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  • 特許-マッサージ器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】マッサージ器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20240315BHJP
   A61N 1/18 20060101ALI20240315BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/18
A61N1/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020174669
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065893
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501146513
【氏名又は名称】株式会社ジェイ クラフト
(73)【特許権者】
【識別番号】514079228
【氏名又は名称】ベレガ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】上野 博司
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-063481(JP,A)
【文献】特表平04-505561(JP,A)
【文献】特表2017-502748(JP,A)
【文献】特開2012-085767(JP,A)
【文献】特開平01-091870(JP,A)
【文献】特開2015-131029(JP,A)
【文献】特開2017-077305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61N 1/18
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体へ通電させつつマッサージを行う機器であって、本体部と、この本体部において、人体に接触可能な位置に配置された一方の電極と、この一方の電極と絶縁されて配置された他方の電極とを備え、前記本体部が、平板状の上部と、指間に挟める程度の太さの柱状で断面が楕円状の中部と、前記一方の電極が設けられた平板状の下部とにより構成され、さらに、前記中部には該中部を指間で挟持するための指間挟持部が形成され、この指間挟持部に前記他方の電極が設けられたマッサージ器。
【請求項2】
前記一方の電極が導電性の1個以上の突起とされている請求項1記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記本体部における前記一方の電極が設けられる側の縁部にカッサが形成されている請求項1又は2記載のマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体へ通電させつつ多彩なマッサージを行うことができるマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気刺激によって筋肉運動を促進させる機器は多数存在している。その中でも、例えば特許文献1~4には、電気刺激を与えつつ、いわゆる手もみを行うことでマッサージ効果が向上することが開示されている。
【0003】
特許文献1(特開2019-141355号公報)には、第1電極を有し、施術中に施術者の手に保持または装着されて前記第1電極が被施術者に密着する第1接触部と、第2電極を有し、施術中に前記第2電極が前記被施術者に密着して前記被施術者から移動しない第2接触部と、前記被施術者の筋肉を刺激する電気信号を前記第1電極および前記第2電極に出力する出力部とを備える電気刺激装置が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2013-208360号公報)には、それぞれ少なくとも表面の一部に導電材料で形成された電極を有する一対の手袋本体と前記手袋本体に取り付けられ前記電極への給電及び給電モードの制御を行う操作部とを備える電極付の一対の手袋において、一方の手袋本体に取り付けられた前記操作部が、他方の手袋本体の前記操作部へ他方の手袋本体の電極への給電及び給電モードの制御信号を送信する送信部を備え、他方の手袋本体に取り付けられた前記操作部が、前記制御信号を受信する受信部を備え、前記制御信号に対応して他方の手袋本体の電極への給電及び給電モードの制御を行う電極付手袋が開示されている。
【0005】
特許文献3(WO2003/088776号公報)には、電気絶縁材料からなる手袋本体と、前記手袋本体の手の平側の表面に間隔をおいて配設された対をなす電極と、前記手袋本体の手の甲側又は手の平側の手首寄りに取付けられた前記電極への給電制御を行う操作パネルと、前記手袋本体に取付けられて前記操作パネルの出力端子と前記各電極とを電気的に接続するリ一ド配線とを有することを特徴とする電極付手袋が開示されている。
【0006】
特許文献1は、一方の電極は肌に貼着し、他方の電極は手袋おける肌に接触する側に設けた構成なので、手袋を介した手指の例え指先1本でも人体に接触している限り、通電を伴ったマッサージが可能ではあるが、基本的にそれのみであって多彩なマッサージができないといった不具合があった。
【0007】
特許文献2,3は、片方の手袋につき親指と親指を除く残りの4指とを一対とした電極が設けられているので、片手のうち例えば4指だけとか、親指だけ、というマッサージができず、この場合も多彩なマッサージが行えないといった不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-141355号公報
【文献】特開2013-208360号公報
【文献】WO2003/088776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする問題は、従来のマッサージ器は、どうしても電極の配置による制限範囲内でしか、人体へ通電させつつマッサージが行うことができず、多彩なマッサージを行うことができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、人体へ通電させつつマッサージを行う機器であって、本体部と、この本体部において、人体に接触可能な位置に配置された一方の電極と、この一方の電極と絶縁されて配置された他方の電極とを備え、前記本体部が、平板状の上部と、指間に挟める程度の太さの柱状で断面が楕円状の中部と、前記一方の電極が設けられた平板状の下部とにより構成され、さらに、前記中部には該中部を指間で挟持するための指間挟持部が形成され、この指間挟持部に前記他方の電極が設けられた構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一方の電極は人体に、他方の電極は指間挟持部を介した手に形成されるから、手に関しては例えば親指1本でも、手のひらの一部でも、人体に接触すればよく、また、指間挟持部により本体部を指間に挟んで使うことができるので、手指や手のひらが自在に使え、多彩なマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のマッサージ器の上方から見た斜視図である。
図2】本発明のマッサージ器の下方から見た斜視図である。
図3】本発明のマッサージ器の、(a)は側面側から見た図、(b)は正面側から見た図、(c)は底面側から見た図、である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、どうしても電極の配置による制限範囲内でしか、人体へ通電させつつマッサージが行うことができず、多彩なマッサージを行うことができなかった点を、本体部と、この本体部において、人体に接触可能な位置に配置された一方の電極と、この一方の電極と絶縁されて配置された他方の電極とを備え、前記本体部が、平板状の上部と、指間に挟める程度の太さの柱状で断面が楕円状の中部と、前記一方の電極が設けられた平板状の下部とにより構成され、さらに、前記中部には該中部を指間で挟持するための指間挟持部が形成され、この指間挟持部に前記他方の電極が設けられた構成にすることで改善した。
【0014】
また、本発明は、上記構成において、前記一方の電極が導電性の1個以上の突起とされていてもよい。こうすることで、一方の電極は、単に電極という機能上の構成にとどまらず、マッサージの手法のうちの一部として使うことができ、一層多彩なマッサージが可能となる。
【0015】
さらに、本発明は、上記構成において、前記本体部における前記一方の電極が設けられる側の縁部にカッサが形成されていてもよい。カッサとは、薄板状のプレートを用いて肌を擦り、圧をかけて血液やリンパの流れを促進することで、代謝機能の向上、むくみの改善、リフトアップ効果を得る美容法を意味すると共に前記薄板状のプレートを意味する。このカッサを形成することで、電気刺激を用いたマッサージを行いつつカッサを行うことが可能となり、一層多彩マッサージを行うことが可能となる。
【実施例
【0016】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図において、1は、人体へ通電させつつマッサージを行う本発明のマッサージ器であり、概略構成として、全体形状を形作る本体部2と、この本体部2において、人体に直接接触される一方の電極Aが配置された一方電極部3と、この一方の電極Aと絶縁された他方の電極Bが配置された他方電極部4と、本体部2の一部に手指の間に挟める形状とされた指間挟持部5が形成され、この指間挟持部5に他方の電極Bが設けられた構成とされている。なお、図示において、電極A、電極Bの導通部位にはドットハッチを付した。
【0017】
本体部2は、電源供給回路及び制御回路などを集中的に設けた上部2A、上記他方の電極Bが設けられた指間挟持部5が形成され、内部に充電池が収納された中部2B、上記一方の電極Aが設けられた一方電極部3となる下部2Cが形成されてなる。
【0018】
上部2Aには、充電用のコネクタを接続するコネクタ部2aが形成されており、また、上部2Aには無線通信用回路(不図示)が設けられており、全体としては平らで平面視(ア矢視)で、イ-ウ方向のイ側がやや尖った卵形状とされている。本例では、コネクタ部2aは、やや尖った側に形成されている。
【0019】
下部2Cは、例えば本例では、全体としては平らな形状とされ、底面視(エ矢視)で、イ-ウ方向のウ側がやや尖って、イ側の幅(イ-ウ方向と直交する方向)中央が若干円弧状に窪んだ外形形状とされている。
【0020】
下部2Cは、本例では、上記の外形の縁部にカッサ2bが形成されている。カッサ2bは、縁部の厚みを他の部位より薄くし、かつ最縁部を上部2A側に円弧が形成されるようにやや折り返してなる。
【0021】
カッサ2bは、単体では人体の皮膚上にやや斜め方向から当節させてそのまま少し皮膚下に向けて力を加えて皮膚上を滑らせることで、血流やリンパの流れが促進され、代謝機能の向上、むくみの改善、弛んだ筋肉のリフトアップの効果を得ることができる。
【0022】
中部2Bは、柱状とされ、指間に挟んでも作業上邪魔にならないよう、また、指が痛くならないように、指間に挟める程度の太さ、形状とされており、具体的には断面がイ-ウ方向に径が大きい楕円状とされている。
【0023】
本発明のマッサージ器1は、中部2Bに指間挟持部5が形成されており、この指間挟持部5により指間に挟んでも作業上邪魔にならないよう、また、指が痛くならないようになっているが、平板状の上部2Aと下部2Cが設けられていることにより、指間挟持部5(つまり中部2B)が、指間におけるア方向にも、エ方向にも抜けることのないようにしている。
【0024】
一方電極部3は、上記のとおり下部2Cに設けられ、樹脂製の本体部2(筐体)に対して、円形の例えば銅板にニッケルメッキ処理を施した(一方の)電極Aが設けられている。電極Aは、本例では、断面円弧の複数(十字状に5個)の突起3aが形成されている。電極Aとして突起3aを設けることで、該電極Aに人体に電気刺激を与える電極としての機能だけでなく押圧マッサージの機能を付与することができる。
【0025】
他方電極部4は、中部2Bにおける指間挟持部5に電極Bが設けられ、つまり指間における指のどこかと電極Bが接触できるように設けられている。電極Bは、上記電極Aと同じく(形状は異なる)、銅板にニッケルメッキ処理が施されてなる。
【0026】
上記構成のマッサージ器1は、例えば人差指と中指の間で指間挟持部5を挟むことで他方の電極Bと接触した手と、一方の電極Aとを、人体に接触させることで、人体を介した該電極Aと電極Bの間の通電回路が形成される。電極Aに対する、電極B側の指の動きにより、電極A-電極B間の人体の抵抗値が変動して電気刺激具合も変わり、電気刺激を使った多彩なマッサージ効果を得ることができる。
【0027】
また、マッサージ器1は、指間挟持部5を指間に挟持して電極Bと接触した状態で手の一部分が人体に接触すれば、他の部位、例えば指先、手のひら、は(人体に接触してもしていなくても)自由に扱うことができる。具体例として、親指1本だけで押圧するような場合は、電極Aを人体に接触させて、指先挟持部5(電極B)を人差指と中指の間で挟持し、全体として手のひらを開いて使えばよい。
【0028】
さらに、本例のマッサージ器1は、電極Aに突起3aを設けているから、上記の具体例のように使う際に、手のひら全体から人体へ押圧することで突起3aから点状の押圧をすることができ、単なる電極というだけでなく、マッサージ効果を有することになる。
【0029】
また、本例のマッサージ器1は、一方の電極部3の形成された下部2Cにカッサ2bを設けているから、上記の具体例のように使う際に、本体部2を若干傾けて(このとき、電極Aの面が人体から部分的に浮く可能性があるが、部分的でも接触していればよい)、手のひら全体から傾けた本体部2の下方傾斜した部分に押圧しながら、皮膚に沿って移動させることで、血流、リンパの流れを促進するという効果を得ることができる。
【0030】
さらに、本発明のマッサージ器1は、いわゆるマイクロカレントと称される微弱電流(1μA~1000μA)を用いることで、電気的な刺激をほとんど感じさせることなく、また、神経や筋肉を興奮させることなく、ほぼ手指によるマッサージだけを体感させつつ、ATP(アデノシン三リン酸)の増加を促進し、筋肉組織や皮膚組織の回復を促すことができる。
【0031】
このように、本発明のマッサージ器1は、指間挟持部5を有することで、電気刺激を与えるための回路形成のために手指の動きに制限があった従来のものと異なり、手指や手のひらを比較的自由に使って多彩なマッサージが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 マッサージ器
2A 上部
2B 中部
2C 下部
2b カッサ
2 本体部
3 一方電極部
3a 突起
4 他方電極部
5 指間挟持部
A (一方の)電極
B (他方の)電極
図1
図2
図3