IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東邦インターナショナル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-小型芳香発生装置 図1
  • 特許-小型芳香発生装置 図2
  • 特許-小型芳香発生装置 図3
  • 特許-小型芳香発生装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】小型芳香発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20240315BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20240315BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
A61L9/12
A61L9/01 H
A61L9/01 V
C11B9/00 B
C11B9/00 R
C11B9/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020010226
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021115229
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513148989
【氏名又は名称】東邦インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113033
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 精孝
(72)【発明者】
【氏名】栗原 克典
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-525950(JP,A)
【文献】特開2004-065617(JP,A)
【文献】実開平03-046342(JP,U)
【文献】特開昭61-284251(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131074(JP,U)
【文献】特開平03-009758(JP,A)
【文献】特開2002-102325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/12
A61L 9/01
C11B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内部に、少なくとも、芳香剤を充填した容器、ファン、該ファンを回転させるモーター、及び、該モーターの動力源である電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池(R20P)を備え、かつ、上記芳香剤を充填した容器が、開放部分として、その内部に存在する芳香剤が該容器の外部へと蒸発し得る、芳香剤の出口開放部分のみを備え、上記電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池により上記モーターを介して上記ファンが連続的に回転されて、蒸発した芳香剤が、該ファンによりケーシング外部へと放散される小型芳香発生装置において、上記電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池に代えて、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池(LR6)を備え、更に、上記ファンを間欠的に回転させ得る制御回路を備え、それにより、上記ファンが連続的に回転されることに代えて、上記ファンが、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.50の比率で間欠的に回転される動作が繰り返され、上記芳香剤を充填した容器から蒸発した芳香剤が、該ファンによりケーシング外部に放散され、かつ、上記芳香剤が、ゲル状芳香剤であることを特徴とする小型芳香発生装置。
【請求項2】
上記ファンが、25~35秒間回転され、次いで、25~50秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、請求項1記載の小型芳香発生装置。
【請求項3】
上記ゲル状芳香剤が、ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分とし、少量のトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを含有するオクチル酸アルミニウム1~15質量%、テルペン系炭化水素化合物40質量%以上及び香料0.1~55質量%を含有する透明ゲル状芳香剤組成物である、請求項1又は2記載の小型芳香発生装置。
【請求項4】
トイレ又は更衣室用の、請求項1~3のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型芳香発生装置に関し、更に詳しくは、単三形乾電池を使用してファンを間欠的に回転させることにより、芳香剤を放散させる小型芳香発生装置に関する。ここで、本発明における芳香剤には消臭剤も含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、更衣室、トイレ等の臭気を有する空間には、芳香剤(消臭剤)を放散して悪臭を緩和するために小型芳香発生装置が使用されている。従来から使用されている小型芳香発生装置は、例えば、図4に示されているように、小型芳香発生装置のケーシング(11)内の下部に芳香剤が充填されている容器(14)が備えられており、該容器から蒸発した芳香剤を、その上部に備えられているファン(12)を回転させることにより、ケーシング(11)外部へと放散させるものである。ここで、ファン(12)を回転させるためのモーター(図4においては、ファン(12)の後ろ側に存在する。)の動力源としては、赤マンガン乾電池と称されている公称電圧1.5ボルト(V)の単一形マンガン乾電池(R20P)(13)が1本使用されており、そして、該単一形マンガン乾電池(13)によりモーターを介してファン(12)が連続的に回転させられて、芳香剤が連続的に放散されるようになっている。このような小型芳香発生装置は、我国だけでも、現在、数十万個以上が使用されていると推定される。該小型芳香発生装置においては、該単一形マンガン乾電池の寿命は約1ヶ月間であり、通常、該乾電池の寿命に合わせて、芳香剤を充填した容器中の芳香剤もほぼ使用し尽くされるように設計されている。そして、約1ヶ月毎(通常4週間毎)に乾電池と、芳香剤が充填されている容器とが、同時に新品に交換されているというのが現状である。かかる現状の小型芳香発生装置においては、使用済みの単一形マンガン乾電池の廃棄処理に大きなコストと労力を要している。
【0003】
上記小型芳香発生装置において、乾電池交換の頻度を減少させるべく、より長い寿命を有する単一形乾電池を使用する方法が試みられた。例えば、現在使用されている単一形赤マンガン乾電池(R20P)に代えて、単一形アルカリ乾電池(LR20)を使用する試みがなされた。これにより、乾電池の寿命が延びて、乾電池交換の頻度を減少させることは出来たが、より高価な電池を使用する故に、電池コストが見合わないばかりではなく、加えて、電池交換の時期と、芳香剤を充填した容器の交換の時期とを同一にするためには、芳香剤を充填した容器中の芳香剤の量及び容器容量をも電池寿命に対応して変える必要が生じ、著しいコスト高を招くことになった。また、従来の、約1ヶ月毎の乾電池交換及び芳香剤を充填した容器交換の管理と比較すると、例えば、40日間という中途半端な期間毎の交換は、管理上も非常な煩わしさを生じる結果となった。一方、従来から使用されている、約1ヶ月分の芳香剤が充填されている容器を、そのまま使用したのでは、今度は、乾電池交換と芳香剤を充填した容器の交換の時期が同一ではなくなることから、その管理が著しく煩雑となった。また、多量の使用済みの乾電池が廃棄されることに鑑みて、充電式電池を使用するという試みもなされたが、多量の充電装置が必要なことや充電式電池は高価であり、かつ、やはり寿命もあることから、コスト高と管理の煩雑さと言う問題を招くことになった。このようなわけで、これらの方法は採用されておらず、現在においても、依然として、上記従来法により乾電池及び芳香剤を収容した容器の交換がなされている。
【0004】
また、小型芳香発生装置としては、例えば、ケース内に、芳香消臭剤が蒸発し得る状態で存在している蒸発部と、蒸発した芳香消臭剤をケース外へ放出させるファンと、を備えた、芳香消臭装置であって、ファンを、蒸発部に向けて空気を吹付けて蒸発を促進させ得るように設け、蒸発部に対する空気の吹付け具合を制御する調整機構を設けたことを特徴とする芳香消臭装置(特許文献1)、ケース内に、液体芳香消臭剤を貯留して蒸発させる蒸発皿と、蒸発した液体芳香消臭剤をケース外へ放散させるファンと、液体芳香消臭剤を蒸発皿へ供給する芳香消臭剤供給機構とを備えており、芳香消臭剤供給機構が、液体芳香消臭剤を収容している容器と、エアーを吐出するポンプと、ポンプの作動を制御する制御手段とを備え、ポンプを所定の待機時間置きに所定の作動時間だけ作動させて所定量のエアーを吐出させ、該吐出エアーを容器内に供給して容器の内圧を上昇させ、それによって容器内の液体芳香消臭剤を容器から押し出して蒸発皿へ供給するようになっていることを特徴とする芳香消臭装置(特許文献2)、ケース内に、液体芳香剤を貯留して蒸発させる蒸発皿と、蒸発した液体芳香剤をケース外へ放散させるファンと、液体芳香剤を収容しているボトルと、ボトルの液体芳香剤を所定量だけ蒸発皿に供給するポンプと、タイマーによって所定時間毎に作動してポンプを駆動する駆動部とを備えたことを特徴とする芳香発生装置(特許文献3)、森林浴エキスの収納タンク、適時に適量の森林浴エキスを前記収納タンクから上方に水平に設けた適数の給水パイプに供給するポンプ、該給水パイプの下方に略垂直に設けられ該給水パイプから流出する森林浴エキスを受けて湿潤される通気性を有する消臭エレメント、該消臭エレメントの背面に設けられた送風ファン、該消臭エレメントの下方に設けられたドレンパン、該ドレンパンの底部から前記森林浴エキスの収納タンクに連結された循環パイプとからなることを特徴とする森林浴消臭機(特許文献4)、及び、少なくとも、装飾部、芳香性液体タンク部、セラミック系、又は有機系の圧電素子を有するポンプユニットと前記ポンプユニットを作動させるための集積回路、前記集積回路を動かすための電源から構成される微量吐出装置より成ることを特徴とする芳香性室内装飾品(特許文献5)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-65617号公報
【文献】特開2004-236948号公報
【文献】特開平11-197225号公報
【文献】特開平7-313582号公報
【文献】特開平4-141176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、乾電池の交換作業及び使用済み乾電池の廃棄処分が軽減されて、著しくコストが削減されると共に、芳香剤による消臭効果は従来品と変わらないばかりかむしろ良好な小型芳香発生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、現在広く使用されている上記小型芳香発生装置の問題点を如何にすれば改善し得るかについて種々検討した。第一に、現在、小型芳香発生装置に使用されている単一形乾電池を、より小型で軽量な単三形乾電池に変更することができないかを検討した。もし、単三形乾電池に変更することができるなら、単三形乾電池は単一形乾電池の重量の約4分の1であり、かつ、体積は約6分の1以下であることから、その重量及び体積が相当に軽減され、従って、乾電池の交換作業も著しく容易になる。例えば、多くのトイレに設置された小型芳香発生装置の乾電池交換作業の際に、作業者(ルートマン)が一度によりたくさんの乾電池を携えることができることから、作業が効率的になり、かつ、その労力も軽減される。加えて、上記のように、乾電池の重量及び体積を夫々約4分の1及び約6分の1以下に低減できることから、使用済み乾電池の廃棄処分に要する費用をも著しく低減することができる。
【0008】
しかし、単に、単一形乾電池から単三形乾電池に交換しただけでは、乾電池の持続時間(寿命)の相違から、単一形乾電池より短期間のうちに何回も乾電池交換をしなければならないことになり、却って、作業効率が低下し、かつ、コスト高になってしまう。そこで、本発明者は、芳香剤を放散するために使用するファンの回転を間欠的にすることにより、かかる問題を解決し得ないかと考えた。現状の小型芳香発生装置において、通常、赤マンガン乾電池(R20P)と称されている単一形乾電池の寿命は約1ヶ月間であり、通常、該乾電池の寿命に合わせて、芳香剤を充填した容器中の芳香剤もほぼ使用尽くされるように設計されている。従って、これに合わせて、単三形乾電池においても、約1ヶ月間、ファンを作動し得ることができるなら好ましい。しかし、ファンを間欠的に回転させれば、単位時間当たりの芳香剤の放散量も減少して、その分、消臭効果も薄くなると予想される。そこで、本発明者は、ファンを間欠的に回転させ、かつ、消臭効果は現状の小型芳香発生装置とほぼ変わることなく良好であり、加えて、単三形乾電池においても、その寿命を現状の小型芳香発生装置とほぼ変わることなく約1ヶ月間とするためにはどのようにしたらよいのかを、更に検討した。その結果、下記本発明のように、所定の単三形乾電池を使用し、所定時間ファンを回転させ、かつ、所定時間ファンを停止するように、ファンを間欠的に回転させれば、上記全ての問題を解決し得ることを見出した。加えて、そればかりではなく、本発明のようにファンを間欠的に回転させれば、ファンを連続的に回転させることに比べて、とりわけ、ゲル状の芳香剤を使用した際、芳香剤の香りの強さを長期間に亘って低減させることなく持続させ得ることを見出した。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)ケーシング内部に、少なくとも、芳香剤を充填した容器、ファン、該ファンを回転させるモーター、及び、該モーターの動力源である電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池(R20P)を備え、かつ、上記芳香剤を充填した容器が、その内部に存在する芳香剤が該容器の外部へと蒸発し得る開放部分を備え、上記電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池により上記モーターを介して上記ファンが連続的に回転されて、蒸発した芳香剤が、該ファンによりケーシング外部へと放散される小型芳香発生装置において、上記電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池に代えて、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池(LR6)を備え、更に、上記ファンを間欠的に回転させ得る制御回路を備え、それにより、上記ファンが連続的に回転されることに代えて、上記ファンが、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.50の比率で間欠的に回転される動作が繰り返され、上記芳香剤を充填した容器から蒸発した芳香剤が、該ファンによりケーシング外部に放散され、かつ、上記芳香剤が、ゲル状芳香剤であることを特徴とする小型芳香発生装置である。
【0010】
好ましい態様として、
(2)上記ファンが、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.30の比率で間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)記載の小型芳香発生装置、
(3)上記ファンが、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.25の比率で間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)記載の小型芳香発生装置、
(4)上記ファンが、回転時間:停止時間=1.0:1.1~1.25の比率で間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)記載の小型芳香発生装置、
(5)上記ファンが、10~50秒間回転され、次いで、10~75秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(6)上記ファンが、20~40秒間回転され、次いで、20~60秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(7)上記ファンが、25~35秒間回転され、次いで、25~50秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(8)上記ファンが、25~35秒間回転され、次いで、25~45秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(9)上記ファンが、25~30秒間回転され、次いで、25~45秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(10)上記ファンが、25~30秒間回転され、次いで、25~39秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(11)上記ファンが、25~30秒間回転され、次いで、23~36秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(12)上記ファンが、28秒間回転され、次いで、34秒間停止されるところの、間欠的に回転される動作が繰り返される、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(13)上記ゲル状芳香剤が、ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分とし、少量のトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを含有するオクチル酸アルミニウム1~15質量%、テルペン系炭化水素化合物40質量%以上及び香料0.1~55質量%を含有する透明ゲル状芳香剤組成物である、上記(1)~(12)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(14)上記ゲル状芳香剤が、ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分とし、少量のトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを含有するオクチル酸アルミニウム1~15質量%、テルペン系炭化水素化合物40質量%以上及び香料0.1~40質量%を含有する透明ゲル状芳香剤組成物である、上記(1)~(12)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(15)上記芳香剤を充填した容器の内部に存在する芳香剤の量が、使用開始時において40~50gである、上記(1)~(14)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(16)上記芳香剤を充填した容器の内部に存在する芳香剤の量が、使用開始時において42~43gである、上記(1)~(14)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(17)上記電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池により、上記ファンが間欠的に回転される動作が繰り返されて、芳香剤がケーシング外部に放散される期間が、該乾電池を交換した乾電池使用開始時から28~35日間であり、上記電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池により、上記ファンが連続的に回転されて、芳香剤がケーシング外部に放散される期間と略同一である、上記(1)~(16)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置、
(18)上記乾電池交換時に、上記芳香剤を充填した容器が交換される、上記(17)記載の小型芳香発生装置、
(19)トイレ又は更衣室用の、上記(1)~(18)のいずれか一つに記載の小型芳香発生装置
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の小型芳香発生装置は、従来、ファンを回転するためのモーターの動力源として使用されていた単一形乾電池を、単三形乾電池に変更したことにより、乾電池の重量及び体積が軽減されて、乾電池の交換作業が簡便となり、かつ、その交換作業に要する労力が軽減される。加えて、使用済み乾電池の重量が約4分の1及び体積が約6分の1以下に軽減されることから、その廃棄処分に要する費用も約4分の1に削減される。その一方、ファンの回転を所定時間の間欠型とし、かつ、ゲル状芳香剤を使用したことにより、その消臭効果は従来品と変わらないばかりかむしろ良好である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例において使用した本発明の小型芳香発生装置の内部を示した図である。
図2図2は、実施例において使用した本発明の小型芳香発生装置の正面図及び左側面図である。
図3図3は、実施例において使用した本発明の小型芳香発生装置に備えられたファンの正面図、左右側面図及び斜視図である。
図4図4は、従来の小型芳香発生装置の一実施態様の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の小型芳香発生装置は、ケーシング内部に、少なくとも、芳香剤を充填した容器、ファン、該ファンを回転させるモーター、及び、従来の小型芳香発生装置において、モーターの動力源として備えられていた電圧1.5Vの単一形赤マンガン乾電池(R20P)に代えて、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池(LR6)を備えている。これにより、上記従来の単一形乾電池に代わって、上記の単三形乾電池がモーターの動力源として使用されてファンが回転され、上記の芳香剤を充填した容器の開放部分から蒸発した芳香剤が、ケーシング外部へと放散される。本発明の小型芳香発生装置においては、上記の単三形乾電池は、通常、従来の小型芳香発生装置に備えられていた単一形乾電池と同じく1本備えられていることが好ましい。但し、複数本、例えば、2本並列に備えることにより、モーターの作動期間を約2倍とし、かつ、芳香剤の量を約2倍にして長期間にすることも可能である。ここで、本発明の小型芳香発生装置においては、ケーシング及びその内部を新たに設計し直して、上記の単三形乾電池の収納部を設けて、該単三形乾電池を収納することが好ましい。該ケーシングは、通常、軽量かつ成形が容易であることから各種プラスチックにより構成されている。但し、本発明の小型芳香発生装置において従来の小型芳香発生装置自体を転用する場合、即ち、従来の小型芳香発生装置のケーシングと、その中に備えられている、芳香剤を充填した容器、ファン、該ファンを回転させるモーターを使用する場合には、そのケーシング自体を新たに設計し直すことに代えて、従来のケーシング内の単一形乾電池の収納部に、単一形乾電池に代えて、該収納部に収まるアダプターを設けて、単三形乾電池を備えることもできる。ここで、アダプターは、単一形乾電池の収納部に収まるものであれば、特に制限はないが、取扱い等の利便性からアダプターの外形は単一形乾電池と同一であることが好ましい。アダプターの材質は、ケーシングと同様に各種プラスチックが好ましい。また、上記の芳香剤を充填した容器の内部に存在する芳香剤は、該容器の外部へと蒸発して、ファンによりケーシング外部へと放散されなければならない故に、該芳香剤を充填した容器は、開放部分を備えていなければならない。開放部分としては、芳香剤が蒸発して十分に容器外部へと放散し得るものであれば、様々な形態のものが考えられ特に制限はない。例えば、容器上部がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アルミニウム箔等の蓋で閉じられているようなものにあっては、容器上部のPETフィルム、アルミニウム箔等の蓋を単に一部乃至全部剥がして開放部分としたようなものであってもよいし、PETフィルム、アルミニウム箔等の蓋に好ましくは複数の穴を設けて開放部分としたようなもの、又は、PETフィルム、アルミニウム箔等の蓋をカッターで切って開放部分としたようなものであってもよい。
【0014】
本発明の小型芳香発生装置においては、従来の小型芳香発生装置において、芳香剤を充填した容器の開放部分からその外部へと蒸発した芳香剤を、ケーシング外部、例えば、トイレ、更衣室等の室内に連続的に放散させるために、ファンを連続的に回転させていたことに代えて、該ファンが間欠的に回転される。上記のファンを間欠的に回転させる方法は、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ファンを、モーターを介して間欠的に回転させ得る制御回路、いわゆる間欠回転制御回路を設けることにより実施することができる。該制御回路は、ケーシング内のいずれの箇所に設けられていてもよいが、上記の単三形乾電池の収納部分又はその近傍に設けられていることが好ましい。従来の小型芳香発生装置自体を転用する場合には、単三形乾電池のアダプター又はその近傍に設けられていることが好ましい。該制御回路により、ファンは、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.50、好ましくは、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.30、より好ましくは、回転時間:停止時間=1.0:1.0~1.25、更により好ましくは1.0:1.1~1.25の比率で間欠的に回転される動作が繰り返される。ここで、ファンの停止時間は最大300秒間とすることができ、例えば、300秒間回転し、次いで、300秒間停止することも使用条件によっては可能である。好ましくは、ファンが、10~50秒間回転され、次いで、10~75秒間停止される動作が繰り返され、より好ましくは、20~40秒間回転され、次いで、20~60秒間停止される動作が繰り返され、更に好ましくは、25~35秒間回転され、次いで、25~50秒間停止される動作が繰り返され、更により好ましくは、25~35秒間回転され、次いで、25~45秒間停止される動作が繰り返され、なお更に好ましくは、25~30秒間回転され、次いで、25~45秒間停止される動作が繰り返され、特に好ましくは、25~30秒間回転され、次いで、25~39秒間停止される動作が繰り返され、更に特に好ましくは、25~30秒間回転され、次いで、23~36秒間停止される動作が繰り返される。例えば、28秒間回転され、次いで、34秒間停止される動作を繰り返す間欠的回転が実行されるように制御される。ファンの回転時間が上記下限より短いか、又は、ファン停止時間が上記上限を超えると、十分に芳香剤をケーシング外部、例えば、トイレ、更衣室等の室内へと放散することができず、従来と同様な消臭効果を得ることができなくなることがある。一方、ファンの回転時間が上記上限を超え、又は、ファンの停止時間が上記下限未満になると、単三形乾電池の寿命が短くなって、下記の所定期間、例えば、約1ヶ月間のファンの間欠的な回転が困難となるばかりではなく、従来のように過剰に芳香剤を放散することになり、無駄に芳香剤を消費することになる。また、例えば、ゲル状の芳香剤を使用した際には、芳香剤の能力が時間経過と共に低下する傾向が強くなることがあり好ましくない。
【0015】
本発明の小型芳香発生装置において使用される芳香剤は、ゲル状のものであり、該ゲル状芳香剤を使用することにより、芳香剤を微量ずつ無駄なく放散することができる。容器中の該芳香剤の量は、上記の電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池を使用して、上記所定の回転及び停止時間で間欠的に回転させて、約1ヶ月間、芳香剤を放散してほぼ全量がなくなる量であれば特に制限はない。容器中の芳香剤の量は、好ましくは40g以上、より好ましくは40~50g、更に好ましくは40~45g、更により好ましくは42~43gである。上記芳香剤の量は、もちろん、小型芳香発生装置に該芳香剤を充填した容器をセットした時点、即ち、芳香剤の使用開始時の量である。また、ゲル状の芳香剤としては、例えば、特許第2767285号公報(特開平3-9758号公報)に記載されている、ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分とし、少量のトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを含有するオクチル酸アルミニウム1~15質量%、テルペン系炭化水素化合物40質量%以上及び香料0.1~55質量%、好ましくは0.1~40質量%を含有する透明ゲル状芳香剤組成物を使用することができる。上記のジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分とし、少量のトリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを含有するオクチル酸アルミニウムは、従来公知の方法、例えば、2-エチルヘキサン酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)とアルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム)とを、式HO・Al(RCOO)で示されるジソープ100質量部に対して、式Al(RCOO)で示されるトリソープ13質量部を生成する割合で水溶液複分解法により反応させ(ここで、RCOOは、2-エチルヘキサン酸残基を示す。)、生成したアルミニウム石けんを、50℃を超えない温度で乾燥することにより製造することができる。ここで、2-エチルヘキサン酸アルミニウムは、好ましくは1~15質量%、より好ましくは3~10質量%含まれる。上記下限未満では、ゲルの安定性が悪くなり、上記上限を超えては、揮散残量が多くなることがある。トリ-2-エチルヘキサン酸アルミニウム量は、ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウム100質量部に対して、好ましくは10.0~25.0質量部、より好ましくは10.0~20.0質量部、更に好ましくは10.0~15.0質量部である。また、テルペン系炭化水素化合物としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、p-メンタン、ピナン、1-p-メンテン並びにリモネンダイマー、ジペンテンダイマー又はその水添物又はこれらの混合物又はこれらの混合物を主成分とするもの、例えば、天然精油、例えば、α-ピネンを主成分とするテレピン油、d-リモネンを主成分とするオレンジ油及びレモン油等を挙げることができる。テルペン系炭化水素化合物には、イソパラフィン系炭化水素化合物、ノルマルパラフィン系炭化水素化合物を混合して使用することもできる。テルペン系炭化水素化合物量が40質量%より少ないとゲル化剤である2-エチルヘキサン酸アルミニウムが溶解し難くなることがある。また、香料は、テルペン系炭化水素化合物に可溶であれば特に制限はない。本発明の小型芳香発生装置において芳香剤を充填した容器の形状及び寸法は、小型芳香発生装置のケーシング内に収まるものであれば特に制限はなく、通常、横60mm、縦30mm、深さ40mm程度の直方体の容器が使用される。材質にも特に制限はなく、上記芳香剤を安全に収容し保管し得る材質であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。芳香剤を充填した容器は、その上部が、例えば、PETフィルム、アルミニウム箔等の蓋で密閉されていることが好ましい。このような蓋は使用の際に簡単に手で開放することができ、また、先の尖ったキリ状の工具、カッター等により簡単に穴を開けることにより開放することができることから好ましい。
【0016】
本発明の小型芳香発生装置において使用するファンは、その重量が、好ましくは3.2~4.0g、より好ましくは3.4~3.8g、更に好ましくは3.5~3.7gのプロペラファン又はシロッコファンである。好ましくは、重量約3.6gのプロペラファン又はシロッコファンが使用され、より好ましくは、重量約3.6gのプロペラファンが使用される。使用するファンは、重量が上記の範囲にあればよく、ファンの外径(直径)、厚さ(空気の流れ方向の幅)、羽根の枚数等にとりわけ制限はない。但し、効果的に芳香剤をケーシングの外へと放散させるためには、例えば、プロペラファンにおいては、外径55~62mm、厚さ13~20mm、羽根7~11枚が好ましい。より好ましくは、外径略58mm、厚さ略16mm、羽根9枚のプロペラファンが使用される。ファンの重量が上記上限を超えては、電力消費量が増大して、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池では、所定期間ファンを間欠的に回転させることができなくなることがある。一方、ファンの停止時間を長くしたのでは、上記と同様に、十分に芳香剤を放散させることができず、良好な消臭効果が得られないことがある。ファンの重量が上記下限未満では、ファンに十分な強度を付与し得ず、ファンの故障につながることがあるばかりか、十分に芳香剤を放散させることができず、良好な消臭効果が得られないことがある。ファンの材質に特に制限はないが、例えば、ポリアセタール等のプラスチックが使用される。
【0017】
本発明の小型芳香発生装置において使用するモーターは、好ましくは、電圧1.5Vにおいて、無負荷電流0.002~0.006A及び無負荷回転数700~900rpm、並びに、停動トルク0.25~0.35mN・m及び停動電流0.02~0.03Aの小型モーターである。より好ましくは、電圧1.5Vにおいて、無負荷電流0.003~0.005A及び無負荷回転数750~850rpm、並びに、停動トルク0.27~0.31mN・m及び停動電流0.023~0.027Aの小型モーター、更に好ましくは、電圧1.5Vにおいて、無負荷電流0.0035~0.0045A及び無負荷回転数780~820rpm、並びに、停動トルク0.28~0.30mN・m及び停動電流0.024~0.026Aの小型モーターが使用され、通常、電圧1.5Vにおいて、無負荷電流約0.004A及び無負荷回転数約800rpm、並びに、停動トルク約0.29mN・m及び停動電流約0.025Aの小型モーターが使用される。該モーターとしては、例えば、マブチモーター株式会社製モデルRF-330TK-07800等が挙げられる。上記モーターを使用することにより、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池により、ファンを下記所定期間良好に回転させることができる。また、上記ファンの回転軸は、該モーターの回転軸に一体的に備えられている。即ち、上記ファンと、該モーターの回転軸は同一又は直結されていて、モーターの回転数がそのままファンの回転数となる。
【0018】
本発明の小型芳香発生装置においては、芳香剤を充填した容器、ファン、該ファンを回転させるモーター、及び、電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池を備えることにより、上記のように、所定の回転及び停止時間で間欠的にファンを回転させて芳香剤を放散させても、従来の単一形乾電池を使用してファンを連続的に回転させて、芳香剤を連続的に放散させていたと同様の期間、即ち、約1ヶ月間、好ましくは28~35日間、より好ましくは28~32日間、更に好ましくは28~30日間、更により好ましくは28日間(4週間)、芳香剤の放散が可能となる。そして、上記単三形乾電池の交換時期と芳香剤を充填した容器中の芳香剤がなくなる時期とをほぼ一致させて、単三形乾電池及び芳香剤を充填した容器の新品への交換が同時に実施され得る。
【0019】
以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【実施例
【0020】
(実施例1及び比較例1)
本発明の小型芳香発生装置(A)として、図1及び2に示すものを使用した。ケーシング(1)の寸法は、縦約141mm、横約71mm、幅(厚さ)約33mmであった。電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池(LR6)(3)としては、株式会社東芝製を1本使用した。また、芳香剤を充填した容器(4)としては、ポエチレンテレフタレート製の横60mm、縦(深さ)40mm、幅(厚さ)30mmの直方体の容器を使用し、芳香剤としては、ゲル状芳香剤[テルペン系炭化水素化合物47.0質量%及び香料50.0質量%にA社製芳香剤用オイルゲル化剤(ジ-2-エチルヘキサン酸アルミニウムを主成分として含むオクチル酸アルミニウム)を全体として100質量%となるように3質量%配合してゲル化したもの]を43g使用した。また、制御回路を設けて、ファン(2)が28秒間回転し、次いで、34秒間停止する間欠的回転(回転時間:停止時間=1.0:1.21)が実行されるようにした。モーター(ファンの後ろ側に配置されている。)とファンの回転軸は直結されていて、モーターの回転数がそのままファンの回転数となるようにした。ここで、モーターとしては、マブチモーター株式会社製モデルRF-330TK-07800を使用した。該モーターは、電圧1.5Vにおいて、無負荷電流0.004A及び無負荷回転数800rpm、並びに、停動トルク0.29mN・m及び停動電流0.025Aの性能を有する小型モーターである。ファン(2)としては、図3に示したプロペラファンを使用した。図3において、上段中央に描かれた図面、即ち、正面図は、該プロペラファンを真横から見た図面であり、該正面図に対して左右側面図を描いたものである。また、図3の右下に該プロペラファンの斜視図も示した。該プロペラファンの材質はポリアセタールであり、その重量は約3.6gであった。また、該ファンの外径(直径)(d)は、約58mmであり、厚さ(空気の流れ方向の幅)(w)は、約16mmであり、羽根の枚数は9枚であった。
【0021】
一方、比較用の小型芳香発生装置(B)としては、上記本発明の小型芳香発生装置(A)に使用した電圧1.5Vの単三形アルカリ乾電池(3)に代えて、1.5V単一形赤マンガン乾電池(株式会社東芝製)を使用した以外は、同一のモーター、ファン、芳香剤を充填した容器を備えた装置を準備した。また、単一形乾電池はケーシング(1)の外部に設置して、該単一形乾電池によりモーターを回転し得るように配線を工夫した。該比較用の小型芳香発生装置(B)においては、上記本発明の小型芳香発生装置(A)のような制御回路を設けず、ファンが連続的に回転するようにした。
【0022】
上記本発明の小型芳香発生装置(A)及び比較用の小型芳香発生装置(B)を、ほぼ同一の広さ及びほぼ同一の空間を有する別々の室内のほぼ同一箇所に設置した。ここで、各室は、いずれも、縦約3メートル、横約4メートル及び高さ約2.8メートルの空間を有していた。次いで、本発明の小型芳香発生装置(A)及び比較用の小型芳香発生装置(B)について、同時に芳香剤を放散する操作を開始した。本発明の小型芳香発生装置(A)においては、まず、28秒間ファンが回転して、芳香剤が放散され、次いで、34秒間ファンが停止された。そして、該動作が繰り返された。一方、比較用の小型芳香発生装置(B)においては、連続的にファンが回転されて、芳香剤が連続的に放散された。そして、いずれも乾電池によりファンを回転することができなくなるまで該操作を継続した。いずれも、上記の操作開始から、約30日後にほぼ同時にファンを回転することができなくなった。比較用の小型芳香発生装置(B)においては、本発明の小型芳香発生装置(A)と比較して、多少早く芳香剤が消費されてしまったが、本実験において支障は生じなかった。
【0023】
本発明の小型芳香発生装置(A)及び比較用の小型芳香発生装置(B)の効果を調査するために、任意に男女各5名ずつ合計10名を選んだ。該10名により、芳香剤の放散開始直後(0日後)、開始5日後、開始10日後、開始15日後、開始25日後の夫々において、各小型芳香発生装置(A,B)の効果を体感的に調査した。調査方法は、各人とも、まず、本発明の小型芳香発生装置(A)を設置した室に入り、次いで、比較用の小型芳香発生装置(B)を設置した室に入り、どちらの装置がより芳香剤の効果を発揮しているかを調査した(ケースa)。その後、反対に、比較用の小型芳香発生装置(B)を設置した室に入り、次いで、本発明の小型芳香発生装置(A)を設置した室に入ることにより調査した(ケースb)。そして、ケースa及びケースbのいずれの場合にも、同一の小型芳香発生装置が芳香剤の効果をより発揮していると判断した場合にのみ、その小型芳香発生装置がより良好であると判定した。その他の場合、例えば、ケースaとケースbでは、良好と判断した小型芳香発生装置が相違する場合、ケースaとケースbで、どちらが良好であるかが判断できなかった場合等は、本発明の小型芳香発生装置(A)と比較用の小型芳香発生装置(B)との間で効果に相違がないと判定した。この際、各人とも、本発明の小型芳香発生装置(A)及び比較用の小型芳香発生装置(B)の正面に向って、正面から約1メートル離れた地点に10秒間程度立つことにより、その効果を判断した。結果を下記の表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1の結果から、操作開始から10日目までは、本発明の小型芳香発生装置(A)と比較用の小型芳香発生装置(B)との間で効果に殆ど差が認められなかった。5日目、10日目において比較用の小型芳香発生装置(B)が多少良好であると判定された。一方、15日目においては、本発明の小型芳香発生装置(A)が良好であると判定され、25日目においては、明らかに本発明の小型芳香発生装置(A)が良好であると判定された。これは、比較用の小型芳香発生装置(B)ではファンを連続的に回転させていることから、操作開始当初から必要以上にゲル中の芳香剤が消費されてしまい、その結果、比較的早い時期にゲル中の芳香剤の濃度が低くなり、芳香剤の効果が薄れてしまったものと考えられる。
【0026】
(実施例2及び比較例2)
ゲル状芳香剤として、テルペン系炭化水素化合物67.0質量%及び香料30.0質量%にA社製芳香剤用オイルゲル化剤を全体として100質量%となるように3質量%配合してゲル化したものを使用した以外は、夫々、実施例1及び比較例1と同一に実施した。結果を下記の表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2の結果から、香料の量を減らした実施例2及び比較例2においても、実施例1及び比較例1とほぼ同じ結果が得られたことが分かった。
【0029】
(比較例3)
図1に示す本発明の小型芳香発生装置(A)において、単三形乾電池(1A)として、1.5Vの単三形赤マンガン乾電池(6P)[株式会社東芝製]1本を使用した。該乾電池を使用して、上記と同様にしてファンを間欠的に回転させた。この場合、ファンを10秒間回転して芳香剤を放散し、次いで、ファンを60秒間停止する操作(回転時間:停止時間=1.0:6.0)を繰り返すと、実施例1及び比較例1と同じく、約30日後に乾電池の寿命が切れてファンを回転することができなくなった。同様にして、10名により、芳香剤の効果を体感的に調査したところ、ファンを停止している60秒間において、停止後20~30秒で芳香剤の効果が低減し始め、40~50秒を経過すると芳香剤の効果が殆どなくなってしまうことが分かった。該比較例においては、各人は、約3分間小型芳香発生装置(A)の前に立つことにより効果を判断した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の小型芳香発生装置は、乾電池の交換及び使用済み乾電池の廃棄処分が軽減されて、著しくコストが削減されるにもかかわらず、芳香剤による消臭効果は従来品と変わらないばかりかむしろ良好である故、今後、例えば、更衣室、トイレ等の小型芳香発生装置としての利用が大いに期待される。
【符号の説明】
【0031】
A 本発明の小型芳香発生装置
d ファンの外径(直径)
w ファンの厚さ(空気の流れ方向の幅)
1 ケーシング
2 ファン
3 単三形乾電池
4 芳香剤を充填した容器
5 空気出入口
11 ケーシング
12 ファン
13 単一形乾電池
14 芳香剤を充填した容器
図1
図2
図3
図4