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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ジャンプ用遊戯設備
(51)【国際特許分類】
   A63C 19/10 20060101AFI20240315BHJP
   E04H 3/14 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A63C19/10 D
E04H3/14 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023084323
(22)【出願日】2023-05-23
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523191270
【氏名又は名称】株式会社RE
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】押部 宣広
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-029904(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196493(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/009541(WO,A1)
【文献】特開2020-065605(JP,A)
【文献】登録実用新案第3031682(JP,U)
【文献】特開平03-139375(JP,A)
【文献】特開2005-224453(JP,A)
【文献】特開2001-070497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00-19/12
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャンプを行うことができるジャンプ用遊戯設備であって、
助走面とカンテを備え、助走から踏み切りまで滑らかに行うことができるよう擬似曲面を備えたアプローチ部と、
内部に発泡樹脂体または多孔質樹脂体が充填された、少なくとも一部をランディングと減速滑走する斜面に仕上げたランディング部を備え、
前記ランディング部の内部の前記発泡樹脂体または多孔質樹脂体が、複数個の直方体ブロックが組み合わされた状態で充填されており、
前記直方体ブロックが、隣接する前記直方体ブロック同士の間において、前記斜面の勾配に沿った長さ方向、前記斜面の勾配を横切る幅方向、前記斜面の法線方向に沿った高さ方向に当接し合い、立体的3次元の摩擦力を発生する状態で保持されていることを特徴とするジャンプ用遊戯設備。
【請求項2】
少なくとも前記ランディング部の内部に充填されている前記複数個の前記直方体ブロックを内部に収めた状態で保持するランディングブロックシートを備え、前記ランディングブロックシートにより内部に充填されている前記複数個の前記直方体ブロックの組み合わせ状態の前記立体的3次元の摩擦力を発生する当接状態が保持されることを特徴とする請求項1に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項3】
前記ランディング部が載置され、前記ランディング部を下方から支持する土台があり、前記土台の上に前記ランディング部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項4】
前記土台における前記ランディングブロックシートの設置箇所の側面に沿うようにブロックシート留め部が設けられ、前記ブロックシート留め部を介して前記ランディングブロックシートと前記土台の間の取付状態を維持されていることを特徴とする請求項3に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項5】
前記ランディング部から下方に位置し、前記ランディング部の前記斜面の角度より小さい角度の斜面を備え、前記減速滑走から停止するまでのボトム部を備えたことを特徴とする請求項に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項6】
少なくとも前記ランディング部から前記ボトム部までの表面を覆う表面カバーシートを備え、前記ランディング部にランディングした利用者が前記表面カバーシート上を滑走して前記ボトム部まで到達して停止することができる構造であることを特徴とする請求項5に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項7】
前記ランディングブロックシートおよび前記表面カバーシートに、内部の前記発泡樹脂体または前記多孔質樹脂体に及ぶ圧力変化による前記発泡樹脂体または前記多孔質樹脂体が内包する空気の出入りを可能とする空気穴が多数設けられていることを特徴とする請求項6に記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項8】
前記発泡樹脂体または多孔質樹脂体が、発泡ポリウレタン樹脂体、発泡ポリスチレン樹脂体、発泡ポリオレフィン樹脂体、発泡ポリエチレン樹脂体、発泡ポリプロピレン樹脂体、スポンジ体、ゴムスポンジ体、発泡シリコーンフォーム体のいずれかまたはそれらの組み合わせである請求項1から7のいずれかに記載のジャンプ用遊戯設備。
【請求項9】
ジャンプを行うことができるジャンプ用遊戯設備において使用され、減速滑走する斜面に仕上げられたランディング部であって、
前記ランディング部の内部において、発泡樹脂体または多孔質樹脂体が、複数個の直方体ブロックが組み合わされた状態で充填されており、
前記直方体ブロックが、隣接する前記直方体ブロック同士の間において、前記斜面の勾配に沿った長さ方向、前記斜面の勾配を横切る幅方向、前記斜面の法線方向に沿った高さ方向に当接し合い、立体的3次元の摩擦力を発生する状態で保持されていることを特徴とするランディング部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジャンプ用遊戯設備に関する。ジャンプができるものであれば、特に限定されず、例えば、スキー、スノーボード等のスノースポーツにおけるジャンプ、バイクや自転車などを用いたジャンプ、その他様々なジャンプを伴うものであれば良く、競技者が練習したり一般の遊技者が気軽に体験したりすることができるジャンプの遊技設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるジャンプの遊技施設としては、アプローチ部分と、ランディング部分を具備しており、アプローチ部分は、丘陵や山の斜面など自然の地形を利用したり、足場を組んで形成したりしていた。例えば、スキージャンプ設備であれば人工斜面上にスキー助走用マットなどを敷設して人工のゲレンデを製作していた。また、ランディング部分については着地の衝撃を弱めるために、図10に示す競技用スキージャンプ台同様にランディングスロープを設けたスキージャンプ遊戯設備(特許文献1:特開平11-29904号公報など)や、設置場所に制限がある場合は、図11に示すような池やプール等の水面やスポンジなどの衝撃吸収物が充填された着地溜まりを設けた例が知られている(特許文献2:特開2001-70497号公報)。
特に後者は、遊技施設の面積が大きく確保しづらい場所で導入されているタイプであり、アプローチ部分の助走用マット上を助走してジャンプし、そのままランディング部分に配置されたプールなどの水中やスポンジなどに飛び込むことでジャンプを体験したり、スキージャンプ競技やエアリアル競技に向けた高度な練習をしたりしていた。
【0003】
現在存在する優れたジャンプ用練習設備としては、スノースポーツジャンプ用練習設備があり、図12に示す特許第5943225号(特許文献3)のスノースポーツジャンプ用遊戯設備が知られている。
この特許第5943225号(特許文献3)のスキージャンプ用遊戯設備は、本発明者が過去に開発したものであり、現時点で滑走可能なスノースポーツジャンプ用練習設備としては大変優れたものである。
アプローチ部とランディング部を備えた構造であり、ランディング部は内部に空気が充填されているエアマットと、エアマット内に空気を送り込む送風装置を備え、エアマットの少なくとも一部の表面をランディングと減速滑走する斜面に仕上げたものであり、さらに、ランディング部のエアマット内に内壁上面と内壁下面を結ぶ複数の隔壁膜を設けることによりエアマット内に空気圧が印加された状態でも斜面形状を維持できるものである。つまり、単に空気が充填されたエアマットであれば、ランディングに適したスロープ形状を維持できないところ、内部に複数の隔壁膜を設けることにより、ランディングに適したスロープ形状を維持しつつ、利用者のランディングによりエアマット内の空気圧の変化が生じても適切に空気圧を調整してスロープ形状を維持するという優れたスノースポーツジャンプ用遊戯設備である。
【0004】
【文献】特開平11-29904号
【文献】特開2001-70497号公報
【文献】特許第5943225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のジャンプの遊技設備には、アプローチ部、ランディング部ともに改善すべき問題があった。
【0006】
まず、アプローチ部の問題について述べる。
特許文献1や特許文献2のスノースポーツ用ジャンプの遊技では、アプローチ部が主に競技者のジャンプ時の飛び出し速度を得るために加速する部分であり、十分な飛び出し速度を得るために長い距離と大きな角度のアプローチ部が必要となっていた。特に、雪面ではなく、人工芝などの助走面を備えた設備であれば、雪面と同様の加速を得るためには、アプローチ部の長さを長く確保する必要があり、遊戯設備の長さが長くなるという問題があった。
また、競技本番のスキージャンプ台では、アプローチ部での助走開始からジャンプ台に向けたいわゆるJ字カーブそして踏み切りまで、加速、減速、上昇という複雑な加速・減速感が得られるが、遊戯設備のアプローチ部においてもそれと同様程度の加速、減速、上昇という複雑な加速・減速感を得られなければ練習にはならない。この感覚を保持しつつ、如何にアプローチ部の長さを短く抑えるかも重要である。
また、スキー板が高速で助走面を助走するため、助走面に設けた人工芝が傷みやすいという問題もあった。
【0007】
一方、上記の特許文献3のスノースポーツ用ジャンプの遊技設備では、上記したアプローチ部における問題点は解決されている。その点において現時点で滑走可能なスノースポーツジャンプ用練習設備としては大変優れたものである。
【0008】
次に、ランディング部にも改善すべき問題があった。
上記した特許文献1では、競技用スキージャンプ台同様のランディングスロープを設けたスキージャンプ遊戯設備であるが、ランディング部は硬いスロープであるため、競技者がランディング後、安全に減速するには相当の距離のスロープが必要となってしまい、遊戯設備全体の長さ、設置面積が大きくなるという問題があった。山間部のスキーゲレンデを利用した遊戯設備であれば遊戯設備全体の長さや設置面積の問題が大きな問題ではないことも想定できるが、いわゆる都会で利用できるスペースが限られている場合や、アプローチ部からランディング部まで人工的に足場を組んで設置するタイプであれば、遊戯設備全体の長さや設置面積が大きくなるとコスト増を招いてしまう。
【0009】
一方、特許文献2のウォータージャンプの遊戯設備であれば、特許文献1のスノースポーツ用ジャンプの遊技設備に比べてランディング部の大きさを比較的抑制することができ、遊戯設備全体の長さや設置面積をコンパクトに収めることができる。
しかし、ウォータージャンプの遊戯設備によれば、着地面として海とかプール等の水面が利用されているため、衝突時の水圧による衝撃とか温度の急変による肉体的ショックなどがあって遊技者の安全性が必ずしも高く確保されているものとはいえないという課題がある。更に着地に水面を利用していることによって使用期間は夏期に限定され、遊技者がジャンプを練習したい秋から初冬にかけての期間は遊技施設を使用することができない。
また、遊技者はライフジャケットやウェットスーツ等の耐衝撃性の装備やスーツを装着した状態で体験や練習をしなければならない。そのような装備は装着感があり、実際に正式なスキージャンプを飛ぶ場合とは体感する感覚が異なる。
【0010】
初心者でレジャーとして一日限りの体験するのであれば、そのような装備を装着して体験しても良いと割り切れる場合もあるが、初心者ではあるものの今後も趣味で頻繁にスキージャンプを行いたい者や、競技者として練習を継続して行きたい者にとっては、そのような装備を装着した状態の練習は、競技中の状態と異なるため、却って練習にならない場合もあり得る。
さらにウォータージャンプの遊戯設備では、着地時はそのまま着水してしまうので、ジャンプの成功もしくは不成功がはっきり分からない。つまり、本格的なスキージャンプ台にて飛んだ場合、雪面上にきちんとランディングして立てるのか否かが判断することができないという問題がある。
【0011】
次に、上記した特許文献3のスノースポーツ用ジャンプの遊技設備は、通常の使用時にはランディング部の性能には問題はなかった。
しかし、メンテナンスや修理の点で改善すべき点がある。つまり、経時的な使用によってエアマット内部における一部の横隔膜が破損したり切断されることがあるが、一部の横隔膜が破損したり切断したりすると、空気圧の影響により当該破損・切断された横隔膜付近のエアマットが部分的にスロープ面が平面形状を維持できなくなるおそれがあり、一部が膨出してしまう不具合が発生する問題が発生することがあった。横隔膜を補修してメンテナンスすれば膨出という不具合は解消するが、破損したり切断したりしている横隔膜の補修やメンテナンス自体に相当に手間暇が掛かってしまうという問題があった。特にエアマットの内部の中央付近の横隔膜が破損・切断しているとその補修やメンテナンスが相当手間暇がかかり大変であった。
【0012】
そこで、上記課題を解決するため、本発明は、従来のジャンプ台で造形されるランディング部のスロープを、エアマットではなく、擬似的に斜面を維持したランディング部を提供するとともに、かつ、適度なクッション性を再現して十分に衝撃を吸収して安全性を確保せしめ、かつ劣化が少なく、メンテナンスが簡便であるジャンプ用遊戯設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のジャンプ用遊戯設備は、ジャンプを行うことができるジャンプ用遊戯設備であって、助走面とカンテを備え、助走から踏み切りまで滑らかに行うことができるよう擬似曲面を備えたアプローチ部と、内部に発泡樹脂体または多孔質樹脂体が充填され、少なくとも一部をランディングと減速滑走する斜面に仕上げたランディング部を備えたことを特徴とするジャンプ用遊戯設備である。
上記構成により、適度な柔軟性と弾性力を備えた発泡樹脂体を用いることにより、ランディング部へのランディングの衝撃が加わっても全体の造形を維持できるので擬似的に雪面に近い斜面を維持したランディング部を提供することができる。さらに、適度なクッション性を与えることができるので、十分に衝撃を吸収して安全性を確保せしめることができる。エアマットであれば膨出を防ぐための内部構造が必要となるが、適度な柔軟性を備えた発泡樹脂体または多孔質樹脂体は弾力性を有して形状が変形しても元に戻る性質を持っているので形状を維持するための内部構造が不要となる。
【0014】
次に、上記本発明のジャンプ用遊戯設備において、前記ランディング部の内部の前記発泡樹脂体または前記多孔質樹脂体として、複数個の直方体ブロックが組み合わされた状態で充填されている構造とすることが好ましい。
上記構成により、相当大きなランディング部に相当するサイズの一様の発泡樹脂体を設けることではなく、取り扱い易いサイズの直方体ブロックを複数個組み合わせて形成することにより、相当大きなランディング部を簡単に造形することができる。また、ランディング部の長さやランディング部の幅についても自由に設計でき、容易に造形することができる。さらに、個々の発泡樹脂体または多孔質樹脂体は弾性力を持っているので、ランディングの衝撃が加わって一時的に当該ランディングスポットにある個々の発泡樹脂体または多孔質樹脂体が変形してもそれぞれが短時間に元の形状に復帰することができ、構造的に安定しており経時劣化がほとんどない。なお、仮に内部のメンテナンスや修復などが必要となっても、その修復対象が取り扱い易い個々の発泡樹脂体または多孔質樹脂体で済むためメンテナンスや修復作業が非常に容易になる。
【0015】
次に、上記本発明のジャンプ用遊戯設備において、前記ランディング部の内部の前記発泡樹脂体または前記多孔質樹脂体の複数個の前記直方体ブロックが、隣接する前記直方体ブロック同士の間において、前記斜面の勾配に沿った長さ方向、前記斜面の勾配を横切る幅方向、前記斜面の法線方向に沿った高さ方向に当接し合い、立体的3次元の摩擦力を発生する状態で保持されていることが好ましい。
上記構成により、複数個の直方体ブロックが各々長さ方向、幅方向、高さ方向に当接し合っているため、適度な摩擦力が発生し、利用者のランディングによる衝撃が加わっても外形を維持することができ、かつ、複数個の直方体ブロック同士が衝撃で位置がずれることなく、利用者への抗力も適度であるため、ランディングによる衝撃吸収とランディングによる耐衝撃性を両立できる。
【0016】
少なくとも前記ランディング部の内部に充填されている前記複数個の前記直方体ブロックを内部に収めた状態で保持するランディングブロックシートを備え、ランディングブロックシートにより内部に充填されている複数個の直方体ブロックの組み合わせ状態の塊の形状が保持できる構造とすることが好ましい。
上記構成により、ランディング部の内部に収められる複数個の直方体ブロックがランディングブロックシートにより一塊にまとめられるため、ランディング部としてのマクロの形状が保持しやすくなる。
【0017】
次に、上記本発明のジャンプ用遊戯設備において、ランディング部全体を載置する構造であるが、載置されたランディング部全体を下方から支持する土台があり、当該土台の上にランディング部が設けられている構造とすることが好ましい。
上記構成により、取り扱い易いサイズの複数個の直方体ブロックを組み合わせて形成したランディング部を安定した状態で斜面に仕立てることができ、ランディング部に対するランディングの衝撃力が加わっても、ランディング部がしっかりと支持され得る。
【0018】
なお、上記構成において、土台におけるランディングブロックシートの設置箇所の側面に沿うようにブロックシート留め部が設けられた構造とし、ランディングブロックシートにはブロックシート留め部に係止可能な取り付け部を備えた構造とし、取り付け部とブロックシート留め部の係止を介して、ランディングブロックシートと土台の間の取付状態が維持できる構造であることが好ましい。
例えば、ブロックシート留め部が土台の上面側方付近に長さ方向に沿った棒材として設置しておき、ランディングブロックシートの取り付け部はブロックシート留め部の径より大きな径を持つ袋状の部材、または、強力な面ファスナーを備えたシート片であり、ブロックシート留め部を周回させて面ファスナーで留めて係止する部材などがある。
上記構成により、ランディングの衝撃でランディング部全体がずれ動くことを防止することができる。つまり、ランディング部自体は、土台のスロープの上に設けられるので、ランディングの衝撃でランディング部が徐々に土台のスロープに沿って下方に移動して行く可能性がある。そこで、ブロックシート留め部を設けておいて、ブロックカバーシートと土台の間の取付状態を維持することができ、ひいてはランディング部全体を土台スロープ状に安定して支持することができる。
【0019】
本発明のジャンプ用遊戯設備としては、上記構成において、さらに、ランディング部から下方に位置し、前記ランディング部の前記斜面の角度より小さい角度の斜面を備え、前記減速滑走から停止するまでのボトム部を備えた構造とすることが好ましい。
ランディング部はランディングの衝撃を緩和するため、アプローチ部のカンテから飛行曲線に沿うような角度にすることが好ましいところ、そのままでは、利用者が安全に停止するために減速を支援する必要がある。そこで、斜面の角度より小さい角度の斜面を備えて減速滑走から停止するまでのボトム部を設けることが有効である。
ランディング部からボトム部までの傾斜角度は自由に設計できるが、例えば、ランディング部とのつなぎ目は、ランディング部の先端(スロープの前方方向)と略同じ角度にして、滑走する利用者がスムーズにランディング部からボトム部へ移行できるものとし、ボトム部の先端(スロープの前方方向)は平面または軽い上り坂にして確実に停止できるように角度を変化させる工夫を施すことができる。
上記構成により、ランディング部に着地した利用者が着地地点から減速滑走してボトム部までなだらかに走行して安全に停止することができる。
さらに、ボトム部の先端にある程度高さがあるストッパーとなるようなエアマットを設けることも可能である。
【0020】
ここで、表面カバーシートの表面に、内部の発泡樹脂体または多孔質樹脂体に及ぶ圧力変化による発泡樹脂体または多孔質樹脂体が内包する空気の出入りを可能とする空気穴が多数設けられていることが好ましい。
上記構成により、利用者のランディングの際、ランディング部に対して大きな重力や衝撃力がかかるが、表面カバーシートごと発泡樹脂体または多孔質樹脂体が変形する方が利用者への抗力や反発力が小さく緩和される。もし、表面カバーシートを設けた構成で土台との間で取付状態にある場合、内部の空気が逃げにくいと表面カバーシートの張力によりその変形が小さい場合があるので、内部の空気が外部に逃げやすいように、表面カバーシートの表面に多数の空気穴を設けておく構造が好ましい。一方、空気穴が大きすぎると滑走するスキー板やスノーボードが引っ掛かったり、バイクや自転車の走行の邪魔になる可能性もあるので、小さな空気穴を多数個設けたり、いわゆる目の細かいメッシュ構造にすることも好ましい。
【0021】
さらに、下方のボトム部のほか上方にも構造物にも工夫が可能である。
例えば、上端付近には略水平のテーブル部、そして、傾斜が始まるノール部を設ける工夫である。ノール部の先端にはランディング部がつながっている。
テーブル部もノール部も内部に発泡樹脂体が充填されたものが好ましい。
上記構成により、テーブル部やノール部はアプローチ部からランディング部へ到達せずに落下した利用者を受け止めて保護することができる。つまり、いわゆる失敗ジャンプの場合にアプローチ部で転倒してしまってそのまま踏み切り台を超えて下方に落下する場合でも安全にテーブル部またはノール部で受け止めることができる。
逆に、ノール部を省略することもできる。ランディング部の上端付近にテーブル部やノール分を設けず、アプローチ部の先端より奥側にランディング部の上端が配置される構造である。つまり、アプローチ部先端から下方に落下してもランディング部に落ちるようにアプローチ部とランディング部が近接させておく工夫である。
【0022】
次に、上記本発明のジャンプ用遊戯設備のランディング部内部に充填された発泡樹脂体または多孔質樹脂体の素材としては、適度な柔軟性と弾性力があれば良く多様なものが適用可能である。例えば、発泡ポリウレタン樹脂体、発泡ポリスチレン樹脂体、発泡ポリオレフィン樹脂体、発泡ポリエチレン樹脂体、発泡ポリプロピレン樹脂体、スポンジ体、ゴムスポンジ体、発泡シリコーンフォーム体のいずれかまたはそれらの組み合わせなどがあり得る。
発泡の構造は独立気泡構造、連続気泡構造のどちらでも良い。
発泡樹脂体の密度は限定されないが、例えば、5~50kg/m3とすることができる。
発泡樹脂体の硬度は限定されないが、例えば、50~1000Nとすることができる。
【0023】
なお、上記したランディング部のみを、既存のジャンプ用遊戯設備に供給することもできる。つまり、アプローチ部や土台は既設のものを応用して使用し、ランディング部のみを本発明のジャンプ用遊戯設備のランディング部に置き換えることも可能である。
【0024】
次に、アプローチ部の工夫について述べる。
アプローチ部の擬似曲面を中央帯の助走面と、助走面の両端外周に設けたサイド部に分け、助走面の表面の摩擦係数をサイド部の表面の摩擦係数よりも小さくし、遊技者の助走が助走面にて行われる場合には滑走しやすく、サイド部にコースアウトした場合には滑走を減速するように工夫することができる。
このようにアプローチ部の擬似曲面のうち中央帯の助走面とその両側のサイド部に分けることにより遊技者に中央帯を滑走するように誘導することができ、かつ、助走面を正常に滑走している際には加速することができ、コースアウトしてサイド部を滑走する際には減速することができる。
【0025】
なお、アプローチ部の助走面の表面は人工芝で覆われているが、人工芝はプラスチック素材である。スキーやスノーボードやバイクや自転車などが高速で通過するため摩擦熱が発生し、繰り返し使用していると摩擦熱により人工芝が融溶する不具合が起こる場合がある。そこで、アプローチ部で滑走するエリアにおいて、下方から人工芝の表面に向けて水を噴き出すスプリンクラーを配しておく。スプリンクラーから水を噴き出しておけば、滑走中のスキー板面やスノーボードの板面やバイクや自転車の車輪を水で直接冷却することができ、人工芝自体も冷却することができ、摩擦熱を除去することが可能となる。
【0026】
次に、アプローチ部の擬似曲面の工夫について述べる。
本来アプローチ部は滑らかな曲面で形成されることが好ましいが、長い距離のアプローチ部の全面を滑らかな曲面で形成することは難しい。そこで、本発明のジャンプ用遊戯設備のアプローチ部は、平面状のプレート部材を繋ぎ合わせ、そのプレート部材間の接合部に角度の変化を付けることで擬似的にアプローチ部の擬似曲面を形成する。ここで、プレート部材の縦幅を、下降する傾斜角が設けられている箇所と上昇する傾斜角が設けられている箇所で分けて使用する。アプローチ部で下降する傾斜角が設けられている箇所については5m以上の縦幅のプレート部材を相対角度5度以内で繋ぎ合せ、上昇する傾斜角が設けられている箇所については1m以下の縦幅のプレート部材を相対角度1度以上3度以内で繋ぎあわせてジャンプ台の曲面に近似するようにプレート部材間の接合部分において傾斜角を変えて接合する。
【0027】
上記構成により、遊技者が用いる道具は1m50cm~2m程度の長さが多いところ、アプローチ部で下降する傾斜角が設けられている箇所については5m以上の縦幅があるので、道具全部が一枚のプレート部材の上に乗っているか、道具がプレート部材の接合部分を一箇所だけ跨いでいるかのいずれかであり、道具がプレート部材の接合部分を二箇所跨ぐことはない。また、角度が5mで5度以内、つまり、1mで1度以内の変化である。発明者の長年の研究により、1mで1度以内の変化であれば競技者は角度変化をそれほど感じず滑降の加速感の方を大きく感じるものであることを突きとめた。一方、アプローチ部で上昇する傾斜角が設けられている箇所では1m以下の縦幅であるので、キー板がプレート部材の接合部分を二箇所跨ぐこととなる。また、角度が1m以下の縦幅で1度以上3度以内とすると1mで1度以上の変化である。発明者の長年の研究により、1mで1度以上の変化であれば競技者は角度変化を大きく感じるものであることを突きとめた。また、変化角度が大きすぎると凹凸を感じてしまうが、1m3度以内程度であれば凹凸を感じることはほとんどない。
このように使用道具が接合部分を跨ぐ数と、滑走面の角度変化の度合いを調整することにより、アプローチ部での下降滑走エリアでは直線的な加速感を感じることができ、また、アプローチ部で上昇する傾斜角が設けられている箇所では上方に向かう曲線的な角度変化を感じることができる。
【0028】
次に、アプローチ部においては如何に遊技者の助走スピードを所定の速度にまで加速することが重要である。アプローチ部の設置長さを長くすれば助走距離が長くなり加速も得られるが、アプローチ部における加速を大きくできればアプローチ部の設置長さを少しでも短くできる。そこで、アプローチ部の擬似曲面において、ジャンプに向けて上昇に転じる箇所の直前のプレート部材の表面の角度に注目した。通常のアプローチ部の擬似曲面では、ジャンプに向けて上昇に転じる箇所の直前の面の傾斜度はゼロ、つまりほぼ水平になる部分を設け、加速帯がなくなってから上昇するように作り込むが、発明者が鋭意研究したところ、ジャンプに向けて上昇に転じる箇所の直前の傾斜角度を5度~10度に設定することで遊技者はあたかも水平に転じて加速帯がなくなっているように感じることが分かった。つまり、実際にはまだ傾斜角度を5度~10度であるため加速帯の一部であり若干の加速を続けているが、遊技者にはあたかも加速帯がなくなったように感じることが分かった。このような工夫をすることにより、加速帯の長さが少し長くなり、減速する長さが少し短くなるため、踏み切り台における飛び出し初速を少しでも大きくすることができる。つまり、同じ飛び出し初速を得るためのランディング部の長さを短くする効果が得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかるジャンプ用遊戯設備によれば、適度な柔軟性と弾性力を備えた発泡樹脂体を用いることにより、ランディング部へのランディングの衝撃が加わっても全体の造形を維持できるので擬似的に雪面に近い斜面を提供することができる。さらに、適度なクッション性を与えることができるので、十分に衝撃を吸収して安全性を確保せしめることができる。エアマットであれば膨出を防ぐための内部構造が必要となるが、適度な柔軟性を備えた発泡樹脂体は形状を自ら維持することができ、形状を維持するための内部構造が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施例1にかかる本発明のジャンプ用遊戯設備100を示す図である。
図2】表面を覆っている表面カバーシート110を外した構造を示す図である。
図3】各ブロックからブロックシートを外して、内部に充填されている発泡樹脂体または多孔質樹脂体が見えている状態を示す図である。
図4】各ブロックの内部に充填されている発泡樹脂体または多孔質樹脂体を取り出して示す図である。
図5】ランディングスロープ部130でのランディングの衝撃を吸収するための空気の流れを説明する図である。
図6】アプローチ部190を取り出して示した図である。
図7】スプリンクラー198から湧水している様子を示す図である。
図8】アプローチ部190の擬似曲面による傾斜の変化を示す図である。
図9】踏み切り用カンテの擬似曲面を簡単に説明する図である。
図10】従来の特開平11-29904号公報に開示されたスキージャンプ用遊戯設備の構成例を簡単に示す図である。
図11】従来の特開2001-70497号公報に開示されたスキージャンプ用遊戯設備の構成例を簡単に示す図である。
図12】従来の特許第5943225号公報に開示されたスノージャンプ用遊戯設備の構成例を簡単に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明のジャンプ用遊戯設備の実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の説明において、利用者がアプローチ部からジャンプして滑走する方向を「長さ方向」とし、長さ方向に直交する方向を「幅方向」とし、スロープ斜面に対する法線方向を「高さ方向」として説明する。
【実施例1】
【0032】
以下、本発明に係るジャンプ用遊戯設備の構成例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施例1にかかる本発明のジャンプ用遊戯設備100を示す図である。
図1は斜視図となっている。
図1に示すように、本発明のジャンプ用遊戯設備100は、大きくは、助走、加速、踏み切りまでを行うアプローチ部190と、着地、減速、停止までを行うランディング部、それらを支持する土台180の3つの部分を具備している。
この構成例では、ランディング部は、表面カバーシート110の下に、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150、ストッパー部160、内部の発泡樹脂体や多孔質樹脂体の直方体ブロック170(図1では隠れていて図示せず)を備えた構成例となっている。
土台180は、この例では、コンクリート製のもので造形された例であり、周辺の階段、照明、送風機などの諸設備は図示を省略している。
なお、山肌などの自然地形を土砂やコンクリートなどで造成・整地すれば独立した土台180自体は不要である。
本発明のジャンプ用遊戯設備100の全体の長さや幅は様々なものが可能であり、設計に合わせて作り込めば良い。
【0033】
先に、ランディング部について説明する。
ランディング部は、表面カバーシート110、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150、ストッパー部160を備えた構成となっている。なお、本発明のジャンプ用遊戯設備100において、ランディング部は、アプローチ部190から前方の部位、つまり、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150までを含む概念であるが、ランディングの着地箇所がランディングスロープ部130と想定しているので、ランディングスロープ部130が中心的部位である。
なお、図1および図2では図示されていないが、この構成例では、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150のそれぞれの内部には、複数個の発泡樹脂体または多孔質樹脂体の直方体ブロック形状が組み合わされた状態で充填されている。
【0034】
まず、表面カバーシート110を説明する。
表面カバーシート110は、少なくともランディングスロープ部130の表面を覆う表面カバーシートである。図1に示した例では、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150まで、一つながりで一体の表面カバーシートとなっている例である。なお、つなぎ目がスムーズであれば、長さ方向に一つながりでなくとも良く、複数枚に分かれていても良い。この例ではテーブル部120からボトム部150まで一つながりで一体の表面カバーシート110となっている例として説明する。
【0035】
図2は表面を覆っている表面カバーシート110を外した様子を示す図となっている。表面カバーシート110の下には、各々ブロック化されている一塊である5つのブロック、つまり、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150がある。なお、これらの5つのブロックも各々ごとにブロックシートにより個別に一体化されて一塊となっている。
図2の状態では、ブロック間にはつなぎ目があり、利用者の滑走に影響を与える可能性があるが、この例では図1に示すように、それらブロックの上面を一体にカバーする表面カバーシート110があるので、ランディングスロー部130にランディングした利用者が表面カバーシート110上を滑走してボトム部150まで滑走して停止することができる構造となっている。
【0036】
表面カバーシート110の材質は、遊戯者のランディングによる衝撃で生じる空気圧変化に耐える引張強度や破断強度が必要である。表面カバーシート110を多層化して複数の素材を組み合わせても良い。そのような引張強度や破断強度があるものであれば、素材は特に限定されない。例えば、高強度ポリエステル繊維の帆布素材を用いることができる。
【0037】
表面カバーシート110には多数の空気穴が設けられているが、当該工夫は、利用者のランディングの際の衝撃と、内部の空気圧の調整に関する工夫であるが、当該工夫については、ブロックシート131などにおいて多数の空気穴を設ける工夫と共通するので後述する。
【0038】
次に、ランディング部を説明する。ランディング部は、アプローチ部190から前方の部位、つまり、テーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150までを含む概念であるが、ランディングの着地箇所がランディングスロープ部130と想定しているので、ランディングスロープ部130が中心的部位である。
まず、中心的部位であるランディングスロープ部130を先に説明する。その後にテーブル部120、ランディング下部140、ボトム部150を順々に説明してゆく。
【0039】
ランディングスロープ部130は、図2に示すように、表面カバーシート110を取り外すと、テーブル部120とランディング下部140の間に存在する長さが長いスロープ状のものであり、アプローチ部190のカンテ197からジャンプした利用者の通常の飛行であれば、ランディングする箇所である。
ランディングスロープ部130は、遊戯者のランディングとその後の減速を行う箇所であり、踏み切り用カンテ197から踏み切りジャンプした遊戯者の飛行経路に沿ってランディングの衝撃を少なくし、安全に受け止めるような角度に調整されたスロープを提供する部位である。
図3に示すように、ランディングスロープ部130は、ブロックシート131と、内部充填物133を備えたものとなっている。
【0040】
図3は、ランディングスロープ部130を始めとする各ブロックからブロックシートを外して、内部に充填されている発泡樹脂体または多孔質樹脂体が見えている状態の図である。
また、図4は、各ブロックの内部に充填されている発泡樹脂体または多孔質樹脂体を取り出して示した図である。
【0041】
図3に示すように、ランディングスロープ部130は、ブロックシート131と、内部充填物133を備えたものとなっている。ここで、図4に示すように、この内部充填物133は、発泡樹脂体または多孔質樹脂体の直方体ブロック170が多数組み合わされて形成されているものである。つまり、ブロックシート131の内部に多数個の発泡樹脂体または多孔質樹脂体の直方体ブロック170が密着当接して並べられて充填されている。つまり、ブロックシート131により一塊のものとして外形状がまとめられてランディングスロープ部130が形成されている。
このように、各ブロックにおいて内部充填物123,133,143,153が、複数個の直方体ブロック170が組み合わされた状態で充填されており、隣接する直方体ブロック170同士の間において、斜面の勾配に沿った長さ方向、斜面の勾配を横切る幅方向、斜面の法線方向に沿った高さ方向に当接し合い、立体的3次元の摩擦力を発生する。そのため、内部充填物は発泡樹脂体または多孔質樹脂体の直方体ブロック170が有する柔軟性や弾力性というクッション性能を持ち、かつ、ブロック全体としてその充填されたマクロな外形が維持されやすくなっている。
発泡樹脂体または多孔質樹脂体の直方体ブロック170のサイズについては限定されず、数十センチから数十メートルぐらいまで様々なサイズが想定される。いわゆる立方体も含まれ得る。また、充填箇所によって直方体ブロックのサイズを変えることも可能である。また、後述するテーブル部120、ランディング下部140、ボトム部150などの部位に応じて直方体ブロックのサイズを変えることも可能である。
【0042】
ここで発泡樹脂体または多孔質樹脂体の素材は、発泡ポリウレタン樹脂体、発泡ポリスチレン樹脂体、発泡ポリオレフィン樹脂体、発泡ポリエチレン樹脂体、発泡ポリプロピレン樹脂体、スポンジ体、ゴムスポンジ体、発泡シリコーンフォーム体のいずれかまたはそれらの組み合わせとすることが好ましい。これら素材であれば、適度な柔軟性、適度な弾性力となるよう調整して製作することができる。これら素材で形成すれば軽量になるため本発明のジャンプ用遊戯設備100の造営時に作業が楽であり、また、メンテナンスも容易となる。
発泡樹脂体である場合、連続気泡体構造、独立気泡体構造のいずれであっても良い。
【0043】
次に、ランディングスロープ部130の土台180への固定について述べる。
この構成例では、図4に示すように、下方には土台180が設けられており、土台180の上にテーブル部120、ランディングスロープ部130、ランディング下部140、ボトム部150が載置され、ブロックシート131により係止されて取り付けられている。
【0044】
各々のブロックと土台180との係止は、限定されないが、例えば、各ブロック側の取り付け部と、土台側のブロックシート留め部181との係止により行うことができる。
図4に示すように、土台180の上面にブロックシート留め部181が設けられている。ブロックシート留め部181が設けられている箇所は、各々のブロックの載置箇所のエッジとなる付近である。つまり図3において、各々のブロックの充填物123,133,142,152が載置されている前後左右のエッジに相当する箇所に沿うように配置されている。
【0045】
ブロックシート留め部181は棒状のもので良く、各々のブロックの取り付け部が係止できる構造となっている。例えば、ブロックシート留め部181の下面の一部に脚があり、この脚により棒状のブロックシート留め部181が土台180の上面から数センチ浮いた状態で配設されている。つまり、ブロックシート留め部181が土台180の上面側方付近に長さ方向に沿った棒材として設置する構成例がある。
【0046】
一方、各ブロック側には取り付け部がある。例えば、ランディングスロープ部130のブロックシート131のエッジには取り付け部132がある。取り付け部132は、棒状のブロックシート留め部181に対して取り付けと取り外しができ、取り付け状態においてしっかりと係止できるものであれば良い。構造は限定されないが、例えば、取り付け部132が強力な面ファスナーを備えたシート片であり、取り付け部132をブロックシート留め部180に周回させて面ファスナーで留めて係止する部材がある。また、例えば、棒状のブロックシート留め部181の径より大きな径を持つ袋状の部材(暖簾のチチや袋縫いのように棒状のブロックシート留め部181を通し入れる部材)などがあり、棒状のブロックシート留め部181側が一部開放と閉鎖ができる構造であれば、一部を開放して袋状の部材を通し入れて再び閉鎖すれば係止できる。その他にも様々な構造はあり得る。
他のテーブル部120のブロック、ランディング下部140のブロック、ボトム部150のブロックについても同様の方法により取り付け部132を介して係止すれば良い。
上記構成により、ランディングの衝撃でランディングスロープ部130、さらにはランディング部全体がずれ動くことを防止することができる。ブロックシート留め部180を設けておいて、ブロックカバーシート121,131,141,151と土台180の間の取付状態を維持することができ、ひいてはランディング部全体を土台スロープ状に安定して支持することができる。
【0047】
次に、ランディングスロープ部130におけるランディングの衝撃吸収について述べる。
利用者がジャンプしてランディングすると、ランディングスロープ部130に対して大きな重力や衝撃力がかかるが、足元直下にある構造物である表面カバーシート110とブロックシート131と内部の内部充填物133が即座に変形することにより衝撃を吸収して利用者への抗力や反発力を小さく緩和する。
内部充填物133は上記したように適度な柔軟性と弾力性を備えた発泡樹脂体や多孔質樹脂体の直方体ブロック170であるので、ランディングの衝撃吸収は可能である。もし、表面カバーシート110やブロックシート131を設けた構成において、内部の空気が逃げにくいと表面カバーシート110やブロックシート131の張力によって内部充填物133の変形が小さくなる場合も想定できる。そこで、内部の空気が外部に逃げやすいように、表面カバーシート110やブロックシート131に多数の空気穴を設けておく構造が好ましい。
【0048】
図5は、ランディングスロープ部130の内部でのランディングの衝撃を吸収するための空気の流れを説明する図である。平面図となっている。
内部充填物133は、多数個の発泡樹脂体や多孔質樹脂体の直方体ブロック170により組み合わされたものであり、それぞれ内部に大量の空気を内包している。そのため、衝撃が加わって変形すると内部の空気を放出して柔軟に変形することができる。この内部の空気が自在に出入りできることが好ましい。
【0049】
例えば、ブロックシート131がメッシュ構造や多数の空気穴が穿たれている構造となっており、空気が自由に移動できるようになっている。図5に示すように、大人の体重が勢い良くランディングする際の衝撃は大きいが、その衝撃を和らげるため内部充填物133内の大量の空気が効率良く、かつ、適度な空気抵抗を伴いつつ移動することによりランディングスロープ部130全体の弾力性と衝撃吸収効果を付与できる。
【0050】
図5には遊戯者のランディングによる衝撃をランディングスロープ部130で受け止め、その衝撃を内部の空気が大量に拡散することで吸収している様子が示されている。
図5の例では中央付近にランディングし、その衝撃が上方から加えられている。ランディングの衝撃が加わるとランディングスロープ部130の中央付近にあった空気が前後方向に拡散し、さらに、ブロックシート131の表面、表面カバーシート110の表面から噴出する。もし、ブロックシート131の表面、表面カバーシート110の表面からの空気の出入りが少ないと、ブロックシート131の表面、表面カバーシート110の表面張力によりランディングスロープ部130の下方への変形が小さくなり、利用者への抗力が大きくなってしまう。そこで、ブロックシート131の表面、表面カバーシート110の表面から外部へ空気を放出することができるようになっている。このようにランディングに伴う空気圧の変動を調整する。
【0051】
ランディング時の大きな衝撃を吸収した後は、遊戯者がランディングスロープ部を滑走しつつ安全に減速を開始するが、ランディング時に比べてランディングスロープ部130へ印加される圧力が減少する。内部の発泡樹脂体や多孔質樹脂体の直方体ブロック170は形状の復元力があるため、空気を外部から吸収して膨出して元の形に戻ることができる。
一方、空気穴が大きすぎると滑走するスキー板やスノーボードが引っ掛かったり、バイクや自転車の走行の邪魔になる可能性もあるので、数ミリから数センチの小さな空気穴を多数個設けたり、いわゆる目の細かいメッシュ構造にする。
【0052】
次に、ランディングスロープ部130のほかのブロック体について述べる。
図2に示すように、この例では、ランディングスロープ部130の上端側には、テーブル部120があり、ランディングスロープ部130の下端側には、ランディング下部140,さらにその下方にボトム部150が設けられている。
テーブル部120、ランディング下部140、ボトム部150の各々の構造は上記したランディングスロープ部130と同様の構造で良い。つまり、この例では、それぞれカバーシート121,141,151があり、それらのエッジの下端には取り付け部122,142,152があり、それらの内部には内部充填物123,143,153がある。土台180にはそれぞれのブロックを載置する決まった箇所があり、それら箇所にはエッジ相当箇所に棒状のブロックシート留め部181が設けられ、各々の取り付け部122,142,152をブロックシート留め部181に係止することにより、ブロックを安定して支持する構造となっている。
【0053】
なお、テーブル部120、ランディング下部140、ボトム部150の各々の構造は上記したランディングスロープ部130と同様で良いが、それぞれ取り付ける傾斜角度が異なっている。
これらの傾斜角度は、ジャンプ用遊戯設備100の装置設計に応じて決めれば良い。まず、土台180を造営する際に、ジャンプ用遊戯設備100の装置設計に併せて傾斜面を作り込み、その傾斜面に沿って各々のブロック体を載置し、ブロックシート留め部181と取り付け部122,132,142,152を介して係止して取り付ければ、設計通りにランディング部全体のスロープが形成できる。
特に、ランディングスロープ部130は、ランディングした後、安全に減速できるように適度な角度の斜面となっており、遊戯者の飛行角度に沿ってそのまま前方に滑走できる角度が付けられている。
【0054】
ランディングスロープ部130を通過した利用者は、自らのエッジングやランディングスロープ部130の表面カバーシート110とスキー板など利用者が使用する道具との摩擦力によりある程度減速しているが、ランディング下部140、ボトム部150、ストッパー部160により安全に減速し、停止ができる構造となっている。
【0055】
ランディング下部140は水平に近くなっており、もはや遊戯者の滑走に加速が付かないようになっている。自らのエッジングや表面カバーシート110と使用道具との摩擦力により減速しやすくなっている。このランディング下部140上で完全に停止する場合もあり得る。
【0056】
ボトム部150は、さらに減速を強めるため、ランディング下部140の前方に設けられたものであり、水平近くまたは逆に緩やかな上りスロープとなっていても良い。
【0057】
ストッパー部160は、ボトム部150のさらに先に設けられたものであり、ここまで滑走してしまった遊戯者の前方移動を強制的に停止させるストッパーである。
【0058】
これら、ランディング下部140、ボトム部150、ストッパー部160により安全に減速し、停止ができる構造となっている。
このように、ランディング下部140からボトム部150に掛けて徐々に傾斜面が小さい角度に調整されており、減速から停止まで無理なく行える角度の傾斜面となっている。
【0059】
次に、テーブル部120のバリエーションについて述べておく。
図1に示した構成例では、従来技術のように水平のテーブル部は設けられておらず、緩やかな斜面(いわゆるノール部に相当する斜面)のテーブル部120が設けられている。テーブル部120は、ジャンプが想定の初速度で踏み切った場合、物理的には落ち得ない空間であり、従来技術では単に水平のテーブル部として簡単に作り、ノール部を設けてランディング部の傾斜を作り込んでいるが、いわゆる失敗ジャンプの場合、例えば、アプローチ部190で転倒してしまい、そのままカンテから前方に落下する場合、テーブル部120に直接落下することが起こり得る。そこで、この構成例では、図1に示すようにテーブル部120をアプローチ部190の高さ付近まで持ち上げておき、段差を小さくし、落ちた衝撃を分散するように工夫している。
【0060】
なお、上記したランディング部のみを既存のジャンプ用遊戯設備に供給することもできる。既存のジャンプ用遊戯設備はアプローチ部190は既存のジャンプ台を持っており、土台も既存の斜面を備えていることがあり、ランディング部のみを置き換えることもあり得る。つまり、アプローチ部や土台は既設のものを応用して使用し、ランディング部のみを本発明のジャンプ用遊戯設備100のランディング部に置き換えることも可能である。
ここで、置き換える対象となるランディング部は、ランディングスロープ部130のみでも良く、ランディングスロープ部130とランディング下部140のみでも良く、テーブル部120とランディングスロープ部130とランディング下部140のみでもよい。
【0061】
次に、アプローチ部190を説明する。
アプローチ部190は、助走面とカンテ(踏み切り台)を備え、助走から踏み切りまで滑らかに行うことができるよう擬似曲面を備えたものとなっている。
図1では、アプローチ部190は上方部分に設けられている部位である。
図6は、アプローチ部190を取り出して示した図であり、図2(a)が側面図、図6(b)が平面図となっている。
図1および図6に示すように、アプローチ部190は、大きくは、スタート用ステージ部191、アプローチスロープ部192、踏み切り部193の3つの部分を具備している。
【0062】
スタート用ステージ部191は、略平面となっており、遊技者がスタートをするために立つ部分である。
アプローチスロープ部192は、助走、加速を行う部分であり、下降する擬似曲面が形成されている。
この構成例では、アプローチスロープ部192には、助走面196とサイド部195が設けられており、それぞれ表面の摩擦係数が異なるものとなっている。
【0063】
助走面196は遊技者が滑走する面であり、通常のアプローチを行う場合、この助走面196を滑走して助走、加速を行う。そのため、比較的摩擦係数の少ない表面となっており、アプローチ部の長さが比較的短くても加速が付くようになっている。
【0064】
一方、サイド部195は、遊技者が真っ直ぐに滑走せずにコースアウトするような曲がったコースを進む場合に、遊技者を保護するために遊技者の滑走を止める部分である。それゆえサイド部195は摩擦係数の比較的大きい表面となっており、このサイド部195に進入した遊技者のスキーやスノーボードやバイクや自転車等の道具が滑りにくく減速しやすいように工夫されている。なお、図示していないが、サイド部195のさらに外側は崖のような危険な状態でなく、草原や土などの斜面が設けられており、落差が小さくなっていることが好ましい。また図示しないがサイドストッパーのような強制停止させるオブジェクトを配置しても良い。
例えば、アプローチ部190の助走面196の表面は滑りやすい人工芝とし、サイド部195の表面には摩擦係数が大きく滑りにくいゴムシートのような素材を敷設しておく。
【0065】
ここで、人工芝を敷設した助走面196の下にスプリンクラーを配置しておく工夫について述べる。アプローチ部の助走面196の表面が人工芝で覆われている場合、人工芝はプラスチック素材である。使用道具が高速で助走面196を通過すると摩擦熱が発生し、繰り返し使用しているとその摩擦熱により人工芝が徐々に融溶するという不具合が起こる場合がある。そこで、図6(b)に示すように、使用道具が滑走する助走面196において、下方から人工芝の表面に向けて水を噴き出すスプリンクラー198を配置しておき、人工芝の表面に湧水するように工夫することができる。図6(b)の例では6つのスプリンクラー198が配置された例となっている。
【0066】
図7(a)はスプリンクラー198から湧水している様子を簡単に示す図である。図7(a)に示すようにスプリンクラー198から湧水しておけば、滑走中の使用道具を水で直接冷却することができ、また、人工芝自体も冷却することができ、摩擦熱を除去することが可能となる。
【0067】
一方、図7(b)は助走面の下にスプリンクラー198を配置する構成ではなく、アプローチ部190の外部にスプリンクラーを配置して横から散水する、いわゆる水撒式の外付けのスプリンクラーを採用した場合の例である。人工的な斜面を滑りやすくするために側方から水を撒くことを想定した例であるが、図7(b)に示すように、水撒式の外付けのスプリンクラーにより散水できるエリアは扇状に拡がるがうまく助走面196に集中して撒くことができない。また、側方から散水するため遊技者の使用道具の下面に直接当てることができない。確かに助走面196の少なくとも一部のエリアの表面に水を散水することができ、一定の人工芝の冷却効果が得られるが、散水が届きにくい助走面196の人工芝は溶融する可能性がある。一方、図7(a)に示した助走面の下にスプリンクラー198を配置する構成ならば湧水により使用道具の下面に直接水を当てることができ、使用道具の下面自体を冷却する効果が得られ、かつ、湧水が助走面196を集中的に流れることとなり、人工芝全体の冷却効果も高い。
【0068】
次に、アプローチ部190の擬似曲面の形成について述べる。
アプローチ部190の擬似曲面は複数のプレート部材194を繋ぎ合わせることで形成している。競技用ジャンプ台の曲面に近似するようにアプローチ部190の擬似曲面を形成することが好ましい。
【0069】
プレート部材194は丈夫な構造体であれば良く、素材は特に限定されないが、遊技者の滑走により生じる圧力変化に十分に耐え得る構造的強度を備えたものとなっている。構造的強度を備えたものであれば一枚の板材でも良く、フレームを金属で形成しボードを組み込んだものでも良い。このプレート部材194の表面にシートや人工芝の敷設を行う。
【0070】
プレート部材194の縦幅サイズであるが、一例としては助走面196については5m以上の縦幅を持つものとする。スキー板等の使用道具の長さが通常は1m50cmから2m程度であるので、5mあれば使用道具がプレート部材194同士のつなぎ目を2箇所以上同時に跨ぐことがなくなるからである。使用道具がプレート部材194同士のつなぎ目を跨ぐ数が0個または1個の状態であれば、スキー板の使用道具は上下方向のベクトル変化が発生せず、下方への加速に集中できる。一方、使用道具がプレート部材194同士のつなぎ目を跨ぐ数が2個以上の状態であれば、下方への加速よりも上下方向のベクトル変化の割合が増加し、加速の割合が減少するからである。図2に示すように、この構成例では、スタート用ステージ部191から順に194-1、194-2、194-3、194-4、194-5の5枚が繋げられているが、194-1、194-2、194-3、194-4の長さL1、L2、L3、L4についてはたとえば各々6mとする。194-5の長さL5については長さ12mとなっている。
【0071】
次に、プレート部材同士の繋ぎ合わせの角度であるが、プレート部材194同士のつなぎ目の相対角度5度以内の角度で繋ぎ合せることが好ましい。縦幅5m以上でつなぎ目の相対角度5度以内の角度で繋ぎ合せると、1mで1度以内の変化となる。発明者の長年の研究により、1mで1度以内の変化であれば競技者は角度変化をそれほど感じず滑降の加速感の方を大きく感じるものであることを突きとめた。そのため、遊技者は緩やかにカーブする曲面を助走している感覚が得られ、つなぎ目の大きなベクトル変化や凹凸を感じにくくなる。図6の例では、プレート部材194はそれぞれθ1、θ2、θ3、θ4、θ5であり、例えば順に、27度、22度、17度、12度、7度とする。プレート部材194同士のつなぎ目の相対角度はそれぞれθ1-θ2、θ2-θ3、θ3-θ4、θ4-θ5であり、この例では各々5度となっている。
なお、このプレート部材194の角度は高さを変化させれば可変となる。この各々の高さH1、H2、H3、H4、H5についてはジャッキなどで昇降可能としておけばプレート部材194の角度を可変とすることができる。
【0072】
次に、踏み切り用のカンテ197について説明する。
踏み切り部193の中央帯には踏み切り用のカンテ197が設けられている。つまり、助走面196から踏み切り用のカンテ197にスムーズにつながっている。なお、踏み切り用のカンテ197の両側はコースアウト用のサイド部195が延長されており、ここでは略水平になっている。
【0073】
踏み切り用のカンテ197のプレート板194は、縦幅サイズがたとえば、75cm以上1m以内のものとなっている。スキー板等の使用道具の長さが通常は1m50cmから2m程度であるので、その縦幅あれば使用道具がプレート部材194同士のつなぎ目を2箇所以上同時に跨ぐこととなるからである。使用道具がプレート部材194同士のつなぎ目を跨ぐ数が2個以上であれば、使用道具は上方向のベクトル変化の割合が大きくなり、上方への踏み切りに集中できる。
【0074】
図9は踏み切り用カンテの擬似曲面を簡単に説明する図である。図9に示すように、この構成例では、踏み切り用カンテ197の先端に向けてから順に194-6、194-7、194-8、194-9、194-10、194-11の6枚が繋げられているが、各々の長さL6、L7、L8、L9、L10、L11は、たとえば各々90cmとする。
【0075】
次に、踏み切り部193におけるプレート部材同士の繋ぎ合わせの角度であるが、プレート部材194同士のつなぎ目の相対角度3度以内の角度で繋ぎ合せることが好ましい。縦幅75cm以上1m以内でつなぎ目の相対角度3度以内の角度で繋ぎ合せると、角度変化は1mで1度以上3度以内、たとえば2度とすると、1mで2度の変化となる。発明者の長年の研究により、1mで1度以上の変化であれば競技者は角度変化を比較的に感じるものであることを突きとめた。そのため角度変化が1mで1度以上3度以内であれば、遊技者は緩やかにカーブしつつ上方への踏み切りをしている感覚が得られ、かつ、つなぎ目の大きな凹凸を感じにくくなる。図5の例では、プレート部材194はそれぞれθ6、θ7、θ8、θ9、θ10、θ11であり、例えば順に、2度、4度、6度、9度、12度、15度とする。プレート部材194同士のつなぎ目の相対角度はそれぞれθ7-θ6、θ8-θ7、θ9-θ8、θ10-θ9、θ11-θ10であり、この例では各々2度から3度となっている。
【0076】
このように踏み切り部193におけるスキー板などの使用道具が接合部分を跨ぐ数と、滑走面の角度変化の度合いを調整することにより、アプローチ部での下降滑走エリアでは直線的な加速感を感じることができ、また、アプローチ部で上昇する傾斜角が設けられている箇所では上方に向かう曲線的な角度変化を感じることができる。
なお、踏み切り部193においてもプレート部材194の角度は高さを変化させれば可変となる。この各々の高さH6、H7、H8、H9、H10、H11についてはジャッキなどで昇降可能としておけばプレート部材194の角度を可変とすることができる。
【0077】
次に、アプローチ部190の助走曲面196と踏み切り用カンテ197との繋ぎ目について述べる。
図8(a)はアプローチ部190の擬似曲面において、ジャンプに向けて上昇に転じる箇所の直前のプレート部材194-5の傾斜角度θ5を5度~10度に設定し、そのまま踏み切り用カンテ197の擬似曲面に直接繋げられている。この例では、傾斜角度θ5は7度となっている。一方、踏み切り用カンテ197の擬似曲面の最初のプレート部材194-6の傾斜角度θ6は2度であり、両者のつなぎ目の相対角度は9度となっている。発明者の鋭意研究により助走の下降ベクトル変化から踏み切りへの上昇ベクトル変化へのつなぎ目において相対角度が10度以下であれば、特に突っ掛かる感覚はなくスムーズに踏み切りへの上昇運動へスムーズに移行した感覚が得られることが分かった。ここで、図8(a)に示した擬似曲面であれば、踏み切りの上昇運動に移る直前までプレート部材194-5のθ5度の斜面による加速が得られ、減速されることなくそのままプレート部材194-6の上昇運動に移行することができる。
【0078】
一方、図8(b)は、従来技術において見られるタイプであり、アプローチ部190の助走面196の擬似曲面の下端のプレート部材194-5-1と、踏み切り用カンテ197のプレート部材194-6との繋ぎ目に傾きゼロの水平帯のプレート部材194-5-2を設けるようにしたものである。この従来技術に見られるタイプでは助走面196の下降運動から踏み切り用カンテ197の上昇運動までの間に水平運動が入いるため遊技者にとり両者が明確に分かりやすいように思うが、水平帯は摩擦が発生するため、実は減速帯ともなっていた。本発明ではアプローチ部190の設置長さを短くすることも目的の一つであるため、従来技術に見られるタイプのように減速帯が存在すると、踏み切り用カンテ197の踏み切り飛び出し速度がその分小さくなってしまう。一方、図4(a)に示したように水平帯が存在しないようにすれば、踏み切り用カンテ197の上昇運動に移行する直前まで加速帯であるため、効率的に踏み切り用カンテ197の踏み切り飛び出し速度を所定の速度に高めることができる。
【0079】
以上がアプローチ部190の構成例である。
このアプローチ部190で加速してカンテ197からテイクオフした利用者は通常の飛行軌道であれば、ランディング部のランディングスロープ部130上の表面カバーシート110に着地する。もし、失敗ジャンプの場合は、失敗の内容によるが、転倒しつつもランディングスロープ部130上の表面カバーシート110に着地したり、踏み切りができずにカンテ197から直下に落ちてランディング部のテーブル部120上の表面カバーシート110に着地したりする。いずれにしても、表面カバーシート110、その下にあるブロック体であるテーブル部120やランディングスロープ部130の内部に充填されている内部充填物123や133のクッション作用をもたらす柔軟性、弾力性により安全にランディングでき、さらに、表面カバーシート110を滑走してボトム部150およびストッパー部160において安全に停止できる。
【0080】
以上、本発明のジャンプ用遊戯設備の構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のジャンプ用遊戯設備は、屋内または屋外に設置する人工スキージャンプ用遊戯設備や人工スノーボード用遊戯設備、自転車用遊戯設備、自動二輪用遊戯設備などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100 ジャンプ用遊戯設備
110 表面カバーシート
120 テーブル部
121 カバーシート
122 取り付け部
123 内部充填物
130 ランディングスロープ部
131 カバーシート
132 取り付け部
133 内部充填物
140 ランディング下部
141 カバーシート
142 取り付け部
143 内部充填物
150 ボトム部
151 カバーシート
152 取り付け部
153 内部充填物
160 ストッパー部
170 直方体ブロック
180 土台
181 ブロックシート留め部
190 アプローチ部
191 スタート用ステージ部
192 アプローチスロープ部
193 踏み切り部
194 プレート部材
195 サイド部
196 助走面
197 踏み切り用カンテ
【要約】

【課題】 適度な柔軟性と弾力性を備えて衝撃を吸収でき、劣化が少なくメンテナンスが簡便であるジャンプ用遊戯設備を提供する。
【解決手段】
ジャンプを行うことができるジャンプ用遊戯設備であって、助走面とカンテを備え、助走から踏み切りまで滑らかに行うことができるよう擬似曲面を備えたアプローチ部と、内部に発泡樹脂体または多孔質樹脂体が充填されたランディング部を備えている。ランディング部の内部充填物が、複数個の直方体ブロックが組み合わされた状態で、隣接する直方体ブロック同士の間において、斜面の勾配に沿った長さ方向、斜面の勾配を横切る幅方向、斜面の法線方向に沿った高さ方向に当接し合い、立体的3次元の摩擦力を発生する。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
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図12