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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】網戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
E06B9/52 E
E06B9/52 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023063791
(22)【出願日】2023-04-10
【審査請求日】2023-04-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398020220
【氏名又は名称】株式会社長尾木鋼
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 春水
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-008751(JP,A)
【文献】実公昭48-017506(JP,Y1)
【文献】特開2012-241511(JP,A)
【文献】実開平02-129598(JP,U)
【文献】実開昭58-002299(JP,U)
【文献】実公昭50-045669(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/32
E06B9/52-9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体である金属製の網枠と、
前記網枠の開口を塞ぐ金属製の網材と、を備え、
前記網材は柔軟性のない硬質の網材であり、
前記網材と前記網枠とは接着剤により接合されており、
前記接着剤は、JIS K 6850:1999(接着剤-剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法)における引張せん断強度が10N/mm 以上の、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、シアノアクリレート系、又はシリコーン系の構造用接着剤である、
網戸。
【請求項2】
前記網枠は、前記網材の縁のその両面を挟むように該網材に接着されている、
請求項1に記載の網戸。
【請求項3】
前記接着剤は、前記網材および前記網枠を屋外に設置可能な耐候性を備える、
請求項1に記載の網戸。
【請求項4】
前記網枠と前記網材との見付方向の接着幅は、15mm乃至25mmである、
請求項1に記載の網戸。
【請求項5】
前記網材は、その縁が全周にわたって、又はほぼ全周にわたって、前記網枠に接着されている、
請求項1に記載の網戸。
【請求項6】
前記網材は、その線径が0.6mm乃至1.2mmである、
請求項1に記載の網戸。
【請求項7】
前記網枠は網戸框である、
請求項1に記載の網戸。
【請求項8】
枠体である金属製の網枠と、
前記網枠の開口を塞ぐ金属製の網材と、を備え、
前記網材は柔軟性のない硬質の網材であり、
前記網材と前記網枠とは接着剤により接合されており
前記網枠を取り囲む枠体である外枠を有し、
前記網枠の各辺と、これらに対応する前記外枠の各辺とは、それぞれ、ねじによって見付方向に接合されており、
前記各ねじの締め具合を調節することにより、前記網材の張力を調節することができる、
網戸
【請求項9】
前記網材および前記網枠は、前記接着剤に加え、ボルト又はねじによっても接合されている、
請求項1に記載の網戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は網戸に関し、特に、金属製の網材を用いた高強度網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1および2には、ステンレス製の金網が張られた防犯網戸が開示されている。また、下記特許文献3-5には、戸枠または窓枠に防虫網が接着された網戸および網窓が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-37770号公報
【文献】特開2016-37771号公報
【文献】実全平2-129598号公報
【文献】実全平4-55995号公報
【文献】実全昭58-2299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の防犯網戸は、硬質の金網の四辺を折り曲げ、これを金属製の型材に掛け、その型材とともに金網を框体に固定することで、金網と框体との接合強度を高めている。一方、金網の折り曲げやこれを固定する型材を必要とすることから、網戸の薄型化や軽量化が難しく、また、部品点数やその組立工程も多くなるという課題がある。
【0005】
尚、特許文献3に開示された網戸は、一般的な防虫網を戸枠に接着固定するものである。特許文献3の網戸は、きゃしゃな戸枠を変形させずに網を張るための工夫であり、戸枠を含め、網戸自体の強度を高めることは考慮されていない。特許文献4に開示された網戸は、環状の枠体(環状部材4)に金網を接着し、これを戸枠の溝に嵌め込むものである。特許文献4の金網は環状の枠体を巻き込めるような柔軟な網材であり、また、特許文献4の考案は網材の張り替えを容易にするために工夫である。つまり、特許文献4の考案は、網材の張り替え頻度を減らすために硬質の金網を使用することは考慮されていない。特許文献5に開示された自動車用防虫窓は、自動車の窓の形に形成された枠体に一般的な防虫網を接着固定したものである。特許文献5の考案は単に防虫を目的としたものであり、またその固定方法も、自動車ドアの縁に爪(引掛部4)を掛けて、薄い下敷きのような材質の板(ガイド5)を窓ガラスに沿って挿入する程度の簡易なものである。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、硬質の金網を用いた網戸について、その強度を保ちつつ、構造をより簡潔にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の網戸は、枠体である金属製の網枠と、前記網枠の開口を塞ぐ金属製の硬質の網材と、を備え、前記網材と前記網枠とは接着剤により接合されることを要旨とする。
【0008】
硬質の金網と網枠とを接着剤で接合することにより、網戸のその全体としての構造をより簡潔にすることができる。また、ボルトやリベットによる接合やスポット溶接による接合(点接合)とは異なり、接着剤による接合は接着面を介した面接合である。これにより接合部の応力が分散され、網戸のその全体としての耐久性や耐衝撃性が高められる。さらに、網材に塗布された接着剤は、網材の網目にも入り込むこととなる。つまり接着剤は、網材と網枠とを化学的・物理的に接合するだけでなく、網目に入り込んで硬化することで、これらを機械的(構造的)にも結合する。このことによっても網材と網枠との接合強度が高められる。
【0009】
このとき、前記網枠は、前記網材の縁のその両面を挟むように該網材に接着されていることが好ましい。網枠が網材の両面を挟み込むことで、網材の両面に対して網枠を接着させることができ、これらの接合強度がより高められる。
【0010】
また、前記接着剤は、前記網材および前記網枠を屋外に設置可能な耐候性を備えることが好ましい。例えば住宅の外壁に設けられた戸枠・窓枠など、風雨に晒される環境下での長期間の使用を可能とするためである。
【0011】
また、前記接着剤は、JIS K 6850:1999(接着剤-剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法)における引張せん断強度が8N/mm以上であることが好ましい。このとき、前記接着剤は、JIS K 6850:1999における引張せん断強度が10N/mm以上であることがより好ましい。網材と網枠との接着部分が網戸の強度上のボトルネックとなることを避けるため、又は網戸のその全体としての強度を高めるためである。またこのとき、前記接着剤は、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、シアノアクリレート系、又はシリコーン系の構造用接着剤であることが好ましい。
【0012】
また、前記網枠と前記網材との見付方向の接着幅は、15mm乃至25mmであることが好ましい。網材と網枠の接合強度と、網戸としての眺望性・意匠性との両立を図るためである。
【0013】
また、前記網材は、その縁が全周にわたって、又はほぼ全周にわたって、前記網枠に接着されていることが好ましい。網材と網枠との接合強度を最大化するためである。
【0014】
また、前記網材は、その線径が0.6mm乃至1.2mmであることが好ましい。網戸は一般にガラス戸とともに設置される。金網の線径や厚みをこの範囲内とすることにより、一般的なガラス戸以上の強度(破壊の困難性)を金網にもたせることができる。
【0015】
また、前記網枠は網戸框であってもよい。これにより網戸の構造をより簡潔にすることができる。
【0016】
また、本発明の網戸は、前記網枠を取り囲む枠体である外枠を有し、前記網枠の各辺と、これらに対応する前記外枠の各辺とは、それぞれ、ねじによって見付方向に接合されており、前記各ねじの締め具合を調節することにより、前記網材の張力を調節することができる構成としてもよい。こうすることで、仮に接着後に網材にたるみが生じた場合にもこれを事後的に解消させることが可能となる。
【0017】
また、前記網材および前記網枠は、前記接着剤に加え、ボルト又はねじによって接合されていてもよい。網材と網枠との接合強度をさらに高めるためである。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明によれば、硬質の金網を用いた網戸について、その強度を保ちつつ、構造をより簡潔にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る網戸を掃き出し窓に設置した様子を示す外観図である。
図2】第1実施形態に係る網戸の部分拡大透視図である。
図3】第1実施形態に係る金網の編成を示す部分拡大図、及びそのA-A断面図(a)と、本発明の網材の他の形態であるパンチングメタルの外観を示す部分拡大図、及びそのB-B断面図(b)である。
図4】第1実施形態に係る金網と框の具体的な接合構造を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る網枠および網戸框を示す断面図である。
図6】その他の実施形態に係る網枠の一部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の網戸は、硬質の網材とその網枠との接合に接着剤を用いることで、網戸の堅牢性と簡潔なサッシ構造との両立を図ることをその特徴としている。以下、この特徴とその付随的な特徴について、いくつかの実施形態を挙げて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の網戸の一形態である網戸91を掃き出し窓に設置した例を示す外観図である。図1の掃き出し窓は住宅の外壁に設けられた窓である。網戸91は、引き違いのガラス戸92とともにこの掃き出し窓に設置されている。
【0022】
網戸91は、主に、金属製の枠体である網戸框10(以下、「框10」という。)と、その開口を塞ぐ金属製の網材50(以下、「金網50」という。)により構成されている。本形態の網戸91は、不審者の住宅への侵入を防ぐことを目的とした防犯網戸であり、ガラス戸92や窓枠には、網戸91の施錠手段(不図示)が設けられている。
【0023】
図2は、網戸91の部分拡大透視図である。網戸91の金網50は接着剤70によって框10に接合されている。図2における梨地柄にハッチングした部分が、接着剤70が塗布された部分である。金網50は、折り目のない平らな一枚の網材であり、柔軟性はなく、硬質である。金網50は框10の内側まで及んでおり、框10の内面に接着固定されている。
【0024】
接着剤70による接合は接着面を介した面接合である。これにより接合部の応力が分散され、点接合であるボルトやリベット、スポット溶接等に比べ、網戸91のその全体としての耐衝撃性や耐久性が高められている。
【0025】
また、上でも述べたように、本形態の網戸91は住宅の外壁に設けられた掃き出し窓に設置されている。よって接着剤70には、風雨に晒される環境下でも劣化の少ない接着剤、つまり耐候性の高い接着剤が選択されている。
【0026】
本形態の接着剤70はアクリル系の接着剤であり、いわゆる構造用接着剤に分類されるものである。JIS K 6850:1999(接着剤-剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法)における接着剤70の引張せん断強度は、20N/mmである。尚、以下の説明で言及する引張せん断強度は、同規格に基づく試験値を意味している。
【0027】
接着剤70に要求される引張せん断強度は、例えば金網50の寸法・重量や、接着剤70が塗布される面積、網戸の用途(本形態のような防犯用途か、ペットによる掻き破り対策か、又は単に網の張り替えを不要とするためか)等によって異なる。例えば人の侵入が不可能な位置や大きさの小窓に設置される網戸であって、単に張り替えが不要な防虫網としてこれを使用するような場合には、8N/mm程度の引張せん断強度でも足りることがある。また、構造用接着剤に分類される接着剤は、一般に10N/mm以上の引張せん断強度を謳っている。よって、金属同士の接着に適した10N/mm以上の接着剤を使用すれば、その接着部分が網戸の強度上のボトルネックになることを避けることが可能となる。また、本形態ではアクリル系の構造用接着剤が使用されているが、必要な強度が得られる接着剤であれば、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、シアノアクリレート系、又はシリコーン系の構造用接着剤を使用してもよい。
【0028】
また、本形態の金網50は、その縁が全周にわたって框10に接着されている。本形態の網戸91は、金網50の接合強度と、その眺望性・意匠性との両立を図るため、框10の見付方向における接着幅を20mmとしている。接着剤70の接着幅は、15mmから25mmの範囲内であれば、接着強度と眺望性・意匠性とのバランスを保ちやすいと考えられる。
【0029】
図3(a)は、金網50の編成を示す部分拡大図、及びそのA-A断面図である。図3(b)は、本発明の網材の他の形態であるパンチングメタル60の外観を示す部分拡大図、及びそのB-B断面図である。
【0030】
本形態の金網50は、高張力鋼であるSUS316の線径0.8mmの線材を、網目の目合いが1.5mmとなるよう平織りした網材である。なお、ここでいう「高張力鋼」とは、引張強さが490MPa以上の鋼材をいう。本形態の網戸91は、切断が困難な線材を用いることで高い防犯性能を実現している。金網50の仕様はこれには限られず、要求される強度や許容されるコスト等に応じて、例えばSUS304などの他のステンレス鋼や、スチール、チタン、アルミ、銅、真鍮、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)など、他の金属材料からなる線材を用いてもよい。また、線材の線径も0.8mmには限られない。線径が0.6mmから1.2mmの範囲内であれば高い防犯性能と眺望性・意匠性とをバランス良く両立させることができる。また、網材の目合いについては、それが主に人や鳥獣の侵入を防ぐためのものなのか、それとも蚊などの小さな虫の侵入も防ぐ必要があるのか、など、その用途に応じて適宜調節すればよい。必要であれば金網50に加えて目合いの細かな防虫網を張ってもよい。本形態のように、網戸91とガラス戸92とが同じ開口部に併設されている場合、網戸91の強度(破壊の困難性)はガラス戸92の強度と同等かそれ以上にすることが望ましい。
【0031】
本形態の框10はアルミ製の型材である。框10には、ステンレスや他の金属材料を使用してもよい。本形態のように金網50と框10に異種金属を用いる場合には、その線膨張係数の違いに応じた弾性を備える接着剤70を用いることが望ましい。
【0032】
また、本発明の「硬質の網材」は、金網50のように線材を編んで作った網だけには限られず、網戸の網として使用可能な硬質の部材を広く含んでいる。例えば図3(b)に示すようなパンチングメタル60(打抜金網)も本発明の「硬質の網材」に含まれる。パンチングメタル60としては、例えばアルミ板からなり、板厚が1.2mm、穴径が2.0mm、ピッチが3.0mm程度のものが強度と眺望性・意匠性とのバランスに優れている。
【0033】
金網50やパンチングメタル60は、框10に接着されることでその網目やパンチ穴にも接着剤70が入り込むこととなる。つまり接着剤70は、金網50やパンチングメタル60を框10に化学的・物理的に接合するだけでなく、網目やパンチ穴に入り込んで硬化することで、これらを機械的(構造的)にも框10に結合する。このことによっても金網50やパンチングメタル60と框10との接合強度が高められる。
【0034】
図4は、金網50及び框10の具体的な接合構造を示す断面図である。框10は、図4に示すように、網戸91の表面側(室外側)に配置される表側半体11と、裏面側(室内側)に配置される裏側半体12とを、ねじ19で結合した框体である。尚、図4では框10の縦框の断面図を例として示しているが、上框および下框も同様に、表側半体と裏側半体とをねじで結合した構造である。上框および下框には、例えば戸車を収納して固定するためのヒレ等、公知の網戸框の構造を適宜採用すればよい。
【0035】
框10は、金網50の縁のその両面を挟む部位である表側接着部11a及び裏側接着部12aを有している。図4の黒く塗りつぶした部分が接着剤70であり、金網50は、その縁の両面が表側接着部11a及び裏側接着部12aに接着されている。本形態では、框10が金網50の両面を挟み込むことで、金網50の両面に対して框10が面接合されており、これにより金網50と框10との接合強度が高められている。
【0036】
さらに、本形態の網戸91では、接着剤70による接合に加え、補強ねじ79によっても、金網50と框10とが接合されている。これは、金網50と框10の接合強度をさらに高めるためのものであるが、接着剤70だけで十分な接合強度が得られる場合は省略することもできる。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、本発明の網枠および網戸框の他の実施形態を示す断面図である。先の実施形態の網戸91は、框10自体が金網50の網枠を兼ねている。これにより網戸91の構造が簡潔化されている。しかし本発明の網枠は、網戸框と一体化された網枠だけには限られない。以下、図5を参照して、網枠および網戸框が別々の部材からなる網戸91bについて説明する。尚、以下に説明する点以外の構成は先の実施形態の網戸91と同様と考えてよい。
【0038】
本形態の網枠20は、アルミ製の型材であり、金網50の縁に接着固定される専用の枠材である。網枠20には、ステンレスや他の金属材料を使用してもよい。網枠20は、先の実施形態の框10と同様に、網戸91bの表面側(室外側)に配置される表側半体21と、裏面側(室内側)に配置される裏側半体22とが、後述する張力調節ねじ39で結合された枠体である。尚、図5では網戸框30の縦框に取り付けられる網枠20を例として示しているが、上框および下框にも同様に、網枠20が取り付けられる。また、張力調節ねじ39は、表側半体21と裏側半体22とを結合するだけでなく、これらを網戸框30にも結合している。
【0039】
網枠20は、金網50の縁のその両面を挟む部位である表側接着部21a及び裏側接着部22aを有している。図5の黒く塗りつぶした部分が接着剤70であり、金網50は、その縁の両面が表側接着部21a及び上側接着部22aに接着される。
【0040】
本形態の網枠20は留め切り構造であり、上框および下框に取り付けられる網枠20も図5の網枠20と同じ構造である。組み立てられた網枠20の各辺と、これらに対応する網戸框30の各辺とは、それぞれ、張力調節ねじ39によって見付方向に接合されている。そして、各張力調節ねじ39の締め具合を調節することにより、金網50の張力を調節することができる。これにより、接着後に金網50にたるみが生じた場合でも、これを事後的に解消させることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
図6は、本発明の他の実施形態に係る網枠の一部を示す模式図である。図6に示す網枠41,42はアルミ製の型材であり、図6には、これら網枠41,42のうち、金網50の縁に接着固定される部分のみが示されている。網枠41,42には、ステンレスや他の金属材料を使用してもよい。また、網枠41,42は網戸框を兼ねていてもよく、網戸框とは別の枠材であってもよい。これら網枠41,42の図示されていない部分については、その用途に応じて任意の構造を採用してよい。例えば、これら網枠41,42が網戸框も兼ねているのであれば、公知の網戸框の構造を適宜変更して、網枠41,42の図示された部分を組み込めばよい。又は、網枠41,42が別途網戸框に組み付けられる枠材なのであれば、図示されていない部分については、その網戸框に対する任意の接続構造を採用すればよい。
【0042】
本発明の網枠や框は、図4及び図5に示すような分割構造だけには限られない。例えば図6(a)に示すように、網枠41に設けられた溝41aに接着剤70を充填し、そこに金網50に差し込んで接着してもよい。この場合、網枠41に金網50を差し込んだ後に、さらに網枠41をかしめて金網50に固定することも考えられる。
【0043】
その他の構造としては、例えば図6(b)に示すように、金網50の片面にのみ網枠42を接着することも考えられる。この構造は、例えば紫外線硬化型の接着剤70を用いる場合に有意と考えられる。またこの場合、副次的に補強ねじ79で網枠42と金網50を固定してもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、本発明の網戸の設置場所は掃き出し窓には限られず、例えば腰高窓や小窓でもよく、またその開閉方法についても、引き違い戸の他、開き戸としてもよく、又ははめ殺しにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10:網戸框(網枠),11:表側半体,11a:表側接着部,12:裏側半体,12a:裏側接着部,19:ねじ,20:網枠,21:表側半体,21a:表側接着部,22:裏側半体,22a:裏側接着部,30:網戸框,39:張力調節ねじ,41,42:網枠、41a:溝,50:金網(網材),60:パンチングメタル(網材),70:接着剤,79:補強ねじ,91,91b:網戸,92:ガラス戸
【要約】
【課題】硬質の金網を用いた網戸について、その強度を保ちつつ、構造をより簡潔にする。
【解決手段】枠体である金属製の網枠と、前記網枠の開口を塞ぐ金属製の硬質の網材と、を備え、前記網材と前記網枠とは接着剤により接合される網戸によりこれを解決する。硬質の金網と網枠とを接着剤で接合することにより、網戸のその全体としての構造をより簡潔にすることができる。また、接着剤による接合は接着面を介した面接合である。これにより接合部の応力が分散され、網戸のその全体としての耐久性や耐衝撃性が高められる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6