(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 5/20 20180101AFI20240315BHJP
F25C 1/147 20180101ALI20240315BHJP
【FI】
F25C5/20 Z
F25C1/147 J
F25C5/20 304
(21)【出願番号】P 2020005189
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-08-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森沢 拓矢
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-136570(JP,U)
【文献】特開2009-264676(JP,A)
【文献】実開平07-014045(JP,U)
【文献】特開2009-188340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 5/20
F25C 1/147
E05C 17/56
E05B 47/00
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された貯氷庫と、
第1の方向と、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に移動可能なプランジャと、
前記プランジャを前記第2の方向に付勢する圧縮ばねと、
前記プランジャの前記第1の方向への移動に応じて前記開口を開放し、前記圧縮ばねの付勢により前記プランジャの前記第2の方向への移動に応じて前記開口を閉塞する扉と、
前記圧縮ばねを内部に収容するガイド部材と、
前記ガイド部材を保持する保持部材と、
前記プランジャ、前記ガイド部材、および前記扉を連結する連結部と、
を備え
、
前記圧縮ばねは、前記プランジャを囲むように載置されており、
前記扉は、支点軸を介して前記保持部材に、前記支点軸周りに回動可能に取り付けられる、
製氷機。
【請求項2】
前記プランジャに取り付けられているホルダをさらに備え、
前記圧縮ばねは、前記プランジャを囲むように前記ホルダに載置されている、
請求項
1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記ホルダの外縁と前記ガイド部材の内面との距離は、前記圧縮ばねを構成する部材の外径と前記ガイド部材の内面との距離よりも小さい、
請求項
2に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
製氷機は、生成された氷を貯氷庫から放出させる機構を備えている。例えば、特許文献1には、プランジャの進退動作に連動して開閉扉による貯氷庫の氷放出口の閉塞および開放が切り替わる氷放出機構が開示されている。
【0003】
特許文献1の氷放出機構は、ねじりばねを備えており、ねじりばねの一方および他方のアームが、プランジャと開閉扉を連結するリンク部材、および、プランジャの進退動作に関わらず動かない支持板にそれぞれ取り付けられている。このねじりばねは、開閉扉を貯氷庫の氷放出口を塞ぐように付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の氷放出機構を組み立てる場合、ねじりばねの付勢力に逆らうようにねじりばねの両アームを互いに開き、リンク部材および支持板に各アームを取り付ける必要がある。このため、特許文献1の氷放出機構は、組み立てにくい。
【0006】
本発明は、組み立てやすい製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製氷機は、開口が形成された貯氷庫と、第1の方向と、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に移動可能なプランジャと、前記プランジャを前記第2の方向に付勢する圧縮ばねと、前記プランジャの前記第1の方向への移動に応じて前記開口を開放し、前記圧縮ばねの付勢により前記プランジャの前記第2の方向への移動に応じて前記開口を閉塞する扉と、前記圧縮ばねを内部に収容するガイド部材と、前記ガイド部材を保持する保持部材と、前記プランジャ、前記ガイド部材、および前記扉を連結する連結部と、を備え、前記圧縮ばねは、前記プランジャを囲むように載置されており、前記扉は、支点軸を介して前記保持部材に、前記支点軸周りに回動可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組み立てやすい製氷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る製氷機の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る製氷機が備える氷放出機構を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る製氷機が備える氷放出機構の分解斜視図である。
【
図6】氷放出機構が貯氷庫の開口を開放した状態にある本発明の実施形態に係る製氷機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0011】
まず、製氷機1の全体構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製氷機1の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II断面図であって、氷を放出しない状態にある製氷機1を示す図である。なお、本明細書において、使用時にユーザが正対する側(後述する操作ボタン4が位置する側)を製氷機1の前側、その反対側を製氷機1の後側とする。また、前側から視て左側及び右側をそれぞれ製氷機1の左側および右側とする。
【0012】
製氷機1は、筐体2、容器載置台3、および、操作ボタン4を備えている。筐体2の内部には、氷を生成する氷生成機構、貯氷庫20、氷放出機構30、落下ガイド40、シュータ41、および制御部(不図示)が配置されている。
【0013】
容器載置台3は、容器が載置される台である。
【0014】
操作ボタン4は、筐体2の前側面に設けられている。制御部は、操作ボタン4が押下されている間、貯氷庫20内部の氷を放出させるように氷放出機構30を動作させる。ユーザは、容器載置台3に容器を載置し、操作ボタン4を押下することで、製氷機1から該容器に氷を入れることができる。
【0015】
次に、氷生成機構について説明する。氷生成機構は、冷却器10を備えている。冷却器10は、冷却円筒11、および、オーガ12を備えている。
【0016】
冷却円筒11は、製氷機1の製氷動作時、冷凍回路(不図示)により冷却されている。よって、制御部が、冷却円筒11に貯水庫(不図示)から製氷用水を供給することで、冷却円筒11の壁面には比較的大きい氷が生成される。
【0017】
制御部は、駆動装置(不図示)を駆動させることでオーガ12を回転させる。オーガ12が回転することで、冷却円筒11の内壁に生成された比較的大きい氷が削られて氷片が生成されるとともに、生成された氷片が貯氷庫20内部に移送される。なお、氷放出機構30によって放出される氷は、氷片のことであり、本実施形態では、氷片を単に「氷」と称する。
【0018】
貯氷庫20は、断熱箱体により構成されている。貯氷庫20には、氷生成機構により生成された氷が貯えられる。
【0019】
貯氷庫20の前側壁の下部には、氷の出口である開口21が形成されている。開口21は、操作ボタン4が押下されていない間、後述する扉70によって閉塞されている。開口21は、操作ボタン4が押下されている間、開放される(
図6参照)。
【0020】
貯氷庫20は、アジテータ22を備えている。アジテータ22は、複数のアーム部分を備えている。制御部は、操作ボタン4が押下されている間、アジテータ22を鉛直方向周りに回転させる。
【0021】
氷放出機構30は、貯氷庫20の前側壁に取り付けられている。氷放出機構30は、扉70を備えている。氷放出機構30は、制御部による制御の下、操作ボタン4の押下に応じて扉70を開閉動作させることで、開口21の閉塞および開放を切り替える。氷放出機構30の構成、および、動作については、後に詳細に説明する。
【0022】
落下ガイド40は、開口21を通じて貯氷庫20から放出されてきた氷をシュータ41の前側に導く。シュータ41は、落下ガイド40によって導かれた氷を容器載置台3の特定の領域に導く。特定の領域は、容器載置台3における容器が配置される領域である。
【0023】
次に、氷放出機構30の構成について、
図3から
図5を用いて説明する。
図3は、氷放出機構30を示す斜視図である。
図4は、
図3のIV-IV断面図である。
図3および
図4は、いずれも扉70が開口21を閉塞している状態にある氷放出機構30を示している。
図5は、製氷機1が備える氷放出機構30の分解斜視図である。
【0024】
氷放出機構30は、ソレノイド50、保持板51、側面板52、ホルダガイド53、ブラケット54、カバー部材55、プランジャ61、ホルダ62、扉70、連結部材74、および、圧縮ばね100を備えている。なお、側面板52、52は、ブラケット54に溶接されており、ブラケット54とともに保持部材59を構成する。
【0025】
ソレノイド50は、中空円筒状の形状を有している。ソレノイド50は、その中心軸が上下方向に沿うように配置されている。ソレノイド50の内部空間の上側には、固定磁極(不図示)が配置されている。固定磁極は、通電装置(不図示)によってソレノイド50が備えるコイル(不図示)が通電されている間、磁化される。よって、コイルの通電中、固定磁極は、可動磁極であるプランジャ61を引きつける。なお、通電装置は、制御部による制御の下、操作ボタン4が押下されている間、ソレノイド50のコイルを通電する。
【0026】
保持板51は、一対の側面板52、52とともにホルダガイド53を所定の位置に保持する部材である。保持板51の中央部には、上下方向に貫通する嵌め孔511が形成されている。保持板51は、一対の側面板52、52にねじ81で固定されており、ホルダガイド53の上方向への移動を規制している。一対の側面板52、52それぞれには、被嵌合部522が形成されている。被嵌合部522は、後述するホルダガイド53の嵌合部53aが嵌る溝である。
【0027】
ホルダガイド53は、筒状の部材であり、圧縮ばね100、プランジャ61の一部分、および、ホルダ62を内部に収容している。ホルダガイド53の後側壁には、切欠き531が形成されている。ホルダガイド53は、その筒状部分の左側および右側の表面からそれぞれ左側および右側に突出している嵌合部53a、53aを備えており、嵌合部53a、53aはそれぞれ、側面板52、52の被嵌合部522、522に嵌め込まれている。嵌合部53aの下側端、前側端および後側端は、それぞれ側面板52における被嵌合部522の下側、前側、および後側の部位に接している。このため、側面板52、52によってホルダガイド53の下方向、前方向、および後方向への移動が規制されている。ホルダガイド53の上部は、保持板51の嵌め孔511に嵌め込まれている。嵌合部53a、53aには、長穴である軸挿通孔57が形成されている。軸挿通孔57には、連結軸91が挿通されている。ホルダガイド53は、樹脂製である。
【0028】
ブラケット54は、貯氷庫20の前側壁にソレノイド50を保持する部材である。カバー部材55は、ソレノイド50を左側、右側および前側から覆うようにして貯氷庫20の前側壁に固定する部材である。カバー部材55は、ブラケット54とともに貯氷庫20の前側壁にねじ82で固定されている。ブラケット54は、非回転部541を有している。非回転部541には、軸挿通孔58が形成されている。軸挿通孔58には、支点軸92が挿通されている。
【0029】
プランジャ61は、ソレノイド50の内部空間およびホルダガイド53の内部を上下方向に移動可能に設けられている。プランジャ61は、ソレノイド50の内部空間に挿入されている。プランジャ61の下部の左側壁および右側壁それぞれには、軸挿通孔66が形成されている。プランジャ61は、磁性材料で形成されており、可動磁極として機能する。
【0030】
ホルダ62は、上部につば部621を有する中空円筒状の形状をしている。つば部621には、圧縮ばね100が載置されている。つば部621の外縁からホルダガイド53の内面532までの距離は、圧縮ばね100を構成する部材の外径よりも小さい。
【0031】
ホルダ62の下部の左側壁および右側壁それぞれには、軸挿通孔68が形成されている。ホルダ62は、部位挿通孔67にプランジャ61の下部が挿入された状態で、連結軸91を介してプランジャ61に連結されている。ホルダ62の下部の前側壁および後側壁には、連結部材74が挿入可能な切欠き622が形成されている。ホルダ62は、ステンレス製である。
【0032】
扉70は、プランジャ61の上方向への移動に応じて開口21を開放し、プランジャ61の下方向への移動に応じて開口21を閉塞する。扉70は、閉塞板71、および、回動板72を備えている。閉塞板71は、例えば、ゴム板である。回動板72の後側壁には閉塞板71がねじ止めされている。回動板72の左側壁および右側壁それぞれには、軸挿通孔76、77が形成されている。回動板72は、支点軸92を介してブラケット54の非回転部541に回動可能に取り付けられている。
【0033】
連結部材74は、プランジャ61と扉70とを連結する部材である。連結部材74の上部および下部には、それぞれ軸挿通孔78および長穴79が形成されている。連結部材74は、連結部材74の上部が切欠き622に挿入された状態でホルダ62に回動可能に取り付けられている。
【0034】
連結部材74は、移動軸93を介して回動板72に回動可能に取り付けられている。スペーサ96、96は、それぞれ回動板72の左側壁と連結部材74との間、回動板72の右側壁と連結部材74との間に位置しており、スペーサ96の貫通孔には、移動軸93が挿通されている。
【0035】
圧縮ばね100は、プランジャ61の周囲を囲むようにホルダ62に載置されている。圧縮ばね100は、ホルダガイド53の上側壁とつば部621との間に配置されている。圧縮ばね100は、ホルダ62を下方向に付勢する。圧縮ばね100は、ステンレス製である。
【0036】
次に、氷放出機構30の組み立てについて、
図3から
図5を用いて説明する。
【0037】
まず、保持部材59における側面板52、52同士の間にホルダガイド53が配置される。具体的には、ホルダガイド53の嵌合部53a、53aの各下側端が、側面板52における被嵌合部522の下側の部位に接するように、嵌合部53a、53aが被嵌合部522、522に嵌め込まれる。次に、ホルダガイド53の上部が保持板51の嵌め孔511に嵌まるように、保持板51が側面板52、52の上側に配置され、側面板52、52にねじ81で固定される。以上の工程が行われることで、ホルダガイド53は、保持板51および側面板52、52によって、上下、左右、および前後方向において所定の位置に保持された状態になる。
【0038】
次に、ソレノイド50の中心軸が上下方向に沿うように、保持板51の上側に配置される。そして、カバー部材55を用いてソレノイド50がブラケット54に固定される。ここで、カバー部材55は、ブラケット54にねじ82で固定される。
【0039】
次に、プランジャ61の上部がソレノイド50の内部空間に挿入される。さらに、圧縮ばね100が、プランジャ61の周囲を囲むようにホルダガイド53の内部空間に配置される。次に、プランジャ61の下部がホルダ62の部位挿通孔67に挿入されるようにホルダ62を配置する。
【0040】
次に、圧縮ばね100を圧縮するようにホルダ62が上方向に押さえられつつ、連結部材74の上部がホルダ62の切欠き622に挿入される。次に、連結軸91が、ホルダガイド53の軸挿通孔57、ホルダ62の軸挿通孔68、プランジャ61の軸挿通孔66、および、連結部材74の軸挿通孔78に挿通される。
【0041】
次に、支点軸92が軸挿通孔58、77に挿通され、さらに、移動軸93が長穴79、軸挿通孔76、および、スペーサ96の貫通孔に挿通される。これにより、扉70がブラケット54に支点軸92周りに回動可能に固定される。
【0042】
以上の工程が行われることで、
図3に示されている氷放出機構30が組み立てられる。
【0043】
次に、氷放出機構30の動作について、
図2、
図4および
図6を用いて説明する。
図6は、氷放出機構30が貯氷庫20の開口21を開放した状態にある製氷機1の断面図である。
【0044】
操作ボタン4が押下されていないとき、
図2に示されているように、製氷機1は、扉70が貯氷庫20の開口21を閉塞した状態にある。このとき、圧縮ばね100は、ホルダ62を介してプランジャ61を下方向に付勢している。
【0045】
操作ボタン4が押下されると、通電装置は、制御部による制御の下、ソレノイド50のコイルに電流を流す。コイルに電流が流れると、ソレノイド50の固定磁極が磁化され、プランジャ61が固定磁極に引きつけられる。これにより、プランジャ61が圧縮ばね100の下方向の付勢力に逆うように上方向に移動する。このとき、連結軸91は軸挿通孔57に沿って上方向に移動する。
【0046】
プランジャ61が上方向に移動すると、連結部材74が上方向に移動し、さらに、連結部材74に引っ張られて移動軸93が上方向に移動する。移動軸93が上方向に移動すると、支点軸92周りに扉70が時計回りに回動する。これにより、
図6に示されるように、貯氷庫20の開口21が開放され、製氷機1は、貯氷庫20の内部の氷が開口21から放出可能な状態になる。
【0047】
なお、操作ボタン4が押下されている間、制御部は、アジテータ22を鉛直方向周りに回転させているので、アジテータ22のアーム部分が貯氷庫20の内部の氷を開放されている開口21から貯氷庫20の外部に押し出す。これにより、氷が落下ガイド40、および、シュータ41を経て容器載置台3上の容器に供給される。
【0048】
操作ボタン4が押下されなくなると、制御部による制御の下、通電装置は、ソレノイド50のコイルに対する電流の供給を停止する。コイルへの電流の供給が停止されると、固定磁極がプランジャ61を引きつける力が消え、ホルダ62が圧縮ばね100による下方向への付勢力を受けて下方向に移動するとともにプランジャ61が下方向に移動する。プランジャ61が下方向に移動すると、連結部材74に押されて移動軸93が下方向に移動し、支点軸92周りに扉70が反時計回りに回動する。これにより、
図2に示されるように、開口21が扉70によって閉塞され、製氷機1は、貯氷庫20の内部の氷が放出されない状態になる。
【0049】
上述したように、本実施形態の製氷機1は、圧縮ばね100の付勢力を利用してプランジャ61を下方向に付勢することで扉70が貯氷庫20の開口21を閉塞する構成を備えている。本実施形態の製氷機1の氷放出機構30を組み立てる際に、圧縮ばね100に関わる工程は、以下の2点である。
(1)圧縮ばね100をプランジャ61の周囲を取り囲むようにホルダガイド53の内部空間に配置する。
(2)圧縮ばね100を圧縮するようにホルダ62を上方向に押さえながら、連結軸91で、側面板52、ホルダガイド53、プランジャ61、ホルダ62、および連結部材74を連結させる。
【0050】
(1)の工程は、圧縮ばね100を配置するだけであり、(2)の工程は、圧縮ばね100を一方向に押さえつけつつ、各部品が連結するように、各部品の孔に連結軸91を挿通するだけである。つまり、作業者は、本実施形態に係る製氷機1を組み立てる際に、ねじりばねの付勢力を利用して貯氷庫の開口を塞ぐ構成を備える製氷機を組み立てる際に必要な工程である、ねじりばねの2つのアームを付勢力に逆らうように開きながらそれぞれ別の部材に固定するという工程を必要としない。したがって、本実施形態の氷放出機構30が組み立てやすいものであるので、本実施形態の製氷機1は組み立てやすい。
【0051】
プランジャ61が上下移動したときにおけるプランジャ61付勢用のばねが受ける負荷は、2つのアームが互いに開かれることで付勢力が生じるねじりばねを利用したときよりも、圧縮されることで付勢力が生じる圧縮ばね100を利用したときの方が小さい。したがって、本実施形態の製氷機1は、プランジャ61付勢用のばねに対する負荷が小さいので、氷放出機構30の寿命を長くすることができ、ひいては製氷機1の寿命を長くすることができる。
【0052】
また、本実施形態において、圧縮ばね100を載置するホルダ62の外縁からホルダガイド53の内面532までの距離は、圧縮ばね100を構成する部材の外径よりも小さい。したがって、本実施形態に係る製氷機1は、ホルダガイド53の内部空間において、圧縮ばね100の一部が折れて圧縮ばね100の破損片が生じたとしても、該破損片をホルダガイド53の内部空間に閉じ込めておくことができる。したがって、本実施形態の製氷機1は、ユーザが操作ボタン4を押した際、氷とともに圧縮ばね100の破損片を放出することはなく、氷のみを放出することができる。
【0053】
上述した実施形態では、プランジャ61が上下方向の移動に応じて、扉70が開口21の開放および閉塞を切り替える構成が説明されているが、必ずしもプランジャ61が上下方向に移動するように構成されていなくてもよい。
【0054】
例えば、製氷機1は、プランジャ61が前後方向に移動することで扉70による開口21の開放および閉塞を切り替える構成を備えていてもよい。製氷機1が、プランジャ61が前後方向に移動する構成を備える場合、ソレノイド50は、その中心軸が前後方向に沿うように配置される。
【0055】
また、製氷機1は、プランジャ61が左右方向に移動することで扉70による開口21の開放および閉塞を切り替える構成を備えていてもよい。製氷機1が、プランジャ61が左右方向に移動する構成を備える場合、ソレノイド50は、その中心軸が左右方向に沿うように配置される。
【0056】
さらに、プランジャ61が斜め方向に進退するように移動することで扉70による開口21の開放および閉塞を切り替える構成を備えていてもよい。製氷機1が、プランジャ61が斜め方向に進退するように移動する構成を備える場合、ソレノイド50は、その中心軸が該斜め方向に沿うように配置される。
【0057】
要するに、製氷機1は、プランジャ61がある方向(第1の方向)に移動することで扉70が開口21を開放し、該ある方向とは反対側の方向(第2の方向)に移動することで扉70が開口21を閉塞する構成を備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、貯氷庫から氷を放出する製氷機として好適に利用される。
【符号の説明】
【0059】
1 製氷機
2 筐体
3 容器載置台
4 操作ボタン
10 冷却器
11 冷却円筒
12 オーガ
20 貯氷庫
21 開口
22 アジテータ
30 氷放出機構
40 落下ガイド
41 シュータ
50 ソレノイド
51 保持板
511 嵌め孔
52 側面板
522 被嵌合部
53 ホルダガイド
53a 嵌合部
531、622 切欠き
532 内面
54 ブラケット
541 非回転部
55 カバー部材
57、58、66、68、76、77、78 軸挿通孔
59 保持部材
61 プランジャ
62 ホルダ
621 つば部
67 部位挿通孔
70 扉
71 閉塞板
72 回動板
74 連結部材
79 長穴
81、82 ねじ
91 連結軸
92 支点軸
93 移動軸
96 スペーサ
100 圧縮ばね