(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】生体情報認証を利用した音声調整卓
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
H04R3/00
(21)【出願番号】P 2019225132
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】浅海 毅
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-233769(JP,A)
【文献】特開2007-074094(JP,A)
【文献】特開平10-302073(JP,A)
【文献】特開2002-142286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00-3/14
H03G 1/00-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフェーダを備え前記フェーダに関する設定の変更が可能な音声調整卓であって、
さらに生体認証センサーを前記フェーダの操作部に備え、
前記操作部のひとつを音声調整のために操作者がその指で操作する際に、その操作部に備えられた生体認証センサーがその生体情報を検出して照合し、そのフェーダとその生体情報にあらかじめ関係づけられた設定にそのフェーダに関する設定を変更する音声調整卓。
【請求項2】
前記フェーダに関する設定は、前記複数のフェーダのリンク状態の変更である請求項1記載の音声調整卓。
【請求項3】
前記フェーダに関する設定は、前記複数のフェーダの操作トルクの調整又は操作クリック感の有無である請求項1記載の音声調整卓。
【請求項4】
各操作部に生体認証センサーを有する複数のフェーダを備え、前記フェーダに関する設定の変更が可能な音声調整卓の操作方法であって、
ひとつのフェーダの操作部を音声調整のために操作者が指で操作する際にその生体情報を検出するステップと、
前記検出した生体情報を認証するステップと、
前記認証した生体情報と前記フェーダにあらかじめ関係づけられた設定に前記フェーダの設定を変更するステップを含む音声調整卓の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声等の複数の音源を入力とし、これらの音のレベルを調整して出力する音声調整卓に関する。
【背景技術】
【0002】
音声調整卓は、複数のマイクや音源から音声や楽音などを入力とし、これらの音のレベルを望むバランスに調整して出力する装置である。放送局や録音スタジオなどで使用され、ミキサーとも呼ばれる。近年、デジタル化が目覚ましく様々な機能が付け加えられ、操作者は、状況に応じて瞬時に複数の音源に対応する正確なフェーダ操作が求められる。
【0003】
このため、音声調整卓は、フェーダ操作をできるだけ自動化して操作者の負担を軽減し、操作者が音量や音質の調整作業に集中できるように技術開発が進んでいる(特許文献1)。
このような観点から、音声調整卓は、フェーダに、フェーダリンク機能、フェーダトルク変化機能、クリック感付加機能などを加えるようになってきた。従来は、これらの機能の選択は、音声調整卓に設けられたスイッチボタンのオン・オフ操作や、音声調整卓のパネルに表示されたモニターのメニュー画面を開けて選択の設定・解除の操作を行っていた。
【0004】
たとえば、フェーダリンク機能を有効にした場合、
図1に示すように、ひとつのフェーダ(マスターフェーダ)を操作すると、一群のグルーピングされたフェーダ(フェーダグループ)をこれに追随させることができ、マスターフェーダの操作でフェーダグループの入力を同時に調整することができた。
【0005】
しかし、リンク機能を有効にしている場合にフェーダグループの入力の一つのチャネルのみのバランスを変化させたい場合(オフセット調整を行いたい場合)は、いったんリンク機能を解除するためにスイッチボタンなどで解除の操作をし、解除後に該当するフェーダを操作してオフセット調整を行い、その後またスイッチボタン操作を行ってリンク状態に復帰する必要があった。
【0006】
このため、本来のフェーダの操作ノブの上下操作に加えてフェーダに関する設定の解除のためのスイッチボタン操作が加わることにより、操作者にとって連続する複数のアクションが必要になり、煩雑であった。また、スイッチボタンによるリンク機能の切り替えではなく、音声調査卓の画面における設定変更の操作の場合であっても、モニターの選択画面を呼び出して設定を行い、それを保存するなどの煩雑な操作が求められることに変わりはなかった。したがって、このような場合の操作者の負荷軽減が求められるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的は、フェーダ操作の設定の変更などのフェーダの付加的操作を簡単に行うことができ、操作者に音声調整作業に集中できる環境を提供できる音声調整卓を提案することである。
【0009】
また、そのような音声調整卓の操作方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を達成するために提案されたものであって、下記の主要な構成からなる。
音声調整卓のフェーダの操作部に生体情報を識別/検出機能を有する生体認証センサーを備え、フェーダ操作時に生体情報を検出して認証し、あらかじめ蓄積している生体情報情報と照合して判定を行い、判定結果に対応する設定を選定し変更を行うこととした。生体認証センサーとしては、指紋センサー、静脈認証センサーなどを用いることができる。より、具体的には、以下のとおりである。
【0011】
(解決手段1)
複数のフェーダを備え前記フェーダに関連する設定の変更が可能な音声調整卓であって、さらに生体認証センサーの前記フェーダの操作部に備え、前記操作部のひとつを音声調整のために操作者がその指で操作する際に、その操作部に備えられた生体認証センサーがその生体情報を検出して照合し、そのフェーダとその生体情報にあらかじめ関係づけられた設定にそのフェーダに関する設定を変更する。
【0012】
これにより、フェーダに関する設定の変更をフェーダ操作時にすることができ、他の操作の必要がなくなる。したがって、操作者に音声調整作業に集中できる環境を提供できる。
【0013】
(解決手段2)
また、フェーダ関する設定は、複数のフェーダのリンク状態の変更であることが、好ましい。
【0014】
これにより、リンク機能のオン・オフなどのリンク状態の変更がワンアクションでできる。
【0015】
(解決手段3)
また、フェーダに関する設定は、複数のフェーダの操作トルクの調整又は操作クリック感の有無であることが好ましい。
【0016】
これにより、フェーダの操作トルクの調整又は操作クリック感の有無がワンアクションで変更できる。異なる操作者が同一の音声調整卓を操作する場合に、操作者の好みに合わせた設定が簡単にでき、操作者に音声調整作業に集中できる環境を提供できる。
【0017】
(解決手段4)
また、本発明は、複数のフェーダとその操作部に生体認証センサーを備え、複数のフェーダに関する設定の変更が可能な音声調整卓の操作方法であって、フェーダの操作部を操作者が指で操作する際にその生体情報を検出するステップと、検出した生体情報を認証するステップと、認証した生体情報を判定するステップと、判定に応じてフェーダにあらかじめ関係づけられた設定にフェーダの設定を変更するステップを含むことが特徴である。
【0018】
これにより、音声調整卓のフェーダに関する設定を簡単に変更することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のような構成により、音声調整卓のフェーダ設定に関する付加的操作を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】指紋を識別して照合し対応する設定を判定する、本発明の音声調整卓におけるフローを示す説明図である。
【
図2】指紋の識別により指の移動なく必要なフェーダ操作を可能にする本発明の一例を示す説明図である。
【
図3】従来の音声調整卓のフェーダ操作のリンク機能の説明図である。
【
図4】指紋センサーをフェーダの操作ノブに実装した状態を示す拡大説明図である。
【
図5】指紋認証操作とボタン操作の処理フローを示す概略フローチャートである。
【
図6】本発明の音声調整卓のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[概略全体構成]
本例は、生体認証センサーとして指紋センサーPをフェーダの操作部Nに実装した音声調整卓1である(
図4)。音声調整卓1は、複数のマイクや音源から音声や楽音を入力とし、これらの音のバランスを調整して出力する装置であって、複数の入力のレベルのバランスをとるためにフェーダFが複数備えられている。
図7に本例の音声調整卓1を示す。音声調整卓1は、操作者から見てその上部に大画面のディスプレイ1bが見やすいように立てた状態で設けられ、手前側には操作をしやすいように操作パネル1cが並べて設けられ操作面1aを構成している。各操作パネル1cは、それぞれ複数のフェーダが配置されている。たとえば、一つの操作パネル1cには、
図2に示すようにフェーダF10~F14が並べられて配置される。
【0022】
(従来例)
図3(a)に、従来例として音声調整卓に備えられた複数のフェーダF10´~F14´を示している。各フェーダF10´~F14´は、フェーダ相互の音のバランスが視覚的にとらえられるように同じ長さの直線上を上下に移動可能な操作ノブN10´~N14´が備えられている。操作ノブN10´~N14´は通常、上が音量大になり、下が音量小となるように設定されている。操作者は、この各操作ノブを手mの指(この図では、人差し指m2)を使って上下に操作して、入力される音のレベルのバランスを調整する。
【0023】
図3(b)を用いて従来例のフェーダのリンク機能を説明する。フェーダの操作時は、操作者は各操作ノブを指で操作する。このとき、入力される音の変化や演出のために、瞬時に操作が必要な場合が多い。一方、デジタル化の進展に伴い、フェーダ操作に関する多彩な機能についてなるべく少ないタッチで簡単に操作をする要請が強くなってきた。リンク機能もその一つであり、あるフェーダ(マスターフェーダ)を操作するとこれにあらかじめリンクさせているフェーダが同期する機能(リンク機能)である。
図3(b)に示すように,マスターフェーダF10´を指m2で操作して上側にノブN10´を移動すると、これとリンクする他のフェーダF11´~F13´も同期して移動し同じレベルとなる。すなわち、マスターフェーダF10´の操作で他のフェーダを操作することなく必要な操作が完了できる。一方、リンクされていないフェーダF14´はそのままにとどまっている。このリンク機能を用いるかどうかは、別途、音声調整卓に設けられた操作スイッチなどを操作する必要があった(たとえば、
図5のS112~S116参照)。本例では、このような別途の操作は必要がなく、ワンタッチで操作が完了する。
【0024】
(指紋センサー)
本例の指紋センサーPは、たとえば、市販されている静電容量式のセンサーを用いることができるが、それに限らず他の方式を用いてもよい。操作ノブNは指でスライドして移動させることによって当該フェーダの出力の大小を調整するものである。したがって、この用途と大きさに適するものであれば用いることができる。
静電容量式の指紋センサーの構造は、指紋を読み取る表面に保護膜があり、その下にたとえば、縦300画素×横300画素の電荷をためる微小な電極が50ミクロン間隔で2次元に展開されて埋め込まれている。保護膜を介して電極の上に指を置くと指紋が形成する微小な凹凸に応じてこれらの微小な電極の電荷が変化するため、これらの電荷の量を読み取り、2次元の情報としてデジタル変換される。
【0025】
図4に、本例の音声調整卓1のフェーダFに指紋センサーPを実装した状態を示す。フェーダFの操作ノブNは操作者の指によって操作されるため、
図4に示すように、ちょうど操作のために指が触れる箇所の表面に指紋センサーPを埋め込んで実装している。指紋センサーPの埋め込まれる位置は、指紋が検出しやすいように矩形の操作ノブNの上部に埋め込まれている。
また、
図2では、すべてのフェーダF10~F14に指紋センサーP10~P14を実装しているが、設定変更の数を勘案し一部のフェーダとしても差し支えない。
【0026】
[本例の音声調整卓のフェーダ制御の構成]
図6は、本例の音声調整卓1のフェーダ制御の機能ブロック図である。本例では、主フェーダ部10と主制御部20とで構成される。
フェーダ部10は、音声調整卓1の操作パネル(不図示)上に設けられている。主制御部20は、音声調整卓1の内部に収納されたマイクロコンピュータ(不図示)に実装されている。
【0027】
(主制御部)
主制御部20は、メモリ21と、認証部22と、照合部23と、フェーダ制御部24とから構成される。
メモリ21は、不揮発性メモリであって、照合時に必要な操作者の指の指紋データをあらかじめ採取して蓄積しておく。指紋データは、複数の操作者のものでもよく、また、指も人差し指のみならず中指など複数の指のものであってもよい。
認証部22は、フェーダ部10の指紋認証センサーPで読み取られた指紋のデータを受けて、読み取られたフェーダ情報とその指紋データの特徴点を抽出して認証する。特徴点は、たとえば、指紋パターンの中心点、三角洲状の箇所、単点、分岐点などである。
照合部23は、認証部22で認証されたフェーダ情報とその特徴点と、あらかじめメモリ21に登録しておいたフェーダ情報とその指紋データの特徴点を比較して、特徴点の種類、向き、中心点からの位置(座標)などから、重み付けなどの画像処理技術を用いて合致するものがあるか照合する。照合の結果、合致すると判定した場合は、登録された指紋情報に紐づいたフェーダ設定データを、フェーダ制御部24に伝達する。
フェーダ制御部24は照合部23から送られてきたフェーダ設定データに基づき、必要なフェーダ設定を、D/Aコンバーター30を介してフェーダ部10に送り各フェーダを制御する。
【0028】
[照合のアルゴリズム]
図1を用いて照合のアルゴリズムについて、さらに詳細に説明する。照合は、
図1に示すフローに沿って、
図6のシステム構成のもとに行われる。
【0029】
(S10)
まず、音声調整卓1が音声調整を開始する初期条件を満たしている場合(後述する
図5のS100)に、操作者がフェーダ部10のフェーダのノブに実装されている指紋センサーPに触れると、その指紋が指紋センサーPにより読み取られる。
【0030】
(S20)
読み取られた指紋は、認証部22でその特徴量が抽出されたのちに、照合部23でメモリ21に蓄積された設定情報に含まれる指紋情報と照合され、一致するものがあるかどうか順次確認される。具体的には、次の処理S22~S28のいずれかにおいて、どの操作者のどの指紋と一致するかを確認していく。
【0031】
(S22)
まず、S22に進み、メモリ21に蓄積された情報である操作者A氏の人差し指の指紋Aであるかを確認する。これと一致する場合は、設定Aが選択される。設定Aは、たとえば、フェーダF10をマスターフェーダとするフェーダF11~F13のリンク機能を設定することができる。一致しない場合は、次のS23に進む。
【0032】
(S23)
次に、S23に進むと、メモリ21に蓄積された情報である操作者A氏の中指の指紋Bであるか確認する。これと一致する場合は、設定Bが選択される。設定Bは,たとえば、フェーダF11をマスターフェーダとするリンク機能の設定を解除することができる。一致しない場合は、次のS24に進む。
【0033】
(S24)
次に、S24に進むと、今度は、メモリ21に蓄積された情報である操作者B氏の人差し指の指紋Cであるかを確認する。これと一致する場合は、設定Cが選択される。設定Cは、たとえば、フェーダF10をマスターフェーダとするフェーダF11~F13のリンク機能を設定することができる。一致しない場合は、次のS25に進む。
【0034】
(S25)
次に、S25に進むと、メモリ21に蓄積された情報である操作者B氏の中指の指紋Bであるか確認する。これと一致する場合は、設定Dが選択される。設定Dは,たとえばフェーダF11をマスターフェーダとするリンク機能の設定を解除することができる。一致しない場合は、次のS26に進む。
【0035】
(S26)
さらに、同様に操作者と指紋を特定し、異なる操作者C氏のいずれかの指の指紋Eであるかを確認する。これと一致する場合は、設定Eが選択される。設定Eは、たとえば、フェーダF10をマスターフェーダとするフェーダF11~F13のリンク機能を設定するものとしてもよいし、フェーダF11をマスターフェーダとするリンク機能の設定を解除するものとしてもよい。これ以外であっても、フェーダのレベル調整以外の付加的な機能について設定をすることができる。一致しない場合は、次の設定のステップに進んでもよい。いずれにしても登録された指紋と一致するかどうかを確認する任意の数の変更設定を設けることが可能である。
【0036】
[フェーダ設定の変更の操作手順]
図5に本発明の音声調整卓1のフェーダ設定に関するリンク機能の設定(フェーダグループ設定)を一時的に解除する操作手順例を、従来のスイッチボタンの操作と比較して示す。
(S100)
すでにリンク機能が設定されていることが前提で、操作者がその一時解除の操作を開始する。
【0037】
(S102)
この場合、フェーダに関する指紋認証を有効とする設定がされていることがさらに前提である。有効か否かは、たとえば、マスターフェーダとなるフェーダの指紋センサーから設定することも可能であるし、また、音声調整卓1のフェーダ設定を行う設定画面(不図示)などを通じて設定することも可能である。有効な場合は、S104に進み、有効でない場合は、S112に進む。
【0038】
(S104)
フェーダグループ設定が有効である場合に、その一時解除を行いたいフェーダの指紋センサーに操作者が触れると、指紋の読み取りが行われ、指紋が一致するかどうか判定される。一致する場合は、S106に進み、一致しない場合は、S110に進む。
【0039】
(S106)
一致すると判定される場合は、これに関連付けられた設定が選択され、当該フェーダはリンク機能が解除される。その結果、操作者は、リンク機能が解除された当該フェーダ単独のレベル調整の操作が可能になる。
【0040】
(S108)
操作が可能になった後、操作者は、フェーダに触れている指を移動させることなく、連続してそのフェーダのレベル調整を行う。なお、リンク機能を復帰させるには、たとえば、マスターフェーダの指紋センサーに別の指の指紋を読み取らせることなどで可能である。
【0041】
(S110)
S104で一致しない場合は、そのフェーダグループの設定を維持する。
【0042】
以上のように指紋認証を利用する操作(指紋認証操作)においては、操作者は、S104の操作を1回行えば完了することができる。操作者にとってみると、指の移動は1回なのでフェーダの主機能である音のレベル調整に集中しやすい環境と言える。
【0043】
次に、従来のスイッチボタン(チャネルアイソレートボタン)の操作が必要な場合を同図で説明する。
(S112)
この場合は、一時解除をしたいフェーダのチャネルアイソレートボタンを長押しする。長押しが必要な理由は、誤動作防止のためである。
【0044】
(S114)
同ボタンを長押しすると、当該フェーダはリンク機能が解除される。その結果、操作者は、リンク機能が解除された当該フェーダ単独のレベル調整の操作が可能になる。
【0045】
(S116)
その後、操作者は、チャネルアイソレートボタンから指を離し、調整の必要なチャネルを受け持つフェーダのスライド・ツマミ(ノブ)に指を移動させて、そのフェーダのレベルの調整を行う。なお、この場合もリンク機能を復帰させるには、たとえば、マスターフェーダの指紋センサーに別の指の指紋を読み取らせることなどで可能である。
【0046】
以上示したように、指紋認証操作とボタン操作を比較すると、指紋認証操作においては、S104~S106の操作で示すように調整したいチャネルを受け持つフェーダに指を1回移動させれば一時的な解除操作とレベル調整操作がワンアクションで可能である一方従来のチャネルアイソレートボタンによる一時的な解除操作と当該フェーダの調整操作が2つのアクションになる。
このため、本発明の音声調整卓の利点が明らかである。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について、生体認証センサーとして指紋センサーを例に挙げて実施例を説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。生体認証センサーとして、静脈認証センサーを利用することもできる。また、これらを併用しても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の音声調整卓は、放送局のスタジオのみならず、劇場やコンサートホール、さらには、野外のスタジアムなどの音声調整を必要とする場合に有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 音声調整卓、1a 操作面、1b モニター、1c 操作パネル
10 フェーダ部
20 主制御部
21 メモリ、22 認証部、23 照合部、 24フェーダ制御部
30 D/Aコンバーター
F フェーダ
F10,F11,F12,F13、F14 フェーダ
N 操作ノブ(操作部)
N10,N11,N12,N13,N14 操作ノブ(操作部)
P 指紋センサー(生体認証センサー)
P10,P11,P12,P13,P14 指紋センサー(生体認証センサー)
m 操作者の手
m2 操作者の人差し指
m3 操作者の中指
F10´ ,F11´,F12´,F13´、F14´ フェーダ(従来例)
N10´,N11´,N12´,N13´,N14´ 操作ノブ(従来例)