(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240315BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
(21)【出願番号】P 2019219775
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 朋
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160055(JP,A)
【文献】特開2014-146372(JP,A)
【文献】特開2017-059100(JP,A)
【文献】特開2015-041206(JP,A)
【文献】特開2017-182317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、
車両から送信される、車両の走行軌跡を含む走行ロ
グに基づいて前記車両が所定の施設へ立ち寄った履歴を示す履歴情報
から特典を集計し、
前記車両のユーザが
会員である場合、
集計した前記特典を付与する一方、
前記車両のユーザが前記
会員ではない場合、
前記会員であれば付与可能な前記特典
を記憶部に記憶
するとともに、前記会員になることを促す情報として前記記憶部に記憶されている前記特典の情報を前記車両のユーザに提供する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記会員ではない場合に前記車両のユーザに提供される前記特典の情報は、前記記憶部に記憶されている前記会員であれば付与されるポイント数である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記
制御部は、
前記走行ログに基づいて前記所定の施設までの経由地を示す経由地情報を抽出し、
抽出
した前記経由地情報に応じて前記特典を付与する
、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記
制御部は、
前記車両の運転に関する運転情報に応じて前記特典を付与する
、
請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記
制御部は、
前記所定の施設で利用可能なポイントを前記特典として付与する
、
請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
車両から送信される、車両の走行軌跡を含む走行ロ
グに基づいて前記車両が所定の施設へ立ち寄った履歴を示す履歴情報
から特典を集計し、
前記車両のユーザが
会員である場合、
集計した前記特典を付与する一方、
前記車両のユーザが前記
会員ではない場合、
前記会員であれば付与可能な前記特典
を記憶部に記憶
するとともに、前記会員になることを促す情報として前記記憶部に記憶されている前記特典の情報を前記車両のユーザに提供すること、
を
情報処理装置が行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば商業施設など所定の施設に立ち寄ったユーザに対して、施設等で利用できるポイントを付与する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、例えばポイントなどの特典の利便性を向上させるという点で改善の余地があった。
【0005】
すなわち、例えばユーザが特典の付与を受けるには、会員の登録を行って認証用のカード等を施設に持参する必要がある。しかしながら、ユーザがカードを忘れた場合、特典の付与を受けるための処理は、ユーザにとって煩わしく不便であった。また、会員の登録を行っていないユーザは、特典の付与を受けることができず、結果として特典の利便性を低下させるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所定の施設に関する特典の利便性を向上させることができる情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報処理装置において、収集部と、抽出部と、付与部とを備える。収集部は、車両から送信される、車両の走行軌跡を含む走行ログを収集する。抽出部は、前記収集部によって収集された走行ログに基づいて前記車両が所定の施設へ立ち寄った履歴を示す履歴情報を抽出する。付与部は、前記抽出部によって抽出された前記履歴情報に基づき、前記所定の施設に関する特典であって、所定のユーザが利用可能な前記特典を付与する。また、前記付与部は、前記車両のユーザが前記所定のユーザである場合、前記特典を付与する一方、前記車両のユーザが前記所定のユーザではない場合、付与可能な前記特典を集計して記憶部に記憶しておく。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の施設に関する特典の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、情報処理装置を含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理装置および情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.情報処理方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る情報処理方法の概要について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す図である。
【0012】
実施形態に係る情報処理方法は、例えば情報処理システム1に含まれる情報処理装置20によって実行される。具体的に説明すると、
図1に示すように、情報処理システム1は、車載装置10と、上記した情報処理装置20とを備える。
【0013】
車載装置10は、車両Cに搭載される。車載装置10は、例えばナビゲーション装置である。ナビゲーション装置である車載装置10には、GPS(Global Positioning System)受信機などが含まれ、例えばGPS衛星からの信号に基づいて車両Cの位置を示す車両位置情報を検出する。そして、車載装置10は、例えば車両CのユーザA(例えば運転者など)から目的地が入力されると、目的地までの経路案内を行う。なお、車載装置10は、ナビゲーション装置に限定されるものではなく、例えばドライブレコーダなど、車両位置情報を検出可能な装置であれば、その他の種類の装置であってもよい。
【0014】
ここで、車載装置10は、検出される車両位置情報に基づいて、車両Cの走行軌跡を含む走行ログを生成することができる。車載装置10は、生成された走行ログを定期的にあるいは不定期に情報処理装置20へ送信する(アップロードする)。
【0015】
情報処理装置20は、所定の施設に関する特典を付与する処理など各種の処理を実行可能なサーバである。ここで、
図1では、所定の施設が店舗Bである場合を例に挙げて説明を行う。なお、店舗Bは、所定の施設の一例であり、例えば商業施設であるが、これに限定されるものではない。すなわち、所定の施設は、公共施設やスポーツ施設などその他の種類の施設であってもよい。
【0016】
また、店舗B(所定の施設)に関する特典は、例えば店舗Bで利用可能なポイントであるが、これに限られず、店舗Bで利用可能なクーポンなどその他の種類の特典であってもよい。なお、上記したポイントやクーポンなどの特典は、例えば、店舗Bでの決済に利用することができるが、これに限定されるものではなく、サービスなどに利用してもよい。
【0017】
また、ここでは、上記した特典は、予め登録された会員に付与され、かかる会員が特典を利用することができるものとする。なお、会員は、所定のユーザの一例である。また、ここでは、特典を付与する条件の一つが、店舗Bへの立ち寄りである例を用いて説明を行う。
【0018】
本実施形態に係る情報処理装置20にあっては、上記した特典の利便性を向上させることができる構成とした。詳しく説明すると、情報処理装置20は、車両Cの車載装置10から送信される走行ログを収集する(ステップS1)。
【0019】
次いで、情報処理装置20は、収集された走行ログに基づいて車両Cが店舗Bへ立ち寄った履歴を示す履歴情報を抽出する(ステップS2)。
【0020】
次いで、情報処理装置20は、車両CのユーザAが会員であるか否かを判定する(ステップS3)。なお、情報処理装置20には、ユーザAが会員であるか否かを示す会員情報と、ユーザAの車両Cに搭載される車載装置10の情報とが対応付けられて、特典情報(後述)として予め記憶されているものとする。従って、情報処理装置20は、かかる特典情報と、収集した走行ログを送信した車載装置10の情報とに基づいて、車両CのユーザAが会員であるか否かを判定することができる。
【0021】
情報処理装置20は、車両CのユーザAが会員である場合、抽出された履歴情報に基づいて特典を付与する(ステップS4)。例えば、情報処理装置20は、履歴情報に含まれる、ユーザA(正確には車両C)が店舗Bへ立ち寄った回数や立ち寄った時間などに応じた特典を付与する。
【0022】
これにより、本実施形態にあっては、ユーザAは、従来技術のような認証用のカード等を店舗Bに持参することなく、特典が付与されることになるため、カードを忘れた場合の処理が不要となり、よって特典の利便性を向上させることができる。
【0023】
ここで、車両CのユーザAが会員ではない場合について説明する。
図1に破線で示すように、情報処理装置20は、車両CのユーザAが会員ではない場合、履歴情報に基づいて、仮にユーザAが会員だったときに付与可能な特典を集計して記憶部50(
図3参照)に記憶しておく(ステップS5)。
【0024】
そして、情報処理装置20は、例えば、ユーザAが後日、登録を行って会員になった場合、記憶部50に記憶しておいた特典をユーザAへ付与する(ステップS6)。
【0025】
このように、本実施形態にあっては、ユーザAが会員になる前の特典を集計して記憶しておくため、ユーザAは、会員になる前の特典について、会員になることで付与を受けることが可能となり、よって特典の利便性を向上させることができる。
【0026】
<2.情報処理装置を含む情報処理システムの構成>
次に、実施形態に係る情報処理装置20を含む情報処理システム1の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、情報処理装置20を含む情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2などのブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0027】
換言すれば、
図2などのブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0028】
図2に示すように、情報処理システム1は、上記した車載装置10と、情報処理装置20とを含み、これらはインターネット網などの通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0029】
車載装置10は、上記したように、車両Cの走行ログを情報処理装置20へ送信する。また、車載装置10は、情報処理装置20から送信される各種の情報を受信することができる。例えば、車載装置10は、情報処理装置20からのメッセージ情報を受信することができる。そして、車載装置10は、受信したメッセージ情報を図示しないディスプレイやスピーカを介して出力し、ユーザAへ提供することができる。また、車載装置10は、車両Cの運転に関する運転情報(後述)を情報処理装置20へ送信することができる。なお、
図2の例では、車載装置10を2台示したが、これに限られず、1台であっても、3台以上であってもよい。
【0030】
次いで、情報処理装置20の構成について
図3を参照して具体的に説明する。
【0031】
<3.情報処理装置の構成>
図3は、情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、制御装置30とを備える。
【0032】
通信部21は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0033】
制御装置30は、制御部40と、記憶部50とを備える。制御部40は、収集部41と、抽出部42と、取得部43と、付与部44と、提供部45とを備える。
【0034】
ここで、制御装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0035】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部40の収集部41、抽出部42、取得部43、付与部44および提供部45として機能する。
【0036】
また、制御部40の収集部41、抽出部42、取得部43、付与部44および提供部45の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0037】
また、記憶部50は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部50には、走行ログ51、特典情報52、各種プログラムなどが記憶される。
【0038】
走行ログ51は、車両Cの車載装置10から送信されて収集した走行ログを示す情報である。
【0039】
ここで、
図4を用いて、走行ログ51について説明する。
図4は、走行ログ51の一例を示す図である。
図4に示すように、走行ログ51には、「走行ログID」、「車載装置」および「走行ログ情報」等の項目が含まれる。
【0040】
「走行ログID」は、走行ログを識別する識別情報である。「車載装置」は、走行ログを送信した車載装置10に関する情報であり、車載装置10を識別することができる情報である。なお、
図4に示す例では、便宜上、「車載装置」を「車載装置E1」といったように抽象的な記載とするが、「車載装置E1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0041】
「走行ログ情報」は、車両Cの走行ログに関する情報である。例えば、走行ログに関する情報には、車両Cの走行軌跡、走行時間、車両Cの位置を示す位置情報、車両Cが当該位置に所在した時刻(日時)を示す時刻情報(日時情報)などの情報が含まれる。
【0042】
図4に示す例において、走行ログID「D01」で識別されるデータは、車載装置が「車載装置E1」、走行ログ情報が「走行ログ情報F1」であることを示している。
【0043】
図3の説明に戻ると、特典情報52は、特典に関する情報である。ここで、
図5を用いて、特典情報52について説明する。
図5は、特典情報52の一例を示す図である。
図5に示すように、特典情報52には、「特典ID」、「車載装置」、「会員情報」、「履歴情報」、「経由地情報」、「運転情報」および「特典情報」等の項目が含まれる。
【0044】
「特典ID」は、特典情報を識別する識別情報である。「車載装置」は、上記したように、走行ログを送信した車載装置10に関する情報である。「会員情報」は、車載装置10が搭載された車両CのユーザAが会員登録を行ったか否かを示す情報である。なお、会員情報において、「登録済み」は、対応するユーザAが会員登録を行った会員であることを示し、「未登録」は、対応するユーザAが会員登録を行っていないこと、すなわち非会員であることを示している。
【0045】
「履歴情報」は、ユーザA(正確には車両C)が店舗Bへ立ち寄った履歴を示す情報である。なお、履歴情報には、ユーザA(正確には車両C)が店舗Bへ立ち寄った回数、立ち寄った時間(日時)などの情報が含まれるが、これらは例示であって限定されるものではなく、店舗Bに滞在した時間など立ち寄りに関する各種の情報が含まれてもよい。
【0046】
「経由地情報」は、車両Cが店舗Bへ立ち寄るまでの経由地を示す情報である。経由地情報は、例えば走行ログから抽出される情報である。また、経由地としては、例えば、店舗Bに関連する場所であり、具体的には店舗Bと競合する店舗や、店舗Bの姉妹店などであるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
「運転情報」は、車両Cの運転に関する運転情報である。例えば、運転情報には、アイドリング時間や、急発進、急ブレーキ動作の有無などの情報が含まれる。かかる情報は、例えば車両Cにおいて行われている省エネ運転(エコ運転)の度合いを示す。すなわち、運転情報において、アイドリング時間が短く、急発進や急ブレーキ動作が無い場合、省エネ運転の度合いが高いとされる。
【0048】
「特典情報」は、店舗Bの特典を示す情報である。例えば、
図5において、車載装置E1が搭載される車両CのユーザAは、会員登録済みであるため、特典情報には、かかるユーザAに付与される特典の情報が含まれる。他方、車載装置E2が搭載される車両CのユーザAは、会員情報が未登録であるため、特典情報には、仮にかかるユーザAが会員だったときに付与可能な特典が集計されて記憶される情報が含まれる。
【0049】
図5に示す例において、特典ID「G01」で識別されるデータは、車載装置が「車載装置E1」、会員情報が「登録済み」、履歴情報が「履歴情報J1」、経由地情報が「経由地情報K1」、運転情報が「運転情報L1」、特典情報が「特典情報M1」であることを示している。
【0050】
図3の説明に戻ると、制御部40の収集部41は、車両Cの車載装置10から送信される走行ログを収集する。収集部41は、収集した走行ログを記憶部50に走行ログ51として記憶させる。
【0051】
抽出部42は、記憶部50に記憶される走行ログ51を読み出し、収集された走行ログに基づいて車両Cが店舗Bへ立ち寄った履歴を示す履歴情報を抽出する。例えば、抽出部42は、車両Cが店舗Bを含む所定範囲に進入した走行軌跡や位置情報が走行ログに含まれる場合、車両Cが店舗Bへ立ち寄ったと推定し、履歴情報として抽出する。抽出部42は、抽出された履歴情報を記憶部50に特典情報52として記憶させる。
【0052】
抽出部42は、走行ログに基づいて店舗Bまでの経由地を示す経由地情報を抽出する。抽出部42は、抽出された経由地情報を記憶部50に特典情報52として記憶させる。
【0053】
取得部43は、車載装置10から、車両Cの運転に関する運転情報を取得する。車載装置10は、取得された運転情報を記憶部50に特典情報52として記憶させる。
【0054】
付与部44は、記憶部50に記憶された特典情報52を読み出し、履歴情報に基づいて特典を付与する。例えば、付与部44は、履歴情報に基づいて特典を集計し、車両CのユーザAが会員である場合、集計された特典を付与する。これにより、特典の利便性を向上させることができることは、既に述べた通りである。
【0055】
付与部44は、車両CのユーザAが会員ではない場合、すなわち、車両CのユーザAが非会員である場合、付与可能な特典を集計して記憶部50に記憶しておくことができる。そして、付与部44は、例えば、かかるユーザAが後日、登録を行って会員になった場合、記憶部50に記憶しておいた特典をユーザAへ付与することができる。これにより、かかるユーザAは、会員になる前の特典について、会員になることで付与を受けることが可能となり、よって特典の利便性を向上させることができる。
【0056】
付与部44は、経由地情報に応じて特典を付与してもよい。例えば、付与部44は、経由地情報に、店舗Bに関連する場所であって、例えば店舗Bと競合する店舗が含まれる場合、競合する店舗に行ったにもかかわらず、その後店舗Bに来店してくれたと推定できるため、特典を加算(アップ)させて付与してもよい。これにより、ユーザAは、店舗Bに来店するメリットを得ることができるため、ユーザAの次回の来店につなげることが可能となる。
【0057】
付与部44は、運転情報に応じて特典を付与してもよい。例えば、付与部44は、運転情報に含まれる、省エネ運転の度合いが高いほど特典を加算(アップ)させて付与してもよい。これにより、例えば、店舗Bの駐車場内におけるアイドリング時間の低減を促すことが可能となって、駐車場の空気環境を改善でき、結果として店舗Bへの次回の来店につなげることが可能となる。
【0058】
付与部44は、店舗Bで利用可能なポイントを特典として付与する。これにより、ユーザAは、店舗Bでポイントを利用することができるため、特典の利便性をより一層向上させることができる。
【0059】
提供部45は、車両CのユーザAが会員ではない場合、当該車両CのユーザAに対して会員になることを促す情報を提供する。例えば、提供部45は、特典情報に基づき、ユーザAが会員ではなく、当該ユーザAに対して付与可能な特典が記憶部50に記憶されている場合、上記した会員になることを促す情報を提供することができる。具体的には、提供部45は、会員になることを促すメッセージ情報を車載装置10へ送信し、車載装置10では、受信したメッセージ情報をディスプレイ等を介して出力し、ユーザAへ提供する。なお、このとき、提供部45は、記憶部50に記憶されている特典の情報(例えば、現時点で貯まっているポイント数など)をメッセージ情報に含ませてもよい。
【0060】
これにより、メッセージ情報が提供されたユーザAは、会員登録しやすくなり、結果として会員数の増加を図ることができる。
【0061】
<4.実施形態に係る情報処理装置の制御処理>
次に、情報処理装置20における具体的な処理手順について
図6を用いて説明する。
図6は、情報処理装置20が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
図6に示すように、情報処理装置20の制御部40は、車両Cから送信される走行ログを収集する(ステップS10)。次いで、制御部40は、走行ログに基づいて車両Cが店舗Bへ立ち寄った履歴を示す履歴情報を抽出する(ステップS11)。
【0063】
次いで、制御部40は、走行ログに基づいて店舗Bまでの経由地を示す経由地情報を抽出する(ステップS12)。次いで、制御部40は、車両Cの運転に関する運転情報を取得する(ステップS13)。次いで、制御部40は、上記した履歴情報、経由地情報、運転情報などに基づいて、特典を集計する(ステップS14)。
【0064】
次いで、制御部40は、ユーザAが会員登録済みであるか否かを判定する(ステップS15)。制御部40は、ユーザAが会員登録済みであり、店舗Bの会員と判定された場合(ステップS15,Yes)、集計された特典をかかるユーザAに付与する(ステップS16)。
【0065】
他方、制御部40は、ユーザAが会員登録済みではない、すなわち店舗Bの会員ではない判定された場合(ステップS15,No)、集計された特典を記憶部50に記憶しておく(ステップS17)。
【0066】
次いで、制御部40は、会員になることを促すメッセージ情報をユーザAの車載装置10に対して送信する(ステップS18)。
【0067】
次いで、制御部40は、メッセージ情報が送信されたユーザAが会員登録されたか否かを判定する(ステップS19)。制御部40は、ユーザAが会員登録されたと判定された場合(ステップS19,Yes)、ステップS16に進み、記憶部50に記憶しておいた特典をユーザAに付与する。一方、制御部40は、ユーザAが会員登録されていないと判定された場合(ステップS19,No)、そのまま処理を終了する。
【0068】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置20は、収集部41と、抽出部42と、付与部44とを備える。収集部41は、車両Cから送信される、車両Cの走行軌跡を含む走行ログを収集する。抽出部42は、収集部41によって収集された走行ログに基づいて車両Cが所定の施設へ立ち寄った履歴を示す履歴情報を抽出する。付与部44は、抽出部42によって抽出された履歴情報に基づき、所定の施設に関する特典であって、所定のユーザが利用可能な特典を付与する。また、付与部44は、車両Cのユーザが所定のユーザである場合、特典を付与する一方、車両Cのユーザが所定のユーザではない場合、付与可能な特典を集計して記憶部50に記憶しておく。これにより、所定の施設に関する特典の利便性を向上させることができる。
【0069】
なお、前述した実施形態では、車両Cの所定の施設への立ち寄りを、車両Cの位置情報から推定したが、これに限定されるものではない。すなわち、変形例としては、時刻情報を含め、車両Cの位置情報と滞在時間とに基づき、車両Cが所定の施設に立ち寄ったことを推定してもよい。このとき、例えば、車両Cが所定の施設を含む所定範囲に所定時間以上滞在している場合、ユーザAは駐車し、店舗B内に入ったと推定できるため、かかる条件が成立するときに特典を付与するように構成してもよい。
【0070】
また、上記した滞在時間を判定する閾値である所定時間を、車両CのユーザAが会員か非会員かに応じて変更してもよい。一例としては、ユーザAが会員であれば所定時間は短く設定され(例えば10分)、非会員であれば所定時間が長く設定されるようにする(例えば30分)。これにより、非会員のユーザAに対して会員になる動機付けを与えることができ、所定の施設に関する特典の利便性をより向上させることができる。
【0071】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理システム
10 車載装置
20 情報処理装置
41 収集部
42 抽出部
43 取得部
44 付与部
45 提供部