(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】類似コンテンツ管理システム、類似コンテンツ管理方法及び類似コンテンツ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
G06T1/00 200D
(21)【出願番号】P 2023138155
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2023-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344969
【氏名又は名称】株式会社PocketRD
(74)【代理人】
【識別番号】230112911
【氏名又は名称】三和 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】籾倉 宏哉
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109862401(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109978552(CN,A)
【文献】河合 洋弥,認証可能アバタへの変換に向けた顔認証モデルの解析,2021年 暗号と情報セキュリティシンポジウム予稿集 [online] 2021 Symposium on Cryptography and Information Security,日本,電子情報通信学会情報セキュリティ(ISEC)研究会,2021年01月22日,1-8頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報を管理する類似コンテンツ管理システムであって、
対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記特徴点抽出手段によって抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較手段と、
前記特徴点比較手段によって前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定手段と、
前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段と、
を備えたことを特徴とする類似コンテンツ管理システム。
【請求項2】
前記特徴点比較手段は、比較対象である1以上の特徴点において、前記対象コンテンツの顔部分の画像における特徴点の位置と、前記本人画像における特徴点の位置の間の距離が第1の閾値よりも小さい場合に、前記対象コンテンツが前記本人画像と外観的な類似性を有すると判定することを特徴とする請求項1記載の類似コンテンツ管理システム。
【請求項3】
前記特徴点比較手段は、比較対象である1以上の特徴点において、基準とする顔画像である基準画像における特徴点の位置を始点とし前記本人画像における特徴点の位置を終点とする第1ベクトルと、前記基準画像における前記特徴点の位置を始点とし前記対象コンテンツにおける特徴点の位置を終点とする第2ベクトルとの内積の値が第2の閾値以上である場合に、前記対象コンテンツが前記本人画像と外観的な類似性を有すると判定することを特徴とする請求項1又は2記載の類似コンテンツ管理システム。
【請求項4】
本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報を管理する類似コンテンツ管理方法であって、
対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、
前記特徴点抽出ステップにおいて抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較ステップと、
前記特徴点比較ステップにおいて前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定ステップと、
前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成ステップと、
前記情報生成ステップにおいて生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップと、
を含むことを特徴とする類似コンテンツ管理方法。
【請求項5】
1以上の特徴点の中から、基準とする顔画像である基準画像における特徴点の位置と、当該特徴点と対応する前記本人画像における特徴点の位置の間の距離が第3の閾値以上である特徴点を選択する特徴点選択ステップをさらに含み、
前記特徴点比較ステップにおいて、前記特徴点選択ステップにて選択された特徴点について特徴点の比較を行うことを特徴とする請求項4記載の類似コンテンツ管理方法。
【請求項6】
本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報の管理をコンピュータに行わせる類似コンテンツ管理プログラムであって、
前記コンピュータに対し、
対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出機能と、
前記特徴点抽出機能によって抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較機能と、
前記特徴点比較機能によって前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定機能と、
前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成機能と、
前記情報生成機能によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示機能と、
を実行させることを特徴とする類似コンテンツ管理
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実在の人物の特徴を備えたアバター、アイコン等のコンテンツを効率よく抽出し、当該コンテンツと当該実在の人物との関係の有無等の情報管理を簡易かつ正確に行うことのできる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ等の電子計算機における処理能力向上等に伴い、ゲーム及びSNS(Social Networking Service)等のIT系のサービスにて2次元、3次元のコンピュータグラフィックスが多数活用されている。これらのサービスにおいては、架空のキャラクターを模したアイコン、アバター等が使用されるのみならず、利用者等の実在の人物を写実的に表現したアバター等や、人物の特徴を踏まえつつ抽象的に表現したアバター等が用いられるケースが増えている。これにより、たとえばゲームにて利用者の特徴を表現したアバターからなる主人公が敵キャラクターと対戦することで利用者のゲーム世界への没入感が向上する効果が発生し、SNSにおいて利用者を示すアイコンとして利用者本人を抽象的に表現したアバターを使用することで、仮想空間でありながら現実の世界と同じような感覚にて利用者間の交流が促進されるといった効果が発生することが期待される。
【0003】
特許文献1、2は、いずれもヘッドマウントディスプレイを使用して仮想空間を表現するコンピュータゲームにおいて、プレイヤー自身、あるいは共同プレイヤーの実際の姿をそれぞれ模したアバターを使用する技術について開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-012509号公報
【文献】特開2019-139673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ゲーム、SNS等のサービスには様々な種類があるところ、各サービスにおける世界観やキャラクターデザインも様々であることから、利用者は各サービスに対応した異なるデザイン等からなるアバターを用意する必要がある。利用者はこれら多数のアバターについて各サービスとの対応関係や修正を重ねた場合において最新版が何であるか等の管理を行う必要があるが、複数のアバター等を管理するための技術については、特許文献1、2共に全く開示していない。
【0006】
また、第三者にとっても、特定の利用者の特徴を備えたアバター等が、実際の当該利用者が使用しているアバター等であるか否か区別できることは重要である。たとえば著名人の特徴を備えたアバター等が当該著名人に成りすました人物であり、当該人物による詐欺等が懸念されることから、ある人物の特徴を備えたアバター等が当該人物と関連付けられたものであるか否かについて、当該人物以外の第三者においても認識できるシステムの構築が望まれる。しかしながら、かかる技術についても特許文献1、2には開示されていない。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、実在の人物の特徴を備えたアバター、アイコン等のコンテンツを効率よく抽出し、当該コンテンツと当該実在の人物との関係の有無等の情報管理を簡易かつ正確に行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる類似コンテンツ管理システムは、本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報を管理する類似コンテンツ管理システムであって、対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、前記特徴点抽出手段によって抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較手段と、前記特徴点比較手段によって前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定手段と、前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成手段と、前記情報生成手段によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、請求項2にかかる類似コンテンツ管理システムは、上記の発明において、前記特徴点比較手段は、比較対象である1以上の特徴点において、前記対象コンテンツの顔部分の画像における特徴点の位置と、前記本人画像における特徴点の位置の間の距離が第1の閾値よりも小さい場合に、前記対象コンテンツが前記本人画像と外観的な類似性を有すると判定することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、請求項3にかかる類似コンテンツ管理システムは、上記の発明において、前記特徴点比較手段は、比較対象である1以上の特徴点において、基準とする顔画像である基準画像における特徴点の位置を始点とし前記本人画像における特徴点の位置を終点とする第1ベクトルと、前記基準画像における前記特徴点の位置を始点とし前記対象コンテンツにおける特徴点の位置を終点とする第2ベクトルとの内積の値が第2の閾値以上である場合に、前記対象コンテンツが前記本人画像と外観的な類似性を有すると判定することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項4にかかる類似コンテンツ管理方法は、本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報を管理する類似コンテンツ管理方法であって、対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出ステップと、前記特徴点抽出ステップにおいて抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較ステップと、前記特徴点比較ステップにおいて前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定ステップと、前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成ステップと、前記情報生成ステップにおいて生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、請求項5にかかる類似コンテンツ管理方法は、上記の発明において、1以上の特徴点の中から、基準とする顔画像である基準画像における特徴点の位置と、当該特徴点と対応する前記本人画像における特徴点の位置の間の距離が第3の閾値以上である特徴点を選択する特徴点選択ステップをさらに含み、前記特徴点比較ステップにおいて、前記特徴点選択ステップにて選択された特徴点について特徴点の比較を行うことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、請求項6にかかる類似コンテンツ管理プログラムは、本人の顔画像である本人画像と外観的な類似性を有する対象コンテンツの前記本人との間の関係性に関する情報の管理をコンピュータに行わせる類似コンテンツ管理プログラムであって、前記コンピュータに対し、対象コンテンツの顔面画像から、顔面を構成する各要素に対応した点である特徴点を抽出する特徴点抽出機能と、前記特徴点抽出機能によって抽出された前記対象コンテンツの特徴点と、当該特徴点と対応関係にある前記本人画像の特徴点との比較結果に基づき前記対象コンテンツと前記本人画像との間の外観的な類似性の有無を判定する特徴点比較機能と、前記特徴点比較機能によって前記本人画像と外観的同一性を有すると判定された前記対象コンテンツと前記本人の関係性を判定する関係性判定機能と、 前記本人と対応関係にある非代替性トークンである本人トークンに対応した分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記対象コンテンツの識別情報及び前記本人との関係性に関する情報を生成する情報生成機能と、前記情報生成機能によって生成された情報を前記分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実在の人物の特徴を備えたアバター、アイコン等のコンテンツを効率よく抽出し、当該コンテンツと当該実在の人物との関係の有無等の情報管理を簡易かつ正確に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムにおける対象コンテンツと本人画像の外観的な類似性の有無に関する判定処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明の実施の形態として最も適切と考えられる例について記載するものであり、当然のことながら、本発明の内容を本実施の形態にて示された具体例に限定して解すべきではない。同様の作用・効果を奏する構成であれば、実施の形態にて示す具体的構成以外のものであっても、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
【0017】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムについて説明する。
図1に示すとおり、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムは、本人との関連性について判定する対象である対象コンテンツを入力するためのコンテンツ入力部1と、本人の顔画像である本人画像を入力するための本人画像入力部2と、本人を特定するための氏名等の本人情報を入力するための本人情報入力部3と、入力された本人画像と1対1の対応関係を有する非代替性トークンである本人トークンを生成する本人トークン生成部4と、平均的な顔画像である基準画像を入力する基準画像入力部5と、本人画像及び対象コンテンツの特徴点を抽出する特徴点抽出部6と、抽出した特徴点の位置等の情報に基づき本人画像と対象コンテンツの比較を行う特徴点比較部7と、外観面にて本人画像と類似性を有する対象コンテンツの本人との関係性について判定する関係性判定部8と、対象コンテンツと本人の関係性に関する情報を含むトランザクションを生成するトランザクション生成部9と、トランザクションの内容が本人の意向に沿ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する電子署名生成部10と、トランザクション及び電子署名を本人トークンと対応関係にある分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示部11とを備える。
【0018】
コンテンツ入力部1は、実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムにて本人との関連性を判定等する対象である対象コンテンツを入力するためのものである。具体的には、コンテンツ入力部1は、ゲーム、SNS等のサービスにて利用されているアイコン、アバターに加え、人物の顔面映像が含まれるものであれば写真、動画等あらゆる映像コンテンツ(音声が伴うものも含む)を対象コンテンツとして入力する機能を有する。
【0019】
本人画像入力部2は、対象コンテンツとの間の関連性について判定される本人の顔画像を含む画像である本人画像を入力するためのものである。具体的には、本人画像入力部2は、顔面における特徴点(後述)の抽出が可能な程度に鮮明な画像であれば、動画・静止画の別や2次元・3次元の別を問わず入力可能な構成を有する。より好ましい態様としては、対象コンテンツの表現態様と適合することが好ましく、また、様々な表現態様にあわせて表現態様の異なる複数の本人画像を入力することとしてもよい。
【0020】
本人情報入力部3は、本人の氏名、生年月日等本人を特定するための情報を入力するためのものである。本人情報入力部3を介して入力された本人情報の内容は、本人トークンと紐づけた態様にて保存される。
【0021】
本人トークン生成部4は、本人と1対1の対応関係にある非代替性トークンである本人トークンを生成するためのものである。「非代替性トークン」とはいわゆるNFT(Non-Fangible Token)、すなわち固有のデータを備えることで他のトークンと代替不能な性質を有するトークンを意味し、たとえばEthereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行されるものである。本実施の形態1にける本人トークンは、ERC721またはその他の所定の規格に基づき発行されるものであり、トークンの取引履歴その他の情報がブロックチェーン上に保存される構成となっている。
【0022】
「ブロックチェーン」とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータ間において暗号技術を活用しつつデータ同期を行う技術である。具体的には、合意された取引記録等の本人トークンに関する情報の集合体と、他のブロックと接続させるための情報(前のブロックの情報)により各ブロックが構成され、当該各ブロックが複数連結されることによってブロックチェーンが構成される。複数のコンピュータの一部でデータ改ざんが行われても他のコンピュータとの間で多数決によって正しいデータが選択されるため、データの破壊・改ざんが極めて難しいという特徴を有している。
【0023】
本人トークンと本人情報の対応関係としては、本人トークンの識別子と本人の識別情報(氏名、生年月日等本人を特定する情報でもよいし、マイナンバー等の一般に使用される識別情報でもよい。)とを1対1で紐づける形式とする。より直接的に、本人トークンの識別子と本人の識別情報を同一内容とすることとしてもよいし、それぞれ異なる文字列等によって構成したものについて対応関係を設定する態様でも問題ない。また、本人情報が保存されているインターネット空間上のURL情報と紐づける形式としてもよい。
【0024】
また、本実施の形態1において、本人トークンと対応関係にある分散型台帳を構成するブロックには、本人トークンの保有名義の移転に関する取引記録の他、対象コンテンツと本人の関係性に関する情報が記録されるものとする。対象コンテンツと本人の関係性については、後述する関係性判定部8によって判別され、具体的な情報についてはトランザクション生成部9によって生成される。
【0025】
なお、本人トークンの生成については、本人トークン生成部4が自ら行う態様でもよいし、本人トークン生成部4と直接的または間接的に接続された外部システムに対し所定の指令を行うことによって、外部システムが生成する態様としてもよい。また、本人トークンの具体的形式についても、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に準拠したものに限定されず、非代替性の性質を有し、取引履歴がブロックチェーン上に保存されるものであれば任意の形式のものとしてよい。
【0026】
基準画像入力部5は、平均的な顔画像である基準画像を入力するためのものである。具体的には、基準画像入力部5は、単に所与の基準画像とされる画像を入力する機能を有するものとしてもよいし、不特定多数の顔画像を入力した上でその基準画像を生成する機能を有することとしてもよい。また、基準画像入力部5の機能として、異なる属性のそれぞれに応じた基準画像(一定の年齢層における男性に関する基準画像、等)を予め入力・生成し、複数の基準画像の中から本人の属性と一致・類似する基準画像を選択することとしてもよい。
【0027】
特徴点抽出部6は、顔画像における特徴点を抽出するためのものである。「特徴点」とは顔面を構成する各要素に対応した点のことをいい、たとえば、目、鼻、口、耳等の各器官、より詳細には各器官の一部分たとえば目頭、目尻、瞳、鼻頭、口角等の各部分に対応した点をいう。また、特徴点は必ずしも外観的に特徴を有する部分についてのみ定義されるものではなく、たとえば表情筋や骨格構造に起因して表情変化時等に特徴的に動作する部分等のように、静止時に外観的な特徴を有さない部分を含めてもよい。
【0028】
特徴点抽出部6の具体的構成としては、たとえば深層学習、機械学習等によって実現した画像認識技術を利用してもよいし、複数の画像認識技術を組み合わせたものとしてもよい。また、たとえば対象コンテンツが3次元コンピュータグラフィックスにより構成されている場合は、モデリング処理された表面における頂点のうち、特徴点抽出部6が特徴部分に対応したものを抽出することとしてもよい。また、特徴点抽出部6は、各特徴点について、位置及び意味内容(たとえば、当該特徴点が目頭に対応するものである、等)を抽出するものとするが、意味内容のかわりに特徴点ごとに予め定められた識別符号(たとえば、左目の瞳の中心点に対応する特徴点をa、鼻頭の頂点に対応する特徴点をb)を付すこととしてもよい。意味内容ないし識別符号は、対象コンテンツ、基準画像及び本人画像間において各特徴点の対応関係を明らかにするためのものであり、対応関係を明らかにできるものであれば、他の情報を付加することとしてもよい。
【0029】
特徴点比較部7は、特徴点抽出部6によって抽出された対象コンテンツ及び本人画像の特徴点を相互に比較するためのものである。具体的には、特徴点比較部7は、対象コンテンツ及び本人画像の特徴点の位置を導出する位置導出部13と、対象コンテンツ及び本人画像における各特徴点及び当該各特徴点と対応関係にある基準画像の特徴点の間の距離を導出する距離導出部14と、各特徴点について基準画像において対応する特徴点からの変位方向を導出する方位導出部15と、導出した各特徴点の位置、距離及び方位を比較し対象コンテンツと本人画像にて示される人物の外観面における類似性を判定する類似性判定部16とを備える。
【0030】
位置導出部13は、対象コンテンツ及び本人画像の特徴点の位置を導出するためのものである。位置導出部13によって導出された各特徴点の位置情報は類似性判定部16に対し出力され、類似性判定部16は、対応する特徴点間の位置のずれが所定の閾値(特許請求の範囲における第1の閾値に相当する)未満に留まる場合に、対応関係にある当該特徴点の位置が同一であると判定する。
【0031】
なお本実施の形態1において、特徴点の位置は、対象コンテンツ・本人画像の顔画像について各々正規化(たとえば、3次元画像であれば顔部分の体積が、2次元画像であれば顔部分の面積が、それぞれ一定の基準値と等しい値となるよう拡大・縮小する。)した上で、予め定めた原点及び座標系に基づき特定されるものとする。また、本実施の形態1においては、いずれの特徴点抽出においても同一の正規化処理、原点および座標系を用いるものとする。このような基準に基づき特定される特徴点の位置は、特許請求の範囲における「対象コンテンツの顔部分の画像における特徴点の位置」、「本人画像における特徴点の位置」及び「基準画像における特徴点の位置」の一例に相当するものとする。
【0032】
距離導出部14は、本人画像及び対象コンテンツにおける各特徴点について、当該各特徴点と対応関係にある基準画像の特徴点との間の距離を導出するためのものである。具体的には、距離導出部14は、対応関係にある特徴点、たとえば右目の目頭に対応した特徴点について、本人画像と基準画像のそれぞれにおける当該特徴点間の距離を導出すると共に、対象コンテンツと基準画像のそれぞれにおける当該特徴点間の距離を導出する機能を有する。たとえば本人画像における特徴点の位置座標が(x1、y1、z1)であり、基準画像における対応特徴点の位置座標が(x0、y0、z0)の場合において、両特徴点間の距離は{(x1-x0)2+(y1-y0)2+(z1-z0)2}1/2となる。なお、本実施の形態1においては、基準画像についても対象コンテンツ・本人画像と同様に正規化がなされ共通の原点、座標系を用いて特徴点の位置が表現されるものとする。距離導出部14によって導出された特徴点間距離に関する情報は類似性判定部16に出力され、後述する特徴点方位に関する情報とセットで類似性の判定に使用される。
【0033】
方位導出部15は、本人画像及び対象コンテンツにおける各特徴点について、当該各特徴点と対応関係にある基準画像の特徴点と結んだ線分の方向を導出するためのものである。具体的には、方位導出部15は、本人画像及び対象コンテンツにおける各特徴点について、当該各特徴点と対応関係にある基準画像の特徴点との間で形成される線分の方位を導出する機能を有する。たとえば本人画像における特徴点の位置座標が(x1、y1、z1)であり、基準画像における対応特徴点の位置座標が(x0、y0、z0)の場合において、両者の間で形成される線分の方位は(x1-x0、y1-y0、z1-z0)/{(x1-x0)2+(y1-y0)2+(z1-z0)2}1/2となる。方位導出部15によって導出された特徴点間方位に関する情報は類似性判定部16に出力され、距離導出部14によって導出された特徴点間距離に関する情報とセットで類似性判定に使用される。より具体的には、類似性判定部16は、距離及び方位を組み合わせたベクトルを用いて判定処理を行うこととする。すなわち、基準画像の特徴点を始点とし本人画像の特徴点を終点とする第1ベクトル(x1-x0、y1-y0、z1-z0)と、同じく基準画像の特徴点を始点とし対象コンテンツの特徴点(x2、y2、z2)を終点とする第2ベクトル(x2-x0、y2-y0、z2-z0)に基づき判定処理が行われる。
【0034】
類似性判定部16は、対象コンテンツ及び本人画像における各特徴点の位置と、各特徴点と基準画像の特徴点との間の距離及び方位とに基づき、対象コンテンツと本人画像のそれぞれで示される人物の類似性の有無について判定するためのものである。具体的には、類似性判定部16は、対象コンテンツの各特徴点について、対応関係にある本人画像の特徴点との位置のずれが所定の閾値(特許請求の範囲における「第1の閾値」に相当する。)未満である場合に対応関係にある特徴点の位置が同一であると判定する。また、類似性判定部16は、距離導出部14及び方位導出部15の導出結果に基づき、基準画像上の特徴点を始点とし、本人画像上の特徴点を終点とする第1ベクトルと、基準画像上の特徴点を始点とし、対象コンテンツ上の特徴点を終点とする第2ベクトルを生成し、第1ベクトルと第2ベクトルの内積が一定の閾値(特許請求の範囲における「第2の閾値」に相当する。)以上の値となる場合に、対象コンテンツと本人画像が基準画像に対し同じ特異性を有するものと判定する。類似性判定の対象とする対象コンテンツの特徴点について、本人画像の特徴点と位置が同一又は基準画像に対する特徴点の特異性が同一であると判定された場合、類似性判定部16は、対象コンテンツが表す人物は本人画像に示される人物と外観的に類似性を有すると判定する。
【0035】
なお、類似性判定部16において、対応関係にある特徴点の基準画像に対する特異性の類似性判定については、対象コンテンツと基準画像の間における特徴点間距離と本人画像と基準画像の間における特徴点間距離の差分値が所定の閾値未満であり、かつ、対象コンテンツの特徴点と基準画像の特徴点を結んだ線分と本人画像の特徴点と基準画像の特徴点を結んだ線分のなす角度が所定の閾値未満である場合に、特徴点の特異性が同一であると判定してもよい。
【0036】
関係性判定部8は、類似性判定部16によって本人画像と外観的に類似性を有すると判定された対象コンテンツについて、本人画像にて示される本人との関係、すなわち当該本人に関するコンテンツであるか否か、たとえば対象コンテンツが人物のアイコン、アバター等であった場合に本人のアイコン、アバター等であるか否かを判定するためのものである。
【0037】
具体的には、関係性判定部8は、本人情報入力部3を介して入力された本人情報と、外観的に類似性を有すると判定された対象コンテンツに関する情報(対象コンテンツの生成過程、使用内容、対象コンテンツが使用されているサービスの特徴等)とを照合し、当該対象コンテンツが本人情報と整合する場合(たとえば対象コンテンツの使用者ないし作成者の名称、性別、年齢、出身地等の属性情報が本人情報と一定数以上一致又は類似する場合、等)は関係性ありと推定し、本人情報と整合しない場合(重要情報にて矛盾する場合、または属性情報が一定数以上相違する場合、等)は関係性なしと判定する。関係性判定部8は、関係性ありと推定した対象コンテンツについて、本人情報を利用して本人の管理する携帯型端末等の情報機器に対し情報を出力し、当該情報機器からの応答内容に基づき本人との関係性の有無について最終的な判断を行う。情報機器からの応答としては、たとえば情報機器内に記録された本人の機微情報等に基づき自動的に関係性の有無について回答を出力する構成としてもよいし、対象コンテンツに関する情報を確認した本人の操作により回答が生成・出力される構成としてもよい。
【0038】
トランザクション生成部9は、分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションを生成する機能を有し、特許請求の範囲における情報生成手段の一例に相当するものである。具体的には、トランザクション生成部9は、トランザクションの内容として、本人トークンの保有名義の変更に関する情報に加え、類似性判定部16において外観的に本人と類似性を有すると判定された対象コンテンツに関する関係性判定部8による判定結果に関する情報を生成するものとする。トランザクション生成部9は、外観的に本人と類似性を有すると判定された対象コンテンツを特定するための情報(対象コンテンツと1対1で対応する非代替性トークンが生成されていれば当該トークンを特定する情報。そのほか、対象コンテンツが記録されたウェブサイトのURL情報や、対象コンテンツの識別符号等でもよい。)と、本人との関係性の有無に関する情報を含むトランザクションを生成する機能を有する。
【0039】
電子署名生成部10は、トランザクションに含まれる情報の作成・出力が本人トークンの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する機能を有する。具体的には、電子署名生成部10は、トランザクション生成部9によって生成されたトランザクションのハッシュ値を生成し、本人トークンの保有者が保有する秘密鍵にて当該ハッシュ値を暗号化することにより電子署名を生成する機能を有する。なお、「ハッシュ値」とは元データに対し一定計算手順を施すことにより得られた固定長の値である。当該計算手順が不可逆なものであるため、ハッシュ値から元データを復元することは不可能とされている。また、「秘密鍵」とは暗号化処理に用いられる数列であって、対応関係にある「公開鍵」により復号することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態1においてはトランザクション生成部9及び電子署名生成部10は、保有名義変更情報の一態様であるトランザクション及び電子署名の作成まで自ら行う構成としているがこれに限定する必要はなく、トランザクション生成部9及び電子署名生成部10が外部の所定機器に対しトランザクション及び電子署名の作成を指示するのみの機能を有することとしてもよい。
【0040】
出力指示部11は、トランザクション生成部9にて生成されたトランザクション及び電子署名生成部10にて生成された電子署名を、本人トークンと関連付けられた分散型ネットワークに対し出力するよう指示するためのものである。なお本実施の形態1において出力指示部11は出力機能そのものも備えることとし、具体的には出力指示部11は、分散型ネットワークに対し直接的または間接的に接続されており、分散型ネットワークに対し所定のデータを出力可能な態様にて構成されている。分散型ネットワークは、出力されたトランザクションのハッシュ値を生成するとともに、電子署名を公開鍵にて復号したデータ(=トランザクションのハッシュ値)と対比し、両者が異なる値となる場合は対象となる有体物の所有者によるトランザクションではないと判定して登録を拒否し、両者が一致する場合は所有者によるトランザクションと判定し、トランザクションにより構成される情報を、分散型台帳を構成するブロックに格納する。出力指示部11が出力するトランザクションには保有名義の変更に関する情報が含まれており、トランザクションが分散型ネットワークに対し出力されることにより、これらの情報が分散型ネットワーク上に設けられた分散型台帳を構成するブロックに格納される。
【0041】
次に、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムのうち、類似性判定部16の動作について説明する。
図2に示すとおり、類似性判定部16は、位置導出部13によって導出された、互いに対応関係にある対象コンテンツの特徴点の位置及び本人画像の特徴点の位置に基づき、両特徴点間の距離を導出し(ステップS101)、当該距離が所定の閾値L
0以上であるか否かを判定する(ステップS102)。閾値L
0未満である場合(ステップS102、No)はステップS106に移動し、閾値L
0以上である場合(ステップS102、Yes)はステップS103に移動する。
【0042】
その後、類似性判定部16は、本人画像及び基準画像にて互いに対応関係にある特徴点に関する距離導出部14及び方位導出部15の導出結果に基づき、基準画像上の特徴点を始点とし、本人画像上の特徴点を終点とする第1ベクトルを生成する(ステップS103)。また、類似性判定部16は、対象コンテンツ及び基準画像にて互いに対応関係にある特徴点に関する距離導出部14及び方位導出部15の導出結果に基づき、基準画像上の特徴点を始点とし、対象コンテンツ上の特徴点を終点とする第2ベクトルを生成する(ステップS104)。
【0043】
その後、類似性判定部16は第1ベクトル及び第2ベクトルの内積について計算を行い、計算結果があらかじめ定めた閾値M0以上であるか否かを判定する(ステップS105)。閾値M0未満である場合(ステップS105、No)、類似性判定部16は対象コンテンツが本人画像と外観的に類似性を有さないと判定し(ステップS106)、処理を終了する。閾値M0以上である場合(ステップS105、Yes)、全ての特徴点について処理を完了したかを判定し(ステップS107)、完了していなかった場合(ステップS107、No)、ステップS101に戻って他の特徴点について上記の処理を繰り返す。完了していた場合(ステップS107、Yes)、類似性判定部16は対象コンテンツが本人画像と外観的に類似性を有すると判定して(ステップS108)、全ての処理を終了する。
【0044】
次に、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムの利点について説明する。まず、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムでは、本人画像と外観的に類似性を有する対象コンテンツについて、関係性判定部8により本人との関係性を判定し、対象コンテンツ及び当該対象コンテンツと本人の関係性に関する判定結果を含む情報をトランザクションとして生成する構成を有する。かかる構成を採用することにより本人及び他のサービス利用者は、本人と類似性を有する外観からなる対象コンテンツが本人と関係性を有するのか、それとも偶然の一致あるいは第三者が意図的に混同を狙ったに過ぎない無関係なものであるかを正確に認識できるという利点を有する。
【0045】
また、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムは、対象コンテンツと本人画像の外観的な類似性を判定するにあたって、双方における互いに対応関係にある特徴点の位置が類似性の範囲内にあるか否かを判定する構成を有する。特徴点とは顔面上の各部位の形状等に対応して配置されるものであるため、対応関係にある特徴点の位置のずれが所定の閾値内であり類似性の範囲内にあると判定される場合は、当該特徴点に対応した顔面上の各部位の形状についても類似性が認められることとなる。かかる構成を採用することにより、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムは簡易かつ迅速に、本人画像と対象コンテンツの外観的な類似性を判定できるという利点を有する。
【0046】
さらに、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムは、互いに対応関係にある特徴点間において、基準画像の特徴点を始点とし本人画像の特徴点を終点とした第1ベクトルと、基準画像の特徴点を始点とし対象コンテンツの特徴点を終点とした第2ベクトルとを設定し、第1ベクトルと第2ベクトルの内積が所定の閾値以上の値となった場合に、当該特徴点に対応した顔面上の各部位の形状が類似性を有するものと判定する構成を有する。
【0047】
内積が所定の閾値以上の値となる場合、両ベクトルの長さが一定以上の値であることに加え、両ベクトルがなす角度が小さな値になるところ、ベクトルの長さが一定以上の値である場合、当該特徴点に対応する顔面上の部位の形状は基準画像と大きく異なるものとなる。加えて、両ベクトルのなす角度が小さな値である場合、本人画像の特徴点と対象コンテンツの特徴点は、基準画像の特徴点と比較して互いに類似する方向に移動していることになるから、基準画像における顔面部位との比較において、本人画像の顔面部位と対象コンテンツの顔面部位の形状は同じ程度相違する、すなわち同様に特徴的な形状を有することとなる。 本実施の形態1では、かかる場合についても当該特徴点に対応した顔面上の各部位の形状が外観的に類似性を有するものと判定する構成を採用することにより、基準画像と相違する本人の特徴的部分について、的確な類似性判断ができるという利点を有する。かかる利点はベクトルの内積を算出する場合のみならず、両ベクトルがなす角度が一定の閾値未満となり、かつ両ベクトルの長さの差が一定の閾値未満となった場合に類似性を認めることとした場合にも同様に生じる。
【0048】
さらに、本実施の形態1にかかる類似コンテンツ管理システムは、対象コンテンツに関する本人との関係性に関する情報をトランザクションとして生成し、本人トークンと対応関係にある分散型台帳を構成するブロックに記録する構成を有する。かかる構成を採用することにより、記録が第三者によって改変・偽造等されることを防止することが可能となり、本人及び他のサービス利用者等の第三者は、対象コンテンツと本人の関係性について正確な情報を得ることが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムについて説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一名称かつ同一符号を付した構成要素に関しては、特に言及しない限り、実施の形態1における構成要素と同一の機能を発揮するものとする。
【0050】
図3は、実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムの構成を示す模式図である。
図3に示すとおり、実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムは、本人画像と基準画像を比較して、対応関係にある特徴点同士の距離に基づき本人画像において特異な位置にある特徴点を選択する特徴点選択部18と、特徴点選択部18にて選択された特徴点と対応関係にある特徴点について、対象コンテンツ、本人画像及び基準画像における位置の導出を行う位置導出部20と、距離を導出する距離導出部21と、方位を導出する方位導出部22と、導出された位置、距離及び方位に基づき対象コンテンツと本人画像の外観的な類似性の有無について判定する類似性判定部23とを備える。
【0051】
特徴点選択部18は、顔画像について設定されている複数の特徴点の中から、本人画像において特異な位置に存する特徴点を抽出するためのものである。具体的には、特徴点選択部18は、基準画像において対応関係にある特徴点の位置と比較して特異な位置、具体的には所定の閾値(特許請求の範囲における「第3の閾値」に相当)以上離隔した位置にある特徴点を抽出する機能を有する。
【0052】
基準画像における目、鼻、口等の顔面部位は平均的な形状を有していることから、これら各部位に対応して配置される特徴点の位置は、平均的な位置に存する。したがって、本人画像における特徴点の位置が基準画像のものと著しく相違する場合、当該特徴点に関する顔面部位は基準画像におけるものと顕著に異なる形状を有することとなり、かかる異なる形状が本人における容貌上の特徴となる。本実施の形態2において、特徴点選択部18はかかる容貌上の特徴に対応した特徴点を抽出し、特徴点比較部19にてかかる特徴点について対象コンテンツとの比較等を行うこととしている。
【0053】
次に、本実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムの利点について説明する。本実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムは、多数存在する特徴点のうち特徴点選択部18が選択した特徴点についてのみ特徴点比較部19における比較対象とすることによって、迅速かつ実態に即した外観的な類似性判定を可能としている。特徴点選択部18が選択した特徴点は、基準画像における特徴点と比較して逸脱した位置にある本人画像上の特徴点であるところ、かかる特徴点は、本人画像において基準画像と異なっている特徴部分に対応するものである。したがって、かかる特徴点について類似性判定を行うことにより、本人の顔画像における特徴部分について類似性判定を行うことが可能となる。似顔絵等のように本人をモデルとしたコンテンツでは、本人の容貌上の特徴を維持しつつ創作的なコンテンツが創作される(たとえば、目、鼻の特徴は維持しつつ特定のクリエイターの画風に合わせた顔画像にする、あるいは特徴を維持しつつ他の動物の外観を有する全身画像にする、等)。このような場合、全ての特徴点について比較すると対象コンテンツの創作的な部分における本人画像との相違を根拠に類似性が否定される可能性があるところ、本実施の形態2では本人画像における特徴部分に対応した特徴点についてのみ特徴点比較を行うことにより、的確に外観的な類似性の有無を判定できるという利点を有する。
【0054】
また、本実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムでは、全ての特徴点ではなく特徴点選択部18によって選択された特徴点についてのみ比較処理を行う構成を採用することにより、情報処理の分量が大幅に削減されるという利点がある。これにより本実施の形態2にかかる類似コンテンツ管理システムは、簡易かつ迅速に外観的な類似性の有無の判定を行うことができるという利点を有する。
【0055】
以上、実施の形態1、2にわたり本発明の内容について説明したが、もとより本発明の技術的範囲は実施の形態に記載した具体的構成に限定して解釈されるべきではない。本発明の機能を実現できるものであれば、上記実施の形態に対する様々な変形例、応用例についても、本発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
【0056】
たとえば、実施の形態1、2にかかる類似コンテンツ管理システムは対応関係にある対象コンテンツと本人画像の特徴点間の距離及び上述の第1ベクトル・第2ベクトルの内積の双方を利用して外観的な類似性を判定することとしているが、特徴点間の距離のみ、あるいは第1ベクトル・第2ベクトルの内積(または両ベクトルのなす角及びベクトルの長さの差)のみによって外観的な類似性を判定することとしてもよい。
【0057】
また、実施の形態1、2にかかる類似コンテンツ管理システムは本人画像及び基準画像をそれぞれ入力し両画像の特徴点を特徴点抽出部6にて抽出する構成を採用するところ、画像入力をせず予め抽出された特徴点のみを入力し保存する構成としてもよい。かかる構成を採用しても、外観的な類似性判定の機能が低下することはなく、むしろ記憶すべきデータ量を低減できるという利点がある。
【0058】
さらに、実施の形態1、2にかかる類似コンテンツ管理システムにおいて、特徴点比較部7、19による特徴点比較処理について、特徴点間の距離に関する閾値や、上述の第1ベクトルと第2ベクトルの内積に関する閾値について、それぞれ一律の値とするのではなく、特徴点ごとに異なる閾値を定めることとしてもよい。このような構成を採用することで、たとえば目のようにわずかな相違でも形状に関する印象が一変する部位については閾値を小さな値とすることで、より正確な類似性判定を行うことが可能となる。
【0059】
また、実施の形態1、2にかかる類似コンテンツ管理システムにおいて、本人画像と外観的に類似性を有する対象コンテンツと本人の関係性に関する情報を記録する対象として本人トークンと対応関係にある分散型台帳とするのではなく、本人画像とは無関係に本人情報と対応付けた非代替性トークンを生成し、これと対応関係にある分散型台帳に記録することとしてもよい。さらに、対象コンテンツごとに非代替性トークンを生成し、それぞれの非代替性トークンと対応する分散型台帳に本人との関係性に関する情報を記録することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、実在の人物の特徴を備えたアバター、アイコン等のコンテンツを効率よく抽出し、当該コンテンツと当該実在の人物との関係の有無等の情報管理を簡易かつ正確に行うことのできる技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 コンテンツ入力部
2 本人画像入力部
3 本人情報入力部
4 本人トークン生成部
5 基準画像入力部
6 特徴点抽出部
7、19 特徴点比較部
8 関係性判定部
9 トランザクション生成部
10 電子署名生成部
11 出力指示部
13、20 位置導出部
14、21 距離導出部
15、22 方位導出部
16、23 類似性判定部
18 特徴点選択部
【要約】
【課題】実在の人物の特徴を備えたアバター、アイコン等のコンテンツを効率よく抽出し、当該コンテンツと当該実在の人物との関係の有無等の情報管理を簡易かつ正確に行うことのできる技術を提供する。
【解決手段】本人との関連性について判定する対象である対象コンテンツを入力するためのコンテンツ入力部1と、本人の顔画像である本人画像を入力するための本人画像入力部2と、平均的な顔画像である基準画像を入力する基準画像入力部5と、本人画像及び対象コンテンツの特徴点を抽出する特徴点抽出部6と、抽出した特徴点の位置等の情報に基づき本人画像と対象コンテンツの比較を行う特徴点比較部7と、外観面にて本人画像と類似性を有する対象コンテンツの本人との関係性について判定する関係性判定部8とを備える。
【選択図】
図1