(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20240315BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2023205733
(22)【出願日】2023-12-06
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523276979
【氏名又は名称】株式会社同潤舎
(74)【代理人】
【識別番号】100218969
【氏名又は名称】室伏 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 由紀子
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-173957(JP,A)
【文献】特開2002-279045(JP,A)
【文献】特開2023-050549(JP,A)
【文献】特開2019-159963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置は、
前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
プログラム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記複数の
前記グループに対応する前記物件情報を表示するとき、前記ユーザに対して前記第1認証とは異なる第2認証を要求しない
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、前記グループごとに切替可能な態様で、前記複数の
前記グループに対応する前記物件情報を前記表示部に表示させる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記特定ステップにおいて、
前記ユーザIDに紐づけられた物件ごとに前記ユーザに付与されたアクセス権限の範囲を特定し、
前記物件ごとに、特定した前記アクセス権限の範囲に基づいて、前記物件の物件情報のうち、前記ユーザが閲覧可能な物件情報を抽出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記情報処理装置に予算管理ステップをさらに実行させ、
前記情報処理装置は、前記予算管理ステップにおいて、
前記ユーザ端末から予算管理要求を受信したことに応じて、前記ユーザIDに紐づけられた物件の賃貸契約の重要事項説明書データに含まれる、収入又は支出に関する項目を取得し、
前記収入
又は支出に関する項目に対応する勘定科目を予測し、
前記物件のIDと、前記収入
又は支出に関する項目と、前記勘定科目とを対応付けて記憶部に格納する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記予算管理ステップにおいて、
前記重要事項説明書データに基づいて前記収入又は支出に関する項目の金額が変動金額であるか否かを判定し、
前記変動金額であると判定した場合、前記物件のIDと前記勘定科目とを対応付けた情報を前記表示部に表示させ、
前記変動金額であると判定しなかった場合、前記物件のIDと前記勘定科目と前記収入又は支出に関する項目に対応する金額とを対応付けた情報を前記表示部に表示させる
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理装置。
【請求項8】
制御部を備える情報処理装置と、
ユーザが操作するユーザ端末と
を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記認証ステップにおいて、前記ユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを備え、
前記情報処理装置は、
前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産の物件ごとに、その物件の管理に関わる情報を一括で管理する物件管理システムが知られている。例えば特許文献1には、物件管理者により管理対象物件へのアクセス要求がされた際に管理対象物件に関する情報に対するアクセスを許可する不動産管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで不動産業界においては、しばしば、1つの物件を、プロパティマネジメント(PM)会社、アセットマネジメント(AM)会社、テナント又は物件の所有者等の複数の事業者がそれぞれの役割の下で管理する。そして各事業者は、複数の物件の管理に携わることが多いため、上記複数の物件について各事業者は他の多数の関係者とともに管理を行うことになる。上述のような状況下で、物件管理システムの利便性の向上が求められている。この課題は、不動産のみならず、船舶又は飛行機といった、複数の事業者による管理を必要とする動産についても同様である。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、物件の管理に携わるユーザの利便性を向上できるプログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかるプログラムは、情報処理装置に、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行させる。前記情報処理装置は、前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行する。前記情報処理装置は、前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。前記情報処理装置は、前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させる。前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である。
【0007】
本開示の一態様にかかる情報処理装置は、制御部を備える。前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行する。前記制御部は、前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行する。前記制御部は、前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。前記制御部は、前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。前記制御部は、前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させる。前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である。
【0008】
本開示の一態様にかかる情報処理システムは、制御部を備える情報処理装置と、ユーザが操作するユーザ端末とを備える。前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行する。前記制御部は、前記認証ステップにおいて、前記ユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行する。前記制御部は、前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。前記制御部は、前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。前記制御部は、前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させる。前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である。
【0009】
本開示の一態様にかかる情報処理方法は、情報処理装置において実行される。前記情報処理方法は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを備える。前記情報処理装置は、前記認証ステップにおいて、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行する。前記情報処理装置は、前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。前記情報処理装置は、前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させる。前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、物件の管理に携わるユーザの利便性を向上できるプログラム、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1にかかる情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1にかかる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1にかかる制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1にかかる登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施形態1にかかるユーザ情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態1にかかる物件情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】実施形態1にかかる表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】実施形態1にかかる表示画面の一例を示す図である。
【
図9】実施形態2にかかる制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態2にかかる予算管理処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2にかかる重要事項説明書データの一例を示す図である。
【
図12】実施形態1にかかる表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
<実施形態の課題>
ここで、実施形態の課題について改めて説明する。
【0014】
物件管理システムにおいて、物件を管理するユーザの利便性の向上が求められている。例えば不動産業界においては、1つの物件を、プロパティマネジメント(PM)会社、アセットマネジメント(AM)会社、テナント又は物件の所有者等の複数の事業者がそれぞれの役割の下で管理する。通常、上述した複数の事業者のいずれかが物件管理システムの契約者となる。物件管理システムの契約者は、システム契約者とも称される。一例としてある物件ではPMを担当するPM会社が物件管理システムのシステム契約者となるが、別の物件では物件の所有者が物件管理システムのシステム契約者となることがある。
【0015】
ここで物件の管理に携わる各事業者(ユーザ)は、複数の物件の管理に携わることが多い。したがってあるPM会社は、複数の物件の各々において異なる所有者と共同で自己が管理する物件の管理を行うことがある。またある物件の所有者は、複数の物件の各々において異なるPM会社と共同で自己が管理する物件の管理を行うことがある。
【0016】
通常、物件管理システムにおいて、ユーザは、特定のシステム契約者に関連するユーザとして認証を受けた後、そのシステム契約者に関連する物件の情報を閲覧することができる。しかしユーザはシステム契約者を跨いで物件の情報を横断的に閲覧することはできなかった。
【0017】
また物件管理においては、各物件について種々の収入又は支払項目が発生する。したがって1つ1つの項目をシステムに入力して一元的に管理することが困難である。
【0018】
本実施形態は、上述の課題の少なくとも一つを解決するためになされたものである。
【0019】
<用語の定義>
本実施形態において「物件」は、事業者による管理を必要とする不動産又は動産である。本実施形態において物件は、賃貸や売買の対象となる建物又は建物に含まれる部屋であるが、これに限らない。例えば物件は、自動車、船舶又は飛行機であってもよい。
【0020】
本実施形態において「ユーザ」は、管理に携わる個人、又は組織若しくはその構成員である。例えばユーザは、PM会社、AM会社、不動産会社、ビルマネジメント(BM)会社、テナント若しくは物件の所有者、又はこれらに所属する従業員である。
【0021】
本実施形態において、「システム契約者」は、後述する情報処理システム1を利用するために情報処理システム1の事業者と利用契約を締結した契約者である。契約者は、個人であってもよいし組織であってもよい。
【0022】
本実施形態において「システム契約ユーザ」は、上記システム契約者であるユーザ、又はシステム契約者に所属するユーザである。
【0023】
また本実施形態において「システム非契約ユーザ」は、物件のシステム契約ユーザを除く、その物件の管理において所定の役割を有するユーザである。例えばあるユーザが複数の物件の管理に携わる場合、ある物件についてはシステム契約ユーザであるが、別の物件についてはシステム非契約ユーザであることがある。
【0024】
<実施形態1>
まず本開示の実施形態1について説明する。
【0025】
1.1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態にかかる情報処理システム1のハードウェア構成について説明する。
図1は、実施形態1にかかる情報処理システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0026】
1.1.1 情報処理システム1
情報処理システム1は、物件の管理に関わる情報を管理するためのコンピュータシステムであり、物件管理システムとも称される。情報処理システム1は、情報処理装置2と、複数のユーザ端末3-1,3-2,3-3とを備える。情報処理装置2と、複数のユーザ端末3-1,3-2,3-3とは、インターネット等のネットワークNWを介して通信可能に接続される。ユーザ端末3-1,3-2,3-3は、構成及び機能が基本的には互いに同様であるため、これらをまとめてユーザ端末3と呼ぶことがある。
【0027】
1.1.2 ユーザ端末3
ユーザ端末3は、管理対象である物件の管理に携わるユーザが操作する端末である。例えばユーザ端末3は、スマートフォン、タブレット端末、コンピュータ、又はその他電気通信回線を通じて情報処理装置2にアクセス可能な端末である。
【0028】
ユーザ端末3は、制御部と、通信部と、記憶部と、入力部と、表示部とを備え、これらの構成要素がユーザ端末3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。制御部、通信部、記憶部、入力部及び表示部は、情報処理装置2と略同様のハードウェア構成を備える。したがって後述する情報処理装置2における制御部21、通信部25、記憶部26、入力部27及び表示部28の記載を参照されたい。
【0029】
1.1.3 情報処理装置2
情報処理装置2は、物件の管理に関わる情報を管理するコンピュータである。
図2は、実施形態1にかかる情報処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置2は、制御部21と、通信部25と、記憶部26と、入力部27と、表示部28とを備え、これらの構成要素が情報処理装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。
【0030】
制御部21は、プロセッサ22と、ROM23と、RAM24とを備える。プロセッサ22は、ROM23又は記憶部26に記憶されたプログラムを実行することにより、各機能を実現する。各機能については次節で詳述する。ROM23は、ROM(Read-only memory)等の非一時的な記憶媒体であり、プロセッサ22が各種制御又は演算を行うための各種プログラム又はデータが予め格納されている。RAM24は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶媒体であり、プロセッサ22の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。このRAM24には、本実施形態による各種処理を行うためのエリアが確保可能になっている。
【0031】
通信部25は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。
記憶部26は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体を有する記憶装置である。
【0032】
入力部27は、キーボード、マウス及びタッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力装置である。表示部28は、CRT、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置である。
【0033】
なお本実施形態1の情報処理装置2において入力部27及び表示部28は必須ではない。
【0034】
1.2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。
図3は、実施形態1にかかる制御部21の機能構成を示すブロック図である。制御部21はプログラムを実行することにより、登録部211、認証部212、特定部213、分類部214、及び表示制御部215の機能を実現する。
【0035】
登録部211は、登録ステップとして、物件情報、その物件についてのシステム契約ユーザの情報、その物件についてのシステム非契約ユーザの情報、及び各ユーザの権限情報を互いに紐づけて登録する。物件情報及び権限情報については、後で詳述する。
【0036】
認証部212は、認証ステップとして、ユーザ端末3から認証要求を受信したことに応じて、ユーザ認証として第1認証を実行する。認証要求にはユーザIDが少なくとも含まれる。具体的には認証部212は、認証要求に含まれるユーザIDを用いて、要求元のユーザが上記登録ステップにおいて登録されているユーザであるか否かを判定することにより、ユーザを認証する。
【0037】
本実施形態においてユーザIDはユーザのメールアドレスである。しかしユーザIDは、ユーザの氏名、電話番号、又は生体情報等のユーザを識別する情報であれば、その形態は問わない。
【0038】
特定部213は、特定ステップとして、認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。ユーザIDに紐づけられた物件は、ユーザが管理に携わっている物件である。そして特定部213は、ユーザIDに紐づけられた権限情報に基づいて、特定した物件の物件情報のうちユーザが閲覧可能な物件情報を抽出する。
【0039】
分類部214は、分類ステップとして、特定ステップにおいて特定した物件のシステム契約者を特定し、上記システム契約者に基づいてグループに物件情報を分類する。
【0040】
表示制御部215は、分類したグループが複数であるか否かに応じて、特定部213が抽出した物件情報の表示態様を変更する。例えば表示制御部215は、表示制御ステップとして、分類したグループが複数ある場合、複数のグループに対応する物件情報をユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部にグループごとに表示させる。このとき制御部21は、複数の異なるグループの物件情報をユーザに提供することとなるが、既に行った第1認証とは異なるユーザ認証を要求しない。つまりユーザ端末3の表示部には、システム契約ユーザが異なる複数の物件の物件情報が追加のユーザ認証を経ずに横断的に表示されることとなる。表示態様については、後で詳述する。
【0041】
なお表示制御部215は、分類したグループが1つである場合、特定ステップにおいて抽出した物件情報をユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部に一覧で表示させる。
【0042】
1.3.情報処理装置2の動作について
第3節では、図を参照しながら情報処理装置2により実行される情報処理方法の流れについて説明する。情報処理装置2により実行される情報処理は、登録処理と、表示制御処理とを含む。なお、処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、一部の処理が省略されてもよい。
【0043】
1.3.1 登録処理の概要
まず情報処理装置2により実行される登録処理について説明する。
図4は、実施形態1にかかる登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
まず情報処理装置2の登録部211は、システム契約ユーザのユーザ端末3から登録要求を受信したことに応じて、登録要求に含まれるシステム契約ユーザのユーザID(例えばメールアドレス)及び物件IDを取得する(S11)。そして登録部211は、ユーザ端末3から、システム契約ユーザの権限の設定を受け付ける(S12)。権限の設定には、アクセス権限の設定が少なくとも含まれる。
【0045】
次に登録部211は、物件IDと、システム契約ユーザのユーザIDと、システム契約ユーザの権限情報とを紐づけた情報を、後述するユーザ情報テーブルT1に登録する(S13)。権限情報は、アクセス権限の情報を含む。
【0046】
また登録部211は物件IDに対応する物件の物件情報をユーザ端末3から取得し、物件IDと物件情報とを紐づけた情報を、後述する物件情報テーブルT2に登録してよい。
【0047】
次に登録部211は、システム契約ユーザのユーザ端末3からシステム非契約ユーザのユーザID(例えばメールアドレス)を受信し、取得する(S14)。そして登録部211は、ユーザ端末3から、システム非契約ユーザの権限の設定を受け付ける(S15)。権限の設定には、アクセス権限の設定が少なくとも含まれる。
【0048】
次に登録部211は、上記システム非契約ユーザのユーザIDを用いて、上記システム非契約ユーザが他の物件でユーザ情報テーブルT1に登録されているか否かを判定する(S16)。登録部211は、上記システム非契約ユーザが他の物件で登録済であれば(S16でYES)、処理をS18に進める。
【0049】
一方、登録部211は、上記システム非契約ユーザを登録している物件がなければ(S16でNO)、システム非契約ユーザのアカウントを発行する(S17)。例えば登録部211は、システム非契約ユーザが操作するユーザ端末3にアカウント発行のための案内メールを送信し、システム非契約ユーザの基本情報及びパスワードを取得する。そして登録部211は、システム非契約ユーザのユーザIDと、取得した情報とを記憶することで、アカウントを発行する。
【0050】
そして登録部211は、S18において、物件IDと、システム非契約ユーザのユーザIDと、システム非契約ユーザの権限情報とを紐づけた情報を、ユーザ情報テーブルT1に登録する。具体的には登録部211は、ユーザ情報テーブルT1に含まれる物件IDのレコードに、システム非契約ユーザのユーザID及びシステム非契約ユーザの権限情報を追加で登録する。
【0051】
1.3.2 登録処理の詳細
(ユーザ情報テーブルT1)
図5は、実施形態1にかかるユーザ情報テーブルT1のデータ構成の一例を示す図である。ユーザ情報テーブルT1は、情報処理装置2の登録部211によって生成され、記憶部26に格納される。ユーザ情報テーブルT1は、ユーザに関する情報を含む。一例として
図5に示すように、ユーザ情報テーブルT1は、契約ID T10と、物件ID T11と、ユーザID T12と、所属組織情報T13と、ステータス情報T14と、権限情報T15とを含む。ユーザ情報テーブルT1は、さらにパスワードを含んでもよい。
【0052】
契約ID T10は、システム契約者が締結した情報処理システム1の利用契約を識別する情報である。契約ID T10は、システム契約者に対応付けられており、システム契約者を識別する情報としても機能する。つまり契約ID T10が同じであれば、システム契約者は同じである。
【0053】
物件ID T11は、契約ID T10の契約において管理対象となる物件を識別する情報である。ここで1の契約は1の物件を管理するための契約であってもよいが、複数の物件を管理するための契約であってもよい。つまりユーザ情報テーブルT1において、契約ID T10は、複数の物件IDに対応付けられていてよい。一例として契約ID T10がC001である契約は、各々の物件ID T11がP001,P002,P003である物件を管理するための契約である。このとき契約ID T10がC001である契約のシステム契約者は、株式会社aである。
【0054】
ユーザID T12は、物件の管理に携わるユーザを識別する情報である。
所属組織情報T13は、ユーザの所属組織の情報である。一例として所属組織情報T13は、ユーザが所属する組織の名称である。なおユーザが個人事業主である場合、所属組織情報T13にはユーザ名が記録されてよい。
一例としてユーザID T12がU001であるユーザは、C001である契約のシステム契約者である株式会社aに所属している。U001であるユーザは、P001,P002,P004の物件の管理に携わっている。
なおC001の契約が複数の物件を管理するための契約である場合、システム契約者である株式会社a内で管理を担当するユーザは、全ての物件について同じユーザであってもよいし、物件ごとに異なるユーザであってもよい。一例として物件ID T11がP001及びP002である物件についてはU001が担当し、物件ID T11がP003である物件についてはU008が担当してよい。
【0055】
ステータス情報T14は、ユーザがシステム契約ユーザであるかシステム非契約ユーザであるかを示す情報である。ステータス情報T14が、ユーザがシステム契約ユーザであることを示す情報である場合、これに対応する所属組織情報T13がシステム契約者を示す。
【0056】
権限情報T15は、ユーザに付与された、物件の物件情報の権限の範囲、特にアクセス権限の範囲を示す情報である。ユーザは権限情報T15に示されるアクセス権限の範囲で、自己が管理に携わっている物件の物件情報を閲覧することができる。
【0057】
また権限情報T15は、ユーザに付与された、物件の物件情報の編集権限の範囲を示す情報を含んでよい。ユーザは権限情報T15に示される編集権限の範囲で、自己が管理に携わっている物件の物件情報を編集することができる。
【0058】
本実施形態1では、権限情報T15は、物件の管理におけるユーザの役割に応じて設定される。つまり権限情報T15は、物件ごと、かつユーザごとに付与される。例えばユーザの役割は、管理者、AM責任者、BM責任者、テナント、及び物件の所有者の中から選択されてよい。一例としてU001であるユーザは、P001,P002の物件においては管理者であり、P004の物件についてはAM責任者である。
【0059】
例えば管理者は、管理対象となる物件の全ての情報についての閲覧権限及び編集権限を有してよい。また例えばAM責任者は、管理対象となる物件の基本情報、予算管理情報及び予算管理に関する数値入力画面についての閲覧権限と、管理対象となる物件の予算管理情報及び予算管理に関する数値入力画面についての編集権限を有してよい。また例えばBM責任者は、管理対象となる物件の基本情報及び予算管理に関する数値入力画面についての閲覧権限と、数値入力画面についての編集権限とを有してよい。
【0060】
(物件情報テーブルT2)
図6は、実施形態1にかかる物件情報テーブルT2のデータ構成の一例を示す図である。物件情報テーブルT2は、情報処理装置2の登録部211によって生成され、記憶部26に格納される。物件情報テーブルT2は、物件に関する情報を含む。一例として
図6に示すように、物件情報テーブルT2は、物件ID T21と、物件情報T22とを含む。
【0061】
例えば物件情報T22は、基本情報T220と、予算管理情報T221とを含む。基本情報T220は、物件名、所在地、物件の構造及び敷地面積等を含む。予算管理情報T221は、物件を管理するにあたっての収入及び支出に関する情報である。例えば予算管理情報T221は、収入又は支出の項目と、勘定科目と、支払条件と、金額とを含む。予算管理情報T221は、これに加えて補助科目を含んでもよい。
【0062】
なお物件情報T22は、基本情報T220及び予算管理情報T221だけでなく、収支の実績情報やキャッシュフロー表等の、その他の管理項目に対応する情報を含んでいてよい。
【0063】
1.3.3 表示制御処理の概要
次に情報処理装置2により実行される表示制御処理について説明する。
図7は、実施形態1にかかる表示制御処理の流れを示すフローチャートである。まず情報処理装置2の認証部212は、ユーザが操作するユーザ端末3から、認証要求を受信したことに応じてユーザ認証として第1認証を実行する(S21)。具体的には表示制御部215は、認証要求に含まれるユーザID及びパスワードと、記憶部26に記憶されたユーザ情報テーブルT1に含まれる情報とを照合することにより、第1認証を実行してよい。
【0064】
次に特定部213は、ユーザ情報テーブルT1を参照して、認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザIDに紐づけられた物件IDを特定する(S22)。前述の
図5に示すユーザ情報テーブルT1の例においては、ユーザIDがU001である場合、特定部213は、P001,P002,P004の物件IDを特定する。
【0065】
次に特定部213は、S22において特定した物件IDごとにユーザに付与されたアクセス権限の範囲を特定する(S23)。具体的には特定部213は、記憶部26に記憶された物件情報テーブルT2から、特定した物件IDごとにユーザに設定された権限情報を取得する。そして特定部213は、S22において特定した物件IDごとに、S23において特定したアクセス権限の範囲に基づいて、物件の物件情報のうち、ユーザが閲覧可能な物件情報を抽出する(S24)。
【0066】
次に分類部214は、S24において抽出したユーザが閲覧可能な物件情報を、その物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する(S25)。グループへの分類方法については後で詳述する。
【0067】
次に表示制御部215は、S25において分類したグループが複数存在するか否かを判定する(S26)。表示制御部215は、グループが複数存在する場合は(S26でYES)、複数のグループに対応する物件情報をユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部にグループごとに表示させる(S27)。このとき制御部21は追加のユーザ認証を要求しない。つまりユーザ端末3の表示部には、システム契約ユーザが異なる複数の物件の物件情報が追加のユーザ認証を経ずに横断的に表示されることとなる。
【0068】
一方、表示制御部215は、グループが1つである場合は(S26でNO)、S24において抽出した物件情報をユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部に一覧で表示させる(S28)。
【0069】
[効果]
このように情報処理装置2は、ユーザが管理に携わる物件の物件情報を、システム契約者を跨いで横断的にユーザ端末3に提供する。これにより、物件毎に異なる事業者とともに管理する場合が多く、関係するシステム契約者が複数存在する不動産等の管理実務において、利便性が向上した物件管理システムを提供できる。
【0070】
また情報処理装置2は、ユーザが管理に携わる物件の物件情報を、グループごとにユーザ端末3の表示部に表示させる。ここで同じシステム契約者であれば管理対象となる物件の特徴又は管理態様が類似する場合が多い。したがってユーザが同じグループの物件情報をまとめて閲覧できるため、ユーザの利便性が向上する。
【0071】
また情報処理装置2は、追加のユーザ認証なしに異なる複数のシステム契約者の物件にかかる物件情報をユーザ端末3に提供する。これによりユーザは、異なるシステム契約者の物件の物件情報を閲覧する際に、ユーザ認証を行う手間が省ける。したがって情報処理装置2は、ユーザに対してシームレスなユーザ体験を提供できる。
【0072】
1.3.4 表示制御処理の詳細
(分類ステップ)
図7のS25において、分類部214は、ユーザが閲覧可能な物件情報を、その物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。本実施形態では分類部214は、システム契約者ごとに物件をグループ化し、これに応じてユーザが閲覧可能な物件情報をグループ化する。すなわち分類部214は、システム契約者が同じであれば、これに対応する物件の物件情報を同じグループに分類する。
【0073】
なおグループが複数生成されるのは、以下の2つのケースに該当する場合である。1つ目は、そのユーザが少なくとも1つの物件においてシステム契約ユーザであり、かつ少なくとも1つの物件においてシステム非契約ユーザであるというケースである。2つ目は、そのユーザが、システム契約者が異なる複数の物件においてシステム非契約ユーザであるというケースである。
【0074】
なおグループの分け方はこれに限らない。例えば分類部214は、システム契約者が互いに所定の関係がある物件については、物件情報を同じグループに分類してもよい。所定の関係があることは、一定の経済的関係を有することであってよく、一例として資本提携、業務提携又は雇用契約を有することであってよい。
【0075】
(表示制御ステップ)
図7のS27において、表示制御部215は、複数のグループに対応する物件情報であってユーザが閲覧可能な物件情報を、ユーザ端末3の表示部にグループごとに表示させる。本実施形態では表示制御部215は、グループごとに切替可能な態様で、複数のグループに対応する物件情報をユーザ端末3の表示部に表示させる。これによりユーザが同じグループの物件情報をまとめて閲覧できるため、ユーザの利便性が向上する。
【0076】
図8は、ユーザ端末3の表示部に表示される表示画面4の一例を示す図である。一例として表示画面4は、基本情報タブ42と、予算管理情報タブ43と、数値入力タブ44と、レポートタブ45と、アカウント情報タブ46とを含む。ユーザにより上記タブのうち1のタブが選択されると、表示制御部215は、ユーザ情報テーブルT1又は物件情報テーブルT2から、選択されたタブに対応する情報を読み出し、ユーザ端末3の表示部に表示させるように構成される。
【0077】
また表示画面4は、システム契約者名41と、システム契約者を切り替えるためのオブジェクト49とを含む。
【0078】
図8に示すように、表示画面4は、システム契約者として株式会社aが選択され、タブとして基本情報タブ42が選択された状態である。このとき表示画面4は、株式会社aに対応して、物件ID47と物件名48とを少なくとも対応付けた基本情報を含んでいる。つまり表示制御部215は、ユーザのアクセス権限の範囲内で、システム契約者が株式会社aであるグループに含まれる物件情報から基本情報を読み出し、ユーザ端末3に送信する。
【0079】
ユーザがオブジェクト49を選択しシステム契約者を株式会社bに変更したことに応じて、表示制御部215は、ユーザのアクセス権限の範囲内で、システム契約者が株式会社bであるグループに含まれる物件情報から基本情報を読み出し、ユーザ端末3に送信する。これにより表示制御部215は、直ちに、つまり追加のユーザ認証なしに、表示画面4を、株式会社bに対応する物件の基本情報を含む表示画面に遷移させる。
【0080】
なお表示態様は、グループごとに物件情報が表示されるものであれば、態様を問わない。例えば表示制御部215は、1の表示画面に、複数のグループに対応する物件情報をユーザ端末3の表示部に表示させてもよい。このとき表示制御部215は、グループごとに物件情報群を生成し、複数の物件情報群を1の表示画面に表示させてよい。
【0081】
1.3.5 表示制御処理の変形例
表示制御部215は、ユーザがシステム契約ユーザである物件の物件情報を、ユーザがシステム非契約ユーザである物件の物件情報よりも優先的に表示してよい。優先的に表示する例としては、オブジェクト49でシステム契約者を選択する際に、ユーザがシステム契約ユーザである物件のシステム契約者を、ユーザがシステム契約ユーザでない物件のシステム契約者よりも先に表示させることであってよい。あるいはユーザがシステム契約ユーザである物件の物件情報群を、ユーザがシステム契約ユーザでない物件の物件情報群よりも表示順位を上げて表示させることであってよい。
【0082】
これにより、ユーザは、自身がシステム契約ユーザである物件の物件情報についてユーザ認証後すぐに閲覧できるため、ユーザの利便性が向上する。
【0083】
<実施形態2>
次に実施形態2について説明する。実施形態2にかかる情報処理装置2は、上述した登録処理及び表示制御処理に加えて、予算管理処理を実行する点で、実施形態1にかかる情報処理装置2と相違する。実施形態2にかかる情報処理装置2は、制御部21に代えて制御部21aを備える。
【0084】
2.1.機能構成
図9は、実施形態2にかかる制御部21aの機能構成を示すブロック図である。制御部21aは、登録部211、認証部212、特定部213、分類部214及び表示制御部215に加えて、予算管理部216を備える。
【0085】
予算管理部216は、予算管理ステップとして予算管理処理を実行する。具体的には予算管理部216は、ユーザ端末3から予算管理要求を受信したことに応じて、ユーザIDに紐づけられた物件の賃貸契約の重要事項説明書データに含まれる、収入又は支出に関する項目を取得する。重要事項説明書データについては、後で詳述する。収入又は支出に関する項目は、収入支出項目とも称される。賃貸契約は、その物件のテナントとオーナーとの間で交わされた賃貸契約である。
【0086】
そして予算管理部216は、収入支出項目に対応する勘定科目を予測し、物件のIDと収入支出項目と勘定科目とを対応付けた情報を物件情報テーブルT2の予算管理情報T221として登録する。
【0087】
このとき予算管理部216は、予算管理情報T221として登録した情報を、ユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部に表示させる。ここで予算管理部216は、収入支出項目の金額が変動金額であるか否かに応じて、表示態様を異ならせる。
【0088】
2.2.予算管理処理の概要
図10は、実施形態2にかかる予算管理処理の流れを示すフローチャートである。
まず情報処理装置2の予算管理部216は、ユーザ端末3から予算管理要求を受信したことに応じて、予算管理要求に含まれる重要事項説明書データを取得する(S31)。
【0089】
次に予算管理部216は、重要事項説明書データに含まれる、収入支出項目を取得する(S32)。
【0090】
次に予算管理部216は、収入支出項目に対応する勘定科目を予測する(S33)。予算管理部216は、収入支出項目と勘定科目との対応関係を示す対応情報をユーザ端末3から予め取得し、上記対応情報を基づいて勘定科目を予測してよい。しかし予測方法はこれに限らない。例えば予算管理部216は、収入支出項目を入力データとし、勘定科目を出力データとする学習済の予測モデルを用いて、勘定科目を予測してもよい。なお予算管理部216は、重要事項説明書データに勘定科目が含まれる場合、上記予測処理を省略してよい。
なお予算管理部216は、勘定科目に加えて補助科目を予測してよい。ここでも予算管理部216は、重要事項説明書データに補助科目が含まれる場合、上記予測処理を省略してよい。
【0091】
次に予算管理部216は、重要事項説明書データに基づいて収入支出項目の金額が変動金額であるか否かを判定する(S34)。予算管理部216は、収入支出項目の金額が変動金額であると判定した場合(S34でYES)、物件IDと勘定科目とを少なくとも対応付けた情報を予算管理情報T221として登録する(S35)。このとき登録された予算管理情報T221は、金額を含まない。なお予算管理部216は、物件ID及び勘定科目に加えて、補助科目を対応付けた情報を予算管理情報T221として登録してもよい。
【0092】
一方、予算管理部216は、収入支出項目の金額が変動金額であると判定しなかった場合(S34でNO)、つまり固定金額である場合、物件IDと、勘定科目と、収入支出項目に対応する金額とを少なくとも対応付けた情報を予算管理情報T221として登録する(S36)。なお予算管理部216は、物件ID、勘定科目及び金額に加えて、補助科目を対応付けた情報を予算管理情報T221として登録してもよい。
【0093】
なお表示制御部215は、ユーザ端末3から予算管理情報T221の閲覧要求があった場合に、ユーザが管理に携わる物件の予算管理情報T221を、アクセス権限の範囲内でユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3の表示部に表示させる。
【0094】
[効果]
このように情報処理装置2は重要事項説明書データに基づいて予算管理情報T221を自動で生成するため、予算管理が容易になる。したがって情報処理装置2は、ユーザ利便性を向上させることができる。
【0095】
2.3.予算管理処理の詳細
(重要事項説明書データT3)
図11は、実施形態2にかかる重要事項説明書データT3の一例を示す図である。重要事項説明書データT3は、ユーザによる入力操作により生成される。しかし重要事項説明書データT3の生成方法はこれに限らない。例えば重要事項説明書データT3は、光学的文字認識(OCR=Optical Character Reader)により賃貸契約の重要事項説明書から読み取った読取データから、収入支出項目に該当するデータを抽出することにより生成されてもよい。
【0096】
重要事項説明書データT3は、複数の項目T31,T32の各々について、収入支出項目、支払条件及び金額の欄を有する。また重要事項説明書データT3は、勘定科目を含んでもよい。
【0097】
収入支出項目のうち、収入に関する項目としては、一例として、賃料、共益費、駐車場使用料等が挙げられる。収入支出項目のうち、支出に関する項目としては、一例として、建物管理費、修繕費、物件運用費用、一般管理費、及び駐車場管理費が挙げられる。
【0098】
勘定科目は、取引内容の性質を示す会計上の分類項目である。勘定科目は収入支出項目と同じであってもよいし、異なっていてもよい。勘定科目としては、一例として、賃料(収入)、共益費、駐車場(収入)、水道光熱費、預託金、管理委託費、及び修繕費等が挙げられる。
【0099】
支払条件は、支払頻度、支払期日又は決済方法等の、支払に関する取り決めである。
【0100】
図11に示すように、好ましくは、重要事項説明書データT3は、勘定科目に加えて補助科目を含んでよい。補助科目は、勘定科目を細分化した分類項目である。補助科目としては、一例として、水道代(変動)、共益費、駐車場使用料、敷金、及び保証金等が挙げられる。
【0101】
なお収入支出項目の金額が変動金額である場合、重要事項説明書データT3の金額の欄には賃貸契約において取り決められた金額が記録されている。一方、収入支出項目の金額が固定金額である場合、重要事項説明書データT3の金額の欄は空欄である。
【0102】
したがって予算管理部216は、収入支出項目の金額が変動金額である場合、物件情報テーブルT2の予算管理情報T221の金額の欄に、重要事項説明書データT3に記録された金額を記録する。一方、予算管理部216は、収入支出項目の金額が固定金額である場合、物件情報テーブルT2の予算管理情報T221の金額の欄を空欄とする。
【0103】
(登録後の表示制御処理)
図12は、ユーザ端末3の表示部に表示される表示画面6の一例を示す図である。表示画面6は、勘定科目62と、補助科目63と、金額の欄64とを含む。これらの情報は、記憶部26に格納された物件情報テーブルT2の予算管理情報T221から読み出されたものである。なお表示画面6は、勘定科目62が収入及び支出のいずれに関するものかを示す収入支出タグ61を含んでもよい。
【0104】
なお実施形態1~2では、情報処理装置2として単一の装置である場合を説明したが、情報処理装置2の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現されてもよい。この場合、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置2の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0105】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0106】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
情報処理装置に、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置は、
前記認証ステップにおいて、ユーザが使用するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
プログラム。
(付記2)
前記情報処理装置は、前記複数のグループに対応する前記物件情報を表示するとき、前記ユーザに対して前記第1認証とは異なる第2認証を要求しない
付記1に記載のプログラム。
(付記3)
前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、前記グループごとに切替可能な態様で、前記複数のグループに対応する前記物件情報を前記表示部に表示させる
付記1又は2に記載のプログラム。
(付記4)
前記情報処理装置は、前記特定ステップにおいて、
前記ユーザIDに紐づけられた物件ごとに前記ユーザに付与されたアクセス権限の範囲を特定し、
前記物件ごとに、特定した前記アクセス権限の範囲に基づいて、前記物件の物件情報のうち、前記ユーザが閲覧可能な物件情報を抽出する
付記1から3のいずれか一項に記載のプログラム。
(付記5)
前記プログラムは、前記情報処理装置に予算管理ステップをさらに実行させ、
前記情報処理装置は、前記予算管理ステップにおいて、
前記ユーザ端末から予算管理要求を受信したことに応じて、前記ユーザIDに紐づけられた物件の賃貸契約の重要事項説明書データに含まれる、収入又は支出に関する項目を取得し、
前記収入・支出に関する項目に対応する勘定科目を予測し、
前記物件のIDと、前記収入・支出に関する項目と、前記勘定科目とを対応付けて記憶部に格納する
付記1から4のいずれか一項に記載のプログラム。
(付記6)
前記情報処理装置は、前記予算管理ステップにおいて、
前記重要事項説明書データに基づいて前記収入又は支出に関する項目の金額が変動金額であるか否かを判定し、
前記変動金額であると判定した場合、前記物件のIDと前記勘定科目とを対応付けた情報を前記表示部に表示させ、
前記変動金額であると判定しなかった場合、前記物件のIDと前記勘定科目と前記収入又は支出に関する項目に対応する金額とを対応付けた情報を前記表示部に表示させる
付記5に記載のプログラム。
(付記7)
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記認証ステップにおいて、前記ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理装置。
(付記8)
制御部を備える情報処理装置と、
ユーザが使用するユーザ端末と
を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記認証ステップにおいて、前記ユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理システム。
(付記9)
情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、認証ステップと、特定ステップと、分類ステップと、表示制御ステップとを備え、
前記情報処理装置は、
前記認証ステップにおいて、ユーザが使用するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じて前記ユーザに対して第1認証を実行し、
前記特定ステップにおいて、前記認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、前記ユーザIDに紐づけられた物件を特定し、
前記分類ステップにおいて、前記ユーザIDに紐づけられた前記物件の物件情報を、前記物件のシステム契約者に基づいてグループに分類し、
前記表示制御ステップにおいて、分類した前記グループが複数ある場合、複数の前記グループに対応する前記物件情報を前記グループごとに前記ユーザ端末の表示部に表示させ、
前記システム契約者は、前記物件を管理するための物件管理システムの契約者である
情報処理方法。
【符号の説明】
【0107】
1 情報処理システム
2 情報処理装置
21 制御部
21a 制御部
22 プロセッサ
23 ROM
24 RAM
25 通信部
26 記憶部
27 入力部
28 表示部
211 登録部
212 認証部
213 特定部
214 分類部
215 表示制御部
216 予算管理部
3 ユーザ端末
4 表示画面
41 システム契約者名
42 基本情報タブ
43 予算管理情報タブ
44 数値入力タブ
45 レポートタブ
46 アカウント情報タブ
47 物件ID
48 物件名
49 オブジェクト
6 表示画面
61 収入支出タグ
62 勘定科目
63 補助科目
64 金額の欄
T1 ユーザ情報テーブル
T10 契約ID
T11 物件ID
T12 ユーザID
T13 所属組織情報
T14 ステータス情報
T15 権限情報
T2 物件情報テーブル
T21 物件ID
T22 物件情報
T220 基本情報
T221 予算管理情報
T3 重要事項説明書データ
T31 項目
T32 項目
【要約】
【課題】物件の管理に携わるユーザの利便性を向上する。
【解決手段】制御部は、認証ステップ(S21)において、ユーザが操作するユーザ端末から、認証要求を受信したことに応じてユーザに対して第1認証を実行する。制御部は、特定ステップ(S22)において、認証要求に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザIDに紐づけられた物件を特定する。制御部は、分類ステップ(S25)において、ユーザIDに紐づけられた物件の物件情報を、物件のシステム契約者に基づいてグループに分類する。制御部は、表示制御ステップ(S27)において、分類したグループが複数ある場合、複数のグループに対応する物件情報をグループごとにユーザ端末の表示部に表示させる。システム契約者は、物件を管理するための物件管理システムの契約者である。
【選択図】
図7