IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャンハイマブギークバイオテック.カンパニー,リミティドの特許一覧

特許7454882抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用
<>
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図1
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図2
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図3
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図4
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図5
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図6
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図7
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図8
  • 特許-抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】抗ヒトインターロイキン-4受容体α抗体及びその調製方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240315BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240315BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240315BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240315BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240315BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240315BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61P43/00 105
A61P37/02
A61P29/00
A61P11/06
A61P37/08
A61P17/00
A61P11/02
A61P17/06
A61P19/02
A61P25/00
A61P27/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022563020
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2021086806
(87)【国際公開番号】W WO2021208881
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202010309238.8
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522404465
【氏名又は名称】シャンハイマブギークバイオテック.カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】チャン チョンハイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ チンリン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン ユイチン
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-506146(JP,A)
【文献】特表2017-527560(JP,A)
【文献】特表2017-514501(JP,A)
【文献】特表2015-520175(JP,A)
【文献】特表2000-515016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00- 19/00
C12N 15/00- 15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分であって、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
前記重鎖可変領域が、HCDR3配列、HCDR1配列及びHCDR2配列を含み、前記軽鎖可変領域が、LCDR1配列、LCDR2配列及びLCDR3配列を含み、
前記HCDR1配列、前記HCDR2配列、前記HCDR3配列、前記LCDR1配列、前記LCDR2配列及び前記LCDR3配列が、それぞれ配列番号123~128のアミノ酸配列を含み、又は
前記HCDR1配列、前記HCDR2配列、前記HCDR3配列、前記LCDR1配列、前記LCDR2配列及び前記LCDR3配列が、それぞれ配列番号:129~134のアミノ酸配列を含み、又は
前記HCDR1配列、前記HCDR2配列、前記HCDR3配列、前記LCDR1配列、前記LCDR2配列及び前記LCDR3配列が、それぞれ配列番号:201~206のアミノ酸配列を含む、
抗体又はその抗原結合部分。
【請求項2】
前記重鎖可変領域は、配列番号:14のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:16のアミノ酸配列を含み、又は
前記重鎖可変領域は、配列番号:82のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:85のアミノ酸配列を含み、又は
前記重鎖可変領域は、配列番号:18のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:20のアミノ酸配列を含み、又は
前記重鎖可変領域は、配列番号:88のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:91のアミノ酸配列を含み、又は
前記重鎖可変領域は、配列番号:66のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:68のアミノ酸配列を含み、又は
前記重鎖可変領域は、配列番号:100のアミノ酸配列を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:103のアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号:83に示される重鎖配列、及び配列番号:86に示される軽鎖配列を有し、又は
前記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号:89に示される重鎖配列、及び配列番号:92に示される軽鎖配列を有し、又は
前記抗体又はその抗原結合部分は、配列番号:101に示される重鎖配列、及び配列番号:104に示される軽鎖配列を有する、
請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項4】
前記抗原結合部分は、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、及びFvフラグメントから選ばれる、
請求項1~3の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項5】
前記Fvフラグメントが、scFvフラグメントである、請求項4に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合部分は600pM未満のKDでインターロイキン-4受容体αに結合する、
請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合部分は、350pM未満のKDでインターロイキン-4受容体αに結合する、
請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項8】
前記抗体又はその抗原結合部分は、ヒトインターロイキン-4受容体α又はマウスインターロイキン-4受容体αに特異的に結合される、
請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項9】
前記抗体又はその抗原結合部分は、IL-4によって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害し及び/又はB細胞のIgE分泌を阻害することができる、
請求項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
【請求項10】
請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分及び薬学的に許容されるベクターを含む、
薬物組成物。
【請求項11】
請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分をコードする、
ヌクレオチド分子。
【請求項12】
請求項11に記載のヌクレオチド分子を含む、
発現ベクター。
【請求項13】
請求項11に記載のヌクレオチド分子又は請求項12に記載の発現ベクターを含む、
宿主細胞。
【請求項14】
請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分の生成方法であって、
a)請求項13に記載の宿主細胞が前記抗体又はその抗原結合部分の生成を可能にさせる発現条件下で、前記宿主細胞を培養することによって、抗体又はその抗原結合部分を発現するステップと、
b)ステップa)で発現される前記抗体又はその抗原結合部分を分離及び精製するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
IL-4Rα関連疾患を予防又は治療する薬物の調製における、請求項1~の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分、又は請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項16】
前記IL-4Rα関連疾患は、喘息、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性食道炎、鼻ポリープ、乾癬、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、ベーチェットブドウ膜炎、ドライアイ及び慢性自発性蕁麻疹から選ばれる、
請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年4月17日に提出された中国特許出願第202010309238.8号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、抗体分野に関し、より具体的には、本発明は、抗インターロイキン受容体の抗体及びその調製方法並びに使用に関する。
【背景技術】
【0003】
体が抗原に刺激される時、体内の抗原特異的リンパ球が抗原を認識し、活性化、増殖、分化などの応答が起こり、最後に侵入した抗原を除去する。T細胞とB細胞は主なエフェクター細胞である。異なるタイプの抗原に対して、T細胞は標的細胞を直接殺傷し、異なるタイプのサイトカインを分泌することによって、免疫応答を強化及び増強して免疫効果を発揮することができる。研究により、アレルギー性喘息などのアレルギー性疾患において、インターロイキン(interlukin、IL)-4、IL-5、IL-9及びIL-13などのTh2型サイトカインは、主な病理学的進行を介在することが示された。
【0004】
喘息は、一般的な呼吸器疾患であり、通常、呼吸器炎症、気管支過敏症及び気管支壁の構造変化(呼吸器リモデリング)で表される。遺伝的背景やアレルゲン及び呼吸器系ウイルスなどの環境要因の刺激などが喘息の発作を誘発し、主な病理学的症状は、再発性喘息、息切れ、胸部圧迫感及び咳である。喘息の患者数は世界で230万人であり、罹患率は今後の数十年で増加すると予想されている。喘息は現在、プログレッシブ治療で症状を軽減し、リスクをコントロールする。吸入コルチコステロイドは中等度喘息の標準治療方法であるが、重症患者には長時間作用型β拮抗薬を併用し、最も重症の場合は追加のコントローラー薬を必要とする可能性がある。これらの治療は、他の深刻な副作用とともに、免疫系の障害を引き起こす可能性がある。それにもかかわらず、5%~10%の患者は現在、治療薬がない。
【0005】
アレルギー性喘息において、気管支でのTh2型サイトカインの異常な高発現が発見されると同時に、Th2サイトカインが炎症反応の発作と進行を介在し、呼吸器の病理学的変化を促進するなどが確認されている。これらのサイトカインは、好酸球や肥満細胞などを含む炎症細胞の活性化及び炎症部位への走化性を促進する。IL-4とIL-13はB細胞を標的とし、分泌された抗体をIgMからIgEに変換し、同時に杯細胞の過形成、気管支線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換、コラーゲン沈着や呼吸器平滑筋細胞の増殖などを誘導することによって、気管支リモデリングを誘導する。
【0006】
IL-4とIL-13の両方とも、インターロイキン-4受容体α(IL-4Rα)に結合することで、対応するシグナル伝達経路を活性化できるため、IL-4Rα標的抗体の開発によりIL-4とIL-13の両方の病理学的反応を同時に遮断でき、喘息などのIL-4Rα関連疾患の治療への使用が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者らは、大量の試験により、細胞表面IL-4受容体α(IL-4Rα)へのIL-4及びIL-13の結合を特異的に遮断することによって、IL-4及びIL-13シグナル伝達を遮断するモノクローナル抗体を得、それはIL-4/IL-13により介在される生物活性を遮断することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様によれば、本出願は、HCDR3配列を含み、任意選択にHCDR1及び/又はHCDR2配列をさらに含む重鎖可変領域を含む、IL-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を提供する。いくつかの実施形態において、上記HCDR3配列は配列番号:107、113、119、125、131、137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197及び203から選ばれるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記HCDR1配列は配列番号:105、111、117、123、129、135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195及び201から選ばれるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記HCDR2配列は配列番号:106、112、118、124、130、136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196及び202から選ばれるアミノ酸配列を含む。選択可能な実施形態において、上記抗原結合部分はFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fdフラグメント及び単一ドメイン抗体から選ばれる。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、又は前記重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、IL-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分は、LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3配列を含む軽鎖可変領域をさらに含む。特定の実施形態において、前記LCDR1配列は配列番号:108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198及び204から選ばれるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、前記LCDR2配列は配列番号:109、115、121、127、133、139、145、151、157、163、169、175、181、187、193、199及び205から選ばれるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、前記LCDR3配列は配列番号:110、116、122、128、134、140、146、152、158、164、170、176、182、188、194、200及び206から選ばれるアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、又は前記軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、IL-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分の重鎖は、配列番号:71、77、83、89、95及び101から選ばれるアミノ酸配列又は上記配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。任意選択で、前記抗体又はその抗原結合部分の軽鎖は、配列番号:74、80、86、92、98及び104から選ばれるアミノ酸配列又は上記配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1態様に記載のIL-4受容体αに特異的に結合する抗体はモノクローナル抗体である。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1態様に記載のIL-4受容体αに特異的に結合する抗体はヒト化抗体である。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるIL-4受容体α抗体又はその抗原結合部分は、抗体131-Hu、136-Hu又は236-HuとIL-4受容体αにおける同じエピトープに結合するか、又は131-Hu、136-Hu又は236-HuとIL-4受容体αに競合的に結合し、ここで、前記抗体131-Huの重鎖配列は配列番号:83に示され、軽鎖配列は配列番号:86に示され、前記抗体136-Huの重鎖配列は配列番号:89に示され、軽鎖配列は配列番号:92に示され、及び前記抗体236-Huの重鎖配列は配列番号:101に示され、軽鎖配列は配列番号:104に示される。
【0016】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、B細胞のIgE分泌を阻害することができる。いくつかの実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、600pM未満、好ましくは350pM未満のKDでIL-4Rαに結合する。別のいくつかの実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、IL-4によって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害することができる。
【0017】
第2態様によれば、本願は、前述のIL-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド分子を提供する。
【0018】
第3態様によれば、本願は、前述のヌクレオチド分子を含む発現ベクターを提供する。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記発現ベクターは、pTT5、pUC57、pDR1、pcDNA3.1(+)、pDHFF又はpCHO1.0などである。
【0020】
第4態様によれば、本出願は、前述の発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記宿主細胞は、HEK293、COS、CHO、NS0、sf9、sf21、DH5α、BL21(DE3)又はTG1などである。
【0021】
第5態様によれば、本願は、第1態様に記載のIL-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を調製する方法を提供する。上記方法は、下記のステップ:
a)第4態様に記載の宿主細胞が前記抗体又はその抗原結合部分の生成を可能にする発現条件下で、前記宿主細胞を培養することによって、前記抗体又はその抗原結合部分を発現するステップと、
b)a)で発現される前記抗体又はその抗原結合部分を分離及び精製するステップと、を含む。
【0022】
第6態様によれば、本出願は、第1態様に記載の抗IL-4受容体α抗体又はその抗原結合部分及び薬学的に許容されるベクターを含む薬物組成物を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記組成物は、IL-4Rα関連疾患の治療に用いられる。
【0024】
第7態様によれば、本出願は、免疫介在性炎症反応又は炎症性疾患など、IL-4Rα関連疾患を予防又は治療する薬物の調製における、第1態様に記載の抗IL-4受容体α抗体又はその抗原結合部分、又は第6態様に記載の組成物の使用を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記免疫介在性炎症反応又は炎症性疾患は、喘息、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性食道炎、鼻ポリープ、乾癬、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、ベーチェットブドウ膜炎、ドライアイ及び慢性自発性蕁麻疹などを含む。
【0026】
その他の態様によれば、本出願は、第1態様に記載の抗体又はその抗原結合部分、或いは第6態様に記載の薬物組成物を必要のある個体に投与することを含む、IL-4Rα関連疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の抗IL-4Rα抗体又はその抗原結合部分は、IL-4Rαに特異的に結合することができ、以下の1つ又は複数の効果を有する。IL-4RαへのIL-4又はIL-13の結合を遮断する。TF-1細胞など、IL-4又はIL-13によって誘導される細胞株の増殖を阻害する。及び/又は、B細胞のIgE分泌を阻害する。インビボ薬効学試験は、本発明の抗体が、IL-4、IL-13シグナル伝達経路を阻害することによって下流のTh2型応答の発生を拮抗することができ、喘息を抑える強力な機能を有し、且つ発効が速い。本発明の抗IL-4Rα抗体又はその抗原結合部分は、免疫介在性炎症性疾患など、IL-4Rα関連疾患の予防又は治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】構築されたマウス抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体のヒトIL-4Rαに対する親和力の測定結果である。
図2】構築されたマウス抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体のヒトIL-4によって誘導されるTF-1細胞増殖を阻害する結果である。
図3】ヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体のヒトIL-4によって誘導されるTF-1細胞増殖を阻害する実験結果である。
図4】ヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の新鮮な末梢血由来のB細胞IgE分泌を阻害する実験結果である。
図5】ヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の薬物動態実験結果である。
図6】モデルマウス血清IgEに対する305-Bの阻害である。
図7】各モデル群動物の肺胞洗浄液における白血球に対する好酸球の割合である。
図8】各モデル群動物の肺組織における好酸球の浸潤である。
図9】各モデル群動物の肺組織における粘液分泌である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願は、IL-4Rαに特異的に結合する新しい抗IL-4Rα抗体又はその抗原結合部分を提供する。好ましい実施形態において、本出願の抗体又はその抗原結合部分は高親和力でヒトIL-4Rαに結合し、且つIL-4Rαの活性を阻害する。本出願は、当該抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、前記ポリヌクレオチド又はベクターを含む宿主細胞、当該抗体を調製及び精製する方法、及びIL-4Rα関連疾患又は病状の予防又は治療など、前記抗体又はその抗原結合フラグメントの医学的及び生物学的使用をさらに提供する。本出願は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントを使用してIL-4Rαを検出し、IL-4Rα活性の調節する方法をさらに含む。
【0030】
本出願を容易に理解するために、まず、本明細書で使用されるいくつかの用語を定義する。
【0031】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、4つのポリペプチド鎖、即ちジスルフィド結合を介して相互結合された2つの重鎖(H)鎖及び2つの軽鎖(L)を含む免疫グロブリン分子、及びその多量体(例えばIgM)を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VHと略記)及び重鎖定常領域(CHと略記)を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、即ちCH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VLと略記)及び軽鎖定常領域(CLと略記)を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存領域が点在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分化できる。
【0032】
本明細書で使用されるように、抗体の「抗原結合部分」という用語は、抗原との結合に関与する完全な抗体分子の一部又はセグメントを指す。抗原結合ドメインは、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)又は上記の両方を含んでもよい。抗体の抗原結合フラグメントは、任意の適切な標準技術を使用して、完全な抗体分子から調製することができ、前記標準技術はタンパク質分解消化又は組換え遺伝子工学技術などを含む。抗原結合部分の非限定的な例は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fv(scFv)分子、単一ドメイン抗体、dAbフラグメント及び抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基で構成された最小認識ユニット(例えば、分離したCDR)を含む。「抗原結合部分」という用語は、二重抗体、三重抗体、四重抗体及び小型抗体など、他の工学的分子をさらに含む。
【0033】
本明細書で使用されるように、「重鎖可変領域(VH)」及び「軽鎖可変領域(VL)」という用語はそれぞれ、FR1、2、3、4及びCDR1、2、3を含む単一抗体の可変重鎖と軽鎖領域を指す。
【0034】
当業者によく知られているように、相補性決定領域(CDR、通常CDR1、CDR2及びCDR3がある)は、抗体の親和力及び特異性に最大の影響を与える可変領域内の領域である。VH又はVLのCDR配列は、kabat定義及びChothia定義という2つの一般的な定義方法があり、例えば、Kabat et al、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);A1-Lazikani et al.、J. Mol.Biol.273:927-948(1997);及びMartin et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:9268-9272(1989)を参照する。抗体が特定された可変領域配列に関しては、Kabat定義又はChothia定義に基づいてVHとVL配列内のCDR領域の配列を決定することができる。本出願の実施形態では、Kabatを使用してCDR配列を定義する。本明細書において、重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、HCDR1、HCDR2及びHCDR3と略称され、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、LCDR1、LCDR2及LCDR3と略称される。
【0035】
抗体が特定された可変領域配列に関しては、様々な方法によって可変領域配列内のCDR領域の配列を分析することができ、例えば、オンラインソフトウェアAbysisによって決定することができる(http://www.abysis.org/)。
【0036】
本明細書で使用される「特異的に結合」という用語は、2つの分子間の非ランダム結合反応を指し、例えば抗原エピトープへの抗体の結合であり、例えば非特異的抗原に対する親和性の少なくとも2倍の親和性で特異的抗原に結合する抗体の能力である。しかし、抗体は、その配列に関連する2つ以上の抗原に特異的に結合することができることを理解すべきである。例えば、本発明の抗体は、ヒト及び非ヒト(例えばマウス又は非ヒト霊長類動物)のIL-4Rαに特異的に結合することができる。
【0037】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、集団を構成した各抗体は、少数の個体に天然に存在する突然変異を除いて同一である。本明細書に記載されているモノクローナル抗体は特に「キメラ」抗体を含み、ここで、重鎖及び/又は軽鎖の一部は特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であり、重鎖及び/又は軽鎖の残りの部分は別の種に由来するか、又は別の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であり、また所望の生物活性を示すことができる抗体のフラグメントを含む(米国特許番号4,816,567;及びMorrison et al、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984)を参照)。
【0038】
本明細書で使用されるように、「相同性」という用語は、配列アラインメント及びギャップ導入後、アミノ酸又はヌクレオチド配列変異体内の同一残基のパーセンテージが、必要に応じて最大パーセンテージに達する相同性を指す。アラインメントに使用される方法及びコンピュータプログラムは当該分野で周知である。本明細書に記載の「少なくとも80%の相同性」とは、相同性が80%~100%の間の任意の値であることを指し、例えば85%、90%、95%、99%などである。
【0039】
本明細書で使用されるように、「IL-4Rα関連疾患」という用語は、IL-4Rαシグナル伝達経路の活性化に関連する疾患及び/又は病状を含む。例示的なIL-4Rα関連疾患又は病状は、アレルギー性疾患、喘息など、免疫介在性炎症反応を含む。
【0040】
本明細書で使用されるように、「半減期」及び「血清半減期」という用語は、本開示による抗原結合タンパク質の血清濃度が体内で50%減少するのにかかる時間を指す。
【0041】
一態様によれば、本出願は、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含むIL-4Rαに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分を提供する。下記の表1~5は、本出願の開示に適した抗体のCDR、VH、VL、重鎖と軽鎖アミノ酸配列及び対応するヌクレオチド配列を例示的に示す。特定の実施形態において、抗IL-4Rα抗体又はその抗原結合部分は、HCDR3、HCDR2及び/又はHCDR1配列を含み、それは表1に示されるHCDR3、HCDR2又はHCDR1配列のうちのいずれか1つから独立して選ばれる。特定の実施形態において、本出願の抗IL-4Rα抗体は、軽鎖CDRをさらに含むことができ、それは表2に示される軽鎖CDR1、CDR2又はCDR3配列のうちのいずれか1つから独立して選ばれる。例えば、本出願の抗IL-4Rα抗体は、表3と表4に示される重鎖可変領域のうちのいずれか1つを含むことができ、任意選択に表3と表4に示される軽鎖可変領域のいずれかと組み合わせることができる。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分のHCDR3は、配列番号:107、113、119、125、131、137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197及び203に示されるアミノ酸配列から選ばれる。いくつかの実施形態において、HCDR2は、配列番号:106、112、118、124、130、136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196及び202に示されるアミノ酸配列から選ばれ、及び/又は前記HCDR1は、配列番号:105、111、117、123、129、135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195及び201に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0048】
具体的な実施形態において、HCDR3は、配列番号:107、113、119、125及び131に示されるアミノ酸配列から選ばれる。別の具体的な実施形態において、HCDR3は、配列番号:137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197及び203に示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、HCDR3は、125、131及び203に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0049】
具体的な実施形態において、HCDR2は、配列番号:106、112、118、124及び130に示されるアミノ酸配列から選ばれる。別の具体的な実施形態において、HCDR2は、配列番号:136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196及び202に示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、HCDR2は、124、130及び202に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0050】
具体的な実施形態において、HCDR1は、配列番号:105、111、117、123及び129に示されるアミノ酸配列から選ばれる。別の具体的な実施形態において、HCDR1は、配列番号:135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195及び201に示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、HCDR1は、123、129及び201に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0051】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態において、前記重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列で構成される。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94又は100に示される配列と少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の相同性を有する。好ましい実施形態において、前記重鎖可変領域は、配列番号:82、88又は100に示されるアミノ酸配列と99%以上の相同性を有する。
【0053】
本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、重鎖可変領域を含むことに加えて、軽鎖可変領域をさらに含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記軽鎖可変領域のCDR3(LCDR3)は、配列番号:110、116、122、128及び134に示されるアミノ酸配列から選ばれ、又は配列番号:140、146、152、158、164、170、176、182、188、194、200及び206で示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、LCDR3は、配列番号:128、134及び206で示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、LCDR2は、配列番号:109、115、121、127及び133に示されるアミノ酸配列から選ばれ、又は配列番号:139、145、151、157、163、169、175、181、187、193、199及び205に示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、LCDR2は、配列番号:127、133及び205に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0056】
いくつかの実施形態において、LCDR1は、配列番号:108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198及び204に示されるアミノ酸配列から選ばれ、又は配列番号:108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198及び204に示されるアミノ酸配列から選ばれる。好ましい実施形態において、LCDR1は配列番号:126、132及び204に示されるアミノ酸配列から選ばれる。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態において、前記軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列で構成される。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97又は103に示される配列と少なくとも80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の相同性を有する。好ましい実施形態において、前記重鎖可変領域は、配列番号:85、91又は103に示される配列と99%以上の相同性を有する。
【0059】
具体的な実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分の重鎖は、配列番号:71、77、83、89、95及び101から選ばれるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有し、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する。より具体的な実施形態において、上記抗体重鎖は、配列番号:71、77、83、89、95及び101から選ばれるアミノ酸配列で構成される。好ましい実施形態において、上記抗体重鎖のアミノ酸配列は配列番号:83、89又は101に示される通りである。
【0060】
具体的な実施形態において、本明細書で開示される抗体の軽鎖は、配列番号:74、80、86、92、98及び104から選ばれる配列と少なくとも80%の相同性を有し、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の相同性を有する。より具体的な実施形態において、前記抗体軽鎖は、配列番号:74、80、86、92、98及び104から選ばれるアミノ酸配列で構成される。好ましい実施形態において、上記抗体軽鎖のアミノ酸配列は配列番号:86、92又は104に示される通りである。
【0061】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体の重鎖又は重鎖可変領域、軽鎖又は軽鎖可変領域は、上記に列挙されたそれぞれの対応する具体的なアミノ酸配列に基づいて少なくとも1つのアミノ酸を置換、欠失又は付加して得ることができ、且つ得られた変異体は依然としてIL-4Rαに結合する活性を維持する。
【0062】
特定の実施形態において、上記アミノ酸の置換、欠失又は付加の数は1~30個であり、好ましくは1~20個であり、より好ましくは1~10個である。好ましい実施形態において、配列の変異体は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸の置換、欠失及び/又は添加によって元のアミノ酸配列と異なる。より好ましい実施形態において、配列の変異体は、約1、2、3、4又は5個のアミノ酸の置換、欠失又は付加によって元のアミノ酸配列と異なる。具体的な実施形態において、前記アミノ酸置換は保存的置換である。
【0063】
好ましい実施形態において、本明細書で開示された抗体は抗体131-Hu、136-Hu又は236-Huであり、ここで、抗体131-Huの重鎖配列は配列番号:83で示される通りであり、軽鎖配列は配列番号:86で示される通りであり、ここで、CDR配列は抗体131と同じであり;抗体136-Huの重鎖配列は配列番号:89で示される通りであり、軽鎖配列は配列番号:92で示される通りであり、ここで、CDR配列は抗体136と同じであり;前記抗体236-Huの重鎖配列は配列番号:101で示される通りであり、軽鎖配列は配列番号:104で示される通りであり、CDR配列は抗体236と同じである。
【0064】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、抗体131-Hu、136-Hu又は236-Huとインターロイキン-4受容体αにおける同じエピトープに結合し、又は131-Hu、136-Hu又は236-Huとインターロイキン-4受容体αに競合的に結合する。
【0065】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体はモノクローナル抗体である。具体的な実施形態において、本明細書で開示される抗体はヒト化抗体である。
【0066】
本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、IL-4Rαに特異的に結合することができる。具体的な実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、ヒトIL-4Rα又はマウスIL-4Rαに特異的に結合する。好ましい実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、ヒトIL-4Rαに特異的に結合する。
【0067】
いくつかの実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、600pM未満のKDでIL-4Rαに結合する。好ましい実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分は、350pM未満のKDでヒトIL-4RαなどのIL-4Rαに結合する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、IL-4によって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分は、B細胞のIgE分泌を阻害することができる。
【0069】
例えば、本出願の発明者らは、本明細書で開示される抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体のインビトロ、インビボ生物学的実験を行い、結果により当該抗体はIL-4Rαによく結合できることが示された。
【0070】
具体的には、本願の発明者らは、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体に対して親和力の検出、IL-4/IL-13とIL-4Rαとの結合を遮断する実験の分析、インビトロ細胞機能の検出などの実験を行った。実験の結果により、本明細書で開示される抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体は細胞表面のIL-4Rαに結合することができ、IL-4/IL-13とIL-4Rαとの間のシグナル伝達を遮断し、炎症反応の発生を阻害することが示された。
【0071】
本願は、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド分子、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、前記ポリヌクレオチド又はベクターを含む宿主細胞、及び当該抗体を調製及び精製する方法をさらに提供する。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記抗体又はその抗原結合部分をコードするヌクレオチド分子は、前記ベクターで形質転換された宿主細胞によって認識されることができる調節配列に作動可能に結合する。
【0073】
いくつかの実施形態において、任意の適切な発現ベクターは本願に使用できる。例えば、前記発現ベクターは、pTT5、pUC57、pDR1、pcDNA3.1(+)、pDHFF及びpCHO1.0のうちの1種であってもよい。発現ベクターには、適切な転写及び翻訳調節配列に結合する融合DNA配列を含んでもよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、使用可能な宿主細胞は上記発現ベクターを含む細胞であり、真核細胞であってもよく、例えば、哺乳動物又は昆虫宿主細胞系はすべて、本出願の抗体又はその抗原結合部分の発現に使用できる。例えば、HEK293細胞、COS、CHO、NS0、sf9及びsf21などはすべて、本発明に適用できる。前記宿主細胞は、DH5α、BL21(DE3)又はTG1など、上記発現ベクターを含む原核細胞であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の調製方法は:発現条件下で、宿主細胞を培養することによって、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体を発現するステップと、発現した抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体を分離及び精製するステップと、を含む。上記方法を使用して、組換えタンパク質を、例えばSDS-PAGE電気泳動でのシングルバンドなど、基本的に均一な物質に精製することができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、アフィニティークロマトグラフィ法により本明細書に開示される抗IL-4Rα抗体を分離及び精製することができ、使用するアフィニティーカラムの特性に応じて、高塩緩衝液、PH変更など、従来の方法を使用して、アフィニティーカラムに結合した抗IL-4Rα抗体を溶出することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体は以下の方法によって得られる:実験室で調製したIL-4Rα抗原でBalb/cマウスを免疫し、高力価のマウスを複数回免疫した後、マウス脾細胞をハイブリドーマ細胞と融合させ、IL-4機能的活性を抑制するハイブリドーマ細胞株をスクリーニングする。より具体的には、本願の発明者らは大量の実験により、まずIL-4Rα細胞外領域抗原、IL-4及びIL-13をそれぞれ発現し、これに基づいて、異なるアジュバントをIL-4Rα抗原と混合してマウスを免疫し、次に上記マウスの脾細胞をハイブリドーマ細胞株sp2/0とさらに融合させ、融合後のハイブリドーマをIL-4Rα細胞外領域抗原で陽性細胞株をスクリーニングし、IL-4/IL-13のIL-4Rαへの結合を遮断し、IL-4/IL-13の機能を確実に阻害することを確認した後、標的細胞株を得る。標的分子がヒト化改変された後、軽鎖と重鎖遺伝子を真核細胞発現ベクターpCHO1.0に同時にクローニングする。上記発現ベクターをリポソーム法によりCHO細胞へトランスフェクションし、次にピュロマイシンとメトトレキサートを使用して陽性細胞クローンをスクリーニングし、スクリーニングした高発現クローンを無血清培地で拡大培養し、Protein Aアフィニティーカラムでヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体を分離又は精製する。
【0078】
別のいくつかの実施形態において、PCR誘発変異などの当該分野の従来の技術を使用してマウス由来の親抗体を改変して、抗体のキメラ又はヒト化形式又は他の変異形式を生成することができる。本出願の親抗体は、例えば抗原相補性決定領域(CDR)構造ドメイン内で誘発変異されて変異抗体を生成することができ、結合親和力(より低いKD)、IC50、特異性、優先的結合など、その標的性質の存在をスクリーニングすることができる。好ましくは、変異抗体の標的性質は親抗体の性質に対する改善である。好ましくは、アミノ酸で変異抗体を置き換え、親抗体分子の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸残基は除去され、且つその位置に異なる残基が挿入されている。誘発変異を代替するための最も関心のある部位は1つ以上のCDR領域であるが、フレームワーク領域(FR)の改変も考える。好ましくは、保存アミノ酸の置換であり、非保存アミノ酸改変を導入でき、得られた変異抗体を用いて標的性質をスクリーニングすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、抗体の血清半減期を増加させるために、抗体のFc領域を改変する。すでに確認されたヒトFcRnの抗体への結合能力を向上できる突然変異部位は主にT250Q、M252Y、S254T、T256E、V308P、M428L、N434A、N434Sがあり、本実施形態において、これらの位置のアミノ酸の突然変異によって抗体の血清半減期の延長を実現することができる。
【0080】
本出願は、本明細書で開示される抗体又はその抗原結合部分及び薬学的に許容されるベクターを含む薬物組成物を提供する。抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体など、本明細書で開示される上記抗IL-4Rα抗体は、薬学的に許容されるベクターと共に薬物製剤を調製することで、治療効果をより安定的に発揮することができる。いくつかの実施形態において、これらの製剤は、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体など、本明細書で開示される抗IL-4Rα抗体のアミノ酸コア配列の配座完全性を保証できると同時に、タンパク質の多官能基を分解(凝縮、脱アミド化、又は酸化を含むが、これらに限定されない)から保護する。いくつかの実施形態において、液体製剤の場合は通常、2℃~8℃の条件下で少なくとも1年間安定的に保存できる。いくつかの実施形態において、凍結乾燥製剤の場合は、30℃下で少なくとも6ヶ月間安定的に保持できる。
【0081】
いくつかの実施形態において、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体製剤など、前記抗IL-4Rα抗体は、懸濁液、水針、凍結乾燥製剤などの製薬分野で一般的に使用されるものであってもよく、好ましくは、水針又は凍結乾燥製剤であり、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体など、本明細書で開示される抗IL-4Rα抗体の水針又は凍結乾燥製剤に対して、薬学的に許容される補助材料には、界面活性剤、溶液安定剤、等張性調節剤及び緩衝液又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ツイン20又は80)、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)、トリトン(Triton)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル、リノレイル又はオクタデシルサルコシン、プルロニクス(Pluronics)、MONAQUATTMなど、非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されず、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体が顆粒化する傾向を最小限にするような量で添加する必要がある。いくつかの実施形態において、溶液安定剤には、還元糖及び非還元糖などの糖、グルタミン酸ナトリウム又はヒスチジンなどのアミノ酸、トリオール、高級糖アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコールのうちの1種又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。溶液安定剤は、最後に形成された製剤が当業者によって安定であると考えられる期間に安定するような量で添加する必要がある。等張性調節剤には、塩化ナトリウム、マンニトール又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。緩衝液には、Tris、ヒスチジン緩衝液、リン酸塩緩衝液又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
本出願は、抗IL-4Rα抗体、又は抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体などの抗IL-4Rα抗体を含む組成物を個体へ投与することを含む、IL-4Rα関連疾患を予防又は治療する方法さらに提供する。いくつかの実施形態において、ヒトを含む動物へ投与した後、抗免疫介在性炎症反応の効果は明らかである。具体的に、本明細書で開示される抗IL-4Rα抗体は、免疫介在性炎症反応を効果的に予防及び/又は治療することができ、抗炎症薬物として使用することができる。
【0083】
本出願は、IL-4Rα関連疾患又は病状を予防又は治療するための薬物の調製における、抗IL-4Rα抗体、又は抗IL-4Rα抗体を含む組成物の使用をさらに提供する。いくつかの実施形態において、前記IL-4Rα関連疾患又は病状は、免疫介在性炎症反応又は免疫介在性炎症性疾患である。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記免疫介在性炎症反応又は免疫介在性炎症性疾患には、喘息、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性食道炎、鼻ポリープ、乾癬、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、ベーチェットブドウ膜炎、ドライアイ及び慢性自発性蕁麻疹などが含まれるが、これらに限定されない。上記炎症関連疾患を除いて、本明細書で開示される抗IL-4Rα抗体は、多発性硬化症、クローン病、結腸炎、潰瘍性結腸炎、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病などの予防又は治療にも使用される。
【0085】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される抗IL-4Rα抗体は、抗免疫介在性炎症反応薬物として使用することができる。本出願で言及される抗免疫介在性炎症反応薬物は、免疫介在性炎症反応を阻害及び/又は治療する薬物を指し、例えば、免疫介在性炎症反応関連病状の進行を遅らせること及び/又はこれらの病状の重症度を軽減することができる。いくつかの実施形態において、前記薬物は、既存の炎症反応に伴う病状を軽減し、他の病状の出現を防止することができる。いくつかの実施形態において、前記薬物は、炎症反応の転移を軽減又は防止することができる。
【0086】
本明細書で開示される抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体及びその組成物を、人を含む動物へ投与する場合、投与量は、患者の年齢や体重、疾患の性質及び重症度、並びに投与経路に応じて異なり、動物実験の結果と全体的な状況を参照でき、総投与量は一定の範囲を超えてはならない。具体的な実施形態において、静脈内注射の用量は1~1800mg/日である。
【0087】
抗体又はその組成物の投与量及び投与頻度は、疾患の予防又は治療に応じて変化することができる。予防的使用では、本出願の抗体又はその混合物を含む組成物を、患者の抵抗性を高めるために、まだ病状になっていない患者に投与する場合、当該量を「予防の有効量」と定義する。この使用では、具体的な投与量はまた患者の健康及び全身免疫性に依存する。通常、比較的頻繁ではない間隔で比較的低用量を長期間投与する。治療的使用では、疾患の進行が遅くなるか終了するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔で比較的高用量を投与する必要がある。その後、予防的方案を患者に投与することができる。当業者は、実際の必要に応じて具体的な投与量及び投与頻度を容易に把握することができる。
【0088】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含む」、「含み」及び「含有」という用語は、「含むがこれらに限定されない」を意味し、且つ他の部分、添加物、構成又はステップを除外することを意図しない。
【0089】
本出願の特定の態様、実施形態又は実施例に記載されている特徴、特性、構成又はステップは、それと矛盾しない限り、本明細書に記載されている他の任意の態様、実施形態又は実施例に適用可能であることを理解されたい。
【0090】
上記の開示は、全体的に本発明を説明している。以下の具体的な実施例は、本発明をさらに説明するものであり、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。実施例は、当業者によく知られており、分子クローニングマニュアル、コールドスプリングハーバーが出版しているプロトコール集(抗体技術)などの多くの出版物に記載されている従来の方法の詳細な説明を含まない。試薬の出所が示されていない場合は、従来の試薬である。
実施例
【0091】
実施例1 可溶性IL-4Rα細胞外領域Fcタグ及びFlagタグ抗原、参照抗体Dupilumab及びIL-4の調製
ヒトIL-4Rα細胞外領域抗原配列は、UniProt(UniProtKB-P24394)に由来し、Cricetulus griseusのコドン使用バイアスに従って、コドン最適化を行い、N末端第26~232位アミノ酸フラグメントの遺伝子合成を行い、配列をpUC57ベクターにサブクローニングし、pUC57-hIL4Rα-ECDを得た。ヒトIgG1の定常領域配列は、Secukinumabの配列(WHO Drug Information Vol.23、No.4、2009.P342を参照)に従って合成された。配列をpUC57ベクターにサブクローニングし、pUC57-IgG1-CHを得た。PCR法によりhFcフラグメントとFlagタグ(DYKDDDDK)をhIL4Rα-ECDフラグメントのC末端に挿入し、pTT5発現ベクター(実験室で保存)に構築し、pTT5(hIL4Rα-ECD-hFc)とpTT5(hIL4Rα-ECD-Flag)を得、次に配列決定を行い、完全に正しい配列を有するクローンを選択してトランスフェクションした。
【0092】
Dupilumab(IgG4、κ)のアミノ酸配列は、who.int(WHO Drug Information Vol.26、No.4、2012.P412を参照)に由来し、コドン最適化後にヌクレオチド配列を全ゲノム合成し、pTT5発現ベクターにクローニングし、配列決定の検証により、pTT5(Dupilumab)と標識された正しいクローンベクターを得たことが確認された。pTT5(Dupilumab)ベクターをHEK293E細胞株に一過性にトランスフェクションし、3mMのバルプロ酸を含むFreestyle293培地で5日培養した後、Protein Aアフィニティークロマトグラフィーカラム(Pharmacia社から購入)を使用して細胞培養上清からDupilumab抗体タンパク質を精製した。
【0093】
ヒトIL-4配列は、UniProt(UniProtKB-P05112)に由来し、Cricetulus griseusのコドン使用バイアスに従って、コドン最適化を行い、N末端第25~153位アミノ酸フラグメントの合成を行い、配列をpUC57ベクターにサブクローニングした。PCR法によりFlagタグ(DYKDDDDK)をhIL4フラグメントのC末端に挿入し、pTT5発現ベクターに構築し、pTT5(hIL4-Flag)を得、次に配列決定を行い、完全に正しい配列を有するクローンを選択してトランスフェクションした。
【0094】
PEI法によりプラスミドをHEK293E細胞株(実験室で保存)にトランスフェクションした。3mMを含むバルプロ酸のFreestyle293培地(Gibco社から購入)で5日培養した後、Protein Aアフィニティークロマトグラフィーカラム(Pharmacia社から購入)又はFlagアフィニティークロマトグラフィー(Sigma社から購入)を使用して細胞培養上清から標的タンパク質を精製した。タンパク質の定量は、ビスキノリンカルボン酸(Bicinchoninic acid、BCA)方法により行われ、精製されたタンパク質は、次の更なる分析と研究に使用された。精製されたタンパク質は、次のマウス免疫及び更なる分析と研究に使用された。
【0095】
実施例2 hIL-4Rα-ECD-Fcの免疫
100μg/マウスのhIL-4Rα-ECD-Fc抗原用生理食塩水を75μlに希釈した後、等体積の完全なフロイントアジュバントと混合し、超音波乳化の完了後に4~5週齢のBalb/cマウス(上海霊暢生物科技有限社から購入し、動物製造販売業の
【数1】
)を複数の箇所に皮下注射した。3週間後、50μg/マウスのタンパク質も75μlに希釈した後、等体積の不完全なフロイントアジュバントと混合し、超音波乳化の完了後にマウスを複数の箇所に皮下注射し、2週間後、この免疫を繰り返した。すべてのマウスは、3回目の免疫の1週間後に、テールカットで血液を採取し、血清を分離し、hIL-4Rα-Fc抗原でコーティングされたELISAによって血清学的力価を検出した。血清抗体価が10000を超えるマウスの場合、採血の1週間後に免疫パルス療法を行い、尾静脈に10μg抗原/100μlの生理食塩水/マウスを注射した。
【0096】
力価はELISA法により検出された。1μg/mlの濃度及び1ウェル当たり100μlのhIL-4RαECD-Fc抗原でELISAプレートをコーディングし、4℃で一晩コーティングした。PBST(0.5%のTween(登録商標)-20を含むPBS)でプレートを2回洗浄し、軽く叩いて乾燥させた。1%のBSAを含むコーティング溶液200μlを各ウェルに添加して密閉し、常温下で4時間密閉した後に叩いて乾燥させ、-20℃の冷蔵庫に保存して使用に備えた。検出時にELISAプレートの各ウェルに様々な濃度のマウス血清100μlを添加し、2つの2ウェルを設定し、室温で1.5時間培養した。PBSTで3回洗浄した後に叩いて乾燥させた。PBST1:10000倍で希釈したHRPに標識されたウサギ抗マウスIg抗体(Sigma社から購入)100μlを添加し、室温で1時間培養した。PBSTで3回洗浄した後に叩いて乾燥させた。各ウェルに100μlの発色液(使用直前にELISA発色A液と発色B液を1:1の体積比で均一に混合)を加えて発色させ、次に各ウェルに100μlの2MのHSO停止液をそれぞれ添加して、反応を終了させた。直ちに、マイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して450nmの波長で各ウェルのOD値を測定した。
【0097】
実施例3 ハイブリドーマの融合及びスクリーニング
ハイブリドーマsp2/0細胞(中国科学院典型培養物保蔵委員会の細胞バンクから入手し、保蔵番号はTCM-18)を37℃、5%のCOインキュベータで培養し、融合の前日に培地を交換した。マウスの免疫パルス療法の3日後にマウス脾細胞を採取して融合させた。融合とスクリーニングの方法は次のとおりであった。マウス脾臓を採取し、粉砕及び洗浄後に脾細胞をカウントした。脾細胞をsp2/0細胞と10:1の比率で混合し、1500rpmで7分間遠心分離した。上清を洗浄して除去した。1分間以内に1mlのPEG(1450)を加え、90秒間軽く振とうし、2.5分間以内に無血清DMEM培地(Gibco社から購入)5mlを加え、次に無血清培地5mlを一度に加えて反応を停止させ、5分間放置し、1280rpmで8分間遠心分離した。96ウェルプレートに200万個のsp2/0細胞の数に応じて、細胞を96ウェルプレートに均一に接種し、各ウェルに200μlであった。まず、ヒポキサンチン(hypoxanthine、H)、メトトレキサート(aminopterin、A)及びチミジン(thymidine、T)を含むHAT培地でスクリーニングし、3~4日ごとに半分量の培地を交換し、10日目にHT培地に交換した。10日後、ハイブリドーマ細胞が96ウェルプレートの底部の10%以上を覆った時、hIL-4Rα-ECD-Fc抗原でコーティングされたELISAプレートでELISA検出を行うために上清を採取した。ELISA検出方法は実施例2に記載されている方法と同じであった。陽性ハイブリドーマを選択し、24ウェルプレートにクローニングして拡大培養し、限界希釈法でサブクローニングし、標的抗体を安定的に発現したハイブリドーマ株を得た後に種保存及びバンク構築を行った。
【0098】
実施例4 マウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体によるhIL-4RαECD-FcへのIL-4結合の遮断
ELISA法によってマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体によるhIL-4Rα-ECD-FcへのIL-4結合の遮断を研究した。hIL-4抗原でELISAプレートをコーティングし、密閉後にhIL-4Rα-ECD-Fc及び300μlのサブクローニングにおけるマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体のハイブリドーマ細胞を同時に加えて上清を培養し、最後にHRP-ヤギ抗ヒトIgG抗体を加えて発色させて検出した。IL-4及びIL-4Rα-ECD-Fcへの結合を遮断できる細胞株を、次のサブクローニングのために保持した。
【0099】
実施例5 マウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体のヒトIL-4Rαに結合するEC50
好ましいマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体を、Protein Gアフィニティークロマトグラフィーカラムによりアフィニティー精製した後、BCA法により定量を実施した。抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体のhIL-4Rαに結合するEC50はELISAにより検出された。検出方法は実施例3に示された通りである。1μg/mlのhIL-4Rα-ECD-Fc抗原でELISAプレートをコーティングし、様々な濃度のマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体を加えて検出した。
【0100】
266個の構築された抗体を分析し、図1は代表的な実験結果であった。表6には一部の好ましい抗体のEC50データがリストされ、これらの抗体のヒトIL-4Rαに対する親和力が比較的高く、EC50はいずれも約10ng/mlであった。
【0101】
【表6】
【0102】
実施例6 マウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体の、hIL-4又はhIL-13によって誘導されるTF-1細胞増殖に対する阻害
3回目のサブクローニング後のハイブリドーマ細胞株を拡大して無血清培養し、次に細胞の上清を回収し、Protein G(GE社から購入)アフィニティーカラムを使用して抗体を精製した。精製後の抗体の定量を実施し、その機能的活性を検証した。
【0103】
TF-1細胞は、ヒト赤血球系の白血病患者の骨髄から分離及び培養されたサイトカイン依存性細胞株であった。研究によると、TF-1細胞はhIL-4又はhIL-13の刺激下でよく成長するため、優れたIL-4シグナル伝達経路の機能を検証するモデルにすることが可能であった。
【0104】
成長状態が良好なTF-1細胞(ATCCから入手し、保蔵番号はCRL-2003である)を採取し、カウント後に最終濃度20ng/mlの組換えhIL-4又はhIL-13(R&D Systemsから購入)と共に2×10/100μlの細胞懸濁液に再懸濁した。培地は、10%のウシ胎児血清(Sigma社から購入)、100U/mlのペニシリン(Gibco社から購入)及び100mg/mlのストレプトマイシン(Gibco社から購入)を含み、RPMI-1640完全培地と呼ばれるRPMI1640培地(Gibco社から購入)であった。培地溶液で様々な濃度のマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体(20μg/ml~3ng/ml、3倍で希釈、9個の異なる濃度)を希釈し、各ウェルに100μlで、96ウェル平底細胞培養プレート(Corning社から購入)に加え、次に各ウェルに100μlの細胞懸濁液を加えた。各群に2つの複製ウェルを設定し、37℃、5%のCOで72時間培養した。各ウェルに20μlのCCK-8溶液(Dojindo社から購入)を加え、8時間培養を続け、均一に混合した後にマイクロプレートリーダー(Molecular Device)を使用して450nmの波長で各ウェルのOD値を測定し、細胞増殖の比率を計算した。
【0105】
上記266個のマウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体の、IL-4によって誘導されるTF-1細胞増殖に対する阻害機能活性を分析すると(図2)、好ましい17個の抗体のデータは表7に示される通りであった。
【0106】
【表7】
【0107】
実施例7 マウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体配列の測定
Trizol(Sangon Biotech(Shanghai)Co.,Ltd.から購入)を使用して各ハイブリドーマ細胞株の総RNAを抽出し、逆転写キット(Takara社から購入)でmRNAをcDNAに逆転写した。マウス抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の遺伝子を、文献で報告されたプライマーを用いてPCRによって増幅し、次にPCR産物をpGEM-Tベクターにクローニングし、配列決定し、可変領域の遺伝子配列を分析した。様々な機能実験と初期ドラッガビリティ分析の結果に基づいて、最終的に表2に記載されている17個の抗体をリード抗体として選択し、配列決定によってその軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のヌクレオチド配列を得た。形質転換されたアミノ酸配列は、GenBankでアラインメント分析され、すべての配列はマウスIgG可変領域の遺伝子特性と一致した。更なる配列分析の結果により、54、55、57、64、75、81、83、84、88、100、228、236号抗体の軽鎖と重鎖CDR配列はいずれも非常に類似し、わずかなアミノ酸の違いがあり、29、59、120、131、136号抗体の軽鎖と重鎖CDR配列は非常に類似していることが示された。29号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:1に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:2に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:3に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:4に示された。59号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:5に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:6に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:7に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:8に示される通りであった。120号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:9に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:10に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:11に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:12に示される通りであった。131号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:13に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:14に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:15に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:16に示される通りであった。136号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:17に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:18に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:19に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:20に示される通りであった。54号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:21に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:22に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:23に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:24に示される通りであった。55号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:25に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:26に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:27に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:28に示される通りであった。57号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:29に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:30に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:31に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:32に示される通りであった。64号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:33に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:34に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:35に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:36に示される通りであった。75号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:37に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:38に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:39に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:40に示される通りであった。81号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:41に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:42に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:43に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:44に示される通りであった。83号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:45に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:46に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:47に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:48に示される通りであった。84号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:49に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:50に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:51に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:52に示される通りであった。88号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:53に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:54に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:55に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:56に示される通りであった。100号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:57に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:58に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:59に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:60に示される通りであった。228号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:61に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:62に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:63に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:64に示される通りであった。236号抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:65に示され、重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:66に示され、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号:67に示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号:68に示される通りであった。
【0108】
実施例8 抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体のヒト化
配列分析の結果により、29、59、131、136、228及び236号抗体を選択し、キメラ抗体とヒト化抗体を構築した。キメラ抗体の構築はマウス抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域を採取し、overlapping PCRを使用してヒトIgG4の軽鎖と重鎖の定常領域(Dupilumab抗体に由来)にそれぞれ結合して形成された。
【0109】
Kabat法則に従ってマウス抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のアミノ酸配列を分析し、3つのCDRと4つのFRを決定した。136号抗体を例として、その重鎖相補性決定領域のアミノ酸配列は、HCDR1:DYGMH(配列番号:129)、HCDR2:YISSGSTTIYYADTVKG(配列番号:130)及びHCDR3:ISTVVAKRYAMDY(配列番号:131)であり、軽鎖相補性決定領域のアミノ酸配列は、LCDR1:RASQDISNYLN(配列番号:132)、LCDR2:YTSRLHS(配列番号:133)及びLCDR3:QQINALPLT(配列番号:134)であった。
【0110】
NCBI IgBlastとヒトIgG生殖系配列(Germline)の相同性比較により、IGHV3-4801を重鎖CDR移植テンプレートとして選択し、マウス抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体136の重鎖CDR領域をIGHV3-4801骨格領域に移植して、重鎖のCDR移植抗体を構築した。同様に、ヒトIgG生殖系配列との相同性比較により、IGKV1-3301を軽鎖CDR移植テンプレートとして選択し、マウス抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体136の軽鎖CDR領域をIGKV1-3301骨格領域に移植して、軽鎖のCDR移植抗体を構築し、得られた抗体は136-Gr(136-Grafting)として定義された。同時に、これに基づいて、いくつかのフレームワーク領域のアミノ酸部位に復帰突然変異が行われた。復帰突然変異時、アミノ酸配列はKabatによってコーディングされ、部位の位置はKabatコードで示された。好ましくは、軽鎖可変領域配列の場合、Kabatによってコーディングされた第73位のF復帰がマウスLであり、同時にCDR3の第96位のLをFに突然変異させた。重鎖可変領域には復帰突然変異がなかった。上記可変領域の遺伝子配列は生工生物のCricetulus griseusコドン使用バイアスに従ってコドン最適化が行われ、合成された。合成されたヒト化可変領域配列をヒトIgG4定常領域に結合し、当該抗体は136号抗体のヒト化抗体(136-Humanization、136-Hu)として定義された。
【0111】
上記と同じ原理を使用して、残りの5つの抗体も同様にヒト化させた。pTT5ベクター(NRC biotechnology Research Instituteから購入)を使用してヒト化重鎖、軽鎖の一過性発現ベクターをそれぞれ構築し、上記の軽鎖と重鎖の組み合わせをHEK293システム(NRC biotechnology Research Instituteから購入)により一過性にトランスフェクションし、抗体を発現させた。HEK293細胞はFree Style 293 Expression Medium(Gibco社から購入)培地で培養され、PEIトランスフェクション法によりプラスミドを5日間細胞に移し、細胞上清を回収し、Protein Aにより精製した後に抗体を得た。
【0112】
最終的に、29号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長366bpであり、122個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:69に示され、アミノ酸配列は配列番号:70に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:72に示され、アミノ酸配列は配列番号:73に示される通りであった。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に448個のアミノ酸の29-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:71に示される通りである)及び214個のアミノ酸の29-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:74に示される通りである)を得た。
【0113】
59号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長354bpであり、118個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:75に示され、アミノ酸配列は配列番号:76に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長318bpであり、106個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:78に示され、アミノ酸配列は配列番号:79に示される通りであった。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に444個のアミノ酸の59-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:77に示される通りである)及び213個のアミノ酸の59-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:80に示される通りである)を得た。
【0114】
131号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長366bpであり、122個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:81に示され、アミノ酸配列は配列番号:82に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:84に示され、アミノ酸配列は配列番号:85に示された。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に448個のアミノ酸の131-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:83に示される)及び214個のアミノ酸の131-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:86に示される)を得た。
【0115】
136号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長366bpであり、122個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:87に示され、アミノ酸配列は配列番号:88に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長321bpであり、107個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:90に示され、アミノ酸配列は配列番号:91に示された。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に448個のアミノ酸の136-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:89に示される)及び214個のアミノ酸の136-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:92に示される)を得た。
【0116】
228号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長360bpであり、120個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:93に示され、アミノ酸配列は配列番号:94に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長318bpであり、106個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:96に示され、アミノ酸配列は配列番号:97に示された。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に446個のアミノ酸の228-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:95に示される)及び213個のアミノ酸の228-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:98に示される)を得た。
【0117】
236号抗体のヒト化後の重鎖可変領域の遺伝子配列は、全長360bpであり、120個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:99に示され、アミノ酸配列は配列番号:100に示され、ヒト化後の軽鎖可変領域の遺伝子配列は、全長318bpであり、106個のアミノ酸残基をコードし、ヌクレオチド配列は配列番号:102に示され、アミノ酸配列は配列番号:103に示された。ヒトIgG4定常領域に結合された後、最終的に446個のアミノ酸の236-Huヒト化重鎖(配列は配列番号:101に示される)及び213個のアミノ酸の236-Huヒト化軽鎖(配列は配列番号:104に示される)を得た。
【0118】
実施例9 IL-4Rαに対するヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の親和力
発現及び精製された6個のヒト化抗体の親和力は、Biacore T200(GE healthcare)により検出され、参照抗体Dupilumabをコントロールとした。具体的な実験方法は次の通りであった。Protein-A CM5センサチップ(GE healthcare)を使用し、FC1(Flow cell 1)を参照チャネルとし、FC2(Flow cell 2)をサンプルチャネルとした。FC2チャネルからヒト抗体又はコントロール抗体をそれぞれ捕捉し、次に様々な濃度のhIL-4Rα-ECD-Flagを注射した。循環条件は、FCsのすべてのチャネルにおいて、50μl/minで分析物を4分間注射し、解離時間は20分であり、10μl/minの速度で6Mの塩酸グアニジン(国薬グループ化学試薬有限社)を30秒間注射して表面再生を行い、次にBiacore T200 Evaluation Software Ver1.0を使用して捕捉抗体のシグナルと捕捉抗体を含まないシグナルとの差及び相互作用の親和力を計算した。表8に示されるように、hIL-4Rα-ECD-Flagに対するヒト化後の抗体136-Hu及び236-Huの親和力は、参照抗体Dupilumabよりも有意に高かった。
【0119】
【表8】
【0120】
実施例10 TF-1細胞増殖に対するヒト化抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体の阻害
TF-1細胞増殖に対するヒト化抗ヒトhIL-4Rαモノクローナル抗体の阻害実験は、実施例6を参照して行われた。その結果は図3に示される通りである。表9に示されるように、IL-4によって介在されるTF-1細胞増殖に対するヒト化抗体131-Hu、136-Hu及び236-Huの阻害機能は、参照抗体Dupilumabよりも有意に高かった。
【0121】
【表9】
【0122】
実施例11 末梢血由来B細胞のIgE分泌に対するヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の阻害
喘息の発症中、IL-4及びIL-13は、B細胞のIgMからIgEへの変換を誘発し、大量のIgEを分泌し、IgEは好中球、リンパ球及び肥満細胞表面の受容体に結合された後、免疫応答を活性化して、気道を狭め、炎症反応を引き起こし、それにより喘息の病状を悪化させる。従って、抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の機能的活性の1つは、B細胞のIgE分泌を阻害することである。ヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体のこの活性を検証した。
【0123】
Histopaque-1077(Sigma社から購入)を使用して、新鮮なヒト末梢血(長海医院から提供される)から単一の核細胞を分離した。RPMI-1640完全培地を使用して細胞を5×10/mlの細胞懸濁液に再懸濁し、96ウェルの細胞培養プレートに100μlの細胞懸濁液を加えると同時に、100μlの20ng/mlの組換えhIL-4及び様々な濃度の抗ヒトhIL-4Rα抗体(20μg/ml~3ng/ml)を加え、37℃、5%のCO条件下で14日間培養した。次に100μlの細胞液上清を採取し、ELISAでIgEの含有量を検出した。
【0124】
ELISA分析法は次の通りであった。2.5μg/mlの濃度及び1ウェル当たり100μlのマウス抗ヒトIgEでELISAプレート(R&D Systemsから購入)をコーティングし、4℃で一晩コーティングした。PBSTでプレートを2回洗浄し、叩いて乾燥させた。1%のBSAを含むコーティング溶液200μlを各ウェルに添加して密閉し、常温下で4時間密閉した後に叩いて乾燥させ、-20℃の冷蔵庫に保存して使用に備えた。検出時に、最終濃度がそれぞれ100ng/ml、33ng/ml、11ng/ml、3.7ng/ml、1.2ng/ml、410pg/ml、130pg/ml及び46pg/mlになるように、培地でhIgE標準品(R&D Systemsから購入)を調製し、コーティングされたELISAプレートの各ウェルに100μlを添加し、各濃度で2つの複製ウェルを設定し、コーティングされたELISAプレートに100μlの細胞上清を加え、室温で1.5時間培養した。PBSTで3回洗浄した後に叩いて乾燥させた。各ウェルに100μlのビオチン化されたラット抗ヒトIgE(R&D Systemsから購入し、1%のBSAを含むPBSTで1000倍に希釈させる)を加え、室温で1時間培養した。PBSTで3回洗浄した後に叩いて乾燥させた。各ウェルに100μlのStreptavidin HRP(BD Pharmingenから購入し、1%のBSAを含むPBSTで1000倍に希釈させる)を加え、室温で1時間培養した。各ウェルに100μlの発色液(使用直前にELISA発色A液と発色B液を1:1の体積比で均一に混合する)を加えて発色させ、次に各ウェルに100μlの2MのHSO停止液をそれぞれ加えて反応を終了させた。直ちに、マイクロプレートリーダーを使用して450nmの波長で各ウェルのOD値を測定した。結果により、Dupilumabに比べて、131-Hu、136-Hu及び236-Hu、末梢血B細胞のIgE分泌に対する阻害効果はより強く、Dupilumabよりも優れた機能的活性を有する(図4)ことが示された。
【0125】
実施例12 カニクイザル体内におけるヒト化抗ヒトIL-4Rαモノクローナル抗体の薬物動態研究
ヒト化抗体に基づいて、抗体のFc領域が改変され、Fc領域の突然変異の部位は主にT250Q、M252Y、S254T、T256E、V308P、M428L、N434A、N434Sであった。Fcの変化は抗体の半減期を変えるために使用され、より長い半減期は投与の頻度を減らすことができる。
【0126】
カニクイザルの単回投与後の0h、1h、4h、10h、24h、48h、72h、120h、168h、240h、336h、408h、504h、672h、840h、1008h、1176h、1344h、1512h、1680h及び1848hで血液サンプルを採取し、薬物動態分析を行った。検証済みのELISA法を使用して検出抗体の血中薬物濃度を測定した。本研究の分析方法の定量範囲は15.63~1000.00ng/mLであり、すべての濃度ポイントの標準サンプルは100%のカニクイザル血清から調製された。sc投与後のFc非突然変異コントロール群抗体とFc領域改変後の抗体の薬物動態パラメータは表10、表11に示される通りである。各群の動物数は、メスとオスがそれぞれ1匹で、合計2匹であり、投与経路は皮下注射(sc)あり、投与量は5mg/kgであった。
【0127】
【表10】
【0128】
【表11】
【0129】
コントロール群と比較して、Fc領域改変後の抗体はsc投与後、薬物クリアランスは比較的滑らかであり、抗体の血清半減期は有意に延長され(図5)、ここで、305-A-scはコントロール群であり、305-B-scはFc領域改変後の抗体であった。本実験は、「軍科正源(北京)薬物研究株式会社」から委託されて完了した。
【0130】
実施例13 B-hIL-4/hIL-4RA二重ヒト化マウス喘息様肺炎に基づいたモデリング及び薬物薬効学実験
標的分子をパイロットスケールで作製及び開発し、得られた150mg/mlの安定製剤を305-Bと名付けた。インビボ薬効学研究のために、IL-4/IL-4Rα二重ヒト化マウス(B-hIL-4/hIL-4RA又はB-hIL-4/IL4RAマウス)を使用した。これらのC57BL/6バックグラウンドマウスでは、マウスIL-4及びIL-4Rαはノックアウトされ、ヒトIL-4及びIL-4Rα遺伝子に置換された。ヒト化マウスは正常マウスと同じ表現を示し、異常は見つからなかった。ヒト化マウスの構築及びマウス喘息モデルにおける305-Bの薬効学研究は、北京百奥賽図遺伝子生物技術株式会社から委託されて完了した。
【0131】
試験では、オボアルブミン(Ovalbumin、OVA)で感作された喘息様肺炎のマウスモデルを使用した。マウスは、OVAで感作された後にOVAのエアロゾル吸入によってTh2型免疫応答を誘発し、肺内の好酸球浸潤の増加が観察され、同時に血清中のIgE濃度は有意に増加した。このモデルを使用して抗体の抗アレルギー性喘息機能を評価した。Dupilumabを陽性コントロールとした。305-Bは被験物質であり、その主な成分は抗ヒトIL-4Rαヒト化モノクローナル抗体であった。
【0132】
49匹の動物を体重に応じて無作為に7群に分け、各群7匹であり、G1はPBSモデル群、G2はDupilumab陽性コントロール(50mg/kg)群、G3は試験品305-B(0.5mg/kg)群、G4は試験品305-B(5mg/kg)群、G5は試験品305-B(25mg/kg)群、G6は試験品305-B(50mg/kg)群、G7はモデル化されていないナイーブ群であった。G1~G6群の動物はすべてOVAによって感作され、マウスは、0、7、14日目にOVAの腹腔内注射によって感作され、21~25日目にOVAのエアロゾル吸入によって刺激された。各群の動物は、20日目と23日目に薬物投与により介入を受けた。
【0133】
ナイーブ群と比較して、PBSモデル群の血清中のIgEは有意に増加し、肺胞洗浄液中の白血球における好酸球の割合は有意に増加した。組織病理学的結果は、肺組織における混合炎症細胞浸潤及び好酸球浸潤が有意に増強され、且つ粘液の分泌が有意に増加したことが示され、モデリングに成功したことが示された。
【0134】
PBSモデル群と比較して、試験品305-B(0.5mg/kg)群の血清IgEは有意に低下し(p<0.05)、陽性コントロールDupilumab(50mg/kg)群及び試験品305-B(5mg/kg)、(25mg/kg)、(50mg/kg)群の血清IgEはいずれも、有意に低下し(p<0.0001)、詳しくは図6を参照できる;305-B(0.5mg/kg)群を除いて、各投与群の白血球における好酸球の割合(Eos/WBC%)はいずれも、有意に低下し(p<0.0001)、詳しくは図7を参照できる;305-B(0.5mg/kg)群を除いて、各投与群の肺組織ではいずれも、有意な好酸球浸潤がなく、好酸球の得点は有意に低下し(p<0.05)、詳しくは図8を参照できる;305-B(25mg/kg)、(50mg/kg)群は肺部粘液の形成を有意に改善し(p<0.05)、詳しくは図9を参照できる;上記の各指標に関しては、同じ投与量(50mg/kg)の305-BとDupilumabは有意差がなかった。
【0135】
以上から分かるように、Th2型免疫応答を特徴とする喘息様肺部炎症では、25mg/kg又は50mg/kgの305-Bの2回治療的投与は、血清中のIgEレベル及び肺胞洗浄液中のEos/WBC%を有意に低下させ、肺への好酸球浸潤を減らし、粘液の分泌を減らすことができる。305-BはIL-4、IL-13シグナル伝達経路を阻害することにより、下流Th2型応答の発生に拮抗し、喘息を抑える強力な機能を有し、且つ発効が速いことが十分に実証された。当該阻害作用は一定の用量相関性を有した。同じ用量の305-BとDupilumabは、各評価指標に有意差がなかった。
【0136】
結論:親和力測定及び様々なインビトロ機能的活性分析において、本発明の抗体はいずれも、コントロール抗体Dupilumabよりも一貫して強い生物活性を示した。インビボ薬効学研究の結果は、本発明に示される抗体とコントロール抗体Dupilumabとの間に有意差がないことを示した。
【0137】
本出願は何らかの形で説明されているが、本出願は、本明細書に示され、説明されているものに限定されないことを理解されたい。当業者にとって、本出願の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態及び/又は特定の特徴又はパラメータを様々に変更できることは、明らかである。これらの変更はすべて、本出願の請求範囲内に含まれる。
本発明は、下記の形態を含む:
〈態様1〉
インターロイキン-4受容体αに特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分であって、
HCDR3配列を含み、任意選択にHCDR1及び/又はHCDR2配列をさらに含む重鎖可変領域を含み、前記HCDR3配列は配列番号:107、113、119、125、131、137、143、149、155、161、167、173、179、185、191、197及び203から選ばれるアミノ酸配列を含み、及び/又は前記HCDR1配列は配列番号:105、111、117、123、129、135、141、147、153、159、165、171、177、183、189、195及び201から選ばれるアミノ酸配列を含み、及び/又は前記HCDR2配列は配列番号:106、112、118、124、130、136、142、148、154、160、166、172、178、184、190、196及び202から選ばれるアミノ酸配列を含み、好ましくは、前記抗原結合部分はFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fdフラグメント及び単一ドメイン抗体から選ばれる、
抗体又はその抗原結合部分。
〈態様2〉
前記重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、又は前記重鎖可変領域は、配列番号:2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、46、50、54、58、62、66、70、76、82、88、94及び100から選ばれるアミノ酸配列を含む、
態様1に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様3〉
LCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3配列を含む軽鎖可変領域をさらに含み、前記LCDR1配列は配列番号:108、114、120、126、132、138、144、150、156、162、168、174、180、186、192、198及び204から選ばれるアミノ酸配列を含み、及び/又は前記LCDR2配列は配列番号:109、115、121、127、133、139、145、151、157、163、169、175、181、187、193、199及び205から選ばれるアミノ酸配列を含み、及び/又は前記LCDR3配列は配列番号:110、116、122、128、134、140、146、152、158、164、170、176、182、188、194、200及び206から選ばれるアミノ酸配列を含む、
態様1又は2に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様4〉
前記軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、又は前記軽鎖可変領域は、配列番号:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、73、79、85、91、97及び103から選ばれるアミノ酸配列を含む、
態様3に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様5〉
前記重鎖は、配列番号:71、77、83、89、95及び101から選ばれるアミノ酸配列又は前記配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は前記軽鎖は、配列番号:74、80、86、92、98及び104から選ばれるアミノ酸配列又は前記配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、
上記の態様の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様6〉
前記抗体又はその抗原結合部分は、抗体131-Hu、136-Hu又は236-Huとインターロイキン-4受容体αにおける同じエピトープに結合するか、又は抗体131-Hu、136-Hu又は236-Huとインターロイキン-4受容体αに競合的に結合し、ここで、前記抗体131-Huの重鎖配列は配列番号:83に示され、軽鎖配列は配列番号:86に示され、前記抗体136-Huの重鎖配列は配列番号:89に示され、軽鎖配列は配列番号:92に示され、及び前記抗体236-Huの重鎖配列は配列番号:101に示され、軽鎖配列は配列番号:104に示される、
上記の態様の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様7〉
前記抗体又はその抗原結合部分は600pM未満で、好ましくは350pM未満のKDでインターロイキン-4受容体αに結合する、
上記の態様の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様8〉
前記抗体又はその抗原結合部分は、ヒトインターロイキン-4受容体α又はマウスインターロイキン-4受容体αに特異的に結合され、ここで、好ましくは、前記抗体又はその抗原結合部分は、IL-4によって誘導されるTF-1細胞の増殖を阻害し及び/又はB細胞のIgE分泌を阻害することができる、
上記の態様の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分。
〈態様9〉
態様1~8の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分及び薬学的に許容されるベクターを含む、
薬物組成物。
〈態様10〉
態様1~8の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分をコードする、
ヌクレオチド分子。
〈態様11〉
態様10に記載のヌクレオチド分子を含む、
発現ベクター。
〈態様12〉
態様10に記載のヌクレオチド分子又は態様11に記載の発現ベクターを含む、
宿主細胞。
〈態様13〉
態様1~8の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分の生成方法であって、
a)態様12に記載の宿主細胞が前記抗体又はその抗原結合部分の生成を可能にさせる発現条件下で、前記宿主細胞を培養することによって、抗体又はその抗原結合部分を発現するステップと、
b)ステップa)で発現される前記抗体又はその抗原結合部分を分離及び精製するステップと、を含む、方法。
〈態様14〉
IL-4Rα関連疾患を予防又は治療する薬物の調製における、態様1~8の何れか1項に記載の抗体又はその抗原結合部分、又は態様9に記載の組成物の使用であって、
好ましくは、前記IL-4Rα関連疾患は免疫介在性炎症性疾患である、使用。
〈態様15〉
前記免疫介在性炎症性疾患は、喘息、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性食道炎、鼻ポリープ、乾癬、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、ブドウ膜炎、ベーチェットブドウ膜炎、ドライアイ及び慢性自発性蕁麻疹から選ばれる、
態様14に記載の使用。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
0007454882000001.app