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▶ 株式会社ウエ・ルコの特許一覧

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  • 特許-釣り用誘引剤およびケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】釣り用誘引剤およびケース
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20240315BHJP
   C07C 229/00 20060101ALN20240315BHJP
【FI】
A01K79/00 Z
C07C229/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020205679
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2021094021
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2019224903
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596106984
【氏名又は名称】株式会社ウエ・ルコ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 鉄平
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-253097(JP,A)
【文献】特表2011-500038(JP,A)
【文献】特開2002-272337(JP,A)
【文献】米国特許第07131233(US,B1)
【文献】実開平02-111266(JP,U)
【文献】特開昭63-237747(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137641(JP,U)
【文献】特開昭57-091160(JP,A)
【文献】実開昭51-088591(JP,U)
【文献】特開2000-083513(JP,A)
【文献】特開2007-006727(JP,A)
【文献】登録実用新案第3151267(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/00
C07C 229/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

水溶性フィルムよりなるパック本体内に釣り用誘引溶液が密封充填され、前記釣り用誘引溶液中の水分含有率が前記パック本体を溶解不可とするように小さく設定されてなり、通水孔を備えるケース内に収納されて使用され、

前記釣り用誘引溶液が、アミノ酸を主成分とする誘引成分液と、蛍光増白剤が混入されたポリプロピレングリコール液との混合溶液である、釣り用誘引剤。
【請求項2】

請求項1の釣り用誘引剤を収容し通水孔を備えるケースであって、釣り用誘引剤を収容する収容空間を構成する外殻部と、外殻部に形成される前記通水孔と、を有するケース。
【請求項3】

前記外殻部は、第1外殻部と、前記第1外殻部に対して開閉可能に連結された第2外殻部と、を有し、前記第1外殻部に対して前記第2外殻部が閉じられることで前記収容空間を構成する、請求項記載のケース。
【請求項4】

前記外殻部は、魚類、甲殻類又は貝類のいずれかを模した外形を有している、請求項2又は3記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

この発明は、釣り用誘引剤および釣り用誘引剤を使用する際に用いられるケースに関する。
【背景技術】
【0002】

海釣り等の場合、餌を液状の釣り用誘引液に浸漬し、海中内においてその釣り用誘引液を拡散させ、魚を誘引することでより高い釣果を得ることが行われている。
【0003】

しかしながら、上記従来の方法の場合、餌を液状の釣り用誘引液に浸漬する等に手間がかかるとともに、餌から釣り用誘引液が短時間に海中に拡散し、誘引効果が十分に発揮されない問題があった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】

この発明は上記の事情に鑑みて行ったもので、手間をかけることなく使用でき、誘引効果が持続して良好に発揮される釣り用誘引剤を提供することを目的とする。
【0005】

この発明では、水溶性フィルムよりなるパック本体内に釣り用誘引溶液が密封充填され、前記釣り用誘引溶液中の水分含有率が前記パック本体を溶解不可とするように小さく設定されてなることを特徴とする釣り用誘引剤を提供する。
【0006】

上記釣り用誘引剤は、水溶性フィルムよりなるパック本体が釣り用誘引溶液によって溶解しないので、非使用時の持ち運びや取り扱いがパック形態において容易に行われる。釣り使用に際しては、海水中において釣り用誘引剤のパック本体が溶解するのに伴って流出した釣り用誘引溶液が海水中に徐々に溶け出すことで、誘引効果が持続されて発揮される。
【0007】

実験により、各種の水溶性フィルムを用いた場合において、釣り用誘引溶液中の水分含有率は10重量%未満と設定されることで、長期間パック本体の溶解が発生しないことが確認された。釣り用誘引溶液中の水分含有率を10重量%未満とすることは、例えば、釣り用誘引溶液における油成分を90重量%以上とすることで達成される。この発明の釣り用誘引剤は適宜の釣り用誘引溶液を選択使用し、また、適宜の釣り方法を選択することで、各種の釣り対象に対して用いられ、タコ釣り等において好適に用いられる。
【0008】

この発明の釣り用誘引剤は、直接に釣り糸に取り付けて使用してもよいが、通水孔を備えるケース内に収納して使用することで、釣り開始時に直接に大量の海水と接触しないのでパック本体の溶解に時間を要し、より長くその誘引効果が持続される。
【発明の効果】
【0009】

この発明によれば、容易に用いることができるとともに、誘引効果が持続され良好に発揮される釣り用誘引剤を提供することができ、これにより、容易に多大な釣果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】

図1】この発明の釣り用誘引剤の実施形態の外観斜視図
図2】この発明の釣り用誘引剤の収納ケースの第1実施形態の外観斜視図
図3】この発明の釣り用誘引剤の収納ケースの第1実施形態の開き時の外観斜視図
図4】この発明の釣り用誘引剤を使用するタコ釣り具の説明図
図5】この発明の釣り用誘引剤を使用するタコ釣状態説明図
図6】この発明の釣り用誘引剤の収納ケースの第2実施形態の外観斜視図
図7】この発明の釣り用誘引剤の収納ケースの第2実施形態の開き時の外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】

図1はこの発明の釣り用誘引剤の斜視図である。釣り用誘引剤1はバック本体2内に釣り用誘引溶液3が密封充填されて構成されている。パック本体2は平面形状を略長方形とし、その平面大きさは4.0cm×3.5cmとしている。パック本体2は2枚の76ミクロン厚のポリビニールアルコール樹脂製のフィルムが積層状態とされて周囲部7が密着固定され、中央に膨らみ部9を備えており、その膨らみ部9内に9ミリリットルの釣り用誘引溶液3が密封充填されている。
【0012】

釣り用誘引溶液3としては、アミノ酸を主成分とする誘引成分液(10重量%)と、粉体よりなる蛍光増白剤が混入されたポリプロピレングリコール液(90重量%)の混合溶液を使用する。蛍光増白剤の添加率としてはポリプロピレングリコール液に対し、1%以下となるように混入されることが好ましい。
【0013】

図2図3は釣りの際に釣り用誘引剤1を収納使用する樹脂製のケース11であり、第1実施形態のケース11である。図6図7は第2実施形態のケース11である。ケース11は、上下面に通水孔12を備えている。
【0014】

図6図7に係る第2実施形態の合成樹脂製のケース11は、釣り用誘引剤を収容する収容空間を構成する外殻部と、外殻部に形成される通水孔12とを有する。外殻部は、第1外殻部20と、第1外殻部20に対して開閉可能に連結された第2外殻部21とを有し、第1外殻部20に対して第2外殻部21が閉じられることで1つの収容空間を構成するものである。通水孔12は、第1外殻部、第2外殻部21の双方または片方に設けられている。
【0015】

第1外殻部20と第2外殻部21はそれぞれ収納空間が形成されている。外殻部を閉じた状態で保持するために、第1外殻部には保持手段22を備え、第2外殻部にベルト状の保持手段22を巻き付け保持される。相互の保持手段が係合することで、外殻部は閉じた状態が保持される。
【0016】

第1外殻部20および第2外殻部21は、二枚貝の貝殻の左殻および右殻を模した外形を有しており、第1外殻部20に対して第2外殻部21が閉じられることで、閉じた貝類の外形を構成する。
【0017】

図4はタコ釣り具13を示し、釣り竿14から延びる釣り糸15の先端に、重り16と釣り針付きの疑似餌18とケース11とが一体に連結されたタコ釣りセット19が装着されている。釣り用誘引剤1はケース11内に収納されて用いられている。
【0018】

図5は上記タコ釣りセット19の海底における配置状態を示し、ケース11は疑似餌18の近傍に位置し、ケース11内に通水孔12を通って侵入した海水により内部の釣り用誘引剤1のパック本体2が溶解していく。これにより釣り用誘引溶液3がケース11の通水孔12を通して海水内に流出して疑似餌18の近傍の海水に溶け出し誘引効果を発揮する。そして、誘引されたタコが疑似餌18を捕獲しようとする際に疑似餌18の釣り針に引っ掛かって釣り上げられる。
【0019】

釣り用誘引剤1を用いることで、同釣り場で同時間従来のように液状の釣り用誘引液を浸漬した餌を用いた状態で釣りを行った場合に比して、明らかに大きな釣果が得られたことが確認された。これは、ケース11内に侵入した海水により釣り用誘引剤1のパック本体2が溶解していくのに伴って、釣り用誘引溶液3がケース11外に流出して疑似餌18の近傍の海水に徐々に溶け出し、誘引効果が持続されることによると考えられる。とくに、釣り用誘引剤1がケース11内に収納使用されることで、釣り開始時に直接に大量の海水と接触しないことでパック本体2の溶解に時間を要し、より長くその誘引効果が持続されることによると考えられる。くわえて、釣り用誘引溶液3に含まれる蛍光増白剤による集魚性能が発揮されることでも誘引効果が高められたと考えられる。
【0020】

釣り開始から所定時間後にタコ釣りセット19を引き上げ、ケース11内の釣り用誘引剤1が無くなっていることが確認された場合は、ケース11内に新たな釣り用誘引剤1を入れて釣りを継続して行う。
【0021】

本発明におけるケース11は、透明若しくは透光性を有するものであっても、不透明であってもよい。

ケース11を透明若しくは透光性を有するものとした場合には、釣用誘引剤1がなくなっているかどうかを外部から視認することができ、便利である。
【0022】

本発明は、第2実施形態のケース11として、貝類の外形を模したものを開示したが、本発明は当該形状に限定されるものではなく、例えば、魚類、甲殻類等の外形を模したものとすることも可能である。
【0023】

ケース11の形状を、魚類、甲殻類、貝類等とすることによって、更なる集魚性能の向上が期待できる


【符号の説明】
【0024】

1 釣り用誘引剤

2 パック本体

3 釣り用誘引溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7