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▶ コエルクス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】太陽空模倣照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 9/02 20180101AFI20240315BHJP
   F21K 9/60 20160101ALI20240315BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20240315BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240315BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240315BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240315BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20240315BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20240315BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240315BHJP
【FI】
F21V9/02
F21K9/60
F21V3/00 320
F21V5/04 350
F21V5/04 400
F21V9/08 200
F21V9/08 400
G02B3/00 A
G02B5/02 A
F21Y105:16
F21Y115:10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021557833
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020052848
(87)【国際公開番号】W WO2020201938
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102019000004775
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520457694
【氏名又は名称】コエルクス・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】COELUX S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】モルテーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ラガッツィ,パウロ
(72)【発明者】
【氏名】ロッティ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マガッティ,ダヴィデ
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535135(JP,A)
【文献】国際公開第2018/157902(WO,A1)
【文献】特開2005-259653(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101994988(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 9/02
F21K 9/60
F21V 3/00
F21V 5/04
F21V 9/08
G02B 3/00
G02B 5/02
F21Y 105/16
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽や空からの光に近い自然光を発生させるための太陽空模倣照明装置(100)であって、
直射光発生器(10)と、拡散光発生器(50)と、を備え、
前記直射光発生器(10)は、
直射光(13)が照射される第1発光面(11)と、
直射光方向(15)に関して前記第1発光面(11)よりも上流に位置するアウトプット面(22)を出射するコリメート光(23)を、一次光から生成するように構成されたコリメート光源(20)と、
を備え、
前記直射光(13)は、前記直射光方向(15)を中心とした角度分布において第1ピークを有する輝度プロファイル(Ldirect(x,y,θ,φ))を有し、前記アウトプット面(22)を出射する前記コリメート光(23)は、前記直射光方向(15)を中心とした前記角度分布において、狭いピークである第2ピーク(14)を有する輝度プロファイル(Lcoll(x,y,θ,φ))を有し、
前記拡散光発生器(50)は、
少なくとも部分的に光透過性であり、前記直射光発生器(10)の下流に配置され、第2発光面(51)を有し、前記第2発光面(51)で拡散光(53)を発生させるように構成され、
前記太陽空模倣照明装置は、前記直射光発生器(10)と前記拡散光発生器(50)とが協働して、前記第2発光面(51)に、前記狭いピーク(14)に含まれる方向に沿って伝搬する第1光成分(54)と、前記狭いピーク(14)から離れる方向に沿って伝搬する第2光成分(53)と、を含む外光(53,54)を形成するように構成されており、
前記第1光成分(54)は、前記第2光成分(53)のCCTよりも低いCCTを有しており、
前記直射光発生器(10)は、前記直射光方向(15)に対して、前記コリメート光源(20)の前記アウトプット面(22)の下流であって、かつ前記第1発光面(11)の上流に配置された光学ユニット(30)を備え、
前記光学ユニット(30)は、前記直射光(13)の前記輝度プロファイル(Ldirect(x,y,θ,φ))の前記第1ピークが、前記コリメート光(23)の前記輝度プロファイル(Lcoll(x,y,θ,φ))の前記第2ピークよりも大きくなるように、前記アウトプット面(22)から出る前記コリメート光(23)と相互作用して、前記第1発光面(11)から放出される前記直射光(13)を生成するように構成されており、
前記光学ユニット(30)は、
前記ピークの半値全幅(FWHM)として測定される第1発散角(α1,α1’)を有するピークを伴う第1角度プロファイルを有する第1応答関数によって特徴付けられ、前記コリメート光源(20)の前記アウトプット面(22)から出る前記コリメート光(23)を少なくとも部分的に遮り、ユニットインプット面(31)を画定するように配置される第1平面光混合素子(33,33’)、及び、
前記ピークの半値全幅(FWHM)として測定される第2発散角(α2)を有するピークを伴う第2角度プロファイルを有する第2応答関数によって特徴付けられ、前記ユニットインプット面(31)を横切る光を少なくとも部分的に遮断し、ユニット発光面(32)を画定するように、前記ユニットインプット面(31)の下流に配置される第2平面光混合素子(34)、
を備え、
前記第1発散角(α1,α1’)および前記第2発散角(α2)が40°以下であり、
前記第1平面光混合素子(33,33’)および前記第2平面光混合素子(34)は、前記直射光方向(15)に沿って測定された最小ユニット深さ(z1)の少なくとも一部が互いに離間しており、前記直射光発生器(10)の前記第1発光面(11)を出る前記直射光(13)の均一な輝度を得るように構成されている、太陽空模倣照明装置(100)。
【請求項2】
前記最小ユニット深さ(z1)は、1cm≦z1≦50cmの間で構成される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記最小ユニット深さ(z1)は、5cm≦z1≦30cmの間で構成される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1平面光混合素子(33)と前記第2平面光混合素子(34)との間の少なくとも一方は、ピークの半値全幅(FWHM)として測定される発散角(α1,α2)を有する角度プロファイルを有する応答関数によって特徴付けられる低角白色光拡散器であり、
前記低角白色光拡散器は、前記アウトプット面(22)を出る前記コリメート光(23)の前記輝度プロファイル(Lcoll(x,y,θ,φ))の前記ピークのぼかしを引き起こすように構成されており、
前記低角白色光拡散器は、
透明な層またはバルク材料の外面に形成されたマイクロ屈折体の表面的なランダムな分布、および、
透明層またはバルク材料中の透明微粒子の分散体であって、該透明微粒子と、該層またはバルク材料と、の間に屈折率の不一致が生じている分散体、
のうちの少なくとも一方を任意に含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2平面光混合素子(34)の前記低角白色光拡散器は、前記拡散光発生器(50)の前記第2発光面(51)と拡散器インプット面(52)との少なくとも一方に形成された透明微粒子の分散体またはマイクロ屈折体の表面的なランダム分布として、前記拡散光発生器(50)に組み込まれている、請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1平面光混合素子(33’)は、一対のマイクロレンズアレイ(33’a,33’b)を備えるマイクロ光学光混合器であり、
前記一対のマイクロレンズアレイの第1アレイ(33’a)の各マイクロレンズは、前記一対のマイクロレンズアレイの第2アレイ(33’b)の各マイクロレンズに対して焦点距離で配置され、前記第2アレイ(33’b)のマイクロレンズが、前記第1アレイ(33’a)の各マイクロレンズの像を遠視野に生成し、
前記マイクロ光学光混合器(33’)は、受光角(α_acc)と、前記ピークの半値全幅(FWHM)として測定される発散角(α1’)を有するピークを示す角度プロファイルを有する、受光角(α_acc)内を透過するコリメート光パルスに対する応答関数と、によって特徴付けられる、請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
光学ユニット(30)は、さらに、壁で区切られたボイドボリュームによって任意に形成された、並んで整列した複数のチャンネル(35a)を備える2次元的に延びるチャンネル構造体(35)を備え、
前記チャンネル(35a)の前記ボイドボリュームを隔てる前記壁は、任意に、可視光の吸収係数が70%以上の光吸収材で作られている、又は該光吸収材でコーティングされている、請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記チャンネルは、互いに密着して配置されている、請求項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記チャンネル構造(35)は、前記第1平面光混合素子(33)の下流に配置されている、請求項又はに記載の照明装置。
【請求項10】
前記光学ユニット(30)は、前記第1平面光混合素子(33,33’)に対して横方向に延び、前記光学ユニット(30)の内側に向かっている少なくとも1つの横方向の面(38)を備えており、前記横方向の面(38)は、反射率η_rが70%以上の材料でコーティング、または該材料で製造されている、請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光学ユニット(30)は、前記第1平面光混合素子(33,33’)に対して横方向に延び、前記光学ユニット(30)の内側に向かっている少なくとも1つの横方向の面(38)を備えており、前記横方向の面(38)は、反射率η_rが70%以上の材料でコーティング、または該材料で製造されている、請求項7に記載の照明装置であって、
前記少なくとも1つの横方向の面(38)は、前記第1平面光混合素子(33,33’)、または、前記第2平面光混合素子(34)に面する複数の整列した前記チャンネル(35a)の端部によって定義される平面に接し、又は重なり、前記第2平面光混合素子(34)に向かって延びている照明装置。
【請求項12】
前記コリメート光源(20)は、それぞれが発光素子(24)と、前記発光素子(24)によって照射される少なくとも1つのコリメートレンズ(25)と、を備える発光装置(21)のアレイを備え、
前記発光素子(24)は、少なくとも一部が、可視光の吸収係数が70%以上の光吸収材で作られた、または該光吸収材が内部にコーティングされた中空のハウジング(26)に収容されており、少なくとも1つのコリメーションレンズ(25)が配置される開口部を少なくとも備える、請求項1から1のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
各発光装置(21)は、前記コリメーションレンズ(25)よりも上流に配置され、前記発光素子(24)に実質的に接触または近接しているプリコリメーションレンズ(27)をさらに備え、
前記プリコリメーションレンズ(27)は、発光円錐内で一定の強度で実質的に角度を有して発光し、前記コリメーションレンズ(25)の光インプット面(25a)全体を均一に照射するように構成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項14】
前記プリコリメーションレンズ(27)は、前記発光素子(24)に面する凹状に湾曲した光インレット面(27a)と凸状に湾曲した光アウトレット面(27b)とを備えている、請求項13に記載の照明装置。
【請求項15】
前記光インレット面(27a)と前記光アウトレット面(27b)とは、非球面プロファイルを有している、請求項14に記載の照明装置。
【請求項16】
前記プリコリメーションレンズは、プリコリメーションレンズの高さ(b2)を有し、前記コリメーションレンズ(25)の前記インプット面(25a)のベースは、前記プリコリメーションレンズ(27)の前記インレット面(27a)のベースからレンズ距離(h)だけ離れており、
プリコリメーションレンズの高さ(b2)と前記レンズ距離(h)との比(b2/h)は、0.2~0.8の範囲で構成されており、
及び/又は、
前記プリコリメーションレンズ(27)がプリコリメーションレンズ最大幅(b1)を有し、
前記コリメーションレンズ(25)がコリメーションレンズ最大幅(C)を有し、
前記プリコリメーションレンズ最大幅(b1)と前記コリメーションレンズ最大幅(C)との比(b1/C)は、0.3~0.85の範囲で構成されており、
及び/又は、
前記プリコリメーションレンズ(27)は、最大幅(b1)と高さ(b2)とを特徴とし、
前記コリメーションレンズ(25)は、最大幅(C)を特徴とし、前記プリコリメーションレンズ(27)の前記光インレット面(27a)の前記ベースと、前記コリメーションレンズ(25)の前記光インプット面(25a)の前記ベースとの間で測定した距離(h)だけ前記プリコリメーションレンズ(27)から離間し、
前記最大幅(C)と前記距離(h)との比、および前記最大幅(b1)と前記高さ(b2)との比が0.8~1.6の範囲であり、
前記プリコリメーションレンズ(27)がプリコリメーションレンズ最大幅(b1)を有し、
前記発光素子(24)が発光素子出射面を有し、前記発光素子(24)出射面の幅(a1)と前記プリコリメーションレンズ最大幅(b1)との比(a1/b1)が0.2(1:5)~0.04(1:25)の範囲であり、
0.01~0.04倍のレンズ距離(h)で構成される最大値よりも小さいギャップ(d)で、前記発光素子(24)の発光面が前記プリコリメーションレンズ(27)の前記光インレット面(27a)から離間している、請求項14又は15に記載の照明装置。
【請求項17】
前記コリメート光源(20)は、前記発光素子のアレイ(21)の下流で前記アウトプット面(22)の上流に配置されたチャンネル構造(35)をさらに備えており、
前記チャンネル構造(35)には、前記発光装置(21)から放出された迷光が存在し、前記チャンネル構造(35)に当たることを特徴とする第1コリメート光を、カット角(α_cut)よりも高い角度で伝搬する迷光を実質的に含まない第2コリメート光(23)に変換する、請求項1から1のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽や空からの自然光の知覚を実現する、太陽空模倣照明装置に関する。
【0002】
より正確に言えば、空と太陽からの自然光の知覚は、空と太陽が向こう側にある開口部、つまり窓が同じ場所に配置された場合に同じ部屋に現れる効果と非常によく似た効果で周囲を照らす照明装置の能力と、空が無限の奥行きを持ち、太陽の光源が無限の位置にあるような視覚的外観を作り出す、装置を直接見たときの装置自体の外観の両方に関係している。
【0003】
したがって、本発明の実施形態が実現する目的は、以下の2つの主要なカテゴリーに分けることができる。
-太陽空模倣照明装置が発する光による周囲の照明
-照明装置自体の外観
【背景技術】
【0004】
空や太陽からの自然光を知覚するための周囲の照明に関する要件については、同じ出願人が提出したWO2009/156347A1に記載されている照明装置を参照することができる。これらの照明装置の1つは、広帯域でスポット状の光源と、光源から一定の距離を置いて配置されたレイリー散乱パネルとを備えている。パネルは、光源からの光線を、光源の色温度よりも低い相関色温度(CCT)を有する透過成分と、より高いCCTを有する拡散成分と、に分離するが、CCTの違いは、レイリー領域で、散乱効率が波長の4乗の逆数で増加することによる。光源がパネルに比べて小さい限り、直射光はパネルによる拡散冷光の下で青みを帯びた物体の影を落とすことができる。
【0005】
しかしながら、WO2009/156347A1に記載された装置は、照明装置自体を直接見たときの視覚的外観に関する要件を適切に満たしていない。実際、パネルを通して光源を見る観察者は、無限遠ではなく、光源が配置されている所定の空間位置で見る。直射日光が発散しているということは、人工太陽のスポットが見える方向や開口角(ペナンブラ)が固定されているわけではなく、観察者の位置や光源からの距離に依存している。このような視覚的な手がかりにより、観察者は光源が無限の距離にあると自然に解釈することができない、つまり、この視覚的な手がかりにより、空と太陽の光景が無限の奥行きを持つものとして認識されず、光源自体が光景の限界がある奥行きを定義する。
【0006】
同じ出願人によって出願された特許出願WO2014/075721A1には、観察者が前記人工照明装置を直接見たときに、視覚的知覚の手がかりの間およびそれら内での矛盾なしに、空と太陽の画像の無限の視覚的奥行き知覚を経験させるように、平行で、シャープで、照明されたシーンの残りの部分よりも青みがかった影を形成することに成功した人工照明装置が記載されている。WO2014/075721A1の装置は、太陽からの光と同様の輝度プロファイルを有する光を生成することができる直射光源と、直射光源の下流に配置され、入射光に対して少なくとも部分的に透明であり、直射光源によって生成された光のCCTよりも高いCCTを有する拡散光を放出するように構成された拡散光発生器とを利用する。詳細には、WO2014/075721A1に記載されている直射光源は、一次光から、発光面を横切って(空間依存性に関して)均一であり、狭いピーク(すなわち、角度依存性に関して)を有する輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)を有する発光面を存在させる直射光を生成するように構成されており、xおよびyは、発光面に垂直な軸xおよびyに沿った横方向の座標であり、θは、直射光方向に対して測定された極角であり、φは、方位角である。「狭い」という用語は、一般的に、Ldirect(x,y,θ,φ)が2πsrよりも著しく小さい、例えば0.4srよりも小さい立体角で挟まれたピークを有することを意味すると解釈される。拡散光発生器が少なくとも部分的に光透過性であるという事実により、直射光の少なくとも一部は拡散光発生器の下流に伝搬する。その結果、外光は、狭小ピークに含まれる方向に沿って伝搬する第1光成分と、狭いピークから離間した方向に沿って伝搬する第2光成分とを含み、第1光成分は、第2光成分のCCTよりも低いCCTを有している。
上記の特定された輝度角度プロファイルの制約を達成するために、WO2014/075721A1には、実質的に均一な暗い背景を持つコリメート光源の下流に配置されたフィルタリング層を利用する直射光源が記載されている。フィルタリング層は、コリメート光源から発せられ、フィルタリング層に衝突する迷光の存在によって特徴付けられるコリメートビームを、第1コリメートビームの発散と実質的に等しい発散を有し、迷光がない第2コリメートビームに変換できるように選択される。
WO2014/075721A1に記載の実施形態では、フィルタリング層は、マイクロレンズの2次元アレイと、迷光のみを除去して第1コリメートビームを第2コリメート光ビームに正しく変換するために、その幾何学的形状と相対的な位置関係との精度の程度において非常に厳しい制約を満たす必要がある吸収材料のマイクロチューブと、からなる微細構造で構成されている。したがって、上記のような輝度角プロファイルの制約を満たすことができる直射光源を製造するためには、非常に複雑な製造技術が必要となり、製造コストも非常に高くなる。
さらに、WO2014/075721A1で提供された直射光源のための実施形態は、場合によっては、発光面全体で必要な空間的均一性を達成する上で、依然としてささいな問題を示す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本開示は、少なくとも部分的に、先行システムの1つまたは複数の側面を改善または克服すること、特に、高度に複雑な製造プロセスを必要としないより単純な構造によって、上記の特定された輝度角度プロファイルの制約を達成することができる解決策に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様において、本開示は、太陽や空からの光に近い自然光を発生させるための太陽空模倣照明装置であって、直射光が照射される第1発光面と、直射光方向に関して前記第1発光面よりも上流に位置するアウトプット面を出射するコリメート光を、一次光から生成するように構成されたコリメート光源と、を備え、前記直射光は、前記直射光方向を中心とした角度分布において第1ピークを有する輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)を有し、前記出射面を出射する前記コリメート光は、前記直射光方向を中心とした前記角度分布において、狭いピークである第2ピークを有する輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)を有する直射光発生器、及び、少なくとも部分的に光透過性であり、前記直射光発生器の下流に配置され、第2発光面を有し、前記第2発光面で拡散光を発生させるように構成され、前記太陽空模倣照明装置は、前記直射光発生器と前記拡散光発生器とが協働して、前記第2発光面に、前記狭いピークに含まれる方向に沿って伝搬する第1光成分と、前記狭いピークから離れる方向に沿って伝搬する第2光成分と、を含む外光を形成するように構成されており、前記第1光成分は、前記第2光成分のCCTよりも低いCCTを有している拡散光発生器、を備え、前記直射光発生器は、前記直射光方向に対して、前記コリメート光源の前記出光面の下流であって、かつ前記第1発光面の上流に配置された光学ユニットを備え、前記光学ユニットは、前記直射光の前記輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)の前記第1ピークが、前記コリメート光の前記輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)の前記第2ピークよりも大きくなるように、前記出光面から出る前記コリメート光と相互作用して、前記第1発光面から出射される前記直射光を生成するように構成されており、前記光学ユニットは、前記ピークの半値全幅(FWHM)として測定される第1発散角α1,α1’を有するピークを伴う第1角度プロファイルを有する第1応答関数によって特徴付けられ、前記コリメート光源の前記出光面から出る前記コリメート光を少なくとも部分的に遮り、ユニットインプット面を画定するように配置される第1平面光混合素子、及び、前記ピークの半値全幅(FWHM)として測定される第2発散角α2を有するピークを伴う第2角度プロファイルを有する第2応答関数によって特徴付けられ、前記ユニットインプット面を横切る光を少なくとも部分的に遮断し、ユニットインプット面を画定するように、前記ユニットインプット面の下流に配置される第2平面光混合素子、を備え、前記第1平面光混合素子及び前記第2平面光混合素子の前記応答関数の前記第1発散角および前記第2発散角が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下であり、前記第1平面光混合素子および前記第2平面光混合素子は、前記直射光方向に沿って測定された最小ユニット深さの少なくとも一部が互いに離間しており、前記直射光発生器の前記第1発光面を出る前記直射光の均一な輝度を得るように構成されている、太陽空模倣照明装置に関する。
【0009】
本明細書および添付の請求項の範囲内で、「狭いピーク」という用語は、光の輝度プロファイルL(x、y、θ、φ)が、2πsrよりも著しく小さい、例えば0.4srよりも小さい、好ましくは0.3srよりも小さい、より好ましくは0.2srよりも小さい立体角で挟まれたピークを有することを意味すると解釈される。言い換えれば、狭いピークとは、すべての方位角で平均化された極角プロファイルが、HWHM(半値幅)が45°よりも著しく小さく、例えば20°よりも小さく、好ましくは15°よりも小さく、より好ましくは10°よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
本明細書及び添付の請求項の範囲内で、「光混合素子の応答関数」という用語は、入射方向に沿って同じものに入射するコリメート光ビームに対する、光混合素子によって与えられる出射光線の光度分布の角度開口の観点での応答を意味する。詳細には、光混合素子が半径方向に対称な応答関数で特徴づけられる場合、それは、入射方向に対する極座標θに対する出力光度としてプロットすることができる。これは応答関数の「角度プロファイル」とも呼ばれ、例として図12a、12bに模式的に示されている。本発明の照明装置に使用される光混合素子は、光混合素子の応答関数の角度発散αを定義するピークを特徴とする角度プロファイルによって特徴付けられる。光混合素子が半径方向に対称な応答関数によって特徴付けられない場合、本明細書および添付の請求項の範囲内では、最大のピークを示す極座標θに沿った角度プロファイル、すなわちθに沿った角度発散αを最大化する方位座標φ0で取られる角度プロファイルが参照される。
【0011】
本出願人は、上述の輝度角度プロファイルの制約を実現するためには、コリメート光源によって拡散器に投影される均一な照度プロファイルと、(例えば、背景の構造的な不規則性に起因する)空間的な変調が実質的にない第2発光面における輝度プロファイルとの両方を実現する必要があることを見いだした。
【0012】
出願人は、拡散器発光面における照度プロファイルの空間的な不均一性は、観察者が、例えば、拡散器発光面で見える空間的な不均一性に焦点を合わせることによって、直射光発生器(太陽)と拡散光発生器(空)との間の距離を認識するように、前記表面で見えるであろうことを認識した。均一性を向上させるために、出願人は、ユニット深さに少なくとも等しい伝搬距離の拡散器発光面から離れて配置された第1光混合素子の必要性を認識した。
【0013】
さらに、出願人は、第2平面光混合素子を、輝度の空間的変調が発生するユニットインプット面から間隔を空けて配置することにより、第2発光面における輝度プロファイルの均一性を確保できることを確認した。これにより、ユニットインプット面(すなわち、コリメート光源のアウトプット面)における輝度プロファイルの各局所的な変調が、第2光混合素子が配置されたユニット発光面(すなわち、第1発光面)における輝度プロファイルの十分に大きく、それゆえ十分に弱いぼやけた変調に至り、ユニット出射面は少なくともユニット深さだけユニットインプット面から間隔を空けて配置される。
【0014】
したがって、直射光発生器の第1発光面を出た直射光の均一な輝度を得るのに十分な伝搬距離(すなわちユニット深さ)で互いに離間した第1平面光混合素子および第2平面光混合素子を併用することで、観察者に対してユニットインプット面で発生する可能性のある空間変調を隠すとともに、投射光の輝度プロファイルの均一性を向上させることができる。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、「均一な輝度」という用語は、光の輝度プロファイルL(x,y,θ,φ)が、極角θについて2θHWHMよりも大きい最小の空間的振幅変動を示すことを意味すると解釈され、ここで、θHWHMは、輝度プロファイル自体の全方位角で平均化された極角プロファイルのHWHMであり、例えば、前記輝度空間変動の標準偏差と前記輝度平均値との比は、直径10mmの空間的な円形領域内で、かつ光発光面の90%以上において、0.3以下、好ましくは0.1以下であり、光発光面の少なくとも90%の範囲において、任意の固定方位角φおよび任意の固定極角θが2θHWHMより大きい場合、0.4以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下であってよい。
【0016】
また、「均一な輝度」とは、θHWHMより小さい極角θの場合、光の輝度プロファイルL(x、y、θ、φ)が、直径5cm、好ましくは直径10cm、より好ましくは直径20cmの領域内の空間座標を変化させて、(局所的な)最大輝度につながる(局所的な)極角の変動を標準偏差が0.5より大きくならないことを意味すると解釈されており、発光面全体の少なくとも90%の範囲で空間座標を変化させても,θHWHよりも大きな標準偏差を持つ(局所的な)最大輝度につながる(局所的な)極角の変動を示さない、という意味にも解釈されている。
【0017】
上記の態様の少なくとも1つの本発明は、以下の好ましい特徴の少なくとも1つを有していてもよく、特に後者は、特定の実施目的を満たすために、所望に応じて相互に組み合わせてもよい。
【0018】
本発明の変形例によれば、最小ユニット深さz1は、1cm≦z1≦50cm、好ましくは2.5cm≦z1≦40cm、より好ましくは5cm≦z1≦30cm、さらに好ましくは10cm≦z1≦15cmの間で構成される。
【0019】
本出願人は、広範な実験およびシミュレーションに基づき、第1平面光混合素子および第2平面光混合素子を上記の範囲内で構成される距離だけ離して配置することにより、コリメート光の輝度プロファイルを特徴づける可能性のある空間変調を補正できることを確認した。これは、達成可能な照明効果(外観および投影)と、デバイス構造のサイズおよび簡略化との間の最良のトレードオフとなる。
【0020】
本発明の変形例によれば、直射光の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)の第1ピークが、コリメート光の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)の第2ピークよりも大きくなるように、最小ユニット深さz1が構成されている。
【0021】
本発明の変形例によれば、第1平面光混合素子と第2平面光混合素子との間の少なくとも一方は、ピークの半値全幅(FWHM)として測定される発散角α1、α2を有するピークを有する角度プロファイルを有する応答関数を特徴とする低角白色光拡散器であり、低角白色光拡散器は、出光面を出るコリメート光の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)においてピークのぼかしを引き起こすように構成されており、低角白色光拡散器は、透明な層またはバルク材料の外面に形成されたマイクロ屈折体のランダムな分布と、微粒子と層またはバルク材料とが屈折率のミスマッチを起こす、透明な層またはバルク材料中の透明な微粒子の分散体と、の少なくとも1つを任意に含むことを特徴とする。
【0022】
好ましくは、第2平面光混合素子の低角白色光拡散器は、拡散光発生器の第2発光面と拡散器インプット面の少なくとも一方に形成された透明微粒子の分散体またはマイクロ屈折体の表面的なランダム分布として、拡散光発生器に組み込まれている。
【0023】
本発明の変形例によれば、第1平面光混合素子は、一対のマイクロレンズアレイを含むマイクロ光混合器であり、一対のマイクロレンズアレイの第1アレイのそれぞれのマイクロレンズは、一対のマイクロレンズアレイの第2アレイのそれぞれのマイクロレンズに対して焦点距離を置いて配置され、第2アレイのマイクロレンズは、遠視野において第1アレイのそれぞれのマイクロレンズの像を生成することを特徴とする。前記マイクロ光学光混合器は、受光角α_accと、受光角α_acc内で伝送されるコリメート光パルスに対する応答関数であって、ピークの半値幅(FWHM)として測定される発散角α1’を有するピークを示す角度プロファイルを有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の変形例によれば、光学ユニットは、さらに、壁で隔てられたボイドボリュームによって任意に形成され並んで整列した複数のチャンネルからなる2次元的に延びる構造を有し、チャンネルのボイドボリュームを隔てる壁は、可視光に対する吸収係数が好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である光吸収材料で任意に作られているか、またはコーティングされている。
【0025】
本発明の一態様によれば、チャンネルは互いに隣接して密に配置されている。
【0026】
本発明の変形例によれば、チャンネル構造は、第1光混合素子の下流に配置される。
【0027】
本発明の変形例によれば、光学ユニットは、第1平面光混合素子に対して横方向に延在し、光学ユニットの内側に向かっている少なくとも1つの横方向の表面を備え、側方表面は、反射率η_r>70%、好ましくはη_r>80%、より好ましくはη_r>90%の材料でコーティングまたは作られている。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つの側方表面は、直射光方向に沿って第2光混合素子に面する側で、第1平面光混合素子またはチャンネル構造に接しまたは重なり、第2光混合素子に向かって延びる。詳細には、1つの変形例によれば、少なくとも1つの側方表面は、第1平面光混合素子の周囲で、またはその周囲に対してより内側で、第1平面光混合素子に接してもよい。別の変形例によれば、第1平面状の光混合素子は、その上端で、または、横方向の表面延長に対して中間位置で、少なくとも1つの横方向の表面に接してもよい。さらなる変形例によれば、少なくとも1つの側方表面は、第2光混合素子に面するチャンネル構造の側面に、その周囲で、またはその周囲に対してより内側で接してもよい。別の変形例によれば、第2光混合素子に面するチャンネル構造の側面は、その上端で、または側面の延長線に対して中間位置で、少なくとも1つの側面に接してもよく、この最後のケースでは、少なくとも1つの側面は、第2光混合素子に面するチャンネル構造の側面と、直射光方向に関して重なる。
【0029】
本発明の変形例によれば、コリメート光源は、それぞれが発光素子と、発光素子によって照明される少なくとも1つのコリメートレンズとを含む発光装置のアレイを備え、発光素子は、可視光に対する吸収係数が好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である光吸収材料が内部にコーティングされている、または該光吸収材料で作られている中空のハウジングに収容されており、少なくとも1つのコリメートレンズが配置される開口部を少なくとも有している。
【0030】
本発明の変形例によれば、各発光素子は、コリメーションレンズの上流に配置され、発光素子に実質的に接触または近接しているプリコリメーションレンズをさらに備え、プリコリメーションレンズは、発光円錐内で実質的に角度的に一定の強度で発光し、コリメーションレンズの光インプット面全体を均一に照明するように構成されている。
【0031】
本発明の一態様によれば、プリコリメーションレンズは、発光素子に面する凹曲面の光インレット面と凸曲面の光アウトレット面とを備え、インレット面とアウトレット面は非球面プロファイルを有することが好ましい。
【0032】
プリコリメーションレンズの高さb2と、コリメーションレンズのインプット面のベースがプリコリメーションレンズのインレット面のベースからレンズ距離hだけ離れていることを特徴とする本発明の変形例によれば、プリコリメーションレンズの高さb2とレンズ距離hとの比b2/hが、0.2~0.8、より好ましくは0.25~0.75、さらに好ましくは0.3~0.7の範囲で構成されている。本明細書および添付の請求項の範囲内で、「プリコリメーションレンズの高さ」という用語は、発光素子の発光面を構成する平面に直交し、プリコリメーションレンズの質量中心を通過する直線と、(a)プリコリメーションレンズのインレット面および(b)プリコリメーションレンズのアウトレット面との交点間の距離を意味する。
【0033】
本明細書および添付の請求項の範囲内で、「発光素子の発光面」という用語は、プリコリメーションレンズに面した発光素子の発光面を意味する。
【0034】
本明細書および添付の請求項の範囲内で、「レンズインプット面/インレット面のベース」という用語は、レンズインプット面/インレット面の少なくとも一点とまだ交差する、発光素子発光面に最も近い平行面を指す。
【0035】
プリコリメーションレンズの最大幅b1とコリメーションレンズの最大幅Cを特徴とする本発明の変形例によれば、プリコリメーションレンズの最大幅b1とコリメーションレンズの最大幅Cの比b1/Cは、0.3~0.85の範囲で構成され、より好ましくは0.35~0.75、さらに好ましくは0.4~0.7の範囲である。
【0036】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「レンズの最大幅」という用語は、発光素子の発光面に平行なレンズと交差する平面をそれぞれ参照する複数の局所的な幅の値の間の最大値を意味し、各局所的な幅の値は、レンズと対応する平行な平面との交点によって定義される断面領域に含まれる任意の2点間の最大距離として定義される。
【0037】
プリコリメーションレンズが最大幅b1と高さb2を特徴とし、コリメーションレンズが最大幅Cを特徴とし、プリコリメーションレンズの光インレット面のベースとコリメーションレンズの光インプット面のベースとの間で測定した距離hだけプリコリメーションレンズから離間している本発明の変形例によれば、最大幅Cと距離hとの比、および幅b1と高さb2との比は、いずれも0.8~1.6、より好ましくは0.85~1.4、さらに好ましくは0.90~1.3の範囲である。
【0038】
プリコリメーションレンズがプリコリメーションレンズ最大幅b1であり、発光素子出射面が幅a1であることを特徴とする本発明の変形例によれば、発光素子発光面の幅a1とプリコリメーションレンズ最大幅b1との比a1/b1は、0.2(1:5)から0.04(1:25)の範囲である。
【0039】
本発明の変形例によれば、発光素子発光面は、プリコリメーションレンズの光インレット面から、レンズ距離hの0.01~0.04倍、好ましくはレンズ距離hの0.015~0.035倍、さらに好ましくはレンズ距離hの0.025倍に実質的に等しい最大値以下の間隔dで離されている。
【0040】
本発明の変形例によれば、コリメート光源は、発光装置のアレイの下流かつ出光面の上流に配置されたチャンネル構造をさらに備え、チャンネル構造は、発光装置によって放出された迷光の存在を特徴とし、チャンネル構造に衝突する第1コリメート光ビームを、カット角α_cutよりも高い角度で伝搬する迷光を実質的に含まない第2コリメート光に変換するように構成されている。
【0041】
以上の説明によれば、各実施形態のいくつかの特徴は、それらの特定の組み合わせから特別に得られる利点を達成するために、互いに無制限にかつ独立して組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下は、本開示の例示的な実施形態の詳細な説明である。本明細書に記載され、図面に示された例示的な実施形態は、本開示の原理を示すことを意図しており、当業者が多くの異なる環境で、多くの異なる用途のために本開示を実施し、使用することを可能にする。したがって、例示的な実施形態は、特許請求の範囲の限定的な説明を意図したものではなく、また、そのように考えるべきではない。むしろ、特許請求の範囲は、添付の請求項によって定義される。
図1図1は、本発明による日射しを模倣した照明装置を模式的に示しており、さらに直射光の輝度プロファイルを模式的に示している。
図2図2は、本発明の第1変形例に係る日射しを模倣した照明装置を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第2変形例に係る日射しを模倣した照明装置を模式的に示す断面図である。
図4図4は、チャンネル構造を内部に備えた本発明の第3変形例に係る日射しを模倣した照明装置の断面図を模式的に示したものである。
図5図5は、本発明の第4の変形例に係る日射しを模倣した照明装置がチャンネル構造を内部に備えている状態を模式的に示す断面図である。
図5a図5aは、図5のマイクロ光学光混合器と相互作用する光線の模式図である。
図6図6は、本発明の第5の変形例に係る日射しを模倣した照明装置を模式的に示す断面図である。
図6a図6aは、第1光混合素子およびチャンネル構造に対する図6の横方向の反射面の相対的な位置関係の異なる構成を示す。
図6b図6bは、第1光混合素子およびチャンネル構造に対する図6の横方向の反射面の相対的な位置関係の異なる構成を示す。
図6c図6cは、第1光混合素子およびチャンネル構造に対する図6の横方向の反射面の相対的な位置関係の異なる構成を示す。
図6d図6dは、第1光混合素子およびチャンネル構造に対する図6の横方向の反射面の相対的な位置関係の異なる構成を示す。
図7図7は、本発明の変形例による太陽空模倣照明装置に用いられる直射光発生器の第1例示的な実施形態を模式的に示す断面図である。
図8図8は、図7の実施形態に従った直射光発生器になるように、発光素子とコリメーションレンズのペアを配列した三次元図を模式的に示したものである。
図9図9は、本発明の変形例による太陽空模倣照明装置に用いられる直射光発生器の第2例示的な実施形態を模式的に示す断面図である。
図9a図9aは、図9の第2実施形態による直射光発生器の詳細を示す拡大図である。
図10図10は、チャンネル構造を内部に備えた本発明の変形例による太陽空模倣照明装置に用いられる直射光発生器の第3の例示的な実施形態を模式的に示す断面図である。
図11図11は、図4図5図10のチャンネル構造を示す模式的な3次元図である。
図12a図12aは、光混合素子の半径方向に対称な応答関数とその角度プロファイルを模式的に示したものである。
図12b図12bは、それぞれ光混合素子の半径方向に対称な応答関数とその角度プロファイルを模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下は、本開示の例示的な実施形態の詳細な説明である。本明細書に記載され、図面に示された例示的な実施形態は、本開示の原理を教えることを意図しており、当業者が多くの異なる環境で、多くの異なる用途のために本開示を実施し、使用することを可能にする。したがって、例示的な実施形態は、特許保護の範囲の限定的な説明を意図したものではなく、また、そのように考えるべきではない。むしろ、特許保護の範囲は、添付の請求項によって定義されるものとする。
【0044】
図1は、窓を通して太陽や空のように周囲を照らすことができ、同時に、窓を通して自然界の空や太陽を観察したときのように、実質的に無限の奥行きを体験できる照明装置の視覚的外観を保証する、太陽空模倣照明装置100を模式的に示している。言い換えれば、図1は、太陽や空のような自然光、すなわち、太陽や空からの光と同様の輝度プロファイルと外観を有する太陽空模倣照明装置を示している。
【0045】
図1の太陽空模倣照明装置100は、直射光発生器10を備えている。図1の理解し易さのために、直射光発生器の第1発光面11のみを示している。しかしながら、直射光発生器10は、一次光を放出するように構成され、光発光面11に対して上流に配置された1つ以上の発光装置21(図7、9、10に示す)を備えている。ここで、「上流」という用語は、光の伝搬方向に対して定義されている。
【0046】
直射光発生器10は、一次光から、第1発光面11を横切って(空間依存性に関して)均一であり、直射光方向15に沿って角度依存性に関して狭いピーク14を有する輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)で第1発光面11を出る直射光13を生成するように構成されている。ここで、xおよびyは、第1発光面11にまたがる垂直軸xおよびyに沿った横方向の座標であり、θは、直射光方向15に対して測定された極角であり、φは、方位角である。
【0047】
さらに、図1の太陽空模倣照明装置は、第1発光面11の下流に配置された拡散光発生器50を備えている。ここで、「下流」という用語は、光の伝搬方向に従って定義される。
【0048】
拡散光発生器50は、第2発光面51(または拡散器発光面51)と、拡散器発光面とは反対側を向く拡散器インプット面52とを備え、インプット面52に入射する光に対して、少なくとも部分的に透過するように構成されており、前記拡散光53は、第2発光面51を出た外光のうち、実質的にすべての順方向に散乱している成分であり、空間座標x,yに均一または少なくとも弱く依存している成分である。例えば、拡散光発生器50は、狭いピーク14を挟む立体角の少なくとも4倍、好ましくは9倍、より好ましくは16倍の立体角にわたって拡散光を照射するように構成されている。
【0049】
別の実施形態(図示せず)では、第1発光面11と第2発光面51の相互の位置関係が、図1の場合に対して反転している。すなわち、図1の場合には、第2発光面51が装置100の外面101を形成しているのに対し、位置関係が反転している場合には、第1発光面11が装置100の外面101を形成している。
【0050】
さらに、直射光発生器10が生成する直射光13が、拡散光53のCCTよりも低いCCT(例えば、1.2倍以上低い、好ましくは1.3倍以上低い、より好ましくは1.4倍以上低い)を有するように、太陽空模倣照明装置100が構成されている。拡散光発生器50が少なくとも部分的に光透過性であることに起因して、直射光13の少なくとも一部は、第2発光面51の下流に伝搬する。その結果、外光は、狭小ピーク14内に含まれる方向(例えば、狭小ピーク14を挟む方向の少なくとも90%、すなわち狭小ピークのHWHM極角よりも小さい極角θを有する方向の90%)に沿って伝搬する第1直射光成分54と、狭小ピーク14から離間した方向、例えば、方向15に沿って向けられた軸を有し、狭小ピークのHWHM極角よりも3倍大きい半開口を有する円錐の外側の角度領域の少なくとも30%、好ましくは50%、最も好ましくは90%に及ぶ方向に沿って伝搬する第2拡散光成分53とを含み、第1光成分は、第2光成分のCCTよりも低いCCT(例えば、少なくとも1.2倍低い、好ましくは1.3倍低い、より好ましくは1.4倍低い)を有する。
【0051】
直射光発生器10を出た直射光13の輝度プロファイルに対する上述の均一化条件により、拡散器インプット面52における輝度プロファイルが均一化され、それに伴い、第2発光面51を出た直射光成分54の輝度プロファイルも均一化される。これにより、視力調節、両眼視差、運動視差の視覚的手がかりのうち、いずれかの手がかりについて、無限の奥行き知覚とは異なる奥行き知覚をもたらす視覚的知覚手がかりの衝突を回避することができる。さらに、直射光13の輝度プロファイルの狭いピーク、およびそれに応じて直射光成分54の狭いピークに関する上記の条件は、一般的な無限の奥行き知覚の視覚的外観において重要な役割を果たしている。
【0052】
図2に示すように、本発明の第1変形例では、太陽空模倣照明装置100の直射光発生器10は、複数の発光装置21(図7図9図10に例示)を備え、第1発光面11よりも上流に配置されたアウトプット面22を介して光を出射するコリメート光源20を備えている。コリメート光源20は、発光装置21が発した一次光からコリメート光23を生成するように構成されており、このコリメート光23は、直射光方向15に沿ってアウトプット面22を出た輝度プロファイルLcoll(x,y,θ.φ)を有し、この直射光方向15周りの角度依存性に関するピークは、第1発光面11を出る直射光13の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)の狭いピーク14と少なくとも等しいか、それよりも狭いものである。一例として、輝度プロファイルLcoll(x、y、θ、φ)は、すべての方位角で平均化された極角プロファイルを有し、HWHM(半値幅)が15°より小さく、好ましくは10°より小さいピークを有する。
【0053】
アウトプット面22全体の空間依存性に関しては、コリメート光23の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)は均一であってもよいし、わずかに不均一であってもよい。
【0054】
さらに、直射光発生器10は、直射光方向15に関して、コリメート光源20のアウトプット面22の下流に配置された光学ユニット30を備えている。光学ユニットは、アウトプット面22を出たコリメート光23の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)の均一性に対して、第1発光面11を出た直射光13の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)の均一性を向上させるように構成されている。
【0055】
光学ユニット30は、コリメート光源20のアウトプット面22から出るコリメート光23を少なくとも部分的に遮るように配置されたユニットインプット面31と、ユニットインプット面31を横切る光を少なくとも部分的に遮るように、直射光方向15に関してユニットインプット面31の下流でユニットインプット面31から間隔を空けて配置されたユニット発光面32とを備えており、すなわち、ユニットインプット面31によって遮断されたアウトプット面22から出るコリメート光23であって、光学ユニット30の発光面32が直射光発生器10の第1発光面11と機能的に一致している。
【0056】
変形例において、ユニットインプット面31とユニット発光面32は、いずれも直射光方向15に垂直な平行面上にある。しかしながら、ユニットインプット面31および/またはユニット発光面32が、好ましくは80°未満の傾斜角で直射光方向15に対して傾斜した法線を有する平面上に存在するという他の構成も可能である。
【0057】
直射光方向15に関して、ユニットインプット面31とユニット出光面32は、少なくともユニット深さz1の間隔を空けている。言い換えれば、ユニットインプット面31に属する1つの点とユニット発光面32に属する1つの点との間の最小距離は、少なくともユニット深さz1に等しい。図示された変形例では、ユニット深さは一定であり、面31,32のすべての点について最小距離に等しくなるように、ユニットインプット面31とユニット発光面32は平行である。
【0058】
光学ユニット30は、インプット面31に配置された第1光混合素子33,33’と、発光面32に配置された第2光混合素子34とを備える。
【0059】
いくつかの変形例では、第1光混合素子33,33’および/または第2光混合素子34は、自身の厚さによって特徴付けられる固体の平面要素である(例えば、図2)が、他の変形例では、第1平面光混合素子33,33’および/または第2平面光混合素子34は、表面的な要素である(例えば、図3の第2光混合素子34)。本明細書および添付の請求項の範囲を定義するために、固体光混合素子33,33’,34の厚さは無視できると考えられる。したがって、ユニットインプット面31および/またはユニット発光面32における第1固体光混合素子33,33’および/または第2固体光混合素子34の配置は、例えば図2に示されているように、すなわち、平面素子33,34が、その厚さがユニットインプット面および/または発光面31,32それぞれに渡って均一に分布するように配置されていると考えられる。表面的な光混合素子の場合、第1表面的な光混合素子33,33’および/または第2表面的な光混合素子34のユニットインプット面および/または発光面31,32での配置決めは、光混合素子を有する表面がユニットインプット面または発光面31,32に配置されるように意図されている。
【0060】
第1光混合素子33,33’及び第2光混合素子34は、それぞれ単独でも、またそれらの複合的な作用によっても、輝度プロファイルのピークをぼかすように構成されている。すなわち、一般的に、第1発光面11を出た光13の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)のピークは、アウトプット面22を出たコリメート光23の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)のピークよりも大きくなる。したがって、直射光の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)のピークが、コリメート光の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)のピークよりも大きくなるように、最小ユニット深さz1も選択される。
【0061】
図2から図4図6の変形例では、第1光混合素子33と第2光混合素子34の両方が、低角白色光拡散器、すなわち、入射光の角度スペクトルと、ピークのFWHM(full width at half maximum)として測定される、40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下である発散角α1,α2を特徴とする角度プロファイルを有する所定の応答関数と、の畳み込みを行うことで動作する拡散器である。第1光混合素子33の応答関数と第2光混合素子34の応答関数とのそれぞれの発散角α1,α2の条件は、第2発光面51における輝度プロファイルが、直射光方向を中心とした角度分布において、狭いピークを有することを保証する。第1光混合素子33と第2光混合素子34との応答関数は、ある方向(例えば、低角白色光拡散器の表面に対する法線)を中心に対称であることが好ましい。
【0062】
低角白色光拡散器は、例えば、透明層材料の外表面に形成されたマイクロレンズ、マイクロボイド、マイクロプリズム、マイクロスクラッチ、若しくはこれらの組み合わせなどのマイクロ屈折体のランダムな分布、または粒子とバルク材料の間に適当な屈折率のミスマッチがある透明バルク中の透明微粒子の分散体、あるいはマイクロ屈折体のランダムな分布と微粒子の分散体の組み合わせから構成されている。すなわち、透明なバルク材料に透明な微粒子を分散させる場合、透明な微粒子と透明なバルク材料との間の屈折率の不一致が適用され得る。しかしながら、白色光拡散器については、他のいくつかの実施形態も可能である。
【0063】
第1混光素子33の効果は、拡散器発光面51に投影される照度プロファイルの空間的均一性を向上させることである。上述したように、拡散器発光面51における照度プロファイルの空間的な不均一性は、観察者が、例えば拡散器発光面51で見える空間的な不均一性に焦点を合わせることによって、直射光発生器(太陽)と拡散光発生器(空)との間の距離を認識するように、当該面51で視覚化する。
【0064】
均一性を高めるために、第1光混合素子33は、ユニット深さz1と少なくとも等しい伝搬距離dの拡散器発光面51から離間している。実際、コリメート光源20のアウトプット面22を出るコリメート光23の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)の起こりうる空間的な不均一性は、アウトプット面22から投影距離Dに置かれ、光学ユニット30がない場合には投影面全体でも不均一である直射光方向15に垂直な表面に投影される輝度プロファイルをもたらす。投影距離Dの増加に伴って均一度が増加しても、アウトプット面22を出たコリメート光23のコリメーション度が高いため、拡散光発生器50が通常配置される距離の範囲、すなわち、検討中の太陽空模倣照明装置100において0.1cm~50cmの間に構成される投影距離Dについては、均一度がわずかに増加するに過ぎない。したがって、光学ユニット30がない場合、空間的に不均一な輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)を有するコリメート光23は、一般的に、拡散器発光面51に投射される光の輝度プロファイルが不均一になる。その結果、第2発光面51で拡散光発生器50を出た直射光成分54の輝度プロファイルLdirect2(x,y,θ,φ)が空間的に不均一になる。
【0065】
第1混光素子33として低角白色光拡散器を用いた場合、光学ユニット30を通過して第2発光面51に入射するコリメート光23の照度プロファイルに存在する空間的な変調をぼかして、投射光の均一性を高める効果がある。実際、ユニットインプット面31に配置された第1光混合素子33の効果は、第1光混合素子33がない場合に第2発光面51に投影される照度の一点を、第1光混合素子33の角度応答関数を特徴づける発散角α1の半分の正接と、ユニットインプット面31と拡散器発光面51との間の伝搬距離dとの積にほぼ等しい半径を持つぼやけたスポットにするものである。
【0066】
このように、ぼかし効果は、(第1光混合素子33が配置された)ユニットインプット面31と拡散器発光面51との間の伝搬距離dと、第1光混合素子33を特徴づける応答関数の発散角α1とに依存することを考慮して、拡散器発光面51が配置される伝搬距離dは、少なくとも、拡散器発光面51において、幅w1を有する空間変調が、第1光混合素子33の応答関数の発散角α1以下の角度δを、FWHM(full width at half maximum)で測定される、40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下である発散角α1に限定するように選択される。
【0067】
広範な実験的試験に基づいて、出願人は、コリメート光源20のアウトプット面22を出るコリメート光23の輝度プロファイルを特徴づけ得る修正可能な空間変調が、0.5mmから30mmの範囲の幅w1を有することを確認した。実際、本出願人は、サブミリメータの範囲では、太陽空模倣照明装置から1m~1.5mの典型的な距離にいる観察者の人間の目では、空間変調はほとんど知覚できないことを確認している。一方で、本出願人は、太陽空光成分の全体的な品質の外観を強く損なうことなく、あるいは太陽空模倣照明装置の全体的な寸法を大きく増加させることなく、30mmを超える寸法を有する空間変調を補正することができないことも認識している。
【0068】
すなわち、本出願人は、FWHM(full width at half maximum)が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下であることを特徴とする第1光混合素子33の応答関数の発散角α1について、ユニットインプット面31と拡散器発光面51との間の伝搬距離dを、1cm≦d≦50cmの間で構成する必要があることを確認した。好ましくは、ユニットインプット面31と拡散器発光面51との間の伝搬距離dは、2.5cm≦d≦40cmの間で構成されるのが良く、5cm≦d≦30cmの間で構成されるのが良く、10cm≦d≦15cmの間で構成されるのがさらに良い、と選択される。これらの距離範囲は、小さな発散角α1の応答関数を有する第1光混合素子33を使用した場合でも、第2発光面51に入射する光の照度プロファイルにおける典型的な空間変調が、人間の目には気づかれないように十分にぼやけて見えることを保証する。このようにして、空間変調が目立たない照度プロファイルと、第1光混合素子33の応答関数の発散角α1が小さいことによる太陽を模した輝点の明確な外観の両方を同時に得ることが可能となる。
【0069】
さらに、出願人は、ユニットインプット面31で、またはユニットインプット面31の近傍(下流)で見えるコリメート光23の輝度プロファイルの空間的な変調および/または直射光源10の背景の構造的な不規則性が、第1発光面11を出る直射光13の輝度プロファイルLdirectの均一性を損ねる可能性があることを認識した。そのため、部分的に透明な拡散光発生器50を介して構造物が見え、第2発光面51の発光の均一性が損なわれ、その結果、観察者の無限の奥行き知覚が損なわれる可能性がある。
【0070】
出願人は、第2平面光混合素子34を、輝度の空間変調が発生するユニットインプット面31から間隔を空けて配置することにより、第2発光面51における輝度プロファイルの均一性を確保できることを確認した。これにより、ユニットインプット面31における輝度プロファイルの各局所的な変調は、第2光混合素子34が配置されたユニット発光32(機能的には第1発光面11と一致する)における輝度プロファイルの十分に大きく、従って十分に弱いぼやけた変調に至り、ユニット発光面32は、少なくともユニット深さz1だけユニットインプット面31から離間している。
【0071】
第2光混合素子34が、FWHM(full width at half maximum)として測定される発散角α2が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下であることを特徴とする応答関数を有する低角白色光拡散器であることと、上で定義した空間変調の典型的な寸法とを考慮すると、また、ユニット深さz1は、1cm≦z1≦50cmの間、好ましくは2.5cm≦z1≦40cm、より好ましくは5cm≦z1≦30cm、さらに好ましくは10cm≦z1≦15cmの間で構成される必要がある。この距離範囲は、ユニット発光面32から出射する直射光13の輝度プロファイルLdirectの均一性を保証する。さらに、図2の変形例では、伝搬距離dがユニット深さz1以上であることを考慮すると、ユニット深さz1に設定された条件は、拡散器発光面51における照度プロファイルの均一性(上述したdの制約により与えられる)と、当該面51における輝度の均一性の両方を保証する。
【0072】
最後に、出願人は、垂直な軸xおよびyに沿った第1発光面11の横方向の延長が、好ましくはz1と少なくとも等しく、10cm以上であることを確認した。
【0073】
図3に示すように、本発明による第2変形例では、第2平面光混合素子34は、拡散光発生器50に内蔵されている。図3の変形例では、第2平面光混合素子34は、拡散光発生器50のインプット面52に形成された低角白色光拡散器である。この場合、直下型光発生器10の第1発光面11とユニット発光面32とが拡散器インプット面52に一致する。さらに、伝搬距離dは、ユニット深さz1よりもわずかに大きい(伝搬距離dは、拡散器の厚さが加わるほど長くなる)。したがって、図2の変形例について説明したユニット深さz1に設定された距離範囲は、図3の変形例についても、拡散器発光面51における照度プロファイルの均一性(上述したdの制約によって与えられる)と、当該面51における輝度の均一性の両方を保証する。
【0074】
図4の変形例では、第2平面光混合素子34は、拡散光発生器50に内蔵されており、特に、第2発光面51に形成された低角白色光拡散器である。この場合、直下型光発生器10の第1発光面11とユニット発光面32は、第2発光面51と一致する。さらに、図4の変形例では、ユニット深さz1が伝搬距離dと一致している。したがって、図2の変形例で説明したユニット深さz1に設定された距離範囲は、図4の変形例についても、拡散器発光面51における照度プロファイルの均一性(上述したdの制約によって与えられる)と、当該面51における輝度の均一性の両方を保証する。
【0075】
別の構成(図示せず)では、低角白色光拡散器は、拡散光発生器のバルク材料に透明な微粒子を分散させて実装されており、バルク材料と分散された微粒子には適切な屈折率のミスマッチが生じている。図4の変形例と同様に、このさらなる変形例では、直射光発生器10の第1発光面11とユニット発光面32とが、第2発光面51と一致している。さらに、ユニット深さz1は伝搬距離dと一致するので、この場合も、ユニット深さz1に設定され、図2の変形例に関して議論された距離範囲は、拡散器発光面51における照度プロファイルの均一性(上述したdに関する制約によって与えられる)と、当該面51における輝度の均一性の両方を保証する。
【0076】
図4の変形例に戻ると、光学ユニット30は、複数の並んだチャンネル35aからなる2次元的に延びる構造体35をさらに備えており、この構造体は、壁で隔てられたボイドボリュームで形成されているのが好ましい。各チャンネル35aの断面は、円形、六角形、その他の多角形であってもよい。六角形断面の場合は、図11に示すように、ハニカム構造を形成するように、チャンネルが隣接して配されることが好ましい。チャンネル35aのボイドボリュームを隔てる壁は、可視光の吸収係数η_absが好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の光吸収材料で作られているか、コーティングされていることが好ましい。各チャンネルは、第1発光面11に平行な任意の平面において、実質的に同一の断面を有しており、その断面は、直射光方向15に沿って並んで重心が配置されている。このような形状により、このように説明されたチャンネル構造35は、チャンネル35aの幅をw2、チャンネルの高さをhとすると、カット角α_cut=atan(w2/h)よりも高い角度で同じ中を伝搬する光を吸収することができる。例えば、六角形のチャンネルの場合、チャンネルの幅w2は、六角形の断面の一辺の2倍に相当する。通常のカット角α_cutは、好ましくは45°よりも小さく、より好ましくは30°よりも小さく、さらに好ましくは20°よりも小さい。
【0077】
図4に示す変形例では、チャンネル構造体35が第1光混合素子33の下流に配置されている。このように配置されたチャンネル構造体35は、当該チャンネル構造体35に入射する第1光混合素子33を介して進化したコリメート光23を、カット角α_cutよりも高い角度で伝搬する迷光のない光ビームに変換することができる。
【0078】
図5に関して、第1光混合素子が、一対のマイクロレンズアレイ33’a,33’bからなるマイクロ光学光混合器33’である、さらなる好ましい変形例が示されている。一対のマイクロレンズアレイの第1アレイ33’aの各マイクロレンズは、一対のマイクロレンズアレイの第2アレイ33’bの各マイクロレンズに対して、焦点距離に配置されている。第1マイクロレンズアレイ33’aと第2マイクロレンズアレイ33’bのそれぞれは、複数のレンズが任意に正方形または六角形の最密充填構成で配置される。3つの例示的な平面波の伝搬方向に関して図5aに示すように、マイクロ光学光混合器33’の内部では、第1アレイ33’aのレンズが、システムに入射する光の各平面波成分を第2アレイ33’bのレンズの表面に集束させている。特に、平面波の伝搬方向に特有の横方向の位置に光が集束される。第2レンズアレイ33’bは、第1レンズ33’aが一様に照射されたときに、第1レンズ33’aの像(例えば、長方形のレンズ開口の場合は長方形)を遠景に生成する。言い換えれば、システムは、第1レンズ33’aのそれぞれについて、第1レンズの1つの点がファーフィールドの特定の位置にイメージされる(マッピングされる)ように、そこに降り注ぐ光を再ミックスする。これにより、ファーフィールドの画像は、すべての第1レンズ33’aの画像を重ね合わせたものとなり、第1レンズ33’aに入射する光の空間的な変化を平均化することができる。
【0079】
図5の変形例で使用されているマイクロ光学光混合器33’は、そのレンズの焦点距離とレンズの開口部によって決まる受光角α_accに関連付けられている。マイクロ光学光混合器33’は、受光角α_acc内を透過したコリメート光パルスに対する応答関数が、ピークのFWHM(full width at half maximum)として測定された発散角α1’が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下のピークを示す角度プロファイルを有することを特徴とするものである。マイクロ光学光混合器の応答関数の発散角α1’の条件は、第1発光面11における輝度プロファイルが、直射光方向を中心とした角度分布において狭いピークを持つことを保証する。
【0080】
2つのアレイ33’a,33’bのレンズの焦点距離が同一の場合、混合器33’の受光角α_accは,そのレンズの口径の半分を焦点距離で割った逆正接に等しい。したがって,受光角α_accが小さい場合には、混合器33’を出た光の発散角α1’の半分に相当する。混合器33’は、通常、0.3~10mmの範囲の開口部を持つレンズで構成され、その焦点距離は通常2mm~20mmで構成される。混合器33’の応答関数が、FWHM(半値全幅)が40°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは20°以下の発散角α1’で特徴付けられることを保証するために、混合器33’の結果として得られる受光角α_accが20°以下、好ましくは15°以下、より好ましくは10°以下となるように、絞り値と焦点距離の値が設定される。
【0081】
さらに、図2図4の変形例に関して説明した低角白色光拡散器33と同様の方法で、図5のマイクロ光学光混合器33’を用いて、アウトプット面22を出たコリメート光23が第2発光面51に衝突する際の輝度変調を補正し、拡散光発生器50の第2発光面51で得られる照度分布が第2発光面51で均一になるようにする。マイクロ光学光混合器33’は、混合器33’自身の下流の伝搬距離dと組み合わせて作用するが、この場合はユニットインプット面31と第2発光面51との間の距離である。実際、第2発光面51で得られる照度分布は、特に、ユニットインプット面31に配置された混合器33’と第2発光面51との間の距離に依存している。これまでの変形例と同様に、図5の変形例の伝搬距離dは、光学ユニット30のユニット深さz1と等しいか、それ以上である。
【0082】
第一近似として、レンズ口径が3mm以下の場合、マイクロ光学光混合器33’は,実質的に低角白色光拡散器として動作する。したがって、本出願人は、この変形例においても、ユニットインプット面31と拡散器発光面51との間の伝搬距離dは、1cm≦d≦50cmの間、好ましくは2.5cm≦d≦40cm、より好ましくは5cm≦d≦30cm、さらに好ましくは10cm≦d≦15cmの間で、マイクロ光学光混合器33’の応答関数の発散角(応答関数ピークのFWHM(full width at half maximum)として測定される)が、40°に等しいかそれよりも小さく、好ましくは30°よりも小さく、より好ましくは20°よりも小さい場合に構成される必要があることを確認した。したがって、ユニット深さz1に対する上述の制約は、dが上記の範囲内で構成されることをすでに保証している。
【0083】
図6は、本発明のさらなる変形例を示しており、この場合、光学ユニット30は、光学ユニット30の内側に面する少なくとも1つの横方向の反射面38も備えている。横方向の反射面38は、例えば、光学ユニット30の内部に面する少なくとも1つの側方壁の表面に塗布された反射層またはコーティングとして具体化することができ、その層またはコーティングは、反射率η_r>70%、好ましくはη_r>80%、より好ましくはη_r>90%の材料で作られている。あるいは、横方向の反射面38は、横方向の壁自体が反射率η_r>70%、好ましくはη_r>80%、より好ましくはη_r>90%の材料で作られていることで具体化される。
【0084】
横方向の反射面38は、好ましくは、第1光混合素子33,33’またはその一部で作られた継ぎ目のない表面と、横方向の面38に反射されたその画像とを形成するように、第1光混合素子33,33’と(図6および6aに示すように)隣接するか、または直射光方向に沿って(図6bに示すように)重なる。光学ユニット30が、第1光混合素子33の下流に配置されたチャンネル構造35も備える場合、横方向の反射面38は、好ましくは、第2光混合素子34に面するチャンネル35aの端部によって定義される平面に(図6cに示すように)接し、または直射光方向に沿って(図6dに示すように)重なり、当該平面またはその一部で作られた継ぎ目のない表面の画像を形成し、その画像が横方向の面38に反射されるようになっている。さらに、横方向の反射面38は、第2光混合素子34に向かって、好ましくは横方向に、より好ましくは第1光混合素子33,33’に対して直交するように延びている。図6に示す本発明の変形例では、反射性の横方向の面38は、実質的に第2光混合素子34まで延びていて、第2光混合素子34に接している。
【0085】
図6は、第2発光面51から出る輝度プロファイルの狭いピークの外側の角度で、太陽空模倣照明装置100を見るように配置された観察者40を模式的に示している。この位置にいる観察者40に到達する光は、2つの主に寄与する成分、第2発光面51から出る細いピークから離れた方向に沿って伝搬する拡散光成分53と、より強度が低く、第2発光面51から出る細いピークから離れた方向に沿って伝搬する背景光成分であって、インプット面31に配置された第1平面光混合素子33,33’からの光の非理想的な特徴、または、アウトプット面22から出るコリメート光23の非理想的な挙動によって生成される背景光成分と、から生じる。背景光成分は、観察者には、拡散光成分53の背景に存在する均一な低輝度照明として見える。
【0086】
図6に戻ると、第1立体角βの内側では、上記の両成分が存在するが、第2立体角γの内側では、背景光成分は横方向の面38での反射によってのみ観察者に到達するため、背景光成分の直接的な寄与はない。したがって、反射面38がなく、ユニット深さz1が例えば1cmよりも大きい場合、(図6に示すように)急な観察角度で位置する観察者は、第2発光面51の明るい領域と暗い領域との間の移行を見ることになる。これでは、第2発光面51を出た直射光成分54の輝度プロファイルLdirect2に設定された均一性の要求が損なわれてしまう。
【0087】
図6の変形例によれば、反射性の横方向の面38の反射率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の場合、立体角γの内側に存在する背景光成分と立体角βとの間の強度差は、立体角γの内側の反射性の横方向の面38による反射により最小となる。立体角γ、β内の背景光成分の強度差が最小になるため、観察者は第2発光面51の2つの異なる部分、すなわち明るい領域と暗い領域を区別することができない。第2発光面51を出た直射光成分54の輝度プロファイルLdirect2の均一性制約は、このように満たされる。
【0088】
図7は、発光装置21としてのLEDの2次元アレイを構成するように構成されたコリメート光源20の第1実施形態を示している。特に、LED21のそれぞれは、蛍光体および/または色素などからなる発光ダイオードなどの発光素子24と、ドームレンズなどのコリメータ25とから構成されており、コリメータ25は、発光素子24からコリメータの焦点距離と実質的に等しい距離に配置されている。オプションとして、発光素子24は、方位座標に依存しない輝度分布の達成を容易にするために、直射光方向15に垂直な平面において円形の断面を有する。同じ目的のために、非円形の発光素子は、その断面を円形に整える円形の開口部で構成されていてもよい。各発光素子24は、少なくとも内部に光吸収材が塗布されているか、あるいは光吸収材で作られており、コリメーションレンズ25が配置される開口部を有する暗部ハウジング26に収容されている。暗部ハウジング26の内壁の材料またはコーティングは、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の可視光に対する吸収係数η_absを有する。
【0089】
発光素子24の断面が正方形の場合、コリメーションレンズ25によって無限光学距離で生成されるその像は正方形の形状をしており、その結果、コリメート光23の輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)は方位座標φに依存し、そのプロファイルは角度座標において正方形のピーク断面を有する。本出願人は、少なくとも第1光混合素子33,33’及び第2光混合素子34のうち、少なくとも一方が対称な応答関数を有する光学ユニット30によって、光混合素子33,33’,34のうちの少なくとも1つを特徴づける応答関数の発散角が、正方形状のピーク自体の角度寸法と実質的に等しいか、またはそれよりも広いFWHMを有することを条件に、第1発光面11を出る直射光13の輝度プロファイルLdirect(x,y,θ,φ)の円形状のピークに、輝度プロファイルLcoll(x,y,θ,φ)の正方形状の角度ピークがぼかされることを確認した。対応するコリメーションレンズ25によって生成された発光素子24の像は、無限の光学的距離に配置されるため、少なくとも1つの光混合素子33,33’,34と発光素子24との間の実距離は、このように説明したぼかし効果には関係しない。
【0090】
図8に示すように、各組の発光素子24とそれぞれのコリメーションレンズ25は、アウトプット面22と実質的に同じ幅の領域をカバーする接合された連続面を形成するように、例えば六角形のように緊密に詰められ、並置されてもよい。アウトプット面22に加えて、接合された連続面は、例えば、暗部ハウジング26の周縁線と重なるコリメーションレンズ25の周縁線のように、コリメート光が出ない領域を構成している。
【0091】
また、通常6cmより小さく、好ましくは4cmより小さく、より好ましくは1cmより小さいピッチpで対のパッキングを行ってもよい。個々のペアの発光素子24およびレンズ25の光軸O,Oは、それぞれ互いに平行に、かつ直射光方向15に平行に延びるように配置されていてもよい。ただし、レンズ25の光軸Oは、レンズ25の開口部が配置された平面に対して斜めの直射光方向15になるように、発光素子24の位置からオフセットされて、レンズ25のアレイと発光素子24のアレイが相対的にずれていてもよい。
【0092】
図7のコリメート光源20は、暗部ハウジング26の非理想的な挙動に起因する迷光に悩まされることがある。暗部ハウジングの壁からの反射のために、それらが非理想的な吸収を有する場合には、それぞれの発光装置21によって照らされるドームレンズ25は、狭いピーク14のうちゼロにならない輝度プロファイルを有することがある。対照的に、角度と位置の両方で構造化された残留プロファイルが特徴的で、最終的にレンズ25がはっきりと見える発光素子になるかもしれないが、反対に、無限の奥行き知覚を実現するためには、完全に暗いまたは均一な背景が必要になる。しかしながら、コリメート光源20の下流に配置された光学ユニット30の光学的効果により、位置の構造化に与えられる空間的な不均一性は改善される。
【0093】
図9は、発光装置21のアレイ(例えば2次元)で構成されたコリメート光源20の第2実施形態を示す。具体的には、各発光装置21は、発光ダイオードなどの発光素子24を含み、これにプリコリメーションレンズ27と、光の伝搬方向15に関してプリコリメーションレンズ27の下流に位置するコリメーションレンズ25とを含む一対のコリメーションレンズ27,25が関連付けられている。一対のコリメーションレンズの各発光素子24および各プリコリメーションレンズ27は、光吸収材から形成され、一対のコリメーションレンズのコリメーションレンズ25が配置される開口部を有する暗部ハウジング26に収容されている。また、図9の実施形態に関しても、暗部ハウジング26の内壁が作られた、あるいはコーティングされた材料は、可視光に対する吸収係数η_absが好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0094】
第1プリコリメーションレンズ27は、発光素子24にほぼ接して、または発光素子24の近位に配置されており、発光素子24が発する(例えば、約40°~50°の)光の発散を抑えるためにプリコリメーションを行うように構成されている。第2コリメーションレンズ25は、プリコリメーションレンズ27によって生成された発光素子24の仮想像から、第2コリメーションレンズ25の焦点距離に実質的に等しい距離に配置されている。一対のコリメーションレンズ27,25は、アウトプット面22の直下流の表面に投影される照度の均一な空間分布を得るように構成されている。図9の第2実施形態では、各プリコリメーションレンズ27は、好ましくは10°~36°の間、より好ましくは13°~33°の間、さらに好ましくは18°~30°の間で構成される半角開口を有する発光円錐内を均一な角度プロファイルで、すなわち角度的に一定の強度で発光し、コリメーションレンズ25の光インプット面25a全体を均一に照明するように構成されている。詳細には、プリコリメーションレンズ27は、発光素子24が発光した光の照度分布をコリメーションレンズインプット面25aに平坦化するように構成されている。
【0095】
図9aに詳細に示すように、第1プリコリメーションレンズ27は、発光素子24の発光面に対向する凹曲面の光インレット面27aと、凸曲面の光アウトレット面27bとからなることが好ましい。特に、入口と出口の表面27a、27bは両方とも非球面のプロファイルを有する。しかしながら、プリコリメーションレンズ27の他の実装は、平面またはわずかに凸状の光インレット面27a、または2つの凹状の弓を特徴とする断面を有するプロファイル、球状プロファイルまたは超半球としてのプロファイルなどの異なるプロファイルを特徴とすることが可能であることが示される。プリコリメーションレンズ27は、熱可塑性ポリマー(例えばPMMA、PC)またはガラスから形成されるシングレットまたはダブレット(すなわち、異なる屈折率を有する2つの材料からなる本体)であることが好ましい。
【0096】
その対称性により、図9aの第1プリコリメーションレンズ27は第1光軸Oを有し、プリコリメーションレンズ27の凸状に湾曲した光アウトレット面27bは、第1光軸Oにおいて第1曲率半径r1を有する。さらに、図9aのコリメーションレンズ25は、(図9aの実施形態では第1光軸Oと一致する)第2光軸Oを有し、コリメーションレンズ25の凸状に湾曲した光アウトプット面25bは、第2光軸Oにおいて第2曲率半径r2を有している。有利には、第1曲率半径r1は、第2曲率半径r2よりも小さい。さらに、図9aの実施形態のコリメーションレンズインプット面25aは、平坦である(それに伴い、無限の曲率半径を有する)。他の実施形態では、コリメーションレンズインプット面25aは湾曲していてもよい。
【0097】
詳細には、出願人は、コリメーション効果と最小の色収差との間の最良のトレードオフの観点から発光を最適化する、プリコリメーションレンズ27とコリメーションレンズ25との間の予期しない寸法関係およびそれらの相対的な位置関係を特定した。
【0098】
図9aに示すように、プリコリメーションレンズ27は、最大幅b1と高さb2を特徴としている。なお、プリコリメーションレンズ高さb2とは、発光素子24の発光面を構成する平面に直交し、プリコリメーションレンズ27の質量中心を通過する直線と、(a)プリコリメーションレンズインレット面27aおよび(b)プリコリメーションレンズアウトレット面27bのそれぞれとの交点間の距離をいう。図9aに示す実施形態では、発光素子24の発光面を構成する平面に直交し、プリコリメーションレンズ27の質量中心を通る直線が、プリコリメーションレンズ27の光軸Oと一致している。プリコリメーションレンズ最大幅b1は、発光素子24の発光面に平行なプリコリメーションレンズ27と交差する(異なる)平面を参照する複数の局所幅値の間の最大値を意味し、各局所幅値は、プリコリメーションレンズ27と対応する平行平面との交点で定義される断面領域に構成される任意の2点間の最大距離として定義される。
【0099】
プリコリメーションレンズ27は、コリメーションレンズ25から距離h(インレット面27aのベースとインプット面25aのベースとの間で測定)のところに配置されており、コリメーションレンズ25の最大幅C(プリコリメーションレンズ27の最大幅について定義されたようにアナログ的に測定)を特徴とする。なお、レンズインレット面/インプット面27a,25aのベースとは、レンズインレット面/インプット面27a,25aの少なくとも一点と交差し、発光素子24の出射面に最も近い平行面をいう。
【0100】
発光素子24の発光面は、プリコリメートレンズ27の光インレット面27aから、最大値がレンズ距離hの0.01~0.04倍、好ましくはレンズ距離hの0.015~0.035倍、さらに好ましくはレンズ距離hの0.025倍に相当するギャップdだけ離れている。図9aの実施形態では、発光素子24は、湾曲した光インレット面27aによって区切られた自由空間の外側に配置されている。したがって、ギャップdの制約は、凹状の湾曲した光インレット面27aが、距離hの0.01~0.04倍よりも小さいか、最大でも等しい(プリコリメーションレンズ27の光軸Oに沿って測定された)最大の高さを有することを意味する。
【0101】
上記の寸法に関して、出願人は、色収差を最小化し、同時に光のコリメーションを最大化するためには、コリメーションレンズ25のレンズ距離hと最大幅Cとの関係が、プリコリメーションレンズ27の高さb2と最大幅b1との関係に実質的に対応することを確認した。詳細には、色収差を最小化し、同時に光のコリメーションを最大化するために、比C/hと比b1/b2の両方が、好ましくは0.8~1.6の範囲で構成され、より好ましくは0.85~1.4の範囲で構成され、さらに好ましくは0.90~1.3の範囲で構成されることを出願人は確認した。さらに、出願人は、色収差を最小化し、同時に光のコリメーションを最大化するために、プリコリメーションレンズ27の高さb2と距離hとの間の比b2/hが、0.2~0.8の範囲で構成され、より好ましくは0.25~0.75の範囲で、さらに好ましくは0.3~0.7の範囲で構成されることを確認した。少なくとも、追加または代替として、色収差を最小化し、同時に光のコリメーションを最大化するために、プリコリメーションレンズの最大幅b1とコリメーションレンズの最大幅Cの間の比b1/Cは、0.3~0.8の範囲で構成され、より好ましくは0.35~0.75の範囲、さらに好ましくは0.4~0.7の範囲で構成されることを出願人は確認した。また、出願人は、(発光素子24の発光面で構成される任意の2点間の最大距離として測定した)発光素子24の発光面の幅a1とプリコリメーションレンズ27の最大幅b1との間の比率a1/b1が、好ましくは0.2(1:5)から0.04(1:25)の間であることを確認した。さらに出願人は、コリメーションレンズ光軸Oにおけるコリメーションレンズ25の光アウトプット面25bの曲率半径r2と、プリコリメーションレンズ光軸Oにおけるプリコリメーションレンズ27の光アウトレット面27bの曲率半径r1との比r2/r1は、1.5以上6以下、より好ましくは1.5以上10以下で構成する必要があることを見出した。これらの関係を組み合わせることで、コリメート前の動作とそれに続くコリメート動作の間の最適な分布が保証され、それによって色収差を最小限に抑えた高コリメート光(例えば、HWHMが好ましくは10°よりも小さい極角プロファイルのピークを有する)が得られる。
【0102】
図10は、図7に示した第1好ましい実施形態に加えて、発光装置21のアレイの直下流に配置されたチャンネル構造35を備える、コリメート光源20の第3の好ましい実施形態を示している。このようにして配置されたチャンネル構造体35は、発光装置21から発せられた迷光が存在することを特徴とし、当該チャンネル構造体35に入射した第1コリメート光を、カット角α_cutよりも大きい角度で伝播する迷光のない第2コリメート光23に変換することができる。したがって、アウトプット面22から出る第2コリメート光23は、迷光が低減されていることを特徴としており、例えば、バックグラウンドがピーク輝度値の1%以下の輝度プロファイルを有しているが、輝度プロファイルの不均一性に起因する可視構造が残っている可能性がある。しかしながら、本発明によれば、不均一性がある場合には、光学ユニット30によってこれらが強く低減される。
図1
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図9a
図10
図11
図12a
図12b