(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】センサ電極からの電磁放射の緩和
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240315BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20240315BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20240315BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/045 H
G06F3/041 560
G01B7/00 102C
G01L5/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019038087
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(74)【代理人】
【識別番号】100182187
【氏名又は名称】高岡 正之
(72)【発明者】
【氏名】ペトル シェペレフ
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0226083(US,A1)
【文献】特開2015-121958(JP,A)
【文献】特表2016-535882(JP,A)
【文献】中国実用新案第205334414(CN,U)
【文献】国際公開第2018/034159(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0013563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076675(US,A1)
【文献】特開2018-018156(JP,A)
【文献】特開2013-171369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/045
G01B 7/00
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ電極のマトリクスのうちの少なくとも一部のセンサ電極を検出信号で変調するように構成された第1の回路と、
前記センサ電極のマトリクスからの電磁放射を、前記センサ電極のマトリクスを少なくとも部分的に取り囲む導電経路を前記検出信号の反転バージョンで変調することによって緩和するように構成された第2の回路と、を含む処理システム。
【請求項2】
前記検出信号と同じ形状と位相を有するガード信号が、表示画面のゲートラインに印加され、
前記導電経路を前記反転バージョンで変調することにより、前記ゲートラインからの電磁放射が緩和される、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記導電経路と前記センサ電極のマトリクスが、接地経路によって分離された、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記第2の回路が、更に、
前記導電経路の抵抗を決定し、
前記抵抗に基づいて、前記センサ電極のマトリクスを備える入力装置と関連した温度を決定することと、
前記抵抗に基づいて、ユーザによって前記入力装置に加えられる屈曲力を決定することとからなる群から選択された少なくとも1つを行うように構成された、請求項2に記載の処理システム。
【請求項5】
センサ電極のマトリクスの少なくとも一部のセンサ電極を検出信号で変調するステップと、
表示画面と関連したゲートラインにガード信号を印加するステップと、
導電経路を前記ガード信号の反転バージョンで変調することによって、前記センサ電極のマトリクスと前記ゲートラインからの電磁放射を低減するステップとを含み、
前記導電経路が、前記センサ電極のマトリクスを少なくとも部分的に取り囲む方法。
【請求項6】
前記導電経路と前記センサ電極のマトリクスが、接地経路によって分離された、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
センサ電極のマトリクスと、
処理システムであって、
前記センサ電極のマトリクスの少なくとも一部のセンサ電極を検出信号で変調し、
前記センサ電極のマトリクスからの電磁放射を、前記センサ電極のマトリクスを少なくとも部分的に取り囲む導電経路を前記検出信号の反転バージョンで変調することによって緩和するように構成された処理システムと、を含む、入力装置。
【請求項8】
表示画面を動作させるゲートラインを含み、
前記処理システムが、更に、前記検出信号と同じ形状と位相を有するガード信号を前記ゲートラインに印加するように構成され、
前記導電経路を前記ガード信号の前記反転バージョンで変調することによって、前記ガード信号を前記ゲートラインに印加することにより生じる電磁放射が緩和される、請求項
7に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般に電子装置に関し、より具体的には静電容量センサ電極からの電磁放射の緩和に関する。
【背景技術】
【0002】
近接センサデバイス(例えば、タッチパッド又はタッチセンサデバイス)を含む入力装置は、様々な電子システムに広く使用されている。近接センサデバイスは、しばしば面によって区分された検出領域を有し、検出領域内で、近接センサデバイスが1つ以上の入力オブジェクトの存在、位置及び/又は動きを決定する。近接センサデバイスは、電子システムにインタフェースを提供するために使用されうる。例えば、近接センサデバイスは、より大きい計算処理システムのための入力装置(例えば、ノートブック又はデスクトップコンピュータに組み込まれるかその周辺の不透明タッチパッド)として使用されうる。近接センサデバイスは、しばしばより小さい計算処理システム(例えば、携帯電話に組み込まれたタッチスクリーン)にも使用される。近接センサデバイスは、入力オブジェクト(例えば、指、スタイラス、ペン、指紋など)を検出するために使用されうる。
【0003】
タッチスクリーンを含む入力デバイスは、静電容量検出中に電磁放射を生成することが多い。しかしながら、入力装置は、入力装置からの観察/測定された電磁放射が小さい(即ち、しきい値より小さい)ことを必要とする他の構成要素(例えば、自動車構成要素)と共に使用されることが多い。したがって、入力装置からの観察/測定電磁放射を緩和(例えば、低減又は相殺)するために追加構成要素を入力装置に含みかつ/又は入力装置をそのように動作させることが望ましいことがある。
【発明の概要】
【0004】
一般に、一態様では、実施形態は、入力装置に関する。入力装置は、複数のセンサ電極と、複数のセンサ電極の第1のセンサ電極をガード信号で変調し、第1のセンサ電極をガード信号で変調することにより生じる電磁放射を、回路要素をガード信号の反転バージョンで変調することによって緩和するように構成された処理システムとを含む。
【0005】
一般に、一態様では、実施形態は、複数のセンサ電極を含む入力装置と表示画面とを動作させる方法に関する。この方法は、複数のセンサ電極を検出信号で変調することと、表示画面と関連付けられたゲートラインにガード信号を印加することと、複数のセンサ電極を検出信号で変調することにより生じる電磁放射を、複数のセンサ電極を少なくとも部分的に取り囲む導電経路をガード信号の反転バージョンで変調することによって低減することとを含む。
【0006】
一般に、一態様では、実施形態は、第1のセンサ電極と第2のセンサ電極を含む入力装置を動作させる方法に関する。この方法は、第1のセンサ電極をガード信号で変調することと、第1のセンサ電極をガード信号で変調することにより生じる電磁放射を、第2のセンサ電極をガード信号の反転バージョンで変調することによって低減することとを含む。
【0007】
実施形態の他の態様は、以下の記述及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【0008】
この実施形態は、例によって示され、添付図面の図によって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一以上の実施形態による入力装置のブロック図である。
【
図2】一以上の実施形態による入力装置のブロック図である。
【
図3A】一以上の実施形態による静電容量検出用に構成された入力装置を示す図である。
【
図3B】一以上の実施形態による静電容量検出用に構成された入力装置を示す図である。
【
図4A】一以上の実施形態による走査シーケンスを示す図である。
【
図4B】一以上の実施形態による走査シーケンスを示す図である。
【
図5】一以上の実施形態による静電容量検出用に構成された入力装置を示す図である。
【
図6】一以上の実施形態によるフローチャートである。
【
図7】一以上の実施形態によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、単に本質的に例示であり、本発明及び本発明の応用又は用途を限定するものではない。更に、前の技術分野、背景技術、要約又は以下の詳細な説明で提示される如何なる明示的又は暗黙的理論によっても拘束されない。
【0011】
実施形態の以下の詳細な説明では、開示技術のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。しかしながら、開示技術がそのような特定の詳細なしに実施されうることは当業者に明らかであろう。他の例では、説明を無駄に複雑にするのを回避するために、周知の特徴は詳細に記述されない。
【0012】
本出願全体にわたって、順序数(例えば、第1、第2、第3など)は、要素(即ち、本出願内の任意の名詞)の形容詞として使用されうる。順序数の使用は、「前(before)」、「後(after)」、「単一(single)」及び他のそのような用語の使用によって明示されない限り、要素のいかなる特定の順序も暗示又は作成せず、いかなる要素も単一要素のみであるように限定しない。より正確に言うと、順序数の使用は、要素を区別することである。例えば、第1の要素は、第2の要素と異なり、第1の要素は、複数の要素を含み、要素の順序で第2の要素に後続(又は先行)できる。
【0013】
種々の実施形態は、改善された利便性を促進する入力装置及び方法を開示する。具体的には、一以上の実施形態は、入力装置からの電磁放射を緩和するための電子構成要素及び/又は方法を開示する。入力装置からの電磁放射の緩和は、入力装置が別の構成要素(例えば、自動車構成要素)の要件に準拠する(及び、したがって要件で動作可能である)ために重要でありうる。
【0014】
次に図に移り、
図1は、開示の実施形態による典型的入力装置(100)のブロック図である。入力装置(100)は、電子システム(単純にするために示されていない)に入力を提供するように構成されうる。本明細書で使用されるとき、用語「電子システム」(又は「電子装置」)は、広義には、情報を電子的に処理できる任意のシステムを指す。電子システムの例には、全てのサイズ及び形状のパーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、eブックリーダ及び携帯情報端末(PDA))、複合入力装置(例えば、物理キーボード、ジョイスティック、及びキースイッチ)、データ入力装置(例えば、リモートコントロール及びマウス)、データ出力装置(例えば、表示画面及びプリンタ)、リモート端末、キオスク、テレビゲーム機(例えば、ビデオゲームコンソール、携帯ゲーム機など)、通信装置(例えば、スマートフォンなどの携帯電話)、及び媒体装置(例えば、レコーダ、エディタ、及びテレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタル写真フレーム及びデジタルカメラなどのプレーヤ)が含まれる。更に、電子システムは、入力装置に対してホストでもスレーブでもよい。
【0015】
入力装置(100)は、電子システムの物理部分として実現されうる。代替で、入力装置(100)は、電子システムから物理的に分離されうる。入力装置(100)は、バスやネットワークなどの様々な有線又は無線相互接続及び通信技術を使用して、電子システムの構成要素に結合(通信)されうる。例示的な技術には、インターインテグレイテッドサーキット(I2C)、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、PS/2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth(登録商標)、赤外線データ通信規格(IrDA)、及びIEEE 802.11や他の規格によって規定された様々な電波周波数(高周波)通信プロトコルが挙げられる。
【0016】
図1の例では、入力装置(100)は、検出領域(120)内の1つ以上の入力オブジェクト(140)によって提供された入力を検出するように構成された近接センサデバイス(「タッチパッド」又は「タッチセンサデバイス」など)に対応できる。例示的な入力オブジェクトには、指とスタイラスが含まれる。検出領域(120)は、入力装置(100)の上、そのまわり、その中及び/又はその近くに、入力装置(100)がユーザ入力(例えば、1つ以上の入力オブジェクト(140)によって提供された)を検出できる任意の空間を含みうる。特定の検出領域のサイズ、形状及び場所は、実際の実施態様により異なりうる。
【0017】
幾つかの実施形態では、検出領域(120)は、入力装置(100)のどの面との物理接触も伴わない入力を検出する。他の実施形態では、検出領域(120)は、ある程度の大きさの作用力又は圧力と結合された入力装置(100)の入力面(例えば、タッチスクリーン)との接触を伴う入力を検出する。
【0018】
入力装置(100)は、センサ構成要素と検出技術の任意の組み合わせを利用して検出領域(120)内のユーザ入力を検出できる。入力装置(100)は、ユーザ入力を検出する1つ以上の検出素子を含む。幾つかの非限定的な例として、入力装置(100)は、静電容量、弾性、抵抗、誘導、磁気、音響、超音波及び/又は光学技術を使用できる。入力装置(100)は、また、ユーザ入力を収集するために1つ以上の物理又は仮想ボタン(130)を含みうる。
【0019】
幾つかの実施形態では、入力装置(100)は、静電容量検出技術を利用してユーザ入力を検出できる。例えば、検出領域(120)は、電界を作成するために1つ以上の静電容量検出要素(例えば、センサ電極)を入力できる。入力装置(100)は、センサ電極の静電容量の変化に基づいて入力を検出できる。より具体的には、電界と接する(又は、近づく)オブジェクトは、センサ電極内の電圧及び/又は電流を変化させうる。電圧及び/又は電流のそのような変化は、ユーザ入力を示す「信号」として検出されうる。センサ電極は、電界を生成するために静電容量検出要素の配列又は他の規則若しくは不規則パターンで配置されうる。幾つかの実施態様では、幾つかの検出要素がオーム的に短絡されて、より大きいセンサ電極が構成されうる。幾つかの静電容量検出技術は、均一な抵抗層を提供する抵抗性シートを利用できる。
【0020】
幾つかの静電容量検出技術は、「自己静電容量」(「絶対静電容量」とも呼ばれる)及び/又は「相互静電容量」(「トランスキャパシタンス」とも呼ばれる)に基づきうる。絶対静電容量検出方法は、センサ電極と入力オブジェクトの間の静電容量結合の変化を検出する。相互静電容量検出方法は、センサ電極間の静電容量結合の変化を検出する。例えば、センサ電極近くの入力オブジェクトは、センサ電極間の電界を変化させ、したがって、センサ電極の測定静電容量結合が変化する。幾つかの実施態様では、入力装置(100)は、1つ以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」とも)と1つ以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」とも)の間の静電容量結合を検出することによって相互静電容量検出を実施できる。レシーバ電極によって受信された結果信号は、環境的干渉(例えば、他の電磁信号)並びにセンサ電極と接触するかその近くの入力オブジェクトによって達成されうる。
【0021】
処理システム(110)は、入力装置(100)のハードウェアを動作させて検出領域(120)の入力を検出するように構成される。処理システム(110)は、1つ以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路構成要素の一部又は全てを含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、ファームウェアコード、ソフトウェアコードなどの電子的読取可能命令も含む。幾つかの実施形態では、処理システム(110)を構成する構成要素は、入力装置(100)の検出素子の近くなどに一緒に配置される。他の実施形態では、処理システム(110)の構成要素は、入力装置(100)の検出素子に近い1つ以上の構成要素、及び他の場所にある1つ以上の構成要素と物理的に離される。例えば、入力装置(100)は、計算処理装置に結合された周辺装置でよく、処理システム(110)は、計算処理装置の中央処理装置上、及び中央処理装置と別の1つ以上のIC(恐らく関連ファームウェアを有する)上で動作するように構成されたソフトウェアを含みうる。別の例として、入力装置(100)は、モバイル機器に物理的に組み込まれてもよく、処理システム(110)は、モバイル機器の主プロセッサの一部である回路とファームウェアを含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、入力装置(100)の実現に専用化される。他の実施形態では、処理システム(110)は、また、表示画面の動作、触覚アクチュエータの駆動などの他の機能を実行する。例えば、処理システム(110)は、一体型タッチ及びディスプレイコントローラの一部でよい。
【0022】
幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、少なくとも1つの入力オブジェクトが検出領域内にあることを決定し、信号対雑音比を決定し、入力オブジェクトの位置情報を決定し、ジェスチャを識別し、ジェスチャに基づいてジェスチャ又は他の情報の組み合わせを実行するアクションを決定し、及び/又は他の操作を実行するように構成された決定回路(150)を含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、検出要素を駆動してトランスミッタ信号を送信し結果信号を受信するように構成されたセンサ回路(160)を含みうる。幾つかの実施形態では、センサモジュール(160)は、検出要素に結合された検出回路を含みうる。検出回路は、例えば、検出要素の送信部分に結合されたトランスミッタ回路を含むトランスミッタモジュールと、検出要素の受信部分に結合されたレシーバ回路を含むレシーバモジュールとを含みうる。
【0023】
図1は、決定回路(150)とセンサ回路(160)を示すが、開示の一以上の実施形態による代替又は追加回路が存在しうる。
【0024】
幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、1つ以上のアクションを引き起こすことによって検出領域(120)内のユーザ入力(又は、ユーザ入力がないこと)に直接応答する。例示的なアクションには、動作モードの変更、並びにカーソル運動、選択、メニューナビゲーション及び他の機能などのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)アクションが含まれる。幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、入力(又は、入力の欠如)に関する情報を、電子システムのある部分に(例えば、別個の中央処理システムが存在する場合は、処理システム(110)と別個の電子システムの中央処理システムに)提供する。幾つかの実施形態では、電子システムのある部分は、処理システム(110)から受け取った情報を処理してユーザ入力に作用し、例えば、モード変更アクションとGUIアクションを含むあらゆる種類のアクションを容易にする。
【0025】
例えば、幾つかの実施形態では、処理システム(110)は、入力装置(100)の検出素子を作動させて、検出領域(120)内の入力(又は入力がないこと)を示す電気信号を生成する。処理システム(110)は、電子システムに提供される情報を生成する際に、電気信号に対して適切な量の処理を実行できる。例えば、処理システム(110)は、センサ電極から得たアナログ電気信号をデジタル化できる。別の例として、処理システム(110)は、フィルタリング又は他の信号調整を実行できる。更に別の例として、処理システム(110)は、情報が電気信号とベースラインの差を表すように、ベースラインを控除するか他の方法で考慮できる。ベースラインとは、入力オブジェクトが存在しないときの検出領域の生の測定値の評価である。例えば、静電容量ベースラインは、検出領域のバックグラウンド静電容量の評価である。各検出要素は、ベースラインにおいて対応する単一値を有しうる。更に他の例として、処理システム(110)は、例えば、位置情報を決定し、入力をコマンドとして認識し、手書きを認識できる。
【0026】
幾つかの実施形態では、入力装置(100)はタッチスクリーンインタフェースを含み、検出領域(120)は、表示画面(155)のアクティブ領域の少なくとも一部と重なる。入力装置(100)は、表示画面(155)を覆う実質的に透明なセンサ電極を含み、関連電子システムにタッチスクリーンインタフェースを提供できる。表示画面は、ユーザに視覚インタフェースを表示できる任意のタイプの動的表示装置でよく、また任意のタイプの発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、又は他の表示技術を含みうる。入力装置(100)と表示画面は、物理要素を共用できる。例えば、幾つかの実施形態は、表示と検出に同じ電気構成要素の幾つかを利用できる。様々な実施形態では、表示装置の1つ以上の表示電極が、表示更新と入力検出の両方を行うように構成されうる。別の例として、表示画面(155)は、処理システム(110)によって一部分又は全体が操作されうる。
【0027】
検出領域(120)と表示画面(155)は、一体化され、オンセル、インセル又はハイブリッドアーキテクチャを取りうる。換言すると、表示画面(155)は、複数層(例えば、1つ以上の偏光子層、カラーフィルタ層、カラーフィルタガラス層、薄膜トランジスタ(TFT)回路層、液晶材料層、TFTガラス層など)で構成されうる。センサ電極は、1つ以上の層上に配置されうる。例えば、センサ電極は、TFTガラス層及び/又はカラーフィルタガラス層上に配置されうる。更に、処理システム(110)は、表示機能とタッチ検出機能の両方を持つ一体型タッチ及びディスプレイコントローラの一部でよい。
【0028】
図1には示されてないが、処理システム、入力装置及び/又はホストシステムは、1つ以上のコンピュータプロセッサ、関連メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリなど)、1つ以上の記憶装置(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブなどの光ドライブ又はデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュメモリスティックなど)、並びに多数の他の要素及び機能を含みうる。コンピュータプロセッサは、命令を処理するための集積回路でよい。例えば、コンピュータプロセッサは、プロセッサの1つ以上のコア又はマイクロコアでよい。更に、一以上の実施形態の1つ以上の要素は、遠隔地に配置され、ネットワークを介して他の要素に接続されうる。更に、実施形態は、幾つかのノードを有する分散システム上で実現されてもよく、開示の各部分は、分散システム内の様々なノード上にあってもよい。一実施形態では、ノードは、別個の計算処理装置に対応する。あるいは、ノードは、関連物理メモリを備えたコンピュータプロセッサに対応しうる。あるいは、ノードは、共有メモリ及び/又はリソースを有するコンピュータプロセッサあるいはコンピュータプロセッサのマイクロコアに対応しうる。
【0029】
図1は、構成要素の構成を示すが、本開示の範囲から逸脱せずに他の構成が使用されうる。例えば、様々な構成要素を組み合わせて単一構成要素を作成できる。別の例として、単一構成要素によって実行される機能が、2つ以上構成要素によって実行されうる。
【0030】
図2は、一以上の実施形態による入力装置(200)の概略図である。
図2に示されたように、入力装置(200)は、処理システム(210)、行と列のマトリクスで配列された複数のセンサ電極(221~229,231~236)、センサ電極(221~229,231~236)を取り囲む導電経路(299)、及び導電経路(299)とセンサ電極(221~229,231~236)の間に配置された接地経路(298)を含みうる。導電経路(299)及び/又は接地経路(298)は、1組の区分(即ち、1つ以上の区分)からなりうる。図示されていないが、区分間にギャップがあってもよい。一以上の実施形態で、導電経路(299)は、処理システム(210)及び/又はセンサ電極(221~229,231~236)を、入力装置(200)の縁のタッチにより生じる静電放電から保護するために使用されうる。導電経路(299)については、更に後述される。導電経路(299)と各センサ電極(221~229,231~236)は、回路要素の例である。
【0031】
前述されたように、入力装置(200)は、一体型表示画面(図示せず)を含みうる。したがって、入力装置(200)は、また、表示画面の更新に関与するゲートラインとソースラインを含みうる。更に、センサ電極(221~229,231~236)の1つ以上は、表示画面の更新に関与するVCOM区分にも対応しうる。
【0032】
一以上の実施形態で、処理エンジン(210)は、
図1に関して前述された処理システム(110)に類似する。
図2に示されたように、処理システム(210)は、経路回路(297)、駆動回路(245)、及び1つ以上のアナログフロントエンド(AFE)(即ち、AFE A(271),AFE B(272),AFE C(273))を有する検出回路(255)を含みうる。駆動回路(245)と検出回路(255)は、
図2で別個であるように示されているが、一以上の実施形態では、駆動回路(245)と検出回路(255)は一体化される。
【0033】
一以上の実施形態で、検出回路(255)は、1つ以上のセンサ電極(221~229,231~236)から1つ以上の結果信号を得る機能を有するハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。具体的には、結果信号は、静電容量検出に関与するセンサ電極から得られうる(例えば、絶対静電容量検出、トランス静電容量検出)。検出回路(255)は、
図1及び付随説明に示されたレシーバ回路に類似しうる。
【0034】
詳細には、検出回路(255)は、様々なアナログフロントエンド(AFE)(例えばAFE A(271),AFE B(272),AFE C(273))をアナログ調整回路と共に含みうる。例えば、AFEは、演算増幅器、デジタル信号処理構成要素、電荷収集機構、フィルタ、電流コンベヤ、及び/又はセンサ電極から得られた結果信号を検出し分析する(例えば、入力オブジェクトの位置を決定する、入力オブジェクトなどによって加えられた力を評価するなど)ための様々な特定用途向け集積回路を含みうる。一以上の実施形態で、AFE(271~273)の数は、センサ電極(221~229,231~236)の数より少ない。
【0035】
一以上の実施形態では、センサ電極(221~229,231~236)の幾つか又は全ては、絶対静電容量検出を行うために使用される(例えば、表示画面が更新されないとき)。絶対静電容量検出中、センサ電極は、検出信号によって変調されうる。検出信号は、矩形波、正弦波、三角波などの周期信号でよい。更に、実質的に検出信号と同じ形状と位相を有するガード信号が、ゲートライン及び/又はソースラインに印加されうる。ガード信号は、タッチ検出に利用されていないセンサ電極にも印加されうる(後述される)。
【0036】
図3Aは、一以上の実施形態による絶対静電容量検出用に構成された入力装置(200)を示す。
図3Aに示されたように、複数のセンサ電極(即ち、センサ電極(305),センサ電極(306),センサ電極(307))がある。センサ電極(305~307)はそれぞれ、
図2に関して前述されたセンサ電極(221~229,231~236)のいずれかに対応しうる。したがって、センサ電極(305~307)は全て同じ列にあってもよい。あるいは、センサ電極(305~307)の少なくとも2つが異なる列にあってもよい。
【0037】
また
図3Aに示されたように、複数のAFE(例えば、AFE(399)、AFE(398))がある。AFE(398,399)はそれぞれ、
図2に関して前述されたAFE(271~273)のいずれかに対応しうる。AFE(399)は、演算増幅器(315)、電流コンベア(316)、及び付加処理回路(320)を含む。AFE(398)は、本質的にAFE(399)と同じ構成要素を有しうる。更に、検出信号(310)は、AFE(398,399)内の演算増幅器(例えば、演算増幅器(315))の非反転端子に印加される。
【0038】
更に
図3Aを参照すると、センサ電極(307)とセンサ電極(305)は、AFE(398)とAFE(399)にそれぞれ結合される。したがって、センサ電極(305,307)は両方とも、検出信号(310)によって変調され、絶対静電容量検出を行うために利用される。具体的には、AFE(399)の電流I
OUTは、入力オブジェクトがある場合にその入力オブジェクトとセンサ電極(305)の静電容量結合を反映する。同様に、AFE(398)の電流I
OUT’は、入力オブジェクトがある場合にその入力オブジェクトとセンサ電極(307)との静電容量結合を反映する。センサ電極(306)は、実質的に検出信号(310)と同じ形状と位相を有するガード信号(311)によって駆動される。実際に、一以上の実施形態では、検出信号とガード信号は同じである。しかしながら、センサ電極(306)がAFEに結合されないので、センサ電極(306)は、現在、入力オブジェクトの存在を検出するために利用されていない。
【0039】
前述したように、
図3Aは、(i)AFEに結合され入力オブジェクトの存在を検出するために利用されている幾つかのセンサ電極(305,307)と、(ii)ガード信号によって変調されるがAFEに結合されておらず、入力オブジェクトの存在を検出するために利用されていない少なくとも1つのセンサ電極(306)を示す。一以上の実施形態では、入力装置(300)は、任意のセンサ電極(305~307)をAFE(398,399)に結合でき、任意のセンサ電極(305~307)をガード信号(311)で駆動できるスイッチ及び/又はマルチプレクサ(図示せず)を有しうる。
【0040】
一以上の実施形態で、センサ電極(305~307)を検出信号(310)及び/又はガード信号(311)で変調し、ガード信号をゲートライン及び/又はソースラインに印加することによって、入力装置(200)からある一定距離で(例えば、リモートアンテナによって)電磁放射が観察/測定されるようになりうる。
【0041】
図2に戻って参照すると、一以上の実施形態で、センサ電極(221~229,231~236)の幾つか又は全てが、トランス静電容量検出を行うために使用される(例えば、表示画面が更新されないとき)。トランス静電容量検出中、センサ電極(221~229,231~236)の幾つかがレシーバ電極として働き、センサ電極(221~229,231~236)の幾つかがトランスミッタ電極として働き、そのような電極対に印加される電圧の差が生成される。例えば、トランス静電容量検出の際、偶数(又は奇数)列の各センサ電極がレシーバ電極として働きうる。残りの列のセンサ電極は、トランスミッタ電極として働きうる。
【0042】
図3Bは、一以上の実施形態によるトランス静電容量検出用に構成された入力装置(200)を示す。
図3Bに示されたように、複数のトランスミッタ(Tx)電極(即ち、Tx電極(367)、Tx電極(368)、Tx電極(369))及び複数のレシーバ(Rx)電極(即ち、Rx電極(355)、Rx電極(356)、Rx電極(357))がある。TX電極はそれぞれ、回路要素の例である。Txセンサ電極(367~369)はそれぞれ、
図2に関して前述されたセンサ電極(221~229,231~236)のいずれかに対応しうる。同様に、Rx電極(355~357)はそれぞれ、
図2に関して前述されたセンサ電極(221~229,231~236)のいずれかに対応しうる。各列は、Tx電極とRX電極の両方を有しうる。あるいは、単一列は、Tx電極のみ又はRx電極のみを有しうる。
【0043】
図3Bにも示されたように、複数のAFE(例えば、AFE(391),AFE(392))がある。AFE(391,392)はそれぞれ、
図2に関して前述されたAFE(271~273)のいずれか、又は
図3Aに関して前述されたAFE(399)に対応しうる。更に、ガード信号(311)は、AFE(391,392)内の演算増幅器の非反転端子に印加される。
【0044】
更に
図3Bを参照すると、Rx電極(355)とRx電極(357)はそれぞれAFE(391)とAFE(392)に結合される。したがって、Rx電極(355,357)は両方とも、ガード信号(310)によって変調され、トランス静電容量検出を行うために利用される。具体的には、AFE(391)の電流I
OUT1は、入力オブジェクトがある場合はその入力オブジェクトによるRx電極(355)とTx電極(367~369)の1つ以上との間の静電容量結合の変化を反映する。同様に、AFE(392)の電流I
OUT2は、入力オブジェクトが存在する場合はその入力オブジェクトによるRx電極(357)とTx電極(367~369)の1つ以上との間の静電容量結合の変化を反映する。Rx電極(356)もガード信号(311)によって変調される。しかしながら、センサ電極(356)がAFEに結合されていないので、センサ電極(356)は、このとき入力オブジェクトの存在を検出するために利用されない。
【0045】
一以上の実施形態では、Rx電極(355~357)をガード信号(311)で変調すると、入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定されうる(例えば、リモートアンテナによって)。また、ガード信号(311)は、電磁放射の観察/測定に寄与しうるゲートライン及び/又はソースラインに印加されうる。
【0046】
一以上の実施形態で、駆動回路(245)は、Tx電極(355~357)に直流信号を印加する機能を有する。追加又は代替として、
図3Bに示されたように、駆動回路(245)は、ガード信号(370)の反転バージョンをTx電極(367~369)に印加する(即ち、トランスミッタ電極を変調する)機能を有する。ガード信号(311)及びガード信号の反転バージョンは、同じか又はほぼ同じ周波数(370)を有しうる。しかしながら、ガード信号(311)とガード信号(370)の反転バージョンは、位相がずれ(例えば、180度位相ずれ)、異なる振幅を有してもよい。Rx電極(355~357)をガード信号(311)で変調している間にトランスミッタ電極(367~369)をガード信号(370)の反転バージョンで変調することによって、トランス静電容量検出を行いながら、(例えば、リモートアンテナによって)入力装置(200)からある一定距離で観察/測定される電磁放射も緩和(例えば、低減又は相殺)できる。
【0047】
一以上の実施形態で、入力装置(300)は、任意の電極(355~357,367~369)を任意のAFE(391,392)に結合し、任意のセンサ電極(355~357,367~369)をガード信号(311)又はガード信号(370)の反転バージョンで駆動できるスイッチ及び/又はマルチプレクサを有しうる。したがって、センサ電極をトランスミッタ電極又はレシーバ電極として動作できる。
【0048】
図2に戻って参照すると、一以上の実施形態では、複数のセンサ電極がレシーバ電極として働くが、所定の時間(例えば、T1)にトランス静電容量検出を行うためにレシーバ電極のサブセットしか使用されない。次に、時間T2で、トランス静電容量検出を行うためにレシーバ電極の別のサブセットが使用される。次に、時間T3で、トランス静電容量検出を行うためにレシーバ電極の更に別のサブセットが使用される。この走査シーケンスは、トランス静電容量検出が検出領域(120)全体(又は、その一部)にわたって行われるまで続きうる。各時点(即ち、T1、T2、T3など)で、トランス静電容量検出を行うために使用されるレシーバ電極は、単一AFEに結合されうる。
【0049】
一以上の実施形態で、複数のレシーバ電極を単一AFEに結合することによって、入力装置は、検出領域の近接検出のために信号対雑音比を高めうる。更に、AFEをマトリクス内の列の特定のサブセット内のレシーバ電極だけに対応させると、配線占有面積とノイズ感受性を減少させることによって、ガラス上又はシリコン内のアナログトレースの長さを最小にできる。
【0050】
図4Aと
図4Bは、一以上の実施形態による例示的な走査シーケンスを示す。
図4Aと
図4Bで、センサ電極が8×5マトリクスを構成すると仮定する。3列のトランスミッタ電極(即ち、TX列A(405A)、TX列B(405B)及びTX列C(405CC))がある。残りの2列にはレシーバ電極(即ち、RX列A(410A)、RX列B(410B))がある。例示的な走査シーケンスは、4つの異なる時間T1、T2、T3及びT4に行われる走査A(420)、走査B(422)、走査C(424)及び走査D(426)の4つの走査を含む。
【0051】
4つ全ての走査(420,422,424,426)で、TX列A(405A)、TX列B(405B)及びTX列C(405C)のトランスミッタ電極が、ガード信号の反転バージョン(INV Vguard)によって変調される。これらのトランスミッタ電極は、
図3BのTx電極(367~369)のいずれかに類似する。更に、4つの全ての走査で、レシーバ電極は全てガード信号(Vguard)で変調される。前述したように、トランスミッタ電極をガード信号の反転バージョン(INV Vguard)で変調することによって、レシーバ電極をガード信号(Vguard)で変調することにより生じる電磁放射を緩和できる。しかしながら、各走査(420,422,424,426)で、RX列A(410A)内の2つのレシーバ電極だけ(「AFE(Vguard)」と示された)と、RX列B(410B)の2つのレシーバ電極だけ(やはり「AFE(Vguard)」と示された)が、AFEに結合され、トランス静電容量検出に使用される。これらのレシーバ電極は、
図3Bに関して前述されたRx電極(357)又はRx電極(355)に類似する。各走査内の残りのレシーバ電極は、ガード信号で駆動されるが、AFEに結合されず、トランス静電容量検出を行うために利用されない。これらの残りのレシーバ電極は、
図3Bに関して前述されたRx電極(356)と類似する。
【0052】
図2に戻って参照すると、一以上の実施形態で、経路回路(297)は、絶対静電容量検出及び/又は相互静電容量検出の際に導電経路(299)をガード信号の反転バージョン(例えば、反転ガード信号(370))で変調する機能を有する。導電経路(299)をガード信号の反転バージョン(例えば、反転ガード信号(370))で変調することによって、入力装置(200)は、トランス静電容量検出又は絶対静電容量検出を行いながら入力装置(200)からある一定距離で(例えば、リモートアンテナによって)観察/測定される電磁放射を緩和(例えば、低減又は相殺)できる。
【0053】
一以上の実施形態で、導電経路(299)の抵抗は、温度と屈曲(例えば、入力装置(200)に加えられた屈曲力)の両方による影響を受ける。したがって、経路回路(297)は、入力装置(200)に加えられる温度変化及び/又は屈曲力の評価に使用される導電経路(299)の抵抗又は抵抗変化を決定する機能も有しうる。これらの評価は、表示を更新し(例えば、温度を補償するために表示ガンマ曲線を調整する)かつ/又は入力オブジェクトの位置を決定する因子でよい。
【0054】
一以上の実施形態で、経路回路(297)は、トランス静電容量検出中に導電経路(299)をガード信号の反転バージョンで変調する機能を有する。前述したように、レシーバ電極をガード信号で変調している間に導電経路(299)をガード信号の反転バージョンで変調することによって、入力装置(200)からある一定距離で(例えば、リモートアンテナによる)観察/測定される電磁放射を緩和(例えば、低減又は相殺)できる。
【0055】
図5は、一以上の実施形態による静電容量検出用に構成された入力装置(200)を示す。
図5に示されたように、センサ電極(505)がAFE(599)に結合され、センサ電極(506)がAFE(598)に結合される。センサ電極(505,506)はそれぞれ、
図2に関して前述されたセンサ電極(221~229,231~236)のいずれかに対応しうる。AFE(598,599)はそれぞれ、やはり
図2に関して前述されたAFE(271~273)のいずれかに対応しうる。
【0056】
図5に示されたように、AFE(599)は、演算増幅器(515)、電流コンベア(516)、及び付加処理回路(520)を含む。AFE(598)は、AFE(599)に類似した構成要素を有する。AFE(599)は、センサ電極(505)をガード信号(511)で変調する。ガード信号(511)は、矩形波、正弦波、三角波などの周期信号でよい。AFE(598)は、センサ電極(506)をガード信号(570)の反転バージョンで変調する。ガード信号(511)とガード信号(570)の反転バージョンは、同じ周波数を有してもよいが、異なる振幅を有してもよくかつ/又は位相ずれ(例えば、180度位相ずれ)でもよい。センサ電極(505)とセンサ電極(506)は両方とも静電容量検出に利用されうる。具体的には、電流I
Xは、入力オブジェクトのセンサ電極(505)への接近によるセンサ電極(505)とセンサ電極(506)の間の静電容量結合の変化を反映する。同様に、電流I
Yは、入力オブジェクトのセンサ電極(506)への接近によるセンサ電極(505)とセンサ電極(506)の間の静電容量結合の変化を反映し、また、様々な信号(即ち、ガード信号(511)とガード信号(570)の反転バージョン)によって駆動されるセンサ電極(506)とゲートライン(576)の間の静電容量によって生じる電流を含む。
【0057】
一以上の実施形態では、センサ電極(505)をガード信号(511)で変調すると、入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定されうる(例えば、リモートアンテナによって)。また、ガード信号(511)は、電磁放射の観察/測定に寄与しうるゲートライン及び/又はソースラインに印加されうる。センサ電極(506)をガード信号(511)の反転バージョンで変調することによって、入力装置(200)全体又は1対のセンサ電極(505)及び(506)を含むセンサ電極のサブセットから測定される電磁放射を緩和(即ち、低減又は相殺)できる。
【0058】
前述したように、入力装置(200)は、複数のゲートラインを備えてもよく、ガード信号(511)がゲートラインに印加されてもよい。
図5で、ゲートライン(575)は、センサ電極(505)とセンサ電極(506)の両方の下(又は上)を通る。しかしながら、センサ電極(506)をガード信号の反転バージョンで変調している間にゲートライン(575)がガード信号(511)で駆動されるので、追加電流が生成される。したがって、電荷低減のために、より大きい粗ベースライン補正(CBC)が必要になる。
図3Bの構成がより大きいCBCを必要としないので、
図3Bは、
図5の構成の代替と見なされうる。
【0059】
図6は、一以上の実施形態によるフローチャートである。
図6のフローチャートは、入力装置(例えば、入力装置(200))を動作させる方法を表す。
図6のステップの1つ以上は、
図2に関して前述された処理システム(210)の構成要素によって実行されうる。一以上の実施形態で、
図6に示されたステップの1つ以上が、
図6に示された順序とは異なる順序で省略され、繰り返され、及び/又は実行されうる。したがって、本発明の範囲は、
図6に示されたステップの特定の配列に限定されると考えられるべきでない。
【0060】
最初に、入力装置が得られる(ステップ600)。入力装置は、複数のセンサ電極と、センサ電極を取り囲む導電経路とを含む。導電経路は、間にギャップを有する1つ以上の区分から構成されうる。必要に応じて、入力装置は、導電経路とセンサ電極の間にある接地経路を含みうる。入力装置は、表示画面を、その表示画面を更新するために使用されるゲートラインとソースラインと共に含みうる。更に、センサ電極の全て又は幾つかは、表示画面の更新にも関与するVCOM区分に対応しうる。
【0061】
ステップ610で、センサ電極の幾つか又は全てが、静電容量検出(例えば、絶対静電容量検出、相互静電容量検出)を行うために使用される。これは、センサ電極(又は、相互静電容量検出の場合はレシーバ電極)を検出信号(例えば、正弦波、矩形波、三角波など)で変調することを含む。センサ電極を検出信号で変調すると、入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定される(例えば、リモートアンテナによって)。静電容量検出は、入力画面がある場合にその入力画面が更新していないときに行われうる。
【0062】
ステップ620で、静電容量検出中に、ガード信号が、ゲートライン及び/又はソースラインにも印加されうる。ガード信号は、実質的に検出信号に類似した振幅と位相でよい。ガード信号をゲートライン及び/又はソースラインに印加することによって、センサ電極が、ゲートライン及び/又はソースラインと静電容量結合する可能性が低くなり、したがって、処理システムが入力オブジェクトの存在を誤識別する可能性が低くなる。ゲートラインをガード信号で変調すると、やはり入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定されうる(例えば、リモートアンテナによって)。
【0063】
ステップ630で、電磁放射を緩和する試みが行われる。具体的には、これは、導電経路をガード信号の反転バージョンで変調することを含む。ガード信号の反転バージョンは、ガード信号と同じか実質的に同じ周波数を有してもよいが、ガード信号と位相がずれてもよく(例えば、位相ずれ180度)、ガード信号と異なる振幅を有してもよい。導電経路をガード信号の反転バージョンで変調することにより、センサ電極とゲートラインの変調によって生じる電磁放射を緩和(即ち、低減又は相殺)する電磁放射が生成される。
【0064】
図7は、一以上の実施形態によるフローチャートである。
図7のフローチャートは、入力装置(例えば、入力装置(200))を動作させる方法を表す。
図7のステップの1つ以上は、
図2に関して前述された処理システム(210)の構成要素によって実行されうる。一以上の実施形態で、
図7に示されたステップの1つ以上が、
図7に示された順序とは異なる順序で省略され、繰り返され、及び/又は実行されうる。したがって、本発明の範囲は、
図7に示されたステップの特定の配列に限定されると考えられるべきでない。
【0065】
最初に、入力装置が得られる(ステップ700)。入力装置は、処理システムのAFEに結合された複数のセンサ電極を含む。入力装置はまた、表示画面を、その表示画面を更新するために使用されるゲートラインとソースラインと共に含みうる。更に、センサ電極の全て又は幾つかは、表示画面の更新にも関与するVCOM区分に対応しうる。
【0066】
ステップ710で、センサ電極の幾つか又は全てが、相互静電容量検出を行うために使用される。これは、センサ電極の幾つかをガード信号で変調することを含みうる。センサ電極をガード信号で変調すると、入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定されうる(例えば、リモートアンテナによって)。静電容量検出は、入力画面がある場合はその入力画面が更新していないときに行われる。
【0067】
ステップ720で、相互静電容量検出中、ガード信号が、ゲートライン及び/又はソースラインにも印加されうる。ガード信号をゲートライン及び/又はソースラインに印加することによって、センサ電極が、ゲートライン及び/又はソースラインと静電容量結合する可能性が低くなり、したがって、処理システムが入力オブジェクトの存在を誤識別する可能性が低くなる。ゲートラインをガード信号で変調すると、入力装置(200)からある一定距離で電磁放射が観察/測定されうる(例えば、リモートアンテナによって)。
【0068】
ステップ730で、電磁放射を緩和する試みが行われる。具体的には、これは、センサ電極の幾つかをガード信号の反転バージョンで変調することを含む。電極をガード信号の反転バージョンで変調すると、センサ電極(及びゲートライン)をガード信号で変調することによって生じる電磁放射を緩和(即ち、低減又は相殺)する電磁放射が生成される。
【0069】
以上、本明細書に示された実施形態及び例は、様々な実施形態及びその特定の応用例を最もよく説明し、それにより当業者が本発明を作成し使用できるようにするために提示された。しかしながら、当業者は、以上の説明及び例が、単に説明と例のために提示されたことを理解するであろう。以上の説明は、網羅的ではなく、開示された厳密な形態に限定するものでもない。
【0070】
多くの実施形態について述べてきたが、この開示の利益を有する当業者は、範囲を逸脱しない他の実施形態を考案できることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
200 入力装置
210 処理システム
221~229、231~236 センサ電極
245 駆動回路
255 検出回路
271 アナログフロントエンドA
272 アナログフロントエンドB
273 アナログフロントエンドC
297 経路回路
298 接地経路
299 導電経路