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特許7454884胎児由来のプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】胎児由来のプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0775 20100101AFI20240315BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C12N5/0775
C12N1/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022568383
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 KR2021009189
(87)【国際公開番号】W WO2022154205
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0005498
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517347609
【氏名又は名称】ステムメディケア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジャン ホ
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】Stem Cells Transl Med,2018年,Vol.7,pp.180-196
【文献】Stem Cells Transl Med,2017年,Vol.6,pp.1340-1355
【文献】Int J Biol Sci ,2022年,Vol. 18,pp.617-636
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)HLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞をex vivoで獲得するステップ;
(b)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の低酸素条件での共培養を通じて細胞外小胞をex vivoで獲得するステップ;
(c)体外培養用マトリックスゲルに胎児幹細胞を接種し、前記(a)の栄養膜細胞由来細胞外小胞及び前記(b)のヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の共培養由来細胞外小胞を含有した無血清培地で、妊娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件下で継代培養するステップ;
(d)継代培養された胎児幹細胞を培養プレートに接種し、無血清培地で培養して、培養上清液を得るステップ;及び
(e)前記培養上清液を多段階濾過して免疫寛容化されたプライマル疫グロブリンを含有する細胞外小胞を分離するステップ;
を含む、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞製造方法であって、
前記妊娠中の体内と類似する温度変化条件は、36.0℃~37.0℃範囲内で変化する5日周期の温度変化条件として、0~12時間目に36.5℃、12~36時間目に36.4℃、36~48時間目に36.3℃、48~60時間目に36.2℃、60~72時間目に36.0℃、72~120時間目に37.0℃に変化する温度変化条件であり、
前記振動培養条件は、0RPM~60RPM範囲内で変化する24時間周期の振動培養条件として、0~7時間目に0RPM、8時間目に30RPM、9時間目~18時間目に60RPM、19時間目に20RPM、20~24時間目に0RPMに変化する24時間周期の振動培養条件であり、
前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、プロゲステロン、ヒト白血球抗原G1(HLA-G1)、ヒト白血球抗原G2(HLA-G2)、ヒト白血球抗原G5(HLA-G5)及びヒト白血球抗原G6(HLA-G6)を追加的に含有されたものである、細胞外小胞製造方法。
【請求項2】
(a)ステップのHLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞は、
(a-1)ヒト羊膜由来間葉系幹細胞及び羊水由来間葉系幹細胞の共培養を通じて細胞外小胞を得るステップ;
(a-2)前記細胞外小胞にヒアルロン酸を含有した体外培養用マトリックスゲルにヒト栄養膜細胞を接種するステップ;及び
(a-3)前記栄養膜細胞を妊娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件下で培養するステップ;を含んで製造される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記(b)ステップのヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の低酸素共培養を通じて得られた細胞外小胞は、
(b-1)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞を共培養用プレートの上端及び下端にそれぞれ接種するステップ;
(b-2)1~5%のO低酸素条件の無血清培地で共培養して培養上清液を得るステップ;及び
(b-3)培養上清液を多段階濾過及び分離するステップ;を含んで製造される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(b)ステップのヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の低酸素条件共培養を通じて得られた細胞外小胞は、
胎児幹細胞で疫グロブリン遺伝子発現を促進させる八量体結合タンパク質2(Octamer-binding protein 2、OCT2)と疫グロブリンの分泌を促進させる免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド-1(Immunoglobulin lambda-like polypeptide-1、IGLL1)及び切断刺激因子(Cleavage stimulation factor、CstF)を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(c)ステップの体外培養用マトリックスゲルは、ヒト羊膜由来間葉系幹細胞及び羊水由来間葉系幹細胞の共培養を通じて得られた細胞外小胞;及びヒアルロン酸を含有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記体外培養用マトリックスゲルは、pH6~7の酸性条件を維持する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(d)の継代培養された胎児幹細胞は、細胞の表面または培養上清液にHLA-Gタンパク質が存在する免疫寛容特徴を有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記収得された胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD及びIgG3を含む、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、兔疫グロブリンM(Immunoglobulin M)、兔疫グロブリンA(Immunoglobulin A)、兔疫グロブリンD(Immunoglobulin D)、兔疫グロブリンG(Immunoglobulin G)、兔疫グロブリンG3(Immunoglobulin G3)及び兔疫グロブリンE(Immunoglobulin E)を含有する、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞; 姙娠中の体内と類似培養条件で前記免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を製造する方法; 前記細胞外小胞を含む外来感染源による感染性疾病の予防または治療用薬学組成物; 及び先天性免疫増強用組成物に関するものだ。
【背景技術】
【0002】
免疫とは、生物体が自己と非自己を区別して外部から侵入するウイルス、バクテリア、病原菌などの微生物、及び癌のように体内に非正常的に生成される産物を非自己抗原と認識して、これらから自分を保護する防衛機制を意味し、大体、先天性免疫と適応獲得性免疫に分けられる。
【0003】
先天性免疫は、特定の病原体の区別せず非自己抗原に非特異的に即時に反応する免疫系を意味するが、侵入する外来病原体に対して即時に反応するとともに、非自己抗原に対する情報を伝達することにより、適応免疫を活性化させるなど感染に対する一次的な防御系と言える。先天性免疫に関与する兔疫細胞は、食菌作用をする大食細胞(Macrophages)、単核細胞(Monocytes)、樹状細胞(Dendritic cells)、自然殺害細胞(Natural Killer(NK)cells)、顆粒白血球(Granulocytes)、先天性リンパ球細胞(Innate lymphoid cells)などがあり、主に適応免疫に関与することと知られたB細胞の初期発達形態であるB1細胞も先天性免疫に関与する。一方、適応免疫は、先天性免疫系によって提示される非自己抗原とこれを認識する特異的な受容体との結合によって所定時間遅延されて活性化される免疫系で、T細胞受容体(T-cell receptor、TCR)を有するT細胞による細胞性免疫とB細胞受容体(B-cell receptor、BCR)を有するB細胞による体液性免疫に分けられる。
【0004】
特に、B細胞は、成熟過程を通じて形質細胞になり、BCRを通じて伝達された非自己抗原に特異的に結合することができる抗体(Antibody)を生産するが、このような抗体は、特定抗原(Antigen)と結合して、補体の活性化、オプソニン作用、毒素及びウイルスの中和/非活性化、抗体-依存的細胞毒性誘導のような役割を果たすタンパク質で、兔疫グロブリン(immunoglobulin)と言う。兔疫グロブリンは、2つの重鎖(heavy chain)と2つの軽鎖(light chain)からなり、重鎖の種類によって兔疫グロブリンM、兔疫グロブリンG、兔疫グロブリンA、兔疫グロブリンD及び兔疫グロブリンEの5種類に分けられて、それぞれ体内で生体防御作用をする。
【0005】
IgMは、感染初期にB細胞で最も先に生成される五量体兔疫グロブリンで、先天性免疫系に対応する代表的な天然抗体(Natural Antibody)と言える。
【0006】
IgGは、血清に存在する兔疫グロブリンの大部分を占めるが、免疫反応においてIgMが生成された後に一歩遅れて大量生成されるので、適応免疫系の代表的な兔疫グロブリンと言える。IgAは、血清以外に唾液、涙液など粘膜分泌液の中に多量存在して、主に局所免疫(local immunity)に関与する兔疫グロブリンで、IgEは、アトピーのようなアレルギー疾患と関連がある。
【0007】
一方、IgGは IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の4種類のアイソタイプ(isotype)が存在するが、このうち、IgG3は、他のIgGアイソタイプと違って、4つのエクソンで転写されて11個のジスルフィド結合が存在する拡張されたヒンジ(hinge)領域によって高い回転自由度が可能で、より広い範囲の抗原に結合することができる特性を有し、抗原と結合した後、補体活性度及び多様な兔疫細胞樹状細胞、単核細胞、顆粒白血球、大食細胞、自然殺害細胞など)との結合親和力が最も優れたIgG兔疫グロブリンである。また、先天性免疫系に対応するIgMとともに感染初期に数時間の内に最も先に生成される天然抗体と知られている。
【0008】
天然抗体(Natural Antibody)は、先天性免疫系で多様必須的な免疫機能を実行する。第一に、天然抗体は、肺炎球菌(S.pneumoniae)、敗血症、ボレリアヘルムシ(Borrelia hermsii)バクテリア、インフルエンザ(Influenza)ウイルス、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)バクテリア、水泡性口内炎ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、クリプトコッカス-ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)病原菌、ニューモシスチス(Pneumocystis murina)を含むバクテリア、ウイルス、かびなど多様な外部感染に対する保護機能を実行する。第二に、天然抗体は、適応免疫の核心であるB細胞の発達調節、レパートリーの選択及びB細胞反応を調節する役割を果たす。第三に、天然抗体は、アレルギー反応抑制及び癌から保護役割を果たし、その外にもアポトーシス小体の除去と血管恒常性保持を通じた動脈硬化から予防的保護役割を果たすと知られている。しかしながら、天然抗体を合成すると知られた発達初期ステップのB1細胞は、年を取るにつれて細胞数が減少し、兔疫グロブリン分泌を促進する遺伝子発現も減少するようになって、結果的に血中IgM及びIgG3の濃度も低くなる。また、多様な外部感染源に対する天然抗体の広範囲の保護機能は、バクテリア細胞壁、アポトーシス細胞及び酸化脂質などで現われるホスホリルコリン(Phosphorylcholine)のようなリン脂質及び酸化脂質、そして病原体由来の外因性構造に存在する糖タンパク質及び糖脂質などに存在する多様なエピトープを認識する能力に起因するが、これは多様なエピトープと結合することができる兔疫グロブリン重鎖の可変部位(variable region)を構成する抗体レパートリーによって異なる。兔疫グロブリン重鎖の可変部位は、38~46個のVariable(V)切片、23個のDiversity(D)切片及び6個のJoining(J)切片の組み合わせで形成されるが、プライマルに全ての外来抗原に対して結合することができる抗体レパートリーが出生後に予防接種による多様な抗原への学習、生活環境による外来感染源に対する露出などによって漸次減少されるようになる。すなわち、全ての外部感染に対する1次保護役割及びつながる適応免疫を活性化させる役割をしなければならない先天性免疫は、出生後にずっと必然的に機能が低下するしかないが、現在の全てのワクチンまたは抗体治療剤は、適応免疫系を活性化して感染性疾患を予防または治療しようとするだけであり、先天性免疫系を活性化しようとする試みは行われたことがなかった。
【0009】
そこで、本発明者は、自然抗体による先天性免疫系を強化させるための治療方法を開発するために、姙娠中の胎児免疫系の形成過程に注目した。姙娠中の胎児は、姙娠15週前後に形成が完了される臍帯を通じて伝達される産婦の兔疫グロブリンGによって保護されるが、15週以前の胎児で兔疫グロブリンの形成可能可否は正確に知られたところがない。姙娠8週以後から胎児の肝臓で原始B細胞形態が検出されたと知られているが、自主的に抗体を形成することができるB細胞の発達は、姙娠7ヶ月で骨髄が形成された後に可能であり、T細胞依存的にB細胞で抗体を形成することができる時期は、出生後に可能であることと知られている。しかしながら、赤血球を生成する造血細胞が姙娠5週頃に大動脈-生殖腺-中腎発生部位で存在し、後で胎盤を経て姙娠3ヶ月には肝臓と脾臓で発見されると知られた事実から、本発明者は、外来感染源から胎児を保護する天然抗体を生成することができる細胞も姙娠初期に存在することができると仮定した。実際に、S.P.Loukogeorgakis(2017)は、胚芽幹細胞が三胚葉性幹細胞に分化する以前の段階の胎児幹細胞が長期間造血細胞増殖特性を有する全分化能を有していることを報告し、A.Ditadi et al.(2009)は、羊水内に存在する胎児由来の幹細胞の一部がCD34、CD133のような造血幹細胞マーカーを発現していることを発見し、M.D.Trapani et al.(2015)は、姙娠初期の胎児幹細胞のみがCD34造血幹細胞マーカーを発現し、姙娠中期以後の胎児幹細胞は、造血細胞特性を喪失すると開示した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、本発明に自体で参照として含まれるUS2021-0147797A1を通じて確立した、姙娠中の産婦の免疫系から胎児を保護する免疫寛容環境を構築するHLA-Gタンパク質の持続的な分泌及び発現を誘導することができる姙娠中の体内環境を擬似した体外培養条件で姙娠15週以前の胎児幹細胞を培養した結果、一部兔疫グロブリンが含有された細胞外小胞が分泌されたことを見つけたが、先天性免疫系で天然抗体として重要な役割を果たすIgG3は含有されていなかった。そこで、本発明者らは胎児由来の幹細胞で兔疫グロブリン遺伝子発現及び分泌を促進させるためにB細胞に分化することができる造血幹細胞及び臍帯血由来の幹細胞由来細胞外小胞を、既確立された姙娠中の体内環境を擬似した体外培養条件に適用することにより、先天性免疫を向上させることができるIgG3、IgMなどの多様な天然抗体及び補体タンパク質を含む細胞外小胞を獲得することができることを確認することで本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの目的は、兔疫グロブリンを含む免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を提供することである
【0012】
本発明の他の一つの目的は、(a)HLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞を獲得するステップ;(b)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞を低酸素共培養を通じて細胞外小胞を獲得するステップ;及び(c)体外培養用マトリックスゲルに胎児幹細胞を接種し、前記(a)の栄養膜細胞由来細胞外小胞及び前記(b)のヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養由来細胞外小胞を含有した無血清培地で姙娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件下で継代培養するステップを含む、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞製造方法を提供することである。
【0013】
本発明のまた他の一つの目的は、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞を含む、外来感染源による感染性疾病の予防または治療用薬学組成物を提供することである。
【0014】
本発明のまた他の一つの目的は、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞を含む、先天性免疫増強用組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の胎児幹細胞由来プライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞は、ウイルス、バクテリア、病原菌などの外来感染源に対して即時に反応することができる多様な自然抗体と補体タンパク質を含有しているので、強化された先天性免疫系によって感染性疾患を効果的に治療、予防することができ、また、患者の免疫系に伝達されて多様な外来抗原に即時に反応することができる抗体生成を促進することにより、副作用なしに感染性疾患治療に利用されることができるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】胎児幹細胞由来プライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の製造工程を図式化した図である。
図2】栄養膜細胞及び胎児幹細胞からプロゲステロン及びエストロゲンホルモン分泌を誘導するために、培養過程に適用した排卵前後の女性の体温変化と類似する36.0℃~37.0℃範囲内での5日周期の温度変化条件を示す。
図3】栄養膜細胞及び胎児幹細胞から多様な液性因子(soluble factor)の分泌及び循環を促進させるために、培養過程に適用した0RPM~60RPM範囲内で変化する24時間周期の振動培養条件を示す。
図4】免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の末梢血単核細胞から先天性免疫に作用する自然抗体であるIgG3生成促進効果を示すグラフである。
図5】免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の末梢血単核細胞から先天性免疫に作用する自然抗体であるIgM生成促進効果を示すグラフである。
図6】免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞に含有された多様なHLA-G mRNAアイソタイプをRT-PCRで分析した図であり、下端の表はそれぞれのHLA-G mRNA検出のために設計したプライマー配列を示す。
図7】免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞に含有された多様な可溶性(soluble)HLA-Gタンパク質をウエスタンブロット(Western blot)で分析した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前記目的を達するために、本発明の一つの様態は、兔疫グロブリンM(Immunoglobulin M)、兔疫グロブリンA(Immunoglobulin A)、兔疫グロブリンD(Immunoglobulin D)、兔疫グロブリンG(Immunoglobulin G)、兔疫グロブリンG3(Immunoglobulin G3)及び兔疫グロブリンE(Immunoglobulin E)を含む、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を提供する。
【0018】
本発明の胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、姙娠中の体内環境を擬似した体外培養条件を適用して培養されることにより、先天性免疫を向上させることができるIgG3、IgMを含む兔疫グロブリンを含むだけでなく、HLA-Gタンパク質を含んで免疫寛容特性を示すことができる特性を有することができる。
【0019】
本発明の用語、「細胞外小胞」は、細胞で生成されて細胞外へ分泌される小胞体で、エクソソーム(exosome)、微小小胞体(microvesicle)、マイクロ粒子(microparticle)などを含むが、これに制限されるのではない。
【0020】
本発明において、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、先天性免疫で必須的な役割を果たす多様な兔疫グロブリンタンパク質を含むことができる。
【0021】
具体的には、兔疫グロブリンM、兔疫グロブリンA、兔疫グロブリンD、兔疫グロブリンG、兔疫グロブリンG3、及び兔疫グロブリンEを含むことができる。
【0022】
前記多様な兔疫グロブリンタンパク質を含むことによって、ウイルス、バクテリアなど多様な外部抗原に対して即刻に免疫反応を引き起こして、外部の感染源による感染病の治療用途として用いられることができる。
【0023】
本発明の用語「兔疫グロブリンM(Immunoglobulin M、IgM)」は、B細胞が生産する抗体の一つで、初めて抗原に露出されると、一番先に現われる抗体を意味することができ、各単体がジスルフィド結合を通じて五量体または六量体で存在することができる。
【0024】
本発明の用語「兔疫グロブリンA(Immunoglobulin A、IgA)」は、B細胞が生産する抗体の一つで、粘膜免疫、すなわち涙、唾、汗、初乳などの粘膜分泌物と消化管、前立腺、気道の上皮の分泌物に主に存在する抗体を意味することができ、単体または分泌型である二量体で存在することができる。
【0025】
本発明の用語「兔疫グロブリンD(Immunoglobulin D、IgD)」は、B細胞が生産する抗体の一つで、兔疫グロブリンMと共同に発現される単体抗体を意味することができる。
【0026】
本発明の用語「兔疫グロブリンE(Immunoglobulin E、IgE)」は、B細胞が生産する抗体の一つで、主にアレルギー及び炎症反応を引き起こす単体抗体を意味することができる。
【0027】
本発明の用語「兔疫グロブリンG(Immunoglobulin G、IgG)」は、B細胞が生産する抗体の一つで、血清に存在する兔疫グロブリンの75%を占める単体抗体を意味することができ、兔疫グロブリンのうち唯一に胎盤を通過することができるIgGは、母乳で分泌されるIgAとともに子宮内胎児を保護する役割を果たし、補体系活性及び抗体依存性細胞媒介細胞毒性を通じて適応免疫に参加する抗体の中で最も多い役割を果たすことができる。
【0028】
本発明の用語「兔疫グロブリンG3(Immunoglobulin G3、IgG3)」は、B細胞が生産するIgG抗体の4種の亜型の一つで、他のIgG抗体亜型に比べて補体活性程度及び兔疫細胞に存在するFc受容体に対する親和力が最も高い抗体を意味することができる。また、IgMとともに免疫反応初期、すなわち先天性免疫に関与して外部抗原から1次的保護役割を果たすことと知られている。
【0029】
本発明の一実施形態では、多様な細胞外小胞に含有された兔疫グロブリン及び兔疫グロブリンの発現と分泌を誘導するタンパク質成分の相対的含有量を比較した結果、前記免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞で全ての種類の兔疫グロブリンが高い水準で含有、及び兔疫グロブリン合成促進タンパク質も多量含有されていることを確認した。特に、先天性免疫で重要な役割を果たすIgG3は、本胎児幹細胞由来の細胞外小胞のみに含有されていることを確認することができた。
【0030】
前記免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、エストロゲン(estrogen)、八量体結合タンパク質1(Octamer-binding protein 1、OCT-1)、八量体結合タンパク質2(Octamer-binding protein 2、OCT-2)、核内因子kB(Nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells、NF-kB)、免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド-1(Immunoglobulin lambda-like polypeptide-1、IGLL1)及び切断刺激因子(Cleavage stimulation factor、CstF)がさらに含有されることができる。
【0031】
また、前記細胞外小胞は、補体サブコンポーネント1q(Complement subcomponent 1q、C1q)、補体サブコンポーネント1r(Complement subcomponent 1r、C1r)、補体サブコンポーネント1s(Complement subcomponent 1s、C1s)、補体成分2(Complement component 2、C2)、補体成分3(Complement component 3、C3)、補体成分3a(Complement component 3a、C3a)、補体成分4a(Complement component 4a、C4a)、補体成分5/5a(Complement component 5/5a、C5/C5a)、補体成分7(Complement component 7、C7)、補体成分8 β鎖(Complement component 8(C8)beta chain)、補体成分9(Complement component 9、C9)、補体因子B(Complement factor B)、補体因子マンノース結合レクチン-関連セリンプロテアーゼ-3(Complement factor mannose-binding lectin-associated serine protease-3、MASP-3)、インターフェロン-誘導膜貫通タンパク質3(Interferon-induced transmembrane protein 3、IFITM3)、リンパ球抗原6ファミリーメンバーE(Lymphocyte antigen 6 family member E、LY6E)及び一過性受容体電位カチオンチャネルTRPMLサブファミリーメンバー2(Transient receptor potential cation channel、mucolipin subfamily、member 2、TRPML2)がさらに含有されたものであり得る。
【0032】
また、前記細胞外小胞は、プロゲステロン、ヒト白血球抗原G1(HLA-G1)、ヒト白血球抗原G2(HLA-G2)、ヒト白血球抗原G5(HLA-G5)及びヒト白血球抗原G6(HLA-G6)が全部追加的に含有されたものであり得る。
【0033】
本発明の用語、「エストロゲン(estrogen)」は、卵巣及び姙娠中には胎盤で分泌されるホルモンを意味することができ、プロゲステロンとともに姙娠維持に重要な役割を果たすことができることと知られている。エストロゲン受容体と結合してサイクリンD1(Cyclin-D1)信号経路を通じて八量体結合タンパク質1(OCT1)、核内因子kB(NF-kB)など多様な転写因子を活性化させる役割をし、Bリンパ球で兔疫グロブリン生成を促進させる役割を果たすことができる。
【0034】
本発明の用語「八量体結合タンパク質1(Octamer-binding protein 1、OCT1)」は、八量体モチーフ(ATGCAAAT)及び多様な遺伝子のプロモーター及びエンハンサーで密接に関連される配列に特異的に結合する高度に保存された転写因子タンパク質の一つを意味することができ、胚発生、神経発生のような多様で重要な生物学的機能に関連されていることと知られている。特に、初期B細胞で兔疫グロブリン重鎖遺伝子のプロモーター及びエンハンサー部位に結合して、兔疫グロブリン重鎖遺伝子発現を促進させる役割を果たすことができる。
【0035】
本発明の用語「八量体結合タンパク質2(Octamer-binding protein 2、OCT2)」は、八量体モチーフ(ATGCAAAT)及び多様な遺伝子のプロモーター及びエンハンサーで密接に関連される配列に特異的に結合する高度に保存された転写因子タンパク質の一つを意味することができ、胚発生、神経発生のような多様で重要な生物学的機能に関連されていることと知られている。特に、成熟したB細胞で兔疫グロブリン重鎖遺伝子のプロモーター及びエンハンサー部位に結合して兔疫グロブリン重鎖遺伝子発現を促進させる役割を果たすことができる。
【0036】
本発明の用語「核内因子kB(Nuclear factor kappa-light-chain- enhancer of activated B cells、NF-kB)」は、DNA転写過程、サイトカイン生成と細胞の生存に関与するタンパク質複合体を意味することができ、特に、炎症反応で重要な役割を果たし、B細胞では兔疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子のエンハンサー部位を活性化して、転写を促進させる役割を果たすことができる。
【0037】
本発明において、前記エストロゲン、OCT1、OCT2及びNF-kBは、ターゲット細胞で兔疫グロブリン遺伝子転写を促進させる役割を果たすことができる。
【0038】
本発明の用語「免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド-1(Immunoglobulin lambda-like polypeptide-1、IGLL1)」は、B細胞発生初期に発現されるタンパク質で、pre-B細胞受容体(pre-B cell receptor、preBCR)誘導に関与することができるタンパク質を意味することができる。
【0039】
本発明の用語「切断刺激因子(Cleavage stimulation factor、CstF)」は、新しく発現されたプレ-メッセンジャーリボ核酸(pre messenger RiboNucleic Acid、pre-mRNA)分子から信号伝逹領域の切断に関与するタンパク質を意味することができ、特に、B細胞で膜発現及び分泌型IgM遺伝子発現を促進させることができる。
【0040】
本発明において、前記IGLL1及びCstFは、胎児幹細胞でIgMを含めた兔疫グロブリン分泌を促進させる役割を果たすことができる。
【0041】
本発明の用語「補体(Complement)」は、先天性免疫系の一部で、外部病原体を除去するために、炎症反応を促進して病原体の細胞膜を攻撃する免疫作用と食作用の機能を補うタンパク質を意味することができる。補体システムは、古典的経路(Classical pathway)、副経路(Alternative pathway)及びレクチン経路(Lectic pathway)によって活性化されることができる。
【0042】
本発明の用語「補体サブコンポーネント1q(Complement subcomponent 1q、C1q)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質を意味することができ、抗原-抗体複合体形成による古典的経路による補体システム活性化過程で補体サブコンポーネント1r及び1sと結合して、C1複合体を形成する役割を果たすことができる。
【0043】
本発明の用語「補体サブコンポーネント1r(Complement subcomponent 1r、C1r)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質を意味することができ、抗原-抗体複合体形成による古典的経路による補体システム活性化過程で、補体サブコンポーネント1q及び1sと結合して、C1複合体を形成する役割を果たすことができる。
【0044】
本発明の用語「補体サブコンポーネント1s(Complement subcomponent 1s、C1s)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質を意味することができ、抗原-抗体複合体形成による古典的経路による補体システム活性化過程で、補体サブコンポーネント1q及び1rと結合して、C1複合体を形成する役割を果たすことができる。
【0045】
本発明の用語「補体成分2(Complement component 2、C2)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質で、補体成分3(C3)コンバターゼ形成に必要なタンパク質を意味することができる。
【0046】
本発明の用語「補体成分3(Complement component 3、C3)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質で、古典的経路及び副経路による補体活性化過程で、中心的な役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0047】
本発明の用語「補体成分3a(Complement component 3a、C3a)」は、先天性免疫系の補体システムで補体成分3(C3)の切断によって形成されるタンパク質の一つで、Gタンパク質-結合受容体(G protein-coupled receptor、GPCR)との結合を通じてT細胞活性化及び増殖、血管新生促進、走化性(chemotaxis)、肥満細胞脱顆粒化、大食細胞活性化を含む多様な補体システムの機能を活性化させるタンパク質を意味することができる。
【0048】
本発明の用語「補体成分4a(Complement component 4a、C4a)」は、先天性免疫系の補体システムで補体成分3(C3)及び補体成分5(C5)コンバターゼの非酵素成分タンパク質で、古典的経路による補体活性化過程で免疫凝集体及びタンパク質抗原とアミド結合を効果的に形成して可溶化を促進させるタンパク質を意味することができる。
【0049】
本発明の用語「補体成分5/5a(Complement component 5/5a、C5/C5a)」は、先天性免疫系の補体システムに関与するタンパク質で、補体成分5(C5)コンバターゼによって切断された活性化ペプチドC5aは、強力な走化性活性を有し、C5b巨大分子は、補体成分6(C6)と複合体を形成して追加的な補体成分を含む膜侵襲複合体(Membrane attack complex、MAC)形成の基盤となるタンパク質を意味することができる。
【0050】
本発明の用語「補体成分7(Complement component 7、C7)」は、先天性免疫系の補体システムで他の補体成分と膜侵襲複合体(MAC)を形成して、病原体の表面に穿孔して病原体溶解及び死滅を引き起こす役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0051】
本発明の用語「補体成分8 β鎖(Complement component 8(C8)beta chain)」は、先天性免疫系の補体システムで他の補体成分と膜侵襲複合体(MAC)を形成して、病原体の表面に穿孔して病原体溶解及び死滅を引き起こす役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0052】
本発明の用語「補体成分9(Complement component 9、C9)」は、先天性免疫系の補体システムで他の補体成分とともに12-18個のC9分子重合体が膜侵襲複合体(MAC)を形成して、病原体の表面に穿孔して病原体溶解及び死滅を引き起こす役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0053】
本発明の用語「補体因子B(Complement factor B)」は、先天性免疫系の補体システムで副経路による補体活性化過程で、補体因子Dによって切断されて生成された活性ペプチドBbが補体因子3(C3)で切断されたC3bと結合して、補体因子3(C3)コンバターゼを形成するタンパク質を意味することができる。
【0054】
本発明の用語「補体因子マンノース結合レクチン-関連セリンプロテアーゼ-3(Complement factor mannose-binding lectin-associated serine protease-3、MASP-3)」は、先天性免疫系の補体システム活性化経路に関与するタンパク質で、レクチン経路を活性化させる主要酵素であると同時に、副経路では補体因子Dを活性化する役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0055】
本発明の用語「インターフェロン-誘導膜貫通タンパク質3(Interferon-induced transmembrane protein 3、IFITM3)」は、インフルエンザを含めた多様なウイルス感染に対する抑制作用をするタンパク質で、ウイルスに直接結合して宿主細胞受容体との結合を遮断し、受容体と結合したウイルスのエンドサイトーシスを抑制し、酸性エンドソームを通じて細胞に進入するエンベロープウイルス膜とエンドソーム膜の融合を防止して、ウイルスの複製を遮断するとともに、これをリソソームに移動させて分解する役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0056】
本発明の用語「リンパ球抗原6ファミリーメンバーE(Lymphocyte antigen 6 family member E、LY6E)」は、未成熟した胸腺細胞を区別するための細胞表面マーカーで知られたタンパク質で、細胞膜でヒトコロナウイルスの初期進入を広範囲に制限する役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0057】
本発明の用語「一過性受容体電位カチオンチャネルTRPMLサブファミリーメンバー2(Transient receptor potential cation channel、mucolipin subfamily、member 2、TRPML2)」は、エンドソームのカチオンチャンネルを構成するタンパク質で、先天性免疫の主要受容体であるTLR(Toll-like receptor)刺激によって上向き発現されて抗ウイルス性オートファジー(antiviral autophagy)の活性化を通じてウイルスの伝染を抑制する役割を果たすタンパク質を意味することができる。
【0058】
本発明の一実施形態では、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞で先天性免疫で必須的な役割を果たす多様な補体タンパク質の濃度を分析した結果、兔疫グロブリンによって活性化されて即刻な先天性免疫系を担当する多様な補体タンパク質が含有されていることを確認することができた。
【0059】
本発明のまた他の一実施形態では、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞に抗ウイルス役割を果たす多様なタンパク質が含有されていることを確認することができた。
【0060】
本発明で、胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、患者の兔疫細胞による免疫反応を避けて有効成分を完全に伝達することができるようにするためのもので、免疫寛容化または免疫寛容の特性を有するものであり得る。
【0061】
具体的には、本発明の用語、「免疫寛容」は、免疫学的寛容ともいい、兔疫細胞による免疫反応を発生させない状態を意味する。本発明の免疫寛容は、HLA-Gタンパク質の分泌及び発現によって確立されることができるが、これに制限される。
【0062】
本発明の一実施形態では、前記細胞外小胞は、免疫寛容を誘導するHLA-Gの発現及び分泌を促進させるプロゲステロンを含むことによって、免疫寛容の特徴を保有することを確認した。
【0063】
また、本発明で、前記胎児幹細胞または胎児由来幹細胞は混用されて用いられることができ、具体的には、羊水、羊膜、臍帯血由来であり得、より具体的には、羊水由来胎児幹細胞であり得るが、これに限定されるのではない。
【0064】
また、前記胎児幹細胞は、HLA-Gタンパク質を分泌及び発現する免疫寛容特性を有するものであり得る。
【0065】
本願発明の一実施形態では、前記胎児幹細胞でHLA-G1、G2、G5及びG6 mRNAが全部発現されたことを確認して、免疫寛容特性を有することを確認することができた。
【0066】
本発明の他の一つの様態は、(a)HLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞を獲得するステップ;(b)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞を低酸素共培養を通じて細胞外小胞を獲得するステップ;及び(c)体外培養用マトリックスゲルに胎児幹細胞を接種し、前記(a)の栄養膜細胞由来細胞外小胞及び前記(b)のヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養由来細胞外小胞を含有した無血清培地で姙娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件下で継代培養するステップを含む、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞製造方法を提供する。
【0067】
本発明の用語、「栄養膜細胞(trophoblast)」は、胎盤を形成する細胞の一種で、発生初期内細胞塊(inner cell mass)に胚発生と係わる信号伝達及び栄養物質を提供し、着床初期には産婦の免疫系から受精された胚芽を保護する免疫寛容を引き起こして成功的な着床を誘導し、その後には胎盤を形成して持続的にHLA-Gタンパク質を発現及び分泌することにより、姙娠の維持及び胎児の発達に重要な役割を果たす細胞を意味することができる。
【0068】
本発明の用語、「HLA-Gタンパク質」は、ヒト白血球抗原G(human leukocyte antigen G)またはHLA-G組織適合性抗原クラス、Gなどと呼ばれるタンパク質を意味することができる。姙娠中の産婦-胎児境界面に存在する絨毛外性栄養膜細胞(Extravillous Trophoblast、EVT)で最初に発見され、HLA-G mRNAの選択的な接合によって細胞膜のみで発現される異型体(membrane-bound HLA-GとしてHLA-G1、G2、G3及びG4が存在する)及び単一分子形態で細胞外部に分泌されることができる溶解性形態(soluble HLA-GとしてHLA-G5、G6及びG7が存在する)で存在する。本発明において、前記HLA-Gタンパク質は、低い多型性、兔疫細胞に作用する特異性によって兔疫細胞の毒性を低めて調節T細胞の分化を促進することにより、特に、姙娠過程で産婦の免疫系から半同種移植である胎児を保護する免疫寛容環境の構築に必須的な役割を果たすことと知られている。
【0069】
また、姙娠中の胎児は、羊膜(amniotic membrane)で取り囲まれた羊水(amniotic fluid)内に存在し、胎膜(fetal membrane)は、羊膜(amnion)及び栄養膜細胞が存在する絨毛膜(chorion)で構成され、胎盤(Placenta)は、胎児由来の絨毛膜及び母体由来の脱落膜(decidual)で構成されるが、本発明者らは、姙娠中の胎児膜構造を体外で擬似するためにヒト羊水及び羊膜幹細胞由来細胞外小胞を含む栄養膜細胞の体外培養用マトリックスゲル(matrix gel)を利用して、姙娠中の体内環境と類似する培養条件で胎児幹細胞由来の細胞外小胞を収得した。
【0070】
前記製造方法を通じて、B細胞に分化することができる造血幹細胞及び臍帯血由来幹細胞由来細胞外小胞を姙娠中の体内環境を擬似した体外培養条件に適用して、胎児幹細胞で兔疫グロブリン遺伝子発現及び分泌を促進させて、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を製造した。
【0071】
前記免疫寛容特性を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞製造方法に加えて
(d)継代培養された胎児幹細胞を培養プレートに接種し、無血清培地で培養して、培養上清液を得るステップ;及び
(e)培養上清液を多段階に濾過及び分離するステップを含み得る。
【0072】
また、前記製造方法の(a)ステップのHLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞は、
(a-1)ヒト羊膜由来間葉系幹細胞及び羊水由来間葉系幹細胞の共培養を通じて細胞外小胞を得るステップ;
(a-2)前記細胞外小胞にヒアルロン酸を含有した体外培養用マトリックスゲルにヒト栄養膜細胞を接種するステップ;及び
(a-3)前記栄養膜細胞を姙娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件下で培養するステップを含んで製造され得る。
【0073】
具体的には、前記(a-1)ステップは、
(a-1-1)ヒト羊膜及び羊水由来間葉系幹細胞を、免疫寛容化されたヒト間葉系幹細胞由来細胞外小胞を5~50%(v/v)含有する凍結保存用組成物で凍結保管するステップ;及び
(a-1-2)前記凍結保管されたヒト羊膜及び羊水由来間葉系幹細胞を解凍して、共培養用プレートの下端及び上端にそれぞれ接種して、無血清培地で共培養して培養上清液を得るステップによるものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0074】
また、前記(a-1)ステップの細胞外小胞及びヒアルロン酸は1:1~1:20重量比で混合して、体外培養用マトリックスゲルを製造することができる。
【0075】
また、(a-1)ステップで、栄養膜細胞は、5,000~15,000細胞/cmの密度で接種され得る。
【0076】
また、具体的には、前記(a-2)及び(a-3)ステップは、培養上清液を多段階濾過及び分離して収得した細胞外小胞とヒアルロン酸を混合して製造した体外培養用マトリックスゲルにヒト栄養膜細胞を接種して、無血清培地で継代培養するステップであり得るが、これに制限されるのではない。
【0077】
また、(a-3)ステップで継代培養された栄養膜細胞は、洗浄後、一般の培養プレートに10,000~30,000細胞/cmの密度で接種した後、無血清培養72~120時間経過した後、培養上清液を得ることであり得る。
【0078】
また、前記ステップに、追加的に、(a-4)前記継代培養された栄養膜細胞を培養プレートに接種した後、無血清培養して収得された培養上清液を多段階濾過及び分離するステップを含んで製造されることができる。
【0079】
この時、前記培養上清液は、0.3um~1um、具体的には、0.45um~0.8umフィルターを利用して1回~10回、好ましくは、4回実施して分離することができる。一具体例として、培養上清液は、0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して分離することができるが、これに制限されるのではない。
【0080】
前記(a)ステップの方法によって得られた、HLA-Gを分泌及び発現する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞は、免疫寛容を引き起こすHLA-G1、HLA-G2、HLA-G5及びHLA-G6タンパク質とHLA-G遺伝子のmRNA発現を促進させるプロゲステロン、そして兔疫グロブリン遺伝子mRNA発現を促進させるエストロゲンを含有し得る。
【0081】
また、前記製造方法の(b)ステップのヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の低酸素共培養を通じて得られた細胞外小胞は、
(b-1)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞を共培養用プレートの上端及び下端にそれぞれ接種するステップ;
(b-2)1~5%のO低酸素条件の無血清培地で共培養して培養上清液を得るステップ;及び
(b-3)培養上清液を多段階濾過及び分離するステップを含んで製造され得る。
【0082】
具体的には、前記(b-1)ステップは、
(b-1-1)ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来幹細胞を、免疫寛容化されたヒト間葉系幹細胞由来細胞外小胞を5~50%(v/v)含有する凍結保存用組成物で凍結保管するステップ;及び
(b-1-2)前記凍結保管されたヒト造血幹細胞及び臍帯血由来幹細胞を解凍して、共培養用プレートの上端及び下端にそれぞれ接種するステップによるものであり得るが、これに制限されるのではない。
【0083】
具体的には、接種密度は、前記(b-1-1)ステップでヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞がそれぞれ5,000~15,000細胞/cmの密度で接種することができ、前記(b-1-2)ステップでヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞がそれぞれ18,000~22,000細胞/cmの密度で接種することができるが、これに制限されるのではない。
【0084】
また、前記(b-1)ステップの共培養は、100時間~140時間、具体的には、114~126時間実行され得るが、これに制限されるのではない。
【0085】
また、前記(b-3)ステップで、前記培養上清液は、0.3um~1um、具体的には、0.45um~0.8umフィルターを利用して1回~10回、好ましくは、4回実施して分離することができる。一具体例として、培養上清液は、0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して分離することができるが、これに制限されるのではない。
【0086】
また、前記製造方法の(b)ステップのヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の低酸素条件共培養を通じて得られた細胞外小胞は、
【0087】
胎児幹細胞で兔疫グロブリン遺伝子発現を促進させる八量体結合タンパク質2(Octamer-binding protein 2、OCT2)と兔疫グロブリンの分泌を促進させる免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド-1(Immunoglobulin lambda-like polypeptide-1、IGLL1)及び切断刺激因子(Cleavage stimulation factor、CstF)を含有し得る。
【0088】
また、前記(c)ステップの体外培養用マトリックスゲルは、ヒト羊膜由来間葉系幹細胞及び羊水由来間葉系幹細胞の共培養を通じて得られた細胞外小胞;及びヒアルロン酸を含有するものであり得る。
【0089】
具体的には、前記ヒアルロン酸を追加することによって、体外培養用マトリックスゲルは、pH6~7の酸性条件を維持することができる。
【0090】
また、前記(c)ステップの姙娠中の体内と類似する温度変化及び振動培養条件は、36.0℃~37.0℃範囲内で変化する基礎体温法に基づいた5日周期の温度変化条件、及び0RPM~60RPM範囲内で変化する24時間周期の振動培養条件であり得る。
【0091】
具体的には、前記温度変化条件は、0~12時間目に36.5℃、12~36時間目に36.4℃、36~48時間目に36.3℃、48~60時間目に36.2℃、60~72時間目に36.0℃、72~120時間目に37.0℃に変化する温度変化条件であり得るが、これに限定されるのではない。
【0092】
具体的には、前記振動培養条件は、0~7時間目に0RPM、8時間目に30RPM、9時間目~18時間目に60RPM、19時間目に20RPM、20~24時間目に0 RPMに変化する振動培養条件であり得るが、これに限定されるのではない。
【0093】
前記製造方法を通じて得られた免疫寛容特徴を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞は、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD及びIgG3を含み得る。
【0094】
本発明のまた他の一つの様態は、前記免疫寛容特徴を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を含む、外来感染源による感染性疾病の予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0095】
本発明の一実施形態では、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞処理時の外来抗原に対して、IgG3及びIgMの著しい濃度増加効果を確認することができた。先天性免疫に関連する抗体の生成を促進させることによる感染性疾患の予防及び治療用途に用いられることができることを確認した。
【0096】
本発明の用語「予防」は、本発明に係る細胞外小胞によって外来感染源による感染及び感染性疾病を抑制させたり遅延させる全ての行為を意味する。
【0097】
本発明の用語「治療」は、本発明に係る細胞外小胞によって外来感染源による感染性疾病の症状が好転されたり有利に変更される全ての行為を意味する。
【0098】
本発明の感染性疾病の予防用または治療用薬学組成物において、前記組成物を投与する投与経路及び投与方式は特に制限されず、目的する当該部位に前記組成物が到逹することができる限り、任意の投与経路及び投与方式を用いることができる。具体的には、前記組成物は、経口または非経口の多様な経路を通じて投与されることができ、その投与経路の非制限的な例としては、口腔、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、経皮、鼻腔内または吸入などを通じて投与されることが挙げられる。また、前記組成物は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置によって投与されることができる。
【0099】
本発明の用語「外来感染源」とは、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、病原菌など人や動物の体内で病気を引き起こす微生物などを意味するが、これに制限されるのではない。
【0100】
具体的には、前記ウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するウイルス、ピコルナウイルス科(Picorna viridae)に属するウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)に属するウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)に属するウイルス、コロナウイルス科(Coronaviridae)に属するウイルス、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)に属するウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属するウイルス、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、ヘルペス(Herpes)属ウイルスなどであり得るが、これに制限されるのではない。
【0101】
また、具体的には、前記細菌は、ストレプトコッカス (Streptococcus)属、ボレリア(Borrelia)属、リステリア(Listeria)属細菌などであり得るが、これに制限されるのではない。
【0102】
また、前記真菌は、ニューモシスチス(Pneumocystis)属、クリプトコックス(Cryptococcus)属などであり得るが、これに制限されるのではない。
【0103】
本発明の用語「感染性疾病」とは、前記外来感染源が動物やヒトに伝染、侵入して引き起こす疾患を意味することができる。
【0104】
一具体例として、前記感染源であるウイルス、細菌、真菌などによって発生され得る疾患は、制限されることなく全部含むことができる。
【0105】
また、他の具体例として、肺炎球菌(S.pneumoniae)、ボレリアヘルムシ(Borrelia hermsii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、クリプトコッカス-ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ニューモシスチス(Pneumocystis murina)、インフルエンザ(Influenza)などによる疾患を含むことができるが、これに制限されるのではない。
【0106】
本発明において、前記感染性疾病の予防用または治療用薬学組成物は、薬学組成物の製造に通常用いられる薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を追加的に含むことができ、前記担体は、非自然的担体(non-naturally occuring carrier)を含むことができる。
【0107】
本発明において、前記用語「薬学的に許容可能な」は、前記組成物に露出される細胞や人に毒性のない特性を示すことを意味する。
【0108】
より具体的には、前記薬学組成物は、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられることができるが、当業界で感染性疾病の予防または治療のために用いられる剤形であれば、これに制限されない。
【0109】
前記薬学組成物に含まれることができる担体、賦形剤及び希釈剤としては、具体的な例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アラビアガム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、マグネシウムステアレート、ポルリカプロラックトン(PCL;polycaprolactone)、ポリカプロラクトン(PLA;Poly Lactic Acid)、ポリ-L-乳酸 (PLLA;poly- L -lactic acid)、鉱物油などを挙げることができる。
【0110】
製剤化する場合には、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調剤されることができる。
【0111】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物とその分画物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを交ぜて調剤されることができる。また、単純な賦形剤の外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用することができる。
【0112】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水またはリキッドパラフィンの他に、様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤または保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤は、滅菌水溶液、非水溶媒、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤及び坐剤を含まれ得る。非水溶媒及び懸濁溶媒は、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール及びオリーブ油などの植物性油;及びオレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが用いられる。坐剤の基剤は、ウィテップゾール、マクロゴール、トゥイーン61、カカオ脂、ラリナム及びグリセロゼラチンなどが使用することができる。
【0113】
本発明のまた他の一つの様態は、前記免疫寛容特徴を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞を含む、先天性免疫増強用組成物を提供する。
【0114】
本発明の用語「先天性免疫」は、特定の病原体を区別することなく非自己抗原に非特異的に即時に反応する免疫系を意味し、本願一実施形態では、前記胎児幹細胞由来の細胞外小胞処理時の外来抗原に対して、IgG3及びIgMの著しい濃度増加効果を確認することができ、先天性免疫増強用途として用いられることができることを確認することができた。
【0115】
前記先天性免疫増強用組成物は、健康機能食品、化粧料、医薬外品または飼料組成物であり得る。
【0116】
本発明の用語「健康機能食品(functional food)」は、特定保健食品(food for special health use、FoSHU)と同じ用語で、栄養を供給する以外にも生体調節機能が効率的に現われるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。本発明で、前記健康機能食品は、健康食品または健康補助食品と混用される。
【0117】
本発明の用語「化粧料」は、人をきれいに美化して魅力を加え、顔つきを明るく変化させたり肌、毛髪の健康を維持または増進するために人に用いられる物品として、人体に対する作用が軽微なものを意味する。肌の美白、肌のしわ改善、肌をきれいに日焼けしたり、紫外線から肌を保護するのに役に立つ機能性化粧品の意味も含まれる。
【0118】
本発明の用語「医薬外品」は、人や動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置または予防する目的で用いられるもののうち医薬品より作用が軽微なものを意味する。例えば、薬事法による医薬外品は、医薬品の用途として用いられるものを除いて、人/動物の疾病の治療や予防に用いられる製品、人体に対する作用が軽微であったり直接作用しない製品などが含まれる。
【0119】
本発明の用語「飼料」は、動物が食べ、摂取し、消化させるための、またはこれに適当な任意の天然または人工規定食、一片食などまたは前記一片食の成分を意味する。
【0120】
本発明のまた他の一つの様態は、外来感染源による感染性疾病の予防または治療するための前記免疫寛容特徴を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞の用途を提供する。
【0121】
本発明のまた他の一つの様態は、先天性免疫を増強させるための前記免疫寛容特徴を有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞の用途を提供する。
【0122】
(発明の実施のための形態)
以下、実施例を通じて本発明の構成及び効果についてより詳しく説明する。これら実施例はただ本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されるのではない。
【0123】
実施例1:免疫寛容特性誘導のための栄養膜細胞培養用体外マトリックスゲル(ex vivo Matrix gel)製造及び免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)獲得
【0124】
免疫寛容特性を誘導することができる栄養膜細胞の体外(ex vivo)培養のためにマトリックスゲル(matrix gel)を製造した。
【0125】
より具体的には、細胞外小胞に含有されることができる異種抗原を排除するために、ヒト羊膜由来間葉系幹細胞(ScienCell、Cat.#7140)及び健康な産婦から供与された確立された羊水由来間葉系幹細胞をウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum、FBS)を代替して免疫寛容化されたヒト間葉系幹細胞由来細胞外小胞(MBTC-MSC-EXO、Stemmedicare)を含有した凍結保存組成物で-80℃の超低温冷凍庫で3週間保管した。保管された幹細胞をそれぞれ解凍した後、共培養のために、マルチディッシュ(multi dish)(ThermoFisher Scientific Inc.、Rockford、IL USA、Cat.#140663)の下端プレートには羊膜由来間葉系幹細胞、上端インサートには羊水由来間葉系幹細胞を無血清DMEM/F12培地に20,000細胞/cm密度でそれぞれ分株して、37℃の温度、5%COインキュベータで120時間共培養をした後、収去した培養上清液を0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して、ヒト羊水及び羊膜由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞(AF/AM-MSCCO-EVs)を獲得した。
【0126】
前記のような方法で得られたヒト羊水及び羊膜由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞濃縮溶液に、pHが6.6~6.8になるようにヒアルロン酸粉末を追加して、ボルテックスミキサーミキサーでよく混合して製造された体外マトリックスゲルを培養プレートに分株した後、バイブレータの上で振って均一に広がるようにし、その後、栄養膜細胞を分株した後、無血清DMEM/F12K培地で5-6日の間隔で継代培養を行った。
【0127】
この時、栄養膜細胞からプロゲステロン及びエストロゲンホルモンの分泌を誘導するために、排卵前後の女性の体温変化と類似する36.0℃~37.0℃の範囲内で5日周期の温度変化条件(図2)と、0RPM~60RPM範囲内で変化する24時間周期の振動培養条件(図3)を適用した。
【0128】
また、体外マトリックスゲル上で培養された栄養膜細胞がHLA-Gタンパク質を持続的に分泌することができるか否かを確認するために、継代培養を行いながら、それぞれの継代培養時に収得された培養上清液の可溶性HLA-G(sHLA-G)タンパク質の濃度をMEM-G/9抗体を用いるヒトHLA-G ELISA kit(LSBio)で測定し、培養上清液のsHLA-G濃度が3継代以上20ug/mlを超えると、免疫寛容特性を有する栄養膜細胞株(immune-tolerized Trophoblast Cells、itTBCs)と見做して継代培養を中断した。
【0129】
前記体外マトリックスゲルで培養された免疫寛容化された栄養膜細胞を一般の培養プレートを利用して無血清DMEM/F-12K培地に15,000細胞/cm密度で分株して、37℃の温度、5%COインキュベータで96時間培養した後収去した培養上清液を0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して分離することにより、HLA-Gタンパク質を含有する免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)を獲得した。
【0130】
実施例2:ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞(HSC/UCB-MSCCO-EVs)獲得
【0131】
先天性免疫特性を誘導することができる細胞外小胞を獲得するために、ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞の共培養システムを開発した。
【0132】
より具体的には、細胞外小胞に含有されることができる異種抗原を排除するために、ヒト造血幹細胞(Promocell、Cat.# C-28021)及びヒト臍帯血由来間葉系幹細胞(Cyagen、Cat.# HUXUB-01001)をウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum、FBS)を代替して、ヒト間葉系幹細胞由来細胞外小胞を含有した凍結保存組成物で-80℃の超低温冷凍庫で3週間保管した。保管された幹細胞をそれぞれ解凍した後、共培養のために、マルチディッシュ(multi dish)の下端プレートには、臍帯血由来間葉系幹細胞、上端インサートには造血幹細胞を無血清DMEM/F12培地に20,000細胞/cm及び50,000細胞/cm密度でそれぞれ分株して、37℃の温度、5%COインキュベータで72時間の間5%低酸素条件で共培養を実行した後、収去した培養上清液を0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して、ヒト造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞(HSC/UCB-MSCCO-EVs)を獲得した。
【0133】
実施例3:多様なプライマル兔疫グロブリン(Primal Immunoglobulin)を含有する胎児幹細胞由来の細胞外小胞(itPG-EVs)の製造方法
【0134】
本発明の胎児幹細胞由来プライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞を製造しようとした。
【0135】
より具体的には、ターゲット細胞で先天性免疫に関与する多様な兔疫グロブリン及び補体タンパク質を含有する細胞外小胞の分泌を誘導するために、実施例1で製造された体外マトリックスゲルが分株された培養プレートに羊水から分離した胎児由来幹細胞(hFSCs)を接種し、実施例1のHLA-Gタンパク質を常時分泌発現する免疫寛容特性が誘導された栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)及び実施例2のヒト造血幹細胞と臍帯血由来間葉系幹細胞の共培養を通じて得られた細胞外小胞(HSC/UCB-MSCCO-EVs)をそれぞれ10%v/v含有した無血清DMEM/F-12培地で培養し、ターゲット細胞で兔疫グロブリン遺伝子発現を促進させるエストロゲンと免疫寛容を誘導するHLA-G発現を促進させるプロゲステロンの発現を活性化するために、図2のような5日周期の温度変化条件と図3のような振動条件を適用して、37℃の温度、5%CO環境のインキュベータで継代培養した。
【0136】
体外マトリックスゲル上で培養された胎児由来幹細胞がHLA-Gタンパク質を持続的に分泌することができるか否かを確認するために、継代培養を行いながら、それぞれの継代培養時に得られた培養上清液の可溶性(soluble)HLA-G(sHLA-G)タンパク質の濃度をMEM-G/9抗体を用いるヒト(Human)HLA-G ELISA kit(LSBio)で測定して、培養上清液のsHLA-G濃度が3継代以上20ug/mlを超えると、免疫寛容特性を有する胎児幹細胞株(immune-tolerized Fetal Stem Cells、itFSCs)と見做して、継代培養を中断する。前記体外マトリックスゲルで培養された免疫寛容化された胎児由来幹細胞を洗浄した後、体外マトリックスゲルのない一般のプレートに2.0×10細胞/cm密度で接種し、無血清DMEM/F-12培地で37℃の温度、5%COインキュベータで120時間培養した。収去された培養上清液を0.8umフィルタリング及び0.45umフィルタリングをそれぞれ2回実施して分離した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(immune-tolerized Primal immunoglobulin-containing extracellular vesicles、itPG-EVs)を収得した。
【0137】
前記培養を通じて収得した細胞外小胞(itPG-EVs)に含有されている兔疫グロブリンの含有量をそれぞれのELISA Kitで定量分析した。その結果、表1のように、全ての種類の兔疫グロブリンが含有されていることを確認することができた。特に、IgMとともに先天性免疫で自然抗体(Natural Antibody)で重要な役割を果たすIgG3も含有されていることを確認した。また、COVID-19のように呼吸器感染を引き起こすウイルスに対する初期中和抗体反応を支配する重要な役割を果たすIgAも含有されていることを確認した。
【0138】
【表1】
【0139】
また、前記の免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に含有された兔疫グロブリン及び兔疫グロブリンの発現と分泌を誘導するタンパク質成分の相対的含有量を実施例1の免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)、実施例2の先天性免疫特性を有する造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞(HSC/UCB-MSCCO-EVs)、実施例1の免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)のみを含有した培地で、実施例3のような培養条件で培養された免疫寛容化された胎児幹細胞由来の細胞外小胞(itFSC-EVs)、そして前記栄養膜細胞を利用した培養条件ではない一般的な幹細胞の培養条件で培養された免疫寛容化されない胎児幹細胞由来の細胞外小胞(FSC-EVs)と比較した。その結果、itTBC-EVs及びHSC/UCB-MSCCO-EVsには、兔疫グロブリンが検出されず、itFSC-EVs及びFSC-EVsでは、一部兔疫グロブリンが低い水準に検出されたが、本発明のitPG-EVsには全ての種類の兔疫グロブリンが遥かに高い水準で含有されていることを確認した。特に、IgD及び先天性免疫で重要な役割を果たすIgG3は、itPG-EVsのみに含有されていることを確認することができた。また、ターゲット細胞で兔疫グロブリン遺伝子発現を促進させるエストロゲン、八量体結合タンパク質1(Octamer-binding protein 1、OCT-1)、八量体結合タンパク質2(Octamer-binding protein 2、OCT-2)及び核内因子kB(Nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cells、NF-kB)などの成分もitPG-EVsに遥かに高い水準で含有されていることを確認することができ、ターゲット細胞で兔疫グロブリン合成を促進する免疫グロブリンラムダ様ポリペプチド-1(Immunoglobulin lambda-like polypeptide-1、IGLL1)及び切断刺激因子(Cleavage stimulation factor、CstF)またitPG-EVsに遥かに高い水準で含有されていることを確認することができた。
【0140】
【表2】
【0141】
また、前記の免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に含有された先天性免疫で必須的な役割を果たす多様な補体タンパク質の濃度を分析し、表3のように、プライマル兔疫グロブリンによって活性化されて即刻な先天性免疫系を担当する多様な補体タンパク質が含有されていることを確認した。
【0142】
【表3】
【0143】
そして、前記の免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に含有された抗ウイルス性タンパク質の濃度を分析し、表4のように、細胞膜及びエンドソーム膜でウイルスの進入及び複製を抑制する多様な抗ウイルス性タンパク質が含有されていることを確認した。
【0144】
【表4】
【0145】
実施例4:免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞の抗体生成誘導効能
【0146】
前記実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)の先天性免疫強化効能を確認するために、末梢血単核細胞(Peripheral Blood Mononuclear Cells、PBMCs)を利用した兔疫グロブリン生成促進実験を実施した。
【0147】
健康な寄贈者から供与された末梢血液から分離されたPBMCsを96-well細胞培養用プレートに2×10cell/well分株した後、実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)が10%v/v含有された無血清培養培地を入れ、37℃の温度、5%CO環境のインキュベータで培養した。対照群としては、無処理群及び実施例2の先天性免疫特性を有する造血幹細胞及び臍帯血由来間葉系幹細胞共培養細胞外小胞(HSC/UCB-MSCCO-EVs)処理群、そして実施例1の免疫寛容特性を有する栄養膜細胞由来細胞外小胞(itTBC-EVs)のみを含有した培地で実施例3のような培養条件で培養された免疫寛容化された胎児幹細胞由来の細胞外小胞(itFSC-EVs)処理群を設定した。培養後2、4、8、12、24時間後に培養上清液を収去して、それぞれの培養上清液に存在する兔疫グロブリンのうち先天性免疫に核心的な役割を果たすIgG3及びIgM濃度をそれぞれのELISA kitを利用して分析した。
【0148】
その結果、図4及び図5のように、対照群である無処理群、HSC/UCB-MSCCO-EVs処理群及びitFSC-EVs処理群では、24時間の間IgG3及びIgMの生成がほとんど変化がないか、微細に増加した一方、本発明の実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)処理群では、IgG3及びIgM生成が遥かに大きく増加したことを確認することができた。
【0149】
これを通じて、本発明の免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞が先天性免疫系で外来抗原に対して即時に反応する自然抗体の生成を顕著に促進させることにより、外来感染源による感染性疾患の予防及び治療効能があることを確認することができた。
【0150】
実施例5:免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを分泌する胎児幹細胞に含有されたHLA-G mRNA分析及びこれから分泌された細胞外小胞(itPG-EVs)に含有されたプロゲステロンとHLA-Gタンパク質分析
【0151】
前記実施例3を通じて確立された免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを分泌する胎児幹細胞に発現された免疫寛容を誘導するHLA-G mRNAをRT-PCRを通じて分析した。製造社(Invitrogen by Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)指針にしたがって、TRIzolを用いて免疫寛容化された胎児幹細胞から総RNAを抽出した。200ユニットのSuperscript II逆転写酵素(Invitrogen)と150ngのランダムプライマー(Invitrogen)を用いて総1ugのDNage-処理されたRNAをcDNAで転写させた。多様なアイソタイプHLA-G mRNAに対するプライマー配列は、表5に示した。全てのPCRサンプルは、0.5ug/mlエチジウムブロマイド(Sigma-Aldrich)を含有した2%アガロースゲル(Amresco、Solon、OH、USA)で電気泳動によって分析した。その結果、前記実施例3を通じて確立された免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを分泌する胎児幹細胞でHLA-G1、G2、G5及びG6 mRNAが全部発現されたことを確認した。
【0152】
【表5】
【0153】
また、前記実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に含有された免疫寛容を誘導する可溶性(soluble)HLA-Gタンパク質をウエスタンブロット(Western blot)で分析した。細胞外小胞からHLA-Gタンパク質を抽出するために、トリクロロ酢酸を用いてタンパク質を沈澱させた後、10%SDS-PAGEにローディングした。そして、電気泳動して細胞外小胞からタンパク質を抽出し、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)膜に移動させた後、可溶性(soluble)HLA-Gタンパク質のイントロン(Intron)4位置に結合する5A6G7 1次抗体を付着させ、HRP-conjugateされた2次goat抗-マウスIgG抗体(Abcam)を付着させた。各アイソタイプHLA-Gの発現量は、ECL溶液キット(Thermo Fisher Scientific)及びケミルミネッセンス(Chemiluminescence)イメージングシステム(Alliance Mini HD9、UVITEC、Cambridge、UK)を用いて検出した。その結果、前記実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に可溶性(soluble)HLA-G5、G6単体及びHLA-G5二量体と三量体まで存在していることを確認した。
【0154】
また、前記実施例3を通じて製造した免疫寛容化されたプライマル兔疫グロブリンを含有する細胞外小胞(itPG-EVs)に含有された免疫寛容を誘導するHLA-Gの発現及び分泌を促進させるプロゲステロン濃度をヒトプロゲステロン(Human Progesterone)ELISA Kit(Elabscience)を利用して分析した。その結果、itPG-EVsに2.25±0.61ng/mlのプロゲステロンが含有されていることを確認した。
【0155】
以上の説明から、本発明が属する技術分野における通常の技術者は本発明がその技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施され得ることを理解できるだろうと思われる。これに関して、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なもので、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは特許請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7