2は、撮像装置100を平面視したときのゲート電極26eの重心を通るゲート電極26eの法線と第2領域70pの表面との交点を含む位置でありうる。ゲート電極26eのゲート長方向における中心線BL1と、ゲート電極26eのゲート幅方向と平行な方向におけるゲート電極128eの中心線BL2との交点を特定交点と定義したとき、第3領域172pの所定位置S3は、特定交点を通るゲート電極128eの法線と第3領域172pの表面との交点を含む位置でありうる。このような構成によれば、ゲート電極128eの形状によらず、空乏層の広がりが抑制されうる。
【0112】
上記の「所定位置S2」および「所定位置S3」は、「点」というより、「1点を中心とする微小領域」と捉えるべきである。第2領域70pの表面および第3領域の表面は、半導体基板60の表面でありうる。「ゲート長方向」とは、ゲート電極の厚さ方向に垂直、かつ、ソースとドレインとの間の電流の流れ方向に平行な方向を意味する。「ゲート幅方向」とは、ゲート電極の厚さ方向に垂直、かつ、ゲート長方向に垂直な方向を意味する。
【0113】
図9は、図8のモデルでの半導体基板60の表面近傍におけるホウ素の濃度プロファイルであって、所定位置S2から所定位置Kまでのホウ素の濃度プロファイルを示している。所定位置Kは、ゲート電極128eの外縁と中心線BL1との交点に対応する位置である。図9の横軸は、保護トランジスタ28のゲート電極128eの中心からの距離を表している。縦軸は、ホウ素の濃度を表している。所定位置Kにおいてホウ素の濃度が最大値を示しているのは、隣接する素子分離領域69の影響である。
【0114】
図9に示すように、保護トランジスタ28のゲート電極128eの下方の第3領域172pにおけるホウ素の濃度は、全体的に、リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pにおけるホウ素の濃度よりも高かった。第3領域172pにおけるホウ素の濃度の最大値COFは、第2領域70pにおけるホウ素の濃度の最大値CRSよりも大きかった。リセットトランジスタ26のゲート電極26eの下方の第2領域70pおよびn型不純物領域67nにおいて、ホウ素の濃度は、3×1016atoms/cm3で概ね一定であった。つまり、この例では、第2領域70pへのホウ素の注入は行われていない。
【0115】
(変形例2)
図10は、リセットトランジスタのゲート電極、n型不純物領域および保護トランジスタのゲート電極のさらに別のレイアウトを示す平面図である。本変形例において、n型不純物領域167nは電荷蓄積領域の一部であり、第1領域である。n型不純物領域167nは、平面視でL字形状を有する。つまり、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域の形状は矩形に限定されない。リセットトランジスタ26のゲート電極26eは、平面視で、L字形状のn型不純物領域167nの一端に重なっている。保護トランジスタ28のゲート電極28eは、平面視で、L字形状のn型不純物領域167nの他端に重なっている。ゲート電極28eの下方の第3領域72pにp型の不純物がドープされている。このような構成によれば、n型不純物領域167nの形状によらず、ゲート電極28eの下方への空乏層の広がりが抑制されうる。
【0116】
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、リーク電流による影響を抑制し得るので、高画質で撮像を行うことが可能な撮像装置が提供される。なお、上述の増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26および保護トランジスタ28の各々は、NチャンネルMOSFETであってもよいし、PチャンネルMOSFETであってもよい。保護トランジスタ28がPチャンネルMOSFETである場合には、ゲート電極28eの導電型をn型とすればよく、上記した電源電圧VDDは、電源電圧VSSと読み替えればよい。また、これらのトランジスタの全てがNチャンネルMOSFETまたはPチャンネルMOSFETのいずれかに統一されている必要もない。
【0117】
なお、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、負の電荷を信号電荷として利用してもよい。負の電荷を信号電荷とし、保護トランジスタ28としてPチャンネルMOSFETを用いた場合には、保護トランジスタ28のゲート電極28eとしてn型の導電型を有するポリシリコンを用いてもよい。これにより、保護トランジスタ28のゲート電極28e下の空乏層の形成を抑制して、暗電流を低減することが可能である。また、保護トランジスタ28のゲート電極28eとしてn型の導電型を有するポリシリコンと同程度の仕事関数を持つ材料を用いてもよい。ここで、N+ポリシリコンの仕事関数は4.05eVである。したがって、ゲート電極28eとして、例えば、Hf(3.9eV)、TaN(4.05eV)、Al(4.13eV)、Ti(4.14eV)、Nb(4.15eV)、Ta(4.19eV)を用いてもよい。また、P+ポリシリコン(5.17eV)より小さい仕事関数を有する材料であれば一定の効果が得られる。すなわち、例えば、上記したMid Gap Metalを用いることもできる。保護トランジスタ28のゲート電極28eの材料の仕事関数は、5.17eVを下回ってもよく、3.3eV以上4.2eV以下であってもよい。負の電荷を信号電荷として利用し、保護トランジスタ28としてPチャンネルMOSFETを用いる場合には、ゲート電極28eに上記した材料を用いることにより、リーク電流を低減する効果を得ることができる。
【0118】
また、負の電荷を信号電荷として利用する場合には、保護トランジスタ28のn型(またはp型)不純物領域68enに、増幅トランジスタ22に供給する電源電圧VDD(または電源電圧VSS)よりも高い電圧を供給する。すなわち、保護トランジスタ28のn型(またはp型)不純物領域68enに供給する電圧は、電源電圧VDD(または電源電圧VSS)とは異なる電圧であって、電源電圧VDD(または電源電圧VSS)に対してリセット電圧と同じ側の電圧である。これによって、オフリーク電流を低減しながら、より高いゲート電圧でn型(またはp型)不純物領域67nから過剰な電荷を排出させ得る。すなわち、保護トランジスタ28におけるより安定な動作を実現し得る。なお、この場合においても、保護トランジスタ28のゲート電極28eの材料に係わらず、安定化の効果を得ることができる。
【0119】
なお、信号電荷として正負のいずれの電荷を利用する場合であっても、リセット電圧と保護トランジスタ28のn型(またはp型)不純物領域68enに供給する電圧との差の絶対値は、リセット電圧と電源電圧VDD(または電源電圧VSS)との差の絶対値よりも小さくてもよい。また、保護トランジスタ28のn型(またはp型)不純物領域68enに供給する電圧は、リセット電圧と電源電圧VDD(または電源電圧VSS)との間の電圧であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラなどに有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0121】
10 単位画素
12 光電変換部
14 信号検出回路
16 フィードバック回路
22 増幅トランジスタ
22e 増幅トランジスタのゲート電極
22g 増幅トランジスタのゲート絶縁層
24 アドレストランジスタ
26 リセットトランジスタ
26e リセットトランジスタのゲート電極
26g リセットトランジスタのゲート絶縁層
28 保護トランジスタ
28e,128e 保護トランジスタのゲート電極
28g 保護トランジスタのゲート絶縁層
32 電源配線
34 アドレス信号線
35 垂直信号線
36 リセット信号線
38 電荷回収線
39 蓄積制御線
45 電圧供給回路
46 垂直走査回路
50 反転増幅器
53 フィードバック線
60 半導体基板
61 支持基板
65p p型半導体層
66p p型不純物領域
67a 第1不純物領域
67b 第2不純物領域
67n,167n n型不純物領域
68an、68bn、68cn、68dn、68en n型不純物領域
70p 第2領域
72p,172p 第3領域
80a 配線層
86、88 コンタクトプラグ
89 接続部
100 撮像装置
FD 電荷蓄積ノード
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10