(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】空調箱及び空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/04 20060101AFI20240315BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
F24F13/04
F24F7/08 A
(21)【出願番号】P 2020078361
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2019086484
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591039632
【氏名又は名称】株式会社システック環境研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】落合 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】西郷 昌高
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099087(JP,A)
【文献】特開平08-285324(JP,A)
【文献】特開2019-105383(JP,A)
【文献】特開2017-150704(JP,A)
【文献】特開2019-039610(JP,A)
【文献】特開2017-083097(JP,A)
【文献】特開2012-057880(JP,A)
【文献】特開2018-031484(JP,A)
【文献】特開2012-247141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流入部を上部前面に有する箱体を備え、
該箱体の内部の上部で、前記流入部と対向する位置に取り付けられ、上方に吸込み口、下方に吹出し口を有するエアコンを設けて成り、
前記流入部から前記箱体の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、前記吸込み口から吸込まれ、前記吹出し口から吹出された空調された空気(I)の流線と、前記流入部から流入した空気のうち、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の流線とを動的に交差させる流線交差部を、前記エアコンの吹出し口の下方に有し、
前記流線交差部の下方に、前記空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して温度ムラのない空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる静的な混合空間を有
し、
前記エアコンを介することなく、前記空気(II)が、前記流入部を介して、前記箱体内に流入される部位に、高さ調整可能な堰板を設けてなり、
該堰板の幅方向上端面の高さは、前記エアコンの幅方向下端面と同じ高さであるか、あるいは前記エアコンの幅方向下端面の高さよりも高いことを特徴とする空調箱。
【請求項2】
前記混合空間の下方に、分配チャンバを設け、
該分配チャンバに、空調空気(III)を、空調対象となる複数の部屋に送風するために1又は2以上のファンを接続してなることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
【請求項3】
前記混合空間の側面の一側又は両側に分配チャンバを設け、
該分配チャンバに、空調空気(III)を、空調対象となる複数の部屋に送風するために1又は2以上のファンを接続してなることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
【請求項4】
請求項1記載の空調箱と、
請求項1記載の空調箱の混合空間とは別に設けられる分配チャンバに接続された複数のファンとからなり、
前記複数のファンに、空調対象となる複数の部屋の各々に、前記混合空間で生成された空調空気(III)を送風するためのダクトを接続してなる空調システムであって、
前記空調箱の混合空間には、温度調整機能を有し、
且つ前記空調箱の温度調整機能と、前記ファンにより空調空気の搬送機能を分離したことを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアコンを内蔵して空調空気を生成する空調箱及びこれを用いた空調システムに関し、設備コストを上昇させることなく、混合部内の空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができ、住宅の各部屋に快適な環境を形成できる空調箱及び空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋根裏に空調機室を設置し、複数のダクトを空調機室の側面から屋根裏下方の2階や1階の各部屋まで延ばして配設し、一つのエアコン(空調機)から温度調整された空気を、複数のダクトを介して住宅の各部屋に送風して空調を行うダクト式の住宅空調システムが開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1の技術では、屋根裏に設置された空調機室の側面から複数のダクトを各部屋まで配設する必要があり、特に、屋根裏から1階の部屋まで配設するダクトは、2階を通過させて配設する必要があり、長くなってしまう欠点がある。
【0004】
特許文献2には、特許文献1の欠点を解消し、住宅において屋根裏でなく1階や2階に設置可能な小型の空調ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-154623号公報
【文献】特開2016-99087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の空調ユニットは、小型化によって屋根裏ではなく2階等に設置可能になると共に、ダクト配設作業が容易になり、設置コストの低減を図ることが可能になる。
しかし、特許文献2の空調ユニットは、空調本来の快適な空間の形成という点で解決すべき課題が残されていた。
【0007】
すなわち、特許文献2の空調ユニットは、複数のファンと、エアコンとを作動させると、箱状筐体外の空気(外気)がエアフィルタを介して流入口からチャンバ室に流入するようになっており、そのチャンバ室内で、エアコンで空調された空調空気と混合され、チャンバ室内の空気が温度調整されようになっている。
【0008】
特許文献2では、複数のファンが接続されたチャンバ室で温度調整するようになっているため、その複数のファンが稼働すると、チャンバ室内の空気温度の調整が十分とは言えない場合であっても、複数の部屋に送られるおそれがあった。
【0009】
また上記温度調整の不備を解消するには、複数のファンの稼働を停止し、チャンバ室内の空気を別途設ける撹拌機で撹拌する必要があるが、この方法では、複数のファンの稼働と停止を制御する機構、攪拌機のON/OFF制御が必要になり、設備コストが上昇する欠点ある。
【0010】
そこで、本発明は、設備コストを上昇させることなく、混合空間内の空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができ、住宅の各部屋に快適な環境を形成できる空調箱及び空調システムを提供することを課題とする。
【0011】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
(請求項1)
空気の流入部を上部前面に有する箱体を備え、
該箱体の内部の上部で、前記流入部と対向する位置に取り付けられ、上方に吸込み口、下方に吹出し口を有するエアコンを設けて成り、
前記流入部から前記箱体の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、前記吸込み口から吸込まれ、前記吹出し口から吹出された空調された空気(I)の流線と、前記流入部から流入した空気のうち、前記吸込み口から吸込まれなかった空気(II)の流線とを動的に交差させる流線交差部を、前記エアコンの吹出し口の下方に有し、
前記流線交差部の下方に、前記空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して温度ムラのない空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる静的な混合空間を有することを特徴とする空調箱。
(請求項2)
前記混合空間の下方に、分配チャンバを設け、
該分配チャンバに、空調空気(III)を、空調対象となる複数の部屋に送風するために1又は2以上のファンを接続してなることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
(請求項3)
前記混合空間の側面の一側又は両側に分配チャンバを設け、
該分配チャンバに、空調空気(III)を、空調対象となる複数の部屋に送風するために1又は2以上のファンを接続してなることを特徴とする請求項1記載の空調箱。
(請求項4)
前記エアコンを介することなく、前記空気(II)が、前記流入部を介して、前記箱体内に流入される部位に、高さ調整可能な堰板を設けてなり、
該堰板の幅方向上端面の高さは、前記エアコンの幅方向下端面と同じ高さであるか、あるいは前記エアコンの幅方向下端面の高さよりも高いことを特徴とする請求項1又は2記載の空調箱。
(請求項5)
請求項1記載の空調箱と、
請求項1記載の空調箱の混合空間とは別に設けられる分配チャンバに接続された複数のファンとからなり、
前記複数のファンに、空調対象となる複数の部屋の各々に、前記混合空間で生成された空調空気(III)を送風するためのダクトを接続してなる空調システムであって、
前記空調箱の混合空間には、温度調整機能を有し、
且つ前記空調箱の温度調整機能と、前記ファンにより空調空気の搬送機能を分離したことを特徴とする空調システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設備コストを上昇させることなく、混合空間内の空調空気の温度のバラツキをほとんどなくすることができ、住宅の各部屋に快適な環境を形成できる空調箱及び空調システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】本発明の空調箱を用いた空調システムの好ましい実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の空調箱の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態を示す断面図である。
【0018】
図1において、本発明の空調箱1は、例えば、方形状の箱体10によって構成される。箱体10は、住宅の空間スペースを無用に減少させないようなコンパクトな形状に形成される。
【0019】
箱体10の内部には、1台のエアコン11が設けられている。本発明は、複数の部屋を1台のエアコンで、全部屋空調を行うことができる技術である。
本発明において、エアコン11は箱体10の内部の上部で、箱体10の背面壁12に着脱可能に固定されている。好適な空調箱を形成するためである。
【0020】
エアコン11は上方に吸込み口110、下方に吹出し口111を有し、冷房あるいは暖房のいずれの空調機能も有する。
空調能力は、格別限定されないが、一般的な1戸建て住宅の全ての部屋を対象にすると、最大風量800m3/Hrの汎用エアコンを用いることができる。
【0021】
空調箱1の幅と奥行の大きさは、エアコンの幅と奥行に依拠する。例えばエアコンが800mm幅×390mm奥行である場合、空調箱1は、850~1100mm幅×600~700mm奥行の範囲が好ましい。
【0022】
図1の形態では、箱体10の背面壁12の後ろに、図示しないダクト設置領域が設けられていることがあるので、そのダクト設置領域の寸法を加味することが好ましい。いずれの場合においても、箱体10の形状は、コンパクトであり、部屋の面積を無駄に消費することがないことが好ましい。
【0023】
箱体10の前面壁14には、レタン給気からなる空気の流入部15が、上部前面に開口しており、流入部15には、空調箱1への塵埃の侵入を阻止するためにフィルター(図示せず)が設置されている。ここで、レタンとは、リターンのことであり、環気を意味する。
【0024】
エアコン11は、レタン給気からなる空気の流入の便宜を考慮して空気の流入部15に対向する位置に設けられる。
【0025】
本実施形態において、流入部15から箱体10の内部に流入したレタン給気からなる空気のうち、エアコン11の吸込み口110から吸込まれ、吹出し口111から吹出された空調された空気(I)の流線IAと、流入部15から流入したレタン給気からなる空気のうち、吸込み口110から吸込まれなかった空気(II)の流線IIAとを動的に交差させる流線交差部16が、エアコン11の吹出し口110の下方に形成される。
【0026】
ここで、動的に交差させるというのは、空調された空気(I)の流線IAと空気(II)の流線IIAのいずれも、動いている状態(流動状態)にあって、その流線IAと流線IIAが交差していることを意味する。流線IAと流線IIAが交差するためには、流動状態で移動している方向は、流線IAが図示のように右下方向に向かって移動しているのに対して、流線IIAが図示のように左下方向に向かって移動していることが好ましい。
【0027】
空調された空気(I)の流線IAは、エアコン11の吹出し口111に設けられる案内板13の角度によって規定される。本実施形態において、案内板13の好ましい角度は、垂直方向に対して、45度~60度傾斜していることであり、より好ましくは、55度~60度傾斜していることである。
【0028】
流線交差部16の大きさは、箱体10の大きさが、例えば幅900mm×奥行き650mm×高さ1700mmである場合、幅900mm×奥行400mm×高さ100mmであることが好ましい。
【0029】
本発明では、流線交差部16の下方に、空気(I)と前記空気(II)とを静的に混合して、温度ムラのない空調空気(III)を生成する所定容積の空間からなる静的な混合空間17が形成されている。
【0030】
本発明によると、流線交差部16において、上述のように流線IAと流線IIAが交差することによって、空調された空気(I)と空気(II)を動的に混合しているが、この動的な流線交差だけでは、熱ムラが生じていて、本発明の目的を達成する上で十分とは言えない。
【0031】
そこで、上述の流線交差部16の下方に、静的な混合空間17を積極に形成し、静的に混合して、温度ムラのない空調空気(III)を生成するように構成した点が本発明の特徴である。
【0032】
混合空間17の大きさは、流線交差部16の下端から後述するファン190の送風口近傍までの領域であり、箱体10の大きさが、例えば幅900mm×奥行650mm×高さ1700mmである場合、幅900mm×奥行400mm×高さ200mmであることが好ましい。
【0033】
本発明において、温度ムラがないというのは、目標温度に近づき、目標温度に対して空調空気の温度の差が小さくなっていることである。
【0034】
このことは、水平方向で見ても、垂直方向で見ても、温度分布は均一である。つまり、温度のバラツキのない空調空気が生成されたことが後述の実験例で証明されている。
【0035】
温度のバラツキのない空調空気は、住宅の空調対象となる複数の部屋に、ファンを用いて送風される。つまり、1台のエアコンで、住宅の複数の部屋を空調でき、この結果、住宅の複数の部屋での温度のバラツキがなくなる。
【0036】
本実施形態において、混合空間17とは別に分配チャンバ19を設けることが好ましい。例えば、
図1に示すように、分配チャンバ19は混合空間17の下方に設けることができる。
【0037】
分配チャンバ19には、複数のファン190を接続してなることが好ましい。かかる複数のファン190により、混合空間17で生成された空調空気(III)を、空調対象となる各々の部屋に分配することができる。
【0038】
かかるファン190により、各部屋に空調空気を搬送するには、空調箱1と各部屋に接続されたダクトが設けられていることが好ましい。本実施形態においては、ファン190は分配チャンバに接続していなくてもよく、混合空間17近傍に設けられていればよい。
【0039】
次に、本発明の他の好ましい態様としては、流入部15に、高さ調整可能な堰板18を設けることが好ましい。
堰板18の高さ調整可能にする構成は格別限定されず、例えば、図示しないが、両側に設けたスライド溝に堰板18を係合させてスライドさせて高さ調節する手法が挙げられる。
【0040】
かかる堰板18を設けると、空気(II)が、流入部15を介して、箱体10内に流入され、流線交差部16へ送られる際に、堰板18が障害になり、わずかながら圧損を生じさせる。そのため、空調された空気(I)と空気(II)の流量比を変化させることができる。
【0041】
堰板18の幅方向上端面の高さは、
図1に示すように、エアコンの幅方向下端面よりもやや下方位置(5~50mm)であってもよい。これに限定されず、例えば、堰板の上端面の高さ位置は前記エアコンの幅方向下端面と同じ高さであるか、あるいは前記エアコンの幅方向下端面の高さよりも高いことが好ましい。これにより、空気(II)が流線交差部16へ送られる際の圧損が更に高くなるので、空調された空気(I)の流速により、流線交差部16へ引っ張られるように作用し、流線交差を助長する。
【0042】
更に分配チャンバ19に接続されたファン190を稼働させると、流入部15から箱体10内に導入される空気(II)が、吸引され、流線交差部16へ導入され、空調された空気(I)との流線交差を助長するので好ましい。
【0043】
次に、
図2に基づき、本発明の好ましい他の実施形態を説明する。
図2は、本発明の好ましい他の実施形態を示す正面図である。
図2において、内部を一点鎖線で示している。
【0044】
図1に示す実施形態では、混合空間17の下方に分配チャンバ19を設ける態様であったが、
図2に示す態様では、混合空間17の下方に、分配チャンバ19を設けることなく、混合空間17の側面に設けるものである。この場合、混合空間17の一方の側面に分配チャンバ19を設けてもよいし、あるいは両方に分配チャンバ19を設けてもよい。
【0045】
図示の例において、空調箱1の上方に2個、下方に2個のファン190が設けられているが、上方にファン190を設ける場合には、エアコン11の両側に図示しない仕切り板を設け、下方のファン190の近傍から分配チャンバ19に生成した空調空気(III)を送るようにした方が好ましい。
【0046】
次に、本発明の空調箱を用いた空調システムの好ましい実施形態について、
図3に基づいて説明する。
【0047】
本発明の空調システムは、上記何れかの実施形態の空調箱1と、分配チャンバ19に接続された複数のファン190とからなり、複数のファン190に、空調対象となる複数の部屋の各々に、混合空間17で生成された空気ムラのない空調空気(III)を送風するためのダクト191を接続している。
【0048】
空調箱1の混合空間17には、温度調整機能を有し、且つ空調箱1の温度調整機能と、複数のファン190により空調空気の搬送機能が分離されている。
【0049】
上述した空調箱1の混合空間17によって生成された温度のバラツキがない空調空気(III)は、住宅の空調対象となる複数の部屋20に、ファン190を用いて送風され、ダクト191を介して、各部屋に設けられた吹出し部21から供給される。
【0050】
吹出し部21は、図示の例では、部屋の下部に設けられているが、これに限定されず、各部屋を構成する家屋によりダクトの配管設計がなされるので、この配管設計に応じて、配置を変更することができる。また、図示の例では吹出し部21は2箇所設けられているが、これに限定されず、部屋の大きさ等に応じて数は変更可能である。
【0051】
(実施例)
以下、本発明の実施例によって、本発明の効果を例証する。
【0052】
【0053】
(1)空調箱の仕様は、以下の通りである。
・箱の形状(外寸):幅900mm×奥行650mm×高さ1700mm
・エアコン:最大800m3/Hr
汎用エアコン(三菱電機株式会社製「MSZ-ZXV3619S」)
・流線交差部16の仕様
エアコンの直下に設置した。
流線交差部16の大きさ:幅900mm×奥行400mm×高さ100
・混合空間17の仕様
混合空間の形状(内寸)は、幅900mm×奥行400mm×高さ200mmとした。
・堰板
堰板は、幅900mm×高さ300mmとした。堰板は、堰板の上端がエアコンの下端面と面一になるように設置した。
・空気(II)が空調箱に入る開口は、堰板の幅方向上端面と、エアコンの幅方向下端面によって形成される。開口形状は、幅900mm×高さ400mmとした。
・エアコンの下方に延びる案内板13によって、空調空気(I)の吹き出し角度を調整した。案内板13の傾斜角度は60度に設定し、空調空気(I)の吹き出し角度を60度に設定した。
・分配チャンバ
混合空間17の直下に備えられており、形状(内寸):幅900mm×奥行400mm×高さ1080mmとした。
・送風ファン
分配チャンバの背面側に配置した。送風ファンは、パナソニック株式会社製「FY27-JD7」を、4基使用した。
【0054】
(2)流線交差部16、及び混合空間17での空調結果
図1に示すように、空気(I)の流線と、空気(II)の流線とを流線交差部16で交差させる。この交差によって、空気(I)と空気(II)とを動的に混合させる。
その後、流線交差部16の下方に形成された混合空間17で、静的な混合を継続し、空調空気(III)を生成した。
【0055】
(3)空調空気(III)について、混合空間17から分配チャンバ19を介して送風ファンに送る目標温度を30℃とした。
【0056】
(4)流線交差部16、及び混合空間17での温度計測
混合空間内の温度を、熱電対(T&D社製おんどとり)を使用して計測した。
4個の熱電対は、板体に100mm間隔で取り付けた。
・高さ0mm、奥行き0mmの地点をエアコンの案内板13の直下位置に設定した。奥行き位置に、熱電対(計測器1、2、3、4)を、
・奥行き0mmの位置に計測器1、100mmの位置に計測器2、200mmの位置に計測器3、奥行き300mmの位置に計測器4を設置した。
各計測器で、まず高さ0mmでの温度を計測した。
そして、計測器1~4を高さ方向に50mmずつ下方にずらして設置して、高さ300mmの位置までの温度を計測した。計測器の計測位置を
図4に示す。
【0057】
計測器4の高さ位置0mmの温度は、23.6℃であった。これは、流入部15から流入し、エアコンを通過しない空気(II)の温度である。
計測器2の高さ位置0mmの温度は、36.7℃であった。これは、エアコンの吹き出し口から送風された空気(I)の温度である。
高さ位置100mmの流線交差部16の平均温度は、で、28.7℃であった。
高さ位置200mmの混合空間17の平均温度は、28.6℃であった。
高さ位置300mmの混合空間17の平均温度は、28.5℃であった。
【0058】
高さ位置300mmの混合空間17の温度は、計測器1で30.3℃、計測器2で30.3℃であった。つまり、送風ファン付近の温度は、30.3℃に混合空調されていたことが確認された。
【0059】
つまり、流線交差部16から混合空間17にかけて徐々に平均気温が下がっており、目標温度である30℃になるように、流線交差部16で、空気(II)の23.6℃の流線と、エアコンの空調空気(I)の36.7℃の流線が交差し、混合空間17において、高さ100mmの位置から300mmの位置にかけて空気が交差し、混合された混合空調空気(III)は、送風ファンに近づくにしたがって、ほぼ目標温度になっていっていることが確認された。混合空間17で、温度ムラのない空調空気(III)を生成されたことが確認された。
【符号の説明】
【0060】
1: 空調箱
10:箱体
11:エアコン
110:吸込み口
111:吹出し口
12:背面壁
13:案内板
14:前面壁
15:流入部
16:流線交差部
17:混合空間
18:堰板
19:分配チャンバ
190:ファン
191:ダクト
20:部屋
21:吹出し部