(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法
(51)【国際特許分類】
B23K 15/00 20060101AFI20240315BHJP
G21B 1/17 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B23K15/00 501Z
B23K15/00 505
G21B1/17 B
(21)【出願番号】P 2022516631
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2021140829
(87)【国際公開番号】W WO2023087488
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】202111382417.5
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520416233
【氏名又は名称】中国科学院合肥物質科学研究院
【氏名又は名称原語表記】HEFEI INSTITUTES OF PHYSICAL SCIENCE, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.350 Shushanhu Road Hefei,Anhui 230031(CN)
(73)【特許権者】
【識別番号】522101047
【氏名又は名称】淮南新能源研究中心
【氏名又は名称原語表記】HUAINAN NEW ENERGY RESEARCH CENTER
【住所又は居所原語表記】South Of Taining Street And West Of Guohuai Road,Shannan New District, High-tech Zone Huaian City, Anhui 230071 China
(73)【特許権者】
【識別番号】522101058
【氏名又は名称】合肥聚能電物理高技術開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI JUNENG ELECTRO PHYSICS HIGH-TECH DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Dongpu Island Hefei City, Anhui 230031 China
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】劉 志宏
(72)【発明者】
【氏名】劉 振飛
(72)【発明者】
【氏名】馬 建国
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-074937(JP,A)
【文献】実公昭48-030827(JP,Y1)
【文献】特開昭52-059039(JP,A)
【文献】特開平10-024370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 15/00
B23K 37/06
G21B 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップS1とステップS2とを含む核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法であって、
ステップS1において、変断面板の突合せ溶接継目の背面に敷板を配置し、変断面板は、直面板セグメントと曲面板セグメントとを含み、敷板は、直敷板セグメントと曲敷板セグメントとを含み、
曲敷板セグメントは、曲面板セグメントの
曲率の反中心側に
位置し、
ステップS2において、電子ビーム溶接により直面板セグメントに対応する突合せ溶接継目及び曲面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を順に溶接
し、
前記ステップS2は、以下のステップS21からステップS23を含み、
ステップS21において、曲面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を水平方向に沿って複数の部分に等分し、
ステップS22において、電子ビーム溶接により、第1溶接プロセスパラメータで直面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を溶接し、
ステップS23において、電子ビーム溶接により、第2溶接プロセスパラメータで前記曲面板セグメントを等分した各部分に対応する突合せ溶接継目を順に溶接し、
第1溶接プロセスパラメータ及び第2溶接プロセスパラメータのパラメータには、いずれも溶接ビーム電流、収束電流及び溶接速度が含まれ、第1溶接プロセスパラメータと第2溶接プロセスパラメータとは値が異なる、
ことを特徴とする、核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項2】
前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流をI
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流をI
anとすると、
【数1】
であり、式中、nは曲面板セグメントの等分数を示し、Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示し、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示すことを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項3】
前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける収束電流をL
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける収束電流をL
anとすると、
【数2】
であり、式中、nは曲面板セグメントの等分数を示し、Nは曲面板セグメントの等分総量を示し、Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示し、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示すことを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項4】
前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接速度をV
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接速度をV
aとすると、
【数3】
であり、式中、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示すことを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項5】
前記ステップS22と前記ステップS23における電子ビーム溶接の加圧電圧値は同じであることを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項6】
前記ステップS22において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は円形波であり、振幅は1~3mmであり、振動周波数は10~1000Hzであることを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項7】
前記ステップS23において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は方形波であり、溶接方向における振幅は1~3mmであり、溶接方向に垂直な方向における振幅は0mmであり、振動周波数は10~1000Hzであることを特徴とする、請求項
1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【請求項8】
前記ステップS1の後であって前記ステップS2の前には、曲面板セグメントの正面に2つの接続板を配置するステップをさらに含み、2つの接続板は、それぞれ突合せ溶接継目の両側に位置し、前記接続板の一方側は、前記曲面板セグメントの正面に密着され、前記接続板の他方側は、前記曲面板セグメントの両端にそれぞれ接続されることを特徴とする、請求項1に記載の核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接技術分野に関し、特に核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核融合炉真空室窓の筐体は、核融合炉真空室の重要構造であり、真空室と外部診断装置、センサ装置などの装置との接続を実現するために用いられ、厚さが大きいステンレス鋼板を接続して製造されるものである。
図1に示すように、真空室の側壁と接続するために、窓筐体を一端である程度曲げる必要がある。ステンレス鋼板の厚さが大きいため、窓筐体全体を溶接した後、曲げることは容易ではなく、まず狭板材10を曲げ加工した後に、狭板材10を窓筐体に接合する必要がある。
【0003】
曲げ成形した狭板材10を溶接する際に、
図2に示すように、溶接断面は変断面であり、曲げセグメント30と非曲げセグメント40とを含む。現在、一般的には、非曲げセグメント40を電子ビーム溶接により溶接している。窓筐体の非曲げセグメント40が長いため、空間が限られた電子ビーム溶接機内で曲げセグメント30に対する回転溶接を実現することができない。そのため、通常、非曲げセグメント40を電子ビームにより溶接した後に、さらに開先アルゴンアーク溶接の方法により曲げセグメント30を溶接する。
【0004】
しかしながら、開先アルゴンアーク溶接の方法により曲げセグメント30を溶接する際に、ステンレス鋼板の厚さが大きいため、多層多パス溶接プロセスを採用する必要がある。そうすると、突合せ溶接継目20の溶接変形が大きく、溶接作業に時間がかかる問題がある。一セットの窓筐体には5パスのこのような溶接継目があり、各パスの溶接継目については、開先から溶接完成まで約7日間が必要である。核融合炉真空室には、複数セットの窓筐体が必要とされるため、大量生産が実現されにくいとともに、溶接変形が大きいと、真空室と窓筐体との精確な接合が困難であり、機械的校正には多くの時間がかかり、核融合炉真空室装置の生産は大きく阻害される。
【発明の概要】
【0005】
上記問題を鑑み、本発明の目的は、従来技術において、開先アルゴンアーク溶接の方法により曲げセグメントを溶接するときに、溶接変形が大きく、溶接作業に時間がかかるため、大量生産を実現しにくく、真空室と窓筐体との精確な接続に影響を与えるという問題を解決するために、核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術的手段は以下の通りである。
【0007】
本発明に係る核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセスは、以下のステップを含む。
ステップS1において、変断面板の突合せ溶接継目の背面に敷板を配置し、変断面板は、直面板セグメントと曲面板セグメントとを含み、敷板は、直敷板セグメントと曲敷板セグメントとを含み、曲敷板セグメントの一方側は、曲面板セグメントの背面に密着され、曲敷板セグメントの厚さは、曲面板セグメントの直面板セグメントに接続される側から曲面板セグメントの他方側に向かって徐々に増大し、
ステップS2において、電子ビーム溶接により直面板セグメントに対応する突合せ溶接継目及び曲面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を順に溶接する。
【0008】
好ましくは、前記ステップS2は、以下のステップS21からステップS23を含み、
ステップS21において、曲面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を水平方向に沿って複数の部分に等分し、
ステップS22において、電子ビーム溶接により、第1溶接プロセスパラメータで直面板セグメントに対応する突合せ溶接継目を溶接し、
ステップS23において、電子ビーム溶接により、第2溶接プロセスパラメータで前記曲面板セグメントを等分した各部分に対応する突合せ溶接継目を順に溶接し、
第1溶接プロセスパラメータ及び第2溶接プロセスパラメータのパラメータには、いずれも溶接ビーム電流、収束電流及び溶接速度が含まれ、第1溶接プロセスパラメータと第2溶接プロセスパラメータとは値が異なる。
【0009】
好ましくは、前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流をI
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流をI
anとすると、
であり、式中、nは曲面板セグメントの等分数を示し、Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示し、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示す。
【0010】
好ましくは、前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける収束電流をL
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける収束電流をL
anとすると、
であり、式中、nは曲面板セグメントの等分数を示し、Nは曲面板セグメントの等分総量を示し、Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示し、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示す。
【0011】
好ましくは、前記ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接速度をV
bとし、前記ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接速度をV
aとすると、
であり、式中、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示す。
【0012】
好ましくは、前記ステップS22と前記ステップS23における電子ビーム溶接の加圧電圧値は同じである。
【0013】
好ましくは、前記ステップS22において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は円形波であり、振幅は1~3mmであり、振動周波数は10~1000Hzである。
【0014】
好ましくは、前記ステップS23において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は方形波であり、溶接方向における振幅は1~3mmであり、溶接方向に垂直な方向における振幅は0mmであり、振動周波数は10~1000Hzである。
【0015】
好ましくは、曲面板セグメントの正面に2つの接続板を配置し、2つの接続板は、それぞれ突合せ溶接継目の両側に位置し、前記接続板の一方側は、前記曲面板セグメントの正面に密着され、前記接続板の他方側は、前記曲面板セグメントの両端にそれぞれ接続される。
【0016】
本発明の実施例に係る核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法は、従来技術に比べて以下の有益な効果を有する。
【0017】
本発明の実施例に係る核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法では、変断面板1の突合せ溶接継目の背面に敷板2を配置し、厚さが曲面板セグメントの直面板セグメントに接続される側から曲面板セグメントの他方側に向かって徐々に増大する変厚さ敷板の構造を使用することにより、変断面板の曲面板セグメントにおける突合せ溶接継目での溶込み深さは、ビーム方向における突合せ断面厚さよりも大きいため、変断面板を1回で溶接成形することができ、曲面板セグメントを溶接するときに開先アルゴンアーク溶接に変換する必要がない。窓筐体を製造するための変断面板の突合せ溶接継目を1回でクランプし、1回で電子ビーム溶接成形するため、1本の溶接継目では、クランプから溶接完了まで約半日かかり、溶接作業の効率が大幅に向上し、大量生産は可能になり、核融合真空室装置の生産進捗に有利であるとともに、1回で溶接成形され、途中に溶接方式を変更する必要がないため、溶接変形が減少し、真空室の側壁と窓筐体を組み立てるときの形状及び位置精度が確保され、機械的校正のコストを削減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】窓筐体を溶接する際の突合せ溶接継目の断面模式図である。
【
図3】本発明の実施例において変断面板に敷板、接続板を配置した構造の模式図である。
【
図4】本発明の実施例において変断面板に敷板、接続板を配置した構造の断面模式図である。
【符号の説明】
【0019】
10、狭板材;20、突合せ溶接継目;30、曲げセグメント;40、非曲げセグメント;
1、変断面板;11、直面板セグメント;12、曲面板セグメント;
2、敷板;21、直敷板セグメント;22、曲敷板セグメント;
3、接続板。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面及び実施例により本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0021】
本発明の実施例に係る核融合炉真空室窓の変断面構造の電子ビーム溶接プロセス方法は、窓筐体を製造するための変断面構造の突合せ溶接継目20を溶接するのに使用される。この変断面構造は、等厚変断面板1であり、ステンレス鋼材質で作成される。複数の変断面板1の突合せ溶接継目20に対して
図3に示される溶接方向に沿って溶接を行い、窓筐体を形成する。
【0022】
電子ビーム溶接プロセス方法は、以下のステップを含む。
ステップS1:変断面板1の突合せ溶接継目20の背面に敷板2を配置する。これによって、溶融池が重力の作用により漏れることがないとともに、先端欠陥が引き出され、突合せ溶接継目組織が浄化される。
図3、4に示すように、変断面板1は、等厚変断面板であり、直面板セグメント11と曲面板セグメント12を含む。直面板セグメント11及び曲面板セグメント12の厚さはいずれもδである。敷板2は、直敷板セグメント21と曲敷板セグメント22を含む。曲敷板セグメント22の一方側は、曲面板セグメント12の背面に密着される。曲敷板セグメント22の厚さは、曲面板セグメント12の直面板セグメント11に接続される側から曲面板セグメント12の他方側に向かって徐々に大きくなる。曲面板セグメントを溶接する際に、溶込み深さはビーム方向における突合せ断面厚さよりも大きいことが保証されることで、曲面板セグメントに対する電子ビーム溶接成形の実現が保証される。例えば、曲面板セグメント12における断面の内側弧の側において、曲面板セグメント12と直面板セグメント11との接続点をA点とし、曲面板セグメント12の他方側の端点をB点とする場合、曲敷板セグメント22の厚さはA点からB点の方向に向かって徐々に大きくなる。好ましくは、曲敷板セグメント22の曲面板セグメント12に密着した側は円弧状であり、曲敷板セグメント22上の円弧辺の対角は直角であり、1つの直角辺は曲敷板セグメント22の曲面板セグメント12に対抗する側辺であり、もう1つの直角辺は曲敷板セグメント22の底辺であり、これによって、敷板2が容易に配置され得る。さらに、曲敷板セグメント22の頂辺は、曲面板セグメント12に密着した側から側辺の直角辺方向へ延在して配置され、頂辺は、底辺と平行に配置される。底辺の長さは頂辺の長さより長い。頂辺と底辺との間の鉛直距離は曲敷板セグメント22の最大厚さである。また、底辺は、側辺の直角辺の側から直敷板セグメント21の方向へ延在して配置される。直敷板セグメント21は矩形である。曲敷板セグメント22の底辺は直敷板セグメント21の底辺は同一の直線にある。直敷板セグメント21及び曲敷板セグメント22は一体に成形されることが好ましい。
【0023】
ステップS2:電子ビーム溶接により直面板セグメント11に対応する突合せ溶接継目20及び曲面板セグメント12に対応する突合せ溶接継目20を順に溶接する。
【0024】
変断面板1の突合せ溶接継目20の背面に敷板2を配置し、厚さが曲面板セグメント12の直面板セグメント11に接続される側から曲面板セグメント12の他方側に向かって徐々に増大する変厚さ敷板2の構造を使用することにより、変断面板1の曲面板セグメント12における突合せ溶接継目20での溶込み深さは、ビーム方向における突合せ断面厚さよりも大きいため、変断面板1を1回で溶接成形することができ、曲面板セグメント12を溶接するときに開先アルゴンアーク溶接に変換する必要がないため、溶接作業の効率が大幅に向上し、大量生産は可能になり、核融合真空室装置の生産進捗に有利であるとともに、溶接変形が減少し、真空室の側壁と窓筐体を組み立てるときの形状及び位置精度が確保される。
【0025】
さらに、ステップS1の後であってステップS2の前には、曲面板セグメント12の正面に2つの接続板3を配置するステップをさらに含む。
図3に示すように、2つの接続板3はそれぞれ突合せ溶接継目20の両側に位置する。接続板3の一方側は円弧状であり、他方側は直線状である。接続板3の円弧状である側は曲面板セグメント12の正面に密着され、接続板3の直線状である他方側は曲面板セグメント12の両端にそれぞれ接続される。
図4に示すように、接続板3はA点とB点との間に接続される。曲面板セグメント12を斜め上向きに溶接する際に、溶融池は重力により下向きに流れるが、接続板3の存在により曲面板セグメントでの溶融池が重力の影響から保護され得る。接続板溶融池が流失しても構わず、溶接後に接続板を取り外せればよい。接続板は曲面板セグメントの溶融池の完全性を保護することができる。ここで、2つの接続板の厚さは同じであり、2つの接続板の厚さの和は変断面板の厚さδと同じである。
【0026】
さらに、ステップS2は、以下のステップを含む。
ステップS21:曲面板セグメント12に対応する突合せ溶接継目20を水平方向に沿って複数の部分に等分する。例えば、
図3に示すように、曲面板セグメント12の断面の内側弧側において、曲面板セグメント12と直面板セグメント11との接続点をA点とし、曲面板セグメント12の他方側にある端部をB点とし、A点の底辺における投影点をC点とし、B点の底辺における投影点をD点とする場合、CDセグメントを複数の部分に等分する。
【0027】
ステップS22:電子ビーム溶接により、第1溶接プロセスパラメータで直面板セグメント11に対応する突合せ溶接継目20を溶接する。
【0028】
ステップS23:電子ビーム溶接により、第2溶接プロセスパラメータで曲面板セグメント12を等分したそれぞれの部分に対応する突合せ溶接継目20を順に溶接する。ここで、第1溶接プロセスパラメータ及び第2溶接プロセスパラメータのパラメータには、いずれも溶接ビーム電流、収束電流及び溶接速度が含まれる。第1溶接プロセスパラメータと第2溶接プロセスパラメータは、値が異なる。異なる溶接プロセスパラメータ値で電子ビーム溶接プロセスにより変断面板1を1回で溶接成形する。
【0029】
ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流はI
bで示され、単位はmAである。ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接ビーム電流はI
anで示され、単位はmAである。
I
anは、電子ビーム溶接機の定格ビーム電流以下である。
式中、nは曲面板セグメントの等分数を示す。例えば、nの値の範囲は1~10であり、1~10以内の任意の整数であってもよい。Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示す。aは曲面板セグメントを示す。bは直面板セグメントを示す。
【0030】
ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける収束電流はL
bで示され、単位はmAである。ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける収束電流はL
anで示され、単位はmAである。
式中、nは曲面板セグメントの等分数を示す。Nは曲面板セグメントの等分総量を示し、10であってもよい。Rは曲面板セグメントの内側弧の半径を示す。aは曲面板セグメントを示す。bは直面板セグメントを示す。
【0031】
ステップS22において、第1溶接プロセスパラメータにおける溶接速度はV
bで示され、単位はmm/sである。ステップS23において、第2溶接プロセスパラメータにおける溶接速度はV
aで示され、単位はmm/sである。
式中、aは曲面板セグメントを示し、bは直面板セグメントを示す。
【0032】
さらに、第1溶接プロセスパラメータ及び第2溶接プロセスパラメータには、加圧電圧がさらに含まれる。ステップS22及びステップS23における電子ビーム溶接の加圧電圧値は同じである。
【0033】
異なる溶接プロセスパラメータで直面板セグメント11及び曲面板セグメント12をそれぞれ溶接することにより、溶接時に直面板セグメント11及び曲面板セグメント12に形成される溶接ビーム電流の振動波は異なる。ステップS22において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は円形波であり、振幅が1~3mmであり、振動周波数が10~1000Hzである。さらに、ステップS23において、電子ビーム溶接時の溶接ビーム電流の振動波形は方形波であり、溶接方向における振幅が1~3mmであり、溶接方向に垂直な方向における振幅が0mmであり、振動周波数が10~1000Hzである。
【0034】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎない。本発明の技術原理から逸脱しない限り、当業者が種々の改良及び置換を行うことができ、これらの改良及び置換も本発明の保護範囲に含まれるべきである。