IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カンネツの特許一覧

<>
  • 特許-冷凍装置 図1
  • 特許-冷凍装置 図2
  • 特許-冷凍装置 図3
  • 特許-冷凍装置 図4
  • 特許-冷凍装置 図5
  • 特許-冷凍装置 図6
  • 特許-冷凍装置 図7
  • 特許-冷凍装置 図8
  • 特許-冷凍装置 図9
  • 特許-冷凍装置 図10
  • 特許-冷凍装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
F25D11/00 102K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023192326
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2023-11-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393027729
【氏名又は名称】株式会社カンネツ
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】荒木 努
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516970(JP,A)
【文献】特開2007-032907(JP,A)
【文献】特開平06-253799(JP,A)
【文献】特表2013-500458(JP,A)
【文献】特開2009-030961(JP,A)
【文献】特開2004-156839(JP,A)
【文献】特開2002-013855(JP,A)
【文献】実開昭48-079051(JP,U)
【文献】米国特許第05505054(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F25C 1/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温の冷却液(A)を収容する有底円筒体(1)を備え、
上記有底円筒体(1)内に、飲食物(E)を保持するための飲食物保持体(2)と、該飲食物保持体(2)の底壁(15)側に固着されたプロペラ(3)とを、備え、
上記プロペラ(3)へ上記冷却液(A)を噴射して該プロペラ(3)を回転させることにより、上記飲食物保持体(2)を回転させるように構成したことを特徴とする冷凍装置
【請求項2】
低温の冷却液(A)を収容するとともに、1本の瓶入りアルコール(N)を収容する有底円筒体(1)を、備え、
上記有底円筒体(1)内に、上記瓶入りアルコール(N)を上方から挿入して保持するための瓶保持体(16)と、該瓶保持体(16)の底壁(18)側に固着されたプロペラ(3)とを、備え、
上記プロペラ(3)へ上記冷却液(A)を噴射して該プロペラ(3)を回転させることにより、上記瓶入りアルコール(N)を回転させるように構成したことを特徴とする冷凍装置
【請求項3】
複数の上記有底円筒体(1)を、備えるとともに、各上記有底円筒体(1)内に、上記瓶保持体(16)と、上記プロペラ(3)とを、備え、
複数の上記有底円筒体(1)を、載置台(17)上に設置し、
上記載置台(17)内に、上記冷却液(A)を冷却するための冷却機と、上記冷却液(A)を収容するタンクと、上記冷却液(A)を上記有底円筒体(1)内へ送出すポンプとを、配設し、
複数の上記有底円筒体(1)に対して、上記冷却機と上記タンクと上記ポンプとを、共用するように構成した請求項2記載の冷凍装置
【請求項4】
上記プロペラ(3)に上記冷却液(A)を噴射する噴射口(5)を、上記有底円筒体(1)の下方位置に設けるとともに、上記冷却液(A)を排出する排出口(6)を、上記有底円筒体(1)の上方位置に設けた請求項2又は3記載の冷凍装置。
【請求項5】
低温の冷却液(A)を収容する液体槽(14)を備えるとともに、該液体槽(14)内に、1本の瓶入りアルコール(N)を収容する有底円筒体(1)を、複数個備え、
上記有底円筒体(1)内に、上記瓶入りアルコール(N)を上方から挿入して保持するための瓶保持体(16)と、該瓶保持体(16)の底壁(18)側に固着されたプロペラ(3)とを、備え、
上記プロペラ(3)へ上記冷却液(A)を噴射して該プロペラ(3)を回転させることにより、上記瓶入りアルコール(N)を回転させるように構成し
上記プロペラ(3)に上記冷却液(A)を噴射する噴射口(5)を、上記有底円筒体(1)の下方位置に設けるとともに、上記冷却液(A)を上記有底円筒体(1)の上端縁からオーバーフローするように構成し、
上記有底円筒体(1)の上端縁からオーバーフローした上記冷却液(A)を排出する排出口(19)を、上記液体槽(14)の上方位置に設けたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項6】
上記プロペラ(3)を、 100rpm 以上 600rpm 以下の回転速度で回転させるように構成した請求項1,2,3又は5記載の冷凍装置。
【請求項7】
上記有底円筒体(1)が、上記プロペラ(3)を正回転させるために該プロペラ(3)に上記冷却液(A)を噴射する正回転用噴射口(5A)と、上記プロペラ(3)を逆回転させるための該プロペラ(3)に上記冷却液(A)を噴射する逆回転用噴射口(5B)とを、備え、上記正回転用噴射口(5A)及び上記逆回転用噴射口(5B)の内から択一的に上記冷却液(A)を噴射することにより、上記プロペラ(3)の正回転と逆回転とを、所定時間毎に切替運転するように構成した請求項2,3又は5記載の冷凍装置。
【請求項8】
上記冷却液(A)を上記プロペラ(3)へ間欠的に噴射し、上記プロペラ(3)の回転と停止とを、所定時間毎に繰返すように構成した請求項2,3又は5記載の冷凍 装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低温(例えば-30℃前後)の冷却液(エチルアルコール水溶液)中に食品を設置して冷凍する冷凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-70035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷凍装置は、飲食物を充分長時間をかけて過冷却してから冷却液中に設置するので、全体として、手間と時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、短時間にて冷凍完了することができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷凍装置は、低温の冷却液を収容する有底円筒体を備え、上記有底円筒体内に、飲食物を保持するための飲食物保持体と、該飲食物保持体の底壁側に固着されたプロペラとを、備え、上記プロペラへ上記冷却液を噴射して該プロペラを回転させることにより、上記飲食物保持体を回転させるように構成したものである。
【0007】
また、低温の冷却液を収容するとともに、1本の瓶入りアルコールを収容する有底円筒体を、備え、上記有底円筒体内に、上記瓶入りアルコールを上方から挿入して保持するための瓶保持体と、該瓶保持体の底壁側に固着されたプロペラとを、備え、上記プロペラへ上記冷却液を噴射して該プロペラを回転させることにより、上記瓶入りアルコールを回転させるように構成したものである。
【0008】
また、複数の上記有底円筒体を、備えるとともに、各上記有底円筒体内に、上記瓶保持体と、上記プロペラとを、備え、複数の上記有底円筒体を、載置台上に設置し、上記載置台内に、上記冷却液を冷却するための冷却機と、上記冷却液を収容するタンクと、上記冷却液を上記有底円筒体内へ送出すポンプとを、配設し、複数の上記有底円筒体に対して、上記冷却機と上記タンクと上記ポンプとを、共用するように構成したものである。
【0009】
また、上記プロペラに上記冷却液を噴射する噴射口を、上記有底円筒体の下方位置に設けるとともに、上記冷却液を排出する排出口を、上記有底円筒体の上方位置に設けたものである。
【0010】
また、低温の冷却液を収容する液体槽を備えるとともに、該液体槽内に、1本の瓶入りアルコールを収容する有底円筒体を、複数個備え、各上記有底円筒体内に、上記瓶入りアルコールを上方から挿入して保持するための瓶保持体と、該瓶保持体の底壁側に固着されたプロペラとを、備え、上記プロペラへ上記冷却液を噴射して該プロペラを回転させることにより、上記瓶入りアルコールを回転させるように構成し、上記プロペラに上記冷却液を噴射する噴射口を、上記有底円筒体の下方位置に設けるとともに、上記冷却液を上記有底円筒体の上端縁からオーバーフローするように構成し、上記有底円筒体の上端縁からオーバーフローした上記冷却液を排出する排出口を、上記液体槽の上方位置に設けたものである。
【0011】
また、上記プロペラを、 100rpm 以上 600rpm 以下の回転速度で回転させるように構成したものである。
【0012】
また、上記有底円筒体が、上記プロペラを正回転させるために該プロペラに上記冷却液を噴射する正回転用噴射口と、上記プロペラを逆回転させるための該プロペラに上記冷却液を噴射する逆回転用噴射口とを、備え、上記正回転用噴射口及び上記逆回転用噴射口の内から択一的に上記冷却液を噴射することにより、上記プロペラの正回転と逆回転とを、所定時間毎に切替運転するように構成したものである。
また、上記冷却液を上記プロペラへ間欠的に噴射し、上記プロペラの回転と停止とを、所定時間毎に繰返すように構成したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の冷凍装置によれば、短時間にて冷凍完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す斜視図である。
図2】使用状態を示す要部断面側面図である。
図3】説明用簡略平面図である。
図4】要部拡大断面図である。
図5】冷却液の流れを示す要部簡略断面図である。
図6】第2の実施の形態を示す要部簡略断面平面図である。
図7】要部簡略断面平面図である。
図8】第5の実施の形態を示す一部破断斜視図である。
図9】使用状態を示す要部断面側面図である。
図10】説明用簡略平面図である。
図11】冷却液の流れを示す要部簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。
本発明の冷凍装置は、飲食物Eを冷凍するものであって、低温の冷却液Aを収容する有底円筒体1を、複数個(図1の実施例では、3個)備える。低温の冷却液Aは、例えば、-35℃以上-25℃以下のエチルアルコール水溶液(アルコール濃度約60%)である。各円筒体1内に、飲食物Eを保持するための飲食物保持体2と、飲食物保持体2の底壁15側に固着されたプロペラ3とを、備える。本発明に於て、「底壁側に固着された」とは、底壁に直接固着された場合と、底壁に連設された軸を介して固着された場合との両方を含むものとする。プロペラ3へ冷却液Aを(図示省略のポンプによって)噴射してプロペラ3を連続的に回転させることにより、飲食物保持体2を回転させるように構成する。
【0016】
飲食物Eが瓶入りアルコールN(例えば、日本酒。特に、生酒。)である場合を、一例として、説明する。各円筒体1は、1本の瓶入りアルコールNを収容するためのものである。円筒体1内に、瓶入りアルコールNを上方から挿入して保持するための瓶保持体16と、瓶保持体16の底壁18側に固着されたプロペラ3とを、備える。プロペラ3へ冷却液Aを噴射してプロペラ3を連続的に回転させることにより、瓶入りアルコールNを回転させるように構成する。飲食物保持体2(瓶保持体16)を、例えば、多数の孔付き受皿状とする。プロペラ3の回転軸3Aを回転自在に支持する回転軸受4を設ける。なお、回転軸受4は、図2の玉軸受に限らず、メタル軸受であっても良い。
【0017】
複数の円筒体1を、載置台17上に設置する。載置台17内に、冷却液Aを冷却するための冷却機と、冷却液Aを収容するタンクと、冷却液Aを円筒体1内へ送出すポンプとを、配設する(冷却機、タンク、ポンプは、図示省略)。複数の円筒体1に対して、冷却機とタンクとポンプとを、共用するように構成する。冷却機、タンク、ポンプは、適宜、円筒体1と図示省略の配管にて接続されている。
【0018】
円筒体1の外周面側に、冷却液Aと外部との熱の移動を抑制するための断熱材12を備える。断熱材12は、例えば、発泡ウレタンから成る。プロペラ3に冷却液Aを噴射する噴射口5を、円筒体1の下方位置に設けるとともに、冷却液Aを排出する排出口6を、円筒体1の上方位置に設ける。
【0019】
図3は、噴射口5と排出口6との位置関係を示す平面図である。図3の二点鎖線Pは、プロペラ3(図2参照)の最外点が回転時に描く軌跡を示す。噴射口5は、プロペラ3の回転軸心から偏心した位置に冷却液Aを噴射する位置に開口している。排出口6は、プロペラ3の回転軸心から噴射口5とは逆の方向へ偏心した位置に開口するように設けるのが好ましい。プロペラ3は、図3の矢印Y3 方向(半時計回り)に回転する。
【0020】
図1図2に示すように、円筒体1を開閉自在として施蓋する蓋体7を備える。蓋体7の閉状態を保持するための電磁ロック13を備える。図4に示すように、蓋体7に、瓶入りアルコールNの栓Sを上方から押圧する押え部材8と、押え部材8を下方へ弾発付勢するバネ部材9と、押え部材8を鉛直軸心L廻りに回転自在に保持する回転軸受10とを、取着する。押え部材8等によって、瓶Bが芯ずれしたり、転倒することを防止することができる。図5に示すように、冷却液Aは、螺旋状に流れる。なお、図5では、プロペラ3、瓶保持体16等を、図示省略している。
【0021】
瓶入りアルコールNを飲食物保持体2(瓶保持体16)に保持させ、プロペラ3を、高速回転領域で回転させるように構成する。瓶Bの内部にアルコールの攪拌流が生じる。高速回転領域とは、 100rpm 以上 600rpm 以下である。望ましくは、 250rpm 以上 500rpm 以下である。回転速度が、上記範囲内にある場合、(瓶Bと冷却液Aとの間の)熱移動速度が速く、瓶入りアルコールNを、短時間で効率良く冷凍することができる。回転速度が、 100rpm 未満の場合、瓶Bの内部のアルコールに生じる攪拌流が微かであり、熱移動速度が遅い。回転速度が 600rpm を超える場合、熱移動速度が遅くなる(剥離流の再付着が顕著となり中心付近がかえって攪拌されにくくなるためだと考えられる)。
【0022】
瓶入りアルコールNの外面と、円筒体1の内周面との間隙寸法T(図2図5参照)を、5mm以上15mm以下に設定する。間隙寸法Tが、上記範囲にある場合、瓶Bと円筒体1の内周面との間隙が狭く、冷却液Aの流速が速くなり、熱伝達係数が上がり、冷却効果が高くなる。さらに、熱抵抗が減少する。すなわち、一層短時間で瓶入りアルコールNを冷凍することができる。間隙寸法Tが、5mm未満の場合、瓶入りアルコールNに圧力がかかり、瓶入りアルコールNが浮上がる虞れがある(特に、押え部材8等を省略した場合に、瓶入りアルコールNが浮上がる)。間隙寸法Tが、15mmを超える場合、冷却液Aの流速が遅くなり、熱伝達係数が下がり、冷凍に要する時間の短縮効果が小さくなる。
【0023】
図6図7は、第2の実施の形態を示す。円筒体1が、プロペラ3(図2参照)を正回転(図6の矢印Y1 方向)させるためにプロペラ3に冷却液Aを噴射する正回転用噴射口5Aと、プロペラ3を逆回転(図7の矢印Y2 方向)させるためのプロペラ3に冷却液Aを噴射する逆回転用噴射口5Bとを、円筒体1の下方位置の同一高さに、備える。正回転用噴射口5A及び逆回転用噴射口5Bの内から択一的に冷却液Aを噴射することにより、プロペラ3の正回転と逆回転とを、所定時間毎に切替運転するように構成する(例えば、電磁弁で切替える)。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0024】
第3の実施の形態について、説明する。冷却液Aをプロペラ3へ間欠的に噴射し、プロペラ3の回転と停止とを、所定時間毎に繰返すように構成する。具体的には、プロペラ3が、正回転と停止を繰返すように、冷却液Aをプロペラ3へ間欠的に噴射する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様とする。
【0025】
第4の実施の形態について、説明する。図6図7に示した冷凍装置に於て、プロペラ3が、正回転、停止、逆回転、停止を、順次、繰返すように、冷却液Aをプロペラ3へ間欠的に噴射する。すなわち、冷却液Aを、正回転用噴射口5Aから噴射し、その後、噴射を停止し、逆回転用噴射口5Bから噴射し、さらに、噴射を停止するという順に、プロペラ3へ間欠的に噴射し、プロペラ3の回転と停止とを、所定時間毎に繰り返すように構成する。その他の構成は、第2の実施の形態と同様とする。
【0026】
図8図11は、第5の実施の形態を示す。低温の冷却液Aを収容する液体槽14を備える。液体槽14は断熱材22を有する。断熱材22は、例えば、発泡ウレタンから成る。液体槽14内に、1本の瓶入りアルコールNを収容する有底円筒体1を、複数個備える。各円筒体1内に、瓶入りアルコールNを上方から挿入して保持するための瓶保持体16と、瓶保持体16の底壁18側に固着されたプロペラ3とを、備える。プロペラ3へ冷却液Aを噴射してプロペラ3を回転させることにより、瓶入りアルコールNを回転させるように構成する。プロペラ3に冷却液Aを噴射する噴射口5を、円筒体1の下方位置に設けるとともに、冷却液Aを円筒体1の上端縁からオーバーフローするように構成する。
【0027】
図10に示すように、各円筒体1へ共通の基配管20からの分岐配管21を接続する。円筒体1の上端縁からオーバーフローした冷却液Aを排出する排出口19(図8参照)を、液体槽14の上方位置に設ける。図11に示すように、冷却液Aは、螺旋状に流れる。なお、図11では、プロペラ3、瓶保持体16等を、図示省略している。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0028】
次に、本発明の冷凍装置を用いた飲食物の冷凍方法について説明する。低温の冷却液A中に飲食物Eを設置して飲食物Eを冷凍する。具体的には、冷却液Aを流すことにより飲食物Eを鉛直軸心L廻りに回転させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。例えば、飲食物Eが瓶入りアルコールNの場合、瓶入りアルコールNを鉛直状に設置するとともに、鉛直軸心L廻りに回転させつつ、冷凍する。
【0029】
瓶入りアルコールNを、高速回転領域で回転させて、瓶Bの内部にアルコールの攪拌流を生じさせるように構成する。
【0030】
なお、冷却液Aは、円筒体1から排出された後、(冷却機、タンク、ポンプ等を介して)再度、円筒体1へ流入するように、循環するように構成する。また、飲食物保持体2の形状・構造は、(多数の孔付き受皿状に限らず、)飲食物Eの形状・性質に合わせたものとする。また、瓶入りアルコールNは、ワイン、焼酎、招興酒等でも良い。また、飲食物Eは、(真空パックされた)肉、魚等、ソフトドリンク、ノンアルコール飲料、味醂、醤油等の調味料類を含むあらゆる飲食物であっても良い。
【0031】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、円筒体1の個数は増減可能である(各円筒体1内に、飲食物保持体2とプロペラ3とを備える)。例えば、円筒体1の個数を、1個、8個、12個等とするも良い。また、押え部材8、バネ部材9、回転軸受10を、省略するも良い。また、冷却液Aを冷却する冷却機、タンク、ポンプを、(載置台17に内蔵するのではなく、)別の場所に設置するように構成したセパレートタイプとするも良い。
【0032】
また、飲食物Eを飲食物保持体2に保持させ、プロペラ3を、高速回転領域で回転させるように構成するも良い。また、基配管20又は分岐配管21に小孔を形成して、冷却液Aを(円筒体1の内部へ噴出させるとともに)円筒体1の外部へも噴出させるように構成するも良い。また、図8等に示した第5の実施の形態の冷凍装置と基本構成が同じで、円筒体1が、正回転用噴射口5Aと逆回転用噴射口5Bとを備え、プロペラ3の正回転と逆回転とを、所定時間毎に切替運転するように構成するも良い。また、第5の実施の形態の冷凍装置と基本構成が同じ冷凍装置であって、冷却液Aをプロペラ3へ間欠的に噴射し、プロペラ3の回転と停止とを、所定時間毎に繰返すように構成するも良い。
【0033】
以上のように、本発明は、低温の冷却液A中に飲食物Eを設置して該飲食物Eを冷凍する冷凍方法に於て、上記冷却液Aを流すことにより上記飲食物Eを鉛直軸心L廻りに回転させて、上記飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍するので、熱伝達係数が上がり、短時間で飲食物Eを冷凍することができる。
【0034】
また、上記飲食物Eが、瓶入りアルコールNであって、該瓶入りアルコールNを鉛直状に設置して回転させるので、効率良く瓶入りアルコールNを冷凍することができる。
【0035】
また、上記瓶入りアルコールNを、高速回転領域で回転させて、瓶Bの内部にアルコールの攪拌流を生じさせるように構成したので、一層短時間で瓶入りアルコールNを冷凍することができる。
【0036】
また、低温の冷却液Aを収容する有底円筒体1を備え、上記円筒体1内に、飲食物Eを保持するための飲食物保持体2と、該飲食物保持体2の底壁15側に固着されたプロペラ3とを、備え、上記プロペラ3へ上記冷却液Aを噴射して該プロペラ3を回転させることにより、上記飲食物保持体2を回転させるように構成したので、駆動モーターが不要の簡易な構成とすることができる。そして、短時間で飲食物Eを冷凍することができる。
【0037】
また、低温の冷却液Aを収容するとともに、1本の瓶入りアルコールNを収容する有底円筒体1を、備え、上記円筒体1内に、上記瓶入りアルコールNを上方から挿入して保持するための瓶保持体16と、該瓶保持体16の底壁18側に固着されたプロペラ3とを、備え、上記プロペラ3へ上記冷却液Aを噴射して該プロペラ3を回転させることにより、上記瓶入りアルコールNを回転させるように構成したので、駆動モーターが不要の簡易な構成とすることができる。そして、短時間で飲食物Eを冷凍することができる。
【0038】
また、複数の上記円筒体1を、備えるとともに、各上記円筒体1内に、上記瓶保持体16と、上記プロペラ3とを、備え、複数の上記円筒体1を、載置台17上に設置し、上記載置台17内に、上記冷却液Aを冷却するための冷却機と、上記冷却液Aを収容するタンクと、上記冷却液Aを上記円筒体1内へ送出すポンプとを、配設し、複数の上記円筒体1に対して、上記冷却機と上記タンクと上記ポンプとを、共用するように構成したので、ひとつの円筒体1ごとに冷却機等を備える冷凍装置を複数台設置する場合と比較して、コンパクトとなる。
【0039】
また、上記プロペラ3に上記冷却液Aを噴射する噴射口5を、上記円筒体1の下方位置に設けるとともに、上記冷却液Aを排出する排出口6を、上記円筒体1の上方位置に設けたので、冷却液Aを螺旋状に流すことができて、効率良く瓶入りアルコールNを冷凍することができる。
【0040】
また、低温の冷却液Aを収容する液体槽14を備えるとともに、該液体槽14内に、1本の瓶入りアルコールNを収容する有底円筒体1を、複数個備え、各上記円筒体1内に、上記瓶入りアルコールNを上方から挿入して保持するための瓶保持体16と、該瓶保持体16の底壁18側に固着されたプロペラ3とを、備え、上記プロペラ3へ上記冷却液Aを噴射して該プロペラ3を回転させることにより、上記瓶入りアルコールNを回転させるように構成し、上記プロペラ3に上記冷却液Aを噴射する噴射口5を、上記円筒体1の下方位置に設けるとともに、上記冷却液Aを上記円筒体1の上端縁からオーバーフローするように構成し、上記円筒体1の上端縁からオーバーフローした上記冷却液Aを排出する排出口19を、上記液体槽14の上方位置に設けたので、駆動モーターが不要の簡易な構成とすることができる。そして、短時間で飲食物Eを冷凍することができる。また、円筒体1の周囲に、オーバーフローした冷却液Aが溜まり、円筒体1内の冷却液Aの温度を効率良く低温に保つことができる。
【0041】
また、上記プロペラ3を、高速回転領域で回転させるように構成したので、適切にかつ一層短時間で飲食物Eを冷凍することができる。例えば、瓶入りアルコールNを、(冷却液Aの流れが無い場合は、冷凍に約100分を要するところ、)15分~20分で冷凍することができる。
【0042】
また、上記円筒体1が、上記プロペラ3を正回転させるために該プロペラ3に上記冷却液Aを噴射する正回転用噴射口5Aと、上記プロペラ3を逆回転させるための該プロペラ3に上記冷却液Aを噴射する逆回転用噴射口5Bとを、備え、上記正回転用噴射口5A及び上記逆回転用噴射口5Bの内から択一的に上記冷却液Aを噴射することにより、上記プロペラ3の正回転と逆回転とを、所定時間毎に切替運転するように構成したので、瓶B内部のアルコールが十分攪拌され、冷却効率が高くなる。すなわち、一層短時間で瓶入りアルコールNを冷凍することができる。
【0043】
また、上記冷却液Aを上記プロペラ3へ間欠的に噴射し、上記プロペラ3の回転と停止とを、所定時間毎に繰返すように構成したので、瓶B内部のアルコールの攪拌が一層促進され、一層短時間で瓶入りアルコールNを冷凍することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 (有底)円筒体
2 飲食物保持体
3 プロペラ
5 噴射口
5A 正回転用噴射口
5B 逆回転用噴射口
6 排出口
14 液体槽
15 底壁
16 瓶保持体
17 載置台
18 底壁
19 排出口
A 冷却液
食物
瓶入りアルコール
【要約】
【課題】短時間にて冷凍完了することができる飲食物の冷凍方法を提供する。
【解決手段】低温の冷却液A中に飲食物Eを設置して飲食物Eを冷凍する冷凍方法に於て、冷却液Aを流すことにより飲食物Eを鉛直軸心L廻りに回転させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。飲食物Eが、瓶入りアルコールNであって、瓶入りアルコールNを鉛直状に設置して回転させる。瓶入りアルコールNを、高速回転領域で回転させて、瓶Bの内部にアルコールの攪拌流を生じさせるように構成する。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11