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特許7454794水栓の吐水部構造およびそれを備える水栓
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】水栓の吐水部構造およびそれを備える水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/084 20060101AFI20240315BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240315BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20240315BHJP
   B05B 1/06 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
E03C1/084
E03C1/042 B
B05B1/18
B05B1/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020113077
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011742
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】中島 功康
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-140973(JP,A)
【文献】特開昭51-148251(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141000(WO,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2016-0003378(KR,U)
【文献】中国実用新案第208243477(CN,U)
【文献】特開2014-177758(JP,A)
【文献】特開2012-7389(JP,A)
【文献】特開平5-163748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
B05B 1/00-3/18,7/00-9/08
A47K 3/02-4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の吐水部構造であって、
水を供給する給水口および空気を供給する給気口をそれぞれ形成した底部と、前記給水口および前記給気口を内側に囲みながら前記底部から筒状に延びる筒状部とを有する本体ケーシングと、
前記本体ケーシングの前記底部に接続して取り付けられるアタッチメント部材と、を備え、
前記アタッチメント部材は、
前記給気口に接続されて、前記給気口から供給される空気を内側に通過させる接続部と、
前記本体ケーシングの前記底部および前記筒状部に対向して配置され、前記底部および前記筒状部との間に、前記給水口からの水を膜状に吐水するための第1吐水流路を形成する流路形成部と、を有し、
前記流路形成部はその内部に、前記流路形成部の底面に設けたストレート吐水用の吐水口と前記第1吐水流路とを接続する第2吐水流路と、前記底面における前記吐水口の周囲に設けた空気吹出口と前記接続部の内部空間とを接続する空気流路とを形成する、水栓の吐水部構造。
【請求項2】
前記空気吹出口は、前記底面において周方向に間隔を空けて少なくとも2か所に分けて設けられており、前記空気流路は、前記空気吹出口のそれぞれに個別に接続される個別空気流路を複数有し、
前記第2吐水流路は、前記複数の個別空気流路どうしの隙間を通って延びる、請求項1に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項3】
前記流路形成部は、前記本体ケーシングの前記底部および前記筒状部との間に前記第1吐水流路を形成する第1流路形成部と、前記第1流路形成部に嵌め込まれて前記流路形成部の前記底面を形成する第2流路形成部と、を有し、
前記第2流路形成部は、前記複数の個別空気流路を形成し、
前記第1流路形成部は、前記複数の前記個別空気流路に共通して接続し且つ前記接続部の前記内部空間に接続する共通空気流路を形成する、請求項2に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項4】
前記共通空気流路は、前記接続部の前記内部空間に対して横方向に拡径しており、
前記複数の個別空気流路は、前記共通空気流路が前記接続部の前記内部空間に対して拡径した箇所に接続される、請求項3に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項5】
前記第2流路形成部は、前記第1流路形成部の前記共通空気流路に主面を面して配置される第1板状部材と、前記第1板状部材と主面どうしを重ねて配置され、前記流路形成部の前記底面を形成する第2板状部材とを有し、
前記第1板状部材と前記第2板状部材のそれぞれを厚み方向に貫通する空間として前記複数の個別空気流路が設けられており、
前記第1板状部材は、前記第2吐水流路の一部を構成するように前記複数の個別空気流路の外側で前記厚み方向に貫通する貫通流路を形成し、前記第2板状部材は、前記第2吐水流路の一部を構成するように前記複数の個別空気流路の内側で前記厚み方向に貫通する貫通流路を形成し、
前記第1板状部材と前記第2板状部材の前記主面どうしの間には、前記第1板状部材の前記貫通流路と前記第2板状部材の前記貫通流路を接続するように前記主面に沿って延びる接続流路が形成されており、
前記接続流路は、前記複数の個別空気流路どうしの前記隙間を通って延びる、請求項3又は4に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項6】
前記接続流路は、前記第2板状部材の前記主面に設けた凹部で構成される、請求項5に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項7】
前記第2板状部材の前記凹部に配置される第3板状部材をさらに備え、
前記第3板状部材は、前記接続流路を構成するように厚み方向に貫通する貫通流路を形成する、請求項6に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項8】
前記第1流路形成部は前記接続部と一体的に構成され、前記第2流路形成部は前記第1流路形成部および前記接続部とは別体に構成される、請求項3から7のいずれか1つに記載の水栓の吐水部構造。
【請求項9】
前記第2流路形成部を前記第1流路形成部に固定するように、前記第2流路形成部を貫通して前記第1流路形成部に挿入される固定部材をさらに備える、請求項8に記載の水栓の吐水部構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の前記吐水部構造を備える水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓の吐水部構造およびそれを備える水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水栓には、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に開示される水栓は、散水板を備えるシャワー装置であって、散水板は、平面視で矩形状の所定の幅及び長さを有した散水面と、散水面を貫通して形成された複数の散水孔とを有する。複数の散水孔における各散水孔の散水方向は、散水面の幅方向内側から外側に向かうにしたがい幅方向の外方に向けられている。このような構成により、散水面から外側に向かって広がるように流れるシャワー吐水が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-2243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今では、特許文献1に開示されるようなシャワー吐水の形態を含めて、様々な吐水形態を実現することが求められている。所望の吐水形態を実現することに関して、未だ改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、所望の吐水形態を実現することができる水栓の吐水部構造およびそれを備える水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の水栓の吐水部構造は、水を供給する給水口および空気を供給する給気口をそれぞれ形成した底部と、前記給水口および前記給気口を内側に囲みながら前記底部から筒状に延びる筒状部とを有する本体ケーシングと、前記本体ケーシングの前記底部に接続して取り付けられるアタッチメント部材と、を備え、前記アタッチメント部材は、前記給気口に接続されて、前記給気口から供給される空気を内側に通過させる接続部と、前記本体ケーシングの前記底部および前記筒状部に対向して配置され、前記底部および前記筒状部との間に、前記給水口からの水を膜状に吐水するための第1吐水流路を形成する流路形成部と、を有し、前記流路形成部はその内部に、前記流路形成部の底面に設けたストレート吐水用の吐水口と前記第1吐水流路とを接続する第2吐水流路と、前記底面における前記吐水口の周囲に設けた空気吹出口と前記接続部の内部空間とを接続する空気流路とを形成する。
【0007】
また、本発明の水栓は、前記吐水部構造を備える水栓である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水栓の吐水部構造およびそれを備える水栓によれば、所望の吐水形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る水栓の斜視図
図2】実施形態に係る吐水部の一部分解斜視図
図3】実施形態に係る吐水部の斜視図
図4】実施形態に係る吐水部の縦断面図
図5図4とは異なる角度で吐水部を切断した縦断面図
図6】実施形態に係る本体ケーシングを上面側から見た斜視図
図7】実施形態に係る本体ケーシングを底面側から見た斜視図
図8】実施形態に係る本体ケーシングの縦断面図
図9図8とは異なる角度で本体ケーシングを切断した縦断面図
図10】実施形態に係るアタッチメント部材の一部分解斜視図
図11】実施形態に係るアタッチメント部材の縦断面図
図12図11とは異なる角度でアタッチメント部材を切断した縦断面図
図13】実施形態に係る第1流路形成部を底面側から見た平面図
図14】実施形態に係る第2流路形成部を底面側から見た平面図
図15】実施形態に係る第2流路形成部を上面側から見た分解斜視図
図16】実施形態に係る第2流路形成部を底面側から見た分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施形態)
図1を用いて水栓2の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る水栓2の斜視図である。水栓2は、例えば、キッチン、洗面所、お風呂等に設けられる水栓装置である。図1に示すように、水栓2は、吐水部4と、水ホース6と、空気ホース8とを備える。
【0012】
吐水部4は、水ホース6から供給される水を吐水するための部材である。本実施形態の吐水部4は大略円筒状の外形を有しており、軸方向Aおよび軸方向Aを中心とする周方向Rを有する。
【0013】
図1に示すように、吐水部4は2種類の吐水形態として、膜状吐水流(第1吐水流)S1とストレート吐水流(第2吐水流)S2を生じさせる。膜状吐水流S1は膜状に広がりながら吐水される水の流れであり、ストレート吐水流S2はストレート状に吐水される水の流れである。
【0014】
吐水部4はさらに、空気ホース8から供給される空気を用いて空気流Fを生じさせる。空気流Fは、膜状吐水流S1とストレート吐水流S2の間に環状に吹き出され、膜状吐水流S1とストレート吐水流S2の分離を促進する。
【0015】
図1に示すように、吐水部4は本体ケーシング9を有する。本体ケーシング9の表面には、第1開口部10と第2開口部12とが設けられる。
【0016】
第1開口部10は、水ホース6を接続するための開口部である。第2開口部12は、空気ホース8を接続するための開口部である。水ホース6および空気ホース8をそれぞれ接続することができれば、第1開口部10および第2開口部12は任意の形状であってもよい。
【0017】
図1では便宜的に、水ホース6および空気ホース8が第1開口部10および第2開口部12から離れた状態を図示している。以降の図面では、水ホース6および空気ホース8の図示を省略する。
【0018】
水ホース6は、吐水部4へ水を供給する部材であり、図示しない水源に接続されている。空気ホース8は、吐水部4へ空気を供給する部材であり、図示しない空気源に接続されている。水ホース6および空気ホース8は図示しない水栓2のスパウト本体部に内蔵されてもよく、あるいは別々の場所に内蔵・配置されてもよい。
【0019】
上述した構成を有する水栓2は例えばシングルレバー式の水栓など、任意の形式の水栓であってもよい。水栓2は、吐水部4による吐水/止水の切替操作を行うための操作部(図示せず)を備えてもよい。
【0020】
以降、水栓2の吐水部構造である吐水部4の構造について、図2図16を参照しながら説明する。
【0021】
図2は、吐水部4の一部分解斜視図であり、図3は、吐水部4の斜視図である。図2図3に示すように、吐水部4は、本体ケーシング9に加えて、アタッチメント部材14を備える。
【0022】
アタッチメント部材14は、吐水部4における各種流路を形成するために、本体ケーシング9に取り付けられる部材である。アタッチメント部材14は、本体ケーシング9の凹部16(図2)に挿入して取り付けられる。凹部16は、本体ケーシング9の底部が軸方向Aに凹んだ部分である。
【0023】
図2に示すように、アタッチメント部材14には接続部18が設けられている。接続部18は、アタッチメント部材14を本体ケーシング9に接続するための部分であり、本体ケーシング9の凹部16に設けた給気口46(図7など)に挿入される。
【0024】
図3に示すように、吐水部4の底部には、第1吐水口20と、第2吐水口22と、空気吹出口24と、固定孔70とが形成される。
【0025】
第1吐水口20は、図1に示した膜状吐水流S1を形成するための開口(膜状吐水口)である。第1吐水口20は、本体ケーシング9とアタッチメント部材14の間の隙間の開口であり、平面視で周方向Rにつながった円環状の形状を有する。
【0026】
第2吐水口22は、図1に示したストレート吐水流S2を形成するための開口(ストレート吐水口)である。第2吐水口22は、アタッチメント部材14の底部の略中心位置に形成された1つの貫通孔である。
【0027】
空気吹出口24は、図1に示した空気流Fを形成するための開口である。空気吹出口24は、第1吐水口20と第2吐水口22の間の位置に設けられた複数の貫通孔である。本実施形態の空気吹出口24は周方向Rに間隔を空けて3か所に分けて設けられており、平面視で円弧状の形状を有する。
【0028】
固定孔70は、後述する第2流路形成部52(図10)を第1流路形成部50に固定するネジ72を配置するための孔である。固定孔70は、第1吐水口20と空気吹出口24の間の位置に設けられる。本実施形態の固定孔70は周方向Rに間隔を空けて3か所に設けられており、それぞれの固定孔70へ取付方向Bに向かってネジ72が挿入される。以降の図面では、図10を除いてネジ72の図示を省略する。
【0029】
次に、吐水部4における水および空気の流れについて、図4図5を用いて説明する。図4図5は、吐水部4を異なる角度で切断した縦断面図である。図4図5では、水の流れを実線で表し、空気の流れを点線で表す。
【0030】
図4に示すように、本体ケーシング9の第1開口部10から流入した水は、本体ケーシング9の内部空間30を通過し、2方向に分岐して、第1吐水流路32に流入する。第1吐水流路32は、本体ケーシング9とアタッチメント部材14の間に設けられた空間である。第1吐水流路32に流入した水は、本体ケーシング9の端部とアタッチメント部材14の端部の隙間である円環状の第1吐出口20から第1吐水流S1(図1)として吐水される。
【0031】
図4に示すように、アタッチメント部材14はその内部に第2吐水流路34を形成する。第2吐水流路34は、第1吐水流路32に面する位置からストレート吐水用の第2吐水口22まで延びる流路である。第1吐水流路32を流れる水の一部が、第2吐水流路34に流入し、第2吐水口22からストレート吐水流S2(図1)として吐水される。
【0032】
図5に示すように、本体ケーシング9の第2開口部12から流入する空気は、本体ケーシング9の内部空間36を通過して、アタッチメント部材14の接続部18の内部空間38を通過し、共通空気流路40に流入する。共通空気流路40は、後述する第1流路形成部50が形成する流路である。共通空気流路40に流入した空気は、後述する第2流路形成部52において3方向に分岐して、3つの空気吹出口24から空気流F(図1)として吹き出される。
【0033】
次に、本体ケーシング9の構造について、図6図9を用いて説明する。図6は、本体ケーシング9を上面側から見た斜視図であり、図7は、本体ケーシング9を底面側から見た斜視図である。図8図9は、本体ケーシング9を異なる角度で切断した縦断面図である。
【0034】
図6に示すように、第1開口部10に連通する内部空間30は下流側で2か所に分岐し、図7に示すように給水口42まで延びる。給水口42は、本体ケーシング9の底部44に設けられた2つの開口であり、前述した第1吐水流路32(図4)に水を供給する。
【0035】
図7に示すように、本体ケーシング9の底部44はさらに給気口46を形成する。給気口46は、第2開口部12に連通する開口であり、前述したアタッチメント部材14の接続部18が挿入される。図8に示すように、給気口46は、第2開口部12に連通する内部空間36が内部空間30の直下まで延びた位置に形成される。内部空間36は、内部空間30が2か所に分岐する箇所の間を通過するように延びる。
【0036】
図7図9に示すように、本体ケーシング9は筒状部48を有する。筒状部48は、底部44から軸方向Aに筒状に延びる部分である。図7に示すように、筒状部48は、給水口42および給気口46を内側に囲むように円筒状に延びる。
【0037】
筒状部48および底部44は本体ケーシング9の凹部16を構成し、前述したアタッチメント部材14とともに第1吐水流路32を構成する。
【0038】
次に、アタッチメント部材14の構造について、図10図14を用いて説明する。図10は、アタッチメント部材14の一部分解斜視図であり、図11図12は、アタッチメント部材14を異なる角度で切断したときの縦断面図である。図13は、第1流路形成部50を底面側から見た平面図であり、図14は、第2流路形成部52を上面側から見た平面図である。
【0039】
図10に示すように、アタッチメント部材14は、接続部18に加えて、第1流路形成部50と、第2流路形成部52とを有する。
【0040】
第1流路形成部50および第2流路形成部52は、第1吐水流路32、第2吐水流路34および共通空気流路40等の流路を形成するための部分である。第1流路形成部50と第2流路形成部52を総称して「流路形成部」としてもよい。本実施形態では、第1流路形成部50は接続部18と一体的に構成され、第2流路形成部52は別体で構成される。
【0041】
第1流路形成部50の底面側には凹部が設けられており、第2流路形成部52が嵌め込まれる。第1流路形成部50に第2流路形成部52が嵌め込まれた状態で、前述したネジ72が固定孔70に配置されると、ネジ72は第2流路形成部52を貫通して第1流路形成部50に挿入される。これにより、第2流路形成部52が第1流路形成部50に固定される。ネジ72の締結によって、第2流路形成部52を第1流路形成部50に向けて押し付ける力が生じる。
【0042】
第1流路形成部50は、接続部18が本体ケーシング9の給気口46に挿入された状態で、本体ケーシング9の底部44および筒状部48と隙間を空けて対向する(図4図5参照)。これにより、第1吐水流路32を形成する。
【0043】
図10図12に示すように、第1流路形成部50の上面には吸入口54が形成される。吸入口54は、第2吐水流路34の入口に相当する開口である。接続部18が本体ケーシング9の給気口46に挿入された状態で、吸入口54は本体ケーシング9の底部44に対向して、第1吐水流路32に面するように配置される。
【0044】
図11に示すように、第1流路形成部50は、第2吐水流路34の一部として貫通流路56を形成する。貫通流路56は吸入口54から延びる流路である。同様に、第2流路形成部52は、第2吐水流路34の一部として貫通流路58を形成する。貫通流路56および貫通流路58は軸方向Aに沿って互いに対向して連通する。
【0045】
第1流路形成部50はその中心部に、接続部18の内部空間38に連通する共通空気流路40を形成する。本実施形態の共通空気流路40は接続部18の内部空間38に対して横方向Cに拡径している。
【0046】
第2流路形成部52は、第1流路形成部50の共通空気流路40に主面が面するように配置される部材である。第2流路形成部52は、共通空気流路40に連通する流路として複数の個別空気流路60を形成する。複数の個別空気流路60はそれぞれが第2流路形成部52を厚み方向に貫通する流路であり、空気吐出口24まで延びている。3つの空気吐出口24に対応して個別空気流路60は3か所に分けて設けられる(図10)。
【0047】
図11図12に示すように、本実施形態の個別空気流路60は、第1流路形成部50の共通空気流路40が内部空間38に対して拡径した箇所に接続されている。これにより、内部空間38から共通空気流路40に流入した空気が外側に広がって個別空気流路60に流入しやすくなる。
【0048】
図14に示すように、第2吐水流路34を構成する貫通流路58は、第2流路形成部52の内部を横方向Cに延びて吐水口22に接続される。複数の個別空気流路60が周方向Rに間隔を空けて配置されているところ、貫通流路58は2つの個別空気流路60どうしの隙間を通過するように横方向Cに延びる。
【0049】
上述した第2流路形成部52は3つの板状部材から構成される。具体的には、図15図16を用いて説明する。図15は、第2流路形成部52を上面側から見た分解斜視図であり、図16は、第2流路形成部52を底面側から見た分解斜視図である。
【0050】
図15図16に示すように、第2流路形成部52は、第1板状部材52Aと、第2板状部材52Bと、第3板状部材52Cとを備える。
【0051】
第1板状部材52A、第2板状部材52Bおよび第3板状部材52Cはそれぞれ、軸方向Aに厚みを有する板状の部材である。本実施形態の厚み方向は吐水部4の軸方向Aに一致する。第1板状部材52A、第2板状部材52Bおよび第3板状部材52Cはそれぞれ、互いの主面が重なるように配置される。図15図16に示すように、第1板状部材52Aと第2板状部材52Bの間に第3板状部材52Cが配置され、第2板状部材52Bは、第2流路形成部52の底面を構成する。
【0052】
図15図16に示すように、第1板状部材52Aと第2板状部材52Bは平面視で略同じ径の外形を有する。一方で、第3板状部材52Cは平面視の外形が第1板状部材52Aおよび第2板状部材52Bよりも小さく、第2板状部材52Bの主面に形成された凹部62に配置される。
【0053】
前述した第2流路形成部52の貫通流路58を構成する流路として、第1板状部材52Aは貫通流路58Aを形成し、第2板状部材52Bは貫通流路58Bを形成し、第3板状部材52Cは貫通流路58Cを形成する。第2板状部材52Bの貫通流路58Bはストレート吐水用の吐水口22まで延びる(図16図15)。
【0054】
第1板状部材52Aの貫通流路58Aは、複数の個別空気流路60の外側で第1板状部材52Aを厚み方向に貫通する。第2板状部材52Bの貫通流路58Bは、複数の個別空気流路60の内側で第2板状部材52Bを厚み方向に貫通する。
【0055】
図15に示すように、第3板状部材52Cの貫通流路58Cは、第1板状部材52Aの貫通流路58Aと第2板状部材52Bの貫通流路58Bを接続するように横方向Cに延びる「接続流路」を構成する。
【0056】
前述した第2流路形成部52の個別空気流路60を構成する流路として、第1板状部材52Aは貫通流路60Aを形成し、第2板状部材52Bは貫通流路60Bを形成し、第3板状部材52Cは貫通流路60Cを形成する。貫通流路60A、60B、60Cのそれぞれは平面視で略同じ寸法の円弧形状を有する。
【0057】
図15に示すように、接続流路としての貫通流路58Cは、2つの貫通流路60Cどうしの隙間を横方向Cに延びる。同様に、貫通流路58Cに沿って延びる貫通流路58Bは、2つの貫通流路60Bどうしの隙間を横方向Cに延びる。
【0058】
さらに、前述した第2流路形成部52の固定孔70を構成する流路として、第1板状部材52Aは貫通流路70Aを形成し、第2板状部材52Bは貫通流路70Bを形成する。貫通流路70A、70Bはともに第3板状部材52Cの外側に設けられており、第3板状部材52Cには固定孔は設けられていない。
【0059】
図15に示すように、第1板状部材52Aの主面において、個別空気流路60を構成する貫通流路60Aの外側には環状の凹部64が形成されている。凹部64は平面視で円環状の形状を有しており、図示しないパッキンが配置される。同様に、第1板状部材52Aの貫通流路58Aは主面側が横方向Cに拡径しており、拡径した部分に図示しないパッキンが配置される。これらのパッキンは、前述したネジ72の締結力によって第1流路形成部50に向けて押し付けられる。
【0060】
図4図5に戻ると、接続部18の周囲には円筒状のスペーサ66が設けられる。スペーサ66は、接続部18を囲むように配置され、接続部18を給気口46に挿入したときに、接続部18の軸方向Aの挿入量を制御するように作用する。接続部18を給気口46に挿入する際は、接続部18の外周面のネジ形状と給気口46の内周面のネジ形状を螺合させてもよい。図4図5以外の図面では、スペーサ66の図示を省略している。
【0061】
上記構成によれば、本体ケーシング9にアタッチメント部材14を取り付ければ、膜状吐水流S1およびストレート吐水流S2と、吐水流S1、S2の分離を促進する空気流Fを生じさせることができる。本実施形態では特に、膜状吐水用の第1吐水流路32にストレート吐水用の第2吐水流路34を連通させて、第1吐水流路32から第2吐水流路34に通水している。これにより、膜状吐水流S1とストレート吐水流S2に同一の水源を用いながらそれぞれの吐出するタイミングが揃いやすくなる等、所望の吐水形態を実現することができる。
【0062】
上述したように、本実施形態の水栓2が備える吐水部構造としての吐水部4は、本体ケーシング9と、アタッチメント部材14とを備える。本体ケーシング9は、水を供給する給水口42および空気を供給する給気口46をそれぞれ形成した底部44と、給水口42および給気口46を内側に囲みながら底部44から筒状に延びる筒状部48とを有する。アタッチメント部材14は、本体ケーシング9の底部44に接続して取り付けられ部材であり、接続部18と、流路形成部50、52とを備える。接続部18は、アタッチメント部材14の給気口46に接続され、給気口46から供給される空気を内側に通過させる。流路形成部50、52は、本体ケーシング9の底部44および筒状部48に対向して配置され、底部44および筒状部48との間に、給水口42からの水を膜状に吐水するための第1吐水流路32を形成する。流路形成部50、52はその内部に、第2吐水流路34と、空気流路40、60とを形成する。第2吐水流路34は、流路形成部52の底面に設けたストレート吐水用の吐水口22と第1吐水流路32とを接続する流路である。空気流路40、60は、流路形成部52の底面における吐水口22の周囲に設けた空気吹出口24と接続部18の内部空間38とを接続する。
【0063】
このような構成によれば、本体ケーシング9にアタッチメント部材14を取り付ければ、膜状吐水流S1およびストレート吐水流S2と、膜状吐水流S1とストレート吐水流S2をそれぞれ分離して安定的に吐水するための空気流Fとを同時に実現することができる。また流路形成部50、52において、ストレート吐水用の第2吐水流路34は膜状吐水用の第1吐水流路32から通水している。このため、膜状吐水流S1とストレート吐水流S2に同一の水源を利用しながらそれぞれの吐水開始のタイミングが揃いやすくなる等、所望の吐水形態を実現することができる。
【0064】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、空気吹出口24は、流路形成部52の底面において周方向Rに間隔を空けて3か所に分けて設けられ、空気吹出口24のそれぞれに個別に接続される個別空気流路60を複数有する。第2吐水流路34は、複数の個別空気流路60どうしの隙間を通って延びる。このような構成によれば、流路形成部50、52における内部スペースを有効活用しながら第2吐水流路34と複数の個別空気流路60を形成することができる。
【0065】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、流路形成部50、52は、第1流路形成部50と、第2流路形成部52とを有する。第1流路形成部50は、本体ケーシング9の底部44および筒状部48との間に第1吐水流路32を形成し、第2流路形成部52は、第1流路形成部50に嵌め込まれて流路形成部50、52の底面を形成する。第2流路形成部52は複数の個別空気流路60を形成し、第1流路形成部50は、複数の個別空気流路60に共通して接続し且つ接続部18の内部空間38に接続する共通空気流路40を形成する。このような構成によれば、各流路の設計の自由度を向上させることができる。
【0066】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、共通空気流路40は、接続部18の内部空間38に対して横方向Cに拡径しており、複数の個別空気流路60は、共通空気流路40が接続部18の内部空間38に対して拡径した箇所に接続される。このような構成によれば、接続部18の内部空間38から共通空気流路40に空気が流入したときに空気が外側に広がって複数の個別空気流路60に流入しやすくなる。さらには、複数の個別空気流路60の内側のスペースを広くとることができ、第2吐水流路34を中心側に引き延ばすスペースを確保することができる。
【0067】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、第2流路形成部52は、第1板状部材52Aと、第2板状部材52Bとを有する。第1板状部材52Aは、第1流路形成部50の共通空気流路40に主面を面して配置される板状の部材である。第2板状部材52Bは、第1板状部材52Aと主面どうしを重ねて配置され、流路形成部50、52の底面を形成する板状の部材である。複数の個別空気流路60は、第1板状部材52Aと第2板状部材52Bのそれぞれを厚み方向に貫通する空間として設けられている。第1板状部材52Aは、第2吐水流路34の一部を構成するように複数の個別空気流路60の外側で厚み方向に貫通する貫通流路58Aを形成し、第2板状部材52Bは、第2吐水流路34の一部を構成するように複数の個別空気流路60の内側で厚み方向に貫通する貫通流路58Bを形成する。第1板状部材52Aと第2板状部材52Bの主面どうしの間には、第1板状部材52Aの貫通流路58Aと第2板状部材52Bの貫通流路58Bを接続するように延びる接続流路としての貫通流路58Cが形成されており、貫通流路58Cは複数の個別空気流路60どうしの隙間を通って延びる。このような構成によれば、第2吐水流路34が屈曲する形状を第2流路形成部52において容易に実現することができる。
【0068】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、接続流路としての貫通流路58Cは、第2板状部材52Bの主面に設けた凹部62で構成される。このような構成によれば、接続流路を簡単に形成することができる。
【0069】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、第2板状部材52Bの凹部62に配置される第3板状部材52Cをさらに備え、第3板状部材52Cは、接続流路を構成するように厚み方向に貫通する貫通流路58Cを有する。このような構成によれば、第3板状部材52Cによって接続流路を容易に形成することができ、接続流路の設計の自由度も向上する。
【0070】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、第1流路形成部50は接続部18と一体的に構成され、第2流路形成部52は第1流路形成部50および接続部18とは別体で構成される。このような構成によれば、第1流路形成部50と接続部18を一体的に構成することで製造コストを低減することができ、第2流路形成部52を第1流路形成部50と別体で構成することで、各流路の設計の自由度が向上する。
【0071】
また本実施形態の水栓2の吐水部4では、固定部材としてのネジ72をさらに備え、ネジ72は、第2流路形成部52を第1流路形成部50に固定するように、第2流路形成部52を貫通して第1流路形成部50に挿入される。このような構成によれば、ネジ72によって第2流路形成部52を第1流路形成部50に固定することができる。また、流路形成部50、52の中に封止用のパッキンを設ける場合には、第1流路形成部50に向けてパッキンを押し付ける作用を生じさせることができる。
【0072】
また本実施形態の水栓2は、上述した吐水部構造としての吐水部4を備える。このような構成によれば、吐水部4と同様の効果を奏することができる。
【0073】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、上記実施形態では、空気吹出口24および個別空気流路60をそれぞれ周方向Rに間隔を空けて3か所に分けて設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。空気吹出口24および個別空気流路60は、周方向Rに間隔を空けて少なくとも2か所に分けて設ければ、ストレート吐水用の第2吐水流路34を個別空気流路60どうしの隙間を通過するように配置することができる。あるいは、空気吹出口24および個別空気流路60をそれぞれ1つのみ設ける場合であっても、周方向Rに部分的に欠けた形状とすることで、その欠けた部分に第2吐水流路34を通過するように配置することができる。
【0074】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、キッチン、洗面所、お風呂等に使用される水栓に有用である。
【符号の説明】
【0076】
2 水栓
4 吐水部
6 水ホース
8 空気ホース
9 本体ケーシング
10 第1開口部
12 第2開口部
14 アタッチメント部材
16 凹部
18 接続部
20 第1吐水口(膜状吐水口)
22 第2吐水口(ストレート吐水口)
24 空気吹出口
30 内部空間
32 第1吐水流路
34 第2吐水流路
36 内部空間
38 内部空間
40 共通空気流路(空気流路)
42 給水口
44 底部
46 給気口
48 筒状部
50 第1流路形成部
52 第2流路形成部
52A 第1板状部材
52B 第2板状部材
52C 第3板状部材
54 吸入口
56、56A、56B、56C 貫通流路
58、58A、58B、58C 貫通流路
60 個別空気流路(空気流路)
60A、60B、60C 貫通流路
62 凹部
64 凹部
70 固定孔
70A、70B、70C 貫通流路
72 ネジ(固定部材)
A 軸方向(厚み方向)
C 横方向
F 空気流
R 周方向
S1 膜状吐水流(第1吐水流)
S2 ストレート吐水流(第2吐水流)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16