(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】充放電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240315BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240315BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/00 170
H02J13/00 311R
(21)【出願番号】P 2020012329
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠祐
(72)【発明者】
【氏名】前川 純一
(72)【発明者】
【氏名】平井 友之
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 尚克
(72)【発明者】
【氏名】松原 未央
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚也
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-015846(JP,A)
【文献】特開2018-139469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定
し、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後に行う充放電システム。
【請求項2】
電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定
し、
前記入力受付部は、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができ、且つ、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め前記入力受付部によってユーザから受け付けることができ、
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行うように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから前記入力受付部が受け付けた指示を参照して、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、前記指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め前記入力受付部によってユーザから受け付けた、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を、前記制御モード設定処理で参照する充放電システム。
【請求項3】
電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定
し、
前記入力受付部は、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができ、
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行うように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから前記入力受付部が受け付けた指示を参照して、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、前記指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定する充放電システム。
【請求項4】
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードが前記充電促進モードに設定されている場合、前記充放電部の充電レベルが所定の上限レベルになるまで充電させた後、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に前記系統停電が発生するまで前記充放電部からの放電を禁止する
請求項1~3の何れか一項に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行う場合、前記系統停電の発生可能性が高い時刻に関する情報をユーザに伝達する
請求項1~4の何れか一項に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行う場合、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは当該系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される前記充放電部の充電レベルに関する情報をユーザに伝達する
請求項1~5の何れか一項に記載の充放電システム。
【請求項7】
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、前記指示要求処理を行った後の所定期間内に、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザから受け付けない場合、前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していると判定する
請求項1~6の何れか一項に記載の充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される交流線と、交流線に接続され、交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2012-235541号公報)には、電力系統に接続される交流線と、交流線に接続され、交流線との間での電力の充放電を行う充放電部を有する充放電装置とを備え、交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムが記載されている。この充放電システムでは、電力系統からの電力供給が停止する停電の予兆がある場合、その停電中に電力消費装置へ供給する電力を充放電部に対してどの程度緊急に充電させる必要があるかを示す緊急度を計算し、計算された緊急度に応じて充放電部での充電などが特別な動作モードで自動的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力系統で停電が発生するとしても、ユーザが旅行などで家などの施設を長期間離れるため、充放電部への充電を緊急に行わなくてもよい場合などがある。しかし、特許文献1に記載の充放電システムでは、充放電装置のユーザの意向とは関係なく、緊急度に応じて充放電部での充電が特別な動作モードで自動的に行われてしまう。つまり、不要な充電が自動的に行われてしまうという、経済的に好ましくない状況が発生し得る。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの事情に合った充放電部の動作制御を行うことができる充放電システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る充放電システムの特徴構成は、電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後に行う点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、充放電制御部は、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば充放電部の制御モードを充電促進モードに設定し、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば充放電部の制御モードを通常充放電モードに設定する。つまり、系統停電の発生可能性が高い場合、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合に限って、充放電部の制御モードが充電促進モードに設定されることで、通常充放電モードで充放電部の動作を制御しているときよりも充放電部への充電が促進される。その結果、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない場合には系統停電の発生可能性が高い場合であっても不要な充電が行われないようにできる。また、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合には充放電部への充電が促進されるので、実際に系統停電が発生した場合、ユーザは充放電部から多くの電力の供給を受けることができる。
加えて上記特徴構成によれば、ユーザには、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示が、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した後に要求される。つまり、ユーザは、その時々の事情に応じて、充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
従って、ユーザの事情に合った充放電部の動作制御を行うことができる充放電システムを提供できる。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る充放電システムの特徴構成は、電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、
前記入力受付部は、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができ、且つ、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め前記入力受付部によってユーザから受け付けることができ、
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行うように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから前記入力受付部が受け付けた指示を参照して、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、前記指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め前記入力受付部によってユーザから受け付けた、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を、前記制御モード設定処理で参照する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、充放電制御部は、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば充放電部の制御モードを充電促進モードに設定し、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば充放電部の制御モードを通常充放電モードに設定する。つまり、系統停電の発生可能性が高い場合、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合に限って、充放電部の制御モードが充電促進モードに設定されることで、通常充放電モードで充放電部の動作を制御しているときよりも充放電部への充電が促進される。その結果、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない場合には系統停電の発生可能性が高い場合であっても不要な充電が行われないようにできる。また、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合には充放電部への充電が促進されるので、実際に系統停電が発生した場合、ユーザは充放電部から多くの電力の供給を受けることができる。
加えて上記特徴構成によれば、ユーザは、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定を行うことができる。
指示要求処理を行うようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測する度に、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われる。そして、ユーザは、その時々の事情に応じて、充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
指示要求処理を行わないようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測された場合であっても、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われない。但し、ユーザは、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め入力できる。そして、充放電制御部が行う制御モード設定処理では、予めユーザが入力した、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示が参照される。その結果、充電促進モードに設定するか否かの決定に、ユーザの意向が反映される。
従って、ユーザの事情に合った充放電部の動作制御を行うことができる充放電システムを提供できる。
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る充放電システムの特徴構成は、電力系統に接続される交流線と、前記交流線に接続され、前記交流線との間での電力の充放電を行う充放電部及び前記充放電部の動作を制御する充放電制御部を有する充放電装置とを備え、前記交流線に電力消費装置が接続されている充放電システムであって、
前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って前記充放電部の充放電制御を行うように構成され、
ユーザによる情報の入力を受け付ける入力受付部と、
前記充放電装置が設置されている地区での、前記電力系統からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する停電可能性予測部とを備え、
前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、
前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、前記入力受付部が受け付けたユーザからの指示を参照して、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に、通常充放電モードで前記充放電部の動作を制御しているときよりも前記充放電部への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、
前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定
し、
前記入力受付部は、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができ、
前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行うように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから前記入力受付部が受け付けた指示を参照して、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば前記充放電部の制御モードを前記通常充放電モードに設定し、前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定し、前記指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、前記制御モード設定処理において、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した後で前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、充放電制御部は、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば充放電部の制御モードを充電促進モードに設定し、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば充放電部の制御モードを通常充放電モードに設定する。つまり、系統停電の発生可能性が高い場合、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合に限って、充放電部の制御モードが充電促進モードに設定されることで、通常充放電モードで充放電部の動作を制御しているときよりも充放電部への充電が促進される。その結果、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない場合には系統停電の発生可能性が高い場合であっても不要な充電が行われないようにできる。また、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合には充放電部への充電が促進されるので、実際に系統停電が発生した場合、ユーザは充放電部から多くの電力の供給を受けることができる。
加えて上記特徴構成によれば、ユーザは、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行うか否かの事前設定を行うことができる。
指示要求処理を行うようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測する度に、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われる。そして、ユーザは、その時々の事情に応じて、充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
指示要求処理を行わないようにユーザが事前設定している場合、充放電制御部は、制御モード設定処理において、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で充放電部の制御モードを充電促進モードに設定する。つまり、充放電制御部は、ユーザによって行われた、指示要求処理を行わないという事前設定を、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するというユーザの意向であると見なして、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で充放電部の制御モードを充電促進モードに自動的に設定する。その結果、ユーザは、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示が毎回要求されるという煩わしさから解放される。
従って、ユーザの事情に合った充放電部の動作制御を行うことができる充放電システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る充放電システムの別の特徴構成は、前記充放電制御部は、前記充放電部の制御モードが前記充電促進モードに設定されている場合、前記充放電部の充電レベルが所定の上限レベルになるまで充電させた後、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に前記系統停電が発生するまで前記充放電部からの放電を禁止する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に系統停電が発生するまで、充放電部の充電レベルが所定の上限レベルで維持される。その結果、実際に系統停電が発生した場合、ユーザは充放電部から多くの電力の供給を受けることができる。
【0016】
本発明に係る充放電システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行う場合、前記系統停電の発生可能性が高い時刻に関する情報をユーザに伝達する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、ユーザは、系統停電の発生可能性が高くなる時刻を参考にして、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
【0018】
本発明に係る充放電システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御部は、前記指示要求処理を行う場合、前記停電可能性予測部が前記系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは当該系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される前記充放電部の充電レベルに関する情報をユーザに伝達する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、ユーザは、停電可能性予測部が系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される充放電部の充電レベルに関する情報を参考にして、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
【0020】
本発明に係る充放電システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御部は、前記制御モード設定処理において、前記指示要求処理を行った後の所定期間内に、前記系統停電の発生可能性が高い場合に前記充放電部の制御モードを前記充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザから受け付けない場合、前記充電促進モードに設定することをユーザが希望していると判定する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、充放電制御部は、指示要求処理を行った後の所定期間内に、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザから受け付けない場合であっても、充電促進モードに設定することをユーザが希望していると判定して、充放電部の制御モードを充電促進モードに設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】第1実施形態の通常充放電モード及び充電促進モードで充放電制御が行われた場合の充電レベルの推移例を示す図である。
【
図3】第1実施形態の制御モード設定処理を説明するフローチャートである。
【
図4】第2実施形態の制御モード設定処理を説明するフローチャートである。
【
図5】別実施形態の通常充放電モード及び充電促進モードで充放電制御が行われた場合の充電レベルの推移例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る充放電システムについて説明する。
図1は、充放電システムの構成を示す図である。図示するように、充放電システムは、電力系統1に接続される交流線2と、交流線2に接続され、交流線2との間での電力の充放電を行う充放電部23及び充放電部23の動作を制御する充放電制御部21を有する充放電装置20とを備え、交流線2に電力消費装置3が接続されている。また、充放電システムは、発電装置8も備えている。また、本実施形態では、交流線2に対する電力系統1の接続箇所から見て下流側に向かって第1接続箇所4と第2接続箇所5とがその並び順で設けられ、第1接続箇所4には発電装置8が接続され、第2接続箇所5には充放電装置20及び電力消費装置3が接続されている。発電装置8はその発電電力Pgを交流線2に供給できる。このように、交流線2には、電力系統1及び発電装置8の少なくとも一方から電力が供給される。これら交流線2、充放電装置20、電力消費装置3、発電装置8などは、同一の施設(例えば家屋や事業所など)などに設置されている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態では、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう方向の電力P7を正の電力と見なす。また、充放電装置20が交流線2から受け取る受取電力Pbとして、充放電装置20による交流線2からの充電電力を正の受取電力と見なし、充放電装置20による交流線2への放電電力を負の受取電力と見なして説明を行う。よって、
図1では、受取電力Pbを、交流線2から充放電装置20に向かう方向の矢印で記載している。
【0027】
計器用変流器7は、交流線2の途中の、第1接続箇所4と第2接続箇所5との間に設けられ、第1接続箇所4から第2接続箇所5に向かう電力の電流値を計測する。
計器用変圧器15は、交流線2の途中の、第1接続箇所4よりも上流側(電力系統1の側)に設けられ、そこでの電力の電圧値を計測する。計器用変圧器15が計測する電圧値を監視することで、充放電装置20は、電力系統1からの電力供給が停止する系統停電が発生したか否かを判定できる。
【0028】
発電装置8は、太陽光発電装置などの再生可能エネルギーを利用した発電装置や、燃料電池を備える発電装置や、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備えて構成されるタイプの発電装置などを用いて実現できる。
【0029】
充放電装置20は、交流線2との間での電力の充放電を行う蓄電池25を含む充放電部23及び充放電部23の動作を制御する充放電制御部21を有する。充放電部23が有する蓄電池25は電力変換部24を介して交流線2に接続される。その結果、充放電装置20では、蓄電池25に蓄えられている電力を、所望の電圧、周波数、位相の電力に変換して交流線2に出力できる。蓄電池25は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池などを用いて構成できる。充放電制御部21は、電力変換部24の動作を制御して、蓄電池25から交流線2への出力電力(放電電力)の制御と、交流線2から蓄電池25への入力電力(充電電力)の制御とを行う。
【0030】
詳細は後述するが、本実施形態の充放電制御部21は、充放電部23の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って充放電部23の充放電制御を行うように構成される。
【0031】
情報入出力装置12は、ユーザに対して情報の出力を行う出力部13と、ユーザによる情報の入力を受け付ける複数のスイッチを有する入力受付部14とを備える。情報入出力装置12は、充放電装置20との間で情報の送受信を行うことができる。出力部13による情報の出力方法には、音声情報の出力や、文字情報の出力などがある。また、出力部13と入力受付部14とがタッチパネル式の表示装置を用いて一体で設けられていてもよい。例えば、情報入出力装置12は、充放電装置20や発電装置8の動作状態表示や動作設定のために設置されるリモコン装置を用いて実現できる。或いは、情報入出力装置12は、ユーザが使用する通信端末装置などを用いて実現できる。
【0032】
停電可能性予測部11は、充放電装置20が設置されている地区での、電力系統1からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性を予測する。例えば、停電可能性予測部11は、通信回線10に接続されるコンピュータ装置などによって実現される。情報提供サーバ装置9は、例えば気象、災害、電気工事、イベントなどに関する情報を収集し、それらの情報を停電可能性予測部11などの外部の装置に対して提供する。
【0033】
停電可能性予測部11は、情報提供サーバ装置9から情報の伝達を受ける。そして、停電可能性予測部11は、例えば正時や情報提供サーバ装置9から情報を受信したタイミングなどの所定のタイミングで、充放電装置20が設置されている地区での系統停電の発生可能性や、系統停電の発生予測時刻などを予測する。
【0034】
例えば、停電可能性予測部11は、気象に関する情報として、台風の予測進路とその台風の暴風域の範囲との情報の伝達を情報提供サーバ装置9から受ける。そして、停電可能性予測部11は、充放電装置20が設置されている地区が、台風の暴風域に将来含まれると予測される場合には系統停電の発生可能性が高いと判定し、台風の暴風域に将来含まれないと予測される場合には系統停電の発生可能性が低いと判定する。尚、情報提供サーバ装置9から停電可能性予測部11に対してどのような情報が提供されるのか、停電可能性予測部11がどのよう手法で系統停電の発生可能性を予測するのかについては適宜設定可能である。
【0035】
そして、停電可能性予測部11は、充放電装置20が設置されている地区での系統停電の発生可能性が高いと予測される場合、その旨の情報を充放電装置20に伝達する。また、停電可能性予測部11は、系統停電の発生予測時刻などを併せて充放電装置20に伝達してもよい。或いは、停電可能性予測部11は、充放電装置20が設置されている地区での系統停電の発生可能性が高いと予測される場合及び系統停電の発生可能性が低いと予測される場合の両方で、その旨の情報を充放電装置20に伝達してもよい。
【0036】
充放電制御部21は、充放電部23の制御モードを設定する制御モード設定処理を行い、設定した制御モードに従って充放電部23の充放電制御を行う。本実施形態では、充放電制御部21は、制御モード設定処理において、系統停電が発生していない場合、充放電部23の制御モードを、通常充放電モードと、その通常充放電モードで充放電部23の動作を制御しているときよりも充放電部23への充電が促進される充電促進モードとの何れか一方に設定する。
【0037】
図2は、第1実施形態の通常充放電モード及び充電促進モードで充放電制御が行われた場合の充電レベル:SOC(State of Charge)の推移例を示す図である。
【0038】
〔通常充放電モード(非停電時)〕
本実施形態において、通常充放電モードは、毎日23時から翌日7時までの8時間の充電時間帯は充放電部23への充電のみを許容し、7時から23時までの16時間の放電時間帯は充放電部23からの放電のみを許容する制御モードである。
【0039】
図2に示すように、充放電制御部21は、通常充放電モードの場合、時刻が23時になると、交流線2から充放電部23への充電を開始する。例えば、充放電制御部21は、単位時間当たりに設定電力量の電力が蓄電池25に充電されるように電力変換部24の動作を制御する。そして、充放電制御部21は、蓄電池25の充電レベルが所定の通常用上限レベルに到達すると、蓄電池25への充電が停止されるように電力変換部24の動作を制御する。
【0040】
充放電制御部21は、通常充放電モードの場合、時刻が7時になると、充放電部23から交流線2への放電を許可する。例えば、充放電制御部21は、充放電部23の充電レベルが、所定の通常用下限レベルより小さくならないことを条件として、電力消費装置3の消費電力P3が充放電装置20から交流線2への放電電力(負の受取電力Pb)で賄われるように電力変換部24の動作を制御する。具体的に説明すると、充放電制御部21には、計器用変流器7で計測される、交流線2における電力の電流値についての情報が伝達される。そして、充放電制御部21は、計器用変流器7から伝達される電流値と、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、交流線2での電力P7を導出できる。或いは、充放電制御部21は、計器用変流器7から伝達される電流値と、計器用変圧器15で計測される電圧値との積から、交流線2での電力P7を導出できる。つまり、計器用変流器7が計測する電力P7は、電力消費装置3が交流線2から受け取る消費電力P3と、充放電装置20が交流線2から受け取る受取電力Pbとの和に対応する。そのため、計器用変流器7を用いて計測する電力P7がゼロであれば、電力消費装置3の消費電力P3の全てが充放電装置20から交流線2への放電電力によって賄われていると判断できる。従って、充放電制御部21は、計器用変流器7を用いて計測する電力P7が例えばゼロ又は所定の正の値になるように、充放電装置20から交流線2への放電電力を調節すればよい。
【0041】
以上のような通常充放電モードが行われることで、毎日23時から翌日7時までの8時間の充電時間帯では、例えば安価な夜間電力を用いるなどして充放電部23の充電が行われる。また、7時から23時までの16時間の放電時間帯では、充放電部23に蓄えられている電力を用いるなどして電力消費装置3の消費電力P3が賄われる。そのため、7時から23時までの16時間の放電時間帯では、充放電部23から放電させた分だけ、電力系統1からの受電電力が削減される。つまり、本来は昼間の高価な電力(電力系統1からの受電電力)によって賄われるはずであった電力消費装置3の消費電力P3が、夜間の安価な電力(電力系統1からの受電電力)によって賄われることになる。
【0042】
〔充電促進モード(非停電時)〕
本実施形態において、充電促進モードは、時間帯に関わらず、充放電部23の充電レベルが所定の上限レベルになるまで充電させた後、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に系統停電が発生するまで充放電部23からの放電を禁止する制御モードである。
【0043】
図2に示すように、充放電制御部21は、系統停電の可能性が高いと判定された後で充電促進モードに切り替えた場合、上述した充電時間帯であるか又は放電時間帯であるかにかかわらず、交流線2から充放電部23への充電を開始する。例えば、充放電制御部21は、単位時間当たりに設定電力量の電力が蓄電池25に充電されるように電力変換部24の動作を制御する。そして、充放電制御部21は、蓄電池25の充電レベルが所定の充電促進用上限レベルに到達すると、蓄電池25への充電が停止されるように電力変換部24の動作を制御する。この充電促進用上限レベルは、通常用上限レベルと同じでもよいし、それよりも高く設定してもよい。充電促進用上限レベルが通常用上限レベルよりも高く設定された場合、充放電部23への充電がより促進される。
【0044】
そして、充放電制御部21は、蓄電池25の充電レベルが所定の充電促進用上限レベルになった後は、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に系統停電が発生するまで充放電部23からの放電を禁止する。つまり、充放電制御部21は、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなった場合又は実際に系統停電が発生した場合、充電促進モードでの充放電部23の充放電制御を終了する。例えば、充放電制御部21は、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなった場合には通常充放電モードでの充放電部23の充放電制御を再開し、実際に系統停電が発生した場合には後述する停電モードでの充放電部23の充放電制御を行う。
【0045】
〔停電モード(停電時)〕
充放電制御部21は、計器用変圧器15が計測する電圧値を監視することで、電力系統1からの電力供給が停止する系統停電が発生したか否かを判定できる。そして、充放電制御部21は、
図2に示すように、実際に系統停電が発生した場合、充放電部23と交流線2との間で電力の充放電を行わせる停電モードで電力変換部24の動作を制御する。この場合、充放電制御部21は、充放電部23の充電レベルの大きさに制限されることなく、即ち、充放電部23の充電レベルが上記通常用下限レベルよりも低い充電レベルになったとしても、充放電部23からの放電を許容してもよい。
また、充放電制御部21は、計器用変圧器15が計測する電圧値を監視することで、電力系統1からの電力供給が再開されて系統停電が終了した場合、通常充放電モードでの充放電部23の充放電制御を再開する。
【0046】
次に、充放電制御部21が行う制御モード設定処理について説明する。
図3は、第1実施形態の制御モード設定処理を説明するフローチャートである。充放電制御部21は、例えば正時や停電可能性予測部11から情報(系統停電の発生可能性が高いことを示す情報)を受信したタイミングなどの所定のタイミングで、
図3に示す制御モード設定処理を行う。
【0047】
工程#10において充放電制御部21は、停電可能性予測部11から伝達される情報に基づいて、系統停電の発生可能性が高いか否かを判定する。そして、充放電制御部21は、系統停電の発生可能性が高いと判定した場合(工程#10で「Yes」の場合)には工程#11に移行し、系統停電の発生可能性が低いと判定した場合(工程#10で「No」の場合)には工程#14に移行する。
【0048】
工程#11において充放電制御部21は、制御モード設定処理において、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する指示要求処理を行う。つまり、充放電制御部21は、制御モード設定処理において、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した後に指示要求処理を行う。
【0049】
工程#11において充放電制御部21は、系統停電の発生可能性が高いという判定結果に基づいて、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定するか否かをユーザに問い合わせる。具体的には、充放電制御部21は情報入出力装置12を用いてユーザへの問い合わせを行う。例えば、充放電制御部21は、情報入出力装置12に対して「系統停電の発生可能性があります。充電促進モードに設定しますか?」などのメッセージを送信し、出力部13からユーザに出力させる。
【0050】
充放電制御部21は、指示要求処理を行う場合、系統停電の発生可能性が高い時刻に関する情報をユーザに伝達してもよい。例えば、充放電制御部21は、情報入出力装置12に対して「今から2日後の4月1日13時00分に系統停電の発生可能性があります。充電促進モードに設定しますか?」などのメッセージを送信し、出力部13からユーザに出力させてもよい。その結果、ユーザは、系統停電の発生可能性が高くなる時刻を参考にして、例えば、その時刻であれば多くの充電電力は不要である等、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
【0051】
更に、充放電制御部21は、指示要求処理を行う場合、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは当該系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される充放電部23の充電レベルに関する情報をユーザに伝達してもよい。例えば、充放電制御部21は、情報入出力装置12に対して「今から2日後の4月1日13時00分に系統停電の発生可能性があります。現在の充電レベルは50%です。充電促進モードに設定しますか?」や、「今から2日後の4月1日13時00分に系統停電の発生可能性があります。停電予測時での予測充電レベルは40%です。充電促進モードに設定しますか?」などのメッセージを送信し、出力部13からユーザに出力させてもよい。その結果、ユーザは、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される充放電部23の充電レベルに関する情報を参考にして、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定するか否かを決定できる。例えば、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した時点での或いは系統停電の発生可能性が高い時刻に予測される充放電部23の充電レベルが高い場合であれば、ユーザは、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定しないと決定することでもよい。
【0052】
入力受付部14は、電力系統1からの電力供給が停止する系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザから受け付けることができる。そして、情報入出力装置12は、入力受付部14がユーザから受け付けた指示を充放電装置20に伝達する。例えば、情報入出力装置12は、入力受付部14が「充電促進モードに設定する」旨の指示をユーザから受け付けた場合、その指示を充放電装置20に伝達する。
【0053】
工程#12において充放電制御部21は、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けた場合(即ち、充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態である場合)には工程#13に移行して、充放電部23の動作モードを充電促進モードに設定する。
それに対して、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けなかった場合(即ち、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態である場合)には工程#14に移行して、充放電部23の動作モードを通常充放電モードに設定する。
【0054】
或いは、出力部13を用いて「充電促進モードに設定することを希望する」及び「充電促進モードに設定することを希望しない」という二つの選択肢をユーザに提示し、入力受付部14がユーザによるその選択結果を受け付けるように構成してもよい。そして、充放電制御部21は、「充電促進モードに設定することを希望する」というユーザの指示を受け付けた場合には工程#13に移行して、充放電部23の動作モードを充電促進モードに設定する。また、充放電制御部21は、「充電促進モードに設定することを希望しない」という指示をユーザから受け付けた場合には工程#14に移行して、充放電部23の動作モードを通常充放電モードに設定する。
【0055】
以上のように、充放電制御部21は、制御モード設定処理において、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した場合、入力受付部14が受け付けたユーザからの指示を参照して、系統停電の発生可能性が高い場合に通常充放電モードで充放電部23の動作を制御しているときよりも充放電部23への充電が促進される充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定し、系統停電の発生可能性が高い場合に充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば、充放電部23の制御モードを通常充放電モードに設定する。つまり、系統停電の発生可能性が高い場合、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合に限って、充放電部23の制御モードが充電促進モードに設定されることで、通常充放電モードで充放電部23の動作を制御しているときよりも充放電部23への充電が促進される。その結果、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない場合には系統停電の発生可能性が高い場合であっても不要な充電が行われないようにできる。また、充電促進モードに設定することをユーザが希望している場合には充放電部23への充電が促進されるので、実際に系統停電が発生した場合、電力消費装置3は充放電部23から多くの電力の供給を受けることができる。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態の充放電システムでは、上記第1実施形態で説明した指示要求処理(
図3の工程#11)を毎回行わないように構成される。具体的には、第2実施形態において、充放電制御部21は、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め入力受付部14によってユーザから受け付けた、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を、制御モード設定処理で参照する。
【0057】
例えば、ユーザは、適当なタイミングで、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を情報入出力装置12で設定する。そして、情報入出力装置12の入力受付部14は、ユーザから、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を受け付けた場合、その指示内容を充放電装置20に伝達する。充放電装置20は、情報入出力装置12から受け付けたその指示内容を記憶部22に記憶しておく。
【0058】
図4は、第2実施形態の制御モード設定処理を説明するフローチャートである。充放電制御部21は、例えば正時や停電可能性予測部11から情報(系統停電の発生可能性が高いことを示す情報)を受信したタイミングなどの所定のタイミングで、
図4に示す制御モード設定処理を行う。
【0059】
工程#20において充放電制御部21は、停電可能性予測部11から伝達される情報に基づいて、系統停電の発生可能性が高いか否かを判定する。そして、充放電制御部21は、系統停電の発生可能性が高いと判定した場合(工程#20で「Yes」の場合)には工程#21に移行し、系統停電の発生可能性が低いと判定した場合(工程#20で「No」の場合)には工程#23に移行する。
【0060】
工程#21において充放電制御部21は、記憶部22に記憶している情報を参照して、予め入力受付部14によってユーザから受け付けた、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を確認する。そして、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けていた場合(即ち、充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態である場合)には工程#22に移行して、充放電部23の動作モードを充電促進モードに設定する。
それに対して、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けなかった場合(即ち、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態である場合)には工程#23に移行して、充放電部23の動作モードを通常充放電モードに設定する。
【0061】
このように、第2実施形態の充放電システムでは、ユーザが、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、好きな時に行うことができる。
【0062】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、指示要求処理を毎回行うような充放電システムの例を説明し、上記第2実施形態では、そのような指示要求処理を毎回行わなくてもよくなる充放電システムの例を説明したが、第3実施形態の充放電システムでは、上記第1実施形態で説明した指示要求処理(
図3の工程#11)を毎回行うか否かをユーザが事前設定できるように構成される。
【0063】
本実施形態では、情報入出力装置12の入力受付部14は、充放電制御部21が指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができる。この指示要求処理は、充放電装置20の充放電制御部21が行う、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する処理である。情報入出力装置12の入力受付部14が受け付けた上記事前設定は、充放電装置20に伝達されて記憶部22に記憶される。情報入出力装置12がユーザによる事前設定を要求するタイミングは、例えば、充放電装置20の設置時、1年間に1回などの所定期間毎など、適宜設定できる。
【0064】
加えて、情報入出力装置12の入力受付部14は、上記第2実施形態で説明したのと同様に、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予めユーザから受け付けることができる。
【0065】
そして、充放電制御部21は、例えば正時や停電可能性予測部11から情報(系統停電の発生可能性が高いことを示す情報)を受信したタイミングなど、制御モード設定処理を行う所定のタイミングになると、記憶部22に記憶している情報を参照して、ユーザが指示要求処理を行うように事前設定しているのか、又は、ユーザが指示要求処理を行わないように事前設定しているのかを判定する。
【0066】
充放電制御部21は、ユーザが指示要求処理を行うように事前設定していると判定した場合、上記第1実施形態において
図3を参照して説明した制御モード設定処理を行う。具体的には、充放電制御部21は、指示要求処理を行うように事前設定されている場合、制御モード設定処理において、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから入力受付部14が受け付けた指示を参照して、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば充放電部23の制御モードを通常充放電モードに設定し、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定する。
【0067】
このように、指示要求処理を行うようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測する度に、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われる。そして、ユーザは、その時々の事情に応じて、充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
【0068】
また、充放電制御部21は、ユーザが指示要求処理を行わないように事前設定していると判定した場合、上記第2実施形態において
図4を参照して説明した制御モード設定処理を行う。具体的には、充放電制御部21は、指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予め入力受付部14によってユーザから受け付けた、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を、制御モード設定処理で参照する。
【0069】
このように、指示要求処理を行わないようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測された場合であっても、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われない。但し、充放電制御部21が行う制御モード設定処理では、予めユーザが入力した、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示が参照される。その結果、充電促進モードに設定するか否かの決定に、ユーザの意向が反映される。
【0070】
<第4実施形態>
上記第3実施形態において、情報入出力装置12の入力受付部14が、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示を、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測するのに先立って予めユーザから受け付けないように構成してもよい。つまり、上記指示要求処理を毎回行うか否かをユーザが事前設定できるように構成するだけでもよい。
この場合、ユーザによって行われた、指示要求処理を行わないという事前設定を、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するというユーザの意向であると見なす。
【0071】
本実施形態では、情報入出力装置12の入力受付部14は、充放電制御部21が指示要求処理を行うか否かの事前設定をユーザから受け付けることができる。この指示要求処理は、充放電装置20の充放電制御部21が行う、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かのユーザによる指示を要求する処理である。情報入出力装置12の入力受付部14が受け付けた上記事前設定は、充放電装置20に伝達されて記憶部22に記憶される。情報入出力装置12がユーザによる事前設定を要求するタイミングは、例えば、充放電装置20の設置時、1年間に1回などの所定期間毎など、適宜設定できる。
【0072】
そして、充放電制御部21は、例えば正時や停電可能性予測部11から情報(系統停電の発生可能性が高いことを示す情報)を受信したタイミングなど、制御モード設定処理を行う所定のタイミングになると、記憶部22に記憶している情報を参照して、ユーザが指示要求処理を行うように事前設定しているのか、又は、ユーザが指示要求処理を行わないように事前設定しているのかを判定する。
【0073】
充放電制御部21は、ユーザが指示要求処理を行うように事前設定していると判定した場合、上記第1実施形態において
図3を参照して説明した制御モード設定処理を行う。具体的には、指示要求処理を行うようにユーザが事前設定している場合、充放電制御部21は、制御モード設定処理において、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で指示要求処理を行い、当該指示要求処理に応じてユーザから入力受付部14が受け付けた指示を参照して、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であれば充放電部23の制御モードを通常充放電モードに設定し、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であれば充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定する。
【0074】
このように、指示要求処理を行うようにユーザが事前設定している場合、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測する度に、充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザに対して要求する指示要求処理が行われる。そして、ユーザは、その時々の事情に応じて、充電促進モードに設定するか否かを決定できる。
【0075】
また、充放電制御部21は、指示要求処理を行わないように事前設定されている場合、制御モード設定処理において、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定する。つまり、充放電制御部21は、ユーザによって行われた、指示要求処理を行わないという事前設定を、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するというユーザの意向であると見なして、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測した後で充放電部23の制御モードを充電促進モードに自動的に設定する。その結果、ユーザは、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示が毎回要求されるという煩わしさから解放される。
【0076】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、充放電システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態において、充放電装置20及び発電装置8及び電力消費装置3が交流線2のどの場所に設置されていても構わない。また、交流線2に発電装置8が接続されていなくても構わない。
【0077】
<2>
上記実施形態では、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けなかった場合には(例えば、
図3の工程#12において「No」の場合)、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することをユーザが希望していない状態であると判定する例を説明したが、それとは逆に、充電促進モードに設定することを希望しない指示をユーザから受け付けなかった場合には、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することをユーザが希望している状態であると判定してもよい。
【0078】
或いは、充放電制御部21は、制御モード設定処理において、指示要求処理を行った後の所定期間内に、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望するか否かの指示をユーザから受け付けない場合、充電促進モードに設定することをユーザが希望していると判定するように構成してもよい。例えば、
図3の工程#11の指示要求処理で行ったユーザに対する要求に関して、所定期間内に、ユーザから「充電促進モードに設定することを希望する」及び「充電促進モードに設定することを希望しない」の何れの返答もない場合、充放電制御部21は、充電促進モードに設定することを希望する指示をユーザから受け付けたと判定してもよい。
【0079】
<3>
上記第2実施形態では、充放電制御部21が、予め入力受付部14によってユーザから受け付けた指示を制御モード設定処理で参照することで、指示要求処理(
図3の工程#11)を毎回行う必要がないことを説明した。この場合、予め入力受付部14によってユーザから受け付けた指示は、予めユーザが入力受付部14を実際に操作してすることで直接的に受け付けられたものでもよいし、予めユーザが他の機器で入力した情報が入力受付部14に伝達されることで間接的に受け付けられたものでもよい。
【0080】
後者の場合、例えば、情報入出力装置12として機能する通信端末装置にはユーザの将来の予定が入力された管理アプリケーションがインストールされている場合がある。その場合、情報入出力装置12は、管理アプリケーションが管理しているユーザの将来の予定についての情報を解析して、充放電装置20が設置されている家などの施設にユーザが滞在すると予測される期間とユーザが滞在しないと予測される期間とを判別できる。また、系統停電の発生予測時刻にユーザが施設に滞在しないのであれば、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23での充電を促進する必要がないと考えてもよい。よって、情報入出力装置12は、出張や旅行などの不在を示す予定がユーザによって入力されていればその期間はユーザが施設に滞在しないと判別でき、そのような不在を示す予定がユーザによって入力されていなければその期間はユーザが施設に滞在すると判別できる。
【0081】
そして、情報入出力装置12は、系統停電の発生予測時刻にユーザが施設に滞在するという予定であれば、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望する旨の指示を予めユーザから受け付けたと見なし、系統停電の発生予測時刻にユーザが施設に滞在しないという予定であれば、系統停電の発生可能性が高い場合に充放電部23の制御モードを充電促進モードに設定することを希望しない旨の指示を予めユーザから受け付けたと見なす。
【0082】
<4>
上記実施形態では、充電促進モードの例として、充放電部23の充電レベルが所定の上限レベルになるまで充電させた後、停電可能性予測部11が系統停電の発生可能性が高いと予測しなくなるまで又は実際に系統停電が発生するまで充放電部23からの放電を禁止する制御モードを説明したが、系統停電の発生可能性が高い場合に通常充放電モードで充放電部23の動作を制御しているときよりも充放電部23への充電が促進されるのであれば、他の制御モードで充放電部23の充放電を制御してもよい。
【0083】
例えば、充電促進モードの別の例としては、
図5に示すように、毎日23時から翌日7時までの8時間の充電時間帯は充放電部23への充電のみを許容し、7時から23時までの16時間の放電時間帯は充放電部23からの放電のみを許容する制御モードがある。但し、通常充放電モードとは異なり、充放電部23の充電レベルが、通常用下限レベルよりも大きい所定の充電促進用下限レベルより小さくならないことが条件とされる。
【0084】
図5に示すように、充放電制御部21は、充電促進モードの場合、時刻が23時になると、交流線2から充放電部23への充電を開始する。例えば、充放電制御部21は、単位時間当たりに設定電力量の電力が蓄電池25に充電されるように電力変換部24の動作を制御する。そして、充放電制御部21は、蓄電池25の充電レベルが所定の充電促進用上限レベルに到達すると、蓄電池25への充電が停止されるように電力変換部24の動作を制御する。この充電促進用上限レベルは、通常用上限レベルと同じでもよいし、それよりも高く設定してもよい。充電促進用上限レベルが通常用上限レベルよりも高く設定された場合、充放電部23への充電が促進される。
【0085】
充放電制御部21は、充電促進モードの場合、時刻が7時になると、充放電部23から交流線2への放電を許可する。例えば、充放電制御部21は、充放電部23の充電レベルが、通常用下限レベルよりも大きい所定の充電促進用下限レベルより小さくならないことを条件として、電力消費装置3の消費電力P3が充放電装置20から交流線2への放電電力(負の受取電力Pb)で賄われるように電力変換部24の動作を制御する。
【0086】
以上のように、充放電制御部21は、充放電部23の制御モードが通常充放電モードに設定されている場合、充放電部23の充電レベルが、所定の通常用下限レベルより小さくならないことを条件として、充放電部23と交流線2との間で電力の充放電を行わせ、充放電部23の制御モードが充電促進モードに設定されている場合、充放電部23の充電レベルが、通常用下限レベルよりも大きい所定の充電促進用下限レベルより小さくならないことを条件として、充放電部23と交流線2との間で電力の充放電を行わせる。その結果、電力消費装置3の消費電力P3の時間的な推移が同様であれば、充電促進モードに設定されている場合の方が充放電部23の充電レベルは高くなるため、充放電部23への充電が促進されていると言える。
【0087】
<5>
停電可能性予測部11は、気象に関する情報として、台風の予測進路とその台風の暴風域の範囲との情報の伝達を情報提供サーバ装置9から受ける例を説明したが、他の情報の伝達を受けて、その情報に基づいて系統停電の発生可能性が高いか否かを判定してもよい。
【0088】
例えば、停電可能性予測部11は、災害に関する情報としての火災や地震などに関する情報の伝達を情報提供サーバ装置9から受けることができる。停電可能性予測部11は、伝達された火災の予測範囲の情報を参照して、発電所などの発電設備や変電所などの送配電設備が火災の予測範囲に含まれる場合に、系統停電の発生可能性が高いと判定できる。また、停電可能性予測部11は、伝達された地震に関する情報を参照して、充放電装置20が設置されている地区での強い地震の発生予測時間帯が発表された場合、又は、発電所などの発電設備や変電所などの送配電設備が設置されている地区での強い地震の発生予測時間帯が発表された場合に、系統停電の発生可能性が高いと判定できる。
他にも、停電可能性予測部11は、電気工事に関する情報や、計画停電などのイベントに関する情報の伝達を情報提供サーバ装置9から受けることができる。例えば、停電可能性予測部11は、伝達された電気工事の情報を参照して、充放電装置20が設置されている地区がその電気工事の範囲に含まれる場合に、系統停電の発生可能性が高いと判定できる。停電可能性予測部11は、計画停電の情報を参照して、充放電装置20が設置されている地区がその計画停電の範囲に含まれる場合に、系統停電の発生可能性が高いと判定できる。
【0089】
<6>
上記実施形態において、ユーザが、情報入出力装置12を用いて充電促進用上限レベルや下限レベルなどの数値を設定してもよい。
【0090】
<7>
上記実施形態では、数値を例示して本発明の説明を行ったが、それらの数値は適宜変更可能である。
例えば、充電時間帯と放電時間帯とが切り替わる時刻として、7時及び23時を例示したが、それらの数値は適宜変更可能である。
【0091】
<8>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、ユーザの事情に合った充放電部の動作制御を行うことができる充放電システムに利用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 電力系統
2 交流線
3 電力消費装置
11 停電可能性予測部
14 入力受付部
20 充放電装置
21 充放電制御部
23 充放電部