(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20240315BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B01D46/24 B
B01D39/20 D
(21)【出願番号】P 2020039476
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-09-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】文野 佳門
(72)【発明者】
【氏名】三坂 浩司
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-104734(JP,A)
【文献】実開昭49-002947(JP,U)
【文献】特開平11-082745(JP,A)
【文献】実公昭58-033331(JP,Y2)
【文献】特開2017-209638(JP,A)
【文献】特開2000-354717(JP,A)
【文献】特開2018-051542(JP,A)
【文献】特開平04-285899(JP,A)
【文献】米国特許第4960448(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
B01D39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するセラミックフィルタと、
前記筐体に対して、前記セラミックフィルタを揺動可能に支持するフローティング支持部とを備えることを特徴とする集塵装置であって、
前記筐体は、前記セラミックフィルタを前記フローティング支持部ごと支持する支持板を有し、
前記セラミックフィルタは、
前記セラミックフィルタの上端部に形成されている、外径が拡径したフランジ部と、
前記フランジ部よりの下側の胴部と、
を備え、
前記フローティング支持部は、鉛直方向から見たとき、前記セラミックフィルタの前記胴部を囲むリング状をなすリング状部を有し、
前記フローティング支持部の前記リング状部には、前記セラミックフィルタの前記フランジ部が上側から係合し、
前記フローティング支持部は、前記リング状部を前記筐体の
前記支持板に対して下方に向かって圧縮された状態で固定する固定部を更に備え、
前記リング状部は、弾性体で構成される集塵装置。
【請求項2】
含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するセラミックフィルタと、
前記筐体に対して、前記セラミックフィルタを揺動可能に支持するフローティング支持部とを備えることを特徴とする集塵装置であって、
前記筐体は、前記セラミックフィルタを前記フローティング支持部ごと支持する支持板を有し、
前記セラミックフィルタは、
前記セラミックフィルタの上端部に形成されている、外径が拡径したフランジ部と、
前記フランジ部よりの下側の胴部と、
を備え、
前記フローティング支持部は、鉛直方向から見たとき、前記セラミックフィルタの前記胴部を囲むリング状をなすリング状部を有し、
前記フローティング支持部の前記リング状部には、前記セラミックフィルタの前記フランジ部が上側から係合し、
前記フローティング支持部は、前記リング状部を前記筐体の
前記支持板に対して下方に向かって圧縮された状態で固定する固定部を更に備え、
前記リング状部は、軟質多孔体で構成される集塵装置。
【請求項3】
含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するセラミックフィルタと、
前記筐体に対して、前記セラミックフィルタを揺動可能に支持するフローティング支持部とを備えることを特徴とする集塵装置であって、
前記筐体は、前記セラミックフィルタを前記フローティング支持部ごと支持する支持板を有し、
前記セラミックフィルタは、
前記セラミックフィルタの上端部に形成されている、外径が拡径したフランジ部と、
前記フランジ部よりの下側の胴部と、
を備え、
前記フローティング支持部は、鉛直方向から見たとき、前記セラミックフィルタの前記胴部を囲むリング状をなすリング状部を有し、
前記フローティング支持部の前記リング状部には、前記セラミックフィルタの前記フランジ部が上側から係合し、
前記フローティング支持部は、前記リング状部を前記筐体の
前記支持板に対して下方に向かって圧縮された状態で固定する固定部を更に備え、
前記リング状部は、軟質中空体で構成される集塵装置。
【請求項4】
前記軟質中空体を画成する部分の構成材料は、弾性材料である、請求項3に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記リング状部は、前記セラミックフィルタと前記支持板との間の気密性を維持するシール材としても機能する請求項1~4のいずれか1項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記支持板には、前記セラミックフィルタが挿通する貫通孔が形成され、
前記リング状部は、第1部分と、第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記セラミックフィルタの胴部の外周面と、前記支持板の貫通孔の内周面との間に位置し、
前記第2部分は、前記支持板の上面に位置する、
請求項5に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記リング状部は、前記支持板を挟持する請求項5又は請求項6に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記セラミックフィルタは、隣り合うように複数配置されており、
隣り合う前記セラミックフィルタ同士の間には、前記セラミックフィルタ同士を連結し、該セラミックフィルタ同士の離間距離を維持する連結部が設けられる請求項1~7のいずれか1項に記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉や下水汚泥の焼却炉等から排出される排ガスには、灰分、金属、未燃の炭素や有機物などの微細な粉塵が含まれるため、排出する際には除去処理が必要となる。この微細な粉塵を除去処理する装置の一つとして、濾過式集塵装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の濾過式集塵装置は、排ガスに含まれる塵埃を捕集して、排ガスから粉塵を除去するセラミックフィルタと、セラミックフィルタ内に挿入され、セラミックフィルタを補強するリテーナとを備える。このリテーナにより、セラミックフィルタに対する耐震性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の濾過式集塵装置では、例えばセラミックフィルタの大きさによって、セラミックフィルタ内に挿入されるリテーナの大きさも変更しなければならず、装置設計が煩雑となってしまう。
【0005】
本発明の目的は、例えば地震が発生した場合に揺れ等でセラミックフィルタが損傷するのを、簡単な構成で防止することができる集塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の集塵装置の一つの態様は、含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するセラミックフィルタと、
前記筐体に対して、前記セラミックフィルタを揺動可能に支持するフローティング支持部とを備え、
前記セラミックフィルタは、
前記セラミックフィルタの上端部に形成されている、外径が拡径したフランジ部と、
前記フランジ部よりの下側の胴部と、
を備え、
前記筐体は、前記セラミックフィルタを前記フローティング支持部ごと支持する支持板を有し、
前記フローティング支持部は、鉛直方向から見たとき、前記セラミックフィルタの前記胴部を囲むリング状をなすリング状部を有し、
前記フローティング支持部の前記リング状部には、前記セラミックフィルタの前記フランジ部が上側から係合し、
前記フローティング支持部は、前記リング状部を前記筐体の前記支持板に対して下方に向かって圧縮された状態で固定する固定部を更に備え、
前記リング状部は、弾性体で構成される。
【発明の効果】
【0007】
例えば地震が発生した場合、筐体も揺れる。そして、筐体の揺れに伴う振動がセラミックフィルタに伝達されそうになる。また、セラミックフィルタは、その構成上、脆弱であり、振動の程度によっては、例えば割れ(亀裂)等の損傷が生じるおそれがある。
しかしながら、本発明によれば、セラミックフィルタは、フローティング支持部を介して揺動可能に支持されていることにより、筐体からの振動の伝達が防止される。これにより、例えば地震が発生した場合に揺れ等でセラミックフィルタが損傷するのを防止することができる。
【0008】
また、フローティング支持部は、損傷防止対象であるセラミックフィルタに対して、集中して、すなわち、優先的かつ重点的に、振動伝達を防止することができる。これにより、セラミックフィルタの大きさ、すなわち、全長や外径の大小に関わらず、簡単な構成で、セラミックフィルタへの振動伝達を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の集塵装置の第1実施形態を示す垂直断面側面図である。
【
図2】
図1中の二点鎖線で囲まれた領域Aの拡大詳細図である。
【
図4】本発明の集塵装置の第2実施形態を示す垂直断面側面図である。
【
図5】本発明の集塵装置の第3実施形態を示す垂直断面側面図である。
【
図6】本発明の集塵装置の第4実施形態を示す垂直断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の集塵装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1~
図3を参照して、本発明の集塵装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、
図1および
図2中(
図4~
図6についても同様)の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言うことがある。
【0011】
図1に示す集塵装置1は、例えば、産業廃棄物や家庭ゴミ等を処理する処理施設の他、製鉄、製鋼施設等の産業施設に設置され、焼却炉や破砕設備等(以下「焼却炉」を代表とする)から排出される含塵空気AR1を浄化するのに用いられる。この集塵装置1は、装置本体である筐体2と、含塵空気AR1に含まれる塵(埃も含む)等の異物EMを捕捉する複数のセラミックフィルタ31と、処理用空気(空気)AR3を噴出する噴出部4と、浄化空気AR2を吸引する吸引部5と、各セラミックフィルタ31を支持するフローティング支持部6と、セラミックフィルタ31同士を連結する連結部7とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0012】
筐体2は、本実施形態では円錐台形状をなし、その中心軸O2がZ軸方向(鉛直方向)に沿った姿勢で支持されている。この筐体2は、内部が隔壁部23によって上下に2つの空間に区画されている。下側の空間は、含塵空気AR1が通過する第1室21である。上側の空間は、含塵空気AR1から塵等の異物EMが除去されて、浄化された浄化空気AR2が通過する第2室22である。なお、筐体2の形状は、円錐台形状に限定されず、例えば、四角錐台形状であってもよい。
【0013】
また、隔壁部23は、筐体2の内部を上下に2つの空間に区画することの他に、各セラミックフィルタ31をフローティング支持部6ごと一括して支持する支持板としても機能する。隔壁部23には、各セラミックフィルタ31が挿通する貫通孔231が形成されている。これにより、各セラミックフィルタ31は、懸垂状態となり、上側で片持ち支持される。また、各セラミックフィルタ31が懸垂状態となることにより、例えば、各セラミックフィルタ31の全長をできる限り延ばして、異物EMを捕捉する面積を十分に確保することができる。
【0014】
また、筐体2の側壁部27には、筐体2の第1室21に含塵空気AR1が導入される導入管28と、筐体2の第2室22から浄化空気AR2が排出される排出管52とが接続されている。
導入管28は、第1室21に連通している。また、導入管28は、筐体2と反対側で、焼却炉に接続されている。これにより、焼却炉で生じた含塵空気AR1を、導入管28を介して、筐体2の第1室21内に導入することができる。
【0015】
排出管52は、吸引部5の一部を構成し、第2室22に連通している。吸引部5は、排出管52に対し筐体2と反対側で、排出管52に接続されたポンプ(図示せず)を有する。このポンプが作動することにより、第2室22内の浄化空気AR2を、排出管52を介して、迅速に排出することできる。
筐体2の底部24は、テーパ状をなす。これにより、異物EMが、後述するように落下してきた際、その異物EMを底部24の中央部に集中して集めることができる。
【0016】
底部24の中央部には、異物EMを排出する排出管25が接続されている。底部24の中央部に集められた異物EMは、排出管25を介して、外部に迅速に排出される。これにより、筐体2に異物EMが残留するのを防止することができる。
また、排出管25には、ロータリーバルブ26が設置されている。ロータリーバルブ26が作動することにより、異物EMが排出管25を介して強制的に排出され、よって、排出管25の排出時間を短縮することができる。
【0017】
各セラミックフィルタ31は、第1室21と第2室22との間に配置されたろ過材である。各セラミックフィルタ31は、セラミックで構成されている。各セラミックフィルタ31は、Z軸方向に沿った円筒状または角筒状に形成されている。また、各セラミックフィルタ31の上端部は開口し、下端部は閉塞している。そして、含塵空気AR1がセラミックフィルタ31を外側から内側に向かって通過することにより、
図1に示すように、含塵空気AR1に含まれる異物EMがセラミックフィルタ31に捕捉される。これにより、含塵空気AR1から異物EMを除去することができ、よって、浄化空気AR2が生成される。このような動作を「集塵動作」と言う。
【0018】
また、各セラミックフィルタ31の上端部には、外径が拡径したフランジ部311が形成されている。また、以下では、セラミックフィルタ31のフランジ部311よりの下側の部分を「胴部312」と言う。
各セラミックフィルタ31の大きさ(全長および外径)は、本実施形態では互い同じであるが、これに限定されず、互いに異なっていてもよい。また、セラミックフィルタ31の全長は、例えば、1m以上5m以下とすることができる。セラミックフィルタ31の外径は、例えば、100mm以上300mm以下とすることができる。
【0019】
なお、セラミックフィルタ31の配置数は、
図1に示す構成では3つであるが、これに限定されず、例えば、1つ、2つまたは4つ以上であってもよい。また、セラミックフィルタ31の配置数が複数の場合、これらのセラミックフィルタ31は、水平方向に沿って離間して、すなわち、間隔を置いて配置される。
【0020】
図1に示すように、各セラミックフィルタ31は、異物EMを捕捉した際、当該異物EMがそのまま付着する場合がある。この場合、異物EMの付着の程度によっては、セラミックフィルタ31に目詰まりが生じるおそれがある。そこで、噴出部4により、セラミックフィルタ31の目詰まりを解消することができる。このような動作を「払落し動作」と言う。噴出部4は、処理用空気AR3を筐体2内に導入する導入管42を有する。
導入管42は、筐体2の第2室22内に挿入されている。導入管42は、筐体2と反対側で、コンプレッサ(図示せず)と接続されている。これにより、処理用空気AR3は、圧縮空気として、導入管42を通過することができる。
【0021】
導入管42は、各セラミックフィルタ31に臨むノズル421を有する。各ノズル421は、導入管42を通過してきた処理用空気AR3を、当該ノズル421に対向するセラミックフィルタ31の内側に向けて噴出することができる。これにより、セラミックフィルタ31に付着した異物EMを、セラミックフィルタ31の外側に吹き飛ばして離脱させることができ、よって、セラミックフィルタ31の目詰まりを解消することができる。
なお、セラミックフィルタ31から離脱した異物EMは、筐体2の第1室21内を落下していき、筐体2の底部24に到達する。その後、異物EMは、底部24の中央部に集められて、排出管25から排出される。
【0022】
このように、集塵装置1では、セラミックフィルタ31に異物EMが付着して、セラミックフィルタ31に目詰まりが生じた際、セラミックフィルタ31に対して、第2室22側から第1室21側に向かう処理用空気AR3を噴出することができる。これにより、払落し動作が行われて、セラミックフィルタ31の目詰まりを解消することができ、よって、集塵動作を安定して継続することができる。
【0023】
前述したように、集塵装置1は、フローティング支持部6を備えている。
図2に示すように、フローティング支持部6は、筐体2の隔壁部23に対して、セラミックフィルタ31を1つずつ揺動可能に支持する部分である。フローティング支持部6は、リング状部61と、リング状部61を隔壁部23(支持板)に対して固定する固定部62とを有する。
【0024】
図3に示すように、リング状部61は、Z軸方向から見たとき、セラミックフィルタ31の胴部312を囲むリング状をなす。また、リング状部61には、セラミックフィルタ31のフランジ部311が上側から係合する。これにより、セラミックフィルタ31の脱落が防止される。なお、リング状部61は、胴部312を囲む機能があればよい。このため、リング形状(円形状)に限らず、多角形状や半円形状であってもよい。但し、リング形状の方が振動が各セラミックフィルタに伝達される場合であっても、荷重の伝達を均等化することができる。
リング状部61は、第1部分611と、第2部分612とを有する。第1部分611は、セラミックフィルタ31の胴部312の外周面313と、隔壁部23の貫通孔231の内周面232との間に位置する。第2部分612は、第1部分611と一体的に形成され、隔壁部23の上面233に位置する。
【0025】
このようなリング状部61は、弾性を有する弾性体63で構成される。これにより、セラミックフィルタ31は、筐体2の隔壁部23に対して揺動可能に支持されたフローティング状態となる。なお、弾性体63の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリウレタン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
固定部62は、Z軸方向から見たとき、セラミックフィルタ31のフランジ部311を囲むリング状をなす。また、固定部62は、筐体2の隔壁部23との間で、リング状部61を挟持する。これにより、リング状部61を隔壁部23に対して固定することができる。
【0027】
例えば地震が発生した場合、筐体2も揺れる。そして、筐体2の揺れに伴う振動が各セラミックフィルタ31に伝達されそうになる。しかしながら、各セラミックフィルタ31は、前述したフローティング状態となっていることにより、筐体2からの振動の伝達が防止される。
各セラミックフィルタ31は、その構成上、脆弱であり、振動の程度によっては、例えば割れ(亀裂)等の損傷が生じるおそれがある。
【0028】
集塵装置1では、前記のように筐体2から各セラミックフィルタ31への振動伝達が防止される。これにより、例えば地震が発生した場合に揺れ等でセラミックフィルタ31が損傷するのを防止することができる。また、セラミックフィルタ31を囲むリング状部61を用いることにより、セラミックフィルタ31の大きさ、すなわち、全長や外径の大小に関わらず、簡単な構成で、セラミックフィルタ31への振動伝達を安定して防止することができる。
以上のように、集塵装置1は、フローティング支持部6によって、制振対象であるセラミックフィルタ31を集中して、すなわち、優先的かつ重点的に制振する装置となっている。
【0029】
また、リング状部61(弾性体63)は、セラミックフィルタ31の胴部312を、その外側から締め付けているとともに、固定部62によって下方に向かって、すなわち、隔壁部23に向かって圧縮されている。そして、リング状部61の締め付け力をF1とし、固定部62の圧縮力をF2としたとき、締め付け力F1>圧縮力F2となる関係を満足するのが好ましい。これにより、フローティング状態を過不足なく維持することができる。
【0030】
また、リング状部61の第1部分611は、セラミックフィルタ31の胴部312の外周面313と、隔壁部23の貫通孔231の内周面232との間で、圧縮された状態となっている。これにより、セラミックフィルタ31と隔壁部23との間の気密性が維持される。このように、リング状部61は、シール材としても機能する。これにより、第1室21内の含塵空気AR1が、セラミックフィルタ31と隔壁部23との間を通過して、第2室22に侵入するのを防止することができる。
【0031】
図1に示すように、隣り合うセラミックフィルタ31同士の間の下方側には、セラミックフィルタ31同士を連結する連結部7が設けられている。連結部7は、硬質のバー(棒状体)71と、バー71の一端部と一方のセラミックフィルタ31とを回動可能に連結する回動連結部72と、バー71の他端部と他方のセラミックフィルタ31とを回動可能に連結する回動連結部73とを有する。
【0032】
前述したように、セラミックフィルタ31同士は、水平方向に沿って離間して配置される。連結部7は、セラミックフィルタ31同士の離間距離を維持することができる。これにより、各セラミックフィルタ31が揺動しても、セラミックフィルタ31同士が互いに衝突するのが防止される。これにより、各セラミックフィルタ31が衝突で損傷するのを防止することができる。
【0033】
<第2実施形態>
以下、
図4を参照して本発明の集塵装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、フローティング支持部が有するリング状部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0034】
図4に示すように、本実施形態では、リング状部61は、第3部分613を有する。第3部分613は、第1部分611と一体的に形成され、第2部分612と反対側、すなわち、隔壁部23の下面234に位置する。また、リング状部61は、第2部分612と第3部分613との間で隔壁部23を挟持した状態となる。これにより、リング状部61でのシール性が向上する。
【0035】
<第3実施形態>
以下、
図5を参照して本発明の集塵装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、フローティング支持部が有するリング状部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0036】
図5に示すように、本実施形態では、リング状部61は、軟質多孔体64で構成される。軟質多孔体64としては、特に限定されず、例えば、ゴムスポンジ等を用いることができる。リング状部61を軟質多孔体64で構成することは、例えば、弾性体63に代えて、軟質多孔体64を用いたい場合に有効な構成となる。
【0037】
<第4実施形態>
以下、
図6を参照して本発明の集塵装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、フローティング支持部が有するリング状部の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
【0038】
図6に示すように、本実施形態では、リング状部61は、軟質中空体65で構成される。軟質中空体65の最外部651、すなわち、中空部652を画成する部分の構成材料としては、特に限定されず、例えば、前述した弾性体63と同様の構成材料を用いることができる。また、中空部652は、例えば、空気等の気体で満たされている。リング状部61を軟質中空体65で構成することは、例えば、軟質多孔体64に代えて、軟質中空体65を用いたい場合に有効な構成となる。
【0039】
以上、本発明の集塵装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、集塵装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の集塵装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 集塵装置
2 筐体
21 第1室
22 第2室
23 隔壁部
231 貫通孔
232 内周面
233 上面
234 下面
24 底部
25 排出管
26 ロータリーバルブ
27 側壁部
28 導入管
31 セラミックフィルタ
311 フランジ部
312 胴部
313 外周面
4 噴出部
42 導入管
421 ノズル
5 吸引部
52 排出管
6 フローティング支持部
61 リング状部
611 第1部分
612 第2部分
613 第3部分
62 固定部
63 弾性体
64 軟質多孔体
65 軟質中空体
651 最外部
652 中空部
7 連結部
71 バー(棒状体)
72、73 回動連結部
AR1 含塵空気
AR2 浄化空気
AR3 処理用空気(空気)
EM 異物
F1 締め付け力
F2 圧縮力
O2 中心軸